JP2020133131A - 硬化性組成物ならびにそれを用いたタイル補修方法およびタイル改修方法 - Google Patents

硬化性組成物ならびにそれを用いたタイル補修方法およびタイル改修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】タイルとの接着性、耐熱性、耐アルカリ温水性に優れる硬化性組成物を提供する。また、該硬化性組成物をタイル目地に充填し硬化させることで、タイル壁の補修や改修が容易となる方法を提供する。【解決手段】イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートと、オキサゾリジン化合物とを含有することを特徴とする硬化性組成物、および該硬化性組成物をタイル目地に充填し硬化させる工程を含むタイル補修方法およびタイル改修方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、タイルとの接着性、耐熱性、耐アルカリ温水性に優れた硬化性組成物ならびにそれを用いたタイル補修方法およびタイル改修方法に関する。
建築物の内壁や外壁にタイルが広く使用されている。タイルは、その形状や色彩のバリエーションが多く、建築物のデザインに合わせて壁の装飾を多様にすることができるため、その使用が増えている。タイルを使用する壁において、壁の躯体とタイルとの接合やタイル間の目地充填は、セメントモルタルや樹脂モルタルが多く使用されている。しかし、セメントモルタルや樹脂モルタルは弾性が小さく、躯体とタイルの熱膨張の違いによってひずみが生じると、そのひずみを緩和できないため、タイルが割れたり剥離したりすることがある。このため、ひずみを緩和できる有機系接着剤をセメントモルタルや樹脂モルタルの替わりに使用することが提案されている。しかし、有機系接着剤は、セメントモルタルや樹脂モルタルと比べて耐久性に劣り、経年で劣化してタイルが躯体から浮いたり剥離したりする場合もあるため、耐久性に優れるものが求められている。
また、タイルの割れ、浮き、剥離等の不具合部の補修方法としては、不具合部のタイルを個別に除去し躯体とタイルを新たに接合する方法、不具合部のタイルを除去せず躯体とタイルとの間に硬化性組成物を注入し再接合させる方法、不具合部を含むタイル壁全体に剥落防止塗膜材を塗布する方法等がある(例えば、特許文献1〜4)。
タイルを個別に除去し躯体とタイルを新たに接合する方法やタイルを除去せず躯体とタイルを再接合させる方法は、不具合タイルを部分的に補修する方法である。また、タイル壁全体に剥落防止塗膜材を塗布する方法は、ビルやマンション等の大面積のタイル壁全体を補強し耐久(耐用)年数を向上させる改修方法である。戸建住宅、低層ビル等の小面積〜中面積のタイル壁を補修または改修する場合には、不具合タイルを個別に補修すると同時にタイル壁全体を補強し耐久(耐用)年数を向上させる改修方法が経済性に優れており、補修と改修を兼ね備えた簡易的な方法が求められている。
特開2006−274709号公報 特開2015−117542号公報 特開2017−226996号公報 特開2007−247279号公報
本発明は、タイルとの接着性、耐熱性、耐アルカリ温水性に優れた硬化性組成物を提供する。また、本発明は、タイルの補修方法およびタイルの改修方法において、タイル補修およびタイル改修が同時かつ簡易的に行える方法を提供する。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとオキサゾリジン化合物とを含有する硬化性組成物が、タイルとの接着性、耐熱性、耐アルカリ温水性に優れること、また、本発明の硬化性組成物を用いたタイル補修方法およびタイル改修方法はタイル保持性に優れ、タイル補修およびタイル改修が同時かつ簡易的に施工できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の[1]〜[13]に示す硬化性組成物ならびに該硬化性組成物を用いたタイル補修およびタイル改修方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
[1]イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとオキサゾリジン化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物。
[2]前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが、光反応性不飽和結合を分子内に有することを特徴とする[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記イソシアヌレート変性ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートを含む有機ポリイソシアネートのイソシアヌレート体であることを特徴とする[1]または[2]に記載の硬化性組成物。
[4]前記イソシアヌレート変性ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートを含む有機ポリイソシアネートのイソシアヌレート体であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5]前記イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの配合量が、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1モルに対し、前記イソシアヌレート変性ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数が0.1〜1であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6]さらに、シランカップリング剤を含有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7]前記シランカップリング剤が、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤およびメルカプトシランカップリング剤から選択される1種以上のシランカップリング剤であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[8]さらに、硬化促進触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、貯蔵安定性向上剤、着色剤および有機溶剤から選択される1種以上の添加剤を含有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9]前記硬化性組成物が、建築用または土木用の硬化性組成物であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[10]前記硬化性組成物が、タイル目地用の硬化性組成物であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[11]前記硬化性組成物とタイルとの接着強さ試験において、タイル保持力Rfが下記式(1)〜(2)を満たすことを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載の硬化性組成物。
Pd0=(Wt+Ww+We)×SA (1)
Rf≧Pd0 (2)
(式(1)中、Wtはタイル重量荷重、Wwは風荷重、Weは地震荷重、SAは安全係数を表す。)
[12]前記硬化性組成物とタイルとの接着強さ試験において、風荷重に対するタイル保持力Rfwおよび地震荷重に対するタイル保持力Rfeが下記式(3)〜(5)を満たすことを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載の硬化性組成物。
Pd1=(Wt+Ww)×SA (3)
Pd2=(Wt+We)×SA (4)
Rfw≧Pd1、Rfe≧Pd2 (5)
(式(3)および(4)中、Wtはタイル重量荷重、Wwは風荷重、Weは地震荷重、SAは安全係数を表す。)
[13]イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとオキサゾリジン化合物とを含有する硬化性組成物をタイル目地に充填し硬化させる工程を含むタイル補修方法およびタイル改修方法。
本発明の硬化性組成物は、タイルとの接着性、耐熱性、耐アルカリ温水性に優れる。また、本発明の硬化性組成物を用いたタイル補修方法およびタイル改修方法はタイル保持性に優れ、タイル補修およびタイル改修が同時かつ簡易的に施工できる。
本発明の硬化性組成物について説明する。本発明の硬化性組成物は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとオキサゾリジン化合物とを含有することを特徴とする。以下、各成分について詳細に説明する。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、1個以上のイソシアネート基を有する樹脂(以下、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、後述する光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含めて単に「ウレタンプレポリマー」という場合もある。)である。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基は、活性水素含有化合物と反応して、ウレタン結合、ウレア結合等を形成し架橋硬化する。また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、本発明の硬化性組成物において硬化成分として働くとともに、硬化後の組成物に被着面との良好な接着性を付与する。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物を一括または逐次に反応させて、ウレタンプレポリマー中にイソシアネート基が残存するようにして製造することができる。有機イソシアネート化合物のイソシアネート基と活性水素含有化合物の活性水素(基)のモル比(イソシアネート基/活性水素)は、1.2〜10が好ましく、さらに1.2〜5が好ましい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は、0.3〜15質量%が好ましく、特に0.5〜5質量%が好ましい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、1,500以上が好ましく、1,500〜20,000がより好ましく、1,500〜15,000がさらに好ましく、1,500〜10,000が特に好ましい。なお、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数値である。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの製造方法としては、従来公知の方法で行うことができる。具体的には、ガラス製やステンレス製等の反応容器に有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物を仕込み、必要に応じて反応触媒や有機溶剤を使用し、50〜120℃で攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。この際、イソシアネート基が湿気等の水と反応するとウレタンプレポリマーが増粘するため、事前に容器内を窒素ガスで置換することや窒素ガス気流下で反応を行うことが好ましい。
有機イソシアネート化合物としては、有機ポリイソシアネートを挙げることができる。有機ポリイソシアネートは、2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。具体的には、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンポリイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンポリイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4,6−トリメチルフェニル−1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート等のフェニレンポリイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンポリイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。また、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。さらに、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネート等のポリメリックイソシアネートが挙げられる。またさらに、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られ、ウレトジオン結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合またはウレア結合を1つ以上有する変性イソシアネートが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、硬化性組成物が耐候性に優れることから、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、およびこれらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる変性イソシアネートが好ましい。
また、有機ポリイソシアネートとともに、有機モノイソシアネートを用いることができる。すなわち、有機ポリイソシアネートと有機モノイソシアネートの混合物を、前述の有機イソシアネート化合物として用いることができる。有機モノイソシアネートは、その化合物中に1個のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート、p−ベンジルオキシフェニルモノイソシアネートが挙げられる。
活性水素含有化合物は、1個以上の活性水素(基)を有する化合物である。具体的には、高分子ポリオール、高分子ポリアミン、低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、低分子ポリアミン、高分子モノオール、低分子モノオールが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
高分子ポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオール、動植物系ポリオールが挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールが好ましい。本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
高分子ポリオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましい。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールが挙げられる。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオール、後述するポリオキシアルキレン系モノオールの「系」とは、分子中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン等で変性されていてもよいことを意味する。水酸基を除いた分子中の95質量%以上がポリオキシアルキレンからなるものが特に好ましい。
ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールは、重合触媒を使用し、開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて製造することができる。ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールの総不飽和度は、0.1meq/g以下が好ましく、特に0.07meq/g以下が好ましい。
重合触媒としては、ナトリウム系触媒、カリウム系触媒等のアルカリ金属化合物触媒、カチオン重合触媒、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。
開始剤としては、分子中の活性水素(基)(アルキレンオキシドと反応しうる水酸基やアミノ基)の数が2〜3である化合物を用いる。これらに、分子中の活性水素(基)の数が4である化合物を少量併用することもできる。
ポリオキシアルキレン系トリオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が3である化合物を主に使用する。活性水素の数が3である化合物としては、具体的には、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコールが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ジオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が2である化合物を主に使用する。活性水素の数が2である化合物としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の2価アルコールが挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタンが挙げられる。これらのうち、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましく、さらにプロピレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましい。
ポリオキシアルキレン系トリオールとしては、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましく、さらにポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましい。また、ポリオキシアルキレン系トリオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましく、特に1,000〜10,000が好ましい。
本発明において、「オキシエチレンプロピレン」とは、分子中にオキシエチレン基(−CHCHO−)とオキシプロピレン基(−CH(CH)CHO−)を含むものである。
ポリオキシアルキレン系ジオールとしては、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレンプロピレンジオールが好ましく、さらにポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレンプロピレンジオールが好ましい。また、ポリオキシアルキレン系ジオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましく、特に1,000〜10,000が好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸や、これらの無水物あるいはメチルエステルやエチルエステル等のアルキルエステルを含むカルボン酸類の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類の1種以上との反応によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、これらのカルボン酸類、低分子ポリオール類に加え、さらにブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上と反応させて得られるポリエステルアミドポリオールも挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前述の低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートとのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレートポリオールとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを、必要に応じてラジカル重合開始剤を使用し、共重合させたものが挙げられる。
炭化水素系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール;水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール;塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、ヒマシ油系ポリオール、絹フィブロインが挙げられる。
前述の高分子ポリオールは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前述の高分子ポリオールとともに、高分子モノオールを併用することができる。高分子モノオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましく、特に1,000〜10,000が好ましい。
高分子ポリオールと高分子モノオールを併用する場合、その組合せとしては、高分子トリオールと高分子ジオールと高分子モノオール、または、高分子トリオールと高分子モノオールが好ましい。
高分子モノオールとしては、ポリオキシアルキレン系モノオールが好ましい。
ポリオキシアルキレン系モノオールは、重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。ポリオキシアルキレン系モノオールの総不飽和度は、0.1meq/g以下が好ましく、さらに0.07meq/g以下が好ましい。
重合触媒としては、ナトリウム系触媒、カリウム系触媒等のアルカリ金属化合物触媒、カチオン重合触媒、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。
ポリオキシアルキレン系モノオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が1である化合物を主に使用する。活性水素(基)の数が1である化合物としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の1価アルコール類;フェノール、ノニルフェノール等の1価フェノール類;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン類が挙げられる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、耐候性を付与する目的でウレタンプレポリマー中に光反応性不飽和結合を導入することもできる。光反応性不飽和結合を導入したウレタンプレポリマーは、本発明の硬化性組成物において硬化成分として働くとともに、硬化後の組成物に被着面との良好な接着性、優れた耐候性を与えるものである。前述の光反応性不飽和結合とは、光に暴露されることにより比較的短時間に重合等の化学変化を起こす不飽和結合である。具体的には、ビニル基、ビニレン基、(メタ)アクリロイル基に由来する不飽和結合が挙げられる。本発明において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基および/またはメタクリロイル基」を意味する。
光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基は、活性水素含有化合物と反応して架橋硬化する。また、光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの光反応性不飽和結合は、光に暴露されると重合反応し、硬化性組成物の表面に耐候性に優れた硬化皮膜を形成する。この硬化皮膜が硬化性組成物に優れた耐候性を付与するものと考えられる。光反応性不飽和結合は、耐候性付与効果が高い点で(メタ)アクリロイル基に由来する不飽和結合が好ましい。
光反応性不飽和結合をイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに導入する方法としては、下記の方法が挙げられる。
(イ)有機イソシアネート化合物と、高分子の活性水素含有化合物(数平均分子量1,000以上)と、分子内に活性水素と光反応性不飽和結合とを有する低分子の活性水素含有化合物(数平均分子量1,000未満)とを、活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させる方法
(ロ)有機イソシアネート化合物と、分子内に活性水素と光反応性不飽和結合とを有する高分子(数平均分子量1,000以上)の活性水素含有化合物(例えば、ポリオキシアルキレントリオールのモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のアルキレンオキシド付加物、ポリブタジエンポリオール)とを活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させる方法
(ハ)有機イソシアネート化合物と、分子内に光反応性不飽和結合とイソシアネート基とを有する低分子(数平均分子量1,000未満)の活性水素含有化合物(例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート)と、高分子(数平均分子量1,000以上)の活性水素含有化合物とを活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させる方法
これらのうち、前記(イ)の方法が原料の入手しやすさと反応のしやすさの点で好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を意味する。
光反応性不飽和結合をイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに導入する反応は、原料を一括で仕込み反応させてもよいし、原料を逐次で仕込み反応させてもよい。有機イソシアネート化合物のイソシアネート基と、活性水素含有化合物(活性水素と光反応性不飽和結合とを有する化合物を含む)の活性水素とのモル比(イソシアネート基/活性水素)は、1.2〜10が好ましく、さらに1.2〜5が好ましい。光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基含有量は0.3〜15質量%が好ましく、さらに0.5〜5質量%が好ましい。
光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中の光反応性不飽和結合の濃度は、0.01ミリモル/g以上が好ましく、さらに0.03〜1ミリモル/gが好ましく、特に0.05〜0.5ミリモル/gが好ましい。
前述の活性水素と光反応性不飽和結合とを有する(低分子および高分子の)活性水素含有化合物は、その化合物中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素(基)と、ビニル基、ビニレン基、(メタ)アクリロイル基等の光反応性不飽和結合の両方を有する化合物である。有機イソシアネート化合物との反応のしやすさや耐候性付与効果の高い点で、化合物中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するものが好ましい。また、活性水素(基)と光反応性不飽和結合とを有する化合物の分子量は、反応しやすい点で数平均分子量1,000未満が好ましい。
水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する活性水素含有化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルである、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上アルキレンポリオールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルあるいはジエステル、トリエステル等のポリエステルである、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のモノヒドロキポリ(メタ)アクリレート類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリヒドロキモノ(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のポリヒドロキポリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。また、これら以外に、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ビスフェノールAやビスフェノールFにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したポリオール等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類や(メタ)アクリル酸やヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの活性水素にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した化合物で水酸基を有するもの、ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン変性物等で水酸基を有している化合物も挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、ウレタンプレポリマーの粘度を低く抑えることができ、耐候性付与効果を高めることができる点で、モノヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類およびジヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類が好ましい。
イソシアヌレート変性ポリイソシアネートについて説明する。イソシアヌレート変性ポリイソシアネートは、イソシアネート基を2個以上およびイソシアヌレート環を1個以上有する化合物である。イソシアヌレート変性ポリイソシアネートを前述のウレタンプレポリマーと併用することで、硬化性組成物の硬化後の組成物はタイルとの接着強度が向上する。また、硬化後の組成物は、耐熱性、耐アルカリ温水性に優れるものとなる。
イソシアヌレート変性ポリイソシアネートは、イソシアヌレート化触媒を使用し、有機ポリイソシアネートをイソシアヌレート化反応させて得ることができる有機ポリイソシアネートのイソシアヌレート体であってもよい。イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの製造方法としては、従来公知の方法で行うことができる。具体的には、ガラス製やステンレス製等の反応容器に有機ポリイソシアネートとイソシアヌレート化触媒を仕込み、必要に応じて有機溶剤を使用し、30〜90℃で攪拌しながらイソシアヌレート化反応させる方法が挙げられる。イソシアヌレート化反応を停止させる際に、硫酸やリン酸等の酸性化合物を用いることができる。また、反応後に未反応の有機ポリイソシアネートモノマーを薄膜蒸留等の方法で除去することもできる。
イソシアヌレート変性ポリイソシアネートを製造する際の有機ポリイソシアネートとしては、前述のウレタンプレポリマーを製造する際に使用できる有機ポリイソシアネートを挙げることができる。これらの有機ポリイソシアネートは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、耐候性に優れることから、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートを含む有機ポリイソシアネートが好ましい。
イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの配合量は、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1モルに対し、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数が0.1〜1であることが好ましい。
オキサゾリジン化合物について説明する。オキサゾリジン化合物は、酸素原子と窒素原子とを含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する化合物である。オキサゾリジン化合物は、湿気等の水と反応して加水分解し、オキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することで、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートの潜在性硬化剤として機能するものである。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートのイソシアネート基が湿気等の水と反応すると尿素結合を形成して硬化するが、この際、炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じて外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下等の不具合を生じることがある。一方、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとオキサゾリジン化合物を併用した硬化性組成物を水と反応させた場合は、まず水とオキサゾリジン化合物が優先的に反応し、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基(活性水素基)を生成する。次に生成した活性水素基(特に2級アミノ基)がこれらのイソシアネート基と優先的に反応するため、水とイソシアネート基の反応による炭酸ガスの発生を抑制し、硬化性組成物の硬化時の発泡を防止することができる。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートに使用する有機ポリイソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートを使用すると硬化性組成物の硬化が遅くなる場合がある。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとオキサゾリジン化合物を併用すると、これらの有機ポリイソシアネートを使用しても硬化性組成物の硬化を速めることができる。
オキサゾリジン化合物の数平均分子量は、硬化性組成物の硬化性、タイルとの接着性に優れることから、1,000未満が好ましく、さらに300〜900が好ましく、特に300〜700が好ましい。
オキサゾリジン化合物としては、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物、エステル基含有オキサゾリジン化合物、オキサゾリジンシリルエーテル化合物、カーボネート基含有オキサゾリジン化合物が挙げられる。これらのオキサゾリジン化合物は、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機ポリイソシアネートのイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させる等により得られる。これらのオキサゾリジン化合物のうち、製造し易いことからウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、具体的には、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1モルに対し、アルデヒド化合物またはケトン化合物のカルボニル基を1モル以上、好ましくは1〜1.5モル、さらに好ましくは1〜1.2モル使用し、トルエン、キシレン等の有機溶剤中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。過剰のアルデヒド化合物やケトン化合物は蒸留により除去することができる。
アルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒド、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、硬化性組成物が硬化するときの発泡防止性に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンが挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、有機ポリイソシアネートのイソシアネート基と水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基とをイソシアネート基/水酸基のモル比が0.9〜1.2、好ましくは0.95〜1.05となるように使用し、必要に応じて有機溶剤や反応触媒を使用し、50〜120℃の温度で反応させて得られるものが好適に挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の製造に用いられる有機ポリイソシアネートは、前述のウレタンプレポリマーの製造に用いられるのと同様のものが挙げられる。このうち、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、特にキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
エステル基含有オキサゾリジン化合物は、前述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジカルボン酸またはポリカルボン酸の低級アルキルエステルとの反応によって得ることができる。
オキサゾリジンシリルエーテル化合物は、前述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物と、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの脱アルコール反応により得られる。
カーボネート基含有オキサゾリジン化合物は、前述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジアリルカーボネート等のカーボネートとを、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを用いて反応させることによって得ることができる。
これらのオキサゾリジン化合物は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、オキサゾリジン化合物は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応するアミノ基や水酸基等の活性水素含有官能基、あるいはイソシアネート基を有していないことが好ましい。これは、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーや硬化性組成物の粘度上昇、およびオキサゾリジン化合物の発泡防止性能の低下を防止するためである。ただし、前述のウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の製造において、モル比の選択により少量の活性水素含有官能基やイソシアネート基が分子内に残存する場合があるが、この場合は本発明の目的を達成する上で有していないとみなすことができる。なお、前記「少量」とは、分子内に残存する活性水素含有官能基またはイソシアネート基の量が、好ましくはオキサゾリジン化合物1g当たり、0.05ミリモル以下、さらに好ましくは0.02ミリモル以下である。
オキサゾリジン化合物の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートの合計量のイソシアネート基1モルに対して、オキサゾリジン化合物が加水分解して生成(再生)する2級アミノ基の活性水素が0.1〜1モルとするのが好ましく、さらに0.3〜1モルとするのが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、さらにシランカップリング剤を配合することができる。シランカップリング剤は、硬化性組成物と被着部材との接着性の向上を目的として使用する。被着部材としては、タイル、タイルと躯体との接着に使用される接合材(有機系接着剤、目地モルタル等)、躯体等が挙げられる。また、シランカップリング剤は、硬化性組成物の接着強度、耐アルカリ温水性を向上させるために使用する。
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシランカップリング剤、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤、p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリルシランカップリング剤、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリルカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシランカップリング剤、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシランカップリング剤、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等のウレイドシランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシランカップリング剤、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシランカップリング剤、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランカップリング剤が挙げられる。また、これらのシランカップリング剤のアルコキシ基を部分加水分解縮合させて得られるシランカップリング剤の部分加水分解縮合物を挙げることができる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤およびメルカプトシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートの合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、特に0.5〜5質量部が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、前述した各成分以外に必要に応じて各種の添加剤を含有することができる。添加剤は、硬化性組成物に配合して硬化性組成物の粘度調整、硬化促進、接着性等の各種の性能を向上させるために使用する。具体的には、硬化促進触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤および有機溶剤を挙げることができる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化促進触媒は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートが湿気等の水と反応して架橋硬化するのを促進させるために使用する。また、オキサゾリジン化合物から生成した2級アミノ基やアルコール性水酸基とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートのイソシアネート基との反応を促進させるために使用する。さらに、本発明の硬化性組成物を二液型反応硬化性組成物として使用する場合の硬化剤(ポリアミン、ポリオール、ポリチオール等の活性水素含有化合物)とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートのイソシアネート基との反応を促進させるために使用する。硬化促進触媒は、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーやオキサゾリジン化合物の製造時の反応触媒としても使用することができる。なお、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーやオキサゾリジン化合物の製造時の反応触媒として使用した場合は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中やオキサゾリジン化合物中に残存する反応触媒が硬化性組成物の硬化促進触媒として作用することもある。
硬化促進触媒としては、具体的には、金属系触媒、アミン系触媒を挙げることができる。
金属系触媒としては、金属と有機酸との塩、有機金属と有機酸との塩、金属キレート化合物が挙げられる。金属と有機酸との塩としては、錫、ジルコニウム、亜鉛、マンガン等の各種金属とオクチル酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩が挙げられる。具体的には、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、オクチル酸ジルコニウムが挙げられる。有機金属と有機酸との塩としては、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物が挙げられる。金属キレート化合物としては、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、錫系キレート化合物であるAGC社製EXCESTAR C−501、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトンマグネシウム、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンマンガンが挙げられる。
アミン系触媒としては、3級アミン類が挙げられる。3級アミン類としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)やこれら3級アミン類と有機カルボン酸の塩が挙げられる。
これらの硬化促進触媒は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化促進触媒の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートの合計量100質量部に対して、0.005〜5質量部、特に0.005〜2質量部が好ましい。
前述の金属系触媒、アミン系触媒の他に、有機カルボン酸系触媒、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物を使用することができる。有機カルボン酸系触媒、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物は、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環の加水分解を促進させるものである。オキサゾリジン環の加水分解の促進により、生成した第2級アミノ基とアルコール性水酸基(活性水素基)がイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応し、硬化性組成物の硬化が促進される。
有機カルボン酸系触媒としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、オクテン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、マレイン酸、アクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、フタル酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。
p−トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物としては、本発明の硬化性組成物に配合する前にp−トルエンスルホニルイソシアネートと水とを予め反応させて得られるもの、p−トルエンスルホニルイソシアネートを硬化性組成物に配合している間に水を添加して反応させたもの、硬化性組成物中に存在する水と反応させたものが挙げられる。
可塑剤は、硬化性組成物の粘度を下げて作業性を改善するとともに、硬化性組成物の硬化後のゴム物性を調節する目的で使用する。具体的には、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類等の低分子量の可塑剤;前述のウレタンプレポリマーの製造に使用するものと同様のポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオール、ポリオキシアルキレン系モノオールをウレタン化、エーテル化またはエステル化した数平均分子量が1,000以上の高分子量の可塑剤;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレン類等のイソシアネート基と反応しない数平均分子量1,000以上の高分子量の可塑剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
可塑剤の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜200質量部、さらに2〜50質量部が好ましい。
耐候安定剤は、硬化性組成物の酸化、光劣化、熱劣化を防止して耐候性や耐熱性をさらに向上させる目的で使用する。耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子量1,000未満の低分子量の化合物;コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物の他、ADEKA社製のアデカスタブLA−63P、LA−68LD等の分子量1,000以上の高分子量の化合物が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤;オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
これらのうち、耐候性向上の効果が高い点で、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。耐候安定剤の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよびイソシアヌレート変性ポリイソシアネートの合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部、さらに0.1〜5質量部が好ましい。
充填剤は、硬化性組成物の増量剤および硬化物の物性補強を目的として使用する。充填剤としては、無機系充填剤と有機系充填剤が挙げられる。無機系充填剤としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウム、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、無水ケイ酸、石英、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ等の無機粉末状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維等の無機系繊維状充填剤が挙げられる。有機系充填剤としては、木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、ゴム粉末、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の粉末等の有機粉末状充填剤が挙げられる。また、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の難燃性付与充填剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
充填剤の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜500質量部、さらに10〜300質量部、特に10〜200質量部が好ましい。
揺変性付与剤は、硬化性組成物に揺変性を付与し、硬化性組成物を垂直面や傾斜面に使用した際にタレ、スランプの発生を防止する目的や、硬化性組成物をビード塗布、クシ目ゴテ等で塗布した際に塗布形状を保持する目的で使用する。揺変性付与剤としては、無機系揺変性付与剤、有機系揺変性付与剤が挙げられる。無機系揺変性付与剤としては、表面処理炭酸カルシウムや微粉末シリカが挙げられる。有機系揺変性付与剤としては、尿素化合物、有機ベントナイト、脂肪酸アマイドが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
表面処理炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウムの表面を脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸金属塩、脂肪酸有機塩等の脂肪酸類で処理したものである。脂肪酸としては、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数10〜25の脂肪酸が挙げられる。金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、有機塩としては、アンモニウム塩が挙げられる。
微粉末シリカとしては、親水性シリカ、疎水性シリカを挙げることができる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
親水性シリカとしては、石英や珪砂等を微粉砕した天然シリカ、乾式シリカや湿式シリカ等の合成シリカが挙げられる。乾式シリカは、四塩化珪素等のシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られるものであり、ヒュームドシリカということもある。また、湿式シリカは、珪酸ソーダを鉱酸で中和することによって溶液中でシリカを析出させる沈降法シリカがあり、ホワイトカーボンということもある。
疎水性シリカとしては、親水性シリカに反応性を有する有機ケイ素化合物を用いて親水性シリカの表面処理を行い、疎水性にしたものが挙げられる。
貯蔵安定性向上剤(脱水剤)は、硬化性組成物の貯蔵安定性を向上させる目的で使用する。具体的には、硬化性組成物中に存在する水と反応して脱水剤の働きをするビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウムが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤は、硬化性組成物を着色し、硬化物に意匠性を付与する目的で使用する。具体的には、酸化チタンや酸化鉄等の無機系顔料、銅フタロシアニン等の有機系顔料、カーボンブラックが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
有機溶剤は、硬化性組成物の粘度を下げることで、硬化性組成物の押出し性、打設や塗布時の作業性を向上させる目的で使用する。有機溶剤としては、硬化性組成物中の他の成分との相溶性が良好で、かつ、他の成分と反応しない有機溶剤であれば特に制限なく使用することができる。有機溶剤としては、具体的には、ジメチルカーボネート等のカーボネート系溶剤、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、n−ヘキサン等の脂肪族系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリットや工業ガソリン等の石油留分系溶剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性組成物は、湿気等の水と反応して硬化するため、一液型湿気硬化性組成物として使用することができる。また、本発明の硬化性組成物を主剤とし、ポリアミン、ポリオール、ポリチオール等の活性水素含有化合物を硬化剤とする二液型反応硬化性組成物としても使用できる。本発明の硬化性組成物は、主剤と硬化剤の混合の手間がなく配合ミスや混合不足による硬化不良の発生もなく作業性に優れているため、一液型湿気硬化性組成物として使用するのが好ましい。
本発明の硬化性組成物の製造方法としては、特に限定されないが、具体的には、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、オキサゾリジン化合物、および必要に応じて、シランカップリング剤、添加剤を湿気等の水を遮断できるガラス製、ステンレス製等の攪拌装置付き混合容器に仕込み、乾燥空気や乾燥窒素気流下で攪拌し、均一になるまで混合して製造することができる。また、硬化性組成物の製造方法は、バッチ式や連続式の方法を用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、湿気等の水により増粘、硬化するため、湿気等の水を遮断できる容器に充填し密封して貯蔵するのが好ましい。容器としては、湿気等の水を遮断できる容器であれば特に制限はない。具体的には、金属製や樹脂製のペール缶、アルミ製や樹脂製の袋体、紙製や樹脂製のカートリッジが挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、タイルの剥落防止の観点からタイル接着強さ試験において、タイル保持力Rf(タイル接着強さ)が下記式(1)〜(2)を満たすものが好ましい。
Pd0=(Wt+Ww+We)×SA [N] (1)
Rf≧Pd0 (2)
(式(1)中、Wtはタイル重量荷重、Wwは風荷重、Weは地震荷重、SAは安全係数を表す。)
風荷重(Ww)は、建築基準法施行令第87条2、平成12年建設省告示第1454号および第1458号の計算式によって、以下の式(1a)〜(1d)を用いて求めることができる。
Ww=W×A (1a)
(W:風圧力[N/m]、A:風を受けるタイル面積[m])
W=q×Cf (1b)
(q:風の速度圧[N/m]、Cf:ピーク風力係数)
q=0.6×Er×(Vo×y) (1c)
(Er:風圧の鉛直分布係数、Vo:基準風速[m/s]、y:再現期間係数)
Er=1.7×(H/Z)α (1d)
(H:タイル高さ[m]、Z:地表面粗度区分に応じた係数[m]、α:地表面粗度区分に応じた係数)
一方、地震荷重(We)は、以下の式(1e)を用いて求めることができる。
We=タイル重量[kg]×地震加速度1G(9.8[m/s]) (1e)
本発明の硬化性組成物を使用する箇所が高さ13m以下の場合は、風荷重Wwを平成12年建設省告示第1458号適用除外部分の計算式によって、以下の式(1a)および(1f)を用いて求めることもできる。
Ww=W×A (1a)
(W:風圧力[N/m]、A:風を受けるタイル面積[m])
W=qC (1f)
(q:風の速度圧[N/m]、q=9.8×60√h(沖縄県はq=9.8×90√h)、h:タイル高さ[m]、C:風力係数(閉鎖型の建築物:風上側+0.8、風下側−0.4))
また、本発明の硬化性組成物は、タイルの剥落防止の観点から、タイル接着強さ試験において、風荷重に対するタイル保持力Rfwおよび地震荷重に対するタイル保持力Rfeが下記式(3)〜(5)を満たすものが好ましい。
Pd1=(Wt+Ww)×SA (3)
Pd2=(Wt+We)×SA (4)
Rfw≧Pd1、Rfe≧Pd2 (5)
(式(3)および(4)中、Wtはタイル重量荷重、Wwは風荷重、Weは地震荷重、SAは安全係数を表す。)
式(3)〜(5)では、大災害時(台風、地震)に生じる荷重を考慮し、
最大瞬間風速63[m/s]、室戸台風、1934年
最大地震加速度4022[gal]、岩手・宮城内陸地震、2008年
を用いて計算する。なお、大災害が同時に起こることは想定せず、風荷重に対するタイル保持力Rfwおよび地震荷重に対するタイル保持力Rfeは個別に算出し評価する。
本発明の硬化性組成物を用いたタイル補修方法およびタイル改修方法について説明する。
(I)タイル補修箇所やタイル改修箇所を確認するため、タイルの目視検査および打診検査を行う。タイルの目視検査は、タイルの汚れ、割れ、欠損、剥落等の不具合の有無について行う。目視検査でタイルの汚れ、割れ、欠損、剥落等の不具合を発見した場合は、その箇所にマーキングを行うことが好ましい。タイルの打診検査は、テストハンマーや打診棒を使用し、タイルを軽く叩いたりタイル表面を転がしたりして異音の有無によりタイルの浮きがないか確認する。異音があった場合は、その箇所にマーキングを行うことが好ましい。
(II)タイルの目視検査および打診検査で不具合が認められたタイルを必要に応じてスクレーパー、チゼル等の用具で除去する。タイルを除去した箇所およびその周辺部の躯体に付着している既設の接合材(接着剤等)は、できる限り除去することが好ましい。また、タイルを除去した箇所の周縁部のタイル目地部に付着している既設の接合材(セメントモルタル、有機系接着剤等)も、皮スキ、スクレーパー、グラインダー等の用具を用いてできる限り除去することが好ましい。また、既設の接合材を除去した箇所は、刷毛やブラシ等の用具で清掃し埃等を除去しておくことが好ましい。
(III)タイルを除去した箇所にセメントモルタルや有機系接着剤等の接合材を用いて代替タイルを壁の躯体に貼付し、接合材が十分に硬化するまで養生する。養生後、代替タイルにズレ等がないか確認し、代替タイル周縁の目地に本発明の硬化性組成物を打設し充填する。硬化性組成物を充填する前に必要に応じてプライマーを目地底や目地側面(タイル側面)に塗布することもできる。次いで、タイル目地の幅や深さに応じてヘラ等の用具で硬化性組成物の表面を平らにならし、タイル目地の幅や深さに応じて硬化性組成物の充填厚さを調整して養生硬化させる。硬化性組成物の充填量は、充填厚さ2mm以上が好ましい。
(IV)タイルの目視検査および打診検査でタイルに不具合が認められない箇所について、タイル壁建設からの年数を勘案し改修の有無について検討する。タイル壁の改修が必要と判断した場合は、改修の範囲を事前に確認しその範囲のタイル目地の目地材の劣化状況を目視および触診で確認する。タイル目地の目地材に、変色、ヘアクラック、ひび割れ、欠損等の不具合が認められる場合や、目地材の脆弱化により強度不足と認められる場合は、そのタイル目地の目地材をカッター、皮スキ、スクレーパー、グラインダー等の用具を用いてできる限り除去する。
(V)タイル壁の改修範囲のタイル目地に本発明の硬化性組成物を打設し充填する。次いで、タイル目地の幅や深さに応じてヘラ等の用具で硬化性組成物の表面を平らにならし、タイル目地の幅や深さに応じて硬化性組成物の充填厚さを調整して養生硬化させる。硬化性組成物を充填する前に必要に応じてプライマーを目地底や目地側面(タイル側面)に塗布することもできる。硬化性組成物の目地への充填量は、前記(III)で説明したものと同様が好ましい。
以下に本発明の実施例等を示すが、本発明が実施例等に限定されて解釈されるものではない。
[合成例1](イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量2,000、エクセノール2020、AGC社製)を313.5g、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、アクトコールMN−4000、三井化学SKCポリウレタン社製)を80.0g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298.3)を15.0g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)91.5g、ジブチル錫ジラウレート(ネオスタンU−100、日東化成社製)を0.1g仕込み、加温して75〜85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値以下になった時点で反応を終了させ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを合成した。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの分岐密度(理論値)は0.04ミリモル/gであり、アクリロイル基の含有量(理論値)は0.3ミリモル/gである。
[合成例2](ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、エステル管、加熱・冷却装置付き反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435.0gとトルエンを183.0g仕込み、攪拌しながらイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を328.0g仕込み、窒素ガスを流しながら、加温して110〜150℃で還流脱水反応を続け、副生する水(74.5g)を系外に取り出した。反応終了後、さらに減圧下(50〜70hPa)で加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物であるN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジンを得た。
次いで、得られたN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジン659.0gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を348.0g加え、80℃で8時間加熱し、滴定による実測NCO含有量が0.0質量%になった時点で反応終点とし、分子内にオキサゾリジン環を2個有するウレタン結合含有オキサゾリジン化合物を得た。ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物は常温で液体であった。
[実施例1]
攪拌機、加熱・冷却装置、窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを100g仕込み、攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(コロネートHX、NCO含量=21.8質量%、東ソー社製)を10g、酸化チタンを10g、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(カルファイン200M、丸尾カルシウム社製)を90g、有機溶剤(エクソールD40、JXTGエネルギー社製)を5g、アミノシランカップリング剤(KBM−903、信越シリコーン社製)を1g仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、ジメチルカーボネート5gにヒンダードアミン系光安定剤(アデカスタブLA−63P、ADEKA社製)を1g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤{ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}(イルガノックス1010、BASF社製)を1g加えた溶液、合成例2のウレタン結合含有オキサゾリジン化合物を15.2g仕込み、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、50〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して硬化性組成物を調製した。硬化性組成物中のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとイソシアヌレート変性ポリイソシアネートのイソシアネート基の割合は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1モルに対しイソシアヌレート変性ポリイソシアネートのイソシアネート基0.65モルである。
[比較例1]
一液型変成シリコーン系硬化性組成物(タイルエースF、セメダイン社製)を使用した。
[比較例2]
セメント系外装材用目地材(イナメジ、LIXIL社製)を使用した。
<硬化性組成物の評価>
実施例1および比較例1〜2の硬化性組成物(目地材)を用いて、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
「スランプ試験」
JIS A 1439(2016)「建築用シーリング材の試験方法」5.1スランプ試験に準拠し、スランプ縦試験(23℃)を行った。
「接着強さ試験」
(試験体の作製)
縦70mm×横300mm×厚さ20mmの四角モルタル片を用意し、その一面(縦70mm×横300mm)に一液型ウレタン系接着剤(オートンアドハー1455、オート化学工業社製)または一液型変成シリコーン系接着剤(タイルエースPro、セメダイン社製)を厚さ1.5mmとなるように塗布し、塗布面をヘラで平らにした。接着剤を塗布した四角モルタル片を23℃50%RHで14日間養生し、下地材を作製した。下地材の接着剤塗布面に縦40mm×横227mm×厚さ約16mm、重量0.298kgのタイル(テッセラボーダー、平田タイル社製)を置き、四角バッカーを用いてタイルの横二辺沿いに長さ227mm×幅4mm×厚さ2mmの目地を作製した。
作製した目地に実施例1または比較例1〜2の硬化性組成物(目地材)を充填しヘラで表面を平らにした。タイル側面と硬化性組成物(目地材)の被着面は227mm×2mm、下地塗布面と硬化性組成物(目地材)の被着面は227mm×4mmである。この試験体を23℃50%RHで14日間養生した。養生後、四角バッカーを外して接着強さ試験の常態評価の試験体とした。
常態評価の試験体をさらに80℃で14日間熱処理した。熱処理後、23℃の室内に1日静置し耐熱性評価の試験体とした。
常態評価の試験体をさらに60℃の水酸化カルシウム飽和水溶液中に7日間浸せきした。浸せき後、試験体をウエスで拭き取り23℃の室内に1日静置し耐アルカリ温水性評価の試験体とした。
(接着強さ測定)
試験体の接着強さ測定をJIS A 5557「外装タイル張り用有機系接着剤(2006)6.3.3e」の接着強さ試験に準じて行った。
Figure 2020133131
実施例1の結果から、本発明の硬化性組成物は、比較例1〜2の硬化性組成物(目地材)と比較し、下地面がウレタン系接着剤および変成シリコーン系接着剤の場合に、常態、熱処理後およびアルカリ温水処理後の接着強さが高いことが分かる。なお、比較例2のセメント系外装用目地材を用いた試験体は、アルカリ温水処理後においてタイルが目地材から容易に剥がれ接着強さが測定できなかった。
(タイル保持力の評価A)
Pd0を下記式(1)により求めた。
Pd0=(Wt+Ww+We)×SA (1)

タイル重量荷重Wt:0.298[kg]×9.8[m/s
風荷重Ww=風圧力W[N/m]×風を受けるタイル面積A[m
風圧力W=風の速度圧q×ピーク風力係数Cf
風の速度圧q=0.6×〔1.7×(H/450)0.2×(Vo×y)(地表面粗度区分III)
建築物の高さと軒の高さの平均H:12[m]、基準風速Vo:34[m/s](建設省告示第1454号第2(3)茨城県のうち千代田町および新治村)、再現期間係数y:1
ピーク風力係数Cf=ピーク外圧係数Cpe×Gpe−ピーク内圧係数Cpi×Gpi
Cpe:1(タイル地上高さZ:12[m]、建物基準高さH:12[m])、Gpe:2.94(地表面粗度区分III、タイル地上高さZ:12[m])
Cpi×Gpi:−0.5(閉鎖型の建築物、Cpe×Gpeが正)
風圧力W=風の速度圧q(470.5[N/m])×ピーク風力係数Cf(3.44)
地震荷重We=タイル重量(0.298[kg])×地震加速度1G(9.8[m/s])
安全係数SA:10
(試験体の)風を受けるタイル面積A:0.00908[m](縦0.04[m]×横0.227[m])
Pd0=(タイル重量荷重Wt(2.92[N])+風荷重Ww(14.70[N])+地震荷重We(2.92[N]))×安全係数SA(10)=205.40[N]
上記計算式よりPd0は205.40[N]であった。
(タイル保持力の評価B)
Pd1およびPd2を下記式(3)および(4)により求めた。
Pd1=(Wt+Ww)×SA (3)
Pd2=(Wt+We)×SA (4)

タイル重量荷重Wt:0.298[kg]×9.8[m/s
風荷重Ww=風圧力W[N/m]×風を受けるタイル面積A[m
ただし、基準風速Voを63[m/s](最大瞬間風速63[m/s]、室戸台風、1934年)とした。この条件において、風荷重Wwは50.46[N]であった。
地震荷重We=タイル重量×地震加速度G
タイル重量を0.298[kg]とし、地震加速度Gは2008年岩手・宮城内陸地震の値(4022[gal]×0.01[m/s])とした。この条件において、地震荷重Weは11.99[N]であった。
安全係数SA:3
Pd1=(2.92[N]+50.46[N])×3
Pd2=(2.92[N]+11.99[N])×3
上記式よりPd1は160.14[N]、Pd2は44.73[N]であった。
実施例1の硬化性組成物の接着強さ(タイル保持力Rf)は、上記で算出したPd0=205.40[N]より大きく、式(1)および式(2)を満たすものであった。したがって、本発明の硬化性組成物(実施例1)の接着強さは、下地面がウレタン系接着剤および変成シリコーン系接着剤であっても、十分なタイル保持力Rfを有することが分かる。一方、比較例1の硬化性組成物の接着強さ(タイル保持力Rf)は、下地面がウレタン系接着剤において、アルカリ温水処理後の接着強さが上記で算出したPd0より小さく、式(1)および式(2)を満たしていない。そのため、タイル保持力Rfの基準を満たしていないことが分かる。さらに、比較例2の目地材の接着強さ(タイル保持力Rf)は、下地面がウレタン系接着剤および変成シリコーン系接着剤において、接着強さが上記で算出したPd0より小さく、式(1)および式(2)を満たしていない。そのため、タイル保持力Rfの基準を満たしていないことが分かる。
実施例1の硬化性組成物の接着強さ(風荷重に対するタイル保持力Rfwおよび地震荷重に対するタイル保持力Rfe)は、上記で算出したPd1=160.14[N]、Pd2=44.73[N]より大きく、式(3)〜(5)を満たすものであった。したがって、本発明の硬化性組成物(実施例1)の接着強さは、下地面がウレタン系接着剤および変成シリコーン系接着剤であっても、十分な風荷重に対するタイル保持力Rfwおよび地震荷重に対するタイル保持力Rfeを有することが分かる。一方、比較例1の硬化性組成物の接着強さ(風荷重に対するタイル保持力Rfwおよび地震荷重に対するタイル保持力Rfe)は、下地面がウレタン系接着剤において、アルカリ温水処理後の接着強さが上記で算出したPd1より小さく、式(3)〜(5)を満たしていない。そのため、風荷重に対するタイル保持力Rfwの基準を満たしていないことが分かる。さらに、比較例2の目地材の接着強さ(風荷重に対するタイル保持力Rfwおよび地震荷重に対するタイル保持力Rfe)は、下地面がウレタン系接着剤および変成シリコーン系接着剤において、常態およびアルカリ温水処理後の接着強さが上記で算出したPd1またはPd2より小さく、式(3)〜(5)を満たしていない。そのため、常態の風荷重に対するタイル保持力Rfwの基準を満たしておらず、また、アルカリ温水処理後の風荷重に対するタイル保持力Rfwおよび地震荷重に対するタイル保持力Rfeの基準を満たしていないことが分かる。
本発明の硬化性組成物は、既設の有機系タイル用接着剤として一般的に使用されるウレタン系接着剤または変成シリコーン系接着剤のいずれであっても十分な接着強さ(タイル保持力)を確保できるため、タイル壁の補修や改修を行う際に有用であることが分かる。
本発明の硬化性組成物は、建築用、土木用に好適に使用することができる。また、本発明の硬化性組成物は、タイルの接着強さ試験において、常態、耐熱性、耐アルカリ温水性に優れるから、タイル目地用の硬化性組成物として好適に使用することができる。特に、下地がウレタン系接着剤および変成シリコーン系接着剤であっても、十分な接着強さ(タイル保持力)を確保できるため、タイル目地(壁)の補修用または改修用の硬化性組成物として好適に使用することができる。
本発明の硬化性組成物は、シーリング材組成物、目地材組成物、接着剤組成物として好適に使用することができる。

Claims (13)

  1. イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとオキサゾリジン化合物とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが、光反応性不飽和結合を分子内に有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記イソシアヌレート変性ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環族ポリイソシアネートを含む有機ポリイソシアネートのイソシアヌレート体であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記イソシアヌレート変性ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートを含む有機ポリイソシアネートのイソシアヌレート体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記イソシアヌレート変性ポリイソシアネートの配合量が、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1モルに対し、前記イソシアヌレート変性ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数が0.1〜1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. さらに、シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記シランカップリング剤が、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤およびメルカプトシランカップリング剤から選択される1種以上のシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  8. さらに、硬化促進触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、貯蔵安定性向上剤、着色剤および有機溶剤から選択される1種以上の添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  9. 前記硬化性組成物が、建築用または土木用の硬化性組成物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  10. 前記硬化性組成物が、タイル目地用の硬化性組成物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  11. 前記硬化性組成物とタイルとの接着強さ試験において、タイル保持力Rfが下記式(1)〜(2)を満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
    Pd0=(Wt+Ww+We)×SA (1)
    Rf≧Pd0 (2)
    (式(1)中、Wtはタイル重量荷重、Wwは風荷重、Weは地震荷重、SAは安全係数を表す。)
  12. 前記硬化性組成物とタイルとの接着強さ試験において、風荷重に対するタイル保持力Rfwおよび地震荷重に対するタイル保持力Rfeが下記式(3)〜(5)を満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
    Pd1=(Wt+Ww)×SA (3)
    Pd2=(Wt+We)×SA (4)
    Rfw≧Pd1、Rfe≧Pd2 (5)
    (式(3)および(4)中、Wtはタイル重量荷重、Wwは風荷重、Weは地震荷重、SAは安全係数を表す。)
  13. イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとオキサゾリジン化合物とを含有する硬化性組成物をタイル目地に充填し硬化させる工程を含むタイル補修方法およびタイル改修方法。
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