JP2020105446A - 成形体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む部分と、他材料を含む部分、特に、オレフィン系エラストマーなどを含む部分とが接して形成された成形体であって、その接着面での接着強度に優れた成形体およびその製造方法を提供すること。【解決手段】 融点(Tm)が200〜250℃の範囲にある特定の4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と、DSCで測定した際に、融点(Tm)が観察されないか100℃〜199℃の範囲にある特定の4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)と、を特定の割合で含む組成物(X)から形成されてなる部分(1)と、部分(1)に接して形成された、オレフィン系エラストマー(C)と、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)とを特定の割合で含む特定の組成物(Y)から形成されてなる部分(2)と、を有する成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む部分とほかの部分とが接して形成されたシール部材を含んだ成形体およびその製造方法に関する。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(ポリメチルペンテン、PMPなどとも称される)は各種用途に用いられているが、表面張力が非常に低いことにより耐汚染性に優れる特徴や、透明性に優れ、かつ耐熱性も高いという特徴を生かして食品保存用容器や食器といった生活用品の材料としても用いられている。
しかし、いわゆる二色成形や、インサート成形などにより、4−メチル−1−ペンテン系重合体で形成された複数パーツを融着させたデザインの成形体を得ようとするとき、その表面張力の低さや耐熱性が高いことに由来して、これらのパーツが十分な強度で接着しないことが指摘されていた。
特許文献1にはポリメチルペンテンにポリプロピレンを加えた組成物を用いた二重成形品が開示されている。また特許文献2には複数の融点を持つポリメチルペンテン系重合体からなる組成物および中空成形体について開示されている。特許文献3には、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む複数の部品における接着強度を向上させた成形体が開示されている。
特開2010−089305号公報 WO2013/099876号公報 WO2018/155179号公報
しかしながら、特許文献1に記載された二重成形方法について、本発明者らは、耐傷つき性、および耐着色性において、改善の余地があると考えた。また特許文献2では離形性を維持しながら耐熱性と耐衝撃性を改良しているが、シール部材のような柔軟性において改善の余地があると考えた。また特許文献3では、4−メチル‐1−ペンテン系重合体同士の接着性は向上しているが、他材料との接着性について改善の余地があると考えた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、上記の問題点の解決を目的とするものである。すなわち、本発明の課題は、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む部分と、他材料を含む部分、特に、オレフィン系エラストマーなどを含む部分とが接して形成された成形体であって、その接着面での接着強度に優れた成形体、および、その製造方法を提供することを目的としている。
かかる課題に鑑み本発明者らは検討を重ねた結果、特定の4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む部分に、特定のオレフィン系エラストマーなどを含む特定の組成物からなる部分を接して形成することにより、上記課題が解決されることを見出した。
上記の課題を解決するための具体的な手段は、以下の通りである。
[1]下記要件(A−a)〜(A−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と、下記要件(B−a)〜(B−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)と、を含み、(共)重合体(A)と共重合体(B)との合計を100質量部としたときに共重合体(B)の含有量が50〜90質量部である、組成物(X)から形成されてなる部分(1)と、
オレフィン系エラストマー(C)と、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)と、を含み、オレフィン系エラストマー(C)とスチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との合計を100質量部としたときに、オレフィン系エラストマー(C)の含有量が1〜50質量部であり、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)の含有量が50〜99質量部であり、且つ、下記要件(Y‐1)〜(Y‐2)を満たす組成物(Y)から形成されてなる部分(2)と、
を有し、
前記部分(2)が、前記部分(1)に接して形成されている成形体:
(A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が100〜90モル%であり、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位(AQ)の含有率が0〜10モル%である;
(A−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gである;
(A−c)DSCで測定した融点(Tm)が200〜250℃の範囲にある;
(A−d)DSCで測定した結晶化温度(Tc)が150〜220℃の範囲にある;
(A−e)密度が820〜850kg/m3である。
(B−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が65モル%以上96モル%未満であり、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位(BQ)の含有率が4モル%を超え35モル%以下である;
(B−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜4.0dl/gである;
(B−c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である;
(B−d)DSCで測定した際に、融点(Tm)が観察されないか100℃〜199℃の範囲にある;
(B−e)密度が830〜860kg/m3である。
(Y−1)JIS K7127に準拠し測定した引張弾性率が0.1〜500MPaの範囲にある;
(Y−2)前記オレフィン系エラストマー(C)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が観察されないか、50℃〜162℃の範囲にある。
[2] 前記構成単位(BQ)が、炭素原子数2〜4のα−オレフィンに由来する構成単位である[1]に記載の成形体。
[3] 前記組成物(X)において、前記共重合体(B)の含有量が70〜90質量部である、[1]または[2]に記載の成形体。
[4] 前記組成物(Y)が、前記スチレン系エラストマー(D)を50〜99質量%含有し、かつ、前記オレフィン系エラストマー(C)が、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の要件(B−a)〜(B−e)を満たす、[1]〜[3]のいずれかに記載の成形体。
[5] 前記組成物(Y)が、前記プロピレン系樹脂(E)を50〜99質量%含有し、かつ、前記オレフィン系エラストマー(C)が、プロピレンから導かれる構成単位を50〜90モル%含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の成形体。
[6]シール材が一体に形成された、容器の蓋であり、前記部分(2)がシール材である、[1]〜[5]のいずれかに記載の成形体。
[7]食品保存用シール容器の蓋である、[1]〜[6]のいずれかに記載の成形体。
[8] 前記部分(1)を形成する工程(1)と、前記部分(1)に接して、前記部分(2)を形成する工程(2)と、を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の成形体の製造方法。
[9] 射出成形によって、前記部分(1)および部分(2)を形成する、[8]に記載の成形体の製造方法。
本発明によれば、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む部分とオレフィン系エラストマーなどを含む部分とが接して形成された成形体であって、その接着面での接着強度に優れた成形体を提供できる。
図1は、実施例で作製した射出成形体の形状、寸法を示す図である。ここで、図1(a)および図1(b)は、それぞれ当該射出成形体の平面図および正面図を表す。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本発明の成形体は、後述する4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)を含む組成物(X)から形成されてなる部分(1)と、前記部分(1)に接して形成された部分(2)とを有する。ここで、この部分(2)は、オレフィン系エラストマー(C)とスチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)とから形成されてなる。
なお、本明細書において、「(共)重合体」および「重合体」なる語は、単独重合体および共重合体を包含する意味で用いられる。
以下、本発明の成形体の各部分に用いられる成分等について説明する。
〔組成物(X)から形成されてなる部分(1)〕
本発明において、部分(1)は組成物(X)から形成される。換言すると、部分(1)は、組成物(X)からなる部分と見ることもできる。
組成物(X)は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)(以下、単に「重合体(A)」ともいう)と4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)(以下、単に「共重合体(B)」ともいう)とを含む組成物である。組成物(X)は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)との合計を100質量部としたときに共重合体(B)の含有量が50〜90質量部であり、すなわち(共)重合体(A)の含有量は10〜50質量部である。好ましくは、4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の含有量が70〜90質量部であり、すなわち好ましくは4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)の含有量が10〜30質量部である。4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)とを上記比率で含むことにより、部分(2)との接着強度が十分なものになる。
以下、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)(重合体(A))及び4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)(共重合体(B))のそれぞれについて説明する。
<重合体(A)>
重合体(A)は、以下の要件(A−a)〜(A−e)を満たす。
要件(A−a):重合体(A)における4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(P)の含有率は90モル%以上100モル%以下、好ましくは95モル%以上100モル%以下であり、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位(AQ)の含有率は0モル%以上10モル%以下、好ましくは0モル%以上5モル%以下である。
重合体(A)における構成単位(P)の含有率が90モル%以上であることにより、成形体の耐熱性が得られるという利点がある。
構成単位(AQ)を形成する、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。構成単位(AQ)を形成するα−オレフィンとしては、組成物(X)の層に適度な弾性率と柔軟性、可とう性を付与するという観点から、炭素数8以上18以下のオレフィン(たとえば1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン及び1−オクタデセン)が好ましい。本発明の特に好適な態様では、構成単位(AQ)を形成するα−オレフィンは1−デセンである。
重合体(A)は、上記構成単位(P)と上記構成単位(AQ)とを含む重合体であり、本発明の特に好適な態様において、上記構成単位(P)と上記構成単位(AQ)とのみからなる重合体である。ただ、本発明においては、重合体(A)が、上記構成単位(P)及び上記構成単位(AQ)のいずれにも該当しない構成単位をさらに含むことは何ら排除されるものでない。重合体(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(P)及び4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンに由来する構成単位(AQ)以外のその他の構成単位(以下、単に「その他の構成単位」とも呼ばれることがある。)を含んでいてもよい。その他の構成単位の含有率は、たとえば0〜10モル%である。
上記その他の構成単位を形成するモノマーの具体例等は、後述する共重合体(B)に含まれ得るその他の構成単位を形成するモノマーの具体例等と同様である。
なお、重合体(A)における各構成単位の含有率(モル%)の値は、後述する共重合体(B)と同様に、13C−NMRによる測定法によって測定した場合のものである。
要件(A−b):重合体(A)の、デカリン溶媒中、135℃で測定される極限粘度[η]は、1.0〜4.0dl/gであり、好ましくは1.0dl/g〜3.5dl/gであり、より好ましくは1.0dl/g〜3.0dl/gである。重合体(A)の極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形時の流動性および成形体の強度の点で好ましい。
重合体(A)の極限粘度[η]は、ウベローデ粘度計を用い、下記の方法により測定される値である。
20mgの重合体(A)をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液を、デカリンを5ml加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)とする(下記の式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
要件(A−c):重合体(A)の融点(Tm)は、200〜250℃、好ましくは200℃〜245℃、より好ましくは200℃〜240℃の範囲にある。重合体(A)の融点(Tm)が上記範囲にあることにより、上記範囲よりも高い場合に比べて適度な弾性率を有し、上記範囲よりも低い場合に比べて耐熱性が良好である。
要件(A−d):重合体(A)の結晶化温度(Tc)は、150〜220℃、好ましくは180℃〜220℃、より好ましくは190℃〜220℃の範囲にある。重合体(A)の結晶化温度(Tc)が上記範囲にあることにより、上記範囲よりも高い場合に比べて成形体は適度な柔軟性を有し、上記範囲よりも低い場合に比べて剛性と結晶化度が高いため、離型性が良好である。
重合体(A)の融点(Tm)および結晶化温度(Tc)は、それぞれ示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimetry)を用い、JIS K7121に準拠して下記の方法により測定される値である。
約5mgの重合体(A)を、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計(DSC220C型)の測定用アルミニウムパン中に室温で密封し、室温から10℃/分の速度で260℃まで加熱する。重合体(A)を完全融解させるために、260℃で5分間保持し、次いで、10℃/分の速度で−50℃まで冷却する。この冷却過程でピークが観測される温度を結晶化温度(Tc)とする。−50℃で5分間保持した後、10℃/分の速度で260℃まで2度目の加熱を行ない、この2度目の加熱でピークが観測される温度を重合体の融点(Tm)とする。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用する。
要件(A−e):重合体(A)のJIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定される密度は、820〜850kg/m3であり、好ましくは825〜840kg/m3であり、より好ましくは830〜835kg/m3である。密度が前記範囲であることにより、前記範囲よりも小さい場合に比べて成形体の機械的な強度が高く、前記範囲よりも大きい場合に比べて成形体の衝撃強度が高くなる傾向がある。
重合体(A)は、上記要件(A−a)〜(A−e)に加えて、好ましくは下記のいずれかの要件を満たす。
要件(A−f):重合体(A)の、ASTM D1238に準拠して260℃、5.0kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)は、後述する共重合体(B)と押出機内で混ざりやすく、成形できる範囲であれば特に規定されないが、通常、0.5g/10min〜200g/10minであり、より好ましくは1g/10min〜150g/10min、さらに好ましくは1g/10min〜100g/10minである。当該MFRが上記範囲であれば、組成物(X)を射出成形しやすい。
要件(A−g):重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜7.0であり、好ましくは2.0〜6.0である。なお、重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、実施例記載の方法により算出される値である。
要件(A−h):重合体(A)は、結晶性の高い重合体であることが好ましい。結晶性の高い重合体としては、アイソタクチック構造を有する重合体、シンジオタクチック構造を有する重合体のいずれであってもよいが、特にアイソタクチック構造を有する重合体が好ましく、また入手も容易である。さらに、重合体(A)は、組成物(X)を成形でき、目的とする使用に耐える強度を有していれば、立体規則性は特に制限されない。
(重合体(A)の製造方法)
重合体(A)は、オレフィン類を重合して製造してもよく、高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体を、熱分解して製造してもよい。また重合体(A)は、溶媒に対する溶解度の差で分別する溶媒分別、あるいは沸点の差で分取する分子蒸留などの方法で精製されていてもよい。
重合体(A)を重合反応により製造する場合、例えば4−メチル−1−ペンテンおよび必要に応じて共重合させるα−オレフィンの仕込み量、重合触媒の種類、重合温度、重合時の水素添加量等を調整することで、融点、立体規則性および分子量等を制御する。重合体(A)を重合反応により製造する方法は、公知の方法であってもよい。重合体(A)は、例えば、チーグラーナッタ触媒、メタロセン系触媒等の公知の触媒を用いた方法により製造され、好ましくはチーグラーナッタ触媒を用いて製造され得る。一方、重合体(A)を、より高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体の熱分解により製造する場合には、熱分解の温度や時間を制御することで、分子量を所望の値に制御する。
重合体(A)は、前述のように製造したもの以外にも、例えば三井化学株式会社製TPX等、市販の重合体であってもよい。
<共重合体(B)>
共重合体(B)は、以下の要件(B−a)〜(B−e)を満たす。
要件(B−a):共重合体(B)は、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(P)を65モル%以上96モル%未満の割合で、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構成単位(BQ)を4モル%を超え35モル%以下の割合で有する。
構成単位(P)の含有率は、65モル%以上96モル%未満であり、好ましくは68モル%以上92モル%未満であり、より好ましくは68モル%以上90モル%未満であり、特に好ましくは80モル%以上88モル%未満である。
構成単位(BQ)の含有率(構成単位(BQ)が2種以上である場合は当該2種以上の合計の含有率)は、4モル%を超え35モル%以下であり、好ましくは8モル%を超え32モル%以下であり、より好ましくは10モル%を超え32モル%以下であり、特に好ましくは12モル%を超え20モル%以下である。
構成単位(BQ)を形成する、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンとしては、引張破断伸びの異方性及び引裂強さの異方性をより低減する観点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンが好ましく、炭素原子数2〜4のα−オレフィン、すなわちエチレン、プロピレン、1−ブテンが更に好ましく、プロピレンが特に好ましい。言い換えると、構成単位(BQ)は、好ましくは炭素原子数2〜4のα−オレフィンに由来する構成単位、特に好ましくはプロピレンに由来する構成単位である。
また、上記α−オレフィンとして上記例示したものを用いると、得られる成形体の耐衝撃性も向上する。
構成単位(BQ)を形成するα−オレフィンとして、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、構成単位(BQ)は、前記重合体(A)が構成単位(AQ)を含む場合、構成単位(AQ)と同じであってもよく、異なっていてもよい。
共重合体(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(P)及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構成単位(BQ)以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。その他の構成単位の含有率は、たとえば0〜10モル%である。
上記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン等が含まれる。
環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、及びハロゲン化オレフィンとしては、例えば、特開2013−169685号公報の段落0034〜0041に記載の化合物を用いることができる。
上記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、ビニルシクロヘキサン、スチレンが特に好ましい。
共重合体(B)に、上記その他の構成単位が含まれる場合、上記その他の構成単位は、1種のみ含まれていてもよく、また、2種以上含まれていてもよい。
共重合体(B)における各構成単位の含有率(モル%)の値は、下記の条件で13C−NMRによる測定法により測定した場合のものである。
〜条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
要件(B−b):共重合体(B)の、デカリン溶媒中、135℃で測定される極限粘度[η]は、0.5〜4.0dl/gであり、好ましくは0.5dl/g〜3.5dl/gであり、より好ましくは1.0dl/g〜3.5dl/gである。共重合体(B)の極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形性の点で好ましい。
共重合体(B)の極限粘度[η]は、前記重合体(A)の極限粘度[η]と同様の方法で測定される値である。
要件(B−c):共重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、組成物(X)からなる層のべたつき及び外観の観点から、1.0〜3.5であり、好ましくは1.1〜3.0である。
共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、組成物(X)の成形性の観点から、好ましくは1×104〜2×106であり、より好ましくは1×104〜1×106である。
なお、共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、実施例記載の方法により算出される値である。
要件(B−d):共重合体(B)の融点(Tm)は、観察されないか、又は100℃〜199℃の範囲にあり、より好ましくは観察されないか、又は110℃〜180℃の範囲にあり、さらに好ましくは110℃〜160℃の範囲にあり、特に好ましくは125℃〜150℃の範囲にある。
共重合体(B)の融点(Tm)は、前記重合体(A)の融点(Tm)と同様の方法により測定される値である。
要件(B−e):共重合体(B)のJIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定される密度は、ハンドリング性の観点から、830kg/m3〜860kg/m3であり、好ましくは830kg/m3〜850kg/m3である。
共重合体(B)は上記要件(B−a)〜(B−e)に加えて、好ましくは下記の要件を満たす。
要件(B−f):共重合体(B)の、ASTM D1238に準拠して230℃で2.16kgの荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)は、組成物(X)の成形時の流動性の観点から、好ましくは0.1g/10min〜100g/10minであり、より好ましくは0.5g/10min〜50g/10minであり、さらに好ましくは0.5g/10min〜30g/10minである。
(共重合体(B)の製造方法)
共重合体(B)は、従来知られているメタロセン触媒系により、例えば、国際公開第2005/121192号、国際公開第2011/055803号、国際公開第2014/050817等に記載された方法により合成することができる。
<組成物(X)>
組成物(X)において、重合体(A)と共重合体(B)との合計100質量部に対する重合体(A)の含有量は、50質量部以上95質量部以下であり、好ましくは60質量部以上90質量部以下である。
前記重合体(A)と前記共重合体(B)の含有比が前記範囲であることにより、得られる成形体の各部分の耐熱性と接着強度に優れる成形体が得られる。
組成物(X)は、前記重合体(A)と前記共重合体(B)を含む組成物であり、前記重合体(A)と前記共重合体(B)とのみからなることを妨げるものではない。ただ、本発明において、組成物(X)は、本発明の目的を損なわない範囲内において、さらに前記重合体(A)及び前記共重合体(B)のいずれにも該当しない成分(以下、「その他の成分」)を含有していても良い。そのような「その他の成分」として、例えば、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、離型剤、顔料、染料、老化防止剤、塩酸吸収剤、無機又は有機の充填剤、有機系又は無機系の発泡剤、架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤等の各種添加剤や、重合体(A)および共重合体(B)以外の樹脂が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等)、リン系(テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレンジホスフォネート等)、アミン系(N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等)の酸化防止剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系等が挙げられる。
抗菌剤としては、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素等が挙げられる。
離型剤としては、高級脂肪酸の低級(C1〜4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C4〜30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィン等が挙げられる。
帯電防止剤としては、上記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしてはステアリン酸やオレイン酸のエステルなどが挙げられ、高分子型帯電防止剤としてはポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
界面活性剤としては非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤などが挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキル時ヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
顔料としては、無機含量(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、前記共重合体(A)100質量部に対して、合計で、通常5質量部以下、好ましくは0.1〜3質量部である。
スリップ剤としては、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、講習脂肪酸塩(ステアリン酸カルシウム等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等)等が挙げられる。
組成物(X)における、「その他の成分」の含有量は、重合体(A)および共重合体(B)の合計100質量部に対して好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
本発明の好適な態様に係る組成物(X)の一例として、後述する実施例に示したように、前記重合体(A)と前記共重合体(B)と酸化防止剤とのみからなる組成物が挙げられる。
組成物(X)は、重合体(A)と共重合体(B)とオプションで用いられる「その他の成分」とを前記割合で混合することによって得られ、混合方法としては特に限定されず、例えば、二軸押出機でコンパウンドする方法や、ペレット同士をドライブレンド等によって混合する方法等が挙げられる。
〔組成物(Y)を含んでなる部分(2)〕
本発明において、部分(2)は組成物(Y)から形成される。換言すると、部分(2)は、組成物(Y)からなる部分と見ることもできる。
組成物(Y)は、オレフィン系エラストマー(C)と、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)とを含む組成物である。本発明において、組成物(Y)は、下記要件(Y−1)〜(Y−2)を満たす。
要件(Y−1):JIS K7127に準拠し測定した引張弾性率が0.1〜500MPaの範囲にある。この引張弾性率は、0.1〜450MPaの範囲にあることが好ましく、(1〜400MPaの範囲にあることがさらに好ましい。引張弾性率が上記範囲にあることで、本発明の成形体は柔軟なシール材として利用することができる。
要件(Y−2):前記オレフィン系エラストマー(C)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が観察されないか、50℃〜162℃の範囲にある。この要件を満たすことで、加熱時の変形を抑えることができる。
ここで、オレフィン系エラストマー(C)について「融点(Tm)が観測されない」とは、示差走査型熱量測定(DSC)で測定される融解熱量(ΔH)(単位:J/g)が実質的に計測されないことをいう。融解熱量(ΔH)が実質的に計測されないとは、示差走査熱量計(DSC)測定においてピークが観測されないか、あるいは観測された融解熱量が1J/g以下であることである。オレフィン系エラストマー(C)の融点(Tm)は、JIS K7121に準拠して前記要件(A−d)で上述したものと同様の方法により測定される値である。
以下、オレフィン系エラストマー(C)、スチレン系エラストマー(D)、および、プロピレン系樹脂(E)について述べる。なお、組成物(Y)におけるオレフィン系エラストマー(C)、スチレン系エラストマー(D)、および、プロピレン系樹脂(E)の割合については、後記「組成物(Y)」の項で後述する。
<オレフィン系エラストマー(C)>
本発明で用いられる組成物(Y)は、オレフィン系エラストマー(C)を必須成分として含む。
本発明で用いられるオレフィン系エラストマー(C)は、構成モノマーとなるオレフィンの種類に特に限定はなく、オレフィン系エラストマーとして一般に用いられているものであっても良い。
本発明においてオレフィン系エラストマー(C)として用いうる例示的なオレフィン系エラストマーの第1の態様は、エチレンおよびプロピレンからなる群より選ばれる1つ以上と、エチレンでもプロピレンでもないオレフィンとの共重合体である。本発明の1つの例示的な態様において、オレフィン系エラストマー(C)は、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選ばれる1つからなる第1の共重合体部分と、ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン、ポリイソブチレン、及びα−オレフィンからなる群より選ばれる1つからなる第2の共重合体部分との共重合体である。このような共重合体の例として、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選ばれる1つからなる第1の共重合体部分と、ポリα−オレフィンからなる第2の共重合体部分との共重合体が挙げられる。前記第1の共重合体部分と前記第2の共重合体部分との共重合の形態は、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれでもよい。また、本発明のもう1つの例示的な態様において、オレフィン系エラストマー(C)は、エチレンおよびプロピレンからなる群より選ばれる1つ以上と、α−オレフィン(ただし、エチレンおよびプロピレンを除く。)とからなるランダム共重合体が挙げられる。前記α−オレフィンとは、分子鎖の片末端に二重結合を有するオレフィンのことであり、その好適な例として、1−ブテンおよび1−オクテンなどが挙げられる。
例えば硬質部となるポリプロピレン等の結晶性の高いポリマーを形成するポリオレフィンブロックと、軟質部となる非晶性を示すモノマー共重合体とのブロック共重合体が挙げられ、具体的には、オレフィン(結晶性)・エチレン・ブチレン・オレフィンブロック共重合体、ポリプロピレン・ポリオレフィン(非晶性)・ポリプロピレンブロック共重合体等を例示することができる。具体例としては、JSR株式会社から商品名DYNARON(ダイナロン)(登録商標)、三井化学株式会社から商品名タフマー(登録商標)、ノティオ(登録商標)、ダウケミカル株式会社から商品名ENGAGETM、VERSIFYTM、エクソンモービルケミカル株式会社から商品名VistamaxxTMとして市販されているものが挙げられる。
本発明においてオレフィン系エラストマー(C)として用いうるオレフィン系エラストマーの第2の態様は、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選ばれる1つと、エチレン‐プロピレン共重合体、エチレン‐プロピレン‐ジエン共重合体、エチレン‐ブテン共重合体、水素添加スチレンブタジエンからなる群より選ばれる1つとのブレンド物である。このとき、エチレン‐プロピレン共重合体、エチレン‐プロピレン‐ジエン共重合体、エチレン‐ブテン共重合体は、部分的もしくは完全に架橋されていてもよい。
具体例としては、三井化学製から商品名ミラストマー(登録商標)、住友化学製から商品名エスポレックス(登録商標)、三菱化学製から商品名サーモラン(登録商標)、ゼラス(登録商標) 、エクソンモービルケミカル株式会社から商品名Santoplene(登録商標)などが挙げられる。
また、本発明においてオレフィン系エラストマー(C)は、未変性のオレフィン系エラストマーであってもよく、あるいは、オレフィン系エラストマーを酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基で変性されてなる変性オレフィン系エラストマーあってもよい。
本発明では、オレフィン系エラストマー(C)として、以上に例示したものを含めた種々のオレフィン系エラストマーのうち、上記要件(Y−2)を満たすものを採用することができる。
ここで、本発明の1つの好適な態様では、オレフィン系エラストマー(C)は、4−メチルー1−ペンテン共重合体である。この場合、本発明で用いられるオレフィン系エラストマー(C)は、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の要件(B−a)〜(B−e)を満たしてもよく、すなわち上記4−メチルー1−ペンテン共重合体(B)であってもよい。
また、本発明のもう1つの好適な態様では、オレフィン系エラストマー(C)は、プロピレン共重合体である。この場合、本発明で用いられるオレフィン系エラストマー(C)は、プロピレンから導かれる構成単位を50〜90モル%含有していることが好ましい。ここで、「プロピレンから導かれる構成単位」とは、具体的には−CH2−CH(−CH3)−で表される構成単位である。
<スチレン系エラストマー(D)>
本発明で用いられる組成物(Y)は、上記オレフィン系エラストマー(C)のほかに、スチレン系エラストマー(D)を含むことができる。
本発明で用いうるスチレン系エラストマー(D)は、スチレン系エラストマーとして一般に用いられているものであっても良い。
スチレン系エラストマー(D)としては、硬質部(結晶部)となるポリスチレンブロックと、軟質部となるジエン系モノマーブロックとのブロック共重合体(SBS)、水添スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(HSBR)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・イソブチレン・スチレン共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレン共重合体(SIB)などを例示することができる。スチレン系エラストマーは、1種単独で、または2種類以上を組み合せて用いられる。
水添スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の具体例としては、JSR株式会社から商品名:ダイナロン(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体は、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)を水素添加してなるものである。SISの具体例としては、JSR株式会社から商品名:JSR SIS(登録商標)として、株式会社クラレから商品名:ハイブラー(登録商標)、またはシェル株式会社から商品名:クレイトンD(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
また、SEPSの具体例としては、株式会社クラレから商品名:セプトン(登録商標)、またはシェル株式会社から商品名:クレイトン(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
また、SEBSの具体例としては、旭化成株式会社から商品名:タフテック(登録商標)、またはシェル株式会社から商品名:クレイトン(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
また、SIB、SIBSの具体例としては、株式会社カネカから商品名:シブスター(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
<プロピレン系樹脂(E)>
プロピレン系樹脂(E)の具体例として、プロピレンの単独重合体および、プロピレンと炭素数2または4〜20のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと炭素数2または4〜20のα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の各種ビニル化合物をコモノマーとするプロピレン系共重合体等が挙げられる。より具体的には、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン等が挙げられる。また、後述する実施例で用いられているプライムポリプロF227Dなどのランダムポリプロピレンも、好適なプロピレン系樹脂(E)の例として挙げることができる。
<組成物(Y)>
本発明において、組成物(Y)は、オレフィン系エラストマー(C)と、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)と、を含む。ここで、組成物(Y)において、オレフィン系エラストマー(C)とスチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との合計を100質量部としたときに、オレフィン系エラストマー(C)の含有量が1〜50質量部であり、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)の含有量が50〜99質量部である。
本発明の典型的な態様では、組成物(Y)は、
オレフィン系エラストマー(C)と、
スチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)とのうちいずれか一方のみと
を含んでいる。
本発明の1つの好適な態様では、組成物(Y)は、オレフィン系エラストマー(C)とスチレン系エラストマー(D)とを含んでいる。この場合、組成物(Y)において、オレフィン系エラストマー(C)とスチレン系エラストマー(D)との合計を100質量部としたときにスチレン系エラストマー(D)の含有量が50〜99質量部であり、すなわち共重合体(C)の含有量は1〜50質量部である。好ましくは、スチレン系エラストマー(D)の含有量が50〜90質量部であり、すなわち好ましくはオレフィン系エラストマー(C)の含有量が10〜50質量部であり、さらに好ましくは、スチレン系エラストマー(D)の含有量が50〜80質量部であり、すなわち好ましくはオレフィン系エラストマー(C)の含有量が20〜50質量部である。
また、本発明のもう1つの好適な態様では、組成物(Y)は、オレフィン系エラストマー(C)とプロピレン系樹脂(E)とを含んでいる。この場合、組成物(Y)において、オレフィン系エラストマー(C)とプロピレン系樹脂(E)との合計を100質量部としたときに、プロピレン系樹脂の含有量が50〜99質量部であり、すなわちオレフィン系エラストマー(C)の含有量は1〜50質量部である。好ましくはプロピレン系樹脂(E)の含有量が50〜90質量部であり、すなわち好ましくはオレフィン系エラストマー(C)の含有量が10〜50質量部である。
前記オレフィン系エラストマー(C)と前記スチレン系エラストマー(D)または前記プロピレン系樹脂(E)との含有比が前記範囲であることにより、得られる成形体の各部分の接着強度に優れる成形体が得られる。つまり、組成物(Y)がスチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)を上記比率で含むことにより、組成物(Y)を含む部分(2)と部分(1)との接着強度が十分なものになり、部分(2)と部分(1)との接着界面で破断が抑制される。
このように、本発明で用いられる組成物(Y)は、オレフィン系エラストマー(C)と、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)とを含んでおり、多くの場合、オレフィン系エラストマー(C)と、スチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)とのうちいずれか一方のみとを含んでいる。ただ、本発明においては、組成物(Y)が、スチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との両方を含む態様を排除するものではない。この場合、組成物(Y)は、オレフィン系エラストマー(C)とスチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との合計を100質量部としたときに、オレフィン系エラストマー(C)の含有量は1〜50質量部であり、スチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との合計の含有量が50〜99質量部である。好ましくはオレフィン系エラストマー(C)の含有量は10〜50質量部であり、スチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との合計の含有量が50〜90質量部である。組成物(Y)が、スチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との両方を含む場合、スチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との割合は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
本発明において、組成物(Y)は、本発明の目的を損なわない範囲内において、さらに前記オレフィン系エラストマー(C)、前記スチレン系エラストマー(D)および前記プロピレン系樹脂(E)のいずれにも該当しない成分(以下、「その他の成分」)を含有していても良い。そのような「その他の成分」として、例えば、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、離型剤、顔料、染料、老化防止剤、塩酸吸収剤、無機又は有機の充填剤、有機系又は無機系の発泡剤、架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤等の各種添加剤が挙げられる。また、組成物(Y)に含まれうる「その他の成分」のほかの例として、前記オレフィン系エラストマー(C)、前記スチレン系エラストマー(D)、および、前記プロピレン系樹脂(E)のいずれにも該当しない樹脂も挙げられる。
〔成形体の製造方法〕
本発明に係る成形体の製造方法は限定されるものではないが、例えばインサート成形、二色成形などの射出成形や、ラミネート成形等により成形することができる。ここで、上記部分(1)および上記部分(2)を形成する順番、および、上記部分(1)および上記部分(2)のそれぞれを形成する際に採用される具体的な成形方法は、特に限定されるものではない。しかし、前記に例示した成形方法のいずれにおいても、部分(1)をあらかじめ形成し、部分(1)に接触させた状態で、部分(2)を形成することが、接着強度を高める点において好ましい。すなわち、本発明の好適な態様において、本発明に係る成形体の製造方法は、上記組成物(X)を成形して上記部分(1)を形成する工程と、該部分(1)に接する態様で、上記組成物(Y)を成形して、上記部分(2)を形成する工程とを含む。本発明の好適な態様の1つでは、上記部分(1)の形成および上記部分(2)の形成は、射出成形によって行うことができる。
成形温度は、通常160〜350℃、好ましくは200〜320℃の範囲である。
〔成形体の形状〕
部分(1)と部分(2)の接触面は平面であっても曲面であっても構わない。本発明の成形体は、発明の効果を損なわない限り、部分(1)および部分(2)以外の他の部分を含んでいても構わない。得られる成形体は、形状は特に限定されるものはないが、例えば板状・フィルム状、容器状、筒状、棒状等が挙げられる。部分(1)と部分(2)とは接着している。接着の強度については成形体の用途に応じて調整される。
〔成形体の用途〕
本発明の成形体は、特に用途は限定されず、一般的なオレフィン樹脂が適用される用途に用いられ、ポリ4−メチル−1−ペンテン系樹脂が従来用いられている用途に好適に用いられ、さらに好ましくは、食器、食品保存容器、日用雑貨とそのシール材、パッキンなどに好適に用いられる。ここで、本発明の好適な態様において、本発明の成形体は、容器の蓋であり、例えば、食品保存用シール容器の蓋である。本発明の好適な態様の1つでは、この蓋は、蓋本体とシール材とを有しており、このシール材が、蓋本体に一体に形成されてなる構成を有している。この場合、通常は、上記部分(2)が、シール材として供されることになる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[各種物性の測定方法]
本実施例で得られた各重合体についての各種物性を測定するのに用いた方法を以下に示す。
(1)組成
13C−NMRによる測定法により、重合体の組成を求めた。13C−NMRの測定条件は、以下の通りである。
〜条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
(2)極限粘度[η]
ウベローデ粘度計を用い、前述した方法により、デカリン溶媒中135℃で測定される極限粘度[η]を求めた。
(3)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
液体クロマトグラフ:Waters製ALC/GPC 150−C plus型(示差屈折計検出器一体型)を用い、カラムとして東ソー株式会社製GMH6−HT×2本およびGMH6−HTL×2本を直列接続し、移動相媒体としてo−ジクロロベンゼンを用い、流速1.0ml/分、140℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行った。得られたクロマトグラムを、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(4)メルトフローレート(MFR)
重合体(A)は、ASTM D1238に準拠して260℃、5.0kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)を求めた。重合体(B)(すなわち、下記重合体B−1およびB−2)、熱可塑性エラストマー(C)オレフィン系エラストマー(C−1)、スチレン系エラストマー(C−2)およびオレフィン系樹脂(D)についてのMFRの測定は、測定条件を、230℃、2.16kg荷重に変更して行った。
(5)密度
JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して密度を求めた。
(6)融点(Tm)、結晶化温度(Tc)
JIS K7121に準拠して前記方法により測定し、ピーク温度から求めた。
[4−メチル−1−ペンテン重合体(A)]
4−メチル−1−ペンテン共重合体A−1およびA−2は、いずれも、国際公開2006/054613号の比較例7に記載の重合方法に準じながらも、4−メチル−1−ペンテンと、1−デセンと、水素との割合を適宜変更することによって、得た。すなわち、4−メチル−1−ペンテン共重合体A−1およびA−2は、いずれも、無水塩化マグネシウム、2−エチルヘキシルアルコール、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパンおよび四塩化チタンを反応させて得られる固体状チタン触媒成分を重合用触媒として用い、この重合用触媒およびトリエチルアルミニウムの存在下、4−メチル−1−ペンテンおよび1−デセンを、水素存在下で共重合して得られたことになる。
一方、4−メチル−1−ペンテン共重合体A−3は、国際公開2006/054613号の比較例9に記載の重合方法に準じながらも、4−メチル−1−ペンテンと、1−ヘキサデセンおよび1−オクタセデンと、水素との割合を適宜変更することによって、得た。すなわち、4−メチル−1−ペンテン共重合体A−3は、無水塩化マグネシウム、2−エチルヘキシルアルコール、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパンおよび四塩化チタンを反応させて得られる固体状チタン触媒成分を重合用触媒として用い、この重合用触媒およびトリエチルアルミニウムの存在下、4−メチル−1−ペンテンと、1−ヘキサデセンと1−オクタデセンとの等質量の混合物とを、水素存在下で共重合して得られたことになる。
得られた4−メチル−1−ペンテン共重合体A−1、A−2およびA−3のそれぞれに対し、当該4−メチル−1−ペンテン共重合体100質量部に対して、耐熱安定剤としてフェノール系安定剤 Irganox1010 0.15質量部(BASF社製)、硫黄系安定剤DLTP「ヨシトミ」(三菱化学社製)0.30質量部とをドライブレンド後、サーモプラスチックス社製二軸押出機によって混合し、表1に示す物性を有する4−メチル−1−ペンテン重合体A−1、A−2およびA−3をそれぞれ得た。
このようにして得られた4−メチル−1−ペンテン重合体A−1、A−2およびA−3は、微量のフェノール系安定剤および硫黄系安定剤を含むことから厳密には組成物である。しかし、これらの安定剤の添加量は微量であり、これらの安定剤の存在による物性への影響は十分に無視しうると推定できる。したがって、以下の記載において、前記4−メチル−1−ペンテン重合体A−1、A−2およびA−3は、重合体として取り扱うこととし、それぞれ「重合体A−1」、「重合体A−2」および「重合体A−3」と呼ぶこととする。
また、得られた重合体A−1、重合体A−2および重合体A−3についての、各種物性の測定結果を表1に示す。
[4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)]
<合成例1> 〜重合体B−1の合成〜
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した後、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌を開始した。
次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.19MPaとなるようにプロピレンで加圧した。
続いて、予め調製しておいた、Al換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.01mmolのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlをオートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液に、該反応溶液を攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下、130℃で12時間乾燥させて、共重合体(B)として、44.0gの粉末状の重合体B−1を得た。
重合体B−1の各種物性の測定結果を表1に示す。
<合成例2> 〜重合体B−2の合成〜
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で4−メチル−1−ペンテンを750ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌を開始した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.13MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいたメチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmolを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状の重合体を100℃、減圧下で12時間乾燥し、36.9gの共重合体(B−2)を得た。各種物性の測定結果を表1に示す。
[オレフィン系エラストマー(C)]
オレフィン系エラストマー(以下「重合体C」ともいう)として、三井化学株式会社製、商品名タフマー(登録商標)PN−2060を用いた。本材料の融点は162℃、MFRは6g/10分であった。
[スチレン系エラストマー(D)]
スチレン系エラストマー(以下「重合体D」ともいう)として、株式会社クラレ製商品名セプトン2063(SEPS:スチレン含有量13%、MFR4.0g/10分(230℃、2.16kg荷重))を使用した。
[プロピレン系樹脂(E)]
プロピレン系樹脂(以下「重合体E」ともいう)として、株式会社プライムポリマー製のポリプロピレンである、プライムポリプロF227D(ランダムポリプロピレン:MFR7.0g/10分(230℃、2.16kg荷重))を使用した。
Figure 2020105446
[実施例1]
密着性評価のための射出成形体を作製した。この射出成形体の形状、寸法を図1に示す。図1において、射出成形体(10)は部分1(11)および部分2(12)から成る。まず、一次射出として、部分1を構成する重合体A−1を20質量部、重合体B−1を80質量部と耐熱安定剤としては組成物を、射出成形機(名機製作所製M−70B)を用い、成形温度280℃、金型温度50℃、計量時のスクリュー回転数260rpm、成形サイクル50sで、部分1形成用の射出金型に射出成形し、部分1(11)を得た。次いで二次射出として、前記一次射出で得られた部分1を成形体形成用の射出金型にインサートし、部分2を構成する重合体または組成物を、部分1の形成に用いたときと同じ成形条件で当該射出金型に射出成形し(この過程で、部分2(12)が形成される)、射出成形体(10)を作製した。
得られた成形体について、以下の測定及び評価を行った。測定及び評価方法を以下に示す。また結果を表2に示す。
<密着性評価>
得られた成形体の両端をそれぞれ右手と左手の親指と人差し指で挟んで保持し、両手でひねりの力を加えることで半割片どうしの密着性を評価した。以下の基準にて評価した。
○:強くひねっても取れず十分に接着している。
△:強くひねると接着面が取れてしまう。
×:半割片どうしが接着しておらず評価不能である。
<ピール強度>
インストロン社製万能引張試験機3380を用いて、得られた成形体の両端をチャックで挟み、23℃の条件下、引張速度300mm/分での剥離および破壊時の力を計測した。また剥離状態については、接着面で取れた場合を「層間剥離」、接着面以外で破断した場合を「凝集破壊」として記録した。
<部分2の引張弾性率>
射出成形機(東芝機械製IS−55)を用い、部分2のみに相当する樹脂組成物を成形温度220℃、金型温度40℃、計量時のスクリュー回転数260rpm成形サイクル70sで、射出成形して試験片を作製した。インストロン社製万能引張試験機3380を用いて、両端をチャックで挟み、23℃の条件下、引張速度300mm/分での引張弾性率を測定した。
[実施例2〜5、並びに、比較例1〜2]
部分1および部分2を構成する重合体の種類および配合量を、それぞれ下記表2に示したものに変更したことを除き、実施例1と同様に成形体の製造、測定、および評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2020105446
[実施例と比較例の対比]
表2より、実施例では成形体が得られたのに対して、比較例1、2では、半割片どうしが接着せず、すなわち部分(1)と接して形成された部分(2)とを有する成形体は得られなかった。そのためピール強度としては測定困難なため0kgfとした。
10 ・・・実施例で作製した射出成形体
11 ・・・部分1
12 ・・・部分2

Claims (9)

  1. 下記要件(A−a)〜(A−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と、下記要件(B−a)〜(B−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)と、を含み、(共)重合体(A)と共重合体(B)との合計を100質量部としたときに共重合体(B)の含有量が50〜90質量部である、組成物(X)から形成されてなる部分(1)と、
    オレフィン系エラストマー(C)と、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)と、を含み、オレフィン系エラストマー(C)とスチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との合計を100質量部としたときに、オレフィン系エラストマー(C)の含有量が1〜50質量部であり、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)の含有量が50〜99質量部であり、且つ、下記要件(Y−1)〜(Y−2)を満たす組成物(Y)から形成されてなる部分(2)と、
    を有し、
    前記部分(2)が、前記部分(1)に接して形成されている成形体:
    (A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が100〜90モル%であり、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位(AQ)の含有率が0〜10モル%である;
    (A−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gである;
    (A−c)DSCで測定した融点(Tm)が200〜250℃の範囲にある;
    (A−d)DSCで測定した結晶化温度(Tc)が150〜220℃の範囲にある;
    (A−e)密度が820〜850kg/m3である。
    (B−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が65モル%以上96モル%未満であり、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位(BQ)の含有率が4モル%を超え35モル%以下である;
    (B−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜4.0dl/gである;
    (B−c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である;
    (B−d)DSCで測定した融点(Tm)が観察されないか100℃〜199℃の範囲にある;
    (B−e)密度が830〜860kg/m3である。
    (Y−1)JIS K7127に準拠し測定した引張弾性率が0.1〜500MPaの範囲にある;
    (Y−2)前記オレフィン系エラストマー(C)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が観察されないか、50℃〜162℃の範囲にある。
  2. 前記構成単位(BQ)が、炭素原子数2〜4のα−オレフィンに由来する構成単位である請求項1に記載の成形体。
  3. 前記組成物(X)において、前記共重合体(B)の含有量が70〜90質量部である、請求項1または2に記載の成形体。
  4. 前記組成物(Y)が、前記スチレン系エラストマー(D)を50〜99質量%含有し、かつ、前記オレフィン系エラストマー(C)が、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の要件(B−a)〜(B−e)を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形体。
  5. 前記組成物(Y)が、前記プロピレン系樹脂(E)を50〜99質量%含有し、かつ、前記オレフィン系エラストマー(C)が、プロピレンから導かれる構成単位を50〜90モル%含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形体。
  6. シール材が一体に形成された、容器の蓋であり、前記部分(2)がシール材である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形体。
  7. 食品保存用シール容器の蓋である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の成形体。
  8. 前記部分(1)を形成する工程(1)と、
    前記部分(1)に接して、前記部分(2)を形成する工程(2)と、
    をその順番で含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の成形体の製造方法。
  9. 射出成形によって、前記部分(1)および部分(2)を形成する、請求項8に記載の成形体の製造方法。
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