JP2020105446A - 成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]下記要件(A−a)〜(A−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と、下記要件(B−a)〜(B−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)と、を含み、(共)重合体(A)と共重合体(B)との合計を100質量部としたときに共重合体(B)の含有量が50〜90質量部である、組成物(X)から形成されてなる部分(1)と、
オレフィン系エラストマー(C)と、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)と、を含み、オレフィン系エラストマー(C)とスチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との合計を100質量部としたときに、オレフィン系エラストマー(C)の含有量が1〜50質量部であり、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)の含有量が50〜99質量部であり、且つ、下記要件(Y‐1)〜(Y‐2)を満たす組成物(Y)から形成されてなる部分(2)と、
を有し、
前記部分(2)が、前記部分(1)に接して形成されている成形体:
(A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が100〜90モル%であり、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位(AQ)の含有率が0〜10モル%である;
(A−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gである;
(A−c)DSCで測定した融点(Tm)が200〜250℃の範囲にある;
(A−d)DSCで測定した結晶化温度(Tc)が150〜220℃の範囲にある;
(A−e)密度が820〜850kg/m3である。
(B−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が65モル%以上96モル%未満であり、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位(BQ)の含有率が4モル%を超え35モル%以下である;
(B−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜4.0dl/gである;
(B−c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である;
(B−d)DSCで測定した際に、融点(Tm)が観察されないか100℃〜199℃の範囲にある;
(B−e)密度が830〜860kg/m3である。
(Y−1)JIS K7127に準拠し測定した引張弾性率が0.1〜500MPaの範囲にある;
(Y−2)前記オレフィン系エラストマー(C)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が観察されないか、50℃〜162℃の範囲にある。
[3] 前記組成物(X)において、前記共重合体(B)の含有量が70〜90質量部である、[1]または[2]に記載の成形体。
[4] 前記組成物(Y)が、前記スチレン系エラストマー(D)を50〜99質量%含有し、かつ、前記オレフィン系エラストマー(C)が、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の要件(B−a)〜(B−e)を満たす、[1]〜[3]のいずれかに記載の成形体。
[5] 前記組成物(Y)が、前記プロピレン系樹脂(E)を50〜99質量%含有し、かつ、前記オレフィン系エラストマー(C)が、プロピレンから導かれる構成単位を50〜90モル%含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の成形体。
[6]シール材が一体に形成された、容器の蓋であり、前記部分(2)がシール材である、[1]〜[5]のいずれかに記載の成形体。
[7]食品保存用シール容器の蓋である、[1]〜[6]のいずれかに記載の成形体。
[8] 前記部分(1)を形成する工程(1)と、前記部分(1)に接して、前記部分(2)を形成する工程(2)と、を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の成形体の製造方法。
[9] 射出成形によって、前記部分(1)および部分(2)を形成する、[8]に記載の成形体の製造方法。
以下、本発明の成形体の各部分に用いられる成分等について説明する。
本発明において、部分(1)は組成物(X)から形成される。換言すると、部分(1)は、組成物(X)からなる部分と見ることもできる。
以下、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)(重合体(A))及び4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)(共重合体(B))のそれぞれについて説明する。
重合体(A)は、以下の要件(A−a)〜(A−e)を満たす。
要件(A−a):重合体(A)における4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(P)の含有率は90モル%以上100モル%以下、好ましくは95モル%以上100モル%以下であり、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位(AQ)の含有率は0モル%以上10モル%以下、好ましくは0モル%以上5モル%以下である。
構成単位(AQ)を形成する、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。構成単位(AQ)を形成するα−オレフィンとしては、組成物(X)の層に適度な弾性率と柔軟性、可とう性を付与するという観点から、炭素数8以上18以下のオレフィン(たとえば1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン及び1−オクタデセン)が好ましい。本発明の特に好適な態様では、構成単位(AQ)を形成するα−オレフィンは1−デセンである。
なお、重合体(A)における各構成単位の含有率(モル%)の値は、後述する共重合体(B)と同様に、13C−NMRによる測定法によって測定した場合のものである。
20mgの重合体(A)をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液を、デカリンを5ml加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)とする(下記の式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
重合体(A)は、上記要件(A−a)〜(A−e)に加えて、好ましくは下記のいずれかの要件を満たす。
重合体(A)は、オレフィン類を重合して製造してもよく、高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体を、熱分解して製造してもよい。また重合体(A)は、溶媒に対する溶解度の差で分別する溶媒分別、あるいは沸点の差で分取する分子蒸留などの方法で精製されていてもよい。
重合体(A)は、前述のように製造したもの以外にも、例えば三井化学株式会社製TPX等、市販の重合体であってもよい。
共重合体(B)は、以下の要件(B−a)〜(B−e)を満たす。
要件(B−a):共重合体(B)は、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(P)を65モル%以上96モル%未満の割合で、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構成単位(BQ)を4モル%を超え35モル%以下の割合で有する。
構成単位(BQ)を形成するα−オレフィンとして、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
共重合体(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位(P)及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα−オレフィンに由来する構成単位(BQ)以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。その他の構成単位の含有率は、たとえば0〜10モル%である。
共重合体(B)に、上記その他の構成単位が含まれる場合、上記その他の構成単位は、1種のみ含まれていてもよく、また、2種以上含まれていてもよい。
共重合体(B)における各構成単位の含有率(モル%)の値は、下記の条件で13C−NMRによる測定法により測定した場合のものである。
〜条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
共重合体(B)の極限粘度[η]は、前記重合体(A)の極限粘度[η]と同様の方法で測定される値である。
共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、組成物(X)の成形性の観点から、好ましくは1×104〜2×106であり、より好ましくは1×104〜1×106である。
なお、共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、実施例記載の方法により算出される値である。
共重合体(B)の融点(Tm)は、前記重合体(A)の融点(Tm)と同様の方法により測定される値である。
共重合体(B)は上記要件(B−a)〜(B−e)に加えて、好ましくは下記の要件を満たす。
共重合体(B)は、従来知られているメタロセン触媒系により、例えば、国際公開第2005/121192号、国際公開第2011/055803号、国際公開第2014/050817等に記載された方法により合成することができる。
組成物(X)において、重合体(A)と共重合体(B)との合計100質量部に対する重合体(A)の含有量は、50質量部以上95質量部以下であり、好ましくは60質量部以上90質量部以下である。
組成物(X)は、前記重合体(A)と前記共重合体(B)を含む組成物であり、前記重合体(A)と前記共重合体(B)とのみからなることを妨げるものではない。ただ、本発明において、組成物(X)は、本発明の目的を損なわない範囲内において、さらに前記重合体(A)及び前記共重合体(B)のいずれにも該当しない成分(以下、「その他の成分」)を含有していても良い。そのような「その他の成分」として、例えば、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、離型剤、顔料、染料、老化防止剤、塩酸吸収剤、無機又は有機の充填剤、有機系又は無機系の発泡剤、架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤等の各種添加剤や、重合体(A)および共重合体(B)以外の樹脂が挙げられる。
抗菌剤としては、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素等が挙げられる。
本発明において、部分(2)は組成物(Y)から形成される。換言すると、部分(2)は、組成物(Y)からなる部分と見ることもできる。
本発明で用いられる組成物(Y)は、オレフィン系エラストマー(C)を必須成分として含む。
本発明で用いられるオレフィン系エラストマー(C)は、構成モノマーとなるオレフィンの種類に特に限定はなく、オレフィン系エラストマーとして一般に用いられているものであっても良い。
本発明で用いられる組成物(Y)は、上記オレフィン系エラストマー(C)のほかに、スチレン系エラストマー(D)を含むことができる。
スチレン系エラストマー(D)としては、硬質部(結晶部)となるポリスチレンブロックと、軟質部となるジエン系モノマーブロックとのブロック共重合体(SBS)、水添スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(HSBR)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・イソブチレン・スチレン共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレン共重合体(SIB)などを例示することができる。スチレン系エラストマーは、1種単独で、または2種類以上を組み合せて用いられる。
スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体は、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)を水素添加してなるものである。SISの具体例としては、JSR株式会社から商品名:JSR SIS(登録商標)として、株式会社クラレから商品名:ハイブラー(登録商標)、またはシェル株式会社から商品名:クレイトンD(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
また、SIB、SIBSの具体例としては、株式会社カネカから商品名:シブスター(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
プロピレン系樹脂(E)の具体例として、プロピレンの単独重合体および、プロピレンと炭素数2または4〜20のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと炭素数2または4〜20のα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の各種ビニル化合物をコモノマーとするプロピレン系共重合体等が挙げられる。より具体的には、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン等が挙げられる。また、後述する実施例で用いられているプライムポリプロF227Dなどのランダムポリプロピレンも、好適なプロピレン系樹脂(E)の例として挙げることができる。
本発明において、組成物(Y)は、オレフィン系エラストマー(C)と、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)と、を含む。ここで、組成物(Y)において、オレフィン系エラストマー(C)とスチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との合計を100質量部としたときに、オレフィン系エラストマー(C)の含有量が1〜50質量部であり、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)の含有量が50〜99質量部である。
オレフィン系エラストマー(C)と、
スチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)とのうちいずれか一方のみと
を含んでいる。
本発明に係る成形体の製造方法は限定されるものではないが、例えばインサート成形、二色成形などの射出成形や、ラミネート成形等により成形することができる。ここで、上記部分(1)および上記部分(2)を形成する順番、および、上記部分(1)および上記部分(2)のそれぞれを形成する際に採用される具体的な成形方法は、特に限定されるものではない。しかし、前記に例示した成形方法のいずれにおいても、部分(1)をあらかじめ形成し、部分(1)に接触させた状態で、部分(2)を形成することが、接着強度を高める点において好ましい。すなわち、本発明の好適な態様において、本発明に係る成形体の製造方法は、上記組成物(X)を成形して上記部分(1)を形成する工程と、該部分(1)に接する態様で、上記組成物(Y)を成形して、上記部分(2)を形成する工程とを含む。本発明の好適な態様の1つでは、上記部分(1)の形成および上記部分(2)の形成は、射出成形によって行うことができる。
成形温度は、通常160〜350℃、好ましくは200〜320℃の範囲である。
部分(1)と部分(2)の接触面は平面であっても曲面であっても構わない。本発明の成形体は、発明の効果を損なわない限り、部分(1)および部分(2)以外の他の部分を含んでいても構わない。得られる成形体は、形状は特に限定されるものはないが、例えば板状・フィルム状、容器状、筒状、棒状等が挙げられる。部分(1)と部分(2)とは接着している。接着の強度については成形体の用途に応じて調整される。
本発明の成形体は、特に用途は限定されず、一般的なオレフィン樹脂が適用される用途に用いられ、ポリ4−メチル−1−ペンテン系樹脂が従来用いられている用途に好適に用いられ、さらに好ましくは、食器、食品保存容器、日用雑貨とそのシール材、パッキンなどに好適に用いられる。ここで、本発明の好適な態様において、本発明の成形体は、容器の蓋であり、例えば、食品保存用シール容器の蓋である。本発明の好適な態様の1つでは、この蓋は、蓋本体とシール材とを有しており、このシール材が、蓋本体に一体に形成されてなる構成を有している。この場合、通常は、上記部分(2)が、シール材として供されることになる。
[各種物性の測定方法]
本実施例で得られた各重合体についての各種物性を測定するのに用いた方法を以下に示す。
13C−NMRによる測定法により、重合体の組成を求めた。13C−NMRの測定条件は、以下の通りである。
〜条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
ウベローデ粘度計を用い、前述した方法により、デカリン溶媒中135℃で測定される極限粘度[η]を求めた。
液体クロマトグラフ:Waters製ALC/GPC 150−C plus型(示差屈折計検出器一体型)を用い、カラムとして東ソー株式会社製GMH6−HT×2本およびGMH6−HTL×2本を直列接続し、移動相媒体としてo−ジクロロベンゼンを用い、流速1.0ml/分、140℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行った。得られたクロマトグラムを、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
重合体(A)は、ASTM D1238に準拠して260℃、5.0kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)を求めた。重合体(B)(すなわち、下記重合体B−1およびB−2)、熱可塑性エラストマー(C)オレフィン系エラストマー(C−1)、スチレン系エラストマー(C−2)およびオレフィン系樹脂(D)についてのMFRの測定は、測定条件を、230℃、2.16kg荷重に変更して行った。
JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して密度を求めた。
JIS K7121に準拠して前記方法により測定し、ピーク温度から求めた。
4−メチル−1−ペンテン共重合体A−1およびA−2は、いずれも、国際公開2006/054613号の比較例7に記載の重合方法に準じながらも、4−メチル−1−ペンテンと、1−デセンと、水素との割合を適宜変更することによって、得た。すなわち、4−メチル−1−ペンテン共重合体A−1およびA−2は、いずれも、無水塩化マグネシウム、2−エチルヘキシルアルコール、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパンおよび四塩化チタンを反応させて得られる固体状チタン触媒成分を重合用触媒として用い、この重合用触媒およびトリエチルアルミニウムの存在下、4−メチル−1−ペンテンおよび1−デセンを、水素存在下で共重合して得られたことになる。
また、得られた重合体A−1、重合体A−2および重合体A−3についての、各種物性の測定結果を表1に示す。
<合成例1> 〜重合体B−1の合成〜
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した後、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌を開始した。
続いて、予め調製しておいた、Al換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.01mmolのジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlをオートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
重合体B−1の各種物性の測定結果を表1に示す。
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で4−メチル−1−ペンテンを750ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌を開始した。
得られた溶媒を含むパウダー状の重合体を100℃、減圧下で12時間乾燥し、36.9gの共重合体(B−2)を得た。各種物性の測定結果を表1に示す。
オレフィン系エラストマー(以下「重合体C」ともいう)として、三井化学株式会社製、商品名タフマー(登録商標)PN−2060を用いた。本材料の融点は162℃、MFRは6g/10分であった。
スチレン系エラストマー(以下「重合体D」ともいう)として、株式会社クラレ製商品名セプトン2063(SEPS:スチレン含有量13%、MFR4.0g/10分(230℃、2.16kg荷重))を使用した。
プロピレン系樹脂(以下「重合体E」ともいう)として、株式会社プライムポリマー製のポリプロピレンである、プライムポリプロF227D(ランダムポリプロピレン:MFR7.0g/10分(230℃、2.16kg荷重))を使用した。
密着性評価のための射出成形体を作製した。この射出成形体の形状、寸法を図1に示す。図1において、射出成形体(10)は部分1(11)および部分2(12)から成る。まず、一次射出として、部分1を構成する重合体A−1を20質量部、重合体B−1を80質量部と耐熱安定剤としては組成物を、射出成形機(名機製作所製M−70B)を用い、成形温度280℃、金型温度50℃、計量時のスクリュー回転数260rpm、成形サイクル50sで、部分1形成用の射出金型に射出成形し、部分1(11)を得た。次いで二次射出として、前記一次射出で得られた部分1を成形体形成用の射出金型にインサートし、部分2を構成する重合体または組成物を、部分1の形成に用いたときと同じ成形条件で当該射出金型に射出成形し(この過程で、部分2(12)が形成される)、射出成形体(10)を作製した。
得られた成形体について、以下の測定及び評価を行った。測定及び評価方法を以下に示す。また結果を表2に示す。
得られた成形体の両端をそれぞれ右手と左手の親指と人差し指で挟んで保持し、両手でひねりの力を加えることで半割片どうしの密着性を評価した。以下の基準にて評価した。
○:強くひねっても取れず十分に接着している。
△:強くひねると接着面が取れてしまう。
×:半割片どうしが接着しておらず評価不能である。
インストロン社製万能引張試験機3380を用いて、得られた成形体の両端をチャックで挟み、23℃の条件下、引張速度300mm/分での剥離および破壊時の力を計測した。また剥離状態については、接着面で取れた場合を「層間剥離」、接着面以外で破断した場合を「凝集破壊」として記録した。
射出成形機(東芝機械製IS−55)を用い、部分2のみに相当する樹脂組成物を成形温度220℃、金型温度40℃、計量時のスクリュー回転数260rpm成形サイクル70sで、射出成形して試験片を作製した。インストロン社製万能引張試験機3380を用いて、両端をチャックで挟み、23℃の条件下、引張速度300mm/分での引張弾性率を測定した。
部分1および部分2を構成する重合体の種類および配合量を、それぞれ下記表2に示したものに変更したことを除き、実施例1と同様に成形体の製造、測定、および評価を行った。結果を表2に示す。
表2より、実施例では成形体が得られたのに対して、比較例1、2では、半割片どうしが接着せず、すなわち部分(1)と接して形成された部分(2)とを有する成形体は得られなかった。そのためピール強度としては測定困難なため0kgfとした。
11 ・・・部分1
12 ・・・部分2
Claims (9)
- 下記要件(A−a)〜(A−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)と、下記要件(B−a)〜(B−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)と、を含み、(共)重合体(A)と共重合体(B)との合計を100質量部としたときに共重合体(B)の含有量が50〜90質量部である、組成物(X)から形成されてなる部分(1)と、
オレフィン系エラストマー(C)と、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)と、を含み、オレフィン系エラストマー(C)とスチレン系エラストマー(D)とプロピレン系樹脂(E)との合計を100質量部としたときに、オレフィン系エラストマー(C)の含有量が1〜50質量部であり、スチレン系エラストマー(D)またはプロピレン系樹脂(E)の含有量が50〜99質量部であり、且つ、下記要件(Y−1)〜(Y−2)を満たす組成物(Y)から形成されてなる部分(2)と、
を有し、
前記部分(2)が、前記部分(1)に接して形成されている成形体:
(A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が100〜90モル%であり、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位(AQ)の含有率が0〜10モル%である;
(A−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gである;
(A−c)DSCで測定した融点(Tm)が200〜250℃の範囲にある;
(A−d)DSCで測定した結晶化温度(Tc)が150〜220℃の範囲にある;
(A−e)密度が820〜850kg/m3である。
(B−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が65モル%以上96モル%未満であり、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位(BQ)の含有率が4モル%を超え35モル%以下である;
(B−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜4.0dl/gである;
(B−c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である;
(B−d)DSCで測定した融点(Tm)が観察されないか100℃〜199℃の範囲にある;
(B−e)密度が830〜860kg/m3である。
(Y−1)JIS K7127に準拠し測定した引張弾性率が0.1〜500MPaの範囲にある;
(Y−2)前記オレフィン系エラストマー(C)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が観察されないか、50℃〜162℃の範囲にある。 - 前記構成単位(BQ)が、炭素原子数2〜4のα−オレフィンに由来する構成単位である請求項1に記載の成形体。
- 前記組成物(X)において、前記共重合体(B)の含有量が70〜90質量部である、請求項1または2に記載の成形体。
- 前記組成物(Y)が、前記スチレン系エラストマー(D)を50〜99質量%含有し、かつ、前記オレフィン系エラストマー(C)が、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の要件(B−a)〜(B−e)を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記組成物(Y)が、前記プロピレン系樹脂(E)を50〜99質量%含有し、かつ、前記オレフィン系エラストマー(C)が、プロピレンから導かれる構成単位を50〜90モル%含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形体。
- シール材が一体に形成された、容器の蓋であり、前記部分(2)がシール材である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形体。
- 食品保存用シール容器の蓋である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記部分(1)を形成する工程(1)と、
前記部分(1)に接して、前記部分(2)を形成する工程(2)と、
をその順番で含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の成形体の製造方法。 - 射出成形によって、前記部分(1)および部分(2)を形成する、請求項8に記載の成形体の製造方法。
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