JP2020094979A - 有機よう素捕集装置及び有機よう素捕集方法 - Google Patents

有機よう素捕集装置及び有機よう素捕集方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な有機よう素捕集装置及び有機よう素捕集方法を提供する。【解決手段】原子炉格納容器10内の有機よう素を捕集する有機よう素捕集装置100であって、有機よう素を分解可能な不揮発性液体L1(例;イオン液体、界面活性剤溶液等)を入れた液体容器1と、原子炉格納容器10内の有機よう素を含む流体を不揮発性液体L1に導入するための導入配管2aとを備え、不揮発性液体L1は、原子炉格納容器10内の熱、又は、原子炉格納容器10内の流体の反応熱によって加熱されてから有機よう素を分解する。有機よう素捕集方法は、有機よう素を分解可能な不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10内の熱、又は、原子炉格納容器10内の流体の反応熱によって加熱し、有機よう素を含む流体を加熱された不揮発性液体L1に通し、有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。【選択図】図1

Description

本発明は、原子炉から放出される放射性有機よう素をはじめ、蒸気等の流体中に含まれる有機よう素を捕集する有機よう素捕集装置、及び、有機よう素捕集方法に関する。
原子炉施設には、原子炉から放出された放射性物質が環境中に漏洩するのを防止するために、フィルタベント装置が設置されている。原子炉の事故で炉心が損傷したり、格納容器内の圧力が異常上昇したりすると、格納容器が破損して大規模漏洩に至るため、格納容器内の蒸気が未然にベントされる。高温・高圧の蒸気は、原子炉から格納容器内に放出されると、フィルタベント装置に通され、大気中に放出される前に主要な放射性物質を除去される。
原子炉の事故時に発生する放射性物質としては、希ガス、エアロゾル、無機よう素、有機よう素等がある。フィルタベント装置によると、希ガスを除くこれらの放射性物質が容器内に捕集され、環境への放出が防止される。一般に、フィルタベント装置は、特許文献1に記載されるように、容器内に、湿式フィルタとして働くスクラビング水を保持し、乾式フィルタである金属フィルタを内蔵している。
スクラビング水は、チオ硫酸ナトリウムと水酸化ナトリウム等を溶解した水溶液であり、ベントされた蒸気は、スクラビング水中に放出される。チオ硫酸ナトリウムとの反応でイオン化した無機よう素(元素状よう素)や、親水性のエアロゾルは、スクラビング水に溶解することで捕集されている。また、気相に放出されたエアロゾルは、金属フィルタに付着・衝突して捕集されている。有機よう素は、特許文献2に記載されるように、銀ゼオライトや活性炭等の乾式フィルタで捕集されている。
特表2015−522161号公報 特開平7−209488号公報
原子炉から放出される有機よう素は、よう化メチルをはじめとして水に難溶であり、ベント時に圧力抑制室のプール水やスクラビング水に導入されても、十分には捕集されない。また、よう化メチル等の有機よう素は、原子炉からの排気過程で、元素状よう素の反応によって新生することもある。これらの理由で、有機よう素は漏洩を阻止するのが難しい放射性物質となるため、有機よう素を効率的に捕集できるフィルタベント装置が求められている。
有機よう素を捕集するための捕集材としては、銀ゼオライトや活性炭が知られている(特許文献2参照)。しかし、これらの捕集材は、水分が付着した場合に捕集効率が低下するため、特許文献2のように湿分を除去する機構を必要とし、フィルタベント装置の構造を複雑化させる。また、これらの捕集材は大量に必要なため、特許文献2のように特別な装置設計や複雑な装置構造を要したり、捕集材自体のコストが嵩んだりする。
そこで、本発明は、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な有機よう素捕集装置及び有機よう素捕集方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る有機よう素捕集装置は、原子炉格納容器内の有機よう素を捕集する有機よう素捕集装置であって、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器と、原子炉格納容器内の有機よう素を含む流体を前記不揮発性液体に導入するための導入配管と、を備え、前記不揮発性液体は、前記原子炉格納容器内の熱、又は、前記原子炉格納容器内の流体の反応熱によって加熱されてから前記有機よう素を分解する。
また、本発明に係る有機よう素捕集方法は、原子炉格納容器内の有機よう素を捕集する有機よう素捕集方法であって、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を、原子炉格納容器内の熱、又は、原子炉格納容器内の流体の反応熱によって加熱し、前記原子炉格納容器内の有機よう素を含む流体を、加熱された前記不揮発性液体に通し、前記有機よう素を前記不揮発性液体に分解させて捕集する。
本発明によると、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な有機よう素捕集装置及び有機よう素捕集方法を提供することができる。
本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る有機よう素捕集装置、及び、有機よう素捕集方法について、図を参照しながら説明する。なお、以下の各図において、主機能が共通する構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
本実施形態に係る有機よう素捕集装置、及び、有機よう素捕集方法は、原子炉の事故時に実施するフィルタベントに際し、原子炉格納容器内に放出された有機よう素を含むガス(流体)を、湿式フィルタとして働く不揮発性液体に通し、ガス中の有機よう素を不揮発性液体に分解させて捕集するものである。この装置・方法では、放射性有機よう素をイオンの状態に分解して隔離下の容器内に捕集する。
不揮発性液体としては、160℃程度よりも低温で実質的に揮発しない不揮発性の液体が用いられる。原子炉の事故時には、160℃前後の高温の蒸気のベントが想定されている。湿式フィルタとして働く液体が不揮発性であれば、ベント時に高温・高圧のガスが導入されたとしても、液体自体が揮散するのを避けることができる。不揮発性液体としては、200℃よりも低温で実質的に揮発しないものがより好ましい。
また、不揮発性液体としては、有機よう素を分解する作用を示す液体が用いられる。湿式フィルタとして働く液体が有機よう素を分解可能であると、放射性有機よう素から放射性よう素イオンを解離させることができる。よう素イオンは、有機よう素と比較して液相中でより安定なため、放射性有機よう素を液相に捕集して環境への漏洩を確実に防止することができる。
不揮発性液体としては、例えば、イオン液体、界面活性剤溶液、これらの混合液等を用いることができる。特に好ましい不揮発性液体は、イオン液体である。イオン液体によると、160℃以下で実質的に揮発しない不揮発性、160℃前後の高温に耐える耐熱性、高い耐放射線性、高い化学的安定性、高い電気的安定性等が得られる。また、液体同士の相溶性の制御や、液体同士の比重の制御を、多種多様なイオンの組み合わせに基づいて容易に行うことができる。
イオン液体を構成するカチオンとしては、例えば、ホスホニウム、アンモニウム、スルホニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム等の有機カチオンが挙げられる。
イオン液体を構成するカチオンとしては、鎖状の炭素鎖を有する有機カチオンや、環状の炭素鎖を有する有機カチオン等のいずれであってもよいが、炭素数が2以上の炭素鎖を有する有機カチオンが好ましい。このような嵩高い有機カチオンであると、有機よう素とカチオンとの反応速度が高くなるため、有機よう素を高い捕集効率で捕集することができる。
イオン液体を構成するアニオンとしては、例えば、ハロゲン、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート等の無機アニオンや、アセテート、スルホネート、イミデート等の有機アニオンが挙げられる。ハロゲンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、よう化物イオン等が挙げられる。
イオン液体を構成するアニオンとしては、有機よう素を分解する作用が強い点で、求核性が高いイオンが好ましい。アニオンとしては、求核性が高い点、熱分解や加水分解を生じ難い点、フィルタベント容器に注入された場合にスクラビング水のpHを変化させ難い点等から、ハロゲン、イミデート、又は、テトラフルオロボレートがより好ましい。
イオン液体を構成するハロゲンとしては、安全性と求核性が高い点で、塩化物イオンが好ましい。また、元素状よう素の揮発による放射性物質の漏洩を避ける点からは、非放射性のよう化物イオンが好ましい。放射性有機よう素を一旦分解して捕集したとしても、液相に捕捉した放射性よう素イオンが、液相中のよう素イオンと反応して、揮発性の元素状よう素を生成する可能性がある。イオン液体を構成するハロゲンが非放射性のよう化物イオンであると、元素状よう素を生成する確率を低くすることができる。
不揮発性液体の具体例としては、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムクロリド、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムジシアナミド等が挙げられる。不揮発性液体としては、有機よう素を分解する能力が高い点等から、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムクロリドが特に好ましい。
通常、有機よう素の分解反応は、有機よう素を含むガスが求核性が高い液体に導入されたとき、結合性よう素への攻撃によって速やかに開始される。しかし、従来一般的な湿式フィルタは、原子炉の事故前には、常温下におかれている。原子炉の事故時には、原子炉格納容器内の高温・高圧のガスがベントされて湿式フィルタに通されるが、ベントの初期には、湿式フィルタが低温のままである可能性がある。
そこで、本実施形態に係る有機よう素捕集装置、及び、有機よう素捕集方法では、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を加熱してから有機よう素を分解する。不揮発性液体は、原子炉格納容器内の熱や、原子炉格納容器内の物質の反応熱や、これらの両方を利用して、常温を超える任意の温度まで加熱することができる。また、不揮発性液体は、有機よう素を含むガスを不揮発性液体に導入する前に加熱してもよいし、有機よう素を含むガスを不揮発性液体に導入しながら加熱してもよい。
図1は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図1には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器内のドライウェルに設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱によって加熱される捕集装置を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る捕集装置100は、原子炉圧力容器を内包した原子炉格納容器10と、原子炉格納容器10内の蒸気(ガス)を放射性物質を除去して環境中に放出するフィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置100は、液体容器1と、上流側ベント配管(2a,2b)と、圧力開放弁4と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、を備えている。
原子炉格納容器10は、原子炉圧力容器が収納されたドライウェル11と、圧力抑制プールが形成されたウェットウェル12と、を有している。ウェットウェル12には、プール水が溜められる。ドライウェル11中に放出された蒸気や、主蒸気系から過圧で逃された蒸気は、不図示のベント管を介してウェットウェル12に流入することができる。高温・高圧のガスがプール水で凝縮されることにより、原子炉格納容器10内の圧力が抑制される。
捕集装置100において、ドライウェル11には、原子炉格納容器10内のガスをベントするための上流側ベント配管(2a,2b)が接続されている。上流側ベント配管(2a,2b)の途中には、液体容器1が連結されている。液体容器1は、原子炉格納容器10のドライウェル11内に設置されている。
液体容器1は、有機よう素を分解可能な不揮発性液体L1を入れる密閉型の容器である。液体容器1には、湿式フィルタとして働く不揮発性液体L1が、原子炉の事故に備えて用意される。液体容器1の形状、容量、不揮発性液体L1の量は、特に制限されるものではない。液体容器1には、不揮発性液体L1を効率的に加熱するために、熱交換用のフィン、チューブ等を設けてもよい。
液体容器1の入口側には、上流側ベント配管を構成する導入配管2aが接続されている。導入配管2aの入口は、原子炉格納容器10内のドライウェル11に開口している。また、導入配管2aの出口は、液体容器1内の上部に開口している。
導入配管2aは、原子炉格納容器10内のガス(流体)をベントするための配管であり、有機よう素を含むガス(流体)を不揮発性液体L1に導入するために用いられる。導入配管2aには、圧力開放弁4が設けられている。圧力開放弁4は、大気圧を超える所定の設定圧力で開放される常閉型の弁である。
また、液体容器1の出口側には、上流側ベント配管を構成する排出配管2bが接続されている。排出配管2bの入口は、液体容器1内の下部に開口している。また、排出配管2bの他端は、フィルタベント容器6に接続されている。排出配管2bの出口は、フィルタベント容器6内の液相部に開口している。
排出配管2bは、原子炉格納容器10内のガス(流体)をベントするための配管であり、不揮発性液体L1に導入されたガス(流体)を液体容器1から排出するために用いられる。排出配管2bには、隔離弁5が設けられている。隔離弁5は、手動操作又は自動操作により開閉自在な常閉型の弁である。
フィルタベント容器6は、ベントされたガスを凝縮させると共に、ガスに含まれている放射性物質を除去するために用いられる。フィルタベント容器6には、スクラビング水L2が用意される。スクラビング水L2は、チオ硫酸ナトリウムや、水酸化ナトリウム等のアルカリを溶解した水溶液とされる。排出配管2bの出口には、例えば、多連のベンチュリノズル等で形成される不図示のスクラバノズルを取り付けることができる。スクラバノズルによると、ベントされたガスを、微細な気泡として液体中に噴出させることができる。
フィルタベント容器6は、容器内の上部に金属フィルタ7を備えている。金属フィルタ7は、金属繊維、金属メッシュ等が積層されることによって形成される。金属フィルタ7によると、容器内の気相に放出されたエアロゾルを、金属への付着、衝突等によって捕集することができる。
フィルタベント容器6において、金属フィルタ7の二次側には、下流側ベント配管8が接続されている。下流側ベント配管8の他端は、排気筒9に接続されている。排気筒9は、原子炉格納容器10内からベントされたガスを環境中に放出するために備えられる。
フィルタベント容器6は、液体中に噴出させた高温・高圧のガスに対して抵抗を及ぼす不図示のバッフルを備えることもできる。バッフルとしては、例えば、オリフィス状の邪魔板や、螺旋板や、金属メッシュ、パンチングメタル等の多孔板や、セラミック等の多孔質体等を、フィルタベント容器6内の液相部の高さに設けることができる。
フィルタベント容器6に流入する有機よう素は、ガス状であると推定される。ガス状の有機よう素の液体への溶解や、有機よう素の分解は、気泡内での拡散泳動、熱泳動、ブラウン拡散、対流等で進行すると考えられる。フィルタベント容器6内にバッフルを設けると、液体中に噴出させた気泡の滞留時間が長くなり、有機よう素と液体との接触時間が長くなるため、有機よう素の捕集効率が高められる。
次に、捕集装置100を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
原子炉において、圧力容器が破損するような重大事故が発生したとき、格納容器内には、冷却水等の蒸発による高温・高圧の蒸気と共に、種々の放射性物質が放出される。原子炉の出力や事故のシナリオにもよるが、格納容器が破損する過酷事故時には、約1kg程度の放射性有機よう素が放出されると試算されている。有機よう素の主成分としては、揮発性を有するよう化メチル(CHI)が想定されている。
原子炉に重大事故が発生し、格納容器内の圧力が過度に高くなると、格納容器が破損して放射性物質の大規模漏洩が生じる。そのため、このような事象を防ぐ措置として、ベントが実施される。ベントされるガス(蒸気)には、希ガス、エアロゾル、無機よう素、有機よう素等の放射性物質が含まれている。これらの放射性物質は、フィルタベント装置20によって捕集されて環境への漏洩が防止される。
捕集装置100では、液体容器1に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のドライウェル11内の熱によって加熱し、原子炉格納容器10のドライウェル11内の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、液体容器1内で予熱されてからフィルタベント容器6に移送され、液体容器1からフィルタベント容器6にかけて有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されている。そのため、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、ドライウェル11内の熱によって加熱される。不揮発性液体L1は、原子炉構造材から液体容器1への熱伝導、空間中のガスから液体容器1への熱伝達、原子炉構造材や空間中のガスからの輻射等のいずれによって加熱してもよい。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧のガスが放出され、原子炉格納容器10内の圧力が設定圧力を超えると、圧力開放弁4が開く。圧力開放弁4が開くと、ドライウェル11内の高温・高圧のガスが、導入配管2aを通って液体容器1に流入する。液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、流入するガスとの接触によって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ドライウェル11のベントが必要であると判断されると、隔離弁5が開放される。隔離弁5は、圧力開放弁4と同時に開放してもよいし、圧力開放弁4よりも後に開放してもよい。隔離弁5が開放されると、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、高温・高圧のガスに押され、有機よう素を分解しながら、排出配管2bを通ってフィルタベント容器6に送られる。
原子炉格納容器10内からベントされたガスは、不揮発性液体L1と共にフィルタベント容器6の液体中に噴出する。ベントされたガスは、用意された不揮発性液体L1の全てが液体容器1から排出された後は、フィルタベント容器6内の不揮発性液体L1に通される。
フィルタベント容器6では、ベントされたガスに含まれる有機よう素が、不揮発性液体L1と反応して、よう素イオンと有機物とに分解される。また、解離したよう素イオンや、ベントされたガスに含まれるエアロゾル、無機よう素等が、不揮発性液体L1やスクラビング水L2に溶解して捕集される。液相に捕集されず気相に放出されたエアロゾルは、金属フィルタ7に捕集される。その後、放射性物質が除去されたガスは、排気筒9を通じて環境中に放出される。
不揮発性液体L1としては、親水性(易水溶性)の物質からなる液体を用いてもよいし、疎水性(難水溶性)の物質からなる液体を用いてもよい。不揮発性液体L1が親水性であると、不揮発性液体L1とスクラビング水L2とが混和し易くなる。親水性の放射性物質は、溶解によって捕集され易くなり、疎水性の放射性物質は、凝集・沈降によって捕集され易くなる。一方、不揮発性液体L1が疎水性であると、疎水性の放射性物質が不揮発性液体L1に捕集され易くなり、親水性の放射性物質がスクラビング水L2に捕集され易くなる。
また、不揮発性液体L1としては、水やスクラビング水L2よりも比重が大きい液体を用いてもよいし、水やスクラビング水L2よりも比重が小さい液体を用いてもよい。疎水性の不揮発性液体L1であると、液体同士が容易に相分離して二層液体になる。比重が小さい不揮発性液体L1であると、上層が不揮発性液体L1、下層がスクラビング水L2となる。このような層構成であると、有機よう素や二次的に生成した元素状よう素の揮発を、上層の不揮発性液体L1で確実に阻止することができる。一方、比重が大きい不揮発性液体L1であると、上層がスクラビング水L2、下層が不揮発性液体L1となる。このような層構成であると、揮発性が低い放射性物質を、下層の不揮発性液体L1で凝集・沈降させて効率的に捕集することができる。
以上の捕集装置100及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されており、不揮発性液体L1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11の熱によって加熱されるため、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置100及び捕集方法によると、導入配管2aの出口が、液体容器1内の上部に開口しており、排出配管2bの入口が、液体容器1内の下部に開口しているため、液体容器1に用意した不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10の内外の圧力差と不揮発性液体L1の水頭を利用して、容易にフィルタベント容器6に移すことができる。不揮発性液体L1を移した後の液体容器1は空乏になるため、ベントされるガスに大きな通流抵抗が及ぶのを避けることができる。また、フィルタベント容器6に移されるため、不揮発性液体L1と有機よう素との反応時間を十分に確保することができるし、反応生成物を混相の液体に捕捉させることができる。
図2は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図2には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器内のドライウェルに設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱によって加熱される捕集装置を示す。
図2に示すように、本実施形態に係る捕集装置200は、前記の捕集装置100と同様に、原子炉格納容器10と、フィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置200は、液体容器1と、上流側ベント配管(2a,2b)と、圧力開放弁4と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置200が、前記の捕集装置100と異なる点は、液体容器1、導入配管2a及び排出配管2bに関わる配管系統にある。捕集装置200の他の装置構成は、前記の捕集装置100と略同様である。
捕集装置200において、導入配管2aの入口は、原子炉格納容器10内のドライウェル11に開口している。導入配管2aの出口は、液体容器1内の下部側にある液相部に開口している。一方、排出配管2bの入口は、液体容器1内の上部側にある気相部に開口している。排出配管2bの出口は、フィルタベント容器6内の液相部に開口している。
このような配管系統によると、液体容器1を湿式フィルタとして機能させることができる。導入配管2aの出口には、例えば、多連のベンチュリノズル等で形成されるスクラバノズルを取り付けることができる。また、湿式フィルタとして機能する液体容器1には、フィルタベント容器6と同様に、液体中に噴出させた高温・高圧のガスに対して抵抗を及ぼすバッフルを設けることもできる。
次に、捕集装置200を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置200では、液体容器1に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のドライウェル11内の熱によって加熱し、原子炉格納容器10のドライウェル11内の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、液体容器1内で加熱されながら有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されている。そのため、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、ドライウェル11内の熱によって加熱される。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧のガスが放出され、ドライウェル11内の圧力が設定圧力を超えると、圧力開放弁4が開く。圧力開放弁4が開くと、ドライウェル11内の高温・高圧のガスが、導入配管2aを通って液体容器1に流入する。液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、流入するガスとの接触によって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
液体容器1では、ベントされたガスに含まれる有機よう素が、不揮発性液体L1と反応して、よう素イオンと有機物とに分解される。また、解離したよう素イオンや、ベントされたガスに含まれるエアロゾル、無機よう素等が、不揮発性液体L1に溶解して捕集される。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ドライウェル11や液体容器1のベントが必要であると判断されると、隔離弁5が開放される。隔離弁5は、圧力開放弁4と同時に開放してもよいし、圧力開放弁4よりも前に開放してもよいし、圧力開放弁4よりも後に開放してもよい。隔離弁5が開放されると、液体容器1内の液相に捕集されず気相に放出された放射性物質は、排出配管2bを通じてフィルタベント容器6に送られる。
フィルタベント容器6では、ベントされたガスに残留している放射性物質が、スクラビング水L2中に溶解・凝集して捕集される。液相に捕集されず気相に放出されたエアロゾルは、金属フィルタ7に捕集される。その後、放射性物質が除去されたガスは、排気筒9を通じて環境中に放出される。
以上の捕集装置200及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されており、不揮発性液体L1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11の熱によって加熱されるため、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱され、反応中にも加熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置200及び捕集方法によると、導入配管2aの出口が、液体容器1内の下部側にある液相部に開口しており、排出配管2bの入口が、液体容器1内の上部側にある気相部に開口しているため、液体容器1内で捕集を続けることができる。有機よう素や、その他の放射性物質は、格納容器バウンダリ内に捕集されるため、捕集した放射性物質の漏洩リスクを、より低減することができる。
図3は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図3には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器外に設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱によって加熱される捕集装置を示す。
図3に示すように、本実施形態に係る捕集装置300は、前記の捕集装置100と同様に、原子炉格納容器10と、フィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置300は、液体容器1と、上流側ベント配管(2a,2b)と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、循環配管13と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置300が、前記の捕集装置100と異なる点は、液体容器1が、原子炉格納容器10外に設置されており、液体容器1に循環配管13が接続されている点である。捕集装置300の他の装置構成は、前記の捕集装置100と略同様である。
捕集装置200において、上流側ベント配管(2a,2b)の途中には、液体容器1が連結されている。液体容器1は、原子炉格納容器10外に設置されている。液体容器1は、原子炉格納容器10外であれば、原子炉建屋内に設置してもよいし、原子炉建屋外に設置してもよい。
液体容器1の入口側には、前記の捕集装置100と同様に、上流側ベント配管を構成する導入配管2aが接続されている。導入配管2aには、隔離弁5が設けられている。また、液体容器1の出口側には、前記の捕集装置100と同様に、上流側ベント配管を構成する排出配管2bが接続されている。
このような配管系統によると、液体容器1を湿式フィルタとして機能させることができる。導入配管2aの出口には、例えば、多連のベンチュリノズル等で形成されるスクラバノズルを取り付けることができる。また、湿式フィルタとして機能する液体容器1には、フィルタベント容器6と同様に、液体中に噴出させた高温・高圧のガスに対して抵抗を及ぼすバッフルを設けることもできる。
循環配管13は、液体容器1から原子炉格納容器10のドライウェル11内を通って液体容器1に戻る閉環状の流路を形成している。循環配管13の一端は、液体容器1の下部に接続しており、他端は、それよりも上部側に接続している。循環配管13の中間部は、ドライウェル11内にあり、管路が鉛直方向に沿うように縦向きに敷設されている。
循環配管13によると、原子炉格納容器10内の熱で循環配管13内の不揮発性液体L1が加熱されたとき、不揮発性液体L1を、自然対流によって循環させることができる。循環配管13の中間部で不揮発性液体L1が加熱されると、循環配管13の中間部の不揮発性液体L1が上昇し、より低温である液体容器1内の不揮発性液体L1が下降するため、不揮発性液体L1が自然循環する。
次に、捕集装置300を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置300では、液体容器1に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のドライウェル11内の熱によって加熱し、原子炉格納容器10のドライウェル11内の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、液体容器1内で加熱されながら有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10外に設置されているが、原子炉格納容器10内を通る循環配管13内の不揮発性液体L1が加熱される。そのため、不揮発性液体L1は、液体容器1内と原子炉格納容器10内との間を循環配管13を通じて自然循環しながら、原子炉格納容器10内の熱によって加熱される。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ドライウェル11のベントが必要であると判断されると、隔離弁5が開放される。隔離弁5が開放されると、ドライウェル11内の高温・高圧のガスが、導入配管2aを通って液体容器1に流入する。液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、流入するガスとの接触によって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
液体容器1では、前記の捕集装置200と同様に、ベントされたガスに含まれる放射性物質が、不揮発性液体L1によって捕集される。また、フィルタベント容器6では、前記の捕集装置200と同様に、液体容器1内の液相に捕集されず気相に放出された放射性物質が、スクラビング水L2や、金属フィルタ7によって捕集される。
以上の捕集装置300及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10外に設置されているが、不揮発性液体L1が、循環配管13を通じて原子炉格納容器10内の熱によって加熱されるため、原子炉格納容器10内に液体容器1の設置場所を設けなくとも、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱され、反応中にも加熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置300及び捕集方法によると、導入配管2aの出口が、液体容器1内の下部側にある液相部に開口しており、排出配管2bの入口が、液体容器1内の上部側にある気相部に開口しているため、前記の捕集装置200と同様に、液体容器1内で捕集を続けることができる。液体容器1内の不揮発性液体L1は、自然循環によって全体的に加熱されるため、ポンプ等で強制循環させる必要がなく、電源喪失時であっても高い捕集効率を得ることができる。また、自然循環によって攪拌されるため、不揮発性液体L1と有機よう素とを効率的に反応させることができる。
図4は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図4には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器内のドライウェルに設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱によって加熱される捕集装置を示す。
図4に示すように、本実施形態に係る捕集装置400は、前記の捕集装置100と同様に、原子炉格納容器10と、フィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置400は、液体容器1と、上流側ベント配管(2a,2b)と、圧力開放弁4と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置400が、前記の捕集装置100と異なる点は、導入配管2aに関わる配管系統にある。捕集装置400の他の装置構成は、前記の捕集装置100と略同様である。
捕集装置400において、導入配管2aの入口は、原子炉格納容器10内のウェットウェル12に開口している。導入配管2aの出口は、液体容器1内の上部に開口している。導入配管2aには、圧力開放弁4が設けられている。一方、排出配管2bの入口は、液体容器1内の下部に開口している。排出配管2bの出口は、フィルタベント容器6内の液相部に開口している。排出配管2bには、隔離弁5が設けられている。
次に、捕集装置400を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置400では、液体容器1に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のドライウェル11内の熱によって加熱し、原子炉格納容器10のウェットウェル12内の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、液体容器1内で予熱されてからフィルタベント容器6に移送され、液体容器1からフィルタベント容器6にかけて有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されている。そのため、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、ドライウェル11内の熱によって加熱される。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧のガスが放出され、ウェットウェル12内の圧力が設定圧力を超えると、圧力開放弁4が開く。圧力開放弁4が開くと、ウェットウェル12内の高温・高圧のガスが、導入配管2aを通って液体容器1に流入する。液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、流入するガスとの接触によって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ウェットウェル12のベントが必要であると判断されると、隔離弁5が開放される。隔離弁5は、圧力開放弁4と同時に開放してもよいし、圧力開放弁4よりも後に開放してもよい。隔離弁5が開放されると、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、高温・高圧のガスに押され、有機よう素を分解しながら、排出配管2bを通ってフィルタベント容器6に送られる。
フィルタベント容器6では、前記の捕集装置100と同様に、ベントされたガスに含まれる放射性物質が、不揮発性液体L1や、スクラビング水L2や、金属フィルタ7によって捕集される。
以上の捕集装置400及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されており、不揮発性液体L1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11の熱によって加熱されるため、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置400及び捕集方法によると、導入配管2aの入口が、原子炉格納容器10内のウェットウェル12に開口しているため、ウェットウェル12内の非凝縮性のガスをベントするとき、有機よう素の効率的な捕集を行うことができる。ウェットウェル12内では、ガス中の放射性物質の一部が、プール水に予め捕集されるため、より安全なベントが行われる。また、液体容器1がドライウェル11に設置されているため、ウェットウェル12に設置する場合と比較して、より高温の熱を不揮発性液体L1の加熱に利用することができる。
図5は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図5には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器外に設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱によって加熱される捕集装置を示す。
図5に示すように、本実施形態に係る捕集装置500は、前記の捕集装置300と同様に、原子炉格納容器10と、フィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置500は、液体容器1と、上流側ベント配管(2a,2b)と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、循環配管13と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置500が、前記の捕集装置300と異なる点は、導入配管2aに関わる配管系統にある。捕集装置500の他の装置構成は、前記の捕集装置300と略同様である。
捕集装置500において、ウェットウェル12には、原子炉格納容器10内のガスをベントするための上流側ベント配管(2a,2b)が接続している。上流側ベント配管(2a,2b)の途中には、液体容器1が連結されている。液体容器1は、原子炉格納容器10外に設置されている。液体容器1は、原子炉格納容器10外であれば、原子炉建屋内に設置してもよいし、原子炉建屋外に設置してもよい。
液体容器1の入口側には、上流側ベント配管を構成する導入配管2aが接続されている。導入配管2aの入口は、原子炉格納容器10内のウェットウェル12に開口している。導入配管2aの出口は、液体容器1内の下部側にある液相部に開口している。導入配管2aには、隔離弁5が設けられている。
また、液体容器1の出口側には、上流側ベント配管を構成する排出配管2bが接続されている。排出配管2bの入口は、液体容器1内の上部側にある気相部に開口している。排出配管2bの他端は、フィルタベント容器6に接続されている。排出配管2bの出口は、フィルタベント容器6内の液相部に開口している。
このような配管系統によると、液体容器1を湿式フィルタとして機能させることができる。循環配管13は、前記の捕集装置300と同様に、液体容器1から原子炉格納容器10のドライウェル11内を通って液体容器1に戻る閉環状の流路を形成している。
次に、捕集装置500を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置500では、液体容器1に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のドライウェル11内の熱によって加熱し、原子炉格納容器10のウェットウェル12内の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、液体容器1内で加熱されながら有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10外に設置されているが、原子炉格納容器10内を通る循環配管13内の不揮発性液体L1が加熱される。そのため、不揮発性液体L1は、液体容器1内と原子炉格納容器10内との間を循環配管13を通じて自然循環しながら、原子炉格納容器10内の熱によって加熱される。
また、原子炉の事故時に、ウェットウェル12のベントが必要であると判断されると、隔離弁5が開放される。隔離弁5が開放されると、ウェットウェル12内の高温・高圧のガスが、導入配管2aを通って液体容器1に流入する。液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、流入するガスとの接触によって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
液体容器1では、前記の捕集装置300と同様に、ベントされたガスに含まれる放射性物質が、不揮発性液体L1によって捕集される。また、フィルタベント容器6では、前記の捕集装置200と同様に、液体容器1内の液相に捕集されず気相に放出された放射性物質が、スクラビング水L2や、金属フィルタ7によって捕集される。
以上の捕集装置500及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10外に設置されているが、不揮発性液体L1が、循環配管13を通じて原子炉格納容器10内の熱によって加熱されるため、原子炉格納容器10内に液体容器1の設置場所を設けなくとも、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱され、反応中にも加熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置500及び捕集方法によると、導入配管2aの出口が、液体容器1内の下部側にある液相部に開口しており、排出配管2bの入口が、液体容器1内の上部側にある気相部に開口しているため、前記の捕集装置300と同様に、液体容器1内で捕集を続けることができる。液体容器1内の不揮発性液体L1は、自然循環によって全体的に加熱されるため、ポンプ等で強制循環させる必要がなく、電源喪失時であっても高い捕集効率を得ることができる。また、自然循環によって攪拌されるため、不揮発性液体L1と有機よう素とを効率的に反応させることができる。
図6は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図6には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器内のウェットウェルに設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱によって加熱される捕集装置を示す。
図6に示すように、本実施形態に係る捕集装置600は、前記の捕集装置100と同様に、原子炉格納容器10と、フィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置600は、液体容器1と、上流側ベント配管(2a,2b)と、圧力開放弁4と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置600が、前記の捕集装置100と異なる点は、液体容器1の設置位置と、導入配管2a及び排出配管2bに関わる配管系統にある。捕集装置600の他の装置構成は、前記の捕集装置100と略同様である。
捕集装置600において、ウェットウェル12には、原子炉格納容器10内のガスをベントするための上流側ベント配管(2a,2b)が接続している。上流側ベント配管(2a,2b)の途中には、液体容器1が連結されている。液体容器1は、原子炉格納容器10のウェットウェル12内に設置されている。
液体容器1の入口側には、上流側ベント配管を構成する導入配管2aが接続されている。導入配管2aの入口は、原子炉格納容器10内のウェットウェル12に開口している。導入配管2aの出口は、液体容器1内の上部に開口している。導入配管2aには、圧力開放弁4が設けられている。
また、液体容器1の出口側には、上流側ベント配管を構成する排出配管2bが接続されている。排出配管2bの入口は、液体容器1内の下部に開口している。排出配管2bの他端は、フィルタベント容器6に接続されている。排出配管2bの出口は、フィルタベント容器6内の液相部に開口している。排出配管2bには、隔離弁5が設けられている。
次に、捕集装置600を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置600では、液体容器1に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のウェットウェル12内の熱によって加熱し、原子炉格納容器10のウェットウェル12内の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、液体容器1内で予熱されてからフィルタベント容器6に移送され、液体容器1からフィルタベント容器6にかけて有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10内のウェットウェル12に設置されている。そのため、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、ウェットウェル12内の熱によって加熱される。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧のガスが放出され、ウェットウェル12内の圧力が設定圧力を超えると、圧力開放弁4が開く。圧力開放弁4が開くと、ウェットウェル12内の高温・高圧のガスが、導入配管2aを通って液体容器1に流入する。液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、流入するガスとの接触によって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ウェットウェル12のベントが必要であると判断されると、隔離弁5が開放される。隔離弁5は、圧力開放弁4と同時に開放してもよいし、圧力開放弁4よりも後に開放してもよい。隔離弁5が開放されると、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、高温・高圧のガスに押され、有機よう素を分解しながら、排出配管2bを通ってフィルタベント容器6に送られる。
フィルタベント容器6では、前記の捕集装置100と同様に、ベントされたガスに含まれる放射性物質が、不揮発性液体L1や、スクラビング水L2や、金属フィルタ7によって捕集される。
以上の捕集装置600及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10内のウェットウェル12に設置されており、不揮発性液体L1が、原子炉格納容器10内のウェットウェル12の熱によって加熱されるため、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置600及び捕集方法によると、導入配管2aの入口が、原子炉格納容器10内のウェットウェル12に開口しているため、ウェットウェル12内の非凝縮性のガスをベントする際に、有機よう素の効率的な捕集を行うことができる。また、液体容器1がウェットウェル12に設置されているため、ドライウェル11に設置する場合と比較して、液体容器1や不揮発性液体L1が極端な高温に晒されるのを避けることができる。
図7は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図7には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器内のドライウェルに設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱と、原子炉格納容器内の流体の反応熱と、によって加熱される捕集装置を示す。
図7に示すように、本実施形態に係る捕集装置700は、前記の捕集装置100と同様に、原子炉格納容器10と、フィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置700は、液体容器1と、上流側ベント配管(2a,2b)と、圧力開放弁4と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、反応器14と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置700が、前記の捕集装置100と異なる点は、液体容器1の周囲に反応熱を発生する反応器14を備えている点である。捕集装置700の他の装置構成は、前記の捕集装置100と略同様である。
反応器14は、原子炉格納容器10内に放出された物質と反応する反応材を支持させた装置であり、原子炉格納容器10内に放出されたガス(流体)を発熱反応させて反応熱を生じる装置が用いられる。反応材としては、発熱反応を生じる限り、原子炉格納容器10内に放出された任意の物質と反応する物質を用いることができるが、特に、水素や水蒸気と反応して発熱する物質が好ましく用いられる。反応材としては、例えば、水素と酸素との反応により水を生成する水素再結合触媒や金属酸化物触媒、水素と窒素との反応によりアンモニアを生成するアンモニア合成触媒、水素吸蔵合金等を用いることができる。
水素再結合触媒としては、例えば、パラジウム、白金等の金属を担体に添着させた触媒が挙げられる。金属酸化物触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、ニッケル、銅、ストロンチウム、銀、セリウム等の金属を含む触媒が挙げられる。アンモニア合成触媒としては、例えば、鉄、モリブデン、ルテニウム、オスミウム等を活性金属とする触媒が挙げられる。水素吸蔵合金としては、例えば、リチウム、マグネシウム、チタン、鉄、ニッケル、ランタン等を含む合金が挙げられる。
捕集装置700において、反応器14としては、室内設置型の装置が液体容器1の側面を囲むように配置されている。但し、反応器14は、室内設置型である限り、配置、設置数、形状、反応方式等が、特に制限されるものではない。液体容器1に入れた不揮発性液体L1は、反応器14から液体容器1への熱伝導、発熱反応で加熱されたガスから液体容器1への熱伝達等、いずれを利用して加熱してもよい。
室内設置型の反応器14としては、例えば、円筒状の容器の内側に反応材を配置し、中央にガス通路を設けたチムニー型や、筒状の容器内に複数の反応材を間隔を空けて配置し、隣り合う反応材間にガス通路を設けた並列型等が挙げられる。反応材を内蔵した容器には、ガス通路の下側からガスが流入し、周囲の反応材に接触して発熱反応を生じる。発熱したガスは、ガス通路内に上向流を発生し、ガス通路の上側から排出される。
反応器14としては、交換容易なカートリッジ容器に反応材を充填するものが好ましく用いられる。液体容器1は、ジャケット式の熱交換器を備え、反応器14のガス通路から排出されたガスを、液体容器1の周囲に設けた熱交換器に引き込む構造とすることもできる。液体容器1の周囲に反応器14を設置する場合、反応器14のガス通路にガスを送るために、ブロアを設置することが好ましい。
次に、捕集装置700を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置700では、液体容器1に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のドライウェル11内の熱と、原子炉格納容器内の流体の反応熱と、によって加熱し、原子炉格納容器10のドライウェル11内の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、液体容器1内で予熱されてからフィルタベント容器6に移送され、液体容器1からフィルタベント容器6にかけて有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されている。そのため、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、ドライウェル11内の熱によって加熱される。
原子炉の事故時に、炉心が高温になると、冷却材である水と燃料棒被覆管のジルコニウム等とが反応して、多量の水素が発生する。原子炉格納容器10内に放出された水素や水蒸気は、反応器14の所定の反応材と接触して発熱反応を生じるため、液体容器1の不揮発性液体L1は、より高温に加熱される。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧のガスが放出され、ドライウェル11内の圧力が設定圧力を超えると、圧力開放弁4が開く。圧力開放弁4が開くと、ドライウェル11内の高温・高圧のガスが、導入配管2aを通って液体容器1に流入する。液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、流入するガスとの接触によって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ドライウェル11のベントが必要であると判断されると、隔離弁5が開放される。隔離弁5は、圧力開放弁4と同時に開放してもよいし、圧力開放弁4よりも後に開放してもよい。隔離弁5が開放されると、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、高温・高圧のガスに押され、有機よう素を分解しながら、排出配管2bを通ってフィルタベント容器6に送られる。
フィルタベント容器6では、前記の捕集装置100と同様に、ベントされたガスに含まれる放射性物質が、不揮発性液体L1や、スクラビング水L2や、金属フィルタ7によって捕集される。
以上の捕集装置700及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されており、不揮発性液体L1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11の熱と、原子炉格納容器10内の流体の反応熱と、によって加熱されるため、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を更に高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置700及び捕集方法によると、反応熱を生じる反応器14を液体容器1の周囲に備えるため、不揮発性液体L1を反応熱で予熱するにあたって、反応器14の設置の自由度や、反応器14中における反応材の充填状態の自由度が高くなる。反応器14を液体容器1の周囲に配置し、導入配管2aの入口付近を開放空間とすると、ベントされるガスに大きな通流抵抗が及ぶのを避けることができる。
図8は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図8には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器内のドライウェルに設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱と、原子炉格納容器内の流体の反応熱と、によって加熱される捕集装置を示す。
図8に示すように、本実施形態に係る捕集装置800は、前記の捕集装置700と同様に、原子炉格納容器10と、フィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置800は、液体容器1と、上流側ベント配管(2a,2b)と、圧力開放弁4と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、反応器14と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置800が、前記の捕集装置700と異なる点は、導入配管2aの途中に反応熱を発生する反応器14を備えている点である。捕集装置800の他の装置構成は、前記の捕集装置700と略同様である。
捕集装置800において、反応器14としては、インライン型の装置が導入配管2aの途中に連結されている。但し、反応器14は、インライン型である限り、配置、連結数、形状、反応方式等が、特に制限されるものではない。液体容器1に入れた不揮発性液体L1は、反応器14から液体容器1への熱伝導、反応器14における発熱反応で加熱されたガスからの熱伝達等、いずれを利用して加熱してもよい。
インライン型の反応器14としては、例えば、筒状の容器内にバルク状の反応材を充填した反応器や、筒状の容器内に反応材を充填したカートリッジを内蔵した反応器や、筒状の容器内に成形された反応材を積層・配置した反応器等が挙げられる。筒状の容器には、ガス通路の一端側からガスが流入し、周囲の反応材に接触して発熱反応を生じる。発熱したガスは、ガス通路の他端側から排出される。インライン型の反応器14は、複数個を並列化させて液体容器1に連結することもできる。
次に、捕集装置800を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置800では、液体容器1に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のドライウェル11内の熱と、原子炉格納容器内の流体の反応熱と、によって加熱し、原子炉格納容器10のドライウェル11内の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、液体容器1内で予熱されてからフィルタベント容器6に移送され、液体容器1からフィルタベント容器6にかけて反応熱で更に加熱されながら有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されている。そのため、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、ドライウェル11内の熱によって加熱される。
原子炉の事故時に、炉心が高温になると、冷却材である水と燃料棒被覆管のジルコニウム等とが反応して、多量の水素が発生する。また、原子炉格納容器10内に高温・高圧のガスが放出され、ドライウェル11内の圧力が設定圧力を超えると、圧力開放弁4が開く。圧力開放弁4が開くと、ドライウェル11内の水素や水蒸気を含むガスが、導入配管2aを通って反応器14に流入する。水素や水蒸気は、反応器14の所定の反応材と接触して発熱反応を生じるため、反応器14に流入したガスは、より高温になって液体容器1に流入する。液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、このようなガスによって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、原子炉の事故時に、ドライウェル11のベントが必要であると判断されると、隔離弁5が開放される。隔離弁5は、圧力開放弁4と同時に開放してもよいし、圧力開放弁4よりも後に開放してもよい。隔離弁5が開放されると、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、高温・高圧のガスに押され、有機よう素を分解しながら、排出配管2bを通ってフィルタベント容器6に送られる。
フィルタベント容器6では、前記の捕集装置700と同様に、ベントされたガスに含まれる放射性物質が、不揮発性液体L1や、スクラビング水L2や、金属フィルタ7によって捕集される。
以上の捕集装置800及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されており、不揮発性液体L1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11の熱と、原子炉格納容器10内の流体の反応熱と、によって加熱されるため、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を更に高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置800及び捕集方法によると、反応熱を生じる反応器14を導入配管2aの途中に備えるため、発熱反応を生じる原子炉格納容器10内の物質を、原子炉格納容器10の内外の圧力差によって、反応器14に流入させることができる。ガスを送るためのブロア等を設置する必要がないため、電源喪失時であっても、高い捕集効率を得ることができる。
図9は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図9には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器内のドライウェルに設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱によって加熱される捕集装置を示す。
図9に示すように、本実施形態に係る捕集装置900は、前記の捕集装置100と同様に、原子炉格納容器10と、フィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置900は、液体容器1と、上流側ベント配管(2c,2d,2e)と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、ガス注入装置15と、ガス注入配管16と、液体注入配管17と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置900が、前記の捕集装置100と異なる点は、ガス注入装置15が液体容器1に接続している点と、上流側ベント配管(2c,2d,2e)に関わる配管系統にある。捕集装置900の他の装置構成は、前記の捕集装置100と略同様である。
捕集装置900において、ドライウェル11には、ドライウェル11内のガスをベントするためのドライベント配管2cが接続されている。ドライベント配管2cには、隔離弁5が設けられている。また、ウェットウェル12には、ウェットウェル12内のガスをベントするためのウェットベント配管2dが接続されている。ウェットベント配管2dには、隔離弁5が設けられている。
ドライベント配管2cとウェットベント配管2dとは、下流に連結された入口配管2eに合流しており、入口配管2eの他端は、フィルタベント容器6に接続されている。上流側ベント配管(2c,2d,2e)は、原子炉格納容器10内のガス(流体)をベントするための配管であり、有機よう素を含むガス(流体)を、フィルタベント容器6に注入された不揮発性液体L1に導入するために用いられる。
液体容器1は、原子炉格納容器10のドライウェル11内に設置されている。液体容器1の入口側には、ガス注入装置15が、ガス注入配管16を介して接続されている。ガス注入装置15は、原子炉格納容器10外に設置されている。ガス注入配管16の出口は、液体容器1内の上部に開口している。
液体容器1の出口側には、液体注入配管17が接続されている。液体注入配管17の入口は、液体容器1内の下部に開口している。また、液体注入配管17の他端は、フィルタベント容器6に接続されている。液体注入配管17の出口は、フィルタベント容器6内の液相部に開口している。液体注入配管17は、液体容器1に用意された不揮発性液体L1をフィルタベント容器6に注入するために用いられる。液体注入配管17には、隔離弁5が設けられている。
ガス注入装置15は、加圧されたガスを液体容器1内に注入するための装置である。ガス注入配管16は、加圧されたガスをガス注入装置15から液体容器1に送るために用いられる。加圧されたガスを液体容器1内に注入することにより、液体容器1に用意された不揮発性液体L1をフィルタベント容器6に強制的に注入することができる。
注入するガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスや、乾燥空気等が挙げられる。注入するガスとしては、不揮発性液体L1の酸化劣化や加水分解を避ける観点からは、不活性ガスを用いることが好ましい。
次に、捕集装置900を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置900では、液体容器1に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のドライウェル11内の熱によって加熱し、原子炉格納容器10のドライウェル11内、及び、ウェットウェル12内のうち、少なくとも一方の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、液体容器1内で予熱されてからフィルタベント容器6に移送され、フィルタベント容器6において有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されている。そのため、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、ドライウェル11内の熱によって加熱される。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ドライウェル11やウェットウェル12のベントが必要であると判断されると、液体注入配管17の隔離弁5が開放される。また、ガス注入装置15によって、ガスの圧送が開始される。液体注入配管17の隔離弁5が開放されると、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、ガス注入装置15から注入されるガスに押され、ガス注入装置15で加圧されたガスの圧力で液体注入配管17を通ってフィルタベント容器6に送られる。
また、原子炉の事故時に、ドライウェル11やウェットウェル12のベントが必要であると判断されると、ドライベント配管2cの隔離弁5や、ウェットベント配管2dの隔離弁5の少なくとも一方が開放される。これらの隔離弁5は、液体注入配管17の隔離弁5と同時に開放してもよいし、液体注入配管17の隔離弁5よりも後に開放してもよい。隔離弁5が開放されると、ドライウェル11内の高温・高圧のガスや、ウェットウェル12内の高温・高圧のガスが、上流側ベント配管(2c,2d,2e)を通ってフィルタベント容器6に送られる。
フィルタベント容器6では、前記の捕集装置100と同様に、ベントされたガスに含まれる放射性物質が、不揮発性液体L1や、スクラビング水L2や、金属フィルタ7によって捕集される。
なお、図9において、液体容器1、ガス注入装置15、ガス注入配管16、及び、液体注入配管17によって構成される系統としては、一系統のみが備えられているが、このような系統は、複数備えることもできる。例えば、一部の系統を、原子炉の事故の発生時に使用し、残りの系統を、フィルタベント容器6内の温度が下がり易い事故の収束時に使用することもできる。
以上の捕集装置900及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されており、不揮発性液体L1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11の熱によって加熱されるため、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置900及び捕集方法によると、原子炉格納容器10内のガスが、液体容器1を通らず、上流側ベント配管(2c,2d,2e)のみを通って、フィルタベント容器6に送られるため、ベントされるガスに大きな通流抵抗が及ぶのを避けることができる。また、ガス注入装置15が備えられるため、原子炉格納容器10の内外の圧力差を利用しなくとも、不揮発性液体L1をフィルタベント容器6に強制的に注入することが可能であり、利用する不揮発性液体L1の水頭の自由度を高くすることができる。
図10は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図10には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器外に設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の流体の反応熱によって加熱される捕集装置を示す。
図10に示すように、本実施形態に係る捕集装置1000は、フィルタベント装置20に組み込まれている。捕集装置1000は、前記の捕集装置800と同様に、上流側ベント配管(2c,2d,2e)と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、反応器14と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置1000が、前記の捕集装置800と異なる点は、液体容器1が備えられてなく、不揮発性液体L1がフィルタベント容器6に用意されており、ベント配管(2c,2d,2e)の途中に反応熱を発生する反応器14を備えている点である。捕集装置1000の他の装置構成は、前記の捕集装置800と略同様である。
捕集装置1000において、ドライウェル11には、ドライウェル11内のガスをベントするためのドライベント配管2cが接続されている。ドライベント配管2cには、隔離弁5が設けられている。また、ウェットウェル12には、ウェットウェル12内のガスをベントするためのウェットベント配管2dが接続されている。ウェットベント配管2dには、隔離弁5が設けられている。
ドライベント配管2cとウェットベント配管2dとは、下流に連結された入口配管2eに合流しており、入口配管2eの他端は、フィルタベント容器6に接続されている。上流側ベント配管(2c,2d,2e)は、原子炉格納容器10内のガス(流体)をベントするための配管であり、有機よう素を含むガス(流体)を、フィルタベント容器6に用意された不揮発性液体L1に導入するために用いられる。
フィルタベント容器6には、不揮発性液体L1と、スクラビング水L2と、が用意される。不揮発性液体L1としては、スクラビング水L2よりも比重が小さい液体が好ましく用いられる。このような液体であると、不揮発性液体L1がスクラビング水L2から相分離して上層を形成するため、有機よう素や二次的に生成した元素状よう素の揮発を、上層の不揮発性液体L1で確実に阻止することができる。入口配管2eの出口には、例えば、多連のベンチュリノズル等で形成される不図示のスクラバノズルを取り付けることができる。
捕集装置1000において、反応器14としては、インライン型の装置が入口配管2eの途中に連結されている。但し、反応器14は、インライン型である限り、配置、連結数、形状、反応方式等が、特に制限されるものではない。フィルタベント容器6に入れた不揮発性液体L1は、反応器14からの熱伝導、反応器14における発熱反応で加熱されたガスからの熱伝達等、いずれを利用して加熱してもよい。
インライン型の反応器14としては、前記の捕集装置800と同様に、筒状の容器内にバルク状の反応材を充填した反応器や、筒状の容器内に反応材を充填したカートリッジを内蔵した反応器や、筒状の容器内に成形された反応材を積層・配置した反応器等を用いることができる。インライン型の反応器14は、複数個を並列化させてフィルタベント容器6に取り付けることもできる。また、フィルタベント容器6内の液相部に接する位置や液相部に没する位置に配置することもできる。
次に、捕集装置1000を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置1000では、フィルタベント容器6に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器内の流体の反応熱によって加熱し、原子炉格納容器10のドライウェル11内、及び、ウェットウェル12内のうち、少なくとも一方の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、フィルタベント容器6内で加熱されながら有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。炉心が高温になると、冷却材である水と燃料棒被覆管のジルコニウム等とが反応して、多量の水素が発生する。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ドライウェル11やウェットウェル12のベントが必要であると判断されると、ドライベント配管2cの隔離弁5や、ウェットベント配管2dの隔離弁5の少なくとも一方が開放される。隔離弁5が開放されると、ドライウェル11内の水素や水蒸気を含むガスや、ウェットウェル12内の水素や水蒸気を含むガスが、上流側ベント配管(2c,2d,2e)を通って反応器14に流入する。水素や水蒸気は、反応器14に充填された所定の反応材と接触すると発熱反応を生じるため、反応器14に流入したガスは、より高温になってフィルタベント容器6に流入する。フィルタベント容器6に用意された不揮発性液体L1は、このようなガスによって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
フィルタベント容器6では、ベントされたガスに含まれる有機よう素が、不揮発性液体L1と反応して、よう素イオンと有機物とに分解される。また、解離したよう素イオンや、ベントされたガスに含まれるエアロゾル、無機よう素等が、不揮発性液体L1やスクラビング水L2に溶解・凝集して捕集される。液相に捕集されず気相に放出されたエアロゾルは、金属フィルタ7に捕集される。その後、放射性物質が除去されたガスは、排気筒9を通じて環境中に放出される。
以上の捕集装置1000及び捕集方法によると、不揮発性液体L1が、原子炉格納容器10内の流体の反応熱によって加熱されるため、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に反応熱によって予熱することができるし、原子炉格納容器10内の温度が十分に高くなくとも、水素濃度や水蒸気濃度が高い場合に高温に加熱することができるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置1000及び捕集方法によると、反応熱を生じる反応器14を入口配管2eの途中に備えるため、発熱反応を生じる原子炉格納容器10内の物質を、原子炉格納容器10の内外の圧力差によって、反応器14に流入させることができる。ガスを送るためのブロア等を設置する必要がないため、電源喪失時であっても、高い捕集効率を得ることができる。また、液体容器1が必要ないため、原子炉格納容器10の内外に液体容器1の設置場所を設けなくとも、不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。
図11は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図11には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器内のドライウェルに設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱によって加熱される捕集装置を示す。
図11に示すように、本実施形態に係る捕集装置1100は、前記の捕集装置200と同様に、原子炉格納容器10と、フィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置1100は、液体容器1と、上流側ベント配管(2a,2b)と、圧力開放弁4と、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置1100が、前記の捕集装置200と異なる点は、液体容器1の周囲に設置されたヒータ18と、ヒータ18に接続された非常用電源19と、を備えている点である。捕集装置1100の他の装置構成は、前記の捕集装置200と略同様である。
ヒータ18は、非常用電源19によって駆動されて熱を発生する装置であり、原子炉格納容器10内の熱によって加熱される不揮発性液体L1を更に加熱するために備えられる。ヒータ18は、出力が一定に制御されてもよいし、出力が可変的に制御されてもよい。ヒータ18は、例えば、不揮発性液体L1が所定温度以上に保たれるように制御することができる。
ヒータ18としては、ハロゲンヒータ等の赤熱放射ヒータや、セラミックヒータ、石英ヒータ等のパネルヒータや、オイルヒータ等の液体充填放熱ヒータや、電気ファンヒータ等のファンヒータや、エアーコンディショナ、ダクトヒータ等の対流ヒータ等、各種の加熱装置を用いることができる。
捕集装置1100において、ヒータ18としては、室内設置型の装置が液体容器1の側面を囲むように配置されている。但し、ヒータ18は、室内設置型である限り、配置、設置数、形状、発熱方式等が、特に制限されるものではない。液体容器1に入れた不揮発性液体L1は、ヒータ18から液体容器1への熱伝導、ヒータ18で加熱されたガスから液体容器1への熱伝達等、いずれを利用して加熱してもよい。
非常用電源19は、原子炉の事故時においても作動可能な電源であり、電源喪失時等にヒータ18に給電するために用いられる。非常用電源19としては、ディーゼル発電機、ガスタービン発電機、蓄電池等の各種の電源を用いることができる。非常用電源19は、ヒータ18に常時接続される定置電源であってもよいし、非常時に接続される電源車等の移動電源であってもよい。
次に、捕集装置1100を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置1100では、液体容器1に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のドライウェル11内の熱と、ヒータ18が発生した熱と、によって加熱し、原子炉格納容器10のドライウェル11内の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、液体容器1内で加熱されながら有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されている。そのため、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、ドライウェル11内の熱によって加熱される。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧のガスが放出され、ドライウェル11内の圧力が設定圧力を超えると、圧力開放弁4が開く。圧力開放弁4が開くと、ドライウェル11内の高温・高圧のガスが、導入配管2aを通って液体容器1に流入する。液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、流入するガスとの接触によって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ドライウェル11のベントが必要であると判断されると、ヒータ18が起動される。ヒータ18は、圧力開放弁4の開放と同時に起動してもよいし、圧力開放弁4の開放よりも前に起動してもよいし、圧力開放弁4の開放よりも後に起動してもよい。ヒータ18が起動されると、液体容器1に用意された不揮発性液体L1は、ドライウェル11内の温度よりも高温になるように、更に加熱される。
液体容器1では、ベントされたガスに含まれる有機よう素が、不揮発性液体L1と反応して、よう素イオンと有機物とに分解される。また、解離したよう素イオンや、ベントされたガスに含まれるエアロゾル、無機よう素等が、不揮発性液体L1に溶解して捕集される。ヒータ18による不揮発性液体L1の加熱は、ベントされたガスが液体容器1に流入する間、連続的に行ってもよいし、間欠的に行ってもよい。
また、原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ドライウェル11や液体容器1のベントが必要であると判断されると、隔離弁5が開放される。隔離弁5は、ヒータ18の起動と同時に開放してもよいし、ヒータ18の起動よりも後に開放してもよい。隔離弁5が開放されると、液体容器1内の液相に捕集されず気相に放出された放射性物質は、排出配管2bを通じてフィルタベント容器6に送られる。
フィルタベント容器6では、ベントされたガスに残留している放射性物質が、スクラビング水L2中に溶解・凝集して捕集される。液相に捕集されず気相に放出されたエアロゾルは、金属フィルタ7に捕集される。その後、放射性物質が除去されたガスは、排気筒9を通じて環境中に放出される。
以上の捕集装置1100及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11に設置されており、不揮発性液体L1が、原子炉格納容器10内のドライウェル11の熱と、ヒータ18と、によって加熱されるため、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱され、反応中にも加熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置1100及び捕集方法によると、非常用電源19に接続されるヒータ18を液体容器1の周囲に備えるため、原子炉格納容器10内の温度が十分に高くなくとも、不揮発性液体L1を、高い反応速度が得られる温度まで確実に予熱することができる。ヒータ18は、電源喪失時や、原子炉格納容器10内の温度が低くなる事故の収束時であっても、不揮発性液体L1を加熱することができるため、より広範な時期にわたって捕集効率を維持することができる。
図12は、本発明に係る有機よう素捕集装置の一例を模式的に示す断面図である。
図12には、有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器が、原子炉格納容器外に設置されており、不揮発性液体が、原子炉格納容器内の熱によって加熱される捕集装置を示す。
図12に示すように、本実施形態に係る捕集装置1200は、前記の捕集装置300と同様に、原子炉格納容器10と、フィルタベント装置20と、に組み込まれている。捕集装置1200は、液体容器1と、上流側ベント配管(導入配管)2fと、隔離弁5と、フィルタベント容器6と、金属フィルタ7と、下流側ベント配管8と、排気筒9と、循環配管13と、を備えている。
本実施形態に係る捕集装置1200が、前記の捕集装置300と異なる点は、液体容器1が備えられてなく、不揮発性液体L1がフィルタベント容器6に用意されている点である。捕集装置1200の他の装置構成は、前記の捕集装置300と略同様である。
捕集装置1200において、ドライウェル11には、ドライウェル11内のガスをベントするための上流側ベント配管2fが接続している。上流側ベント配管2fの他端は、フィルタベント容器6に接続されている。上流側ベント配管2fの出口は、フィルタベント容器6内の液相部に開口している。
上流側ベント配管2fは、原子炉格納容器10内の有機よう素を含むガス(流体)を不揮発性液体L1に導入するために用いられる。上流側ベント配管2fには、隔離弁5が設けられている。
フィルタベント容器6には、不揮発性液体L1が用意される。上流側ベント配管2fの出口には、例えば、多連のベンチュリノズル等で形成される不図示のスクラバノズルを取り付けることができる。また、液体中に噴出させた高温・高圧のガスに対して抵抗を及ぼすバッフルを設けることもできる。
循環配管13は、前記の捕集装置300の液体容器1と同様に、フィルタベント容器6から原子炉格納容器10のドライウェル11内を通ってフィルタベント容器6に戻る閉環状の流路を形成している。循環配管13の一端は、フィルタベント容器6の下部に接続しており、他端は、それよりも上部側に接続している。循環配管13の中間部は、ドライウェル11内にあり、管路が鉛直方向に沿うように縦向きに敷設されている。
次に、捕集装置1200を用いた有機よう素の捕集方法について具体的に説明する。
捕集装置1200では、フィルタベント容器6に入れた不揮発性液体L1を、原子炉格納容器10のドライウェル11内の熱によって加熱し、原子炉格納容器10のドライウェル11内の有機よう素を含むガス(流体)を、加熱された不揮発性液体L1に通し、ガスに含まれている有機よう素を不揮発性液体L1に分解させて捕集する。不揮発性液体L1は、フィルタベント容器6内で加熱されながら有機よう素を分解する。
原子炉の事故時に、原子炉格納容器10内に高温・高圧の蒸気(ガス)が放出されると、原子炉格納容器10内の温度・圧力が上昇する。液体容器1は、原子炉格納容器10外に設置されているが、原子炉格納容器10内を通る循環配管13内の不揮発性液体L1が加熱される。そのため、不揮発性液体L1は、液体容器1内と原子炉格納容器10内との間を循環配管13を通じて自然循環しながら、原子炉格納容器10内の熱によって加熱される。
原子炉格納容器10内の圧力が高圧になり、ドライウェル11のベントが必要であると判断されると、隔離弁5が開放される。隔離弁5が開放されると、ドライウェル11内の高温・高圧のガスが、上流側ベント配管2fを通ってフィルタベント容器6に流入する。フィルタベント容器6に用意された不揮発性液体L1は、流入するガスとの接触によって更に加熱されると共に、ガス中の有機よう素との反応を開始する。
フィルタベント容器6では、ベントされたガスに含まれる有機よう素が、不揮発性液体L1と反応して、よう素イオンと有機物とに分解される。また、解離したよう素イオンや、ベントされたガスに含まれるエアロゾル、無機よう素等が、不揮発性液体L1に溶解・凝集して捕集される。液相に捕集されず気相に放出されたエアロゾルは、金属フィルタ7に捕集される。その後、放射性物質が除去されたガスは、排気筒9を通じて環境中に放出される。
以上の捕集装置1200及び捕集方法によると、液体容器1が、原子炉格納容器10外に設置されているが、不揮発性液体L1が、循環配管13を通じて原子炉格納容器10内の熱によって加熱されるため、原子炉格納容器10内に液体容器1の設置場所を設けなくとも、ベント時の不揮発性液体L1と有機よう素との反応速度を高くすることができる。不揮発性液体L1は、多量の有機よう素と接触する以前に予熱され、反応中にも加熱されるため、ベントの初期を含む広範な時期にわたって捕集効率を高くすることができる。よって、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に捕集可能な装置・方法を提供することができる。
また、以上の捕集装置1200及び捕集方法によると、フィルタベント容器6内の不揮発性液体L1は、自然循環によって全体的に加熱されるため、ポンプ等で強制循環させる必要がなく、電源喪失時であっても高い捕集効率を得ることができる。また、自然循環によって攪拌されるため、不揮発性液体L1と有機よう素とを効率的に反応させることができる。
以上、本発明に係る有機よう素捕集装置、及び、有機よう素捕集方法の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、技術的範囲を逸脱しない限り、様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、或る実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態の構成に他の構成を加えたりすることが可能である。また、或る実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、構成の削除、構成の置換をすることも可能である。
例えば、前記の各捕集装置や捕集方法は、ドライベント及びウェットベントのいずれに適用してもよい。前記の捕集装置100,200,800,900,1100において、液体容器1と排出配管の系統を、ウェットウェル12側に移して装置を構成することもできる。また、前記の捕集装置200,700,800,1100,1200をウェットウェル12のベントに適用することもできる。
また、前記の各捕集装置において、一つの液体容器1やフィルタベント容器6に、複数種類の機構を組み込むこともできる。例えば、捕集装置300,500の循環配管13付きの液体容器1、捕集装置1200の循環配管13付きのフィルタベント容器6、捕集装置700の室内設置型の反応器14、捕集装置800のインライン型の反応器14、捕集装置900のガス注入装置15、及び、捕集装置1100のヒータ18のうち、少なくとも一つ以上の機構を、一つの液体容器1に組み込んでもよい。
また、前記の各捕集装置において、液体容器1や導入配管及び排出配管の系統を、複数系列備えることもできる。複数の系列は、互いに同一の機構となるように構成してもよいし、互いに異なる機構となるように構成してもよい。
例えば、室内設置型の反応器14とガス注入装置15とを備えた第1液体容器1と、インライン型の反応器14とヒータ18とを備えた第2液体容器1とを、ドライウェル11に設置することもできる。第2液体容器1によると、反応熱の不足をヒータ18で補いつつ、予熱した不揮発性液体L1を用いることができる。また、第1液体容器1によると、反応熱を利用して予熱した不揮発性液体L1をガス注入装置15で必要な時期に注入することができる。
また、例えば、ヒータ18を備えた第1液体容器1と、室内設置型の反応器14とインライン型の反応器14とを備えた第2液体容器1とを、ドライウェル11に設置することもできる。第2液体容器1によると、反応熱を最大限利用して不揮発性液体L1を予熱することができる。また、第1液体容器1によると、反応熱が不足する状況であっても、ヒータ18を利用して不揮発性液体L1を予熱することができる。
また、例えば、捕集装置500の循環配管13付きの液体容器1に、ヒータ18と、インライン型の反応器14と、を備えることもできる。このような液体容器1によると、ドライウェル11との熱交換、ウェットウェル12の水素・水蒸気の反応熱、及び、ヒータ18の熱で、互いに熱不足を補いながら、安定して不揮発性液体L1を予熱することができる。
また、例えば、捕集装置1200の循環配管13付きのフィルタベント容器6に、ヒータ18と、インライン型の反応器14と、を備えることもできる。このようなフィルタベント容器6によると、ドライウェル11との熱交換、ドライウェル11の水素・水蒸気の反応熱、及び、ヒータ18の熱で、互いに熱不足を補いながら、安定して不揮発性液体L1を予熱することができる。
また、前記の各捕集装置や捕集方法において、不揮発性液体L1やスクラビング水L2の他に、その他のイオン液体、界面活性剤溶液等を併用してもよい。また、前記の各捕集装置において、図示した配管や機器の他に、その他の配管や機器を備えてもよい。例えば、各捕集装置に、液体容器1を通らないドライウェルベント用のバイパス配管、液体容器1を通らないウェットウェルベント用のバイパス配管等を備えることもできる。また、循環配管13は、ドライウェル11に通してもよいし、ウェットウェル12に通してもよいし、これらの両方に通してもよい。
また、前記の各捕集装置や捕集方法において、原子炉の形式は、特に制限されるものではない。原子炉としては、沸騰水型原子炉(Boiling Water Reactor:BWR)、改良型沸騰水型原子炉(Advanced Boiling Water Reactor:ABWR)、加圧水型原子炉(Pressurized Water Reactor:PWR)等の各種の形式に適用することができる。不揮発性液体L1として用い得るイオン液体等は、一般産業向けに実用化されている。放射性物質で汚染されたイオン液体等は、例えば、特表2003−507185号に記載された方法等で処理・再生することができる。
1 液体容器
2a 上流側ベント配管(導入配管)
2b 上流側ベント配管(排出配管)
4 圧力開放弁
5 隔離弁
6 フィルタベント容器
7 金属フィルタ
8 下流側ベント配管
9 排気筒
10 原子炉格納容器
11 ドライウェル
12 ウェットウェル
13 循環配管
14 反応器
15 ガス注入装置
16 ガス注入配管
17 液体注入配管
18 ヒータ
19 非常用電源
20 フィルタベント装置
L1 不揮発性液体
L2 スクラビング水
100 捕集装置
200 捕集装置
300 捕集装置
400 捕集装置
500 捕集装置
600 捕集装置
700 捕集装置
800 捕集装置
900 捕集装置
1000 捕集装置
1100 捕集装置
1200 捕集装置

Claims (15)

  1. 原子炉格納容器内の有機よう素を捕集する有機よう素捕集装置であって、
    有機よう素を分解可能な不揮発性液体を入れた液体容器と、
    原子炉格納容器内の有機よう素を含む流体を前記不揮発性液体に導入するための導入配管と、を備え、
    前記不揮発性液体は、前記原子炉格納容器内の熱、又は、前記原子炉格納容器内の流体の反応熱によって加熱されてから前記有機よう素を分解する有機よう素捕集装置。
  2. 請求項1に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記液体容器は、前記原子炉格納容器内のドライウェルに設置されており、
    前記不揮発性液体は、前記原子炉格納容器内の熱によって加熱される有機よう素捕集装置。
  3. 請求項1に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記液体容器は、前記原子炉格納容器内のウェットウェルに設置されており、
    前記不揮発性液体は、前記原子炉格納容器内の熱によって加熱される有機よう素捕集装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記液体容器の周囲に反応器を備え、
    前記反応器は、前記原子炉格納容器内の流体を発熱反応させて反応熱を生じる有機よう素捕集装置。
  5. 請求項2又は請求項3に記載の有機よう素捕集装置であって、
    加圧されたガスを前記液体容器内に注入するためのガス注入装置と、
    前記原子炉格納容器からベントされた流体が通されるフィルタベント容器と、を備え、
    前記不揮発性液体は、前記原子炉格納容器内の熱によって加熱されてから、加圧された前記ガスの圧力で前記フィルタベント容器に送られ、前記フィルタベント容器において前記有機よう素を分解する有機よう素捕集装置。
  6. 請求項2又は請求項3に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記液体容器の周囲にヒータを備え、
    前記ヒータは、前記原子炉格納容器内の熱によって加熱される前記不揮発性液体を更に加熱する有機よう素捕集装置。
  7. 請求項1に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記液体容器は、前記原子炉格納容器外に設置されており、
    前記不揮発性液体は、前記原子炉格納容器内の熱によって加熱される有機よう素捕集装置。
  8. 請求項7に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記液体容器から前記原子炉格納容器内を通って前記液体容器に戻る循環配管を備え、
    前記不揮発性液体は、前記液体容器内と前記原子炉格納容器内との間を循環しながら、前記原子炉格納容器内の熱によって加熱される有機よう素捕集装置。
  9. 請求項1に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記液体容器は、前記原子炉格納容器外に設置されており、
    前記不揮発性液体は、前記原子炉格納容器内の流体の反応熱によって加熱される有機よう素捕集装置。
  10. 請求項9に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記導入配管に反応器を備え、
    前記反応器は、有機よう素を含む前記流体を発熱反応させて反応熱を生じる有機よう素捕集装置。
  11. 請求項1に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記不揮発性液体に導入された前記流体を前記液体容器から排出するための排出配管を備え、
    前記導入配管の出口は、前記液体容器内の上部に開口しており、
    前記排出配管の入口は、前記液体容器内の下部に開口している有機よう素捕集装置。
  12. 請求項1に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記不揮発性液体に導入された前記流体を前記液体容器から排出するための排出配管を備え、
    前記導入配管の出口は、前記液体容器内の液相部に開口しており、
    前記排出配管の入口は、前記液体容器内の気相部に開口している有機よう素捕集装置。
  13. 請求項1に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記導入配管の入口は、前記原子炉格納容器内のドライウェルに開口している有機よう素捕集装置。
  14. 請求項1に記載の有機よう素捕集装置であって、
    前記導入配管の入口は、前記原子炉格納容器内のウェットウェルに開口している有機よう素捕集装置。
  15. 原子炉格納容器内の有機よう素を捕集する有機よう素捕集方法であって、
    有機よう素を分解可能な不揮発性液体を、原子炉格納容器内の熱、又は、原子炉格納容器内の流体の反応熱によって加熱し、
    前記原子炉格納容器内の有機よう素を含む流体を、加熱された前記不揮発性液体に通し、
    前記有機よう素を前記不揮発性液体に分解させて捕集する有機よう素捕集方法。
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