JP2020103134A - 植物栽培システム、植物栽培方法、及びプログラム - Google Patents

植物栽培システム、植物栽培方法、及びプログラム Download PDF

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Kazuya Ando
和也 安藤
田中 徹
Toru Tanaka
徹 田中
勝敬 兼子
Masataka Kaneko
勝敬 兼子
真稔 石鉢
Masatoshi Ishinohachi
真稔 石鉢
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Abstract

【課題】1日の中で明期の太陽光の不足を補うように、植物に照射される光を調整することができる植物栽培システム、植物栽培方法、及びプログラムを提供する。【解決手段】植物栽培システムは、太陽光をあてて栽培する植物に対し、太陽光の不足を補うための第1光を放射する発光部91と、発光部91から第1光を放射させて補光し、植物に照射される太陽光と発光部91からの光が所定量を超える場合に、発光部91の発光量を低減させる制御部140と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、植物栽培システム、植物栽培方法、及びプログラムに関する。
従来、太陽光を利用する形態の植物栽培において、太陽光以外の光を植物に照射したときの影響が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1によれば、光のスペクトル分布に特徴がある人工光を利用して、その人工光を夜通し植物に照射すると、植物の植生に影響があることが報告されている。
特開2017−77203号公報
しかしながら、植物にとって明期の光が太陽光だけでは満たされないことにより植物の成長が思わしくないことがある。例えば、明期の光が太陽光だけでは満たされない状態とは、日照時間の不足、照度の不足などがあげられる。特許文献1の技術では、これらを改善することは困難である。
本発明が解決しようとする課題は、1日の中で明期の太陽光の不足を補うように、植物に照射される光を調整することができる植物栽培システム、植物栽培方法、及びプログラムを提供することにある。
(1)本発明の一態様の植物栽培システムは、太陽光をあてて栽培する植物に対し、前記太陽光の不足を補うための第1光を放射する発光部と、前記発光部から前記第1光を放射させて補光し、前記植物に照射される前記太陽光と前記発光部からの光が所定量を超える場合に、前記発光部の発光量を低減させる制御部と、を備えることを特徴とする植物栽培システムである。
(2)また、前記制御部は、1日の中で明期を長くするように照射の時間帯が定められた前記第1光を前記発光部から前記植物に照射させる長日点灯モードによる制御と、前記長日点灯モードによる制御とは異なる時間帯に暗期を生成するための暗期モードによる制御とを、前記1日の中に設けて、前記植物の休眠状態を制御して、前記暗期モード時に、前記発光部から前記植物に照射される照度を前記長日点灯モード時の照度より低減させて前記暗期を生成するように前記発光部を制御する。
(3)また、前記発光部は、前記明期において明期モードによる前記制御部の制御により前記明期の照度を増やし前記植物の光合成を促進させるための第2光を前記植物に照射する。
(4)また、前記発光部による前記第1光の照度は、前記第2光の照度より少ない。
(5)また、前記発光部は、少なくとも前記植物の栽培床の上に配置される。
(6)また、前記発光部は、前記植物の葉の下方に配置され、少なくとも上方に向かう光を放射する。
(7)また、前記制御部は、前記植物の栽培床が配置された位置の緯度情報に基づいて、前記発光部の発光量を調整する。
(8)また、前記発光部は、前記植物に陰が生じる範囲の光を補う光を前記植物に向けて放射する。
(9)本発明の一態様の植物栽培方法は、太陽光をあてて栽培する植物に対し、前記太陽光の不足を補うための第1光を放射する発光部を備える植物栽培システムの植物栽培方法であって、前記発光部から前記第1光を放射させて補光し、前記植物に照射される前記太陽光と前記発光部からの光が所定量を超える場合に、前記発光部の発光量を低減させる過程を含む。
(10)本発明の一態様のプログラムは、太陽光をあてて栽培する植物に対し、前記太陽光の不足を補うための第1光を放射する発光部を備える植物栽培システムのコンピュータに、前記発光部から前記第1光を放射させて補光し、前記植物に照射される前記太陽光と前記発光部からの光が所定量を超える場合に、前記発光部の発光量を低減させるステップを実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、1日の中で明期の太陽光の不足を補うように、植物に照射される光を調整することができる植物栽培システム、植物栽培方法、及びプログラムを提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る植物栽培システムについて説明するための図である。 図1に示す植物栽培システムの立面図である。 実施形態に係る局所区画部を適用した栽培床周りについて説明するための説明図である。 実施形態に係る局所区画部を適用した栽培床周りについて説明するための説明図である。 実施形態の灯具91の構成図である。 実施形態の灯具91の断面図である。 実施形態に係る植物栽培システムの構成図である。 実施形態に係る栽培環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態の第1の変形例に係る栽培環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態の第2の変形例に係る栽培環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る局所区画部を適用した栽培床周りについて説明するための説明図である。 第2の実施形態に係る局所区画部を適用した栽培床周りについて説明するための説明図である。
以下、本発明の実施形態の植物栽培システム、植物栽培方法、及びプログラムについて、添付図面を参照して説明する。
なお、実施形態における「栽培床」は、植物を栽培するための土壌、培地、及び養液のうちの何れかが溜め置かれた「栽培槽」又は「栽培ベッド」を含む。ここでいう「栽培床」は、地面より高い位置に配置されるものをいう。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る植物栽培システムについて説明するための図である。図2は、図1のA−A’面側から見た植物栽培システムの立面図である。図3Aと図3Bは、実施形態に係る局所区画部を適用した栽培床周りについて説明するための説明図である。図3Aに示す断面図は、図1と図2に示すB−B’断面の局所区画部を示す。図3Bに示す平面図は、1つの局所区画部内に設けられた栽培床を、その上部から平面視したものである。同じ構成には同じ符号を附す。
[栽培環境]
・栽培施設
実施形態の植物栽培システム1は、栽培施設2における植物3の栽培を制御する。栽培施設2は、農業ハウス等とも称され、ビニルシート等の樹脂シートでドーム状にしたものや、ガラス等を枠組したハウス等、植物3を栽培するのに用いられる全ての温室構造体が含まれる。栽培施設2は、内外の温度差があるときに断熱効果をあげるため、樹脂シート又はガラス等により2重に構成されていてもよい。
その内部の植栽区域には、植物3を栽培するための栽培床4が配置される。植栽区域には栽培床4の他に、栽培床4に対して作業者が植物3を栽培するための作業、資材の搬入、収穫物の搬送などを行う通路、並びに作業に利用するための空間等が含まれてもよい。
例えば、栽培施設2は、自然光(太陽光SL)を利用して、栽培施設2の内部で植物3の栽培を可能にする。なお、栽培施設2には、日照量を補うための補光光源が栽培施設2の内部に設けられている。
図1に示す栽培施設2は、側壁部21、22、23、24と、屋根部25とを有する。側壁部21、22、23、24を纏めて示す場合には、側壁部20ということがある。
栽培施設2は、側壁部20などに開度を調整可能な開口部を有する。その開口部の開度を調整することで、植栽区域が過度に高温になることを抑制できる。屋根部25は、同様に自然光の透過性がある部材で形成される。
・栽培床4を囲む局所区画部
局所区画部5は、その栽培施設2の内部に設けられた植物3の栽培床4を囲み、植物3を栽培するための局所区画をその内部に形成する。局所区画部5は、底部51と、植物3の丈に基づいて決定された高さの局所区画壁52、53とを含む。局所区画部5は、底部51と局所区画壁52、53などの局所区画壁とにより容器状に構成されている。なお、底部51は、その一部又は全部が栽培床4の高さに合わせて配置されていてもよい。
局所区画部5には、栽培床4が配置された局所区画の上部を閉じる可動蓋54が設けられている。例えば、局所区画部5は、局所区画部5に照射される光の一部を透過する膜状部材で形成される。局所区画部5の内側又は外側に、栽培施設2の内部の状況を検出するための各種センサ(不図示)が設けられている。
栽培床4には、植物3を栽培するための土壌41が設けられている。栽培床4の土壌41の上には、後述する照明設備9の灯具91と、潅水用に用いられる潅水パイプ42が設けられている。例えば、灯具91と潅水パイプ42の延伸方向は、栽培床4の延在方向に一致する。
図4と図5を参照して、実施形態の灯具91について説明する。
図4は、実施形態の灯具91の構成図である。図5は、実施形態の灯具91の断面図である。図4に示す灯具91は、光源になる発光体91Lと、発光体を保持する支持体91Bとを含む。
発光体(光源)の種類:
発光体91Lとして、照射時のエネルギー変換効率が比較的高い光源を採用する。例えば、発光体91Lは、LED(light emitting diode)である。LEDは、エネルギー変換効率が比較的高く、植物3の周囲が高温になるほど発熱しない。
支持体の形状:
図4に示すようにテープ型に形成された支持体91Bには、複数の発光体91Lが設けられている。例えば、支持体91Bの第1の面を発光面FAとし、第1面の背面になる第2面を基板面FBとする。発光面FAには、複数の発光体91Lが外部に光を照射可能な状態で設けられている。少なくとも発光面FAから、発光体91Lからの光が射出される。複数の発光体91Lは、テープ形状の延伸方向に所定の間隔を開けて所望の密度で配置される。
発光面FAは、発光面FAの一部又は全部が発光体91Lを保護する保護部材91Cによって覆われていてもよい。保護部材91Cは、例えば、上記の発光面FAの少なくとも一部として形成されていてもよい。支持体91Bの延伸方向に直交する断面(C−C’)における保護部材91Cは、例えば、図5に示すように片面がドーム型(かまぼこ型)に形成される。保護部材91Cは、潅水、養液、農薬などの散布時に、その水分又は成分が発光体91L及びその配線に直接かかることを防ぐ。例えば、保護部材91Cは、シリコンなどの樹脂で形成される。なお、図5に示す断面図において、支持体91B部分の詳細な記載を省略する。支持体91Bの一部に少なくとも1対の導体が、発光体91Lを繋ぐように設けられている。支持体91Bの中でその配線を配置する位置は適宜定めることができる。
設営状態の光の配光特性:
例えば、支持体91Bがテープ型に形成された場合、発光面FAと基板面FBとを識別することが容易である。また、発光面FAが上方を向くように支持体91B(テープ)に捻じれがなく設営されていれば、途中で発光面FAが上方以外に向いていることはない。
灯具91における発光面FAにおいて光が拡散される場合に、光が拡散する方向の中心が発光面FAの法線の方向に一致していると仮定する。上記のように発光面FAが上方に向けられていれば、光が拡散する方向の中心が略上方に向くことになる。
上記の図5の断面図に示すように、光軸に対する光の配光特性は、概ね対象になるように各発光体の光軸が調整されている。
電気的な接続:
例えば、テープ型の灯具91は、支持体91Bの延伸方向の両方の端部に、電力の供給を可能にする接続端子CNAと接続端子CNBを備える。例えば、接続端子CNAに電力を供給することにより、発光体91Lが発光する。接続端子CNAと接続端子CNBを用いて、2つの灯具91を順に接続することができる。例えば、第1の灯具91の接続端子CNBと第2の灯具91の接続端子CNAを電気的に接続する。これにより、第1の灯具91の接続端子CNAに電力を供給することにより、第1の灯具91と第2の灯具91の両方に電力を供給することができ、その電力の供給により第1の灯具91と第2の灯具91の両方が発光する。なお、複数の灯具91を順に接続する灯具91の数は、2つに限らない。さらに灯具91を直列に接続することにより、3つ以上の灯具91に電力を供給可能にする。なお、直列に接続可能な最大数は、灯具91の電気的仕様により制限される。
照明設備の設営:
灯具91の支持体91Bがテープ型に形成されていることにより、灯具91は、収納時には巻き取って収納することができる。灯具91を照明設備として設営する場合には、灯具91を巻き取った状態から適宜ほぐして、栽培床4上の所定の位置に配置される。例えば、灯具91は、テープ形状の延伸方向が栽培床4の延伸方向に合うように、栽培床4の上に配置される。
例えば、1つの灯具91の延伸方向の長さを5m(メートル)と仮定する。この場合、6つの灯具91を、栽培床4の延伸方向に連ねて配置すると、30mの範囲に灯具91を配置することができる。このように、灯具91の延伸方向の長さを所定の長さに制限することにより、設営時と撤去時の労力を低減させることができる。
図6は、実施形態に係る植物栽培システムの構成図である。
植物栽培システム1は、栽培環境制御装置100と、照明設備9と、照度センサ95とを備える。栽培環境制御装置100には、制御対象として少なくとも照明設備9が接続されている。
照度センサ95は、局所区画部5の比較的近傍で、その局所区画部5の局所区画壁52、53等の局所区画壁の上端部より高い位置に設けられ、局所区画部5の照度(LH)を検出する。
栽培環境制御装置100は、IF部110と、通信部120と、記憶部130と、制御部140を備える。
例えば、栽培環境制御装置100は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read only memory)などの記憶装置(記憶部130)と、入出力装置と、インターフェイス部(IF部110、通信部120)と、ソフトウエアプログラムを実行するプロセッサ(制御部140)などを含む所謂コンピュータであってもよい。
IF部110は、栽培環境制御装置100の外部装置にあたる照明装置9などに接続されている。IF部110は、各外部装置からの情報を取得して、記憶部130に書き込むと共に、制御部140の制御により各外部装置に対する制御情報を供給する。照度センサ95などの各種センサとIF部110、及び照明装置9とIF部110は、有線通信と無線通信の何れかで通信可能に接続される。
通信部120は、制御部140の制御により、栽培環境制御装置100の外部装置にあたるサーバ装置又は端末装置と通信する。例えば、スマートホン、タブレット型装置、パーソナルコンピュータ等は、端末装置の一例である。
記憶部130は、栽培施設2に設けられている各種設備に係る情報、各種設備から収集した情報、制御に用いる閾値情報、制御状態などの情報を記憶する。各種設備に係る情報には、照明装置9等を含む各種設備の情報、照度センサ95により検出された明るさ(照度(LH)、日射量)等の情報が含まれる。さらに、記憶部130は、上記の検出結果の他に、各種処理に利用する判定閾値、栽培施設2内外の状況の変化、上記の各設備を制御した履歴を記憶する時刻歴情報があり、記憶部130は、制御した時刻と関連付けて制御履歴情報を記憶する。
制御部140は、予め定められた栽培計画に従い、各種設備から収集された情報に基づいて、栽培施設2に設けられている各種設備を制御する。
例えば、照明装置9は、灯具91と、灯具92と照明制御部93とを備える。照明制御部93は、制御部140から点灯と消灯の切り替え時刻に関する情報と現時点の明るさに関する情報が指示される。照明制御部93は、指示された時刻に関する情報に従って灯具91と灯具92の点灯を制御し、調光する。灯具91と灯具92が照射する光は、例えば、自然光に近い光、演色性の良い光質、白色光(昼光職、昼白色)などが望ましい。つまり、灯具91と灯具92としては、もっぱら特定の波長の可視光、紫外線、赤外線などを照射するものより、太陽光SLに近い光質の光を照射可能なものの方が適している。灯具91のより具体的な事例について後述する。以下の本実施形態の説明において、灯具92の詳細な説明を省略する。灯具92の詳細な説明については第2の実施形態による。なお、照明制御部93による機能を、次に示す制御部140が代行してもよい。
制御部140は、日射量、日照時間の不足を補うように決定された時間に、灯具91を点灯させるように照明制御部93を制御する。制御部140は、照度(LH)に基づいて、灯具91を調光させるように照明制御部93を制御してもよい。制御部140は、照度センサ95により検出した明るさに関する情報を照明装置9に供給する。
例えば、植物栽培システム1は、植物3の栽培の過程において、太陽光SLによる光の量の不足を人工光の照射によって補うように制御することにより、植物3の成長を所望の状態になるように調整する。なお、太陽光SLの光の量は、日射量(照度)と、日照時間などにより規定される。植物栽培システム1は、植物3の成長を調整するための複数の制御モードを有する。例えば、複数の制御モードには、「明期モード」、「長日点灯モード」、「暗期モード」、等が含まれる。
「明期モード」とは、日の出から日の入りまでの間(明期)に、人工光(第2人工光)の照射を実施する制御モードのことである。「明期モード」は、主に明期の光の量として照度の不足を調整することに利用される。
「長日点灯モード」とは、少なくとも日の出前の所定の時刻から人工光(第1人工光)の照射を開始して、日の出前に人工光を照射する制御モードのことである。さらに、日の入後の所定の時刻まで人工光を照射して、日の入後に人工光(第1人工光)を照射する制御も、「長日点灯モード」による制御に含めてもよい。これにより、太陽光による日照時間が不足している際に、人工光の照射によって明期を延長させることが可能になる。なお、実施形態の「長日点灯モード」には、日の入りから日の出までの間を通じて、人工光の照射を実施する場合を含まない。このような「長日点灯モード」による処理のことを、「長日補光」、「長日処理」などと呼ぶことがある。
「暗期モード」とは、日の入りから日の出までの間に選択される制御モードのことである。例えば、「長日点灯モード」が選択されていない期間には、人工光による光の照射を実施しないことにより、植物3の育成環境に暗期を設けることができる。「暗期モード」時には、植物3に照射される人工光による照度を「長日点灯モード」時の照度より低減させる。例えば、人工光の照射を中断させることで暗期を生成してもよい。
[作用について]
以下、栽培環境制御装置100による光の量を補うための各種制御について順に説明する。制御部140は、植物3の生理に合わせて、所望の収穫が得られるように灯具91による照射量と灯具91の点灯期間を調整して、灯具91の点灯状態を制御する。
(光合成のための補光)
太陽光利用型の植物栽培システム1の場合、植物3は、一般的に日の出から日の入りまでの日照により光合成を行う。ただし、仮に晴れていたとしても、植物3の全ての葉に太陽光SLが届くことはない。例えば、植物3の第1葉の陰になる第2葉に届く光の量は、第1葉で遮られることにより制限される。つまり、植物3は、自身の葉などによりに、保有する葉が受けることが可能な光の量に対して、植物3の葉に実質的に照射される日射量が制限されることになる。このような影の影響を減らすことができれば、植物3の育成に利用可能な光の量を増やすことが可能になる。
少なくとも、太陽光SLは、植物3の上方又は横方向から植物3に届く。そのため、植物3の葉の裏側は、少なくともその葉の陰になる。植物3の下側からの補光があれば、葉の裏側、陰になった葉などに照射される光により照度を高めることができる。本実施形態では、栽培床4の上に灯具91を配置して、植物3の下側からの補光を実施する。この光合成のための補光は、例えば、前述の「明期モード」の選択により実施される。
(休眠状態を制御するための補光)
植物3の休眠とは、冬季などのように植物3の成長に適さない時期に、植物3の成長が停止している状態にあることをいう。例えば、特に冬季になると日照時間が短くなり、植物3に届く光の量が減少する。このような状態になると、特定の植物は、休眠状態に入る。植物3が休眠状態にあると、個体が成長(栄養成長)することがあっても、個体の子孫を残すための成長(生殖成長)のステージに移行しないことがある。植物が休眠状態から抜けるには、1日に受ける光が関係する。植物が休眠状態から抜けることを、休眠打破という。植物が休眠状態に入ることを、休眠突入という。植物の覚醒した状態を維持して、植物が休眠状態に突入しないようにすることを休眠突入回避という。休眠状態の制御には、休眠打破と休眠突入回避とが含まれる。実施形態では、補光により植物3の休眠状態を制御する。
例えば、イチゴは、照度が数百ルクスより高い光を受けると休眠状態から抜けて覚醒する。比較的長期にわたりイチゴに実をつけるには、個々の個体において栄養成長と生殖成長とが同時に進行するように休眠状態を制御するとよい。この休眠状態を制御するための補光は、例えば、前述の「長日点灯モード」により実施される。
例えば、明け方の時間帯等に、対象の植物3に所定量の照度の人工光を照射することによって、植物3は、実際の日の出の時刻より早い時間から所定量以上の照度の光の照射を受けることになる。植物3は、これに対して、1日の日照時間が長くなったものとして反応する。例えば、冬季に成長を控える植物の場合、1日の日照時間が長くなることで成長が活性化することが知られている。
そこで、実施形態の栽培施設2では、植物3に1日当たりの日照時間が長くなったことを疑似的に感知させて、植物3が休眠状態から抜けるように制御する。
例えば、照明設備9の点灯時間を、植物3の休眠打破と休眠突入回避とを同時に実現するのに必要とされる時間より長く決定する。照明設備9の点灯開始時刻tonから消灯時刻toffまでの点灯期間に、栽培施設2は、照明設備9を点灯させる。例えば、点灯開始時刻tonが午前6時であり、消灯時刻toffが午後6時30分である。冬季であれば、午前6時は日の出前であり、午後6時30分は日の入り後である。
消灯時刻toffから点灯開始時刻tonまでの期間(夜間)には、栽培施設2は、照明設備9を消灯して、植物3に対する積極的な光の照射を制限する時間帯を設ける。これにより、植物3に光の照射による過度のストレスが掛かることなく、植物3の休眠打破と休眠突入回避とが同時に実現する。
上記のように、照明設備9の点灯時間を調整することにより、植物3の生理に合うように疑似的に日照時間を長くした休眠状態の制御により、植物3の休眠打破と休眠突入回避とを同時に実現することが可能になる。
図7は、実施形態に係る栽培環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部140は、栽培環境制御を実施することを要する有効日であるか否かを判定し(SA5)、有効日ではない場合に、その日の栽培環境制御を実施することなく、下記する一連の処理を終了する。
有効日である場合、制御部140は、時刻tが点灯開始時刻tonに達したか否かを判定し(SA10)、時刻tが点灯開始時刻tonに至るまでSA10の判定を繰り返す。例えば、この判定は、所定の周期で実施してもよく、時刻tが点灯開始時刻tonになったことによる割り込み処理に代えてもよい。
次に、時刻tが点灯開始時刻tonに達すると(SA10:Yes)、制御部140は、照明設備9を点灯させる(SA20)。
次に、制御部140は、時刻tが消灯時刻toffに達したか否かを判定し(SA30)、時刻tが消灯時刻toffに至るまでSA30の判定を周期的に繰り返す。例えば、この判定は、所定の周期で実施してもよく、時刻tが消灯時刻toffになったことによる割り込み処理に代えてもよい。
次に、時刻tが消灯時刻toffに達すると(SA30:Yes)、制御部140は、照明設備9を消灯させる(SA40)。
なお、制御部140は、例えば、有効日と判定された日に上記の処理を繰り返す。有効日と判定された日は、毎日、特定の生育ステージ内の連日、及び予め定められた期間内の連日のうちから規定される。
上記の実施形態によれば、灯具91(発光部)は、太陽光SLをあてて栽培する植物3に対し、太陽光SLの不足を補うための第1人工光(第1光)を放射する。制御部140は、灯具91から第1人工光を放射させて補光し、植物3に照射される太陽光SLと灯具91からの第1人工光が所定量を超える場合に、灯具91の発光量を低減させることにより、植物栽培システム1は、1日の中で明期の光の不足を補うように、植物に照射される光を調整することができる。
また、灯具91(発光部)は、太陽光SLによる光合成によって生育する植物3に光を放射する。制御部140は、植物3を休眠させないように、1日の中で明期を長くするように照射の時間帯が定められた第1人工光(第1光)を灯具91から植物3に照射させる長日点灯モードによる制御と、長日点灯モードによる制御とは異なる時間帯に暗期を生成するための暗期モードによる制御とを、1日の中に設けるように灯具91を制御することで、1日の中で明期を長くするように光の照射時間を長くして、植物3の育成に必要とされる所望の光の量を得ることができる。
また、灯具91は、制御部140の制御により明期の照度を増やし植物3の光合成を促進させるための第2人工光(第2光)を植物3に照射してもよい。上記の第2人工光(第2光)とは、例えば、制御部140が明期モード時に照射させる光のことである。これにより、明期の照度を太陽光だけを利用する場合の照度に対して増やすことができる。
また、灯具91は、少なくとも植物3の栽培床4の上に配置されてよい。例えば、灯具91は、植物3の葉の下方に配置されていれば、少なくとも上方に向かう光を放射することで、効率よく植物3に光を照射することができる。
なお、比較例には植物の上から補光する形態がある。この場合も、太陽光SLがよりよくあたる第1葉と、第1葉の陰になる第2葉を比べても、太陽光SLの場合と大差がなく、第2葉には光が届きにくいことに変わりがない。
これに対して、実施形態では、太陽光SLによる影になりやすい葉により多くの光があたるように、植物3に対して、第1人工光と第2人工光とを補助的に照射することで、より効率よく植物3に光を照射することができる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
図8を参照して、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。
所定量を超える明るさ(照度)の光を植物3に照射しても、光合成を促進させることができなくなることがある。その所定量は、植物3の種類によって異なる。本変形例では、太陽光SLによる明るさ(照度)が予め定められた値を超えた場合に、照明設備9による補光を中断又は減光させるように制御する事例について説明する。なお、以下の説明では、照度を明るさを示す指標とするが、これに制限されない。
図8は、第1の実施形態の第1の変形例に係る栽培環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部140は、栽培環境制御を実施することを要する有効日であるか否かを判定し(SA5)、有効日ではない場合に、その日の栽培環境制御を実施することなく、下記する一連の処理を終了する。
有効日である場合、制御部140は、時刻tが点灯開始時刻tonに達したか否かを判定し(SA10)、時刻tが点灯開始時刻tonに至るまでSA10の判定を繰り返す。
次に、時刻tが点灯開始時刻tonに達すると(SA10:Yes)、制御部140は、照明設備9を点灯させる(SA20)。
次に、制御部140は、照度センサ95により検出された照度(ルクス)が第1照度値を超えたか否かを判定する(SA22)。照度が第1照度値を超えた場合(SA22:Yes)には、制御部140は、照明設備9を消灯させる(SA24)。例えば、この第1照度値は、所定量を超える照度の光を植物3に照射しても、光合成を促進させることができなくなる照度に基づいて決定される。
次に、制御部140は、照度センサ95により検出された照度が第2照度値より低下したか否かを判定し(SA26)、照度が第2照度値より低下するまでSA26の判定を繰り返す。第2照度値は、上記の第1照度値に対応付けて定められ、第1照度値と同じ値か、第1照度値よりいくらか小さい値にする。第1照度値よりいくらか小さい値にすることにより、判定の基準にヒステリシスを設ける。
照度が第2照度値より低下した場合(SA26:Yes)には、制御部140は、処理をSA20に進めて照明設備9を再び点灯させる。
照度が第1照度値を超えなかった場合(SA22:No)には、制御部140は、処理をSA30Aに進める。
次に、制御部140は、時刻tが消灯時刻toffに達したか否かを判定し(SA30A)、時刻tが消灯時刻toffに至るまではSA22の処理に進める。
次に、時刻tが消灯時刻toffに達すると(SA30A:Yes)、制御部140は、照明設備9を消灯させて(SA40)、図に示す1日分の制御を終える。
上記の第1の変形例によれば、制御部140は、植物3に照射される光の照度が所定量を超える場合に、灯具91から植物3に照射する光を減光させてよい。例えば、日中の時間帯に太陽光SLによる照度が十分である場合に、照明設備9を消灯することができる。このように照明設備9を消灯することで、植物3の育成に要するエネルギーのロスを減らすことが可能になる。
なお、上記の照度センサ95を、日射強度センサ、光量子センサなどに代えてもよい。日射強度センサは、日射強度(キロジュールなど)を測定値とする。光量子センサは、光量子強度(モル/単位面積/毎秒など)を測定値とする。
(第1の実施形態の第2の変形例)
図9を参照して、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。
植物3には、「明期モード」時の光の量と、「長日点灯モード」時の光の量とを互いに異なる値にすることで、植物3の育成をより効率よく行えるものある。本変形例では、「明期モード」時の人工光の量と、「長日点灯モード」時の人工光の量とを互いに異なる値にする事例について説明する。
上記の灯具91の点灯期間のうち、点灯開始時刻tonから時刻t1までの期間と、時刻t2から消灯時刻toffまでの期間は、植物3の休眠打破と休眠突入回避とを同時に実現するために日の出前、日の入り後の光の量を補うための点灯になる。例えば、時刻t1が午前7時30分であり、時刻t2が午後4時30分である。また、上記の点灯期間のうち、時刻t1から時刻t2までの期間は、植物3の光合成を促進するための光の量を補うための点灯を行う期間になる。なお、上記の点灯開始時刻tonと、消灯時刻toffと、時刻t1と、時刻t2の具体的な時刻は、一例を示すものでありこれに制限されず、変更可能である。例えば、栽培施設2の位置(緯度経度)によって、これらの時刻を変えることがある。
上記のように、照明設備9の点灯時間と点灯条件を調整することにより、植物3の生理に合うように疑似的に日照時間を長くして、植物3の休眠打破と休眠突入回避とを同時に実現することが可能になる。
また、冬季の場合には、日中であっても太陽の高度が低く日照量が他の季節に比べて少ない。上記のように、時刻t1から時刻t2までの期間に、照明設備9を点灯させることにより、日中の光の量を補うことで、光合成を促進させることが可能になる。
図9は、第1の実施形態の第2の変形例に係る栽培環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部140は、栽培環境制御を実施することを要する有効日であるか否かを判定し(SA5)、有効日ではない場合に、その日の栽培環境制御を実施することなく、下記する一連の処理を終了する。
有効日である場合、制御部140は、時刻tが点灯開始時刻tonに達したか否かを判定し(SA10)、時刻tが点灯開始時刻tonに至るまでSA10の判定を繰り返す。
次に、時刻tが点灯開始時刻tonに達すると(SA10:Yes)、制御部140は、長日点灯モードの点灯条件で照明設備9を点灯させる(SA12)。
次に、制御部140は、時刻tが時刻t1に達したか否かを判定し(SA14)、時刻tが時刻t1に至るまでSA14の判定を繰り返す。
次に、時刻tが時刻t1に達すると(SA14:Yes)、制御部140は、明期点灯モードの点灯条件で照明設備9を点灯させる(SA20A)。
次に、制御部140は、照度が第1照度値を超えたか否かを判定する(SA22)。照度が第1照度値を超えた場合(SA22:Yes)には、制御部140は、照明設備9を消灯させる(SA24)。
次に、制御部140は、照度が第2照度値より低下したか否かを判定し(SA26)、照度が第2照度値より低下するまでSA26の判定を繰り返す。
照度が第2照度値より低下した場合(SA26:Yes)には、制御部140は、処理をSA20Aに進めて照明設備9を明期点灯モードの点灯条件で再び点灯させる。
次に、照度が第1照度値を超えなかった場合(SA22:No)には、制御部140は、処理をSA28に進める。
次に、制御部140は、時刻tが時刻t2に達したか否かを判定し(SA28)、時刻tが時刻t2に至るまでSA22の判定を実施する。
時刻tが時刻t2に達すると、制御部140は、第3モードの点灯条件で照明設備9を点灯させる(SA29)。
次に、制御部140は、時刻tが消灯時刻toffに達したか否かを判定し(SA30B)、時刻tが消灯時刻toffに至るまでSA30Bの判定を実施する。
次に、時刻tが消灯時刻toffに達すると(SA30B:Yes)、制御部140は、照明設備9を消灯させる(SA40)。
上記の第2の変形例によれば、照明設備9の点灯モード(点灯条件)として、長日点灯モードと、明期点灯モードとを有することにより、日の出の時間帯と日の入の時間帯、及び日中の時間帯の夫々の時間帯の照明設備9の点灯条件を変えることができる。
また、長日点灯モード時の灯具91による第1光の発光量は、明期点灯モード時の第2光の発光量より少なくしてもよい。これによれば、例えば、日の出の時間帯と日の入の時間帯の照度を、日中の時間帯の照度より少なくするなどの設定が可能になる。
(第2の実施形態)
前述の図8と、図10Aと図10Bとを参照して、第2の実施形態に係る局所区画部について説明する。
図10Aと図10Bは、実施形態に係る局所区画部を適用した栽培床周りについて説明するための説明図である。図10Aに示す断面図は、図1と図2に示すB−B’断面の局所区画部を示す。図10Bに示す平面図は、1つの局所区画部内に設けられた栽培床を、その上部から平面視したものである。
局所区画部5Aには、灯具91の他に灯具92が設けられている。
灯具92について説明する。灯具92は、灯具91と同様にLED等の発光体を含む。灯具92の形状は、上記のように灯具91の形状とは異なるものであってよい。例えば、1メートルほどの長さの棒状の灯具92であれば、灯具92から光の放射方向に1メートルほど離れた面の照度として数百ルクスを得ることが可能である。この程度の照度を数十ワットに満たない消費電力であることができる。
灯具92は、外部から給電があると点灯し、給電が途絶えると消灯する。例えば、灯具92ごとに給電系統が設けられていれば、制御部140からの給電制御により灯具92ごとに点灯と消灯を切り替えることができる。
灯具92は、局所区画部5Aの局所区画壁52に係止されている。図10Aの断面図に示すように、灯具92が局所区画部5A内に設けられている位置は、栽培床4を基準にすると非対称になるように配置されている。例えば、図10Aの断面図に示すように栽培床4が局所区画部5A内の中央部に位置していて、局所区画壁52と局所区画壁53が局所区画部5A内の中央の中心線を基準に略対称に配置されている。ただし、灯具92は、局所区画部5Aの局所区画壁52側に配置されているが、局所区画壁53側には配置されていない。
局所区画部5A内で、上記のように栽培床4を挟み、灯具92を非対称に配置することにより、次のような照射を実施できる。
例えば、栽培床4の延在方向を南北に配置すると仮定する。この場合、局所区画壁52が栽培床4の西側に、局所区画壁53が栽培床4の東側になる。このように灯具92を配置すると、日の出の時間帯に局所区画部5A内に射し込む太陽光SLを灯具92が遮ることがない。隣の局所区画部5A内に同じような配置で灯具92が設けられていても、栽培床4から隣の局所区画部5Aの灯具92までの距離が十分確保されているため、植物3は、隣の局所区画部5Aの灯具92の陰になりにくい。
また、日の出の時間帯の太陽光SLは、東側の局所区画壁53側から射すため、植物3の西側、つまり局所区画壁52側に太陽光SLの陰ができる。この陰になっている植物3の葉に到達する光の量が植物3の東側の葉に到達する光の量に比べて少ないため、植物3に光が十分に届いた状態にならないことがある。
そこで、植物栽培システム1は、灯具92を点灯することで植物3に達する光の量を増加させることにより、植物3が所望の照度の光を受けることを可能する。これにより、上記のような太陽光SLによる植物3の陰が生じることによる影響を低減させることができる。
なお、上記の灯具92を配置する高さは、栽培床4の高さと植物3の丈により決定される。例えば、成長が進んだ植物3の頂部の高さと、灯具92を配置する高さが同じ高さになるようにする。このような高さに灯具92を配置すれば、植物3より高めの位置から光を植物3に照射することが可能になる。例えば、前述の灯具91の点灯と組み合わせて点灯することにより、植物3に届く光の量を増やすことができる。灯具91と灯具92を合わせて設けることにより、光の照射による効果を、灯具92を設けない場合、灯具91のみを設けた場合などと比べて高めることができる。
制御部140は、灯具92の点灯を、例えば、図8に示す処理の手順に従い制御する。
制御部140は、灯具92を、長日点灯モードと明期点灯モードの両方のモード時に点灯するように制御する。ただし、制御部140は、照度が所定量を超えている場合には、さらに光を増強しても光合成が大きく増加することはないため、所定の照度を超えている場合には、その点灯を制限するとよい。この処理は、ステップSA20からステップSA26の処理に対応する。
本実施形態では、午前中に集中的に補光を実施する場合を例示する。
前述したように、栽培施設2は、点灯開始時刻tonから消灯時刻toffまでの点灯期間に、照明設備9を点灯させる。ここでは、点灯開始時刻tonと消灯時刻toffの設定を前述した時刻とは異なる値にする。例えば、点灯開始時刻tonが午前7時であり、消灯時刻toffが正午である。
例えば、植物3がイチゴの場合には、第1照度値を20000ルクスにする。この値は、植物3の種類などに対応付けて規定される「光飽和点」の値に対応させて決定するとよい。「光飽和点」とは、植物3が受ける光の量を増加しても光合成による生成物が増加しなくなる光の量(照度)のことである。経済性の観点から、照度センサ95によって検出された照度が、植物3の「光飽和点」の値を超えている場合には、補光を中断する。
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することのほか、灯具92は、太陽光による植物3に陰が生じる範囲の光の量を補う光を、植物3の下から植物3に向けて放射する。また、灯具92は、太陽光による植物3に陰が生じる範囲の光の量を補う光を、植物3の上から又は側方から植物3に向けて放射する。これにより、植物栽培システム1は、灯具91を単独で利用する場合に比べて、1日の中で光合成が盛んに行われる午前中の光の量を増強することが可能になる。
なお、季節により日照時間が変化する。特に冬季になると日照時間が短くなるため、自然光により栽培する植物栽培システム1の場合、1日当たりの植物3の成育量が低下する。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の植物栽培システム1について説明する。前述したように、栽培施設2の位置により、日の出と日の入の時刻が異なる。これによる日照時間の変化の影響を低減させる事例について説明する。
例えば、緯度経度により日照時間が変化する。緯度が互いに異なる地点で、同じ日の日照時間を比べると、緯度が高い(つまり北に位置する)地点ほど日照時間が短くなる。そのため、緯度が高い地域で自然光により栽培する栽培施設2(植物栽培システム1)の場合、緯度が低い地域の栽培施設2に対して1日当たりの植物3の成育量が低下する。
また、経度が互いに異なる地点で、同じ日の日の出と日の入の時刻を比べると、経度が大きい(つまり東に位置する)地点であるほど日の出と日の入の時刻が早くなる。そのため、植物栽培システム1に設定する時刻を経度に合わせて調整するとよい。
制御部140は、栽培施設2(又は栽培床4)が配置された位置の緯度経度情報に基づいて、灯具91の発光量と、点灯消灯を制御するための時刻を、所望の値に調整してもよい。例えば、制御部140は、栽培施設2(又は栽培床4)が配置された位置の緯度情報に基づいて、栽培施設2の位置における1日の日照時間と日照量とを導出する。制御部140は、導出した結果に基づいて、照明設備2を点灯させる時間をその標準値から所定量補正するようにしてもよい。
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することのほか、制御部140は、栽培床4が配置された位置の緯度情報を取得して、その緯度情報に基づいて、灯具91の発光量を調整することにより、その緯度情報に基づいて、制御の判定に利用する時刻の値を調整することができる。
植物栽培システム1は、上記の通知を受けると、それに従い、所望の時刻の制御が最適なものになるように、各種制御のための変数、閾値などの情報を変更する。
制御部140は、例えば、上記のように変更された各種制御のための変数、閾値などの情報に基づいて、所望の制御を実施する。
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することの他、検出された状態に基づいた各種制御を実施する際に、地域の環境の変化に依存するような制御条件を当該制御の判定等に反映することができ、個々の栽培施設2ごとの制御をより適したものにして、実施することが可能になる。
さらに、位置情報から算出した緯度経度を基に、日照時間情報を抽出し、各種制御のための変数、閾値などの情報を変更してもよい。
なお、上記の説明は、経度の値が東経の値をとる日本の場合を例示したものである。経度の値が西経の値をとる国では、経度による日の出と日の入の時刻の変化の傾向が、上記の説明と反対になる。
なお、植物栽培システム1を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより栽培環境制御装置100が所定の処理動作を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、ネットワークや通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
実施形態における栽培床4を囲む局所区画部5を設ける事例について説明したが、これに制限されることなく、局所区画部5を省略してもよい。
また、上記の実施形態において自然光(太陽光)を主たる光として設定した植物栽培システム1について例示したが、これに制限されることなく、自然光に代えて人工光を主たる光として設定してもよい。この場合、自然光に代わる第3人工光と、それを補う第1人工光とを利用することになる。第1人工光の制御に、上記の実施形態に示した手法を適用するとよい。
支持体91Bの形状としてテープ型(図4)を例示したが、これに制限されることなく、他の形状のものを適用してもよい。
図7から図9までに示した有効日の判定処理を省略してもよい。
なお、実施形態における人工光は、発光量を一定に保つように光源を点灯させる連続点灯状態により生成される光と、比較的短時間に光源の点灯と消灯を繰り返す断続点灯状態により生成される光の何れであってもよい。例えば、断続点灯状態の光は、PWM(Pulse With Modulation)制御などの所定の変調方式により変調された光であってよい。なお、断続点灯状態により生成される光は、第1発光量による点灯と、第1発光量より低減させた第2発光量の点灯とが比較的短時間の間に切り替えられて生成されてもよい。断続点灯状態の光の量は、所定期間の照度の平均値として規定してもよい。
1…植物栽培システム、2…栽培施設、21、22、23、24…側壁部、25…屋根部、3…植物、4…栽培床、5、5A…局所区画部、51…底部、52、53…局所区画壁、54…可動蓋、9…照明装置、91、92…灯具、93…照明制御部、95…照度センサ、100…栽培環境制御装置、110…IF部、120…通信部、130…記憶部、140…制御部、GL…地面、S…太陽、SL…太陽光

Claims (10)

  1. 太陽光をあてて栽培する植物に対し、前記太陽光の不足を補うための第1光を放射する発光部と、
    前記発光部から前記第1光を放射させて補光し、前記植物に照射される前記太陽光と前記発光部からの光が所定量を超える場合に、前記発光部の発光量を低減させる制御部と、
    を備える植物栽培システム。
  2. 前記制御部は、
    1日の中で明期を長くするように照射の時間帯が定められた前記第1光を前記発光部から前記植物に照射させる長日点灯モードによる制御と、前記長日点灯モードによる制御とは異なる時間帯に暗期を生成するための暗期モードによる制御とを、前記1日の中に設けて、前記植物の休眠状態を制御して、
    前記暗期モード時に、前記発光部から前記植物に照射される照度を前記長日点灯モード時の照度より低減させて前記暗期を生成するように前記発光部を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
  3. 前記発光部は、
    前記明期において明期モードによる前記制御部の制御により前記植物の光合成を促進させるための第2光を前記植物に照射する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の植物栽培システム。
  4. 前記発光部による前記第1光の発光量は、前記第2光の発光量より少ない、
    ことを特徴とする請求項3に記載の植物栽培システム。
  5. 前記発光部は、
    少なくとも前記植物の栽培床の上に配置される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の植物栽培システム。
  6. 前記発光部は、
    前記植物の葉の下方に配置され、少なくとも上方に向かう光を放射する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の植物栽培システム。
  7. 前記制御部は、
    前記植物の栽培床が配置された位置の緯度情報に基づいて、前記発光部の発光量を調整する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の植物栽培システム。
  8. 前記発光部は、
    前記植物に陰が生じる範囲の光を補う光を前記植物に向けて放射する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の植物栽培システム。
  9. 太陽光をあてて栽培する植物に対し、前記太陽光の不足を補うための第1光を放射する発光部を備える植物栽培システムの植物栽培方法であって、
    前記発光部から前記第1光を放射させて補光し、前記植物に照射される前記太陽光と前記発光部からの光が所定量を超える場合に、前記発光部の発光量を低減させる過程
    を含む植物栽培方法。
  10. 太陽光をあてて栽培する植物に対し、前記太陽光の不足を補うための第1光を放射する発光部を備える植物栽培システムのコンピュータに、
    前記発光部から前記第1光を放射させて補光し、前記植物に照射される前記太陽光と前記発光部からの光が所定量を超える場合に、前記発光部の発光量を低減させるステップ
    を実行させるためのプログラム。
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