JP2020122060A - 熱収縮性フィルム、包装資材、成形品、容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】水蒸気バリア性、収縮性、二次加工工程における耐破断性、耐衝撃性、透明性、剛性に優れた熱収縮性フィルム、包装資材、成形品、容器を提供する。【解決手段】フェノキシ樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との混合樹脂組成物を主成分とする層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/分の条件下で測定される主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が100%以上である、熱収縮性フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、食品用包装材料、飲料用包装材料、医薬・医療用包装材料、化学品用包装材料、化粧品用包装材料、トイレタリー用包装材料、工業用包装材料、農業資材用包装材料等に好適に利用することができる熱収縮性フィルム、包装資材、成形品、容器に関する。
熱収縮性フィルムは、食品、飲料、医薬品、医療品、化学品、化粧品、トイレタリー、工業部材、農業資材等の包装資材として、幅広く利用されており、包装の対象となる物品や包装フィルムに求められる機能も多様化している。例えば、医薬・医療品や化学品、化粧品、トイレタリー用品といった分野では、水分の蒸散により高価な内容物が経時と共に減量するため、予め内容物を多く充填する操作が行われている。そのため、過剰量の充填を減らすために、包装資材に水蒸気バリア性を付与し、内容物の減量抑制が求められるようになってきた。
液状物が充填された容器に対する熱収縮性フィルムとして、一般的にポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等のフィルムが使用されるが、これらのフィルムでは、水蒸気透過率が大きく、水蒸気バリア性が要求される用途に用いるには不十分であった。
高い水蒸気バリア性を有する樹脂材料としては、フェノキシ樹脂が知られており、例えば、特許文献1には、フェノキシ樹脂からなる層と、熱可塑性樹脂からなる層を含有する熱収縮性多層フィルムも提案されている。
特開平9−286069号公報
包装資材に用いられる熱収縮性フィルムは、内容物の表記や製品名、使用上の注意事項などの文字や、製品の意匠性、購買意欲を上げるためにデザインされた柄などが印刷されて用いられることが多い。熱収縮性フィルムへの印刷は一般に、グラビア印刷機による多色印刷がなされるため、フィルムが多くの印刷ロールパスを経由する。
さらに、印刷されたフィルムは端部を溶剤塗布しながら観音開き状に折り畳まれ、フィルム端部同士を溶剤シールして筒状のフィルムロールを得る製袋工程を経由する。そして、充填工程において、筒状のフィルムロールよりフィルムが繰り出され、容器の高さ方向の所定の長さに裁断後、容器に装着させ収縮される。
このように、幾重に渡る二次加工工程のラインの流れ方向において、熱収縮性フィルムの耐破断性が低い場合、工程内でフィルムが破断し、重大な製造トラブルを招くため、熱収縮性フィルムにおける流れ方向の引張破断伸度は、安定した生産を維持するための重要な品質管理項目となっている。
さらに、近年では各工程における生産性向上や設備改良に伴い、印刷、製袋、充填工程はいずれもさらに高速化が進んでおり、常温で測定される引張破断伸度が大きくても、高速化されたラインでは破断が生じる場合もある。
そのため、高速化された二次加工の安定生産のためには、より低温雰囲気下での引張破断伸度の向上が非常に重要となる。これはプラスチックフィルムに温度−時間換算則が成り立つため、低温雰囲気下での挙動が高速雰囲気下での挙動と対応することに起因する。
ところで、特許文献1は、熱収縮性、酸素および水蒸気などのガスバリヤー性、柔軟性、成形性などに優れるフェノキシ樹脂からなる層と、熱可塑性樹脂からなる層を有する熱収縮性多層フィルムが開示されてはいるが、熱収縮性フィルムとして必要な流れ方向の引張破断伸度や、低温雰囲気下における引張伸度に関しては全く検討されておらず、包装材料等に好適に利用することができる熱収縮性フィルムとしては不十分である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、水蒸気バリア性、収縮性、耐破断性、耐衝撃性、透明性、剛性に優れた熱収縮性フィルムであり、特に、水蒸気バリア性と二次加工工程における耐破断性に優れた熱収縮性フィルムを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記従来技術の課題を解決し得る熱収縮性フィルムを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明の熱収縮フィルムは、フェノキシ樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との混合樹脂組成物を主成分とする層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/分の条件下で測定される主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が100%以上である。
上記熱収縮性フィルムにおいては、雰囲気温度0℃、引張速度100mm/分の条件下で測定される主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が100%以上であることが好ましい。
上記熱収縮性フィルムにおいては、100℃の温水中に10秒浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が50%以上であり、かつ、50℃の温水中に10秒浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が、−5%以上5%以下であることが好ましい。
上記熱収縮性フィルムにおいては、透湿度が40g/m・day以下であることが好ましい。
本発明は、上記いずれかに記載の熱収縮性フィルムが用いられた包装資材である。
本発明は、上記包装資材が装着された成形品又は容器である。
本発明によれば、水蒸気バリア性、収縮性、耐破断性、耐衝撃性、透明性、剛性に優れた熱収縮性フィルムを得ることができ、特に、水蒸気バリア性と二次加工工程における耐破断性に優れた熱収縮性フィルムを得ることができる。このため、水分の蒸散による内容物の減量抑制が求められる、医薬・医療品や化学品、化粧品、トイレタリー用品の包装用に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施形態の一例としての本発明の熱収縮性フィルム(以下、「本発明のフィルム」と略記することがある。)、包装資材、成形品、容器について説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分」とは、各層を構成する成分の合計を100質量%したとき、50質量%以上を占める成分であることを示し、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
また、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
また、本明細書における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものとする。
<熱収縮性フィルム>
本発明の熱収縮性フィルムは、フェノキシ樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との混合樹脂組成物を主成分とする層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムある。
(フェノキシ樹脂(A))
本発明で用いられるフェノキシ樹脂(A)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂である。該繰り返し単位を有していれば、分子鎖末端の構造は特に限定されるものではない。
Figure 2020122060
(Aは、カルボニルジフェニレン、スルホニルジフェニレン、m−フェニレン、p−フェニレン、イソプロピリデンジフェニレン、ビフェニレン、ビフェニレンオキシド、メチレンジフェニレン、ビフェニレンスルフィド、ナフチレン、ビフェニレンシアノメタン、3,3´−ジアルキルジフェニレン−イソプロピリデン、3,3´, 4,4´−テトラアルキルジフェニレン−イソプロピリデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の二価の芳香族部分であり、Rは、水素または一価の炭化水素である。また、nは正の整数である。)
また、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂において、一般式(1)中のAが、上記群から選ばれる2種以上の二価の芳香族部分を有する場合、フェノキシ樹脂(A)は共重合体となり、該共重合体も、好適に用いることができる。
本発明のフェノキシ樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上、好ましくは55℃以上、さらに好ましくは60℃以上であり、かつ140℃以下、好ましくは130℃以下、さらに好ましくは110℃以下であることが望ましい。Tgが50℃以上あれば、自然収縮が大き過ぎることがなく寸法安定性が良好なフィルムとなりやすく、実用上好ましい。一方、Tgが140℃以下であれば、必要に応じて可塑剤等を添加することにより、実用温度域(70℃以上90℃以下程度)において充分な熱収縮率を得ることができ、好ましい。
なお、上記Tgは、粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティ計測社製)を用いて、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分で測定し、得られたデータから損失弾性率(E”)のピーク値を求め、その時の温度をTgとするものである。
上記フェノキシ樹脂(A)は、非晶性または低結晶性の樹脂であることが好ましく、X線回折法によって測定される結晶化度が、通常20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。
上記フェノキシ樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、5,000以上が好ましく、8,000以上がより好ましく、10,000以上がさらに好ましい。数平均分子量が5,000以上であることにより、フェノキシ樹脂(A)に適度な溶融粘度を有することができ、溶融成形を容易にすることができる。また、数平均分子量(Mn)は、50,000以下が好ましく、40,000以下がより好ましく、30,000以下がさらに好ましい。数平均分子量が50,000以下であることにより、フェノキシ樹脂(A)の溶融粘度が高くなりすぎず、溶融成形を容易にすることができる。
上記フェノキシ樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、10,000以上が好ましく、20,000以上がより好ましく、30,000以上がさらに好ましい。重量平均分子量が10,000以上であることにより、フェノキシ樹脂(A)に適度な溶融粘度を有することができ、溶融成形を容易にすることができる。また、重量平均分子量(Mw)は、100,000以下が好ましく、90,000以下がより好ましく、80,000以下がさらに好ましい。重量平均分子量が100,000以下であることにより、フェノキシ樹脂(A)の溶融粘度が高くなりすぎず、溶融成形を容易にすることができる。
上記フェノキシ樹脂(A)は、公知の方法に準じて製造することができ、例えば、米国特許4,647,648、特開昭56−100828号公報、特公昭和28−4494号公報、特開昭62−106925号公報、特開昭62−15222号公報、特開平5−70587号公報等に記載されている方法に準じて製造することができる。
上記フェノキシ樹脂(A)は、市販のものを用いることができる。そのような市販品を例示すれば、GabrielPhenoxies社、新日鉄住金化学社、三菱ケミカル社のフェノキシ樹脂を挙げることができる。
(ポリエステル系樹脂(B))
本発明で用いられるポリエステル系樹脂(B)は、主鎖にエステル結合を有する樹脂であれば、特にその種類を限定するものではない。例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクタム等のポリエステル系樹脂などを挙げることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレートなどの、ジカルボン酸成分と多価アルコール成分を構成ユニットとする共重合体が好ましい。
本発明において好適に用いることができるポリエステル系樹脂(B)としては、ジカルボン酸残基とジオール残基とから誘導されるポリエステル系樹脂である。ジカルボン酸残基の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、エチレン−ビス−p−安息香酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそれらのエステル誘導体から誘導される残基が挙げられる。これらのジカルボン酸残基は、1種を単独で、または2種以上を含有していてもよい。中でもテレフタル酸残基とエチレングリコール残基とを含むポリエステル樹脂が好適に用いられる。
本発明において、より好ましくはジカルボン酸残基とジオール残基の少なくとも一方が、2種以上の残基からなる混合物である。本明細書では、前記2種以上の残基において、主残基、すなわち質量(モル%)が最多のものを第1残基とし、該第1残基よりも少量のものを第2残基以下の残基(すなわち、第2残基、第3残基・・・)とする。ジカルボン酸残基とジオール残基とをこのような混合物系にすることにより、得られるポリエステル系樹脂の結晶性を低くできるため、結晶化の進行を抑えることができるため好ましい。
好ましいジオール残基の混合物としては、例えば、第1残基として前記エチレングリコール残基、第2残基として1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも一種から誘導される残基、好ましくは1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を用いたものが挙げられる。
また、好ましいジカルボン酸残基の混合物としては、例えば、第1残基としてテレフタル酸残基、第2残基としてイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸及びアジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種から誘導される残基、好ましくはイソフタル酸残基を用いたものが挙げられる。
前記第2残基以下のジカルボン酸残基及びジオール残基の総量の含有率は、前記ジカルボン酸残基の総量(100モル%)と前記ジオール残基の総量(100モル%)との合計(200モル%)に対して、10モル%以上、好ましくは20モル%以上であり、40モル%以下、好ましくは35モル%以下である。前記2残基以下の残基の含有率が10モル%以上であれば、得られるポリエステルの結晶化度を低く抑えることができる。一方、前記2残基以下の残基の含有率が40モル%以下であれば、第1残基の長所を活かすことができる。
例えば、ジカルボン酸残基がテレフタル酸残基であり、ジオール残基の第1残基がエチレングリコール残基、第2残基が1,4−シクロヘキサンジメタノール残基である場合、第2残基である1,4−シクロヘキサンジメタノール残基の含有率は、ジカルボン酸残基であるテレフタル酸残基の総量(100モル%)と、エチレングリコール残基及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基の総量(100モル%)との合計(200モル%)に対して10モル%以上、好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは25モル%以上であり、かつ40モル%以下、好ましくは38モル%以下、さらに好ましくは35モル%以下の範囲である。この範囲でジオール残基としてエチレングリコール残基及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を用いることにより、得られるポリエステルの結晶性がほとんどなくなり、かつ耐破断性も向上できる。
さらに前記の例において、ジカルボン酸残基が第1残基としてテレフタル酸残基、第2残基としてイソフタル酸残基からなる場合、ジカルボン酸残基であるイソフタル酸残基とジオール残基である1,4−シクロヘキサンジメタノール残基との含有率は、テレフタル酸残基及びイソフタル酸残基の総量(100モル%)と、エチレングリコール残基及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基との総量(100モル%)の合計(200モル%)に対して10モル%以上、好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは25モル%以上であり、かつ40 モル%以下、好ましくは38%モル以下、さらに好ましくは35モル%以下の範囲である。
上記ポリエステル系樹脂の屈折率(n1)は、1.560以上1.580以下、好ましくは1.565以上1.574以下であることが好ましい。
上記ポリエステル系樹脂(B)の固有粘度(IV)は、0.5dl/g以上、好ましくは0.6dl/g以上、さらに好ましくは0.7dl/g以上であり、かつ1.5dl/g以下、好ましくは1.2dl/g以下、さらに好ましくは1.0dl/g以下である。固有粘度(IV)が0.5dl/g以上であれば、フィルム強度特性や耐熱性が低下することを抑えられる。一方、固有粘度が1.5dl/g以下であれば、延伸張力の増大に伴う破断等を防ぐことができる。
市販の上記ポリエステル系樹脂の例として、「PETGcoplyester」(イーストマンケミカル社製)、「Embrace」(イーストマンケミカル社製)、「PETGSKYGREEN」(SKケミカル社製)などが挙げられる。
また、耐熱性付与などの観点から、ポリエステル系樹脂(B)として、ポリエチレンテレフタレート系共重合体、ポリブチレンテレフタレート系共重合体の少なくとも1種を用いることも好ましい。また、ポリエチレンテレフタレート系共重合体と、ポリブチレンテレフタレート系共重合体の混合物をポリエステル系樹脂(B)として用いることも好ましい。
熱収縮性を付与するにあたり、前記ポリエチレンテレフタレート系共重合体と前記ポリブチレンテレフタレート系共重合体の少なくとも1種を用いることにより熱収縮挙動を調整することができる。すなわち、前記ポリエチレンテレフタレート系共重合のガラス転移温度(Tg)と前記ポリブチレンテレフタレート系共重合体のTgは大きく相違するため、双方を混合することにより、熱収縮率が増加する温度範囲を拡大でき、その結果、熱収縮開始からの急激な収縮を抑制できる。
また、前記ポリエチレンテレフタレート系共重合体と前記ポリブチレンテレフタレート系共重合体の少なくとも1種を用いることにより、前記フェノキシ樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B)の混合樹脂組成物の結晶性も制御することができる。そのため、過度な結晶化による熱収縮性の阻害などを抑制し、耐熱性を付与しつつ、十分な収縮率を付与することができる。
また、本発明で用いられるポリエステル系樹脂(B)としては、前記ジカルボン酸残基とジオール残基とから誘導されるポリエステル系樹脂以外にも、カルボン酸残基とアルコール残基とを1分子中に持つモノマーを重合したポリエステル樹脂を用いることもできる。特にポリ乳酸や、ポリ−ε−カプロラクタムは剛性、低温収縮性、低自然収縮性を付与することから好適に用いることができる。
(混合樹脂組成物)
本発明のフィルムは、前記フェノキシ樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B)との混合樹脂組成物を主成分とする層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムである。
前記混合樹脂組成物において、前記フェノキシ樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B)の配合比率は(A)+(B)を100質量%としたとき、(A)/(B)=1〜99質量%/99〜1質量%であることが好ましく、(A)/(B)=5〜90質量%/95〜10質量%であることがより好ましく、(A)/(B)=10〜80質量%/90〜20質量%であることが更に好ましく、(A)/(B)=10〜60質量%/90〜40質量%であることが最も好ましい。前記混合樹脂組成物において、前記フェノキシ樹脂(A)の配合比率が1質量%以上であれば、水蒸気バリア性が向上し好ましく、99質量%以下であれば、フィルムの製膜性や延伸性が良好となり好ましい。
前記混合樹脂組成物には、フィルムの滑り性付与やブロッキング防止のため、非相溶性の樹脂をブレンドする手法や、アンチブロッキング剤と呼ばれるものを添加することが好ましい。
前記アンチブロッキング剤を例示すると、シリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの無機粒子、無機酸化物、炭酸塩、または、架橋アクリル系、架橋ポリエステル系、架橋ポリスチレン系、シリコーン系等の有機粒子などが挙げられる。また、多段階で重合せしめた多層構造を形成した有機粒子も用いることができる。中でも、シリカや有機粒子が好ましく用いられる。
前記アンチブロッキング剤はフィルム表面を荒らすことにより、滑り性や耐ブロッキング性を発現させるため、適切な添加量、及び、種類を選択しなければ、透明性や、フィルムの光沢を阻害してしまう。上記アンチブロッキング剤の添加量は、構成する樹脂組成物全体の質量を基準(100質量%)として、0.01質量%以上、好ましくは0.015質量%以上、さらに好ましくは0.02質量%以上であり、かつ、2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下、さら好ましくは1質量%以下とすることが望ましい。前記アンチブロッキング剤の添加量が少なすぎる(0.01質量%未満)と、フィルム表面へアンチブロッキング剤が析出しづらく、フィルム表面に凹凸を形成しづらいため、十分な滑り性や耐ブロッキング性を発現しづらい。また、逆にアンチブロッキング剤が多すぎる(2質量%超)と、フィルム表面の過剰な凹凸が生じやすく、表面荒れによる透明性の阻害や、過剰な滑り性の付与によるフィルムロールの巻きづれなどが生じやすい。
前記アンチブロッキング剤の形状は、特に限定されるものではないが、凝集抑制、均一分散の観点、透過する光の乱反射抑制、及びフィルム表面に形成される凹凸の観点から球状のものが好ましく用いられる。前記アンチブロッキング剤の平均粒径は、0.5μm以上、好ましくは1μm以上であり、かつ、10μm以下、好ましくは8μm以下、さらに好ましくは6μm以下であることが望ましい。前記アンチブロッキング剤の平均粒径が小さすぎる(0.5μm未満)と、表面へ析出しづらく、また、表面に析出したアンチブロッキング剤においても、滑り性や耐ブロッキング性を発現するに十分な凹凸を付与しづらい。一方、前記アンチブロッキング剤の平均粒径が大きすぎる(10μm超)と、本発明のフィルムに印刷を施し、意匠性を高める場合において、インキ抜けなどが生じやすく、印刷図柄の外観を損ねるため好ましくない。前記アンチブロッキング剤の粒径の分布は、特に制限されるものではないが、前記粒径の大小による弊害の関係より、粒径分布が狭いものの方が好ましい。粒径分布が広くなりすぎると、前述した好ましく用いられる粒径の範囲より逸脱するものが含まれる可能性があり、好ましくない。
(その他の成分)
本発明の熱収縮性フィルムには、必要に応じて、低分子化合物、炭化水素樹脂類、添加物などを含有させることができる。
(1)低分子化合物
本発明の熱収縮性フィルムに低分子化合物を含有させることにより、フィルムの延伸性や収縮特性の向上と収縮応力の低減が期待できる。
低分子化合物は、数平均分子量が概略10,000以下、通常5,000以下の範囲の分子量を持つ可塑剤、すなわち添加する相手側の樹脂のガラス転移温度(Tg)を低下させる機能を備えた化合物であり、含有させた際に外観上分離しない程度の相溶性、特に透明乃至半透明の状態である程度の相溶性を有するものが好ましい。具体的には、通常、塩化ビニル樹脂に対する可塑剤として知られているもの、すなわちフタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪族エステル系可塑剤、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリデシル等のトリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸テトラオクチル等のピロメリット酸系可塑剤、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸2−エチルヘキシルジフェニル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の脂肪族二塩基酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシステアリン酸エステル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル等のエポキシ系可塑剤や、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状水素化ポリブタジエン、液状水素化ポリイソプレン、液状ブチルゴム、流動パラフィン等が例示できる。中でも相溶性の観点から、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状水素化ポリブタジエン、液状水素化ポリイソプレン、及び流動パラフィンから選ばれる少なくとも1種を好適に使用できる。また、上記低分子化合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記低分子化合物の添加量は、前記混合樹脂組成物100質量部に対し、1質量部以上、好ましくは2質量部以上であり、かつ15質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲で含有させることができる。低分子化合物の含有量が前記混合樹脂組成物100質量部に対して1質量部以上であれば、フィルムの延伸性が良好であり、かつフィルムの低温収縮特性と収縮応力が十分に抑制され好ましい。一方、含有量が15質量部以下であれば、経時的にフィルム表面がブリードしてフィルム同士がブロッキングすることを抑えられるとともに、耐衝撃性の低下を抑えられるため好ましい。
上記低分子化合物は、市販のものを用いることができる。そのような市販品を例示すれば、JXTGエネルギー社製の商品名「日石ポリブテン」、日本曹達社製「NISSO−PB」、ADEKA社製の商品名「アデカサイザー」、出光興産社製の商品名「ダイアナプロセスオイル」等が挙げられる。
(2)炭化水素樹脂類
本発明の熱収縮性フィルムに、炭化水素樹脂類を含有させることにより、フィルム表面の光沢度や収縮特性が向上するという効果が得られる。
前記炭化水素樹脂類としては、例えば、石油樹脂として、シクロペンタジエン又はその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂等が例示でき、また、テルペン樹脂として、β−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂等が例示でき、また、ロジン系樹脂として、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が例示できる。
炭化水素樹脂類が石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂又はこれらの水素添加物のいずれかである場合、それらの分子量に応じた種々の軟化温度を有する樹脂が存在するが、本発明では、軟化温度が100℃以上、好ましくは110℃以上であり、かつ150℃以下、好ましくは140℃以下のものが好適に用いられる。炭化水素樹脂類の軟化温度が100℃以上であれば、経時的にフィルム表面にブリードし、ブロッキングを招いたり、フィルム全体の機械的強度が低下して破れやすくなったりすることがなく、実用的に好ましい。一方、軟化温度が150℃以下であれば、前記混合樹脂組成物との相溶性が良好に維持され、経時的にブロッキングの発生や透明性の低下を抑えることができる。
上記炭化水素樹脂類の含有量は、前記混合樹脂組成物100質量部に対し、2質量部以上、好ましくは5質量部以上であり、かつ40質量部以下、好ましくは20質量部以下の範囲であることが望ましい。炭化水素樹脂類の含有量が2質量部以上であれば、フィルム表面の光沢度や収縮特性の向上効果が得られるため好ましい。一方、炭化水素樹脂類の含有量が40質量部以下であれば、経時的にフィルム表面にブリードし、フィルム同士がブロッキングしたり、耐衝撃性が低下したりするといった問題を抑えることができる。
上記炭化水素樹脂類は市販品を用いることができ、具体的には三井化学社の商品名「ハイレッツ」、「ペトロジン」、荒川化学工業社の商品名「アルコン」、ヤスハラケミカル社の商品名「クリアロン」、出光興産社の商品名「アイマーブ」、トーネックス社の商品名「エスコレッツ」等の市販品が挙げられる。
(3)他の添加物
さらに、上述した成分の他、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、成形加工性、生産性、熱収縮性フィルムの諸物性等を改良・調整するため、フィルムの耳等のトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤等の添加剤を適宜含有させても構わない。
(熱収縮性フィルムの層構成)
本発明の熱収縮性フィルムは、前記フェノキシ樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B)との混合樹脂組成物を主成分とする層を少なくとも1層有していればよく、当該層を(I)層とした場合、(I)層単層、(I)層/(II)層の2層構成や、(I)層/(II)層/(III)層、(II)層/(I)層/(III)層、(I)層/(II)層/(I)層、(II)層/(I)層/(II)層の3層構成などの構成を採用することができ、層数に制限はない。
また、(I)層以外の層は、(I)層と共に共押出によって積層としてもよいし、(I)層を少なくとも1層有するフィルムに、別工程で得たフィルムや不織布、紙、金属などをラミネートして積層してもよい。
本発明の熱収縮性フィルムが積層フィルムの場合、(I)層はその機能を発揮させる点から、1μm以上、好ましくは2μm以上で、且つ15μm以下の範囲であることが、フィルムの腰(常温での剛性)、耐指紋白化性、収縮仕上がり性、透明性、自然収縮、再生添加性に優れ、かつ精度良く比重分離可能なフィルムがバランス良く得られる観点から望ましい。
<熱収縮性フィルムの引張破断伸度>
(常温引張破断伸度)
本発明の熱収縮性フィルムは、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/分の条件下で、JISK7127に準拠して測定される、主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が、100%以上であることが重要である。より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上である。23℃環境下での引張破断伸度が上記範囲内であれば、印刷・製袋などの工程時にフィルム状物が破断するなどの不具合が生じにくく、好ましい。また被覆物との密着部分から破袋等が発生しにくく、好ましい。なお、主収縮方向に直交する方向は、フィルム状物の引き取り(流れ)方向(又は、MD)であることが好ましい。
雰囲気温度23℃での引張破断伸度を上記範囲とするには、配合の調整、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整などを適宜行うことによって調整できる。
(低温引張破断伸度)
本発明の熱収縮性フィルムは、雰囲気温度0℃、引張速度100mm/分の条件下で、JISK7127に準拠して測定される、主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が、100%以上であることが好ましく、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上である。0℃環境下での引張破断伸度が上記範囲内であれば、印刷・製袋などの工程時にフィルム状物が破断するなどの不具合が生じにくく、好ましい。また被覆物との密着部分から破袋等が発生しにくく、好ましい。なお、主収縮方向に直交する方向は、フィルム状物の引き取り(流れ)方向(又は、MD)であることが好ましい。
雰囲気温度0℃での引張破断伸度を上記範囲とするには、配合の調整、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整などを適宜行うことによって調整できる。
(極低温引張破断伸度)
本発明の熱収縮性フィルムは、雰囲気温度−10℃、引張速度100mm/分の条件下で、JISK7127に準拠して測定される、主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が、100%以上であることが好ましい。より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上である。−10℃環境下での引張破断伸度が上記範囲内であれば、印刷・製袋などの工程時にフィルム状物が破断するなどの不具合が生じにくく、高速化されたラインにおいても耐破断性を維持できるため、好ましい。また被覆物との密着部分から破袋等が発生しにくく、好ましい。なお、主収縮方向に直交する方向は、フィルム状物の引き取り(流れ)方向(又は、MD)であることが好ましい。
雰囲気温度−10℃での引張破断伸度を上記範囲とするには、配合の調整、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整などを適宜行うことによって調整できる。
<熱収縮性フィルムの熱収縮性>
(熱収縮性)
本発明の熱収縮性フィルムは、100℃の温水中に10秒浸漬したときの少なくとも一方向(主収縮方向)の熱収縮率が50%以上であることが好ましい。また、該一方向は、熱収縮フィルムの押出機からの流れ方向(MD)を縦方向、その直交方向(TD)としたとき、押出機からの直交方向(TD)であることが好ましい。また、容器の収縮ラベルは、収縮加工工程において比較的短時間(数秒〜十数秒程度)で収縮する必要がある。熱収縮率は、熱収縮性フィルムが収縮ラベル用途に適応できるかどうかの可能性を判断する際の指標となる。すなわち、容器のラベル装着用途に工業的に最も多く用いられている収縮加工機は、収縮加工を行う加熱媒体として水蒸気を用いる蒸気シュリンカーと一般に呼ばれているものであり、熱収縮性フィルムは被覆対象物への熱の影響等の点からできるだけ短時間で十分熱収縮することが必要である。
このような工業生産性を考慮すると、上記条件における熱収縮率が50%以上であれば、収縮加工時間内に十分に被覆対物に密着することができると判断することができる。
また、本発明の熱収縮性フィルムは、90℃の温水中に10秒浸漬したときの少なくとも一方向(主収縮方向)の熱収縮率が40%以上であることが好ましい。また、該一方向は、TDであることが好ましい。また、80℃の温水中に10秒浸漬したときの少なくとも一方向(主収縮方向)の熱収縮率が20%以上であることが好ましい。また、該一方向は、TDであることが好ましい。さらに、70℃の温水中に10秒浸漬したときの少なくとも一方向(主収縮方向)の熱収縮率が5%以上であることが好ましい。また、該一方向は、TDであることが好ましい。収縮工程においては、熱収縮性フィルムを被覆対象物に対して完全に被覆する前に、低温で少し収縮(プレシュリンク)させ、被覆対象物へフィルムの位置固定が行われることもある。その際、各温度における収縮率が上述の好ましい範囲にある場合、より低温から少しずつ被覆対象物にフィルムを収縮させることができるため好ましい。
本発明の熱収縮性フィルムの熱収縮率を上記範囲とするためには、例えば、用いる樹脂の特性に応じて各層の樹脂又は樹脂の組成を調整するとともに、延伸手段、延伸温度を適宜調整すればよい。例えば、熱収縮率を増加したい場合には、延伸温度を下げる、延伸倍率を上げる等の手段を採用すればよい。
また、容器の収縮ラベル用途においては、本発明の熱収縮性フィルムを80℃の温水中に10秒浸漬したときの、フィルム主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。フィルム主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が10%以下のフィルムであれば、収縮後の主収縮方向と直交する方向の寸法自体が短くなったり、収縮後の印刷柄や文字のゆがみ等が生じやすかったり、角型ボトルの場合においては縦ひけ等のトラブルが発生し難く、好ましい。なお、本明細書において「主収縮方向」とは、縦方向(長手方向)と横方向(幅方向)のうち熱収縮率の大きい方向を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向を意味する。
(自然収縮率)
本発明の熱収縮性フィルムの自然収縮率はできるだけ小さい方が望ましく、熱収縮性フィルムの自然収縮率は、例えば、30℃、50%RH雰囲気下で30日間程度放置する条件において2.0%未満であれば一般的には実用上問題を生じにくい。より好ましくは1.5%未満である。本発明の熱収縮性フィルムの自然収縮率を2.0%未満とするためには、前記フェノキシ樹脂(A)をガラス転移温度(Tg)50℃以上のものを使用したり、延伸温度を樹脂のガラス転移温度(Tg)や熱収縮性フィルムに要求される特性によって適宜調整したりすればよい。一般には、概ね60℃以上130℃以下、好ましくは70℃以上110℃以下の範囲で制御すればよい。
そのため、本発明の熱収縮性フィルムの50℃の温水中に10秒浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が−5%以上5%以下であることが好ましく、−2%以上2%以下であることがより好ましく、0%であることがさらに好ましい。なお、本発明の熱収縮性フィルムの自然収縮率を2.0%未満とする方法が上記の方法に限定されるものではない。
<熱収縮性フィルムの透湿度>
(透湿度)
本発明の熱収縮性フィルムは、JISZ0208(防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))の諸条件に準拠したて測定した透湿度が40g/m・day以下であることが好ましい。より好ましくは35g/m・day以下であり、さらに好ましくは30g/m・day以下である。透湿度が上記範囲内であれば、水蒸気バリア性として十分な性能を示し、熱収縮性フィルムの装着の有無による内容物の蒸散抑制効果を明確に確認することができる。
(フィルム厚さ40μm換算の透湿度)
フィルムの透湿度は、フィルムが厚い方が透湿度が小さくなり、薄い方が透湿度が大きくなる。そのため、厚さが異なるフィルムにおける透湿度の優劣を明確にするため、厚さ換算した透湿度を指標の一つに用いる。例えば、厚さd(μm)のフィルムの透湿度がX(g/m・day)であった場合、フィルム厚さ40μm換算の透湿度Y(g/m・day)は、Y=X・d/40として算出することができる。
本発明の熱収縮性フィルムは、フィルム厚さ40μm換算の透湿度は、40g/m・day以下であることが好ましい。より好ましくは35g/m・day以下であり、さらに好ましくは30g/m・day以下である。
<熱収縮性フィルムのその他物性>
(ヘイズ)
本発明の熱収縮性フィルムの透明性は、通常、ヘイズで10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。フィルムのヘイズが10%以下であれば、クリアーなディスプレー効果が得られるため好ましい。フィルムのヘイズは、JISK7136に準拠して測定することができる。
(引張弾性率)
本発明の熱収縮性フィルムは、フィルムの腰(常温での剛性)の観点から、フィルム主収縮方向と直交する方向(以下「直交方向」ともいう)の、雰囲気温度23℃における引張弾性率が1500MPa以上であることが好ましく、1600MPa以上であることがより好ましく、1700MPa以上であることがさらに好ましい。また、フィルム直交方向の引張弾性率の上限は特に制限されないが、通常使用される熱収縮性フィルムの引張弾性率の上限値を考慮すれば、上限値は2500MPa〜3000MPa程度であるのが好ましい。フィルム直交方向の引張弾性率が1500MPa以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)が高く、特にフィルムの厚さを薄くしていった場合にも、容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に斜めに被る、フィルムの腰折れ等で歩留まりが低下しやすい等の問題点が発生し難く、好ましい。
(収縮応力)
本発明の熱収縮性フィルムは、80℃シリコンオイルに10秒間浸漬したときのフィルム主収縮方向の最大収縮応力が10MPa以下、好ましくは8MPa以下、さらに好ましくは6MPa以下であることが好ましい。一方、フィルム主収縮方向の最大収縮応力の下限は、ボトルと熱収縮性フィルムとの密着性を維持する観点から0.5MPa以上であることが好ましい。フィルム主収縮方向の最大収縮応力が10MPa以下であれば、蒸気シュリンカーでのラベル装着時、シュリンカー内の温度斑に対して、フィルムの収縮挙動の異なる部位が発生し難く、斑、皺、アバタ等が発生し難いため、収縮仕上がりが良好となりやすい。
<熱収縮性フィルムの厚さ>
本発明の熱収縮性フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上であり、80μm以下、好ましくは70μm以下の厚さである。フィルムの厚さが10μm以上であれば、フィルムのハンドリング性が良好であると共に、十分な水蒸気バリア性を有する。一方、フィルムの厚さが80μm以下であれば透明性や収縮加工性に優れ、経済的にも好ましい。
また、本発明の熱収縮性フィルムは、必要に応じて、コロナ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工等を施すことができる。
<熱収縮性フィルムの製造方法>
本発明の熱収縮性フィルムは、従来公知の製造方法において条件を適宜変更して製造することができ、特に製造方法が限定されるものではない。
本発明の熱収縮性フィルムの形態は特に限定されず、平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面への印刷可能性等の観点から、平面状の形態であることが好ましい。平面状フィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて各層で使用する樹脂及び樹脂組成物を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸、横方向にテンター延伸をし、その後、アニール、冷却、必要に応じてコロナ放電処理等を経る工程により、1軸又は2軸方向に延伸されたフィルムを製造する方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状フィルムを製造する方法も適用できる。
ここで、押出成形温度は、樹脂及び樹脂の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね260℃以下、好ましくは200℃以上250℃以下の範囲が好適である。
延伸温度は、用いる樹脂及び樹脂のガラス転移温度(Tg)や熱収縮性フィルムに要求される特性により適宜変更する必要があるが、概ね60℃以上130℃以下、好ましくは70℃以上110℃以下の範囲で制御する。また、延伸倍率は、用いる樹脂及び樹脂の特性、延伸手段、延伸温度、目的の製品形態等に応じて、主収縮方向には1.5倍以上10倍以下、好ましくは3倍以上7倍以下の範囲で適宜決定される。また、横方向に1軸延伸する場合でもフィルムの機械物性改良等の目的で縦方向に1.05倍以上1.80倍以下程度の弱延伸を付与することも効果的である。
次いで、延伸したフィルムは、必要に応じて、自然収縮率の低減や熱収縮特性の改良等を目的として、50℃以上100℃以下程度の温度で熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却し、熱収縮性フィルムとする。
<包装資材>
本発明の熱収縮性フィルムは、各種用途への利用が可能であるが、好ましくは、フィルムの片面又は両面に印刷層を形成して、ガラス製容器やペットボトル等のプラスチック製容器に装着する熱収縮性ラベルなどの包装資材を形成することができる。
一般に、ラベル用途に用いられる熱収縮性フィルムの表面及び/又は裏面には、全面及び/又は部分的にグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、バーコータ等の公知方法により印刷層を形成する。印刷層形成に使用される印刷インキは特に限定されず、前記印刷法に応じて適宜選択でき、例えば、溶剤系(非水性)又は水性のアクリル樹脂系やウレタン樹脂系インキ、発泡性インキ、加熱発泡性インキ等を挙げることができる。
ラベル用途の包装資材は、被包装物によってフラット状から円筒状等に加工して包装に供される。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものは、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ、印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすればよい。センターシール方法としては、有機溶剤によるシール法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、及びインパルスシーラーによる方法があるが、外観の見栄えを考慮すると、有機溶剤のシール法を用いることが好ましい。
<成形品、容器>
本発明の熱収縮性フィルムは、フィルムの腰(常温での剛性)、耐指紋白化性、収縮仕上がり性、透明性、再生添加性等の機械的強度等に優れ、かつ自然収縮及び収縮応力が小さいため、成形品又は容器に装着する際、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)の成形品又は容器であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗に装着する包装資材とすることができる。よって、本発明の熱収縮性フィルムを装着する対象物としては、例えば瓶、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器など、様々な形状の成形品又は容器が挙げられる。
特に本発明の熱収縮性フィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用又は食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用の収縮性ラベルとして用いた場合には、前述のように複雑な形状であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる点で特に優れている。
本発明の熱収縮性フィルムは、プラスチック製容器の熱収縮性ラベル素材のほか、熱膨張率や吸水性等が本発明の熱収縮性フィルムとは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いた包装体(容器)の熱収縮性ラベル用途の包装資材として好適に利用できる。
本発明の包装資材が装着されたプラスチック製容器体を構成する材質としては、上記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらのプラスチック製容器は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
また、本発明の熱収縮性フィルムは、水蒸気バリア性に優れるという特性を有しているので、この特性を生かして、水蒸気の蒸散により内容物が経時に減量してしまうことを防ぐべく、高価な水溶液である内容物を備えた、医薬・医療用包装資材、化学品用包装資材、化粧品用包装資材、トイレタリー用包装資材として、好適である。
以下に本発明の内容を実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるフィルムについての種々の測定値及び評価は以下のようにして行った。ここで、フィルムの押出機からの流れ方向(MD)を縦方向、その直交方向(TD)を横方向と呼ぶ。
(1)ヘイズ測定
JISK7136に準拠して、実施例、比較例で採取した未延伸シート、及び、熱収縮性フィルムのヘイズ値を測定した。
(2)23℃引張破断強度、引張破断伸度(MD)
得られた熱収縮性フィルムをMDに120mm、TDに15mmの大きさに切り出し、JISK7127に準拠し、引張速度200mm/minで、雰囲気温度23℃におけるフィルムのMDの引張破断強度、引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定した。
(3)23℃引張破断強度、引張破断伸度(TD)
得られた熱収縮性フィルムをTDに120mm、MDに15mmの大きさに切り出し、JISK7127に準拠し、引張速度200mm/minで、雰囲気温度23℃におけるフィルムのTDの引張破断強度、引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定した。
(4)0℃引張破断強度、引張破断伸度(MD)
得られた熱収縮性フィルムをMDに120mm、TDに15mmの大きさに切り出し、JISK7127に準拠し、引張速度100mm/minで雰囲気温度0℃におけるフィルムの引き取り方向(MD)の引張破断強度、引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定した。
(5)引張弾性率
得られた熱収縮性フィルムをJISK7127に準じて、雰囲気温度23℃におけるフィルムの引き取り方向(MD)、及び、TDの引張弾性率を測定した。
(6)熱収縮率
得られた熱収縮性フィルムをMD10mm、TD200mmの大きさに切り取り、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、TDの収縮量を測定した。熱収縮率は、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。また、得られた熱収縮性フィルムをMD200mm、TD10mmの大きさに切り取り、TDの熱収縮率測定と同様の測定条件にて、MDの熱収縮率を測定した。
(7)透湿度、フィルム厚さ40μm換算透湿度
得られた熱収縮性フィルムの水蒸気バリア性を評価するため、JISZ0208(防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))の諸条件に準拠し、透湿度を測定した。吸湿剤として塩化カルシウムを20g用い、温度40℃、相対湿度90%の恒温恒湿環境下で測定した。
また、フィルム厚さ40μm換算の透湿度Y(g/m・day)は、透湿度測定に用いたフィルム厚さd(μm)を測定し、そのフィルムの透湿度がX(g/m・day)であった場合、Y=X・d/40として算出した。
各実施例、比較例で使用した原材料は、下記の通りである。
<フェノキシ樹脂(A)>
・GabrielPhenoxies社製、フェノキシ樹脂、商品名:PKHH、Tg:94℃、数平均分子量13,000、重量平均分子量52,000(「A−1」と略する。)
<ポリエステル系樹脂(B)>
・SKケミカル社製、共重合ポリエステル、商品名;SKYGREEN PETG S2008、Tg:82℃(「B−1」と略する。)
<スチレン系樹脂(C)>
・旭化成社製、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン含有量82wt%、Tg:74℃(「C−1」と略する。)
<実施例1>
表1に示す配合に基づき、「A−1」20質量%、「B−1」80質量%を混合し、設定温度を210℃とした2軸押出機に導入し、溶融混練を行い、溶融樹脂をTダイ(口金)から77℃に設定したキャストロールで引き取り、冷却固化させて厚さ200μmの単層シートを得た。得られた未延伸シートのヘイズ値を表1に示す。次いで、得られた未延伸シートをフィルムテンターを用いて、105℃の予熱ゾーンで予熱した後、96℃の延伸ゾーンにて、幅方向の延伸倍率5倍にて延伸し、次いで76℃の熱処理ゾーンで熱処理を行い、熱収縮性フィルムを得た。これについて評価を行った結果を表2に示す。
<実施例2>
表1に示す配合に基づき、「A−1」40質量%、「B−1」60質量%を混合し、設定温度を210℃とした2軸押出機に導入し、溶融混練を行い、溶融樹脂をTダイ(口金)から82℃に設定したキャストロールで引き取り、冷却固化させて厚さ200μmの単層シートを得た。得られた未延伸シートのヘイズ値を表1に示す。次いで、得られた未延伸シートをフィルムテンターを用いて、108℃の予熱ゾーンで予熱した後、99℃の延伸ゾーンにて、幅方向の延伸倍率5倍にて延伸し、次いで76℃の熱処理ゾーンで熱処理を行い、熱収縮性フィルムを得た。これについて評価を行った結果を表2に示す。
<比較例1>
表1に示す配合に基づき、「C−1」100質量%を、設定温度を210℃とした2軸押出機に導入し、溶融混練を行い、溶融樹脂をTダイ(口金)から70℃に設定したキャストロールで引き取り、冷却固化させて厚さ200μmの単層シートを得た。得られた未延伸シートのヘイズ値を表1に示す。次いで、得られた未延伸シートをフィルムテンターを用いて、97℃の予熱ゾーンで予熱した後、88℃の延伸ゾーンにて、幅方向の延伸倍率5倍にて延伸し、次いで76℃の熱処理ゾーンで熱処理を行い、熱収縮性フィルムを得た。これについて評価を行った結果を表2に示す。
<比較例2>
表1に示す配合に基づき、「A−1」100質量%を、設定温度を210℃とした2軸押出機に導入し、溶融混練を行い、溶融樹脂をTダイ(口金)から92℃に設定したキャストロールで引き取り、冷却固化させて厚さ200μmの単層シートを得た。得られた未延伸シートのヘイズ値を表1に示す。次いで、得られた未延伸シートをフィルムテンターを用いて、115℃の予熱ゾーンで予熱した後、102℃の延伸ゾーンにて、幅方向の延伸倍率5倍にて延伸したが、破断してフィルムが採取できなかった。そのため、延伸ゾーン温度を106℃に変更したが、延伸温度を上げても、破断してフィルムが採取できなかった。
<比較例3>
表1に示す配合に基づき、「A−1」20質量%、「C−1」80質量%を混合し、設定温度を210℃とした2軸押出機に導入し、溶融混練を行い、溶融樹脂をTダイ(口金)から82℃に設定したキャストロールで引き取り、冷却固化させて厚さ200μmの単層シートを得た。しかしながら、表1に示すように、未延伸シートのヘイズ値が60%となり、熱収縮フィルムに求められる透明性が得られなかった。そのため、延伸は行わなかった。
<比較例4>
表1に示す配合に基づき、「A−1」40質量%、「C−1」60質量%を混合し、設定温度を210℃とした2軸押出機に導入し、溶融混練を行い、溶融樹脂をTダイ(口金)から82℃に設定したキャストロールで引き取り、冷却固化させて厚さ200μmの単層シートを得た。しかしながら、表1に示すように、未延伸シートのヘイズ値が72%となり、熱収縮フィルムに求められる透明性が得られなかった。そのため、延伸は行わなかった。
Figure 2020122060
Figure 2020122060
実施例1、2で得られた本発明の熱収縮性フィルムは、高い透明性を有し、かつ、熱収縮性フィルムに求められる十分な引張破断伸度を有し、かつ、水蒸気バリア性の高い熱収縮性フィルムが得られた。
一方、比較例1で得られた熱収縮性フィルムは、透湿性が高く、水蒸気バリア性が求められる用途に用いる熱収縮性フィルムとしては、不十分であった。また、比較例2では、本発明が規定するポリエステル系樹脂(B)を含有していないため、延伸性に乏しく、熱収縮性フィルムを採取することができなかった。さらに、比較例3、4では、未延伸シートにおいて不透明であり、透明性が求められる熱収縮性フィルムとして不適であった。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う熱収縮性フィルムもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の熱収縮性フィルムは、水蒸気バリア性、収縮性、耐破断性、耐衝撃性、剛性に優れるため、水蒸気バリア性が求められる食品用包装材料、飲料用包装材料、医薬・医療用包装材料、化学品用包装材料、化粧品用包装材料、トイレタリー用包装材料、工業用包装材料、農業資材用包装材料等に好適に利用することができ、これら用途向けの包装資材として好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. フェノキシ樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との混合樹脂組成物を主成分とする層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、
    雰囲気温度23℃、引張速度200mm/分の条件下で測定される主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が100%以上である、熱収縮性フィルム。
  2. 雰囲気温度0℃、引張速度100mm/分の条件下で測定される主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が100%以上である、請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
  3. 100℃の温水中に10秒浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が50%以上であり、かつ、50℃の温水中に10秒浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が−5%以上5%以下である、請求項1または請求項2のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
  4. 透湿度が40g/m・day以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルム。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムを用いてなる、包装資材。
  6. 請求項5に記載の包装資材が装着された成形品又は容器。
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