JP2020164748A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Michiaki Kitamura
倫明 北村
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Abstract

【課題】環構造を有するアクリル系重合体を含んでいても、優れた機械的強度を実現しうる、新規な樹脂組成物等を提供する。【解決手段】環構造(1)を有するアクリル系重合体(A)と、重量平均分子量が10万超であるアクリル系ブロック共重合体(B)とを含む組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な組成物(樹脂組成物)等に関する。
環構造を有するアクリル系重合体は、光学的特性や耐熱性に優れることが知られており、このようなアクリル系重合体とアクリル系ブロック共重合体とを組み合わせる試みもなされつつある(特許文献1)。
特開2016−147949号公報
本発明の目的は、新規な樹脂組成物等を提供することにある。
前記特許文献1には、環構造を有するアクリル系重合体に対して、アクリル系ブロック共重合体を特定の質量比で組み合わせることで、光学特性および耐熱性に優れ、機械的強度が向上した熱可塑性樹脂組成物が得られる旨、記載されている(特許文献1の請求項1、段落[0007]等)。
このような中、本発明者は、機械的強度をより一層向上又は改善すべく鋭意検討を重ねた結果、意外にも、環構造を有するアクリル系重合体と組み合わせるアクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量を特定値としたり、特定の方法で成膜すること等により、効率よく機械的強度を向上又は改善しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
環構造を有するアクリル系重合体(A)と、重量平均分子量が10万超であるアクリル系ブロック共重合体(B)とを含む組成物。
[2]
アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル酸エステル由来の構造単位を、25〜55質量%(例えば、25〜52質量%、28〜55質量%、28〜52質量%)有する、[1]記載の組成物。
[3]
アクリル系ブロック共重合体(B)がトリブロック共重合体である[1]又は[2]記載の組成物。
[4]
アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック(I)と、メタクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック(II)とを有し、ブロック(II)の割合が、ブロック(I)及びブロック(II)の総量に対して、45質量%以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
環構造を有するアクリル系重合体(A)が、メタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上有し、かつアクリル系ブロック共重合体(B)が、メタクリル酸エステル由来の構造単位を45質量%以上(例えば、48質量%以上)及びアクリル酸エステル由来の構造単位を25〜52質量%(例えば、28〜52質量%)有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]
アクリル系ブロック共重合体(B)の割合が、環構造を有するアクリル系重合体(A)及びアクリル系ブロック共重合体(B)の総量に対して、0.5〜30質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
環構造を有するアクリル系重合体(A)と、重量平均分子量が10万超であるアクリル系ブロック共重合体(B)とを含む、ドープ。
[8]
環構造を有するアクリル系重合体(A)と、重量平均分子量が10万超であるアクリル系ブロック共重合体(B)とを含むフィルム。
[9]
共連続構造を有する、[8]記載のフィルム。
[10]
厚み160μmにおける破壊強度が25mJ以上である、[8]又は[9]記載のフィルム。
[11]
[7]記載のドープを溶液成膜し、[8]〜[10]のいずれかに記載のフィルムを製造する方法。
本発明によれば、新規な樹脂組成物等を提供できる。
このような組成物によれば、環構造を有するアクリル系重合体を含んでいても、優れた機械的強度を発揮ないし実現しうる。
特に、本発明の組成物は、溶液成膜することで、このような優れた機械的強度を効率よく発揮ないし実現しうる。この理由は定かではないが、通常、環構造を有するアクリル系重合体とアクリル系ブロック共重合体を組み合わせると、海島構造を有する樹脂組成物(さらにはフィルム)が得られやすいようであり、そして、このような樹脂組成物における海島構造は、製膜方法によらず、フィルムにも反映されやすいようである。このような海島構造の場合、一般的に硬脆い連続層である海島構造に発生する乖離(クレイズ)を、島構造が緩和することで強度を向上するが、島構造による緩和効率は通常低く、クレイズの成長を抑制する効果は低いことが想定される。
一方、本発明の特定の樹脂組成物と溶液成膜法とを選択して組み合わせることにより、非海島構造、例えば、共連続構造を有するフィルムが得られやすいようである。このような非海島構造の場合、機械的強度が弱い部分(又は弱い層、通常ガラス転移温度が高い部分)にクレイズが発生しても、他の部分(又は他の層、通常ガラス転移温度が低い部分)による緩和効率が極めて高く、結果として機械的強度が向上しやすくなるものと推定される。
このような特定の樹脂組成物(樹脂組成物の選択)と特定の製膜方法との組み合わせが、得られるフィルム(膜)における、機械的強度にどのような影響を及ぼすかについては一切知られておらず、このような知見は極めて意外なことであったと言える。
実施例1で得られたフィルムの電子顕微鏡写真である。 参考例1で得られたフィルムの電子顕微鏡写真である。
<組成物>
本発明の組成物(樹脂組成物)は、特定のアクリル系重合体とブロック共重合体とを少なくとも含む。
[アクリル系重合体]
アクリル系重合体(アクリル系重合体(A)、アクリル系ポリマー等ということがある)は、通常、(メタ)アクリル酸エステル単位[(メタ)アクリル酸エステル由来の単位(構造単位)、以下、同様の表現において同じ]を有していてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単位を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸C1−18アルキル)等]、脂環族(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロブチル等の(メタ)アクリル酸C3−20シクロアルキル)、架橋環式(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル)等]、芳香族(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸o−トリル等の(メタ)アクリル酸C6−20アリール)、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸C6−10アリールC1−4アルキル)、(メタ)アクリル酸フェノキシアルキル(例えば、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の(メタ)アクリル酸フェノキシC1−4アルキル)等]等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルには、置換基(例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、グリシジル基等)を有する(メタ)アクリル酸エステルも含まれる。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ヒドロキシル基を有するメタクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1−12アルキル)等]、アルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等のメタクリル酸C1−12アルコキシC1−12アルキル等)]、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等)等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは、1種又は2種以上組み合わせて(メタ)アクリル酸エステル単位を構成してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、所望の物性にもよるが、特に、メタクリル酸エステル単位を少なくとも含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単位を構成するメタクリル酸エステルとしては、例えば、脂肪族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸へプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸C1−18アルキル、好ましくはメタクリル酸C1−12アルキル)等]、脂環族メタクリレート[例えば、メタクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、メタクリル酸シクロプロピル、メタクリル酸シクロブチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸C3−20シクロアルキル、好ましくはメタクリル酸C3−12シクロアルキル)、架橋環式メタクリレート(例えば、メタクリル酸イソボルニル等)等]、芳香族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アリールエステル(例えば、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸o−トリル、メタクリル酸m−トリル、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸2,3−キシリル、メタクリル酸2,4−キシリル、メタクリル酸2,5−キシリル、メタクリル酸2,6−キシリル、メタクリル酸3,4−キシリル、メタクリル酸3,5−キシリル、メタクリル酸1−ナフチル、メタクリル酸2−ナフチル、メタクリル酸ビナフチル、メタクリル酸アントリル等のメタクリル酸C6−20アリール、好ましくはメタクリル酸C6−10アリール)、メタクリル酸アラルキルエステル(例えば、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸C6−10アリールC1−4アルキル)、メタクリル酸フェノキシアルキル(例えば、メタクリル酸フェノキシエチル等のメタクリル酸フェノキシC1−4アルキル)等]等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、メタクリル酸エステル単位の中でも、組成物の物性等の観点から、メタクリル酸アルキルエステル単位(例えば、メタクリル酸C1−18アルキル単位)を少なくとも含むことが好ましく、特にメタクリル酸メチル単位を少なくとも含むことがさらに好ましい。
なお、アクリル系重合体は、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル単位以外の他の重合性単量体(モノマー)由来の単位を含んでいてもよい。このような他のモノマーとしては、例えば、酸基含有モノマー(メタクリル酸、アクリル酸等)、スチレン系モノマー[例えば、スチレン、ビニルトルエン、置換基(例えば、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキル基、ヒドロキシ基等)を有するスチレン(例えば、α―メチルスチレン、クロロスチレン等)、スチレンスルホン酸又はその塩等]、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル等)、不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、オレフィン系モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−オクテン等のC2−10アルケン)、アミド基含有ビニル系単量体[例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド(例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN−シクロアルキル(メタ)アクリルアミド;N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のN−アリール(メタ)アクリルアミド;N−ベンジル(メタ)アクリルアミド等のN−アラルキル(メタ)アクリルアミド等)等]、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステル(例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル等のアルキルエステル)等が挙げられる。
他のモノマーは、1種又は2種以上組み合わせて他のモノマー由来の単位を構成してもよい。
これらの他のモノマーのうち、スチレン系モノマー等が好ましい。そのため、アクリル系重合体(A)が、他のモノマー由来の単位を有する場合、他のモノマー由来の単位は、少なくともスチレン系モノマー由来の単位を有していてもよい。
アクリル系重合体(A)(又はアクリル系重合体(A)の構成単位)中の(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)の範囲から選択でき、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、55質量%以上)であってもよく、60質量%以上、70質量%以上等であってもよい。
アクリル系重合体(A)がメタクリル酸エステル単位を含む場合、アクリル系重合体(A)(又はアクリル系重合体(A)の構成単位)中のメタクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上の範囲から選択でき、20質量%以上、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、55質量%以上)であってもよく、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上等であってもよい。
アクリル系重合体(A)がメタクリル酸エステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)であってもよく、70質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上等であってもよい。
アクリル系重合体(A)がメタクリル酸アルキルエステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸アルキルエステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)であってもよく、70質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上等であってもよい。
なお、アクリル系重合体(A)がメタクリル酸メチル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸メチル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)であってもよく、70質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上等であってもよい。
アクリル系重合体(A)が他のモノマー由来の単位(例えば、スチレン系モノマー由来の単位)を有する場合、アクリル系重合体(A)(又はアクリル系重合体(A)の構成単位)中の他のモノマー由来の単位の含有割合は、例えば、1質量%以上(例えば、2質量%以上)、好ましくは3質量%以上(例えば、4質量%以上)、さらに好ましくは5質量%以上(例えば、6質量%以上)であってもよく、7質量%以上、8質量%以上、10質量%以上等であってもよい。
アクリル系重合体(A)中の他のモノマー由来の単位の含有割合の上限値は、例えば、80質量%、70質量%、60質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、7質量%、5質量%等であってもよい。
(環構造)
アクリル系重合体は、環構造(環状構造)を有する。なお、このような環構造は、通常、アクリル系重合体(ポリマー鎖)の主鎖に有してもよい。
アクリル系重合体が環構造を有することにより、アクリル系重合体において種々の物性(例えば、耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、酸素や水蒸気のバリヤ性、光学特性、寸法安定性、形状安定性等)を、付与、改善又は向上しうる。
一方、アクリル系重合体に、環構造を導入することにより、機械的強度(耐衝撃性等)や可撓性等が、導入しない場合に比べて低下する場合がある。
本発明では、このような環構造を有するアクリル系重合体と、後述のブロック共重合体(B)(さらには成膜方法)とを組み合わせることで、優れた物性(耐熱性、光学特性等)と機械的強度等を効率よく両立しうる。
具体的な環構造としては、例えば、環状イミド構造(例えば、N−置換マレイミド単量体由来の構造、グルタルイミド構造等)、環状アミド構造(例えば、ラクタム構造等)、環状エステル構造(例えば、ラクトン環構造等)、無水酸構造(例えば、無水マレイン酸単量体由来の構造、無水グルタル酸構造)等が挙げられる。
環構造は、加水分解したり、酸価が大きくなって耐水性や耐熱水性を低下させる虞がある。そのため、環構造は、特に、非無水酸構造(例えば、無水マレイン酸単量体由来の構造、無水グルタル酸構造等でない環構造)であってもよい。
アクリル系重合体が環構造を有する場合、1種又は2種以上の環構造を有していてもよい。なお、2種以上の環構造を有する場合、2種以上の環構造は、同系統の環構造(例えば、2種以上の環状イミド構造等)であってもよく、異なる系統の環構造(例えば、環状イミド構造とラクトン構造との組み合わせ等)であってもよい。
グルタルイミド構造としては、例えば、以下の式(1)で表される構造が挙げられる。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であり、Rは置換基であり、Xは窒素原子であり、Xが窒素原子のときn=1である。)
式(1)のR1及びR2において、アルキル基としては、例えば、C1−8アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)等が挙げられる。
1及びR2は、特に、水素原子又はC1−4アルキル基であるのが好ましい。
式(1)のRにおいて、置換基としては、例えば、炭化水素基等が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、脂肪族基、脂環族基、芳香族基等が挙げられる。なお、炭化水素基は、さらにハロゲン等の置換基を有していてもよい。
式(1)のRにおいて、脂肪族基としては、例えば、C1−10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)等が挙げられる。これらのアルキル基のなかでも、C1−4アルキル基、特にメチル基が好ましい。
式(1)のRにおいて、脂環族基としては、例えば、C3−12シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)が挙げられる。これらのシクロアルキル基のなかでも、C3−7シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基が好ましい。
式(1)のRにおいて、芳香族基としては、例えば、C6−20芳香族基[例えば、C6−20アリール基(例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ビナフチル基、アントリル基等)、C7−20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)等]が挙げられる。これらの芳香族基のなかでも、フェニル基及びトリル基が好ましい。
代表的には、式(1)において、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、Rが、C1−10アルキル基、C3−12シクロアルキル基又はC6−20芳香族基であってもよく、好ましくは、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、Rが、C1−4アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C6−20アリール基又はC7−20アラルキル基であってもよく、さらに好ましくは、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、Rが、メチル基、シクロヘキシル基、フェニル基又はトリル基であり、最も好ましくは、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、Rがシクロヘキシル基又はフェニル基であってもよい。
なお、環構造は、式(1)で表わされる構造を1種又は2種以上有していてもよい。
なお、上記式(1)において、Xが酸素原子(及びn=0)のとき、上記式で表される構造は、無水グルタル酸構造となる。このような無水グルタル酸構造は、加水分解したり、酸価が大きくなって耐水性や耐熱水性を低下させる虞がある。そのため、環構造は、無水グルタル酸構造を実質的に有していないか、含んでいても少ないのが好ましい場合がある。
N−置換マレイミド単量体由来の構造としては、例えば、以下の式(2)で表される構造が挙げられる。
(式中、R、Rは互いに独立して水素原子又はメチル基であり、Rは置換基であり、Xは窒素原子であり、n=1である。)
式(2)のRにおいて、置換基としては、例えば、炭化水素基等が挙げられる。
当該炭化水素基としては、例えば、脂肪族基{例えば、アルキル基[例えば、C1−6直鎖アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、C1−6分岐アルキル基(例えば、イソプロピル基等)等のC1−6アルキル基等]等}、脂環族基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3−20シクロアルキル基等)、芳香族基{例えば、C6−20芳香族基[例えば、C7−20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、C6−20アリール基(例えば、フェニル基等)]}等が挙げられる。なお、炭化水素基は、さらにハロゲン等の置換基を有していてもよい。
式(2)において、好ましくは、R及びRがそれぞれ独立して水素原子、RがC3−20シクロアルキル基又はC6−20芳香族基であってもよく、より好ましくはR及びRがそれぞれ独立して水素原子、Rがシクロヘキシル基、ベンジル基又はフェニル基であってもよい。
環構造は、式(2)で表わされる構造を1種又は2種以上有していてもよい。
なお、上記式(2)において、Xが酸素原子(及びn=0)であるとき、上記式(2)は無水マレイン酸単量体由来の構造となる。このような無水マレイン酸単量体由来の構造は、加水分解したり、酸価が大きくなって耐水性や耐熱水性を低下させる虞がある。そのため、環構造は、無水マレイン酸単量体由来の構造を実質的に有していないか、含んでいても少ないのが好ましい場合がある。
ラクトン環構造としては、特に限定されず、例えば、4から8員環であってもよいが、環構造の安定性に優れることから5員環又は6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。
ラクトン環構造は、例えば、特開2004−168882号公報等に開示される構造であってもよいが、例えば、以下の式(3)で表される構造等が挙げられる。
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子又は置換基である。)
式(3)において、置換基としては、例えば、炭化水素基等の有機残基等が挙げられる。
当該炭化水素基としては、例えば、脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のC1−20アルキル基、エテニル基、プロペニル基等のC2−20不飽和脂肪族炭化水素基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等のC6−20芳香族炭化水素基等)等が挙げられる。
前記炭化水素基は、酸素原子を含んでいてもよく、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換されていてもよい。
式(3)において、好ましくは、Rが水素原子又はメチル基、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はC1−20アルキル基であってもよく、より好ましくは、Rが水素原子又はメチル基、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であってもよい。
環構造は、式(3)で表わされる構造を1種又は2種以上含んでいてもよい。
ラクタム環構造としては、特に限定されず、例えば、以下の式(4)で表されるピロリジノン環構造等が挙げられる。
ピロリジノン環構造は、基本骨格として5員環のアミド環構造(環状アミド構造)を有する。この環状アミド構造は、5員環のラクタム構造(γ―ラクタム構造)でもある。主鎖にピロリジノン環構造を有するとは、5員環であるピロリジノン環構造の基本骨格を構成する5つの原子のうち少なくとも1つの原子、典型的にはアミド結合(―N(R)CO−)を構成しない3つの炭素原子が当該重合体の主鎖に位置し、主鎖を構成することを意味する。
(式中、R10〜R12は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)
式(4)のR10において、置換基としては、例えば、炭化水素基又は−NHCOR13基(R13は、水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
10又はR13における炭化水素基としては、例えば、脂肪族基、脂環族基、芳香族基等が挙げられる。
脂肪族基としては、例えば、C1−18アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のC1−18直鎖又は分岐アルキル基等)等が挙げられる。
脂環族基としては、例えば、C3−18シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)等が挙げられる。
芳香族基としては、例えば、C6−20芳香族基[例えば、C6−20アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等)、C7−20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)等]が挙げられる。
10としては、特に、水素原子、C1−18直鎖アルキル基(例えば、メチル基等)等が好ましい。
また、R13としては、特に、水素原子、C1−18直鎖アルキル基(好ましくは、C1−12直鎖アルキル基、より好ましくは、C1−4直鎖アルキル基等)、C6−20アリール基(例えば、フェニル基等)、C3−18シクロアルキル基(好ましくは、C3−12シクロアルキル基、より好ましくは、C3−6シクロアルキル基等)等が好ましい。
式(4)のR11において、置換基としては、例えば、−COOR14基(R14は、水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
14における炭化水素基としては、例えば、R10又はR13で例示の炭化水素基等が挙げられる。
また、R14の特に好ましい態様も、R13の特に好ましい態様と同じである。
式(4)のR12において、置換基としては、例えば、−COR15基(R15は、水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
15における炭化水素基としては、例えば、R10又はR13で例示の炭化水素基等が挙げられる。
また、R15の特に好ましい態様も、R13の特に好ましい態様と同じである。
アクリル系重合体が有する環構造は、所望の物性(例えば、耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、酸素や水蒸気のバリヤ性、寸法安定性、形状安定性等)等に応じて適宜選択してもよい。例えば、耐熱性等の観点から、環構造は、ラクトン環構造、環状イミド構造(例えば、N−置換マレイミド単量体由来の構造、グルタルイミド構造等)を好適に含んでいてもよい。
また、耐水性や耐熱水性等の観点から、環構造は、環状非無水物構造[例えば、ラクトン環構造、環状イミド構造(特に、N−置換マレイミド単量体由来の構造)]を好適に含んでいてもよい。
さらに、表面硬度、耐溶剤性、バリヤ特性等の観点から、環構造は、ラクトン環構造、グルタルイミド構造等を好適に含んでいてもよい。
特に、環構造は、ラクトン環構造及び環状イミド構造から選択された少なくとも1種の環構造を含有していてもよい。
アクリル系重合体(A)において、環構造の含有割合は、用途や所望の物性等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、アクリル系重合体(A)中、0.1質量%以上(例えば、0.5質量%以上)程度の範囲から選択でき、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であってもよく、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上等であってもよい。
アクリル系重合体(A)が環構造を有する場合、環構造の含有割合(又はその上限値)は、特に限定されず、例えば、アクリル系重合体(A)中、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下等であってもよい。
環構造の含有割合が大きくなると、耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、寸法安定性等の点で好ましい。一方、環構造の含有割合が大きくなりすぎると、脆くなったり、透明性低下、光弾性係数の絶対値増加等につながる可能性がある。
このような観点から、環構造は、少なすぎず大きくなりすぎない、適度な含有割合としてもよい。
なお、これらの上限値と下限値とを適宜組み合わせて適当な範囲(例えば、1〜70質量%、3〜60質量%、5〜60質量%、5〜50質量%等)を設定してもよい(他も同じ)。
特に、アクリル系重合体(A)が、グルタルイミド構造を有する場合、グルタルイミド構造の含有割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であってもよく、90質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下であってもよい。
アクリル系重合体(A)が、N−置換マレイミド単量体由来の構造を有する場合、N−置換マレイミド単量体由来の構造の含有割合は、例えば、5〜90質量%、好ましくは5〜60質量%、よりこの好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは10〜30質量%であってもよい。
アクリル系重合体(A)が、ラクトン環構造を有する場合、ラクトン環構造の含有割合は、例えば、1〜80質量%、好ましくは3〜70質量%、さらに好ましくは5〜60質量%(例えば、10〜50質量%)であってもよい。
アクリル系重合体(A)が、ラクタム環構造を有する場合、ラクタム環構造の含有割合は、例えば、1〜80質量%、好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは10〜50質量%程度であってもよい。
なお、アクリル系重合体(A)が、共重合体である場合、このような共重合体の形態(構造)は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体等であってもよい。
例えば、アクリル系重合体(A)は、環構造を有しているという点で、通常、共重合体といえるが、このような環構造の導入形態は、特に限定されず、環構造の種類等に応じて選択でき、ランダムに導入されていてもよく、ブロック、交互、グラフト等のように導入されていてもよい。
なお、アクリル系重合体(A)は、市販品であってもよく、合成したものを使用してもよい。合成方法としては、公知の方法を利用できる。
例えば、環構造として、グルタルイミド構造を有するアクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位を含むアクリル系重合体をイミド化する方法等の公知の方法(例えば、特開2006−309033号公報、特開2006−317560号公報、特開2006−328329号公報、特開2006−328334号公報、特開2006−337491号公報、特開2006−337492号公報、特開2006−337493号公報、特開2007−009182号公報等に記載の方法)により得ることができる。
N−置換マレイミド単量体由来の構造を有するアクリル系重合体は、例えば、N−置換マレイミド単量体[例えば、N−アルキルマレイミド(例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド等のN−C1−10アルキルマレイミド)、N−シクロアルキルマレイミド(例えば、シクロヘキシルマレイミド等のN−C3−20シクロアルキルマレイミド)、N−アリールマレイミド(例えば、N−フェニルマレイミド等のN−C6−10アリールマレイミド)、N−アラルキルマレイミド(例えば、N−ベンジルマレイミド等のN−C7−10アラルキルマレイミド)等]と、アクリル系重合体を構成するモノマー((メタ)アクリル酸エステル等)とを共重合することにより得ることができる。
ラクタム環構造を有するアクリル系重合体は、例えば、ラクタム系単量体[例えば、N−ビニルピロリドン系単量体(例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−4−ブチルピロリドン、N−ビニル−4−プロピルピロリドン、N−ビニル−4−エチルピロリドン、N−ビニル−4−メチルピロリドン、N−ビニル−4−メチル−5−エチルピロリドン、N−ビニル−4−メチル−5−プロピルピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチルピロリドン、N−ビニル−5−プロピルビロリドン、N−ビニル−5−ブチルピロリドン等)、N−ビニルカプロラクタム系単量体(例えば、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−6−メチルカプロラクタム、N−ビニル−6−プロピルカプロラクタム、N−ビニル−7−ブチルカプロラクタム等)等]と、アクリル系重合体を構成するモノマー((メタ)アクリル酸エステル等)とを共重合することにより得ることができる。
アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、10000以上(例えば、10000〜1000000)、好ましくは20000以上(例えば、25000〜500000)、さらに好ましくは30000以上(例えば、50000〜300000)であってもよい。
アクリル系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、例えば、1〜10(例えば、1.1〜7.0)、好ましくは1.2〜5.0(例えば、1.5〜4.0)程度であってもよく、1.5〜3.0程度であってもよい。
なお、分子量(及び分子量分布)は、例えば、GPCを用い、ポリスチレン換算により測定してもよい。
アクリル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、例えば、70℃以上(例えば、80〜200℃)、好ましくは90℃以上(例えば、100〜180℃)、さらに好ましくは110℃以上(例えば、115〜160℃)程度であってもよく、120℃以上(例えば、120〜155℃)程度であってもよい。
[ブロック共重合体]
ブロック共重合体(ブロック共重合体(B)などということがある)は、通常、アクリル系ブロック共重合体である。
このようなブロック共重合体は、通常、アクリル酸エステル由来の構造単位(又は、単に、「アクリル酸エステル単位」などということがある。以下、同様の表現において同じ)を含むポリマーブロック(ポリマーブロック(I)、ブロック(I)などということがある)を有していてもよい。
このようなブロック共重合体は、ポリマーブロック(I)を有する限り、他のブロック(ブロック(I)と異なるブロック)は特に限定されないが、特に、他のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック(ポリマーブロック(II)、ブロック(II)などということがある)を含んでいてもよい。
なお、ブロック共重合体は、環構造(例えば、グルタルイミド構造、N−置換マレイミド単量体由来の構造、ラクトン環構造等の前記例示の環構造)を有していてもよく、有していなくてもよい。
以下、このようなブロック共重合体について詳述する。
ブロック共重合体は、通常、アクリル酸エステルを重合成分として含むブロック[ブロック(I)]と、ブロック(I)とは異なるブロック(ブロック(II)など)とを少なくとも有している。
なお、異なるブロックは、通常、ブロック(I)とは異なるガラス転移温度を有していてもよい。
ブロック共重合体は、ブロック(I)(及びブロック(II)などの異なるブロック)を有する限り、ブロック数は特に限定されず、例えば、ジ乃至デカブロック体などのポリブロック体であってもよい。
代表的なブロック共重合体には、ジブロック体[例えば、(I)−(II)で表されるジブロック体]、トリブロック体[例えば、(II)−(I)−(II)または(I)−(II)−(I)で表されるトリブロック体など]、テトラブロック体[例えば、(II)−(I)−(II)−(I)で表されるテトラブロック体など]、ペンタブロック体[例えば、(I)−(II)−(I)−(II)−(I)で表されるペンタブロック体など]などが含まれる。
ブロック共重合体は、特に、トリブロック体(例えば、(II)−(I)−(II))であってもよい。このようなトリブロック共重合体は、アクリル系重合体(A)との組み合わせにおいて、適度に相溶しやすい(さらには特定の微細構造(共連続構造)を形成しやすい)ためか、効率よく優れた機械的強度等を実現しやすい。
ここで、ポリブロック体を構成する各ブロックの分子量、組成等は同じであってもよいし、相互に異なっていてもよい。
(ブロック(I))
ブロック(I)において、アクリル酸エステル単位としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族アクリレート[例えば、アクリル酸アルキルエステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸C1−18アルキル)等]、脂環族アクリレート[例えば、アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、アクリル酸シクロプロピル、アクリル酸シクロブチル等のアクリル酸C3−20シクロアルキル)、架橋環式アクリレート(例えば、アクリル酸イソボルニル)等]、芳香族アクリレート[例えば、アクリル酸アリールエステル(例えば、アクリル酸フェニル、アクリル酸o−トリル等のアクリル酸C6−20アリール)、アクリル酸アラルキルエステル(例えば、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸C6−10アリールC1−4アルキル)、アクリル酸フェノキシアルキル(例えば、アクリル酸フェノキシエチル等のアクリル酸フェノキシC1−4アルキル)等]等のアクリル酸エステル由来の構造単位等が挙げられる。
アクリル酸エステル単位は、1種で又は2種以上組み合わせて構成してもよい。
アクリル酸エステル単位は、柔軟性を向上させる等の観点から、アクリル酸アルキルエステル単位を少なくとも含むことが好ましく、アクリル酸C1−18アルキル単位を少なくとも含むことがより好ましく、アクリル酸n−ブチル単位を少なくとも含むことがさらに好ましい。
アクリル酸エステル単位がアクリル酸アルキルエステル単位を含む場合、アクリル酸エステル単位中のアクリル酸アルキルエステル単位の含有割合は、アクリル酸エステル単位を構成するモノマー(アクリル酸エステル)換算で、例えば、50モル%以上(例えば、60〜100モル%)、好ましくは70モル%以上(例えば、80〜100モル%)であってもよい。
ブロック(I)において、アクリル酸エステル単位の割合は、ブロック(I)を構成するモノマー換算で、例えば、50モル%以上(例えば、60〜100モル%)、好ましくは70モル%以上(例えば、80〜100モル%)、さらに好ましくは90モル%以上(例えば、95モル%以上)であってもよい。
ブロック(I)において、アクリル酸エステル単位の割合は、例えば、50質量%以上(例えば、60〜100質量%)、好ましくは70質量%以上(例えば、80〜100質量%)、さらに好ましくは90質量%以上(例えば、95質量%以上)であってもよい。
なお、ポリマーブロック(I)は、アクリル酸エステル単位以外の他の単量体(例えば、メタクリル酸エステルなどの後述の単量体又はモノマーなど)由来の構造単位(他の単位、他の構造単位などということがある)を有していてもよい。このような他の単量体由来の構造単位は、1種で又は2種以上組み合わせて構成してもよい。
ブロック(I)が他の単位を含む場合、他の単位の割合は、ブロック(I)を構成するモノマー換算で、例えば、50モル%以下(例えば、0.001〜40モル%)、好ましくは30モル%以下(例えば、0.01〜20モル%)、さらに好ましくは10モル%以下(例えば、0.1〜5モル%)であってもよい。
ブロック(I)が他の単位を含む場合、他の単位の割合は、ブロック(I)において、例えば、50質量%以下(例えば、0.001〜40質量%)、好ましくは30質量%以下(例えば、0.01〜20質量%)、さらに好ましくは10質量%以下(例えば、0.1〜5質量%)であってもよい。
なお、ブロック(I)は、環構造(例えば、グルタルイミド構造、N−置換マレイミド単量体由来の構造、ラクトン環構造等の前記例示の環構造)を有していてもよく、有していなくてもよい。
(ブロック(II))
ブロック(II)は、ブロック(I)と異なる限り特に限定されないが、通常、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を有するポリマーブロック(II)であってもよい。
ブロック(II)は、特に、メタクリル酸エステル由来の構造単位を少なくとも有してもよい。代表的なブロック共重合体は、ブロック(I)と、メタクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック(II)とを有するブロック共重合体である。
なお、このようなブロック共重合体では、ブロック(II)がハード成分(硬質成分)、ブロック(I)がソフト成分(軟質成分)を形成する場合が多い。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、脂肪族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸へプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸C1−18アルキル、好ましくはメタクリル酸C1−12アルキル)等]、脂環族メタクリレート[例えば、メタクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、メタクリル酸シクロプロピル、メタクリル酸シクロブチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸C3−20シクロアルキル、好ましくはメタクリル酸C3−12シクロアルキル)、架橋環式メタクリレート(例えば、メタクリル酸イソボルニル等)等]、芳香族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アリールエステル(例えば、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸o−トリル、メタクリル酸m−トリル、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸2,3−キシリル、メタクリル酸2,4−キシリル、メタクリル酸2,5−キシリル、メタクリル酸2,6−キシリル、メタクリル酸3,4−キシリル、メタクリル酸3,5−キシリル、メタクリル酸1−ナフチル、メタクリル酸2−ナフチル、メタクリル酸ビナフチル、メタクリル酸アントリル等のメタクリル酸C6−20アリール、好ましくはメタクリル酸C6−10アリール)、メタクリル酸アラルキルエステル(例えば、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸C6−10アリールC1−4アルキル)、メタクリル酸フェノキシアルキル(例えば、メタクリル酸フェノキシエチル等のメタクリル酸フェノキシC1−4アルキル)等]等を挙げることができる。
また、メタクリル酸エステルは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、グリシジル基等の置換基を有していてもよい。このようなメタクリル酸エステルとしては、例えば、ヒドロキシル基を有するメタクリル酸エステル[例えば、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸ヒドロキシC1−12アルキル)等]、アルコキシ基を有するメタクリル酸エステル[例えば、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル(例えば、メタクリル酸2−メトキシエチル等のメタクリル酸C1−12アルコキシC1−12アルキル等)]、グリシジル基を有するメタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸グリシジル等)等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、前記例示のアクリル酸エステル(例えば、アクリル酸アルキルエステルなどの脂肪族アクリレート)などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、1種で又は2種以上組み合わせて構成してもよい。
ブロック(II)が(メタ)アクリル酸エステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位の割合は、ブロック(II)を構成するモノマー換算で、例えば、30モル%以上(例えば、40〜100モル%)、好ましくは50モル%以上(例えば、60〜100モル%)、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、80モル%以上)であってもよく、90モル%以上などとすることもできる。
ブロック(II)が(メタ)アクリル酸エステル単位を含む場合、ブロック(II)において、(メタ)アクリル酸エステル単位の割合は、例えば、30質量%以上(例えば、40〜100質量%)、好ましくは50質量%以上(例えば、60〜100質量%)、さらに好ましくは70質量%以上(例えば、80質量%以上)であってもよく、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、100質量%(実質的に(メタ)アクリル酸エステル単位のみ)などとすることもできる。
ブロック(II)が、メタクリル酸エステル単位を含む場合、メタクリル酸エステル単位の割合は、ブロック(II)を構成するモノマー換算で、例えば、30モル%以上(例えば、40〜100モル%)、好ましくは50モル%以上(例えば、60〜100モル%)、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、80モル%以上)であってもよく、90モル%以上などとすることもできる。
ブロック(II)が、メタクリル酸エステル単位を含む場合、ブロック(II)において、メタクリル酸エステル単位の割合は、例えば、30質量%以上(例えば、40〜100質量%)、好ましくは50質量%以上(例えば、60〜100質量%)、さらに好ましくは70質量%以上(例えば、80質量%以上)であってもよく、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、100質量%(実質的にメタクリル酸エステル単位のみ)などとすることもできる。
ブロック(II)が、メタクリル酸エステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、50モル%以上(例えば、60モル%以上)、好ましくは70モル%以上(例えば、80モル%以上)、さらに好ましくは90モル%以上(例えば、95モル%以上)であってもよい。
ブロック(II)が、メタクリル酸エステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、50質量%以上(例えば、60質量%以上)、好ましくは70質量%以上(例えば、80質量%以上)、さらに好ましくは90質量%以上[例えば、95質量%以上、100質量%(実質的にメタクリル酸エステル単位のみ)]であってもよい。
これらの中でも、透明性、耐熱性を向上させる等の観点から、メタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸C1−18アルキルエステルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。
ブロック(II)が、メタクリル酸アルキルエステル単位を含む場合、メタクリル酸エステル単位中のメタクリル酸アルキルエステル単位の含有割合は、メタクリル酸エステル単位を構成するモノマー(メタクリル酸エステル)換算で、例えば、50モル%以上(例えば、60〜100モル%)、好ましくは70モル%以上(例えば、80〜100モル%)であってもよい。
ブロック(II)は、他の単量体(例えば、(メタ)アクリル酸エステルではない単量体)由来の構造単位(他の単位、他の構造単位などということがある)を有していてもよい。他の単量体(重合性単量体)は、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
このような他の単量体(モノマー)としては、前記例示の他の単量体、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、スチレン系モノマー[例えば、スチレン、ビニルトルエン、置換基(例えば、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキル基、ヒドロキシ基等)を有するスチレン(例えば、α―メチルスチレン、クロロスチレン等)、スチレンスルホン酸又はその塩等]、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル等)、不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、オレフィン系モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−オクテン等のC2−10アルケン)などが挙げられる。
他の単量体は、ブロック共重合体の用途に応じて適宜選択できるが、光学特性を調整できる等の観点から、スチレン系モノマー(スチレン等)を好適に含んでいてもよい。
ブロック(II)が他の単位を含む場合、他の単位の割合は、ブロック(II)を構成するモノマー換算で、例えば、70モル%以下、好ましくは50モル%以下(例えば、0.001〜40モル%)、さらに好ましくは30モル%以下(例えば、0.01〜20モル%)、特に15モル%以下(例えば、0.1〜10モル%)であってもよく、5モル%以下などであってもよい。
ブロック(II)が他の単位を含む場合、他の単位の割合は、ブロック(I)において、例えば、70質量%以下、好ましくは50質量%以下(例えば、0.001〜40質量%)、さらに好ましくは30質量%以下(例えば、0.01〜20質量%)、特に15質量%以下(例えば、0.1〜10質量%)であってもよく、5質量%以下などであってもよい。
なお、ブロック(II)は、環構造(例えば、グルタルイミド構造、N−置換マレイミド単量体由来の構造、ラクトン環構造等の前記例示の環構造)を有していてもよく、有していなくてもよい。
(他のブロック)
ブロック共重合体は、必要に応じて、ブロック(I)及び(II)とは別の重合体ブロック[例えば、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステル以外のモノマー由来の構造単位を有するブロック、以下、ブロック(III)ともいう]を有してもよい。
ブロック(III)と、ブロック(I)及びブロック(II)との結合の形態は特には限定されないが、例えば、(I)−((II)−(I))n−(III)や、(III)−(I)−((II)−(I))n−(III)などの構造[式中、nは1以上の整数(例えば、1〜20の整数)である]が挙げられる。
なお、ブロック(III)は、環構造(例えば、グルタルイミド構造、N−置換マレイミド単量体由来の構造、ラクトン環構造等の前記例示の環構造)を有していてもよく、有していなくてもよい。
(構造単位、ブロックの割合、分子量など)
ブロック共重合体において、ブロック(I)の割合は、例えば、ブロック共重合体(又はブロック(I)及びブロック(II)の総量)に対して、5質量%以上(例えば、5〜95質量%)、好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは15〜85質量%(例えば、20〜80質量%)であってもよく、20〜90質量%、25〜85質量%、25〜75質量%、30〜70質量%、特に25〜60質量%(例えば、25〜55質量%、28〜55質量%、25〜52質量%、28〜52質量%)等であってもよい。
ブロック共重合体が、アクリル酸エステル由来の構造単位(アクリル酸エステル単位)を有する場合、アクリル酸エステル単位の割合は、例えば、ブロック共重合体(又はブロック(I)及びブロック(II)の総量)に対して、5質量%以上(例えば、5〜95質量%)、好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは15〜85質量%(例えば、20〜80質量%)であってもよく、20〜90質量%、25〜85質量%、25〜75質量%、30〜70質量%であってもよく、特に25〜60質量%(例えば、25〜55質量%、28〜55質量%、25〜52質量%、28〜52質量%)であってもよい。
ブロック共重合体が、ブロック(I)又はアクリル酸エステル単位をこのような割合で有することで、アクリル系重合体(A)との組み合わせにおいて、適度に相溶しやすい(さらには特定の微細構造(共連続構造)を形成しやすい)ためか、効率よく優れた機械的強度等を得やすい。
なお、ブロック(I)又はアクリル酸エステル単位は、後述の40℃以下の温度領域で観測されるガラス転移温度(Tg)を示しても(又は40℃以下のガラス転移温度を有しても)よい。
ブロック共重合体において、ブロック(II)の割合は、例えば、ブロック共重合体(又はブロック(I)及びブロック(II)の総量)に対して、5質量%以上(例えば、5〜95質量%)、好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは15〜85質量%(例えば、20〜80質量%)であってもよく、10〜80質量%、15〜75質量%、30〜70質量%等であってもよく、特に40質量%以上[例えば、40〜75質量%、45質量%以上(例えば、45〜72質量%)、48質量%以上(例えば、48〜75質量%、48〜72質量%)等]であってもよい。
ブロック共重合体が、メタクリル酸エステル由来の構造単位(メタクリル酸エステル単位)を有する場合、メタクリル酸エステル単位の割合は、例えば、ブロック共重合体(又はブロック(I)及びブロック(II)の総量)に対して、5質量%以上(例えば、5〜95質量%)、好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは15〜85質量%(例えば、20〜80質量%)であってもよく、10〜80質量%、15〜75質量%、30〜70質量%等であってもよく、特に40質量%以上[例えば、40〜75質量%、45質量%以上(例えば、45〜72質量%)、48質量%以上(例えば、48〜75質量%、48〜72質量%)等]であってもよい。
ブロック共重合体が、ブロック(II)又はメタクリル酸エステル単位をこのような割合で有することで、アクリル系重合体(A)との組み合わせにおいて、適度に相溶しやすい(さらには特定の微細構造(共連続構造)を形成しやすい)ためか、効率よく優れた機械的強度等を実現しやすい。
ブロック共重合体において、ブロック(I)(複数のブロックを含む場合にはブロック(I)の総量)とブロック(II)(複数のブロックを含む場合にはブロック(II)の総量)との割合は、例えば、ブロック(I)/ブロック(II)(モル比)=5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは15/85〜85/15(例えば、20/80〜8/20)であってもよく、20/80〜90/10、25/75〜85/15、25/75〜75/25、30/70〜70/30、25/75〜50/50等であってもよい。
ブロック共重合体において、ブロック(I)(複数のブロックを含む場合にはブロック(I)の総量)とブロック(II)(複数のブロックを含む場合にはブロック(II)の総量)との割合は、例えば、ブロック(I)/ブロック(II)(質量比)=5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは15/85〜85/15(例えば、20/80〜8/20)であってもよく、20/80〜90/10、25/75〜85/15、25/75〜75/25、30/70〜70/30、25/75〜50/50、35/65〜65/35、40/60〜60/40、45/55〜55/45、25/75〜52/48等であってもよい。
ブロック共重合体において、アクリル酸エステル単位とメタクリル酸エステル単位との割合は、例えば、アクリル酸エステル単位/メタクリル酸エステル単位(モル比)=5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは15/85〜85/15(例えば、20/80〜8/20)であってもよく、20/80〜90/10、25/75〜85/15、25/75〜75/25、30/70〜70/30、25/75〜50/50等であってもよい。
ブロック共重合体において、アクリル酸エステル単位とメタクリル酸エステル単位との割合は、例えば、アクリル酸エステル単位/メタクリル酸エステル単位(質量比)=5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは15/85〜85/15(例えば、20/80〜8/20)であってもよく、20/80〜90/10、25/75〜85/15、25/75〜75/25、30/70〜70/30、25/75〜50/50、35/65〜65/35、40/60〜60/40、45/55〜55/45、25/75〜52/48等であってもよい。
ブロック共重合体が、ブロック(I)又はアクリル酸エステル単位と、ブロック(II)又はメタクリル酸エステル単位をこのような割合で有することで、アクリル系重合体(A)との組み合わせにおいて、適度に相溶しやすい(さらには特定の微細構造(共連続構造)を形成しやすい)ためか、効率よく優れた機械的強度等を実現しやすい。
なお、ブロック共重合体がブロック(III)を含む場合、ブロック(III)の割合は、ブロック共重合体に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に10質量%以下であってもよい。
ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、例えば、5000以上(例えば、10000以上)、好ましくは20000以上(例えば、30000〜800000)であり、さらに好ましくは50000以上(例えば、70000〜500000)であってもよい。
特に、ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10万以上(例えば、10万超)、例えば、11万以上、12万以上、13万以上、14万以上、15万以上、16万以上、16.5万以上、17万以上等であってもよい。
ブロック共重合体の重量平均分子量をこのような範囲とすることで、アクリル系重合体(A)との組み合わせにおいて、適度に相溶しやすい(さらには特定の微細構造(共連続構造)を形成しやすい)ためか、効率よく優れた機械的強度等を実現しやすい。
なお、ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)の上限値は、特に限定されないが、例えば、100万、80万、70万、60万、50万、45万、40万、35万、30万、25万、20万等であってもよい。
ブロック共重合体において、ブロック(I)(又はアクリル酸エステル単位)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、5000以上(例えば、8000〜200000)、好ましくは10000以上(例えば、12000〜150000)、さらに好ましくは15000以上(例えば、15000〜100000)であってもよい。
ブロック共重合体において、ブロック(II)(又はメタクリル酸エステル単位)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、5000以上(例えば、8000〜500000)、好ましくは10000以上(例えば、15000〜200000)、さらに好ましくは20000以上(例えば、20000〜150000)であってもよい。
ブロック共重合体において、ブロック(I)とブロック(II)との重量平均分子量(Mw)の比は、特に限定されず、例えば、1:0.4〜1:4、好ましくは1:0.6〜1:3.4(例えば、1:0.8〜1:3.2、1:0.9〜1:3.1、1:0.95〜1:3.05)、より好ましくは1:1〜1:3であってもよい。
ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、1〜10程度の範囲から選択でき、1.1〜7.0、好ましくは1.2〜5.0、さらに好ましくは1.5〜4.0であってもよい。
特に、ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、3以下、好ましくは2.8以下(例えば、1〜2.6)、さらに好ましくは2.5以下(例えば、1.1〜2.4)であってもよく、2.3以下(例えば、1.2〜2.2)、2以下(例えば、1.3〜1.9)であってもよい。
前記のように、本発明では、比較的Mwが大きい(例えば、10万超の)ブロック共重合体を好適に使用できるが、このようなMwが大きいブロック共重合体においても、比較的分子量分布の狭い(例えば、3以下、2.5以下等)ものとすることで、アクリル系重合体(A)との組み合わせにおいて、適度に相溶しやすい(さらには特定の微細構造(共連続構造)を形成しやすい)ためか、効率よく優れた機械的強度等を実現しやすい。
なお、分子量等は、例えば、ポリスチレン換算でGPCにより測定される値であってもよい。
ブロック共重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用するモノマーの種類や含有量等にもよるが、例えば、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上等であってもよい。なお、ガラス転移温度(Tg)の上限値は、特に限定されないが、例えば、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、110℃、105℃、100℃、95℃等であってもよい。
なお、上記ガラス転移温度は、ブロック(II)又はメタクリル酸エステル単位に対応する温度であってもよい。
ブロック共重合体は、40℃以下の温度領域で観測されるガラス転移温度(Tg)を有していてもよい。このような場合、ブロック共重合体の40℃以下の温度領域で観測されるガラス転移温度(Tg)は、40℃以下(例えば、−100℃〜+40℃)の範囲から選択でき、20℃以下(例えば、−90℃〜10℃)、好ましくは0℃以下(例えば、−60℃〜0℃)、さらに好ましくは−5℃以下(例えば、−50℃〜−10℃)であってもよい。
なお、上記ガラス転移温度は、ブロック(I)又はアクリル酸エステル単位に対応する温度であってもよい。
ブロック共重合体は、市販品を使用してもよく、製造(合成)したものを使用してもよい。
特に、前記のように、Mwが比較的大きいブロック共重合体は、市販品の中でも、Arkema France社製の「Nanostrength(登録商標)M53」等を好適に使用してもよい。
また、Mwが比較的大きいブロック共重合体を製造(合成)する場合、特開2019−6966号公報等に記載の方法(有機リン単位を有するニトロキシド構造を有するニトロキシドポリマーを用いて重合する方法)等を参考にしてもよい。
(樹脂組成物)
本発明の組成物(樹脂組成物)において、アクリル系重合体(A)とブロック共重合体(B)との割合は、特に限定されないが、例えば、ブロック共重合体(B)の割合は、アクリル系重合体(A)及びブロック共重合体(B)の総量に対して、0.1質量%以上(例えば、0.3質量%以上)、好ましくは0.5質量%以上(例えば、0.5〜30質量%)、さらに好ましくは1質量%以上等であってもよい。
なお、ブロック共重合体(B)の割合の上限値は、特に限定されないが、アクリル系重合体(A)及びブロック共重合体(B)の総量に対して、50質量%、40質量%、30質量%、20質量%、15質量%、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%等であってもよく、特に10質量%未満(例えば、1〜8質量%)等であってもよい。
本発明の組成物(樹脂組成物)において、アクリル系重合体(A)とブロック共重合体(B)との割合は、特に限定されないが、例えば、アクリル系重合体(A)の割合は、アクリル系重合体(A)及びブロック共重合体(B)の総量に対して、99.9質量%以下(例えば、99.7質量%以下)、好ましくは99.5質量%以下(例えば、70〜99.5質量%)、さらに好ましくは99質量%以下等であってもよい。
なお、アクリル系重合体(A)の割合の下限値は、特に限定されないが、アクリル系重合体(A)及びブロック共重合体(B)の総量に対して、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、85質量%、90質量%、91質量%、92質量%、93質量%、94質量%等であってもよく、特に90質量%超(例えば、92〜99質量%)等であってもよい。
アクリル系重合体(A)及び/又はブロック共重合体(B)(特に、少なくともブロック共重合体(B))が、アクリル酸エステル単位を有する場合、アクリル系重合体(A)及びブロック共重合体(B)の総量に対する、アクリル酸エステル単位の割合は、例えば、0.1質量%以上(例えば、0.3質量%以上)、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上等であってもよい。
なお、アクリル系重合体(A)及びブロック共重合体(B)の総量に対する、アクリル酸エステル単位の割合の上限値は、特に限定されないが、例えば、30質量%、20質量%、18質量%、15質量%、12質量%、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%等であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、アクリル系重合体(A)及びブロック共重合体(B)以外の他のポリマー(又は重合体)を含んでいてもよい。
他のポリマーとしては、所望の物性等に応じて適宜選択でき、特に限定されず、通常、熱可塑性ポリマーであってもよく、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
具体的な他のポリマーとしては、例えば、オレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等)、ハロゲン系ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ビニル系ポリマー)、スチレン系ポリマー[例えば、ポリスチレン、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ABS樹脂)、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(ASA樹脂)等)等]、ポリエステル系ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル)、ポリアミド系ポリマー(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610等の脂肪族ポリアミド系ポリマー)、ポリアセタール系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリフェニレンオキシド系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ゴム質重合体[例えば、ゴム(ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム等)を配合したスチレン系ポリマー(例えば、ABS樹脂、ASA樹脂等のスチレン系共重合体)等]等が挙げられる。
他のポリマーには、セルロース系ポリマーも含まれる。セルロース系ポリマー(セルロース誘導体)としては、セルロースエステル[例えば、セルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースアシレート]、セルロースエーテル[例えば、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドキシエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース等)]、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
他のポリマーには、熱可塑性エラストマーも含まれる。熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されず、例えば、スチレン系エラストマー(例えば、ポリスチレンブロックとポリオレフィンブロックとで構成されるブロック共重合体及びその水素添加物等)、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマーが挙げられる。
樹脂組成物が他のポリマーを含む場合、他のポリマーの割合は、アクリル系重合体(A)及びブロック共重合体(B)の総量100質量部に対して、例えば、100質量部以下(例えば、80質量部以下)、50質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下、5質量部以下等であってもよい。
なお、樹脂組成物は、通常、熱可塑性(樹脂組成物)であってもよい。
樹脂組成物は、用途などに応じて、慣用の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;位相差上昇剤、位相差低減剤、位相差安定剤等の位相差調整剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤を含む帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;等が挙げられる。添加剤の含有割合は、樹脂組成物(又はその固形分)に対して、10質量%以下、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜1質量%の範囲内であってもよい。
樹脂組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルなどの脂肪酸エステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系(塩素系等)溶媒等の有機溶媒;水が挙げられる。
溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。通常、溶媒は、少なくとも有機溶媒を含んでいてもよい。
なお、溶媒を含む樹脂組成物において、各成分は溶解していてもよく、非溶解であってもよい(例えば、分散していてもよい)。特に、少なくともアクリル系重合体(A)及びブロック共重合体は、溶媒に溶解していてもよい。
本発明には、このような溶媒を含む樹脂組成物[又はアクリル系重合体(A)及びブロック共重合体(B)(さらに必要に応じて他の成分)を含むドープ]も含まれる。このような溶媒を含む樹脂組成物(又はドープ)は、例えば、後述の溶液成膜において、好適に使用しうる。
溶媒を含む樹脂組成物(ドープ)において、固形分(又はアクリル系重合体(A)及びブロック共重合体(B)の総量)の割合(濃度)は、例えば、1質量以上(例えば、2〜90質量%)、好ましくは3質量%以上(例えば、4〜80質量%)、さらに好ましくは5質量%以上(例えば、7〜60質量%)程度であってもよく、1〜50質量%、3〜40質量%、5〜30質量%であってもよい。
ドープの25℃における溶液粘度は、特に限定されないが、例えば、0.01〜500Pa・s、好ましくは0.05〜100Pa・s、さらに好ましくは0.1〜50Pa・s等であってもよく、0.01〜30Pa・s、0.03〜10Pa・s、0.05〜5Pa・s、0.1〜3Pa・s等であってもよい。
なお、ドープの25℃における溶液粘度は、例えば、JIS Z 8803の規定に準拠して測定できる。
樹脂組成物の製造方法(又はアクリル系重合体(A)とブロック共重合体(B)とを混合する方法)は、特に限定されず、各構成成分{すなわち、アクリル系重合体(A)とブロック共重合体(B)と[さらに必要に応じて他の成分(例えば、他のポリマー、添加剤など)と]}を混合することで製造できる。
溶媒を含む樹脂組成物(ドープ)は、溶媒の存在下で、各構成成分を混合することで、製造してもよい。
<成形品>
本発明の組成物は、その用途に応じて、そのまま使用(例えば、ペレット状等として使用)してもよく、適宜成形品としてもよい。
本発明の成形品は、樹脂組成物(又は樹脂組成物を構成する各成分)で形成される。このような成形品(成形体)の形状は、特に限定されず、例えば、二次元的形状[例えば、フィルム(又はシート)など]、三次元的形状(例えば、ブロック状など)などのいずれであってもよい。
成形品の製造方法(成形方法)としては、成形品の形態などに応じて選択でき、公知の成形方法(例えば、押出成形、射出成形、注型成形、ブロー成形、発泡成形など)を利用できる。
代表的な成形品には、フィルム(シート)状の成形品等が含まれる。以下、フィルムを中心に成形品を詳述する。
成形品(フィルム)は、前記樹脂組成物の構成成分、すなわち、アクリル系重合体(A)とブロック共重合体(B)と(さらに他の成分)を含んでいる。
フィルム(又は成形品)において、各成分の微細構造(分散状態)は、特に限定されないが、特に、共連続構造であってもよい。
本発明では、アクリル系重合体(A)とブロック共重合体とを組み合わせる(さらには後述の溶液成膜によりフィルム化又は成形する)ことにより、共連続構造を有する成形品(フィルム)を得やすいようである。
そして、本発明の成形品(フィルム、樹脂組成物)では、優れた機械的強度を効率よく発現しやすいようである。このような機械的強度の発現は、微細構造(共連続構造)の形成もその一因であると考えられる。
なお、このような微細構造は、樹脂組成物における微細構造と同一であってもよく、成形品と樹脂組成物とで微細構造が異なっていてもよい。例えば、樹脂組成物(単なる各成分の混合物、溶融混合物等)における微細構造が、非共連続構造(例えば、海島構造等)であり、溶液成膜により、共連続構造を形成してもよい。
フィルムは、機械的強度を高める、位相差を調整する等の観点から、延伸処理されていてもよい(延伸フィルムであってもよい)。延伸フィルムは、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれであってもよく、二軸延伸フィルムは、同時二軸延伸フィルムおよび逐次二軸延伸フィルム等のいずれであってもよい。なお、延伸方向は、特に限定されず、フィルムの流れ方向であってもよく、幅方向であってもよく、更には任意の方向であってもよい。
フィルムの厚みは、特に限定されず、用途等に応じて選択できるが、例えば、1〜1000μm(例えば、5〜800μm)、好ましくは10〜700μm(例えば、15〜600μm)、さらに好ましくは20〜500μm(例えば、30〜300μm)程度であってもよい。
フィルムは、透明性を有していてもよい。このようなフィルムにおいて、全光線透過率は、例えば、85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは91%以上であってもよい。
フィルムのヘイズ(内部ヘイズ)は、特に限定されないが、厚み100μm換算で(厚み100μmあたり)、例えば、5%以下(例えば、0.001〜4%)、好ましくは4%以下(例えば、0.01〜3%)であり、さらに好ましくは2%以下(例えば、0.1〜1%)であってもよい。なお、ヘイズは、後述の方法によって測定又は算出してもよい。
フィルムの破壊強度(破壊エネルギー)は、例えば、厚み160μm(160μm±20μm)あたり、例えば、25mJ以上(例えば、25〜80mJ)、好ましくは30mJ以上(例えば、30〜60mJ)、さらに好ましくは35mJ以上(例えば、35〜50mJ)程度であってもよい。
破壊エネルギーとは、厚み160μmのフィルム(組成物を成形して得た160μmのフィルム)に、試験球(例えば、密度7.7g/cm)を10mmずつ高さを上げながら落下させ、フィルムに亀裂が入る前後の高さの平均値から算出したフィルムにかかった試験力の値である。
すなわち、この破壊前の高さと破壊後の高さの平均値からフィルムにかかった試験力を下記式により算出し、その値を160μmの厚みのフィルムにした場合の破壊強度(mJ)とする。
破壊エネルギー(mJ)={試験球質量(kg)}×{破壊前後の高さの平均値(mm)}×9.807
具体的な方法を挙げると、例えば、試験球(例えば、密度7.7g/cm)を10mmずつ高さを上げながら落下させ、フィルムに亀裂が入る前後の高さ(破壊前後の高さ;mm)をn数=10で記録し、それぞれの値をy軸に、フィルムの厚み(μm)をx軸にプロットし、厚み160μmでの破壊前後の高さ(mm)をそれぞれ算出する方法等が挙げられる。
試験球の質量や大きさは特に限定されず、例えば、質量5.4g(例えば、直径11mm)のもの等を試験球としてもよい。
なお、試験球は、フィルムに亀裂の入る高さ等に応じて、変更してもよい。例えば、試験球として、通常、質量5.4gのものを使用し、フィルムに亀裂の入る高さが50mm以下の場合には、試験球の質量をより小さいもの(例えば、4.48g、3.52g、2.71g、2.04g、1.48g、1.04g、0.69g等)とし、フィルムに亀裂の入る高さが500mmより高い場合には、試験球の質量をより大きいもの(例えば、6.8g、8.3g、10.0g、11.8g、13.9g、16.3g等)としてもよい。
本発明では、上記のような比較的大きい破壊エネルギー(機械的強度)のフィルムを効率よく得ることができる。
成形品(又は樹脂組成物)の用途(例えば、フィルムの用途)は、特に限定されるものではないが、光学用途に好適に用いることができる。
このような用途としては、例えば、光学用保護フィルム、光学フィルム(光学シート)等が挙げられる。光学用保護フィルムは、光学部品を保護するフィルムであれば特に限定されないが、例えば、各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板の保護フィルム、液晶表示装置用の偏光板に用いる偏光子保護フィルム等が挙げられる。
光学フィルムは、光学特性に優れたフィルムであれば特に限定されないが、好ましくは、位相差フィルム、ゼロ位相差フィルム(面内、厚み方向位相差が限りなく小さい)、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム等が挙げられる。
光学シートとしては、拡散板、導光体、位相差板、ゼロ位相差板、プリズムシート等が挙げられる。
フィルム(フィルム状の成形品)は、例えば、樹脂組成物(又はその構成成分)を、公知の成膜方法[例えば、溶融押出法(Tダイ法等)、カレンダー法、圧縮成形法等]によって成膜することにより、得ることができる。
特に、本発明では、溶液成膜により、フィルムを得ても(フィルム成形しても)よい。溶液成膜(溶液成膜法)を選択することで、優れた機械的強度を発現しやすい(共連続構造を有するフィルムを得やすい)ようである。
溶液成膜法(溶液流延法、キャスト法)は、例えば、流延工程及び乾燥工程を含む。
流延工程では、ドープ(ドープ状の樹脂組成物)を支持体上に流延する。この工程を経ることで、膜(溶媒を含む膜)が得られる。
ドープの態様や製造方法は、前記の通りである。
支持体は、特に限定されず、溶液製膜に使用される従来公知の支持体を使用することができ、例えば、ステンレス鋼のエンドレスベルトや回転する金属ドラム等の金属支持体、フィルム[例えば、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)等のプラスチックフィルム]が挙げられる。
流延方法(ドープを支持体上に流延する方法(塗工方法))としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができるが、例えば、ダイコーター、ドクターブレードコーター、ロールコーター、コンマコーター、リップコーター等を用いる方法であってもよい。
乾燥工程は、流延工程を経て形成された膜を乾燥し、フィルムを得る工程である。代表的には、支持体上に形成された膜(溶媒を含む膜)から溶媒を蒸発させて乾燥フィルムを得る(該ドープの膜を乾燥させる)工程であってもよい。
乾燥工程は、加熱下で行ってもよい(加熱乾燥であってもよい)。加熱乾燥は、膜が支持体に担持されたままの状態で行ってもよく、膜を支持体から剥離した後(例えば、自己支持性を有するまで予備乾燥したフィルムを支持体から剥離した後)、行ってもよい。
乾燥方法(例えば、加熱乾燥方法)は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができるが、例えば、フロート法、テンター法、ロール搬送法等を用いることができる。
乾燥温度は、溶媒の沸点等に応じて適宜選択できる。加熱乾燥する場合、乾燥温度は、例えば、30℃以上(例えば、35〜180℃)等であってもよい。
特に、乾燥(加熱乾燥)温度は、経時的に上昇(昇温)してもよい。このような乾燥を行うことにより、フィルムに優れた機械的強度を効率よく発現させやすい(ひいては共連続構造を形成しやすい)ようである。
このような経時的に昇温して乾燥する場合、昇温は段階的であってもよく、連続的であってもよい。また、乾燥時間、昇温速度等も適宜選択可能である。
なお、前記のように、フィルムは、延伸フィルムであってもよいが、このような延伸フィルムにおいて、延伸条件は所望の物性・特性等に応じて適宜選択できる。
例えば、延伸温度としては、特に限定されないが、例えば、フィルムのガラス転移温度近辺で行ってもよい。具体的には、フィルムの(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100)℃、好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)で行ってもよい。
延伸倍率は、特に限定されないが、面積比で定義した廷伸倍率で、例えば、1.1〜25倍(例えば、1.3〜10倍)程度であってもよい。
延伸速度(一方向)としては、特に限定されないが、例えば、10〜20000%/分(例えば、100〜10000%/分)程度であってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではない。以下では、便宜上、「質量部」「重量部」を単に「部」と記すことがある。
なお、各種物性の測定・評価方法は、以下の通りである。
[重合反応率、重合体組成分析]
重合反応時の反応率および重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフィー(島津製作所製、装置名:GC−2014)を用いて測定して求めた。
[重量平均分子量および数平均分子量]
重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
システム:東ソー製GPCシステムHLC−8220
測定側カラム構成:
・ガードカラム(東ソー製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)
・分離カラム(東ソー製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:
・リファレンスカラム(東ソー製、TSKgel SuperH−RC)
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
[ガラス転移温度(Tg)]
ガラス転移温度は、JIS K 7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク社製、Thermo plus EVO DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
[粘度]
ドープ液の粘度は、JIS Z 8803の規定に準拠し、BHII型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて25℃にて測定した。
[フィルムの厚さ]
フィルムの厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ製)により求めた。
[内部ヘイズ]
ヘイズはJIS K7136の規定に準拠して求めた。具体的には、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH―1001DP)を用いて、光路長10mmの石英セルに1,2,3,4−テトラヒドロナフタリン(テトラリン)を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定し、100μmあたりの内部ヘイズ値として算出した。
[破壊エネルギー(衝撃強さ)]
フィルムの上に、ある高さから質量0.0054kgの球を落とす試験を10回実施し、フィルムが破壊されたときの高さ(破壊高さ)の平均値を求めた。具体的には、高さを何段階かに設定して、低い高さから順に試験球(質量5.4g、直径11mm、密度7.7g/cm)を落としていったときに、フィルムが割れた高さを求めて、これを10回繰り返してフィルムが割れた高さを10回分求めて、これを平均した値を破壊高さとして求めた。フィルムが破壊されたか否かは、フィルムへの落球後、当該フィルムに変形が見られたか否かを目視により確認して判断した。変形が見られた場合、フィルムが破壊されたとした。次式に従って破壊エネルギー(E)を求めた:破壊エネルギーE(mJ)=球の質量(kg)×破壊高さ平均値(mm)×9.807(m/s)。
[位相差]
波長589nmにおける、フィルムの面内位相差(Re)および厚み方向の位相差(Rth)は、王子計測器社製KOBRA−WRを用いて測定した。尚、厚み方向の位相差(Rth)はアッベ屈折率計で測定したフィルムの平均屈折率、膜厚d、傾斜中心軸として遅相軸、入射角を40°と入力し、面内位相差(Re)および厚み方向の位相差(Rth)、遅相軸を傾斜軸として40°傾斜させて測定した位相差(Re(40°))、三次元屈折率nx、ny、nzの値を得た後、下記式から求めた。
[MIT]
延伸フィルムを90mm×15mmの大きさに切り出して試験片とし、MIT耐折度試験機(東洋精機製作所製、MIT−DA)を用いて、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中で荷重200gを加え、JIS P 8115(2001)に基づきMIT耐折度試験を行い耐折回数を測定した。試験片は、延伸の際のMD方向が長手方向となるように切り出し、MD方向の耐折回数として求めた。
(製造例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)229.6重量部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)33重量部、重合溶媒としてトルエン248.6重量部、酸化防止剤(ADEKA製、アデカスタブ2112)0.138重量部、およびn−ドデシルメルカプタン0.1925重量部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.2838重量部を添加するとともに、上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.5646重量部とスチレン12.375重量部とを2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、リン酸ステアリル(堺化学工業製、Phoslex A−18)0.206重量部を加え、約90〜110℃の還流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を、240℃に加熱した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、バレル温度250℃、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、第3ベントと第4ベントとの間にサイドフィーダーが設けられており、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に31.2重量部/時(樹脂量換算)の処理速度で導入し、脱揮を行った。
その際、イオン交換水を0.47重量部/時の投入速度で第2ベントの後から投入した。脱揮完了後、押出機内に残された熱溶融状態にある重合体を当該押出機の先端からポリマーフィルタにより濾過しながら排出し、ペレタイザーによりペレット化して、ラクトン環構造を主鎖に有するとともに、スチレン単位を構成単位として有する透明なアクリル系重合体(A−1)のペレットを得た。重合体(A−1)のTgは122℃、Mwは13.1万、組成はMMA/スチレン=3.1/0.2(モル比)、3.1/0.2(質量比)、環構造20質量%、12モル%であった。
(実施例1)
製造例1で得られたアクリル系重合体(A−1)を95部、メタクリル酸メチル(MMA)/アクリル酸ブチル(BA)=55/45(mol/mol)であるアクリルブロック共重合体(B−1)[Nanostrength(登録商標)M53、Arkema France社製、重量平均分子量17.2万、数平均分子量9.5万、MMA単位/BA単位/MMA単位のトリブロック体、BA単位51質量%、MMA単位49質量%]を5部、ジクロロメタン400部を混ぜて、1分間手振り後、60分間攪拌混合して、固形分20質量%(アクリル系重合体(A−1)及びブロック共重合体(B−1)の総量に対するBAの割合2.56質量%)のドープ液(C−1)を作製した。
ドープ液の25℃における溶液粘度は0.4Pa・sであった。ドープ液を目視で確認したところ均一に分散しており、またその後一晩静置してもドープ液の外観に変化は見られなかった。
次に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにドープ液(C−1)を垂らし、アプリケーターを使用して膜厚800μmに塗り広げた。その後、PETフィルムごと乾燥機に入れ40℃で30分、60℃で30分乾燥させた後、塗布したフィルムをPETから剥離させた。得られたフィルムがカールしないように上下に広幅の山型クリップを取り付け乾燥機に吊るした後、100℃で12時間乾燥させ、160μmのフィルム(D−1)を得た。
得られたフィルム(D−1)のガラス転移温度は122℃であり、破壊エネルギーは40mJであった。フィルム(D−1)の100μm換算の内部ヘイズは0.6であった。
また、得られたフィルム(D−1)の電子顕微鏡写真を図1に示す。
電子顕微鏡写真から、フィルムにおける微細構造(分散形態)は、共連続構造であることがわかった。なお、図1において、黒色部分はアクリル系重合体(A−1)、白色部分はブロック共重合体(B−1)のソフト成分であり、ブロック共重合体(B−1)のハード成分は白色部分と黒色部分の界面に存在するものと考えられる。
次に、フィルム(D−1)を97mm×97mmに切り出した後、逐次二軸延伸機(東洋精機製作所製、X−6S)を用いて、所定温度[フィルム(D−1)のガラス転移温度+20℃の温度]において300%/分の速度で長手方向(MD方向)に2.0倍になるように1段目の延伸を行い、ついで300%/分の速度で1段目とは直行する方向(TD方向)に2.0倍になるように2段目の延伸を行った。このとき、延伸と直行する方向には収縮しないようにした。延伸後、速やかに試験装置からフィルムを取り出して冷却し、厚さ40μmの二軸延伸フィルム(F−1)を得た。
得られた延伸フィルム(F−1)の面内位相差Reは0.8nm、厚さ方向の位相差Rthは1.2nm、内部ヘイズは0.3%であった。
また、延伸フィルム(F−1)のMITは、500回であった。
(参考例1)
製造例1で得られたアクリル系重合体(A−1)を95部、メタクリル酸メチル(MMA)/アクリル酸ブチル(BA)=55/45(mol/mol)であるアクリルブロック共重合体(B−2)[クラリティ(登録商標)LA4285、株式会社クラレ製、重量平均分子量7.4万、数平均分子量6.8万)]を5部ドライブレンドし、20mmφのスクリューを有する二軸押出機を用いてバレル温度260℃で溶融混練して、ペレタイザーによりカットすることで、樹脂組成物のペレット(アクリル系重合体(A−1)及びブロック共重合体(B−2)の総量に対するBAの割合2.56質量%)を得た。
得られた樹脂組成物ペレット2.6gを手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC−180C型)を用いて、250℃で5分間溶融プレス成形して160μmのフィルム(D−2)を得た。
得られたフィルム(D−2)のガラス転移温度は123℃であり、破壊エネルギーは19mJであった。フィルム(D−2)の100μm換算の内部ヘイズは0.3であった。
また、得られたフィルム(D−2)の電子顕微鏡写真を図2に示す。
電子顕微鏡写真から、フィルムにおける微細構造(分散形態)は、海島構造であることがわかった。
(参考例2)
実施例1において、ブロック共重合体(B−1)5部を、参考例1で使用したブロック共重合体(B−2)5部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、ドープ液(C−2)、フィルム(D−3)を得た。
なお、ドープ液(C−2)は、目視で確認したところ均一に分散しており、またその後一晩静置してもドープ液の外観に変化は見られなかった。
フィルム(D−3)のガラス転移温度は123℃であり、破壊エネルギーは20mJであった。フィルム(D−3)の100μm換算の内部ヘイズは0.7であった。
なお、フィルム(D−3)の電子顕微鏡写真から、フィルムにおける微細構造(分散形態)は、海島構造であることがわかった。
(参考例3)
参考例1において、ブロック共重合体(B−1)5部を、ポリメタクリル酸メチル(E−1)(住友化学製 「スミペックスEX」、重量平均分子量14.6万、数平均分子量7.3万)5部に代えたこと以外は、参考例1と同様にして、フィルム(D−4)を得た。
フィルム(D−4)のガラス転移温度は123℃であり、破壊エネルギーは17mJであった。フィルム(D−4)の100μm換算の内部ヘイズは0.2であった。
なお、フィルム(D−4)の電子顕微鏡写真から、フィルムにおける微細構造(分散形態)は特に確認されず、均一に分散(混合)していることがわかった。
これらの結果をまとめた表を下記に示す(表1)。
本発明によれば、新規な樹脂組成物を提供できる。このような樹脂組成物は、例えば、光学用途等に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 環構造を有するアクリル系重合体(A)と、重量平均分子量が10万超であるアクリル系ブロック共重合体(B)とを含む組成物。
  2. アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル酸エステル由来の構造単位を、25〜55質量%有する、請求項1記載の組成物。
  3. アクリル系ブロック共重合体(B)がトリブロック共重合体である請求項1又は2記載の組成物。
  4. アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック(I)と、メタクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック(II)とを有し、ブロック(II)の割合が、ブロック(I)及びブロック(II)の総量に対して、45質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 環構造を有するアクリル系重合体(A)が、メタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上有し、かつアクリル系ブロック共重合体(B)が、メタクリル酸エステル由来の構造単位を45質量%以上及びアクリル酸エステル由来の構造単位を25〜52質量%有する、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. アクリル系ブロック共重合体(B)の割合が、環構造を有するアクリル系重合体(A)及びアクリル系ブロック共重合体(B)の総量に対して、0.5〜30質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. 環構造を有するアクリル系重合体(A)と、重量平均分子量が10万超であるアクリル系ブロック共重合体(B)とを含む、ドープ。
  8. 環構造を有するアクリル系重合体(A)と、重量平均分子量が10万超であるアクリル系ブロック共重合体(B)とを含むフィルム。
  9. 共連続構造を有する、請求項8記載のフィルム。
  10. 厚み160μmにおける破壊強度が25mJ以上である、請求項8又は9記載のフィルム。
  11. 請求項7記載のドープを溶液成膜し、請求項8〜10のいずれかに記載のフィルムを製造する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023058354A1 (ja) * 2021-10-04 2023-04-13 コニカミノルタ株式会社 フィルムの製造方法およびフィルム製造用ドープ

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