JP2020063339A - 樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

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卓哉 西田
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Abstract

【課題】ウェルド部の機械的強度に優れた成形体の原料となる樹脂組成物および該樹脂組成物の成形体を提供すること。【解決手段】ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、ゼオライト(C)、ガラス繊維(D1)およびガラスフレーク(D2)を含有し、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の全量を100質量部としたとき、ゼオライト(C)の含有量が20質量部以下であり、ガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)との質量比((D1)/(D2))は8以下である樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含有する樹脂組成物、および該樹脂組成物を成形してなる成形体に関する。
ポリフェニレンスルフィド(以下「PPS」とも言う)樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下「PAS」とも言う)樹脂は、270℃以上の融点も保持可能な、優れた耐熱性を示すエンジニアリングプラスチックとして知られている。しかしながら、一般的に他のエンジニアリングプラスチックに比して靭性に劣ることが知られており、最終製品用途やその形状を考慮した場合、成形流動性や冷熱衝撃性などの点で改良の余地がある。
例えば、下記特許文献1では、ポリフェニレンスルフィド樹脂、無機充填材としてガラスフレークおよびガラスフレーク以外の無機充填材、ならびにオレフィン系重合体を含有し、ガラスフレークとガラスフレーク以外の無機充填材との配合量を一定の範囲内とした樹脂組成物により、射出成型時の低ガス性や成形体の冷熱性などを向上する技術が記載されている。
また、下記特許文献2では、ポリアリーレンスルフィド、無水マレイン酸含有オレフィン共重合体、アルコキシシランカップリング剤、ガラスフレークおよびガラス繊維を含有する樹脂組成物により、成形体の靭性、接着強度、寸法精度および成形加工性を向上する技術が記載されている。
特開2002−129014号公報 特開2010−13515号公報
ただし、近年では様々な技術分野で部品構造が複雑化しており、樹脂組成物の成形体に求められる冷熱衝撃性も益々高くなってきており、前記特許文献に記載の技術を含む、従来の構成技術では市場の要求を満足できなくなってきている。特に、成形体を射出成形などで成形する場合、構造上最も脆弱な部分となるウェルド部での材料破壊が問題となることが多く、これを改良するために、成形体のウェルド部の機械的強度を向上させる必要があった。
本発明は前記実情に鑑みて開発されたものであり、その課題は、ウェルド部の機械的強度に優れた成形体の原料となる樹脂組成物および該樹脂組成物の成形体を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく、成形時に溶融したPAS樹脂の結晶化挙動に着目し、鋭意検討したところ、樹脂組成物中にPAS樹脂の結晶核剤としてゼオライトを所定量配合することにより、成形体のウェルド部の機械的強度を著しく向上できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、ゼオライト(C)、ガラス繊維(D1)およびガラスフレーク(D2)を含有し、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の全量を100質量部としたとき、前記ゼオライト(C)の含有量が20質量部以下であり、前記ガラス繊維(D1)と前記ガラスフレーク(D2)との質量比((D1)/(D2))が、8以下であることを特徴とする樹脂組成物に関する。
本発明に係る樹脂組成物は、PAS樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、ガラス繊維(D1)およびガラスフレーク(D2)の四者を含有するため、成形流動性と成形体の冷熱衝撃性に優れる。さらに本発明に係る樹脂組成物は、前記四者に加えて、PAS樹脂(A)の全量を100質量部としたとき、ゼオライト(C)を20質量部以下含有するため、成形体のウェルド部の機械的強度が著しく向上する。かかる効果が得られる理由は明らかではないが、以下の理由が推定可能である。
「ウェルド部」とは、例えば射出成形の際、金型内部での流動樹脂末端同士の合流箇所を意味する。PAS樹脂(A)の結晶化挙動は、成形体のウェルド部の機械的強度に大きな影響を及ぼし、溶融後のPAS樹脂(A)の結晶化速度が速すぎると、ウェルド部で樹脂同士が溶着することなく固化・結晶化し、成形体のウェルド部の機械的強度が悪化する傾向がある。一方、溶融後のPAS樹脂(A)の結晶化速度が遅すぎると、成形性などの観点から好ましくない。つまり、成形体のウェルド部の機械的強度を向上するためには、PAS樹脂(A)の結晶化速度を最適化することが非常に重要であるところ、本発明に係る樹脂組成物では、PAS樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、ガラス繊維(D1)およびガラスフレーク(D2)の四者に加え、さらにゼオライト(C)を所定量含有する。かかるゼオライト(C)は、溶融後のPAS樹脂(A)が結晶化する際、結晶核剤として作用し、PAS樹脂(A)の全量を100質量部としたとき、その配合量を20質量部以下とすることにより、ウェルド部における溶融後のPAS樹脂(A)の結晶化速度を最適化し、成形体のウェルド部での機械的強度を大幅に向上させることができる。加えて、本発明に係る樹脂組成物では、ガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)との質量比((D1)/(D2))を8以下とすることにより、成形体のウェルド部での機械的強度をさらに向上させることができる。
前記樹脂組成物において、前記ゼオライト(C)の含有量が10質量部以下であることが好ましい。かかる構成を備える場合、成形体のウェルド部での機械的強度をさらに向上させることができる。
前記樹脂組成物において、前記オレフィン系樹脂(B)が、アルケン、アルキルアクリレート、およびグリシジルアクリレートの共重合体を含むものであることが好ましい。かかる構成を備える場合、PAS樹脂(A)の靭性が向上することに起因して、成形体のウェルド部での機械的強度をさらに向上させることができる。
また、本発明はいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体に関する。かかる成形体はウェルド部での機械的強度に優れるため、複雑な形状にも成形可能である。
本発明に係る樹脂組成物は、PAS樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、ゼオライト(C)、ガラス繊維(D1)およびガラスフレーク(D2)を含有する。以下、各構成について説明する。
<ポリアリーレンスルフィド(PAS)樹脂(A)>
本発明で用いるPAS樹脂(A)は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記一般式(1):
Figure 2020063339



(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4の範囲のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位と、必要に応じてさらに下記一般式(2):
Figure 2020063339



で表される3官能性の構造部位と、を繰り返し単位とする樹脂である。式(2)で表される3官能性の構造部位は、他の構造部位との合計モル数に対して0.001〜3モル%の範囲が好ましく、特に0.01〜1モル%の範囲であることが好ましい。
ここで、前記一般式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記PAS樹脂(A)の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(3)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(4)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
Figure 2020063339



これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記一般式(3)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記PAS樹脂(A)の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記PAS樹脂(A)は、前記一般式(1)や(2)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(5)〜(8)
Figure 2020063339



で表される構造部位を、前記一般式(1)と一般式(2)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では前記一般式(5)〜(8)で表される構造部位は10モル%以下であることが、PAS樹脂(A)の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記PAS樹脂(A)中に、前記一般式(5)〜(8)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記PAS樹脂(A)は、その分子構造中に、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
(製造方法)
前記PAS樹脂(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)硫黄と炭酸ソーダの存在下でジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、2)極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下にジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールを、必要ならばその他の共重合成分を加えて、自己縮合させる方法、4)ジヨード芳香族と単体硫黄を、カルボキシ基やアミノ基等の官能基を有していてもよい重合禁止剤の存在下、減圧させながら溶融重合させる方法等が挙げられる。これらの方法のなかでも、2)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩や、水酸化アルカリを添加しても良い。前記2)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、必要に応じてポリハロゲノ芳香族化合物と加え、反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりPAS樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でジハロゲノ芳香族化合物と必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加え、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01〜0.9モルの範囲の有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。ジハロゲノ芳香族化合物の具体的な例としては、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド、及び、前記各化合物の芳香環に炭素原子数1〜18の範囲のアルキル基を有する化合物が挙げられ、ポリハロゲノ芳香族化合物としては1,2,3−トリハロベンゼン、1,2,4−トリハロベンゼン、1,3,5−トリハロベンゼン、1,2,3,5−テトラハロベンゼン、1,2,4,5−テトラハロベンゼン、1,4,6−トリハロナフタレンなどが挙げられる。また、前記各化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが好ましい。
重合工程により得られたPAS樹脂を含む反応混合物の後処理方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、(1)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸または塩基を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過および乾燥する方法、或いは、(2)重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、かつ少なくともPASに対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、PASや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、或いは、(3)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥をする方法、(4)重合反応終了後、反応混合物に水を加えて水洗浄、濾過、必要に応じて水洗浄の時に酸を加えて酸処理し、乾燥をする方法、(5)重合反応終了後、反応混合物を濾過し、必要に応じ、反応溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に水洗浄、濾過および乾燥する方法、等が挙げられる。
尚、前記(1)〜(5)に例示したような後処理方法において、PAS樹脂(A)の乾燥は真空中で行なってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
<オレフィン系重合体(B)>
オレフィン系重合体(B)としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチルー1−ペンテン、イソブチレンなどのα―オレフィンを単独あるいは2種以上で重合して得られる重合体、さらには前記αオレフィンと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどのα,β―不飽和酸およびそのアルキルエステルとの共重合体が挙げられる。なお、本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
オレフィン系重合体(B)は、樹脂組成物中の他の成分との相溶性向上の観点から、重合体中に官能基を有することが好ましい。これにより、成形体の冷熱衝撃性などを向上することができる。かかる官能基としては、エポキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、および式:R(CO)O(CO)−またはR(CO)O−(式中、Rは炭素原子数1〜8の範囲のアルキル基を表す。)で表される基が挙げられる。かかる官能基を有するオレフィン系重合体(B)は、例えば、α−オレフィンと前記官能基を有するビニル重合性化合物との共重合により得ることができる。前記官能基を有するビニル重合性化合物としては、前記α,β―不飽和酸およびそのアルキルエステルに加え、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびその他の炭素原子数4〜10の範囲のα,β−不飽和ジカルボン酸およびその誘導体(モノもしくはジエステル、およびその酸無水物等)、ならびにグリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。前記オレフィン系重合体の中でも、オレフィン系重合体(B)として、エポキシ基、カルボキシ基、及び、式:R(CO)O(CO)−又はR(CO)O−(式中、Rは炭素原子数1〜8の範囲のアルキル基を表す。)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するオレフィン系重合体が靭性および耐衝撃性の向上の点から好ましく、特にオレフィン系樹脂(B)が、アルケン、アルキルアクリレート、およびグリシジルアクリレートの共重合体を含むものであることが好ましい。
本発明に係る樹脂組成物中のオレフィン系重合体(B)の含有量は、PAS樹脂(A)の全量を100質量部としたとき、5〜15質量部であることが好ましく、7〜13質量部であることが好ましい。オレフィン系重合体(B)の含有量をかかる範囲内に設計することにより、成形流動性と成形体の冷熱衝撃性とをバランス良く向上することができる。
<ゼオライト(C)>
ゼオライトは沸石とも呼ばれるケイ酸塩鉱物の一種であり、結晶構造中に比較的大きな空隙を持つ多孔質状の鉱物である。本発明に係る樹脂組成物では、ゼオライト(C)は溶融したPAS樹脂(A)が結晶化する際に結晶核剤として作用することにより、成形体のウェルド部の機械的強度向上に大きく寄与する。PAS樹脂(A)の結晶化速度を最適化し、成形体のウェルド部の機械的強度を向上するために、本発明に係る樹脂組成物中のゼオライト(C)の含有量は、PAS樹脂(A)の全量を100質量部としたとき、20質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下とすることが好ましい。また、PAS樹脂(A)の結晶核剤として有効に作用させるためには、1質量部以上使用することが好ましい。
<ガラス繊維(D1)>
ガラス繊維(D1)としては当業者に公知のものが使用可能であり、その繊維径および繊維長、さらにアスペクト比などは成形体の用途などに応じて適宜調整可能である。なお、PAS樹脂(A)中での分散性向上のため、例えばガラス繊維(D1)を公知のカップリング剤、バインダーなどで表面処理しても良い。本発明に係る樹脂組成物中のガラス繊維(D1)の含有量は、PAS樹脂(A)の全量を100質量部としたとき、32〜120質量部であることが好ましく、48〜100質量部であることが好ましい。ガラス繊維(D1)の含有量をかかる範囲内に設計することにより、成形流動性と成形体の機械的強度とをバランス良く向上することができる。
<ガラスフレーク(D2)>
ガラスフレーク(D2)は鱗片状のガラスであって、当業者に公知のものが使用可能であり、その平均厚さ重量平均粒径などは、成形体の用途などに応じて適宜調整可能である。なお、PAS樹脂(A)中での分散性向上のため、例えばガラスフレーク(D2)を公知のカップリング剤、バインダーなどで表面処理しても良い。かかるガラスフレーク(D2)により、成形体のウェルド部での機械的強度を大幅に向上させつつ、ソリを低減させることができる。本発明に係る樹脂組成物中のガラスフレーク(D2)の含有量は、PAS樹脂(A)の全量を100質量部としたとき、4〜70質量部であることが好ましく、6〜50質量部であることが好ましい。ガラスフレーク(D2)の含有量をかかる範囲内に設計することにより、成形流動性と成形体のソリの低減量とをバランス良く向上することができる。
なお、本発明においては、樹脂組成物中、ガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)との質量比((D1)/(D2))は8以下の範囲であり、好ましくは5以下の範囲であり、より好ましくは2以下の範囲である。(D1)/(D2)をかかる範囲内に設計することにより、成形体のウェルド部の機械的強度とソリの低減量とをバランス良く向上させることができる。(D1)/(D2)の下限は特に限定はないが、例えば1以上が例示可能である。
<その他の成分 更に、本発明に係る樹脂組成物は、前記成分に加えて、さらに用途に応じて、適宜、前記PAS樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)および必要に応じて配合するフェノール樹脂を除く他の合成樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリーレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ四弗化エチレン樹脂、ポリ二弗化エチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマーなど(以下、単に合成樹脂という)を任意成分として配合することができる。本発明において前記合成樹脂は必須成分ではないが、配合する場合、その配合の割合は本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではなく、また、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、本発明に係る樹脂組成物中に配合する合成樹脂の割合として、例えばPAS樹脂(A)100質量部に対し5〜15質量部程度が挙げられる。
また本発明に係る樹脂組成物は、その他にも着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、難燃助剤、防錆剤、およびカップリング剤等の公知慣用の添加剤を必要に応じ、任意成分として配合してもよい。これらの添加剤は必須成分ではないが、配合する場合、その配合の割合は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されなく、また、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、PAS樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.01〜1,000質量部の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いればよい。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明に係る樹脂組成物の製造方法は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、ゼオライト(C)、ガラス繊維(D1)およびガラスフレーク(D2)を必須成分とし、その他の任意成分を必要に応じて配合し、PAS樹脂の融点以上で溶融混練する。
本発明に係る樹脂組成物の好ましい製造方法は、前記必須成分と前記任意成分とを、粉末、ペレット、細片など様々な形態でリボンブレンター、ヘンシェルミキサー、Vブレンダーなどに投入してドライブレンドした後、バンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸または2軸の押出機およびニーダーなどの公知の溶融混練機に投入し、樹脂温度がPAS樹脂の融点以上となる温度範囲、好ましくは融点+10℃以上となる温度範囲、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃となる温度範囲、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃となる温度範囲で溶融混練する工程を経て製造することができる。溶融混練機への各成分の添加、混合は同時に行ってもよいし、分割して行っても良い。
前記溶融混練機としては分散性や生産性の観点から二軸混練押出機が好ましく、例えば、樹脂成分の吐出量5〜500(kg/hr)の範囲と、スクリュー回転数50〜500(rpm)の範囲とを適宜調整しながら溶融混練することが好ましく、それらの比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜5(kg/hr/rpm)の範囲となる条件下に溶融混練することがさらに好ましい。また、前記成分のうち、充填剤や添加剤を添加する場合は、前記二軸混練押出機のサイドフィーダーから該押出機内に投入することが分散性の観点から好ましい。かかるサイドフィーダーの位置は、前記二軸混練押出機のスクリュー全長に対する、該押出機樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、0.1〜0.9の範囲であることが好ましい。中でも0.3〜0.7の範囲であることが特に好ましい。
このように溶融混練して得られる本発明に係る樹脂組成物は、前記必須成分と、必要に応じて加える任意成分およびそれらの由来成分を含む溶融混合物であり、該溶融混練後に、公知の方法でペレット、チップ、顆粒、粉末等の形態に加工してから、必要に応じて100〜150℃の温度で予備乾燥を施して、各種成形に供することが好ましい。
前記製造方法により製造される本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、PAS樹脂(A)をマトリックスとし、オレフィン系重合体(B)、ガラス繊維(D1)およびガラスフレーク(D2)が分散したモルフォロジーを形成する。このため、樹脂組成物の成形流動性と成形体の冷熱衝撃性に優れる。さらに、ゼオライト(C)が存在することにより、PAS樹脂(A)が結晶化する際の結晶化挙動を最適化することが可能となり、その結果、成形体のウェルド部の機械的強度が大きく向上する。
(成形体の製造方法)
本発明に係る成形体は、例えば前記樹脂組成物を溶融成形することにより得られる。溶融成形は、公知の方法で良く、例えば、射出成形、圧縮成形、コンポジット、シート、パイプなどの押出成形、引抜成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形方法が適用可能であるが、特に射出成形が適している。射出成形にて成形する場合、各種成形条件は特に限定されず、通常一般的な方法にて成形することができる。例えば、射出成形機内で、樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以上の温度範囲、好ましくは該融点+10℃以上の温度範囲、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃の温度範囲、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃の温度範囲で前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融する工程を経た後、樹脂吐出口よりを金型内に注入して成形すればよい。その際、金型温度も公知の温度範囲、例えば、室温(23℃)〜300℃の範囲が好ましく、さらに40〜200℃の範囲がより好ましく、120〜180℃の温度範囲に設定することが最も好ましい。
(成形体の用途)
本発明に係る成形体の主な用途例としては、各種家電製品、携帯電話、及びPC(Personal Computer)等の電子機器の筐体、箱型の電気・電子部品集積モジュール用保護・支持部材・複数の個別半導体またはモジュール、センサ、LEDランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサ、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナ、スピーカ、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、端子台、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダ、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザディスク・コンパクトディスク・DVDディスク・ブルーレイディスク等の音声・映像機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライタ部品、ワードプロセッサ部品、あるいは給湯機や風呂の湯量、温度センサなどの水回り機器部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピュータ関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライタ、タイプライタなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ、ブラシホルダー、スリップリング、ICレギュレータ、ライトディヤ用ポテンシオメーターベース、リレーブロック、インヒビタースイッチ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ、排気ガスセンサ、冷却水センサ、油温センサ、ブレーキパットウェアーセンサ、スロットルポジションセンサ、クランクシャフトポジションセンサ、エアーフローメータ、ブレーキパッド摩耗センサ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダ、ウォーターポンプインペラ、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュータ、スタータースイッチ、イグニッションコイルおよびそのボビン、モーターインシュレータ、モーターロータ、モーターコア、スターターリレ、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターロータ、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ、点火装置ケース、パワーモジュール、インバータ、パワーデバイス、インテリジェントパワーモジュール、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、パワーコントロールユニット、リアクトル、コンバータ、コンデンサ、インシュレーター、モーター端子台、バッテリー、電動コンプレッサー、バッテリー電流センサ、ジャンクションブロック、DLIシステム用イグニッションコイル等を収納するケース等の自動車・車両関連部品、その他各種用途にも適用可能である。
以下に具体的な例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。また、部、%は、特に断りがない場合、質量基準とする。
(PPS樹脂の溶融粘度の測定)
下記製造例で製造したPPS樹脂を高化式フローテスター(島津製作所、CFT−500D)を用い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10(mm)/1(mm)にて、6分間保持した後に溶融粘度を測定した。
(製造例)
PPS樹脂の製造
[工程1]
圧力計、温度計、コンデンサ、デカンタ、精留塔を連結した撹拌翼付き150リットルオートクレーブにp−ジクロロベンゼン(以下、「p−DCB」と略記する。)33.075質量部(225モル部)、NMP3.420質量部(34.5モル部)、47.23質量%NaSH水溶液27.300質量部(NaSHとして230モル部)、及び49.21質量%NaOH水溶液18.533質量部(NaOHとして228モル部)を仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で173℃まで5時間掛けて昇温して、水27.300質量部を留出させた後、オートクレーブを密閉した。脱水時に共沸により留出したp−DCBはデカンタで分離して、随時オートクレーブ内に戻した。脱水終了後のオートクレーブ内は微粒子状の無水硫化ナトリウム組成物がp−DCB中に分散した状態であった。この組成物中のNMP含有量は0.079質量部(0.8モル部)であったことから、仕込んだNMPの98モル%(33.7モル部)がNMPの開環体(4−(メチルアミノ)酪酸)のナトリウム塩(以下、「SMAB」と略記する。)に加水分解されていることが示された。オートクレーブ内のSMAB量は、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.147モル部であった。仕込んだNaSHとNaOHが全量、無水Na2Sに変わる場合の理論脱水量は27.921質量部であることから、オートクレーブ内の残水量0.878質量部(48.8モル部)の内、0.609質量部(33.8モル部)はNMPとNaOHとの加水分解反応に消費されて、水としてオートクレーブ内に存在せず、残りの0.269質量部(14.9モル部)は水、あるいは結晶水の形でオートクレーブ内に残留していることを示していた。オートクレーブ内の水分量はオートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.065モルであった。
[工程2]
前記脱水工程終了後に、内温を160℃に冷却し、NMP46.343質量部(467.5モル部)を仕込み、185℃まで昇温した。オートクレーブ内の水分量は、工程2で仕込んだNMP1モル当たり0.025モルであった。ゲージ圧が0.00MPaに到達した時点で、精留塔を連結したバルブを開放し、内温200℃まで1時間掛けて昇温した。この際、精留塔出口温度が110℃以下になる様に冷却とバルブ開度で制御した。留出したp−DCBと水の混合蒸気はコンデンサーで凝縮し、デカンタで分離して、p−DCBはオートクレーブへ戻した。留出水量は0.228質量部(12.7モル部)であった。
[工程3]
工程3開始時のオートクレーブ内水分量は0.041質量部(2.3モル部)で、工程2で仕込んだNMP1モル当たり0.005モルで、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.010モルであった。オートクレーブ内のSMAB量は工程1と同じく、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.147モルであった。次いで、内温200℃から230℃まで3時間掛けて昇温し、230℃で1時間撹拌した後、250℃まで昇温し、1時間撹拌した。内温200℃時点のゲージ圧は0.03MPaで、最終ゲージ圧は0.40MPaであった。冷却後、得られたスラリーの内、0.650質量部を3質量部(3リットル部)の水に注いで80℃で1時間撹拌した後、濾過した。このケーキを再び3質量部(3リットル部)の温水で1時間撹拌し、洗浄した後、濾過した。この操作を4回繰り返した。このケーキを再び3質量部(3リットル部)の温水と、酢酸を加え、pH4.0に調整した後、1時間撹拌し、洗浄した後、濾過した。このケーキを再び3質量部(3リットル部)の温水で1時間撹拌し、洗浄した後、濾過した。この操作を2回繰り返した。熱風乾燥機を用いて120℃で一晩乾燥して白色の粉末状のPPS樹脂(A)を得た。このポリマーの300℃における溶融粘度は56Pa・sであった。非ニュートン指数は1.07であった。
(使用原料)
以下に、樹脂組成物の原料となる各成分を示す。
・PAS樹脂(A);前記製造例で製造したPPS樹脂を使用
・オレフィン系重合体(B)
オレフィン系重合体(B−1)(エチレン−マレイン酸無水物−アクリル酸エチル共重合体);商品名「LOTADER 4700」、アルケマ株式会社製
オレフィン系重合体(B−2)(エチレン−マレイン酸無水物−アクリル酸ブチル共重合体);商品名「LOTADER 4210」、アルケマ株式会社製
オレフィン系重合体(B−3)(エチレン−マレイン酸無水物−アクリル酸メチル共重合体);商品名「LOTADER 3430」、アルケマ株式会社製
・ケイ酸塩鉱物
ゼオライト(C);商品名「A−4」、東ソー株式会社製
タルク;商品名「HF5000PJ」、松村産業株式会社製
マイカ;商品名「A−21S」、株式会社ヤマグチマイカ社製
・ガラス繊維(D1);繊維長3mm、平均直径10μm、商品名「T−747H」、日本電気硝子株式会社製
・ガラスフレーク(D2)
ガラスフレーク(D2−1);平均厚さ5μm、重量平均粒径160μm、商品名「REFG−315」、日本板硝子社製
ガラスフレーク(D2−1);平均厚さ5μm、重量平均粒径600μm、商品名「REFG−112」、日本板硝子社製
(樹脂組成物の製造)
表1および表2に記載する組成成分および配合量(全て質量部)に従い、各材料をタンブラーで均一に混合した。その後、ベント付き2軸押出機(日本製鋼所、TEX30α)に前記配合材料を投入し、樹脂成分吐出量30kg/hr、スクリュー回転数220rpm、設定樹脂温度を320℃に設定して溶融混練し、実施例1〜9および比較例1〜7に係る樹脂組成物のペレットを得た。
(ウェルド強度の評価方法)
(成形体の製造)
実施例1〜9および比較例1〜7に係る樹脂組成物のペレットを使用し、シリンダー温度310℃に設定した住友重機製射出成形機(SE75D−HP)に供給し、金型温度140℃に温調した成形品中央部にweld部を有するISOタイプA1ダンベル片成形用金型を用いて射出成形を行い、成形品中央部にweld部を有するISOタイプA1ダンベル片を得た。
(成形体のウェルド強度の測定)
得られた試験片を得て、歪み速度5mm/min、支点間距離115mm、23℃下でインストロン社製引張試験機を用い引張破断強さを測定した。
(ソリ量の評価方法)
(成形体の製造)
実施例1〜9および比較例1〜7に係る樹脂組成物のペレットを使用し、シリンダー温度310℃に設定した住友重機製射出成形機(SE75D−HP)に供給し、金型温度140℃に温調した100×100×1mm平板成形用金型を用いて射出成形を行い、100×100×1mm平板状成形品を得た。
(ソリ量の測定)
得られた試験片を水平台の上に乗せ、最も水平台から浮き上がり量の大きい角部の浮き上がり量を測定し、ソリ量とした。
Figure 2020063339
Figure 2020063339
表1および表2の結果から、実施例1〜9に係る樹脂組成物の成形体では、比較例1の成形体に比して、ウェルド部の機械的強度が著しく向上していることがわかる。一方、比較例2に係る樹脂組成物の成形体では、ゼオライト(C)の配合量が多いため、PPS樹脂の結晶化速度を最適化することができず、その結果、成形体のウェルド部の機械的強度が殆ど向上しないことがわかる。また、ゼオライト(C)と同じケイ酸塩鉱物であるタルク、マイカを配合した、比較例3、4に係る樹脂組成物の成形体では、タルク、マイカがゼオライト(C)のようにPPS樹脂の結晶化速度を最適化できないことに起因して、成形体のウェルド強度が悪化することがわかる。
なお、ゼオライト(C)を配合せず、ガラス繊維(D1)とガラスフレーク(D2)との質量比((D1)/(D2))のみを変更した、比較例5、6に係る樹脂組成物の成形体でも、ウェルド部の機械的強度が殆ど向上しないことがわかる。このことからも、PPS樹脂を含む樹脂組成物中のゼオライト(C)の配合量を最適化することが、成形体のウェルド強度の向上に著しく寄与していることがわかる。

Claims (4)

  1. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、オレフィン系重合体(B)、ゼオライト(C)、ガラス繊維(D1)およびガラスフレーク(D2)を含有し、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の全量を100質量部としたとき、前記ゼオライト(C)の含有量が20質量部以下であり、前記ガラス繊維(D1)と前記ガラスフレーク(D2)との質量比((D1)/(D2))が、8以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記ゼオライト(C)の含有量が10質量部以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記オレフィン系樹脂(B)が、アルケン、アルキルアクリレート、およびグリシジルアクリレートの共重合体を含むものである請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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