JP2020191831A - 腸管バリア機能回復用食品組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】破綻した腸管バリア機能を回復させる、腸管バリア機能回復用食品組成物および、腸管バリア機能回復方法を提供すること。【解決手段】乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris) H−61株(NITE P−92)の死菌体を含有し、IL−8発現抑制作用を有することを特徴とする、腸管バリア機能回復用食品組成物。【選択図】図3

Description

本発明は、腸管バリア機能回復用食品組成物および、腸管バリア機能回復方法に関する。
腸管は、食品中に含まれる各種栄養素を取り込むための吸収機能、有害微生物や毒素、アレルゲン等から生体を守るバリア機能、管腔側からの刺激を受容し、その情報を基底膜側に伝える情報伝達機能の3つの機能を有している。中でも、腸管のバリア機能は、物理的バリア、環境バリアそして生物学的バリアの3つに大別されている。物理的バリアとして、腸管上皮細胞同士の接着に関わる装置でもあるタイトジャンクションや粘液層、環境バリアとして腸内細菌、生物学的バリアとして抗菌ペプチドや免疫細胞が挙げられる。腸管のバリア機能が正常に保たれると、腸管上皮細胞がタイトジャンクションにより密着して整然と並び、腸管管腔側には粘液や抗菌ペプチドが豊富に存在することで、腸内細胞や異物が腸管上皮細胞と過度に接触しないようになる。反対に、腸管のバリア機能が破綻すると、腸管管腔側に存在する微生物や異物が粘膜固有層側まで流入してしまい、過度な接触により免疫反応が惹起されるほか、病原細菌が血流により各臓器に運ばれ、感染拡大が引き起こされる。
すなわち、腸管のバリア機能を維持することはもとより、腸管のバリア機能が破綻した場合に、そのバリア機能を回復させることは、健康を維持する観点から非常に重要である。
一方、乳酸菌は、様々な作用を有することが昔から知られており、近年はプロバイオティクスとして消化管内の細菌叢の改善による整腸効果、免疫力向上効果、抗腫瘍効果などの種々の健康保持効果を有することから、人類にとって健康に深く関わる有用な微生物資源として利用されている。
中でも、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス(Lactococcuslactis subsp.cremoris)H−61株(NITE P−92)(以下、「乳酸菌H61株」という。)は、老化実験用のマウスを用いた試験から、骨密度の減少や皮膚潰瘍発生などの老化抑制効果を有することが報告(特許文献1)されている。また、乳酸菌H61株の加熱処理菌体を摂取することにより、50〜60歳代の肌への保湿効果を向上することも報告(非特許文献1)されている。さらに、乳酸菌H61株またはその抽出物は、メラニン産生抑制効果、育毛・発毛効果と脱毛抑制効果を有することも報告(特許文献2)されている。このように、乳酸菌H61株は、様々な健康効果を有する機能性乳酸菌である。
特開2006−256993号公報 特開2015−098442号公報
日本畜産学会報、2012年、83巻、307〜11頁
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたものであり、破綻した腸管バリア機能を回復させる、腸管バリア機能回復用食品組成物および、腸管バリア機能回復方法を提供することを目的とする。そこで、本発明者は、ヒト大腸がん由来の細胞株である「Caco−2細胞」を用いた正常な腸管モデルに、炎症誘導因子であるTNF−αを加えて、人為的に腸管バリア機能を破綻させた状態を作り出し、この状態を改善しうる乳酸菌を見出す手法を用いることとした。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、乳酸菌H61株が、破綻した腸管バリア機能を回復させる機能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)H−61株(NITE P−92)の死菌体を含有し、IL−8発現抑制作用を有することを特徴とする、腸管バリア機能回復用食品組成物。
2.乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)H−61株(NITE P−92)の死菌体に、IL−8発現抑制作用を発揮させることを特徴とする、腸管バリア機能回復方法。
本発明によれば、破綻した腸管バリア機能を回復させて、腸管のバリア機能を正常な状態に戻すことが出来る。これにより、炎症性腸疾患など、腸管バリア機能の破綻が原因と考えられる各種疾患の治療に寄与することが可能となる。
また、回復した腸管バリア機能を正常な状態に維持するため、腸管バリア機能の破綻に基づく疾病を、未然に予防することも可能となり有用である。
予備試験(細胞生存率測定試験)の結果を示す図である。 予備試験(細胞生存率測定試験)の細胞写真像を示す図である。 本試験(被験菌体細胞毒性試験)におけるTNF−α処理条件の結果を示す図である。 本試験(被験菌体細胞毒性試験)におけるTNF−α無処理条件の結果を示す図である。
以下、本発明の腸管バリア機能回復用食品組成物および、腸管バリア機能回復方法について、詳細に説明する。
<乳酸菌H61株について>
本発明の「乳酸菌H61株」である、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)H−61株は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が見出し、経口投与による老化抑制剤として既に特許(特許第4604207号)を取得している乳酸菌株である。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構は、この「乳酸菌H61株」を独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託しており、その受託番号はNITE P−92である。また、この「乳酸菌H61株」は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構により実施許諾された事業者により、食品形態として、また加熱処理などの方法により殺菌した死菌体粉末として、市販されている。
本発明の「乳酸菌H61株」は、栄養要求性を満たす培養培地によって培養できる。このような培地として、例えば、MRS培地等が挙げられる。菌体としては、このような培地を用いて培養した乳酸菌培養液から取り出した菌体のみならず、培養終了後の乳酸菌培養液をそのまま、あるいは培地を濃縮した濃縮物として使用することもできる。「乳酸菌H61株」は、生菌または死菌のいずれであってもよく、生菌体、湿潤菌体、乾燥菌(噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、ドラム乾燥等)として用いられる。また、使用用途の汎用性観点からは、取り出した菌体に殺菌すなわち放射線殺菌処理、加熱処理等を施した死菌を用いるのが好ましく、用途によっては生菌を用いてもよい。そして、生菌、死菌を問わず、取り出した菌体や培養液、濃縮物を、再び適当な媒体に懸濁させた懸濁液としても使用できる。媒体としては、培養用の培地、水、生理食塩水が例示される。
さらに、「乳酸菌H61株」を用いて発酵させた発酵物として使用してもよい。発酵物としては、たとえば、乳酸菌飲料、酸乳、発酵乳、ヨーグルト等が挙げられる。また、本発明では、「乳酸菌H61株」に何らかの処理を施した乳酸菌処理物として含ませてもよい。乳酸菌処理物としては、例えば、「乳酸菌H61株」の菌体、「乳酸菌H61株」含有物、発酵乳の濃縮物、ペースト化物、乾燥物など、「乳酸菌H61株」の菌体や菌体含有物を適当な装置を用いて破砕した破砕物、粉砕した粉砕物などが挙げられる。なお、前記「乳酸菌H61株」処理物とは、菌体の特定構成部分を取り出した処理物ではなく、菌体の全体を使用したものを意味する。
<IL−8発現抑制作用について>
インターロイキン8「IL−8」は、CXCケモカインファミリーに属する、分子量8KDaの塩基性ポリペプチドであり、白血球の一種である好中球を活性化するサイトカインである。IL−8は、好中球の活性化を行なう他、Tリンパ球の走化性誘導等の作用も有する。IL−8は、LPS、クレスチンなどのマイトゲンや、IL−1、TNF−αなどの炎症性サイトカインなどの刺激によって、末梢血単球、組織マクロファージ、NK細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞など種々の細胞から産生されることが知られている。
炎症性サイトカインのほか、病原微生物、過酸化物、重金属などにより、腸管上皮細胞が傷害を受けると、その周囲の免疫細胞が活性化され、上皮層の修復や原因となる異物の排除が行われるが、この免疫応答が過剰になると、腸管組織に炎症が生じることになる。このように、腸管上皮細胞の炎症性サイトカインの産出は、炎症反応の重要な要因の1つである。
様々な要因により刺激された腸管上皮細胞は、IL−8のようなケモカインの産生量を増大させる。IL−8の分泌亢進は、好中球などの免疫細胞を誘引し、患部に集まった免疫細胞が多量の炎症性サイトカインを放出することによって、炎症がさらに加速するというプロセスが進行する。
本発明は、このIL−8の発現を抑制する作用を発揮するため、白血球の一種である好中球の活性化が抑制され、炎症性サイトカインの放出が低減される。この結果、腸管における炎症が軽減するという効果が得られるものである。
<腸管バリア機能回復について>
腸管バリア機能の1つであるタイトジャンクションは、腸管上皮細胞同士の接着に関わる装置として、腸管上皮細胞間の物質の通過を制御している。このタイトジャンクションは、正常時は、必要な物質だけを血管や腸管内に取り込み、不要な物質は遮断する機能を発揮するが、傷害を受けると、本来は取り込まない細菌や蛋白質が血中に流入し、様々な免疫応答が起きて炎症につながる。このような状態を、腸管透過性亢進という。
本発明における腸管のバリア機能の回復とは、この腸管透過性亢進の状態からの回復を意味し、正常な状態に戻すことのみならず、質的に正常な状態に近づけることも含め意味する。また、回復には、腸管透過性亢進の状態から回復するまでの回復期間を短くする回復の促進、すなわち、自然治癒よりも早期に正常な状態に回復させることをも含む意味で用いられる。
<食品組成物について>
本発明における食品組成物とは、本発明の有効成分である「乳酸菌H61株」の菌体(生菌、死菌)を含むように調製された、「乳酸菌H61株」の菌体成分を人工的に加えた加工食品を意味するものであり、本発明の「乳酸菌H61株」を用いて得られた食品はもちろんのこと、通常の工程で得られた場合に比べて、本発明の「乳酸菌H61株」含有量が同等若しくはそれ以上に高められた食品組成物を意味する。
本発明の食品組成物は、具体的には、例えば、既存の食品、例えば、牛乳やヨーグルト、チーズ、発酵乳、豆腐、おかゆ、くず湯、お茶や果汁などからなる清涼飲料水、パン、ビスケット、クラッカー、ピッツァクラスト、調製粉乳、流動食、病者用食品、幼児用粉乳、授乳婦用粉乳等の食品(粉ミルクなど生物学的規格を有するものを含む)、栄養食品など、各種食用素材を原料にして製造された食品が挙げられる。さらに、これらの食品の製造時に「乳酸菌H61株」を添加したもののみならず、経腸栄養剤等のように、各種タンパク質(全脂粉乳、脱脂粉乳、部分脱脂粉乳、カゼイン、ホエー粉、ホエイタンパク質、ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質分離物、α−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、ラクトフェリン、鶏卵タンパク質、肉タンパク質等の動物性タンパク質、大豆タンパク、えんどう豆タンパク、米タンパク、小麦タンパク等の植物性タンパク質など)、各種糖質(グルコースやフラクトース等の単糖類、ショ糖などの二糖類、キシリトールやグリセリンなどの多価アルコール、デキストリン、加工澱粉(デキストリンのほか、可溶性澱粉、ブリティッシュスターチ、酸化澱粉、澱粉エステル、澱粉エーテル等)、食物繊維などの多糖類など)、各種脂質(ラード、魚油等、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の動物性油脂や、大豆油、ヤシ油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ヤシ油、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の植物性油脂など)、各種ビタミン(ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸など)や各種ミネラル(カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレンなど)、有機酸(リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸など)などの各種栄養素を任意の割合で混合し、そのまま、あるいはさらにそれらの混合物にゲル化剤を加え、嚥下しやすい程度に粘度を調製した食品組成物も例示できる。
また、本発明の食品組成物には、食品衛生法や食品表示法、健康増進法などの食品関連法規によって定められた保健機能食品、すなわち、腸管のバリア機能の保護、腸管透過性の亢進抑制作用、腸管透過性の亢進回復作用等、本発明の作用に基づく効能や健康の維持増進効用を示す表現を標榜可能とする食品や錠剤、カプセルなどサプリメント形態の食品も含まれる。
本発明において、「乳酸菌H61株」の菌体を用いる場合、年齢や性別、体重、症状あるいは使用目的によって異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、成人のヒトにおける1日摂取量は、生菌、死菌に関係なく総菌体数として1×10〜1×1015個、好ましくは1×10〜1×1013個で用いることができる。また、菌体濃度はその使用態様、つまり菌体そのものとして用いるか懸濁液として用いるかなどによって異なり、特に限定されるものではないが、例えば、0.001〜100%(w/w)、好ましくは0.01〜100%(w/w)、さらに好ましくは0.1〜100%(w/w)である。また、乳酸菌発酵物や処理物などとして用いる場合には、菌体に換算して上記範囲として使用するのが好ましい。
本発明の腸管バリア機能回復用食品組成物は、何らかの原因により腸管バリアの機能が低下し、腸管透過性亢進の状態となっている者に、その治療・改善のために用いられる。さらに、本発明の腸管バリア機能回復用食品組成物により、腸管バリアの機能が回復した者に対しても、再び腸管バリアの機能が低下することを未然に防ぐことを目的として用いることもできる。
本発明の腸管バリア機能回復用食品組成物の摂取時は、食前や食後、食間のいずれでも良く、食事の一品目として、あるいはその素材として食事の際に、また、おやつ、サプリメント、栄養補助食品等として食事の間に摂取されることが好ましいが、この限りではない。
以下、本発明の腸管バリア機能回復用食品組成物の調製例や、腸管バリア機能の回復試験等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
<被験菌体の調製>
「乳酸菌H61株」を30℃条件下で、下記表1に示す組成の液体培地を用いて24時間培養した。培養後、遠心分離(条件:室温、8,000×g、連続式)して、液体部分を捨て、減菌水で洗浄後、再度遠心分離により菌体を回収することにより培地を取除いた。遠心分離で回収した菌体を減菌水に再度懸濁した後、乾燥時の助剤目的でデキストリンを加え、90℃〜100℃で20分間加熱して殺菌処理を行った。殺菌処理後この懸濁液をそのままフリーズドライにより乾燥を行って、「乳酸菌H61株」の死菌体粉末とした。
前記死菌体粉末を血球盤計測法により総菌体数を測定した結果は、7×1011個/グラムであった。
<予備試験(細胞生存率測定試験)>
Caco−2細胞(理研バイオソース研究センター製)を14日間培養して、腸管上皮細胞に分化させた後、24時間被験菌体で処理し、細胞の生存率を測定した。培養培地として、20%牛胎児血清(FBS、Sigma−Aldrich社製)、1%非必須アミノ酸溶液(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)および1%ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(ナカライテスク社製)を含有するイーグル培地(MEM、ナカライテスク社製)を用いた。
詳しくは、Caco−2細胞は、培地を用いて細胞培養フラスコ(T−75)に起眠し、二酸化炭素インキュベーター(37℃、5%二酸化炭素、湿潤、以下同様)で培養した。3日に1回培地を交換し、70%コンフルエントに増殖した時点で、0.25%トリプシン−EDTA溶液(ナカライテスク社製)を用いて、細胞を剥離し、中和、遠心後、増殖培地を用いて96ウェルプレートに10,000cells/100μL/ウェルで播種した。2〜3日に1回培地交換を行い、合計14日間、二酸化炭素インキュベーターで培養した。
次いで、被験菌体添加培地(6濃度:0.0001、0.001、0.01、0.1、1、10mg/mL)と非添加コントロール培地100μLに交換し、二酸化炭素インキュベーターで24時間培養し、被験菌体処理を行った。
培養後、WST−8法により生細胞数測定を行った。すなわち、生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク社製)を1/10量添加した培地(100μL)に交換し、二酸化炭素インキュベーターでインキュベートし、30分後および90分後に、プレートリーダー(VARIOSKAN FLASH、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、吸光度(450nm、参照波長630nm)を測定し、60分間あたりの吸光度差を相対性細胞数とした。結果を表2と図1に示す。図2に細胞の位相差顕微鏡写真像を示す。
(統計解析について)
被験菌体非添加群と添加群との差を、スチューデントのt検定を用いて検討した。有意水準は、両側5%とし、図表に示した。(P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。
表2、図1に示すとおり、全ての濃度で細胞生存率の低下は見られなかった。また、図2より、被験菌体0.1mg/mL以上で、比較的多くの被験菌体の沈着がみられた。
この予備試験の結果より、被験菌体の沈着が見られない0.01mg/mL以下の3濃度(0.0001、0.001、0.01mg/mL)で本試験を行うこととした。
<本試験(被験菌体細胞毒性試験)>
Caco−2細胞を14日間培養して、腸管上皮細胞に分化させ、3時間被験菌体で前処理した後、被験菌体存在下でTNF−α(R&D SYSTEM社製)処理を行い、培養上清中IL−8量をERISA法で測定した。
詳しくは、Caco−2細胞は、培地を用いて細胞培養フラスコ(T−75)に起眠し、二酸化炭素インキュベーター(37℃、5%二酸化炭素、湿潤、以下同様)で培養した。3日に1回培地を交換し、70%コンフルエントに増殖した時点で、0.25%トリプシン−EDTA溶液(ナカライテスク社製)を用いて、細胞を剥離し、中和、遠心後、増殖培地を用いて96ウェルプレートに10,000cells/100μL/ウェルで播種した。2〜3日に1回培地交換を行い、合計14日間、二酸化炭素インキュベーターで培養した。
次いで、被験菌体添加培地(3濃度:0.0001、0.001、0.01mg/mL)と非添加コントロール培地100μLに交換し、二酸化炭素インキュベーターで3時間培養し、被験菌体処理を行った。
続いて、TNF−α(100ng/mL)添加/非添加培地に交換し、二酸化炭素インキュベーターで3時間培養し、TNF−αおよび被験菌体処理を行った。
培養後、培養上清を回収し、培養上清中IL−8量をERISA法により解析した。方法は、ERISAキット(R&D SYSTEM社製)付属のプロトコルに従った。スタンダードの吸光度から検量線を作成し、培養上清中のIL−8濃度を算出した。結果を表3と図3(TNF−α処理結果)、表4と図4(TNF−α無処理結果)に示す。
(統計解析について)
TNF−α無処理群と処理群との差を、スチューデントのt検定を用いて検討した。有意水準は、両側5%とし、図表に示した。(P<0.05、##P<0.01、###P<0.001)。グラフは平均値±標準誤差で示した。
表3、図3に示すとおり、TNF−α処理によりIL−8量が顕著に増加し、TNF−α処理による腸管炎症誘導が確認された。次に、被験菌体である「乳酸菌H61株」処理群における、「乳酸菌H61株」0.01mg/mL処理群においては、IL−8量が有意に低下することが確認された(P=0.013)。
一方、表4、図4に示すとおり、TNF−α無処理群では、被験菌体はIL−8量に影響しなかった。
これらの結果より、「乳酸菌H61株」は、腸管上皮細胞における炎症を抑制すること、すなわち、破綻した腸管バリア機能を回復させる機能を有することが明らかとなった。
本発明の腸管バリア機能回復用食品組成物は、破綻した腸管バリア機能を回復させて、腸管のバリア機能を正常な状態に戻すことが出来る。これにより、炎症性腸疾患など、腸管バリア機能の破綻が原因と考えられる各種疾患の治療に寄与することが可能となる。また、回復した腸管バリア機能を正常な状態に維持するため、腸管バリア機能の破綻に基づく疾病を、未然に予防することも可能となり有用である。

Claims (2)

  1. 乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris) H−61株(NITE P−92)の死菌体を含有し、IL−8発現抑制作用を有することを特徴とする、腸管バリア機能回復用食品組成物。
  2. 乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)H−61株(NITE P−92)の死菌体に、IL−8発現抑制作用を発揮させることを特徴とする、腸管バリア機能回復方法。

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