JP2020052405A - 偏光フィルム、偏光板、及び偏光フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の偏光フィルムと、
前記偏光フィルムの少なくとも一方の面上に積層される保護フィルムと、を含む、偏光板。
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに分子内空洞部の内径が0.6nm以上のシクロデキストリン類を含有する処理液を接触させて処理する処理工程を備える、偏光フィルムの製造方法。
本発明に係る偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなり、分子内空洞部の内径が0.6nm以上のシクロデキストリン類を含有する。分子内空洞部の内径が0.6nm以上のシクロデキストリン類を含有する本発明の偏光フィルムは、耐熱性に優れており、高温環境下に置いたときでも偏光性能の低下を抑制することができる。本発明に係る偏光フィルムを用いれば、それ自体が耐熱性に優れていることから、耐熱性に優れた偏光板を提供することができる。
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、従って結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
(1)偏光板の層構成
図1は、本発明に係る偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。図1に示される偏光板1のように本発明の偏光板は、偏光フィルム5と、その一方の面上に積層される第1保護フィルム7とを備える片面保護フィルム付偏光板であることができる。第1保護フィルム7は、第1接着剤層6を介して偏光フィルム5上に積層することができる。
本発明に係る偏光板は、偏光フィルム5として、上述の本発明に係る偏光フィルムを含む。従って、偏光フィルム5の詳細については、上述の記載が引用される。
第1保護フィルム7は、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等からなるフィルムであることができる。偏光板の耐水性をさらに向上させるために、第1保護フィルム7として、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる保護フィルムのような透湿度の比較的低い保護フィルムを選択することも好ましい。
第1接着剤層6は、偏光フィルム5の一方の面に第1保護フィルム7を接着固定するための層である。第1接着剤層6を形成する接着剤は、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤や、ポリビニルアルコール系樹脂のような接着剤成分を水に溶解又は分散させた水系接着剤であることができる。中でも、偏光板の耐水性を向上させる観点からは、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いることが好ましい。活性エネルギー線硬化性接着剤の好適な例は、紫外線硬化性接着剤である。
図2に示される両面保護フィルム付偏光板2が有する第2保護フィルム9は、第1保護フィルム7と同様、上で例示した熱可塑性樹脂からなるフィルムであることができ、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。第2保護フィルム9が有し得る表面処理層及びフィルムの厚み等については、第1保護フィルム7について述べた上の記載が引用される。第1保護フィルム7と第2保護フィルム9とは、互いに同種の樹脂からなる保護フィルムであってもよいし、異種の樹脂からなる保護フィルムであってもよい。偏光板の耐水性をさらに向上させるために、第2保護フィルム9として、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる保護フィルムのような透湿度の比較的低い保護フィルムを選択することも好ましい。
第2接着剤層8は、偏光フィルム5の他方の面に第2保護フィルム9を接着固定するための層である。第2接着剤層8の詳細については、上述の第1接着剤層6についての記載が引用される。偏光板の耐水性を向上させる観点から、第2接着剤層8は、活性エネルギー線硬化性接着剤から形成されることが好ましい。第2接着剤層8を形成する接着剤は、第1接着剤層6を形成する接着剤と同じ組成を有していてもよいし異なる組成を有していてもよい。
図1に示される片面保護フィルム付偏光板1における偏光フィルム5若しくは第1保護フィルム7上、又は図2に示される両面保護フィルム付偏光板2における第1保護フィルム7若しくは第2保護フィルム9上に、偏光板を他の部材(例えば液晶表示装置に適用する場合における液晶セル)に貼合するための粘着剤層を積層してもよい。粘着剤層を形成する粘着剤は通常、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等をベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物のような架橋剤を加えた粘着剤組成物からなる。さらに微粒子を含有させて光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。粘着剤層の厚みは通常、1〜40μmであり、好ましくは3〜25μmである。
本発明に係る偏光板は、その第1及び/又は第2保護フィルム7,9や偏光フィルム5上に積層される他の光学層をさらに含むことができる。他の光学層としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム;表面に凹凸形状を有する防眩機能付フィルム;表面反射防止機能付フィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルム等が挙げられる。
本発明の偏光フィルムの製造方法の一実施形態を説明する。本実施形態では、偏光フィルム製造の開始材料として、厚みが65μm以下(例えば60μm以下)、好ましくは50μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下の未延伸のポリビニルアルコール系樹脂フィルム(原反フィルム)を用いる。これにより市場要求が益々高まっている薄膜の偏光フィルムを得ることができる。原反フィルムの幅は特に制限されず、例えば400〜6000mm程度であることができる。原反フィルムは、例えば長尺の未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのロール(原反ロール)として用意される。
膨潤処理工程は、原反フィルム10表面の異物除去、原反フィルム10中の可塑剤除去、易染色性の付与、原反フィルム10の可塑化等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつ原反フィルム10の極端な溶解や失透等の不具合を生じない範囲で決定される。
Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)等を併用したりすることも有用である。
染色処理工程は、膨潤処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着、配向させる等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつフィルムの極端な溶解や失透等の不具合が生じない範囲で決定される。図3を参照して、染色処理工程は、ガイドロール33〜35及びニップロール51によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、膨潤処理後のフィルムを染色浴15(染色槽に収容された処理液)に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。二色性色素の染色性を高めるために、染色処理工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理を施したフィルムであることが好ましく、又は染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行うことが好ましい。
架橋処理工程は、架橋による耐水化や色相調整(フィルムが青味がかるのを防止する等)などの目的で行う処理である。図3を参照して、架橋処理は、ガイドロール36〜38及びニップロール52によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、架橋浴17(架橋槽に収容された架橋液)に染色処理後のフィルムを所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
図3に示される例においては、架橋処理工程後の洗浄処理工程を含む。洗浄処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに付着した余分なホウ酸やヨウ素等の薬剤を除去する目的で行われる。洗浄処理工程は、例えば、架橋処理したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄浴19に浸漬することによって行われる。なお、洗浄処理工程は、洗浄浴19にフィルムを浸漬させる工程に代えて、フィルムに対して洗浄液をシャワーとして噴霧することにより、若しくは洗浄浴19への浸漬と洗浄液の噴霧とを併用することによって行うこともできる。
上述のように原反フィルム10は、上記一連の処理工程の間(すなわち、いずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理される。一軸延伸処理の具体的方法は、例えば、フィルム搬送経路を構成する2つのニップロール(例えば、処理浴の前後に配置される2つのニップロール)間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸、特許第2731813号公報に記載されるような熱ロール延伸、テンター延伸等であることができ、好ましくはロール間延伸である。一軸延伸処理工程は、原反フィルム10から偏光フィルム23を得るまでの間に複数回にわたって実施することができる。上述のように延伸処理は、フィルムのシワの発生の抑制にも有利である。
洗浄処理工程の後、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる処理を行うことが好ましい。フィルムの乾燥は特に制限されないが、図1に示される例のように乾燥炉21を用いて行うことができる。乾燥温度は、例えば30〜100℃程度であり、乾燥時間は、例えば30〜600秒程度である。以上のようにして得られる偏光フィルム23の厚みは、例えば約5〜30μm程度である。
上記した処理以外の処理を付加することもできる。追加されうる処理の例は、架橋処理工程の後に行われる、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液への浸漬処理(補色処理)、ホウ酸を含まず塩化亜鉛等を含有する水溶液への浸漬処理(亜鉛処理)を含む。
以上のようにして製造される偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤を介して保護フィルムを貼合することにより偏光板を得ることができる。接着剤及び保護フィルムについては、上記で説明した通りである。
(1)膨潤処理工程
厚み30μmのポリビニルアルコールフィルム〔(株)クラレ製の商品名「クラレポバールフィルムVF−PE#3000」、重合度2400、ケン化度99.9モル%以上〕を30℃の純水が入った膨潤浴に、フィルムが弛まないように緊張状態を保ったまま31秒間浸漬した。この膨潤処理では2.47倍の縦一軸延伸を行った。
次に、フィルムが弛まないように緊張状態を保ったままヨウ素/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)が0.15/2/0.3/100である30℃の染色浴に122秒間浸漬した。この染色処理では1.12倍の縦一軸延伸を行った。
次に、耐水化を目的とする架橋処理を施すため、フィルムが弛まないように緊張状態を保ったままヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)が12/4.05/100である56℃の架橋浴に70秒間浸漬した。この架橋処理においても2.06倍の縦一軸延伸を行った。原反フィルム10を基準とする累積延伸倍率は5.70倍となった。
架橋処理後のフィルムを7℃の純水が入った洗浄浴に3秒間浸漬した。
架橋処理後のフィルムを、60℃の雰囲気温度の乾燥炉内に190秒間放置して、厚さ14.2μmの偏光フィルムを得た。
(1)評価サンプルの作製
実施例1,2及び比較例1,2の偏光フィルムを上述の方法により作製した。各処理工程で用いた処理液におけるシクロデキストリンの添加の有無及び濃度、さらに添加したシクロデキストリンの種類については、以下の表1に示す通りとした。シクロデキストリンとして、実施例においては、β−シクロデキストリン(分子内空洞部の内径が0.6〜0.8nm)、γ−シクロデキストリン(分子内空洞部の内径が0.8〜1.0nm)を用い、比較例においては、α−シクロデキストリン(分子内空洞部の内径が0.5nm)を用いた。
実施例1,2及び比較例1,2の偏光フィルムについて、積分球付き吸光光度計(日本分光(株)製の「V7100」)を用い、得られた透過率、偏光度に対してJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、耐熱試験前の視感度補正単体透過率Ty及び視感度補正偏光度Pyを測定した。結果を表1に示す。
実施例1,2及び比較例1,2の偏光フィルムについて、4cm角に切り出し105℃の乾燥雰囲気に30分間静置した後に、約1時間、室温環境下に静置してから、上記と同じ方法で視感度補正偏光度Py(耐熱試験後)を測定した。また、耐熱性評価のために「Py(耐熱試験前)−Py(耐熱試験後)」算出し、これをΔPyとした。結果を表1に示す。
(1)評価サンプルの作製
実施例3〜7及び比較例3の偏光フィルムを上述の方法により作製した。各処理工程で用いた処理液におけるシクロデキストリンの添加の有無及び濃度、さらに添加したシクロデキストリンの種類については、以下の表2に示す通りとした。
実施例3〜7及び比較例3の偏光フィルムについて、上記と同じ方法で耐熱試験前の視感度補正単体透過率Ty及び視感度補正偏光度Pyを測定した。結果を表2に示す。
実施例3〜7及び比較例3の偏光フィルムについて、上記と同じ方法で耐熱性試験を行い、耐熱試験後の視感度補正偏光度Pyを測定した。また、耐熱性評価のために「Py(耐熱試験前)−Py(耐熱試験後)」算出し、これをΔPyとした。結果を表2に示す。
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなり、分子内空洞部の内径が0.6nm以上のシクロデキストリン類、及びヨウ素を含有する、偏光フィルム。
- 前記シクロデキストリン類は、β−シクロデキストリン類またはγ−シクロデキストリン類である、請求項1に記載の偏光フィルム。
- 厚みが15μm以下である、請求項1または2に記載の偏光フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光フィルムと、
前記偏光フィルムの少なくとも一方の面上に積層される保護フィルムと、
を含む、偏光板。
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