JP2020059956A - キャストコート紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示は、顔料塗工層の塗工量が比較的少なくても高い光沢性と高い平滑性と高い撥水性を有するキャストコート紙の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本開示に係るキャストコート紙の製造方法は、パルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、顔料と接着剤とを含有する顔料塗工層用塗工液を塗工し、続いて乾燥して顔料塗工層を設ける工程と、前記顔料塗工層の表面に数平均繊維径が1nm以上70nm未満であるナノセルロースを含有するナノセルロース塗工層用塗工液を塗工し、続いて乾燥してナノセルロース塗工層を設ける工程と、前記ナノセルロース塗工層の表面に、ジルコニウムの塩化物を含む再湿潤液を塗布した後、前記ナノセルロース塗工層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接してキャスト処理を行う工程と、を有する。【選択図】なし

Description

本開示は、キャストコート紙の製造方法に関する。更に詳しくは、リウェット法によるキャストコート紙の製造方法に関し、高い光沢性と、高い平滑性と、高い撥水性を有するキャストコート紙の製造方法に関する。
キャストコート紙は、その表面の高光沢性、高平滑性の特性から、ポスター、カタログ、パンフレット、書籍の表紙、食品などのラベル用途、インクジェット方式による印刷用紙用途、マーキングシート、剥離紙、または、工程紙原紙など産業用途など、様々な分野で使用されている。また撥水性を付与することによりパッケージ用途など更なる展開が期待される。
キャストコート紙の製造方法としては、支持体の表面に顔料及び接着剤を主成分とする水系の塗工液を塗工して塗工層を形成し、該塗工層の表面が湿潤状態である間に鏡面光沢を有するキャストドラムに圧接し、乾燥することより製造されている。
具体的にはキャストコート層を得る光沢仕上げを行う処理方法は、ウェット法(直接法)、ゲル化法(凝固法)、リウェット法(再湿潤法)に大別される。すなわち、顔料及び接着剤を主成分とするキャスト塗工液を支持体に塗工した後、塗工層が湿潤状態にある間に鏡面仕上げした加熱ドラム(キャストドラム)の表面に圧着(圧接)、乾燥させて光沢仕上げするウェット法、湿潤状態のキャスト塗工層をゲル状態にして加熱ドラム面に圧接、光沢仕上げするゲル化法、さらに、湿潤状態のキャスト塗工層を一旦乾燥した後、再湿潤液によって可塑化させた後、加熱ドラム面に圧接、乾燥させて仕上げるリウェット法、などが一般に知られている。
一般的なキャストコート紙は、高い光沢性を発現させるため、塗工層に顔料と接着剤とを含有している。顔料成分は、カオリンなど平板顔料が主顔料として多く使用されており、接着剤成分は、キャストコート層をゲル化又は可塑状態にするため、カゼイン、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエン共重合ラテックスなどが主な接着剤として使用されている。均一で高い光沢性を有するキャストコート層を形成するには塗工層の塗工量が比較的多く必要になる。塗工量が少なすぎると、支持体の凹凸の影響を受けて均一な塗工面や高い光沢性を得られず、更には光沢ムラが発生する問題がある。また、上述のとおりキャストコート層はゲル化させるため、カゼインやポリビニルアルコールなど水溶性接着剤を使用することと、インクジェット記録用キャストコートの顔料成分としてシリカを多く使用することとから、耐水性に乏しい問題がある。
このようなキャストコート紙として、キャストコート層の塗工量を8〜30g/mとするキャストコート紙が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。また、セルロースナノファイバーとコロイダルシリカを含む顔料とバインダーとを含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用キャストコート紙が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。また、耐水性を有するキャスト塗被層中にノボラック型エポキシ樹脂が含有されているキャスト塗被紙が開示されている(例えば、特許文献3を参照。)。
特開2012−197542号公報 特開2011−73368号公報 特開2010−70888号公報
しかしながら、特許文献1のキャストコート紙では、塗工層の塗工量が少なくなるほどその光沢度は低くなる傾向となり、塗工量が9g/m程度では高い光沢度を得られていない。また、特許文献2に開示されたインクジェット記録用キャストコート紙は、セルロースナノファイバーをインク受容層内に含有させるものであるが、高い光沢度を得るために、紙支持体の凹凸の影響を軽減できるようアンダー層として顔料塗工層を設けている。そして、このアンダー層の上にインク受容層を設けていることから、実質的に高い光沢度を高くするためには塗工量を多くする必要があった。更には、セルロースナノファイバーの添加量が多い場合には、塗工ムラが著しくなり、光沢性やインクジェット適性が低下する問題があった。特許文献3に開示されたキャスト塗被紙は塗工層が硬くなり、耐水性が向上しキャスト面同士の接着は改善されるが、キャスト表面は水に濡れ易い問題がある。また、キャストコート紙で耐水性を付与するには原紙にサイズ剤を添加するなどの手法はあるが、光沢面に撥水性を付与することは出来なかった。
そこで、本開示の目的は、顔料塗工層の塗工量が比較的少なくても高い光沢性と高い平滑性と高い撥水性を有するキャストコート紙の製造方法を提供することである。
本開示の他の目的並びに作用効果については、本明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法は、パルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、顔料と接着剤とを含有する顔料塗工層用塗工液を塗工し、続いて乾燥して顔料塗工層を設ける工程と、前記顔料塗工層の表面に数平均繊維径が1nm以上70nm未満であるナノセルロースを含有するナノセルロース塗工層用塗工液を塗工し、続いて乾燥してナノセルロース塗工層を設ける工程と、前記ナノセルロース塗工層の表面に、ジルコニウムの塩化物を含む再湿潤液を塗布した後、前記ナノセルロース塗工層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接してキャスト処理を行う工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法では、前記顔料塗工層の塗工量が、支持体の片面当たり固形分換算で5〜20g/mであることが好ましい。このような構成によれば、このような少ない顔料塗工層の塗工量であっても光沢度及び平滑度を高くすることができる。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法では、前記ナノセルロース塗工層の塗工量が、支持体の片面当たり固形分換算で0.29〜7.0g/mであることが好ましい。このような構成によれば、光沢ムラの発生が少なく、平滑性を維持したまま、好適に撥水性を発現することができる。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法では、前記キャスト処理を行った面のJIS P 8155:2010「紙及び板紙−平滑度試験方法−王研法に規定される王研式平滑度」に規定される王研式平滑度を11000秒以上とすることが好ましい。このような構成であれば、高平滑性を有するキャストコート紙とできるため、オフセット印刷、樹脂凸版印刷など印刷又はポリエチレンなど押出しラミネートなど後加工を好適に行うことができる。また、電子部品やパッケージ製品などへの様々な用途への展開も期待できる。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法では、前記キャスト処理を行った面のJIS Z 8741:1997「鏡面光沢度−測定方法」に規定される20度鏡面光沢度を40%以上とすることが好ましい。このような構成によれば、より写像性の高いキャストコート紙とすることができる。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法では、前記キャスト処理を行った面のJAPAN TAPPI No68:2000「紙及び板紙−撥水性試験方法」に規定される撥水度をR4以上とすることが好ましい。このような構成であれば、結露などの影響を受けにくくなるため屋外での使用が可能となる。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法では、前記ナノセルロース塗工層用塗工液に、ブロックイソシアネート化合物及び/又はオキサゾリン基を官能基として有する化合物を含有することが好ましい。このような構成により、該塗工層の耐水性との相乗効果により高い撥水性を保持することができ、顔料塗工層との密着性も向上する。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法では、前記ナノセルロース塗工層は、顔料及び接着剤を含有していないことが好ましい。このような構成によれば、ナノセルロースが配向し易いため、好適に光沢性と平滑性とを得られることができる。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法では、前記ナノセルロースは、TEMPO酸化法セルロースナノファイバー、水中対向衝突方式セルロースナノファイバー及びセルロースナノクリスタルのうちの少なくともいずれか一種であることが好ましい。このような構成によれば、紙欠点の少ないキャストコート面を得ることができるため、より高い光沢性と平滑性と高い撥水性とを有するキャストコート紙を製造することができる。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法では、前記ナノセルロース塗工層の塗工量が、支持体の片面当たり固形分換算で0.29〜3.0g/mであり、かつ前記再湿潤液の湿潤塗工量が、10〜15g/mであることが好ましい。キャスト処理時にピットと呼ばれる蒸気破裂による欠点がより発生し難くなり、より均一なキャストコート面を形成できる。
本発明に係るキャストコート紙の製造方法では、前記再湿潤液はpH3.5以下であることが好ましい。キャスト処理時にナノセルロース塗工層が凝集してゲル化しやすくなるため、より高い光沢性と高い平滑性と高い撥水性とを有するキャストコート紙を製造することができる。
本開示によれば、顔料塗工層の塗工量が比較的少なくても高い光沢性、高い平滑性及び高い撥水性を有するキャストコート紙を製造することが可能となる。更には、得られたキャストコート紙は高い光沢度と高い平滑度と高い撥水度を有するものとなる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
(支持体)
本実施形態において用いる支持体はパルプを主成分とする。ここで、パルプを主成分とは、支持体の繊維のうちパルプが50質量%以上であることをいう。好ましくは、70質量%以上である。ここで使用するパルプとしては、例えば、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)などの化学パルプ、TMP(サーモメカニカルパルプ)、GP(砕木パルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの木材パルプ及びコットン、ケナフ、竹、バガスなどの非木材パルプである。これらは、単独で使用するか、又は任意の割合で混合して使用することができる。また、本発明の目的とする効果を損なわない範囲において、合成繊維を更に配合することができる。環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプを含有することが好ましい。
白色度や不透明度を向上させるために、支持体には填料を配合することができる。使用する填料としては、例えば、タルク、カオリン、焼成クレー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレーである。紙中の填料含有量は、パルプの乾燥質量100質量部に対して、1〜25質量部であることが好ましい。より好ましくは2〜20質量部である。さらに好ましくは、3〜18質量部である。1質量部未満では白色度向上、不透明度向上などの効果が得られない場合がある。25質量部を超えると支持体自体の強度が不足し印刷・加工に耐えられず実質使用することが出来ない場合がある。
支持体には、パルプ、填料以外に、内添サイズ剤、湿潤紙力増強剤などの内添紙力増強剤、ピッチコントロール剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、蛍光消色剤、などの各種助剤を、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で適宜配合することが可能である。内添サイズ剤は、各種公知のものが使用でき、特に限定されず、例えば、AKD、ASA、強化ロジンサイズ剤、弱酸性ロジンサイズ剤、酸性ロジンサイズ剤、である。前記内添紙力増強剤としては、従来公知の紙力増強剤を使用することが可能であり、例えば、澱粉系紙力増強剤、ポリビニルアルコール系紙力増強剤、ポリアクリルアミド系紙力増強剤である。
支持体を抄紙する方法は、特に限定されるものではなく、ツインワイヤー抄紙機、長網抄紙機、円網多層抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機などの各種装置で製造できる。
支持体の表面には、ポリビニルアルコール、澱粉、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子などが塗布されていてもよい。支持体の坪量は特に限定されないが通常40〜500g/mである。
(顔料塗工層)
本実施形態においては、支持体の少なくとも一方の面に顔料と接着剤とを含有する顔料塗工層用塗工液を塗工する。顔料塗工層用塗工液を塗工した後、乾燥し、顔料塗工層を設ける。ここで用いる顔料としては、特に限定するものではなく、公知の顔料を1種以上混合することが可能である。例えば、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料である。また、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料を必要に応じて併用することも可能である。本実施形態においては、顔料塗工層を高平滑とできるほうが有利であるため、これらの顔料の中でもタルクやカオリンのような平板顔料を好適に使用することができる。カオリンの中でもデラミネーテッドカオリン(デラミクレー)が特に好ましい。
顔料塗工層用塗工液に含有させる接着剤としては、特に限定するものではなく、例えば、ポリビニルアルコール(カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなども含む。)、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類、コロイダルシリカとアクリル樹脂の複合体樹脂、コロイダルシリカとスチレン−アクリル樹脂の複合体樹脂、などを単独又は併用して用いることができる。接着剤の使用量は、顔料100質量部に対し2〜200質量部の範囲で添加するのが好ましい。より好ましくは、3〜100質量部の範囲で添加され、更に好ましくは4〜80質量部、例えば、5〜10質量部である。2質量部未満であると、顔料塗工層の表面強度が低下することがある。200質量部を超えると、顔料塗工層の平滑性を損ね、結果的にキャストコート紙の光沢性を損ねる場合がある。
本実施形態においては、顔料塗工層用の塗工液には、本発明の目的とする効果を損ねない範囲で、分散剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、耐水化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種助剤を適宜選定して添加することができる。
本実施形態においては、顔料塗工層用塗工液を支持体に塗工するが、その塗工方法としては、特に限定するものではなく、カーテンコーター、ダイコーター、エアナイフコーター、フレキシブル、ロールアプリケーション、ファウンテンアプリケーション、ショートドゥエルなどのベベルタイプやベントタイプのブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ロッドブレードコーター、チャンプレックスコーター、ゲートロールコーター、スプレーコーターなどの公知の塗工機のいずれのものを用いてもよい。
顔料塗工層の乾燥方法としては、熱風乾燥法、赤外乾燥法、ドラム乾燥法等の一般的な乾燥方法の中から適宜選択することができるが、それらの中でもエアドライヤーなどを用いた熱風乾燥法が好ましい。塗工層の表層から熱風乾燥することで均一な顔料塗工層を形成することが容易となる。
顔料塗工層の塗工量は特に限定するものではないが、支持体の片面当たり固形分換算で5〜20g/mとすることが好ましい。より好ましくは6〜10g/mであり、更に好ましくは6〜8g/mである。本実施形態によれば、顔料塗工層の塗工量が比較的少なくとも高い光沢度を得ることができるが、顔料塗工層の塗工量が5g/mを下回ると、支持体の凹凸を十分に被覆することができず、顔料塗工層表面の平滑性を満足できない場合があり、結果としてキャストコート紙の光沢性を満足できない場合がある。また、顔料塗工層の被覆が十分ではないため、ナノセルロース塗工層用塗工液の浸透が多くなり、ナノセルロース塗工層の塗工量が必要以上の量となる場合がある。顔料塗工層の塗工量が20g/mを超えると顔料塗工層の強度を損ねる場合がある。また、顔料塗工層の被覆が厚いため、ナノセルロース塗工層用塗工液の浸透が乏しくなり、均一なナノセルロース塗工層が得られない場合がある。顔料塗工層はアンダー層を有さず、1層であることが好ましい。
本実施形態においては、支持体に顔料塗工層を設けた後、マシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー装置によりカレンダー処理を行ってもよい。本実施形態では、顔料塗工層表面の平滑度が高いほどキャストコート紙の光沢性の向上に有利となるので、好ましくは、顔料塗工層表面の王研式平滑度を200〜2000秒の範囲、好ましくは400〜1000秒の範囲となるようにキャレンダー処理することが好ましい。
(ナノセルロース層)
本実施形態においては、前記顔料塗工層の表面に数平均繊維径が1〜50nmであるナノセルロースを含有するナノセルロース塗工層用塗工液を塗工し、乾燥してナノセルロース塗工層を設ける。ナノセルロース塗工層用塗工液は、水にセルロースナノファイバー及び/又はセルロースナノクリスタルを分散させたものである。ナノセルロース塗工層用塗工液中のナノセルロースの固形分濃度は好ましくは80質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上である。セルロースナノファイバー塗工層用塗工液中には、本発明の目的とする効果を損ねない範囲で、サイズ剤、撥水剤、界面活性剤、架橋剤などの各種助剤を使用することができるが、顔料塗工層用塗工液に添加するような、顔料及び接着剤は含有させないことが好ましい。顔料及び接着剤を含有させると、ナノセルロースが配向し難くなり、光沢性と平滑性とを得ることが困難になる場合がある。
本実施形態においては、ナノセルロース塗工層用塗工液にナノセルロースを含有させる。ここで、ナノセルロースとはセルロース系原料を化学的及び/又は物理的に解繊することによって得られるセルロースミクロフィブリルであり、セルロースナノファイバーやセルロースナノクリスタルなどと呼ばれるものである。ここで、本実施形態では、セルロースの官能基がそのままであるセルロース系原料を使用することが好ましいが、場合によっては、テトラメチルピペリジニルオキシラジカル(以下、TEMPOという。)や酸無水物、酸ハロゲン化物でセルロース系原料の表面を化学修飾して分散性を高めたセルロース系原料を使用してもよい。
本実施形態においては、ナノセルロース塗工層用塗工液に含有させるナノセルロースの数平均繊維径は、1nm以上70nm未満とする。1〜65nmが好ましく、1〜60nmがより好ましく、1〜50nmがより好ましく、2〜30nmがより好ましく、3〜20nmが更に好ましく、3〜9nmが特に好ましい。この範囲内であれば、繊維幅の分布が比較的均一であると考えられ、ナノセルロース同士が密に絡み易くなり、空隙の少ないナノセルロース塗工層を形成することができる。またナノセルロース塗工層用塗工液も、安定した保水性が期待できるため、塗工性を満足できる。数平均繊維径が50nmを上回ると繊維幅の大きいセルロース繊維が増えることより、繊維の分布が不均一となりやすく、ナノセルロース塗工層の表面がゲル化し難くなるなど均一な塗工層が得られにくい。一方、数平均繊維径が1nmを下回ると塗工液の粘度が著しく増大し、塗工液のナノセルロース濃度を大きく低下させなければ塗工できず、また、塗工後の乾燥負荷が高くなり支持体に皺や波打ちが発生し易くなり、生産性も低下することとなる。
ここで、数平均繊維径は、次に従って算出する。カーボン膜被覆グリッド上にキャストしたナノセルロースを透過型電子顕微鏡(TEM、Transmission Electron Microscope)を用いて電子顕微鏡画像による観察を行う。得られた観察画像に対し、1枚の画像あたり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交差する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このとき、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍又は50000倍のいずれかの倍率で観察を行う。なお、試料又は倍率は、20本以上の繊維が軸と交差する条件とする。こうして最低3枚の重なっていない表面部分の画像を電子顕微鏡で撮影し、各々二つの軸に交差する繊維の繊維径の値を読み取る。したがって、最低20本×2×3=120個の繊維情報が得られる。こうして得られた繊維径のデータから数平均繊維径を算出する。なお、枝分かれしている繊維については、枝分かれしている部分の長さが50nm以上であれば1本の繊維として繊維径の算出に組み込む。また、数平均繊維径は、次に従って算出してもよい。ナノセルロース水分散液を凍結乾燥させ、走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて電子顕微鏡画像による観察を行う。得られた観察画像に対し、1枚の画像あたり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交差する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このとき、構成する繊維の大きさに応じて5000〜50000倍のいずれかの倍率で観察を行う。複数の重なっていない表面部分の画像を電子顕微鏡で撮影し、各々二つの軸に交差する繊維の繊維径の値を読み取る。少なくとも120本の繊維径データから数平均繊維径を算出する。なお、枝分かれしている繊維については、枝分かれしている部分の長さが50nm以上であれば1本の繊維として繊維径の算出に組み込む。尚、試料は歪みの無い観察画像を得るため、予め導電性コーティングを行うが、コーティング膜厚による影響も考慮する。例えば、イオンスパッター(E−1045、日立ハイテクノロジー社製)を用いる場合、放電電流15mA、試料−ターゲット間距離30mm、真空度6Pa、コーティング時間2分とすると、コーティング膜厚は12nmである。ただし、繊維径を測定する際は、コーティング膜の堆積方向が想定される方向と垂直になるため、コーティング膜厚は想定の半分とする。つまり、上記条件でコーティングした場合、SEMから求めた繊維径から両端のコーティング膜厚12nm(=6nm+6nm)分を除く。
また、ナノセルロースの数平均繊維長は、特に限定するものではないが、0.01〜20μmであることが好ましい。より好ましくは、0.05〜10μmである。更に好ましくは0.08〜7.0μmである。特に好ましくは0.7〜1.0μmである。数平均繊維長が0.01μm下回ると、ナノ繊維が粒子に近くなり、被膜は形成するも塗工層強度が弱くなる場合がある。数平均繊維長が20μmを上回ると、セルロースナノファイバー同士の絡み合いが多くなり、繊維同士が凝集し易くなるため、均一な被膜とならない場合がある。なお、数平均繊維長は、ナノセルロースを走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて電子顕微鏡画像による観察から算出する。得られた観察画像に対し、1枚の画像あたり10本ずつ独立した繊維を無作為に選び、その繊維長を目視で読み取っていく。このとき、構成する繊維の長さに応じて1000〜30000倍のいずれかの倍率で行う。なお、試料又は倍率は、繊維の始点と終点とが同じ画像内に収まっているものを対象とする。こうして最低12枚の重なっていない表面部分の画像をSEMで撮影し、繊維長を読み取る。したがって、最低10本×12枚=120本の繊維情報が得られる。こうして得られた繊維長のデータから数平均繊維長を算出できる。なお、枝分かれしている繊維については、その繊維の最も長い部分の長さを繊維長とする。
本実施形態において、ナノセルロースは、水中に分散したスラリーの濃度2.0質量%のB型粘度(60rpm、20℃)での粘度が5000mPa・s以上であることが好ましい。より好ましくは6000〜20000mPa・sである。このようなナノセルロースを用いることで、塗工が容易となり、空隙の少ないナノセルロース塗工層を形成することができる。尚、粘度はブルックフィールド粘度計(TOKIMEC社製ブルックフィールド粘度計のBM型)で測定することができる。
本実施形態では、ナノセルロースとして、硫酸、塩酸、臭化水素酸等による酸加水分解等の化学的手法で調製したものであるセルロースナノクリスタルを用いることができる。中でも硫酸による加水分解を行って調製したセルロースナノクリスタルが好ましい。硫酸は最も一般的な強酸でありまた不揮発性であるため取り扱いやすい。更には硫酸エステルとして付加されるためアニオン性がより強くなり凝集しにくくなる。本実施形態では、セルロースナノクリスタルは、アニオン性のセルロースナノクリスタルが好ましく、より好ましくは硫酸エステル化セルロースナノクリスタルである。必要に応じて、前述の解繊方法を組み合わせてセルロースナノクリスタルを調製してもよい。セルロースナノクリスタルには、セルロース系原料に対して酸加水分解等の化学的処理を施し、化学的処理済みのセルロース系原料を化学的及び/又は物理的に解繊した結晶の形態、又はセルロース系原料を化学的及び/又は物理的に解繊してミクロフィブリル化し、ミクロフィブリルに対して酸加水分解等の化学的処理を施した結晶の形態がある。セルロースナノクリスタルの数平均繊維径は1nm以上70nm未満、数平均繊維長は25〜3000nm程度である。本実施形態におけるナノセルロースの平均値(数平均繊維径、数平均繊維長)は、上述のとおり電子顕微鏡の視野内のナノセルロースを測定したときの平均値である。
本実施形態では、ナノセルロースとして用いられるセルロースナノファイバーには、セルロース分子の官能基が化学的に変換されていない未修飾セルロースナノファイバー、及びセルロース分子の官能基が化学的に変換されている修飾セルロースナノファイバーがある。未修飾セルロースナノファイバーとしては、例えば、水中対向衝突方式セルロースナノファイバー、ホモジナイズドセルロースナノファイバー及びグラインダー方式セルロースナノファイバー等が挙げられる。修飾セルロースナノファイバーとしては、例えば、TEMPO酸化法セルロースナノファイバー及びリン酸エステル化法セルロースナノファイバー等が挙げられる。本実施形態では、セルロースナノファイバーは、表面に水酸基を多く有しているセルロースナノファイバーが好ましく、例えば、水中対向衝突方式セルロースナノファイバー及びTEMPO酸化法セルロースナノファイバーである。特にカルボキシル基を多く含有しているTEMPO酸化法セルロースナノファイバーが好適に塗工層を形成することができる。
本実施形態に係るキャストコート紙の製造方法では、ナノセルロースは、TEMPO酸化法セルロースナノファイバー、水中対向衝突方式セルロースナノファイバー及びセルロースナノクリスタルのうちの少なくともいずれか一種であることが好ましい。すなわち、好ましいナノセルロースの形態は、TEMPO酸化法セルロースナノファイバー、水中対向衝突方式セルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタル、TEMPO酸化法セルロースナノファイバーと水中対向衝突方式セルロースナノファイバーとの混合物、TEMPO酸化法セルロースナノファイバーとセルロースナノクリスタルとの混合物、水中対向衝突方式セルロースナノファイバーとセルロースナノクリスタルとの混合物、及びTEMPO酸化法セルロースナノファイバーと水中対向衝突方式セルロースナノファイバーとセルロースナノクリスタルとの混合物のいずれか一つになり得る。これらの形態のような構成によれば、紙欠点の少ないキャストコート面を得ることができるため、より高い光沢性と平滑性と高い撥水性とを有するキャストコート紙を製造することができる。
ナノセルロース塗工層用塗工液を塗工する塗工装置としては、特に限定するものではなく、カーテンコーター、ダイコーター、エアナイフコーター、フレキシブル、ロールアプリケーション、ファウンテンアプリケーション、ショートドゥエルなどのベベルタイプやベントタイプのブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ロッドブレードコーター、チャンプレックスコーター、ゲートロールコーター、スプレーコーターなどの公知の塗工装置が適宜使用できる。それらの中でもエアナイフコーターが好ましい。
ナノセルロース塗工層の乾燥方法としては、熱風乾燥法、赤外乾燥法、ドラム乾燥法等の一般的な乾燥方法の中から適宜選択することができるが、それらの中でもエアドライヤーなどを用いた熱風乾燥法が好ましい。塗工層の表層から熱風乾燥することで均一な塗工層を形成することが容易となる。
ナノセルロース塗工層の塗工量は、特に限定するものではないが、支持体の片面あたり固形分換算で0.29〜7.0g/mの範囲が好ましく、0.3〜5.0g/mの範囲がより好ましく、0.6〜3.0g/mの範囲がさらに好ましい。塗工量が0.29g/mを下回ると、均一なキャストコート面が形成されにくく、光沢ムラが発生する場合があり、安定した撥水性が得られない場合がある。一方、7.0g/mを上回るとキャスト処理前の塗工装置の乾燥負荷が高くなることと、ピットと呼ばれる蒸気破裂による欠点が微細に発生し、光沢ムラの発生や、平滑性を損なう場合がある。また、該欠点から撥水性の効果が乏しくなる場合がある。
本実施形態では、ナノセルロース塗工層用塗工液に、ブロックイソシアネート化合物や、オキサゾリン基を官能基として有する化合物を含有させることが好ましい。これらはナノセルロースとの関係において、架橋剤として機能する。ブロックイソシアネート化合物や、オキサゾリン基を官能基として有する化合物(以下、架橋剤ともいう。)を含有させることにより、撥水性が向上し、またナノセルロース塗工層と顔料塗工層との接着性も向上し耐久性が増す。
(キャスト処理)
本実施形態では、支持体に塗工層を設け、次いでナノセルロース塗工層を設けた後、リウェット法によるキャスト処理を行う。まず、乾燥後のナノセルロース塗工層の表面に再湿潤液(リウェット液)を塗布し、ナノセルロース塗工層を膨潤させる。次いで、ナノセルロース塗工層が湿潤状態にあるうちに、加熱された鏡面ドラム(キャストドラム)に圧接する。こうして得られたキャストコート紙のキャスト処理面は、高い光沢度と高い平滑度と高い撥水性を有する。
再湿潤液とは、一旦乾燥したナノセルロース塗工層を膨潤させ、加熱された鏡面ドラムに塗工層を適度に密着させる作用のある再湿潤用の処理液(水溶液)のことをいう。この再湿潤液はジルコニウムの塩化物を含有する。再湿潤液中にはジルコニウムの塩化物を0.5〜7.0質量%含むことが好ましく、1.0〜5.0質量%が好ましい。0.5質量%未満であれば塗工層の膨潤が乏しく、塗工表面の架橋が進まず撥水性が発現しない場合がある。一方7.0質量%を超える塗工層の膨潤と架橋が必要以上に進み、鏡面ドラムへの接着や不均一な面を形成するため、安定した品質が得られない場合がある。また、蟻酸や塩酸などの酸、ヘキサメタリン酸塩などのリン酸塩、クエン酸塩などのヒドロキシ酸塩、硫酸塩、硫酸亜鉛、ジシアンジアミド、尿素なども合わせて含有してもよく、これらの中でも蟻酸や塩酸などの酸が好ましい。また、再湿潤液には、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で離型剤、フィックス剤、架橋剤を配合することができる。
このような再湿潤液を塗布することで、ナノセルロース塗工層は凝集してゲル化する。ナノセルロース塗工層は、その表面だけをゲル化させればよいが、ナノセルロース塗工層は比較的その塗工量を少なくすることができるため、塗工層全体をゲル化させるにしても再湿潤液の塗布量は比較的少量とすることができる。すなわち、キャスト処理時の塗工層の保持する水分量を少なくすることができるので、キャスト処理時にピットと呼ばれる蒸気破裂の欠点が発生し難く、均一なキャストコート面を形成できる。
ジルコニウムの塩化物とは、化学式にジルコニウムと塩素を有する物質のことをいう。具体的には、例えば、化学式ZrCl、Zr(OH)Cl、Zr(OH)Cl、Zr(OH)Cl、ZrBrCl、ZrBrCl、ZrBrCl、Zr(NO)Cl、Zr(NOCl、Zr(NOCl、Zr(CHCOO)Cl、Zr(CHCOO)Cl、Zr(CHCOO)Cl、Zr(NO)BrCl、Zr(OH)BrCl、Zr(CHCOO)BrCl、Zr(NO)(OH)Cl、Zr(CHCOO)(NO)Cl、Zr(CHCOO)(OH)Cl、Zr(NO)BrCl、Zr(OH)BrCl、Zr(CHCOO)BrCl、Zr(NOBrCl、Zr(NO(OH)Cl、Zr(CHCOO)(NOCl、Zr(OH)BrCl、Zr(NO)(OH)Cl、Zr(CHCOO)(OH)Cl、Zr(CHCOO)BrCl、Zr(CHCOO)(OH)Cl、Zr(CHCOO)(NO)Cl、Zr(NO)(OH)BrCl、Zr(CHCOO)(NO)(OH)Cl、Zr(CHCOO)(OH)BrCl、Zr(CHCOO)(NO)BrCl、ZrCl、Zr(OH)Cl、Zr(OH)Cl、ZrBrCl、ZrBrCl、Zr(NO)Cl、Zr(NOCl、Zr(CHCOO)Cl、Zr(CHCOO)Cl、Zr(NO)BrCl、Zr(OH)BrCl、Zr(CHCOO)BrCl、Zr(NO)(OH)Cl、Zn(CHCOO)(NO)Cl、Zr(CHCOO)(OH)Cl、ZrOCl、ZrO(OH)Cl、ZrO(NO)Cl、ZrOBrCl、ZrO(CHCOO)Cl、Zr(SO)Cl、Zr(SO)BrCl、Zr(SO)(NO)Cl、Zr(SO)(OH)Cl若しくはZr(SO)(CHCOO)Clの化合物、当該化合物の水和物若しくはアンミン塩又は当該化合物と任意の化合物との複合体などが挙げられる。
ジルコニウムの塩化物を含む再湿潤液の形態には、例えば、ジルコニウムの塩化物を水に添加して調製した再湿潤液や、硫酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、臭化ジルコニウム、臭化ジルコニル又は酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル等の水溶性ジルコニウム化合物を水に添加し、さらに塩酸などの塩化物イオンを有する化合物を添加して、実質的にジルコニウムの塩化物を含有するように調製した再湿潤液などが挙げられる。
再湿潤液のpHは3.5以下が好ましい。pHが3.5を上回るとナノセルロース塗工層の凝集が弱くなり、ゲル化強度が低下するため、キャストドラムに圧接しても、光沢ムラが発生し、平滑性や撥水性も発現しにくくなるため目的のキャストコート面を得られない場合がある。また、再湿潤液の塗布量は、特に限定するものではなく、例えば、湿潤塗工量として5〜25g/m、好ましくは10〜20g/m、より好ましくは10〜15g/mとすることができる。
本実施形態では、ナノセルロース塗工層の塗工量が、支持体の片面当たり固形分換算で0.29〜3.0g/mであり、かつ再湿潤液の湿潤塗工量が、10〜15g/mであることが好ましい。ナノセルロース塗工層の塗工量を最小限にすることによって、再湿潤液の塗布量を最小限にすることができ、さらにキャスト処理時の塗工層の保持する水分量を最小限にすることができる。したがって、キャスト処理時にピットと呼ばれる蒸気破裂による欠点がより発生し難くなり、より均一なキャストコート面を形成できる。
このようにしてキャストコート紙を得ることで、キャストコート紙のキャスト処理を行った面のJIS P 8155:2010「紙及び板紙−平滑度試験方法−王研法に規定される王研式平滑度」に規定される王研式平滑度を11000秒以上とすることができる。この平滑度の上限値は、ナノセルロース塗工層の塗工量と再湿潤液の塗工量とを考慮すると、例えば70000秒であり、好ましくは60000秒である。また、キャスト処理を行った面のJIS Z 8741:1997「鏡面光沢度−測定方法」に規定される20度鏡面光沢度を40%以上とすることができる。また、60度鏡面光沢度を65%以上とすることが好ましい。上記の20度鏡面光沢度の上限値は、ナノセルロース塗工層の塗工量と再湿潤液の塗工量とを考慮すると、例えば75%であり、好ましくは70%である。さらに、キャスト処理を行った面のJAPAN TAPPI No68:2000「紙及び板紙−撥水性試験方法」に規定される撥水度をR4以上とすることができる。この撥水度の上限値は、ナノセルロース塗工層の塗工量と再湿潤液の塗工量とを考慮すると、例えばR10であり、好ましくはR9である。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「固形質量部」、「固形質量%」を示す。尚、セルロースナノファイバーは以後、CNFとも表記する。セルロースナノクリスタルは以後、CNCとも表記する。
<ナノセルロース及びカルボキシメチルセルロース>
各実施例及び比較例で用いるナノセルロース及びカルボキシメチルセルロースは下記のとおりである。尚、各CNFは市販品であり、全て水中に分散された状態のものである。
CNF(A):TEMPO酸化法セルロースナノファイバー
(製品名 レオクリスタI−2SP、数平均繊維長750nm、数平均繊維径4nm、濃度2.0質量%、B型粘度(60rpm、20℃)15000mPa・s、第一工業製薬社製)
CNF(B):水中対向衝突方式セルロースナノファイバー
(製品名 BiNFi−s IMa−10002、数平均繊維長3100nm、数平均繊維径35nm、濃度2.0質量%、B型粘度(60rpm、20℃)6800mPa・s、スギノマシン社製)
CNF(C):機械的解繊法セルロースナノファイバー
(製品名 CNF250、数平均繊維長5600nm、数平均繊維径70nm、濃度2.0質量%、B型粘度(60rpm、20℃)2050mPa・s、モリマシナリー社製)
CNC(A):セルロースナノクリスタル
NBSP(針葉樹晒サルファイトパルプ)のパルプシートを乾式で粗粉砕して、綿状の繊維にした。固形分濃度が5質量%となるように、この繊維を64%硫酸水溶液に投入、懸濁させ、45℃で45分間加水分解した。この懸濁液にイオン交換水を加えて5倍希釈し、ろ過と脱水を行って固形物を回収した。この後、この固形物にイオン交換水を加えて、希釈したときと同じ固形分濃度の懸濁液にし、ろ過と脱水を行って固形物を回収する操作を2回繰り返した。固形物にイオン交換水を加え、水酸化ナトリウムにより中和させて2.0質量%とした。懸濁液を超音波ホモジナイザー(US300E、日本精機製作所製)により10分間解繊処理した(以降、操作Mという。)。得られたCNC(A)は数平均繊維長250nm、数平均繊維径10nm、濃度2.0質量%、B型粘度(60rpm、20℃)100mPa・sであった。
CNC(B):セルロースナノクリスタル
操作Mにおいて、超音波ホモジナイザーによる解繊処理時間を10分間から60分間に変更した以外は操作Mと同様にしてCNC(B)を得た。得られたCNC(B)は数平均繊維長100nm、数平均繊維径4nm、濃度2.0質量%、B型粘度(60rpm、20℃)500mPa・sであった。
CNC(C):セルロースナノクリスタル
操作Mにおいて、超音波ホモジナイザーによる解繊処理時間を10分間から2分間に変更した以外は操作Mと同様にしてCNC(C)を得た。得られたCNC(C)は数平均繊維長350nm、数平均繊維径70nm、濃度2.0質量%、B型粘度(60rpm、20℃)50mPa・sであった。
CMC:カルボキシメチルセルロース
(製品名 SGセロゲンPR、非繊維(非ナノセルロース)、水溶性、第一工業製薬社製)
<リウェット液(再湿潤液)の作製>
塩化ジルコニル(化学式ZrO(OH)Cl、ジルコゾールZC−2、第一稀元素化学工業社製)の濃度が1.0質量%となり、離型剤(R−053D、脂肪酸誘導体、日新化学研究所社製)の濃度が0.05質量%となるように、水中に分散および溶解させ、pHが2.1のリウェット液を得た。
(実施例1)
<支持体の作製>
カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)530mLに叩解したL−BKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)100質量部を水中に分散したパルプスラリーに対して、填料としてタルク(Tライト83:太平タルク社製)5質量部、硫酸バンド1.0質量部、酸性ロジンサイズ剤(AL−1200:星光PMC社製)0.25質量部、カチオン化澱粉(ネオタック40T:日本食品加工社製)1.0質量部を添加して分散し、原料スラリーを得た。得られた原料スラリーを用いて長網式抄紙機を用いて抄造し、紙匹を得た。その後、酸化澱粉(MS#3800:日本食品加工社製)を前記紙匹の両面に固形分換算で塗布量が片面あたり1.0g/mとなるようにサイズプレスで塗布し、乾燥させて、坪量170g/mの上質紙を得た。
<顔料塗工層用の塗工液の調製>
顔料としてデラミクレー(CAPIM−NP:イメリスミネラルズ・ジャパン社製)100質量部にスチレンブタジエン系ラテックス(L−1537:旭化成ケミカルズ社製)15質量部と水を混合し、固形分濃度が70質量%の顔料塗工層用塗工液を得た。
<顔料塗工層の塗工工程>
顔料塗工層用塗工液をエアナイフコーターで、上質紙の一方の面に、固形換算での塗工量が10g/mとなるように塗工し、熱風乾燥して顔料塗工層を形成した。続いて、ソフトカレンダー処理を行い、顔料塗工層表面の王研式平滑度を600秒とした。
<ナノセルロース塗工層用の塗工液の調製>
CNF(A)に加水し、超音波ホモジナイザーにより分散して固形分濃度0.5質量%のナノセルロース塗工層用塗工液を得た。
<ナノセルロース塗工層の塗工工程>
該塗工液をエアナイフコーターで、固形換算での塗工量が0.69g/mとなるように、顔料塗工層上に塗工し、熱風乾燥してナノセルロース塗工層(NC塗工層ともいう。)を形成した。
<キャスト処理工程>
次いで、ナノセルロース塗工層に、前記リウェット液の湿潤塗工量が20g/mとなるようにディップコーターで塗工し、この面を直ちに105℃の表面温度を有するキャストドラムにプレスロールで圧接して乾燥した後、テークオフロールでキャストドラムから剥離し、キャストコート紙を得た。
(実施例2)
実施例1において、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を1.26g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例3)
実施例1において、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を0.29g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例4)
実施例1において、CNF(A)をCNF(B)へ変更し、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を0.89g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。但し、CNF(B)への加水後の分散はスリーワンモーターにより行い、固形分濃度0.5質量%に調整した。
(実施例5)
実施例4において、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を2.03g/mに変更した以外は、実施例4と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例6)
実施例4において、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を4.50g/mに変更した以外は、実施例4と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例7)
実施例1において、顔料塗工層の塗工量を6g/mとした以外は実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例8)
実施例4において、顔料塗工層の塗工量を6g/mとした以外は実施例4と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例9)
実施例1において、顔料塗工層の塗工量を8g/mとした以外は実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例10)
実施例1において、顔料塗工層の塗工量を20g/mとした以外は実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例11)
実施例1において、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を7.00g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例12)
実施例1において、リウェット液に使用する塩化ジルコニルの濃度を1.0質量%から0.5質量%(pH2.4)に変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例13)
実施例1において、リウェット液に使用する塩化ジルコニルの濃度を1.0質量%から5.0質量%(pH1.2)に変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例14)
実施例1において、CNF(A)をCNC(A)へ変更し、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を2.41g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。但し、CNC(A)への加水後の分散はスリーワンモーターにより行い、固形分濃度0.5質量%に調整した。
(実施例15)
実施例2において、CNF(A)を、CNC(A)とCNF(B)とを固形分比率1:1で混合したナノセルロース(数平均繊維径22.5nm)に変更した以外は、実施例2と同様にしてキャストコート紙を得た。但し、混合したナノセルロースへの加水後の分散はスリーワンモーターにより行い、固形分濃度0.5質量%に調整した。
(実施例16)
実施例1において、ナノセルロース塗工層用塗工液100質量部に対して、オキサゾリン基を有する化合物(エポクロスK2020E:日本触媒社製)を0.25質量部添加した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例17)
実施例1において、ナノセルロース塗工層用塗工液100質量部に対して、ブロックイソシアネート(SU−315V:明成化学社製)を0.25質量部添加した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例18)
実施例1において、CNF(A)を、CNF(A)とCNF(B)とを固形分比率1:1で混合したCNF(数平均繊維径19.5nm)に変更し、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を0.79g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。但し、混合したCNFへの加水後の分散は超音波ホモジナイザー(US300E、日本精機製作所製)により行い、固形分濃度0.5質量%に調整した。
(実施例19)
実施例1において、CNF(A)を、CNC(A)とCNF(A)とを固形分比率1:1で混合したナノセルロース(数平均繊維径7nm)に変更し、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を1.55g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。但し、混合したナノセルロースへの加水後の分散は超音波ホモジナイザー(US300E、日本精機製作所製)により行い、固形分濃度0.5質量%に調整した。
(実施例20)
実施例1において、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を0.35g/mに変更し、リウェット液の湿潤塗工量を11g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(実施例21)
実施例1において、pHが2.1のリウェット液を、pHが3.5のリウェット液に変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。尚、pHが3.5のリウェット液は、実施例1におけるpHが2.1のリウェット液に苛性ソーダを加え、pHが3.5となるように調整して溶解させることによって得た。
(実施例22)
実施例1において、CNF(A)をCNC(B)へ変更し、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を2.41g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。但し、CNC(B)への加水後の分散はスリーワンモーターにより行い、固形分濃度0.5質量%に調整した。
(比較例1)
実施例1において、CNF(A)をCNF(C)へ変更し、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を1.60g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。但し、CNF(C)への加水後の分散はスリーワンモーターにより行い、固形分濃度0.5質量%に調整した。
(比較例2)
実施例1において、CNF(A)を、非繊維であるCMCへ変更し、CMC塗工層用塗工液の塗工量を2.30g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得ようとしたが、キャスト処理を行うことができなかった。尚、CMCは水希釈しスリーワンモーターにより分散して固形分濃度0.5質量%に調整して塗工液とした。
(比較例3)
実施例2において、リウェット液を純水に変更した以外は、実施例2と同様にしてキャストコート紙を得た。
(比較例4)
実施例2において、ナノセルロース塗工層用塗工液を塗工した後、乾燥せずにリウェット液を塗工した以外は実施例2と同様にしてキャストコート紙を得ようとしたが、キャスト処理を行うことができなかった。
(比較例5)
実施例2において、顔料塗工層を設けないこと以外は実施例2と同様にしてキャストコート紙を得た。
(比較例6)
実施例1において、ナノセルロース層を設けないこと以外は実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。
(比較例7)
実施例1において、CNF(A)をCNC(C)へ変更し、ナノセルロース塗工層用塗工液の塗工量を2.41g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてキャストコート紙を得た。但し、CNC(C)への加水後の分散はスリーワンモーターにより行い、固形分濃度0.5質量%に調整した。
実施例1〜実施例22、比較例1、比較例3及び比較例5〜比較例7で得られたキャストコート紙において、光沢度、平滑度、撥水度の評価を行った。これらの評価は、23℃50%RHで調湿後、次の方法に準拠して行い、その結果を表1に示した。
(1)光沢度
JIS Z 8741:1997に規定される鏡面光沢度測定方法を採用して、キャスト処理面の入射角が20°の鏡面光沢度を測定した。
(2)平滑度
JIS P 8155:2010に規定される王研式平滑度測定方法を採用して、キャスト処理面の平滑度を測定した。
(3)撥水度
JAPAN TAPPI No68:2000「紙及び板紙−撥水性試験方法」を採用して、キャスト処理面の撥水度を測定した。
Figure 2020059956
表1より明らかなように、実施例1〜実施例22で得られたキャストコート紙は、光沢度、平滑度、撥水度ともに高く、良好なキャストコート面を有していた。実施例15、実施例18及び実施例19では、種類の異なるナノセルロースを混合しても、光沢度、平滑度、撥水度がともに高く、良好なキャストコートが得られた。実施例1及び実施例20は、ナノセルロース塗工層の塗工量及び再湿潤液の塗布量を変化させた実施例であるが、ナノセルロース塗工層の塗工量を最小限にすることによって、再湿潤液の塗布量を最小限にしても、光沢度、平滑度、撥水度がともに高く、良好なキャストコートが得られた。
これに対して、比較例1で得られたキャストコート紙はセルロースナノファイバーの数平均繊維径が大きすぎ、繊維幅の大きいセルロースナノファイバーが多く存在しているものと考えられ、ゲル化しにくくなり、所望の撥水性は得られなかった。比較例2ではカルボキシルメチルセルロースの塗工層がゲル化しにくく、ナノセルロース塗工層を設けた各実施例のようにキャスト処理を行うことができなかった。比較例3で得られたキャストコート紙はナノセルロース塗工層がゲル化せず、キャスト処理はできたものの撥水性が得られなかった。比較例4は、いわゆるゲル化法であるが、塗工層全体のゲル化は見られるものの、使用する水分量が多くなるため、支持体に担持され難くキャスト処理を行えなかった。比較例5で得られたキャストコート紙はナノセルロース層の浸透が早く光沢度、平滑度、撥水性ともに所望の性能は得られなかった。比較例6で得られたキャストコート紙はナノセルロース層がないためゲル化されるものが無く光沢度、平滑度、撥水性ともに所望の性能は得られなかった。

Claims (11)

  1. パルプを主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、顔料と接着剤とを含有する顔料塗工層用塗工液を塗工し、続いて乾燥して顔料塗工層を設ける工程と、
    前記顔料塗工層の表面に数平均繊維径が1nm以上70nm未満であるナノセルロースを含有するナノセルロース塗工層用塗工液を塗工し、続いて乾燥してナノセルロース塗工層を設ける工程と、
    前記ナノセルロース塗工層の表面に、ジルコニウムの塩化物を含む再湿潤液を塗布した後、前記ナノセルロース塗工層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接してキャスト処理を行う工程と、を有することを特徴とするキャストコート紙の製造方法。
  2. 前記顔料塗工層の塗工量が、支持体の片面当たり固形分換算で5〜20g/mであることを特徴とする請求項1に記載のキャストコート紙の製造方法。
  3. 前記ナノセルロース塗工層の塗工量が、支持体の片面当たり固形分換算で0.29〜7.0g/mであることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャストコート紙の製造方法。
  4. 前記キャスト処理を行った面のJIS P 8155:2010「紙及び板紙−平滑度試験方法−王研法に規定される王研式平滑度」に規定される王研式平滑度を11000秒以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のキャストコート紙の製造方法。
  5. 前記キャスト処理を行った面のJIS Z 8741:1997「鏡面光沢度−測定方法」に規定される20度鏡面光沢度を40%以上とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のキャストコート紙の製造方法。
  6. 前記キャスト処理を行った面のJAPAN TAPPI No68:2000「紙及び板紙−撥水性試験方法」に規定される撥水度をR4以上とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のキャストコート紙の製造方法。
  7. 前記ナノセルロース塗工層用塗工液に、ブロックイソシアネート化合物及び/又はオキサゾリン基を官能基として有する化合物を含有させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のキャストコート紙の製造方法。
  8. 前記ナノセルロース塗工層は、顔料及び接着剤を含有していないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のキャストコート紙の製造方法。
  9. 前記ナノセルロースは、TEMPO酸化法セルロースナノファイバー、水中対向衝突方式セルロースナノファイバー及びセルロースナノクリスタルのうちの少なくともいずれか一種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のキャストコート紙の製造方法。
  10. 前記ナノセルロース塗工層の塗工量が、支持体の片面当たり固形分換算で0.29〜3.0g/mであり、かつ前記再湿潤液の湿潤塗工量が、10〜15g/mであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載のキャストコート紙の製造方法。
  11. 前記再湿潤液はpH3.5以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載のキャストコート紙の製造方法。
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