JP2020077834A - 電極材料、電極、及び電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
1.導電性高分子で被覆した活性炭を含み、
前記導電性高分子で被覆した活性炭の、窒素の吸着等温線から求めた細孔分布において、
細孔直径13Å未満の細孔容積の合計が、
細孔直径13Å未満の細孔容積と、細孔直径13Å以上22Å未満の細孔容積と、細孔直径22Å以上40Å以下の細孔容積と、の合計を基準として、40%以下である電極材料。
2.前記導電性高分子が、ドーパントがドープしている、置換又は無置換のポリアニリンである1に記載の電極材料。
3.前記ドーパントが、芳香族スルホン酸、芳香族ポリスルホン酸、ヒドロキシ基を有する有機スルホン酸、カルボキシ基を有する有機スルホン酸、脂環式スルホン酸及びベンゾキノンスルホン酸からなる群から選択される1種以上の化合物のアニオンである2に記載の電極材料。
4.前記ドーパントが、臭化リチウム、塩化リチウム、及びヨウ化リチウムからなる群から選択される1種以上である2に記載の電極材料。
5.前記ドーパントが、LiPF6、LiBF4、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、及びLiClO4からなる群から選択される1種以上である2に記載の電極材料。
6.前記ドーパントが、スルホコハク酸誘導体である2に記載の電極材料。
7.前記ドーパントが、下記式(1)で示されるスルホコハク酸誘導体である2に記載の電極材料。
R13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)r−R16基[ここで、R15はそれぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 3Si−基(ここで、R17はそれぞれ独立に炭化水素基である)であり、rは1以上の整数である]である。)
8.前記導電性高分子が、フェノール性化合物を含む1〜7のいずれかに記載の電極材料。(さらに、フェノール性化合物を含む1〜7のいずれかに記載の電極材料。)
9.前記フェノール性化合物が、クレゾール系化合物である8に記載の電極材料。
10.1〜9のいずれかに記載の電極材料を含む電極。
11.活性炭を含むシートを導電性高分子の溶液に浸漬し、10に記載の電極を得る、電極の製造方法。
12.10に記載の電極を備える電気化学デバイス。
13.10に記載の電極に含まれる導電性高分子を構成するモノマー単位の総量Amolと、電気化学デバイスに含まれるアニオンの総量Bmolとが、式0.7<B/A<100を満たす12に記載の電気化学デバイス。
14.10に記載の電極である正極、及び
活性炭を含む負極を備えるキャパシタ。
15.10に記載の電極に含まれる導電性高分子を構成するモノマー単位の総量Amolと、キャパシタに含まれるアニオンの総量Bmolとが、式0.7<B/A<100を満たす14に記載のキャパシタ。
16.10に記載の電極である正極、並びに
リチウムの挿入及び脱離の可能な電極材料を含む負極を備えるリチウムイオンキャパシタ。
17.前記リチウムの挿入及び脱離の可能な電極材料が、黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン、Li4Ti5O12、Si、Ge、Sn、Sb、SiO、SnO2、Cu−Sn、及びAlからなる群から選択される1以上である16に記載のリチウムイオンキャパシタ。
18.10に記載の電極に含まれる導電性高分子を構成するモノマー単位の総量Amolと、リチウムイオンキャパシタに含まれるアニオンの総量Bmolとが、式0.7<B/A<100を満たす16又は17に記載のリチウムイオンキャパシタ。
導電性高分子で被覆した活性炭の、窒素の吸着等温線から求めた細孔分布において、
細孔直径13Å未満の細孔容積の合計が、
細孔直径13Å未満の細孔容積と、細孔直径13Å以上22Å未満の細孔容積と、細孔直径22Å以上40Å以下の細孔容積と、の合計を基準として、40%以下(好ましくは5〜40%、より好ましくは10〜38%)である
また、任意の効果として、耐電圧特性を向上させることできる。
図1は、電解イオンが活性炭(炭素電極)に吸着される様子を示す概念図である。電解液中の電解イオンは、通常、数Å程度の直径を有するため、活性炭表面の細孔のうち、細孔直径10Å超20Å以下の範囲の細孔に、電解イオンは吸着しやすい。導電性高分子で被覆した活性炭は、細孔直径10Å以下の細孔が、導電性高分子によって優先的に被覆されており、導電性高分子で被覆する前の活性炭よりも細孔直径10Å超20Å以下の範囲にある細孔の細孔容積の合計が拡張されている。これにより、電気化学デバイスの静電容量を向上させることができる。また、導電性高分子で表面をコーティングされているため、活性炭と電解液が直接接する部分が低減されており、劣化が抑制される。
尚、導電性高分子は、高い導電性を有するので、被覆によって活性炭の電気的性能が低下を抑制することができる。
導電性高分子で被覆した活性炭のBET比表面積は、窒素の吸着等温線から求める。
導電性高分子で被覆する前の活性炭の細孔の容積は、窒素の吸着等温線から求めた細孔分布から求める。
置換基としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐の炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜10)、
メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜10)、
フェノキシ基等のアリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜20)、
トリフルオロメチル基(−CF3基)等のハロゲン化炭化水素(好ましくは、炭素数1〜10)、
−SO3H基、−PO4H基、−(CH2)n1−SO3H基、−(CH2)n1−PO4H基(n1は、1〜20であり、1〜10が好ましい)等が挙げられる。
ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、及びこれらの誘導体が好ましい。置換又は無置換のポリアニリンがより好ましい。
置換又は無置換のポリアニリンは、リチウムイオン導電性であるので、置換又は無置換のポリアニリンで活性炭を被覆した場合であっても、活性炭の電気的性能の低下を抑制できるため、好ましい。
また、導電性高分子(又は導電性高分子複合体)の数平均分子量は、250〜40,000が好ましい。
上記数平均分子量、重量平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定する。
装置:高速GPCシステムHLC−8220(東ソー株式会社製)
検出器:示差屈折率計及び紫外可視吸収検出器(254nm)
カラム:TSK−gel α−M×2本(東ソー株式会社製)
ガードカラム:TSK−gel ALPHA(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶剤:NMP
注入量:100μL
流速 :1mL/min
標準物質:TSK−gel標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)
打ち込み濃度:0.1質量%
これらは単独でも用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、より高い溶解性の発現の点では、ポリスチレンスルホン酸イオン、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸イオンがより好ましい。
有機スルホン酸のイオンは、分子サイズが大きく高温雰囲気中で脱ドープしにくいため、導電性高分子で被覆した活性炭の導電率の安定化に効果的である。
上記有機スルホン酸の具体例としては、溶解性の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホイソフタル酸、スルホサリチル酸、カンファースルホン酸、アダマンタンスルホン酸、スルホコハク酸等を挙げることができる。
R13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)r−R16基[ここで、R15はそれぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 3Si−基(ここで、R17はそれぞれ独立に炭化水素基である)であり、rは1以上の整数である]である。)
R13及びR14における、R15が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、芳香環を含むアリーレン基、アルキルアリーレン基、アリールアルキレン基である。また、R13及びR14における、R16及びR17が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられる。
rは、1〜10であることが好ましい。
スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びカルボキシ基からなる群から選択される1以上の酸性基を1以上有する環状、鎖状又は分岐(好ましくは鎖状又は分岐)の(好ましくは炭素数が1〜18の)アルキル酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸、
ウンデシレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−エチルヘキサン酸、
ドデシルリン酸、リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)等が挙げられる。
スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びカルボキシ基からなる群から選択される1以上の酸性基を1以上有する置換又は無置換の芳香族酸としては、
ベンゼン環を有するスルホン酸、ナフタレン骨格を有するスルホン酸、アントラセン骨格を有するスルホン酸、
置換又は無置換のベンゼンカルボン酸、置換又は無置換のナフタレンカルボン酸、置換又は無置換のアントラセンスルホン酸、
置換又は無置換のベンゼンスルホン酸、置換又は無置換のベンゼンホスホン酸、置換又は無置換のナフタレンスルホン酸、置換又は無置換のナフタレンホスホン酸等が挙げられる。置換又は無置換のナフタレンスルホン酸が好ましい。
ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、
フェニルホスホン酸、
サリチル酸、安息香酸、ナフトエ酸、トリメシン酸、
ポリスチレンスルホン酸等が挙げられる。
上記フェノール性化合物は、ArOH(ここで、Arはアリール基又は置換アリール基である)で示されるフェノール性化合物も用いることができる。具体的には、フェノール、o−,m−若しくはp−クレゾール、o−,m−若しくはp−エチルフェノール、o−,m−若しくはp−プロピルフェノール、o−,m−若しくはp−ブチルフェノール、o−,m−若しくはp−クロロフェノール、サリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフタレン等の置換フェノール類;カテコール、レゾルシノール等の多価フェノール性化合物;及びフェノール樹脂、ポリフェノール、ポリ(ヒドロキシスチレン)等の高分子化合物等を例示することができる。
また、フェノール性化合物は、導電性の観点から、クレゾール系化合物であることが好ましく、o−,m−若しくはp−クレゾールであるとより好ましい。
また、ドーパントとして、例えば、イオン伝導性の観点から、LiPF6、LiBF4、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、及びLiClO4からなる群から選択される1種以上の電解質を用いることができる。
導電性高分子中のドーパント濃度とは、導電性高分子を構成するモノマーユニットに対するドーパント(カウンターアニオン)の濃度を意味する。例えば、導電性高分子がチオフェン環を有し、カウンターアニオンがスルホン酸を有していれば、チオフェン環:スルホン酸が1:1(モル比)のとき、ドーパント濃度は100%と定義される。また、導電性高分子がポリアニリンの場合は、アニリン環2つで一価のカチオンとなるため、例えばカウンターアニオンがスルホン酸を有していれば、アニリン環:スルホン酸が2:1のとき、ドーパント濃度は100%となる。
導電性高分子中のドーパント濃度は、X線光電分光法で確認できる。
上記電極は、上述の電極材料を含むシートの形状であることが好ましく、上述の電極材料、導電助剤及びバインダーを含む層と集電体シートとの積層体であることがより好ましい。
本発明の電極の一態様は、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタ等の電気化学デバイス等に用いることができる。
炭素系導電助剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維、グラファイト、グラフェン、カーボンチューブ等が挙げられ、これら1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、導電性とコストの観点から、ケッチェンブラック又はアセチレンブラックが好ましい。
また、集電体の形状には、特に制限はないが、箔状基材、又は三次元基材(発泡メタル、メッシュ、織布、不織布、エキスパンド等)を用いることができる。
電気伝導性が高く、電解液中の安定性と耐酸化性がよい観点から、集電体としてはC、Al、ステンレス鋼等が好ましく、さらに材料コストの観点からAlが好ましい。
活性炭を含むシートは、例えば、活性炭、導電助剤、バインダーを含む組成物をカレンダロール等の公知の圧延機で圧延することにより製造できる。
また、溶媒として、OH基を有し、さらにブトキシ基を有する化合物を用いてもよい。
R1のブチル基は、無置換であることが好ましい。
R2の炭素数1〜6のアルキレン基は、無置換であることが好ましい。
導電性高分子の溶液を活性炭の細孔に含浸させ、乾燥することにより活性炭表面の細孔を導電性高分子で被覆できる。乾燥温度及び乾燥時間は、特に制限されないが、乾燥温度は、80〜200℃が好ましく、100〜170℃がより好ましい。乾燥時間は、1〜180分間が好ましく3〜60分間がより好ましい。必要に応じて、減圧下で加熱してもよい。
含浸後の乾燥によって被覆した導電性高分子の余剰部分がある場合、物理的手段(ゴムヘラでこそぐ)で取り除いてもよい。
また、製造した積層体及び電極は、必要に応じてロールプレス等により加圧してもよい。
導電性高分子としては、上述の導電性高分子と同様のものが挙げられる。
導電性高分子としては、上述の導電性高分子と同様のものが挙げられる。
活性炭、導電助剤、バインダーを含む組成物は、本質的に、活性炭、導電助剤、及びバインダーからなっており、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでもよい。
活性炭、導電助剤、バインダーを含む組成物の、例えば、80〜100質量%、90〜100質量%、95〜100質量%、98〜100質量%又は100質量%が、
活性炭、導電助剤、及びバインダーからなっていてもよい。
導電性高分子としては、上述の導電性高分子と同様のものが挙げられる。
また、得られたスルホコハク酸誘導体をドープしたポリアニリン複合体に、さらにクレゾール系化合物等のフェノール性化合物やジクロロ酢酸を導電性向上剤として加えることで、ポリアニリン複合体の導電率を高めることができる。
本発明の電気化学デバイスの一態様は、フロート耐性向上の観点から、上述の電極に含まれる導電性高分子を構成するモノマー単位の総量Amolと、電気化学デバイスに含まれるアニオンの総量Bmolとが、式0.7<B/A<100(好ましくは1<B/A<80、より好ましくは1<B/A<70)を満たすことが好ましい。
電極に含まれる導電性高分子を構成するモノマー単位の総量Amolと、電気化学デバイスに含まれるアニオンの総量Bmolとは、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法により測定し、B/Aを算出する。以下、同様である。
本発明のキャパシタの一態様は、上述の電極である正極、及び活性炭を含む負極を備える。
本発明のキャパシタの一態様は、フロート耐性向上の観点から、上述の電極に含まれる導電性高分子を構成するモノマー単位の総量Amolと、キャパシタに含まれるアニオンの総量Bmolとが、式0.7<B/A<100(好ましくは1<B/A<80、より好ましくは1<B/A<70)を満たすことが好ましい。
リチウムの挿入及び脱離の可能な電極材料としては、例えば、容量の観点から、黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン、Li4Ti5O12、Si、Ge、Sn、Sb、SiO、SnO2、Cu−Sn、及びAlからなる群から選択される1以上が挙げられる。
本発明のリチウムイオンキャパシタの一態様は、フロート耐性向上の観点から、上述の電極に含まれる導電性高分子を構成するモノマー単位の総量Amolと、リチウムイオンキャパシタに含まれるアニオンの総量Bmolとが、式0.7<B/A<100(好ましくは1<B/A<80、より好ましくは1<B/A<70)を満たすことが好ましい。
セパレータは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水系電解液としては、カーボネート類にLiPF6を溶解した溶液が好ましく、該溶液はリチウムイオン二次電池の電解液として特に好適である。
(1)ポリアニリン複合体の調製
エーロゾルOT(スルホコハク酸誘導体であるジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、純度75%以上、富士フイルム和光純薬株式会社製)5.4g(12mmol)、フォスファノールFP120(東邦化学工業株式会社製)0.66g(0.8mmol)をトルエン100mLに攪拌溶解して調製した溶液を、窒素気流下に置いた30Lのガラス反応器(機械式攪拌器、ジャケット、温度計及び滴下ロート付)に入れた。この溶液に、3.7g(40mmol)の原料アニリンを加え、攪拌溶解した。冷媒によるフラスコの攪拌冷却を開始し、1mol/Lリン酸300mLを溶液にさらに添加した。溶液温度を5℃に保持した状態で、7.3g(32mmol)の過硫酸アンモニウムを1mol/Lリン酸100mLに溶解した溶液を滴下ロートで滴下し、2時間で滴下を完了した。静置により二相に分離した水相(下相)を反応器下部から抜き出し、粗ポリアニリン複合体トルエン溶液を得た。
装置:高速GPCシステムHLC−8220(東ソー株式会社製)
検出器:示差屈折率計及び紫外可視吸収検出器(254nm)
カラム:TSK−gel α−M×2本(東ソー株式会社製)
ガードカラム:TSK−gel ALPHA(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶剤:NMP
注入量:100μL
流速 :1mL/min
標準物質:TSK−gel標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)
打ち込み濃度:0.1質量%
得られたポリアニリン複合体に、トルエン48.8g、イソプロピルアルコール2.6gを混合し、一晩撹拌後、超音波処理を20分間行った。さらに遠心分離機で2300rpm、30分間、処理し、上澄み70gを回収して、ポリアニリン複合体の固形分濃度が11.5質量%のポリアニリン組成物Aを得た。
1.75gの得られたポリアニリン組成物Aに、イソプロピルアルコール6g、ナフタレンスルホン酸水和物0.6g、4−メトキシフェノール17.4gを混合した溶液Bを0.75g添加した。溶液Bを添加したポリアニリン組成物Aを混合し、さらに、イソプロピルアルコール9gを添加した溶液を作製した。(1)のエーロゾルOTがドープしたポリアニリン複合体にナフタレンスルホン酸をさらにドープしたポリアニリン複合体を含む導電性ポリアニリン組成物B(ポリアニリン複合体の濃度:1.8質量%)を得た。
粉末状活性炭(株式会社クラレ製、YP50F)86g、ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製、F104)7g、カーボンブラック7gを混合し、乳鉢でアセトンを追加しながら混練した。得られた混合物をロール成形器に投入し、シート状に成形した。このシートを、170℃で10時間、乾燥した後、集電体用のアルミ箔に黒鉛ペースト(導電性ペースト)を用いて接着し、活性炭シートを得た。
(3)で得られた導電性ポリアニリン組成物Bに(4)で得られた活性炭シートを浸漬し、シート内部に導電性ポリアニリン組成物Bが到達するよう減圧含浸させ、導電性ポリアニリン含浸活性炭シートを製造した。電極表面に残っている導電性ポリアニリン組成物Bをゴムヘラで除去し、110℃で10分間、加熱乾燥した。加熱乾燥後、不要な溶媒を除去するため、120℃で2時間、真空乾燥した。
(5)で得られた導電性ポリアニリン含浸活性炭シートを、150℃、3時間真空乾燥を行った後、比表面積測定装置AUTOSORB3(アントンパール社製)にセットし、相対圧10−5から1までの、窒素の吸着等温線を測定した。
得られた窒素の吸着等温線から急冷固相密度関数法(QSDFT法)で解析を行い、
細孔分布とBET比表面積とを求めた。
細孔分布については、細孔直径40Å以下の細孔容積の合計100%を基準として、細孔直径13Å未満の細孔容積の合計と、細孔直径13Å以上22Å未満の細孔容積の合計と、細孔直径22Å以上40Å以下の細孔容積の合計と、を算出した。
結果を表1に示す。
尚、比表面積測定装置AUTOSORB3の測定条件を以下に示す。
前処理:真空排気処理,150℃ 3時間
原理:静置法によるBET多点(窒素吸着)
実施例1の(4)を行い、活性炭シートを製造した((5)活性炭シートへのポリアニリンの含浸を行わなかった)。
得られた活性炭シートについて、実施例1と同様に、評価した。結果を表1に示す。
実施例1の(5)で得られた導電性ポリアニリン含浸活性炭シートを、導電性ポリアニリン含浸活性炭シート電極として、作用極に用い、参照電極及び対向極にLiをプリドープした黒鉛を用いた。電解液に、1.2mol/LのLiPF6のエチレンカーボネート及びメチルエチルカーボネート(エチレンカーボネート:メチルエチルカーボネート(質量比)=3:7)溶液を用いた。セルロース系セパレータを用い、評価用セルを作製した。
上記の場合の放電電荷量を活性炭の質量で除算し、単位体重さあたりの導電性ポリアニリン含浸活性炭シート電極の容量を求めた。
これを1000サイクルまで繰り返した。各サイクルにおいて、質量あたりの導電性ポリアニリン含浸活性炭シート電極の容量をプロットした。
500サイクル後の質量あたりの導電性ポリアニリン含浸活性炭シート電極の容量、及び
1000サイクル後の質量あたりの導電性ポリアニリン含浸活性炭シート電極の容量を、それぞれ除算して、百分率にした容量維持率を表2に示す。
比較例1で得られた活性炭シートを作用極とした以外は、実施例2と同様に、評価用セルを作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例1(5)で得られた導電性ポリアニリン含浸活性炭シートを、導電性ポリアニリン含浸活性炭シート電極として、作用極に用い、参照電極及び対向極にLi金属箔を用いた。電解液に1.0mol/LのLiPF6のエチレンカーボネート及びジエチルカーボネート(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(質量比)=3:7、キシダ化学株式会社製、エルソルブLGB)溶液を用いた。ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン系の三層セパレータを用い、評価用コイン型セルを作製した。
上記評価用コイン型セルについて、70℃に維持された恒温槽内の電池性能評価装置TOSCAT−3100にセットし、5Cで4.0Vまで充電した後、その電圧を100時間維持した。100時間後、評価用コイン型セルの温度を室温まで下げ、インピーダンス解析により、100時間後の内部抵抗を測定した。
結果を表3に示す。
結果を表3に示す。
導電性ポリアニリン含浸活性炭シート電極に含まれる導電性ポリアニリンを構成するモノマー単位の総量A(mol)及び評価用コイン型セルに含まれるアニオンの総量B(mol)は以下のように求めた。
上述の評価用コイン型セルを分解して導電性ポリアニリン含浸活性炭シート電極を取り出した。取り出した導電性ポリアニリン含浸活性炭シート電極について、集電体用のアルミ箔を剥離し、活性炭層を単離した。ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法により、Agilent 5100 ICP−OES(アジレント・テクノロジー社製)を用いて、単離した活性炭層に含まれる導電性ポリアニリン中の窒素原子の総モル数を求めた。モノマー単位(アニリン骨格)1つ当たり窒素原子を1つ含むことに基づいて、活性炭層中の導電性高分子を構成するモノマー単位の総量A(mol)を求めた。ポリアニリンは、論理的に、モノマー単位(アニリン骨格)1つ当たりアニオンの受容サイトを1つ有する。
評価用コイン型セルに含まれるアニオン(ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン及びPF6 −)の総量B(mol)は、導電性ポリアニリン含浸活性炭シート電極に含まれるアニオン量(mol)、及び電解液に含まれるアニオン量(mol)を合計することにより求めた。
比較例1で得られた活性炭シートを作用極とした以外は、実施例3と同様に、コイン型セルを作製し、評価した。結果を表3に示す。
実施例3で作製した評価用コイン型セルについて、インピーダンス解析により、初期の内部抵抗を測定した。
上記評価用コイン型セルについて、85℃に維持された恒温槽内の電池評価装置TOSCAT−3100にセットした。
5Cで4.2Vまで充電しその後、5Cにて放電した。これを1サイクルとし、このサイクルを100サイクルまで行った。
100サイクル後、評価用コイン型セルの温度を室温まで下げ、インピーダンス解析により、内部抵抗を測定した。
結果を、表4に示す。
結果を表4に示す。
比較例3で得られた評価用コイン型セルを用いて、実施例4と同様に、評価した。結果を表4に示す。
Claims (18)
- 導電性高分子で被覆した活性炭を含み、
前記導電性高分子で被覆した活性炭の、窒素の吸着等温線から求めた細孔分布において、
細孔直径13Å未満の細孔容積の合計が、
細孔直径13Å未満の細孔容積と、細孔直径13Å以上22Å未満の細孔容積と、細孔直径22Å以上40Å以下の細孔容積と、の合計を基準として、40%以下である電極材料。 - 前記導電性高分子が、ドーパントがドープしている、置換又は無置換のポリアニリンである請求項1に記載の電極材料。
- 前記ドーパントが、芳香族スルホン酸、芳香族ポリスルホン酸、ヒドロキシ基を有する有機スルホン酸、カルボキシ基を有する有機スルホン酸、脂環式スルホン酸及びベンゾキノンスルホン酸からなる群から選択される1種以上の化合物のアニオンである請求項2に記載の電極材料。
- 前記ドーパントが、臭化リチウム、塩化リチウム、及びヨウ化リチウムからなる群から選択される1種以上である請求項2に記載の電極材料。
- 前記ドーパントが、LiPF6、LiBF4、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、及びLiClO4からなる群から選択される1種以上である請求項2に記載の電極材料。
- 前記ドーパントが、スルホコハク酸誘導体である請求項2に記載の電極材料。
- さらに、フェノール性化合物を含む請求項1〜7のいずれかに記載の電極材料。
- 前記フェノール性化合物が、クレゾール系化合物である請求項8に記載の電極材料。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の電極材料を含む電極。
- 活性炭を含むシートを導電性高分子の溶液に浸漬し、請求項10に記載の電極を得る、電極の製造方法。
- 請求項10に記載の電極を備える電気化学デバイス。
- 請求項10に記載の電極に含まれる導電性高分子を構成するモノマー単位の総量Amolと、電気化学デバイスに含まれるアニオンの総量Bmolとが、式0.7<B/A<100を満たす請求項12に記載の電気化学デバイス。
- 請求項10に記載の電極である正極、及び
活性炭を含む負極を備えるキャパシタ。 - 請求項10に記載の電極に含まれる導電性高分子を構成するモノマー単位の総量Amolと、キャパシタに含まれるアニオンの総量Bmolとが、式0.7<B/A<100を満たす請求項14に記載のキャパシタ。
- 請求項10に記載の電極である正極、並びに
リチウムの挿入及び脱離の可能な電極材料を含む負極を備えるリチウムイオンキャパシタ。 - 前記リチウムの挿入及び脱離の可能な電極材料が、黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン、Li4Ti5O12、Si、Ge、Sn、Sb、SiO、SnO2、Cu−Sn、及びAlからなる群から選択される1以上である請求項16に記載のリチウムイオンキャパシタ。
- 請求項10に記載の電極に含まれる導電性高分子を構成するモノマー単位の総量Amolと、リチウムイオンキャパシタに含まれるアニオンの総量Bmolとが、式0.7<B/A<100を満たす請求項16又は17に記載のリチウムイオンキャパシタ。
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