JP2020108277A - 回転電機のロータ - Google Patents

Abstract

【課題】永久磁石を磁石挿入孔に挿入する際の挿入性に優れた回転電機のロータを提供する。【解決手段】回転電機のロータ１０は、周方向に沿って形成された複数の磁石挿入孔３０を有するロータコア２０と、磁石挿入孔３０に挿入された永久磁石６０によって構成される複数の磁極部５０と、を備える。永久磁石６０は、径方向内側に凸の円弧形状を有する外径面６３及び内径面６４を有する。磁石挿入孔３０は、永久磁石６０の外径面６３と対向する外径壁面３３と、永久磁石６０の内径面６４と対向する内径壁面３４と、を有する。永久磁石６０の外径面６３と、磁石挿入孔３０の外径壁面３３との間には、周方向中央部に外径側空間部４３が形成されており、永久磁石６０の内径面６４と、磁石挿入孔３０の内径壁面３４との間には、周方向中央部に内径側空間部４４が形成されている。【選択図】図２

Description

本発明は、電動車両などに搭載される回転電機のロータに関する。

従来から、回転電機に使用されるロータとして、ロータコアの内部に周方向に所定の間隔で複数個の永久磁石を配置した、いわゆるＩＰＭモータが知られている。このようなＩＰＭモータにおいて、特許文献１に記載された回転電機のロータのように、永久磁石に円弧磁石を用いたものが知られている。

特許文献１には、ロータコアの正面から見て、磁石挿入孔の周方向両端部付近に設けられた支持突起に円弧形状の永久磁石の周方向両端面を当接させることで、ロータコアと永久磁石を固定する構成が開示されている。

特開２０１４−１０００４８号公報

一般に、円弧磁石は、平板磁石に比べて製造時における寸法精度の交差バラつきが大きい。しかしながら、特許文献１に記載の回転電機のロータは、円弧磁石の外径面とロータコアの磁石挿入孔の外径壁面との間、及び円弧磁石の内径面とロータコアの磁石挿入孔の内径壁面との間に空間がない。そのため、回転電機のロータの製造時、円弧磁石の寸法精度の交差バラつきによって、円弧磁石を磁石挿入孔に挿入する際の挿入性が悪化してしまう、という課題があった。

本発明は、永久磁石を磁石挿入孔に挿入する際の挿入性に優れた回転電機のロータを提供する。

本発明は、
周方向に沿って形成された複数の磁石挿入孔を有する略円環形状のロータコアと、
前記複数の磁石挿入孔に挿入された永久磁石によって構成される複数の磁極部と、を備える回転電機のロータであって、
前記永久磁石は、
径方向内側に凸の円弧形状を有する外径面と、
径方向内側に凸の円弧形状を有し、前記外径面の円弧中心と同一の円弧中心を有する内径面と、を有し、
前記磁石挿入孔は、
前記永久磁石の前記外径面と対向する外径壁面と、
前記永久磁石の前記内径面と対向する内径壁面と、を有し、
前記永久磁石の前記外径面と、前記磁石挿入孔の前記外径壁面との間には、周方向中央部に外径側空間部が形成されており、
前記永久磁石の前記内径面と、前記磁石挿入孔の前記内径壁面との間には、前記周方向中央部に内径側空間部が形成されている。

本発明によれば、永久磁石と磁石挿入孔との間には、周方向中央部に、外径側空間部及び内径側空間部が形成されているので、永久磁石を磁石挿入孔に挿入する際の挿入性に優れる。

本発明の第１実施形態の回転電機のロータの正面図である。 図１の磁極部周辺の拡大図である。 本発明の第２実施形態の回転電機のロータの磁極部周辺の拡大図である。

以下、本発明の回転電機のロータの各実施形態を、添付図面に基づいて説明する。

［第１実施形態］
まず、本発明の第１実施形態の回転電機のロータについて図１〜図２を参照しながら説明する。

＜ロータの全体構成＞
図１に示すように、第１実施形態の回転電機のロータ１０は、ロータシャフト（不図示）の外周部に取り付けられるロータコア２０と、ロータコア２０の内部に周方向に所定の間隔で形成された複数の磁極部５０と、を備え、略円環形状を有し、ステータ（不図示）の内周側に配置されている。

ロータコア２０は、略同一形状の円環状の電磁鋼板、例えばケイ素鋼板２００を軸方向に複数積層することで形成されると共に、周方向に所定の間隔で複数の磁石挿入孔３０が形成されている。

磁極部５０は、各磁石挿入孔３０に挿入された永久磁石６０によって構成されている。永久磁石６０は、径方向に磁化されており、かつ、周方向で磁極部５０の磁化方向が交互に逆となるように配置されている。

＜磁極部の構成＞
図２に示すように、永久磁石６０は、ロータコア２０の径方向内側に凸の円弧形状を有する。永久磁石６０は、ロータコア２０の外径側の周方向両端部を形成する外径側第１端部６３１及び外径側第２端部６３２と、ロータコア２０の内径側の周方向両端部を形成する内径側第１端部６４１及び内径側第２端部６４２と、を有する。永久磁石６０は、外径側第１端部６３１から内径側第１端部６４１へと延びる第１端面６１と、外径側第２端部６３２から内径側第２端部６４２へと延びる第２端面６２と、外径側第１端部６３１から外径側第２端部６３２へと延び、径方向内側に凸の円弧形状を有する外径面６３と、内径側第１端部６４１から内径側第２端部６４２へと延び、径方向内側に凸の円弧形状を有する内径面６４と、を有する。本実施形態において、外径面６３及び内径面６４は、円弧半径Ｒ１及び円弧半径Ｒ２を有し、同一の円弧中心Ｃ６０の同心円弧となっている。よって、永久磁石６０は周方向で肉厚が略同一な円弧磁石となっている。

一般に、回転電機のロータにおいて、磁石挿入孔に挿入された永久磁石の周方向両端部は短絡磁束が発生するため減磁しやすい。本実施形態の永久磁石６０は、減磁しやすい周方向両端部の肉厚が周方向中央部の肉厚と略同一となるので、減磁を抑制できる。

ロータコア２０に形成された磁石挿入孔３０は、径方向外側の周方向両端部を形成する外径側第１端部３３１及び外径側第２端部３３２と、径方向内側の周方向両端部を形成する内径側第１端部３４１及び内径側第２端部３４２と、を有する。磁石挿入孔３０は、外径側第１端部３３１から内径側第１端部３４１へと延びる第１端壁面３１と、外径側第２端部３３２から内径側第２端部３４２へと延びる第２端壁面３２と、外径側第１端部３３１から外径側第２端部３３２へと延び、径方向内側に凸の円弧形状を有する外径壁面３３と、内径側第１端部３４１から内径側第２端部３４２へと延び、径方向内側に凸の円弧形状を有する内径壁面３４と、を有する。

磁石挿入孔３０の外径壁面３３は、円弧中心Ｃ３３とする円弧半径Ｒ３の円弧形状を有する。磁石挿入孔３０の内径壁面３４は、円弧中心Ｃ３４とする円弧半径Ｒ４の円弧形状を有する。磁石挿入孔３０の内径壁面３４には、内径側第１端部３４１及び内径側第２端部３４２から所定長さ離れた位置に、外径側に突出する一対の突起部３４ａが形成されている。永久磁石６０は、磁石挿入孔３０の一対の突起部３４ａの周方向内側に挿入されている。これにより、ロータ１０の回転等によって、永久磁石６０が周方向に移動した場合でも、永久磁石の第１端面６１または第２端面６２が突起部３４ａに当接することによって、永久磁石６０が周方向に移動するのを規制することができる。また、磁石挿入孔３０の一対の突起部３４ａより周方向外側は、空隙となっており、フラックスバリアとして機能する。

磁石挿入孔３０の第１端壁面３１と、ロータコア２０の外周面２０ａとの間には、第１外周リブ２１が形成される。磁石挿入孔３０の第２端壁面３２と、ロータコア２０の外周面２０ａとの間には、第２外周リブ２２が形成される。

磁石挿入孔３０の外径壁面３３の円弧中心Ｃ３３は、円弧中心Ｃ６０よりもロータコア２０の径方向外側に位置しており、円弧半径Ｒ３は、永久磁石６０の外径面６３の円弧半径Ｒ１よりも大きい、すなわち、Ｒ１＜Ｒ３となっている。したがって、永久磁石６０の周方向中央部は磁石挿入孔３０とは当接せず、永久磁石６０の外径面６３と磁石挿入孔３０の外径壁面３３との間には、周方向中央部に外径側空間部４３が形成される。

磁石挿入孔３０の内径壁面３４の円弧中心Ｃ３４は、円弧中心Ｃ６０よりもロータコア２０の径方向内側に位置しており、円弧半径Ｒ４は、永久磁石６０の内径面６４の円弧半径Ｒ２よりも小さい、すなわち、Ｒ２＞Ｒ４となっている。これにより、永久磁石６０の周方向中央部は磁石挿入孔３０とは当接せず、永久磁石６０の内径面６４と磁石挿入孔３０の内径壁面３４との間には、周方向中央部に内径側空間部４４が形成される。

このように、永久磁石６０の外径面６３と磁石挿入孔３０の外径壁面３３との間には、周方向中央部に外径側空間部４３が形成されており、永久磁石６０の内径面６４と磁石挿入孔３０の内径壁面３４との間には、周方向中央部に内径側空間部４４が形成されているので、ロータ１０の製造時、永久磁石６０の製造時に寸法精度の交差バラつきが生じた場合でも、円弧磁石を磁石挿入孔に挿入する際の挿入性に優れる。

また、Ｒ１＜Ｒ３とすることで、簡単な構成で確実に外径側空間部４３を形成することができる。同様に、Ｒ２＞Ｒ４とすることで、簡単な構成で確実に内径側空間部４４を形成することができる。

内径側空間部４４には、永久磁石６０の周方向中央部に発泡シート９０が設けられている。ロータ１０の製造の際、発泡シート９０は、永久磁石６０の内径面６４の周方向中央部に貼付した後、永久磁石６０を磁石挿入孔３０に挿入することにより配置される。そして、永久磁石６０を磁石挿入孔３０に挿入した後、加熱等により発泡シート９０を発泡させることによって、永久磁石６０は、径方向外側に押圧され、外径側第１端部６３１及び外径側第２端部６３２が磁石挿入孔３０の外径壁面３３に当接した状態で、ロータコア２０に固定される。

永久磁石６０が磁石挿入孔３０の外径壁面３３の周方向中央部で当接していると、ロータ１０の回転時、永久磁石６０に生じる遠心力によって、磁石挿入孔３０の外径壁面３３の周方向中央部に応力が生じる。磁石挿入孔３０の外径壁面３３の周方向中央部に応力が生じると、力のモーメントによって、ロータコア２０の第１外周リブ２１及び第２外周リブ２２に過大な応力が発生する。

本実施形態では、永久磁石６０の外径面６３と磁石挿入孔３０の外径壁面３３との間には、周方向中央部に外径側空間部４３が形成されており、永久磁石６０の周方向中央部は磁石挿入孔３０とは当接しないので、ロータコア２０の外周面２０ａ、特に第１外周リブ２１及び第２外周リブ２２に、過大な応力が発生するのを回避できる。

また、発泡シート９０は、永久磁石６０の周方向中央部に設けられているので、発泡シート９０を発泡させた際、永久磁石６０の外径側第１端部６３１及び外径側第２端部６３２を、均等な押圧力によって磁石挿入孔３０の外径壁面３３に当接させることができる。

［第２実施形態］
続いて、本発明の第２実施形態のロータ１０Ａについて図３を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第１実施形態のロータ１０と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略又は簡略化し、第１実施形態のロータ１０との相違点について詳細に説明する。

図３に示すように、本実施形態の磁石挿入孔３０の内径壁面３４は、周方向中央部に径方向内側へ突出して形成された平坦部３４Ｆを有する。そして、発泡シート９０は、永久磁石６０の周方向中央部の内径面６４と、磁石挿入孔３０の内径壁面３４の平坦部３４Ｆとの間に配置されている。

磁石挿入孔３０の内径壁面３４の平坦部３４Ｆは、径方向内側へ突出して形成されているので、永久磁石６０の内径面６４と磁石挿入孔３０の内径壁面３４との間には、確実に内径側空間部４４が形成される。これにより、永久磁石６０の内径面６４の円弧半径Ｒ２と、磁石挿入孔３０の内径壁面３４の円弧半径Ｒ４とを近い半径としても、確実に内径側空間部４４がされるので、永久磁石６０を磁石挿入孔３０に挿入する際の挿入性に優れる。また、Ｒ２とＲ４を近い半径とすることで、永久磁石６０の磁石量及びロータコア２０の鉄量を増やすことができ、回転電機の出力性能が向上する。

なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。

例えば、第１実施形態及び第２実施形態では、１つの永久磁石６０で１つの磁極部５０を構成するものとしたが、複数の永久磁石で１つの磁極部５０を構成してもよい。この場合、磁極部５０を構成するそれぞれの永久磁石及び該永久磁石が挿入される磁石挿入孔について、本実施形態と同様の形状とすることができる。

また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。

（１） 周方向に沿って形成された複数の磁石挿入孔（磁石挿入孔３０）を有する略円環形状のロータコア（ロータコア２０）と、
前記複数の磁石挿入孔に挿入された永久磁石（永久磁石６０）によって構成される複数の磁極部（磁極部５０）と、を備える回転電機のロータ（ロータ１０）であって、
前記永久磁石は、
径方向内側に凸の円弧形状を有する外径面（外径面６３）と、
径方向内側に凸の円弧形状を有し、前記外径面の円弧中心と同一の円弧中心（円弧中心Ｃ６０）を有する内径面（内径面６４）と、を有し、
前記磁石挿入孔は、
前記永久磁石の前記外径面と対向する外径壁面（外径壁面３３）と、
前記永久磁石の前記内径面と対向する内径壁面（内径壁面３４）と、を有し、
前記永久磁石の前記外径面と、前記磁石挿入孔の前記外径壁面との間には、周方向中央部に外径側空間部（外径側空間部４３）が形成されており、
前記永久磁石の前記内径面と、前記磁石挿入孔の前記内径壁面との間には、前記周方向中央部に内径側空間部（内径側空間部４４）が形成されている、回転電機のロータ。

（１）によれば、永久磁石は、同一の円弧中心を有する円弧形状の外径面及び内径面を有するので、径方向の肉厚が周方向で略同一となる。これにより、減磁しやすい永久磁石の周方向両端部の肉厚が周方向中央部の肉厚と略同一となるので、減磁を抑制できる。さらに、永久磁石と磁石挿入孔との間には、周方向中央部に外径側空間部及び内径側空間部が形成されているので、永久磁石を磁石挿入孔に挿入する際の挿入性に優れる。

（２） （１）に記載の回転電機のロータであって、
前記磁石挿入孔の前記外径壁面及び前記内径壁面は、いずれも径方向内側に凸の円弧形状を有し、
前記永久磁石の前記外径面の円弧半径をＲ１、前記内径面の円弧半径をＲ２とし、前記磁石挿入孔の前記外径壁面の円弧半径をＲ３、前記内径壁面の円弧半径をＲ４とすると、Ｒ１＜Ｒ３かつＲ２＞Ｒ４である、回転電機のロータ。

（２）によれば、Ｒ１＜Ｒ３であるので、永久磁石の外径面は、磁石挿入孔の外径壁面と接触せず、簡単な構成で確実に外径側空間部を形成することができる。また、Ｒ２＞Ｒ４であるので、永久磁石の内径面は、磁石挿入孔の内径壁面と接触せず、簡単な構成で確実に内径側空間部を形成することができる。

（３） （２）に記載の回転電機のロータであって、
前記磁石挿入孔の前記内径壁面は、前記周方向中央部に径方向内側へ突出して形成された平坦部（平坦部３４Ｆ）を有する、回転電機のロータ。

（３）によれば、磁石挿入孔の内径壁面は、周方向中央部に径方向内側へ突出して形成された平坦部を有するので、確実に内径側空間部を形成することができる。これにより、Ｒ２とＲ４をより近い半径としても、永久磁石を磁石挿入孔に挿入する際の挿入性に優れる。

（４） （１）〜（３）のいずれかに記載の回転電機のロータであって、
前記内径側空間部には、発泡シート（発泡シート９０）が設けられている、回転電機のロータ。

（４）によれば、内径側空間部には、発泡シートが設けられているので、永久磁石を磁石挿入孔に挿入後、発泡シートを発泡させることで、永久磁石は磁石挿入孔の外径壁面と当接し、固定される。このとき、永久磁石の外径面と磁石挿入孔の外径壁面との間には、外径側空間部が形成されているので、永久磁石の周方向両端部が磁石挿入孔の外径壁面と当接し、永久磁石の周方向中央部は、磁石挿入孔の外径壁面と当接しない。これにより、ロータコアの外周面に過大な遠心応力が発生するのを回避できる。

（５） （４）に記載の回転電機のロータであって、
前記発泡シートは、前記永久磁石の前記周方向中央部に設けられている、回転電機のロータ。

（５）によれば、発泡シートは、永久磁石の周方向中央部に設けられているので、永久磁石を磁石挿入孔に挿入後、発泡シートを発泡させた際、永久磁石の周方向両端部を、均等な押圧力により、磁石挿入孔の外径壁面に当接させることができる。

１０ ロータ
２０ ロータコア
３０ 磁石挿入孔
３３ 外径壁面
３４ 内径壁面
３４Ｆ 平坦部
４３ 外径側空間部
４４ 内径側空間部
５０ 磁極部
６０ 永久磁石
６３ 外径面
６４ 内径面
９０ 発泡シート
Ｃ６０ 円弧中心
Ｒ１、Ｒ２、Ｒ３、Ｒ４ 円弧半径

Claims (5)

1. 周方向に沿って形成された複数の磁石挿入孔を有する略円環形状のロータコアと、
   前記複数の磁石挿入孔に挿入された永久磁石によって構成される複数の磁極部と、を備える回転電機のロータであって、
   前記永久磁石は、
   径方向内側に凸の円弧形状を有する外径面と、
   径方向内側に凸の円弧形状を有し、前記外径面の円弧中心と同一の円弧中心を有する内径面と、を有し、
   前記磁石挿入孔は、
   前記永久磁石の前記外径面と対向する外径壁面と、
   前記永久磁石の前記内径面と対向する内径壁面と、を有し、
   前記永久磁石の前記外径面と、前記磁石挿入孔の前記外径壁面との間には、周方向中央部に外径側空間部が形成されており、
   前記永久磁石の前記内径面と、前記磁石挿入孔の前記内径壁面との間には、前記周方向中央部に内径側空間部が形成されている、回転電機のロータ。
2. 請求項１に記載の回転電機のロータであって、
   前記磁石挿入孔の前記外径壁面及び前記内径壁面は、いずれも径方向内側に凸の円弧形状を有し、
   前記永久磁石の前記外径面の円弧半径をＲ１、前記内径面の円弧半径をＲ２とし、前記磁石挿入孔の前記外径壁面の円弧半径をＲ３、前記内径壁面の円弧半径をＲ４とすると、Ｒ１＜Ｒ３かつＲ２＞Ｒ４である、回転電機のロータ。
3. 請求項２に記載の回転電機のロータであって、
   前記磁石挿入孔の前記内径壁面は、前記周方向中央部に径方向内側へ突出して形成された平坦部を有する、回転電機のロータ。
4. 請求項１〜３のいずれか一項に記載の回転電機のロータであって、
   前記内径側空間部には、発泡シートが設けられている、回転電機のロータ。
5. 請求項４に記載の回転電機のロータであって、
   前記発泡シートは、前記永久磁石の前記周方向中央部に設けられている、回転電機のロータ。

Images