JP2020511963A - ヒトアルファ−シヌクレインに対する抗体 - Google Patents

ヒトアルファ−シヌクレインに対する抗体 Download PDF

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Abstract

ヒトアルファ−シヌクレインに対するモノクローナル抗体、およびパーキンソン病の処置におけるその抗体の使用を記載する。この抗体は、ヒトα−シヌクレインに特異的に結合する。本明細書に提供される抗体は、免疫グロブリン分子、例えばIgG抗体、ならびに抗体断片およびシングルドメイン(VH)抗体を含む。さらに、α−シヌクレインに結合する、例えば特異的に結合する抗体を含む組成物、これらの抗体をコードする核酸分子、核酸分子を含む発現ベクター、および核酸分子を発現する単離された宿主細胞が提供される。

Description

分野
本開示は、α−シヌクレインに対して特異的なモノクローナル抗体、例えばシングルドメインモノクローナル抗体に関する。本開示はさらに、パーキンソン病の検出および処置のためなどのそのような抗体の使用に関する。
背景
アルファ−シヌクレインは、ヒト脳に豊富に存在するタンパク質である。少量が心臓、筋肉、および他の組織に見出される。脳では、アルファ−シヌクレインは主に、神経細胞(ニューロン)の先端のシナプス前終末と呼ばれる特殊な構造において見出される。これらの構造において、アルファ−シヌクレインは、リン脂質およびタンパク質と相互作用する。シナプス前終末は、シナプス小胞としても知られる区画から、神経伝達物質と呼ばれる化学伝達物質を放出する。神経伝達物質の放出は、ニューロン間のシグナルを中継し、通常の脳の機能にとって極めて重要である。
アルファ−シヌクレインの機能は、十分には理解されていないが、研究により、シナプス小胞を集合させることによってシナプス前終末におけるシナプス小胞の供給の維持に役割を果たすことが示唆されている。同様にこれは、随意運動および不随意運動の開始および終了を制御するために極めて重要な神経伝達物質の一種であるドーパミンの放出を調節するために役立ち得る。
ヒトアルファ−シヌクレインタンパク質は、140アミノ酸で構成され、SNCA遺伝子によってコードされる。アルツハイマー病のアミロイドの非Aベータ構成成分(NAC)としても知られるアルファ−シヌクレイン断片は、当初アミロイドに富む画分において見出され、その前駆体タンパク質であるNACPの断片であることが示された。後に、NACPは、Torpedoシヌクレインのヒト相同体であると決定された。したがって、NACPは、現在ではヒトアルファ−シヌクレインと呼ばれている。
組織発現
アルファ−シヌクレインは、脳細胞のサイトゾルにおける全てのタンパク質の1%も構成する。これは新皮質、海馬、黒質、視床、および小脳において主に発現されている。これは、主にニューロンのタンパク質であるが、神経膠細胞においても見出され得る。メラノサイト細胞では、SNCAタンパク質発現は、MITFによって調節され得る。
アルファ−シヌクレインは、哺乳動物脳のニューロンの核に広範囲に局在することが確立されており、このことは、核におけるアルファ−シヌクレインの役割を示唆している。しかし、シヌクレインは、主にシナプス前終末において遊離型または膜結合型の両方で見出され、ニューロンにおけるシヌクレインのほぼ15%は常に膜結合型である。
最近、アルファ−シヌクレインは、ニューロンのミトコンドリアに局在することが示されている。アルファ−シヌクレインは、嗅球、海馬、線条体、および視床のミトコンドリアにおいて高度に発現されており、サイトゾルアルファ−シヌクレインも同様に豊富である。しかし、大脳皮質および小脳は、2つの例外であり、これらは豊富なサイトゾルアルファ−シヌクレインを含むが、ミトコンドリアアルファ−シヌクレインの含有レベルは非常に低い。アルファ−シヌクレインは、ミトコンドリアの内膜に局在すること、およびミトコンドリア呼吸鎖の複合体I活性に及ぼすアルファ−シヌクレインの阻害効果が用量依存的であることが示されている。このため、ミトコンドリアにおけるアルファ−シヌクレインは、脳の異なる領域において異なるように発現されること、およびミトコンドリアアルファ−シヌクレインのバックグラウンドレベルは、ミトコンドリア機能に影響を及ぼし、一部のニューロンを変性させやすくする潜在的要因であり得ることが示唆されている。
シヌクレインの少なくとも3つのアイソフォームが選択的スプライシングを通して産生されている。このタンパク質の主要な型であり、最も研究されている1つは、140アミノ酸の完全長タンパク質である。他のアイソフォームは、エクソン3の欠失により残基41〜54を欠如するアルファ−シヌクレイン−126、およびエクソン5の欠失により残基103〜130を欠如するアルファ−シヌクレイン−112である。
臨床での重要性
アルファ−シヌクレインは、レビー小体によって特徴付けられる病態、例えばパーキンソン病、レビー小体を有する認知症、および多系統萎縮症において、凝集して不溶性の原線維を形成する。これらの障害は、シヌクレイノパチーとしても知られている。アルファ−シヌクレインは、レビー小体原線維の主要な構造構成成分である。時に、レビー小体はタウタンパク質を含む。しかし、アルファ−シヌクレインおよびタウは、同じ封入体の中で2つの別個のサブセットのフィラメントを構成する。アルファ−シヌクレインの病理学はまた、散発性および家族性両方のアルツハイマー病の症例においても見出される。
アルファ−シヌクレインの凝集機構は不明である。凝集の前駆体および最終的にレビー小体であり得るベータ構造に富む構造中間体の証拠が存在する。2008年の単分子研究から、アルファ−シヌクレインが、平衡時に、非構造化アルファヘリックスとベータシートに富む配座異性体の混合物として存在することが示唆されている。凝集を改善することが知られている変異または緩衝液条件は、ベータ配座異性体の集団を強く増加させることから、これが、病的な凝集に関連するコンフォメーションであり得ることを示唆している。シヌクレイノパチーを処置する戦略には、アルファ−シヌクレインの凝集を阻害する化合物がある。低分子クミンアルデヒドは、アルファ−シヌクレインの原線維化を阻害することが示されている。エプスタイン−バーウイルスは、これらの障害に関係している。
家族性型パーキンソン病のまれな症例では、アルファ−シヌクレインをコードする遺伝子に変異が存在する。これまでに5点変異:A53T、A30P、E46K、H50Q、およびG51Dが同定されている。遺伝子のゲノム重複および三重複は、点突然変異より一般的であるが、他の系列ではパーキンソン病の原因としてはまれであるように思われる。よって、アルファ−シヌクレインのある特定の変異が、パーキンソン病に寄与するアミロイド様原線維を形成させ得る。
アルファ−シヌクレインタンパク質のある特定の部分は、タウオパチーにおいて役割を果たし得る。
要旨
本明細書において、α−シヌクレイン特異的抗体を開示する。抗体は、ヒトα−シヌクレインに特異的に結合する。本明細書に提供される抗体は、免疫グロブリン分子、例えばIgG抗体、ならびに抗体断片およびシングルドメイン(VH)抗体を含む。さらに、α−シヌクレインに結合する、例えば特異的に結合する抗体を含む組成物、これらの抗体をコードする核酸分子、核酸分子を含む発現ベクター、および核酸分子を発現する単離された宿主細胞が提供される。同様に、本明細書に開示される抗体と、エフェクター分子とを含む免疫コンジュゲートも提供される。抗体を含む融合タンパク質、例えばヒトFcを含む融合タンパク質も同様に提供される。
本明細書に提供される抗体および組成物は、多様な目的のため、例えばシヌクレイノパチーと呼ばれる、レビー小体によって特徴付けられる病態の診断を確認するために使用することができる。一般的なシヌクレイノパチーには、パーキンソン病、レビー小体を有する認知症、および多系統萎縮症が挙げられる。このように、本明細書において、パーキンソン病と診断された対象からの試料を、α−シヌクレインに結合するモノクローナル抗体と接触させるステップ、および試料に対する抗体の結合を検出するステップによって、対象におけるシヌクレイノパチーの診断を確認する方法が提供される。対照試料に対する抗体の結合と比較したとき、試料に対する抗体の結合の増加が、診断を確認する。一部の実施形態では、方法は、α−シヌクレイン特異的抗体を特異的に認識する二次抗体を試料と接触させるステップ、および二次抗体の結合を検出するステップをさらに含む。
同様に、本明細書において、対象におけるα−シヌクレインの凝集によって特徴付けられる障害を検出する方法が提供される。方法は、対象からの試料を、本明細書に記載されるモノクローナル抗体と接触させるステップ、および試料に対する抗体の結合を検出するステップを含む。対照試料と比較したとき、試料に対する抗体の結合の増加が、対象におけるα−シヌクレインの凝集を検出する。一部の実施形態では、方法は、α−シヌクレイン特異的抗体を特異的に認識する二次抗体を試料と接触させるステップ、および二次抗体の結合を検出するステップをさらに含む。
さらに、シヌクレイノパチーと呼ばれる、レビー小体によって特徴付けられる病態を有する対象を処置する方法が提供される。方法は、シヌクレイノパチーを有する対象を選択するステップ、およびα−シヌクレインに対して特異的なモノクローナル抗体、もしくは免疫コンジュゲート、融合タンパク質、または抗体を含む組成物の治療有効量を、対象に投与するステップを含む。
本発明の前述および他の目的、特色、および利点は、添付の図面を参照して進行する以下の詳細な説明からより明らかとなる。
図1は、α−シヌクレインアミノ酸配列(ヒトおよびマウス)を示し、C末端のアミノ酸位置133〜138に対応するヘキサペプチドYQDYEPを示す。
詳細な説明
I.略語
CAR:キメラ抗原受容体
CDC:補体依存性細胞傷害
cDNA:相補的DNA
CDR:相補性決定領域
CTL:細胞傷害性Tリンパ球
ELISA:酵素結合免疫吸着測定法
EM:エフェクター分子
FACS:蛍光活性化細胞選別
GPI:グリコシルホスファチジルイノシトール
hFc:ヒトFc
HRP:西洋ワサビペルオキシダーゼ
Ig:免疫グロブリン
i.v.:静脈内
:解離定数
LDH:乳酸デヒドロゲナーゼ
mAb:モノクローナル抗体
MAC:膜侵襲複合体
NHS:正常ヒト血清
PBMC:末梢血単核球
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応
PE:Pseudomonasエキソトキシン
PE:フィコエリスリン
Pfu:プラーク形成単位
RIPA:放射免疫沈降法
VH:可変重鎖
VL:可変軽鎖
II.用語および方法
特に説明していない限り、本明細書において使用する全ての科学技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。単数形の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」は、文脈が明らかにそれ以外であることを示していない限り、複数形を含む。「AまたはBを含む」は、A、もしくはB、またはAおよびBを含むことを意味する。さらに、核酸またはポリペプチドに関して与えられる全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、および全ての分子量または分子質量の値は概算であり、説明のために提供されると理解すべきである。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等の方法および材料を、本開示の実践または試験において使用することができるが、適した方法および材料を以下に記載する。本明細書において言及する全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合は、用語の説明を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明するためであり、制限的でないことが意図される。
分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes V、出版元Oxford University Press、1994年(ISBN 0−19−854287−9);Kendrewら(編)、The Encyclopedia of Molecular Biology、出版元Blackwell Science Ltd.、1994年(ISBN 0−632−02182−9);およびRobert A. Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference、出版元VCH Publishers, Inc.、1995年(ISBN 1−56081−569−8)において見出され得る。
本開示の様々な実施形態の再検討を容易にするために、特定の用語に関する以下の説明を提供する。
抗体:抗原、例えばα−シヌクレインまたはその断片のエピトープを認識して結合する(例えば特異的に認識して特異的に結合する)少なくとも軽鎖または重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンド。免疫グロブリン分子は、その各々が可変重鎖(V)領域および可変軽鎖(V)領域と呼ばれる可変領域を有する、重鎖および軽鎖で構成される。V領域およびV領域は共に、抗体によって認識される抗原の結合に関与する。
抗体には、インタクトの免疫グロブリン、ならびに当技術分野で周知の抗体のバリアントおよび抗体の一部、例えばシングルドメイン抗体(例えば、VHドメイン抗体)、Fab断片、Fab’断片、F(ab)’断片、一本鎖Fvタンパク質(「scFv」)、およびジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)が挙げられる。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域と免疫グロブリンの重鎖可変領域とがリンカーによって結合した融合タンパク質であるが、dsFvでは、鎖の会合を安定化させるためにジスルフィド結合を導入するように鎖が変異している。用語「抗体」はまた、遺伝子改変型、例えばキメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)およびヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二特異性抗体)を含む。同様に、Pierce Catalog and Handbook、1994〜1995年(Pierce Chemical Co.、Rockford、Ill.);Kuby, J.、Immunology、第3版、W. H. Freeman & Co.、New York、1997年も参照されたい。
典型的に、天然に存在する免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互接続された重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。軽鎖には2つのタイプ、すなわちラムダ(λ)およびカッパ(κ)が存在する。重鎖には、抗体分子の機能的活性を決定する5つの主要なクラス(またはアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEが存在する。
各々の重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域(領域はまた「ドメイン」としても知られる)を含む。重鎖および軽鎖可変領域が組み合わさって、抗原に特異的に結合する。軽鎖および重鎖可変領域は、「フレームワーク」領域を含み、これらの間に「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域が存在する。フレームワーク領域およびCDRの程度は、Kabatら(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、U.S. Department of Health and Human Services、1991年を参照されたい)およびImMunoGeneTicsデータベース(IMGT)(Lefranc、Nucleic Acids Res、29巻:207〜9頁、2001年を参照されたい)に従って定義されている。IMGTおよびKabatデータベースは、オンラインで入手可能である。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種の中で、例えばヒトにおいて比較的保存されている。構成要素の軽鎖および重鎖の組み合わせたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、三次元空間においてCDRを配置および整列させるために役立つ。
CDRは、抗原のエピトープとの結合に主に関与する。各々の鎖のCDRは、N末端から開始して順に番号を付け、典型的にCDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれ、特定のCDRが位置する鎖によってしばしば同定される。このように、VCDR3(またはH−CDR3)は、それが見出される抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、一方VCDR1(またはL−CDR1)は、それが見出される抗体の軽鎖の可変ドメインからのCDR1である。例えばα−シヌクレインに結合する抗体は、特異的V領域およびV領域配列を有し、このように特異的CDR配列を有する。異なる特異性を有する抗体(すなわち、異なる抗原の異なる組合せ部位)は、異なるCDRを有する。CDRは抗体ごとに異なるが、抗原結合に直接関係しているのは、CDR内のごく限定的な数のアミノ酸位置である。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。
「V」または「VH」という言及は、Fv、scFv、dsFv、またはFabの可変領域を含む、免疫グロブリン重鎖の可変領域を指す。「V」または「VL」という言及は、Fv、scFv、dsFv、またはFabの可変領域を含む、免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指す。
「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンによって産生された、または単一の抗体の軽鎖および/または重鎖遺伝子がトランスフェクトされている細胞によって産生された抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法、例えば骨髄腫細胞と免疫脾細胞との融合体からハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって産生される。モノクローナル抗体は、ヒト化モノクローナル抗体を含む。
「キメラ抗体」は、しばしば異なる動物種由来の2つまたはそれより多くの異なる抗体分子からの構造要素を含む。例えば、キメラ抗体は、1つの種、例えばヒト由来のフレームワーク残基と、別の種、例えばα−シヌクレインに特異的に結合するマウス抗体由来のCDR(一般的に抗原結合を付与する)とを有し得る。
「ヒト」抗体(「完全なヒト」抗体とも呼ばれる)は、ヒトフレームワーク領域と、ヒト免疫グロブリン由来の全てのCDRとを含む抗体である。一例として、フレームワークおよびCDRは、同じ起源のヒト重鎖および/または軽鎖アミノ酸配列に由来する。しかし、1つのヒト抗体由来のフレームワークを、異なるヒト抗体由来のCDRを含むように改変することができる。「ヒト化」免疫グロブリンは、ヒトフレームワーク領域と、非ヒト(例えばマウス、ウサギ、ラット、または合成)免疫グロブリン由来の1つまたは複数のCDRとを含む免疫グロブリンである。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンを、「ドナー」と呼び、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンを、「アクセプター」と呼ぶ。一実施形態では、ヒト化免疫グロブリンでは、全てのCDRがドナー免疫グロブリンに由来する。定常領域が存在する必要はないが、存在する場合、それらはヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一、すなわち少なくとも約85〜90%同一、例えば約95%またはそれより多く同一でなければならない。したがって、おそらくCDRを除くヒト化免疫グロブリンの全ての部分は、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。「ヒト化抗体」は、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖免疫グロブリンを含む抗体である。ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同じ抗原に結合する。ヒト化免疫グロブリンまたは抗体のアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークから得たアミノ酸による限定数の置換を有し得る。ヒト化または他のモノクローナル抗体は、抗原結合または他の免疫グロブリン機能に対して実質的に効果を有しないさらなる保存的アミノ酸置換を有し得る。ヒト化免疫グロブリンは、遺伝子改変によって構築することができる(例えば、米国特許第5,585,089号を参照されたい)。
「シングルドメイン抗体」(sdAb)または「ナノボディ」は、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片である。抗体全体と同様に、これは特異的抗原に選択的に結合することができる。分子量はわずか12〜15kDaであり、ナノボディは、2つの重タンパク質鎖および2つの軽鎖で構成される一般的な抗体(150〜160kDa)よりかなり小さく、Fab断片(約50kDa、1つの軽鎖と重鎖の半分)、および一本鎖可変断片(約25kDa、2つの可変ドメイン、軽鎖からの1つのドメインと重鎖からの1つのドメイン)よりなお小さい。小さいサイズおよびシングルドメインであることにより、ナノボディは、大量産生のために細菌細胞により容易に形質転換することができ、それらは研究目的にとって理想的となる。ナノボディは、ヒトコブラクダ、ラクダ、ラマ、アルパカ、またはサメを所望の抗原によって免疫し、その後重鎖抗体をコードするmRNAを単離することによって得ることができる。逆転写およびポリメラーゼ連鎖反応によって、数百万個のクローンを含むナノボディの遺伝子ライブラリが産生される。ファージディスプレイおよびリボソームディスプレイのようなスクリーニング技術は、抗原に結合するクローンを同定するために役立つ。
異なる方法は、予め免疫されていない動物からの遺伝子ライブラリを使用する。そのようなナイーブライブラリは通常、所望の抗原に対して低い親和性を有する抗体のみを含み、それらはさらなるステップとしてランダム変異誘発による親和性成熟を適用する必要がある。
最も強力なクローンが同定された場合、例えば、酵素に対するその安定性を改善するために、そのDNA配列を最適化する。別の目標は、抗体に対するヒト生物の免疫学的反応を予防するためのヒト化である。ヒト化は、ラクダVHHとヒトVH断片との間の相同性のために容易である。最終ステップは、E.coli、S.cerevisiae、または他の適した生物における最適化したナノボディの翻訳である。
あるいは、ナノボディを、4つの鎖を有する一般的なマウスまたはヒトIgGから作製することができる。プロセスは類似であり、免疫したまたはナイーブドナーからの遺伝子ライブラリおよび最も特異的な抗原を同定するためのディスプレイ技術を含む。単量体化は、通常、親油性アミノ酸を親水性アミノ酸に置き換えることによって行われる。ナノボディは同様に、E.coli、S.cerevisiae、または他の生物においても産生することができる。
「イントラボディ」は、細胞内で作用して細胞内タンパク質に結合する抗体である。抗体を細胞外環境から生きている細胞へともたらすための信頼できる機構がないために、これは典型的に、標的細胞内での抗体の発現を必要とし、これは遺伝子治療によって行うことができる。その結果、イントラボディは、細胞内局在化するように改変されている抗体として定義される。例えば、抗体は、細胞質内に留まってもよく、または核局在化シグナルを有してもよく、またはそれがKDEL配列を通してその区画に保持されていることを条件に、膜を越えて小胞体の内腔への共翻訳輸送を受けてもよい。
抗体は通常、細胞から分泌されるように設計されることから、イントラボディはしばしば、一本鎖抗体(scFv)の使用、超安定性のために免疫グロブリンVLドメインの修飾、より還元性の細胞内環境に対して抵抗性の抗体の選択、またはマルトース結合タンパク質もしくは他の安定な細胞内タンパク質との融合タンパク質としての発現を含む、特別な変更を必要とする。そのような最適化は、イントラボディの安定性および構造を改善し得る。
結合親和性:抗原に対する抗体の親和性。一実施形態では、親和性は、Frankelら(Mol. Immunol.、16巻:101〜106頁、1979年)によって記載されるスキャッチャード法の変更によって計算される。別の実施形態では、結合親和性は、抗原/抗体解離速度によって測定される。別の実施形態では、高い結合親和性は、競合ラジオイムノアッセイによって測定される。別の実施形態では、結合親和性は、ELISAによって測定される。抗原(例えば、α−シヌクレイン)に「特異的に結合する」抗体は、その抗原に高い親和性で結合するが、他の無関係な抗原には有意に結合しない抗体である。
保存的バリアント:「保存的」アミノ酸置換は、α−シヌクレインに対する抗体などの、タンパク質の親和性に実質的に影響を及ぼさないまたは減少させない置換である。例えば、α−シヌクレインに特異的に結合するモノクローナル抗体は、最大約1個、最大約2個、最大約5個、最大約10個、または最大約15個の保存的置換を含むことができ、α−シヌクレインポリペプチドに特異的に結合することができる。用語「保存的バリアント」はまた、抗体がα−シヌクレインに特異的に結合する限り、非置換の親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸の使用も含む。非保存的置換は、α−シヌクレインに対する活性または結合を低減させる置換である。
機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的アミノ酸置換表は、当業者に周知である。以下の6つの群は、互いに保存的置換であると考えられるアミノ酸の例である:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
相補性決定領域(CDR):ネイティブIg結合部位の天然のFv領域の結合親和性および特異性を共に定義するアミノ酸配列。Igの軽鎖および重鎖は各々がそれぞれ、L−CDR1、L−CDR2、L−CDR3およびH−CDR1、H−CDR2、H−CDR3と呼ばれる3つのCDRを有する。
縮重バリアント:本開示の文脈において、「縮重バリアント」は、遺伝子コードの結果として縮重している配列を含む、α−シヌクレインポリペプチドまたはα−シヌクレインに結合する抗体をコードするポリヌクレオチドを指す。20種の天然アミノ酸が存在し、そのほとんどが1つより多くのコドンによって指定されている。したがって、α−シヌクレインポリペプチドまたはヌクレオチド配列によってコードされるα−シヌクレインに結合する抗体のアミノ酸配列が不変である限り、全ての縮重ヌクレオチド配列が含まれる。
レビー小体を有する認知症:これはレビー小体型認知症(LBD)、びまん性レビー小体病、皮質性レビー小体病、およびレビー型老人性認知症としても知られる。高齢の成人が主に罹患するパーキンソン病に密接に関連する一種の進行性神経変性認知症である。その主な特色は、パーキンソン病より急激な認知力の低下であり、これによって幻覚ならびに人のベースライン機能と比較した場合に注意力および用心深さの散漫が起こり得る。
LBDを有する人は、計画できないこと、または分析的もしくは抽象的思考の欠如を示し、顕著に変動する認知を示す。覚醒状態は、日ごとに異なり、用心深さおよび短期記憶は上下する。多くの場合、鮮明かつ詳細な想像を伴う持続性または再発性の幻視が早期診断症状である。障害は、ニューロンにおけるレビー小体の存在、アルファ−シヌクレインおよびユビキチンタンパク質の集塊によって解剖学的に特徴付けられ、これらは死後の脳組織学において検出可能である。
診断:パーキンソン病などの、しかしこれらに限定されない病態の存在または性質の同定。診断方法は、その感度および特異性が異なる。診断アッセイの「感度」は、試験陽性である疾患を有する個体の百分率(真の陽性の百分率)である。診断アッセイの「特異性」は、1マイナス偽陽性率であり、偽陽性率は、試験陽性であるが疾患を有しない人の割合として定義される。特定の診断方法は、状態の確定診断を提供しない場合があるが、方法が診断を助ける陽性の指標を提供すれば十分である。「予後」は、がんまたは転移などの病態が発生する確率(例えば、重症度)である。
エフェクター分子:キメラ分子が標的化される細胞に対して所望の効果を有すると意図されるキメラ分子の一部。エフェクター分子はまた、エフェクター部分(EM)、治療剤、診断剤、または類似の用語としても知られる。
治療剤には、核酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸もしくは誘導体、糖タンパク質、放射性同位体、脂質、炭水化物などの化合物、または組換えウイルスが挙げられる。核酸治療部分および診断部分には、アンチセンス核酸、一本鎖または二本鎖DNAと共有結合により架橋するための誘導体化オリゴヌクレオチド、および三本鎖形成オリゴヌクレオチドが挙げられる。あるいは、標的化部分に連結した分子、例えば抗α−シヌクレイン抗体は、薬物、核酸(例えば、アンチセンス核酸)、または循環系への直接曝露から防御され得る別の治療部分などの治療組成物を含むカプセル化系、例えばリポソームまたはミセルであり得る。抗体に結合したリポソームを調製する手段は、当業者に周知である(例えば、米国特許第4,957,735号;およびConnorら、Pharm Ther、28巻:341〜365頁、1985年を参照されたい)。診断剤または診断部分は、放射性同位体および他の検出可能な標識を含む。そのような目的にとって有用な検出可能な標識もまた、当技術分野で周知であり、これには、放射活性同位体、例えば35S、11C、13N、15O、18F、19F、99mTc、131I、H、14C、15N、90Y、99Tc、111In、および125I、フルオロフォア、化学発光剤、ならびに酵素が挙げられる。
エピトープ:抗原性決定因子。これらは、抗原性である、すなわち特定の免疫応答を誘発する、分子上の特定の化学基またはペプチド配列である。抗体は、α−シヌクレインなどのポリペプチド上の特定の抗原性エピトープに特異的に結合する。
フレームワーク領域:CDRの間に介在するアミノ酸配列。フレームワーク領域は、可変軽鎖および可変重鎖フレームワーク領域を含む。フレームワーク領域は、抗原結合のためにCDRを適切な配向に保持する役割を有する。
宿主細胞:ベクターを繁殖させて、そのDNAを発現させることができる細胞。細胞は原核細胞または真核細胞であり得る。この用語はまた、対象の宿主細胞の任意の子孫を含む。全ての子孫は、複製の際に起こる変異が存在し得ることから、親細胞と同一ではない可能性があると理解されたい。しかし、そのような子孫は、用語「宿主細胞」を使用する場合に含まれる。
ハイブリドーマ:モノクローナル抗体を産生するためのハイブリッド細胞。ハイブリドーマは、抗体産生細胞(例えば、免疫した動物、例えばマウス、ラット、またはウサギから得たB細胞)と骨髄腫細胞との融合によって産生される。
免疫応答:B細胞、T細胞、または単球などの免疫系の細胞の刺激に対する応答。一実施形態では、応答は特定の抗原に対して特異的である(「抗原特異的応答」)。一実施形態では、免疫応答はT細胞応答、例えばCD4応答またはCD8応答である。別の実施形態では、応答はB細胞応答であり、それによって特異的抗体の産生が起こる。
免疫コンジュゲート:抗体またはその機能的断片に対するエフェクター分子の共有結合による連結。エフェクター分子は、例えば検出可能な標識であり得る。「キメラ分子」は、エフェクター分子にコンジュゲートした(カップリングした)標的化部分、例えばリガンドまたは抗体である。用語「コンジュゲートした」または「連結した」は、2つのポリペプチドを1つの連続するポリペプチド分子に作製することを指す。一実施形態では、抗体は、エフェクター分子に接合する。別の実施形態では、エフェクター分子に接合した抗体を、体内でのその半減期を増加させるために、脂質、または他の分子、タンパク質、またはペプチドにさらに接合させる。連結は、化学または組換え手段のいずれかによって行うことができる。一実施形態では、連結は化学的連結であり、抗体部分とエフェクター分子との間の反応によって、2つの分子間で共有結合が形成されて産生され、1つの分子を形成する。ペプチドリンカー(短いペプチド配列)を、任意選択で抗体とエフェクター分子との間に含めることができる。免疫コンジュゲートは、当初、抗体およびエフェクター分子などの異なる官能基を有する2つの分子から調製されたことから、それらはまた、時に「キメラ分子」と呼ばれる。したがって、本明細書で使用される場合の用語「キメラ分子」は、エフェクター分子にコンジュゲートされた(カップリングされた)標的化部分、例えばリガンドまたは抗体を指す。
単離された:「単離された」生物学的構成成分、例えば核酸、タンパク質(抗体を含む)、またはオルガネラは、構成成分が天然に存在する環境(例えば、細胞)中の他の生物学的構成成分、すなわち、他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、タンパク質、およびオルガネラから実質的に分離または精製されている。「単離」されている核酸およびタンパク質は、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質を含む。この用語はまた、宿主細胞における組換え発現によって調製された核酸およびタンパク質ならびに化学合成された核酸も包含する。
標識:抗体またはタンパク質などの別の分子の検出を促進するために、その分子に直接または間接的にコンジュゲートした検出可能な化合物または組成物。標識の特定の非制限的な例には、蛍光タグ、酵素結合、および放射活性同位体が挙げられる。一例では、「標識抗体」は、抗体への別の分子の取り込みを指す。例えば、標識は、検出可能なマーカー、例えば放射標識したアミノ酸の取り込み、またはマーク付けしたアビジンによって検出することができるビオチン化部分のポリペプチドとの結合(例えば、光学的または比色方法によって検出することができる蛍光マーカーまたは酵素活性を含むストレプトアビジン)である。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する様々な方法が当技術分野で公知であり、使用してもよい。ポリペプチドの標識の例には、以下:放射性同位体または放射性ヌクレオチド(radionucleotides)(35S、11C、13N、15O、18F、19F、99mTc、131I、H、14C、15N、90Y、99Tc、111In、および125Iとして)、蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、第2のレポーターによって認識される既定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、または磁性剤、例えばガドリニウムキレートが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、標識は、起こり得る立体障害を低減させるために、様々な長さのスペーサーアームによって結合される。
リンカー:一部の例では、リンカーは、可変重鎖を可変軽鎖に間接的に結合させるために役立つ抗体結合断片(例えば、Fv断片)内のペプチドである。「リンカー」はまた、抗体などの標的化部分をエフェクター分子、例えば細胞毒素または検出可能な標識に連結するために役立つペプチドも指し得る。
用語「コンジュゲートする」、「接合する」、「結合する」または「連結する」は、2つのポリペプチドを、1つの連続するポリペプチド分子に作製すること、または放射性核種または他の分子をポリペプチド、例えばscFvに共有結合させることを指す。特定の文脈では、用語は、リガンド、例えば抗体部分をエフェクター分子に接合させるという言及を含む。連結は、化学的または組換え手段のいずれかによって行うことができる。「化学的手段」は、2つの分子間で共有結合が形成されて1つの分子を形成する、抗体部分とエフェクター分子との間の反応を指す。
哺乳動物:この用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、用語「対象」は、ヒトおよび獣医学対象の両方を含む。
多系統萎縮症(MSA):主に黒質、線条体、自律神経系、および小脳における神経変性によって特徴付けられる障害の群を表す変性性神経障害。多くの患者は、小脳性運動失調の症状および兆候ならびにパーキンソン病様の症候を有する。線条体黒質変性を有する患者の半数より多くが、起立性低血圧を有し、これは剖検時に中間質外側角細胞(シナプス前コリン作動***感神経ニューロンの起源)の喪失および脳幹の色素含有核の喪失に関連することが証明されている。
このように組み合わさったパーキンソン病と自律神経障害は、シャイ・ドレーガー症候群と呼ばれる。起立性低血圧に加えて、自律神経不全の他の特色には、無能力、無汗症、口の渇き、ならびに尿の貯留および失禁が挙げられる。声帯麻痺はこの障害の重要な、時に初期の臨床症候である。
MRIおよびCTスキャンはいずれも、これらの小脳特色を有する患者において小脳および橋の萎縮をしばしば示している。被殻は、T2強調MRIにおいて低吸収域であり、パーキンソン型の鉄の沈着の増加を示し得る。小脳型では、「橋十字」サインが強調されており、これは、萎縮した橋におけるT2信号強度として現れる橋小脳(pontocereballar)線維の萎縮を反映している。
MSAはしばしば、パーキンソン病と同じ症状の一部を呈する。しかし、MSAを有する患者は一般的に、パーキンソン病に関して使用されるドーパミン薬に対して、あるとしてもわずかな応答しか示さない。
多系統萎縮症は、中枢神経系の損傷領域における細胞の喪失および神経膠症、または星細胞の増殖として説明することができる。この損傷は、瘢痕を形成し、これは神経膠瘢痕と呼ばれる。脳の運動中枢、平衡覚中枢、および自律神経制御中枢にこれらの封入体(パップ・ラントス体としても知られる)が存在することは、MSAの明確な組織病理学的特徴である。最近の研究から、神経膠およびニューロンの細胞質封入体の主要なフィラメント様構成成分がα−シヌクレインであることが示されている。この物質の変異は、疾患において役割を果たし得る。タウタンパク質は、一部のGCIにおいて見出されている。
作動可能に連結した:第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的関係で配置されている場合、第1の核酸配列は第2の核酸配列に作動可能に連結している。例として、CMVプロモーターなどのプロモーターは、プロモーターが、コード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結している。一般的に、作動可能に連結したDNA配列は連続しており、2つのタンパク質コード領域を接合させる必要がある場合には、同じ読み取り枠に存在する。
パーキンソン病:パーキンソン病は、運動系に主に影響を及ぼす中枢神経系の長期障害である。症状は一般的に、時間と共に徐々に現れる。疾患の早期では、最も顕著な症状は振戦、筋固縮、動作緩慢、および歩行困難である。思考および行動上の問題も起こり得る。認知症は、疾患の進行期では一般的となる。抑うつおよび不安もまた、PDを有する人の3分の1より多くで起こって一般的である。他の症状には、感覚、睡眠、および感情の問題が挙げられる。主な運動症状は、集合的に「パーキンソニズム」または「パーキンソン様症候群」と呼ばれる。
パーキンソン病の原因は、遺伝的および環境的要因の両方が関係すると考えられている。家族が罹患している患者は、自身も疾患に罹る可能性がより高い。同様に、ある特定の殺虫剤に曝露された人および過去に頭部損傷を受けたことがある人でもリスクが増加している。疾患の運動症状は、中脳領域にある黒質の細胞死に起因する。これによって、これらの領域においてドーパミンが十分ではなくなる。このような細胞死の理由は、ニューロンにおいてタンパク質がレビー小体へと構築されることに関係する。典型的な症例の診断は、主に症状に基づき、神経イメージングなどの検査は他の疾患を除外するために使用される。
パーキンソン病は治癒しない。初期の処置は典型的に、抗パーキンソン病薬であるレボドパによるが、レボドパが有効でなくなるとドーパミンアゴニストを使用する。疾患が進行し、ニューロンが失われ続けると、これらの薬は有効でなくなり、同時に不随意のもがくような動きによって示される合併症を生じる。深部脳刺激のために微小電極を留置する手術は、薬物が無効である重度の症例において運動症状を低減させるために使用されている。
医薬薬剤:対象または細胞に適切に投与した場合に、所望の治療または予防効果を誘導することができる化学化合物または組成物。
薬学的に許容される担体:使用される薬学的に許容される担体は、通常である。Remington's Pharmaceutical Sciences、E. W. Martin著、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、第15版、1975年は、本明細書に開示される抗体の医薬送達にとって適した組成物および製剤を記載している。
一般的に、担体の性質は、使用される特定の投与様式に依存する。例として、非経口製剤は通常、媒体として薬学的および生理学的に許容される流体、例えば水、生理食塩水、平衡塩類溶液、デキストロース水溶液、グリセロール、またはその他を含む注射可能な流体を含む。固体組成物(例えば散剤、丸剤、錠剤、またはカプセル剤の形態)の場合、通常の非毒性の固体担体は、例えば医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムを含み得る。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、微量の非毒性の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、保存剤、およびpH緩衝剤、およびその他など、例えば酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタンを含み得る。
疾患を予防する、処置する、または改善する:疾患を「予防する」とは、疾患の完全な発生を阻害することを指す。「処置する」は、疾患または病態が発症し始めた後にその兆候または症状を改善する治療介入を指す。「改善する」は、疾患の兆候または症状の数または重症度の低減を指す。
精製した:用語「精製した」は、絶対的な純度を必要とするのではなく、むしろ相対的な用語であると意図される。このため、例えば、精製されたペプチド調製物は、ペプチドまたはタンパク質が、細胞内のその天然の環境に存在する場合よりペプチドまたはタンパク質が濃縮されている調製物である。一実施形態では、調製物は、タンパク質またはペプチドが、調製物の総ペプチドまたはタンパク質含有量の少なくとも50%を表すように精製される。実質的な精製は、他のタンパク質または細胞構成成分からの精製を表す。実質的に精製されたタンパク質は、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または98%純粋である。このように、1つの特定の非制限的な例では、実質的に精製されたタンパク質は、他のタンパク質または細胞構成成分を90%含まない。
組換え体:組換え核酸は、天然に存在しない配列を有する、またはそうでなければ分離されている配列の2つのセグメントの人為的な組合せによって作製される配列を有する核酸である。この人為的な組合せはしばしば、化学合成によって、または例えば遺伝子工学技術による核酸の単離されたセグメントの人為的操作によって達成される。
試料(または生物試料):対象から得た、ゲノムDNA、RNA(mRNAを含む)、タンパク質、またはその組合せを含む生物学的標本。例には、末梢血、組織、細胞、尿、唾液、組織生検、細針吸引液、外科標本、および剖検材料が挙げられるがこれらに限定されない。
配列同一性:アミノ酸または核酸配列間の類似性は、配列間の類似性に関して表記され、それ以外では配列同一性と呼ばれる。配列同一性はしばしば、同一性百分率(または類似性または相同性)に関して測定される。百分率がより高ければ、2つの配列はより類似である。ポリペプチドまたは核酸分子の相同体またはバリアントは、標準的な方法を使用して整列させた場合に比較的高い程度の配列同一性を有する。
比較のために配列を整列させる方法は、当技術分野で周知である。様々なプログラムおよびアライメントアルゴリズムが、SmithおよびWaterman(1981年)Adv. Appl. Math.、2巻:482頁;NeedlemanおよびWunsch(1970年)J. Mol. Biol.、48巻:443頁;PearsonおよびLipman(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、85巻:2444頁;HigginsおよびSharp(1988年)Gene、73巻:237頁;HigginsおよびSharp(1989年)CABIOS、5巻:151頁;Corpetら(1988年)Nucleic Acids Research、16巻:10881頁;ならびにPearsonおよびLipman(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、85巻:2444頁に記載されている。Altschulら(1994年)Nature Genet.、6巻:119頁は、配列アライメント方法および相同性計算のための詳細な検討を紹介している。
NCBI基本ローカルアライメント検索ツール(BLAST)(Altschulら(1990年)J. Mol. Biol.、215巻:403頁)は、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、およびtblastxに関連して使用するために、米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI、Bethesda、Md.)およびインターネット上を含むいくつかの起源から入手可能である。このプログラムを使用して配列同一性を決定する方法の記述はインターネット上のNCBIウェブサイトで利用可能である。
α−シヌクレインまたはその断片に特異的に結合する抗体のVまたはVの相同体およびバリアントは、典型的に、デフォルトパラメーターに設定したNCBI Blast 2.0、gapped blastpを使用して抗体のアミノ酸配列との完全長のアライメントに対して計数した場合に、少なくとも約75%、例えば少なくとも約80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有することによって特徴付けられる。約30アミノ酸より大きいアミノ酸配列の比較の場合、Blast2配列関数を使用して、デフォルトパラメーター(ギャップ存在コスト11、および残基あたりのギャップコスト1)に設定したデフォルトのBLOSUM62行列を使用する。短いペプチド(約30アミノ酸未満)を整列させる場合、アライメントは、Blast2配列関数を使用し、デフォルトパラメーター(ギャップ開始ペナルティ9、ギャップ伸長ペナルティ1)に設定したPAM30行列を使用して行うべきである。参照配列とさらにより大きい類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価した場合に、増加した同一性百分率、例えば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を示す。完全より短い配列を配列同一性に関して比較する場合、相同体およびバリアントは典型的に、10〜20アミノ酸の短いウィンドウにわたって少なくとも80%の配列同一性を有し、参照配列とのその類似性に応じて少なくとも85%または少なくとも90%または95%の配列同一性を有し得る。そのような短いウィンドウに対して配列同一性を決定する方法は、インターネット上のNCBIウェブサイトで利用可能である。当業者は、これらの配列同一性の範囲が単なる指針として提供され、非常に有意な相同体が、提供される範囲外で得られる可能性が十分にあることを認識する。
対象:ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含む、ヒトおよび獣医学対象の両方を含むカテゴリーである、生きている多細胞脊椎生物。
合成:研究室で人為的手段によって産生されたもの、例えばハイブリドーマ技術によって産生した、またはcDNA構築物から発現させたモノクローナル抗体。
シヌクレイノパチー:ニューロン、神経線維、または神経膠細胞におけるα−シヌクレインタンパク質の凝集体の異常な蓄積によって特徴付けられる神経変性疾患。シヌクレイノパチーには3つの主な型が存在する:パーキンソン病、レビー小体を有する認知症、および多系統萎縮症。他のまれな障害、例えば様々な神経軸索ジストロフィーも同様に、α−シヌクレインの病理学を有する。
治療有効量:処置される対象において所望の効果を達成するために十分な特定の物質の量。例として、これは腫瘍の成長の阻害または抑制にとって必要な量であり得る。一実施形態では、治療有効量は、腫瘍の除去、サイズの低減、または転移の予防にとって必要な量である。対象に投与される場合、所望のin vitro効果を達成することが示されている標的組織濃度(例えば、腫瘍内で)を達成する投与量が一般的に使用される。
ベクター:それによって形質転換宿主細胞を産生する、宿主細胞に導入された核酸分子。ベクターは、複製開始点などの、宿主細胞においてそれを複製させることができる核酸配列を含み得る。ベクターはまた、1つまたは複数の選択可能マーカー遺伝子および当技術分野で公知の他の遺伝的要素も含み得る。
III.α−シヌクレイン特異的モノクローナル抗体
本明細書では、ウサギ抗α−シヌクレインフィラメント抗体であるMJFR−14−6−4−2抗体を開示する。この抗体は、α−シヌクレインアミノ酸配列上の6つのアミノ酸C末端コンセンサスモチーフに対して特異的である。
抗体の相補性決定領域(CDR)のシークエンシングにより、抗原と直接/物理的に相互作用する可変ドメイン内の抗体の特異的アミノ酸残基が同定される。抗体の可変領域は、CDRと、強度および抗原結合親和性を付与する界面フレームワーク(FRM)アミノ酸残基を含む重鎖および軽鎖(V(H)/V(L)と指定される)を有する。IgG血清型抗体は、2つの可変領域を有し、その各々が3つの潜在的CDRを有し、全体で潜在的に6CDRとなり、これらは集合的に抗体がその抗原を認識する特異性を付与する。このことから、以下の命名法が定義される。
CDR1、CDR2、CDR3=相補性決定領域1、2、3等。これらは、必ずしも抗体タンパク質の直線状の配列表示で連続的に指定される必要はない(以下に詳述する)。
FRM1、2、3=フレームワーク1、2、3領域(FRM1はCDR1と会合し、FRM2はCDR2と会合する等である)。
抗体は成熟して、増加した親和性でその抗原を繰り返し認識することから、CDRは、高度に可変であり、抗原との特異的な物理的相互作用(典型的な鍵と鍵穴機構)を増加させるのはその変化である。FRMもまた、可変領域に存在するが、それらはCDRと比較したとき、より適応性が低い。FRMは、それ自体繰り返し変化しないが、それらは、抗原に遭遇した場合にCDRを最大限に空間的に近接させ、このように、抗原上の特異的標的と物理的に接触することができるようにヒンジのように動く/構造的にシフトする(個々のアミノ酸生化学特徴によって決定した場合に)ことによって、抗体:抗原界面に影響を及ぼす。
重要なことに、CDR/FRM「対」は、直線状のアミノ酸配列において近接していなくてもよい(そのため、それらは直線状の配列データでは整列していない)が、それらは抗体タンパク質がその三次構造に折り畳まれると空間的に近接する。このことはまた、所定のCDR/FRM対がアミノ酸残基の数に関して必ずしも「マッチ」しない理由である。CDRは、FRMと同様にそのアミノ酸数が互いに変化することができ、CDR/FRM対における残基の数はしばしば、同じ数のアミノ酸残基を有しない。
抗体配列
重鎖のアミノ酸配列(配列番号1)
Figure 2020511963
重鎖をコードするDNA配列(配列番号2)
Figure 2020511963
Figure 2020511963
重鎖FRM1のアミノ酸配列(配列番号3):
Figure 2020511963
重鎖CDR1のアミノ酸配列(配列番号4):
Figure 2020511963
重鎖FRM2のアミノ酸配列(配列番号5):
Figure 2020511963
重鎖CDR2のアミノ酸配列(配列番号6):
Figure 2020511963
重鎖FRM3のアミノ酸配列(配列番号7):
Figure 2020511963
重鎖CDR3のアミノ酸配列(配列番号8):
Figure 2020511963
重鎖FRM4のアミノ酸配列(配列番号9)
Figure 2020511963
軽鎖のアミノ酸配列(配列番号10):
Figure 2020511963
軽鎖をコードするDNA配列(配列番号11)
Figure 2020511963
軽鎖FRM1のアミノ酸配列(配列番号12)
Figure 2020511963
軽鎖CDR1のアミノ酸配列(配列番号13):
Figure 2020511963
軽鎖FRM2のアミノ酸配列(配列番号14):
Figure 2020511963
軽鎖CDR2のアミノ酸配列(配列番号15):
Figure 2020511963
軽鎖FRM3のアミノ酸配列(配列番号16):
Figure 2020511963
軽鎖CDR3のアミノ酸配列(配列番号17):
Figure 2020511963
軽鎖FRM4のアミノ酸配列(配列番号18):
Figure 2020511963
一部の実施形態では、α−シヌクレインに結合する、例えば特異的に結合するモノクローナル抗体は、シングルドメイン抗体である。
一部の実施形態では、α−シヌクレインに結合する、例えば特異的に結合するモノクローナル抗体は、Fab断片、Fab’断片、F(ab)’断片、一本鎖可変断片(scFv)、またはジスルフィド安定化可変断片(dsFv)である。他の実施形態では、抗体は、免疫グロブリン分子である。特定の例では、抗体はIgGである。
一部の実施形態では、モノクローナル抗体は、キメラまたは合成である。
一部の実施形態では、開示される抗体は、高いpm(約50〜100)から低いnmの範囲の解離定数(K)でα−シヌクレイン(可溶性または細胞表面α−シヌクレイン)に結合する。一実施形態では、モノクローナル抗体は、約30pMの結合親和性でα−シヌクレインに結合する。
本明細書に開示されるモノクローナル抗体は、例えば蛍光、酵素、または放射活性標識によって標識することができる。
同様に、本明細書に開示される抗体、および異種タンパク質を含む融合タンパク質も提供される。一部の例では、異種タンパク質は、Fcタンパク質である。1つの非制限的な例では、Fcタンパク質は、ヒトFcタンパク質、例えばヒトIgGγ1 Fcである。
本明細書において、開示される抗体、免疫コンジュゲート、または融合タンパク質の治療有効量と、薬学的に許容される担体とを含む組成物もさらに提供される。
同様に、本明細書に開示されるモノクローナル抗体、免疫コンジュゲート、および融合タンパク質をコードする単離された核酸分子も本明細書において提供される。一部の例では、単離された核酸分子はプロモーターに作動可能に連結される。
同様に、本明細書に開示される単離された核酸分子を含む発現ベクターも提供される。核酸分子またはベクターを含む単離された宿主細胞もまた、本明細書に提供される。
V.抗体および抗体断片
本明細書に開示されるモノクローナル抗体は、任意のアイソタイプの抗体であり得る。モノクローナル抗体は、例えばIgMまたはIgG抗体、例えばIgGまたはIgGであり得る。α−シヌクレインに特異的に結合する抗体のクラスを、周知の手順に従って、別のクラスにスイッチすることができる(例えば、IgGをIgMにスイッチすることができる)。クラススイッチはまた、1つのIgGサブクラスを別のサブクラスに、例えばIgGからIgGに変換するために使用することができる。
抗体断片、例えばシングルドメイン抗体(例えば、VHドメイン抗体)、Fab、F(ab’)、およびFvも同様に、本開示に包含される。これらの抗体断片は、抗原との選択的結合能を保持している。これらの断片には:
(1)Fab、抗体分子の一価の抗原結合断片を含む断片は、抗体全体を酵素パパインによって消化することによって産生され、インタクトの軽鎖と1つの重鎖の一部とを生じる;
(2)Fab’、抗体分子の断片は、抗体全体をペプシンによって処置した後、還元し、インタクトの軽鎖と重鎖の一部とを生じることによって得ることができる;抗体分子あたり2つのFab’断片が得られる;
(3)(Fab’)、抗体全体を酵素ペプシンによって処置した後に還元を行わないことによって得ることができる抗体の断片;F(ab’)は、2つのジスルフィド結合によって結合される2つのFab’断片の二量体である;
(4)Fv、2つの鎖として発現された軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域とを含む遺伝子改変断片;
(5)一本鎖抗体(例えば、scFv)、適したポリペプチドリンカーによって遺伝子融合した一本鎖分子として連結された、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む遺伝子操作された分子;
(6)一本鎖抗体の二量体(scFV)、scFVの二量体として定義される(「ミニ抗体」としても知られる);および
(7)VHシングルドメイン抗体、重鎖可変ドメインからなる抗体断片
が挙げられる。
これらの断片を作製する方法は当技術分野で公知である(例えば、HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1988年を参照されたい)。
一部の例では、抗体断片は、抗体のタンパク質加水分解によって、または断片をコードするDNAの宿主細胞(例えば、E.coli)における発現によって調製することができる。抗体断片は、通常の方法による抗体全体のペプシンまたはパパイン消化によって得ることができる。例えば、抗体断片は、抗体をペプシンによって酵素的に切断し、F(ab’)と表される5S断片を提供することによって産生することができる。この断片をチオール還元剤、および任意選択でジスルフィド結合の切断に起因するスルフヒドリル基のブロッキング基を使用してさらに切断し、3.5S Fab’一価断片を産生することができる。あるいは、ペプシンを使用する酵素的切断は、2つの一価Fab’断片およびFc断片を直接産生する(米国特許第4,036,945号および米国特許第4,331,647号を参照されたい)。
断片がインタクト抗体によって認識される抗原に結合する限り、抗体を切断する他の方法、例えば重鎖を分離して一価の軽鎖−重鎖断片を形成すること、断片のさらなる切断、または他の酵素的、化学的、もしくは遺伝子技術も同様に使用してもよい。
当業者は、抗体の保存的バリアントを産生できることを理解するであろう。抗体断片、例えばdsFv断片またはscFv断片において使用されるそのような保存的バリアントは、VとV領域の間の正確なフォールディングおよび安定化にとって必要な極めて重要なアミノ酸残基を保持し、分子の低いpIおよび低い毒性を保持するために残基の電荷特徴を保持するであろう。収率を増加させるために、アミノ酸置換(例えば、最大1個、最大2個、最大3個、最大4個、または最大5個のアミノ酸置換)を、Vおよび/またはV領域に行うことができる。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的アミノ酸置換表は、当業者に周知である。以下の6つの群は、互いに保存的置換であると考えられるアミノ酸の例である:1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
VI.免疫コンジュゲートおよび融合タンパク質
α−シヌクレインに対して特異的な開示されるモノクローナル抗体を、治療剤、またはエフェクター分子にコンジュゲートすることができる。免疫コンジュゲートには、治療剤と抗体との共有結合による連結が存在する分子が挙げられるがこれらに限定されない。治療剤は、特定の標的分子または標的分子を有する細胞に対して特定の生物活性を有する薬剤である。当業者は、治療剤が様々な薬物、それ自身が薬理学的組成物を含むカプセル化剤(例えば、リポソーム)、放射活性剤、例えば125I、32P、14C、H、および35S、ならびに他の標識、標的部分、およびリガンドを含み得ることを認識するであろう。特定の治療剤の選択は、特定の標的分子または細胞、および所望の生物作用に依存する。
本明細書に記載される治療剤および抗体に関して、当業者は、機能的に同等の核酸、例えば配列が異なるが同じエフェクター部分または抗体配列をコードする核酸を含む多様なクローンを容易に構築することができる。このように、本開示は、抗体、およびコンジュゲート、およびその融合タンパク質をコードする核酸を提供する。
エフェクター分子を、当業者に公知の任意の数の手段を使用して目的の抗体に連結させることができる。共有結合および共有結合でない手段の両方を使用してもよい。エフェクター分子を抗体に結合させる手順は、エフェクターの化学構造に従って変化する。ポリペプチドは、典型的に多様な官能基;例えばカルボン酸(−COOH)、遊離のアミン(−NH)、またはスルフヒドリル(−SH)基を含み、これらは抗体上の適した官能基との反応に利用可能であり、それによってエフェクター分子の結合がもたらされる。あるいは、抗体を誘導体化してさらに反応性の官能基を露出または結合する。誘導体化は、任意の数の公知のリンカー分子の結合を伴い得る。リンカーは、抗体をエフェクター分子に接合するために使用される任意の分子であり得る。リンカーは、抗体およびエフェクター分子の両方に対して共有結合を形成することができる。適したリンカーは当業者に周知であり、これには、直鎖または分岐鎖炭素リンカー、複素環炭素リンカー、またはペプチドリンカーが挙げられるがこれらに限定されない。抗体およびエフェクター分子がポリペプチドである場合、リンカーをその側基を通して構成要素アミノ酸に(例えば、ジスルフィド結合を通してシステインに)、または末端アミノ酸のアルファ炭素アミノ基およびカルボキシル基に接合してもよい。
一部の状況では、免疫コンジュゲートがその標的部位に到達すると、抗体からエフェクター分子を遊離させることが望ましい。したがって、これらの状況では、免疫コンジュゲートは、標的部位の付近で切断可能である連結を含む。抗体からエフェクター分子を放出させるためのリンカーの切断は、標的細胞内または標的部位付近のいずれかで免疫コンジュゲートが供される酵素活性または条件によって促進され得る。
多様な放射性診断化合物、放射性治療化合物、標識(例えば、酵素または蛍光分子)、薬物、毒素、および他の薬剤を抗体に結合させるために報告されている多数の方法を考慮して、当業者は、所定の薬剤を抗体または他のポリペプチドに結合させるために適した方法を決定することができるであろう。
本明細書に開示される抗体または抗体断片は、別の分子(例えば別のペプチドまたはタンパク質)に誘導体化または連結することができる。一部の例では、抗体または抗体断片(例えばVHドメイン)を、異種タンパク質、例えばFcタンパク質に融合させる。
一般的に、抗体またはその一部は、標的抗原に対する結合が、誘導体化または標識によって有害に影響を受けないように誘導体化される。例えば、抗体を、1つまたは複数の他の分子実体、例えば別の抗体(例えば、二特異性抗体または二重特異性抗体)、検出剤、医薬薬剤、および/または抗体もしくは抗体の一部と別の分子(例えば、ストレプトアビジンコア領域またはポリヒスチジンタグ)との会合を媒介することができるタンパク質もしくはペプチドに機能的に連結させる(化学カップリング、遺伝子融合、共有結合によらない会合またはその他によって)ことができる。
1つのタイプの誘導体化抗体は、2つまたはそれより多くの抗体(同じタイプまたは異なるタイプの抗体、例えば二特異性抗体を作製するため)を架橋させることによって産生される。適した架橋剤には、適切なスペーサー(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)によって隔てられた2つの別個の反応基を有するヘテロ二官能性であるか、またはホモ二官能性(例えばスベリン酸ジスクシンイミジル)である架橋剤が挙げられる。そのようなリンカーは、市販されている。
α−シヌクレインまたはその断片に結合する(例えば、特異的に結合する)抗体を、検出可能な部分によって標識することができる。有用な検出剤には、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリスリン、ランタニド蛍光体、およびその他を含む蛍光化合物が挙げられる。生物発光マーカー、例えばルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)も同様に有用である。抗体はまた、検出のために有用な酵素、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、およびその他によって標識することもできる。抗体を検出可能な酵素によって標識する場合、識別することができる反応産物を産生するために、その酵素が使用する追加の試薬を添加することによって、抗体を検出することができる。例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼが存在する薬剤の場合、過酸化水素およびジアミノベンジジンの添加によって、視覚的に検出可能である着色反応産物が得られる。抗体はまた、ビオチンによって標識してもよく、アビジンまたはストレプトアビジンの結合の間接的測定を通して検出してもよい。アビジンそのものを酵素または蛍光標識によって標識することができることに注目すべきである。
抗体を磁性剤、例えばガドリニウムによって標識してもよい。抗体はまた、ランタニド(例えば、ユーロピウムおよびジスプロシウム)およびマンガンによって標識することもできる。超常磁性酸化鉄などの常磁性粒子も同様に標識として有用である。抗体はまた、二次レポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)によって認識される既定のポリペプチドエピトープによって標識してもよい。一部の実施形態では、起こり得る立体障害を低減させるために、標識を様々な長さのスペーサーアームによって結合する。
抗体はまた、放射標識アミノ酸によって標識することもできる。放射標識を診断および治療目的の両方のために使用してもよい。例として放射標識を、X線、発光スペクトル、または他の診断技術によってα−シヌクレインを検出するために使用してもよい。ポリペプチドの標識の例には、以下の放射性同位体または放射性ヌクレオチド:H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131Iが挙げられるがこれらに限定されない。
抗体はまた、化学基、例えばポリエチレングリコール(PEG)、メチルもしくはエチル基、または炭水化物基によっても誘導体化することができる。これらの基は、抗体の生物学的特徴を改善するため、例えば血清中半減期を増加させるため、または組織結合を増加させるために有用であり得る。
本明細書に記載される抗体はまた、任意の数の異なる診断または治療化合物を、その表面上にα−シヌクレインを発現する細胞に標的化するために使用することもできる。このように、本開示の抗体を、細胞表面α−シヌクレインを発現する細胞に直接送達すべき薬物に直接、またはリンカーを介して結合させることができる。これは、治療、診断、または研究目的のために行うことができる。治療剤には、核酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、もしくは誘導体、糖タンパク質、放射性同位体、脂質、炭水化物などの化合物、または組換えウイルスが挙げられる。核酸治療部分および診断部分には、アンチセンス核酸、一本鎖または二本鎖DNAとの共有結合により架橋するための誘導体化オリゴヌクレオチド、および三本鎖形成オリゴヌクレオチドが挙げられる。
あるいは、抗α−シヌクレイン抗体に連結した分子は、カプセル化系、例えば治療組成物、例えば薬物、核酸(例えば、アンチセンス核酸)、または好ましくは循環系に対する直接曝露から防御される別の治療部分を含むリポソームまたはミセルであり得る。抗体に結合したリポソームを調製する手段は、当業者に周知である(例えば、米国特許第4,957,735号;Connorら、Pharm. Ther.、28巻:341〜365頁、1985年を参照されたい)。
本明細書に記載される抗体はまた、検出可能な標識に共有結合的または共有結合によらずに連結することができる。そのような使用にとって適切な検出可能な標識には、分光、光化学、生化学、免疫化学、電気、光学、または化学的手段によって検出可能な任意の組成物が挙げられる。有用な標識には、磁性ビーズ、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、およびその他)、放射標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAにおいて一般的に使用される他の酵素)、ならびに比色測定標識、例えば金コロイドまたは着色ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス、およびその他)ビーズが挙げられる。
そのような標識を検出する手段は当業者に周知である。このように、例えば放射標識を、写真フィルムまたはシンチレーションカウンターを使用して検出してもよく、蛍光マーカーを、発光を検出するために光検出器を使用して検出してもよい。酵素標識は典型的に、酵素に基質を提供するステップおよび基質上の酵素の作用によって産生された反応産物を検出するステップによって検出し、比色測定標識は単に、着色した標識を可視化することによって検出される。
VII.組成物および使用方法
α−シヌクレインに結合する(例えば、特異的に結合する)1つまたは複数の開示される抗体を担体中に含む組成物が提供される。融合タンパク質、免疫コンジュゲート、または免疫毒素を含む組成物も同様に提供される。組成物は、対象に投与するための単位投与剤形で調製することができる。投与の量および時期は、所望のアウトカムを達成するために処置する医師の裁量である。抗体は、全身または局所(例えば、脳内)投与のために製剤化することができる。一例では、抗体を、非経口投与、例えば静脈内投与のために製剤化する。
投与のための組成物は、薬学的に許容される担体、例えば水性担体に溶解した抗体の溶液を含み得る。多様な水性担体、例えば、緩衝食塩水、およびその他を使用することができる。これらの溶液は無菌的であり、一般的に望ましくない物質を含まない。これらの組成物は、通常の周知の滅菌技術によって滅菌してもよい。組成物は、生理的条件を近似するために必要な薬学的に許容される補助物質、例えばpH調整剤、および緩衝剤、毒性(toxicity)調整剤、およびその他、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、およびその他を含み得る。これらの製剤中の抗体の濃度は広く異なり得て、選択される特定の投与様式および対象の必要性に従って、主に流体の体積、粘度、体重、およびその他に基づいて選択される。
静脈内投与のための典型的な医薬組成物は、1日あたり対象あたり約0.1〜10mgの抗体を含む。特に薬剤を、循環系またはリンパ系ではなくて隔離された部位、例えば体腔または臓器の内腔に投与する場合には、1日あたり対象あたり0.1から最高約100mgの投与量を使用してもよい。投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者に公知であるか、または明らかであり、Remington's Pharmaceutical Science、第19版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.(1995年)などの刊行物により詳細に記載されている。
抗体は、公知の濃度の滅菌溶液中で提供されるが、凍結乾燥型で提供し、投与前に滅菌水によって再水和してもよい。次いで、抗体溶液を、USPの0.9%塩化ナトリウムを含む注入バッグに添加し、一部の例では、0.5〜15mg/kg体重の投与量で投与する。1997年のRITUXAN(登録商標)の承認以降、米国で販売されている抗体薬の投与に関しては当技術分野においてかなりの経験が利用できる。抗体は、静脈内急速注射またはボーラスではなくて低速注入によって投与することができる。一例では、高い負荷用量を投与した後に、より低レベルの維持用量を投与する。例えば、4mg/kgの初回負荷用量をおよそ90分間の間に注入し、先の用量が十分に忍容された場合には、その後2mg/kgを30分間の間に注入する毎週の維持用量を4〜8週間行ってもよい。
放出制御非経口製剤は、インプラント、油性注射液、または微粒子系として作製することができる。タンパク質送達系の広い概要に関しては、Banga, A. J.、Therapeutic Peptides and Proteins: Formulation, Processing, and Delivery Systems、Technomic Publishing Company, Inc.、Lancaster, Pa.、(1995年)を参照されたい。微粒子系には、マイクロスフェア、マイクロ粒子、マイクロカプセル、ナノカプセル、ナノスフェア、およびナノ粒子が挙げられる。マイクロカプセルは、中心コアとして治療タンパク質、例えば細胞毒素または薬物を含む。マイクロスフェアでは、治療剤は、粒子全体に分散している。約1μmより小さい粒子、マイクロスフェア、およびマイクロカプセルは一般的にそれぞれ、ナノ粒子、ナノスフェア、およびナノカプセルと呼ばれる。毛細管の直径はおよそ5μmであることから、ナノ粒子のみが静脈内に投与される。マイクロ粒子は典型的に直径がおよそ100μmであり、皮下または筋肉内に投与される。例えば、Kreuter, J.、Colloidal Drug Delivery Systems、J. Kreuter編、Marcel Dekker, Inc.、New York、N.Y.、219〜342頁(1994年);およびTice & Tabibi、Treatise on Controlled Drug Delivery、A. Kydonieus編、Marcel Dekker, Inc.、New York、N.Y.、315〜339頁、(1992年)を参照されたい。
本明細書に開示される抗体組成物のイオン制御放出のために、ポリマーを使用することができる。薬物の制御送達に使用するための様々な分解性および非分解性のポリマーマトリックスが当技術分野で公知である(Langer、Accounts Chem. Res.、26巻:537〜542頁、1993年)。例えば、ブロックコポリマーであるポロキサマー(polaxamer)407は、低い温度では粘性のなおも流動性の液体として存在するが、体温では半固体のゲルを形成する。これは、組換えインターロイキン−2およびウレアーゼの製剤および持続的送達のための有効な媒体であることが示されている(Johnstonら、Pharm. Res.、9巻:425〜434頁、1992年;およびPecら、J. Parent. Sci. Tech.、44巻(2号):58〜65頁、1990年)。あるいは、タンパク質の制御放出のための微小担体としてヒドロキシアパタイトが使用されている(Ijntemaら、Int. J. Pharm.、112巻:215〜224頁、1994年)。なお別の態様では、リポソームは、脂質カプセル化薬物の制御放出および薬物標的化のために使用される(Betageriら、Liposome Drug Delivery Systems、Technomic Publishing Co., Inc.、Lancaster, Pa.(1993年))。治療タンパク質の制御送達のための多数のさらなる系が公知である(米国特許第5,055,303号;米国特許第5,188,837号;米国特許第4,235,871号;米国特許第4,501,728号;米国特許第4,837,028号;米国特許第4,957,735号;米国特許第5,019,369号;米国特許第5,055,303号;米国特許第5,514,670号;米国特許第5,413,797号;米国特許第5,268,164号;米国特許第5,004,697号;米国特許第4,902,505号;米国特許第5,506,206号;米国特許第5,271,961号;米国特許第5,254,342号、および米国特許第5,534,496号を参照されたい)。
A.治療方法
本明細書に開示される抗体、組成物、融合タンパク質、および免疫コンジュゲートは、レビー小体の成長を遅らせるもしくは阻害するために、またはα−シヌクレインの凝集を阻害するために投与することができる。これらの応用では、抗体の治療有効量を、α−シヌクレインの凝集またはレビー小体の成長を阻害するために十分な量で対象に投与する。適した対象は、シヌクレイノパチー、例えばパーキンソン病、レビー小体を有する認知症、または多系統萎縮症と診断されている対象を含み得る。
1つの非制限的な実施形態では、本明細書において、シヌクレイノパチーを有する対象を選択するステップ、および本明細書に開示される抗体、組成物、融合タンパク質、または免疫コンジュゲートの治療有効量を対象に投与するステップによって、シヌクレイノパチーを有する対象を処置する方法が提供される。
同様に、本明細書において、シヌクレイノパチーを有する対象を選択するステップ、および本明細書に開示される抗体、組成物、融合タンパク質、または免疫コンジュゲートの治療有効量を対象に投与するステップによって、α−シヌクレインの凝集を阻害する方法が提供される。
α−シヌクレイン特異的抗体、融合タンパク質、組成物、または免疫コンジュゲートの治療有効量は、疾患の重症度および患者の全身健康状態に依存する。抗体の治療有効量は、症状(複数可)の主観的軽減、または臨床医もしくは他の適任の観察者によって認められる客観的に特定可能な改善のいずれかを提供する量である。
B.診断および検出方法
本明細書において、in vitroまたはin vivoでα−シヌクレインの発現を検出する方法が提供される。一部の例では、α−シヌクレイン発現は、生物試料中で検出される。試料は、生検、剖検、および病理標本からの組織を含むがこれらに限定されない任意の試料であり得る。生物試料はまた、組織切片、例えば組織学目的のために採取した凍結切片も含む。生物試料はさらに、体液、例えば血液、血清、血漿、喀痰、脊髄液、または尿を含む。生物試料は典型的には、哺乳動物、例えばヒトまたは非ヒト霊長類から得られる。
一実施形態では、対象からの試料を、本明細書に開示されるモノクローナル抗体と接触させるステップ、および試料に対する抗体の結合を検出するステップによって、対象がシヌクレイノパチーを有するか否かを決定する方法が提供される。対照試料に対する抗体の結合と比較したとき、試料に対する抗体の結合の増加が、対象ががんを有することを同定する。
別の実施形態では、シヌクレイノパチーと診断された対象からの試料を、本明細書に開示されるモノクローナル抗体と接触させるステップ、および試料に対する抗体の結合を検出するステップによって、対象におけるシヌクレイノパチーの診断を確認する方法が提供される。対照試料に対する抗体の結合と比較したとき、試料に対する抗体の結合の増加が、対象におけるシヌクレイノパチーの診断を確認する。
開示される方法の一部の例では、モノクローナル抗体は、直接標識される。一部の例では、方法は、モノクローナル抗体に特異的に結合する二次抗体を試料と接触させるステップ、および二次抗体の結合を検出するステップをさらに含む。対照試料に対する二次抗体の結合と比較したとき、試料に対する二次抗体の結合の増加が、対象におけるがんが検出されるか、または対象におけるシヌクレイノパチーの診断が確認される。
一部の例では、シヌクレイノパチーは、パーキンソン病、レビー小体を有する認知症、多系統萎縮症、またはα−シヌクレインを発現する他の任意のタイプのシヌクレイノパチーである。
一部の例では、対照試料は、シヌクレイノパチーを有しない対象からの試料である。特定の例では、試料は血液または組織試料である。
一部の例では、α−シヌクレインに結合する(例えば、特異的に結合する)抗体は、検出可能な標識によって直接標識される。別の実施形態では、α−シヌクレイン(一次抗体)に結合する(例えば、特異的に結合する)抗体は非標識であり、α−シヌクレインに特異的に結合する抗体に結合することができる二次抗体または他の分子は標識されている。当業者に周知であるように、一次抗体の特定の種およびクラスに特異的に結合することができる二次抗体を選択する。例えば、一次抗体がヒトIgGである場合、二次抗体は抗ヒトIgGであり得る。抗体に結合することができる他の分子には、いずれも市販されているプロテインAおよびプロテインGが挙げられるがこれらに限定されない。
抗体または二次抗体の適した標識は上記の通りであり、様々な酵素、補欠分子団、蛍光材料、発光材料、磁性剤、および放射活性材料が挙げられる。適した酵素の非制限的な例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。適した補欠分子団複合体の非制限的な例には、ストレプトアビジン/ビオチン、およびアビジン/ビオチンが挙げられる。適した蛍光材料の非制限的な例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリスリンが挙げられる。非制限的な例示的な発光材料は、ルミノールであり、非制限的な例示的な磁性剤は、ガドリニウムであり、および非制限的な例示的な放射活性標識には、125I、131I、35S、またはHが挙げられる。
代替の実施形態では、検出可能な物質によって標識したα−シヌクレイン標準物質およびα−シヌクレインに特異的に結合する非標識抗体を利用する競合イムノアッセイによって、α−シヌクレインを生物試料中でアッセイすることができる。このアッセイでは、生物試料、標識したα−シヌクレイン標準物質、およびα−シヌクレインに特異的に結合する抗体を組み合わせて、非標識抗体に結合した標識α−シヌクレイン標準物質の量を決定する。生物試料中のα−シヌクレインの量は、α−シヌクレインに特異的に結合する抗体に結合した標識α−シヌクレイン標準物質の量と反比例する。
本明細書に開示されるイムノアッセイおよび方法は、多数の目的のために使用することができる。一実施形態では、α−シヌクレインに特異的に結合する抗体を使用して、細胞培養中の細胞におけるα−シヌクレインの産生を検出してもよい。別の実施形態では、抗体を使用して、生物試料、例えば組織試料または血液もしくは血清試料中のα−シヌクレインの量を検出することができる。一部の例では、α−シヌクレインは、可溶性のα−シヌクレイン(例えば、細胞培養上清中のα−シヌクレインまたは体液試料中、例えば血液もしくは血清試料中の可溶性α−シヌクレイン)である。
一実施形態では、生物試料、例えば血液試料または組織試料中のα−シヌクレインを検出するためのキットが提供される。例えば、対象における診断を確認するため、生検を行って、組織学検査のための組織試料を得ることができる。あるいは、血液試料を得て、可溶性のα−シヌクレインタンパク質または断片の存在を検出することができる。ポリペプチドを検出するためのキットは典型的に、α−シヌクレインに特異的に結合するモノクローナル抗体、例えば本明細書に開示される抗体のいずれかを含む。一部の実施形態では、抗体断片、例えばscFv断片、VHドメイン、またはFabがキットに含まれる。さらなる実施形態では、抗体は標識されている(例えば、蛍光、放射活性、または酵素標識によって)。
一実施形態では、キットは、α−シヌクレインに結合する抗体の使用の手段を開示する説明材料を含む。説明材料は、書面、電子形態(例えば、コンピューターディスケットまたはコンパクトディスク)であり得るか、または視覚的(例えばビデオファイル)であり得る。キットはまた、キットが設計される特定の応用を容易にするためにさらなる構成成分を含んでもよい。このように、例えばキットは、標識を検出する手段(例えば、酵素標識のための酵素基質、蛍光標識を検出するためのフィルターセット、二次抗体などの適切な二次標識、またはその他)をさらに含み得る。キットはさらに、特定の方法の実践のために通常使用される緩衝液および他の試薬を含んでもよい。そのようなキットおよび適切な内容物は当業者に周知である。
一実施形態では、診断キットはイムノアッセイを含む。イムノアッセイの詳細は、使用される特定のフォーマットによって変化し得るが、生物試料中のα−シヌクレインを検出する方法は一般的に、生物試料を、免疫学的反応性の条件下でα−シヌクレインポリペプチドと特異的に反応する抗体と接触させるステップを含む。抗体を、免疫学的反応性の条件下で特異的に結合させて、免疫複合体を形成させ、免疫複合体(結合した抗体)の存在を、直接または間接的に検出する。
抗原の有無を決定する方法は当技術分野で周知である。例えば、抗体を、酵素、磁性ビーズ、コロイド状磁性ビーズ、ハプテン、蛍光色素、金属化合物、放射活性化合物、または薬物を含む他の化合物にコンジュゲートさせることができるが、これらに限定されない。抗体はまた、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ELISA、または免疫組織化学アッセイなどの、しかしこれらに限定されないイムノアッセイにおいて利用することができる。抗体はまた、蛍光活性化細胞選別(FACS)のために使用することができる。FACSは、細胞を分離または選別するために、複数のカラーチャネル、低角および鈍角の光散乱検出チャネル、ならびに他の特に高性能の検出レベルではインピーダンスチャネルを使用する(米国特許第5,061,620号を参照されたい)。本明細書に開示されるα−シヌクレインに結合するいかなるモノクローナル抗体も、これらのアッセイに使用することができる。このように、抗体を、ELISA、RIA、FACS、組織免疫組織化学、ウェスタンブロット、または免疫沈降を含むがこれらに限定されない、通常のイムノアッセイにおいて使用することができる。
以下の実施例は、ある特定の特色および/または実施形態を説明するために提供される。これらの実施例は、本開示を、記載の特定の特色または実施形態に限定すると解釈してはならない。
(実施例1)
アルファ−シヌクレインに対するウサギモノクローナル抗体MJFR14−6−4−2のPEPperMAP直線状およびコンフォメーショナルエピトープのマッピング
マイクロアレイの内容物:α−シヌクレインのタンパク質配列を、ペプチドのトランケーションを回避するためにC末端およびN末端で中性のGSGSGSGリンカーによって伸長させた。伸長した配列を14アミノ酸のペプチド間重複を有する15アミノ酸の直鎖状ペプチドに翻訳した。得られた直鎖状ペプチドのマイクロアレイは、2連でプリントした140個の異なるペプチド(280個のペプチドスポット)を含み、さらなるHA(YPYDVPDYAG)対照ペプチド(74スポット)によってフレーム化した。
コンフォメーショナルエピトープマッピングの場合、伸長した配列を、6、9、および12アミノ酸のペプチド間重複を有する7、10、および13アミノ酸のペプチドに翻訳した。ペプチド合成後、全てのペプチドを、C末端システイン側鎖チオール基と、適切に修飾したN末端との間のチオエーテル結合を介して環化した。得られたコンフォメーショナルペプチドマイクロアレイは、2連でプリントした435個の異なるペプチド(870ペプチドスポット)を含み、さらなるHA(YPYDVPDYAG)対照ペプチド(86スポット)によってフレーム化した。
試料:ウサギ抗α−シヌクレインフィラメント抗体MJFR−14−6−4−2。
洗浄緩衝液:直線状エピトープマッピングの場合は、0.05%Tween20を含むPBS、pH7.4(各アッセイ後に3×1分間)、コンフォメーショナルエピトープマッピングの場合は、0.005%Tween20を含むPBS、pH7.4(各アッセイ後、2×10秒間)。
ブロッキング緩衝液:洗浄緩衝液中のRocklandブロッキング緩衝液MB−070(第1のアッセイの30分前)。
インキュベーション緩衝液:10%ブロッキング緩衝液を有する洗浄緩衝液。
アッセイ条件:インキュベーション緩衝液中で1μg/ml、10μg/ml、および100μg/mlの抗体濃度(MJF−R13(8−8))または1:1000および1:100の希釈液(MJFR−14−6−4−2);4℃で16時間のインキュベーションおよび140rpmでの振とう。
二次抗体:ヒツジ抗ウサギIgG(H+L)DyLight680(1:5000);インキュベーション緩衝液中、RTで45分間の染色。
対照抗体:マウスモノクローナル抗HA(12CA5)DyLight800(1:2000);インキュベーション緩衝液中、RTで45分間の染色。
スキャナ:LI−COR Odysseyイメージングシステム;スキャンオフセット0.65mm、分解能21μm、スキャン強度7/7(赤色=700nm/緑色=800nm)。
結果
ウサギモノクローナル抗体MJFR−14−6−4−2の1:1000および1:100希釈液とのインキュベーション後に、二次抗体および対照抗体による染色を行って、スキャン強度7/7(赤色/緑色)で読み取った。本発明者らは、高いシグナル対ノイズ比で、ウサギモノクローナル抗体MJFR−14−6−4−2と、C末端コンセンサスモチーフYQDYEPを有する直鎖状α−シヌクレインペプチドとの明確なモノクローナル応答を観察した。
MJF−R14 aSynフィラメントコンフォメーション特異的抗体のエピトープは、ヘキサペプチド−YQDYEPにマップされ、これはC末端でのアミノ酸位置133〜138に対応する(図2、図3)。
本発明者らは、高いシグナル対ノイズ比で、ウサギモノクローナル抗体MJFR−14−6−4−2と、C末端コンセンサスモチーフDYEP、YQDYEP、およびEEGYQDYEP(図4)を有する環状の束縛されたα−シヌクレインペプチドとの明確なモノクローナル応答を観察し;ペプチドMPVDPDNEAYEに対するシグナルもまた、不均一なスポット形態を示し、マイクロアレイのアーチファクトに基づいた。
考察および結論
ウサギ抗α−シヌクレインフィラメント抗体MJFR−14−6−4−2のPEPperMAP(登録商標)直線状エピトープマッピングを、14アミノ酸のペプチド間重複でα−シヌクレインの15アミノ酸ペプチドについて実施した;対応するPEPperMAP(登録商標)コンフォメーショナルエピトープマッピングを、6、9、および12アミノ酸のペプチド間重複で7、10、および13アミノ酸の環状の束縛されたα−シヌクレインペプチドについて実施した。α−シヌクレインペプチドマイクロアレイバリアントを、インキュベーション緩衝液中で1:1000および1:100(MJFR−14−6−4−2)希釈の抗体試料と共にインキュベートした後、二次ヒツジ抗ウサギIgG(H+L)DyLight680抗体によって染色し、LI−COR Odysseyイメージングシステムによって読み取った。スポット強度の定量およびペプチドのアノテーションをPepSlide(登録商標)アナライザによって実施した。
二次抗体および対照抗体によってα−シヌクレインペプチドマイクロアレイバリアントを予め染色すると、主たるアッセイを妨害し得る抗原由来ペプチドのいかなるバックグラウンド相互作用も示さなかった。これに対し、抗体試料とのインキュベーションでは、以下の観察が認められた:
ウサギモノクローナル抗体MJFR−14−6−4−2は、直線状および環状の束縛されたα−シヌクレインの両方に関して、C末端コンセンサスモチーフYQDYEPを有するペプチドに対して明確で強いモノクローナル応答を示し、明確なコンフォメーションの関与は観察されなかった;しかし、直鎖状ペプチドAYEMPSEEGYQDYEPからYEMPSEEGYQDYEPEでスポット強度が強く減少したことは、C末端プロリンによる誘導コンフォメーションがペプチドのN末端へのプロリンのシフトによって有意に妨害されたことに対してヒントを与え、したがって観察されたドットブロット活性をおそらく説明し得る。
(実施例2)
対象におけるシヌクレイノパチーを検出するための、または対象におけるシヌクレイノパチーの診断を確認するためのα−シヌクレイン特異的モノクローナル抗体
本実施例は、対象におけるシヌクレイノパチーを検出するためのα−シヌクレイン特異的モノクローナル抗体、例えば本明細書に開示されるモノクローナル抗体の使用を記載する。本実施例はさらに、対象におけるシヌクレイノパチーの診断を確認するためにこれらの抗体の使用を記載する。
シヌクレイノパチー(例えば、パーキンソン病、レビー小体を有する認知症、または多系統萎縮症)を有すると診断されたまたは有することが疑われる患者から血液試料を得る。シヌクレイノパチーを有しない患者から採取した血液試料を対照として使用することができる。血液試料中の可溶性α−シヌクレインの存在を検出するために、ELISAを実施する。血液試料(患者の試料および対照試料)中に存在するタンパク質を、当技術分野で周知の方法(例えば、Robinsonら、Lancet、362巻:1612〜1616頁、2003年を参照されたい)に従って固相支持体、例えば96ウェルプレートに固定する。固定後、蛍光マーカーによって直接標識したα−シヌクレイン特異的モノクローナル抗体を、タンパク質固定プレートに適用する。プレートを適切な緩衝液、例えばPBS中で洗浄し、いかなる非結合抗体も除去し、抗体の非特異的結合を最小限にする。標準的な方法に従って蛍光分析プレートリーダーを使用して蛍光を検出することができる。対照試料と比較したとき、患者の試料の蛍光強度の増加が、血液試料からのタンパク質に抗α−シヌクレイン抗体が特異的に結合したことを示しており、このように試料中のα−シヌクレインタンパク質の存在を検出する。患者の試料中にα−シヌクレインタンパク質が検出されたことは、患者が、シヌクレイノパチーを有することを示しているか、または対象におけるシヌクレイノパチーの診断を確認する。
開示される本発明の原理が適用され得る多くの起こり得る実施形態を考慮して、説明した実施形態は、本発明の単なる好ましい例に過ぎないことを認識すべきであり、本発明の範囲を制限すると解釈すべきではない。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。したがって、本発明者らは、これらの特許請求の範囲の範囲および趣旨に入る全てを本発明として請求する。

Claims (23)

  1. ヒトα−シヌクレインのC末端コンセンサスモチーフYQDYEPに特異的に結合する単離されたウサギモノクローナル抗体。
  2. 前記抗体のアミノ酸配列が、配列番号1または配列番号10と少なくとも90%または少なくとも95%同一である、請求項1に記載の抗体。
  3. 前記抗体のアミノ酸配列が、配列番号2または配列番号10を含む、請求項1に記載の抗体。
  4. キメラまたは合成である、請求項1に記載の抗体。
  5. ナノボディである、請求項1に記載の抗体。
  6. 標識されている、請求項1に記載の抗体。
  7. 標識が蛍光、酵素、または放射活性標識である、請求項6に記載の抗体。
  8. 請求項1に記載の抗体と、エフェクター分子とを含む単離された免疫コンジュゲート。
  9. 請求項1に記載の抗体と、異種タンパク質とを含む融合タンパク質。
  10. 前記異種タンパク質が、ヒトFcタンパク質である、請求項9に記載の融合タンパク質。
  11. 請求項1に記載の抗体と、その担体とを含む組成物。
  12. 請求項1に記載の抗体を対象に投与するステップを含む方法。
  13. 生物試料中のα−シヌクレインを検出する方法であって、前記試料を請求項1に記載の抗体と接触させるステップと、前記試料に対する前記抗体の結合を検出するステップであって、対照試料に対する前記抗体の結合と比較したとき、前記試料に対する前記抗体の結合の変化が、前記生物試料中にα−シヌクレインを検出するステップと、を含む方法。
  14. 請求項1に記載の抗体をコードする単離された核酸分子。
  15. 前記抗体をコードするヌクレオチド配列が配列番号1または配列番号14を含む、請求項13に記載の単離された核酸分子。
  16. プロモーターに作動可能に連結された、請求項14に記載の単離された核酸分子。
  17. 請求項15に記載の単離された核酸分子を含む発現ベクター。
  18. 請求項16に記載の発現ベクターによって形質転換された単離された宿主細胞。
  19. ヒトFcタンパク質が、ヒトIgGγFcを含む、請求項8に記載の融合タンパク質。
  20. 請求項1に記載の抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)。
  21. 請求項1に記載の抗体を含む二特異性抗体。
  22. 請求項1に記載の抗体と治療剤とを含む、単離された免疫コンジュゲート。
  23. 治療剤が薬物を含む、請求項21に記載の単離された免疫コンジュゲート。
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