JP2020117025A - 運転支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 操舵支援制御の実施中におけるドライバートルクを適切に検出できるようにして、手放し判定の精度を向上させる。【解決手段】 運転支援ECU10は、手放し判定部106を備えている。手放し判定部106は、トーションバー61の上流側摩擦の値FrUとトーションバー61のねじり剛性の値Ktbとに基づいて、手放し状態を想定したハンドル舵角θhを演算する(S11〜S15)。手放し判定部106は、ハンドル舵角θhとアシスト部舵角θaとの差分値に剛性値Ktbを乗算した値を使って、トルクセンサ60によって検出される入力トルクTiを補正することにより、ドライバートルクTxを算出する(Tx=Ti−Ktb・(θh−θa))。【選択図】 図6

Description

本発明は、ステアリング機構に操舵トルクを付与する操舵アクチュエータの駆動を制御して、ドライバーの操舵操作を支援する運転支援装置に関する。
従来から、例えば、操舵アクチュエータの駆動を制御して、ドライバーの操舵操作を支援する制御である操舵支援制御を実施する運転支援装置が知られている。操舵支援制御の一例として、自車両が車線の中央を走行するように操舵輪の操舵を制御する車線維持支援制御が知られている。運転支援装置は、操舵支援制御を実施する場合、例えば、電動パワーステアリング装置のアシストモータの作動を制御して、左右の操舵輪の舵角が目標舵角に追従するようにステアリング機構に操舵トルクを付与する。
こうした操舵支援制御は、自動運転制御とは異なり、あくまでも、ドライバーのハンドル操作を支援するものであって、ドライバーのハンドル操作が不要となる制御ではない。このため、例えば、特許文献1に提案された運転支援装置は、ドライバーが手放し運転をしている(操舵ハンドルから手を放している)か否かを判定する機能を備えており、ドライバーの手放し運転を検出した場合には、ドライバーに対して手放し警報を行い、更に、手放し警報の実施に関わらず手放し運転が継続した場合には、操舵支援制御を中止する。
特開2018−75849号公報
ドライバーが手放し運転をしているか否かの判定(以下、手放し判定と呼ぶ)は、ステアリングシャフトに入力される入力トルクを検出し、この入力トルクの大きさに基づいて行われる。例えば、電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフトにトーションバーが設けられており、操舵ハンドルの回動操作によって捩じられるトーションバーの捩じれ角度を検出することにより入力トルクを検出する。以下、トーションバーの捩じれ角度を検出するセンサをトルクセンサと呼ぶ。
手放し判定は、トルクセンサによって検出された入力トルクを、ドライバーが操舵ハンドルを回したトルクと見做して実施される。例えば、操舵支援制御の実施中に、トルクセンサによって検出される入力トルクが手放し判定閾値よりも小さい状態が継続した場合、ドライバーが手放し運転をしていると判定される。
電動パワーステアリング装置は、トーションバーよりも操舵輪側にアシストモータが連結されている。ステアリングシャフトの先端は、操舵ハンドルに連結される。従って、アシストモータがステアリングシャフトに操舵トルクを伝達する位置は、トーションバーを挟んで操舵ハンドルとは反対側となる。このため、本来なら、アシストモータがステアリングシャフトに操舵トルクを付与しても、操舵ハンドルが把持されていなければ、トーションバーは捩じられることは無い。
しかし、ステアリング機構においては、トーションバーよりも操舵ハンドル側であっても、ステアリングシャフトの回転に対して摩擦抵抗となる摩擦体が存在する。このため、アシストモータがステアリングシャフトに操舵トルクを付与したときに、操舵ハンドルが把持されていなくても、上記の摩擦体の摩擦によって、トーションバーが捩じられてしまい、ゼロよりも大きな入力トルクが検出されてしまう。従って、手放し判定閾値を、摩擦体によって生じる摩擦トルクよりも小さな値に設定してしまうと、操舵支援制御によってアシストモータが駆動し続けるような状況においては、ドライバーが操舵ハンドルを把持していなくても、操舵ハンドルが把持されていると誤判定をしてしまう可能性がある。
このため、手放し判定閾値を、摩擦トルクよりも大きな値に設定せざるを得ず、この場合には、ドライバーが操舵ハンドルを握っていても、手放し状態であると判定されやすくなってしまう。つまり、手放し判定が過敏となってしまう。これにより、ドライバーに違和感を与えるおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、操舵支援制御の実施中におけるドライバートルクを適切に検出できるようにして、手放し判定の精度を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、
ステアリング機構に操舵トルクを付与する操舵アクチュエータ(50)と、
前記操舵アクチュエータの駆動を制御して、ドライバーの操舵操作を支援する制御である操舵支援制御を実施する操舵支援制御手段(10,80)と、
前記操舵アクチュエータが前記ステアリング機構に連結される位置よりも操舵ハンドル側のステアリングシャフトに設けられたトーションバーの捩じり状態を検出し、前記トーションバーの捩じり状態に基づいて、前記ステアリングシャフトに入力されたトルクである入力トルク(Ti)を検出するトルク検出手段(60)と、
前記ステアリング機構における前記トーションバーよりも前記操舵ハンドル側の摩擦、および、前記トーションバーの剛性に基づいて、前記トルク検出手段によって検出された入力トルクを補正することにより、ドライバーが操舵ハンドルに入力したトルクであるドライバートルク(Tx)を算出する補正手段(106,S11〜S16)と、
前記操舵支援制御の実施中に、前記補正手段によって算出されたドライバートルクに基づいて、ドライバーが手放し運転をしているか否かについて判定する手放し判定手段(106,S17〜S21)と、
前記手放し判定手段によって前記ドライバーが手放し運転をしていると判定された場合に、予め設定された手放し運転対応処理を実施する手放し運転対応処理手段(107)と
を備えたことにある。
本発明の運転支援装置は、ステアリング機構に操舵トルクを付与する操舵アクチュエータを備えており、操舵支援制御手段が、操舵アクチュエータの駆動を制御して、ドライバーの操舵操作を支援する制御である操舵支援制御を実施する。本発明を適用できる操舵支援制御は、例えば、自車両が車線の中央を走行するように操舵輪の操舵を制御する車線維持支援制御、自車両が車線の外に逸脱しないように操舵輪の操舵を制御する車線逸脱防止支援制御、自車両が隣接車線に車線変更するように操舵輪の操舵を制御する車線変更支援制御などである。こうした操舵支援制御では、操舵アクチュエータが操舵輪を操舵するものの、ドライバーが操舵ハンドルを握っていることが要求される。
そこで、操舵制御装置は、トルク検出手段と、補正手段と、手放し判定手段と、手放し運転対応処理手段とを備えている。トルク検出手段は、操舵アクチュエータがステアリング機構に連結される位置よりも操舵ハンドル側のステアリングシャフトに設けられたトーションバーの捩じり状態を検出し、トーションバーの捩じり状態に基づいて、ステアリングシャフトに入力されたトルクである入力トルクを検出する。
ステアリング機構においては、トーションバーよりも操舵ハンドル側においても、ステアリングシャフトの回転に対して摩擦抵抗となる摩擦体が存在する。このため、操舵アクチュエータがステアリング機構に操舵トルクを付与したときに、操舵ハンドルが把持されていなくても、上記の摩擦体の摩擦によって、トーションバーが捩じられてしまい、ゼロよりも大きな入力トルクが検出されてしまう。従って、トルク検出手段によって検出される入力トルクだけでは、適正な手放し判定を行うことができない。
そこで、補正手段は、ステアリング機構におけるトーションバーよりも操舵ハンドル側の摩擦、および、トーションバーの剛性に基づいて、トルク検出手段によって検出された入力トルクを補正することにより、ドライバーが操舵ハンドルに入力したトルクであるドライバートルクを算出する。これにより、入力トルクから摩擦トルクを除外した、本来のドライバーが操舵ハンドルに入力したドライバートルクを取得することができる。
手放し判定手段は、操舵支援制御の実施中に、補正手段によって算出されたドライバートルクに基づいて、ドライバーが手放し運転をしているか否かについて判定する。従って、手放し判定の精度を向上させることができる。
手放し運転対応処理手段は、手放し判定手段によってドライバーが手放し運転をしていると判定された場合に、予め設定された手放し運転対応処理を実施する。例えば、手放し運転対応処理手段は、ドライバーに注意喚起を報知する処理、および、操舵アクチュエータによって操舵支援制御用の操舵トルクを付与することを中断させる処理の少なくとも一方を実施する。これにより、ドライバーに対して運転支援装置を過信させないようにすることができる。
この結果、本発明によれば、操舵支援制御の実施中におけるドライバートルクが適切に検出されるため、手放し判定の精度を向上させることができる。
例えば、補正手段は、前記操舵ハンドル側の摩擦の値(FrU)、前記トーションバーの剛性値(Ktb)、および、前記操舵アクチュエータが前記ステアリング機構に連結される位置における舵角(θa)に基づいて、手放し状態を想定したハンドル舵角(θh)を推定し、前記操舵アクチュエータが前記ステアリング機構に連結される位置における舵角(θa)と前記ハンドル舵角との差分値(θh−θa)に、前記トーションバーの剛性値を乗算した値(Ktb・(θh−θa))を使って、前記トルク検出手段によって検出された入力トルク(Ti)を補正することにより、前記ドライバートルク(Tx)を算出するように構成されているとよい。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成要件に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の運転支援装置の概略システム構成図である。 車線維持支援制御に用いるパラメータを説明する図である。 車線維持支援制御に係る制御ブロック図である。 FFトルクマップを表すグラフである。 ステアリング系の力学モデルを表す図である。 手放し判定ルーチンを表すフローチャートである。 変形例にかかるステアリング系の力学モデルを表す図である。 撓み角度マップを表すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の運転支援装置の概略システム構成図である。
本実施形態の運転支援装置は、運転支援制御部1と電動パワーステアリング部30とから構成される。運転支援制御部1は、運転支援ECU10を備えている。この運転支援ECU10は、ドライバーの運転を支援するための電子制御装置であって、マイクロコンピュータを主要部として備えている。運転支援ECU10は、車線維持支援制御を実施する。車線維持支援制御とは、自車両の走行位置が目標走行ライン付近に維持されるように、操舵トルクをステアリング機構40に付与してドライバーの操舵操作を支援する制御である。運転支援ECU10は、車線維持支援制御を実施するにあたって、電動パワーステアリング部30の操舵アシスト機能を利用する。尚、本明細書において、マイクロコンピュータは、CPUとROM及びRAM等の記憶装置と等を含み、CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。また、ECUは、Electric Control Unitの略である。
電動パワーステアリング部30は、操舵ハンドル41の操舵操作により操舵輪Wを転舵するステアリング機構40と、ステアリング機構40に組み付けられ操舵アシストトルクを発生するアシストモータ50(以下、単にモータ50と呼ぶ)と、モータ50を駆動するモータドライバ70と、モータドライバ70の作動を制御するステアリングECU80とを主要部として備えている。
ステアリング機構40は、操舵ハンドル41を上端に一体回転するように接続したステアリングシャフト42を備える。ステアリングシャフト42は、メインシャフト42aとインターミディエイトシャフト42bとピニオンシャフト42cとをユニバーサルジョイント42d,42eで連結して構成される。ステアリングシャフト42の下端(ピニオンシャフト42cの下端)には、ピニオンギヤ43が接続されている。ピニオンギヤ43は、ラックバー44に形成されたラック歯と噛合する。
ラックバー44の両端には、それぞれ、ボールジョイント45を介してタイロッド46の一方端が接続される。各タイロッド46の他方端は、ボールジョイント47を介して、操舵輪Wを回転可能に支持するナックル(図示略)に接続されている。ステアリングシャフト42の軸線回りの回転運動は、ラックバー44の軸線方向の直線運動に変換され、このラックバー44の直線運動によって左右の操舵輪Wが左右に転舵される。
ステアリングシャフト42(メインシャフト42a)には減速機構部51を介してモータ50が組み付けられている。モータ50は、例えば、三相ブラシレスモータが使用される。モータ50は、ロータの回転により減速機構部51を介してステアリングシャフト42(メインシャフト42a)に、その中心軸周りの回転トルクを付与して、ドライバーの操舵操作をアシストする。以下、メインシャフト42aにおいて、モータ50の回転トルクが伝達される部分をアシスト部Aと呼ぶ。
モータ50には、回転角センサ52が設けられる。この回転角センサ52は、モータ50のロータの回転位置(回転角度)を表す検出信号をステアリングECU80に出力する。回転角センサ52は、例えば、三相ブラシレスモータの位相制御に用いられる回転角センサが兼用される。車線維持支援制御を実施する場合には、回転角センサ52は、操舵輪Wの舵角を検出するために用いられるため、以下、回転角センサ52を舵角センサ52と呼ぶ。
ステアリングECU80は、舵角センサ52の検出信号に基づいて、舵角中立点を基準としたロータの回転角度を減速機構部51の減速比で除算した値(つまり、メインシャフト42aにおけるアシスト部Aの回転角度)を、アシスト部舵角θaとして検出する。アシスト部舵角θaは、その符号(正負)によって操舵方向が特定され、例えば、中立点よりも、左方向であれば正の値で表され、右方向であれば負の値で表される。
尚、本実施形態においては、舵角センサ52は、モータ50のロータの回転角度を検出するが、それに代えて、メインシャフト42aにおけるアシスト部Aの回転角度を直接検出してもよい。
ステアリングシャフト42には、トルクセンサ60が設けられる。トルクセンサ60は、例えば、ステアリングシャフト42の中間部(正確には、メインシャフト42aにおけるアシスト部Aよりも操舵ハンドル41側)に介装されたトーションバー61の捩れ角度を検出し、この捩れ角度に応じたトルク(入力トルクTiと呼ぶ)を表す検出信号をステアリングECU80に出力する。入力トルクTiは、その符号(正負)によってトルクの働いている方向が特定される。例えば、操舵ハンドル41が左方向に回動操作されたときのトルクについては正の値で表され、操舵ハンドル41が右方向に回動操作されたときのトルクについては負の値で表される。
以下、ステアリング機構40における位置関係について、操舵ハンドル41側を上流側と呼び、操舵輪W側を下流側と呼ぶ。従って、トーションバー61は、アシスト部Aよりも上流側のメインシャフト42aに設けられている。
ステアリングECU80は、マイクロコンピュータを主要部として備えている。ステアリングECU80は、通常のドライバーのハンドル操作時においては、ドライバーのハンドル操作に応じた最適な操舵アシストトルクが得られるように、入力トルクTiに基づいてモータ50に流す目標電流を演算し、その目標電流がモータ50に流れるようにモータドライバ70の作動を制御する。
このようにドライバーの行ったハンドル操作に対して、ハンドル操作が軽くなるようにモータ50を駆動する制御を操舵アシスト制御と呼ぶ。この操舵アシスト制御においては、基本的には、入力トルクTiが大きくなるほど増加する目標アシストトルクが設定される。
ステアリングECU80と運転支援ECU10とは、CAN(Controller Area Network)20を介して相互に送受信可能に接続されている。ステアリングECU80は、運転支援ECU10から車線維持用トルク指令を受信した場合には、車線維持用トルク指令で特定される制御量(後述する目標操舵トルクT*)に基づいてモータ50を駆動して操舵トルクを発生させる。この場合、操舵アシスト制御と違って、ドライバーの操舵操作を要することなくモータ50が駆動される。
本実施形態の運転支援装置は、自車両を目標走行ラインに沿って走行させるようにドライバーの操舵操作を支援する機能、つまり、車線維持支援機能を備えている。本実施形態の運転支援装置は、ドライバーの操舵操作を不要とした自動運転を可能とする装置ではないため、運転支援制御(車線維持支援制御)が実施されている場合であっても、ドライバーが操舵ハンドル41を握っていることが要求される。
運転支援ECU10は、ステアリングECU80からCAN20を介して入力トルクTiおよびアシスト部舵角θaを表す情報を所定の周期で取得する。
運転支援ECU10には、車速センサ11、操作スイッチ12、カメラセンサ13、表示器14、および、ブザー15が接続されている。車速センサ11は、自車両の車速Vxを表す検出信号を運転支援ECU10に出力する。操作スイッチ12は、ドライバーが車線維持支援制御を実施させるか否かの選択を行うためのスイッチであり、選択信号を運転支援ECU10に出力する。操作スイッチ12がオンの場合には、車線維持支援制御が実施される。
カメラセンサ13は、車両前方を撮影し、画像処理を行うことで、道路の左右のレーンマーカー(例えば、白線)を認識する。カメラセンサ13は、このレーンマーカーに基づいて、自車両を走行させる目標走行ラインを決定する。例えば、カメラセンサ13は、図2に示すように、左白線LLと右白線LRとを認識し、この左右の白線の中央位置となる車線中央を目標走行ラインLdに決定する。
更に、カメラセンサ13は、この目標走行ラインLdの方向と車両進行方向とのずれ角(以下、ヨー角θyと呼ぶ)、目標走行ラインLdに対する車両重心位置の幅方向のずれ量(以下、オフセット量Dと呼ぶ)、および、目標トレースラインの曲率a(道路曲率aと呼ぶ)などを演算する。道路曲率aに変えて、道路半径R(=1/R)を演算してもよい。カメラセンサ13は、これらの演算結果である車線情報を運転支援ECU10に出力する。尚、オフセット量Dを表す、目標走行ラインLdに対する車両重心位置の幅方向のずれ量とは、車幅方向のずれ量であってもよいし、道路幅方向のずれ量であってもよい。
また、カメラセンサ13が撮影機能のみを有する場合、運転支援ECU10は、上述したカメラセンサ13の演算機能の一部または全部(即ち、画像処理、レーンマーカーの認識、目標走行ラインの決定、ヨー角θyの算出、オフセット量Dの算出、および、曲率aの算出などの一部または全部)を実行してもよい。
表示器14は、ドライバーが運転席に着座した位置で視認できる位置に設けられ、運転支援ECU10から送信された支援制御情報を画面に表示する。ブザー15は、カメラセンサ13によってレーンマーカーを認識できなかった場合、システム異常が検出された場合において鳴動して、車線維持支援制御を実施できない状況であることをドライバーに知らせる。また、表示器14およびブザー15は、運転支援制御中にドライバーの手放し運転が検出された場合の注意喚起用インターフェースとして用いられる。
次に、運転支援ECU10の実施する車線維持支援制御について説明する。図3は、運転支援ECU10の実施する車線維持支援制御に係る制御ブロック図である。運転支援ECU10は、目標舵角演算部101、FFトルク演算部102、減算部103、FBトルク演算部104、合算部105、手放し判定部106、および、手放し処理部107を備えている。各制御ブロック101〜107は、並行して、後述する演算処理を所定の演算周期にて繰り返し実施する。また、運転支援ECU10は、各種の演算の実行にあたって、各種のセンサ検出値を用いるが、そのセンサ検出値は、ことわりのない限り、演算時点における最新の値である。
目標舵角演算部101は、カメラセンサ13からオフセット量D、ヨー角θy、および、道路曲率aを入力し、これらの入力値に基づいて、式(1)を使って目標舵角θ*を演算する。
θ*=K1×D+K2×θy+K3×a ・・・(1)
ここで、K1、K2、および、K3は、それぞれ制御ゲインである。
目標舵角θ*は、自車両が目標走行ラインLdに沿って走行できるように設定される操舵輪Wの目標舵角を、ステアリング機構40のオーバーオールギヤ比を使ってアシスト部舵角に換算した値である。
尚、目標舵角θ*の演算に関しては、上記式(1)に限るものではなく、任意の式にて実施することができる。また、例えば、制御ゲインK1〜K3は、車速Vxなど他のパラメータに応じて設定される値とすることもできる。
目標舵角演算部101は、算出した目標舵角θ*をFFトルク演算部102、および、減算部103に供給する。
FFトルク演算部102は、目標舵角θ*に基づいてフィードフォワード制御量であるFF目標操舵トルクTFF*を演算する。FFトルク演算部102は、図4に示す特性のFFトルクマップを記憶しており、このFFトルクマップを参照してFF目標操舵トルクTFF*を演算する。FFトルクマップは、目標舵角θ*が大きくなるに従って増加するFF目標操舵トルクTFF*を設定する特性を有している。FFトルクマップには不感帯が設定されており、目標舵角θ*がゼロ近傍領域に入る場合には、FF目標操舵トルクTFF*がゼロに設定される。尚、このFFトルクマップは、一例であって、例えば、不感帯が設定されていないものであってもよく、また、必ずしも、線形な特性である必要もない。
尚、図4のFFトルクマップは、目標舵角θ*が正の値をとる場合(つまり、左方向の目標舵角θ*が設定されている場合)のFF目標操舵トルクTFF*を表しているが、目標舵角θ*が負の値をとる場合(つまり、右方向の目標舵角θ*が設定されている場合)には、FF目標操舵トルクTFF*の符号が負になるだけであって、その大きさ(絶対値)は、目標舵角θ*が正の値をとる場合と変わらない。
FFトルク演算部102は、算出したFF目標操舵トルクTFF*を合算部105に供給する。
減算部103は、目標舵角演算部101から供給された目標舵角θ*と、舵角センサ52によって検出されたアシスト部舵角θaとを入力し、目標舵角θ*とアシスト部舵角θaとの偏差である舵角偏差Δθ(θ*−θa)を演算する。減算部103は、算出した舵角偏差ΔθをFBトルク演算部104に供給する。
FBトルク演算部104は、舵角偏差Δθに基づいて、フィードバック制御量であるFB目標操舵トルクTFB*を演算する。FBトルク演算部104は、例えば、舵角偏差Δθを比例項として含んだPID制御式、PI制御式、P制御式などによりFB目標操舵トルクTFB*を演算する。
FBトルク演算部104は、算出したFB目標操舵トルクTFB*を合算部105に供給する。
合算部105は、FFトルク演算部102から供給されたFF目標操舵トルクTFF*、および、FBトルク演算部104から供給されたFB目標操舵トルクTFB*を入力し、FF目標操舵トルクTFF*とFB目標操舵トルクTFB*とを合算した値である目標操舵トルクT*(=TFB*+TFF*)を算出する。合算部105は、算出した目標操舵トルクT*を手放し処理部107に供給する。
手放し判定部106は、ドライバーが手放し運転をしているか否かについての判定(手放し判定)を行う機能部であって、ステアリングECU80から入力トルクTiとアシスト部舵角θaとを表すセンサ情報を入力し、入力トルクTiとアシスト部舵角θaとに基づいて手放し判定を行う。この手放し判定の手法については後述する。手放し判定部106は、手放し判定結果を手放し処理部107に供給する。
手放し処理部107は、手放し判定結果に基づいて、ドライバーが手放し運転をしていると判定されていない場合、合算部105から供給された目標操舵トルクT*を表す情報を含んだ車線維持用トルク指令を、CAN20を介してステアリングECU80に送信する。
ステアリングECU80は、車線維持用トルク指令を受信すると、車線維持用トルク指令に含まれる情報である目標操舵トルクT*を目標電流に変換し、モータ50に目標電流が流れるようにモータドライバ70の作動を制御する。モータドライバ70には、モータ50に流れる電流を検出する電流センサ(図示略)が設けられている。ステアリングECU80は、電流センサによって検出される実電流が目標電流と等しくなるようにモータドライバ70のスイッチング素子(図示略)のデューティ比を制御する。これにより、モータ50から目標操舵トルクT*が出力され、操舵輪Wが転舵される。この結果、自車両を目標走行ラインLdに沿って走行させるようにドライバーの操舵操作を支援することができる。
また、手放し処理部107は、手放し判定結果に基づいて、ドライバーが手放し運転をしていると判定されている場合、車線維持用トルク指令の送信を停止する。従って、車線維持用トルク指令の送信停止期間中は、車線維持支援制御が中断される。また、手放し処理部107は、ドライバーが手放し運転をしていると判定されて期間中、表示器14に手放し注意喚起指令を送信する。
表示器14は、手放し注意喚起指令を受信すると、例えば、操舵ハンドルのマークを表示パネルに点滅表示させるなど、ドライバーに対して注意喚起用の表示をする。また、手放し処理部107は、ドライバーが手放し運転をしていると判定されている場合、ブザー15を鳴動させてドライバーに対して注意喚起する。こうしたことにより、ドライバーに対して運転支援装置を過信させないようにすることができる。
次に、手放し判定の方法について説明する。手放し判定部106は、ドライバーが操舵ハンドル41へ入力したトルク、つまりドライバートルクに基づいて、手放し判定を行う。この場合、ドライバートルクを高精度に検出する必要があるが、トルクセンサ60によって検出される入力トルクTiには、ステアリング系の摩擦による影響分が含まれているため、真のドライバートルクとは相違する。そこで、手放し判定部106は、ステアリング系の摩擦を考慮してドライバートルクを検出する。
<ステアリング系の力学モデル>
図5は、電動パワーステアリング部30におけるステアリング系の力学モデルを表している。ステアリングシャフト42の途中にはドライバートルクを検出するためのトーションバー61が設けられている。力学モデルにおける符号Ktbは、トーションバー61の剛性(ねじり剛性)を表す。また、ステアリング機構40は、トーションバー61の上流側および下流側の両方において操舵動作に対して摩擦力を発生する摩擦体が存在する。力学モデルにおける符号FrUは、トーションバー61の上流側の摩擦(上流側摩擦と呼ぶ)を表し、符号FrLは、トーションバー61の下流側の摩擦(下流側摩擦と呼ぶ)を表す。また、符号Ksatは、セルフアライニングトルクを発生するタイヤの剛性(セルフアライニングトルク剛性と呼ぶ)を表し、符号δは、操舵輪Wの舵角(タイヤ舵角と呼ぶ)を表す。
モータ50は、減速機構部51を介してトーションバー61の下流側位置でステアリングシャフト42(メインシャフト42a)にアシストトルクを付与する。力学モデルにおける符号Taは、このアシストトルクを表す。
力学モデルにおける符号θaは、アシストトルクTaが付与される位置におけるメインシャフト42aの舵角、つまり、アシスト部舵角である。アシスト部舵角θaは、舵角センサ52によって検出されるモータ50の回転角度を減速機構部51の減速比で除算して算出される。また、力学モデルにおける符号θhは、操舵ハンドル41の舵角(ハンドル舵角と呼ぶ)である。従って、トーションバー61が捩じられていない状態においては、アシスト部舵角θaとハンドル舵角θhとは等しい。
ドライバートルクは、トルクセンサ60により検出される入力トルクTiを、この力学モデルを使って補正することによって算出される。尚、ドライバートルクの算出に当たっては、セルフアライニングトルク剛性Ksat、下流側摩擦FrL、および、タイヤ舵角δについては、使用されない。
ここで、ドライバーが操舵ハンドル41を把持していない状態を考える。モータ50が駆動されると、アシスト部Aにトルクが付与され、アシスト部Aが回転し始める。この場合、メインシャフト42aの上流側は、上流側摩擦FrUが働くため、アシスト部Aが回転しても、すぐには回転しない。従って、トーションバー61が捩れる。この場合、ドライバーが操舵ハンドル41を把持していなくても、トルクセンサ60には、ゼロより大きな入力トルクTiが検出される。
モータ50の発生するトルクが上流側摩擦FrU[N・m]を超えると、メインシャフト42aの上流側も回転し始め、これと併せてハンドル舵角θhが変化する。つまり、ハンドル舵角θhは、アシスト部舵角θaが所定角度だけ回転した後に変化する。
例えば、アシスト部舵角θaが所定量±Δθだけ変化すると、トーションバー61が所定量±Δθだけ捩れて、±KTb・Δθのトルクを発生する。このとき、トルクセンサ60は、±KTb・Δθの大きさの入力トルクTiを検出する。そして、モータ50の発生するアシストトルクが上流側摩擦FrU[N・m]を超えると、ハンドル舵角θhが変化し始める。
従って、アシスト部舵角θaがハンドル舵角θhに先行して変化する変化量、換言すれば、ハンドル舵角θhが変化するために必要となるアシスト部舵角θaの変化量がわかれば、その変化量とアシスト部舵角θa(舵角センサ52の検出値から求められる)とに基づいてハンドル舵角θhを推定することができる。
アシスト部舵角θaがハンドル舵角θhに先行して変化する変化量[deg]は、上流側摩擦FrU[N・m]をトーションバー61の剛性Ktb[N・m/deg]で除算する(FrU/Ktb)ことによって算出できる。
こうした力学モデルを用いて、運転支援ECU10は、以下のようにして、手放し状態を想定したときの現時点のハンドル舵角θh(推定値)を演算する。運転支援ECU10は、所定の短い演算周期にてハンドル舵角θhを演算する。ここで、1演算周期前に演算されたハンドル舵角を前回ハンドル舵角θh(n-1)と呼ぶ。また、上流側摩擦FrUをトーションバー61の剛性Ktbで除算した値(FrU/Ktb)を先行角度FrU/Ktbと呼ぶ。
関係式1:(θh(n-1)−FrU/Ktb)≦θa≦(θh(n-1)+FrU/Ktb)が成立する場合には、運転支援ECU10は、ハンドル舵角θhを、前回ハンドル舵角θh(n-1)と同じ値に設定する(θh=θh(n-1))。
関係式2:θa<(θh(n-1)−FrU/Ktb)が成立する場合には、運転支援ECU10は、ハンドル舵角θhを、現時点のアシスト部舵角θaに先行角度FrU/Ktbを加算した値に設定する(θh=θa+FrU/Ktb)。
関係式3:θa>(θh(n-1)+FrU/Ktb)が成立する場合には、運転支援ECU10は、ハンドル舵角θhを、現時点のアシスト部舵角θaから先行角度FrU/Ktbを減算した値に設定する(θh=θa−FrU/Ktb)。
関係式1は、アシスト部舵角θaが、前回ハンドル舵角θh(n-1)から先行角度FrU/Ktbを減算した値以上であり、前回ハンドル舵角θh(n-1)に先行角度FrU/Ktbを加算した値以下であるという関係を表している。この関係式1が成立するときは、操舵ハンドル41は、回転していないと推定できる。このため、ハンドル舵角θhは、前回ハンドル舵角θh(n-1)と同じ値に設定される。
関係式2は、アシスト部舵角θaが、前回ハンドル舵角θh(n-1)から先行角度FrU/Ktbを減算した値より小さいという関係を表している。また、関係式3は、アシスト部舵角θaが、前回ハンドル舵角θh(n-1)に先行角度FrU/Ktbを加算した値より大きいという関係を表している。この関係式2、または、関係式3が成立する場合には、操舵ハンドル41は、回転していると推定できる。このため、ハンドル舵角θhは、アシスト部舵角θaから先行角度FrU/Ktbを差し引くことによって求められる。この場合、回転方向を考慮して符号(正負)を決めればよい。
ハンドル舵角θhとアシスト部舵角θaとの差分(θh−θa)は、トーションバー61の捩じれ角である。従って、この差分(θh−θa)にトーションバー61の剛性Ktbを乗算した値(Ktb・(θh−θa))が、手放し状態でモータ50を駆動した際にトーションバー61に生じるトルクである。従って、この値(Ktb・(θh−θa))を補正値として使って、トルクセンサ60によって検出される入力トルクTiを補正して、本来のドライバートルクを求めることができる。
<手放し判定ルーチン>
次に、運転支援ECU10の手放し判定部106の実施する手放し判定処理について説明する。図6は、手放し判定ルーチンを表すフローチャートである。手放し判定部106は、手放し判定ルーチンを所定の短い演算周期で繰り返し実施する。
手放し判定ルーチンが開始されると、手放し判定部106は、ステップS11において、関係式1:(θh(n-1)−FrU/Ktb)≦θa≦(θh(n-1)+FrU/Ktb)が成立するか否かについて判定する。手放し判定部106は、関係式1が成立する場合(S11:Yes)、その処理をステップS13に進めて、現時点のハンドル舵角θhを、前回ハンドル舵角θh(n-1)と同じ値に設定する。尚、手放し判定ルーチンが起動された直後における前回ハンドル舵角θh(n-1)の値、つまり、前回ハンドル舵角θh(n-1)の初期値は、例えば、θaである。
一方、関係式1が成立しない場合、手放し判定部106は、その処理をステップS12に進めて、関係式2:θa<(θh(n-1)−FrU/Ktb)が成立するか否かについて判定する。手放し判定部106は、関係式2が成立する場合(S12:Yes)、その処理をステップS14に進めて、現時点のアシスト部舵角θaに先行角度FrU/Ktbを加算した値を、現時点のハンドル舵角θhに設定する(θh=θa+FrU/Ktb)。
また、関係式2が成立しない場合(S12:No)は、関係式3が成立している。この場合、手放し判定部106は、その処理をステップS15に進めて、現時点のアシスト部舵角θaから先行角度FrU/Ktbを減算した値を、現時点のハンドル舵角θhに設定する(θh=θa−FrU/Ktb)。
手放し判定部106は、ハンドル舵角θhを演算すると、その処理をステップS16に進めて、トルクセンサ60によって検出される入力トルクTiを補正することにより、ドライバーが操舵ハンドル41に入力したトルクを表すドライバートルクTxを算出する。ドライバートルクTxは、トルクセンサ60によって検出される入力トルクTiから補正値(Ktb・(θh−θa))を減算することによって算出される(Tx=Ti−Ktb・(θh−θa))。
続いて、手放し判定部106は、ステップS17において、ドライバートルクTxの大きさ(|Tx|)が手放し判定閾値Trefより小さいか否かについて判定する。ドライバートルクTxの大きさ(|Tx|)が手放し判定閾値Trefより小さい場合(S17:Yes)には、ドライバーが操舵ハンドル41を把持していないと推定できる。この場合、手放し判定部106は、ステップS18において、手放しタイマ値tを値「1」だけインクリメントする。手放しタイマ値tの初期値は、「0」である。
一方、ドライバートルクTxの大きさ(|Tx|)が手放し判定閾値Tref以上である場合(S17:No)には、ドライバーが操舵ハンドル41を把持していると推定できる。この場合、手放し判定部106は、ステップS20において、手放しタイマ値tをゼロクリアして手放し判定ルーチンを一旦終了する。
手放し判定部106は、ドライバートルクTxの大きさ(|Tx|)が手放し判定閾値Trefより小さい場合には、ステップS19において、手放しタイマ値tが手放し運転確定時間trefを超えたか否かについて判定する。手放しタイマ値tが手放し運転確定時間trefを超えていない場合(S19:No)、手放し判定部106は、手放し判定ルーチンを一旦終了する。
手放し判定部106は、手放し判定ルーチンを所定の演算周期で繰り返す。従って、ドライバートルクTxが繰り返し演算され、その都度、ドライバートルクTxに基づいて、ドライバーが操舵ハンドル41を把持しているか否かの判定が行われる(S17)。こうした処理が繰り返され、手放しタイマ値tが手放し運転確定時間trefを超えると(S19:Yes)、手放し判定部106は、ステップS21において、ドライバーが手放し運転をしていると判定する。
このステップS21の判定に基づいて、手放し判定部106は、「手放し運転有り」を表す手放し判定結果情報を、手放し処理部107に供給する。これにより、手放し処理部107は、上述した処理、つまり、車線維持用トルク指令の送信を停止、および、ドライバーへの注意喚起処理を実施する。
以上説明したように、本実施形態に係る運転支援装置によれば、トーションバー61の上流側摩擦の値FrU、トーションバー61のねじり剛性の値Ktb、および、アシスト部舵角θaに基づいて、手放し状態を想定したハンドル舵角θhが演算され、このハンドル舵角θhを使って、トルクセンサ60によって検出される入力トルクTiが補正される。これにより、ドライバーが操舵ハンドル41に入力したドライバートルクTxが算出される。そして、算出されたドライバートルクTxに基づいて、手放し判定が実施される。
従って、本実施形態に係る運転支援装置によれば、操舵支援制御の実施中におけるドライバートルクを適切に検出することができ、この結果、手放し判定の精度が向上する。
<変形例1>
次に、運転支援装置の変形例1について説明する。
上述したようにモータ50のトルクは、減速機構部51を介してステアリングシャフト42に伝達される。こうした構成において、減速機構部51に撓みが存在するケースが考えられる。その場合には、減速機構部51に撓みを考慮してドライバートルクTxを算出しないと、手放し判定の精度が低下してしまう。そこで、この変形例1は、減速機構部51の撓みを考慮してドライバートルクTxが算出されるように構成されている。
減速機構部51に撓みが存在しているステアリング系の力学モデルは、図7のように表すことができる。実施形態における力学モデル(図5)との違いは、減速機構部51の剛性Krgが加わっている点である。図中において、符号θmはモータ50の回転角、符号Tmは、モータ50の出力トルク(モータトルクと呼ぶ)を表す。
減速機構部51に撓みが存在する場合には、撓みが存在しない場合に比べて、撓み分だけモータ50が余分に回転する。この撓みによってモータ50が余分に回転する角度を、減速機構部51の減速比を使ってアシスト部Aの回転角度に換算した値を、撓み分角度Δθaと呼ぶ。この場合、実際のアシスト部Aの舵角は、アシスト部舵角θa(舵角センサ52の検出角度をアシスト部Aの回転角度に換算した角度)よりも撓み分角度Δθaだけ小さい値となる。
この撓み分角度Δθaは、モータトルクTmを減速機構部51の剛性Krgで除算した値を、減速機構部51の減速比を使ってアシスト部Aの回転角度に換算して求められる。従って、撓み分角度Δθaは、モータトルクTmに比例する。但し、撓み分角度Δθaは、モータトルクTmが所定値を超えると、それ以上増加しなくなる。このため、モータトルクTmと撓み分角度Δθaとの関係は、図8に示すような特性を示す。
運転支援ECU10は、図8に示す特性の撓み分角度マップを記憶しており、この撓み分角度マップを参照して、モータトルクTmに応じた撓み分角度Δθaを算出する。この場合、運転支援ECU10は、モータトルクTmを表す情報をステアリングECU80から取得する。運転支援ECU10は、次式に示すように、アシスト部舵角θaから撓み分角度Δθaを減算することにより、減速機構部51の撓みを考慮した補正アシスト部舵角θaoを算出する。
θao=θa−Δθa
この変形例1においては、手放し判定部106が、この補正アシスト部舵角θaoを使って、ドライバートルクTxを算出し、このドライバートルクTxに基づいて手放し判定を行う。つまり、手放し判定部106は、図6の手放し判定ルーチンにおけるアシスト部舵角θaを、補正アシスト部舵角θaoに置き換えて、手放し判定ルーチンを実施する。
この変形例1によれば、減速機構部51に撓みが存在するステアリング機構であっても、その撓みを考慮してドライバートルクTxが算出されるため、高精度に手放し判定を実施することができる。
尚、この変形例1においては、運転支援ECU10がアシスト部舵角θaを補正して補正アシスト部舵角θaoを算出するが、それに代えて、ステアリングECU80がアシスト部舵角θaを補正して補正アシスト部舵角θaoを算出し、この補正アシスト部舵角θaoを表す情報を運転支援ECU10に供給する構成であってもよい。
以上、本実施形態(変形例を含む)に係る運転支援装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、ドライバートルク|Tx|が手放し判定閾値Trefより小さい状態が手放し運転確定時間trefを超えた場合に、ドライバーが手放し運転をしていると判定するが、手放し判定方法については、種々の方法が知られており、これら公知の任意の手法を採用することができる。
また、上流側摩擦FrUは、車種に応じた固定値として与えられてもよいが、個々の車両ごとに設定されてもよい。例えば、車両工場において、個々の車両ごとに、上流側摩擦測定用のプログラムでモータ50を駆動し、運転支援装置が備えているセンサを使ってアシスト部舵角θaと入力トルクTiとの関係を表すリサージュ波形を作成し、この波形の変曲点から上流側摩擦FrUを求めるようにしてもよい。
また、本実施形態の運転支援装置は、操舵支援制御として、車線維持支援制御を実施するが、車線維持支援制御に限るものでは無く、例えば、自車両が車線の外に逸脱しないように操舵輪の操舵を制御する車線逸脱防止支援制御、あるいは、自車両が隣接車線に車線変更するように操舵輪の操舵を制御する車線変更支援制御などを実施してもよい。そして、ドライバーが操舵ハンドルを把持していることが要求される操舵支援制御を実施する場合には、運転支援装置は、トルクセンサ60によって検出される入力トルクTiを補正したドライバートルクTxを使って手放し判定を実施するように構成される。
1…運転支援制御部、10…運転支援ECU、11…車速センサ、13…カメラセンサ、14…表示器、15…ブザー、30…電動パワーステアリング部、40…ステアリング機構、50…モータ、51…減速機構部、52…舵角センサ、60…トルクセンサ、61…トーションバー、70…モータドライバ、80…ステアリングECU、101…目標舵角演算部、102…FFトルク演算部、103…減算部、104…FBトルク演算部、105…合算部、106…手放し判定部、107…手放し処理部、W…操舵輪、θa…アシスト部舵角、θh…ハンドル舵角、Δθa…撓み分角度、θao…補正アシスト部舵角、A…アシスト部、Ti…入力トルク、Tx…ドライバートルク、FrU…上流側摩擦、Ktb…トーションバーの剛性(ねじり剛性)。

Claims (1)

  1. ステアリング機構に操舵トルクを付与する操舵アクチュエータと、
    前記操舵アクチュエータの駆動を制御して、ドライバーの操舵操作を支援する制御である操舵支援制御を実施する操舵支援制御手段と、
    前記操舵アクチュエータが前記ステアリング機構に連結される位置よりも操舵ハンドル側のステアリングシャフトに設けられたトーションバーの捩じり状態を検出し、前記トーションバーの捩じり状態に基づいて、前記ステアリングシャフトに入力されたトルクである入力トルクを検出するトルク検出手段と、
    前記ステアリング機構における前記トーションバーよりも前記操舵ハンドル側の摩擦、および、前記トーションバーの剛性に基づいて、前記トルク検出手段によって検出された入力トルクを補正することにより、ドライバーが操舵ハンドルに入力したトルクであるドライバートルクを算出する補正手段と、
    前記操舵支援制御の実施中に、前記補正手段によって算出されたドライバートルクに基づいて、ドライバーが手放し運転をしているか否かについて判定する手放し判定手段と、
    前記手放し判定手段によって前記ドライバーが手放し運転をしていると判定された場合に、予め設定された手放し運転対応処理を実施する手放し運転対応処理手段と
    を備えた運転支援装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20220297672A1 (en) * 2020-01-21 2022-09-22 Hitachi Astemo, Ltd. Steering control device and steering device

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US20220297672A1 (en) * 2020-01-21 2022-09-22 Hitachi Astemo, Ltd. Steering control device and steering device

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