JP2020175421A - 表面処理鋼板の切断加工方法 - Google Patents

表面処理鋼板の切断加工方法 Download PDF

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吉田 剛之
Takayuki Yoshida
剛之 吉田
教昌 三浦
Norimasa Miura
教昌 三浦
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Abstract

【課題】主に板厚が2.0mmを超える表面処理鋼板を切断加工する場合であっても、めっき金属で十分に被覆された切断端面を有する切断加工方法を提供する。【解決手段】本発明は、ダイ1、パンチ2及び板押え3を有する金型を用いて、表面及び裏面がめっき金属22で被覆された表面処理鋼板20を切断加工する方法であって、前記ダイ1及び前記パンチ2のいずれか一方は、その肩部4に勾配面5を有しており、前記勾配面5は、断面視した前記ダイ1及び前記パンチ2において直線状の勾配を備える。前記勾配の角度10は、断面視した前記勾配面5を有する前記ダイ1又は前記パンチ2の側面7と前記勾配面5とがなす角度であって、3度以上10度以下であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、表面処理鋼板の切断加工方法に関する。
自動車や家電などに用いられる部品については、従来、冷延鋼板を部品素材として使用し、切断及び塑性加工を行って所定形状に成形し、その後に表面処理を施して製造されている。近年、部品の耐食性の向上や工程省略によるコスト削減などを目的として、あらかじめ表面処理が施された表面処理鋼板を使用することによって、切断及び塑性加工を行った後の表面処理を省略して製造された部品が増えている。
切断及び塑性加工を行った後の鋼板に表面処理を施す場合、切断加工された端面(以下、「切断端面」という。)においても表面処理が施されるため、切断端面には鋼板の平面部と同程度の耐食性が得られる。しかし、表面処理鋼板を部品素材に用いて、切断及び塑性加工後の表面処理工程を省略する場合、切断端面は、切断加工されて鋼素地が露出した状態にあるため、部品の置かれた環境によっては、切断端面において赤錆が発生することがある。切断端面の赤錆は、外観上の不良であるばかりでなく、時間の経過とともに赤錆発生領域が表面処理された平面部へ広がるため、部品の強度の低下が懸念される。また、特に家電製品の場合には、赤錆の欠落により電気的短絡の発生も懸念される。
切断加工された端面の防錆能力を向上させる方法として、例えば、特許文献1は、板厚2.0mm以下のZn系めっき鋼板において、パンチかダイの何れかの角部に前記Zn系めっき鋼板の板厚の0.10〜0.50倍の曲率半径を持たせた金型を用いて切断加工を行うことにより、切断端面のせん断面比率を90%以上であって、当該せん断面の亜鉛被覆率を50%以上にする方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1で提案された方法は、板厚が2.0mm以下の亜鉛系めっき鋼板を対象としており、板厚が2.0mmを超えるめっき鋼板に適用すると、切断端面の亜鉛被覆率が低下し、耐食性の確保が困難となる。そのため、部材素材としての用途が制限される。
特開2009−287082号公報
表面処理鋼板を切断加工すると、せん断面に沿ってめっき層が回り込んで、切断端面にめっき金属が被覆される。しかし、板厚が2.0mmを超える表面処理鋼板を切断加工すると、パンチまたはダイの肩部に接触する被切断領域でクラックが発生して進展することがある。その場合、クラックによって破断面が形成されて、せん断面が形成されず、めっき金属の回り込みが阻止されるので、切断端面を十分なめっき金属で被覆することができなかった。また、パンチとダイとの間のクリアランスを広くすると、切断端面に形成されるせん断面の比率にバラツキが生じた。そのため、切断端面においてめっき金属の回り込みを安定的に得ることができなかった。その結果、切断端面の耐食性を十分に確保することが困難であった。
本発明は、主に板厚が2.0mmを超える表面処理鋼板を切断加工する場合であっても、めっき金属で十分に被覆された切断端面を有する切断加工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を実現するために検討した結果、断面視したダイ及びパンチのいずれか一方の肩部に、直線状の勾配を持つ勾配面を設けることにより、切断端面に十分なめっき金属を安定的に回り込ませることができることを見出して、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明は、ダイ、パンチ及び板押えを有する金型を用いて、表面及び裏面がめっき金属で被覆された表面処理鋼板を切断加工する方法であって、
前記ダイ及び前記パンチのいずれか一方は、その肩部に勾配面を有しており、
前記勾配面は、断面視した前記ダイ及び前記パンチにおいて直線状の勾配を備える、
表面処理鋼板の切断加工方法である。
(2)本発明は、前記勾配の角度は、断面視した前記勾配面を有する前記ダイ又は前記パンチにおいて、当該ダイ又はパンチの側面と前記勾配面とがなす角度であって、3度以上10度以下である、(1)に記載の表面処理鋼板の切断加工方法である。
(3)本発明は、前記勾配面を有する前記ダイ又は前記パンチは、前記肩部の先端側に曲率半径が0.2mm以上の丸みを持つ角部を有する、(1)又は(2)に記載の表面処理鋼板の切断加工方法である。
(4)本発明は、前記ダイと前記パンチとの間のクリアランスは、前記表面処理鋼板の板厚の10%以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の表面処理鋼板の切断加工方法である。ここで、前記クリアランスは、前記ダイ及びパンチを断面視したとき、前記勾配面を有する前記ダイ又はパンチの先端面を延長した線Aと前記勾配面を先端側へ延長した線Bとが交差する点と、前記延長した線Aと前記ダイ又はパンチに対向するパンチ又はダイの側面を延長した線Cとが交差する点との間の距離に相当する。
本発明によれば、めっき金属で十分に被覆された切断端面が得られるので、切断加工後の部品素材として必要な耐食性を確保することができる。そのため、切断加工及び成形加工した後に、耐食性を付与する表面処理工程を省略することができる。
本実施形態においてパンチの肩部に勾配面を設けた例を示す図である。 図1の要部を拡大した図である。 図1の切断形態を説明するための図である。 本実施形態においてダイの肩部に勾配面を設けた例を示す図である。 本発明の切断加工方法に係るクリアランスを説明するための図である。 従来技術による切断形態を説明するための図である。 表面処理鋼板の切断端面を説明するための図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明する。本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
本発明に係る切断加工方法は、ダイ、パンチ及び板押えを有する金型を用いて、表面及び裏面がめっき金属で被覆された表面処理鋼板に適用される。本発明に係る切断加工は、せん断手段を用いて、切断、打抜、穴明け等が行われる。図7は、切断加工された表面処理鋼板の断面形状を模式的に示したものである。表面処理鋼板20を切断加工した後の切断端面28には、図7に示すように、ダレ23、せん断面24、破断面25が形成される。このうち、ダレ23は、パンチ2の進行により表面処理鋼板20が打ち抜かれるにしたがい、表面処理鋼板20の表面に引張力が作用し、表面処理鋼板20の表面が変形して形成される部分である。せん断面24は、パンチとダイとの間で表面処理鋼板20が押し付けられて、せん断された領域である。破断面25は、切断過程で表面処理鋼板20にクラックが発生し、表面処理鋼板20が引き裂かれるように切断された領域である。切断端面26の端には、カエリ26(バリとも呼ばれる)が形成される。
表面処理鋼板を切断加工すると、鋼板の平面部に存在するめっき層が切断端面側へ回り込んで切断端面のせん断面を被覆する。そのため、切断端面においても平面部と同様の耐食性が付与される。また、例えば、めっき金属として亜鉛(Zn)が含まれる場合は、切断端面に被覆されためっき層のZnにより、鋼板に対する犠牲防食作用が働き、切断端面の全体に対して防錆性や耐食性を発揮する。
さらに、切断端面の配置された環境に応じて、切断端面に被覆されためっき層からは、めっき金属が溶出し、切断端面上の未被覆部分において耐食性を有する保護被膜が形成される。
本明細書の実施例で後記するように、本発明に係る切断加工方法によって得られた切断端面は、せん断面の先端までめっき金属で被覆された形態が得られる。そのため、図7に示した、せん断面の長さは、せん断面にめっき金属が回り込んだ領域の長さと実質的に同じであるといえる。
(切断加工)
本発明に係る切断加工方法は、前記ダイ及びパンチのいずれか一方において、その肩部に勾配面を有する金型が用いられる。図1は、パンチ1に勾配面5を設けた金型による切断加工方法を模式的に示している。図2は、図1の金型の要部を拡大した図である。
図1及び図2に示すように、ダイ1、パンチ2及び板押え3を有する金型によって表面処理鋼板20が切断加工される。パンチ2の肩部4に設けられた勾配面5は、断面視したパンチ2において直線状の勾配を有している。勾配面5の一端は、肩部4の先端側へ向かい、丸みを持つ角部6へ続いている。勾配面5の他端は、パンチ2の本体の側面7へ続いている。
断面視したダイまたはパンチにおける断面とは、パンチの進行方向に沿ってパンチの中心を通る断面をいう。角型パンチのように直辺部を有する場合は、さらに直辺部と垂直に交差する断面をいう。
表面処理鋼板20は、ダイ1及び板押え3によって挟持され、パンチ2の押込みによって切断されて分離する。図1に示す金型を用いた場合、分離された表面処理鋼板20A、20Bのうち、ダイ1及び板押え3の側に残った表面処理鋼板20Aは、図3に示すように、平面部のめっき金属が端面へ回り込んで、切断端面の上にめっき金属が被覆される。
図3は、図1の金型によって表面処理鋼板が切断加工されるときの表面処理鋼板の形態を模式的に示している。パンチ2が表面処理鋼板20をせん断しながら下向きに進行するにつれて、表面処理鋼板20の表面(平面部)は、パンチ2の肩部4の勾配面5及び角部6に沿って端面側へ引き込まれるように変形し、平面部のめっき層は、端面側へ回り込む。その結果、せん断面の上にめっき金属で被覆された切断端面が得られる。
パンチ側に配置された表面処理鋼板の切断端面にめっき金属を被覆させる場合は、図4に示すように、ダイ1の肩部4に勾配面5が設けられた金型を使用すればよい。ダイ1の肩部4に設けられた勾配面5は、断面視したダイ1において直線状の勾配を有している。勾配面5の一端は、肩部4の先端側へ向かい、丸みを持つ角部6へ続いている。勾配面5の他端は、ダイ1の本体の側面7へ続いている。表面処理鋼板20は、ダイ1及び板押え3によって挟持され、パンチ2の押込みによって切断されて分離する。図4に示す金型を用いた場合、分離された表面処理鋼板20A、20Bのうち、パンチ2によって打ち抜かれた表面処理鋼板20Bは、平面部のめっき金属が端面へ回り込んで、切断端面の上にめっき金属が被覆される。
本発明に係るダイ又はパンチの形状や寸法は、切断加工される製品形状に応じて適宜に選定できる。打ち抜き穴の形状に応じて、丸型パンチや角型パンチを使用できる。丸型パンチを用いる場合は、ダイ又はパンチの全周における肩部に配面が設けられる。角型パンチを用いる場合は、ダイ又はパンチの直辺部における肩部に勾配面が設けられる。
本発明に係る金型は、被切断材の表面処理鋼板と接触する金型の肩部が勾配面を有しているので、表面処理鋼板がせん断される過程において、クラックの発生と進展を抑制することができる。それに加えて、当該勾配面を設けていないダイ又はパンチの肩部に接触する被切断領域でクラックが発生したとしても、そのクラックの進展を遅滞させることができる。そのため、表面処理鋼板の切断端面において、せん断面の占有割合が大きくなり、めっき金属で被覆される領域が増加した。
(勾配の角度)
本発明に係る勾配面は、ダイ又はパンチの側面に対して所定の角度で傾斜する勾配を備えている。勾配面における勾配の角度は、勾配面を有するダイ又はパンチを断面視したときに、当該ダイ又はパンチの側面と勾配面とがなす角度に相当する。例えば、パンチ2が勾配面5を有するときは、図2に示すように、パンチ2における側面7と勾配面5とがなす角度10が勾配の角度である。他方、ダイが勾配面を有するときは、図4に示すように、ダイ1における側面7と勾配面5とがなす角度が勾配の角度である。
勾配の角度は、3度以上10度以下であることが好ましい。勾配の角度が3度未満であると、クラックの進展を抑える効果が十分でない。勾配の角度が10度を超えると、打抜き荷重が大きくなり、設備への負荷が大きくなるので、10度以下が実用的である。
(角部の曲率半径)
本発明に係る勾配面を有するダイ又はパンチは、その肩部の先端側に所定の曲率半径の丸みを持つ角部を有することが好ましい。勾配面を有するダイ又はパンチにおける角部が直角形状に近くなると、当該角部に接触する被切断材にクラックが発生することがある。そのようなクラックが進展し、勾配を有しない金型側で発生したクラックと繋がることにより、切断端面における破断面の割合が拡大し、せん断面の割合が減少する。そのため、せん断面を被覆する、めっき金属の回り込み量が低下する。
よって、角部の曲率半径の下限は、0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。他方、角部の曲率半径を拡大させると、打抜き荷重が過大となって設備への負荷が過大となる恐れがある。そのため、角部の曲率半径の上限は、1.0mm以下が好ましく、0.7mm以下でもよい。
(クリアランス)
本発明に係る切断加工方法において、ダイとパンチとの間のクリアランスは、前記ダイ及びパンチを断面視したとき、勾配面を有する前記ダイ又はパンチの先端面を延長した線Aと前記勾配面を先端側へ延長した線Bとが交差する点と、前記延長した線Aと前記ダイ又はパンチに対向するパンチ又はダイの側面を延長した線Cとが交差する点との間の距離に相当する。
例えば、パンチ2に勾配面5を設けた金型を使用する場合、図5に示すように、ダイ1とパンチ2との間のクリアランス30は、ダイ1及びパンチ2を断面視したとき、勾配面5を有するパンチ2の先端面9を延長した線Aと勾配面5を先端側へ延長した線Bとが交差する点31と、前記延長した線Aとパンチ2に対向するダイ1の側面8を延長した線Cとが交差する点32との間の距離に相当する。
ダイとパンチとのクリアランスが狭いほど、被切断材の厚みに対するせん断面比率が上昇し、めっき金属が厚み方向に広い範囲で回り込む。そのため、本発明に係るクリアランスは、表面処理鋼板の板厚の10%以下であることが好ましい。他方、クリアランスの下限については、切断加工作業に支障の無い範囲で0mm以上を設定できる。
(めっき金属の回り込み率)
切断端面において、めっき金属で被覆される領域は、めっき層を有するダレの領域と、せん断面にめっき金属が回り込んだ領域とを合わせた部分に該当する。これらの領域の長さを測定することにより、切断端面にめっき金属が回り込んだ長さを求めることができる。本明細書では、「ダレの領域の長さ」と「せん断面にめっき金属が回り込んだ領域の長さ」との合計値を、「切断端面にめっき金属が回り込んだ長さ」であるとした。そして、以下のとおり、当該合計値を鋼板の厚みで除して得られた割合を、「めっき金属の回り込み率(%)」とした。当該めっき金属の回り込み率は、板厚全体に対してめっき金属が被覆する割合に相当し、切断端面の耐食性や防錆性の評価に適用できる。
めっき金属の回り込み率(%)=[(ダレの領域の長さ+せん断面にめっき金属が回り込んだ領域の長さ)/板厚]×100
切断端面におけるめっき金属の回り込み率は、45%未満であると、切断端面を被覆するめっき金属の面積や量が少ないので、十分な耐食性が得られない。そのため、45%以上であることが好ましい。耐食性を一層向上させる観点では、50%以上がより好ましく、60%以上、70%以上がさらに好ましい。
(表面処理鋼板)
本発明で対象とされる表面処理鋼板は、その一例として、素地鋼板の表面にアルミニウム(Al)とマグネシウム(Mg)を含有する亜鉛合金(Zn合金)をめっき金属として被覆したZn−Al−Mg系めっき鋼板を挙げることができる。Zn−Al−Mg系めっき鋼板を切断加工した場合、めっき金属が端面に回り込んで切断端面の部分的に被覆する。
本発明が適用される表面処理鋼板は、Zn−Al−Mg系めっき鋼板に限られない。表面にめっき金属を被覆した鋼板であれば、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウムを5質量%含有する亜鉛合金による溶融5%Al−Znめっき鋼板、溶融55質量%Al−Znめっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板などを用いることができる。また、電気銅めっき鋼板を用いてもよい。
めっき鋼板の素地鋼板は、特に限定されない。例えば、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼、合金鋼等を素地鋼板として使用することが可能である。また、めっき鋼板をプレス成形して使用する場合には、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼等の絞り加工性に優れる素地鋼板を用いることが好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
表面処理鋼板として、Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金組成を有するめっき層を両面に備えためっき鋼板を用いた。表1に示すように、めっき鋼板の板厚に関しては、2.3mm、3.2mm、4.5mmの3種のめっき鋼板を使用し、めっき付着量に関しては、片面当たり90g/mm、190g/mm、350g/mmの3種のめっき鋼板を使用した。表1に示したNo.1〜No.14の両面めっき鋼板から50mm×50mmの大きさの試験材を切り出して供試材とした。当該試験材を、以下、試験材No.1〜No.14の表記で示し、切断加工した後の試験片についても同様の表記で示すことがある。
直径20mmの丸型パンチと、クリアランスに応じて直径を変更したダイを用いて、試験材に対して切断加工を行い、切断端面を有する試験材を得た。ダイと板押えによって試験材を保持し、パンチで試験材のほぼ中央を打ち抜いて切断した。ダイ又はパンチのいずかには、肩部に所定の勾配を持つ勾配面を設けるとともに、肩部の先端側に所定の曲率半径の丸みを持つ角部を設けた金型を用いた。
表1に、試験材の切断加工に関して、表面処理鋼板の板厚(mm)及びめっき付着量(g/m)、勾配の角度(度)、曲率半径(mm)、クリアランス(板厚比)、切断加工速度(mm/s)の試験条件を示す。表1の「勾配と曲率を付与した金型」は、勾配や丸みをダイ又はパンチのいずれに設けたのかを示している。曲率半径が0mmの金型は、角部が直角形状に相当する。
試験材No.1〜No.12、No.14は、パンチに勾配や丸みを設けた金型によって切断加工された。これらの試験材については、図1に示すように、ダイ1及び板押え3によって挟持された表面処理鋼板20Aの切断端面28に対して、パンチ2の勾配面5による作用が付与されるので、パンチ2の打ち抜き穴を有する試験片(表面処理鋼板20A)を評価試験に供した。他方、ダイに勾配や丸みを持つ金型によって切断加工された試験材No.10は、図4に示すように、パンチ2で打ち抜かれた表面処理鋼板20Bの切断端面に対して、ダイ1の勾配面5による作用が付与されるので、パンチ2で打ち抜かれて得られた円形状の試験片(表面処理鋼板20B)を評価試験に供した。
(めっき金属の回り込み率の測定)
切断加工して得られた試験片をほぼ中央で切断し、その断面を観察した。切断端面には、図7に示すように、ダレ23と、せん断面24が形成されていた。せん断面にめっき金属が回り込んだ領域の長さと、ダレの領域の長さを測定し、両者の合計値に求めた。この合計値を鋼板の厚みで除して、めっき金属の回り込み率(%)を算出した。なお、本実施例で得られた切断加工後の試験材No.1〜No.14は、いずれも、せん断面の先端までめっき金属が回り込んでいた。
(耐食性の評価)
切断加工後の試験片を屋外暴露試験に供して、耐食性に関する効果について評価した。屋外暴露試験では、海岸から500mほど離れた3階立ての建物の屋上にて、所定期間で試験材を大気中に暴露した。屋外露試験を行った後、試験体の表面を3m離れた目視で観察し、表面に赤錆を確認できなかった場合を耐食性が良好である(○)と判定し、赤錆を確認できた場合を耐食性が不良である(×)と判定した。暴露期間としては30日で行った。赤錆が確認されなかった試験材については、さらに60日を追加した計90日で行った。
上記の試験結果を表1に示す。本発明の範囲に含まれる本発明例は、勾配面を有する金型として、勾配の角度が5度及び15度のパンチ、5度のダイを用いた。比較例は、勾配面を有しないパンチ及びダイを用いて切断加工を行った。
Figure 2020175421
試験材No.1〜No.12は、肩部に勾配面を有するパンチ又はダイで切断加工を行ったものであり、本発明の範囲に含まれる実施形態に相当する。表1に示すように、これらの試験材は、金型の勾配、角部の曲率半径、切断加工速度を種々の範囲で行われても、めっき金属の回り込み率が45%以上であり、めっき金属で広く被覆された切断端面が得られることを確認できた。このうち、試験材No.1〜No.5、No.7〜No.12は、めっき金属の回り込み率が50%以上であった。試験材No.6は、肩部の角部が曲率半径0mmという直角形状であることに加えて、クリアランスが10%であったことから、めっき金属の回り込み率が50%を下回った。
屋外暴露試験の結果によると、試験材No.1〜No.12は、暴露期間30日では、いずれも、赤錆が確認されず、良好な耐食性を示した。本発明に係る切断加工方法により、耐食性に優れる切断端面を備える製品を提供できることを確認できた。さらに、暴露期間90日では、試験材No.6を除き、良好な耐食性を示した。めっき金属の回り込み率を50%以上とすることにより、さらに高い耐食性が得られることを確認できた。
それに対し、試験材No.13、No.14は、肩部に勾配面を有しないパンチにより切断加工を行ったものであり、めっき金属の回り込み率が45%未満であった。そのため、屋外暴露試験の結果によると、暴露期間30日で赤錆が発生して、耐食性が不良であった。
めっき付着量による影響については、表1に示すように、めっき付着量が90g/m、190g/m、350g/mの各試験材において、めっき金属の回り込み率に実質的な差異が認められなかった。
切断加工速度による影響については、表1に示すように、80mm/s、120mm/sで切断した各試験材において、めっき金属の回り込み率に実質的な差異が認められなかった。
また、カエリについては、試験材No.1〜No.12において実用的に問題となる程度のカエリは生じなかった。
1 ダイ
2 パンチ
3 板押え
4 肩部
5 勾配面
6 角部
7 側面(勾配面を有する金型)
8 側面(勾配面を有しない金型)
9 先端面
10 勾配の角度
20 表面処理鋼板
20A ダイ及び板押えの側に残った表面処理鋼板
20B パンチによって打ち抜かれた表面処理鋼板
21 鋼板
22 めっき金属
23 ダレ
24 せん断面
25 破断面
26 カエリ
27 板厚
28 切断端面
30 クリアランス
31 線Aと線Bとが交差する点
32 線Aと線Cとが交差する点

Claims (4)

  1. ダイ、パンチ及び板押えを有する金型を用いて、表面及び裏面がめっき金属で被覆された表面処理鋼板を切断加工する方法であって、
    前記ダイ及び前記パンチのいずれか一方は、その肩部に勾配面を有しており、
    前記勾配面は、断面視した前記ダイ及び前記パンチにおいて直線状の勾配を備える、
    表面処理鋼板の切断加工方法。
  2. 前記勾配の角度は、断面視した前記勾配面を有する前記ダイ又は前記パンチにおいて、当該ダイ又はパンチの側面と前記勾配面とがなす角度であって、3度以上10度以下である、請求項1に記載の表面処理鋼板の切断加工方法。
  3. 前記勾配面を有する前記ダイ又は前記パンチは、前記肩部の先端側に曲率半径が0.2mm以上の丸みを持つ角部を有する、請求項1又は2に記載の表面処理鋼板の切断加工方法。
  4. 前記ダイと前記パンチとの間のクリアランスは、前記表面処理鋼板の板厚の10%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理鋼板の切断加工方法。
    ここで、前記クリアランスは、前記ダイ及びパンチを断面視したとき、前記勾配面を有する前記ダイ又はパンチの先端面を延長した線Aと前記勾配面を先端側へ延長した線Bとが交差する点と、前記延長した線Aと前記ダイ又はパンチに対向するパンチ又はダイの側面を延長した線Cとが交差する点との間の距離に相当する。
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