JP2005266048A - ヨウ素系偏光フィルム、その製造方法及びそれを用いた偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリビニルアルコール系樹脂をベースとする耐久性の改良されたヨウ素系偏光フィルム及び偏光板を提供し、その製造方法を提供する。
【解決手段】 ヨウ素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなり、そのポリビニルアルコール系樹脂フィルムがさらに、オリゴ糖(例えばトレハロースやイソマルトオリゴ糖など)を含有するヨウ素系偏光フィルムが提供される。この偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムを貼合して、偏光板とされる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、そのポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素染色する工程、及び染色後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸処理する工程を経てヨウ素系偏光フィルムを製造する際、ヨウ素染色に用いる水溶液又はホウ酸処理に用いる水溶液にオリゴ糖を溶解含有させる方法によって、この偏光フィルムが製造できる。

【選択図】 なし

Description

本発明は、ヨウ素系偏光フィルム、その製造方法、及びそのヨウ素系偏光フィルムを用いたヨウ素系偏光板に関するものである。
偏光フィルムは一般に、二色性色素であるヨウ素又は二色性染料をポリビニルアルコール系樹脂フィルムに吸着配向させ、製造されている。この偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤層を介してトリアセチルセルロースなどからなる保護フィルムを貼合して偏光板とされ、液晶表示装置などに用いられる。二色性色素としてヨウ素を用いた偏光フィルムはヨウ素系偏光フィルムと呼ばれ、一方、二色性色素として二色性染料を用いた偏光フィルムは染料系偏光フィルムと呼ばれる。これらのうち、ヨウ素系偏光フィルムは、染料系偏光フィルムに比べ、高透過率で高偏光度、すなわち高コントラストを示すことから、広く用いられている。ヨウ素系偏光フィルムは、このように光学特性の面では染料系偏光フィルムに勝っているものの、光学耐久性の面では染料系偏光フィルムに劣っており、例えば、ヨウ素系偏光フィルムを乾熱下に放置すると、透過率が低下したり偏光板が変色したりするなどの問題が生じていた。
一方で近年、液晶表示装置の利用分野の拡大と周辺技術の進歩により、偏光板の性能に対する要求も一段と厳しくなってきている。具体的には、透過率及び偏光度が高い、すなわち高コントラストで、耐熱性及び耐湿熱性にも優れる偏光板が求められている。これに対して、例えば、特開昭 58-68008 号公報(特許文献1)には、ポリエステル系樹脂を一軸延伸し、これを基材とした偏光フィルムが提案されている。しかし、偏光性能と耐久性の両者に優れた偏光フィルムを得るには不十分なものであり、さらなる改良が求められていた。
また特開 2000-35512 号公報(特許文献2)には、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、亜鉛イオン及びヨウ化カリウムを含有するホウ酸水溶液に浸漬処理することで、偏光フィルム中に所定量の亜鉛を含有させ、その偏光フィルムの高温下における耐久性を高めることが提案されている。
さらに特開平 9-325214 号公報(特許文献3)には、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性物質の吸着処理及び延伸・配向処理を行った後、ソルビトール、マンニトール、ソルボース、グルコース、フルクトース(いずれも単糖類)などの糖類を含む水溶液で洗浄して、フィルム表面のホウ素系化合物を除去し、次いで熱処理することで、耐水性、耐湿熱性及び耐久性を高める方法が提案されている。
特開昭58−68008号公報 特開2000−35512号公報 特開平9−325214号公報
本発明者らは、前記特許文献1〜3とは異なる手段で、ポリビニルアルコール系樹脂からなるヨウ素系偏光板の耐久性を高めるべく研究を行い、本発明に到達した。したがって本発明の目的は、ポリビニルアルコール系樹脂をベースとする耐久性の改良されたヨウ素系偏光フィルムを提供し、その製造方法を提供し、さらにはその偏光フィルムを用いた耐久性に優れる偏光板を提供することにある。
本発明者らは、かかる目的のもとで研究を行った結果、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸、ヨウ素染色、及び染色後のホウ酸処理により、ヨウ素系偏光フィルムを製造する際、ヨウ素染色に用いるヨウ素を含む水溶液、及びホウ酸処理に用いるホウ酸を含む水溶液のうち、少なくともいずれか一つに、オリゴ糖を溶解含有させ、そのオリゴ糖を含む水溶液でポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理すれば、偏光フィルム中にオリゴ糖を含有させることができ、それによって、偏光フィルムの乾熱下における変色などの問題を抑える効果が発現されることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明によれば、ヨウ素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなり、そのポリビニルアルコール系樹脂フィルムがさらに、オリゴ糖を含有するヨウ素系偏光フィルムが提供される。
また本発明によれば、このヨウ素系偏光フィルムの製造方法も提供され、この方法は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、そのポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液中で染色する工程、及び、染色後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬処理する工程を経て、ヨウ素系偏光フィルムを製造するに際し、上記のヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液、及び上記のホウ酸を含む水溶液のいずれか少なくとも一つに、オリゴ糖を溶解含有させるものである。
さらに本発明によれば、上記のオリゴ糖を含有するヨウ素系偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムが貼合されたヨウ素系偏光板も提供される。
本発明によるヨウ素系偏光フィルムは、乾熱下に置いた後の劣化が防止され、耐久性に優れたものとなる。
以下、本発明を詳細に説明する。ヨウ素系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向されたものである。そして本発明では、この偏光フィルム中にオリゴ糖を含有させる。
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和アミン類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98〜100モル%程度である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは重合度1,500〜5,000程度である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルム製造のための原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、例えば、5μm〜150μm程度、好ましくは10μm〜150μm程度である。
ヨウ素系偏光フィルムは、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、このポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素で染色して当該ヨウ素を吸着させる工程、及びヨウ素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程を経て製造され、通常は最後に水洗及び乾燥処理が施される。
一軸延伸は、ヨウ素染色の前に行ってもよいし、ヨウ素染色と同時に行ってもよいし、ヨウ素染色の後に行ってもよい。一軸延伸をヨウ素染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。もちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤で膨潤した状態にて延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムへのヨウ素の吸着は、ヨウ素を含む水溶液、通常はヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液に、このポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色することにより行われる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、この染色処理の前に、水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。ヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり 0.01〜1重量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり 0.5〜20重量部程度である。この水溶液の温度は、20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、20〜1,800秒程度である。
ヨウ素染色後のホウ酸処理は、ヨウ素により染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部程度、好ましくは5〜12重量部程度である。またこのホウ酸水溶液は、ヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液がヨウ化カリウムを含有する場合、ヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常40重量部以下、好ましくは30重量部以下である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常 15〜1,200秒程度、好ましくは20〜600秒程度、さらに好ましくは30〜400秒程度である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗後は乾燥処理が施されて、ヨウ素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルム、すなわちヨウ素系偏光フィルムが得られる。
本発明では、かかるヨウ素系偏光フィルム中にオリゴ糖を含有させる。この場合のオリゴ糖は、通常、上記のヨウ素を含む水溶液による染色以降の段階で導入される。具体的には、上記のようにしてヨウ素系偏光フィルムを製造する工程中、染色に用いるヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液、及びホウ酸処理に用いるホウ酸を含む水溶液のうち、いずれか1又は複数に、オリゴ糖を溶解させる方法を採用することができる。このうち、ホウ酸を含む水溶液にオリゴ糖を溶解し、含有させる方法が好ましい。もちろん、染色に用いるヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液、及びホウ酸処理に用いるホウ酸を含む水溶液の両方に、オリゴ糖を溶解含有させておいてもよい。
いずれの段階でオリゴ糖を溶解させるにしても、その量は、水100重量部あたり、通常 0.01〜60重量部程度であり、好ましくは0.1重量部以上、さらには0.5重量部以上であり、また好ましくは30重量部以下、さらには15重量部以下である。オリゴ糖の量が水100重量部あたり 0.01重量部より少ないと、得られる偏光フィルムの乾熱下における変色などの問題を抑える効果が十分に発揮されない。
オリゴ糖とは、水に可溶の一般に甘味を有する結晶性物質で、数個の単糖がグリコシド結合によって脱水縮合したものである。酸で容易に加水分解されて単糖を生じ、生成する単糖の分子数によって、二糖、三糖、四糖、五糖などに分類され、通常は十糖までをオリゴ糖という。具体的には、二糖類として、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクチュロース、スクロース、トレハロース、キシロビオース、メリビオース、パラチノース、プランテオビオース、ルチノース、プリメベロース、ビシアノース、ニゲロース、ラミナリビオース、ツラノース、コージビオース、ソホロース、キトビオース、ヒアロビオウロン酸、コンドロシン、セロビオウロン酸などがあり、三糖類として、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース、プランテオース、ケストース、マルトトリオース、パノース、イソマルトトリオースなどがあり、四糖類として、スタキオースなどがあり、五糖類として、ベルバスコースなどがある。環状構造を有するシクロデキストリンもオリゴ糖の一種である。また、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、ビートオリゴ糖、寒天オリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖など、その起源によってオリゴ糖を分類する場合もある。
本発明に用いるオリゴ糖は、偏光フィルムに含有させることで乾熱下における変色などの問題を抑える効果がみられるものであれば特に限定されないし、複数種組み合わせて使用してもよい。また、偏光フィルムに含有させることで乾熱下における変色などの問題を抑える効果がみられるものであれば、かかるオリゴ糖が複合糖質として存在しているものを用いても構わないし、かかるオリゴ糖を酵素処理したものを用いても構わない。オリゴ糖の純度も特に限定されない。さらに、オリゴ糖の効果を阻害しない範囲で、少量の安定化剤や防腐剤などの添加物を含有していても構わない。なお、オリゴ糖以外の糖類、例えば、グルコース(ぶどう糖)、フルクトース(果糖)、マンニトールなどの単糖類を偏光フィルムに含有させても、乾熱下における変色などを防止する効果は小さい。
オリゴ糖のなかでも好ましいものとして、トレハロースやイソマルトオリゴ糖を挙げることができる。トレハロースは、2分子のD−グルコースからなる非還元性二糖で、カビや酵母などに広く分布し、また、昆虫の体液中に多量に存在しているものである。結晶状態では、無色柱状の二水和物の形で存在していることが多い。
一方、イソマルトオリゴ糖は、澱粉の分岐構造であるα,1−6結合を有するオリゴ糖で、その構造故に分岐オリゴ糖とも呼ばれ、清酒、みりん、味噌、醤油などの発酵食品や蜂蜜などに天然成分として含まれている。その成分には、二糖類であるイソマルトース、三糖類であるイソマルトトリオース、パノースなどがある。
偏光フィルム中に含有されるオリゴ糖の量は、 0.01〜30重量%程度であり、好ましくは 0.1重量%以上、また好ましくは25重量%以下である。その量があまり少ないと、得られる偏光フィルムの乾熱下における変色などの問題を抑える効果が十分に発揮されない。また、その量があまり多くなると、偏光フィルムの物性に影響を及ぼす可能性がある。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルム中のオリゴ糖は、例えば、日本分光株式会社のインターネットホームページの“LC application data ”(現在のページアドレス:http://www.jasco.co.jp/Japanese/technical-inf/index.html)にコードナンバーとタイトルが記載され、同社から入手できる No. 610011H、610015H、610028H、610051H、及び 610053H のいずれかの資料に記載されている方法に準じて、偏光フィルムを溶媒に溶かすか、又は偏光フィルムからオリゴ糖を抽出し、その試料を液体クロマトグラフィーを用いて分析することで、定量できる。
オリゴ糖を含有させて得られる偏光フィルムは、その片面又は両面に保護フィルムを積層して偏光板とされる。保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースアセテート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリアリレート樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン樹脂フィルム、ノルボルネンのような環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂フィルムなどが挙げられる。保護フィルムの厚みは、通常10〜200μm 程度である。
また、この偏光板は、一方の表面、すなわち、保護フィルムの露出面に、反射防止層や防眩層、ハードコート層など、公知の各種機能性層を有していてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、例中に示す直交色相とは、偏光フィルムにその透過軸と直交する直線偏光光を入射したときの透過光の色相を意味する。
実施例1
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μm のポリビニルアルコールフィルムを乾式で延伸倍率5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま60℃の純水に1分間浸漬した。次に、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が 0.15/5/100の水溶液を染色浴として、そこに28℃で50秒間浸漬した。水洗後、D(+)−トレハロース二水和物(C122211・2H2O、分子量378.33、和光純薬工業(株)より入手)/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で10.4/8/9.5/100の水溶液(トレハロースとしては 9.4重量部含有に相当)をホウ酸処理浴として、そこに76℃で300秒間浸漬した。次に15℃の純水で30秒間洗浄した後、50℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向され、さらにトレハロースが吸着された偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムについて、以下の方法で、乾熱下における耐久性を評価した。
《耐久性の評価方法》
偏光フィルムの分光透過率τ(λ)を、分光光度計〔 (株)島津製作所製の“UV-2200”〕を用いて測定する。得られる分光透過率τ(λ)から直交色相L*、a*及びb* を求める。次に、この偏光フィルムを100℃の乾燥雰囲気に14時間放置して耐久性試験を行う。この耐久性試験後の偏光フィルムについて、改めて分光透過率τ(λ)を測定し、それから直交色相L*、a*及びb* を求める。耐久性試験前後の直交色相L*、a*及びb* から、下式(1)〜(3)に従ってそれぞれの差ΔL*、Δa*及びΔb* を求め、さらに、下式(4)に従って全体の色差ΔE* を求める。
ΔL*=(L*)after−(L*)before (1)
Δa*=(a*)after−(a*)before (2)
Δb*=(b*)after−(b*)before (3)
ここで、before は耐久性試験前の値、after は耐久性試験後の値である。
ΔE*={(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2}1/2 (4)
そして、直交色相b*の差Δb* と全体の色差ΔE*の値が大きいほど、乾熱下における変色の度合いが大きいものと判断した。結果を表1に示す。
実施例2
ホウ酸処理浴を、イソマルトオリゴ糖(商品名“イソマルト500”、日研化成(株)より入手)/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で9.5/18/9.5/100の水溶液とし、そこに、ヨウ素染色後のフィルムを76℃で300秒間浸漬した後、15℃の純水で2秒間洗浄した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向され、さらにイソマルトオリゴ糖が吸着された偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムについて、実施例1と同様の方法で評価し、結果を表1に示した。
比較例1
実施例1で用いたのと同じポリビニルアルコールフィルムを同じ条件で一軸延伸し、純水への浸漬を行った後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が 0.15/5/100の水溶液を染色浴として、そこに28℃で30秒間浸漬した。水洗後、D(+)−グルコース(単糖の一種、和光純薬工業(株)より入手)/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で
9.5/9/9.5/100の水溶液をホウ酸処理浴として、そこに76℃で300秒間浸漬した。次に、15℃の純水で2秒間洗浄した後、50℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向され、さらにグルコースが吸着された偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムについて、実施例1と同様の方法で評価し、結果を表1に示した。
比較例2
ヨウ素染色を28℃で65秒間行い、ホウ酸処理浴を、D(−)−フルクトース(単糖の一種、和光純薬工業(株)より入手)/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で 9.5/9/9.5/100 の水溶液とした以外は、比較例1と同様の操作を行い、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向され、さらにフルクトースが吸着された偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムについて、実施例1と同様の方法で評価し、結果を表1に示した。
比較例3
ヨウ素染色を28℃で65秒間行い、ホウ酸処理浴を、D(−)−マンニトール(単糖の一種、和光純薬工業(株)より入手)/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で 9.5/
15.5/9.5/100の水溶液とした以外は、比較例1と同様の操作を行い、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向され、さらにマンニトールが吸着された偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムについて、実施例1と同様の方法で評価し、結果を表1に示した。
比較例4
実施例1で用いたのと同じポリビニルアルコールフィルムを同じ条件で一軸延伸し、純水への浸漬を行った後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が 0.15/5/100の水溶液を染色浴として、そこに28℃で35秒間浸漬した。水洗後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で10.5/9.5/100の水溶液をホウ酸処理浴として、そこに76℃で300秒間浸漬した。次に、D(−)−マンニトール(単糖の一種、和光純薬工業(株)より入手)/水が重量比で10/100の水溶液を用い、15℃で10秒間洗浄した後、50℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向され、さらにマンニトールが吸着された偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムについて、実施例1と同様の方法で評価し、結果を表1に示した。
比較例5
ヨウ素染色を28℃で52秒間行い、その後のホウ酸処理浴にオリゴ糖を添加せず、その組成をヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が 9/9.5/100の水溶液とし、そこに76℃で300秒間浸漬し、次に15℃の純水で2秒間洗浄した以外は、実施例1と同様の操作を行い、偏光フィルムを作製した。得られた偏光フィルムについて、実施例1と同様の方法で評価し、結果を表1に示した。
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
例 No. 添加物(糖) 糖の種類 被添加槽 糖の Δb* ΔE*
添加量*1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 トレハロース オリゴ糖 ホウ酸浴 9.4部 0.64 1.72
─────────────────────────────────────
実施例2 イソマルトオリゴ糖 オリゴ糖 ホウ酸浴 9.5部 0.75 2.04
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
比較例1 グルコース 単糖 ホウ酸浴 9.5部 4.50 9.74
─────────────────────────────────────
比較例2 フルクトース 単糖 ホウ酸浴 9.5部 2.90 6.59
─────────────────────────────────────
比較例3 マンニトール 単糖 ホウ酸浴 9.5部 2.08 5.00
─────────────────────────────────────
比較例4 マンニトール 単糖 水洗用の水 10 部 3.30 6.23
─────────────────────────────────────
比較例5 な し − − − 4.32 9.54
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
*1 糖の添加量:水100重量部に対する重量部
表1に示すとおり、本発明に従ってオリゴ糖を含有させた実施例1及び2の偏光フィルムは、乾熱下での耐久性試験後も色相変化が少なく、耐久性に優れている。

Claims (6)

  1. ヨウ素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなり、該ポリビニルアルコール系樹脂フィルムがさらに、オリゴ糖を含有することを特徴とするヨウ素系偏光フィルム。
  2. オリゴ糖がトレハロースである請求項1に記載のヨウ素系偏光フィルム。
  3. オリゴ糖がイソマルトオリゴ糖である請求項1に記載のヨウ素系偏光フィルム。
  4. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、該ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液中で染色する工程、及び染色後の該ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬処理する工程を経て、ヨウ素系偏光フィルムを製造する方法であって、上記のヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液及びホウ酸を含む水溶液のいずれか少なくとも一つに、オリゴ糖を溶解含有させることを特徴とする、ヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  5. ホウ酸を含む水溶液がオリゴ糖を含有し、ヨウ素染色後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを該水溶液に浸漬処理する請求項4に記載の方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のヨウ素系偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムが貼合されてなることを特徴とするヨウ素系偏光板。
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