以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明においては、便宜上、図中の上方及び下方を、上方及び下方として言及する。
図1及び図2を参照して、一実施形態に係るロボットシステム10について説明する。ロボットシステム10は、制御部12、ロボット14、視覚センサ15、及びロボットハンド50を備える。制御部12は、例えばプロセッサ(CPU、GPU等)及びメモリ(ROM、RAM等)を有し、ロボット14、視覚センサ15、及びロボットハンド50を制御する。
本実施形態においては、ロボット14は、垂直多関節ロボットであって、ベース部16、旋回胴18、ロボットアーム20、及び手首部22を有する。ベース部16は、作業セルの床の上に固定されている。旋回胴18は、鉛直軸周りに旋回可能となるようにベース部16に設けられている。
ロボットアーム20は、旋回胴18に回動可能に設けられた下腕部24と、該下腕部24の先端部に回動可能に設けられた上腕部26とを有する。手首部22は、上腕部26の先端に設けられ、ロボットハンド50を回転可能に支持する。
ロボット14は、複数のサーボモータ28(図2)を内蔵する。これらサーボモータ28は、ベース部16、旋回胴18、ロボットアーム20、及び手首部22にそれぞれ内蔵され、制御部12からの指令に応じて、旋回胴18、ロボットアーム20、及び手首部22を駆動する。
視覚センサ15は、例えば3次元視覚センサであり、CCD又はCMOS等の撮像センサ、フォーカスレンズ等の光学レンズ、及び画像処理プロセッサ等を有する。本実施形態においては、視覚センサ15は、後述するように、ロボットハンド50に設置されており、ロボット14によって移動される。視覚センサ15は、制御部12からの指令に応じて被写体を撮像し、該被写体の位置及び姿勢を検出する。
ロボット14に対して、ロボット座標系CRが設定される。本実施形態においては、ロボット座標系CRは、その原点がベース部16の中心に配置され、且つ、そのz軸方向が鉛直方向と平行となるように、設定されている。したがって、旋回胴18は、ロボット座標系CRのz軸周りに旋回される。
制御部12は、ロボット座標系CRを基準として旋回胴18、ロボットアーム20、及び手首部22を動作させて、ロボットハンド50を、ロボット座標系CRにおける目的の位置及び姿勢に配置させる。
ロボットハンド50は、手首部22の先端部に取り付けられている。以下、図3〜図9を参照して、ロボットハンド50について説明する。ロボットハンド50は、第1のベース部52、第2のベース部54、複数の把持機構56、第1の移動駆動部58、第2の移動駆動部59(図5、図6)、及び、1つの把持駆動部60(図5、図6)を備える。
第1のベース部52は、手首部22の先端部22aに着脱可能に取り付けられている。上述の視覚センサ15は、取付具62を介して、第1のベース部52の側面52aに固定されている。第1のベース部52には、該第1のベース部52を上下方向へ貫通する長孔63が形成されている。
第2のベース部54は、第1のベース部52の下側に配置されている。図4、図5、及び図7に示すように、第2のベース部54は、中心軸線A1を有する筒状部材であって、軸線A1周りに回転可能となるように、第1のベース部52に設けられている。第2のベース部54は、軸線A1の方向から見て、八角形の外形を有し、八角形の各辺を画定する8個の平面64を有する。これら平面64は、軸線A1の周囲に連なって、第2のベース部54の八角形の外周面を画定する。
第2のベース部54には、中心孔66と、複数の貫通孔68(図3〜図5)とが形成されている。中心孔66は、第2のベース部54を軸線A1の方向へ貫通するように形成されている。各々の貫通孔68は、各々の平面64で開口するように配置され、第2のベース部54を径方向へ貫通するように形成されている。
本実施形態においては、計8個の把持機構56が、第2のベース部54の平面64に1つずつ設置されている。以下、図8及び図9を参照して、把持機構56について説明する。把持機構56は、力伝達部材70、スライダベース72、スライダ74、運動変換機構76、シリンダハウジング78、把持部80、及び把持部駆動機構82を有する。
本実施形態においては、力伝達部材70は、中心軸線A2を有する円柱状のギアであって、その外周部には、軸線A2周りの方向へ整列する複数の歯部が形成されている。力伝達部材70は、軸線A2周りに回転可能となるように、スライダベース72に支持されている。この軸線A2は、第2のベース部54の軸線A1と平行である。
スライダベース72は、軸線A2の方向へ延在する略四角柱状の中空部材である。スライダベース72の両側部には、軸線A2の方向へ直線状に延在する一対のレール部83が形成されている。
スライダ74は、軸線A2の方向へ摺動可能となるようにスライダベース72に設けられている。具体的には、スライダ74は、本体部74aと、該本体部74aに一体に固設された一対の係合部74bとを有する。一対の係合部74bは、一対のレール部83とそれぞれ摺動可能に係合している。これにより、スライダ74は、スライダベース72から脱落することなく、軸線A2の方向へ摺動することができる。
運動変換機構76は、スライダベース72の内部に収容されている。運動変換機構76は、力伝達部材70とスライダ74とに機械的に連結され、力伝達部材70の軸線A2周りの回転を、スライダ74の軸線A2の方向への往復動に変換する。例えば、運動変換機構76は、ボールねじ機構を有する。
シリンダハウジング78は、軸線A3に沿って延在する筒状部材であって、スライダ74の本体部74aから下方へ延出するように該本体部74aに固定されている。この軸線A3は、力伝達部材70の軸線A2(すなわち、軸線A1)と平行である。
把持部80は、開閉可能な一対の爪84を有する。これら爪84は、軸線A3に対して接近及び離反する方向へ移動可能となるように設けられている。把持部80は、爪84の間に物体を挟持することによって、該物体を把持することができる。
把持部駆動機構82は、爪84を開閉する。具体的には、把持部駆動機構82は、爪84を開閉する動力を発生させる爪駆動部(図示せず)と、爪駆動部が生じさせた動力を爪84の開閉運動に変換する運動変換機構86を有する。
爪駆動部は、例えば空圧式若しくは油圧式のシリンダ、又はサーボモータを有する。爪駆動部は、制御部12からの指令に応じて、爪84を開閉させる。この爪駆動部に動力(圧縮流体、又は電力)を供給するためのケーブル類は、第2のベース部54の貫通孔68を通して該第2のベース部54の中心孔66内に引き入れられ、該中心孔66を通って外部へ配線される。
図8に示す状態においては、把持部80は、後退位置に配置されている。この状態から、力伝達部材70に駆動力を与えて該力伝達部材70を軸線A2周りへ回転させると、該駆動力は、運動変換機構76を介してスライダ74に伝達され、スライダ74、シリンダハウジング78、把持部駆動機構82、及び把持部80を一体的に前進させる。その結果、把持部80は、図9に示す前進位置に配置される。
一方、図9に示す状態から、力伝達部材70に駆動力を与えて該力伝達部材70を軸線A2周りへ逆転させると、該駆動力がスライダ74に伝達され、スライダ74、シリンダハウジング78、把持部駆動機構82、及び把持部80を一体的に後退させる。その結果、把持部80は、図8に示す後退位置に復帰する。
このように、力伝達部材70は、運動変換機構76、スライダ74、シリンダハウジング78、及び把持部駆動機構82を介して、把持部80に機械的に接続され、与えられた駆動力を把持部80へ伝達する。
図3〜図5を参照して、第1の移動駆動部58は、第1のベース部52の上面52bに固定されている。第1の移動駆動部58は、例えばサーボモータを有し、制御部12からの指令に応じて、第2のベース部54を第1のベース部52に対して軸線A1周りに回転させる。
図5及び図6を参照して、把持駆動部60は、軸線A4の方向へ移動可能となるように、第1のベース部52に形成された長孔63に配置されている。軸線A4は、第2のベース部54の軸線A1(又は、軸線A2及びA3)と直交し、長孔63は、軸線A4に沿って長尺に延在している。
把持駆動部60は、例えばサーボモータを有し、制御部12からの指令に応じて、その出力シャフト60a(図6)を回転させる。出力シャフト60aの先端には、ギア88が固設されている。把持駆動部60の下側には、支持プレート90が取り付けられており、把持駆動部60は、支持プレート90の上に固定されている。支持プレート90には、貫通孔90a(図6)が形成され、出力シャフト60aは該貫通孔90aを通過し、ギア88は支持プレート90の下側に離隔して配置されている。
第2の移動駆動部59は、第1のベース部52の下面52cから下方へ延出する突出部52dに固定され、第1のベース部52の下側に配置されている。第2の移動駆動部59は、例えば空圧式又は油圧式のシリンダを有し、軸線A4に沿って延びる出力シャフト59aを有する。該出力シャフト59aの先端は、支持プレート90に固定されている。
第2の移動駆動部59は、制御部12からの指令に応じて、出力シャフト59aを軸線A4に沿って進退させる。この動作に伴って、支持プレート90及び把持駆動部60も、軸線A4に沿って進退される。
図5〜図7は、把持駆動部60が脱離位置に配置されている状態を示す。この状態においては、把持駆動部60の出力シャフト60aに固設されたギア88は、作動位置Bに配置された1つの把持機構56の力伝達部材70から脱離する。ここで、「作動位置」とは、把持駆動部60が後述する係合位置に配置されたときに、把持機構56の力伝達部材70が該把持駆動部60のギア88と係合可能となる、該把持機構56の軸線A1周りの位置を示す。
図5〜図7に示す状態から、第2の移動駆動部59が把持駆動部60を、図中の矢印Cの方向へ軸線A4に沿って移動させると、把持駆動部60は、図10及び図11に示す係合位置に配置される。該把持駆動部60が係合位置に配置されたとき、該把持駆動部60に設けられたギア88は、作動位置Bに配置された把持機構56の力伝達部材70と係合する。
このようにギア88と力伝達部材70とが係合したときに、把持駆動部60がギア88を回転させると、ギア88から力伝達部材70に駆動力が与えられ、該力伝達部材70を軸線A2周りへ回転させる。その結果、上述したように該駆動力が把持部80に伝達され、該把持部を進退させることになる。こうして、作動位置Bに配置された把持機構56は、把持駆動部60によって駆動される。
次いで、第2の移動駆動部59は、把持駆動部60を、図6及び図7に示す脱離位置へ復帰させ、第1の移動駆動部58は、第2のベース部54を第1のベース部52に対して、軸線A2周りへ45°だけ回転させる。そうすると、8個の把持機構56が把持駆動部60に対して軸線A2周りへ回転移動し、直前まで作動位置Bに配置された把持機構56と軸線A2周りの方向に隣接する他の把持機構56が、新たに作業位置Bに配置されることになる。
そして、第2の移動駆動部59は、把持駆動部60を係合位置まで移動させ、該把持駆動部60のギア88を、該他の把持機構56の力伝達部材70と係合させる。そして、把持駆動部60は、該他の把持機構56の力伝達部材70に駆動力を与えて、該他の把持機構56の把持部80を進退させる。
このように、本実施形態においては、把持駆動部60のギア88は、8個の把持機構56から選択した1つの把持機構56(すなわち、作動位置Bに配置した把持機構56)の力伝達部材70と係合する。換言すれば、把持駆動部60のギア88は、8個の把持機構56の力伝達部材70の各々と選択的に係合する。
そして、第1の移動駆動部58及び第2の移動駆動部59は、把持駆動部60のギア88を、各々の把持機構56に選択的に係合させるように、把持駆動部60と8個の把持機構56とを相対的に移動させている。したがって、第1の移動駆動部58及び第2の移動駆動部59は、把持駆動部60と複数の把持機構56とを相対的に移動させる移動機構92を構成する。
このように、本実施形態に係るロボットハンド50においては、1つの把持駆動部60を複数の把持機構56の力伝達部材70と選択的に係合させて、1つの把持駆動部60によって各々の把持部80を駆動している。この構成によれば、把持部80を駆動するための駆動部を複数設ける必要がなくなることから、ロボットハンド50の重量を低減できるとともに、製造コストを削減できる。
また、ロボットハンド50を用いて、後述するワイヤハーネスのコネクタを把持部80で取り上げる動作、又は、把持した該コネクタの相手側コネクタへの接続する動作を実行する場合に、制御部12は、作業位置Bに配置された1つの把持部80の位置及び姿勢(例えば、軸線A3の位置及び姿勢)を制御するだけでよい。したがって、制御対象のコンポーネントを低減することができるので、制御のためのロボットプログラムを簡易化できる。
次に、図12を参照して、ロボットハンド50を用いてワイヤハーネス100をハンドリングする方法について説明する。本実施形態においては、ワイヤハーネス100は、図13に示すように、略矩形の外形を有する計7個のコネクタ102と、これらコネクタ102を互いに接続する線条体104とを有する。
線条体104の所定位置には、標識106が付されている。この標識106は、例えば、線条体104に刻印されたマークであってもよいし、又は、線条体104とは別体として設けられ、該線条体104に貼着されたシールであってもよい。
図12に示すフローは、制御部12が、オペレータ、上位コントローラ、又はコンピュータプログラムから、ハンドリング開始指令を受け付けたときに、開始される。図12に示すフローの開始時点においては、8個の把持機構56から選択された1つの把持機構56が、作動位置Bに配置されている。また、把持駆動部60が係合位置に配置されており、これにより、把持駆動部60のギア88が、選択された該1つの把持機構56の力伝達部材70と係合している。
図12に示すフローが開始されたとき、ワイヤハーネス100は、オペレータ又は他のロボットによって、ロボットハンド50から離れた所定の載置場所に置かれる。このとき、ワイヤハーネス100のコネクタ102は、治具等によって固定されてもよいし、または、固定されることなく置かれてもよい。
ステップS1において、制御部12は、把持対象となるコネクタ102及び線条体104の位置を取得する。具体的には、制御部12は、ロボット14を動作させて、ワイヤハーネス100が視覚センサ15の視野に入るように、視覚センサ15(すなわち、ロボットハンド50)を移動させる。
次いで、制御部12は、視覚センサ15に撮像指令を送信する。視覚センサ15は、撮像指令を受信すると、ワイヤハーネス100の画像を撮像し、撮像した画像を画像解析して、コネクタ102と標識106とを特定する。
そして、視覚センサ15は、特定したコネクタ102のロボット座標系CRにおける位置及び姿勢の情報と、標識106のロボット座標系CRにおける位置の情報とを含む、把持対象の位置情報を取得し、制御部12へ送信する。こうして、制御部12は、視覚センサ15から把持対象となるコネクタ102及び線条体104の位置を取得し、メモリに記憶する。
なお、ワイヤハーネス100のコネクタ102及び線条体104が、例えば治具等によって、ロボット座標系CRにおける既知の位置に位置決めされている場合は、制御部12は、視覚センサ15によってワイヤハーネス100を撮像する必要がない。
この場合、各々のコネクタ102及び線条体104のロボット座標系CRにおける位置情報が、制御部12のメモリに予め記憶される。そして、制御部12は、このステップS1において、把持対象となるコネクタ102及び線条体104の位置情報をメモリから読み出して取得する。したがって、この場合、視覚センサ15を省略できる。
ステップS2において、制御部12は、把持対象のコネクタ102及び線条体104を把持する順番を決定する。具体的には、制御部12は、ステップS1で取得した位置情報から、コネクタ102及び標識106を把持対象として認識し、コネクタ102及び線条体104を把持する順番を決定する。
一例として、制御部12は、線条体104の一端104aから他端104bへ向かう方向に沿って、図13中の番号1〜8で示すように、コネクタ102及び標識106を把持する順番を決定する。この例においては、番号n(nは1〜7の整数)が付された把持対象(コネクタ102又は標識106)と、番号n+1が付された把持対象(コネクタ102又は標識106)とは、互いに隣接している。
図12に示すように、制御部12は、後述するステップS5でYESと判定するまで、ステップS3〜S6をループする。ステップS3において、制御部12は、ロボットハンド50を位置決めする。具体的には、制御部12は、ロボット14を動作させて、把持対象のコネクタ102又は標識106が、このステップS3の開始時点で作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80の移動範囲内に位置するように、ロボットハンド50を把持対象に対して位置決めする。
ここで、制御部12は、作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80が物体を把持するときの把持位置の、ロボット手先部(手首部22)に対する位置関係を、予め記憶する。例えば、制御部12は、把持位置として、作動位置Bに配置されている把持機構56の軸線A3(図5〜図7)の、手首部22に対する位置関係を、予め記憶する。
制御部12は、このステップS3において、作動位置Bに配置されている把持機構56の把持位置(軸線A3)の位置関係と、ステップS2で取得した把持対象の位置情報とに基づいてロボット14を動作させて、把持対象が、作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80の移動範囲内となるように、ロボットハンド50を移動させる。
例えば、第1回目のステップS3を実行する場合、制御部12は、ステップS2で第1番目の把持対象として決定した、図13中の紙面右端のコネクタ102が、この時点で作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80の移動範囲内(すなわち、把持部80の進退移動の経路内)に位置するように、ロボットハンド50を位置決めする。
このとき、制御部12は、図14に示すように、作動位置Bに配置されている把持機構56の軸線A3が、把持対象のコネクタ102の所定位置(例えば中心)と交差し、且つ、爪84の開閉方向Dが、コネクタ102の長辺を画定する両側面102aと直交するような位置関係となるように、把持部80を該コネクタ102に対して位置決めする。
また、例えば、第7回目のステップS3を実行する場合、制御部12は、ステップS2で第7番目の把持対象として決定した標識106が、この時点で作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80の移動範囲内に位置するように、ロボットハンド50を位置決めする。
このとき、制御部12は、図15に示すように、作動位置Bに配置されている把持機構56の軸線A3が、把持対象の標識106と交差し、且つ、爪84の開閉方向Dが、線条体104の延在方向と略直交するような位置関係となるように、把持部80を該標識106に対して位置決めする。
ステップS4において、制御部12は、把持部80で把持対象を把持して取り上げる。具体的には、制御部12は、把持駆動部60を動作させて、この時点で作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80を、後退位置(図8)から前進位置(図9)へ移動させる。その結果、把持対象のコネクタ102又は標識106が、把持部80の爪84の間に配置される。
そして、制御部12は、把持部駆動機構82を動作させて、爪84を軸線A3に向かって移動させて、該爪84を閉じる。その結果、コネクタ102を、その両側面102aで、爪84によって挟持し、又は、線条体104を、標識106の位置で、爪84によって挟持する。こうして、把持部80は、把持対象(コネクタ102又は標識106)を把持する。
次いで、制御部12は、把持駆動部60を動作させて、作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80を、前進位置から後退位置へ移動させる。これにより、把持対象(コネクタ102又は線条体104)を把持部80で取り上げる。
ステップS5において、制御部12は、全ての把持対象を把持して取り上げたか否かを判定する。例えば、制御部12は、ステップS4を実行した回数nをカウントし、該回数nが8となったか否かを判定する。制御部12は、回数nが8となった場合にYESと判定し、ステップS7へ進む。一方、制御部12は、回数nが7以下である場合にNOと判定し、ステップS6へ進む。
ステップS6において、制御部12は、把持駆動部60と、複数の把持機構56(すなわち、力伝達部材70)とを相対的に移動させる。具体的には、制御部12は、第2の移動駆動部59を動作させて、把持駆動部60を脱離位置(図6)へ移動させる。
次いで、制御部12は、第1の移動駆動部58を動作させて、第2のベース部54を第1のベース部52に対して、軸線A2周りに45°だけ回転させる。これにより、このステップS6の開始時点で作動位置Bに配置された把持機構56に隣接する他の把持機構56が、新たに作業位置Bに配置される。
次いで、制御部12は、第2の移動駆動部59を動作させて、把持駆動部60を係合位置へ移動させる。その結果、把持駆動部60のギア88が、新たに作業位置Bに配置された該他の把持機構56の力伝達部材70と係合する。そして、制御部12は、ステップS3へ戻り、該他の把持機構56の把持部80を、次の把持対象(コネクタ102又は標識106)に対して位置決めし、ステップS4で、該次の把持対象を該把持部80で把持して取り上げる。
ステップS7において、制御部12は、把持対象を各々把持した8個の把持機構56を後退位置に配置した状態を維持しつつ、ロボット14を動作させてロボットハンド50を移動し、8個の把持部80で把持したワイヤハーネス100を、予め定められた場所まで運搬する。こうして、ワイヤハーネス100を、複数のコネクタ102の各々を把持部80で把持することによって、ロボットハンド50を用いて運搬することができる。
本実施形態においては、互いに独立して進退可能な複数の把持部80で把持対象のコネクタ102及び線条体104を把持して取り上げて、コネクタ102及び線条体104を把持しつつ、ワイヤハーネス100を運搬している。この構成によれば、複数のコネクタ102を有するワイヤハーネス100を運搬する作業を自動化することができる。
また、本実施形態においては、複数の把持部80を1つずつ進退させて把持対象(コネクタ102又は線条体104)を把持して取り上げているので、把持部80の取り上げ動作により線条体104が絡まってしまうことを防止しつつ、ワイヤハーネス100を持ち上げることができる。
また、本実施形態においては、把持部80で線条体104を把持して取り上げている。この構成によれば、例えば、隣接する2つのコネクタ102の間で延びる線条体104の長さが大きい場合等において、線条体104が該区間で大きく弛んでしまうのを防止できるので、取り上げ動作及び運搬動作において線条体104が他の部材に絡まってしまうのを防止できる。
また、本実施形態においては、線条体104に標識106を付し、視覚センサ15で撮像した画像から標識106の位置を取得して、1つの把持部80で線条体104を標識106の位置で把持して取り上げている。この構成によれば、把持部80で線条体104を、所望の位置で正確に把持することができる。
次に、図16及び図17を参照して、他の実施形態に係るロボットシステム110について説明する。ロボットシステム110は、上述のロボットシステム10と、第2の視覚センサ112をさらに備える点で相違する。第2の視覚センサ112は、ロボット座標系CRにおける予め定められた位置に固定されている。例えば、第2の視覚センサ112は、上述の視覚センサ15と同様に、撮像センサ、光学レンズ、及び画像処理プロセッサ等を有する3次元視覚センサである。
次に、図18を参照して、ロボットシステム110のロボットハンド50を用いてワイヤハーネス100をハンドリングする方法について説明する。図18に示すフローは、ロボットシステム110の制御部12が、オペレータ、上位コントローラ、又はコンピュータプログラムから、ハンドリング開始指令を受け付けたときに、開始される。
図18に示すフローが開始されたとき、ワイヤハーネス100は、オペレータ又は他のロボットによって、ロボットハンド50から離れた所定の載置場所に置かれる。このとき、各々のコネクタ102は、図19に示す姿勢で、載置場所の載置面E上に載置される。
図19に示す例においては、コネクタ102の中心軸線A4が、該コネクタ102を後述する相手側コネクタへ挿入するときの接続方向Fと平行であり、且つ、該接続方向Fが載置面Eへ向かうように方向付けられている。各々のコネクタ102は、例えば治具等によって、図19に示す姿勢に固定されてもよいし、又は、治具で固定することなくオペレータがコネクタ102を図19に示す姿勢に配置してもよい。
図18に示すフローが開始された後、制御部12は、図12に示すフローと同様にステップS1〜S6を実行し、ロボットハンド50の把持部80でワイヤハーネス100のコネクタ102及び線条体104をそれぞれ把持する。
ここで、把持部80の把持対象がコネクタ102である場合にステップS3でロボットハンド50を位置決めするとき、制御部12は、作動位置Bに配置されている把持機構56の軸線A3が、把持対象のコネクタ102の軸線A4と一致し、且つ、爪84の開閉方向D(図14)が、コネクタ102の側面102aと直交するような位置関係となるように、ロボットハンド50を位置決めする。
ステップS5でYESと判定したとき、ステップS11において、制御部12は、コネクタ102をそれぞれ接続すべき相手側コネクタ114の位置を取得する。図20及び図21に示すように、相手側コネクタ114は、部材116の取付面116aにおける所定位置に配設されている。
本実施形態においては、各々の相手側コネクタ114は、中心軸線A5を有し、図21に示す姿勢で取付面116a上に設置される。図21に示す例においては、コネクタ102が接続される、相手側コネクタ114の接続箇所114aが、取付面116aとは反対側へ向くように方向付けられている。
このステップS11において、制御部12は、ロボット14を動作させて、各々の相手側コネクタ114が視覚センサ15の視野に入るように、視覚センサ15(すなわち、ロボットハンド50)を移動させる。
そして、制御部12は、視覚センサ15に撮像指令を送信する。視覚センサ15は、撮像指令を受信すると、相手側コネクタ114の画像を撮像し、撮像した画像を画像解析し、相手側コネクタ114を特定する。そして、視覚センサ15は、特定した相手側コネクタ114(例えば、軸線A5)のロボット座標系CRにおける位置情報を取得し、制御部12へ送信する。こうして、制御部12は、視覚センサ15から接続対象となる相手側コネクタ114の位置を取得し、メモリに記憶する。
なお、例えば部材116が治具等によって既知の位置に位置決めされることによって、ロボット座標系CRにおける相手側コネクタ114の位置が既知である場合は、制御部12は、視覚センサ15によってワイヤハーネス100を撮像する必要がない。
この場合、各々の相手側コネクタ114のロボット座標系CRにおける位置情報が、制御部12のメモリに予め記憶される。そして、制御部12は、このステップS11において、接続持対象となる相手側コネクタ114の位置情報をメモリから読み出して取得する。
ステップS12において、制御部12は、ロボットハンド50で把持するコネクタ102を相手側コネクタ114に接続する順番を決定する。ここで、本実施形態においては、制御部12は、ステップS4において7個の把持部80で7個のコネクタ102を把持した順とは逆の順で、コネクタ102を相手側コネクタ114に接続するように、順番を決定する。
例えば、制御部12は、図20中の番号1〜7で示すようにコネクタ102を相手側コネクタ114に接続する順番を決定し、且つ、後述のステップS15を実行する毎に、図13中の番号8→6→5→4→3→2→1の順でコネクタ102を相手側コネクタ114に接続するように、該順番を決定する。
ステップS13において、制御部12は、各々の把持部80がコネクタ102を把持したときの掴みずれを取得する。具体的には、制御部12は、ロボット14を動作させて、各々の把持部80が把持するコネクタ102が第2の視覚センサ112の視野に入るように、ロボットハンド50を移動させる。
そして、制御部12は、第2の視覚センサ112に撮像指令を送信する。第2の視覚センサ112は、撮像指令を受信すると、把持部80が把持するコネクタ102の画像を撮像する。このとき、第2の視覚センサ112は、7個の把持部80が把持する7個のコネクタ102を、同時に撮像してもよい。
又は、第2の視覚センサ112は、把持部80が把持するコネクタ102を1つずつ順に撮像してもよい。この場合において、制御部12は、第2の視覚センサ112の視野にコネクタ102を1つずつ収めるように、ロボットハンド50を第2の視覚センサ112に対して順に移動させ、1つのコネクタ102を第2の視覚センサ112の視野に収める毎に、該第2の視覚センサ112で該1つのコネクタ102を撮像してもよい。
第2の視覚センサ112は、撮像した画像を制御部12へ送信する。制御部12は、第2の視覚センサ112から取得した画像から、把持部80が把持するコネクタ102の、該把持部80に対する位置を、検出位置として取得する。そして、制御部12は、取得した検出位置と、メモリに予め記憶された基準位置との差を、掴みずれとして取得する。
この基準位置は、例えば、把持機構56の軸線A3とコネクタ102の軸線A4とが一致した状態で把持部80がコネクタ102を把持したときの、該把持部80に対するコネクタ102の位置として、予め定められる。この場合、掴みずれは、把持機構56の軸線A3と、把持部80が把持するコネクタ102の軸線A4とのずれに相当する。
制御部12は、このステップS13において、ロボットプログラムに従ってロボット14を動作させて、ロボットハンド50を第2の視覚センサ112に対して所定の位置関係となるように位置決めする。このロボットプログラムは、ロボットハンド50を第2の視覚センサ112に対して所定の位置関係となるように位置決めする動作をロボット14に教示することによって、構築され得る。
図18に示すように、制御部12は、後述するステップS16でYESと判定するまで、ステップS14〜S17をループする。ステップS14において、制御部12は、相手側コネクタ114に対してロボットハンド50を位置決めする。具体的には、制御部12は、作動位置Bに配置されている把持機構56の把持位置(軸線A3)の位置関係と、ステップS11で取得した接続対象の相手側コネクタ114の位置情報とに基づいてロボット14を動作させ、接続対象となる相手側コネクタ114が、このステップS14の開始時点で作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80の移動範囲内に位置するように、ロボットハンド50を位置決めする。
このとき、制御部12は、作動位置Bに配置されている把持機構56の軸線A3と、接続対象の相手側コネクタ114の軸線A5とが一致する位置関係となるように、把持部80を該相手側コネクタ114に対して位置決めする。
例えば、第1回目のステップS14を実行する場合、このステップS14の開始時点で作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80は、第8回目のステップS4で取り上げた、図13中の番号8のコネクタ102を把持しているものとなる。したがって、第1回目のステップS14において、番号8のコネクタ102を把持している把持機構56の軸線A3と、最初の接続対象である、図20中の番号1の相手側コネクタ114の軸線A5とが一致するように、ロボットハンド50を位置決めする。
次いで、制御部12は、ステップS13で取得した掴みずれに基づいてロボット14を動作させてロボットハンド50を移動し、作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80の、接続対象の相手側コネクタ114に対する位置を補正する。これにより、把持部80が把持するコネクタ102の軸線A4と、接続対象の相手側コネクタ114の軸線A5とを一致させる。
こうして、接続対象の相手側コネクタ114は、作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80が前進されたときの、該把持部80が把持するコネクタ102の移動経路上に、配置される。
ステップS15において、制御部12は、コネクタ102を相手側コネクタ114に接続する。具体的には、制御部12は、把持駆動部60を動作させて、作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80を、後退位置から前進位置へ移動させる。これにより、該把持部80が把持するコネクタ102が、接続対象の相手側コネクタ114の接続箇所114aに接続方向Fへ接続される。
次いで、制御部12は、把持部駆動機構82を動作させて、爪84を軸線A3から離反する方向へ移動させて該爪84を開き、把持していたコネクタ102を把持部80から解放する。次いで、制御部12は、把持駆動部60を動作させて、作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80を、前進位置から後退位置へ移動させる。
例えば、第1回目のステップS15を実行する場合、この時点で作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80は、図13中の番号8のコネクタ102を把持しているものとなるので、第1回目のステップS15によって、該番号8のコネクタ102が、図20中の番号1の相手側コネクタ114に接続されることになる。
ステップS16において、制御部12は、全てのコネクタ102を、接続対象となる相手側コネクタ114に接続したか否かを判定する。例えば、制御部12は、ステップS15を実行した回数mをカウントし、該回数mが7となったか否かを判定する。制御部12は、回数mが7となった場合にYESと判定し、図18に示すフローを終了する。一方、制御部12は、回数mが6以下である場合にNOと判定し、ステップS17へ進む。
ステップS17において、制御部12は、把持駆動部60と、複数の把持機構56(すなわち、力伝達部材70)とを相対的に移動させる。具体的には、制御部12は、第2の移動駆動部59を動作させて、把持駆動部60を脱離位置(図6)へ移動させる。次いで、制御部12は、第1の移動駆動部58を動作させて、第2のベース部54を第1のベース部52に対して、上述のステップS6における回転方向とは逆の方向へ、軸線A2周りに回転させる。
例えば、第1回目のステップS17を実行する場合、制御部12は、第2のベース部54を第1のベース部52に対して、該逆の方向へ軸線A2周りに90°だけ回転させる。その結果、図13中の番号6のコネクタ102を把持している把持機構56が、新たに作業位置Bに配置されることになる。
ここで、制御部12は、第1回目のステップS17の実行前、実行中、又は実行後に、標識106の位置で線条体104を把持している把持部80の爪84を開き、把持していた線条体104を該把持部80から解放してもよい。
また、第q回目(qは2〜6の整数)のステップS17を実行する場合、制御部12は、第2のベース部54を該逆の方向へ軸線A2周りに45°だけ回転させる。これにより、この第q回目のステップS17の開始時点で作動位置Bに配置された把持機構56に隣接する他の把持機構56が新たに作業位置Bに配置される。
次いで、制御部12は、第2の移動駆動部59を動作させて、把持駆動部60を係合位置へ移動させる。その結果、把持駆動部60のギア88が、新たに作業位置Bに配置された把持機構56の力伝達部材70と係合する。
そして、制御部12は、ステップS14へ戻り、新たに作業位置Bに配置された把持機構56の把持部80を、次の接続対象となる相手側コネクタ114に対して位置決めし、ステップS15で、該把持部80が把持するコネクタ102を該次の接続対象の相手側コネクタ114に接続する。
以上のように、制御部12は、ステップS16でYESと判定するまでステップS14〜S17を繰り返し実行することによって、ステップS4で7個のコネクタ102を把持部80で把持した順とは逆の順で、コネクタ102を相手側コネクタ114に1つずつ接続する。
本実施形態によれば、互いに独立して進退可能な複数の把持部80で取り上げたコネクタ102を、該複数の把持部80を個別に進退させることで、相手側コネクタ114に1つずつ接続している。この構成によれば、複数のコネクタ102を有するワイヤハーネス100を運搬し、該複数のコネクタ102を相手側コネクタ114に接続する作業を自動化することができる。
また、本実施形態においては、把持部80を1つずつ進退させてコネクタ102を相手側コネクタ114に接続しているので、コネクタ102の接続動作により線条体104が絡まってしまうのを防止しつつ、コネクタ102を相手側コネクタ114に接続することができる。
また、本実施形態においては、複数のコネクタ102を把持した順とは逆の順で、コネクタ102を相手側コネクタ114に1つずつ接続している。この構成によれば、コネクタ102の接続動作をする毎に、線条体104が下側から順に解けていくので、接続動作時に線条体104が絡まってしまうのを効果的に防止できる。
なお、上述の把持機構56には、種々の変形を加えることができる。以下、図22〜図26を参照して、把持機構56の変形例について説明する。図22及び図23に示す把持機構56’は、上述の把持機構56と、以下の構成において相違する。すなわち、把持機構56’においては、把持部80がシリンダハウジング78’の先端に、軸線A6周りに回転可能に設けられている。
より具体的には、把持機構56’は、シリンダハウジング78’の先端に軸線A6周りに回動可能に設けられた回転部材120と、回転部材120を回動させる回動駆動部(図示せず)をさらに有し、把持部駆動機構82及び把持部80は、回転部材120に固定されている。軸線A6は、シリンダハウジング78’の軸線A3と直交する。回動駆動部は、制御部12からの指令に応じて、回転部材120を回動させ、把持部80を、図22に示す初期位置と、図23に示す回転位置との間で回動させる。
一方、把持部80の爪84は、軸線A7に対して接近及び離反する。この軸線A7は、軸線A6周りに回転し、把持部80が初期位置に配置されているときは軸線A3と一致する一方、把持部80が回転位置に配置されているときは、軸線A3と直交する。
本実施形態に係る把持機構56’によれば、例えば、相手側コネクタ114が図24に示すように取付面116aに設置された場合等において、上述のステップS4で取り上げたコネクタ102を、相手側コネクタ114に接続することが可能となる。
より具体的には、把持部80が回転位置(図23)に配置されているときの、軸線A3に対する軸線A7の位置関係に係る情報が、制御部12のメモリに予め記憶される。そして、図18中のステップS14において、制御部12は、まず、回動駆動部を動作させて把持部80を回転位置に配置し、次いで、把持駆動部60を動作させて、作動位置Bに配置されている把持機構56の把持部80を、後退位置から前進位置へ移動させる。
次いで、制御部12は、作動位置Bに配置されている把持機構56軸線A3の位置情報と、ステップS11で取得した接続対象の相手側コネクタの位置情報と、軸線A3に対する軸線A7の位置関係とに基づいてロボット14を動作させ、図24に示すように、把持部80の軸線A7と、相手側コネクタ114の軸線A5とが一致するように、ロボットハンド50を位置決めする。
このとき、把持部80が把持するコネクタ102は、相手側コネクタ114の接続箇所114aから、挿入方向Fと反対の方向へ離隔して配置される。そして、ステップS15において、制御部12は、ロボット14を動作させて把持部80を挿入方向Fへ移動させ、把持部80が把持するコネクタ102を、相手側コネクタ114の接続箇所114aに挿入方向Fへ接続する。
図25及び図26に示す把持機構56”は、上述の把持機構56と、以下の構成において相違する。すなわち、把持機構56”においては、把持部80がシリンダハウジング78”の先端に、軸線A3周りに回転可能に設けられている。
具体的には、把持機構56”は、シリンダハウジング78”の先端に軸線A3周りに回動可能に設けられた回転部材122と、該回転部材122を回動させる第2回動駆動部(図示せず)をさらに有し、把持部駆動機構82及び把持部80は、回転部材122に固定されている。第2回動駆動部は、制御部12からの指令に応じて、回転部材122を回動させ、把持部80を軸線A3周りに回動させる。
上述した把持機構56’及び56”によれば、把持部80で把持したコネクタ102、又は設置された相手側コネクタ114の向きに柔軟に対応しつつ、コネクタ102を相手側コネクタ114に接続する動作を効果的に実行することができる。
なお、図13に示す順番1〜8、及び、図20に示す順番1〜7は、これに限らず、任意に決定されてもよい。例えば、標識106は、1番目、4番目、又は8番目の把持対象として決定されてもよい。また、標識106を設けることなく、把持部80によって線条体104の任意の位置を把持してもよい。
また、ワイヤハーネス100は、a個のコネクタ102を有してもよいし、部材116には、b個の相手側コネクタ114が設けられてもよい(a及びbは、2以上、且つ、7以外の整数)。また、コネクタ102及び相手側コネクタ114は、矩形に限らず、円形、楕円形、6角形のような多角形等、如何なる外形を有してもよい。また、把持部80は、バキュームのような吸着部又は電磁石を有し、コネクタ102を吸着保持するように構成されてもよい。
また、把持駆動部60は、サーボモータに限らず、例えば空圧式又は油圧式のシリンダであってもよい。また、複数の把持機構56を、直線状に配設してもよい。また、複数の把持機構56を第1のベース部52に対して固定して、把持駆動部60を複数の把持機構56の各々に選択的に係合させるように移動させてもよい。
また、ワイヤハーネス100をハンドリングする方法は、図3に示すロボットハンド50とは別のロボットハンドを用いて実行することもできる。このようなロボットハンドの一例を、図27に示す。図27に示すロボットハンド130は、ベース部132と、互いに独立して移動可能となるようにベース部132に設けられた第1の把持部134及び第2の把持部136を備える。
第1の把持部134及び第2の把持部136の各々は、上述した把持部80のように開閉可能な爪84を有してもよいし、又は、バキュームのような吸着部又は電磁石を有してもよい。第1の把持部134は、軸線A8に沿って進退可能であり、第2の把持部136は、軸線A9に沿って進退可能である。軸線A8と軸線A9とは、平行であってもよい。ロボットハンド130のベース部132は、上述のロボット14の手首部22に取り付けられ得る。
このようなロボットハンド130を用いてワイヤハーネス100をハンドリングする方法は、ロボットハンド130から離れて置かれたワイヤハーネス100の複数のコネクタ102の位置を取得し(ステップS1)、取得した第1のコネクタ102の位置に基づいて、該第1のコネクタ102が第1の把持部134の移動範囲内に位置するようにロボットハンド130を位置決めし(ステップS3)、該第1の把持部134を移動させて該第1の把持部134で該第1のコネクタ102を把持して取り上げる(ステップS4)。
次いで、取得した第2のコネクタ102の位置に基づいて、該第2のコネクタ102が第2の把持部136の移動範囲内に位置するようにロボットハンドを位置決めし(ステップS3)、該第2の把持部136を移動させて該第2の把持部136で該第2のコネクタ102を把持して取り上げる(ステップS4)。
以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。