JP2020203886A - 腎機能障害を有するファブリー患者の治療方法 - Google Patents

腎機能障害を有するファブリー患者の治療方法 Download PDF

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Abstract

【課題】腎機能障害及び/又は高タンパク尿を有する患者のファブリー病の治療方法の提供。【解決手段】患者に約100〜約150mg遊離塩基当量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含む。特定の方法はまた、患者の腎機能の安定化、左室重量係数の低下、血漿グロボトリアオシルスフィンゴシンの減少及び/又はα−ガラクトシダーゼA活性の増加ももたらす。【選択図】図11

Description

本発明の原理及び実施形態は、概して、特に様々な程度の腎機能障害を有する患者におけるファブリー病の治療への薬理学的シャペロンの使用に関する。
多くのヒト疾患は、突然変異が引き起こすタンパク質のアミノ酸配列の変化によりタンパク質の安定性が低下し、その適切な折り畳みが妨げられ得ることに起因する。タンパク質は概して、小胞体、又はERとして知られる細胞の特異的な領域内で折り畳まれる。細胞は、概してタンパク質トラフィッキングと称されるプロセスである、タンパク質がその正しい三次元形状に折り畳まれた後にERから細胞内の適切な行き先へと移動できることを確実にする品質管理機構を有する。誤って折り畳まれたタンパク質は、当初ERに保持された後に品質管理機構によって排除されることが多い。場合によっては、誤って折り畳まれたタンパク質が排除される前にERに蓄積し得る。誤って折り畳まれたタンパク質がERに保持されていると、その適切なトラフィッキングの妨げになり、結果として生物学的活性が低下することにより細胞機能が損なわれ、最終的に疾患につながり得る。加えて、誤って折り畳まれたタンパク質がERに蓄積すると、細胞に各種のストレスがかかることになる可能性もあり、これもまた細胞機能不全及び疾患の一因となり得る。
かかる突然変異は、リソソーム酵素をコードする遺伝子の突然変異に起因するリソソーム酵素の欠損を特徴とするリソソーム蓄積障害(LSD)につながり得る。結果として生じる疾患が、脂質、炭水化物、及び多糖類を含めたこの酵素の基質の病的蓄積を引き起こす。それぞれのLSDに関連して多くの異なる突然変異遺伝子型が存在するが、これらの突然変異の多くは、安定性の低い酵素の産生につながり得るミスセンス突然変異である。こうした安定性の低い酵素は、時にER関連分解経路によって早まって分解される。その結果、リソソームに酵素欠損が起こり、基質が病的に蓄積する。かかる突然変異酵素は、時に関連技術分野において「フォールディング突然変異体」又は「コンホメーション突然変異体」と称される。
ファブリー病は、酵素α−ガラクトシダーゼA(α−Gal A)をコードするGLA遺伝子の突然変異によって引き起こされるLSDである。α−Gal Aはスフィンゴ糖脂質代謝に必要である。この突然変異は様々な組織及び器官において基質グロボトリアオシルセラミド(GL−3)の蓄積を引き起こす。疾患遺伝子はX染色体にコードされるため、ファブリー病の男性はヘミ接合体である。ファブリー病は40,000人及び60,000人に1人の男性に発症すると推定され、女性では発生頻度が低い。
ファブリー病の治療手法は幾つか存在している。ファブリー病の治療に承認されている一つの療法は酵素補充療法(ERT)であり、これは典型的には精製された形態の対応する野生型タンパク質の静脈内注入を伴う。ファブリー病の治療には、現在2つのα−Gal A製剤:アガルシダーゼアルファ(Replagal(登録商標)、Shire Human Genetic Therapies)及びアガルシダーゼベータ(Fabrazyme(登録商標);Sanofi Genzyme Corporation)が利用可能である。しかしながら、ERTには幾つかの欠点がある。ERTが複雑化する主な要因の一つは、注入されたタンパク質の急速な分解であり、これは何回もの高額な費用のかかる高用量注入につながる。ERTには更に注意しておくべき点が幾つかあり、例えば、適切に折り畳まれたタンパク質の大規模な産生、精製、及び貯蔵が困難;グリコシル化された天然タンパク質の入手;抗タンパク質免疫応答の発生;及びタンパク質が血液脳関門を通過できず、中枢神経系の病変を軽減できないこと(即ち、低いバイオアベイラビリティ)などである。加えて、補充酵素は、ファブリー病変に顕著にみられる腎タコ足細胞又は心筋細胞における基質蓄積を減少させるのに十分な量を心臓又は腎臓に浸透させることができない。
ある種の酵素欠損についての別の治療手法は、小分子阻害薬を使用して欠損酵素タンパク質の天然基質の産生を抑え、それにより病変を軽減することを伴う。この「基質抑制」手法は、特にスフィンゴ糖脂質貯蔵障害を含む約40のLSDのクラスについて記載されている。療法として使用が提案されている小分子阻害薬は、糖脂質の合成に関わる酵素の阻害に特異的であり、欠損酵素によって分解される必要のある細胞性糖脂質の量を減少させる。
3つ目のファブリー病治療手法は、薬理学的シャペロン(PC)と呼ばれるものによる治療となっている。かかるPCはα−Gal Aの小分子阻害薬を含み、これはα−Gal Aに結合して突然変異酵素及び対応する野生型の両方の安定性を増加させることができる。
現行の治療の一つの問題は、腎機能障害を呈する患者の治療が困難なことであり、腎機能障害はファブリー患者に極めてよく見られ、疾患と共に進行する。平均して、患者が正常な腎機能から重度腎機能障害に悪化するまでに約10〜20年かかり、一部の国では更に速い悪化の報告もある。ある推定によれば、ERTを受けているファブリー患者の約10%が中等度の腎機能障害を有し得る。ERTを受けている更に25%の男性及び5%の女性が、重度腎臓機能障害又は更には腎不全に対応する30未満の推算糸球体濾過率(eGFR)を有する。このうち約半数が重度腎臓機能障害を有し、約半数が透析を受けている。
残念ながら、腎機能障害はERT治療に関わらず進行することになる。eGFRが30の患者は2〜5年で透析が必要になるまでに増悪し得る。ERTを受けている患者の約30%が、最後にはERTの開始時期次第で透析を受けることになるか、又は腎移植が必要になる。ERTの開始が早いほど腎機能が長く保たれ得るが、ファブリー病は希少で誤診されることが多いため、ERTの開始は遅れ得る。
更に、及び上記で考察したとおり、ERTは多くの場合に基質蓄積を減少させるだけ十分に腎臓に浸透せず、そのため疾患進行中に更なる損害がもたらされる。PC治療では、腎臓は、多くの場合に薬物がいかに体から除去されるかであり、腎機能障害は薬物の薬物動態学及び/又は薬物の薬力学に影響を及ぼし得る。従って、腎機能障害を有するファブリー患者の治療がなおも必要とされている。
本発明の様々な態様は、ミガラスタットを使用した腎機能障害及び/又は高タンパク尿を有するファブリー患者の治療に関する。かかる治療は、患者の腎機能を安定化させること、左室重量係数(LVMi)を低下させること、血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso−Gb)を低下させること、及び/又はα−Gal A活性を増加させることを含み得る。
本発明の一態様は、腎機能障害を有する患者におけるファブリー病の治療方法に関し、この方法は、患者に有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)である。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度又は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は重度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者はERT経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100mg/24hr未満のタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は患者のα−Gal A活性を増強する。1つ以上の実施形態において、α−Gal A活性は白血球(WBC)α−Gal A活性である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与は患者のLVMiを低下させるのに有効である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与は患者の血漿lyso−Gbを安定化させるのに有効である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与は患者の腎機能を安定化させるのに有効である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも28日間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも12ヵ月間投与される。
本発明の別の態様は、ファブリー病と診断された且つ腎機能障害を有する患者の腎機能を安定化させるためのミガラスタットの使用に関する。様々な実施形態において、本方法は、患者に約100mg〜約150mg FBEのミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含む。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度又は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は重度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者はERT経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100mg/24hr未満のタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも28日間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも12ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、軽度又は中等度腎機能障害を有する患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、−1.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす。
1つ以上の実施形態において、軽度腎機能障害を有する患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、−1.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす。
1つ以上の実施形態において、中等度腎機能障害を有する患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、−1.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす。
本発明の別の態様は、ファブリー病と診断された且つ腎機能障害を有する患者の血漿lyso−Gbを安定化させるためのミガラスタットの使用に関する。様々な実施形態において、本方法は、患者に約100mg〜約150mg FBEのミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含む。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度又は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は重度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者はERT経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100mg/24hr未満のタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも28日間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも12ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、中等度腎機能障害を有するERT未経験患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月の投与後に少なくとも約5nmol/Lの血漿lyso−Gbの平均減少をもたらす。
本発明の別の態様は、ファブリー病と診断された且つ腎機能障害を有する患者のLVMiを低下させるためのミガラスタットの使用に関する。様々な実施形態において、本方法は、患者に約100mg〜約150mg FBEのミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含む。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度又は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は重度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者はERT経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100mg/24hr未満のタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも28日間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも12ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、中等度腎機能障害を有するERT未経験患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月の投与後に少なくとも約2g/mのLVMiの平均減少をもたらす。
1つ以上の実施形態において、中等度腎機能障害を有するERT経験患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の18ヵ月の投与後に少なくとも約2g/mのLVMiの平均減少をもたらす。
本発明の別の態様は、ファブリー病と診断された且つ腎機能障害を有する患者のWBC α−Gal A活性を増加させるためのミガラスタットの使用に関する。様々な実施形態において、本方法は、患者に約100mg〜約150mg FBEのミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含む。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度又は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は重度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者はERT経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100mg/24hr未満のタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも28日間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも12ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、中等度腎機能障害を有するERT未経験患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月の投与後に少なくとも約1 4MU/hr/mgのWBC α−Gal A活性の平均増加をもたらす。
1つ以上の実施形態において、中等度腎機能障害を有するERT経験患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の18ヵ月の投与後に少なくとも約1 4MU/hr/mgのWBC α−Gal A活性の平均増加をもたらす。
本発明の別の態様は、ファブリー病と診断された且つ高タンパク尿を有する患者の腎機能を安定化させるためのミガラスタットの使用に関する。様々な実施形態において、本方法は、患者に約100mg〜約150mg FBEのミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含む。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度又は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は重度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者はERT経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも28日間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも12ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、−2.0mL/min/1.73m2より大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、−5.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす。
本発明の別の態様は、高タンパク尿を有する患者におけるファブリー病の治療方法に関し、この方法は、患者に有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度又は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は軽度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は中等度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は重度腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者はERT経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、患者はミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも28日間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも12ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、−2.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する患者群への有効量のミガラスタット又はその塩の投与は、−5.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす。
以下に様々な実施形態を挙げる。以下に挙げる実施形態は、以下に挙げるとおりに限らず、本発明の範囲における他の好適な組み合わせで組み合わされてもよいことは理解されるであろう。
様々な程度の腎機能障害を有する非ファブリー患者についてのCLCRの関数としてのミガラスタット血漿濃度を示す; Bは、様々な程度の腎機能障害を有する非ファブリー患者についての投与後時間の関数としてのミガラスタット血漿濃度を示す;Cは、様々な程度の腎機能障害を有する非ファブリー患者についての曲線下面積(AUC)を示す; 中等度から重度の腎機能障害を有する患者についての時間の関数としてのミガラスタット濃度を示す; 様々な程度の腎機能障害を有する非ファブリー患者についての48時間後のAUC0−∞とミガラスタット濃度との間の相関を示す; 様々な程度の腎機能障害を有する非ファブリー患者及び腎機能障害を有する2人のファブリー患者についてのeGFRMDRDの関数としての48時間後の血漿ミガラスタット濃度を示す; 様々な程度の腎機能障害を有する非ファブリー患者及び腎機能障害を有する2人のファブリー患者についての血漿AUC0−∞を示す; それぞれ、正常、重度、軽度及び中等度腎機能障害対象についての時間に対するシミュレーション上のミガラスタット濃度中央値及び実測値を示す; 正常、軽度、中等度及び重度腎機能障害対象についての、それぞれ、シミュレーション上のCmax、AUC、Cmin及びC48を示す; それぞれ、正常、重度、軽度及び中等度腎機能障害対象についてのQODの定常状態予測を示す; 正常、軽度、中等度及び重度腎機能障害対象についての、それぞれ、Cmax、AUC、Cmin及びC48を示す; ファブリー患者におけるミガラスタットの使用について調べる2つの試験の試験デザインを示す; ファブリー患者におけるミガラスタットの使用について調べる2つの試験の試験デザインを示す; 正常腎機能並びに軽度及び中等度腎機能障害を有するミガラスタット療法を受けているファブリー患者についてのeGFRCKD−EPI年間変化率を示す; 正常腎機能及び腎機能障害を有するミガラスタット療法及びERTを受けているファブリー患者についての、それぞれeGFRCKD−EPI及びmGFRイオヘキソールの年間変化率を示す; 正常腎機能並びに軽度及び中等度腎機能障害を有するミガラスタット療法及びERTを受けているファブリー患者についてのeGFRCKD−EPIの年間変化率を示す; ヒト野生型GLA遺伝子の完全DNA配列(配列番号1)を示す;及び 野生型GLAタンパク質(配列番号2)を示す。
本発明の幾つかの例示的実施形態を説明する前に、本発明が以下の説明に示される構築又は方法ステップの詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、及び様々な方法で実施されること又は実行されることが可能である。
意外にも、ミガラスタット療法が、軽度及び中等度腎機能障害を有するファブリー患者の腎機能を安定化させ、LVMiを低下させ、血漿lyso−Gbを低下させ、及びWBC α−Gal A活性を増加させることが発見された。従って、本発明の様々な態様は、腎機能障害を有するファブリー患者のための特定のミガラスタット投与レジメンに関する。ミガラスタットは、ファブリー病の治療に使用される薬理学的シャペロンである。この薬理学的シャペロンは、通常は腎臓によって体から除去される。しかしながら、腎機能障害(ファブリー患者によく見られる問題)を有する患者は体からミガラスタットを除去できないことがあり、ファブリー病及び腎機能障害の両方を有する患者がミガラスタット療法にどのように応答し得るかは、これまで分かっていなかった。薬理学的シャペロンはまた阻害薬でもあるため、ミガラスタットなどの薬理学的シャペロンは酵素増強及び阻害効果の均衡をとることが極めて難しい。更に、ファブリー病と腎機能との間の複雑な相互作用、及び薬理学的シャペロンの役割に関する知識不足に起因して、腎機能障害を有するファブリー患者に対するミガラスタットの用量設定は、有効な臨床データ及び/又はコンピュータモデリングなしには確認するのが難しい。
従って、本発明の態様は、ミガラスタット又はその塩を使用して患者の腎機能を安定化させ、LVMiを低下させ、血漿lyso−Gbを低下させ、及び/又はα−Gal A活性を増加させるなどすることにより、腎機能障害及び/又は高タンパク尿を有するファブリー患者を治療する方法に関する。
1つ以上の実施形態において、本方法は、患者に約100mg〜約150mg FBEのミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含む。患者は軽度、中等度又は重度腎機能障害を有し得る。1つ以上の実施形態において、患者は軽度又は中等度腎機能障害を有する。具体的な実施形態において、患者は軽度腎機能障害を有する。他の具体的な実施形態において、患者は中等度腎機能障害を有する。
定義
本明細書で使用される用語は、本発明の文脈の中で、及び各用語が使用される具体的な文脈において、概して当該技術分野におけるその通常の意味を有する。本発明の組成物及び方法並びにそれをどのように作成及び使用すればよいかを説明するにおいて実施者に更なる手引きを与えるため、特定の用語を以下で、又は本明細書中の他の箇所で考察する。
用語「ファブリー病」は、リソソームα−Gal A活性欠損に起因するスフィンゴ糖脂質異化作用のX連鎖性先天異常を指す。この欠陥により、心臓、腎臓、皮膚、及び他の組織の血管内皮リソソームに基質グロボトリアオシルセラミド(「GL−3」、別名Gb又はセラミドトリヘキソシド)及び関連するスフィンゴ糖脂質の蓄積が引き起こされる。この酵素の別の基質は血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(「血漿lyso−Gb」)である。
「保因者」は、一方のX染色体が欠陥α−Gal A遺伝子を含んで一方のX染色体が正常な遺伝子を含む、且つ1つ以上の細胞型に正常な対立遺伝子のX染色体不活性化が存在する女性である。保因者は多くの場合にファブリー病と診断される。
「患者」は、特定の疾患と診断されているか、又はそれを有する疑いがある対象を指す。患者はヒト又は動物であってよい。
「ファブリー患者」は、ファブリー病と診断されているか、又はそれを有する疑いのある、以下に更に定義するとおりの突然変異型α−Gal Aを有する個体を指す。ファブリー病の特徴マーカーはヘミ接合男性及び女性保因者に同じ有病率で出現し得るが、典型的には女性の方が発症しても重症度が低い。
用語「ERT未経験患者」は、ERTを一度も受けたことがない、又はミガラスタット療法の開始前少なくとも6ヵ月間はERTを受けたことがないファブリー患者を指す。
用語「ERT経験患者」は、ミガラスタット療法の開始直前にERTを受けていたファブリー患者を指す。一部の実施形態において、ERT経験患者はミガラスタット療法の開始直前の少なくとも12ヵ月間にERTを受けた。
ヒトα−ガラクトシダーゼA(α−Gal A)は、ヒトGLA遺伝子によってコードされる酵素を指す。イントロン及びエクソンを含むα−Gal Aの完全DNA配列はGenBank受託番号X14448.1で利用可能であり、配列番号1及び図14A〜図14Eに示される。ヒトα−Gal A酵素は429アミノ酸からなり、GenBank受託番号X14448.1及びU78027.1で利用可能であり、配列番号2及び図15に示される。
用語「突然変異タンパク質」は、タンパク質をコードする遺伝子に、ERに通常存在する条件下ではそのタンパク質が安定したコンホメーションを実現できなくなるような突然変異を有するタンパク質を含む。安定したコンホメーションを実現できないと、相当量の酵素がリソソームに輸送されず、むしろ分解されることになる。かかる突然変異は時に「コンホメーション突然変異体」と呼ばれる。かかる突然変異としては、限定はされないが、ミスセンス突然変異、及びインフレーム小欠失及び挿入が挙げられる。
本明細書で一実施形態において使用されるとき、用語「突然変異α−Gal A」は、α−Gal Aをコードする遺伝子に、ERに通常存在する条件下ではその酵素が安定したコンホメーションを実現できなくなるような突然変異を有するα−Gal Aを含む。安定したコンホメーションを実現できないと、相当量の酵素がリソソームに輸送されず、むしろ分解されることになる。
本明細書で使用されるとき、用語「特異的薬理学的シャペロン」(「SPC」)又は「薬理学的シャペロン」(「PC」)は、タンパク質に特異的に結合する、且つ以下の効果のうちの1つ以上を有する:(i)タンパク質の安定した分子コンホメーションの形成を増進する;(ii)ERから別の細胞部位、好ましくは天然の細胞部位へのタンパク質のトラフィッキングを誘導し、即ちタンパク質のER関連分解を防止する;(iii)誤って折り畳まれたタンパク質の凝集を防止する;及び/又は(iv)タンパク質に少なくとも一部の野生型機能及び/又は活性を回復させる又は増強する、小分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物等を含めた任意の分子を指す。例えばα−Gal Aに特異的に結合する化合物とは、それが一般的な関連する又は無関係の酵素群でなく、その酵素に結合してシャペロン効果を及ぼすことを意味する。より具体的には、この用語は、BiPなどの内因性シャペロン、又はグリセロール、DMSO若しくは重水など、様々なタンパク質に対する非特異的シャペロン活性を実証している非特異的作用物質、即ち化学的シャペロンは指さない。本発明の1つ以上の実施形態において、PCは可逆的競合阻害薬であってもよい。
酵素の「競合阻害薬」は、酵素基質の化学構造及び分子構造に構造的に類似していて、基質とほぼ同じ位置でその酵素に結合する化合物を指し得る。従って、阻害薬は基質分子と同じ活性部位に関して競合し、ひいてはKmを増加させる。競合阻害は、通常、阻害薬に取って代わるのに十分な基質分子が利用可能であるならば可逆的であり、即ち競合阻害薬は可逆的に結合することができる。従って、酵素阻害の量は、阻害薬濃度、基質濃度、並びに活性部位に対する阻害薬及び基質の相対的親和性に依存する。
本明細書で使用されるとき、用語「特異的に結合する」は、薬理学的シャペロンとα−Gal Aなどのタンパク質との相互作用、具体的には、薬理学的シャペロンとの接触に直接関与するタンパク質中のアミノ酸残基との相互作用を指す。薬理学的シャペロンは標的タンパク質、例えばα−Gal Aに特異的に結合して、一般的な関連する又は無関係のタンパク質群でなく、そのタンパク質にシャペロン効果を及ぼす。所与の薬理学的シャペロンと相互作用するタンパク質中のアミノ酸残基は、タンパク質の「活性部位」の範囲内にあっても、又はなくてもよい。特異的結合は、ルーチンの結合アッセイによるか、又は構造研究、例えば共結晶化、NMRなどによって評価することができる。α−Gal Aの活性部位は基質結合部位である。
「α−Gal A活性欠損」は、ファブリー病又は任意の他の疾患(特に血液疾患)を有しない又はそれを有する疑いがない正常な個体の活性と(同じ方法を用いて)比較したとき正常範囲を下回る患者からの細胞のα−Gal A活性を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「α−Gal A活性を増強する」又は「α−Gal A活性を増加させる」は、α−Gal Aに特異的な薬理学的シャペロンと接触していない細胞(好ましくは同じ細胞型のもの、又は同じ細胞であって、例えばより早い時期のもの)における量と比べて、α−Gal Aに特異的な薬理学的シャペロンと接触した細胞において安定したコンホメーションをとるα−Gal Aの量を増加させることを指す。この用語はまた、そのタンパク質に特異的な薬理学的シャペロンと接触していないα−Gal Aのトラフィッキングと比べて、α−Gal Aに特異的な薬理学的シャペロンと接触した細胞においてリソソームへのα−Gal Aのトラフィッキングを増加させることも指す。これらの用語は、野生型及び突然変異体の両方のα−Gal Aを指す。一実施形態において、細胞におけるα−Gal A量の増加は、PCで処理した細胞からのライセート中の人工基質の加水分解を測定することにより測定される。加水分解の増加がα−Gal A活性の増加の指標である。
用語「α−Gal A活性」は、細胞における野生型α−Gal Aの正常な生理学的機能を指す。例えば、α−Gal A活性にはGL−3の加水分解が含まれる。
「奏効例」は、例えばファブリー病など、リソソーム蓄積障害と診断された、又はそれ有する疑いがある個体であって、その細胞がPCとの接触に応答して、それぞれ、α−Gal A活性の十分な増加、及び/又は症状の軽減又は代用マーカーの増強を呈する個体である。ファブリーの代用マーカーの増強の非限定的な例は、lyso−Gb及び米国特許出願公開第2010/0113517号明細書(本明細書によって全体として参照により援用される)に開示されるものである。
米国特許出願公開第2010/0113517号明細書に開示されるファブリー病の代用マーカーの改善の非限定的な例としては、細胞(例えば、線維芽細胞)及び組織におけるα−Gal Aレベル又は活性の増加;GL−3蓄積の減少;ホモシステイン及び血管細胞接着分子−1(VCAM−1)の血漿濃度の低下;心筋細胞及び弁線維細胞内におけるGL−3蓄積の低下;血漿lyso−Gbの減少;心肥大(特に左心室)の減少、弁閉鎖不全、及び不整脈の軽減;タンパク尿の軽減;CTH、ラクトシルセラミド、セラミドなどの脂質の尿中濃度の低下、並びにグルコシルセラミド及びスフィンゴミエリンの尿中濃度の増加;糸球体上皮細胞に層状封入体(ゼブラ小体)なし;腎機能の改善;発汗低下の緩和;被角血管腫なし;及び高周波感音難聴、進行性難聴、突発性難聴、又は耳鳴りなどの聴力異常の改善が挙げられる。神経症状の改善としては、一過性脳虚血発作(TIA)又は脳卒中の予防;及び先端感覚異常(肢端の灼熱痛又は刺痛)として現れる神経因性疼痛の軽減が挙げられる。ファブリー病を判定し得る別種の臨床マーカーは、有害心血管症状の有病率である。ファブリー病によく見られる心臓関連の徴候及び症状としては、左室肥大、弁膜症(特に僧帽弁逸脱及び/又は逆流)、早期冠動脈疾患、アンギナ、心筋梗塞、伝導異常、不整脈、うっ血性心不全が挙げられる。
本明細書で使用されるとき、語句「腎機能の安定化」及び類似の用語は、中でも特に、腎機能悪化の抑制及び/又は腎機能の回復を指す。未治療のファブリー患者は腎機能が大きく低下していると予想されるため、腎機能増悪速度の改善及び/又は腎機能の改善は、本明細書に記載されるとおりのミガラスタット療法の有益性を実証する。詳細には、腎機能の安定化は、ファブリー患者において、腎機能の重症度、及びERT未経験者か、それとも経験者かに関わらず、本発明の療法で治療されない類似の患者と比較したとき、例えばある特定の患者集団について0.2mL/min/1.73mもの高さの、腎機能の改善又は腎機能増悪速度の遅延となって現れ得る。治療なし(シャペロン又はERT治療なし)又はERT治療と比較した本明細書に開示される治療方法の利点は、本発明で治療されるファブリー患者がその腎機能の悪化をほとんど又は全く呈しないことである。例えば、初めはERT治療による改善が認められ得るが、療法を始めて最初の2又は3年が過ぎると、ERT治療患者の腎機能は急激な悪化−ERT治療前に認められた悪化と同程度の−を起こす。対照的に、本明細書に記載される療法はリソソームGL−3をより効率的に除去し、改善が予想されない患者、例えばERT経験患者に改善を生じさせることが示されている(例えば実施例5を参照)。現時点での本明細書に記載される療法を使用した臨床データからは、治療後2年経っても患者転帰の継続的な改善がもたらされるものと予想される。従って、一部の実施形態において、本明細書に記載される療法で治療される患者は、(例えば、患者の糸球体濾過率(GFR)の改善又はGFRの悪化速度の遅延により)治療後2年を超えて腎機能が安定し続ける。
「腎機能障害」は、GFRが90mL/min/1.73m未満の患者を指す。血清クレアチニンから推算糸球体濾過率(eGFR)を計算するために最も一般的に用いられる式のうちの2つは、それぞれeGFRCKD−EPI及びeGFRMDRDと称される、慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration:CKD−EPI)式及び腎疾患の食事改善療法(Modification of Diet in Renal Disease:MDRD)である。慢性腎臓病の重症度は6段階のステージに定義されている:
a.(ステージ0)正常腎機能−GFRが90mL/min/1.73mを上回り、且つタンパク尿がない;
b.(ステージ1)−GFRが90mL/min/1.73mを上回り、腎臓損傷のエビデンスがある;
c.(ステージ2)(軽度)−GFRが60〜89mL/min/1.73mであり、腎臓損傷のエビデンスがある;
d.(ステージ3)(中等度)−GFRが30〜59mL/min/1.73mである;
e.(ステージ4)(重度)−GFRが15〜29mL/min/1.73mである;
f.(ステージ5)腎不全−GFRが15mL/min/1.73m未満である。
「高タンパク尿」は、正常範囲を上回る尿タンパク質レベルを指す。尿タンパク質の正常範囲は1日0〜150mgであり、そのため高タンパク尿は1日約150mgの尿タンパク質レベルである。
本明細書で使用されるとき、語句「血漿lyso−Gbを安定化させる」及び類似の用語は、血漿lyso−Gbの増加を抑えること及び/又は血漿lyso−Gbを減少させることを指す。未治療のファブリー患者は血漿lyso−Gbが大幅に増加していると予想されるため、血漿lyso−Gb蓄積速度の改善及び/又は血漿lyso−Gbの改善は、本明細書に記載されるとおりのミガラスタット療法の有益性を実証する。
前述の応答のうちの1つ以上を実現する用量が、「治療有効用量」である。
語句「薬学的に許容可能」は、生理学的に忍容可能な、且つ典型的にはヒトへの投与時に有害な反応を生じさせない分子実体及び組成物を指す。一部の実施形態において、本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容可能」は、動物、より詳細にはヒトにおける使用が連邦政府若しくは州政府の規制機関によって承認されている、又は米国薬局方若しくは他の一般に認められている薬局方に掲載されていることを意味する。医薬担体に関して用語「担体」は、化合物がそれと共に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又は媒体を指す。かかる医薬担体は、水及び油などの滅菌液であってもよい。担体としては好ましくは、特に注射溶液用に、水又は水溶液、生理食塩溶液並びにデキストロース及びグリセロール水溶液が利用される。好適な医薬担体については、“Remington’s Pharmaceutical Sciences” by E.W.Martin,18th Edition、又は他の版に記載されている。
用語「酵素補充療法」又は「ERT」は、非天然の精製酵素をかかる酵素が欠損した個体に導入することを指す。投与されるタンパク質は、天然の供給源から又は組換え発現によって(以下に更に詳細に記載するとおり)入手されてもよい。この用語はまた、本来であれば精製酵素の投与が必要な、又はそれから利益を得る個体、例えば酵素欠乏を患っている個体において精製酵素を導入することも指す。導入される酵素は、インビトロで作製された精製組換え酵素であってもよく、又は単離された組織又は体液、例えば胎盤又は動物乳などから精製された、又は植物から精製されたタンパク質であってもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「単離された」は、言及されている材料が、それが通常見出される環境から取り出されることを意味する。従って、単離された生物学的材料は、細胞成分、即ちその材料が見出される又は産生される細胞の構成成分を含まないものであり得る。核酸分子の場合、単離核酸には、PCR産物、ゲル上のmRNAバンド、cDNA、又は制限酵素断片が含まれる。別の実施形態において、単離核酸は、好ましくは、それが見出され得る染色体から切り出され、より好ましくは、染色体中に見出されるときその単離核酸分子に含まれる遺伝子の上流又は下流に位置する非調節領域、非コード領域、又は他の遺伝子ともはやつながっていない。更に別の実施形態において、単離核酸は1つ以上のイントロンを欠いている。単離核酸は、プラスミド、コスミド、人工染色体などに挿入される配列を含む。従って、具体的な実施形態において、組換え核酸は単離核酸である。単離タンパク質は、他のタンパク質又は核酸、又は両方と、細胞においてそれが結び付いているものと、又はそれが膜結合性タンパク質である場合には細胞膜と結び付いていてもよい。単離細胞小器官、細胞、又は組織は、生物においてそれが見出される解剖学的部位から取り出される。単離材料は、必須ではないが、精製されてもよい。
用語「約」及び「近似的に」は、概して、計測の性質又は精度を所与として、計測した量の許容可能な誤差程度を意味するものとする。典型的な例示的誤差程度は、所与の値又は値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、及びより好ましくは5%以内である。或いは、特に生体系において、用語「約」及び「近似的に」は、所与の値のオーダー内、好ましくは10倍又は5倍以内、及びより好ましくは2倍以内の値を意味し得る。本明細書に提供される数量は、特に明記しない限り近似であり、つまり、明示的に記載されないときも用語「約」又は「近似的に」が暗示され得る。
本明細書で使用されるとき、用語「遊離塩基当量」又は「FBE」は、ミガラスタット又はその塩に存在するミガラスタットの量を指す。換言すれば、用語「FBE」は、ミガラスタット遊離塩基の量、又はミガラスタットの塩によって提供されるミガラスタット遊離塩基の当量のいずれかを意味する。例えば、塩酸塩の重量に起因して、僅か150mgのミガラスタット塩酸塩が、123mgの遊離塩基形態のミガラスタットと同程度のミガラスタットを提供する。他の塩は、塩の分子量に応じて異なる換算係数を有することが予想される。
用語「ミガラスタット」は、具体的に反する旨が指示されない限り、ミガラスタット遊離塩基又はその薬学的に許容可能な塩(例えば、ミガラスタットHCl)を包含する。
ファブリー病
ファブリー病は、まれな進行性の重篤なX連鎖性リソソーム蓄積障害である。GLA遺伝子の突然変異が、スフィンゴ糖脂質代謝に必要なリソソーム酵素α−Gal Aの欠損を引き起こす。幼児期に始まるα−Gal A活性の低下が、GL−3及び血漿lyso−Gbを含めたスフィンゴ糖脂質の蓄積を引き起こし、疼痛、胃腸症状、腎不全、心筋症、脳血管イベント、及び早期の死亡を含めたファブリー病の症状及び致死的続発症につながる。早期の療法開始及び生涯にわたる治療が、疾患の進行を遅らせ、平均余命を延ばす機会を提供する。
ファブリー病は様々な疾患重症度及び発症年齢を包含するが、従来、2つの主要な表現型、「古典型」及び「遅発型」に分けられている。古典型表現型は主に、α−Gal A活性が検出不能乃至低く、且つ腎臓、心臓及び/又は脳血管症状の発症が早い男性のものと見なされている。遅発型表現型は主に、残存α−Gal A活性がより高く、これらの疾患症状の発症がより遅い男性のものと見なされている。ヘテロ接合女性保因者は、典型的には遅発型表現型を発現するが、X染色体不活性化のパターンに応じて古典型表現型もまた呈し得る。
ファブリー病の原因となるGLA突然変異は800超同定されている。約60%が、α−Gal A酵素に単一アミノ酸置換をもたらすミスセンス突然変異である。ミスセンスGLA突然変異は、多くの場合に、異常に折り畳まれた不安定な形態のα−Gal Aの産生をもたらし、その大部分が古典型表現型に関連している。小胞体における正常な細胞品質管理機構は、これらの異常なタンパク質がリソソームに移動するのを阻止し、それらを早期分解及び除去の標的とする。多くのミスセンス突然変異形態が、α−Gal A特異的薬理学的シャペロンであるミガラスタットの標的である。
ファブリー病の臨床症状は幅広い重症度にわたり、患者の残存α−GALレベルとおおよそ相関している。現在治療を受けている患者の大多数は古典型ファブリー病患者と称され、そのほとんどが男性である。これらの患者は、腎臓、心臓及び脳を含む様々な器官に疾患を生じ、疾患症状は初め青年期に出現し、典型的には30歳代又は40歳代に死亡するまで重症度が進行する。幾つもの最近の研究から、心機能又は腎機能障害及び脳卒中など、通常は成人期に初めて出現する様々なファブリー病症状を有する診断未確定の男性及び女性が多数いることが示唆される。遅発型ファブリー病と称されるこの種のファブリー病者は、古典型ファブリー病患者よりも残存α−GALレベルが高い傾向がある。遅発型ファブリー病者は、典型的には成人期に初めて疾患症状を経験し、左心室の肥大又は進行性腎不全など、単一の器官に集中した疾患症状を有することが多い。加えて、遅発型ファブリー病はまた、原因不明の脳卒中の形でも見られ得る。
ファブリー患者は進行性腎臓機能障害を有し、未治療の患者は40歳代までに末期腎機能障害を呈する。α−Gal A活性の欠損は、腎臓の細胞を含め、多くの細胞型におけるGL−3及び関連するスフィンゴ糖脂質の蓄積につながる。GL−3は、タコ足細胞、遠位尿細管及びヘンレ係締の上皮細胞及び尿細管細胞に蓄積する。腎機能の機能障害はタンパク尿及び糸球体濾過率の低下として現れ得る。
ファブリー病は進行性の腎機能悪化を引き起こし得るため、腎機能障害者における候補治療剤の薬物動態(PK)を理解することが重要であり、主に腎***によって除去される治療剤については特にそうである。腎機能の機能障害は、毒性となるレベルに至る治療剤の蓄積につながり得る。
ファブリー病はまれであり、多くの臓器が関わり、発症年齢の範囲が幅広く、及び不均一であるため、適切な診断は難題である。医療専門家の間でも認知度が低く、誤診が頻繁に起こる。ファブリー病の診断は、ほとんどの場合、患者が症状を示した後に、突然変異解析と併せて血漿又は末梢白血球(WBC)におけるα−Gal A活性の低下に基づき確認される。女性では、保因者の一部の細胞におけるランダムなX染色体不活性化に起因して保因者女性の酵素的同定の信頼性が低いため、診断は更に一層難題である。例えば、一部の絶対的保因者(古典型罹患男性の娘)は、正常から極めて低い活性にまで及ぶα−Gal A酵素活性を有する。保因者は白血球では正常なα−Gal A酵素活性を有し得るため、正確な保因者同定及び/又は診断を与えるのは、遺伝子検査によるα−Gal A突然変異の同定のみである。
ミガラスタットが適用可能と見なされるα−ガラクトシダーゼAの突然変異形態は、優良試験所基準(GLP)でバリデーションされたインビトロアッセイ(GLP HEK又はミガラスタット適用可能性アッセイ)に従いHEK−293細胞で突然変異形態のα−ガラクトシダーゼAを発現させたとき(「HEKアッセイ」と称される)、野生型の≧1.20倍の相対的増加(+10μMミガラスタット)及び≧3.0%の絶対的増加(+10μMミガラスタット)を示すものとして定義される。かかる突然変異は、本明細書では「HEKアッセイ適用可能」突然変異とも称される。
治療開始前に酵素の増強を判定する先行のスクリーニング方法が提供されている。例えば、HEK−293細胞を使用したアッセイが、所与の突然変異が薬理学的シャペロン(例えばミガラスタット)治療に応答性かどうかを予測するため臨床試験において利用されている。このアッセイでは、cDNAコンストラクトを作成する。HEK−293細胞において対応するα−Gal A突然変異形態を一過性に発現させる。次に細胞を±ミガラスタット(17nM〜1mM)で4〜5日間インキュベートする。その後、合成蛍光発生基質(4−MU−α−Gal)を使用するか、又はウエスタンブロットにより、細胞ライセート中のα−Gal Aレベルを測定する。これは、疾患を引き起こす公知のミスセンス又は小型インフレーム挿入/欠失突然変異について行われている。これまでにこれらの方法を用いてPC(例えばミガラスタット)に応答性であると同定されている突然変異が、米国特許第8,592,362号明細書(本明細書によって全体として参照により援用される)に列挙されている。
薬理学的シャペロン
LSDに関連する酵素の小分子阻害薬の結合は、突然変異酵素及び対応する野生型酵素の両方の安定性を増加させることができる(米国特許第6,274,597号明細書;同第6,583,158号明細書;同第6,589,964号明細書;同第6,599,919号明細書;同第6,916,829号明細書、及び同第7,141,582号明細書を参照のこと、全て参照により本明細書に援用される)。詳細には、幾つかの標的リソソーム酵素の特異的で選択的な競合阻害薬であるグルコース及びガラクトースの小分子誘導体を投与すると、インビトロで細胞内の酵素の安定性が有効に増加し、ひいてはリソソームへの酵素のトラフィッキングが増加した。従って、リソソーム内の酵素量が増加することにより、酵素基質の加水分解が増加するものと予想される。この戦略の背後にあった当初の理論は以下のとおりであった:突然変異酵素タンパク質はERにおいて不安定であるため(Ishii et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.1996;220:812−815)、酵素タンパク質は正常な輸送経路(ER→ゴルジ体→エンドソーム→リソソーム)において遅れ、早まって分解される。従って、突然変異酵素に結合してその安定性を増加させる化合物が酵素の「シャペロン」として働き、ERを出てリソソームに移ることのできる量を増加させ得る。加えて、一部の野生型タンパク質のフォールディング及びトラフィッキングは不完全で、場合によっては一部の野生型タンパク質の最大70%がその最終的な細胞部位に到達する前に分解されるため、シャペロンを野生型酵素の安定化に使用して、ERを出てリソソームに輸送されることのできる酵素の量を増加させることができる。
1つ以上の実施形態において、薬理学的シャペロンはミガラスタット又はその塩を含む。1−デオキシガラクトノジリマイシン(1−DGJ)又は(2R,3S,4R,5S)−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン(piperdine)−3,4,5−トリオールとしても知られる化合物ミガラスタットは、以下の化学式を有する化合物である:
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本明細書で考察するとおり、ミガラスタットの薬学的に許容可能な塩もまた本発明において使用し得る。ミガラスタットの塩が使用されるとき、塩の投薬量は、ミガラスタット遊離塩基が使用されたならば受け取ったであろう量と等価な用量のミガラスタットを患者が受け取るように調整されることになる。ミガラスタットの薬学的に許容可能な塩の一例は、ミガラスタットHClである:
Figure 2020203886
ミガラスタットは低分子量イミノ糖であり、GL−3の末端ガラクトースの類似体である。インビトロ及びインビボでの薬理学的研究から、ミガラスタットが薬理学的シャペロンとして働き、野生型α−Gal A及び特異的突然変異形態のα−Gal A(その遺伝子型はHEKアッセイ適用可能突然変異と称される)の活性部位に高親和性で選択的且つ可逆的に結合することが実証されている。ミガラスタットが結合すると、これらの突然変異形態のα−Gal Aが小胞体において安定し、リソソームへのその適切なトラフィッキングが促進され、リソソームでミガラスタットが解離することにより、α−Gal AがGL−3及び他の基質レベルを低下させることが可能になる。ファブリー病患者の約30〜50%がHEKアッセイ適用可能突然変異を有する;その大多数がこの疾患の古典型表現型に関連する。HEKアッセイ適用可能突然変異のリストには、少なくとも以下の表1に掲載される突然変異が含まれる。1つ以上の実施形態において、同じ染色体上に二重突然変異が存在する場合(男性及び女性)、当該の患者は、表1の1つのエントリにその二重突然変異が存在する場合に(例えば、D55V/Q57L)、HEKアッセイ適用可能と見なされる。一部の実施形態において、二重突然変異が異なる染色体上に存在する場合(女性のみ)、当該の患者は、表1に個々の突然変異のいずれか一方が存在する場合にHEKアッセイに適用可能と見なされる。以下の表1に加えて、HEKアッセイ適用可能突然変異についてはまた、GALAFOLD(商標)が使用を承認されている様々な国におけるGALAFOLD(商標)の製品特性及び/又は処方情報の概要、又はウェブサイトwww.galafoldamenabilitytable.com(これらの各々は本明細書によって全体として参照により援用される)も参照することができる。
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ファブリー患者の腎機能
進行性の腎機能悪化はファブリー病の主要な合併症である。例えば、古典型ファブリー表現型に関連する患者は、最終的には透析又は腎移植が必要となり得る進行性腎機能障害を呈する。
当該技術分野において腎機能の評価によく用いられる方法はGFRである。概して、GFRは、単位時間当たりに腎糸球体毛細血管からボーマン嚢へとろ過される体液容積である。臨床では、血清からのクレアチニンのクリアランスに基づきGFRの推算が行われる。GFRは、尿を採取して、所与の時間間隔で血液から取り除かれたクレアチニンの量を決定することにより推算し得る。年齢、体の大きさ及び性別もまた因子として含まれ得る。GFR数値が低いほど、腎臓損傷が進行している。
一部の研究では、未治療のファブリー患者は平均して1年に7.0〜18.9mL/min/1.73mのGFRの悪化を経験し、一方、ERTを受けている患者は平均して1年に2.0〜2.7mL/min/1.73mのGFRの悪化を経験し得ることが指摘されているが、より深刻なタンパク尿又はより重篤な慢性腎臓病を有する患者では、より急速な悪化が起こり得る。
推算GFR(eGFR)は、同位体希釈質量分析(IDMS)のトレーサブルな式を使用して血清クレアチニンから計算される。血清クレアチニンからの糸球体濾過率(GFR)の推算に最も一般的に用いられる式のうちの2つは、慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration:CKD−EPI)式及び腎疾患の食事改善療法(Modification of Diet in Renal Disease:MDRD)研究式である。MDRD研究式及びCKD−EPI式の両方とも、年齢、性別、及び人種についての変数を含み、これにより提供者は、血清クレアチニン濃度が正常基準範囲内にあるか又はそれを少し上回るだけのように見えるにも関わらずCKDが存在することを観察可能となり得る。
CKD−EPI式は2つの傾きの「スプライン」を使用してGFRと血清クレアチニン、年齢、性別、及び人種との間の関係をモデル化する。CKD−EPI式は単一の式として表される:
GFR=141×min(Scr/κ,1)α×max(Scr/κ,1)−1.209×0.993年齢×1.018[女性の場合]×1.159[黒人の場合]
式中:
crはmg/dL単位の血清クレアチニンであり、
κは女性では0.7、及び男性では0.9であり、
αは女性では−0.329、及び男性では−0.411であり、
minはScr/κの最小値又は1を示し、及び
maxはScr/κの最大値又は1を示す。
以下は、IDMSトレーサブルMDRD研究式(IDMS基準方法にキャリブレーションしたクレアチニン方法について)である:
GFR(mL/min/1.73m)=175×(Scr−1.154×(年齢)−0.203×(女性の場合0.742)×(アフリカ系アメリカ人の場合1.212)
この式は、一般に認められた平均成人体表面積である1.73m体表面積に正規化した結果が報告されるため、体重又は身長の変数が不要である。この式は、18〜70歳の腎機能障害を有する(eGFR<60mL/min/1.73m)白人及びアフリカ系アメリカ人集団で十分にバリデートされており、腎臓病のあらゆる一般的な原因を有する患者について良好な成績を示している。
クレアチニンクリアランス率(eCCr)の一つの推算方法はコッククロフト・ゴールト式を用いるものであり、これが次にはmL/min単位のGFRを推算する:
クレアチニンクリアランス(mL/min)=[(140−年齢)×体重(Kg)]÷72×血清クレアチニン(mg/dL)
女性の場合、0.85を乗じる]
コッククロフト・ゴールト式は、食品医薬品局(Food and Drug Administration)によって腎機能障害研究に使用が推奨されている式である。コッククロフト・ゴールト式によって計算されるクレアチニンクリアランスは、1.73mの体表面積で正規化することが一般的である。従って、この式は、mL/min/1.73m単位の推算eGFRとして表すことができる。体表面積で調整したGFRの正常範囲は、40歳より若い男性で100〜130mL/min/1.73m2、及び女性で90〜120mL/min/1.73m2である。
慢性腎臓病の重症度は6段階のステージに定義されている(表2もまた参照のこと):(ステージ0)正常腎機能−GFRが90mL/min/1.73mを上回り、且つタンパク尿がない;(ステージ1)−GFRが90mL/min/1.73mを上回り、腎臓損傷のエビデンスがある;(ステージ2)(軽度)−GFRが60〜89mL/min/1.73mであり、腎臓損傷のエビデンスがある;(ステージ3)(中等度)−GFRが30〜59mL/min/1.73mである;(ステージ4)(重度)−GFRが15〜29mL/min/1.73mである;(ステージ5)腎不全−GFRが15mL/min/1.73m未満である。以下の表2は、様々な腎臓病ステージを対応するGFRレベルと共に示す。
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用量設定、製剤化及び投与
本明細書に記載される投与レジメンのうちの1つ以上は、何らかの程度の腎機能障害を有するファブリー患者に特に好適である。幾つかの研究で、ファブリー患者における150mgのミガラスタット塩酸塩、1日おき(QOD)の使用が調査されている。一つの研究は、67人のERT未経験患者における6ヵ月間の二重盲検プラセボ対照期間を含む24ヵ月試験であった。別の研究は、12ヵ月非盲検延長(OLE)を伴う57人のERT経験患者における実薬対照18ヵ月試験であった。両方の研究とも、推算糸球体濾過率(eGFR)が≧30mL/min/1.73mの患者が含まれた。従って、両方の研究とも正常腎機能のファブリー患者並びに軽度及び中等度腎機能障害患者が含まれたが、いずれの研究も重度腎機能障害の患者は含まなかった。
ファブリー患者のミガラスタット治療の研究から、1日おきの150mgのミガラスタット塩酸塩が、代用マーカーによって示されるとおり疾患の進行を遅らせることが確立された。
従って、1つ以上の実施形態において、ファブリー患者にミガラスタット又はその塩が1日おきに1回(「QOD」とも称される)の頻度で投与される。様々な実施形態において、本明細書に記載される用量は、ミガラスタット塩酸塩又は等価な用量のミガラスタット若しくは塩酸塩以外のその塩に関する。一部の実施形態において、これらの用量はミガラスタットの遊離塩基に関する。代替的実施形態において、これらの用量はミガラスタットの塩に関する。更なる実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。ミガラスタット又はミガラスタットの塩の投与は、本明細書では「ミガラスタット療法」と称される。
ミガラスタット又はその塩の有効量は約100mg FBE〜約150mg FBEの範囲であり得る。例示的用量としては、約100mg FBE、約105mg FBE、約110mg FBE、約115mg FBE、約120mg FBE、約123mg FBE、約125mg FBE、約130mg FBE、約135mg FBE、約140mg FBE、約145mg FBE又は約150mg FBEが挙げられる。
ここでもまた、150mgのミガラスタット塩酸塩は123mgの遊離塩基形態のミガラスタットと等価であることが注記される。従って、1つ以上の実施形態において、用量は、1日おきに1回の頻度で投与される150mgのミガラスタット塩酸塩又は等価な用量のミガラスタット若しくは塩酸塩以外のその塩である。上記に示されるとおり、この用量は123mg FBEのミガラスタットと称される。更なる実施形態において、用量は、1日おきに1回の頻度で投与される150mgのミガラスタット塩酸塩である。他の実施形態において、用量は、1日おきに1回の頻度で投与される123mgのミガラスタット遊離塩基である。
様々な実施形態において、有効量は、約122mg、約128mg、約134mg、約140mg、約146mg、約150mg、約152mg、約159mg、約165mg、約171mg、約177mg又は約183mgのミガラスタット塩酸塩である。
従って、様々な実施形態において、ミガラスタット療法は、150mgのミガラスタット塩酸塩を1日おきなど、123mg FBEを1日おきに1回の頻度で投与することを含む。
ミガラスタット又はその塩の投与は、ある一定の期間にわたり得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は、少なくとも28日、例えば少なくとも30、60又は90日又は少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、16、20、24、30又は36ヵ月又は少なくとも1、2、3、4又は5年の継続期間にわたって投与される。様々な実施形態において、ミガラスタット療法は、少なくとも6ヵ月、例えば少なくとも6、7、8、9、10、11、12、16、20、24、30又は36ヵ月又は少なくとも1、2、3、4又は5年の長期ミガラスタット療法である。
本発明に係るミガラスタット又はその塩の投与は、任意の投与経路に好適な製剤であってよく、しかし好ましくは、錠剤、カプセル又は溶液などの経口剤形で投与される。一例として、患者には、各々150mgのミガラスタット塩酸塩又は等価な用量のミガラスタット若しくは塩酸塩以外のその塩を含有するカプセルが経口投与される。
一部の実施形態において、PC(例えば、ミガラスタット又はその塩)は経口投与される。1つ以上の実施形態において、PC(例えば、ミガラスタット又はその塩)は注射によって投与される。PCは薬学的に許容可能な担体を伴うこともあり、これは投与方法に依存し得る。
1つ以上の実施形態において、PC(例えば、ミガラスタット又はその塩)は単剤療法として投与され、例えば、錠剤又はカプセル又は液体の形態で経口的に、又は注射用に滅菌水溶液でなど、任意の投与経路に好適な形態であり得る。他の実施形態において、PCは、投与前にインビトロで酵素凝集を防ぐため再構成中又は再構成直後に補充酵素の製剤に加えられる凍結乾燥粉末で提供される。
PC(例えば、ミガラスタット又はその塩)が経口投与用に製剤化される場合、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース又はリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容可能な賦形剤と共に従来手段によって錠剤又はカプセルが調製されてもよい。錠剤は当該技術分野において周知の方法によってコーティングされてもよい。経口投与用の液体調合物は、例えば、溶液、シロップ又は懸濁液の形態をとってもよく、又は使用前に水又は別の好適な媒体で構成するための乾燥製剤として調製されてもよい。かかる液体調合物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は硬化食用脂);乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア);非水性媒体(例えば、扁桃油、油性エステル類、エチルアルコール又は分画植物油);及び保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル又はソルビン酸)などの薬学的に許容可能な添加剤と共に従来手段によって調製されてもよい。調合物はまた、緩衝塩、香味剤、着色剤及び甘味剤も適宜含有し得る。経口投与用の調合物は、活性シャペロン化合物の制御放出をもたらすように好適に製剤化されてもよい。
非経口/注射使用に好適なPC(例えば、ミガラスタット又はその塩)の医薬製剤としては、概して、滅菌水溶液(水溶性の場合)、又は滅菌注射用溶液若しくは分散液の即時調製用の分散液及び滅菌粉末が挙げられる。いずれの場合にも、形態は無菌でなければならず、及び易注射針通過性が存在する程度の流動性がなければならない。これは製造及び保管条件下で安定していなければならず、且つ細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールなど)、これらの好適な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合に必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の防止は、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、ソルビン酸などによってもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば糖類又は塩化ナトリウムを含めることが妥当となり得る。吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に使用することにより、注射用組成物の持続的吸収をもたらすことができる。
滅菌注射用溶液は、適切な溶媒中に必要な量の精製酵素(存在する場合)及びPC(例えば、ミガラスタット又はその塩)を、必要に応じて上記に列挙される種々の他の成分と共に配合し、続いてろ過又は最終滅菌することにより調製される。概して、分散液は、基礎分散媒及び上記に列挙されるものからの他の必要な成分を含有する滅菌媒体中に様々な滅菌活性成分を配合することにより調製される。滅菌注射用溶液の調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分+任意の追加的な所望の成分の粉末を予め滅菌ろ過されたその溶液から生じさせる真空乾燥法及び凍結乾燥法である。
製剤は賦形剤を含有し得る。製剤に含まれ得る薬学的に許容可能な賦形剤は、緩衝液、例えば、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液、重炭酸塩緩衝液、アミノ酸、尿素、アルコール類、アスコルビン酸、及びリン脂質;血清アルブミン、コラーゲン、及びゼラチンなどのタンパク質;EDTA又はEGTAなどの塩、及び塩化ナトリウム;リポソーム;ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrollidone);デキストラン、マンニトール、ソルビトール、及びグリセロールなどの糖類;プロピレングリコール及びポリエチレングリコール(例えば、PEG−4000、PEG−6000);グリセロール;グリシン又は他のアミノ酸;及び脂質である。製剤と使用する緩衝液系としては、クエン酸塩;酢酸塩;重炭酸塩;及びリン酸塩緩衝液が挙げられる。リン酸塩緩衝液が好ましい実施形態である。
シャペロン化合物の投与経路は、静脈内、皮下、動脈内、腹腔内、眼内、筋肉内、頬側、直腸、腟内、眼窩内、脳内、皮内、頭蓋内、脊髄内、脳室内、髄腔内、大槽内、嚢内、肺内、鼻腔内、経粘膜、経皮、又は吸入によることを含め、経口又は非経口であってよい。
上述の非経口製剤のシャペロン化合物の投与は、調合物のボーラスの定期的注射によってもよく、又は外部(例えば、点滴静注バッグ)若しくは内部(例えば、生体内分解性インプラント)のリザーバからの静脈内若しくは腹腔内投与によって投与されてもよい。
医薬製剤及び投与に関する実施形態は、本発明の他の実施形態、例えば、ファブリー病患者を治療する方法、ERT未経験ファブリー病患者を治療する方法、腎臓GL−3を低下させる方法、腎機能を安定化させる方法、LVM又はLVMiを低下させる方法、血漿lyso−Gbを低下させる方法及び/又は胃腸症状(例えば下痢)を治療する方法、ファブリー病と診断された又はそれを有する疑いがある患者においてα−Gal Aを増強する方法、ファブリー病と診断された患者の治療用医薬品を製造するためのα−Gal Aに対する薬理学的シャペロンの使用に関する、又はファブリー病と診断された患者の治療において使用するためのα−Gal Aに対する薬理学的シャペロンに関する実施形態並びに適用可能突然変異、PC及びその好適な投薬量に関する実施形態のいずれかと組み合わされてもよい。
1つ以上の実施形態において、PC(例えば、ミガラスタット又はその塩)はERTと併用して投与される。ERTは、野生型酵素又は生物学的に機能性の酵素を注入によって外因的に導入することによりタンパク質の量を増加させる。この療法は、上述のとおり、ファブリー病などのLSDを含めた多くの遺伝的障害向けに開発された。注入後、外因性酵素は非特異的又は受容体特異的機構を介して組織により取り込まれるものと想定される。一般に、取込み効率は高くなく、外因性タンパク質の循環時間は短い。加えて、外因性タンパク質は不安定で、急速な細胞内分解を受けるとともに、続く治療との有害な免疫反応の可能性もある。1つ以上の実施形態において、シャペロンは補充酵素(例えば、補充α−Gal A)と同時に投与される。一部の実施形態において、シャペロンは補充酵素(例えば、補充α−Gal A)と共に製剤化される。
1つ以上の実施形態において、患者はERTからミガラスタット療法に切り換えられる。一部の実施形態において、ERTを受けている患者が同定され、患者のERTが中断され、患者はミガラスタット療法を受け始める。ミガラスタット療法は、本明細書に記載される方法のいずれかに従うものであり得る。
腎機能の安定化
本明細書に記載される投与レジメンは、様々な程度の腎機能障害を有するファブリー患者の腎機能を安定化させることができる。1つ以上の実施形態において、腎機能障害を有するファブリー患者には、約100mg〜約150mg FBEのミガラスタット又はその塩が1日おきに1回の頻度で投与される。1つ以上の実施形態において、患者には、123mgのミガラスタット又は150mgのミガラスタット塩酸塩など、123mg FBEのミガラスタット又はその塩が1日おきに投与される。1つ以上の実施形態において、患者は軽度又は中等度腎機能障害を有する。具体的な実施形態において、患者は軽度腎機能障害を有する。他の具体的な実施形態において、患者は中等度腎機能障害を有する。患者はERT未経験者又はERT経験者であり得る。
ミガラスタットの投与は、ある一定の期間にわたり得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタットは、少なくとも28日、例えば少なくとも30、60又は90日又は少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、16、20又は24ヵ月又は少なくとも1、2、3、4又は5年にわたって投与される。様々な実施形態において、ミガラスタット療法は、少なくとも6ヵ月、例えば少なくとも6、7、8、9、10、11、12、16、20又は24ヵ月又は少なくとも1、2、3、4又は5年の長期ミガラスタット療法である。
ミガラスタット療法は、ミガラスタット療法による治療のない同じ患者と比較してファブリー患者の腎機能悪化を抑制し得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、−5.0mL/min/1.73m/年より大きい(即ちそれよりプラスの)、例えば、−4.5、−4.0、−3.5、−3.0、−2.5、−2.0、−1.5、−1.0、−0.9、−0.8、−0.7、−0.6、−0.5、−0.4、−0.3、−0.2、−0.1より大きいか又は更には0mL/min/1.73m/年より大きいeGFRCKD−EPIの年間変化を患者にもたらす。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、−5.0mL/min/1.73m/年より大きい、例えば、−4.5、−4.0、−3.5、−3.0、−2.5、−2.0、−1.5、−1.0、−0.9、−0.8、−0.7、−0.6、−0.5、−0.4、−0.3、−0.2、−0.1より大きいか又は更には0mL/min/1.73m/年より大きいmGFRイオヘキソールの年間変化を患者にもたらす。従って、ミガラスタット療法は患者の腎機能の悪化を抑制し、又は更には改善もし得る。これらの年間変化率は、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、24ヵ月、30ヵ月、36ヵ月、48ヵ月又は60ヵ月にわたるなど、特定の期間にわたって測定することができる。
ミガラスタット療法は、様々な程度の腎機能障害を有するファブリー患者の部分集団など、あるファブリー患者群について腎機能悪化を抑制し得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、軽度、中等度又は重度腎機能障害を有するファブリー患者において、−5.0mL/min/1.73m/年より大きい、例えば、−4.5、−4.0、−3.5、−3.0、−2.5、−2.0、−1.5、−1.0、−0.9、−0.8、−0.7、−0.6、−0.5、−0.4、−0.3、−0.2、−0.1より大きいか又は更には0mL/min/1.73m/年より大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、軽度、中等度又は重度腎機能障害を有する患者において、−5.0mL/min/1.73m/年より大きい、例えば、−4.5、−4.0、−3.5、−3.0、−2.5、−2.0、−1.5、−1.0、−0.9、−0.8、−0.7、−0.6、−0.5、−0.4、−0.3、−0.2、−0.1より大きいか又は更には0mL/min/1.73m/年より大きいmGFRイオヘキソールの平均年間変化率をもたらす。これらの年間変化率は、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、24ヵ月、30ヵ月、36ヵ月、48ヵ月又は60ヵ月にわたるなど、特定の期間にわたって測定することができる。
左室容積
本明細書に記載される投与レジメンは、ファブリー患者のLVMiを改善することができる。表現型に関わらず、未治療のファブリー患者におけるLVMi及び心肥大の自然歴は(Patel,O’Mahony et al.2015)、+4.07〜+8.0g/m/年の進行性のLVMiの増加である(Kampmann,Linhart et al.2008;Wyatt,Henley et al.2012;Germain,Weidemann et al.2013)。未治療のファブリー患者は典型的には時間の経過に伴いLVMiの増加を呈するため、LVMiの低下及びその維持の両方が、ミガラスタット療法の利益の指標である。
ミガラスタット療法は、ミガラスタット療法による治療のない同じ患者と比較してファブリー患者のLVMi増加を抑制し得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、0g/m未満の(即ち、それよりマイナスの)、例えば、約−0.5、−1、−1.5、−2、−2.5、−3、−3.5、−4、−4.5、−5、−5.5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、−14、−15、−16、−17、−18、−19又は−20g/m以下のLVMiの変化を患者にもたらす。別の言い方をすれば、1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、0g/mより大きいLVMiの減少、例えば少なくとも約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20g/mの減少をもたらす。1つ以上の実施形態において、患者は軽度又は中等度腎機能障害を有する。具体的な実施形態において、患者は軽度腎機能障害を有する。他の具体的な実施形態において、患者は中等度腎機能障害を有する。患者はERT未経験者又はERT経験者であり得る。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、ERT経験患者群においてミガラスタット又はその塩の18ヵ月の投与後に少なくとも約1g/mのLVMiの平均低下をもたらす。様々な実施形態において、ミガラスタット又はその塩の18ヵ月の投与後のERT経験患者群における平均低下は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10g/mである。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、中等度腎機能障害を有するERT経験患者群においてミガラスタット又はその塩の18ヵ月の投与後に少なくとも約1g/mのLVMiの平均低下をもたらす。様々な実施形態において、ミガラスタット又はその塩の18ヵ月の投与後のERT経験患者群における平均低下は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10g/mである。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、ERT未経験患者群においてミガラスタット又はその塩の24ヵ月の投与後に少なくとも約1g/mのLVMiの平均低下をもたらす。様々な実施形態において、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月の投与後のERT未経験患者群における平均低下は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10g/mである。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、中等度腎機能障害を有するERT未経験患者群においてミガラスタット又はその塩の24ヵ月の投与後に少なくとも約1g/mのLVMiの平均低下をもたらす。様々な実施形態において、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月の投与後のERT未経験患者群における平均低下は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10g/mである。
本明細書全体を通じて、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「様々な実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「ある実施形態」という表現は、その実施形態に関連して記載される詳細な特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて様々な場所に「1つ以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「様々な実施形態において」、「一実施形態において」又は「ある実施形態において」などの語句が出現するが、それが本発明の同じ実施形態に言及しているとは限らない。更に、詳細な特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
本明細書では本発明が詳細な実施形態を参照して記載されているが、これらの実施形態は単に本発明の原理及び応用の例示に過ぎないことが理解されるべきである。当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の方法及び装置に様々な改良及び変形がなされ得ることは明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある改良例及び変形例を包含することが意図される。
本願全体を通じて特許、特許出願、刊行物、製品説明、及びプロトコルが引用され、これらの開示はあらゆる目的から全体として参照により本明細書に援用される。
実施例1:腎機能障害を有する非ファブリー患者におけるミガラスタットの薬物動態
腎機能障害を有する非ファブリー対象においてミガラスタットHClの薬物動態及び安全性を調べるため臨床試験を実施した。軽度、中等度、及び重度腎機能障害、及び正常腎機能を有する対象に単回150mgミガラスタットHCl用量を投与した。腎機能障害研究に関するFDAガイダンスに従いeGFRをコッククロフト・ゴールト式によって推算した。
ボランティアは、クレアチニンクリアランス(CLCR)についてコッククロフト・ゴールト式を用いて計算した腎機能で層別化した2つのコホートに登録した。対象はスクリーニング時にコッククロフト・ゴールト式を用いて計算したときの推算CLCRに基づき群に割り付けた。各対象について、WinNonlin(登録商標)ソフトウェア(Pharsight Corporation、バージョン5.2)によるノンコンパートメント解析により以下の血漿ミガラスタットPKパラメータを決定した。
max 最高実測濃度
max 最高濃度到達時間
AUC0−t 漸増濃度については線形台形公式及び漸減濃度については対数公式を用いて計算した、時間0から最終計測可能濃度までの濃度−時間曲線下面積
AUC0−∞ 以下の式を用いて計算した、無限大まで外挿した濃度−時間曲線下面積:
AUC0−∞=AUC0−t+Ct/λZ
[式中、Ctは最終計測可能濃度であり、及びλZは見かけの終末消失速度定数である]
λz 見かけの終末消失速度定数、式中、λZは終末相における対数濃度対時間プロファイルの線形回帰の傾きの大きさである
1/2 見かけの終末消失半減期(可能な場合)、式中
1/2=(ln2)/λZ
CL/F 用量/AUC0−∞として計算した、経口クリアランス
Vd/F 用量/AUC0−∞・λZとして計算した、経口分布容積
48 投与後48時間濃度
決定する薬物動態パラメータは以下とした:時間0から投与後最終計測可能濃度までの(AUC0−t)及び無限大まで外挿した(AUC0−∞)濃度−時間曲線下面積(AUC)、最高実測濃度(Cmax)、Cmax到達時間(tmax)、投与後48時間濃度(C48)、終末消失半減期(t1/2)、経口クリアランス(CL/F)、及び見かけの終末消失速度定数(λz)。
試験対象は、コッククロフト・ゴールト式を用いて決定したときクレアチニンクリアランス(CLCR)が90mL/min未満(即ちCLCR<90mL/min)であった場合に腎機能障害を有すると定義した。対象は腎機能不全の程度によって分類した:軽度(CLcr≧60及び<90mL/min)、中等度(CLCR≧30及び<60mL/min)、又は重度(CLCR≧15及び<30mL/min)
ミガラスタットの血漿中及び尿中薬物動態が健常ボランティア及び正常乃至軽度の腎機能障害を有するファブリー患者で調査されている。単回用量試験では、ミガラスタットは、試験した全用量範囲で経口投与後約3時間(範囲、1〜6時間)で最高濃度に到達する中程度の吸収速度を有した。平均Cmax及びAUC0−t値は75mg〜1250mgミガラスタットの経口用量後に用量比例的に増加した。平均消失半減期(t1/2)は3.04〜4.79時間の範囲であった。単回用量漸増(SAD)試験で評価した用量から尿中に回収された用量の割合の平均値は、25mg、75mg、225mg、及び675mg用量群についてそれぞれ32.2%、43.0%、49.3%、及び48.5%であった。複数回用量漸増試験では、血漿ミガラスタットの最小限の蓄積のみが観察された。TQT試験では、ミガラスタットは150mg及び1250mg単回用量で心再分極に負の効果を及ぼした(Johnson et al.,Clin Pharmacol Drug Dev.2013 Apr;2(2):120−32)。
非ファブリー対象で実施されたこの単回用量腎機能障害試験では、単回用量ミガラスタットHCl 150mgの血漿濃度は、正常腎機能の対象と比較して腎不全の程度の増加に伴い増加した。ミガラスタットHCl 150mgの単回経口用量後、平均血漿ミガラスタットAUC0−∞は、健常対照対象と比較して、軽度、中等度、又は重度腎機能障害の対象でそれぞれ1.2倍、1.8倍、及び4.5倍に増加した。血漿ミガラスタットAUC0−∞値の増加は、単回用量投与後、正常腎機能の対象と比較して中等度又は重度腎機能障害の対象では統計的に有意であったが、軽度腎機能障害の対象では有意でなかった。ミガラスタットtmaxは重度群でやや遅れた;Cmaxは、健常対照対象と比較して様々な程度の腎機能障害を有する対象においてミガラスタットHCl 150mgの単回経口用量後に群のいずれにかけても増加しなかった。血漿ミガラスタットC48レベルは、健常対照対象と比較して中等度(主に、CrCL<50mL/minの対象から)及び重度腎機能障害の対象で上昇した。血漿中のミガラスタットのt1/2は、腎機能障害の程度が増加するにつれ増加した(正常腎機能の対象及び軽度、中等度、又は重度腎機能障害の対象で、それぞれ、算術平均[最小、最大]:6.4[3.66、9.47]、7.7[3.81、13.8]、22.2[6.74、48.3]、及び32.3[24.6、48.0]時間)。平均CL/Fは、腎不全の程度の増加に伴い低下し、軽度〜重度腎機能障害で12.1〜2.7L/hrの範囲であった(Johnson,et al.,American College of Clinical Pharmacology 4.4(2015):256−261)。
ミガラスタットクリアランスは腎機能障害の増加に伴い低下し、正常腎機能の対象と比較してミガラスタットHCl血漿t1/2、AUC0−∞、及びC48が増加する結果となった。有害事象の発生率は全ての腎機能群で同等であった。
150mgミガラスタットHClの単回経口用量後、血漿曝露量(AUC0−tとして表される)は腎機能障害の程度が増加するに従い増加した。図1Aは、CLCR値が低下するに従いミガラスタットAUC0−t値が増加することを示す。図1Bは、各腎機能群の平均(SE)血漿ミガラスタット濃度−時間プロファイルを示す。BLQ値は0として入力し、平均値の計算に含めた。
図1Cに示されるとおり、腎機能障害が悪化するに従い血漿ミガラスタットAUC0−t値が非線形的に増加する。結果から、特に重度腎機能障害の対象において、腎機能障害が悪化するに従い血漿ミガラスタットのクリアランスが低下し、結果としてt1/2が長くなり、C48値が高くなり、及び全体的な血漿曝露量(AUC0−∞)が多くなることが実証された。ミガラスタットは主に尿中に変化しないまま***される。従って、血漿ミガラスタット曝露量の増加は腎機能障害の悪化と一致する。
結論:腎機能障害の程度が増加するに従い血漿ミガラスタットクリアランスは低下した。
PK結果の概要を以下の表3に示す。
Figure 2020203886
実施例2:腎機能障害対象に対する複数回用量シミュレーション
実施例1の腎機能障害試験では、正常腎機能の対象と比べてeGFR値≦35mL/minで、曲線下面積(AUC)及びQOD用量に続く投与後48時間におけるミガラスタットのトラフ濃度(C48)の2倍〜4倍の一貫した増加が観察された。
母集団PKモデルを作成して、様々な程度の腎機能障害を有するファブリー患者におけるIC50を上回る曝露量及び時間を予測した。この例は、実施例1の腎機能障害対象への投与のコンピュータシミュレーションを提供する。重要な仮定は、腎機能障害を有する非ファブリー対象に特徴付けられる曝露量が腎機能障害を有するファブリー患者と同じであることであった。ソフトウェアプログラムはWinNonlin、バージョン5.2以上であった。モデルの条件は以下に記載する。モデリング演習にはBSA調整済みeGFRコッククロフト・ゴールト≦35mL/min/1.73mの11人の対象を組み入れた;3人は中等度腎機能障害を有したが、≧30mL/min/1.73m及び≦35mL/min/1.73mであり、及び8人は≧14mL/min/1.73m及び<30mL/min/1.73mであった。7番目の用量までに定常状態を仮定した。
単回用量データから2コンパートメントモデルを使用してVd及び消失速度定数を推定した。これらの推定値を各分子用量シミュレーションレジメンに入力した。
図2は、150mgミガラスタットHCl QODの投与レジメンの平均シミュレーションプロットを示す。以下の表4は曝露量及び蓄積比を示す。
図3は、実施例1からのAUC対C48を示す。このスティックプロットは、あらゆる腎機能レベルにわたるAUCとC48濃度の視覚的相関を提供し、これらの2つの値が良好に視覚的に相関することを実証している。
Figure 2020203886
実施例3:腎機能障害を有するファブリー患者におけるミガラスタットの薬物動態
上記のコンピュータモデリングは血漿ミガラスタット曝露のシナリオを提供するが、ファブリー患者の腎機能障害は考慮しない。即ち、データは薬力学的成分(血漿lyso−GB)を含まない。従って、2人の腎機能障害を有するファブリー患者を評価した。一方の患者(P1)は中等度腎機能障害を有したとともに、他方の患者(P2)は重度腎機能障害を有した。以下の表5は、ERT未経験ファブリー患者の試験及び実施例1の腎機能障害試験からの中等度障害の対象と比較したP1の血漿ミガラスタット濃度を示す。6ヵ月の間隔をあけてとった2組のミガラスタット濃度計測値があり、患者は過去にミガラスタットで治療されたことがあった。表6はP2についての同様の情報を示し、但し、実施例1の腎機能障害試験からの重度障害を有する患者と比較した。適用可能突然変異を有するファブリー患者においてERT未経験者試験を行い、ここではまばらな血液試料採取から母集団PKを実施した。ERT未経験者試験の結果と比較することにより、大部分が正常な、しかし一部は軽度に、及び幾人かは中等度に障害されたファブリー患者を含むファブリー母集団のPKを比較することが可能となる。重度腎機能障害を有する患者は試験から除外したため、ERT未経験者試験にこれらの患者はいなかった。
Figure 2020203886
Figure 2020203886
表5に見られるとおり、C48濃度は、49%増加したが、実施例1の中等度腎機能障害を有する非ファブリー対象と同様に留まる。Cmaxは33%増加しているが、実施例1と同様に留まる。C24は中等度腎機能障害についての実施例1と同様である。eGFRMDRDもまた、中等度機能障害の範囲内に留まる(32mL/min)。
括弧内の百分率は変動係数であり、これは比較的高く、時間0h又は時間48h濃度の変動性に対応する。この結果は、中等度腎機能障害を有する実施例1からの対象の半分が低濃度を有し、その半分が高濃度を有することに起因するものと思われる。
P1について48時間における濃度は0時間における濃度よりも高いが(3列目及び4列目)、実施例1からの中等度機能障害を有する人については、48時間における濃度は0時間と同じである。これは、P1では時間0及び時間48に別々に血液試料が採取されたことが理由である。しかしながら、実施例1では単回投与データからの反復投与モデリングシミュレーション出力を使用しており、従って値は全く同一である。
表6からも同様の傾向を見ることができる。従って、表5及び表6により、同様の腎機能障害を有するファブリー患者及び非ファブリー患者で同様のミガラスタット薬物動態が確認される。
図4は、実施例1の腎機能障害試験に対するファブリー患者の血漿ミガラスタットトラフ濃度(C48)を示す。図5は、ファブリー患者推定AUCに対する平均(SD)腎機能障害試験曝露量を示す。この図に見られるとおり、P1及びP2は非ファブリー患者における腎機能障害試験結果の一般的な傾向に従った。
以下の表7は、P1についてのLyso−GB/eGFRを示す。
Figure 2020203886
32mL/min/1.73mのeGFRに至るまでの腎機能の継続的な悪化にも関わらず、血漿lyso−GBは、前回のビジットから臨床的に関連性のある変化を示しておらず、血漿ミガラスタット濃度は中等度腎機能障害を有する非ファブリー患者で観察されるものと同様のままである。
この試験は、ファブリー患者における腎機能障害及び薬物動態の傾向が非ファブリー患者の傾向と相関することを実証している。
実施例4:腎機能障害対象に関する追加的なシミュレーション
本例は、実施例1の腎機能障害対象のミガラスタット投与の追加的なコンピュータシミュレーションを提供する。
図6A〜図6Dは、それぞれ、正常、重度、軽度及び中等度腎機能障害対象における時間に対するミガラスタット濃度のシミュレーション上の中央値及び実測値を示す。以下の表8にデータを示す:
Figure 2020203886
図7A〜図7Dは、正常、軽度、中等度及び重度腎機能障害対象についての、それぞれ、シミュレーション上のCmax、AUC、Cmin及びC48を示す。
図8A〜図8Dは、QODの定常状態予測を示す。破線はQT試験からの平均値である。図9A〜図9Dは、同じシミュレーションについての、それぞれ、Cmax、AUC、Cmin及びC48を示す。
実施例5:腎機能障害及び/又は高タンパク尿を有するファブリー患者におけるミガラスタット療法の臨床結果
上記に記載したとおり、ファブリー患者において150mgのミガラスタット塩酸塩、1日おき(QOD)を使用して幾つかの試験が実施された。一つの試験は、67人のERT未経験患者における6ヵ月の二重盲検プラセボ対照期間を含む24ヵ月試験であった。他の試験は、12ヵ月非盲検延長(OLE)を伴う57人のERT経験患者における実薬対照18ヵ月試験であった。ERT未経験者試験及びERT経験者試験の両方とも、eGFRが≧30mL/min/1.73mのファブリー患者を含んだ。これらの試験の試験デザインを図10A〜図10Bに示す。
ERT経験者試験では、主要有効性パラメータは、イオヘキソールクリアランスを使用したGFR計測値(mGFRイオヘキソール)及び慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration:CKD−EPI)式を使用したeGFR(eGFRCKD−EPI)のベースラインから18ヵ月目までの年間変化(mL/min/1.73m/年)であった。腎疾患の食事改善療法(Modification of Diet in Renal Disease)を使用したeGFR(eGFRMDRD)の年間変化もまた計算した。
ERT未経験者試験では、主要有効性パラメータは、腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体数であった。mGFRイオヘキソール、eGFRCKD−EPI及びeGFRMDRDによってもまた腎機能を評価した。
ERT未経験者試験からのデータの事後分析により、中等度腎機能障害(30〜<60mL/min/1.73m)、軽度腎機能障害(60〜<90mL/min/1.73m)、及び正常腎機能(≧90mL/min/1.73m)を有する適用可能患者についてベースライン時のeGFRに基づくサブ群におけるeGFRCKD−EPI年間変化率を調べた。ベースライン〜18/24ヵ月のeGFRCKD−EPI年間変化率を図11に示す。図11から分かるとおり、中等度腎機能障害の患者はeGFRCKD−EPI平均年間変化率±SEMが−0.7±3.97mL/min/1.73m/年であり、軽度腎機能障害の患者はeGFRCKD−EPI平均年間変化率が−0.8±1.01mL/min/1.73m/年であり、及び正常腎機能の患者はeGFRCKD−EPI平均年間変化率が0.2±0.90mL/min/1.73m/年であった。このデータは、ベースラインeGFRに関わらずミガラスタット治療による腎機能の安定化が観察されたことを示している。
ERT経験者試験からのデータの事後分析により、軽度/中等度腎機能障害(30〜<90mL/min/1.73m)及び正常腎機能(≧90mL/min/1.73m)を有する患者についてベースライン時のeGFRに基づくサブ群におけるeGFRCKD−EPI及びmGFRイオヘキソール年間変化率を調べた。ミガラスタット療法を受けている患者(適用可能突然変異を有する患者)及びERTを受けている患者のベースライン〜18ヵ月の年間変化率を、それぞれeGFRCKD−EPI及びmGFRイオヘキソールについて図12A〜図12Bに示す。図12Aから分かるとおり、正常腎機能の患者はeGFRCKD−EPI平均年間変化率が、ミガラスタット療法で−0.4mL/min/1.73m/年及びERTで−1.03mL/min/1.73m/年であった。軽度又は中等度腎機能障害の患者は、eGFRCKD−EPI平均年間変化率がミガラスタット療法で−3.33mL/min/1.73m/年及びERTで−9.05mL/min/1.73m/年であった。図12Bから分かるとおり、正常腎機能の患者はmGFRイオヘキソール平均年間変化率がミガラスタット療法で−4.35mL/min/1.73m/年及びERTで−3.24mL/min/1.73m/年であった。軽度又は中等度腎機能障害の患者はmGFRイオヘキソール平均年間変化率がミガラスタット療法で−3.51mL/min/1.73m/年及びERTで−7.96mL/min/1.73m/年であった。このデータは、ミガラスタット療法及びERTが、両方のGFR方法を用いて腎機能に対して同等の好ましい効果を有したことを示している。
ERT経験者試験からのデータの別の事後分析により、中等度腎機能障害(30〜<60mL/min/1.73m)、軽度腎機能障害(60〜<90mL/min/1.73m)、及び正常腎機能(≧90mL/min/1.73m)を有する患者についてベースライン時のeGFRに基づくサブ群におけるeGFRCKD−EPI年間変化率を調べた。ミガラスタット療法を受けている患者(適用可能突然変異を有する患者)及びERTを受けている患者についてのベースライン〜18ヵ月の年間変化率を図13に示す。図13から分かるとおり、正常腎機能の患者はeGFRCKD−EPI年間変化率平均値±SEがミガラスタット療法で−2.0±0.57mL/min/1.73m/年及びERTで−2.1±1.60mL/min/1.73m/年であった。軽度腎機能障害の患者はeGFRCKD−EPI年間変化率平均値±SEがミガラスタット療法で−0.2±1.25mL/min/1.73m/年及びERTで−7.3±6.01mL/min/1.73m/年であった。中等度腎機能障害の患者はeGFRCKD−EPI年間変化率平均値±SEがミガラスタット療法で−4.5±2.68mL/min/1.73m/年及びERTで1.3mL/min/1.73m/年であった。このデータは、患者が正常腎機能を有するか、それとも軽度腎機能障害を有するかに関わらず、ミガラスタットが腎機能を安定化させたことを示している。この分析に含まれた中等度腎機能障害患者の数は2人であるが(ERT未経験者試験の3人と比較して)、データは、何らかの形の腎機能障害を有する患者に投与したときのミガラスタットの有効性を裏付けている。
これらの試験からのデータの更なる分析により、ベースライン時の腎機能に基づくeGFRCKD−EPI年間変化率、LVMi、WBC α−Gal A活性及び血漿lyso−Gbレベルを調べた。各腎臓サブ群の結果を以下の表9に示し、ここでERT未経験者試験サブ群はeGFRMDRDに基づき、及びERT経験者試験サブ群はmGFRイオヘキソールに基づく。
Figure 2020203886
表9から分かるとおり、ERT未経験者試験では、両方の腎臓サブ群で24ヵ月目にミガラスタットによって血漿lyso−Gb及びLVMiが低下し、WBC α−Gal A活性が増加した。更に、腎機能に関わらず、ERT未経験者試験では、ミガラスタットによってベースライン〜6ヵ月目に腎間質毛細血管GL−3封入体の減少があったが(eGFR<60mL/min/1.73m、−0.39、n=3;eGFR≧60mL/min/1.73m、−0.30、n=22)、プラセボではなかった(<60、0.04、n=2;≧60、0.07、n=18)。表9はまた、ERT経験者試験において、両方の腎臓サブ群でミガラスタットによる18ヵ月間の治療中にLVMiが低下し、WBC α−Gal A活性が増加し、及びlyso−Gbが低く安定したまま留まったことも示している。表9はまた、ERT未経験試験及びERT経験者試験の両方でベースラインeGFR≧60mL/min/1.73mの患者において腎機能が安定化したことも示している。このデータは、何らかの形の腎機能障害を有する患者に投与したときのミガラスタットの有効性を更に裏付けている。
上記に記載される試験に加えて、他の患者がまた用量探索及び/又は長期延長試験などの他の試験でミガラスタット療法を受けた。幾つかの試験を完了した患者は、別個の延長試験で非盲検ミガラスタットHCl 150mg、1日おきを継続するのに適格とした。
複数の試験を完了した12人の患者を更に分析した。線形回帰を用いてベースラインからのeGFRCKD−EPIの年間変化率を計算した。この分析時点で、これらの12人の患者のミガラスタットを受けている時間の平均値は8.2(標準偏差[SD]、0.83)年であり、治療を受けている時間の中央値は8.4(範囲、6.3〜9.3)年であり、及び11人の患者が≧17ヵ月にわたってミガラスタットHCl 150mg QODを受けた。これらの12人の患者のベースライン時の人口統計学的特性を以下の表10に示す:
Figure 2020203886
これらの患者のeGFRCKD−EPIの年間変化を以下の表11に示す:
Figure 2020203886
表11から分かるとおり、これらの12人の患者の間では、全ミガラスタット治療期間(平均曝露、8.2年)にわたって腎機能は安定したままであった(eGFRCKD−EPIの年間平均変化、−0.67mL/min/1.72m[95%CI −1.32、−0.02])。腎機能はまた、ミガラスタットHCl 150mg QODを≧17ヵ月間(平均曝露、4〜5年)受けた11人の患者の分析においても安定したままであった(eGFRCKD−EPIの年間平均変化、0.24mL/min/1.72m[95%CI −1.7、2.2])。性別及びベースラインタンパク尿レベルに基づくこれらの11人の患者の腎臓転帰を以下の表12に示す:
Figure 2020203886
これらの結果は、最長9年にわたってミガラスタットで治療されたファブリー病及び適用可能突然変異を有する男性及び女性患者において腎機能の安定化が実証されたことを示している。この効果は幅広いベースラインタンパク尿範囲にわたって観察された。
ミガラスタットの使用に関する複数の試験に参加した患者に関して別の分析を実施した。ベースライン時のタンパク尿(<100、100〜1000、>1000mg/24hr)に基づき患者のeGFRCKD−EPI及びeGFRMDRDの年間変化率を計算した。ミガラスタットHCl 150mg QODを≧17ヵ月間受けた合計52人の適用可能突然変異を有するERT未経験患者を分析した。以下の表13は、これらの患者のベースラインタンパク尿及びミガラスタット治療の継続期間を示す。
Figure 2020203886
表13から分かるとおり、ほとんどの患者(67%)がベースライン時に100〜1000mg/24hのタンパク尿レベルであった;患者の23%がベースラインタンパク尿レベル<100mg/24hであり、10%がレベル>1000mg/24hであった。治療継続期間中央値は、全ベースラインタンパク尿サブ群にわたって3.5〜4.8年の範囲(最大値、5.3年)であった。
これらの患者のベースラインタンパク尿別のミガラスタット治療によるeGFRCKD−EPIの年間平均変化を以下の表14に示す。
Figure 2020203886
表14から分かるとおり、ミガラスタット治療中、ベースラインタンパク尿≦1000mg/24hのほとんどの患者でeGFRCKD−EPIは安定したままであった。ベースライン時にタンパク尿レベル>1000mg/24hの患者では、eGFRCKD−EPIの悪化が観察された。
eGFRMDRDの結果を、文献に未治療のファブリー病患者について報告されるeGFRMDRDの変化(自然歴コホート;Schiffmann R et al.Nephrol Dial Transplant.2009;24:2102−11)と比較した。以下の表15に示す:
Figure 2020203886
表15に示されるとおり、eGFRの平均年間変化は、全タンパク尿カテゴリで自然歴コホートで観察されたものと比べるとミガラスタットで治療した患者において総じて小さかった。eGFR平均値は全ての未治療サブ群で悪化したが、ベースラインタンパク尿<100mg/24h(男性)及び100〜1000mg/24h(男性及び女性)の患者においてはミガラスタットによる増加が見られた。治療に関わらず、ベースラインタンパク尿>1000mg/24hの患者ではeGFRが低下した;しかしながら、ミガラスタットで治療した患者は自然歴コホートと比較して低下が小さかった。従って、長期ミガラスタット治療は、ベースラインタンパク尿レベルに関わらず、ファブリー病及び適用可能突然変異を有する患者において概して安定した腎機能と関連付けられた。
本明細書において言及される特許及び科学論文は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に引用される全ての米国特許及び公開されている又は未公開の米国特許出願は、参照によって援用される。本明細書に引用される全ての公開されている外国特許及び特許出願は、本明細書によって参照により援用される。本明細書に引用される他の全ての公開されている参考文献、文書、論稿及び科学論文は、本明細書によって参照により援用される。
本発明は特にその好ましい実施形態を参照して図示及び説明されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなくそれらにおいて形態及び詳細の様々な変更を行い得ることを理解するであろう。

Claims (148)

  1. ファブリー病と診断された且つ腎機能障害を有する患者の腎機能を安定化させる方法であって、前記患者に有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)であり、及び前記ミガラスタット又はその塩の投与が前記患者の腎機能を安定化させるのに有効である、方法。
  2. 前記患者が軽度又は中等度腎機能障害を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者が軽度腎機能障害を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記患者が中等度腎機能障害を有する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記患者が重度腎機能障害を有する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記患者が酵素補充療法(ERT)経験患者である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記患者が酵素補充療法(ERT)未経験患者である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100mg/24hr未満のタンパク尿レベルを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記ミガラスタット又はその塩が固形剤形である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記ミガラスタット又はその塩が経口投与される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも28日間投与される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間投与される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも12ヵ月間投与される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 軽度又は中等度腎機能障害を有する患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、−1.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 軽度腎機能障害を有する患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、−1.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 中等度腎機能障害を有する患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、−1.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記患者がα−ガラクトシダーゼAにHEKアッセイ適用可能突然変異を有する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. ファブリー病と診断された且つ腎機能障害を有する患者のファブリー病を治療する方法であって、前記患者に有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)である、方法。
  24. 前記患者が軽度又は中等度腎機能障害を有する、請求項23に記載の方法。
  25. 前記患者が軽度腎機能障害を有する、請求項23に記載の方法。
  26. 前記患者が中等度腎機能障害を有する、請求項23に記載の方法。
  27. 前記患者が重度腎機能障害を有する、請求項23に記載の方法。
  28. 前記患者が酵素補充療法(ERT)経験患者である、請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記患者が酵素補充療法(ERT)未経験患者である、請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100mg/24hr未満のタンパク尿レベルを有する、請求項23〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する、請求項23〜29のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する、請求項23〜29のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記ミガラスタット又はその塩が固形剤形である、請求項23〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記ミガラスタット又はその塩が経口投与される、請求項23〜33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも28日間投与される、請求項23〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間投与される、請求項23〜35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも12ヵ月間投与される、請求項23〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記ミガラスタット又はその塩の投与が前記患者のα−ガラクトシダーゼA(α−Gal A)活性を増加させるのに有効である、請求項23〜37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記α−Gal A活性が白血球(WBC)α−Gal A活性である、請求項38に記載の方法。
  40. 前記ミガラスタット又はその塩の投与が前記患者の左室重量係数(LVMi)を低下させるのに有効である、請求項23〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記ミガラスタット又はその塩の投与が前記患者の血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso−Gb)を安定化させるのに有効である、請求項23〜40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記ミガラスタット又はその塩の投与が前記患者の腎機能を安定化させるのに有効である、請求項23〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項23〜42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項23〜43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項23〜43のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記患者がα−ガラクトシダーゼAにHEKアッセイ適用可能突然変異を有する、請求項23〜45のいずれか一項に記載の方法。
  47. ファブリー病と診断された且つ腎機能障害を有する患者の血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso−Gb)を安定化させる方法であって、前記患者に有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)であり、及び前記ミガラスタット又はその塩の投与が前記患者の血漿lyso−Gbを安定化させるのに有効である、方法。
  48. 前記患者が軽度又は中等度腎機能障害を有する、請求項47に記載の方法。
  49. 前記患者が軽度腎機能障害を有する、請求項47に記載の方法。
  50. 前記患者が中等度腎機能障害を有する、請求項47に記載の方法。
  51. 前記患者が重度腎機能障害を有する、請求項47に記載の方法。
  52. 前記患者が酵素補充療法(ERT)経験患者である、請求項47〜50のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記患者が酵素補充療法(ERT)未経験患者である、請求項47〜51のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100mg/24hr未満のタンパク尿レベルを有する、請求項47〜53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する、請求項47〜53のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する、請求項47〜53のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記ミガラスタット又はその塩が固形剤形である、請求項47〜56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記ミガラスタット又はその塩が経口投与される、請求項47〜57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも28日間投与される、請求項47〜58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間投与される、請求項47〜59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも12ヵ月間投与される、請求項47〜60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 中等度腎機能障害を有するERT未経験患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月の投与後に少なくとも約5nmol/Lの血漿lyso−Gbの平均減少をもたらす、請求項47〜61のいずれか一項に記載の方法。
  63. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項47〜62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項47〜63のいずれか一項に記載の方法。
  65. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項47〜64のいずれか一項に記載の方法。
  66. 前記患者がα−ガラクトシダーゼAにHEKアッセイ適用可能突然変異を有する、請求項47〜65のいずれか一項に記載の方法。
  67. ファブリー病と診断された且つ腎機能障害を有する患者の左室重量係数(LVMi)を低下させる方法であって、前記患者に有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)であり、及び前記ミガラスタット又はその塩の投与が前記患者のLVMiを低下させるのに有効である、方法。
  68. 前記患者が軽度又は中等度腎機能障害を有する、請求項67に記載の方法。
  69. 前記患者が軽度腎機能障害を有する、請求項67に記載の方法。
  70. 前記患者が中等度腎機能障害を有する、請求項67に記載の方法。
  71. 前記患者が重度腎機能障害を有する、請求項67に記載の方法。
  72. 前記患者が酵素補充療法(ERT)経験患者である、請求項67〜71のいずれか一項に記載の方法。
  73. 前記患者が酵素補充療法(ERT)未経験患者である、請求項67〜71のいずれか一項に記載の方法。
  74. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100mg/24hr未満のタンパク尿レベルを有する、請求項67〜73のいずれか一項に記載の方法。
  75. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する、請求項67〜73のいずれか一項に記載の方法。
  76. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する、請求項67〜73のいずれか一項に記載の方法。
  77. 前記ミガラスタット又はその塩が固形剤形である、請求項67〜76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 前記ミガラスタット又はその塩が経口投与される、請求項67〜77のいずれか一項に記載の方法。
  79. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも28日間投与される、請求項67〜78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間投与される、請求項67〜79のいずれか一項に記載の方法。
  81. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも12ヵ月間投与される、請求項67〜80のいずれか一項に記載の方法。
  82. 中等度腎機能障害を有するERT未経験患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月の投与後に少なくとも約2g/mのLVMiの平均減少をもたらす、請求項67〜81のいずれか一項に記載の方法。
  83. 中等度腎機能障害を有するERT経験患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の18ヵ月の投与後に少なくとも約2g/mのLVMiの平均減少をもたらす、請求項67〜82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項67〜83のいずれか一項に記載の方法。
  85. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項67〜84のいずれか一項に記載の方法。
  86. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項67〜84のいずれか一項に記載の方法。
  87. 前記患者がα−ガラクトシダーゼAにHEKアッセイ適用可能突然変異を有する、請求項67〜86のいずれか一項に記載の方法。
  88. ファブリー病と診断された且つ腎機能障害を有する患者の白血球(WBC)α−ガラクトシダーゼA(α−Gal A)活性を増加させる方法であって、前記患者に有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)であり、及び前記ミガラスタット又はその塩の投与が前記患者のWBC α−Gal A活性を増加させるのに有効である、方法。
  89. 前記患者が軽度又は中等度腎機能障害を有する、請求項88に記載の方法。
  90. 前記患者が軽度腎機能障害を有する、請求項88に記載の方法。
  91. 前記患者が中等度腎機能障害を有する、請求項88に記載の方法。
  92. 前記患者が重度腎機能障害を有する、請求項88に記載の方法。
  93. 前記患者が酵素補充療法(ERT)経験患者である、請求項88〜92のいずれか一項に記載の方法。
  94. 前記患者が酵素補充療法(ERT)未経験患者である、請求項88〜92のいずれか一項に記載の方法。
  95. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100mg/24hr未満のタンパク尿レベルを有する、請求項88〜94のいずれか一項に記載の方法。
  96. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する、請求項88〜94のいずれか一項に記載の方法。
  97. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する、請求項88〜94のいずれか一項に記載の方法。
  98. 前記ミガラスタット又はその塩が固形剤形である、請求項88〜97のいずれか一項に記載の方法。
  99. 前記ミガラスタット又はその塩が経口投与される、請求項88〜98のいずれか一項に記載の方法。
  100. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも28日間投与される、請求項88〜99のいずれか一項に記載の方法。
  101. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間投与される、請求項88〜100のいずれか一項に記載の方法。
  102. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも12ヵ月間投与される、請求項88〜101のいずれか一項に記載の方法。
  103. 中等度腎機能障害を有するERT未経験患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月の投与後に少なくとも約1 4MU/hr/mgのWBC α−Gal A活性の平均増加をもたらす、請求項88〜102のいずれか一項に記載の方法。
  104. 中等度腎機能障害を有するERT経験患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の18ヵ月の投与後に少なくとも約1 4MU/hr/mgのWBC α−Gal A活性の平均増加をもたらす、請求項88〜103のいずれか一項に記載の方法。
  105. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項88〜104のいずれか一項に記載の方法。
  106. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項88〜105のいずれか一項に記載の方法。
  107. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項88〜105のいずれか一項に記載の方法。
  108. 前記患者がα−ガラクトシダーゼAにHEKアッセイ適用可能突然変異を有する、請求項88〜107のいずれか一項に記載の方法。
  109. ファブリー病と診断された且つ高タンパク尿を有する患者の腎機能を安定化させる方法であって、前記患者に有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)であり、及び前記ミガラスタット又はその塩の投与が前記患者の腎機能を安定化させるのに有効である、方法。
  110. 前記患者が腎機能障害を有する、請求項109に記載の方法。
  111. 前記患者が軽度腎機能障害を有する、請求項110に記載の方法。
  112. 前記患者が中等度腎機能障害を有する、請求項110に記載の方法。
  113. 前記患者が重度腎機能障害を有する、請求項110に記載の方法。
  114. 前記患者が酵素補充療法(ERT)経験患者である、請求項109〜113のいずれか一項に記載の方法。
  115. 前記患者が酵素補充療法(ERT)未経験患者である、請求項109〜113のいずれか一項に記載の方法。
  116. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する、請求項109〜115のいずれか一項に記載の方法。
  117. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する、請求項109〜115のいずれか一項に記載の方法。
  118. 前記ミガラスタット又はその塩が固形剤形である、請求項109〜117のいずれか一項に記載の方法。
  119. 前記ミガラスタット又はその塩が経口投与される、請求項109〜118のいずれか一項に記載の方法。
  120. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも28日間投与される、請求項109〜119のいずれか一項に記載の方法。
  121. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間投与される、請求項109〜120のいずれか一項に記載の方法。
  122. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも12ヵ月間投与される、請求項109〜121のいずれか一項に記載の方法。
  123. 前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、−2.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす、請求項109〜122のいずれか一項に記載の方法。
  124. 前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、−5.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす、請求項109〜123のいずれか一項に記載の方法。
  125. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項109〜124のいずれか一項に記載の方法。
  126. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項109〜125のいずれか一項に記載の方法。
  127. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項109〜125のいずれか一項に記載の方法。
  128. 前記患者がα−ガラクトシダーゼAにHEKアッセイ適用可能突然変異を有する、請求項109〜127のいずれか一項に記載の方法。
  129. ファブリー病と診断された且つ高タンパク尿を有する患者のファブリー病を治療する方法であって、前記患者に有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)である、方法。
  130. 前記患者が腎機能障害を有する、請求項129に記載の方法。
  131. 前記患者が軽度腎機能障害を有する、請求項130に記載の方法。
  132. 前記患者が中等度腎機能障害を有する、請求項130に記載の方法。
  133. 前記患者が重度腎機能障害を有する、請求項130に記載の方法。
  134. 前記患者が酵素補充療法(ERT)経験患者である、請求項129〜133のいずれか一項に記載の方法。
  135. 前記患者が酵素補充療法(ERT)未経験患者である、請求項129〜133のいずれか一項に記載の方法。
  136. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する、請求項129〜134のいずれか一項に記載の方法。
  137. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する、請求項129〜134のいずれか一項に記載の方法。
  138. 前記ミガラスタット又はその塩が固形剤形である、請求項129〜137のいずれか一項に記載の方法。
  139. 前記ミガラスタット又はその塩が経口投与される、請求項129〜138のいずれか一項に記載の方法。
  140. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも28日間投与される、請求項129〜139のいずれか一項に記載の方法。
  141. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間投与される、請求項129〜140のいずれか一項に記載の方法。
  142. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも12ヵ月間投与される、請求項129〜141のいずれか一項に記載の方法。
  143. 前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に100〜1,000mg/24hrのタンパク尿レベルを有する患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、−2.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす、請求項129〜142のいずれか一項に記載の方法。
  144. 前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に1,000mg/24hrより高いタンパク尿レベルを有する患者群への前記有効量の前記ミガラスタット又はその塩の投与が、−5.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率をもたらす、請求項129〜143のいずれか一項に記載の方法。
  145. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項129〜144のいずれか一項に記載の方法。
  146. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項129〜145のいずれか一項に記載の方法。
  147. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項129〜146のいずれか一項に記載の方法。
  148. 前記患者がα−ガラクトシダーゼAにHEKアッセイ適用可能突然変異を有する、請求項129〜147のいずれか一項に記載の方法。
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