JP2020122053A - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
本発明は、下記一般式(1)で表される架橋性化合物(A)、25℃での粘度が1000mPa・s以上であるか、又は60℃での粘度が400mPa・s以上であるオリゴマー(B)、及び、重合開始剤(C)を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
(A)架橋性化合物
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、「本発明の硬化性樹脂組成物」とも称する。)は、下記一般式(1):
なお、上記AMA基とは、下記一般式(2)で表される基をいう。
上記Zは、少なくとも骨格部分Qを含み、更にAMA基とQとを結合する2価の連結基X、2つ以上の骨格部分Qを結合する2価以上の連結基Y、骨格部分Qに直接結合する1価の置換基Wを含む場合もある。n価の連結基Zにおいて、骨格部分Qの中のn個の水素原子はAMA基又はXに置換され、残りの水素原子はY及び/又はWに置換される場合もある。
AMA基を2個有する架橋性化合物を例にとると、上記架橋性化合物は、例えば、下記構造式群(4)のように表すことができる。
なお、簡便のため、式中、AMA基はAで表しており、また、構造例は一部の例であり、これらに限定されるものではない。
エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサンなどの飽和炭化水素構造;エチレン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン、エイコセンなどの炭化水素系モノエン構造;アレン、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、エイコサジエンなどの炭化水素系ジエン構造;ヘプタデカトリエン、ヘプタデカテトラエン、オクタデカトリエン、オクタデカテトラエンなどの炭化水素系ポリエン構造;アセチレン、メチルアセチレン、ヘキサジインなどのアセチレン系構造;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、シクロデカン、ジシクロペンタジエン、アダマンタン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、下記化学式群(6)に示される各種化合物などの脂環式構造;
また、エチレン、プロピレン、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、などの非環式エチレン性化合物の(共)重合により得られる下記式(10)で示されるポリエチレン骨格;
これらの中では、合成の容易さ、化学的安定性などから、Xは酸素原子、硫黄原子、1置換窒素原子、又は、2置換炭素原子が好ましく、酸素原子、又は、1置換窒素原子がより好ましい。すなわち、A−Xの結合が、エステル結合、又は、アミド結合となることがより好ましい。なお、XがZ中に2個以上存在する場合は、1種であっても2種以上であってもよい。
これらの中では、合成の容易さ、化学的安定性などから、エーテル結合、チオエーテル結合、2〜4価の炭素原子による結合、ケトン性の結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又は、ケイ酸エステル結合が好ましく、特にエーテル結合、2〜4価の炭素原子による結合、エステル結合、アミド結合、又は、ウレタン結合がより好ましい。なお、YがZ中に2個以上存在する場合は、1種であっても2種以上であってもよい。
上記Wを例示すれば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などの周期表17族の原子;メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−アミル、s−アミル、t−アミル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、s−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、カプリル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、ノナデシル、エイコシル、セリル、メリシルなどの飽和炭化水素基;ビニル、アリル、メタリル、クロチル、プロパギルなどの不飽和炭化水素基;シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、ジシクロペンタジエニルなどの脂環式炭化水素基;フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどの芳香族炭化水素基;ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基などのアルコキシ基;アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアミノ基;(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、チオアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、イソシアナト基、チオシアナト基、アミノ基の4級アンモニウム塩基、カルボキシル基或いはその塩、スルホン酸基或いはその塩、スルフィン酸基或いはその塩、リン酸基或いはその塩などが挙げられる。これらは、用途に応じて使い分ければよい。
A−O−R1−O−A (z1)
(式中、R1は、炭素数1〜30の2価の炭化水素基、−(R2−O)a−R3−、又は、−(R2−O)a−R3−(O−R4)b−を表す。R2及びR4は、同一又は異なり、炭素数1〜10の2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を表す。R3は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表す。aは1〜20の整数である。bは1〜20の整数である。Aは、AMA基を表す。)
(式中、R5及びR7は、同一又は異なり、炭素数1〜10の2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を表す。R6は、
R8及びR9は、同一又は異なり、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を表す。cは1〜20の整数を表す。dは1〜20の整数を表す。m及びnは、同一又は異なり、1〜3の整数を表す。Aは、AMA基を表す。)
(式中、R10は、3価の複素環基又は環状炭化水素基を表す。R11は、炭素数1〜10の2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を表す。eは、1〜20の整数である。Aは、AMA基を表す。)
R2は、炭素数1〜5の2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜4の2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基であることがより好ましい。
R3は、炭素数1〜15の2価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であることがより好ましい。
R4は、炭素数1〜5の2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜4の2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基であることがより好ましい。
bは、1〜10の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがより好ましい。
上記2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、上述した一般式(z1)における2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基と同様のものが挙げられる。
上記一般式(z2)において、上記1価の鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
上記置換基としては、水酸基、アルキル基、アルコキシル基等が挙げられる。
dは1〜10の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがより好ましい。
m及びnは、同一又は異なり、1〜3の整数を表すが、m+n=3〜6の整数であることが好ましい。
上記3価の複素環基又は環状炭化水素基としては、例えば、上述した脂環式構造、芳香族炭化水素構造、複素環式構造、複素芳香族構造を有する3価の基や、イソシアヌル酸骨格を有する基等が挙げられる。なかでも、イソシアヌル酸骨格を有する基が好ましい。
上記2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、上述した一般式(z1)における2価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基と同様のものが挙げられる。
eは1〜10の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがより好ましい。
なお、固形分とは、上記硬化性樹脂組成物において、硬化物を形成する成分(硬化物の形成時に揮発する溶媒等を除く)の総量を意味する。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物はまた、25℃での粘度が1000mPa・s以上であるか、又は、60℃での粘度が400mPa・s以上であるオリゴマーを含む。本発明の硬化性樹脂組成物は、上記のような比較的高粘度であるオリゴマーを更に含んでも、低粘度の樹脂組成物とすることができる。
すなわち、上記オリゴマーは、25℃での粘度が1000mPa・s以上であり、かつ、60℃での粘度が400mPa・s以上であることが更に好ましく、25℃での粘度が1100mPa・s以上であり、かつ、60℃での粘度が420mPa・s以上であることが特に好ましい。
上記多価アルコールとしては、グリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリオール等が挙げられる。
上記オキシラン環含有化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ等の芳香族エポキシ化合物、炭素数2〜20のジオールのジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。
上記カルボキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)、(メタ)アクリル酸ダイマー、(メタ)アクリル酸カプロラクタム変性等が挙げられる。
上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ブタンジオール等が挙げられる。
上記含有割合は、質量比で2/100以上であることがより好ましく、3/100以上であることが更に好ましく、50/1以下であることがより好ましく、20/1以下であることが更に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、更に、重合開始剤を含む。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、加熱及び/又は電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射によりラジカル重合を開始し、硬化させることができるが、ラジカル重合開始剤を含むことでより効果的に硬化させることができる。
また、必要に応じて通常用いられるラジカル重合促進剤、光増感剤等を1種又は2種以上添加してもよい。
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物系開始剤。
上記重合開始剤の含有量は、特に限定されず、目的、用途に応じて適宜設計することができるが、通常、上記硬化性樹脂組成物の固形分100質量%に対して0.01〜8質量%であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、更に、下記一般式(3)で表される化合物(以下、「化合物D」と称する。)を含むことが好ましい。上記化合物を含むことにより、取扱い性と好適な硬化物特性をより一層良好に両立することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記硬化性樹脂組成物の目的、用途に応じて更に他の添加剤を含んでもよい。上記他の添加剤としては、例えば、溶剤、反応性希釈剤、ドライヤー等の硬化促進剤、安定化剤、色材、分散剤、フィラー、密着性向上剤、離型剤、可塑剤、紫外線吸収剤、つや消し剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、表面改質剤、カップリング剤、酸発生剤等が挙げられる。これらの添加剤は、特に限定されず、目的、用途に応じて公知のものから適宜選択して使用すればよいが、具体的には、特許第5689628号公報段落[0095]〜[0111]に記載されるものと同様のものを好適に使用することができる。これらの添加剤の含有量については、公知技術から適宜設定することができる。上記添加剤のなかでも、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、反応性希釈剤を含むことが好ましい。
上記反応性希釈剤は、加熱、又は活性エネルギー線の照射等により重合しうる重合性基を有する低分子化合物であり、特に常温で液状・低粘度のものは粘度調整機能も有するため溶剤の代わりに用いることもでき、無溶剤用途に好ましく用いられる。このような反応性希釈剤としては、炭素−炭素不飽和結合のようなラジカル重合性基を有する化合物や、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基のようなカチオン重合性基を有する化合物、ラジカル重合性基とカチオン重合性基の両方を有するハイブリッド型化合物が、一般に用いられる。本発明の硬化性樹脂組成物が反応性希釈剤を含む場合、通常用いられる反応性希釈剤を使用することができ、目的、用途に応じて1種又は2種以上を適宜選択すればよく特に限定はされないが、本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性を有する架橋性化合物を含むため、反応性希釈剤としては、同じ機構で硬化することができるラジカル重合性基を有する反応性希釈剤が、相乗効果を得られやすく好ましい。このようなラジカル重合性の反応性希釈剤としては、ラジカル重合性不飽和基を同一分子内にひとつだけ有する単官能性のラジカル重合性単量体と、2個以上有する多官能性のラジカル重合性単量体が挙げられる。
また、上記安定化剤としては、光ラジカル重合開始剤等から発生するラジカルと反応して重合を防止する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えばキノン系、ピペリジン系、フェノール系、リン系、ニトロソ系等を用いることができる。なかでも、上記安定化剤としては、ハイドロキノン系、セミヒンダードフェノール系、(チオ)ホスファイト系、ホスフィン系、チオエーテル系、ニトロソ系、ピペラジン系の安定化剤が好ましく、セミヒンダードフェノール系、(チオ)ホスファイト系、チオエーテル系がより好ましい。上記安定化剤として具体的には、特許第6125933号公報段落[0021]〜[0051]に記載されるものを好適に使用することができる。上記安定化剤は、1種のみで使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
上記安定剤の含有量は、上記硬化性樹脂組成物の固形分100質量%に対して0.0001〜5質量%であることが好ましく、0.001〜3質量%であることがより好ましく、0.01〜2質量%であることが更に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物の粘度は、特に限定されず、目的、用途に応じて適宜設定すればよいが、10〜10000mPa・sであることが好ましく、10〜5000mPa・sであることがより好ましい。
上記粘度は、コーンプレート型粘度計(TV−20L、東機産業社製)等の粘度計を使用して、25℃で測定した値である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製する方法としては、特に限定されず、上述した(A)架橋性化合物、(B)オリゴマー、及び(C)重合開始剤と、必要に応じて上述した他の添加剤等とを、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を用いて混合することにより調製することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化する方法としては、特に限定されず、上記硬化性樹脂組成物の目的、用途に応じて、加熱、活性エネルギー線の照射、酸素を含む雰囲気下への暴露等の公知の方法から適宜選択すればよい。これらの方法は、1種のみ行なってもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上述したように、高粘度の成分を配合しても比較的低粘度を維持することができる。そのため、従来よりも幅広い硬化性樹脂組成物の設計が可能となり、上記硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物に所望の特性を与えることができる。そのような上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物もまた、本発明の一つである。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記架橋性化合物を含むので硬化性に極めて優れる。また、高粘度のオリゴマーを配合しても比較的低粘度の硬化性樹脂組成物を調製することができ、耐熱分解性、基材への密着性、硬度、強靭性、又は耐候性等の、用途に応じて必要とされる特性を有する硬化物を与えることができる。
このような本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びその硬化物は、例えば、接着剤、粘着剤、生体材料、歯科材料、光学部材、情報記録材料、光ファイバー用材料、カラーフィルターレジスト、ソルダーレジスト、めっきレジスト、ブラックレジスト、半導体フォトレジスト、TFT形成レジスト、EUV・KrF・ArF・g線・i線レジスト、3Dプリント樹脂、UV硬化型インクジェットインキ、フォトスペーサー/ブラックカラム、自動車用UV硬化型塗料・コーティング材、光ファイバー用コーティング材、フィルム用ハードコーティング材、電化製品用UV硬化型塗料・コーティング材、バッファーコート、再配線形成材料、バックグラインドテープ、ダイシングテープ、UV硬化型塗料、絶縁体、封止材、インクジェットインク、印刷インク、塗料、注型材料、化粧版、WPC、被覆材、感光性印刷版、タッチパネル用OCA・OCR、カバーレイフィルム、ドライフィルム、ドライフィルムレジスト、ライニング材、土木建築材料、パテ、補修材、床材、舗装材ゲルコート、オーバーコート、ハンドレイアップ・スプレーアップ・引抜成形・フィラメントワインディング・SMC・BMC等の成形材料、高分子固体電解質、レンズ成形用樹脂、マイクロレンズ成形用樹脂等の広範囲な種々の用途に好適に用いることができる。
<粘度>
硬化性樹脂組成物の粘度について、コーンプレート型粘度計(TV-20L、東機産業社製)を用いて25℃の温度条件下で測定した。
硬化性樹脂組成物の硬化物の熱分解温度について、熱重量示唆熱分析装置(TG−DTA2010SA、ブルカー社製)を用いて下記条件で測定した。
測定温度範囲:室温〜500℃
昇温速度:10℃/min
雰囲気及び流量:窒素−50ml/min
JIS K7121に準拠し、下記の示差走査熱量計及び条件で測定し、中点法により、硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)を求めた。
装置:DSC3500(ネッチ・ジャパン社製)
昇温速度:10℃/min
雰囲気及び流量:窒素−50ml/min
セパラブルフラスコにスターラーバー、チタンテトライソプロポキシド(TTIP)2.27g(8mmol)、トリプロピレングリコール38.5g(200mmol)、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(AOMA)124.9g(800mmol)、重合禁止剤(6−t−ブチル−2,4−キシレノール、東京化成工業株式社製)120mg(AOMAに対して1000ppmとなる量)、重合禁止剤(ポリストップ7300P、伯東株式社製)60mg(AOMAに対して500ppmとなる量)、共沸剤トルエン60.0gを秤量した。混合ガス(N2/O2=92/8(v/v))をバブリングさせつつ、系内を300Torrに減圧しながら、100℃まで昇温した。適宜留分を取り除き、それと同質量のトルエンを新たに系中に添加しながら反応させ、トリエチレングリコールの転化率が>99%になるまで加熱を続けた。
反応後、混合ガス(N2/O2=92/8(v/v))をバブリングさせながら系内を減圧して、トルエン・残存AOMAを留去後、中圧分取液体クロマトグラフ装置(YFLC AI−580、山善株式会社製)によって目的フラクションを分取し、分取したフラクションに、重合禁止剤(6−t−ブチル−2,4−キシレノール、東京化成工業株式社製)を目的サンプルに対して300ppm、重合禁止剤(亜リン酸トリフェニル、ADEKA社製)を目的サンプルに対して500ppmを添加して溶媒を留去し、目的サンプルTPG−AOMAを単離した。
製造例1において、トリプロピレングリコールの代わりにジプロピレングリコールを使用した点以外は、製造例1と同様の方法により、架橋性化合物(DPG−AOMA)を得た。
表1に示される処方に従って、架橋性化合物、オリゴマー、及び重合開始剤を混合して、実施例1〜6の硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物について、粘度を評価した。結果を表1に示す。
ポリエステルアクリレート:EBECRYL884、粘度(25℃)25000mPa・s、ダイセル・オルネクス社製
ウレタンアクリレート:CN964、粘度(60℃)1770mPa・s、サートマー社製
エポキシアクリレート:エポキシエステル70PA、粘度(25℃)1174mPa・s、共栄社化学株式会社製
また、表2に示される処方に従って、オリゴマー、重合開始剤、及び反応性希釈剤を混合して、比較例4〜9の硬化性樹脂組成物を調製した。
上記で得られた実施例1〜6と比較例4〜9の各硬化性樹脂組成物をアルミパンに入れ、下記条件で紫外線を照射し、硬化物の評価サンプルを得て、当該評価サンプルの熱分解温度及びガラス転移温度(Tg)を測定した。結果を表2に示す。
UV照射装置:HCT400B−28HB(セン特殊光源株式社製)
積算光量:15J/cm2
ポリエステルアクリレート:EBECRYL884、粘度(25℃)25000mPa・s、ダイセル・オルネクス社製
ウレタンアクリレート:CN964、粘度(60℃)1770mPa・s、サートマー社製
エポキシアクリレート:エポキシエステル70PA、粘度(25℃)1174mPa・s、共栄社化学株式会社製
重合開始剤:Omnirad184、IGM Resins社製
TPG−A:トリプロピレングリコールジアクリレート、APG−200、新中村化学工業株式会社製
PEA:フェノキシエチルアクリレート
Claims (7)
- 前記オリゴマー(B)は、25℃での粘度が1000mPa・s以上であり、かつ、60℃での粘度が400mPa・s以上であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 前記オリゴマー(B)は、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、及びポリアクリル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 反応性希釈剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 前記架橋性化合物(A)と前記オリゴマー(B)との含有割合[(A)/(B)]が、質量比で1/100〜100/1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
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