JP2020050610A - バイオイメージング剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】近赤外領域の光を用いたイメージング技術に用いることができる、生体に対する毒性が低く、かつ、発せられる蛍光の強度が強いバイオイメージング剤の提供。【解決手段】一般式1で示される化合物等を含有する、バイオイメージング剤。(R1は、両端の芳香環に共役して挟まれたポリメチン鎖の一部を示し、R2〜R5は、Hまたは任意の有機基を示し、X−は、任意のカウンターアニオンを示す。ただし、上記ポリメチン鎖のメソ位に直接ハロゲン原子が結合することはない。)【選択図】なし
Description
本発明は、バイオイメージング剤に関する。
生体を非侵襲にてイメージングする方法としては、X線CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)およびPET(Positron Emission Tomography)が一般的である。近年、簡便かつ高感度に生体をイメージングする技術として、蛍光イメージング技術に注目が集まっている。
蛍光イメージング技術では、まず、生体内に色素プローブが投与される。次いで、当該生体に対して光が照射され、当該光によって、色素プローブが蛍光を発する。最後に、当該蛍光を感知することによって、生体(例えば、生体内の特定の臓器)がイメージングされる。
生体に対して照射される光としては、従来から、可視光が用いられている。しかしながら、可視光は、生体の深部にまで照射することが困難であるため、可視光を用いた蛍光イメージング技術では、(i)生体の深部をイメージングすることが困難、および、(ii)得られる画像が多くのノイズを含んでいる、等の課題を有している。
可視光を用いた蛍光イメージング技術の課題を解決するために、近年、近赤外領域の光を用いた蛍光イメージング技術に注目が集まっている(例えば、非特許文献1参照)。近赤外領域の光は、生体の深部にまで照射することが可能であるため、上述した(i)および(ii)等の課題を解決できると期待されている。
Yuyan Jiang et al., "Molecular Fluorescence and PhotoacousticImaging in the Second Near-Infrared Optical Window Using Organic Contrast Agents", ADVANCED BIOSYSTEMS, 2018, 2, 1700262
しかしながら、近赤外領域の光を用いたイメージング技術では、生体に対する毒性が低く、かつ、発せられる蛍光の強度が強い、色素プローブの開発が進んでいない。
本発明の一態様は、近赤外領域の光を用いたイメージング技術に用いることができる、生体に対する毒性が低く、かつ、発せられる蛍光の強度が強いバイオイメージング剤を提供することを目的とする。
[1]上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るバイオイメージング剤は、下記一般式1または一般式2にて示される化合物を含有することを特徴としている:
(一般式1にて、R1は、両端の芳香環に共役して挟まれたポリメチン鎖の一部を示し、R2〜R5は、Hまたは任意の有機基を示し、X−は、任意のカウンターアニオンを示す。ただし、上記ポリメチン鎖のメソ位(具体的に、中央炭素)に直接ハロゲン原子が結合することはない。);
(一般式2にて、R10は、両端の芳香環に共役して挟まれたポリメチン鎖の一部を示し、R11〜R14は、Hまたは任意の有機基を示し、X−は、任意のカウンターアニオンを示す。点線で示される部位は、縮合環、または、チオピラン環の5位および6位に結合しているHまたは任意の独立した有機基を示す。ただし、上記ポリメチン鎖のメソ位(具体的に、中央炭素)に直接ハロゲン原子が結合することはない。)。
[2]本発明の一態様に係るバイオイメージング剤では、上記R1およびR10は、各々独立して、下記一般式3にて示される構造を含んでいるものであることが好ましい:
(一般式3にて、nは、1以上の任意の整数を示し、A1およびA2は、Hまたは任意の有機基を示す。ただし、上記R1およびR10は、両端の芳香環に共役して挟まれたポリメチン鎖の一部を示し、当該ポリメチン鎖のメソ位(具体的に、中央炭素)に直接ハロゲン原子が結合することはない。)。
[3]本発明の一態様に係るバイオイメージング剤は、上記化合物と、生体物質と結合するタグとの複合体を含有していてもよい。
[4]本発明の一態様に係るバイオイメージング剤では、投与剤型は、非経口剤であることが好ましい。
[5]本発明の一態様に係るバイオイメージング剤は、更に、カリックスアレーン誘導体を含有していることが好ましい。
本発明の一態様によれば、有機溶媒系のみならず水溶液系においても蛍光強度が強く、かつ、毒性が低いバイオイメージング剤を提供することができる。なお、蛍光強度が強いバイオイメージング剤であれば、ノイズが少ない画像を得ることができるのみならず、生体の深部の画像を得ることができる。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されない。本発明は、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態及び実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。本明細書中、数値範囲に関して「A〜B」と記載した場合、当該記載は「A以上B以下」を意図する。
〔1.バイオイメージング剤〕
本実施の形態のバイオイメージング剤は、下記の一般式1または一般式2にて示される化合物を含有している。なお、一般式1および一般式2で示される化合物は、あらゆる立体異性体、および/または、あらゆる光学異性体であり得る。上記バイオイメージング剤は、一般式1にて示される化合物または一般式2にて示される化合物のうちの何れか1つを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
本実施の形態のバイオイメージング剤は、下記の一般式1または一般式2にて示される化合物を含有している。なお、一般式1および一般式2で示される化合物は、あらゆる立体異性体、および/または、あらゆる光学異性体であり得る。上記バイオイメージング剤は、一般式1にて示される化合物または一般式2にて示される化合物のうちの何れか1つを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
(一般式1にて、R1は、両端の芳香環に共役して挟まれたポリメチン鎖の一部を示し、R2〜R5は、Hまたは任意の有機基を示し、X−は、任意のカウンターアニオンを示す。ただし、上記ポリメチン鎖のメソ位(具体的に、中央炭素)に直接ハロゲン原子が結合することはない。):
(一般式2にて、R10は、両端の芳香環に共役して挟まれたポリメチン鎖の一部を示し、R11〜R14は、Hまたは任意の有機基を示し、X−は、任意のカウンターアニオンを示す。点線で示される部位は、縮合環、または、チオピラン環の5位および6位に結合しているHまたは任意の独立した有機基を示す。ただし、上記ポリメチン鎖のメソ位(具体的に、中央炭素)に直接ハロゲン原子が結合することはない。)。
本明細書中において、「バイオイメージング剤」とは、生体内に投与された後、特定の波長の光(例えば、近赤外領域の光)によって蛍光を発し、当該蛍光の分布および/または強度などに基づいて、目的とする細胞および/または組織などのイメージを取得するための、組成物を意図する。
上記一般式1および一般式2にて、R1およびR10は、両端の芳香環に共役して挟まれたポリメチン鎖の一部であり、そのポリメチン鎖のメソ位(具体的に、中央炭素)に直接ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、および、アスタチン原子)が結合していない任意の有機基であればよく、具体的な構造は限定されない。後述する実施例にて示すように、R1およびR10は、両端の芳香環に共役して挟まれたポリメチン鎖の一部であり、そのポリメチン鎖のメソ位に直接ハロゲン原子が結合していない場合、当該有機基を有する化合物が発する蛍光の強度は強く、その結果、ノイズが少ない画像を得ることができ、かつ、生体の深部の画像を得られるという優れた効果を奏する。
上記R1およびR10は、各々独立して、下記一般式3にて示される構造を含んでいるものであってもよいし、下記一般式3にて示される構造からなるものであってもよい:
(一般式3にて、nは、1以上の任意の整数を示し、A1およびA2は、Hまたは任意の有機基を示す。上記R1およびR10は、両端の芳香環に共役して挟まれたポリメチン鎖の一部を示し、当該ポリメチン鎖のメソ位(具体的に、中央炭素)に直接ハロゲン原子が結合することはない。)。
上記一般式3にて、nは、1以上の任意の整数である。nの上限値は、特に限定されないが、具体的に、1、2、3、4または5であってもよい。
一般式3にてn=1の場合に示される構造を1つのユニットとして考える。単一のユニット内において、A1およびA2は、同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。複数のユニット間において、複数存在するA1は、互いが、同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。また、複数のユニット間において、複数存在するA2は、互いが、同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
一般式3では、単一のユニット内において、A1とA2とが結合することによって環構造が形成されていてもよい。また、一般式3では、複数のユニット間において、A1とA1とが結合することによって環構造が形成されていてもよいし、A2とA2とが結合することによって環構造が形成されていてもよいし、A1とA2とが結合することによって環構造が形成されていてもよい。
一般式1のR1、および、一般式2のR10に相当する一般式3にて示される構造は、より具体的に、例えば以下の構造であってもよい。なお、下記一般式のR21、R22およびR23は、両端の芳香環に共役して挟まれたポリメチン鎖の一部であり、そのポリメチン鎖のメソ位に直接ハロゲン原子が結合していない。R21、R22およびR23は、例えば、Hまたは任意の有機基である。
上記一般式のR21、R22およびR23は、ハロゲン原子以外の任意の有機基であり、R21、R22およびR23としては、各々独立して、H、OR、SR、Ar(R)、または、NRR’が挙げられる。ただし、RおよびR’は、Hまたは任意の有機基であり、特に限定されないが、R’はRと同一であってもよく、Ar(R)は、Hまたは有機基を有する芳香環を示す。
一般式2の点線にて示される部位は、縮合環、または、チオピラン環の5位および6位に結合しているHまたは任意の独立した有機基であり得る。点線に示される部位をより具体的に示した一般式2にて示される化合物は、例えば、以下のものであり得る。
上記一般式1にて示される化合物のR2〜R5、および、一般式2にて示される化合物のR11〜R14は、各々独立して、Hまたは任意の有機基であり得る。当該有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、および、スルホニル基を挙げることができる。アルキル基としては、例えば、炭素数1乃至12の直鎖状又は分岐を有するアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびドデシル基などが挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、および2−ペンテニル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、およびtert−ブトキシ基などのアルコキシ基が挙げられ、シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、およびシクロデカニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
本発明の一般式1または一般式2にて示される化合物は、上記一般式1のR2〜R5、一般式2のR11〜R14、および一般式3のA1、A2からなる群から選択される少なくとも1つの有機基を介して、二量体、または三量体などの多量体を形成することもできる。
上記R2〜R5、および、R11〜R14からなる群から選択される少なくとも1つを介して、一般式1または一般式2にて示される化合物と、後述するタグとを結合させることができる。この場合、上記R2〜R5、および、R11〜R14からなる群から選択される少なくとも1つは、タグと化学結合を形成することが可能な、水酸基、カルボキシル基、スクシンイミド基、スルホスクシンイミド基、ペンタフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、スルホテトラフルオロフェニル基、マレイミド基、ブロモアセトアミド基、ヨードアセトアミド基、ピリジルジスルフィド基、ヒドラジド基、アルコキシアミノ基、ジアジリノ基、アリールアジド基、イソシアネート基、アジド基、アルキニル基、シクロアルキニル基、またはホスホロアミダイト基、または当該置換基で置換されたアルキル基であることが好ましい。
一般式1、および、一般式2におけるX−としては、任意のカウンターアニオンである。X−は、例えば、I−、Br−、ClO4 −、BF4 −、PF6 −、TsO−、CF3SO3 −、(FSO2)2N−、および(CF3SO2)2N−が挙げられる。
上述した一般式1または一般式2にて示される化合物は、一般的な方法に基づいて合成することができる。例えば、速水正明監修『感光色素』産業図書株式会社(1997年10月17日発行)、特許5941844号に記載の方法によって合成することができる。また、上述した一般式1または一般式2にて示される化合物としては、市販の化合物を用いることも可能である。例えば、株式会社林原製の化合物を用いることも可能である。
本発明の一般式1、一般式2にて示される化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
本実施の形態のバイオイメージング剤は、一般式1または一般式2にて示される化合物と、生体物質と結合するタグとの複合体を含有していてもよい。なお、一般式1または一般式2にて示される化合物と、タグとは、任意のリンカーを介して共有結合させ得る。リンカーとしては、水酸基、カルボキシル基、スクシンイミド基、スルホスクシンイミド基、ペンタフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、スルホテトラフルオロフェニル基、マレイミド基、ブロモアセトアミド基、ヨードアセトアミド基、ピリジルジスルフィド基、ヒドラジド基、アルコキシアミノ基、ジアジリノ基、アリールアジド基、イソシアネート基、アジド基、アルキニル基、シクロアルキニル基、またはホスホロアミダイト基、または当該置換基で置換されたアルキル基を有するリンカーが挙げられる。当該生体物質の多くは、細胞特異的、および/または、組織特異的に存在する。それ故に、当該構成であれば、タグを介して、一般式1または一般式2にて示される化合物と生体物質とが結合することによって、目的の細胞、および/または、目的の組織を特異的にイメージングすることができる。
上記生体物質は、特に限定されないが、例えば、タンパク質、核酸(例えばDNA又はRNA)、炭水化物、プロテオグリカン、脂質、および小分子(例えば、ホルモン、ビタミン)などを挙げることができる。
上記生体物質と結合するタグは、特に限定されないが、例えば、(i)オリゴヌクレオチド、(ii)アミノ基、スルフヒドリル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびチオホスフェート基からなる群から選択される1つ以上を含有するか含有するように誘導体化された、オリゴヌクレオチド、(iii)抗体、(iv)レクチン、(v)ペプチド、(vi)アプタマー、(vii)薬物、(viii)ポリマー粒子、または、(ix)ガラスビーズ、などを挙げることができる。
例えば、抗体としては、ヒト化抗体、または、ヒト抗体が好ましい。ヒト化抗体としては、例えば、抗HER2抗体(例えば、ハーセプチン(登録商標))、抗VEGF抗体(ベバシズマブ)、抗IGF1R抗体(AMG479)、抗CD22抗体(エプラツズマブ)、抗EGFR抗体(マツズマブ)等が挙げられる。ヒト抗体としては、例えば、抗HGF抗体(AMG102)、抗IGF1R抗体(シクスシマブ)、抗IGF1R抗体(ダロツズマブ)、抗RANKL抗体(デノスマブ)、抗EGFR抗体(マニツズマブ)等が挙げられる。上記抗体は、モノクローナル抗体であってもよいし、ポリクローナル抗体であってもよいが、安定してイメージを取得するという観点から、モノクローナル抗体であることが好ましい。
タグと結合した一般式1または一般式2にて示される化合物は、公知の方法、例えば、Bioconjugatechem., 2009, 20 (11). p. 2177に記載の方法によって製造することができる。一般式1または一般式2にて示される化合物とタグとの結合は、公知のリンカーを使用してもよい。
本実施の形態のバイオイメージング剤は、一般式1または一般式2にて示される化合物以外に、更に、カリックスアレーン誘導体を含有していてもよい。当該カリックスアレーン誘導体は、生体に対する毒性が低く、かつ、一般式1または一般式2にて示される化合物の水への溶解性を高める効果を有している。それ故に、当該構成であれば、蛍光強度を高め、かつ、蛍光強度を安定化させることができる。以下に、カリックスアレーン誘導体の具体的な構成について説明する。
カリックスアレーン誘導体は、下記一般式4にて示される化合物であり得る:
(上記一般式4にて、nは、4〜8の整数を示し、n個のR1は、それぞれ独立に、C4〜12のアルキル基を示し、M+は、1価のカチオンを示す。)。
上記一般式4にて示されるカリックスアレーン誘導体は、ハロゲン化アルキルを用いて、スルホン化カリックス[n]アレーン(nは4〜8の整数を示す)のフェノール性水酸基をアルキル化することによって製造することができる。ハロゲン化アルキルを用いるアルキル化は周知の合成法であり、当業者であれば、合成条件を適宜設定して容易に行うことができる。また、スルホン化カリックス[n]アレーンは市販されており、容易に入手することができる。このように上記カリックスアレーン誘導体は、大量合成が容易であり、安価に製造することができる。また、上記カリックスアレーン誘導体は、細胞毒性が低いという利点を有する。
上記バイオイメージング剤に上記一般式4にて示されるカリックスアレーン誘導体の出発原料であるスルホン化カリックス[n]アレーンのナトリウム塩を添加すると、かえって発光強度が低下する。しかし、驚くべきことに、スルホン化カリックス[n]アレーンをアルキル化したカリックスアレーン誘導体をバイオイメージング剤に添加すると、水中でのバイオイメージング剤の有効成分(具体的には、一般式1および一般式2にて示される化合物)の安定性および発光強度が顕著に向上する。
上記一般式4にて示されるカリックスアレーン誘導体は、親水性のSO3 −基を外側にし、かつ、疎水性の基R1(すなわち、C4〜12のアルキル基)を内側にしたミセルを形成すると考えられる。上記カリックスアレーン誘導体のミセルの内側は疎水的環境になり、この内側に上記バイオイメージング剤の有効成分(具体的には、一般式1および一般式2にて示される化合物)が取り込まれることによって、上記バイオイメージング剤の安定性および発光強度が向上すると推定される。ただし、本発明は、このような推定に限定されない。
上記一般式4にて、nは、4〜8の整数を示し、好ましくは4、6または8であり、より好ましくは4または6であり、さらに好ましくは4である。
上記一般式4にて、n個のR1は、C4〜12のアルキル基を示す。n個のR1は、同じものでも、異なるものでもよく、好ましくは、同じものである。上記アルキル基は、直鎖状でも、分岐鎖状でもよく、好ましくは直鎖状である。C4〜12のアルキル基としては、例えば、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が挙げられる。
上記一般式4にて、M+は、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン等の1価のカチオンを示す。上記M+は、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオンである。
上記一般式4にて示されるカリックスアレーン誘導体において、nが4である場合、4個のR1は、それぞれ独立に、好ましくはC4〜11アルキル基、より好ましくは直鎖状C4〜11アルキル基、さらに好ましくは直鎖状C4〜9アルキル基である。上記C4〜11アルキル基およびC4〜9アルキル基の具体例としては、それぞれ、上記C4〜12アルキル基の具体例の中で炭素数が4〜11であるもの、および炭素数が4〜9であるものが挙げられる。上記カリックスアレーン誘導体において、4個のR1は同じものであることが好ましい。上記カリックスアレーン誘導体において、M+は、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオンである。
上記一般式4にて示されるカリックスアレーン誘導体において、nが6である場合、6個のR1は、それぞれ独立に、好ましくはC4〜12アルキル基、より好ましくは直鎖状C4〜12アルキル基、さらに好ましくは直鎖状C6〜11アルキル基である。上記C4〜11アルキル基およびC4〜9アルキル基の具体例としては、それぞれ、上記C4〜12アルキル基の具体例の中で炭素数が4〜11であるもの、および炭素数が4〜9であるものが挙げられる。上記カリックスアレーン誘導体において、6個のR1は同じものであることが好ましい。上記カリックスアレーン誘導体において、M+は、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオンである。
上記一般式4にて示されるカリックスアレーン誘導体において、nが8である場合、8個のR1は、それぞれ独立に、好ましくはC5アルキル基である。上記カリックスアレーン誘導体において、8個のR1はより好ましくはn−ペンチルである。上記カリックスアレーン誘導体において、M+は、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオンである。
水中における上記バイオイメージング剤の安定化および発光強度の向上の観点から、上記カリックスアレーン誘導体の量は、上記バイオイメージング剤の有効成分(具体的には一般式1および一般式2で示される化合物)1モルに対して、好ましくは10〜10,000モル、より好ましくは100〜10,000モル、さらに好ましくは500〜5,000モル、特に好ましくは1,000〜3,000モルである。
なお、カリックスアレーン誘導体としては、WO2016/152954A1に記載のものを用いることができる。当該文献は、本明細書中において参考文献として援用される。
上記バイオイメージング剤は、上記バイオイメージング剤が有する蛍光活性を阻害しない成分であれば、上述したカリックスアレーン誘導体以外にも、一般式1および一般式2にて示される化合物とは異なる成分を含んでいてもよい。
上記異なる成分として、緩衝剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤、等張化剤、高分子量重合体、賦形剤、単体、希釈剤、溶媒、可溶化剤、安定剤、充填剤、結合剤および界面活性剤などを挙げることができる。
上記緩衝剤の例としては、リン酸、リン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、クエン酸、クエン酸塩、酢酸、酢酸塩、炭酸、炭酸塩、酒石酸、酒石酸塩、ε‐アミノカプロン酸、およびトロメタモールなどが挙げられる。上記リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムなどが挙げられる。上記ホウ酸塩としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、およびホウ酸カリウムなどが挙げられる。上記クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、およびクエン酸三ナトリウムなどが挙げられる。上記酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、および酢酸カリウムなどが挙げられる。上記炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。上記酒石酸塩としては、酒石酸ナトリウム、および酒石酸カリウムなどが挙げられる。
上記pH調整剤の例としては、塩酸、リン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムなどが挙げられる。
上記等張化剤の例としては、イオン性等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および、塩化マグネシウムなど)、および、非イオン性等張化剤(グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、および、マンニトールなど)が挙げられる。
上記防腐剤の例としては、ベンザルコニウム塩化物、ベンザルコニウム臭化物、ベンゼトニウム塩化物、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、および、クロロブタノールなどが挙げられる。
上記抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、トコフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、および、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記高分子量重合体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、および、アテロコラーゲンなどが挙げられる。
上記バイオイメージング剤中に含まれる有効成分(具体的には、一般式1にて示される化合物および一般式2にて示される化合物)の含有量としては、特に限定されない。
上記バイオイメージング剤中に含まれる有効成分以外の成分の含有量としては、特に限定されない。
上記バイオイメージング剤によってイメージが取得され得る対象は、特に限定されず、例えば、リンパ節、脳血管、腫瘍新生血管、および生体組織などが挙げられる。
本実施形態のバイオイメージング剤が使用可能な細胞は、特に限定されないが、例えば、軟骨細胞、骨芽細胞、線維芽細胞、表皮細胞、上皮細胞、脂肪細胞、肝細胞、膵細胞および筋細胞等が挙げられる。また、細胞が由来する動物種も特に限定されず、動物種は、非ヒト哺乳類またはヒトであってもよい。非ヒト哺乳動物の例としては、霊長類(サル、類人猿など)、偶蹄類(ウシ、イノシシ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、奇蹄類(ウマなど)、齧歯類(マウス、ラット、ハムスター、リスなど)、ウサギ目(ウサギなど)、食肉類(イヌ、ネコ、フェレットなど)などが挙げられる。上述の非ヒト哺乳動物は、家畜またはコンパニオンアニマルであってもよく、野生動物であってもよい。
上記バイオイメージング剤の投与剤型は、特に限定されないが、非経口剤であることが好ましく、注射剤であることがより好ましい。上記化合物はバイオイメージング剤の製造工程における何れかの段階で、希釈溶媒等の他の材料と配合すればよく、その方法としては、例えば、混和、混捏、溶解、融解、分散、懸濁、乳化、逆ミセル化、浸透、晶出、散布、塗布、付着、噴霧、被覆(コーティング)、注入、浸漬、固化、および担持などから1種または2種以上の方法が選ばれる。希釈溶媒としては、周知の溶媒を用いることができ、例えば水などを用いることができる。
生体内に導入されたバイオイメージング剤を検出するために、生体に対して照射される光の波長は、特に限定されないが、吸光度が高くなる観点から、近赤外領域の光であることが好ましく、700nm〜2000nmの近赤外光であることが好ましく、800nm〜1500nmの近赤外光であることがより好ましく、900nm〜1500nmの近赤外光であることがより好ましく、1000nm〜1500nmの近赤外光であることがより好ましい。
〔2.その他〕
本発明の一実施形態は、以下のように構成することも可能である。
<1>一般式1または一般式2にて示される化合物を含有する、バイオイメージング剤を被検体(例えば、哺乳類、非ヒト哺乳類、霊長類、偶蹄類、奇蹄類、齧歯類、ウサギ目、または、食肉類)に投与する工程を有する、バイオイメージング方法。
<2>上記化合物にて、R1およびR10は、各々独立して、一般式3にて示される構造を含む、<1>に記載のバイオイメージング方法。
<3>上記バイオイメージング剤は、上記化合物と、生体物質と結合するタグとの複合体を含有する、<1>または<2>に記載のバイオイメージング方法。
<4>上記バイオイメージング剤は、投与剤型が非経口剤のものである、<1>〜<3>の何れかに記載のバイオイメージング方法。
<5>上記バイオイメージング剤は、更に、カリックスアレーン誘導体を含有する、<1>〜<4>の何れかに記載のバイオイメージング方法。
本発明の一実施形態は、以下のように構成することも可能である。
<1>一般式1または一般式2にて示される化合物を含有する、バイオイメージング剤を被検体(例えば、哺乳類、非ヒト哺乳類、霊長類、偶蹄類、奇蹄類、齧歯類、ウサギ目、または、食肉類)に投与する工程を有する、バイオイメージング方法。
<2>上記化合物にて、R1およびR10は、各々独立して、一般式3にて示される構造を含む、<1>に記載のバイオイメージング方法。
<3>上記バイオイメージング剤は、上記化合物と、生体物質と結合するタグとの複合体を含有する、<1>または<2>に記載のバイオイメージング方法。
<4>上記バイオイメージング剤は、投与剤型が非経口剤のものである、<1>〜<3>の何れかに記載のバイオイメージング方法。
<5>上記バイオイメージング剤は、更に、カリックスアレーン誘導体を含有する、<1>〜<4>の何れかに記載のバイオイメージング方法。
本発明の一実施形態は、以下のように構成することも可能である。
<6>バイオイメージング剤の製造のための一般式1または一般式2にて示される化合物の使用。
<7>上記化合物にて、R1およびR10は、各々独立して、一般式3にて示される構造を含む、<6>に記載の使用。
<8>上記バイオイメージング剤は、上記化合物と、生体物質と結合するタグとの複合体を含有する、<6>または<7>に記載の使用。
<9>上記バイオイメージング剤は、投与剤型が非経口剤のものである、<6>〜<8>の何れかに記載の使用。
<10>上記バイオイメージング剤は、更に、カリックスアレーン誘導体を含有する、<6>〜<9>の何れかに記載の使用。
<6>バイオイメージング剤の製造のための一般式1または一般式2にて示される化合物の使用。
<7>上記化合物にて、R1およびR10は、各々独立して、一般式3にて示される構造を含む、<6>に記載の使用。
<8>上記バイオイメージング剤は、上記化合物と、生体物質と結合するタグとの複合体を含有する、<6>または<7>に記載の使用。
<9>上記バイオイメージング剤は、投与剤型が非経口剤のものである、<6>〜<8>の何れかに記載の使用。
<10>上記バイオイメージング剤は、更に、カリックスアレーン誘導体を含有する、<6>〜<9>の何れかに記載の使用。
〔実施例1、バイオイメージング剤〕
本実施例に用いた化合物の構造式を以下に示す。
本実施例に用いた化合物の構造式を以下に示す。
また、比較対象とした化合物の構造式を以下に示す。
(I)上記化合物を1mg秤量し、1mLのジメチルスルホキシド(DMSO、和光純薬工業)に溶解し、色素溶液とした。さらに、10μLの当該色素溶液を1mLのジメチルスルホキシドで希釈し(濃度:0.01mg/mL)、DMSO溶液とした。
(II)上記化合物を1mg秤量し、1mLのジメチルスルホキシドに溶解し、色素溶液とした。下記構造式で示されるカリックス[4]アレーンのヘキシル誘導体を10mg秤量し、1mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に分散させた(濃度:1mg/mL)。本水溶液に、10μLの上記色素溶液を添加し、5分間超音波処理(Yamato 2510、Branson)を行い、S4水溶液とした。
〔実施例2、蛍光強度の観察〕
略20μLの上記DMSO溶液および上記S4水溶液を、直径1mmのガラス製毛細管(Model GD1、NARISHIGE)にそれぞれ注入し、試料を作製した。
略20μLの上記DMSO溶液および上記S4水溶液を、直径1mmのガラス製毛細管(Model GD1、NARISHIGE)にそれぞれ注入し、試料を作製した。
上記試料の蛍光強度を観察するため、半導体レーザー光(BW TEK INK.)で、975nmの波長の励起光を上記試料に照射した。このときのレーザー光の照射パワーは、40mW/cm2であった。蛍光画像は、励起光を除去するために1000nm以上の光のみを透過するロングパスフィルターを使用し、近赤外カメラ(C10034−34、浜松ホトニクス社)で撮影した。得られた蛍光画像は、蛍光強度を規格化した後に比較した。得られた蛍光画像を図1および図2を示す。
図1は、化合物(NK−10053、NK−10054、NK−10057、NK−10475)の蛍光画像を示す。ここで、比較対象として化合物(NK−08472、NK−10472)を用いた。露光時間は0.2秒〜2.5秒であった。その結果、いずれの化合物もDMSO溶液およびS4水溶液において蛍光が観察され、特にNK−10053およびNK−10475において強い蛍光が観察された。
図2は、化合物(NK−10053、NK−10475)と、比較対象である化合物(IR−26、IR−1048、IR−1061)の蛍光画像を示す。露光時間は0.15秒〜1.5秒であった。その結果、DMSO溶液およびS4水溶液において、化合物(NK−10053、NK−10475)は、化合物(IR−26、IR−1048、IR−1061)よりも、強い蛍光を示すことが明らかになった。
〔実施例3、吸収スペクトル測定〕
上記(I)の方法で調整した化合物(NK−10053、NK−10054、NK−10057、NK−10475、NK−08472、NK−10472)のDMSO溶液を光路長1cmの石英セルに満たし、分光光度計(JASCO v−670、日本分光社)により、500nm〜1500nmの波長領域における吸収スペクトルを測定した。その結果を図3a(実施例)、図3b(比較例)に示す。いずれの化合物においても1000nm付近に最大吸収波長のピークが観察された。
上記(I)の方法で調整した化合物(NK−10053、NK−10054、NK−10057、NK−10475、NK−08472、NK−10472)のDMSO溶液を光路長1cmの石英セルに満たし、分光光度計(JASCO v−670、日本分光社)により、500nm〜1500nmの波長領域における吸収スペクトルを測定した。その結果を図3a(実施例)、図3b(比較例)に示す。いずれの化合物においても1000nm付近に最大吸収波長のピークが観察された。
〔実施例4、蛍光スペクトル測定〕
上記(II)の方法で調整した化合物(NK−10053、NK−10054、NK−10057、NK−10475、NK−08472、NK−10472、IR−26、IR−1048、IR−1061)のDMSO溶液の蛍光スペクトルを、近赤外蛍光測定分光器(HORIBA Nanolog)により、励起波長975nm、溶液による蛍光の吸収を軽減するため全面反射モード(FFモード)にて測定した。
上記(II)の方法で調整した化合物(NK−10053、NK−10054、NK−10057、NK−10475、NK−08472、NK−10472、IR−26、IR−1048、IR−1061)のDMSO溶液の蛍光スペクトルを、近赤外蛍光測定分光器(HORIBA Nanolog)により、励起波長975nm、溶液による蛍光の吸収を軽減するため全面反射モード(FFモード)にて測定した。
その結果を図4aおよび図4bに示す。図4aにおいて、NK−10053、NK−10054、NK−10057、NK−10475、NK−08472、NK−10472、IR−1061、IR−1061、およびIR−26は、1000nm〜1200nmの間にピークが観察された。NK−10053のピークが最も高く、次にNK−10475のピークが高かった。また、図4bは、蛍光強度の相対値を示す。NK−10053およびNK−10475において蛍光強度が高いことが明らかになった。具体的に蛍光強度の相対値は、それぞれ、NK−10053(相対値:193)、NK−10475(相対値:179)、NK−10057(相対値:54)、NK−10054(相対値:29)、NK−10472(相対値:21)、NK−08472(相対値:17)、IR−1061(相対値:32)、IR−1048(相対値:10)、IR−26(相対値:4)であった。
〔実施例5、マウス脳血管の近赤外蛍光イメージング〕
上記(II)の方法で調整したNK−10053のS4水溶液300μLを、イソフルラン麻酔下の5週齢のヌードマウス(BALB/c nu/nu、日本エスエルシー)の尾静脈に注入し、脳血管の近赤外蛍光イメージングを行った。
上記(II)の方法で調整したNK−10053のS4水溶液300μLを、イソフルラン麻酔下の5週齢のヌードマウス(BALB/c nu/nu、日本エスエルシー)の尾静脈に注入し、脳血管の近赤外蛍光イメージングを行った。
マウス頭部に975nmの半導体レーザー光を照射し、1100nmおよび、1300nmのバンドパスフィルターを介して、近赤外カメラ(C10034−34、浜松ホトニクス社)を用いて蛍光画像を撮影した。なお、露光時間はそれぞれ2.5秒および、10秒とした。
図5は、頭皮ありの場合の脳血管、および、頭皮膚を除去した場合の脳血管の蛍光画像を示す。頭部の皮膚の有無に関わらず、NK−10053を用いた場合には、詳細に血管が観察された。
〔実施例6、マウスリンパ節の近赤外蛍光イメージング〕
上記(II)の方法で調整したNK−10053のS4水溶液300μLを、イソフルラン麻酔下の5週齢のヌードマウスの左足表面にシリンジにて注入し、下肢リンパ節の近赤外蛍光イメージングを行った。
上記(II)の方法で調整したNK−10053のS4水溶液300μLを、イソフルラン麻酔下の5週齢のヌードマウスの左足表面にシリンジにて注入し、下肢リンパ節の近赤外蛍光イメージングを行った。
リンパ節の蛍光画像は、励起光を除去するために1000nm以上の光のみを透過するロングパスフィルターを使用し、半導体レーザー光を用いて、975nmの波長の励起光を、下肢リンパ節に照射し、近赤外カメラ(C10034−34、浜松ホトニクス社)で撮影した。このときのレーザー光の照射パワーは、40mW/cm2、撮影時間は、0.25秒であった。上記S4水溶液注入後、4分後、6分後、8分後に、蛍光画像を撮影した。
図6は、マウスリンパ節の近赤外蛍光イメージングであり、マウスのリンパ節においても明確に蛍光観察が可能であり、露光時間が長くなるに従い蛍光が強くなることが示された。
〔実施例7、マウス腫瘍新生血管の近赤外蛍光イメージング〕
上記(II)の方法で調整したNK−10053のS4水溶液300μLを、乳がん腫瘍(KPL−4、川崎医大製)を担持したヌードマウスの尾静脈に注入し、腫瘍新生血管の近赤外蛍光イメージングを行った。
上記(II)の方法で調整したNK−10053のS4水溶液300μLを、乳がん腫瘍(KPL−4、川崎医大製)を担持したヌードマウスの尾静脈に注入し、腫瘍新生血管の近赤外蛍光イメージングを行った。
乳がん腫瘍部に975nmの半導体レーザー光を照射し、1100nmのバンドパスフィルターを使用し、近赤外カメラ(C10034−34、浜松ホトニクス社)で蛍光画像を撮影した。本実施例は、2反復で実施し、このときのレーザー光の照射パワーは、40mW/cm2、撮影時間は、2秒であった。
図7は、マウス腫瘍新生血管の近赤外蛍光イメージングを示す。いずれのマウスにおいても腫瘍新生血管の蛍光が観察された。
〔実施例8、細胞毒性試験〕
96ウェルマイクロプレートにHeLa細胞を均一に播き、37℃、24時間培養した。各ウェルに上記(II)の方法で調整した化合物(NK−10053、NK−10054、NK−10057、NK−10475)のS4水溶液、硫化鉛量子ドット(PbS−QDs、参考文献:Y. Nakane, Y. Tsukasaki, S. Takao, H. Yasuda and Takashi Jin, “Aqueous synthesis of glutathione-coated PbS quantum dots with tunable emission for non-invasive fluorescence imaging in the second near-infrared biological window (1000-1400 nm)”, Chem. Commun., 49, 7584-7586 (2013))、および、カーボンナノチューブ(SWNT、NanoIntegris社、参考文献:Setsuko Tsuboi, Sayumi Yamada, Yuko Nakane, Takao Sakata, Hidehiro Yasuda, andTakashi Jin, “Water-soluble near-infrared fluorophores emitting over 1000 nm and their application to in vivo imaging in the second optical window (1000-1400nm)”, ECS J. Solid State Sci. Technol.7, R3093-3101 (2018))を10μLずつ添加した。
96ウェルマイクロプレートにHeLa細胞を均一に播き、37℃、24時間培養した。各ウェルに上記(II)の方法で調整した化合物(NK−10053、NK−10054、NK−10057、NK−10475)のS4水溶液、硫化鉛量子ドット(PbS−QDs、参考文献:Y. Nakane, Y. Tsukasaki, S. Takao, H. Yasuda and Takashi Jin, “Aqueous synthesis of glutathione-coated PbS quantum dots with tunable emission for non-invasive fluorescence imaging in the second near-infrared biological window (1000-1400 nm)”, Chem. Commun., 49, 7584-7586 (2013))、および、カーボンナノチューブ(SWNT、NanoIntegris社、参考文献:Setsuko Tsuboi, Sayumi Yamada, Yuko Nakane, Takao Sakata, Hidehiro Yasuda, andTakashi Jin, “Water-soluble near-infrared fluorophores emitting over 1000 nm and their application to in vivo imaging in the second optical window (1000-1400nm)”, ECS J. Solid State Sci. Technol.7, R3093-3101 (2018))を10μLずつ添加した。
また、コントロールとして、上記化合物を無添加であるウェルも準備した。上記各化合物のS4水溶液を添加して48時間後、MTT溶液10μLを各ウェルに加えた後、37℃のCO2インキュベーターで2時間培養した。
次に、ホルマザン可溶化溶液100μLを各ウェルに加え、ピペッティングにより混和した後、プレートシールにて各ウェルを密閉して37℃のCO2インキュベーターに一晩置き、完全にホルマザンを溶解させた。
Multiskan GOマイクロプレートスペクトロフォトメータ(ThermoFisher)により波長570nmにおけるホルマザンの吸光度を測定し、当該吸光度を、細胞生存数とした。より詳細には、波長570nmにおけるホルマザンの吸光度からバックグラウンドである650nmの吸光度を差し引いて、差し引いた後の吸光度を、細胞生存数とした。このとき、上記化合物を添加していないウェルの細胞生存率を100%とし、上記化合物を添加したウェルの細胞生存率を算出した。MTT試験には、細胞数測定キット(ナカライテスク)を用いた。
結果を図8に示す。その結果、硫化鉛量子ドットの細胞生存率は略70%程度、カーボンナノチューブの細胞生存率は略30%程度であったが、本実施例の化合物においては、いずれも略100%の細胞生存率を維持していたことから、当該化合物は毒性が低いことが示された。
本発明は、医療分野(例えば、近赤外蛍光イメージング)において広範囲に利用することができる。
Claims (5)
- 下記一般式1または一般式2にて示される化合物を含有する、バイオイメージング剤:
- 上記R1およびR10は、各々独立して、下記一般式3にて示される構造を含む、請求項1に記載のバイオイメージング剤:
- 上記化合物と、生体物質と結合するタグとの複合体を含有する、請求項1または2に記載のバイオイメージング剤。
- 投与剤型は、非経口剤であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のバイオイメージング剤。
- 更に、カリックスアレーン誘導体を含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載のバイオイメージング剤。
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