JP2020059242A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒子を核とした突起およびくぼみによる凹凸部を所定の範囲とすることで、すべり性を付与しハンドリング性に優れた上で、露光阻害を抑制し、欠陥の少ないレジスト形成を達成することができる二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】少なくとも一方の層(該層をA層とする)に粒子を含有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、A層の表面(該面を表面(A)とする)に存在する、前記粒子に由来する突起と該突起を核としたくぼみからなる平均径2.0μm以上の凹凸部が5個/0.5mm2を超えて30個/0.5mm2以下である二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
ドライフィルムレジスト(以下DFRと呼ぶ場合がある)は、プリント配線基板、半導体パッケージ、フレキシブル基板などの回路を形成するために用いられている。DFRは、感光層(フォトレジスト層)を、支持体としてのポリエステルフィルム上に積層させた後、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)で挟んだ構造をしている。このDFRを用いて導体回路を作成するには、一般的に次のような工程で行われる。
1)DFRから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする工程。
2)次に、導体回路パターンを焼き付けたフォトマスクを、ポリエステルフィルムからなる支持体上に置き、その上から、感光性樹脂を主体としたレジスト層に紫外線を照射して、露光させる工程。
3)その後、フォトマスクおよびポリエステルフィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する工程。
4)次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する工程。
4)の工程の後には、レジスト層中の光反応部分とこの光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残り、その後、残ったレジスト層を除去する工程を経て、基板上の導体回路が形成されることになる。このため、支持体であるポリエステルフィルムには、紫外線を効率的に透過できることが要求される。これにより、導体回路パターンが、正確にレジスト層上に反映される。とくに近年では、IT機器など小型化、軽量化などに伴い、プリント配線板の微細化、高密度化が進んでおり、配線の幅や配線の間隔が5μm程度といった微細パターンを形成し、高解像化を達成できるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムが要求されている。また、支持体としてのポリエステルフィルムは、支持体上にレジスト層を形成してレジストフィルムを製造する際のハンドリング性を良好にするために、適度なすべり性を有することが重要であるが、適度なすべり性を付与するために易滑材としての粒子を含有させた場合、含有させた粒子が凝集し、露光工程時の紫外線照射の際、粒子による光散乱が透過、反射共に引き起こされ、レジストの解像度を低下させてしまうという問題が生じていた。
そこで、フィルムの表面を高平滑にして、かつヘイズ値を低くすることや、波長365nmにおける透過率を一定範囲内とすることを特徴とするドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献1)。また、帯電防止剤の配合によりレジスト用ポリエステルフィルムを製造する際のハンドリング性、ゴミや異物の付着防止や、該フィルムを用いたレジストフィルム自身のハンドリング性、ゴミや異物の付着防止を向上させる技術が開示されている(特許文献2、3、4)。また、含有させる粒子を任意の製造段階で添加することにより分散性を改善し粒子の凝集を防止する技術が開示されている。(特許文献5)
特開2016−87854号公報 特開2001−117237号公報 特開2006−327158号公報 特開2007−254640号公報 特開2014−98136号公報
しかしながら、これら前記の提案でも、高解像度化の要求を満足することは難しく、現像後のレジストのパターニングにゆがみや、抜け、レジストパターン壁面の状態が悪いなどの欠点が十分に解消できず、特に、近年では配線の幅や配線の間隔が5μm程度といった微細パターンが要求されており、2μm程度の粗大物は、レジストの欠陥につながり、依然として、高解像度化への品質向上が求められている。粗大物を減らすために、ベースフィルムに含有させる粒子の凝集を防ぐために添加量を減らしたり、含有させる粒子のサイズを小さくした結果、フィルム製造工程や上記DFR製造工程にて収率低下、特に巻きに関わる問題が目立って発生しているため、生産性(フィルム巻き取り性)向上の要求も達成しなければならない。
これら事情に鑑み、本発明は、フィルム中に添加している粒子を核とした突起と該突起を核としたくぼみからなる凹凸部を所定の範囲とすることで、すべり性を付与しハンドリング性に優れた上で、露光阻害を抑制し、欠陥の少ないレジスト形成を達成することができる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
本発明は、以下の特徴を有する。
[I]少なくとも一方の表層(該層をA層とする)に粒子を含有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、A層の表面(該面を表面(A)とする)に存在する、前記粒子に由来する突起と該突起を核としたくぼみからなる平均径2.0μm以上の凹凸部が5個/0.5mmを超えて30個/0.5mm以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
[II]表面(A)の算術平均表面粗さSRa(A)が7nm以下であり、十点平均表面粗さSRz(A)が300nm以下である[I]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[III]3層以上の積層構造を有する[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IV]フィルム厚みが16μm以上50μm以下であり、A層の厚みが0.4μm以上1.0μm以下である[III]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[V]フィルムヘイズが1.0%未満である[I]〜[IV]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VI]ドライフィルムレジスト支持体用途に用いる[I]〜[V]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム
[VII]ポリエステル樹脂を溶融押出してシート状に押し出した後、長手方向に延伸後に幅方向に延伸を行う工程を有する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、長手方向に延伸の温度が110〜120℃、長手方向に延伸の倍率が3.8〜4.2倍である[I]〜[VI]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明によれば、粒子を核とした突起およびくぼみによる凹凸部を所定の範囲とすることで、すべり性を付与しハンドリング性に優れた上で、露光阻害を抑制し、欠陥の少ないレジスト形成を達成することができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表層(該層をA層とする)に粒子を含有し、A層の表面(該面を表面(A)とする)に存在する、後述する測定方法により求められる、前記粒子に由来する突起と該突起を核としたくぼみからなる平均径2.0μm以上の凹凸部が5個/0.5mmを超えて30個/0.5mm以下である必要がある。平均径2.0μm以上の凹凸部はより好ましくは5個/0.5mmを超えて20個以下、さらに好ましくは5個/0.5mmを超えて15個以下、最も好ましくは5個/0.5mmを超えて10個以下である。
本発明の発明者らは、欠陥の少ないレジスト形成を検討するにあたり、露光の阻害要因となるような2.0μm以上の粗大物を可能な限り少なくする検討を実施した。その結果、フィルムに添加する粒子単体や添加した粒子の凝集物が2.0μm以下であっても、それを核とする突起と該突起を核としたくぼみからなる凹凸部が2.0μm以上となると露光の阻害要因となりうることを見出した。該凹凸部の発生メカニズムは、粒子周辺の結晶化が進むことでフィルム製膜時の幅方向延伸工程において粒子を核として空隙(ボイド)が生成され、粒子による突起とその周辺のくぼみからなる凹凸が発生すると推測している。
平均径2.0μm以上の凹凸部が30個/0.5mmを上回る場合、フィルムよりレジスト面に転写される凹凸部により露光工程での光の入射角が不均一になった結果、光の反射や散乱の影響によりレジストパターンの抜けが生じることがある。一方、平均径2.0μm以上の凹凸部を少なくしていくと、露光阻害による影響は小さくなるものの、平均径2.0μm以上の凹凸部が5個/0.5mm以下となると、レジストパターンの抜けが生じることがあることが判った。この原因は、平均径2.0μm以上の凹凸部が5個/0.5mm以下となると表面が平坦になり過ぎて、すべり性が著しく悪化した結果、フィルム製造工程やDFR製造工程でのハンドリング性が低下し、収率低下、特に巻きに関わる問題が発生し、フィルム表面にキズがつくことにより露光阻害が発生することがあるためと推定している。
フィルム表面における平均径2.0μm以上の凹凸部の数を上述の範囲とする方法は特に限定されるものではないが、例えば、フィルム製造時の長手方向の延伸条件(長手方向の延伸温度を110〜120℃の範囲にし、さらに長手方向の延伸倍率を3.8〜4.2倍にすること)や、ポリエステルフィルムに含有させる粒子種、粒子径を制御すること、粒子を含有する層の厚みを添加する粒子の平均粒径の1〜3倍の範囲にすることが有効である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸配向していることが必要である。本発明における、二軸配向とは、未延伸(未配向)フィルムを、常法により、二次元方向に延伸された状態(広角X線回折で二軸配向のパターンを示すもの)を指す。延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸を採ることができる。逐次二軸延伸は、長手方向(縦)および幅方向(横)に延伸する工程を、縦−横の1回ずつ実施することもできるし、縦−横−縦−横など、2回ずつ実施することもできる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル樹脂を主成分とするとは、少なくとも70モル%以上が、ジカルボン酸とジオール、およびそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体または低重合体からの重合により得られるポリエステルである。本発明では、ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、などであり、とくにはテレフタル酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、イソフタル酸など他の芳香族ジカルボン酸、あるいは脂肪酸を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、などを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、とくに、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明に使用するポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法などが採用できる。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることもできる。
上記ポリエステルの固有粘度は下限0.5dl/g、上限0.8dl/gが好ましい。さらに好ましくは下限0.55dl/g、上限0.70dl/gである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、上述の通り表面(A)存在する平均径2.0μm以上の凹凸部の数を満たすことができれば、単層であっても2層であっても3層以上であってもよいが、高透明性を満足するために3層以上の積層構造とし、実質的に粒子を含まない中間層(B層)を設け、A層/B層/A層もしくはA層/B層/C層の3層積層構造とすることが最も好ましい形態の一つである。表層部であるA層およびC層に含有する粒子種、平均粒子径、含有量は、異なっても良い。表層を構成するポリエステル層には、粒子を塗布工程にて添加してもよいが、粒子の分散性の観点から、粒子を含有するポリエステル樹脂組成物を用いて、共押出し法により溶融製膜して得ることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの全厚みが16μm以上50μm以下であることが好ましい。特に好ましくは16μm以上38μm以下である。全厚みが16μm未満では、強度が不足し加工工程での取り扱いが難しくなることがあり、50μmを超えると、光線透過率およびヘイズ値を本発明範囲内にすることが難しくなる場合があり、また、経済性も悪化する場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、粒子を含有するA層の厚みが0.4μm以上1.0μm以下であることが好ましい。0.4μm未満の場合にはA層に添加した粒子の脱落が多くなることや、粒子に由来する突起と該突起を核としたくぼみからなる平均径2.0μm以上の凹凸部が多くなることがある。一方、1.0μmを超えるとヘイズを達成するためには添加している粒子の平均径および添加量を更に減少することが必要になり、加工特性との両立が難しくなる場合がある。
本発明にかかる二軸配向ポリエステルフィルムは、表面(A)の算術平均表面粗さSRa(A)が7nm以下であり、十点平均表面粗さSRz(A)が300nm以下であることが好ましい。さらには、SRa(A)は3nm以上6.5nm未満であることがより好ましく、SRz(A)は100nm以上250nm未満であることがより好ましい。該範囲の表面粗さを達成することにより、露光時にフィルム表面での反射の影響を抑える適切な平滑性が得られ、高精細なレジストパターンを形成することが可能であり、同時に加工時のハンドリング性を得られる。SRa(A)が7nmより大きい、もしくはSRz(A)が300nmより大きい場合、フィルムよりレジスト面に転写される凹凸による露光工程での光の入射角が不均一になることによる光の反射や散乱の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがある。表面(A)の表面粗さを上述の範囲とするには、A面を有する層(A層)を構成するポリエステル樹脂に、後述する特定の有機粒子あるいは無機粒子を特定量含有させることによって達成出来る。
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムでは、フィルムヘイズは1.0%未満であることが好ましい。フィルムヘイズが1.0%以上になると、ポリエステルフィルムにレジスト層を積層した後、紫外線を照射して露光するにあたってのレジスト層の支持体であるポリエステルフィルムによる紫外光線の散乱が大きくなるため、現像後のレジストのパターニングにゆがみや、抜け、レジストパターン壁面の状態が悪化することや、ポリエステルフィルムの透過率を阻害する場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表層(A層)に粒子を含有する必要がある。粒子としては、有機、無機の粒子を用いることができるが、有機系としては、例えば、ポリイミド系樹脂、オレフィンあるいは変性オレフィン系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂などを、無機系としては、例えば、酸化珪素、炭酸カルシウム、凝集アルミナ、珪酸アルミニウム、マイカ、クレー、タルク、硫酸バリウムなどを挙げることができる。これらの粒子の採用にあたっては、光線透過率およびヘイズ値の上昇を抑制するため、粒子表面を界面活性剤などで表面改質し、ポリエステルとの親和性を改善する方法が添加粒子周辺でのボイド発生を抑制する点で好ましく採用できる。また、粒子形状が球状に近く、さらに、ポリエステルとの屈折率の差が少ない方が、フィルム層内を紫外線が通過時の散乱光を抑制することができ好ましく、コロイダルシリカ、有機粒子がとくに好ましく、さらに、シリコーン粒子、架橋ポリスチレン粒子が好適である。中でも、乳化重合で調整された、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる架橋ポリスチレン粒子は粒子形状が真球に近く、粒子径分布が均一であり、均一な突起形成を図ることが可能で好ましい。スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる架橋ポリスチレン粒子は表層(A層)を構成するポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましく、その含有量は表層(A層)を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して0.01重量%以上0.1重量%未満が好ましい。含有量が0.01重量%を下回る場合、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布斑が発生することや、塗布後の巻き取り時に、噛み込んだ空気が抜けにくくなることによる、巻きズレを起こすことがある。含有量が0.1重量%以上の場合、架橋ポリスチレン粒子同士が凝集しやすい傾向となり、露光工程での光の入射角が不均一になることによる光の反射や散乱の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがある。
表層(A層)には、前記した粒子とともに、凝集アルミナを併用することも望ましい形態のひとつである。ここで、凝集アルミナは、平均一次粒子径が5nm以上30nm未満の粒子が数個から数百個凝集したものを表す。凝集アルミナの平均一次粒子径は、8nm以上15nm未満の平均一次粒子径であることがより好ましい。当該凝集アルミナは、無水塩化アルミニウムを原料として火焔加水分解法、あるいはアルコキシドアルミナの加水分解などによって製造されたものが採用できる。凝集アルミナは、結晶型としてδ型、θ型、γ型などが知られているが、とくにδ型アルミナが好適に使用できる。これらの凝集アルミナについて、ポリエステル重合時に添加することで使用に供せるが、例えば、ポリエステル重合時の原料の一部であるエチレングリコールのスラリーとして、サンドグラインダーなどの粉砕、分散を行い、精密濾過を行うことによって、平均二次粒子径が0.01μm以上0.2μm未満の凝集アルミナを得ることができる。このようにして得られた凝集アルミナをフィルム中に添加した場合、二軸延伸によって、面方向に配置されるため、実質的突起を形成せず、表面粗さへの影響が少なく、また、透過性が良いため、光線透過率およびヘイズ値の劣化を抑制できる。凝集アルミナを含有せしめることにより、フィルム表面の地肌補強効果が大きく得られ、耐摩耗性が向上し、延伸時のロールとの接触時に発生する凹み欠点を抑制するという効果が得られる。凝集アルミナは表層(A層)を構成するポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましく、その含有量はポリエステル樹脂組成物全体に対して0.1重量%以上5.0重量%未満が好ましい。含有量が0.1重量%を下回る場合、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布斑が発生することや、塗布後の巻き取り時に、噛み込んだ空気が抜けにくくなることによる、巻きズレを起こすことがある。含有量が5.0重量%以上の場合、凝集アルミナ同士がさらに凝集しやすい傾向となり、露光工程での光の入射角が不均一になることによる光の反射や散乱の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、表層(A層)には平均粒径が0.3μm未満の粒子Aと、平均粒径が0.3μm以上1.0μm未満の粒子Bを含む2種類以上の粒子を含むことが好ましい。A層に含まれる粒子Bの平均粒径が1.0μm以上の場合、粒子による影響がレジストパターンを形成する際のノイズとなり、レジストパターンの欠けを誘発することがある。また、A層に含まれる粒子Bの平均粒径が0.3μm未満では、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布斑が発生することや、塗布後の巻き取り時に、噛み込んだ空気が抜けにくくなることによる、巻きズレを起こすことがある。さらに具体的には、A層において、粒子Aとして凝集アルミナを、粒子Bとして架橋ポリスチレン粒子とを併用して含有させることにより、すべり性を著しく向上させることが可能となる。
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。共押出し法による溶融製膜におけるポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、例えば2μm以上の粗大粒子を95%以上捕集できる高精度濾過を行った後、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の効果に有効である。
このようにして、各層のために準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給する。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造における押出機は、1軸、2軸の押出機を用いることができる。また、ペレットの乾燥工程を省くために、押出機に真空引きラインを設けた、ベント式押出機を用いることもできる。また、中間層を設ける場合には、最も押出量が多くなるため、ペレットを溶融する機能と、溶融したペレットを一定温度に保つ機能をそれぞれの押出機で分担する、いわゆるタンデム押出機を用いることができる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける表面を構成する層の押し出しには、二軸式ベント式押出機を用いることが、粒子の分散性を良好に保ち、粒子の凝集を抑制することができるため好ましい。
押出機で溶融して押出したポリマーは、フィルターにより濾過する。ごく小さな異物もフィルム中に入ると粗大突起欠陥となるため、フィルターには例えば2μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いてスリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、複数の押出機、複数層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて積層し、口金からシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。逐次延伸の場合、長手方向の延伸を実施した後、幅方向の延伸を行うことが好ましい。平均径2.0μm以上の凹凸部の数を制御するには最初の長手方向の延伸条件が重要である。最初の長手方向の延伸温度は好ましくは110〜120℃である。延伸温度が110℃未満になるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が120℃を超えると粒子周辺の結晶化が進むことで後の幅方向延伸工程において粒子を核として空隙(ボイド)が生成され、粒子による突起とその周辺のくぼみからなる凹凸が発生する頻度が高くなる傾向がある。また、延伸ムラ、およびキズを防止する観点からは延伸は2段階以上に分けて行うことが好ましく、トータル倍率は長さ方向に好ましくは3.8〜4.2倍である。長手方向の延伸倍率が3.8倍未満であると目標とするフィルムの破断強度を達成できなくなり、長手方向の延伸倍率が4.2倍を超えると粒子周辺の結晶化が進むことで後の幅方向延伸工程において粒子を核として空隙(ボイド)が生成され、粒子による突起とその周辺のくぼみからなる凹凸が発生する頻度が高くなる傾向がある。
長手方向に延伸した後に実施する幅方向の延伸条件は、延伸温度は好ましくは110〜130℃であり、延伸倍率は好ましくは4.0〜4.6倍である。かかる温度、倍率範囲をはずれると延伸ムラあるいはフィルム破断などの問題を引き起こし、本発明の特徴とするフィルムが得られにくい。必要に応じて、再度長手方向または幅方向に延伸した後、好ましくは200℃以上230℃未満、更に好ましくは210℃以上230℃未満で好ましくは0.5秒以上20秒未満、更に好ましくは1秒以上15秒未満の熱固定を行う。とくに熱固定温度が200℃未満になるとフィルムの結晶化が進まないために構造が安定せず、目標とする熱収縮率などの特性が得られにくい。その後、長手及び/又は幅方向に0.1%以上7.0%未満の弛緩処理を施すことが好ましい。
さらに延伸ロールの表面粗さRaは好ましくは0.005μm以上1.0μm未満、更に好ましくは0.1μm以上0.6μm未満である。Raが1.0μm以上だと延伸時ロール表面の凸凹がフィルム表面に転写し、その転写された凹凸に起因してフィルム表面に粒子に由来する突起と該突起を核としたくぼみからなる凹凸部が発生しやすくなり、一方0.005μm未満だとロールとフィルム地肌が粘着し、フィルムが熱ダメージを受けやすくなる。延伸ロールの表面粗さを制御するためには、延伸ロールを研磨する研磨剤の粒度や、延伸ロールを研磨する回数などを適宜調整することが有効である。とくに延伸ロールについては、フィルム表面の凹み欠点の原因と懸念されるポリエステルの分解物、オリゴマーの付着、蓄積を回避するため、延伸ロールの研磨の回数を高くすることが好ましい。
さらに、延伸部におけるロールとフィルムのトータルの接触時間は好ましくは0.1秒未満、更に好ましくは0.08秒未満にすることがフィルムを製造する上で特に有効である。延伸ロールとフィルムの接触時間が0.1秒以上だと、延伸ロールの熱によりフィルム表面のみが局所的に加熱され、引いては熱負荷時の微小平面性が悪化して粒子に由来する突起と該突起を核としたくぼみからなる凹凸部の発生を引き起こすこともあり、あるいは、フィルムに傷を発生する場合がある。接触時間を短くする方法としては、例えばフィルムを延伸ロールに巻き付けず、ニップロール間で平行に延伸する方法が有効である。
二軸延伸後のフィルムは、搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後巻取り、中間製品を得る。この搬送工程にて、フィルムの厚みを測定し、該データをフィードバックして用いてダイ厚みなどの調整によってフィルム厚みの調整を行い、また、欠点検出器による異物検知を行う。
エッジの切断時には、切粉の発生を抑制することが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて好ましい。エッジの切断は丸刃、シェアー刃、ストレート刃を使用して行うが、ストレート刃を用いる場合は、刃がフィルムに当たる箇所を、常に同じ箇所にさせないことが、刃の摩耗を抑制できるため好ましい形態である。このため刃を上限までオシレーションする機構を有することが好ましい。また、フィルム切断箇所に吸引装置を設けて、発生した切り粉や、切断後のフィルム端部同士が削れて発生する削れ粉を吸引することが好ましい。
中間製品はスリット工程により適切な幅・長さにスリットして巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのロールが得られる。スリット工程におけるフィルムの切断時も、先述のエッジの切断と同様な切断の方式から選定できる。
中間製品を所望の幅にスリットを行い、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得る。こうして得られる本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、良好な透過性、すべり性を有するため、ドライフィルムレジスト支持体用に好適に用いることができる。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
(測定方法)
(1)粒子の体積平均粒径
フィルム表面を構成する層については次のように測定する。フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。処理後の試料を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S−4000型)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製 LUZEX_AP)に取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒子径を求める。SEMの倍率は粒子径により、5000〜20000倍から適宜選択する。任意に観察箇所をかえて、少なくとも粒子数5000個の粒子の体積平均粒子径測定し、その平均値を粒子の体積平均粒径とした。
(2)フィルム表面粗さ(SRa、SRz値)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET−350K)を用いて表面(A)および表面(B)について測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601に準じ、算術平均表面粗さSRa値、十点平均表面粗さSRz値を求める。測定条件は下記のとおり。
X 方向測定長さ: 0.5mm、X方向送り速度: 0.1mm/ 秒。
Y 方向送りピッチ: 5μm、Y方向ライン数: 40本。
カットオフ: 0.25mm。
触針圧: 0.02mN。
高さ(Z方向) 拡大倍率: 5万倍。
(3)フィルムのヘイズ
JIS K7105−1981に準じ、フィルム幅方向の中央部から、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光源用))を用いて測定する。
(4)フィルムの全厚みおよび表層(A層)の厚み
透過型電子顕微鏡(TEM;日立(株)製H−600型)を用いて、加速電圧100kVで、フィルムの断面を、超薄切片(RuO染色)で観察する。その断面全体から全厚みを求め、A層の厚みについては、その界面に観察される粒子の最も深い地点から表面からの深さ、つまり積層されている厚みを求める。倍率は測定するフィルムの全厚み、A層の厚みによって適宜倍率を設定すればよいが、一般的には全厚み測定には1000倍、積層厚み測定には1万〜10万倍が適当である。
粒子が少ない場合など、積層界面を判別するためにどのような倍率で粒子像を得るべきかを事前に想定するために、断面のSEM−XMAによって断面における元素の分布(マッピング)から想定される積層厚みの概算を行い、TEMでの設定倍率を定めると効率的である。
(5)粒子に由来する突起と該突起を核としたくぼみからなる平均径2.0μm以上の凹凸部の数
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを適宜切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S−4000型)を用い、粒子径に応じて5000〜20000倍の倍率から適宜選択して観察を行い、添加粒子に由来する突起と該突起を核としたくぼみからなる平均径2.0μm以上の凹凸部の数を計測した。測定数はN=30とし、凹凸部の個数を0.5mmあたりに換算して求めた。
(6)レジスト解像度の目視検査
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおけるレジストの解像度の目視評価方法は、以下のような手順で行った。
(i)片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMER N−HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製した。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で、約20分間の前熱処理を行った。
(ii)ポリエステルフィルムのA層側表面をレジスト層と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートし、その上に、クロム金属でパターニングされたフォトマスクを配置し、そのフォトマスク上からI線ステッパーを用いて露光を行った。
(iii)レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N−A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行った。その後、現像液から取り出し、水で約1分間の洗浄を行った。
(iv)現像後に作成されたレジストパターンのL/S(μm)(Line and Space )の状態を走査型電子顕微鏡SEMを用いて1000倍率で観察した。レジストの解像度の評価は、以下の基準に従った。なお、○以上の評価が実用可能レベルとなる。
◎:L/S=8/8μmが明確に確認できる。
○:L/S=8/8μmは明確に確認できないが、L/S=10/10μmは明確に確認できる。
△:L/S=10/10μmは明確に確認できないが、L/S=15/15μmは明確に確認できる。
×:L/S=15/15μmが明確に確認できない。(生産適用不可)。
(7)レジストフィルムのハンドリング性(すべり性評価)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを支持体として、A層側にネガ型感光性樹脂からなるレジスト層をコーティングにより形成し、レジストフィルムを作製した。レジストフィルム製造時のハンドリング性としてすべり性の評価は、以下の基準に従った。なお、○以上の評価が実用可能レベルとなる。
○:適正なすべり性を有し、ハンドリング性が良好。
△:すべり性が悪く、ハンドリング性に劣る。
×:適正なすべり性がないため、ハンドリング困難(生産適用不可)。
(原料)
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸86.5重量部とエチレングリコール37.1重量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02重量部、酢酸マグネシウム0.06重量部、酢酸リチウム0.01重量部、三酸化アンチモン0.0085重量部を添加し、引き続いて、真空下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットを得た。(ポリエステルA)。
(ポリエステルB、CおよびポリエステルDの作成)
さらに別に、モノマーを吸着させる方法によって得た体積平均粒子径0.3μm、体積形状係数f=0.51のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットに、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒子径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2重量%含有するマスターペレットを得る(ポリエステルB)。
体積平均粒子径0.45μm、0.8μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子含有マスターペレットは、ポリエステルに対しそれぞれ1重量%含有するマスターペレットを同様にして得た(それぞれポリエステルC、ポリエステルD)。
(ポリエステルEの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒子径0.2μm、体積形状係数f=0.51、体積平均粒子径0.06μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し1重量%含有するシリカ含有マスターペレットを得た(ポリエステルE)。なお、用いる球状シリカは、エタノールとエチルシリケートとの混合溶液を攪拌しながら、この混合溶液に、エタノール、純水、および塩基性触媒としてアンモニア水からなる混合溶液を添加し、得られた反応液を攪拌して、エチルシリケートの加水分解反応およびこの加水分解生成物の重縮合反応を行なった後に、反応後の攪拌を行い、単分散シリカ粒子を得た。
(ポリエステルFの作成)
さらに、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを準備し、10%のエチレングリコールスラリーとした。このスラリーをジェットアジターで一時間分散処理を行い、5μm以上の捕集効率95%のフィルターで高精度濾過した。
ジメチルテレフタレートに1.9モルのエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水塩を0.05%、リン酸を0.015%加え加熱エステル交換を行い、前述した炭酸カルシウムを含むスラリーをエステル交換後に添加し、引き続き三酸化アンチモン0.025%を加え、加熱昇温し真空化で重縮合反応を行い、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを1重量%含む、固有粘度0.63dl/gの炭酸カルシウム含有マスターペレットを得た。(ポリエステルF)。
(ポリエステルGの作成)
さらに、凝集アルミナとしてδ型−アルミナを10%のエチレングリコールスラリーとし、サンドグラインダーを用い、粉砕、分散処理を行い、さらに捕集効率95%の3μmフィルターを用いて濾過し、これを前記と同様に調整したエステル交換反応物に添加し、引き続き三酸化アンチモンを加え、重縮合反応を行い、凝集アルミナを2重量%含有する、固有粘度0.62dl/gのマスターペレットを得た。(ポリエステルG)。
(実施例1)
各層について表1に示した配合で調合した原料の混合物を、ブレンダー内で攪拌した後、A層用、B層用のベント付き二軸押出機に供給した。275℃で溶融押出し、2μm以上の異物を95% 以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、A層/B層/A層からなる3層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。
この未延伸フィルムを表面粗さRaが0.2μmの延伸ロールを用い、115℃で長手方向4.0倍に延伸した。その際の延伸部におけるロールとフィルムのトータルの接触時間は0.05秒であった。さらに、引き続いてステンタにて115℃の熱風下で幅方向に4.5倍延伸後、定張下、215℃で4秒間熱処理し、その後長手方向に0.1%、幅方向に3.2%の弛緩処理を施し、厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムの中間製品を得た。この中間製品をスリッターにてスリットし、厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムのロールを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。なお、表2に記載の平均径2.0μm以上の凹凸部の数、SRa,SRzは、延伸ロールに接したA層の値である。このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはすべり性、レジスト解像度に優れるものであった。
(実施例2〜6)
A層の組成を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1同様に、すべり性、レジスト解像度に優れるものであった。
(実施例7)
A層の厚みを表2に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1同様に、すべり性、レジスト解像度に優れるものであった。
(実施例8〜9)
フィルム厚みを表2に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1同様に、すべり性、レジスト解像度に優れるものであった。
(比較例1〜6)
長手方向の延伸温度および長手方向の延伸倍率を表3に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表4に示した。しかし、比較例2,4,6については実施例1に比べ、平均径2.0μm以上の凹凸部が少なく、ハンドリング性に劣るものであった。また、比較例1,3,5については実施例1に比べ、平均径2.0μm以上の凹凸部が多く、レジスト解像度に劣るものであった。
(比較例7)
長手方向の延伸時に表面粗さRaが1.0μmの延伸ロールを用いたこと以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表4に示した。しかし、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、実施例1に比べ、平均径2.0μm以上の凹凸部が多く、レジスト解像度に劣るものであった。
(比較例8)
長手方向の延伸時の延伸部におけるロールとフィルムのトータルの接触時間を0.1秒としたこと以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表4に示した。しかし、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、実施例1に比べ、平均径2.0μm以上の凹凸部が多く、レジスト解像度に劣るものであった。
(比較例9〜10)
A層の厚みを表4に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表4に示した。しかし、比較例9については実施例1に比べ、平均径2.0μm以上の凹凸部が多く、レジスト解像度に劣るものであった。また、比較例10については実施例1に比べ、平均径2.0μm以上の凹凸部が少なく、ハンドリング性に劣るものであった。
(比較例11〜12)
A層の組成を表3に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表4に示した。しかし、比較例11については実施例1に比べ、平均径2.0μm以上の凹凸部が少なく、ハンドリング性に劣るものであった。また、比較例12については実施例1に比べ、平均径2.0μm以上の凹凸部が多く、レジスト解像度に劣るものであった。
Figure 2020059242
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本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、良好な透過性、すべり性を有するため、ドライフィルムレジスト支持体用に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも一方の表層(該層をA層とする)に粒子を含有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、A層の表面(該面を表面(A)とする)に存在する、前記粒子に由来する突起と該突起を核としたくぼみからなる平均径2.0μm以上の凹凸部が5個/0.5mmを超えて30個/0.5mm以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 表面(A)の算術平均表面粗さSRa(A)が7nm以下であり、十点平均表面粗さSRz(A)が300nm以下である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 3層以上の積層構造を有する請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. フィルム厚みが16μm以上50μm以下であり、A層の厚みが0.4μm以上1.0μm以下である請求項3に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. フィルムヘイズが1.0%未満である請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. ドライフィルムレジスト支持体用途に用いる請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム
  7. ポリエステル樹脂を溶融押出してシート状に押し出した後、長手方向に延伸後に幅方向に延伸を行う工程を有する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、長手方向の延伸の温度が110〜120℃、長手方向の延伸の倍率が3.8〜4.2倍である請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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