以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づき説明する。図1に、本実施形態に係るドラム型変速装置1が適用された作業車輌1000の伝動模式図を示す。ドラム型変速装置1は、トラクタやユーティリティビークル等の作業車輌の走行系伝動経路に好適に利用される。まず、図1を参照しながら、作業車輌1000の概略構成について説明する。
作業車輌1000は、車体8と、車体8に支持された駆動源としてのエンジン2と、車体8に支持された後輪4及び前輪6と、エンジン2から後輪4及び前輪6のうち駆動輪として作用する車輪へ至る動力伝達機構3に介挿されたドラム型変速装置1とを備えている。
動力伝達機構3は、エンジン2の動力を、エンジン2の後方に配置したトランスミッション800内のドラム型変速装置1を介して、エンジン2の前方に配置した前車軸駆動装置7と、ドラム型変速装置1とともにトランスミッション800内に配置した後車軸駆動装置5内とに伝達する。
動力伝達機構3には、エンジン2にて駆動されるベルト変速装置21と、ベルト変速装置21にて駆動されるドラム型変速装置1及び後車軸駆動装置5を有するトランスミッション800とが備えられている。後車軸駆動装置5は、左右一対の後輪4及び後車軸4aを駆動する。また、エンジン2の前方には、左右一対の前輪6及び前車軸6aを駆動する前車軸駆動装置7が設けられている。ドラム型変速装置1の出力は、後車軸駆動装置5と前車軸駆動装置7とに分配して伝達される。
図1に示すように、ベルト変速装置21は、前後に並ぶ駆動プーリ22と従動プーリ23とを備え、駆動プーリ22及び従動プーリ23に無端体としてのベルト24が巻き回されている。駆動プーリ22は、車体左右方向に延びるエンジン2の動力出力軸30に相対回転不能に取り付けられ、従動プーリ23は、車体左右方向に延びるトランスミッション800の動力入力軸820に相対回転不能に取り付けられる。動力出力軸30は駆動プーリ22の回転中心軸(プーリ軸)、動力入力軸820は従動プーリ23の回転中心軸(プーリ軸)となっている。ベルト変速装置21は、両プーリ22,23のプーリ溝の幅を、エンジン2の回転数の変化に従って変化させることで、その出力/入力回転数比を無段に変速する構成の無段変速装置(CVT)となっている。なお、トランスミッション800の動力入力軸820は、トランスミッション800内に設けたドラム型変速装置1の動力入力軸を構成している。
後車軸駆動装置5は、トランスミッション800に設けられ、ドラム型変速装置1の出力が入力される後輪用差動歯車機構830と、左右方向に延びる左右一対の後輪用出力軸840とを備える。各後輪用出力軸840は、ミッションハウジング805より左右各外方に突出しており、自在継手及び伝動軸を介して、左右各後輪4の後車軸4aに連動連結されている。後輪用差動歯車機構830は、ミッションハウジング805に内装されており、左右の後輪用出力軸840同士が後輪用差動歯車機構830を介して差動可能に連結されている。
前車軸駆動装置7は、その筐体としての前車軸駆動ハウジング70に、平面視で車体前後方向に延びる入力軸71と、左右方向に延びる左右一対の出力軸73とを支持している。前車軸駆動装置7の各出力軸73は、前車軸駆動ハウジング70より左右各外方に突出して、自在継手及び伝動軸を介して、左右各前輪6の前車軸6aに連動連結されている。前車軸駆動ハウジング70内には、前輪用差動機構(図示省略)が内装されており、左右の出力軸73同士が前輪用差動機構を介して差動可能に連結されている。入力軸71の後端部は、前車軸駆動ハウジング70より後方に突出し、前側から順に自在継手91、前側動力伝達軸92、自在継手93、後側動力伝達軸94及び軸継手95を介して、トランスミッション800のミッションハウジング805から前向きに突出する前輪用出力軸850の前端部に連結されている。
本実施形態においては、作業車輌1000は、後輪4及び前輪6の双方が駆動輪として作用している。詳しくは、作業車輌1000は、主駆動輪として作用する左右一対の後輪4と、副駆動輪として作用し且つ操舵輪としても作用する左右一対の前輪6とを有しており、ドラム型変速装置1によって変速された回転動力が後輪4及び前輪6に作動伝達されるようになっている。
次に、ドラム型変速装置1について、図1〜図4を参照しながら説明する。図2は、変速軸810、動力入力軸820、後輪用出力軸840及び前輪用出力軸850に沿って展開した断面図である。図3は、後進アイドル軸16、フォーク軸120、ドラム部材140及び変速操作軸150に沿って展開した断面図である。
ドラム型変速装置1は、互いに平行に設けられた変速軸810と動力入力軸820との間で回転動力を変速伝達させ得るようになっている。詳しくは、図1〜図3に示すように、ドラム型変速装置1は、変速軸810に相対回転自在に支持された変速ギヤ10と、動力入力軸820に相対回転不能に支持され(或いは一体形成され)且つ変速ギヤ10に直接又は間接的に噛合された伝動ギヤ20と、変速ギヤ10を選択的に動力伝達状態とさせるドラム型変速操作機構100とを備えている。
本実施形態においては、変速ギヤ10は、前進高速用の変速ギヤ10Hと、前進低速用の変速ギヤ10Lと、後進用の変速ギヤ10Rとを有する。伝動ギヤ20は、変速ギヤ10Hに噛合して変速ギヤ10Hと共に前進高速ギヤ列を形成する伝動ギヤ20Hと、変速ギヤ10Lに噛合して変速ギヤ10Lと共に前進低速ギヤ列を形成する伝動ギヤ20Lと、変速ギヤ10Rに後進アイドルギヤ15(図3参照)を介して噛合して変速ギヤ10R及び後進アイドルギヤ15と共に後進ギヤ列を形成する伝動ギヤ20Rとを有している。
なお、本実施形態においては、動力入力軸820がエンジン2等の駆動源から回転動力を作動的に入力する変速入力軸として作用し、変速軸810が変速後の回転動力を駆動輪へ出力する変速出力軸として作用している。変速軸810には、後輪用差動歯車機構830のファイナルギヤ831に噛合する変速出力ギヤ11が固設されており、変速軸810は後輪4とともに回転する。また、変速軸810の一端部(本実施形態では右端部)に取り付けられた駆動ベベルギヤ832に、前輪用出力軸850の後端に相対回転不能に取り付けられた従動ベベルギヤ833が噛合しており、変速軸810の回転動力は前輪用出力軸850にも伝達される。
即ち、図1及び図2に示すように、トランスミッション800は、ミッションハウジング805と、駆動源としてのエンジン2に作動連結されるように一端部が外方へ延在された状態でミッションハウジング805に軸線回り回転自在に支持され、変速入力軸として作用する動力入力軸820と、ミッションハウジング805に軸線回り回転自在に支持され変速出力軸として作用する変速軸810と、動力入力軸820から変速軸810へ回転動力を多段変速伝達するドラム型変速装置1とを備えている。
トランスミッション800は、さらに、左右一対の後輪用出力軸840と、変速出力軸(変速軸810)から作動的に入力される回転動力を左右一対の後輪用出力軸840に差動伝達する後輪用差動歯車機構830とを有する後車軸駆動装置5を備えている。また、トランスミッション800は、変速軸810の回転動力を後輪用出力軸840とは別の伝動経路へ出力する前輪用出力軸850とを備えている。
ドラム型変速操作機構100は、複数の変速ギヤ10を選択的に動力伝達状態とさせて、ドラム型変速装置1を所望変速段係合状態とさせるように構成されている。
詳しくは、図1〜図3に示すように、ドラム型変速操作機構100は、変速軸810に相対回転不能且つ軸線方向移動可能に支持され、軸線方向移動によって変速ギヤ10に選択的に凹凸係合するシフター部材110と、変速軸810に平行なフォーク軸120と、フォーク軸120に軸線方向移動自在に支持されたシフトフォーク130と、変速軸810に平行な軸線回りに回転操作されるドラム部材140とを備えている。
詳しくは、シフター部材110及び変速ギヤ10の対向端面には、それぞれ、変速用凹凸部112、12が設けられており、シフター部材110を変速ギヤ10に近接する方向へ軸線方向に沿って移動させることによって、シフター部材110の変速用凹凸部112が変速ギヤ10の変速用凹凸部12に係合し、これにより、変速ギヤ10がシフター部材110を介して変速軸810と一体回転する動力伝達状態となる。
図1〜図3に示すように、本実施形態においては、変速軸810には、軸線方向左側から右側へ順に、変速ギヤ10H、変速ギヤ10R及び変速ギヤ10Lが配置されている。
ドラム型変速操作機構100は、シフター部材110として、変速ギヤ10H及び変速ギヤ10Rの間において変速軸810に相対回転不能且つ軸線方向移動可能に支持され、軸線方向左側及び右側への移動に応じて変速ギヤ10H及び変速ギヤ10Rにそれぞれ凹凸係合する第1シフター部材110HRと、変速ギヤ10Lと対向する位置において変速軸810に相対回転不能且つ軸線方向移動可能に支持され、軸線方向に関し変速ギヤ10Lに近接する側(本実施形態では軸線方向左側)への移動に応じて変速ギヤ10Lに凹凸係合する第2シフター部材110Lとを有している。
第1シフター部材110HRは、変速ギヤ10Hと対向する軸線方向左側の端面に、変速ギヤ10Hの変速用凹凸部12Hに凹凸係合可能な高速用凹凸部112Hを有し、且つ、変速ギヤ10Rと対向する軸線方向右側の端面に、変速ギヤ10Rの変速用凹凸部12Rに凹凸係合可能な後進用凹凸部112Rを有している。
第2シフター部材110Lは、変速ギヤ10Lと対向する軸線方向左側の端面に、変速ギヤ10Lの変速用凹凸部12Lに凹凸係合可能な低速用凹凸部112Lを有している。
また、ドラム型変速操作機構100は、図3に示すように、シフトフォーク130として、第1及び第2シフター部材110HR、110Lをそれぞれ軸線方向へ移動させる第1及び第2シフトフォーク130HR、130Lを有している。
図3等に示すように、第1シフトフォーク130HRは、フォーク軸120に軸線方向移動可能に支持された第1ボス部132HRと、ドラム部材140に形成された第1フォーク案内溝142HRに係入される第1係合ピン部134HRと、第1シフター部材110HRに係合する第1フォーク部136HRとを有しており、自己のフォーク軸120上での軸線方向移動に応じて第1シフター部材110HRを変速軸810上で軸線方向に移動させるようになっている。
詳しくは、第1シフトフォーク130HR及び第1シフター部材110HRは、軸線方向位置に関し、第1シフター部材110HRが変速ギヤ10H及び変速ギヤ10Rの何れとも凹凸係合しない基準位置と、第1シフター部材110HRが変速ギヤ10Hと凹凸係合する高速位置と、第1シフター部材110HRが変速ギヤ10Rと凹凸係合する後進位置とを取り得る。なお、図3は、第1シフトフォーク130HR及び第1シフター部材110HRが基準位置に位置している状態を示している。
第2シフトフォーク130Lは、フォーク軸120に軸線方向移動可能に支持された第2ボス部132Lと、ドラム部材140に形成された第2フォーク案内溝142Lに係入される第2係合ピン部134Lと、第2シフター部材110Lに係合する第2フォーク部136Lとを有しており、自己のフォーク軸120上での軸線方向移動に応じて第2シフター部材110Lを変速軸810上で軸線方向に移動させるようになっている。
詳しくは、第2シフトフォーク130L及び第2シフター部材110Lは、軸線方向位置に関し、第2シフター部材110Lが変速ギヤ10Lとは凹凸係合しない基準位置と、第2シフター部材110Lが変速ギヤ10Lと凹凸係合する低速位置とを取り得る。なお、図3は、第2シフトフォーク130L及び第2シフター部材110Lが基準位置に位置している状態を示している。
ドラム部材140は、変速操作に応じて軸線回りに回転されるようになっている。本実施形態においては、図3に示すように、ドラム型変速操作機構100には、変速操作を受ける変速操作軸150が設けられており、ドラム部材140は変速操作軸150に作動連結されている。本実施形態においては、変速操作軸150は、シフトギヤ列200を介してドラム部材140に作動連結されている。
変速操作軸150は、ドラム部材140の回転軸線と平行に車輌左右方向に延びて配置され、一端部150a(本実施形態においては左端部)がミッションハウジング805内部に配置されるとともに、他端部150b(本実施形態においては右端部)が外方へ延在された状態でミッションハウジング805に軸線回り回転自在に支持されている。図1及び図3に示すように、変速操作軸150は、例えば、他端部150bに取り付けられた変速操作アーム155によって軸線回りに回転される。
これに代えて、変速操作軸150を電動モータによって軸線回りに回転させることも可能である。この場合には、変速操作アーム155が取り外され、変速操作軸150の他端部150bに電動モータ(図示せず)が装着される。この場合、ドラム部材140の軸線回り位置を検出する角度センサ(図示せず)が備えられることが好ましい。
図3に示すように、ドラム部材140は、フォーク案内溝(本実施形態においては第1及び第2フォーク案内溝142HR、142L)が形成されたドラム本体141と、ドラム本体141と同軸上においてドラム本体141を支持するドラム軸148とを有している。
図3に示すように、ドラム型変速操作機構100は、さらに、第1ボス部132HRを軸線方向左側へ押動する第1シフトフォーク押動バネ160HRと、第1ボス部132HRに軸線方向移動可能に外挿支持されたスライダー部材170と、スライダー部材170を軸線方向右側へ押動するスライダー部材押動バネ180とを備えている。
第1シフトフォーク押動バネ160HRは、第1シフトフォーク130HRがフリーな状態では、第1シフター部材110HRを変速ギヤ10Hと凹凸係合する高速位置まで移動させ得る付勢力で第1ボス部132HRを軸線方向左側へ押動するように設定されている。
詳しくは、第1シフトフォーク押動バネ160HRは、軸線方向右側の端部がフォーク軸120に設けられた係止部材126に係止された固定端部とされ、且つ、軸線方向左側の端部が第1ボス部132HRの軸線方向右側の端面に係合された可動端部とされている。
スライダー部材170は、第1ボス部132HRに設けられた停止部133によって軸線方向右側への移動端が画された状態で第1ボス部132HRに軸線方向移動可能に支持され、さらに、ドラム部材140に設けられたスライダー案内溝144によって軸線方向位置が規制されている。
詳しくは、スライダー部材170は、第1ボス部132HRに軸線方向移動可能に外挿されたスライダー本体172と、スライダー案内溝144に係入されるスライダー係合ピン部174とを有している。
スライダー部材押動バネ180は、第1シフトフォーク押動バネ160HRより大きな付勢力でスライダー部材170を軸線方向右側へ押動するように構成されている。
即ち、スライダー部材押動バネ180は、第1シフトフォーク130HR及びスライダー部材170がフリーな状態では、第1シフトフォーク130HRを軸方向第1側へ付勢する第1シフトフォーク押動バネ160HRの付勢力に抗して、第1シフター部材110HRを変速ギヤ10Rと凹凸係合する後進位置まで移動させ得る付勢力でスライダー部材170を介して第1ボス部132HRを軸線方向右側へ押動するように設定されている。
詳しくは、スライダー部材押動バネ180は、軸線方向左側の端部がフォーク軸に設けられた係止部材127に係止された固定端部とされ、且つ、軸線方向右側の端部がスライダー部材170の軸線方向左側の端面に係合された可動端部とされている。
本実施形態においては、図3に示すように、ドラム型変速操作機構100は、さらに、第2シフター部材110Lが変速ギヤ10Lに向けて押圧される方向へ第2ボス部132Lを押動する第2シフトフォーク押動バネ160Lを備えている。
前述の通り、本実施形態においては、第2シフター部材110Lの軸線方向左側に変速ギヤ10Lが位置しており、従って、第2シフトフォーク押動バネ160Lは第2ボス部132Lを軸線方向左側へ押動する。
詳しくは、第2シフトフォーク押動バネ160Lは、軸線方向右側の端部がフォーク軸120に設けられた係止部材128に係止された固定端部とされ、且つ、軸線方向左側の端部が第2ボス部132Lの軸線方向右側の端面に係合された可動端部とされている。
第2シフトフォーク押動バネ160Lは、第2シフトフォーク130Lがフリーな状態では、第2シフター部材110Lを変速ギヤ10Lと凹凸係合する低速位置まで移動させ得る付勢力で第2ボス部132Lを押動するように設定されている。
ドラム型変速装置1において、ドラム部材140は、ドラム型変速装置1が取り得る変速段(中立段を含む)に対応した軸線回り操作位置をとるように構成されている。
本実施形態においては、ドラム型変速装置1は、中立段、前進高速段、前進低速段及び後進段を取り得るように構成されており、従って、ドラム部材140は、軸線回りに、中立位置、高速位置、低速位置及び後進位置をとるように構成されている。
詳しくは、本実施形態においては、ドラム部材140は、中立位置から軸線回り一方側へ回転されると高速位置をとり、高速位置からさらに軸線回り一方側へ回転されると低速位置をとり、中立位置から軸線回り他方側へ回転されると後進位置をとるように構成されている。
ドラム型変速装置1は、さらに、パーキング段を取り得るようになっており、ドラム部材140は、上記操作位置に加えて、パーキング位置を取り得るようになっている。本実施形態においては、ドラム部材140は、後進位置からさらに軸線回り他方側へ回転されるとパーキング位置をとるように構成されている。このパーキング状態を現出させる為の構成については後述する。
ドラム型変速操作機構100は、さらに、ドラム部材140を操作位置のそれぞれに係止するディテント機構(図示省略)を備えている。ドラム型変速装置1において、ドラム部材140の間欠回動によってシフトフォーク130HR,130Lにはフォーク案内溝142HR,142L及びスライダー案内溝144の溝形状に応じた刻み送りが与えられる。これにより、ドラム型変速装置1は、前進低速状態、前進高速状態、後進駆動状態、中立状態及びパーキング状態のうちのいずれか一つの状態に設定される。本実施形態のドラム型変速装置1と同様の構成は、例えば特開2018−91376号公報に開示されている。
図3から明らかなように、ドラム部材140は、シフトギヤ列200を介して作動連結された変速操作軸150の回動に応じてドラム軸148の軸線回りに回動する。変速操作軸150の一端部(本実施形態では右端部)に、変速操作アーム155が相対回転不能に取り付けられている。変速操作アーム155は、図示しない変速操作具(レバー、ペダル、ダイヤル等)の操作に連動して変速操作軸150の軸線回りに回動する。なお、ドラム軸148には、ドラム部材140を操作位置のそれぞれに係止するディテント機構(図示省略)が連結されている。
シフトギヤ列200では、変速操作軸150に固設されたシフト駆動ギヤ201が、シフトアイドル軸202に固設された第1シフトアイドルギヤ203に噛合している。シフトアイドル軸202には第1シフトアイドルギヤ203よりも大径の第2シフトアイドルギヤ204が固設されており、第1及び第2シフトアイドルギヤ203、204は相対回転不能に設けられている。第2シフトアイドルギヤ204は、ドラム軸148の一端部(本実施形態では右端部)に固設されたシフトギヤ205に噛合している。変速操作アーム155の回動にともなって変速操作軸150及びギヤ201、203,204が回動し、それに連動してシフトギヤ205及びドラム軸148が回動する。
ここで、ドラム軸148の右端部、変速操作軸150及びシフトギヤ列200は、ミッションハウジング805の外側面(本実施形態では右側面)に設けられたシフトギヤ室805a内に収容されている。シフトギヤ室805aは、ドラム本体141や変速ギヤ10、伝動ギヤ20等が収容されるミッションハウジング805内部空間とは隔壁805bで隔離されている。シフトギヤ室805aは着脱可能なシフトギヤ室カバー806で覆われており、変速操作軸150の他端部150bはシフトギヤ室カバー806より右向きに突出している。
以下、ドラム型変速装置1のパーキング構造の一例について説明する。図4に、図3におけるA−A位置に対応する断面図を示す。図4は(A)パーキング解除状態を示し、図4(B)はパーキング状態(ロック状態)を示している。
図3及び図4に示すように、ドラム型変速装置1においては、シフトフォーク(第2シフトフォーク130L)によって軸線方向に移動されて、対応する変速ギヤ(変速ギヤ10L)に凹凸係合することで当該変速ギヤを動力伝達状態とするシフター部材(第2シフター部材110L)に、径方向外方を向くパーキング用凹凸部112Pが設けられている。
その上で、ドラム型変速装置1には、パーキング用凹凸部112Pに凹凸係合してシフター部材(第2シフター部材110L)を強制的に回転停止状態とさせるパーキングロック機構500が備えられている。本実施形態では、パーキング用凹凸部112Pを有する第2シフター部材110Lはパーキングギヤを兼ねている。
このように、ドラム型変速装置1は、対応する変速ギヤ(変速ギヤ10L)による動力伝達を係脱させるシフター部材(第2シフター部材110L)をパーキングギヤとして兼用するように構成されており、これにより、部品点数削減によるコスト低廉化及び軸線方向に関する小型化を図り得るようになっている。
なお、変速軸810にシフター部材とは別部材のパーキングギヤを相対回転不能に設け、当該パーキングギヤにパーキング用凹凸部112Pを設けてもよい。
図3及び図4に示すように、パーキングロック機構500は、第2シフター部材110Lを支持する変速軸810と平行な揺動軸線505回り揺動可能とされ且つ自由端部にパーキング用凹凸部112Pに係合可能な係合部515を有するパーキング用作動アーム510と、揺動軸線505回りパーキング解除方向へパーキング用作動アーム510を付勢するパーキング解除バネ520と、パーキング用押動部材530とを有している。
パーキング用作動アーム510は、揺動軸線505回りに、係合部515がパーキング用凹凸部112Pに係合されて第2シフター部材110Lを強制的に回転停止状態とさせるロック位置(図4(B)参照)、及び係合部515がパーキング用凹凸部112Pから径方向外方へ離間されるロック解除位置(図4(A)参照)を取り得る。
パーキング用押動部材530は、ドラム部材140がパーキング位置へ軸線回りに回転する動きを利用して、パーキング解除バネ520の付勢力に抗してパーキング用作動アーム510をロック位置へ向けて押動する。
本実施形態においては、図3及び図4に示すように、パーキング用押動部材530は、ドラム部材140に支持された押動部材本体部532と、押動部材本体部532から径方向外方へ延在されたカム押動部535とを有している。
カム押動部535は、図4(A)に示すように、ドラム部材140が変速位置及び中立位置(図示の形態においては後進位置)に位置する際にはパーキング用作動アーム510に対して作用せず、且つ、図4(B)に示すように、ドラム部材140のパーキング位置への回転動作を利用してパーキング解除バネ520(図3参照)の付勢力に抗してパーキング用作動アーム510をロック位置へ向けて押動するように構成されている。
本実施形態においては、図3及び図4に示すように、パーキング用作動アーム510は、揺動軸線505を画する枢支軸506に相対回転自在に外挿されるボス部512と、ボス部512から径方向外方へ延びるアーム部514とを有しており、アーム部514の自由端部のうちパーキング用凹凸部112Pと対向する側に係合部515が設けられ、アーム部514のパーキング用凹凸部112Pとは反対側にカム押動部535が係合する受圧面516が設けられている。
なお、本実施形態においては、図3に示すように、後進ギヤ列を形成する後進アイドルギヤ15を支持する後進アイドル軸16がパーキング用作動アーム510を揺動可能に支持する枢支軸506として利用されている。即ち、後進アイドル軸16の軸線がパーキング用作動アーム510の揺動軸線505を構成する。
パーキング解除バネ520は、図3等に示すように、一端側がパーキング用作動アーム510に作動連結され且つ他端側が(本実施形態においてはピン522を介して)枢支軸506に作動連結された状態で、枢支軸506に外挿されたコイルバネとされている。
本実施形態においては、前述の通り、ドラム部材140は、中立位置から軸線回り他方側へ回転されると後進位置をとり、後進位置からさらに軸線回り他方側へ回転されるとパーキング位置をとるようになっている。ドラム部材140の操作位置は、変速操作アーム155の操作位置で決定される。即ち、変速操作アーム155がパーキング位置P、後進位置R、中立位置N、高速位置(高速前進位置)H、低速位置(低速前進位置)Lのときに、ドラム部材140がパーキング位置、後進位置、中立位置、高速位置、低速位置になるように構成されている。
従って、カム押動部535は、変速操作アーム155が後進位置R、中立位置N、高速位置H、低速位置Lに位置される際(ドラム部材140が中立位置、後進位置、高速位置、低速位置に位置される際)には受圧面516に係合せず、且つ、変速操作アーム155が後進位置Rからパーキング位置Pへ向けて回転される際(ドラム部材140が後進位置からパーキング位置へ向けて回転される際)に受圧面516と係合して、パーキング解除バネ520の付勢力に抗してパーキング用作動アーム510をロック位置へ向けて押動する。
このように、本実施形態においては、パーキング用押動部材530をドラム部材140に支持させており、これにより、ドラム部材140のパーキング位置への回転を利用してパーキング用作動アーム510をロック位置へ向けて押動するパーキングロック機構500のコンパクト化を図ることができる。
本実施形態に係るドラム型変速装置1は、パーキング段への変速動作における待ち受け作用を奏する為にさらに下記構成を備えている。
即ち、本実施形態においては、パーキング用押動部材530の押動部材本体部532は、ドラム部材140に相対回転自在に外挿されている。
その上で、パーキング用押動部材530とドラム部材140とは、図3及び図4に示すように、一端側がパーキング用押動部材530に作動連結され且つ他端側が(本実施形態においてはピン542を介して)ドラム部材140に作動連結された状態でドラム部材140に外挿されたパーキング用コイルバネ540を介して連結されている。
パーキング用コイルバネ540は、カム押動部535に掛かる周方向負荷が所定値以下の場合にはドラム部材140の軸線回りの回転に伴ってパーキング用押動部材530が一体回転するように両者を相対回転不能に連結させる一方で、カム押動部535に掛かる周方向負荷が所定値を越える場合には弾性変形してドラム部材140がパーキング用押動部材530に対して軸線回りに先行相対回転することを許容するように構成されている。
なお、本実施形態においては、パーキング用コイルバネ540は、ドラム部材140をパーキング用押動部材530に対して先行相対回転させる際に縮径方向に弾性変形するように構成されている。
斯かる構成を備えることにより、パーキング段への変速動作において待ち受け作用を得ることができる。即ち、ドラム部材140のパーキング位置への回転に応じてカム押動部535がパーキング用作動アーム510をロック位置へ向けて揺動させる際に、パーキング用作動アーム510の係合部515が第2シフター部材110Lのパーキング用凹凸部112Pの凸部に突き合わされて、パーキング用作動アーム510がロック位置まで揺動できない事態が生じたとする。
この場合、カム押動部535には所定値を越える周方向負荷が掛かることになる。従って、ドラム部材140は、パーキング用コイルバネ540を弾性変形させつつ、パーキング用押動部材530に対して軸線回りにパーキング位置まで先行相対回転する。
この弾性変形状態のパーキング用コイルバネ540は、パーキング用押動部材530をドラム部材140に追従させる方向へ付勢する弾性力を保有しており、係合部515及びパーキング用凹凸部112Pが位置合わせされた段階で弾性力によってパーキング解除バネ520の付勢力に抗してパーキング用作動アーム510がロック位置まで揺動され、係合部515及びパーキング用凹凸部112Pが凹凸係合して、パーキング段への変速動作が完了する(図4(B)参照)。
本実施形態においては、図4(B)に示すように、カム押動部535がパーキング用作動アーム510をロック位置に位置させてドラム型変速装置1がパーキング段係合状態となった際に、受圧面516からカム押動部535に作用する反力の方向が、ドラム部材140の軸線を基準にしてカム押動部535が径方向外方へ延びる方向に略対向するように構成されている(以下、カム押動部535による「つっかえ」構成という)。
カム押動部535による「つっかえ」構成を備えることにより、パーキング用作動アーム510の係合部515及びパーキング用凹凸部112Pの凹凸係合が意に反して解除されることを有効に防止乃至は低減することができる。
詳しくは、ドラム型変速装置1が作業車輌の走行系伝動経路に用いられている場合において、作業車輌が坂道上に位置している状態でドラム部材140をパーキング位置に位置させてドラム型変速装置1をパーキング段係合状態とさせたと仮定する。
このような状況では、作業車輌に掛かる重力が駆動輪から変速軸810に逆伝達され、変速軸810には軸線回りの回転駆動力が作用する。
一般的に、凹凸係合構造の凹部(本実施形態においてはパーキング用凹凸部112Pの凹部)の横断面視形状を径方向内方へ行くに従って幅狭となるテーパ状とし、凹部に係入される凸部(本実施形態においてはパーキング用作動アーム510の係合部515)の横断面視形状を凹部に対応したテーパ状とすることで、凹凸係合の「し易さ」を確保することができる。
その反面で、パーキング用凹凸部112Pの凹部及び係合部515の横断面視形状をテーパ状とすると、変速軸810に駆動輪からの逆駆動力が伝達された際に、この逆駆動力がパーキング用作動アーム510をパーキング解除方向へ揺動させる力として作用することになり、ロック位置に位置しているパーキング用作動アーム510が意に反してパーキング解除方向へ揺動されて、パーキング用作動アーム510及びパーキング用凹凸部112Pの凹凸係合が解除する事態が生じ得る。
この点に関し、カム押動部535による「つっかえ」構成を備えていれば、パーキング用作動アーム510が意に反してロック位置から解除方向へ揺動する事態を有効に防止乃至は低減できる。
また、本実施形態においては、図4等に示すように、カム押動部535がパーキング用作動アーム510に係合していない状態、即ち、ドラム部材140が低速位置から後進位置までの操作位置に位置されている状態において、パーキング用押動部材530の押動部材本体部532が、パーキング解除バネ520によって揺動軸線505回りパーキング解除方向へ付勢されているパーキング用作動アーム510に当接して、パーキング用作動アーム510のパーキング解除方向の揺動端を画するように構成されている。
図3及び図4に示すように、変速操作軸150は、ミッションハウジング805の隔壁805b及びシフトギヤ室カバー806を貫通して設けられており、変速操作軸150の一端部150a(本実施形態では左端部)は、ミッションハウジング805内部でパーキング用作動アーム510に近接配置されている。本実施形態では、変速操作軸150は、変速操作軸150の軸線方向から見て、パーキング用作動アーム510と重なる位置に設けられている。そして、変速操作軸150の一端部150aに設けられたアーム牽制部156が、パーキング用作動アーム510のアーム部514に設けられた係合穴517に挿入されている。
図4に示すように、アーム牽制部156は、変速操作軸150の一端部150aの端面に設けられ、変速操作軸150の軸線に対して偏心するようにして、変速操作軸150の軸線方向に向けて突設されている。本実施形態では、アーム牽制部156は、変速操作軸150の一端部150a周壁の一部分が切り欠かれて形成されており、略扇形柱状の形態を有している。
図4(A)に示すように、パーキング用作動アーム510がロック解除位置に位置するパーキング解除状態では、パーキング用作動アーム510が変速操作軸150の回動(アーム牽制部156の回動変位)を妨げないように構成されている。本実施形態では、パーキング用作動アーム510の係合穴517は、変速操作軸150の軸径よりも若干大きい直径の円形貫通孔の形態を有し、パーキング解除状態において、変速操作軸150の軸線方向から見て、変速操作軸150の輪郭と概ね重なるように設けられている。これにより、変速操作アーム155が後進位置Rと低速位置Lとの間で回動変位するときに、アーム牽制部156が係合穴517内周壁に接触するのを防止して、変速操作アーム155の操作抵抗の増加を防止できる。
図4(B)に示すように、パーキング用作動アーム510がロック位置に位置するパーキング状態では、係合穴517は、パーキング解除状態における位置(図4(A)参照)よりも第2シフター部材110L(パーキングギヤ)寄りに位置している。そして、変速操作軸150の軸線方向から見て、係合穴517の内周壁の一部分は、ドラム軸148をパーキング位置と後進位置との間で回動させる時のアーム牽制部156の移動軌跡と交差している。
アーム牽制部156は、変速操作アーム155がパーキング位置Pから後進位置Rへ向けて回転する際(ドラム部材140がパーキング位置から後進位置へ向けて回転する際)に係合穴517の内周壁に接触してパーキング用作動アーム510をロック解除位置へ向けて付勢し得るように構成されている。
本実施形態のドラム型変速装置1によれば、ドラム部材140がパーキング位置から変速位置又は中立位置(本実施形態では後進位置R)へ向けて回動するときに、パーキング解除バネ520のバネ力によるロック解除機構と、変速操作軸150に設けたアーム牽制部156によるロック解除機構とを備えている。これにより、パーキング解除バネ520のバネ力及びパーキング用作動アーム510が第2シフター部材110L(パーキングギヤ)から受ける反力だけではパーキング状態が解除されない場合であっても、アーム牽制部156の作用によって確実にパーキング状態を解除できる。これにより、ドラム型変速装置1におけるパーキングロック機構500の信頼性を向上できる。
さらに、ドラム部材140及びパーキング用押動部材530に連動連結された変速操作軸150にアーム牽制部156を設けることで、1つの操作系(変速操作軸150の操作)で、2つのロック解除機構を操作できる。すなわち、変速操作軸150を使用してドラム部材140及びパーキング用押動部材530の回動を操作する操作系に、別途操作系を付け加えることなく、アーム牽制部156によるロック解除機構を設けることができ、簡単な構成及び低コストで、ドラム型変速装置1におけるパーキングロック機構500の信頼性を向上できる。
また、アーム牽制部156は、ドラム部材140を回動させる回転力の伝達経路の上流部に位置する変速操作軸150に設けられている。したがって、ドラム部材140をパーキング位置から変速位置又は中立位置へ向けて回動させるときに変速操作軸150に入力される解除操作力を減力させることなくパーキング用作動アーム510に伝達でき、解除操作力の大幅な増加を抑制できる。
さらに、本実施形態のドラム型変速装置1では、アーム牽制部156は、変速操作軸150の一端部150aが切り欠かれて形成されているので、部品点数を増加させることなく、変速操作軸150にアーム牽制部156を設けることができ、大幅な製造コストの増加を招かずに、低コストかつコンパクトな構成で、ドラム型変速装置1におけるパーキングロック機構500の信頼性を向上できる。
なお、アーム牽制部156は、パーキングロック解除時において、パーキング用作動アーム510をロック解除位置へ向けて必ず付勢するようにしてもよいし、パーキング用押動部材530のカム押動部535がパーキング用作動アーム510から離れてもパーキング用作動アーム510がパーキング用凹凸部112Pから離れないときのみにパーキング用作動アーム510をロック解除位置へ向けて付勢するようにしてもよい。
また、アーム牽制部156の形態は、略扇形柱状に限定されず、例えば円柱状など、他の形態であってもよい。また、変速操作軸150の一部分が切り欠かれて形成されたアーム牽制部156に替えて、変速操作軸150の一端部150aに、ドラム部材140がパーキング位置から変速位置又は中立位置へ移動されるときにパーキング用作動アーム510をロック解除位置側へ付勢し得る別部材を取り付けることでアーム牽制部を構成することも可能である。
また、パーキング用作動アーム510においてアーム牽制部156が接触する係合穴517は、円形状のものに限定されず、例えばL字形の溝など他の形状であってもよいし、パーキング用作動アーム510の外周側面に解放されていてもよい。また、パーキング用作動アーム510においてアーム牽制部156が接触する箇所は、アーム牽制部156をパーキング用作動アーム510と第2シフター部材110L(パーキングギヤ)との間に配置した上で、パーキング用作動アーム510の外周側面のうち第2シフター部材110Lに対向する部位に設けてもよい。
次に、図5を参照しながら、ドラム型変速装置の他の実施形態を説明する。本実施形態では、パーキングロック機構500Aにおいて、変速操作軸150におけるアーム牽制部156Aの形状及び形成位置と、パーキング用作動アーム510における係合穴517Aの形状及び形成位置が、図1〜図4を参照して説明した上記実施形態の係合穴517及びアーム牽制部156とは異なっている。その他の部分の構成は、図1〜図4を参照して説明した上記実施形態と同じなので、詳細な説明は省略する。
図5に示す実施形態では、アーム牽制部156A及び係合穴517Aは、ドラム部材140がパーキング位置に位置するとき(変速操作アーム155がパーキング位置Pに位置するとき)にパーキング用作動アーム510のロック解除位置側への移動を規制するように構成されている。
アーム牽制部156Aは、変速操作軸150の一端部150aの端面に設けられ、変速操作軸150の軸線に対して偏心するようにして、変速操作軸150の軸線方向に向けて突設されている。本実施形態では、アーム牽制部156Aは、変速操作軸150の一端部150a周壁の一部分が切り欠かれて形成されており、略扇形柱状の形態を有している。
図5(A)に示すように、パーキング用作動アーム510がロック解除位置に位置するパーキング解除状態では、パーキング用作動アーム510が、変速操作アーム155を後進位置Rと低速位置Lとの間で回動させるとき変速操作軸150の回動(アーム牽制部156の回動変位)を妨げないように構成されている。
本実施形態では、パーキング用作動アーム510の係合穴517Aは、変速操作軸150の軸径よりも若干大きい直径の円形貫通孔の形態を有している。そして、パーキング解除状態において、係合穴517Aの内周壁は、変速操作軸150の軸線方向から見て、ドラム軸148をパーキング位置と後進位置との間で回動させるとき(変速操作アーム155をパーキング位置Pと後進位置Rとの間で回動させるとき)のアーム牽制部156Aの移動軌跡と交差する一方、ドラム軸148を後進位置と低速位置との間で回動させるとき(変速操作アーム155を後進位置Rと低速位置Lとの間で回動させるとき)のアーム牽制部156Aの移動軌跡と交差しないように設けられる。これにより、変速操作アーム155が後進位置Rと低速位置Lとの間で回動変位するときに、アーム牽制部156Aが係合穴517Aの内周壁に接触するのを防止して、変速操作アーム155の操作抵抗の増加を防止できる。
図5(B)に示すように、パーキング用作動アーム510がロック位置に位置するパーキング状態では、アーム牽制部156Aは、パーキング用作動アーム510のロック解除位置側への移動を規制する位置に配置される。本実施形態では、係合穴517Aは、パーキング解除状態における位置(図5(A)参照)よりも第2シフター部材110L(パーキングギヤ)寄りに位置し、アーム牽制部156Aの第2シフター部材110L(パーキングギヤ)寄りの端部は、変速操作軸150の軸線方向から見て、係合穴517Aの内周壁に近接配置される。
本実施形態におけるパーキングロック機構500Aは、ドラム部材140がパーキング位置に位置するときに、パーキング用作動アーム510のロック解除位置側への移動を規制するロック機構として、パーキング用押動部材530によるロック機構と、アーム牽制部156Aによるロック機構とを備えている。このように、別々の部材に設けた2つのロック機構を有することで、一方のロック機構に不具合が生じた場合であっても、他方のロック機構でパーキング状態を維持でき、パーキングロック機構500Aの信頼性を向上できる。
また、パーキングロック機構500Aでは、ドラム部材140及びパーキング用押動部材530に連動連結された変速操作軸150にアーム牽制部156Aを設けることで、1つの操作系で、2つのロック機構を操作できる。すなわち、変速操作軸150を使用してドラム部材140及びパーキング用押動部材530の回動を操作する操作系に、別途操作系を付け加えることなく、アーム牽制部156Aによるロック機構を設けることができ、簡単な構成及び低コストで、パーキングロック機構500Aの信頼性を向上できる。
さらに、本実施形態のドラム型変速装置1では、アーム牽制部156Aは、変速操作軸150の一端部150aが切り欠かれて形成されているので、部品点数を増加させることなく、変速操作軸150にアーム牽制部156Aを設けることができ、大幅な製造コストの増加を招かずに、低コストかつコンパクトな構成で、ドラム型変速装置1におけるパーキングロック機構500Aの信頼性を向上できる。
なお、アーム牽制部156Aは、パーキングロック時において、パーキング用作動アーム510と接触していてもよいし、接触していなくてもよい。すなわち、アーム牽制部156Aは、ドラム部材140がパーキング位置に位置するにもかかわらずパーキング用押動部材530によるパーキング用作動アーム510のロック位置への保持状態が得られないときのみに、パーキング用作動アーム510と接触して、パーキング用作動アーム510がパーキング用凹凸部112Pから離れないようにパーキング用作動アーム510のロック解除位置側への移動を規制するようにしてもよい。
また、アーム牽制部156Aの形態は、略扇形柱状に限定されず、例えば円柱状など、他の形態であってもよい。また、変速操作軸150の一部分が切り欠かれて形成されたアーム牽制部156Aに替えて、変速操作軸150の一端部150aに、ドラム部材140がパーキング位置に位置するときにパーキング用作動アーム510のロック解除位置側への移動を規制する別部材を取り付けることでアーム牽制部を構成することも可能である。
また、パーキング用作動アーム510においてアーム牽制部156Aが接触する係合穴517Aは、円形状のものに限定されず、例えばL字形の溝など他の形状であってもよいし、パーキング用作動アーム510の外周側面に解放されていてもよい。また、パーキング用作動アーム510においてアーム牽制部156Aが接触する箇所は、アーム牽制部156Aをパーキング用作動アーム510に対して第2シフター部材110L(パーキングギヤ)とは反対側の位置に配置した上で、パーキング用作動アーム510の外周側面のうち第2シフター部材110Lとは反対側の部位に設けてもよい。
次に、図3、図6及び図7を参照しながら、パーキングロック保持機構700について説明する。図6は、図3におけるB−B位置に対応する断面図であり、(A)パーキング解除状態を示し、(B)はパーキング状態を示す。図7は、パーキングロック保持機構700及びその制御系を模式的に示す図である。なお、図3では、シフトギヤ列200の第2シフトアイドルギヤ204をロック部材係合部204aに沿った断面で図示している。また、図6では、ミッションハウジング805及びシフトギヤ室カバー806の図示を省略している。
図3に示すように、ミッションハウジング805に取り付けられたシフトギヤ室カバー806に、パーキングロック保持機構700が設けられている。パーキングロック保持機構700は、ドラム部材140がパーキング位置に位置するとき(変速操作アーム155がパーキング位置Pにあるとき)に、シフトギヤ列200を構成する複数のシフトギヤ201,203,204,205のうち本実施形態では第2シフトアイドルギヤ204に設けたロック部材係合部204aにギヤロック部材702を係合してシフトギヤ204の回転を禁止するものである。
パーキングロック保持機構700は、ギヤロック部材702をロック部材係合部204aに係脱する方向で摺動させる電動アクチュエータの一例としてのソレノイド701を備えている。ソレノイド701は、プランジャ703の先端部に設けたギヤロック部材702がシフトギヤ室805a内で第2シフトアイドルギヤ204の側面に対向するようにして、シフトギヤ室カバー806の外面に取り付けられている。本実施形態では、プランジャ703の先端部自体がギヤロック部材702を構成しているが、プランジャ703の先端部に、ロック部材係合部204aに係合可能な別部材をギヤロック係合部材として設けてもよい。
図7に示すように、ソレノイド701は、コイル705の通電時にプランジャ703が引っ込む(第2シフトアイドルギヤ204から離れる方向へ吸引される)、所謂プルソレノイドであり、コイル705の非通電時にはコイルバネ等の弾性部材706の弾性力でプランジャ703を突出方向へ付勢するように構成されている。すなわち、ソレノイド701は、先端部に設けたギヤロック部材702がロック部材係合部204aに係脱する方向で直線運動するプランジャ703を備え、ソレノイド701のコイル705が非通電のときに、プランジャ703先端部に設けたギヤロック部材702をロック部材係合部204aに係合する方向へ向けて付勢するように構成されている。
図6及び図7に示すように、パーキングロック保持機構700では、ドラム部材140がパーキング位置に位置するとき(変速操作アーム155がパーキング位置Pにあるとき)に、シフトギヤ列200の第2シフトアイドルギヤ204に設けたロック部材係合部204aがギヤロック部材702の移動軌跡上(プランジャ703の軸線上)に位置するように構成されている。ドラム部材140がパーキング位置で、ソレノイド701のコイル705が非通電のときには、プランジャ703の先端部に設けたギヤロック部材702がロック部材係合部204aに挿入されて係合し、第2シフトアイドルギヤ204の回転が禁止される。これにより、シフトギヤ列200の作動が禁止され、ひいてはドラム部材140の回転が禁止されて、パーキングロック機構500によるパーキング状態が保持される。
ドラム部材140がパーキング位置以外の操作位置に位置するときには、ギヤロック部材702は弾性部材706の弾性力により、第2シフトアイドルギヤ204の側面におけるロック部材係合部204a以外の部位に押圧され、ドラム部材140がパーキング位置になったときにギヤロック部材702が直ちにロック部材係合部204aに係合可能な待受け状態になっている。
図7に示すように、パーキングロック保持機構700は、ドラム型変速装置1を搭載した車輌に設けた制御装置900によって作動制御される。制御装置900は、各種演算処理や制御を実行するCPU(Central Processing Unit)や、制御プログラムや各種データを記憶したROM(Read Only Memory)と制御プログラムや各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含む記憶装置、入力インターフェース等を有している。
制御装置900の入力側には、車輌の車輪を制動操作する、ペダルやレバーなどのブレーキ操作具911の作動を検知するブレーキ感知センサ901と、車輌の電気系をオン又はオフに切り替えるイグニッションスイッチ902と、ドラム部材140の操作位置を検出する操作位置検知センサ903が電気接続されている。なお、操作位置検知センサ903は、例えば車輌の座席近傍に設けられてドラム部材140と連動するシフトレバー913のシフト位置を検出するセンサや、ドラム部材140のドラム軸148の回転角を検出するポテンショセンサなどで構成される。
制御装置900の出力側には、ソレノイド701が電気接続されている。なお、図7での図示は省略されているが、制御装置900には他にも各種センサや駆動装置等が電気的に接続されている。
図8を参照しながら、パーキングロック保持機構700の動作について説明する。図8は、パーキングロック保持機構700の動作を説明するためのフローチャートである。
パーキングロック保持機構700は、ドラム部材140がパーキング位置以外の操作位置に位置するとき(ステップS1,No)、イグニッションスイッチ902のオンオフ状態にかかわらず、ソレノイド701は非通電になるように構成されている(ステップS2)。このとき、上述のように、ドラム部材140がパーキング位置になったときにギヤロック部材702が直ちにロック部材係合部204aに係合可能な待受け状態になっている。
ドラム部材140がパーキング位置(シフトレバー913がパーキング位置)にあるとき(ステップS1,Yes)、かつ、イグニッションスイッチ902がオフのとき(ステップS3,No)、パーキングロック保持機構700のソレノイド701には電力が供給されないので、コイル705は非通電状態である(ステップS4)。このとき、弾性部材706の弾性力によってギヤロック部材702がロック部材係合部204aに係合し、パーキングロック保持機構700は、シフトレバー913を操作不能にするインターロック状態になる。
ドラム部材140がパーキング位置(ステップS1,Yes)、イグニッションスイッチ902がオン(ステップS2,Yes)、かつ、ブレーキ操作具911が操作されている(作動している)と制御装置900がブレーキ感知センサ901の検知信号に基づいて判断したとき(ステップS5,Yes)、制御装置900の制御によってソレノイド701のコイル705に通電する(ステップS6)。これにより、プランジャ703が吸引されてロック部材係合部204aからギヤロック部材702が引き抜かれ、パーキングロック保持機構700はシフトレバー913を操作可能にするインターロック解除状態になる。
なお、パーキングロック保持機構700がインターロック解除動作をした後、シフトレバー913が操作されてドラム部材140がパーキング位置以外の操作位置になったとき(ステップS1,No)、ソレノイド701のコイル705は制御装置900の制御によって非通電にされて、パーキングロック保持機構700は待受け状態になる(ステップS2)。
また、ソレノイド701は、手動解除ネジ707を回転させることで、プランジャ703の突出量を調整可能に構成されている。プランジャ703のギヤロック部材702が第2シフトアイドルギヤ204のロック部材係合部204aに挿入されて係合している状態で、プランジャ703が引っ込むように手動解除ネジ707を回転させることで、ギヤロック部材702とロック部材係合部204aとの係合(シフトギヤロック状態)を解除できるように構成されている。これにより、例えばバッテリー切れなど、ソレノイド701に電力供給できないときであっても、手動にてギヤロック部材702をロック部材係合部204aから引き抜いてシフトギヤ列200を作動可能な状態にでき、ひいてはシフトレバー913を操作可能な状態にできる。
本実施形態では、パーキングロック保持機構700は、ドラム部材140がパーキング位置に位置するとき(変速操作アーム155がパーキング位置Pにあるとき)に、シフトギヤ列200の第2シフトアイドルギヤ204に設けたロック部材係合部204aにギヤロック部材702を係合して第2シフトアイドルギヤ204の回転を禁止し得るようにした。これにより、ドラム型変速装置1を搭載した車輌のパーキング中に、車輌に設けたシフトレバー913が不意に作動されてパーキング状態が解除されるのを防止できる。
また、パーキングロック保持機構700は、ギヤロック部材702をロック部材係合部204aに係脱する方向で摺動させるソレノイド701(電動アクチュエータの一例)を備え、ソレノイド701が非通電のときに、ギヤロック部材702をロック部材係合部204aに係合する方向へ向けて付勢するように構成されている。これにより、ソレノイド701を用いた簡単な構成でありながら、例えばバッテリー切れなど、ソレノイド701に電力供給できないときであっても、ドラム部材140がパーキング位置に位置するときにはギヤロック部材702をロック部材係合部204aに係合してシフトギヤ列200の作動を確実に禁止し得るようにできる。
さらに、電動アクチュエータが、直線運動するプランジャ703を有するソレノイド701で構成され、プランジャ703の先端部にギヤロック部材702が設けられているので、パーキングロック保持機構700を簡単かつ単純な構成で実現でき、製造コストの上昇を抑制できる。
また、本実施形態の車輌は、車輪を制動操作するブレーキ操作具911が作動され、イグニッションスイッチ902がオンされ、且つ、ドラム部材140の操作位置がパーキング位置に位置するときに、ロック部材係合部204aへのギヤロック部材702の係合を解除するようにソレノイド701を作動させる制御装置900を備えている。これにより、車輌が走行可能かつ確実に停止した状態で、パーキングロック保持機構700のインターロック状態(ギヤロック部材702がロック部材係合部204aに係合して車輌のシフトレバー913の操作が不可能な状態)を解除でき、パーキング位置から他の操作位置へのドラム部材140の回転直後の車輌の移動を防止できる。
次に、図9を参照しながら、変形例のパーキングロック保持機構700Aを使用したドラム型変速装置1の実施形態を説明する。本実施形態では、パーキングロック保持機構700Aは、シフトギヤ列200の第2シフトアイドルギヤ204に設けた2つのロック部材係合部204bに、シフトアイドル軸202に相対回転不能かつ軸方向摺動可能に設けたギヤロック部材712の2つの係合突起部712aを着脱可能に係合して第2シフトアイドルギヤ204の回転を禁止する。
パーキングロック保持機構700は、ギヤロック部材712をロック部材係合部204bに係脱する方向で摺動させる電動アクチュエータの一例としてのソレノイド711を備えている。ソレノイド711は、プランジャ713を突出させることで、ギヤロック部材712の摺動方向(シフトアイドル軸202の軸線方向)に直交する揺動軸X回りに揺動自在に設けた揺動部材714の基端部714aを押して、揺動部材714の自由端部714bに連結したギヤロック部材712を第2シフトアイドルギヤ204から離れる方向へ移動可能に構成されている。
揺動部材714の自由端部714bは、ギヤロック部材712を挟み込むように略C字形に形成されており、略円筒形のギヤロック部材712の外周面に設けた係合溝712bに揺動部材714の自由端部714bの内向き爪部が嵌り込むことで抜け不能に連結されている。
シフトアイドル軸202の両端は、ミッションハウジング805の隔壁805b及びシフトギヤ室カバー806に回転不能に固定されている。すなわち、シフトアイドル軸202に相対回転不能かつ軸方向摺動可能に設けたギヤロック部材712は、ミッションハウジング805及びシフトギヤ室カバー806に対して回転不能に保持されている。シフトアイドル軸202には、ギヤロック部材712とシフトギヤ室カバー806との間の位置に、ギヤロック部材712を第2シフトアイドルギヤ204側へ向けて付勢する弾性部材716が外挿されている。
ソレノイド711は、コイル(図示省略)の通電時にプランジャ713が突出する、所謂プッシュソレノイドであり、コイルの非通電時には、プランジャ713は、弾性部材716の弾性力でソレノイド711寄りに位置する揺動部材714の基端部714aに押されて引っ込んだ状態になる。
ソレノイド711の通電時には、プランジャ713が突出し、ギヤロック部材712を弾性部材716の弾性力に抗して第2シフトアイドルギヤ204から離れる方向へ移動させるように揺動部材714の基端部714aを押すように構成されている。
パーキングロック保持機構700Aでは、ドラム部材140がパーキング位置に位置するとき(変速操作アーム155がパーキング位置Pにあるとき)に、シフトギヤ列200の第2シフトアイドルギヤ204に設けた2つのロック部材係合部204bがギヤロック部材712の対応する係合突起部712aの移動軌跡上に位置するように構成されている。ドラム部材140がパーキング位置で、ソレノイド701のコイル705が非通電のときには、係合突起部712aがロック部材係合部204bに挿入されて係合し、第2シフトアイドルギヤ204の回転が禁止される。これにより、シフトギヤ列200の作動が禁止され、ひいてはドラム部材140の回転が禁止されて、パーキングロック機構500によるパーキング状態が保持される。
ドラム部材140がパーキング位置以外の操作位置に位置するときには、ギヤロック部材712の係合突起部712aはロック部材係合部204bから脱離した状態であり、係合突起部712aは、第2シフトアイドルギヤ204の側面におけるロック部材係合部204b以外の部位に押圧され、ドラム部材140がパーキング位置になったときに係合突起部712aが直ちにロック部材係合部204bに係合可能な待受け状態になっている。
パーキングロック保持機構700Aのソレノイド711は、図7に示した制御装置900によって、図8に示したフローチャートに沿って、上記実施形態のパーキングロック保持機構700と同様の動作を行う。
また、ソレノイド711は、手動解除ネジ717を回転させることで、プランジャ713の突出量を調整可能に構成されている。プランジャ713のギヤロック部材712がロック部材係合部204bに挿入されて係合している状態で、プランジャ713がより突出するように手動解除ネジ717を回転させることで、ギヤロック部材712とロック部材係合部204bとの係合(シフトギヤロック状態)を解除できるように構成されている。これにより、例えばバッテリー切れなど、ソレノイド711に電力供給できないときであっても、手動にてギヤロック部材712をロック部材係合部204bから引き抜いてシフトギヤ列200を作動可能な状態にでき、ひいてはシフトレバー913を操作可能な状態にできる。
本実施形態では、パーキングロック保持機構700Aは、ドラム部材140がパーキング位置に位置するとき(変速操作アーム155がパーキング位置Pにあるとき)に、シフトギヤ列200の第2シフトアイドルギヤ204に設けたロック部材係合部204bにギヤロック部材702を係合して第2シフトアイドルギヤ204の回転を禁止し得るようにした。これにより、ドラム型変速装置1を搭載した車輌のパーキング中に、車輌に設けたシフトレバー913が不意に作動されてパーキング状態が解除されるのを防止できる。
また、パーキングロック保持機構700Aは、ギヤロック部材712をロック部材係合部204bに係脱する方向で摺動させるソレノイド711(電動アクチュエータの一例)を備え、ソレノイド711が非通電のときに、ギヤロック部材712の係合突起部712aをロック部材係合部204bに係合する方向へ向けて付勢するように構成されている。これにより、ソレノイド711を用いた簡単な構成でありながら、例えばバッテリー切れなど、ソレノイド711に電力供給できないときであっても、ドラム部材140がパーキング位置に位置するときにはギヤロック部材712をロック部材係合部204aに係合してシフトギヤ列200の作動を確実に禁止し得るようにできる。
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。