JP2020165811A - 位置推定装置および位置推定方法 - Google Patents

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隆介 山村
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洋幸 小林
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Sadahisa Matsushima
禎央 松嶋
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栄介 大谷
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Yuto Fujishima
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Abstract

【課題】FFT処理による複数のターゲットの分離能を高め、2周波比較処理による距離推定精度を高める位置推定装置を提供する。【解決手段】位置推定装置100は、所定の周波数差で2つの周波数に変化させた信号波を送信する送信部110,111と、信号波が複数のターゲットによって反射された反射波を受信し、反射波を信号波の周波数で周波数変換したビート信号を生成する受信部121と、2つの周波数に対応するビート信号の各々に対して、位相情報が保たれた、前記複数のターゲットの方位角度または距離が互いに分離された分離ビート信号を生成する第1信号処理部125と、所定の周波数差、および2つの周波数に対応する分離ビート信号の位相差から、ターゲットの位置としてターゲットとの距離を推定する第2信号処理部126とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ターゲットの位置(例えば、ターゲットの方位角度およびターゲットとの距離)を推定する位置推定装置および位置推定方法に関する。
特許文献1には、2周波比較方式のレーダ装置が記載されている。このレーダ装置では、ビート信号のパワースペクトルの位相差から、ターゲットまでの距離を計算する。特許文献2には、2周波比較方式とFMCW方式とを組み合わせたレーダ装置が記載されている。このレーダ装置では、2周波に対応するビート信号の位相差から、ターゲットまでの距離を計算する。
特開2009−042061号公報 特開2011−232115号公報
2周波比較方式では、距離を正確に求めることができる反面、ターゲットは1つである必要がある。これに対して、FFTによる距離推定では、複数のターゲットの距離を求めることができる反面、距離推定精度は低い。また、十分に距離差がある必要がある。
これらの点に関し、特許文献1に記載のレーダ装置では、FFT処理により複数のターゲットに対応でき、FFT処理で分離できたターゲットについて2周波比較による処理により正確な距離を求めることができる。つまり、特許文献1に記載のレーダ装置では、複数のターゲットの距離を正確に求めることができる。しかし、FFT処理でも複数のターゲットを分離できないことがあり、この場合、FFT処理で分離できないターゲットについて2周波比較の処理を適用できない。
本発明は、FFT処理による複数のターゲットの分離能を高め、2周波比較処理による距離推定精度を高める位置検出装置および位置推定装置を提供することを目的とする。
本発明の位置推定装置は、複数のターゲットの位置を推定する位置推定装置であって、所定の周波数差で2つの周波数に変化させた信号波を送信する送信部と、前記信号波が前記複数のターゲットによって反射された反射波を受信し、前記反射波を前記信号波の周波数で周波数変換したビート信号を生成する受信部と、前記2つの周波数に対応する前記ビート信号の各々に対して、位相情報が保たれた、前記複数のターゲットの方位角度または距離が互いに分離された分離ビート信号を生成する第1信号処理部と、前記所定の周波数差、および前記2つの周波数に対応する前記分離ビート信号の位相差から、前記ターゲットの位置として前記ターゲットとの距離を推定する第2信号処理部と、を備える。
本発明の位置推定方法は、複数のターゲットの位置を推定する位置推定方法であって、所定の周波数差で2つの周波数に変化させた信号波を送信し、前記信号波が前記複数のターゲットによって反射された反射波を受信し、前記反射波を前記信号波の周波数で周波数変換したビート信号を生成し、前記2つの周波数に対応する前記ビート信号の各々に対して、位相情報が保たれた、前記複数のターゲットの方位角度または距離が互いに分離された分離ビート信号を生成し、前記所定の周波数差、および前記2つの周波数に対応する前記分離ビート信号の位相差から、前記ターゲットの位置として前記ターゲットとの距離を推定する。
本発明によれば、FFT処理による複数のターゲットの分離能を高め、2周波比較処理による距離推定精度を高めることができる。
本実施形態に係るレーダ装置(位置推定装置)の構成を示す図である。 3つの周波数に対応するビート信号に基づくターゲットの位置の計測結果(レーダチャート:XY直交座標系)の一例、2つの周波数に対応するビート信号に基づくターゲットの位置の計測結果(レーダチャート:XY直交座標系)の一例を示す図である。 図2のおける3つの周波数に対応するビート信号のベクトルおよび差分ベクトルを示す図である。 距離2mと6mにターゲットが位置するときの差分ベクトルの強度(上側)、および差分ベクトルの位相φおよび位相差Δφ(下側)を示す図である。 距離2mと4mにターゲットが位置するときの差分ベクトルの強度(上側)、および差分ベクトルの位相φおよび位相差Δφ(下側)を示す図である。 2つの周波数に対応するビート信号に基づくターゲットの位置の計測結果(レーダチャート:XY直交座標系)の一例を示す図である。 図1に示すレーダ装置(位置推定装置)における第1処理部による実測4アンテナデータの分析(手順3−1)を説明するための図である。 図1に示すレーダ装置(位置推定装置)における第1処理部による実測4アンテナデータの分析(手順3−1)を説明するための図である。 図1に示すレーダ装置(位置推定装置)における第1処理部による実測4アンテナデータの分析(手順3−1)を説明するための図である。 図1に示すレーダ装置(位置推定装置)における第1処理部による実測4アンテナデータの分析(手順3−1)を説明するための図である。 図1に示すレーダ装置(位置推定装置)における第1処理部による実測4アンテナデータの分析(手順3−1)を説明するための図である。 合成信号x’の一例を示す図である。 推定関数Y’の一例を示す図である。 距離の推定結果(レーダチャート:XY直交座標系)の一例を示す図である。 図1に示すレーダ装置(位置推定装置)による位置推定処理を示すフローチャートである。 図15に示す位置推定処理における方位角度の高分離能化処理(DOA1)を示すフローチャートである。 比較例の距離の推定結果(レーダチャート:XY直交座標系)の一例を示す図である。 変形例1に係るレーダ装置(位置推定装置)による位置推定処理における方位角度の高分離能化処理(DOA2)のフローチャートである。 変形例1の推定関数Yの算出結果を示す図である。 変形例1の推定関数Yの算出結果を示す図である。 変形例2に係るレーダ装置(位置推定装置)による位置推定処理における方位角度の高分離能化処理(DOA3)のフローチャートである。 変形例2に係るレーダ装置(位置推定装置)における第1処理部による実測4アンテナデータの分析(手順1)を説明するための図である。 変形例2の合成信号x(k)’および推定関数Y’の算出結果を示す図である。 変形例3に係る距離推定の一例を説明するための図である(FMCW方式)。 変形例3に係る距離推定の他の一例を説明するための図である(パルス方式)。 変形例4に係るレーダ装置(位置推定装置)100による位置推定処理における方位角度(または距離)の高分解能化処理の一例を説明するための図である。 変形例4に係るレーダ装置(位置推定装置)100による位置推定処理における方位角度(または距離)の高分解能化処理の一例を説明するための図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
(レーダ装置)
図1は、本実施形態に係るレーダ装置(位置推定装置)の構成を示す図である。図1に示すレーダ装置100は、例えば76GHz帯域または79GHz帯域の車載用ミリ波レーダ、または、24GHz帯域の車載用レーダ等の種々の車載用レーダに用いられる装置である。
レーダ装置100は、送信アンテナTxから信号波を送信し、この信号波がターゲットで反射された反射波を複数の受信アンテナRxで受信する。レーダ装置100は、複数の受信アンテナRxで受信した受信信号に基づいて、ターゲットの位置(ターゲットとの距離、ターゲットの方位角度)、ターゲットの速度(相対速度)を検出(推定)する。レーダ装置100は、制御部101と、送信制御部110と、送信部111と、受信信号処理部120と、受信部121と、1つの送信アンテナTxと、複数の受信アンテナRxとを備える。
制御部101、送信制御部110および受信信号処理部120は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部101、送信制御部110および受信信号処理部120の各種機能は、例えば記憶部に格納された所定のソフトウェア(プログラム、アプリケーション)を実行することで実現される。制御部101、送信制御部110および受信信号処理部120の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
制御部101は、レーダ装置100全体の動作を制御する。
送信制御部110は、送信部111を制御する。
送信部111は、VCO(Voltage-controlled oscillator)、変調器、アンプ等を備える。VCOは送信制御部110からの周波数制御信号に基づいて、所定の高周波信号を生成する。変調器は、VCOからの高周波信号を、送信制御部110からの変調信号で変調して送信信号を生成する。生成された送信信号は、アンプおよび送信アンテナTxを介して送信される。なお、送信部111と送信制御部110とが、特許請求の範囲に記載の送信部を構成する。
受信部121は、アンプ、IQミキサ、フィルタ、ADC等を備える。受信部121は、受信アンテナRxおよびアンプを介して受信信号を受信する。
IQミキサは、受信信号(反射波)を送信信号(信号波)の周波数で周波数変換したビート信号(IF信号)を生成する。より具体的には、IQミキサは、受信信号を、VCOからの高周波信号で直交位相検波して同位相のI信号と、位相が90度(π/2)ずれたQ信号とを出力する。
ADCは、フィルタを介して入力されるI信号、Q信号(ビート信号)を所定のサンプリング周波数でサンプリングすることにより、アナログ−ディジタル変換を行う。ADCは、ディジタル信号に変換されたI信号、Q信号(ビート信号)を受信信号処理部120に出力する。
受信信号処理部120は、I信号、Q信号(ビート信号:ディジタル信号)に基づいて、ターゲットの位置(ターゲットとの距離、ターゲットの方位角度)、ターゲットの速度(相対速度)を検出(推定)する。
以下、受信信号処理部120によるターゲットの位置の推定について説明する。受信信号処理部120は、ターゲットの位置の推定のために、第1信号処理部125と第2信号処理部126とを備える。
<手順1>
まず、送信制御部110および送信部111が、所定の周波数差Δfで3つの周波数に変化させた送信信号(信号波)を順に送信する。例えば、送信制御部110および送信部111は、送信信号(信号波)の中心周波数を所定の周波数間隔(例えば、数十MHz間隔)で偏移させる。受信部121は、送信信号がターゲットによって反射された反射波を受信信号として順に受信する。受信部121は、受信信号を送信信号の周波数で周波数変換し、アナログ−ディジタル変換したビート信号(ディジタル信号)を生成する。
図2の(a)〜(c)に、3つの周波数に対応するビート信号に基づくターゲットの位置の計測結果(レーダチャート:XY直交座標系)の一例を示す。図2の例では、所定の周波数差をΔfとし、1つ目の送信信号の中心周波数がf1であり、2つ目の送信信号の中心周波数がf2=f1+Δfであり、3つ目の送信信号の中心周波数がf3=f2+Δfである。
<手順2>
次に、第1信号処理部125は、3つの周波数に対応するビート信号の差分処理により、所定の周波数差Δfの2つの周波数に対応するビート信号を生成する(周波数偏移方式Ver.1)。
図2の(d)および(e)に、2つの周波数に対応するビート信号に基づくターゲットの位置の計測結果(レーダチャート:XY直交座標系)の一例を示す。図2の(d)の例は、例えば、中心周波数f1に対応するビート信号と中心周波数f2に対応するビート信号との差分のビート信号に基づくターゲットの位置の計測結果である。図2の(e)の例は、例えば、中心周波数f2に対応するビート信号と中心周波数f3に対応するビート信号との差分のビート信号に基づくターゲットの位置の計測結果である。
図3を参照して、手順2について説明する。図3の(a)〜(c)は、図2の(a)〜(c)のおける3つの周波数に対応するビート信号のベクトルを示す図である。ビート信号は、ターゲットで反射した反射波で構成されるターゲット成分と、送信部111から受信部121へ直接入射する信号波で構成される送受間結合成分等との合成ベクトルである。
送受間結合成分は周波数の偏移によらず一定の位相と強度であるので、中心周波数f1に対応するビート信号と中心周波数f2に対応するビート信号との差分処理により、図3の(d)、(e)および(f)に示すように、送受間結合成分が除去されたビート信号の差分ベクトル(1)が得られる(図2の(d)に対応)。同様に、中心周波数f2に対応するビート信号と中心周波数f3に対応するビート信号との差分処理により、図3の(d)および(e)に示すように、送受間結合成分が除去されたビート信号の差分ベクトル(2)が得られる(図2の(e)に対応)。尚、送受間結合成分以外にも、レーダ装置100に対して相対位置の変化しないターゲット(例えば、レーダ装置100が搭載された車両のバンパからの反射等)であれば周波数の偏移によらず一定の位相と強度となるので、同様にこの様な成分を除去したビート信号の差分ベクトルを得ることができる。
ターゲット成分の位相φは、レーダ波の波長λに対するレーダ装置とターゲット間の往復距離2rによって、次式のように決定される。
fn=f1+Δf・(n−1):レーダ波の中心周波数。n=1,2,3
c:光速
また、Δfだけ周波数を偏移させた場合の位相変化量Δφは、次式のように表される。
ビート信号のベクトルから直接に、このΔφを求めることは出来ないが、f2とf1との組合せ、またはf3とf2との組合せでのベクトルの差分を用いるとΔφを求めることができる。
なお、本実施形態では、ターゲット成分の位相を一定としたが、送受結合成分の除去具合により、ターゲット成分の位相を少し回転させてもよい。
なお、手順2は必ずしも行われなくてもよい。この場合、手順1において、所定の周波数差Δfで2つの周波数に変化させた送信信号(送信波)を順に送信し、所定の周波数差Δfの2つの周波数に対応するビート信号を受信し、この受信したビート信号そのものを所定の周波数差Δfの2つの周波数に対応するビート信号として用いればよい。
<手順3>
ここで、本願発明者らは、FFT処理による複数のターゲットの分離能を高め、2周波比較処理による距離推定精度を高めるためには、以下の事項(i)〜(iii)を満たす必要があるとの知見を得ている。
(i)方位角度について複数ターゲットを分離検出できていること
(ii)位相情報を有していること
(iii)2周波数条件で同じ方位角に推定すること
それぞれの事項について以下に概説する。
(i)方位角度について複数ターゲットを分離検出できていること:
方位角度について複数ターゲットを分離検出できている必要がある。例えば、検出されたターゲットの方位角度が、各々異なることが検出されている場合には、本事項(i)を満たすこととなる、この他、複数ターゲットから得られる方位角度方向のピーク同士が大きく重なり、互いのピークを分離できていない状態の場合には、本事項(i)を満たさない。
(ii)位相情報を有していること:
2周波で検出されたターゲット位置それぞれについて、位相情報が保たれている必要がある。例えば、レーダ装置100が、夫々の周波数で受信した信号をIQ直交復調してターゲット位置を計測する場合には、I信号、Q信号それぞれが、後述する手順4の前段階において、互いの信号を分離できる状態であれば本事項(ii)を満たす。一方で、I信号、Q信号を分離することができない場合には、本事項(ii)を満たさない。
(iii)2周波数条件で同じ方位角に推定すること:
後述する手順4の前段階において、用いられる2つの周波数(ビート信号を含む)それぞれから得られた複数のターゲットの方位角度位置が、互いに分離され、かつ略同じ方位角に推定されている必要がある。たとえば、2つの周波数それぞれから得られた複数のターゲットの方位角度位置のうちいずれのターゲットの方位角度位置も略一致している(例えば、方位角度位置の差が5deg以内。)場合には本事項(iii)を満たす。一方で、2つの周波数それぞれから得られた複数のターゲットの方位角度位置のうちいずれかのターゲットの方位角度位置が大きく異なる(例えば、方位角度位置の差が10deg以上。)場合には、本事項(iii)を満たさない。
図4を参照して、レーダ装置正面の距離2mと6mにターゲットが位置する例について検討する。図4は、距離2mと6mにターゲットが位置するときの差分ベクトルの強度(上側)、および差分ベクトルの位相φおよび位相差Δφ(下側)を示す図である。図4の上側では、上述した差分ベクトル(1)を実線で、上述した差分ベクトル(2)を破線で示す。図4の下側では、差分ベクトル(1)の位相φ(1)を実線で、差分ベクトル(2)の位相φ(2)を破線で、これらの位相差Δφを一点鎖線で示す。
例えば24GHz帯のパルス方式レーダ装置では、同周波数帯域を利用する他機器への影響、および他機器からの影響の低減を考慮し、周波数帯域幅を200MHz以下とする場合がある。この様な場合には、パルス幅は距離換算にして3m程度の広がりがある。図4の上側では、これと同程度の距離推定の不確かさが生じる。なお、差分ベクトルは距離が遠いほうが大きくなる性質があるため、距離2mのピークよりも距離6mのピークが高い。
これに対して、図4の下側のΔφでは階段状に値が変化している。Δφが一定値であることは推定される距離が一定値であることを意味しており、この性質を利用することで図4の上側の強度グラフのようなパルス幅由来による不確かさを解消することができる。
ただし、上記のΔφによる距離推定が成立するのは、ターゲット成分ベクトルが単一のターゲットからなる場合である。図4の上側でピークの裾が重なっている4m付近では、2つのターゲット成分のベクトルが干渉するため、図4の下側のΔφも一定の値にならず、推定の不確かさが生じている。
これにより、パルス幅によらない距離推定が必要となる。
次に、図5を参照して、レーダ装置正面の距離2mと4mにターゲットが位置する例について検討する。図5は、距離2mと4mにターゲットが位置するときの差分ベクトルの強度(上側)、および差分ベクトルの位相φおよび位相差Δφ(下側)を示す図である。図5の上側では、上述した差分ベクトル(1)を実線で、上述した差分ベクトル(2)を破線で示す。図5の下側では、差分ベクトル(1)の位相φ(1)を実線で、差分ベクトル(2)の位相φ(2)を破線で、これらの位相差Δφを一点鎖線で示す。
図5の上側では、ピークが重なっており分離検出ができていない状態である。このとき、Δφの値が一定にならない距離推定が不確かな領域が広がってしまう。特に、この不確かな領域は、図5の上側のように信号強度が高い領域と重なる。このような場合、正しい距離推定は困難となる。
レーダ装置近傍の複数ターゲットを検知する用途を想定した場合において、4m以上ターゲット距離が異なっている状況を前提とすることはできないので、複数ターゲットを方位角度において分離検出できていることが必要となる(上記(i))。
上述した要求事項(i)〜(iii)を満たすため、手順3では、第1信号処理部125は、2つの周波数に対応するビート信号の各々に対して、位相情報が保たれた、複数のターゲットの方位角度または距離が互いに分離された分離ビート信号を生成する。
図6に、後述するターゲットの方位角度の高分離能化処理を実行することにより得られる、2つの周波数に対応するビート信号に基づくターゲットの位置の計測結果(レーダチャート:XY直交座標系)の一例を示す。この例では、いずれのビート信号に基づくターゲットの位置の計測結果においても2つの角度方向に沿ってピーク(黒くなっている箇所)を有しており、かつ、いずれのビート信号に基づくターゲットの位置の計測結果においても、0deg方向近傍と、0deg方向から反時計周りに30度傾いた方向近傍にピークを有していることから、
(i)方位角度について複数ターゲットを分離検出できていること
(iii)2周波数条件で同じ方位角に推定できていること
がわかる。
以下、第1信号処理部125によるターゲットの方位角度の高分離能化について詳細に説明する。第1信号処理部125は、第1処理部11と、第2処理部12と、第3処理部13とを備える。以下、送信部は干渉性を有する信号波を送信し、受信部は、4個の受信アンテナによって反射波を受信することとする。
<<手順3−1>>
第1処理部11は、実在するN個の受信アンテナによって信号波を受信することにより生成される受信信号xを、K個の仮想的な単一波信号x(k)’の線形合成信号として近似する(Nは4であり、nはN個の受信アンテナの番号であって0〜3であり、Kは15であり、kはK個の仮想的な単一ターゲットの番号である)。
具体的には、第1処理部11は、N個の受信アンテナの受信信号xはK個の単一波信号x(k)’の合成信号x(0)であると仮定し、以下の処理を行う。すなわち、第1処理部11は、
(1)N個の受信アンテナの合成信号x(k)をフーリエ変換することにより、信号波の方位角度分布(方位角度スペクトラム)を推定関数Y(k)として生成し、
(2)生成した推定関数Y(k)のピークを形成する単一波信号についてN個の受信アンテナの単一波信号x(k)’を生成し、
(3)N個の受信アンテナごとに、合成信号x(k)から、単一波信号x(k)’に所定の減算率Mを乗算したM・x(k)’を減算して、N個の受信アンテナの残りの合成信号x(k’)を生成する。
(k’)=x(k)−M・x(k)’
k’は、kを1だけインクリメントした値である。
第1処理部11は、k’=Kとなるまで、残りの合成信号x(k’)に対して、上記(1)〜(3)の処理を繰り返す。
このように、kを1ずつインクリメントして、合成信号x(k)に対して上記(1)〜(3)の処理を繰り返すことにより、N個の受信アンテナの受信信号xを、K個の単一波信号x(k)’の線形合成信号として近似することができる。
なお、上述および後述において、xは実測された受信アンテナ信号であり、x(k)はk個の単一波信号成分を減算済みの受信アンテナ信号であり(減算前。つまりk=0のときx(0)=x)、Y(k)はx(k)をフーリエ変換して算出した推定関数であり(減算前、つまりk=0のときY(0)=Y0)、x(k)’はY(k)のピークを形成する単一波信号の受信アンテナ信号であり、Y(k)’はx(k)’をフーリエ変換して算出した推定関数であり、k’=k+1であり、x’はK個の単一波信号を合成した受信信号である(m:実在、非実在を含むアンテナ番号)。
図7〜図11は、第1処理部11による実測4アンテナデータの分析(手順3−1)を説明するための図である。
図7の(A)は、4個の受信アンテナの受信信号x、すなわち合成信号x(0)の一例を示す図である。図7の(A)では、実在する受信アンテナ(番号n=0〜3)で受信した受信信号xの実部Iおよび虚部Qが黒丸および黒三角で示されている。なお、図7の(A)には、参考のため実在しない受信アンテナ(番号n=−4〜−1,4〜11の受信信号の実部Iおよび虚部Qが白丸および白三角で示されているが、本手順3−1ではこれらの信号は用いられない。横軸は受信アンテナ番号nであり、縦軸は受信強度である。
図7の(A)では、方位角度0度からの信号波と方位角度20度からの信号波との2つの信号波を受信する場合を例示する。方位角度0度からの信号波の振幅Aおよび位相φはA=1、φ=0度であり、方位角度20度からの信号波の振幅Aおよび位相φはA=1、φ=180度である。
まず、第1処理部11は、4個の受信アンテナの合成信号x(0)をフーリエ変換することにより、信号波の方位角度分布(方位角度スペクトラム)を推定関数Y(0)として生成する。
図7の(B)は、推定関数Y(0)の一例を示す図である。図7の(B)には、推定関数Y(0)の実部Re_Y(0)および虚部Im_Y(0)、並びにこれらの二乗和の平方根である大きさ|Y(0)|が、中太実線および実線、並びに最太実線で示されている。横軸は推定角度θであり、縦軸は受信強度である。
|Y(0)|におけるピークp0の方位角度θ0は、真の信号波の方位角度ではなく、2つの信号波の干渉によって生じた偽の方位角度であるが、この段階では真偽は問わない。
次に、第1処理部11は、生成した推定関数|Y(0)|のピークp0(推定角度θ0)を形成する単一波信号について実在する受信アンテナ(番号n=0〜3)の単一波信号x(0)’を生成する。
図7の(C)は、単一波信号x(0)’の一例を示す図である。図7の(C)には、実在する受信アンテナ(番号n=0〜3)の単一波信号x(0)’の実部I(0)’および虚部Q(0)’が黒丸および黒三角で示されている。横軸は受信アンテナ番号nであり、縦軸は受信強度である。
例えば、第1処理部11は、受信アンテナ番号n=0の単一波信号x(0)’の実部I(0)’および虚部Q(0)’を次式により算出する。
(0)’=Re[Y(0)@方位角度=θ0]/4
(0)’=Im[Y(0)@方位角度=θ0]/4
また、第1処理部11は、等間隔dで並ぶ受信アンテナ間の信号波の位相差Δφ0に基づいて、受信アンテナ番号n=0〜3の単一波信号x(0)’の実部I(0)’および虚部Q(0)’を算出する。
In(0)’=Re[x(0)’・exp(j・Δφ0・n)]
Qn(0)’=Im[x(0)’・exp(j・Δφ0・n)]
Δφ0=−2π(d/λ)sin(θ0)
次に、第1処理部11は、4個の受信アンテナの単一波信号x(0)’をフーリエ変換することにより、単一波信号x(0)’の方位角度分布(方位角度スペクトラム)を推定関数Y(0)’として生成する。
図7の(D)は、推定関数Y(0)’の一例を示す図である。図7の(D)には、推定関数Y(0)’の実部Re_Y(0)’および虚部Im_Y(0)’、並びにこれらの二乗和の平方根である大きさ|Y(0)’|が、中太実線および実線、並びに最太実線で示されている。横軸は推定角度θであり、縦軸は受信強度である。
次に、第1処理部11は、実在する4個の受信アンテナごとに、受信信号x(0)から、単一波信号x(0)’に所定の減算率Mを乗算したM・x(0)’を減算して、4個の受信アンテナの残りの合成信号x(1)を算出する。
(1)=x(0)−M・x(0)’
図8の(E)は、残りの合成信号x(1)の一例を示す図である。図8の(E)には、実在する4個の受信アンテナの残りの合成信号x(1)の実部I(1)および虚部Q(1)が黒丸および黒三角で示されている。横軸は受信アンテナ番号nであり、縦軸は受信強度である。また、所定の減算率Mは0.4である。
第1処理部11は、k’=Kとなるまで、残りの合成信号x(k’)に対して、上記処理を繰り返す。
具体的には、第1処理部11は、4個の受信アンテナの残りの合成信号x(1)をフーリエ変換することにより、合成信号x(1)の方位角度分布(方位角度スペクトラム)を推定関数Y(1)として生成する。
図8の(F)は、推定関数Y(1)の一例を示す図である。図8の(F)には、推定関数Y(1)の実部Re_Y(1)および虚部Im_Y(1)、並びにこれらの二乗和の平方根である大きさ|Y(1)|が、中太実線および実線、並びに最太実線で示されている。横軸は推定角度θであり、縦軸は受信強度である。
なお、第1処理部11は、図7の(B)に示す合成信号x(0)の推定関数Y(0)から、図7の(D)に示す単一波信号x(0)’の推定関数Y(0)’に所定の減算率Mを乗算したM・Y(0)’を減算して、4個の受信アンテナの残りの合成信号x(1)の推定関数Y(1)を算出してもよい。
Y(1)=Y(0)−M・Y(0)’
図8の(F)では、偽の頂点を形成する単一波信号x(0)’の成分が減少したため、より真に近い方位角度にピークp1が得られている。ただし、単一波信号x(0)’は偽のピークを形成する以外に、真の受信信号成分も含んでいるため、減算率M=1とするのは不適切であり、M<0.5程度が適切であると考えられる。
また、p0が真の方位角度であった場合には、Y(1)もしくは、その後にも同一方位角度にピークが形成されるので、その結果を用いてp0の真偽を判定してもよい。
次に、第1処理部11は、生成した推定関数|Y(1)|のピークp1(推定角度θ1)を形成する単一波信号について4個の受信アンテナ(番号n=0〜3)の単一波信号x(1)’を生成する。単一波信号x(1)’の生成方法は、上述した単一波信号x(0)’の生成方法と同様である。
図8の(G)は、単一波信号x(1)’の一例を示す図である。図8の(G)には、実在する4個の受信アンテナ(番号n=0〜3)の単一波信号x(1)’の実部I(1)’および虚部Q(1)’が黒丸および黒三角で示されている。横軸は受信アンテナ番号nであり、縦軸は受信強度である。
次に、第1処理部11は、4個の受信アンテナの単一波x(1)’をフーリエ変換することにより、単一波信号x(1)’の方位角度分布(方位角度スペクトラム)を推定関数Y(1)’として算出する。
図8の(H)は、推定関数Y(1)’の一例を示す図である。図8の(H)には、推定関数Y(1)’の実部Re_Y(1)’および虚部Im_Y(1)’、並びにこれらの二乗和の平方根である大きさ|Y(1)’|が、中太実線および実線、並びに最太実線で示されている。横軸は推定角度θであり、縦軸は受信強度である。
このように、第1処理部11は、kを1ずつインクリメントして、合成信号x(k)に対して、上記処理を繰り返すことにより、図9および図10に示すように、4個の受信アンテナの受信信号x(0)を、15個の単一波信号x(k)’の線形合成信号として近似する。
上記処理を十分に繰り返すと(本実施形態では15回)、受信信号xおよび推定関数Yは、図10の(I)および(J)に示すよう0に近づく。その途中過程をみると、|Y(k)|の頂点は真の方位角度である0度付近と20度付近とを交互に示している。このように、実測した信号から、都度得られるピークに対応する仮の方位角度成分を、少しずつ削り取っていくと、真値に近いピークが得られる。
このとき、実測可能な受信信号x(0)および推定関数Y(0)は、15個の単一波信号x(0)’〜x(14)’およびその推定関数Y(0)’〜Y(14)’に分解できたと考えられる。ただし、この個々の単一波信号の方位角度は真の値ではない。
図11の(L)は、15個の単一波信号x(0)’〜x(14)’を線形合成した結果を示し、図11の(M)は、15個の単一波信号の推定信号Y(0)’〜Y(14)’を線形合成した結果を示す。図11の(L)および(M)によれば、図7の(A)および(B)を良好に再現できており、この分解処理が適切であることが確認できる。
<<手順3−2>>
第2処理部12は、15個の単一波信号x(k)’ごとに、所定の位相差Δφに応じて、実在しない(16−4)個の非実在受信アンテナ(番号−4〜−1,4〜11)の単一波信号を生成する。このように、
n+1(k)’=x(k)’・ejΔφ
位相差Δφ=−2π(d/λ)sin(θ)
を考慮すると、実際には存在しない受信アンテナの受信信号を推定することができる。これは、受信アンテナ開口を拡大させることと等化である。
第2処理部12は、実在する4個の受信アンテナ(番号n=0〜3)および実在しない12個の非実在受信アンテナ(番号−4〜−1、4〜11)ごとに、15個の単一波信号x(k)’を合成するとともに15個の非実在受信アンテナの単一波信号を合成することによって、4個の受信アンテナ(番号n=0〜3)および12個の非実在受信アンテナ(番号−4〜−1、4〜11)の合成信号x’を生成する(M>NであってM=16であり、mは4個の受信アンテナおよび(M−N)個の非実在受信アンテナの番号である)。
図12は、合成信号x’の一例を示す図である。図12と図7の(A)とを比較すると、現実のレーダ装置では確かめようのない値であるが、真値である信号x(0)と比較すると、実測可能な受信アンテナ(番号0〜3)に対して前後合わせて5つ程度の信号x’が真値に近い値を示した。
これは、受信アンテナ開口が(4+5)/4≒2.3倍に拡大したことに相当する。
<<手順3−3>>
第3処理部13は、生成した合成信号x’をフーリエ変換することにより、推定関数Y’を生成し、Y’ピークの方位角度を信号波の方位角度、すなわち波源の方位角度(波源位置)として推定する。
この処理により、手順1で求めた15個の単一波信号x(k)’を合成して(合成の過程で真の方位角度に近い成分は互いに強め合い、遠い成分は打ち消されて減衰する)、真の方位角度に近いピークを形成する。
図13は、推定関数Y’の一例を示す図である。図13では、真の方位角度である0度と20度に近い方位角度にピークが現れるようになった。
しかし、両ピークの間に誤ピークが生じている。これは、手順1の分析過程における最初のピークp0の影響である。この点については後述の変形例1で説明する。
上述したように、手順3のターゲットの方位角度の高分離能化によれば、受信信号xを、K個の仮想的な単一ターゲットから生成される単一波信号x(k)’の合成で近似し、単一波信号x(k)’ごとに、所定の位相差に応じて、実在しない非実在受信素子の単一波信号を生成し(受信アンテナ開口拡大)、単一波信号x(k)’および非実在受信素子の単一波信号を合成した合成信号x’を生成する。これにより、受信信号xが2個以上のターゲットからの信号を含んでいても、単一波信号の受信アンテナ間の位相差に応じて、実在しない受信アンテナを含む、すなわち受信アンテナ開口拡大した合成信号x’を生成することができる。
この受信アンテナ開口拡大した合成信号x’をフーリエ変換して、方位角度分布(方位角度スペクトル)(推定関数)を生成することにより、2個以上のピークの分離能を高めることができる。したがって、これらのピークを2個以上のターゲットの方位角度として推定する際、ターゲットの方位角度の推定の分離能を高めることができる。
また、手順3のターゲットの方位角度の高分離能化によれば、第2処理部12において、M−N個の非実在受信素子の単一波信号の生成数は、N個の受信素子の単一波信号x(k)’の数の2倍以上である。これにより、複数のターゲットの方位角度の分離限界をレイリー限界よりも小さくすることができ、第3処理部13によるフーリエ変換を用いた方位角度推定を高分離能化することができる。
以上説明したように、手順3−1では、推定関数Yにおいて、位相も含めたピークの形状を裾野まで分析対象とし、位相も含めたピーク形状を複数波の線形合成で再現し、手順3−2では、所定の位相差に応じて、受信アンテナ開口を拡大する。これにより、手順3におけるターゲットの方位角度の高分離能化では、
(ii)位相情報を損なわれないこと、すなわち位相情報を有していること
がわかる。
また、上述したように(図6)、手順3におけるターゲットの方位角度の高分離能化により、
(i)方位角度について複数ターゲットを分離検出できていること
(iii)2周波数条件で同じ方位角に推定できていること
がわかる。
(手順4)
次に、第2信号処理部156は、所定の周波数差Δf、および2つの周波数に対応する分離ビート信号の位相差Δφから、ターゲットの位置としてターゲットとの距離rを推定する。具体的には、第2信号処理部156は、所定の周波数差Δf(Hz)および光速c(m/s)に基づく次式(1)により、2つの周波数に対応する分離ビート信号の位相差Δφ(rad)から、ターゲットとの距離r(m)を推定する(周波数偏移法Ver.2)。
図6の例によれば、手順3においてターゲットの方位角度の高分離能化処理を行っても、ターゲットTA,TBの各々において、パルス幅による3m程度の距離推定の曖昧さが生じている。しかし、2周波数のビート信号(1’)と(2’)とで同一xy座標の位相差Δφを調べると同じ値となる。この特徴からΔφを用いて距離を推定し直して、xy座標上に再マッピングすることができる。
例えば、距離をm、方位角度をn、任意のmnにおける振幅をAmn、任意のmnにおける位相差をΔφmnとすると、所定範囲のn(nは、全部でもよいし、唯一でもよい。)における位相差Δφnは次式のように表すことができる。
(Mは、mの上限値である。Mは、任意の値でもよいし、全てのmでもよい。)
手順4では、図6においてマッピングされた所定範囲の方位角度nについて上式によりΔφnを求め、上式(1)を用いてΔφnに対応する距離rを推定してもよい。
或いは、ヒストグラムの考え方を導入してもよい。
座標を示す量を距離m、方位角度nとする。(mは手順3時点の距離、nは手順3時点の角度である。ただし、nは手順3,4で共通とする。)
あるn=kについて、
・f(s)≦Δφ(m、k)<f(s+1)を満たす位相差Δφ(m、k)を所定範囲のmの中から特定する(所定範囲は、全てでもよい。)。なお、f_(s)は、手順4における距離r(s)に紐付けられているとする。(たとえば、f(s)は距離r(s)に比例する)
・上記を満たすΔφ(m、k)に紐付けられた振幅A(m、k)を、上記所定範囲のmについて和sumA(k)をとる。
・r(s)のヒストグラム値をsumA(k)とする。
これをsについて所定の範囲で繰り返す(全てのsでもよい。)。
これらの処理を所定のkについて行う(全てのkでもよい。)。
そして、手順4では、図6においてマッピングされた所定範囲の方位角度nについて上述のΔφ(m、k)を求め、上式(1)を用いてΔφ(m、k)に対応する距離rを推定してもよい。
図14に、距離の推定結果(レーダチャート:XY直交座標系)の一例を示す。図6の例によれば、手順3においてターゲットの方位角度の高分離能化処理を行っても、パルス幅による3m程度の距離推定の曖昧さが生じている。これに対して、手順4の2周波比較処理を行い、ターゲットTA,TBの各々において、図6の2周波数のビート信号(1’)と(2’)との位相差を用いてターゲットとの距離を推定し、レーダチャートに再マッピングすることにより、図14の例では、距離推定精度が高まることがわかる。
次に、図15および図16を参照して、レーダ装置(位置推定装置)100による位置推定動作について説明する。図15は、図1に示すレーダ装置(位置推定装置)による位置推定処理を示すフローチャートであり、図16は、図15に示す位置推定処理における方位角度の高分離能化処理(DOA1)を示すフローチャートである。
<手順1>
まず、図15に示すように、送信制御部110および送信部111は、所定の周波数差Δfで3つの周波数に変化させた送信信号(信号波)を順に送信する。このとき、受信部121は、送信信号がターゲットによって反射された反射波を受信信号として順に受信し、受信信号を送信信号の周波数で周波数変換したビート信号(ディジタル信号)を生成する(S100)。送信する送信信号の周波数の順番は任意に定めてよい。
<手順2>
次に、第1信号処理部125は、3つの周波数に対応するビート信号の差分処理により、所定の周波数差Δfの2つの周波数に対応するビート信号を生成する(周波数偏移方式Ver.1)(S200)。
<手順3>
次に、第1信号処理部125は、2つの周波数に対応するビート信号の各々に対して、位相情報が保たれた、複数のターゲットの方位角度または距離が互いに分離された分離ビート信号を生成する(S300)。
<<手順3−1>>
具体的には、図16に示すように、第1処理部11は、k=0をセットし(S1)、N個の受信アンテナの受信信号xはK個の単一波信号x(k)’の合成信号x(0)であると仮定し、以下の処理を行う。すなわち、第1処理部11は、
(1)N個の受信アンテナの合成信号x(k)をフーリエ変換することにより、信号波の方位角度分布(方位角度スペクトラム)を推定関数Y(k)として生成し(S2)、
(2)生成した推定関数Y(k)のピークを形成する単一波信号についてN個の受信アンテナの単一波信号x(k)’を生成し(S3)、
(3)N個の受信アンテナごとに、合成信号x(k)から、単一波信号x(k)’に所定の減算率Mを乗算したM・x(k)’を減算して、N個の受信アンテナの残りの合成信号x(k)を生成する(S4)。
(k’)=x(k)−M・x(k)’
k’は、kを1だけインクリメントした値である。
第1処理部11は、kを1だけインクリメントし(S5)、k=Kとなるまで(S6)、残りの合成信号x(k)に対して、上記(1)〜(3)の処理を繰り返す。
<<手順3−2>>
次に、第2処理部12は、15個の単一波信号x(k)’ごとに、所定の位相差Δφに応じて、実在しない(16−4)個の非実在受信アンテナ(番号−4〜−1,4〜11)の単一波信号を生成する(受信アンテナ開口拡大)(S7)。
第2処理部12は、実在する4個の受信アンテナ(番号n=0〜3)および実在しない12個の非実在受信アンテナ(番号−4〜−1、4〜11)ごとに、15個の単一波信号x(k)’を合成するとともに15個の非実在受信アンテナの単一波信号を合成することによって、4個の受信アンテナ(番号n=0〜3)および12個の非実在受信アンテナ(番号−4〜−1、4〜11)の合成信号x’を生成する(S8)。
<<手順3−3>>
次に、第3処理部13は、生成した合成信号x’をフーリエ変換することにより、推定関数Y’を生成し(S9)、Y’のピークの方位角度を信号波の方位角度、すなわちターゲットの方位角度として推定する(S10)。
<手順4>
次に、図15に示すように、第2信号処理部156は、所定の周波数差Δf、および2つの周波数に対応する分離ビート信号の位相差Δφから、ターゲットの位置としてターゲットとの距離rを推定する(S400)。具体的には、第2信号処理部156は、所定の周波数差Δfおよび光速cに基づく上式(1)により、2つの周波数に対応する分離ビート信号の位相差Δφから、ターゲットとの距離rを推定する(周波数偏移法Ver.2)(S400)。
ここで、レーダ装置では、例えば送信したパルス信号がターゲットとの間で往復するのに要した時間を計測することで距離の推定を行う。しかし、例えば24GHz帯では、パルス形成に利用可能な周波数帯域幅は、同周波数帯域を利用する他機器の影響を考慮すると、例えば200MHz以下とする必要がある。。そのため、パルス幅は距離換算にして3m程度の広がりがあり、その分だけ推定距離が曖昧になる問題がある。
この点に関し、本実施形態のレーダ装置(位置推定装置)100によれば、周波数偏移法(手順4)と方位角度の高分離能化(手順3)とを組み合わせることにより、換言すれば、方位角度方向で分離検出したターゲット情報と、周波数偏移によって生じた位相差の情報を組み合わせることにより、FFT処理による複数のターゲットの分離能を高め、2周波比較処理による距離推定精度を高めることができる。
例えば、図6および図14の例では、レーダ装置から1.5mの距離にあるターゲットTAと、レーダ装置から1mの距離にあるターゲットTBとを分離検出でき、0.5mの距離差での前後関係が判別できる。
図17は、比較例の距離の推定結果(レーダチャート:XY直交座標系)の一例を示す。比較例では、本実施形態の手順1〜4における手順3の方位角度の高分離能化を行わなかった。このように、方位角度で2つのターゲットを分離検出できていないと、差分ベクトルに複数ターゲット成分が混入してしまい、2周波比較処理による距離推定が正しくできなかった。
(変形例1)
上述した実施形態では、図13に示すように、2つのピークの間に誤ピークが生じる場合がある。これは、手順1の分析過程における最初のピークp0の影響である。
変形例1では、手順3−1における最初のi回分のピークを無視する。
図18は、変形例1に係るレーダ装置(位置推定装置)100による位置推定処理における方位角度の高分離能化処理(DOA2)のフローチャートである。
<<手順3−2>>
第2処理部12は、N個の受信アンテナ(番号0〜3)およびM−N個の非実在受信アンテナ(番号−4〜−1、4〜11)ごとに、K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、N個の受信アンテナおよびM−N個の非実在受信アンテナの合成信号x’を生成する際、K個の単一波信号x(k)’およびそれに対応するK個の非実在受信アンテナの単一波信号のうち所定のi個を使用しない。
Δφ0=−2π(d/λ)sin(θ
※mは受信アンテナ番号(−4〜11)
図19Aは、変形例1の推定関数Yの算出結果を示す図である。図19Aに示すように、方位角度7度に生じていた誤ピークを低減することができる。このように、手順1において、複数の信号波の干渉によって誤った角度にピークが生じる可能性の高い最初のi回分(i=2程度が適当と思われる)の単一波信号を手順2で用いないことにより、誤ピークの発生を低減することができる。
しかし、その代わりに誤ピークに近い真値0度に対応するピーク強度が低下してしまい、本来は同強度である20度のピーク強度とのバランスが崩れてしまう。
このピーク強度バランス崩れは、手順1で用いる減算率Mの値を小さくすることにより(例えば、M=0.4→0.3)、軽減可能である(図19B参照)。
なお、ピーク強度はターゲットの状態(形状や素材、向き)等で大きく変化する値であるので、このバランス崩れは許容範囲内であれば深刻な問題ではないと考えられる。
なお、本実施形態では、使用しない所定のi個を、最初のi回分に設定したが、最初以外のi回分に設定してもよい。
次に、図18を参照して、変形例1のレーダ装置(位置推定装置)100による位置推定処理における方位角度の高分離能化処理(DOA2)を説明する。図18に示す方位角度の高分離能化処理は、図16のステップS8(手順3−2)に代えてステップS11を含む点で、上述した実施形態の方位角度の高分離能化処理(DOA1)と異なる。
ステップS11では、第2処理部12は、N個の受信アンテナ(番号0〜3)およびM−N個の非実在受信アンテナ(番号−4〜−1、4〜11)ごとに、K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、N個の受信アンテナおよびM−N個の非実在受信アンテナの合成信号x’を生成する際、K個の単一波信号x(k)’およびそれに対応するK個の非実在受信アンテナの単一波信号のうち所定のi個を使用しない。
(変形例2)
変形例2では、変形例1の手順3−1〜3−3を行った後に、再度手順3−1〜3−3を行う。この2周目の手順3−1において、1周目で得られた方位角度で、単一波信号x(k)’を生成する。
図20は、変形例2のレーダ装置(位置推定装置)100による位置推定処理における方位角度の高分離能化処理(DOA3)のフローチャートである。
変形例1の手順3−1〜3−3を行うと、図19Bに示すように方位角度24度が得られる。
<<2周目の手順3−1>>
第1処理部11は、
(2)N個の受信アンテナの単一波信号x(k)’を最初に生成する際、既に第3処理部13によって合成信号x’を用いて推定されたターゲットの方位角度に基づいて、
(2)生成した推定関数Y(k)における、既に推定されたターゲットの方位角度の推定関数Y(k)を形成する単一波信号について、N個の受信アンテナの単一波信号x(k)’を生成する。
例えば、図21に示すように、第1処理部11は、合成信号x(0)の推定関数|Y(0)|のピークではなく、1周目に求めた方位角度24度の信号を形成する単一波信号を生成し、この単一波信号で合成信号x(0)の最初の減算を行う。
このとき、第1処理部11は、最初のみ減算率Mを大きく設定し、方位角度7度の誤ピークに影響される要素を大きく減らす(例えば、M=0.8)。
手順3−1の2周目において、方位角度7度の誤ピークの影響を排除した結果、変形例1で失った最初のi回分の成分を取り戻すことができる(図22参照)。
また、真値0度に対応するピークの誤差も低減することができる(図22参照)。
変形例2では、更にこの結果を用いて、3周目の手順3−1の最初の減算を−1度で行うと、真値24度のピークの誤差も低減することができる。
次に、図20を参照して、変形例2のレーダ装置(位置推定装置)100による位置推定処理における方位角度の高分離能化処理(DOA3)を説明する。図20に示す高分離能化処理は、図16に示す方位角度の高分離能化処理においてステップS12およびS13を更に含む点で上述した実施形態と異なる。
ステップS12では、図18に示す変形例1の方位角度の高分離能化処理(DOA2)が行われる。その後、2周目の処理が行われる。
2周目の処理において、k=0をセットした後(S1)、第1処理部11は、
(1)N個の受信アンテナの合成信号x(0)をフーリエ変換することにより、信号波の方位角度分布(方位角度スペクトラム)を推定関数Y(0)として生成し、
(2)生成した推定関数Y(0)のピークを形成する単一波信号に代えて、既に第3処理部13によって合成信号x’を用いて推定された波源の方位角度に基づいて、生成した推定関数Y(0)における、既に推定された波源の方位角度の推定関数Y(0)を形成する単一波信号について、N個の受信アンテナの単一波信号x(0)’を生成し、
(3)N個の受信アンテナごとに、合成信号x(0)から、単一波信号x(0)’に所定の減算率Mを乗算したM・x(0)’を減算して、N個の受信アンテナの残りの合成信号x(1)を生成する(S13)。
換言すれば、第1処理部11は、2周目の最初の減算において、合成信号x(0)の推定関数|Y(0)|のピークではなく、1周目に求めた方位角度24度の信号を形成する単一波信号を生成し、この単一波信号で合成信号x(0)の最初の減算を行う。
このとき、第1処理部11は、最初のみ減算率Mを大きく設定し、方位角度7度の誤ピークに影響される要素を大きく減らす(例えば、M=0.8)。
その後、上述したようにステップS2〜S10の処理が行われる。
(変形例3)
上述した実施形態および変形例の方位角度推定の手順は、距離推定にもそのまま適用することができる。まず、変形例3に係る距離推定の概要について説明する。
図23は、変形例3に係る距離推定の一例を説明するための図であり(FMCW方式)、図24は、変形例3に係る距離推定の他の一例を説明するための図である(パルス方式)。
図23の(A)は、FMCW方式の信号波を受信する4個の受信アンテナごとの受信信号Rx0〜Rx3を示し、その縦軸は受信信号の振幅(実数成分と虚数成分の二乗和の平方根)|I+jQ|、受信信号の実数成分Rx_Iおよび虚数成分Rx_Qであり、横軸は時間である。図23の(B)は、図23の(A)に示す受信信号Rx0〜Rx3をフーリエ変換した推定関数Yを示し、その縦軸は推定関数の振幅(実数成分と虚数成分の二乗和の平方根)|I+jQ|、推定関数の実数成分Rx_Iおよび虚数成分Rx_Qであり、横軸は周波数である。図23の(C)は、図23の(B)に示す推定関数Yの横軸を距離に換算した推定関数Yを示す。
図24の(B)は、パルス方式の信号波を受信する4個の受信アンテナごとの受信信号Rx0〜Rx3、または図24の(A)に示す受信信号Rx0〜Rx3をフーリエ変換した推定関数Yを示し、その縦軸は受信信号または推定関数Yの振幅(実数成分と虚数成分の二乗和の平方根)|I+jQ|、受信信号または推定関数Yの実数成分Rx_Iおよび虚数成分Rx_Qであり、横軸は時間である。図24の(A)は、図24の(B)に示す受信信号Rx0〜Rx3を逆フーリエ変換した受信信号Rx0〜Rx3を示し、その縦軸は受信信号の振幅(実数成分と虚数成分の二乗和の平方根)|I+jQ|、受信信号の実数成分Rx_Iおよび虚数成分Rx_Qであり、横軸は周波数である。図24の(C)は、図24の(B)に示す推定関数Yの横軸を距離に換算した推定関数Yを示す。
例えば、上述した方位角度推定の手順を、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダの距離推定に適用する場合、
図7Aのn個の受信アンテナの受信信号xに代えて、受信アンテナごとに、図23の(A)の時刻に対する受信信号を用いればよい。すなわち、図7Aにおいて、横軸が、受信素子番号に代えて、時系列の受信データの時刻番号となる。
また、フーリエ変換後の図7Bの角度分布(角度スペクトル)の推定関数Yに代えて、受信アンテナごとに、図23の(C)の距離分布の推定関数Yを用いればよい。すなわち、図7Bにおいて、横軸が、方位角度に代えて距離となる。
一方、上述した方位角度推定の手順を、パルスレーダの距離推定に適用する場合、図24の(B)のように時刻に対応する受信信号強度のデータが得られるが、時間軸を距離に変換するだけで距離の推定関数Yが得られる。そのためFMCWレーダの様なフーリエ変換前のデータが無いが、図24の(A)のように時間軸データに対して逆フーリエ変換を行うことでフーリエ変換前のデータを生成することができ、これは、方位角度推定における図7Aのn個の受信アンテナの受信信号xに対応する。手順3−2において時系列データを増やすのではなく、手順3−3においてパルス信号の周波数帯域を拡大することで、同様の処理を行うことができる。
本実施形態の距離推定の手法は、フーリエ変換を用いる種々の装置に適用可能である。
例えば、FMCW方式のレーダ装置では、受信信号の時系列データをフーリエ変換することで距離推定を行っているので、上述したように本実施形態の距離推定の手法は、FMCW方式のレーダ装置に適用可能である。
一方、パルス方式のレーダ装置には上記のフーリエ変換部分が存在しない(FMCW方式を基準にしてパルス方式を表現すると「パルス方式はフーリエ変換に相当する演算をアナログ回路上で実施するレーダ装置」である)。そのため、そのままでの転用は不可であるが、測定データを逆フーリエ変換すると上述した受信信号x相当を生成することができる。
また、本実施形態の距離推定の手法は、FMCW方式、パルス方式に限定されず、相対速度分析(ドップラスペクトル分析)の高度化、マイクロドップラの詳細分析にも応用することができる。
次に、変形例3に係る距離推定の詳細について説明する。
(FMCWの場合)
例えば、図23の(A)に示すように(上述した図7の(A)相当)、受信アンテナによって受信する信号波(Rx0〜Rx3)は、時間軸で周波数変化する周波数変調波であり、時間軸を分割したN個の時刻における受信信号をxとする(Nは2以上の整数であり、nはN個の時刻の番号である。)。
レーダ装置(位置推定装置)100における第1信号処理部125は、受信アンテナごとに、すなわち受信アンテナによって受信する受信信号x(Rx0〜Rx3)ごとに、以下の処理を行う。
<<手順3−1>>
第1処理部11は、上述した実施形態と同様に、受信アンテナによって信号波を受信することにより生成される受信信号xを、K個の仮想的な単一ターゲットから生成される単一波信号x(k)’の合成波信号として近似する(Kは2以上の整数であり、kはK個の仮想的な単一ターゲットの番号である。)。
具体的には、第1処理部11は、N個の時刻の受信信号xはK個の単一波信号x(k)’の合成信号x(0)であると仮定し、以下の処理を行う。すなわち、第1処理部11は、
(1)N個の時刻の合成信号x(k)をフーリエ変換することにより、信号波の距離分布を推定関数Y(k)として生成し(図23の(C):上述した図7の(B)相当)、
(2)生成した推定関数Y(k)のピークを形成する単一波信号についてN個の時刻の単一波信号x(k)’を生成し、
(3)N個の時刻ごとに、合成信号x(k)から、単一波信号x(k)’に所定の減算率Mを乗算したM・x(k)’を減算して、N個の時刻の残りの合成信号x(k’)を生成する。
(k’)=x(k)−M・x(k)’
k’は、kを1だけインクリメントした値である。
第1処理部11は、k’=Kとなるまで、残りの合成信号x(k’)に対して、上記(1)〜(3)の処理を繰り返す。
このように、kを1ずつインクリメントして、合成信号x(k)に対して上記(1)〜(3)の処理を繰り返すことにより、N個の時刻の受信信号xを、K個の単一波信号x(k)’の線形合成信号として近似することができる。
<<手順3−2>>
第2処理部12は、上述した実施形態と同様に、K個の単一波信号x(k)’ごとに、所定の位相差に応じて、実在しないM−N個の非実在時刻の単一波信号を生成する。M−N個の非実在時刻の単一波信号の生成数は、N個の時刻の単一波信号x(k)’の数の2倍以上である。これにより、複数の波源の距離の分離限界を小さくすることができ、第3処理部13によるフーリエ変換を用いた距離推定を高分離能化することができる。
第2処理部12は、上述した実施形態と同様に、実在するN個の時刻および実在しないM−N個の非実在時刻ごとに、K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、N個の時刻およびM−N個の非実在時刻の合成信号x’を生成する(M>Nであり、mはN個の時刻および(M−N)個の非実在時刻の番号である)。
<<手順3−3>>
第3処理部13は、上述した実施形態と同様に、生成した合成信号x’をフーリエ変換することにより、推定関数Y’を生成し、Y’ピークの距離をターゲットとの距離として推定する。
第1信号処理部125は、上述した処理を受信アンテナごとに行い、4つの受信アンテナのうちのいずれか1つの受信アンテナの推定結果を常に採用してもよいし、4つの受信アンテナのうちの最大値を有する受信アンテナの推定結果を採用してもよい。
上述したように、手順3のターゲットの距離の高分離能化によれば、受信信号xを、K個の仮想的な単一ターゲットから生成される単一波信号x(k)’の合成で近似し、単一波信号x(k)’ごとに、所定の位相差に応じて、実在しない非実在受信素子の単一波信号を生成し、単一波信号x(k)’および非実在受信素子の単一波信号を合成した合成信号x’を生成する。これにより、受信信号xが2個以上のターゲットからの信号を含んでいても、広帯域化した合成信号x’を生成することができる。
この広帯域化した合成信号x’をフーリエ変換して、距離分布(推定関数)を生成することにより、2個以上のピークの分離能を高めることができる。したがって、これらのピークを2個以上のターゲットとの距離として推定する際、ターゲットとの距離の推定の分離能を高めることができる。
なお、手順3のターゲットの距離の高分離能化では、第2処理部12は、上述した変形例1と同様に、N個の時刻およびM−N個の非実在時刻ごとに、K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、N個の時刻およびM−N個の非実在時刻の合成信号x’を生成する際、K個の単一波信号x(k)’およびそれに対応するK個の非実在時刻の単一波信号のうち所定のi個を使用しなくてもよい(iはK未満の整数である。)。
これによれば、上述した変形例1と同様に、手順3−1において、複数の信号波の干渉によって誤った距離にピークが生じる可能性の高い最初のi回分(i=2程度が適当と思われる)の単一波信号を手順3−2で用いないことにより、誤ピークの発生を低減することができる。
また、手順3のターゲットの距離の高分離能化では、上述した変形例2と同様に、手順3−1〜3−3を行った後に再度手順3−1〜3−3を行い、この2周目の手順3−1において、1周目で得られた距離で、単一波信号x(k)’を生成してもよい。具体的には、第1処理部11は、
(2)N個の時刻の単一波信号x(k)’を最初に生成する際、既に第3処理部13によって生成した合成信号x’を用いて推定されたターゲットとの距離に基づいて、
(2)生成した推定関数Y(k)における、既に推定されたターゲットとの距離の推定関数Y(k)を形成する単一波信号について、N個の時刻の単一波信号x(k)’を生成してもよい。
このとき、第1処理部11は、最初のみ減算率Mを大きく設定し、誤ピークに影響される要素を大きく減らしてもよい。
これによれば、上述した変形例2と同様に、手順3−1の2周目において、誤ピークの影響を排除した結果、最初のi回分を使用しないことにより失った最初のi回分の成分を取り戻すことができる。
以上説明したように、手順3におけるターゲットの距離の高分離能化でも、
(i)距離について複数ターゲットを分離検出できていること
(ii)位相情報を有していること
(iii)2周波数条件で同じ方位角に推定できていること
を満たす。したがって、変形例3のレーダ装置(位置推定装置)100でも、周波数偏移法(手順4)と距離の高分離能化(手順3)とを組み合わせることにより、換言すれば、距離で分離検出したターゲット情報と、周波数偏移によって生じた位相差の情報を組み合わせることにより、FFT処理による複数のターゲットの分離能を高め、2周波比較処理による距離推定精度を高めることができる。
(パルス変調の場合)
例えば、図24の(A)に示すように(上述した図7の(A)相当)、受信アンテナによって受信する信号波(Rx0〜Rx3)は、時間軸でパルス状に強度変化するパルス変調波であり、時間軸を変換した周波数軸を分割したN個の周波数における受信信号をxとする(Nは2以上の整数であり、nはN個の周波数の番号である。)。
レーダ装置(位置推定装置)100における第1信号処理部125は、受信アンテナごとに、すなわち受信アンテナによって受信する受信信号x(Rx0〜Rx3)ごとに、以下の処理を行う。
<<手順3−1>>
第1処理部11は、上述した実施形態と同様に、受信アンテナによって信号波を受信することにより生成される受信信号xを、K個の仮想的な単一ターゲットから生成される単一波信号x(k)’の合成波信号として近似する(Kは2以上の整数であり、kはK個の仮想的な単一ターゲットの番号である。)。
具体的には、第1処理部11は、N個の周波数の受信信号xはK個の単一波信号x(k)’の合成信号x(0)であると仮定し、以下の処理を行う。すなわち、第1処理部11は、
(1)N個の周波数の合成信号x(k)をフーリエ変換することにより、信号波の距離分布を推定関数Y(k)として生成し、(図24の(C):上述した図7の(B)相当)
(2)生成した推定関数Y(k)のピークを形成する単一波信号についてN個の周波数の単一波信号x(k)’を生成し、
(3)N個の周波数ごとに、合成信号x(k)から、前記単一波信号x(k)’に所定の減算率Mを乗算したM・x(k)’を減算して、N個の周波数の残りの合成信号x(k’)を生成する。
(k’)=x(k)−M・x(k)’
k’は、kを1だけインクリメントした値である。
第1処理部11は、k’=Kとなるまで、残りの合成信号x(k’)に対して、上記(1)〜(3)の処理を繰り返す。
このように、kを1ずつインクリメントして、合成信号x(k)に対して上記(1)〜(3)の処理を繰り返すことにより、N個の周波数の受信信号xを、K個の単一波信号x(k)’の線形合成信号として近似することができる。
<<手順3−2>>
第2処理部12は、上述した実施形態と同様に、K個の単一波信号x(k)’ごとに、所定の位相差に応じて、実在しないM−N個の非実在周波数の単一波信号を生成する。M−N個の非実在周波数の単一波信号の生成数は、N個の周波数の単一波信号x(k)’の数の2倍以上である。これにより、複数のターゲットの距離の分離限界をレイリー限界よりも小さくすることができ、第3処理部13によるフーリエ変換を用いた距離推定を高分離能化することができる。
第2処理部12は、上述した実施形態と同様に、実在するN個の周波数および実在しないM−N個の非実在周波数ごとに、K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、N個の周波数およびM−N個の非実在周波数の合成信号x’を生成する(M>Nであり、mはN個の周波数および(M−N)個の非実在周波数の番号である。)。
<<手順3−3>>
第3処理部13は、上述した実施形態と同様に、生成した合成信号x’をフーリエ変換することにより、推定関数Y’を生成し、Y’ピークの距離をターゲットとの距離として推定する。
第1信号処理部125は、上述した処理を受信アンテナごとに行い、4つの受信アンテナのうちのいずれか1つの受信アンテナの推定結果を常に採用してもよいし、4つの受信アンテナのうちの最大値を有する受信アンテナの推定結果を採用してもよい。
上述したように、手順3のターゲットの距離の高分離能化によれば、受信信号xを、K個の仮想的な単一ターゲットから生成される単一波信号x(k)’の合成で近似し、単一波信号x(k)’ごとに、所定の位相差に応じて、実在しない非実在受信素子の単一波信号を生成し、単一波信号x(k)’および非実在受信素子の単一波信号を合成した合成信号x’を生成する。これにより、受信信号xが2個以上のターゲットからの信号を含んでいても、広帯域化した合成信号x’を生成することができる。
この広帯域化した合成信号x’をフーリエ変換して、距離分布(推定関数)を生成することにより、2個以上のピークの分離能を高めることができる。したがって、これらのピークを2個以上のターゲットとの距離として推定する際、ターゲットとの距離の推定の分離能を高めることができる。
なお、手順3のターゲットの距離の高分離能化では、第2処理部は、上述した変形例1と同様に、N個の周波数およびM−N個の非実在周波数ごとに、K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、N個の周波数およびM−N個の非実在周波数の合成信号x’を生成する際、K個の単一波信号x(k)’およびそれに対応するK個の非実在周波数の単一波信号のうち所定のi個を使用しなくてもよい(iはK未満の整数である。)。
これによれば、上述した変形例1と同様に、手順3−1において、複数の信号波の干渉によって誤った距離にピークが生じる可能性の高い最初のi回分(i=2程度が適当と思われる)の単一波信号を手順2で用いないことにより、誤ピークの発生を低減することができる。
また、手順3のターゲットの距離の高分離能化では、上述した変形例2と同様に、手順3−1〜3−3を行った後に再度手順3−1〜3−3を行い、この2周目の手順3−1において、1周目で得られた距離で、単一波信号x(k)’を生成してもよい。具体的には、第1処理部11は、
(2)N個の周波数の単一波信号x(k)’を最初に生成する際、既に第3処理部によって生成した合成信号x’を用いて推定されたターゲットとの距離に基づいて、
(2)生成した推定関数Y(k)における既に推定されたターゲットとの距離の推定関数Y(k)を形成する単一波信号についてN個の周波数の単一波信号x(k)’を生成してもよい。
このとき、第1処理部11は、最初のみ減算率Mを大きく設定し、誤ピークに影響される要素を大きく減らしてもよい。
これによれば、上述した変形例2と同様に、手順3−1の2周目において、誤ピークの影響を排除した結果、最初のi回分を使用しないことにより失った最初のi回分の成分を取り戻すことができる。
以上説明したように、手順3におけるターゲットの距離の高分離能化でも、
(i)距離について複数ターゲットを分離検出できていること
(ii)位相情報を有していること
(iii)2周波数条件で同じ方位角に推定できていること
を満たす。したがって、変形例3のレーダ装置(位置推定装置)100でも、周波数偏移法(手順4)と距離の高分離能化(手順3)とを組み合わせることにより、換言すれば、距離で分離検出したターゲット情報と、周波数偏移によって生じた位相差の情報を組み合わせることにより、FFT処理による複数のターゲットの分離能を高め、2周波比較処理による距離推定精度を高めることができる。
なお、手順3では、上述した実施形態、変形例1または変形例2のターゲットの方位角度の高分離能化と、変形例2のターゲットの距離の高分離能化との両方を順に行ってもよい。
(変形例4)
上述した実施形態および変形例の手順3の方位角度(または距離)の高分解能化処理として、圧縮センシング(Orthogonal Matching Pursuit)技術が用いられてもよい。
以下では、上述した実施形態の手順3の方位角度の高分解能化処理に圧縮センシング技術を適用した一例について説明する。図25および図26は、変形例4に係るレーダ装置(位置推定装置)100による位置推定処理における方位角度(または距離)の高分解能化処理の一例を説明するための図である。
図25に示すモデルにおいて、M個の計測信号yからN個のKスパースなxを推定する(M<N、K<M)。例えば、上述した実施形態の例で考えると、yを4個の受信アンテナの受信信号とし、256個のxにおけるxi0、xiKとしてターゲットごとのビート信号を推定する。この場合、Mは受信アンテナの個数4、Nは256、Kはターゲットの個数2、行列Aは4×256となる。
例えば、この推定では、以下の処理を行う。
0.xに0ベクトルをセットする。このとき、xの値がゼロでない位置を示す添え字i0〜iKを格納するリストTをクリアする(リストTは空)。
1.y−A(T)x(T)と最も近い(相関の高い)観測行列内のベクトルを探す。そのベクトルの列番号をリストTに追加する。
2.y−A(T)x(T)のノルムを最小化するようなx(T)を求める。例えば一般化逆行列によって求められる。
3.上記1および2を何回か繰り返す。
これらの処理は、上述した手順3−1の処理、すなわちN個の受信素子によって受信する受信信号を、K個の仮想的な単一ターゲットから反射される単一波信号の合成波信号として近似する処理に相当する。
周波数1について上記処理を実施したのち、周波数2については上記リストTと周波数2の受信信号yを用いて、y−A(T)x(T)のノルムを最小化するようなx(T)を求める。例えば一般化逆行列を使う。こうして得られたxと、M=16に拡大したAを使ってAxを計算すると、上述した手順3−2の処理、すなわちM−N個の非実在受信素子のK個の単一波信号ごとに、所定の位相差に応じて、M−N個の非実在受信素子の単一波信号を生成し、N個の受信素子およびM−N個の非実在受信素子ごとに、K個の単一波信号を合成することによって、N個の受信素子およびM−N個の非実在受信素子の合成信号を生成する処理に相当する。これによって周波数1、2両方で同じ方位角に推定することができる。(同じ方位角に推定されることが期待されるため、周波数1,2別々に行ってもよい)
なお、図25の複素モデルに代えて、図26に示す実部および虚部分離モデルを使用してもよい。
上述したように、手順3において、圧縮センシング技術が用いたターゲットの方位角度(または距離)の高分離能化でも、
(i)方位角度(距離)について複数ターゲットを分離検出できていること
(ii)位相情報を有していること
(iii)2周波数条件で同じ方位角に推定できていること
を満たす。したがって、変形例4のレーダ装置(位置推定装置)100でも、周波数偏移法(手順4)と方位角度(または距離)の高分離能化(手順3)とを組み合わせることにより、換言すれば、方位角度(または距離)で分離検出したターゲット情報と、周波数偏移によって生じた位相差の情報を組み合わせることにより、FFT処理による複数のターゲットの分離能を高め、2周波比較処理による距離推定精度を高めることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、送信素子が1個および受信素子が4個の形態を想定した位置推定装置を例示したが、本発明は、2以上の受信素子からの受信信号から複数のターゲット位置を推定する位置推定装置に適用可能である。
また、本発明は、2以上の送信素子を用いる装置における位置推定装置にも適用可能である。例えば、送信素子が2個および受信素子が4個の形態は、送信素子が1個および受信素子が8個の形態と等価となる。このように、上述した位置推定装置は、N個の受信素子によって受信する受信信号xとして、物理的に存在する受信素子によって受信する受信信号xのみならず、複数の送信素子を用いることによって仮想的に存在する受信素子の受信信号を用いて波源の位置推定を行ってもよい。
また、本発明は、送信素子が複数および受信素子が1個の形態にも適用可能である。例えば、送信素子が4個および受信素子が1個の形態は、送信素子が1個および受信素子が4個の形態と等価となる。
例えば、レーザ光を送信波とする光アレイが送信素子である場合のLiDAR装置がこのような形態に相当する。このようなLiDAR装置では、光導波路の分岐によるレーザ光の減衰により送信素子の増加に制限があるため、低分離能である。本発明は、このようなLiDAR装置に適用することにより、LiDAR装置の高分離能化を可能とする。
また、上述した実施形態では、位置推定装置としてレーダ装置を例示した。しかし、本発明の位置推定装置は、これに限定されず、干渉性を有する信号波(例えば、電磁波(電波、テラヘルツ波、レーザ光、X線)および音波(超音波))を受信する種々の装置(例えば、LiDAR、マイクロホンアレーを用いた音源定位、ミリ波ボディスキャナ、MRI、X線CT、光CT、超音波検査機、等)に適用可能である。
なお、ミリ波ボディスキャナ、MRI、X線CT、光CT、超音波検査機では、多アレイ素子化が容易であったり、合成開口が可能であったりするので、本発明とは別技術によって複数の到来波の高分離能化が可能である。よって、本発明は、レーダ装置、LiDAR、マイクロホンアレーを用いた音源定位に好適に用いられることが予想される。
100 レーダ装置(位置推定装置)
101 制御部
110 送信制御部(送信部)
111 送信部(送信部)
120 受信信号処理部
121 受信部
125 第1信号処理部
126 第2信号処理部
11 第1処理部
12 第2処理部
13 第3処理部
Tx 送信アンテナ
Rx 受信アンテナ

Claims (19)

  1. 複数のターゲットの位置を推定する位置推定装置であって、
    所定の周波数差で2つの周波数に変化させた信号波を送信する送信部と、
    前記信号波が前記複数のターゲットによって反射された反射波を受信し、前記反射波を前記信号波の周波数で周波数変換したビート信号を生成する受信部と、
    前記2つの周波数に対応する前記ビート信号の各々に対して、位相情報が保たれた、前記複数のターゲットの方位角度または距離が互いに分離された分離ビート信号を生成する第1信号処理部と、
    前記所定の周波数差、および前記2つの周波数に対応する前記分離ビート信号の位相差から、前記ターゲットの位置として前記ターゲットとの距離を推定する第2信号処理部と、
    を備える、位置推定装置。
  2. 前記所定の周波数差をΔf(Hz)、光速をc(m/s)、前記2つの周波数に対応する前記分離ビート信号の位相差Δφ(rad)、前記ターゲットとの距離r(m)として、前記第2信号処理部は、次式(1)により、前記ターゲットとの距離r(m)を推定する、
    請求項1に記載の位置推定装置。
  3. 前記送信部は、前記所定の周波数差で少なくとも3つの周波数に変化させた信号波を送信し、
    前記第1信号処理部は、前記少なくとも3つの周波数に対応する前記ビート信号の差分処理により、前記所定の周波数差の前記2つの周波数に対応する前記ビート信号を生成する、
    請求項1または2に記載の位置推定装置。
  4. 前記送信部は、干渉性を有する前記信号波を送信し、
    前記受信部は、N個の受信素子によって前記反射波を受信し、
    前記第1信号処理部は、前記2つの周波数に対応する前記ビート信号各々に対して、
    Nを2以上の整数、nを前記N個の受信素子の番号、Kを2以上の整数、kをK個の仮想的な単一ターゲットの番号として、前記N個の受信素子によって前記反射波を受信することにより生成される受信信号xを、前記K個の仮想的な単一ターゲットから反射される単一波信号x(k)’の合成波信号として近似する第1処理部と、
    MをNよりも大きい整数、mを前記N個の受信素子およびM−N個の非実在受信素子の番号として、前記K個の単一波信号x(k)’ごとに、所定の位相差に応じて、前記M−N個の非実在受信素子の単一波信号を生成し、前記N個の受信素子および前記M−N個の非実在受信素子ごとに、前記K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、前記N個の受信素子および前記M−N個の非実在受信素子の合成信号x’を前記分離ビート信号として生成する第2処理部と、
    前記生成した合成信号x’を用いて、前記ターゲットの位置として前記ターゲットの方位角度を推定する第3処理部と、
    を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置推定装置。
  5. 前記第2処理部において、前記M−N個の非実在受信素子の単一波信号の生成数は、前記N個の受信素子の単一波信号x(k)’の数の2倍以上である、請求項4に記載の位置推定装置。
  6. 前記第1処理部は、前記N個の受信素子の受信信号xは前記K個の単一波信号x(k)’の合成信号x(0)であると仮定し、
    (1)前記N個の受信素子の合成信号x(k)をフーリエ変換することにより、前記反射波の方位角度分布を推定関数Y(k)として生成し、
    (2)生成した推定関数Y(k)のピークを形成する単一波信号について前記N個の受信素子の単一波信号x(k)’を生成し、
    (3)前記N個の受信素子ごとに、前記合成信号x(k)から、前記単一波信号x(k)’に所定の減算率Mを乗算したM・x(k)’を減算して、前記N個の受信素子の残りの合成信号x(k’)を生成し、
    ここで、k’は、kを1だけインクリメントした値であり、
    k’=Kとなるまで、残りの合成信号x(k’)に対して、上記(1)〜(3)の処理を繰り返すことにより、前記N個の受信素子の受信信号xを、前記K個の単一波信号x(k)’の合成波信号として近似する、
    請求項4または5に記載の位置推定装置。
  7. 前記第2処理部は、iをK未満の整数として、前記N個の受信素子および前記M−N個の非実在受信素子ごとに、前記K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、前記N個の受信素子および前記M−N個の非実在受信素子の合成信号x’を生成する際、前記K個の単一波信号x(k)’およびそれに対応する前記K個の非実在受信素子の単一波信号のうち所定のi個を使用しない、請求項4〜6のいずれか1項に記載の位置推定装置。
  8. 前記第1処理部は、(2)前記N個の受信素子の単一波信号x(k)’を最初に生成する際、既に前記第3処理部によって前記生成した合成信号x’を用いて推定された前記ターゲットの方位角度に基づいて、(2)前記生成した推定関数Y(k)における既に推定された前記ターゲットの方位角度の前記推定関数Y(k)を形成する単一波信号について前記N個の受信素子の単一波信号x(k)’を生成する、
    請求項6に記載の位置推定装置。
  9. 前記送信部は、干渉性を有する前記信号波を送信し、
    前記受信部は、N個の受信素子によって前記反射波を受信し、
    前記信号波および前記反射波を時間軸で周波数変化する周波数変調波、前記時間軸を分割したN個の時刻における受信信号をx、Nを2以上の整数、nを前記N個の時刻の番号、Kを2以上の整数、kをK個の仮想的な単一ターゲットの番号として、
    前記受信素子によって前記反射波を受信することにより生成される前記受信信号xを、前記K個の仮想的な単一ターゲットから生成される単一波信号x(k)’の合成波信号として近似する第1処理部と、
    MをNよりも大きい整数、mを前記N個の時刻およびM−N個の非実在時刻の番号として、前記K個の単一波信号x(k)’ごとに、所定の位相差に応じて、前記M−N個の非実在時刻の単一波信号を生成し、前記N個の時刻および前記M−N個の非実在時刻ごとに、前記K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、前記N個の時刻および前記M−N個の非実在時刻の合成信号x’を前記分離ビート信号として生成する第2処理部と、
    前記生成した合成信号x’を用いて、ターゲットの位置として前記ターゲットとの距離を推定する第3処理部と、
    を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置推定装置。
  10. 前記第2処理部において、前記M−N個の非実在時刻の単一波信号の生成数は、前記N個の時刻の単一波信号x(k)’の数の2倍以上である、請求項9に記載の位置推定装置。
  11. 前記第1処理部は、前記N個の時刻の受信信号xは前記K個の単一波信号x(k)’の合成信号x(0)であると仮定し、
    (1)前記N個の時刻の合成信号x(k)をフーリエ変換することにより、前記ターゲットとの距離分布を推定関数Y(k)として生成し、
    (2)生成した推定関数Y(k)のピークを形成する単一波信号について前記N個の時刻の単一波信号x(k)’を生成し、
    (3)前記N個の時刻ごとに、前記合成信号x(k)から、前記単一波信号x(k)’に所定の減算率Mを乗算したM・x(k)’を減算して、前記N個の時刻の残りの合成信号x(k’)を生成し、
    ここで、k’は、kを1だけインクリメントした値であり、
    k’=Kとなるまで、残りの合成信号x(k’)に対して、上記(1)〜(3)の処理を繰り返すことにより、前記N個の時刻の受信信号xを、前記K個の単一波信号x(k)’の合成波信号として近似する、
    請求項9または10に記載の位置推定装置。
  12. 前記第2処理部は、iをK未満の整数として、前記N個の時刻および前記M−N個の非実在時刻ごとに、前記K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、前記N個の時刻および前記M−N個の非実在時刻の合成信号x’を生成する際、前記K個の単一波信号x(k)’およびそれに対応する前記K個の非実在時刻の単一波信号のうち所定のi個を使用しない、請求項9〜11のいずれか1項に記載の位置推定装置。
  13. 前記第1処理部は、(2)前記N個の時刻の単一波信号x(k)’を最初に生成する際、既に前記第3処理部によって前記生成した合成信号x’を用いて推定された前記ターゲットとの距離に基づいて、(2)前記生成した推定関数Y(k)における既に推定された前記ターゲットとの距離の前記推定関数Y(k)を形成する単一波信号について前記N個の時刻の単一波信号x(k)’を生成する、
    請求項11に記載の位置推定装置。
  14. 前記送信部は、干渉性を有する前記信号波を送信し、
    前記受信部は、N個の受信素子によって前記反射波を受信し、
    前記信号波および前記反射波を時間軸でパルス状に強度変化するパルス変調波、前記時間軸を変換した周波数軸を分割したN個の周波数における受信信号をx、Nを2以上の整数、nを前記N個の周波数の番号、Kを2以上の整数、kをK個の仮想的な単一ターゲットの番号として、
    前記受信素子によって前記反射波を受信することにより生成される前記受信信号xを、前記K個の仮想的な単一ターゲットから生成される単一波信号x(k)’の合成波信号として近似する第1処理部と、
    MをNよりも大きい整数、mを前記N個の周波数およびM−N個の非実在周波数の番号として、前記K個の単一波信号x(k)’ごとに、所定の位相差に応じて、前記M−N個の非実在周波数の単一波信号を生成し、前記N個の周波数および前記M−N個の非実在周波数ごとに、前記K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、前記N個の周波数および前記M−N個の非実在周波数の合成信号x’を前記分離ビート信号として生成する第2処理部と、
    前記生成した合成信号x’を用いて、ターゲットの位置として前記ターゲットとの距離を推定する第3処理部と、
    を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置推定装置。
  15. 前記第2処理部において、前記M−N個の非実在周波数の単一波信号の生成数は、前記N個の周波数の単一波信号x(k)’の数の2倍以上である、請求項14に記載の位置推定装置。
  16. 前記第1処理部は、前記N個の周波数の受信信号xは前記K個の単一波信号x(k)’の合成信号x(0)であると仮定し、
    (1)前記N個の周波数の合成信号x(k)をフーリエ変換することにより、前記ターゲットとの距離分布を推定関数Y(k)として生成し、
    (2)生成した推定関数Y(k)のピークを形成する単一波信号について前記N個の周波数の単一波信号x(k)’を生成し、
    (3)前記N個の周波数ごとに、前記合成信号x(k)から、前記単一波信号x(k)’に所定の減算率Mを乗算したM・x(k)’を減算して、前記N個の周波数の残りの合成信号x(k’)を生成し、
    ここで、k’は、kを1だけインクリメントした値であり、
    k’=Kとなるまで、残りの合成信号x(k’)に対して、上記(1)〜(3)の処理を繰り返すことにより、前記N個の周波数の受信信号xを、前記K個の単一波信号x(k)’の合成波信号として近似する、
    請求項14または15に記載の位置推定装置。
  17. 前記第2処理部は、iをK未満の整数として、前記N個の周波数および前記M−N個の非実在周波数ごとに、前記K個の単一波信号x(k)’を合成することによって、前記N個の周波数および前記M−N個の非実在周波数の合成信号x’を生成する際、前記K個の単一波信号x(k)’およびそれに対応する前記K個の非実在周波数の単一波信号のうち所定のi個を使用しない、請求項14〜16のいずれか1項に記載の位置推定装置。
  18. 前記第1処理部は、(2)前記N個の周波数の単一波信号x(k)’を最初に生成する際、既に前記第3処理部によって前記生成した合成信号x’を用いて推定された前記ターゲットとの距離に基づいて、(2)前記生成した推定関数Y(k)における既に推定された前記ターゲットとの距離の前記推定関数Y(k)を形成する単一波信号について前記N個の周波数の単一波信号x(k)’を生成する、
    請求項13に記載の位置推定装置。
  19. 複数のターゲットの位置を推定する位置推定方法であって、
    所定の周波数差で2つの周波数に変化させた信号波を送信し、
    前記信号波が前記複数のターゲットによって反射された反射波を受信し、前記反射波を前記信号波の周波数で周波数変換したビート信号を生成し、
    前記2つの周波数に対応する前記ビート信号の各々に対して、位相情報が保たれた、前記複数のターゲットの方位角度または距離が互いに分離された分離ビート信号を生成し、
    前記所定の周波数差、および前記2つの周波数に対応する前記分離ビート信号の位相差から、前記ターゲットの位置として前記ターゲットとの距離を推定する、
    位置推定方法。
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