JP2020134744A - 像加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルム内面とニップ部形成部材表面との間の摺動性を長期に渡り良好に保つための技術を提供する。【解決手段】像加熱装置は、ニップ部でトナー画像を担持した記録材を搬送しながらトナー画像を加熱し、記録材と接触する回転体と、無端フィルムと、フィルム内面に接触して回転体とともにニップ部を形成するニップ部形成部材を有し、フィルムとニップ部形成部材の間には増ちょう剤とオイルを含む潤滑グリースが介在し、フィルム内面の表面粗さ、ニップ部形成部材の表面粗さ、増ちょう剤の粒径φK、ニップ部形成部材の表面に形成された微細孔の径φHが、「ニップ部形成部材の表面粗さ>φK」、「フィルム内面の表面粗さ>φK」、「φK>φH」を満たす。【選択図】図4

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を利用したプリンタ、複写機、あるいはこれらの機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置に関する。また、画像形成装置に搭載されている定着器や記録剤に定着されたトナー画像を再度加熱することにより、トナー画像の光沢度を向上させる光沢付与装置等の像加熱装置に関する。
電子写真プリンタや電子写真複写機などに搭載される像加熱装置として、外部加熱方式の定着装置が知られている。外部加熱方式の定着装置には、記録材上の画像と接触して加熱する定着ローラと、筒状のベルトである加圧フィルムと、加圧フィルムの内周面と接触し加圧フィルムを介して定着ローラとニップ部を形成するニップ部形成部材を有しているものがある。かかる定着装置においては、未定着トナー画像を担持した記録材がニップ部で挟持搬送されつつ加熱されることにより、未定着トナー画像が記録材上に定着される。
このような定着装置では、小サイズの記録材を高速で連続的に定着処理すると、定着ローラ及び加圧フィルムの記録材が通過しない領域(非通紙領域)が過度に昇温する、いわゆる非通紙部昇温が発生し、定着ローラ及び加圧フィルムが熱で損傷する場合がある。
また、このような定着装置において、ニップ部形成部材と加圧フィルムの内面との摺動性が低い場合、ニップ部形成部材や加圧フィルムが摩耗して削れ粉が発生し、ますます摺動性が低下することがある。その結果、定着ローラの駆動トルクの増大や、ステッィク(張り付き)とスリップ(すべり)を繰り返すスティックスリップ現象や、スティックスリップ現象に起因する異音発生を引き起こす可能性がある。
特許文献1の定着装置では、ニップ部形成部材の基材としてアルミニウムを用いている。このように、ニップ部形成部材の基材として熱伝導率の高いアルミニウムを用いることにより、非通紙部昇温による熱を長手方向に均す作用(均熱効果)を得られる。また、そして、ニップ部形成部材のうち、加圧フィルムの内面と接触する面にアルマイト処理を行って酸化被膜層を形成している。このアルマイト処理で形成された酸化被膜層が加圧フィルムとの間で摺動層として機能することで、摺動性を確保している。
特開2014−038311号公報
ここで、特許文献1の定着装置の構成では、ニップ部形成部材の摺動層の表面粗さが小さくなる程、加圧フィルム内面とニップ部形成部材の表面とが密着性が高くなる。そして、密着性が高くなりすぎると、加圧フィルム内面とニップ部形成部材の間に潤滑グリースが介在しにくくなり、摺動性が低下してスティックスリップが発生するおそれがある。そこで特許文献1では、ニップ部形成部材の表面粗さRaを0.5μm以上としている。
しかしながら、ニップ部形成部材の表面粗さが上記値としても、通紙枚数が増加して潤滑グリースが枯渇してくると、加圧フィルム内面とニップ部形成部材表面との摺動性が低下する。これにより、定着ローラの駆動トルクの増大、スティックスリップ現象、さらに、スティックスリップ現象に伴う異音の発生などを引き起こし、フィルム内面の摺動性を長期にわたって良好に保つことが困難となるおそれがあった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、フィルム内面とニップ部形成部材表面との間の摺動性を長期に渡り良好に保つための技術を提供することにある。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
ニップ部でトナー画像を担持した記録材を搬送しながら前記トナー画像を加熱する像加熱装置であって、
前記トナー画像を担持した記録材と接触する回転体と、
無端のフィルムと、
前記フィルムの内面に接触し、前記回転体とともに前記フィルムを介して前記ニップ部を形成するニップ部形成部材と、
を有し、
前記フィルムと前記ニップ部形成部材の間に潤滑グリースを介在させる像加熱装置であって、
前記ニップ部形成部材は、表面にアルマイト処理が行われたアルミニウム製の部材であり、
前記潤滑グリースは、オイルと、固形分である増ちょう剤とを混合させたものであり、
前記フィルム内面の表面粗さ、前記ニップ部形成部材の表面粗さ、前記増ちょう剤の粒径φK、および、前記アルマイト処理により前記ニップ部形成部材の表面に形成された微細孔の径φH、の関係が、以下の関係式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする、像加熱装置である。
ニップ部形成部材の表面粗さ>φK …(1)
フィルム内面の表面粗さ>φK …(2)
φK>φH …(3)
本発明によれば、フィルム内面とニップ部形成部材表面との間の摺動性を長期に渡り良好に保つための技術を提供できる。
実施例1における画像形成装置の構成図 実施例1における定着装置の断面構成を示す図 組み立て直後および耐久後の定着ニップの断面状態を示した図 増ちょう剤が介在出来る場合の定着ニップの断面状態を示した図 増ちょう剤が微細孔に落下する場合のニップ部形成部材を示した図 表面粗さRcの粗さ曲線要素の平均高さの説明図 実施例2における定着装置の断面構成を示す図
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
[実施例1]
まず、図面を参照して画像形成装置の構成と、画像形成のシーケンスについて説明する。
(1)画像形成装置
図1は、実施例1の画像形成装置1の横断面の模式図である。本実施例の画像形成装置1は、インライン方式のフルカラーのレーザープリンタである。
画像形成装置1は、記録材P上に未定着のトナー画像を形成する画像形成部10と、記録材P上に形成したトナー画像を定着させる像加熱装置としての定着装置50とを有する。なお本明細書においては、記録材Pへの未定着のトナー画像の形成に関わる構成が、画像形成部に対応する。その後、定着部(像加熱部)としての定着装置50(像加熱装置)が、記録材Pを加熱および加圧することによりトナー画像が記録材Pに定着し、画像形成物として機外へ排出される。
(構成)
画像形成部10において、中間転写体としての中間転写ベルト30の回転方向に沿って上流側から下流側にかけて4つの画像形成ステーションSY,SM,SC,SKが配設されている。各画像形成ステーションSY,SM,SC,SKは、その順に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー画像を形成する。
各画像形成ステーションSY,SM,SC,SKはそれぞれ、像担持体としての感光ドラム22Y,22M,22C,22Kを備える。各感光ドラムは、駆動モータ(不図示)の駆動力により回転する。
感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの周囲には、それぞれ、感光ドラムの回転方向に沿って帯電装置23Y,23M,23C,23Kと、露光装置24Y,24M,24C,24Kが、配設されている。さらに、感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの周囲には、それぞれ、現像装置26Y,26M,26C,26Kと、一次転写部31Y,31M,31C,31Kと、クリーニング部27Y,27M,27C,27Kとが、配設されている。
さらに、現像装置26Y,26M,26C,26Kに隣接して、現像装置にトナーを供給するためのトナーカートリッジ25Y,25M,25C,25Kが配設されている。
中間転写ベルト30は、樹脂製の無端状ベルトで構成されている。中間転写ベルト30は、駆動ローラ34a、二次転写対向ローラ34b、および、テンションローラ34cという、3つの回転可能な支持部材に張架されている。中間転写ベルト30の外周面を感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの外周面に接触させることにより、中間転写ベルト30の表面と、感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの表面との間で一次転写ニップ部Tn1が形成される。中間転写ベルト30は、駆動ローラ34aの駆動力により矢印方向に回転する。
二次転写ローラ32は、中間転写ベルト30を介して二次転写対向ローラ34bと対向するように配設されている。この二次転写ローラ32の外周面(表面)を中間転写ベルト30表面と接触させることにより、二次転写ニップ部Tn2が形成される。
(画像形成シーケンス)
制御部40は、CPUや、RAMやROM等のメモリなどの演算資源を有する。メモリには画像形成のための制御シーケンスなどが記憶されている。制御部40は、ホストコンピュータなどの外部装置(不図示)から出力されるプリント指令に応じて画像形成のための制御シーケンスを実行し、画像形成部10や定着装置50などを制御する。
本実施例の画像形成装置1において画像形成制御シーケンスが開始されると、画像形成ステーションSYの感光ドラム22Yが矢印方向へ回転する。まず、帯電装置23Yが、感光ドラム22Y表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる(帯電工程)。続いて、露光装置24Yは、感光ドラム22Yの帯電面に、外部装置から入力した画像データに応じ
たレーザ光を照射する。これにより、感光ドラム22Yに静電潜像が形成される(露光工程)。現像装置26Yは、トナーを用いてこの静電潜像を顕像化して、感光ドラム22Yの表面にトナー画像を形成する(現像工程)。
画像形成ステーションSM,SC,SKにおいても同様の帯電工程、露光工程、現像工程の画像形成プロセスが行われ、各感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの表面にトナー画像が形成される。
一次転写ニップ部Tn1において、一次転写部31Yに所定の電圧が印加されることにより、感光ドラム22Y上に形成されたトナー画像が中間転写ベルト30表面に転写される(一次転写工程)。同様に、感光ドラム22M,22C,22Kの各色のトナー画像が、それぞれの一次転写ニップ部Tn1において中間転写ベルト30表面に重ねて転写される。これにより中間転写ベルト30の表面には4色のフルカラーの未定着トナー画像が形成される。
一次転写工程の後に、クリーニング部27Y,27M,27C,27Kが、感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの表面に残った転写残トナーを除去する。続いて、感光ドラム22Y,22M,22C,22Kは次の画像形成に供される。
一方、中間転写ベルト30の下方の給紙カセット20には、記録材Pが積載収納されている。給紙ローラ21とリタードローラ28は、給紙カセット20から記録材Pを1枚ずつ分離して搬送経路を介してレジストローラ29に給送する。レジストローラ29は、給送された記録材Pを二次転写ニップ部Tn2に送り出す。記録材Pは、二次転写ニップ部Tn2で挟持搬送される。そしてその搬送過程において、二次転写ローラ32に所定の電圧が印加されることにより、中間転写ベルト30表面の未定着トナー画像が記録材Pに転写される(二次転写工程)。
未定着トナー画像が形成された記録材Pは、定着装置50に導入される。そして定着装置50が、搬送経路上を通過する記録材Pに熱と圧力を加えることによって、未定着トナー画像を記録材上に定着させる。定着装置50を出た記録材Pは排紙ローラ54、55により搬送されて排出トレー56に排出される。
なお、二次転写後に中間転写ベルト30の表面に残った転写残トナーは、転写残トナーの帯電ローラ33によって画像形成時の極性と逆極性に帯電される。そして一次転写部31によって感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの表面上に静電気力によって回収され、クリーニング部27Y,27M,27C,27Kによって回収される。
(2)定着装置50
続いて、図2を参照して、本実施例に係る像加熱装置としての定着装置50について説明する。図2は、定着装置50の横断面の模式図である。本実施例の定着装置50は、外部加熱方式の定着装置である。本実施例に示す定着装置50は、記録材上の画像と接触して加熱する回転体としての定着ローラ51と、加熱ユニット52と、加圧ユニット53を有している。
(構成)
本実施例の定着ローラ51、加熱ユニット52および加圧ユニット53は、記録材Pの搬送方向と直交する方向に長い形状を持つ。定着ローラ51は、鉄、SUS(ステンレス鋼)、アルミニウム等の金属材料からなる丸軸状の芯金60を有している。芯金60の外周面上には、シリコーンゴムなどを主成分とする弾性層61が形成される。弾性層61の外周面上には、PTFE、PFAまたはFEPなどを主成分とする離型層(最表層)62が形成されている。なお、PTFEはポリテトラフルオロエチレンであり、PFAはテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体であり、FEPはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体である。定着ローラ51の芯
金60の長手方向の両端部が、定着装置50の装置フレーム(不図示)に回転可能に支持されている。
加熱ユニット52は、セラミックヒータ(以下、ヒータと記す)63と、加熱フィルム64(加熱ベルト)と、支持部材としての加熱フィルムガイド65を有する。加熱フィルム64は、回転可能な筒状の無端ベルトである。
加熱フィルムガイド65は、耐熱性を有する樹脂材料を用いて、横断面が略樋型形状になるように成形される。加熱フィルムガイド65には、記録材の搬送方向に直交する方向に凹部65aが形成されており、凹部65aでヒータ63を支持している。加熱フィルムガイド65の外周には、加熱フィルム64がルーズに外嵌されている。加熱フィルム64は、ポリイミド樹脂で形成された基層と、基層の外周面にPFA等のフッ素樹脂で形成された離型層とを有する。
加熱フィルムガイド65の長手方向の両端部は、装置フレームに支持され、加圧ばね(不図示)により、定着ローラ51の母線方向と直交する垂直方向に圧力が加わる。これにより、加熱フィルム64を介してヒータ63が定着ローラ51に押圧される。そして、弾性層61がヒータ63の長手方向に沿って弾性変形する。これにより、定着ローラ51表面と加熱フィルム64表面の一部との間に、所定の幅の加熱圧接部Nkが形成される。
ヒータ63は、横断面が長方形状の、セラミック製の基板63aを有している。基板63aは記録材Pの搬送方向に直交する方向に延びるような、細長い形状である。基板63aの加熱圧接部Nk側の表面には、基板63aの長手方向に沿ってAg/Pd(銀パラジウム)などの発熱抵抗体63bがスクリーン印刷で形成されている。また、基板63aの表面には、保護層63cが発熱抵抗体63bを覆うように形成してある。発熱抵抗体63bは通電されて発熱する。
加圧ユニット53は、ニップ部形成部材68と、回転可能な筒状の加圧フィルム66(無端のフィルム)と、加圧フィルムガイド67(支持部材)とを有している。本実施例のニップ部形成部材68、加圧フィルム66、および、加圧フィルムガイド67は、何れも記録材Pの搬送方向と直交する方向に長い部材である。
ニップ部形成部材68は横断面が長方形になるように形成されており、その表面は所定の粗さになるように調整されている。耐熱性の樹脂材料で横断面が略逆樋型形状になるように成形された加圧フィルムガイド67は、長手方向に沿って形成された凹部67aでニップ部形成部材68を支持している。そして加圧フィルムガイド67の外周に加圧フィルム66がルーズに外嵌されている。加圧フィルム66は、ポリイミド樹脂やPEEK、PEIなどの耐熱樹脂ないしSUSニッケルなどの金属を主成分として形成された基層と、基層の外周面上にPFA、PTFE、FEPなどのフッ素樹脂を主成分として形成された離型層とを有している。加圧フィルム66の内面の表面は、所定の粗さになるように調整されている。なお、PEEKはポリエーテルエーテルケトン、PEIはポリエーテルイミドを指す。
加圧フィルムガイド67の長手方向の両端部は、装置フレームに支持され、加圧ばね(不図示)により定着ローラ51の母線方向と直交する垂直方向に押圧されている。これにより、ニップ部形成部材68が加圧フィルム66を介して定着ローラ51に押圧されて、弾性層61がニップ部形成部材68の長手方向に沿って弾性変形する。これにより、定着ニップ部Nが形成される。
加熱フィルム64と加圧フィルム66の内面には、回転トルクを低減するために、潤滑
グリースとしてグリースFGが塗布されている。本実施例のグリースFGとしては、固形分である増ちょう剤FSとしてのフッ素樹脂と、オイル分としてのフッ素オイルであるオイル分FLとを混合させた混和物である、フッ素系グリースを用いる。
(定着時のシーケンス)
本実施例の定着装置50においては、プリント指令に応じて駆動モータ(不図示)が回転駆動され、駆動モータの出力軸の回転が所定のギア機構(不図示)を介して定着ローラ51の芯金60に伝達される。これにより定着ローラ51が矢印方向(R1)に回転する。
続いて、加熱圧接部Nkにおいて、定着ローラ51の表面と加熱フィルム64の表面と間に生じる摩擦力によって、定着ローラ51の回転が、加熱フィルム64に伝達される。これにより加熱フィルム64は、定着ローラ51の回転に従動して、ヒータ63の保護層63cと接触しながら矢印方向へ回転する。また、定着ローラ51の回転は定着ニップ部Nにおいて定着ローラ51表面と加圧フィルム66表面との摩擦力により加圧フィルム66に伝わる。これにより加圧フィルム66は定着ローラ51の回転に追従して、ニップ部形成部材68と接触しながら矢印方向(R2)へ回転する。
さらに、プリント指令に応じて双方向サイリスタとしてのトライアック(不図示)がヒータ63への給電を開始する。そして、ヒータ63の発熱抵抗体63bに通電されることにより、ヒータ63が急速に発熱して加熱フィルム64内面を加熱し、その加熱フィルム64が定着ローラ51表面を加熱する。
基板63aの裏面(加熱圧接部Nkと反対側の面)には、温度検知素子としてのサーミスタSが配置されている。サーミスタSは、ヒータ63の温度を検知して検知信号(出力信号)を制御部40に送信する。制御部40は、サーミスタSからの検知信号に基づいてトライアックが発熱抵抗体63bに印加する電圧のデューティー比や波数等を制御することにより、ヒータ63の検知温度を定着温度(目標温度)に保つ。
定着ローラ51が回転駆動し、かつ、ヒータ63が定着温度に維持された状態において、未定着トナー画像tが形成された記録材Pが、トナー形成面を定着ローラ51側に向けた状態で、定着ニップ部Nに導入される。そして、挟持搬送された記録材Pが、定着ニップ部Nにおいて、ヒータ63により熱せられた定着ローラ51を介して熱を受けるとともに、定着ローラ51と加圧ユニット53の間で圧力を受けることにより、記録材上に未定着トナー画像tが定着される。未定着トナー画像tが定着された後、記録材Pは定着ニップ部Nから排出される。
(特徴的な構成)
以下、本発明にかかる特徴的な構成について説明する。本実施例では、無端のフィルムである加圧フィルム66の内面の表面粗さを、加圧ユニットに用いるグリースFGの増ちょう剤FSの粒径よりも大きくする。また、ニップ部形成部材68の定着ニップ部側表面の表面粗さも、加圧ユニットに用いるグリースFGの増ちょう剤FSの粒径よりも大きくする。さらに、ニップ部形成部材68の表面にアルマイト処理を行い、アルマイト処理により形成されたアルマイト微細孔の径を、フッ素系グリースFGの増ちょう剤FSの粒径よりも小さくする。
かかる構成により、加圧フィルム66とニップ部形成部材68との間の摩擦力を長期に渡り抑制でき、加圧フィルム66のスティックスリップによる異音発生や定着ローラの駆動トルク上昇を長期にわたり抑制できる。以下その具体的構成と作用について説明する。
(具体的構成)
(1)グリースFG
本実施例のグリースFGは、増ちょう剤FSの材料としてはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の微粒子を、フッ素オイル分FLとしてはPFPE(パーフルオロポリエーテル)を用いる。ただし、本発明のグリースの成分は、これらに限定されない。
(2)加圧フィルム66
本実施例の加圧フィルム66としては、高温域でも良好な強度が得られるように、基層にPEEKとPEIを混ぜた材料を用いる。また表層には導電材としてカーボンを分散させたPFA樹脂のチューブを被覆させている。基層と表層のPFAチューブとは、内型と外型を用いた熱と圧力による圧着により接着した。すなわち、SUS製の外型の内側にチューブをセットし、その中に、押し出し成形により作成したPEEKとPEIの混合物よりなる基層の素管を挿入する。そしてさらにその内側に、膨張可能なポリイミド樹脂よりなる中子を挿入し、加熱する。すると中子の熱膨張により、外型の内側に配置したPFAチューブと基層が強く加熱されながら圧接されることで、基層表面にPFAチューブが接着する。なお中子の表面にあらかじめ微細な傷や凹凸をつけておくことで、それらの形状が基層内面に転写されるため、基層の内面の粗さをコントロールできる。
(3)ニップ部形成部材68
本実施例のニップ部形成部材68の材質としてはアルミニウムを用いている。アルミニウム表面にアルマイト処理を施す際に、表面粗さと、アルマイト処理による微細孔の径を制御する。ニップ部形成部材68の表面粗さは、アルマイト処理前のアルミニウム板材の表面粗さやアルマイト処理の条件や後処理による加工などによりコントロールできる。またアルマイト処理による微細孔の径は、アルマイト処理のアノード印加電圧や電解液条件などの処理条件でコントロールできる。
(テスト構成)
増ちょう剤FSとして、D10粒径が3つの異なる水準の大きさの、球状PFA増ちょう剤を用いた。これらにオイル分としてPFPE(パーフルオロポリエーテル)を混ぜて、表1に示す3種類の潤滑グリースA〜Cを作成した。
Figure 2020134744
上記グリースA、BおよびCに対して、ニップ部形成部材68の表面粗さとアルマイト微細孔を振ってテストするために、ニップ部形成部材68の表面粗さRcとアルマイト微細孔のD90径として、表2に示す3つの水準のニップ部形成部材A〜Cを作成した。
Figure 2020134744
すなわち、ニップ部形成部材Aについては、アルミニウムの板材としてA1050の表面程度HB材を用いて、硫酸を電解液としたアルマイト処理を行った。
ニップ部形成部材Bについては、アルミニウムの板材としてニップ部形成部材Aのものよりもより平滑なグレードであるA1050の表面程度LF材を用いた。また、ニップ部形成部材Aと同じ条件でアルマイト処理を行った。
ニップ部形成部材Cについては、アルミニウムの板材としてニップ部形成部材Aと同じA1050の表面程度HB材を用いた。また、アルマイト微細孔の径を大きくするために、電解液をリン酸とし、かつ、アノード電圧条件はニップ部形成部材AおよびBよりも高い条件として、アルマイト処理を行った。
なお、表面粗さRcとは、JIS B 0601−2001で規定される、粗さ曲線要素の平均高さのことを指す。すなわち表面粗さRcは、図6のような状態において、基準長さlにおける粗さ曲線要素の高さZtiの平均を示す、以下の数式により定義される。本実施例では、接触式の表面粗さ計で表面粗さRcを求めた。
Figure 2020134744

ここで、増ちょう剤のD10粒径とは、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning
electron microscopy)による観察(3万倍前後)で実際に測定した増ちょう剤100個の粒子径分布から求めた10%粒径のことである。また、アルマイト微細孔のD90径とは、SEM観察(5万〜15万倍程度)で実際に測定した100個の孔径分布から求めた90%径のことである。
さらに加圧フィルム66として、フィルム内面の表面粗さを振ってテストを行うために、表3に示す表面粗さの異なる3つの水準のものを作成した。なお、加圧フィルム66の内面の表面粗さを振る際には、PEEKとPEIを押し出し成形することで作成した素管にチューブを熱と圧力で圧着する際に用いる中子の表面を荒らしの程度を変えた。中子の表面を荒らすためには、荒らし加工(ラッピングフィルムや紙やすりなどの加工)を行った。そして、異なる荒らし加工を行った面をそれぞれの加圧フィルムA〜Cの内面に転写することで、フィルム内面の表面粗さの異なるサンプルを作成した。
Figure 2020134744
なお、ここで言う表面粗さRcも、粗さ曲線要素の平均高さ(JIS B 0601−2001)のことであり、図6にあるように定義され、接触式の表面粗さ計で求められる。
(組み合わせによるテスト結果)
上記グリース(A,B,C)、ニップ部形成部材(A,B,C)、加圧フィルム(A,B,C)を組み合わせた構成の定着装置を用いて、実際に通紙耐久を行い、トルク上昇および異音発生の有無や、その程度を確認した。その結果を以下に示す。
トルク上昇の測定方法としては、組み立て直後の初期トルクと、通紙耐久後のトルクを比較して増加率を取得した。初期トルクとしては、上記パーツを使って組み立てた直後の定着装置50のトルクを測定した。具体的には、組み立て直後の定着装置50を環境温度になじむまで冷却させた後、トルクコンバータ付きの空回転器と温調器に装着し、サーミスタSの温度が200℃となるように温調空回転させたときのトルクを測定した。
続いて、通紙耐久として、定着装置50を画像形成装置1に組み付けて連続プリントの通紙耐久を3000枚行った。そして、通紙耐久後に定着装置50を画像形成装置1から取り外し、初期トルクを測定したときと同じ方法でトルクを測定した。
また、異音の発生の確認方法としては、耐久後の定着装置50をスティックスリップが発生し易い条件でプリントさせた状態で確認した。すなわち、上記パーツを使って組み立てた直後の定着装置50を画像形成装置1に組み付けて、高温多湿環境(30°C/80
%)下で、5000枚の連続プリントの通紙耐久を行った。その後、定着装置50を環境温度(30°C/80%)になじむまで冷却させてから、高温多湿環境(30°C/80%)下に48時間以上放置させた放置紙の連続プリントを30枚行い、定着装置50からの異音発生有無を確認した。
(テスト1)
まず、増ちょう剤FSのD10粒径が220nmであるグリースAを用いたテスト結果を、以下の表4に示す。トルク上昇が抑制され、かつ、異音の発生もない場合を、具体例1〜3としてまとめた。一方、トルク上昇が大きく、かつ、異音が小発生または発生している場合を、比較例1〜3としてまとめた。
Figure 2020134744

なお、異音の耐久後評価結果について、「小発生」とは装置本体の近傍〜100cmの範囲で聞こえるレベルであることを、「発生」とは100cmを超える範囲で聞こえるレベルであることを指す。
ここで、増ちょう剤FSの粒径をφK(D10粒径)、ニップ部形成部材68のアルマイト層の微細孔の径をφH(D90径)、とする。また、表面粗さRcのうち、「ニップ部形成部材68の表面粗さRc」と、「加圧フィルム66内面の表面粗さRc」を区別する必要があるときは、前者を「ニップ部形成部材表面粗さ」後者を「フィルム表面粗さ」と呼ぶ。
このとき、具体例1〜3が示すように、以下の関係式1、2および3を全て満たしている場合に、トルク上昇も抑制され、異音の発生もないことが分かる。
一方、比較例1〜3が示すように、以下の関係式1、2および3のいずれかひとつでも満たしていない場合に、トルク上昇が大きくかつ異音が発生していることが分かる。
ニップ部形成部材表面粗さ>φK …(関係式1)
フィルム表面粗さ>φK …(関係式2)
φK>φH …(関係式3)
なお、表中では関係式1、2、3のいずれかを満たしていない箇所を、下線つきの太文字で表記している。すなわち、比較例1では関係式2が満たされず、比較例2では関係式1が満たされず、比較例3では関係式1,2が満たされない。
また、表面粗さの測定方法や、増ちょう剤粒径や微細孔の径の測定方法は、上記の方法に限定されるものではない。
(テスト2)
次に、増ちょう剤FSのD10粒径が100nmであるグリースBを用いたテスト結果を、以下の表5に示す。符号の意味は表4と同様である。トルク上昇が抑制され、かつ、異音の発生もない場合を、具体例4、5とした。一方、トルク上昇が大きく、かつ、異音が小発生または発生している場合を、比較例4とした。
Figure 2020134744
具体例4,5が示すように、グリースBを用いた場合にも、上記関係式1,2および3を全て満たしている場合に、トルク上昇が抑制され、異音の発生がないことが分かる。
一方、比較例4が示すように、いずれかの関係式(ここでは関係式3)を満たさない場合は、トルク上昇が大きくかつ異音が発生していることが分かる。なお、比較例4の構成では、表4の具体例1のときと同じニップ部形成部材68及び加圧フィルム66を用いている。しかし、増ちょう剤粒径が異なるグリースBを用いたため関係式3を満たさなくなってしまい、トルク上昇および異音が発生してしまっている。
(テスト2)
次に、増ちょう剤FSのD10粒径が320nmであるグリースCを用いたテスト結果を、以下の表6示す。符号の意味は表4と同様である。トルク上昇が抑制され、かつ、異音の発生もない場合を、具体例6とした。一方、トルク上昇が大きく、かつ、異音が小発生または発生している場合を、比較例5〜8とした。
Figure 2020134744
具体例6が示すように、グリースCを用いた場合にも、上記関係式1,2および3を全て満たしている場合に、トルク上昇が抑制され、異音の発生がないことが分かる。一方、関係式1〜3のいずれかを満たさない場合、トルク上昇が大きくなり、かつ異音が発生してしまう。
例えば、比較例5の構成は表4の具体例2と同様であり、比較例6の構成は表4の具体例1と同様である。しかし、増ちょう剤粒径が異なるグリースCを用いたため、比較例5については関係式1が満たされず、比較例6については関係式2が満たされない。そのため、トルク上昇および異音が発生してしまっている。
また、比較例7の構成は表5の具体例5と同様であり、比較例8の構成は表5の具体例4と同様である。しかし、増ちょう剤粒径が異なるグリースCを用いたため関係式1,2を満たさなくなってしまい、トルク上昇および異音が発生してしまっている。
以上述べたように、表4〜6の結果から、増ちょう剤FSの粒径が異なるいずれのグリースA、BおよびCにおいても、関係式1、2および3の関係を全て満たしていると、トルク上昇を抑制でき、異音の発生が無いことが分かる。一方、関係式1、2および3のいずれかひとつでも満たさない場合には、トルク上昇が大きく、異音が発生してしまうことが分かる。
(発明の作用)
図3、図4および図5を用いて、本実施例の構成がもたらす作用について説明する。
図3は、増ちょう剤FSの大きさに対して、加圧フィルム66およびニップ部形成部材68の表面粗さが小さい場合の、定着ニップ部Nの断面を拡大した模式図である。図3の構成においては、加圧フィルムもニップ部形成部材ともに平滑であるため、増ちょう剤が長期に渡っては介在出来ない。したがって図3においては、上記関係式1,2がともに満たされない。図3(a)は、装置の組み立て直後の状態を示し、図3(b)は、通紙耐久後の状態を示す。
図3(a)の定着装置の組み立て直後の状態では、グリースFGも、加圧フィルム66内面とニップ部形成部材68表面に塗られた直後である。そのため、グリースFGの増ちょう剤FSとオイル分FLが、定着ニップ部Nの内部に多く存在している。
しかし耐久枚数が進むと、加圧フィルム66とニップ部形成部材68の密着が進行するため、図3(b)のように定着ニップ部Nの内部、増ちょう剤FSが存在せずオイル分FLだけが存在する密着領域が増えてしまう。このように密着が進行することで、加圧フィルム66が回り難くなり、加圧フィルム66とニップ部形成部材68の間の摺動性が低下し、定着ローラ51の駆動トルク上昇や、加圧フィルム66のスティックスリップによる異音の発生を引き起こしてしまう。
図4は、増ちょう剤FSの大きさに対して、加圧フィルム66及びニップ部形成部材68の表面粗さが粗い場合の、定着ニップ部Nの断面を拡大した模式図である。図4(b)は、図4(a)の枠線部(領域B)の一つに相当する部分の拡大図である。図4の構成においては、グリースFGの上下ともに、増ちょう剤粒径より大きい段差があるため、増ちょう剤が長期に渡って介在できる。
すなわち、増ちょう剤FSの径よりも加圧フィルム66及びニップ部形成部材68の表面粗さが大きいため、耐久枚数が進んでも、加圧フィルム66およびニップ部形成部材68の表面に増ちょう剤FSが存在できる。このため増ちょう剤FSが定着ニップ部N内で転がることができ、加圧フィルム66とニップ部形成部材68の間の摺動性が確保され、定着ローラ51の駆動トルク上昇や加圧フィルム66のスティックスリップによる異音発生を抑制することが出来る。
なお、図4(a)中の領域Aのように、定着ニップ部Nの中にも局所的には図3(b)に近い、増ちょう剤FSが介在できない領域も存在する。しかし、加圧フィルム66とニップ部形成部材68の表面粗さRcが関係式1および2を満たす範囲にあっては、増ちょう剤FSが存在する領域Bの方が圧倒的に多くなる。
図4(b)は増ちょう剤FSの粒径に対して、ニップ部形成部材68表面のアルマイト微細孔の径φHが小さい場合の、図4(a)の領域Bを拡大した模式図である。このように増ちょう剤FSの径がアルマイト微細孔の径φHよりも大きいと、増ちょう剤はアルマイト微細孔の中に落ちることは無く、ニップ部形成部材68の表面を転がることが出来る
。また、アルマイト微細孔は、大きさが20nm程度のときには1cmあたり300億個前後の密度で存在するため、非常に多くのオイル分FLを溜め込むことができる。そのため、オイルが加圧フィルム両端から流出しにくく、オイル分FLを長期に渡り定着ニップ部N部に供給することから、長期に渡り加圧フィルム66とニップ部形成部材68の間の摺動性が確保される。
一方、図5は、微細孔の径が増ちょう剤の粒径よりも大きい場合の、ニップ部形成部材の表面状態を示した図である。このように、増ちょう剤FSの粒径φKに対して、ニップ部形成部材68表面のアルマイト微細孔の径φHが大きい場合には、アルマイト微細孔の中に増ちょう剤が落ち込んでしまう。その結果、ニップ部の表面を転がる増ちょう剤の数が大きく減ってしまうとともに、アルマイト微細孔を塞ぐため、アルマイト微細孔はオイル分FLを貯め難くかつ放出し難くなる。従って、長期に渡たる加圧フィルム66とニップ部形成部材68の間の摺動性確保は困難になる。
本実施例ではグリースA、B、Cの増ちょう剤FSの材料としては、PTFEを用いたが、これに限らず、フッ素樹脂やPEEK、PEI、PIなどの耐熱樹脂や無機酸化物、金属酸化物であっても良い。またオイル分FLとしてはPFPEを用いたが、その他にシリコーンオイルなど耐熱性を有するオイルを用いても良い。
[実施例2]
実施例1では、像加熱装置として図2に示す外部加熱方式の定着装置50を用いた。一方、本実施例では、像加熱装置として図7に示すような、フィルム加熱方式の定着装置500を用いる。
本実施例の定着装置500は、加圧ローラ660と、加熱ユニット552を備える。加圧ローラ660は、芯金661、弾性層662、離型層662を含む。加熱ユニット552は、トナー画像と接触する無端のフィルム640を有する。フィルム内部には、フィルム640の内面と接触するニップ部形成部材680、ニップ部形成部材680を支持してフィルム640をガイドするフィルムガイド部材650、および、ニップ部形成部材を加熱する加熱ヒータ630が含まれる。
加圧ローラ660は、ニップ部形成部材680と共にフィルム640を介してニップ部Nを形成する。
加熱ヒータ630は、フィルム640の内側に内包されフィルム640の内面を加熱することによりニップ部形成部材を加熱するヒータである。本実施例では加熱ヒータ630として放射式のヒータ(例えばハロゲンヒータ)を用いる。ただし、実施例1のようにセラミックヒータを用いてもよい。
フィルム640は例えば、ポリイミド樹脂で形成された基層と、基層の外周面にPFA等のフッ素樹脂で形成された離型層とを有する。フィルム640の基層の材質は、ポリイミドに限られずポリアミド、ポリアミドイミド、シリコーン樹脂等の耐熱性を有する他の材質であってもよい。フィルムガイド部材650として、本実施例では液晶ポリマーを用いる。ただし、他の材質として、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの耐熱樹脂を用いることができる。ニップ部形成部材680としてアルミニウム製の板を用いることで、良好な強度により定着ニップ部Nを安定して形成するとともに、加熱ヒータ630からの熱を定着ニップ部Nへ良好に送ることができる。
そして、本実施例においても、フィルム640内面とニップ部形成部材680との間の摩擦力低減のために、潤滑グリースFGを用いる。定着時のシーケンスが開始されると、ニップ部Nではトナー画像を担持した記録材Pを搬送しながら加熱し、かつ、ニップ部形
成部材680と加圧ローラ660の間に圧力が加わることにより、トナー画像を記録材Pに定着させる。
本実施例の定着装置500においても、ニップ部形成部材680とフィルム640の間の摩擦力が大きくなると、記録材Pを安定的に送れなくなる。そして、トルクの上昇や、スティックスリップの発生、スティックスリップに伴うフィルム640からの異音発生という課題が生じ得る。
そこで、本実施例の定着装置500においても、各構成要素の条件が実施例1と同様の関係式を満たすようにする。すなわち、増ちょう剤FSの粒径(D10粒径)をφK、ニップ部形成部材680のアルマイト層の微細孔の径(D90径)をφH、とする。また、表面粗さRcのうち、ニップ部形成部材680の表面粗さRcを「ニップ部形成部材表面粗さ」、フィルム640内面の表面粗さRcを「フィルム表面粗さ」、とも呼ぶ。このとき、以下の関係式1、2および3を満たすようにする。なお、表面粗さRcについては、実施例1と同じく、JIS B 0601−2001で規定される粗さ曲線要素の平均高さのことを指す。ただし、表面粗さの測定方法や、増ちょう剤粒径や微細孔の径の測定方法は、上記の方法に限定されるものではない。
ニップ部形成部材表面粗さ>φK …(関係式1)
フィルム表面粗さ>φK …(関係式2)
φK>φH …(関係式3)
こうすることにより、関係式1〜3を満たさない場合と比べて長期間に渡ってニップ部Nに増ちょう剤FSを存在させることができる。その結果、フィルム640内面とニップ部形成部材680との間の摩擦力上昇を長期にわたり抑制し、良好な摺動性を得ることができる。
なお、各実施例の像加熱装置の適用対象は、記録材に形成された未定着トナー画像を記録材に定着するための定着装置に限定されない。本発明の増加熱装置は、例えば、未定着トナー画像を加熱して記録材上に仮定着させる像加熱装置や、記録材上に定着されたトナー画像を加熱してトナー画像表面に光沢を付与する像加熱装置にも利用できる。
50:定着装置、51:定着ローラ、66:加圧フィルム、68:ニップ部形成部材、FG:潤滑グリース、FS:増ちょう剤、FL:オイル、N:定着ニップ部

Claims (9)

  1. ニップ部でトナー画像を担持した記録材を搬送しながら前記トナー画像を加熱する像加熱装置であって、
    前記トナー画像を担持した記録材と接触する回転体と、
    無端のフィルムと、
    前記フィルムの内面に接触し、前記回転体とともに前記フィルムを介して前記ニップ部を形成するニップ部形成部材と、
    を有し、
    前記フィルムと前記ニップ部形成部材の間に潤滑グリースを介在させる像加熱装置であって、
    前記ニップ部形成部材は、表面にアルマイト処理が行われたアルミニウム製の部材であり、
    前記潤滑グリースは、オイルと、固形分である増ちょう剤とを混合させたものであり、
    前記フィルム内面の表面粗さ、前記ニップ部形成部材の表面粗さ、前記増ちょう剤の粒径φK、および、前記アルマイト処理により前記ニップ部形成部材の表面に形成された微細孔の径φH、の関係が、以下の関係式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする、像加熱装置。
    ニップ部形成部材の表面粗さ>φK …(1)
    フィルム内面の表面粗さ>φK …(2)
    φK>φH …(3)
  2. 前記潤滑グリースにおいて、前記オイルはフッ素オイルであり、前記増ちょう剤はフッ素樹脂である
    ことを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 前記増ちょう剤の粒径は、走査型電子顕微鏡により前記増ちょう剤を測定して得られた粒子径分布から求めたD10粒径である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の像加熱装置。
  4. 前記アルマイト処理により形成された前記微細孔の径は、走査型電子顕微鏡により前記微細孔を測定して得られた孔径分布から求めたD90径である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  5. 前記ニップ部形成部材の表面粗さおよび前記フィルム内面の表面粗さは、JIS B 0601−2001で規定される粗さ曲線要素の平均高さである
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  6. ヒータをさらに有し、
    前記ヒータの熱を利用して前記トナー画像を加熱する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  7. 前記回転体は定着ローラであり、
    前記ヒータは、前記定着ローラの表面を加熱し、
    前記ヒータにより加熱された前記定着ローラが、前記ニップ部を加熱する
    ことを特徴とする請求項6に記載の像加熱装置。
  8. 前記ヒータは、前記フィルムの内側に配置されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の像加熱装置。
  9. 記録材にトナー画像を形成する画像形成部と、
    記録材に形成された画像を記録材に定着させる定着部と、
    を有する画像形成装置であって、
    前記定着部は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の像加熱装置である
    ことを特徴とする画像形成装置。
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