JP2020050857A - プロピレン系樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

プロピレン系樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プロピレン系樹脂組成物の物性を損なわず、かつ、煩雑な工程を追加せずに、高温低湿環境下において良好な帯電防止性能を保持しつつ成形体を得ることができるプロピレン系樹脂成形体の製造方法を提供する。【解決手段】プロピレン系重合体100重量部に対し、分子中に下記式(4)にて表される原子団1個と炭素数5〜28の直鎖型炭化水素基を最小限1個有する半極性有機化合物の少なくとも1種と、分子中に塩基性窒素原子団1個と炭素数5〜28の直鎖型炭化水素基を最小限1個有する塩基性有機化合物の少なくとも1種とからなるドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)を0.01〜3重量部含有してなるプロピレン系樹脂組成物を用いて、温度60〜160℃の雰囲気下での製造工程を経て成形体を得ることを特徴とするプロピレン系樹脂成形体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、特に高温低湿環境下でのプロピレン系樹脂成形体の製造方法に関する。詳しくは、高温低湿環境下において、プロピレン系重合体に対し特定の構造を有する帯電防止剤を含有してなるプロピレン系樹脂組成物を用い、原材料フィーダーや成形機器の内部壁などに原材料パウダーやペレット等が付着することなく良好な流動性を保持しつつ、成形体を得ることができるプロピレン系樹脂成形体の製造方法に関する。
プロピレン系樹脂は、耐熱性、成形性、透明性、耐薬品性に優れるという特徴により、各種工業材料、各種容器、日用品、フィルム及び繊維など様々な用途に幅広く使用されている。
近年、プロピレン系樹脂を用い様々な製造方法にて成形体が得られている。その中で、高温低湿環境下で原材料プロピレン系樹脂パウダーやペレット、プロピレン系樹脂粒子体などの微小な粉粒体等を用いた成形加工を実施する機会が多くある。例えば、タルクなどのフィラーを含有するプロピレン系樹脂ペレットを使用する場合、フィラー内に含有されやすい水分を除去するため、成形前に80〜100℃程度で乾燥させることが一般的に行われている。また、パウダースラッシュ工法などにおける原材料としてプロピレン系樹脂粒子を用いる場合、成形機器内部が高温低湿環境となる。さらに、物性や寸法精度などの成形体の品質を改善するため、成形体を80〜120℃程度でアニーリング(熱処理)することも一般的に行われている。
それらの場合、プロピレン系樹脂は絶縁材料であるため帯電し、成形時に成形機器のフィーダーやホッパー、配管、機器内部等に付着し、閉塞や汚染の原因となったり歩留りを悪化させたりするため、改善が求められている。
一般的にプロピレン系樹脂の帯電を防ぐ手法として、帯電防止剤の添加が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、好適に用いられるグリセリンモノエステル、アルコール、アルキルアミン等の帯電防止剤は、樹脂内部から表面上に移行した後に吸収する湿気により導電性を発現させるという機構で帯電防止機能を発現するため、高温低湿環境下では十分に機能しないという問題があった。また、湿気によらないポリマー型帯電防止剤としてポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体系の帯電防止剤も市販されているが(例えば、特許文献1参照。)、帯電防止効果を発現させるためには5重量部を超えて添加する必要があり、弾性率の低下や色相の悪化、コスト上昇などの問題があった。
ポリマー型帯電防止剤としては、上記の他にホウ素系化合物が知られている。特許文献2においては、ホウ素系化合物を塗布、噴霧することにより、低湿度環境下においても帯電防止効果を発現する発泡成形体が開示されている。しかし、この方法では塗布・噴霧・乾燥の工程が増えるため生産に要する時間やコストが増大するという問題がある。
特許第5681419号公報 特開2014−193949号公報
ポリプロピレンハンドブック (株)工業調査会 1998年発行
本発明の目的は、かかる従来技術の状況において、プロピレン系樹脂組成物の物性を損なわず、かつ、煩雑な工程を追加せずに、高温低湿環境下において良好な帯電防止性能を保持しつつ成形体を得ることができるプロピレン系樹脂成形体の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、プロピレン系重合体に特定の帯電防止剤を所定の割合で含有させることにより、プロピレン系樹脂組成物の物性を損なわず、かつ、煩雑な工程を追加せずに、高温低湿環境下において良好な帯電防止性能を保持しつつ成形体を得ることができるプロピレン系樹脂成形体の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のプロピレン系樹脂成形体の製造方法を提供するものである。
[1]プロピレン系重合体(a)100重量部に対し、分子中に下記式(1)にて表される原子団1個と炭素数5〜28の直鎖型炭化水素基を最小限1個有する半極性有機化合物の少なくとも1種と、分子中に塩基性窒素原子団1個と炭素数5〜28の直鎖型炭化水素基を最小限1個有する塩基性有機化合物の少なくとも1種とからなるドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)を0.01〜3重量部含有してなるプロピレン系樹脂組成物を用いて、温度60〜160℃の雰囲気下での製造工程を経て成形体を得ることを特徴とする、プロピレン系樹脂成形体の製造方法。
[2]ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)が、下記式(2)で表される化合物又は式(3)で表される化合物である、[1]に記載のプロピレン系樹脂成形体の製造方法。









(式中、R及びRは、それぞれ独立して、RCO−OCH−又はHOCH−で、かつ、少なくとも一方がRCO−OCH−であり、R及びRは、それぞれ独立して、CH−、C−、HOCH−、HOC−又はHOCHCH(CH)−であり、Rは、−C−又は−C−であり、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数11〜21のアルキルである。)
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、RCO−OCH−又はHOCH−で、かつ、少なくとも一方がRCO−OCH−であり、R及びRは、それぞれ独立して、CH−、C−、HOCH−、HOC−又はHOCHCH(CH)−であり、Rは、−C−又は−C−であり、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数11〜21のアルキルである。)
[3]相対湿度0〜30%の雰囲気下での製造工程を経て成形体を得る、[1]又は[2]に記載のプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
[4]温度70〜120℃の雰囲気下での製造工程を経て成形体を得る、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造方法は、プロピレン系樹脂組成物の物性を損なわず、かつ、煩雑な工程を追加せずに、高温低湿環境下において良好な帯電防止性能を保持しつつ成形体を得ることができるため非常に有用である。
本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造方法は、プロピレン系重合体(a)100重量部に対し、ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)を0.01〜3重量部含有してなるプロピレン系樹脂組成物を用いて、温度60〜160℃の雰囲気下での製造工程を経て成形体を得ることを特徴とする。
以下、本発明におけるプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びプロピレン系樹脂成形体の製造方法について、詳細に説明する。
[1]プロピレン系樹脂組成物を構成する成分
(1)プロピレン系重合体(a)
(i)プロピレン系重合体(a)のメルトフローレート(MFR)
本発明で用いられるプロピレン系重合体(a)のMFRは特に限定されないが、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFR)の下限が好ましくは0.1g/10分、より好ましくは0.2g/10分、さらに好ましくは0.3g/10分である。また上限は500g/10分が好ましく、300g/10分がより好ましく、100g/10分がさらに好ましい。メルトフローレート(MFR)が下限以上では、成形加工性の向上をもたらし製品として満足できるものが得られる。また、上限以下であると、機械的強度の向上がもたらされる。
メルトフローレート(MFR)は、プロピレン系重合体(a)の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法における水素添加量を制御したりすることにより、容易に調整を行なうことができる。
(ii)プロピレン系重合体(a)の構成
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピレン系重合体(a)は、特に制限はないが、プロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとからなるプロピレン系ランダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンとからなるプロピレン系ブロック共重合体やその混合物である。
プロピレン系重合体(a)は、剛性の観点では単独重合体が望ましく、透明性や耐衝撃性の観点ではプロピレンとα−オレフィンとからなるランダム共重合体が望ましく、耐衝撃性の観点ではプロピレンとα−オレフィンとからなるブロック共重合体が望ましい。共重合に用いられるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは1種類でも2種類以上用いてもよい。このうちエチレン、1−ブテンが好適である。エチレンがより好適である。また、これらプロピレン系重合体は、2種以上混合して使用してもよい。
(iii)プロピレン系重合体(a)の触媒
本発明に用いるプロピレン系重合体(a)にあっては、プロピレン系重合体(a)を製造するために用いる触媒としては、特に限定されないが、立体規則性触媒を使用する方が好ましい。立体規則性触媒としては、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。
チーグラー触媒としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、さらにそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては、担持型のものが好ましい。
担持型メタロセン触媒の特に好ましい例としては、担体が助触媒の機能を兼ねたイオン交換性層状ケイ酸塩が挙げられる。具体的には、以下に述べる成分[A]、成分[B]及び必要に応じて添加される成分[C]を組み合わせて得られる。
・成分[A]メタロセン錯体
共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期表第4〜6族の遷移金属化合物
・成分[B]助触媒
イオン交換性層状ケイ酸塩
・成分[C]有機アルミニウム化合物
・成分[A]メタロセン錯体
上記の成分[A]としては、具体的には、次の式[I]で表される化合物を使用することができる。
Q(C4−a )(C4−b )MXY ・・・[I]
式[I]において、Qは、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を表す。
Mは、周期表第4〜6族遷移金属を表し、中でもチタン、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
X及びYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基又は炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を示す。
及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のR又は2個のRがそれぞれ結合してC〜C10環を形成していてもよい。特には、6員環、7員環を形成して、上記共役五員環と共に、インデン環、アズレン環を形成することが好ましい。
a及びbは、0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。
2個の共役五員環配位子の間を架橋する結合性基Qは、例として、アルキレン基、アルキリデン基、シリレン基、ゲルミレン基等が挙げられる。これらは水素原子がアルキル基、ハロゲン等で置換されたものであってもよい。特には、シリレン基が好ましい。
メタロセン錯体として、具体的には次の化合物を好ましく挙げることができる。
(1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(4)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(5)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(6)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド
(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド
(8)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(10)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(11)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド
(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(14)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド
(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド
(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(17)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(18)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(20)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(21)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド
(22)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド
(23)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(24)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても上記と同様の化合物が好ましく挙げられる。本発明に用いるプロピレン系重合体(a)を製造するための触媒成分及び触媒については、これらの化合物を併用してもよい。
・成分[B]助触媒(イオン交換性層状ケイ酸塩)
イオン交換性層状ケイ酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。イオン交換性層状ケイ酸塩として粘土化合物を使用することができ、粘土化合物の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(ア)1:1型構造が主要な構成層であるディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族
(イ)2:1型構造が主要な構成層であるモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群
本発明で使用する珪酸塩は、上記(ア)、(イ)の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。
本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることがさらに好ましく、モンモリロナイトであることが特に好ましい。
これら珪酸塩を酸、塩、アルカリ、酸化剤、還元剤、有機溶剤などで化学処理することにより活性向上を図ることができる。
酸処理は、イオン交換性層状珪酸塩粒子の表面の不純物を除く、又は層間陽イオンの交換を行うほか、結晶構造のAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などが挙げられるが、好ましくは無機酸、特に好ましくは硫酸である。
酸処理条件に特に制限はないが、好ましくは5〜50重量%の酸の水溶液を60〜100℃の温度で1〜24時間反応させるような条件であり、その途中で酸の濃度を変化させてもよい。酸処理した後、通常洗浄が行われる。洗浄とは処理系内に含まれる酸をイオン交換性層状珪酸塩から分離除去する操作である。
塩類処理で用いられる塩類としては、特定の陽イオンを含有するものを選択して使用することが好ましい。陽イオンの種類については1から4価の金属陽イオンが好ましく、特にLi、Ni、Zn、Hfの陽イオンが好ましい。
具体的な塩類としては、次のものを例示することができる。
陽イオンがLiのものとしては、LiCl、LiBr、LiSO、Li(PO)、Li(ClO)、Li(C)、LiNO、Li(OOCCH)、Li(C)等を挙げることができる。
陽イオンがNiのものとしては、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等を挙げることができる。
陽イオンがZnのものとしては、Zn(OOCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnI等を挙げることができる。
陽イオンがHfのものとしては、Hf(OOCCH、Hf(CO、Hf(NO、Hf(SO、HfOCl、HfF、HfCl、HfBr、HfI等を挙げることができる。
化学処理後は、乾燥を行うが、一般的には、乾燥温度は100〜800℃で実施可能であり、構造破壊を生じるような高温条件(加熱時間にもよるが、例えば800℃以上)は好ましくない。構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。乾燥時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜4時間であり、雰囲気は乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下である。乾燥方法に関しては特に限定されず各種方法で実施可能である。
・成分[C]有機アルミニウム化合物
成分[C]の有機アルミニウム化合物は、必要に応じて任意的に使用される成分であり、下記式[II]で示される化合物が最適である。
(AlR 3−p・・・[II]
式[II]中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。pは1〜3の整数、qは1〜2の整数である。
としては、アルキル基が好ましく、またXは、それがアルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が好ましい。
これらのうち、好ましくは、p=3、q=1のトリアルキルアルミニウム及びp=2、q=1のジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
有機アルミニウム化合物は、単独又は複数種混合して、又は併用して使用することができる。また、有機アルミニウム化合物は、触媒調製時だけでなく、予備重合又は本重合時にも添加して使用することができる。
(iv)プロピレン系重合体(a)の製造方法
プロピレン系重合体(a)の製造方法としては、特に限定されないが、上記立体規則性触媒を使用する重合方法が好ましい。立体規則性触媒としては、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。チーグラー触媒を使用してプロピレンを単独重合又はプロピレンとα−オレフィンとを共重合することによってチーグラー系プロピレン系重合体を製造することができる。メタロセン触媒を使用してプロピレンを単独重合又はプロピレンとα−オレフィンとを共重合することによってメタロセン系プロピレン系重合体を製造することができる。メタロセン触媒を使用した方が低揮発性のプロピレン系重合体が得られるのでより好ましい。
プロピレン系重合体(a)の製造方法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー重合法、溶液重合法、実質的に溶媒を用いない気相重合法、重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等の重合方法が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素中で行うことができる。バルク重合法の場合には、液状の重合モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧(0.10〜6.08MPa)が好ましく、また得られるプロピレン系重合体(a)の分子量の調節は、水素又は他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
メタロセン触媒を用いる場合は、本重合が行われる前に予備重合処理することが望ましい。予備重合に供されるモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、1,3−ブタジエン等のジエン化合物、スチレン、ジビニルベンゼン等のビニル化合物を用いることができる。
この予備重合は、不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体触媒(成分[A]と成分[B]の合計)1gあたり、0.01〜1,000g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成するように行うことが望ましい。
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、又は不存在下に行われる。本発明においては、固体触媒(固体触媒を予備重合処理した場合は、予備重合で生成した重合体を含まない。)当たりのポリマー生成量をできるだけ大きくすることが望ましい。ポリマー生成量を大きくするために、重合温度、重合圧力はいずれも高めに設定することが望ましい。
通常、重合温度は60〜90℃、重合圧力は1.5〜4MPa程度から選択される。特に、バルク重合法の場合、重合温度は60〜80℃で、重合圧力は温度と相関して2.5〜4MPa程度から選択することが好ましい。一方、気相重合法の場合は、重合温度は70〜90℃で、1.5〜4MPa程度から選択することが好ましい。
さらに、固体触媒の滞留時間を長くすることによっても、固体触媒当たりのポリマー生産量を上げることが可能であるが、あまり長くし過ぎると生産性に影響を与える。好ましい滞留時間は、1〜8時間、さらに好ましくは1〜6時間である。担体を含めた固体触媒1gあたりのポリマー生産量は20kg以上、好ましくは25kg以上、さらに好ましくは30kg以上となるように、重合条件を設定することが望ましい。
また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。さらに、重合温度、分子量調節剤の濃度等を変えて多段階で重合させてもよい。
本発明においては、重合終了後、得られたプロピレン系重合体(a)を、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの不活性飽和炭化水素溶剤や液状α−オレフィンなどを用いて、さらに好ましくは炭素数3又は4の不活性炭化水素溶剤や液状α−オレフィンを用いて、洗浄を行ってもよい。
洗浄方法としては、特に制限はなく、撹拌槽での接触処理後上澄みのデカンテーション、向流洗浄、サイクロンによる洗浄液との分離など、公知の方法を用いることができる。
また、洗浄前又は洗浄と同時に、失活剤を添加してもよい。失活剤に関しては、特に制限はなく、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類など、又はこれらの混合物を用いることができる。
(v)プロピレン系重合体(a)の分子量分布(Mw/Mn)及び重量平均分子量(Mw)
本発明に用いるプロピレン系重合体(a)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる分子量分布〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕は1.5〜4.0が好ましい。
分子量分布の下限は好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上であり、上限は好ましくは3.8以下、より好ましくは3.5以下である。
分子量分布の下限が一定以上であると、プロピレン系重合体(a)の製造や精製の条件範囲が広がるため生産効率が向上し好ましい。また、上限が一定以下であると、分子鎖の長さが非常に揃っていることを示し、揮発性成分の発生の原因になると考えられる未反応モノマー、ダイマー、低分子量化合物、非晶質成分、オリゴマーなどの、比較的低分子量の成分の含有量が少なくなるため好ましい。
また、本発明に用いるプロピレン系重合体(a)の重量平均分子量(Mw)は、10万〜60万の範囲であることが好ましい。重量平均分子量Mwが60万以下であると成形が容易になる。一方、重量平均分子量Mwが10万以上では、低結晶成分が減少し、金型汚染、ブリードアウト、溶媒溶出等を抑制する上、成形体の耐衝撃性が向上するため、実用的である。
(2)ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)
分子中に下記式(1)にて表される原子団1個と炭素数5〜28の直鎖型炭化水素基を最小限1個有する半極性有機化合物(以下、半極性有機化合物と称する)の少なくとも1種と、分子中に塩基性窒素原子団1個と炭素数5〜28の直鎖型炭化水素基を最小限1個有する塩基性有機化合物(以下、塩基性有機化合物と称する)の少なくとも1種とを均一混合させた組成物よりなることを特徴とするドナー・アクセプター系帯電防止剤である。
これは従来から用いられている帯電防止剤とは異なりドナー化合物、アクセプター化合物共に最小限1個の直鎖型炭化水素基を有するものの組み合わせを以ってポリプロピレン高分子マトリックスと多重的にファンデルワールス力を作用させて、帯電防止効能を担うクーロン力発現部分を長期に安定存在させるものである。電子伝導を基礎としたドナー・アクセプターハイブリッド形式の化合物は古くから知られているが、それらは本発明に用いるドナー・アクセプター系帯電防止剤とは機構も構造も全く異なっている。
そして、本発明において好ましく用いられる半極性有機化合物とは、隣接ヒドロキシ基を残存している状態の多価アルコールと直鎖型脂肪酸との間のエステルの残存している隣接ヒドロキシ基に対してホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルを反応させるか、隣接ヒドロキシ基を有する直鎖型炭化水素化合物に対して、ホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルを反応させるか、又は、隣接ヒドロキシ基を有する3価以上の多価アルコールとホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルを反応させた後に残存しているヒドロキシ基に対して、直鎖型脂肪酸を反応させることにより得られるものであり、この反応で得られたものはファンデルワールス力の強い固体である点に特徴を有している。
本発明における半極性有機化合物(ホウ酸エステル形錯体)に用いる多価アルコール又は多価アルコールの脂肪酸部分エステルの好ましい例としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン、炭素数14〜24の1,2−アルカンジオール、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのポリペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシエチレンソルビタンなどの多価アルコール、グリセリン高級脂肪酸モノエステル、ジグリセリン高級脂肪酸モノエステル、トリグリセリン高級脂肪酸モノエステル、テトラグリセリン高級脂肪酸モノエステルなどのポリグリセリン高級脂肪酸モノエステル、ソルビトール高級脂肪酸モノエステル、ソルビタン高級脂肪酸モノエステル、ショ糖高級脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステル、ジペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステル、トリペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステルなどのポリペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステル、トリメチロールエタン高級脂肪酸モノエステル、トリメチロールプロパン高級脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレングリセリン高級脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸モノエステルなどの多価アルコールの高級脂肪酸部分エステル(高級脂肪酸としてはヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、エルカ酸など)を例示できる。特にグリセリン高級脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステルが好ましい。
また、本発明において好ましく用いられる塩基性有機化合物は、直鎖型炭化水素基を最小限1個有するN−アルキル置換一級、二級及び三級アミンそのままか、直鎖型炭化水素基を最小限1個有する一級及び二級アミンに対してエチレンオキシドを付加して、N−ヒドロキシエチル置換基を結合させたものか、さらに、その末端ヒドロキシ基に対して直鎖型脂肪酸を反応させたものか、若しくは、アンモニアと直鎖型炭化水素のエポキシ化物とを反応させてつくられる直鎖型2−ヒドロキシ脂肪族アミンそのままか、又は、一級及び二級の直鎖型2−ヒドロキシ脂肪族アミンに対してエチレンオキシドを付加して、N−ヒドロキシエチル置換基を結合させたものか、若しくは、ポリアルキレンポリアミン中のアミノ基を1個残存させるようなモル比で、ポリアルキレンポリアミンと直鎖型脂肪酸を反応させて、他のアミノ基を全て脂肪酸アミド化したもの等であり、特色としては、前記半極性有機化合物と同様に、ファンデルワールス力の強い固体である。
本発明における塩基性有機化合物(脂肪族アミン)の好ましい例としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココアミン、タロウアミン、ソイアミン、N,N−ジココアミン、N,N−ジタロウアミン、N,N−ジソイアミン、N−ラウリル−N,N−ジメチルアミン、N−ミリスチル−N,N−ジメチルアミン、N−パルミチル−N,N−ジメチルアミン、N−ステアリル−N,N−ジメチルアミン、N−ココ−N,N−ジメチルアミン、N−タロウ−N,N−ジメチルアミン、N−ソイ−N,N−ジメチルアミン、N−メチル−N,N−ジタロウアミン、N−メチル−N,N−ジココアミン、N−オレイル−1,3−ジアミノプロパン、N−タロウ−1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、N−ラウリル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−パルミチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ステアリル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ドコシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ココ−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−タロウ−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ソイ−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N−ミリスチル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N−ステアリル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N−ココ−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジココ−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジタロウ−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジソイ−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−ラウリル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−ステアリル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−オレイル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−ココ−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(ポリオキシエチレン)−N−ラウリル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(ポリオキシエチレン)−N−ステアリル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(ポリオキシエチレン)−N−オレイル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(ポリオキシエチルン)−N−ココ−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)トリデシルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)パルミチルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ドコシルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタコシルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ココアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアミノベタイン、
ヘキサメチレンテトラミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)トリデシルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)パルミチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ドコシルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)オクタコシルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ココアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)タロウアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)トリデシルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)パルミチルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ドコシルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)オクタコシルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ココアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)タロウアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)トリデシルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)パルミチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ドコシルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタコシルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ココアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアミンなどのN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)脂肪族アミン、該N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)脂肪族アミンとラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸などの脂肪酸とのモノ若しくはジエステル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレンココアミノエーテル、ポリオキシエチレンタロウアミノエーテルなどのポリオキシエチレン脂肪族アミノエーテル、該ポリオキシエチレン脂肪族アミノエーテルと前記脂肪酸とのモノ若しくはジエステル、
N−(ラウロイルオキシエチル)−N−(ステアロイルオキシエトキシエチル)ステアリルアミン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ジアミノヘキサン、N−ラウリル−N,N’,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N−ステアリル−N,N’,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N−ココ−N,N’,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N−タロウ−N,N’,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジココ−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジタロウ−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N−ココ−N,N’,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ジアミノヘキサン、N−タロウ−N,N’,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ジアミノヘキサン、N,N−ジココ−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ジアミノヘキサン、N,N−ジタロウ−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ジアミノヘキサン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシラウリルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシミリスチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシパルミチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシステアリルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシラウリルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシミリスチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシパルミチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシステアリルアミン、2,2’−ビス(ラウリン酸アミド)ジエチルアミン、2,2’−ビス(ミリスチン酸アミド)ジエチルアミン、2,2’−ビス(パルミチン酸アミド)ジエチルアミン、2,2’−ビス(ステアリン酸アミド)ジエチルアミン、N−(2−(ラウリン酸アミド))エチル−N−(2’−(ステアリン酸アミド))エチルアミン、N−(2−(ミリスチン酸アミド))エチル−N−(2’−(ステアリン酸アミド))エチルアミン、N−(3−(ラウリン酸アミド))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(ミリスチン酸アミド))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(パルミチン酸アミド))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(ステアリン酸アミド))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(ラウロイルオキシ))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(ミリストイルオキシ))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(パルミトイルオキシ))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(ステアロイルオキシ))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N,N−ビス(3−(ラウリン酸アミド)プロピル)メチルアミン、N,N−ビス(3−(ミリスチン酸アミド)プロピル)メチルアミン、N,N−ビス(3−(パルミチン酸アミド)プロピル)メチルアミン、又はN,N−ビス(3−(ステアリン酸アミド)プロピル)メチルアミンなどを例示できる。
本発明におけるドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)の一例として、 式(4)〜式(11)に示す。
例として挙げた上記式(4)〜(11)は、上段の半極性有機ホウ素化合物部分をドナー成分とし、下段の三級アミン部分をアクセプター成分とし、両者をモル比約1:1で反応させたドナー・アクセプター系帯電防止剤であり、前記ドナー成分の、「δ+」は分子内の共有結合中に極性が存在していることを示し、(+)は酸素原子の電子供与性が強くなっていることを示し、(−)はホウ素原子の電子吸引性が強くなっていることを示し、「→」は電子が引き付けられる経路を示し、「−−−−」は原子間結合力が弱められた状態を示す。
ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)は、プロピレン系重合体(a)と混合する前に、予めドナー成分とアクセプター成分をモル比約1:1で混合溶融して反応させることにより作製しておくことが好ましい。予め反応させることなく、プロピレン系重合体(a)にドナー成分とアクセプター成分を別々に混合しただけでは、混合物中で両成分が反応する機会は非常に少ないため、前記分子化合物がほとんど形成されず、本発明の効果を得られにくくなる。また、両成分の混合モル比は1:1に近いほど好ましく、混合モル比の範囲は1:0.8〜1:1.25程度であれば、分子化合物が十分に形成されるので、本発明の効果が得られやすくなり好ましい。
プロピレン系重合体(a)100重量部に対して、ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)の含有量は、0.01〜3重量部である。0.01重量部以上であると十分な帯電防止効果及び酸化安定性が得られ、3重量部以下であると、成形体表面付近に存在するボロン成分の懸念がない。特に半導体関連の部品に使用する場合、ボロンやリンはドープ剤として用いられる成分であり、この成分が成形体の表面付近に存在することは好ましくない。
ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)の含有量の下限は、好ましくは0.1重量部、より好ましくは0.2重量部、さらに好ましくは0.3重量部以上、特に好ましくは0.5重量部以上である。また、ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)の含有量の上限は好ましくは2重量部、より好ましくは1重量部、さらに好ましくは0.8重量部である。
この様なドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、(株)ボロン研究所製商品名:ビオミセルBN−105(上記式(2)で表される化合物、mC4281B+nC2348ON、製品安全データシート参照)やビオミセルBN−77(上記式(3)で表される化合物、mC4281B+nC2347N、製品安全データシート参照)を挙げることができる。
上記のうち、温度80℃以上の雰囲気下での製造工程を経る場合においては、ビオミセルBN−105を用いる方が、帯電防止効果の安定性に優れており好ましい。
(3)酸化防止剤
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物には、各種フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びチオ系酸化防止剤をさらに含有することが可能である。具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレ−ト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤を好ましく挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤の好ましい含有量は、プロピレン系重合体(a)100重量部に対し、0.02〜0.2重量部の範囲である。フェノール系酸化防止剤の含有量が0.02重量部以上であると、熱によるプロピレン系重合体の劣化を防止でき、揮発性成分量が増加するのを抑制できるため好適である。フェノール系酸化防止剤の含有量が0.2重量部以下であると、酸化防止剤に由来するアウトガスの発生が抑制され、製造費用が抑制され、製品の色合いも良好となるため好適である。また、含有量が0.2重量部以下であると、ブルーミングにより、半導体内容物を直接汚染することが抑制され、揮発性成分として認識されることもないので好適である。
また、フェノール系酸化防止剤の含有量(重量部)の下限は、プロピレン系重合体(a)100重量部に対し、下記式を満足するように調整されていることが望ましい。
3×10−3B−0.67
(但し、単位は重量部、Bは成形温度(℃)である。また、0.02未満の値は、0.02とする。)
これは、射出成形法において、成形体として電子機器部品搬送ケースを得る際、該ケースが大きいものや薄肉のもの、複雑な形状の場合、成形温度を高くする必要がある。しかし、成形温度が高温であるほど熱劣化は促進され、揮発性成分が増加するため、フェノール系酸化防止剤は多く必要となる。反面、フェノール系酸化防止剤を多く含有するほど、色相は悪化する場合がある。そこで、製品の実用上要求される成形性、揮発性成分量及び色相を考慮したときに、上記式で表されるフェノール系酸化防止剤の含有量が最も効果的となる。なお、ここで成形温度は、(射出)成形機のシリンダー設定温度をさす。
さらに、耐NOxガス変色性が良好な下記式(12)や下記式(13)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等のラクトン系酸化防止剤、下記式(14)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
(4)その他添加剤
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物においては、上述した成分に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている紫外線吸収剤、光安定剤、中和剤、核剤等の添加剤を配合することができる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
中和剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、ハイドロタルサイト(商品名:DHT−4A、協和化学工業(株)製の下記式(15)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(商品名、水澤化学工業(株)製の下記式(16)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO …(15)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[AlLi(OH)X・mHO …(16)
[式中、Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
核剤としては、有機燐酸エステル金属塩、有機モノカルボン酸金属塩、有機ジカルボン酸金属塩、ポリマー核剤、ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体、ジテルペン酸類の金属塩、トリアミノベンゼン誘導体等が使用される。
上記有機燐酸エステル金属塩としては、例えば、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[(2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フオスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等が例示される。
上記有機モノカルボン酸金属塩としては、例えば、安息香酸、アリル置換酢酸、等の金属の塩であり、具体的には、安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、o−第3級ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、モノフェニル酢酸、ジフェニル酢酸、フェニルジメチル酢酸、アジピン酸及びこれらのLi、Na、Mg、Ca、Ba、Al塩、等が例示される。上記有機ジカルボン酸金属塩としては、例えば、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、シクロヘキサンカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸及びこれらのLi、Na、Mg、Ca、Ba、Al塩などを挙げることができる。上記ポリマー核剤としては、例えば、ポリビニルシクロヘキサン、ポリ−3−メチル−1−ブテン等が例示される。
上記ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体としては、例えば、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールなどを例示することができる。好ましくは、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトール等が例示される。
上記ジテルペン酸類の金属塩は、ジテルペン酸類とマグネシウム化合物、アルミニウム化合物等の所定の金属化合物との反応生成物である。ジテルペン酸は、一般に、マツ科植物から得られる天然樹脂として知られているロジン、具体的には、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジン;及び前記天然ロジンや変性ロジンの精製物などを原料として得られる。ジテルペン酸類としては、例えば、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などが挙げられる。
上記トリアミノベンゼン誘導体としては、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[シクロヘキシルカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[4−メチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,4−ジメチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,5−ジメチルベンゾイルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[シクロペンタンカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[1−アダマンタンカルボニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−メチルプロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−エチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[2−シクロヘキシル−アセチルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[3−シクロヘキシル−プロピオニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[4−シクロヘキシル−ブチリルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス[5−シクロヘキシル−バレロイルアミノ]ベンゼン、1−イソブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、2,2−ジメチルブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、3,3−ジメチルブチリルアミノ−3,5−ビス[ピバロイルアミノ]ベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−(2,2−ジメチル−ブチリル)アミノベンゼン、1,3−ビス[イソブチリルアミノ]−5−(3,3−ジメチル−ブチリル)アミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−イソブチリルアミノベンゼン、1,3−ビス[2,2−ジメチルブチリルアミノ]−5−(3,3−ジメチルブチリル)−アミノベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−ピバロイルアミノ−ベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−イソブチリル−アミノベンゼン、1,3−ビス[3,3−ジメチルブチリルアミノ]−5−(2,2−ジメチル−ブチリルアミノ)アミノベンゼン又は、1,3,5−トリス[3−(トリメチルシリル)プロピオニルアミノ]ベンゼンを挙げることができる。この中では、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼンが好ましい。
これらのうち、好ましい核剤は、有機燐酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体、トリアミノベンゼン誘導体である。なお、これら核剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、その他に、既知の各種添加剤、例えば、滑剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、染料、顔料等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物の性質、機能、透明性などの特性を損なわない範囲で、プロピレン系重合体(a)以外の他の重合体、例えば、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、アクリレート重合体、のような単独重合体、二元又は三元共重合体を、プロピレン系重合体(a)100重量部に対して、1〜30重量部を任意に配合することができる。同様に、天然ゴム、ブチルゴム、ジエン系ゴム、EPM、EPDM、EBM、EHM、EOM、PBMのような、エラストマーを配合することも可能である。さらに、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、石膏、マイカ、のような汎用の無機フィラーを併用することも可能である。
[2]プロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(a)、ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)及び、必要に応じて他の添加剤の各所定量を、タンブラー、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合することにより粉末状のプロピレン系樹脂組成物として得ることができる。さらに、粉末状のプロピレン系樹脂組成物を、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ロール、ニーダー等で190〜260℃の温度範囲で溶融混練し、造粒することによりペレット状のプロピレン系樹脂組成物として得ることができる。さらに、プロピレン系重合体(a)、ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)及び、必要に応じて他の添加剤を、複数のホッパー又は上流にメインホッパーと下流に少なくとも一つのサイドフィード供給口とを備えた単軸押出機又は二軸押出機の前記複数のホッパー又はメインホッパーと少なくとも一つのサイドフィード供給口とにそれぞれ投入した後に、各所定量を単軸押出機又は二軸押出機に供給して190〜260℃の温度範囲で溶融混練し、造粒することによりペレット状のプロピレン系樹脂組成物として得ることもできる。
[3]プロピレン系樹脂成形体の製造方法
本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造方法は、上記プロピレン系樹脂組成物を用いて、温度60〜160℃の雰囲気下での製造工程を経て成形体を得ることを特徴とする。用いるプロピレン系樹脂組成物の形状は、粉末状、ペレット状、又はそのペレット(造粒品)を、融解若しくは溶解し、所望の形状に形成したものでもよい。
本発明における温度60〜160℃の雰囲気下での製造工程としては、乾燥工程、パウダースラッシュ成形工程、粉末焼結積層造形工程、アニーリングやヒートセットなどの熱処理工程などを挙げることができ、本発明においては、これら製造工程は公知公用のものをなんら制限なく適用することができる。温度60〜160℃の所定温度範囲までに達するための昇温方法に特に制限はない。例えば、タルクなどのフィラーを含有するプロピレン系樹脂組成物のペレットを乾燥させる場合や粉末状のプロピレン系樹脂組成物を用いてパウダースラッシュ成形を行う場合、プロピレン系樹脂成形体をアニーリングやヒートセットなど熱処理する場合は、熱源を用いて意図的に加熱する。また、3Dプリンターの粉末焼結積層造形法にプロピレン系樹脂組成物の粒子を用いる場合においては、レーザーや放電を利用して粒子を焼結させるため、成形機内部が非意図的に高温低湿雰囲気下となる。
乾燥工程においては、乾燥の品質や作業効率の観点から、通常、温度60〜160℃、より好ましくは70〜120℃、さらに好ましくは80〜120℃、特に好ましくは90〜110℃の雰囲気下であって、乾燥処理時間が好ましくは0.5〜12時間、より好ましくは1〜6時間、さらに好ましくは1〜3時間である。アニーリングやヒートセットなどの熱処理工程においては、物性や寸法精度などの成形体の品質や作業効率の観点から、通常、温度60〜160℃、より好ましくは70〜120℃、さらに好ましくは80〜120℃、特に好ましくは90〜110℃の雰囲気下であって、熱処理時間が好ましくは10〜180分、より好ましくは20〜120分、さらに好ましくは30〜60分である。これら温度60〜160℃の雰囲気下での製造工程、とりわけ乾燥工程においては、乾燥の品質や作業効率の観点から、さらに相対湿度0〜30%の雰囲気下であることが好ましく、相対湿度0〜20%の雰囲気下であることがより好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造方法、すなわち、上記プロピレン系樹脂組成物の成形方法としては、従来公知の方法を挙げることができる。例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、パウダースラッシュ成形法、粉末焼結積層造形法などを挙げることができる。押出成形法に関しては、押出成形して得られた押出成形体を用いて、さらに真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法などの熱成形法によって熱成形体を得ることができる。
本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造方法にて、各種成形体を製造することができる。得られる成形体としては、各種容器や医療器具、車両用部品、包装用フィルム、シート、繊維、チューブ、発泡体等の各種造形物が挙げられるが、これらに限定されず、また、これらは単層体であっても積層体であってもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例で限定されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例において用いた物性測定法、並びにプロピレン系重合体(a)、ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)及び公知の樹脂用配合剤は、以下のとおりである。
<1.測定の方法>
(1)物性評価用射出成形試験片の準備
樹脂組成物ペレットを、射出成形機を用いて射出成形法(樹脂温度220℃)で物性評価用の大きさ120mm×120mm×厚さ1mmの試験片を作製し、得られた試験片を射出成形後に室温23±2℃、相対湿度50±5%に調節された恒温室で1日間以上状態調節(JIS K7100:1999)して物性評価用射出成形試験片を準備した。
(2)エチレン含有量
13C−NMRにより組成を検定したプロピレン−エチレンランダム共重合体を基準物質として733cm−1の特性吸収帯を用いる赤外分光法により、ランダム共重合体中のエチレン含有量を測定した(検量線作成)。作成した検量線に基づき、プロピレン系重合体(a)の試料をプレス成形により約500μmの厚さのフィルムとしたものを用いて、赤外分光法によりエチレン含有量を測定した。
ここで、検量線作成用の基準物質のプロピレン及びエチレンの各含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。13C−NMRのスペクトルの解析は特開2006−307120号公報に記載の解析方法に従って行い、プロピレン及びエチレンの含有量を算出した。
装置:日本電子(株)製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
(3) メルトフローレート(MFR)
JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠して、試験温度230℃、公称荷重2.16kgにて測定した。
(4)表面固有抵抗
(株)三菱ケミカルアナリテック製ハイレスタIP高抵抗率計(MCP−HT260)を用い、印加電圧は10V、電極は2重リング法(HRSプローブ)を採用した。電圧印加後、60秒後の値を測定値として採用した。試験片を射出成形後に室温23±2℃、相対湿度50±5%に調節された恒温室で1日間以上状態調節(JIS K7100:1999)した後の表面固有抵抗を初期値として、試験片を温度60℃、80℃又は90℃、相対湿度5%の恒温槽で0.5時間、1時間又は2時間静置(アニーリング熱処理工程)した直後の表面固有抵抗を測定し、高温雰囲気下での帯電防止性能を評価した。
<2.樹脂、添加剤>
2−1.プロピレン系重合体(a)の物性
(PP―1)メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体
触媒:メタロセン触媒
MFR:30.0g/10分
エチレン含有量:0.9wt%
(PP―2)チーグラー系プロピレン−エチレンランダム共重合体
触媒:チーグラー触媒
MFR:10.0g/10分
エチレン含有量:2.9wt%
2−2.帯電防止剤
2−2−1
ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A):
(T−1)上記式(2)で表される化合物、mC4281B+nC2348ON (株)ボロン研究所製商品名「ビオミセルBN−105」
(T−3)上記式(3)で表される化合物、mC4281B+nC2348N (株)ボロン研究所製商品名「ビオミセルBN−77」
2−2−2
低分子量型帯電防止剤:
(T−2)グリセリルモノステアレート 花王(株)製商品名「エレクトロストリッパー TS−5」
2−3.その他添加剤
(A−1)フェノール系酸化防止剤「IR1010」:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン BASFジャパン(株)製商品名「IRGANOX1010」
(A−2)リン系酸化防止剤「IF168」:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファィト BASFジャパン(株)製商品名「IRGAFOS168」
(A−3)中和剤「CaSt」:ステアリン酸カルシウム 日東化成(株)製
(A−4)造核剤「NX8000J」:1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトール ミリケン・アンド・カンパニー社製 商品名「ミラッドNX8000J」
3−1.実施例1、比較例1
プロピレン系重合体(a)及び添加剤を表1に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたプロピレン系樹脂組成物のペレットを用いて、物性評価用射出成形試験片を作製し、1日以上状態調整した後に、80℃・5%RHで1時間静置した前後の表面固有抵抗値を測定した。それらの評価結果を表1に示す。








3−2.実施例2〜6、比較例2
高温低湿の熱処理条件を表2に記載の条件に変えた以外は、実施例1と同様の方法で表面固有抵抗値を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
表1より、実施例1と比較例1を比較すると、ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)の含有により、80℃で1時間静置した後の表面固有抵抗値が初期の値から大きく変化しないことが分かる。一方、ドナー・アクセプター系帯電防止剤ではない低分子量型帯電防止剤であるグリセリルモノステアレートを用いた比較例1に関しては、初期の値はドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)を含有したものと同等であるにも関わらず、80℃で1時間静置した後の表面固有抵抗値は測定可能上限値を超えている、つまり帯電防止性能が消失していることが分かる。
また、表2より、帯電防止剤以外の添加剤が同じ組成のプロピレン系樹脂組成物で帯電防止剤のみの種類と含有量を変えた場合であっても、実施例2〜6の各種ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)は60℃で1時間又は2時間静置した後でも表面固有抵抗値が大きく変化しない、つまり帯電防止効果を保持していることが分かる。
さらに、実施例2〜4でドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)としてビオミセルBN−105を使用した場合においては、80℃又は90℃で0.5時間又は1時間静置した後でも表面固有抵抗値は大きく変化しない。実施例5〜6でドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)としてビオミセルBN−77を使用した場合においては、80℃では含有量が少ない実施例5で、また90℃では実施例5〜6で、表面固有抵抗値が測定可能上限値を超えている。ここから80℃を超える条件下においては、BN−105を使用する方が好適であることが分かる。
一方、グリセリルモノステアレートを用いた比較例2に関しては、いずれの温度条件下においても表面固有抵抗値は測定可能上限値を超えている、つまり帯電防止性能が消失していることが分かる。
上記より明らかなように、プロピレン系重合体に特定のドナー・アクセプター系帯電防止剤を所定の割合で含有させることにより、プロピレン系樹脂組成物の物性を損なわず、かつ、煩雑な工程を追加せずに、高温低湿環境下において良好な帯電防止性能を保持しつつ成形体を得ることができる。
本発明は、特定のドナー・アクセプター系帯電防止剤を所定の割合で含有させたプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、プロピレン系樹脂組成物の物性を損なわず、かつ、煩雑な工程を追加せずに、高温低湿環境下において良好な帯電防止性能を保持しつつ成形体を得ることができるプロピレン系樹脂成形体の製造方法を見出したものであり、有用である。

Claims (4)

  1. プロピレン系重合体(a)100重量部に対し、分子中に下記式(1)にて表される原子団1個と炭素数5〜28の直鎖型炭化水素基を最小限1個有する半極性有機化合物の少なくとも1種と、分子中に塩基性窒素原子団1個と炭素数5〜28の直鎖型炭化水素基を最小限1個有する塩基性有機化合物の少なくとも1種とからなるドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)を0.01〜3重量部含有してなるプロピレン系樹脂組成物を用いて、温度60〜160℃の雰囲気下での製造工程を経て成形体を得ることを特徴とする、プロピレン系樹脂成形体の製造方法。
  2. ドナー・アクセプター系帯電防止剤(A)が、下記式(2)で表される化合物又は式(3)で表される化合物である、請求項1に記載のプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、RCO−OCH−又はHOCH−で、かつ、少なくとも一方がRCO−OCH−であり、R及びRは、それぞれ独立して、CH−、C−、HOCH−、HOC−又はHOCHCH(CH)−であり、Rは、−C−又は−C−であり、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数11〜21のアルキルである。)
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、RCO−OCH−又はHOCH−で、かつ、少なくとも一方がRCO−OCH−であり、R及びRは、それぞれ独立して、CH−、C−、HOCH−、HOC−又はHOCHCH(CH)−であり、Rは、−C−又は−C−であり、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数11〜21のアルキルである。)
  3. 相対湿度0〜30%の雰囲気下での製造工程を経て成形体を得る、請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
  4. 温度70〜120℃の雰囲気下での製造工程を経て成形体を得る、請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
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JP2017171884A (ja) * 2016-03-18 2017-09-28 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂組成物及び成形品

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