JP2020149863A - 導電性樹脂およびこれを用いた超電導コイル - Google Patents

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貴史 草野
達郎 宇都
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達郎 宇都
貞憲 岩井
Sadanori Iwai
貞憲 岩井
大谷 安見
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Abstract

【課題】導電性の良好な導電性樹脂、この導電性樹脂を用いて、熱暴走やクエンチの抑制を図った超電導コイルを提供する。【解決手段】超電導コイルにおいて、超電導線材を電気的に接続させる導電性樹脂層13は、樹脂主剤、硬化剤、カップリング剤、および分散剤を含む樹脂硬化層31と、複数の粒状導電体32と、複数の棒状導電体33と、を具備する。棒状導電体33の長さが、粒状導電体32の粒径の10倍以上大きい。【選択図】図4

Description

本発明の実施形態は,導電性樹脂およびこれを用いた超電導コイルに関する。
超電導コイルは、発熱せずに、大電流の通電が可能な電磁石(マグネット)であり、大きな磁場を必要とする種々の用途に用いられる。特に、高温超電導体(例えば、Y系酸化物)は、金属系の超電導体に比べ、転移温度が高いため、これを用いた高温超電導コイルは、より効率的な運用が可能となる(効率的な冷却、小型化、高磁場)。
超電導コイルは、熱暴走やクエンチによって破損する可能性がある。すなわち、コイル(超電導線材)の冷却不足や内部欠陥(例えば、層間剥離)の発生によって、超電導線材内に常電導部(領域)が発生することがある。この常電導部は、電流によって発熱し、極めて短い時間(1秒未満)で数100K温度が上昇する(ホットスポット)。
このため、常電導部の発生を検知することで、熱暴走やクエンチを阻止することは困難である。特に、高温超電導体は、金属系の超電導体に比べて比熱が大きいため、常電導部の拡大が遅く、その検知前に、超電導線材が焼損する可能性が高い。
ここで、超電導コイルの巻線部材の側面に迂回路を形成することで、熱暴走またはクエンチを抑制する技術が公開されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、熱暴走またはクエンチを効果的に抑制するのは必ずしも容易ではなかった。
特開2017−103352号公報
本発明は、導電性の良好な導電性樹脂、この導電性樹脂を用いて、熱暴走やクエンチの抑制を図った超電導コイルを提供することを目的とする。
一態様に係る導電性樹脂は、樹脂主剤、硬化剤、カップリング剤、および分散剤を含む樹脂成分と、複数の粒状導電体と、複数の棒状導電体と、を具備する。前記棒状導電体の長さが、前記粒状導電体の粒径の10倍以上大きい。
また、一態様に係る超電導コイルは、軸の周りに巻き回された超電導線材を有する巻き線部材と、上記巻き線部材の上記軸の方向の第1、第2の側面の少なくとも一方に配置された上記導電性樹脂の硬化層と、を具備する。
本実施形態によれば、導電性樹脂層への効率的な導電性付与が可能となる導電性樹脂を提供することができる。
さらに本実施形態によれば、熱暴走やクエンチの抑制を図った超電導コイルを提供することができる。
実施形態に係る超電導コイル10の一部分解斜視図である。 超電導コイル10の断面図である。 超電導線材20の一部分解斜視図である。 実施形態に係る導電性樹脂層13の拡大断面図である。 超電導コイル10の製造工程の一例を表すフロー図である。
以下,図面を参照して,超電導コイルおよび導電性樹脂の実施形態を詳細に説明する。
図1、図2は、実施形態に係る超電導コイル10の一部分解斜視図および断面図である。図1は、導電性樹脂層13,側板14を分離した状態の超電導コイル10を表す。図2は、図1の軸Cに沿って切断した超電導コイル10を表す。
超電導コイル10は、巻枠11,巻線部材12,導電性樹脂層13,側板14を有する。
巻枠11は、中心軸(軸)Cを有する略円筒形状をなし、巻線部材12を保持する。
巻線部材12は、超電導線材20を巻枠11上に軸Cを中心とする同心円状に巻き回して構成される。超電導線材20が周方向θに巻き回され、径方向rに積層される。すなわち、巻枠11上の径方向rに1〜nターン目の超電導線材20が順に積層される。このとき、超電導線材20の異なるターン間は、絶縁層25(例えば、絶縁樹脂)で絶縁される。
導電性樹脂層13は、後述の導電性樹脂の層であり、異なるターン間での超電導線材20同士を電気的に接続させる。すなわち、超電導コイル10の使用中に巻線部材12中に常電導部が生じた場合、導電性樹脂層13が電流を径方向rに迂回させる。この結果、常電導部に流れる電流が低減し、超電導コイル10の熱暴走やクエンチの抑制が図られる。
このため、導電性樹脂層13の材料は、通常運転時(超電導線材20が超電導状態の時)において、超電導線材20の電気抵抗より電気抵抗が大きく、かつ、常電導転移時において、常電導転移箇所の電気抵抗より電気抵抗が小さいことが好ましい。後述のように、本実施形態に係る導電性樹脂層13は、高い導電性(例えば、1×10−3Ωm以下、より好ましくは、5×10−4Ωm以下の抵抗率)を有し、電流を効果的に迂回できる。
導電性樹脂層13は、巻線部材12の軸C方向の両側(または片側)側面に塗布、硬化して形成される。
側板14は、導電性樹脂層13を外界から保護するものであり、例えば、絶縁体から構成できる。
図3は、超電導線材20の一部分解斜視図である。
超電導線材20は、基体層21,超電導層22,保護層23,安定化層24を有する。
基体層21は、例えば、ニッケル基合金、ステンレスまたは銅などの高強度の金属から構成される。
超電導層22は、基体層21上に形成され、例えば、酸化物超電導体(イットリウム系超電導体:YBaCu、ビスマス系超電導体:BiSrCaCu10、REBCO:REBaCu)等の超電導体で構成される。
保護層23は、超電導層22に含まれる酸素が超電導層22から拡散することを防止して、超電導層22の特性の変動を防止する。
安定化層24は、基体層21,超電導層22,保護層23を被覆し、超電導層22への過剰通電電流の迂回経路となって熱暴走を防止する。
なお、基体層21と超電導層22の間に、配向層、中間層を配置する等適宜の構成を採用できる。中間層は、基体層21と超電導層22の熱収縮の起因する熱歪みを緩和する。配向層は、中間層を基体層21の表面に配向させる。
(導電性樹脂層13の詳細)
以下、導電性樹脂層13の詳細を説明する。
図4は、実施形態に係る導電性樹脂層13の拡大断面図である。
導電性樹脂層13は、樹脂硬化層31、粒状導電体32、棒状導電体33を有する。
樹脂硬化層31は、樹脂主剤、硬化剤、カップリング剤、分散剤、調整剤(必要に応じて添加)を含む樹脂混合物を塗布、硬化した層である。
樹脂主剤は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
硬化剤は、室温、あるいは低温で低粘度の液状材料であり、樹脂主剤の硬化を促進する。
カップリング剤は、有機材料と反応結合する官能基,および無機材料と反応結合する官能基の双方を有する化合物,例えば、有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)であり、樹脂主剤の接着性を向上する。
分散剤は、例えば、無機材料の粒子であり、樹脂混合物に混合され(充填材)、樹脂硬化物の強度の向上が図られる。
調整剤は、揮発性有機物、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンである。調整剤は、導電性樹脂の塗布性(塗り易さ)の向上、またはその凝固後の厚さの制御のために添加される。樹脂混合物の硬化時に、調整剤の多くは揮発するが、硬化後でも微量な成分は残留する。調整剤が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはアセトンの場合、この残留物質はそれぞれ、メチル基を含む物質、エチル基を含む物質、酢酸基を含む物質、またはジメチルジオキシランを含む。
粒状導電体32、棒状導電体33は、少なくとも一部が導電性材料からなり、導電性樹脂層13内に分散され、導電性樹脂層13に導電性を付与する。後述のように、形状の異なる粒状導電体32、棒状導電体33を併用することで、導電性樹脂層13の導電性を向上できる。
導電性材料として、金、銀、銅、これらを含む合金(例えば、Ag−Pd、Cu−Cr、Ag−Cu−Ni)を選択できる。
粒状導電体32、棒状導電体33は、同一材料、別材料のいずれとしても良い。例えば、粒状導電体32、棒状導電体33の双方をCu,Agのいずれか、または粒状導電体32、棒状導電体33の一方をCu,他方をAgとできる。
粒状導電体32、棒状導電体33は、単一材料、複合材料のいずれでもよい。すなわち、粒状導電体32、棒状導電体33は、その全体を導電性材料とする(単一材料)他、非導電性の基材を導電性材料で被覆した複合材料としてもよい。
無機の非導電性材料として、ガラス、金属酸化物(例えば、アルミナ)が挙げられる。有機の非導電性材料として、ナイロン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂が挙げられる。
非導電性材料の粒状体(粒子など)、棒状体(繊維、ファイバなど)にメッキ等の手段で導電性材料を被覆することで、粒状導電体32、棒状導電体33を形成できる。
粒状導電体32は、粒状、例えば、球形状(真球形状、回転楕円体形状等)とすることができる。
棒状導電体33は、棒状(例えば、円柱形状)を有する。
このとき、粒状導電体32は、棒状導電体33間に介在し、棒状導電体33間の電気的接続をより確実にする。
以上のように、粒状導電体32と棒状導電体33の組み合わせによって、導電性樹脂層13への効率的な導電性付与が可能となる。
また、主として、硬化前の樹脂混合物の流動性の確保と硬化後の導電性樹脂層13の導電性の確保を両立する観点から、粒状導電体32、棒状導電体33の形状、数量は以下が好ましい。
粒状導電体32の径(直径)r1は、好ましくは2〜10μm(より好ましくは、4〜7μm)である。
棒状導電体33の径(直径)r2は、好ましくは5〜15μm(より好ましくは7〜10μm)である。
ここで、粒状導電体32の径r1は、棒状導電体33の径r2(円柱状でない場合は、断面積を円周率で除し、その1/2乗を2倍した値とする)より小さいことが好ましい。複数の棒状導電体33の間に粒状導電体32が配置されて、複数の棒状導電体33間の導通を確保することを容易とするためである。具体的には、径r1とr2の比(=r2/r1)は、好ましくは0.4〜2.5(さらに好ましくは0.7〜1.5)である。
棒状導電体33の長さは、好ましくは、粒状導電体32の径r1の10〜2,000倍(20〜20,000μm)、より好ましくは、50〜100倍(200〜700μm)である。粒状導電体32の径r1に対する棒状導電体33の長さの比(長さ/径)が小さすぎると、電子の経路(電流パス)を確保する為には数多くの粒状導電体32が必要となるが、粒状導電体32同士の接触も必要となり、導電率が低下(抵抗率が増大)し易くなる。一方、比(長さ/径)が大きすぎると、棒状導電体33同士の隙間を、粒状導電体32が埋めることが困難となり、導電率が低下(抵抗率が増大)し易くなる。
粒状導電体32の径r1、棒状導電体33の径r2、長さが、それぞれ揃っていることが好ましい。これらの径や長さにバラツキがあると、粒状導電体32、棒状導電体33の間に隙間が発生し易くなる。
例えば、粒状導電体32の径r1、棒状導電体33の径r2、長さそれぞれの大部分(値が下から10%〜90%の範囲内のデータ)が、それぞれの中央値(メジアン)の0.7〜1.5倍の範囲内に含まれることが好ましい。すなわち、径r1、r2、長さそれぞれの下から全体の10%未満の範囲のデータ(下位10%未満)、下から全体の90%より大きい範囲のデータ(上位10%未満)であれば、中央値の0.7〜1.5倍の範囲外であることが許容される。
また、径r1、径r2、長さそれの10%〜90%の範囲のデータ)が、それぞれの中央値の0.8〜1.3倍(さらに好ましくは、0.9〜1.1倍)の範囲内に含まれることがより好ましい。
このような粒径の分布は、例えば、粒状導電体32(粒状物質)の場合は、市販の粒度分布測定装置(水中で粒子を浮遊させてレーザを照射した時に出来る影の大きさを計測する装置等)で測定できる。また棒状導電体33(棒状物質)の直径は、可能な限り方向を揃えた状態で底面と平行な面で切断した面を顕微鏡観察し画像処理によって測定できる。
導電性樹脂層13に占める導電体全体(粒状導電体32と棒状導電体33)の重量は、好ましくは30〜70重量%(より好ましくは40〜60重量%)である。
このうち、導電性樹脂層13に占める粒状導電体32の重量は、好ましくは25〜40重量%(より好ましくは30〜35重量%)である。
導電性樹脂層13に占める棒状導電体33の重量は、好ましくは10〜25重量%(より好ましくは15〜20重量%)である。
粒状導電体32と棒状導電体33を導電性樹脂層13中に均一に分散するために、これらの密度(g/cm:単位体積当たりの質量)を適宜の値とすることが好ましい。硬化前、粒状導電体32と棒状導電体33は、液状の樹脂混合物中に浮いた状態で存在する。このため、粒状導電体32と棒状導電体33の密度が大きく異なると、個別の層を形成し、均一な分散が阻害される。
すなわち、粒状導電体32の密度d1と棒状導電体33の密度d2は、近いことが好ましい。これらの密度の比K(=d1/d2)は、好ましくは0.1〜10(より好ましくは、0.25〜4、さらに好ましくは、0.5〜2)である。
また、粒状導電体32の密度(g/cm:単位体積当たりの平均質量)d1と棒状導電体33の密度d2は、液状の樹脂混合物の平均密度(例えば、0.7〜2.0g/cm)とある程度近く、好ましくは4g/cm以下(より好ましくは、3g/cm以下)である。
以上の、粒状導電体32および棒状導電体33の形状、寸法、分量等は、例えば、電子顕微鏡での観察によって、測定可能である。
(超電導コイル10の製造方法)
以下、超電導コイル10の製造方法を説明する。
図5は、超電導コイル10の製造工程の一例を表すフロー図である。超電導コイル10は、次のようにして作成できる。
(1)巻線部材12の作成(ステップS11)
巻枠11に超電導線材20を巻いて巻線部材12を作成する。
巻線部材12は、一般的に、巻枠11への巻回によって成形された後に、巻枠11ごとエポキシ樹脂などの絶縁材に含浸される(絶縁層25の形成)。
巻枠11に巻回されて隣接する複数の超電導線材20同士の間隙(線材間隙)に絶縁材が充填されるとともに、巻線部材12が絶縁材でコーティングされる。
(2)導電性樹脂混合物の作成(ステップS12)
樹脂主剤、硬化剤、カップリング剤、分散剤、調整剤(必要に応じて添加)、粒状導電体32、棒状導電体33を混合して、導電性樹脂混合物を作成する。例えば、自転・公転式の混合機を用いて、導電性樹脂混合物を攪拌する。
(3)導電性樹脂層13の作製、側板14の取り付け(ステップS13,S14)
巻線部材12の側面に、混合、攪拌した導電性樹脂混合物を塗布し、側板14を取り付ける。
(4)導電性樹脂層13の硬化(ステップS15)
その後、導電性樹脂層13を硬化させることで、超電導コイル10が作成される。このとき、必要に応じて、導電性樹脂層13を加熱してもよい。
(1)実施例1、比較例1
実施例1および比較例1につき説明する。
原料としてエポキシ樹脂(樹脂主剤)、硬化剤、カップリング剤、分散剤、および導電体を使用した。導電体としては、球体(銅粉)の粒状導電体32と柱体(銀線材)の棒状導電体33を用いた。
比較例1では、銅粉の粒径と銀線材の長さは、10μmと20μm(中央値、それぞれの範囲は、5〜15μmと15〜25μmとほぼ同等とした(長さ/粒径=2.0)。
実施例1では、銅粉の粒径と銀線材の長さは、3μmと50μm(中央値、それぞれ範囲は、1〜5μmと30〜70μm)と大きく異ならせた(長さ/粒径=36.7)。
これらを所定の比率で秤量した。例えば、体積比で「エポキシ樹脂:硬化剤:カップリング剤:分散剤:銅粉:銀線材=33:1:15:1:25:25」で測りとり、自転・公転式の混合機で1分間混合した。
これらを幅5mm、長さ50mmの型(溝)に塗布、硬化して、体積抵抗率測定用試料とし、四端子法で抵抗率を測定した。
比較例1では導通が確保できずに抵抗率が測定出来なかった。これに対し、実施例1では抵抗率3.2×10−4Ωmが得られた。
以上の様に、導電性樹脂の抵抗率測定結果から、粒状導電体の粒径と棒状導電体の長さが大きく異なると、抵抗率(導電性)を改善できることが確認できた。複数の棒状導電体の間に粒状導電体が入り込むことにより、導電体が全体として隙間無く密に配置したためと考えられる。
(2)実施例2、3
実施例2と実施例3では、それぞれの導電体の大きさ(粒径と長さ)を揃えた原料を使用し、実施例1と同様の工程で導電性樹脂を試作した。
実施例2では2〜4μmの粒径を有する粒状導電体を使用したところ(径r1の10〜90%が、中央値(2.9μm)の0.91〜1.10倍)、2.8×10−4Ωmの抵抗率が得られた。
実施例3では、400〜600μmの長さを有する棒状導電体を使用したところ(径r1の10〜90%が、中央値(510μm)の0.80〜1.26倍)、2.1×10−4Ωmの抵抗率が得られた。
これに対して、実施例1では、粒状物質の径の10〜90%が、中央値(3.1μm)の0.82〜1.22倍に対応し、棒状物質の長さの10〜90%が、中央値(490μm)の0.72〜1.43倍に対応していた。
以上のように、同種の導電体の大きさをより均一化することで、抵抗率をさらに改善できることを確認できた。
(3)実施例4
実施例1〜3では、導電体として銅粉や銀線のように単一材料の事例について述べたが、複合材料を用いてもよい。
実施例4では、導電体としてアルミナ粉にCuを蒸着した粒状物質とナイロン繊維にAgを電解メッキした棒状物質を使用し、実施例1と同様な原料と工程で試作した。
実施例4では、抵抗率2.9×10−4Ωmが得られた。抵抗率が実施例1とほぼ同等だったのは電気の経路が複数の導電体の接触点を介しているからである。その結果、中身の物質が酸化物や有機物の様な絶縁体でも、抵抗率に与える影響は小さく、ナイロンのような柔らかい物質により接触抵抗が低減し、抵抗率が減少した。
またメッキとすることでAgのような貴金属の使用を抑制でき、コスト低減の効果も得られた。
以上のように、導電体は単一材料である必要はなく、酸化物や有機物の表面を導電体で被覆した複合材料としても同様の効果が得られた。
以上、実施例1〜4では、導電成分として銅や銀のような純金属の事例について述べたが本願発明はこれらに限るものではなく、AgやCuを含んだ物質、例えばAg−Pd、Cu−Cr、Ag−Cu−Ni等についても同様の効果が期待できる。
(4)実施例5
実施例5では、導電性樹脂を作製する混合工程前に、導電性樹脂の体積の30vol%の割合で、調整剤としてエタノール(揮発性有機溶剤)を添加して実施例1と同一工程で試作した。この結果、抵抗率3.3×10−4Ωmが得られ、固化後の導電性樹脂を分析したところ、僅かだが、エチル基を含む物質を検出できた。
このエタノールの添加により、次のように、作業性が向上される。
・粘度(粘性)が低下し、塗布性(塗り易さ)が向上する。
・塗布前の導電性樹脂の密度が低下し、より薄く塗布することが可能となる。
・調整剤に起因する残存物質があるが、僅かなので抵抗率に与える影響は小さい。
また調整剤としては、エタノールに限らず、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の揮発性有機溶剤についても同様の結果を期待出来る。
(超電導コイル10での試験)
実施例1〜5の導電性樹脂を用いて超電導コイル10を作成、試験した。
ここでは、巻線部材12の側面の一方に導電性樹脂混合物を塗布、硬化して、導電性樹脂層13を有する超電導コイル10を作成した。その後、液体窒素雰囲気で超電導コイル10の過電流試験を実施した。この結果、超電導コイル10の導電性樹脂層13で電流の迂回が観察され、実施形態1〜5の導電性樹脂の有効性を確認できた。
以上のように、導電性樹脂の導電体を粒状(粒状導電体32)と棒状(棒状導電体33)とし、棒の長さを粒の径より十分長くすることで、低抵抗率(高導電率)を有する導電性樹脂が得られる。またこの導電性樹脂を超電導コイルに使用することで、熱暴走やクエンチを抑制できる。
ここでは、導電性樹脂を超電導コイル10の電流迂回に用いている。しかし、本実施形態に係る導電性樹脂は、広範な用途を有し、超電導とは異なる他分野、例えば、半導体装置に用いることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが,これらの実施形態は,例として提示したものであり,発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は,その他の様々な形態で実施されることが可能であり,発明の要旨を逸脱しない範囲で,種々の省略,置き換え,変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は,発明の範囲や要旨に含まれるとともに,特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10: 超電導コイル、11: 巻枠、12: 巻線部材、13: 導電性樹脂層、14: 側板、20: 超電導線材、21: 基体層、22: 超電導層、23: 保護層、24: 安定化層、25: 絶縁層、31: 樹脂硬化層、32: 粒状導電体、33: 棒状導電体

Claims (8)

  1. 樹脂主剤、硬化剤、カップリング剤、および分散剤を含む樹脂成分と、
    複数の粒状導電体と、
    複数の棒状導電体と、を具備し、
    前記棒状導電体の長さが、前記粒状導電体の粒径の10倍以上大きい、
    導電性樹脂。
  2. 前記複数の粒状導電体の粒径および前記複数の棒状導電体の長さの少なくともいずれかにおいて、その10%〜90%が、中央値の0.7〜1.5倍の範囲内に含まれる、
    請求項1に記載の導電性樹脂。
  3. 前記粒状導電体、前記棒状導電体の少なくともいずれかは、絶縁体およびこの絶縁体を被覆する導電性被覆を有する
    請求項1または2に記載の導電性樹脂。
  4. 前記粒状導電体および前記棒状導電体は、銀または銅の少なくとも一方を含む
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性樹脂。
  5. 前記樹脂成分が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはアセトンの少なくとも1つを含む
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の導電性樹脂。
  6. 前記樹脂成分が、メチル基、エチル基、酢酸基、またはジメチルジオキシランの少なくとも1つを含む
    請求項5に記載の導電性樹脂。
  7. 硬化後の抵抗率が、1×10−3Ωm以下である
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載の導電性樹脂。
  8. 軸の周りに巻き回された超電導線材を有する巻き線部材と、
    前記巻き線部材の前記軸の方向の第1、第2の側面の少なくとも一方に配置された請求項1乃至7のいずれか1項に記載の導電性樹脂の硬化層と、
    を具備する超電導コイル。
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