JP2020046412A - IgG4関連疾患の検査方法 - Google Patents

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雅広 塩川
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【課題】本発明はIgG4関連疾患をより高い精度で検査する検査方法を提供する。【解決手段】本発明の検査方法は、IgG4関連疾患の指標として、検体中の、ラミニン−インテグリン複合体と結合する指標抗体を間接的に検出する間接検出工程を含み、間接検出工程が、前記複合体と検体とを接触させる第1工程と、第1工程後の前記複合体と、前記指標抗体が結合していない前記複合体と結合するが前記指標抗体が結合している前記複合体とは結合しない抗体、或いは、前記指標抗体が結合していない前記複合体と結合しないが前記指標抗体が結合している前記複合体とは結合する抗体である検出用抗体とを接触させる第2工程と、第2工程後の前記複合体に結合した前記検出用抗体を検出する第3工程とを含む。【選択図】図3

Description

本発明は、IgG4関連疾患の検査方法、IgG4関連疾患を検査するための検査試薬、IgG4関連疾患に対する治療の効果を評価する方法、及び、IgG4関連疾患の治療薬の候補物質をスクリーニングする方法に関する。
IgG4関連疾患とは、血清IgG4高値とIgG4陽性形質細胞の組織浸潤または腫瘤形成を特徴とする疾患群である。
IgG4関連疾患は比較的新しい疾患概念であり、これまでのところ原因は不明である。罹患臓器としては膵臓、胆管、涙腺・唾液腺、中枢神経系、甲状腺、肺、肝臓、消化管、腎臓、前立腺、後腹膜、動脈、リンパ節、皮膚、乳腺等が知られている。病変が複数臓器におよび全身疾患としての特徴を有することが多いが、単一臓器病変の場合もある。
自己免疫性膵炎(AIP)、IgG4関連腎疾患、IgG4関連涙腺唾液腺炎等がIgG4関連疾患に分類される疾患として知られている。
これまでに自己免疫性膵炎の検査方法として、HSP10と免疫学的に結合する抗体を検出する方法(特許文献1)や、アミラーゼα2−Aと免疫学的に結合する抗体を検出する方法(特許文献2)が知られている。しかしながら、これらの方法は、自己免疫性膵炎の検査方法として必ずしも満足できるものではなかった。
従来の方法では、IgG4関連疾患であると診断することは容易ではなかった。例えば、AIPは膵臓での組織浸潤を特徴とするが、組織の観察像からは膵癌との判別が難しく、AIPが誤って膵癌と診断される可能性もあった。
そこで本発明者らは、特許文献3において、AIP等のIgG4関連疾患の病原物質が、ラミニンに対する自己抗体及びインテグリンに対する自己抗体であること、及び、血清中における抗ラミニン抗体及び抗インテグリン抗体がIgG4関連疾患の指標となることを開示した。
特開2009−294040号公報 特開2008−275527号公報 国際公開WO2018/016607
特許文献3の実験9では、51名のAIP患者のうち、26名が抗ラミニン抗体陽性かつ抗インテグリン抗体陰性であり、4名が抗ラミニン抗体陰性かつ抗インテグリン抗体陽性であり、21名が抗ラミニン抗体と抗インテグリン抗体の両方とも陰性であったことが示されている。すなわち、AIP患者の59%(30名/51名)で、抗ラミニン抗体及び抗インテグリン抗体の一方が陽性であり、これらはAIPマーカー抗体として有用であることが確認された。しかし、AIP患者の残りの41%(21名/51名)については、自己抗体が確認できず偽陰性となるという課題があった。
AIP等のIgG4関連疾患を、偽陰性及び偽陽性の可能性が低減された、より高い精度で検査する検査方法の提供が求められている。
ラミニンとインテグリンは生体内ではラミニン−インテグリン複合体として存在する。本発明者らは、IgG4関連疾患の患者が有する抗ラミニン抗体、抗インテグリン抗体等の自己抗体が、ラミニン−インテグリン複合体に結合するときに、該複合体の状態になんらかの変化が生じると推定した。本発明者らは、IgG4関連疾患患者の自己抗体のラミニン−インテグリン複合体への結合を直接的に検出するのではなく、自己抗体の結合に伴うラミニン−インテグリン複合体の状態変化を検出することを試みた。そして前記の状態変化を検出する手段として、前記自己抗体が結合していない前記複合体とは免疫学的に結合するが、前記自己抗体が結合している前記複合体とは免疫学的に結合しない抗体、或いは、前記自己抗体が結合していない前記複合体とは免疫学的に結合しないが、前記自己抗体が結合している前記複合体とは免疫学的に結合する抗体である検出用抗体に着目した。そして、ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させ、次いで、前記複合体に前記検出用抗体を接触させ、次いで、前記複合体に結合した前記検出用抗体を検出することで、IgG4関連疾患を、偽陰性及び偽陽性がなく高い精度で検査することが可能であることを見出し、この知見に基づいて以下の発明を完成するに至った。
(1)IgG4関連疾患の検査方法であって、
IgG4関連疾患の指標として、検体中の、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体を間接的に検出する間接検出工程
を含み、
間接検出工程が、
ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させる第1工程と、
第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体とを接触させる第2工程と、
第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に結合した前記検出用抗体を検出する第3工程と
を含む方法。
(2)前記IgG4関連疾患が、自己免疫性膵炎である、(1)に記載の方法。
(3)前記検出用抗体が、前記第1の検出用抗体である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)ラミニン−インテグリン複合体を構成するインテグリンが、インテグリンα6β1である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記検出用抗体が、インテグリンα6鎖のβプロペラドメインに含まれる領域をエピトープとして認識する抗体である、(4)に記載の方法。
(6)前記検出用抗体が、配列番号1で示されるインテグリンα6鎖のアミノ酸配列の第1位〜第100位の範囲内に含まれる領域をエピトープとして認識する抗体である、(4)又は(5)に記載の方法。
(7)前記検体が血液試料である、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)ラミニン及びインテグリンとの組み合わせ、或いは、ラミニン−インテグリン複合体と、
ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体と
を含む、IgG4関連疾患の検査キット。
(9)前記IgG4関連疾患が、自己免疫性膵炎である、(8)に記載のキット。
(10)前記検出用抗体が、前記第1の検出用抗体である、(8)又は(9)に記載のキット。
(11)インテグリン又はラミニン−インテグリン複合体を構成するインテグリンが、インテグリンα6β1である、(8)〜(10)のいずれかに記載のキット。
(12)前記検出用抗体が、インテグリンα6鎖のβプロペラドメインに含まれる領域をエピトープとして認識する抗体である、(11)に記載のキット。
(13)前記検出用抗体が、配列番号1で示されるインテグリンα6鎖のアミノ酸配列の第1位〜第100位の範囲内に含まれる領域をエピトープとして認識する抗体である、(11)又は(12)に記載のキット。
(14)ラミニン及びインテグリンのうち一方、或いは、ラミニン−インテグリン複合体を、固相に固定された形態で含む、(8)〜(13)のいずれかに記載のキット。
(15)前記検出用抗体と免疫学的に結合する、標識された二次抗体を更に含む、(8)〜(14)のいずれかに記載のキット。
(16)IgG4関連疾患に対する治療の効果を評価する方法であって、
IgG4関連疾患に対する治療が施された被検動物から得た検体中の、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体を間接的に検出する間接検出工程
を含み、
間接検出工程が、
ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させる第1工程と、
第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体とを接触させる第2工程と、
第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に結合した前記検出用抗体を検出する第3工程と
を含む方法。
(17)IgG4関連疾患の治療薬の候補物質をスクリーニングする方法であって、
試験物質を作用させた動物から得た検体中の、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体を間接的に検出する間接検出工程と、
前記試験物質を作用させたことにより前記検体中の前記指標抗体が減少した場合に、前記試験物質を、IgG4関連疾患の治療薬の候補物質として選抜する選抜工程と
を含み、
間接検出工程が、
ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させる第1工程と、
第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体とを接触させる第2工程と、
第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に結合した前記検出用抗体を検出する第3工程と
を含む方法。
本発明によれば、偽陰性及び偽陽性の可能性が低減されたIgG4関連疾患の検査方法、IgG4関連疾患を検査するための検査キット、IgG4関連疾患に対する治療の効果を評価する方法、IgG4関連疾患の治療薬の候補物質をスクリーニングする方法として有効な手段が提供される。
図1は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)のIgG4濃度(mg/dl)の測定結果を示す。 図2は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)の抗ヒトラミニン511活性断片抗体の定量結果を示す。 図3は本発明の方法の概要を説明するための模式図である。図3(A)は、固相10上にヒトラミニン−511−E8(ラミニン511活性断片)1を固定し、更に、このラミニン511活性断片1にヒトインテグリンα6β1(インテグリン)2を結合させてラミニン−インテグリン複合体3を形成する例を示す。図3(B1)及び(B2)は、固相10に固定された複合体3に血清Sを接触させる例を示す。図3(B1)は、血清S中に複合体3に結合する自己抗体4が存在する場合に、自己抗体4が複合体3に結合することを示す。図3(B2)は、血清S中に複合体3に結合する自己抗体4が存在しない場合を示す。図3(C1)及び(C2)は、それぞれ、図3(B1)及び(B2)に示した血清Sと接触後の複合体3に、自己抗体4が結合していない複合体3と結合することができ、且つ、自己抗体4が結合した複合体3とは結合することができない第1の検出用抗体である一次抗体5を接触させた例を示す。図3(D1)及び図3(D2)は、それぞれ、図3(C1)及び(C2)に示した一次抗体5と接触後の複合体3に、一次抗体5と結合する、HRP(セイヨウワサビペルオキシダーゼ)7で標識した二次抗体6を接触させた例を示す。二次抗体6を接触させ、インキュベートし、洗浄した後の固相10上のHRP7の酵素活性を指標として二次抗体6の定量を行うことで、一次抗体5が定量される。一次抗体5の量は、血清S中の、自己抗体4の量に反比例する。 図4は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)を試料とし、一次抗体として、候補1(抗ラミニンα5抗体MAB1924)を用いたときの、二次抗体の測定結果を示す。 図5は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)を試料とし、一次抗体として、候補2(抗ラミニンα5抗体ab210957)を用いたときの、二次抗体の測定結果を示す。 図6は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)を試料とし、一次抗体として、候補3(抗ラミニンβ1抗体ab69633)を用いたときの、二次抗体の測定結果を示す。 図7は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)を試料とし、一次抗体として、候補4(抗ラミニンβ1抗体ab98232)を用いたときの、二次抗体の測定結果を示す。 図8は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)を試料とし、一次抗体として、候補5(抗ラミニンγ1抗体LS−C312737)を用いたときの、二次抗体の測定結果を示す。 図9は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)を試料とし、一次抗体として、候補6(抗ラミニンγ1抗体LS−C356151)を用いたときの、二次抗体の測定結果を示す。 図10は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)を試料とし、一次抗体として、候補7(抗インテグリンα6抗体ab105669)を用いたときの、二次抗体の測定結果を示す。 図11は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)を試料とし、一次抗体として、候補8(抗インテグリンα6抗体ab181551)を用いたときの、二次抗体の測定結果を示す。 図12は、AIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)を試料とし、一次抗体として、候補9(抗インテグリンβ1抗体ab30394)を用いたときの、二次抗体の測定結果を示す。
<1.IgG4関連疾患>
本発明においてIgG4関連疾患とは、血清IgG4高値とIgG4陽性形質細胞の組織浸潤または腫瘤形成を特徴とする疾患群であり、具体的には、自己免疫性膵炎(AIP)、IgG4関連腎疾患、IgG4関連涙腺唾液腺炎、IgG4関連硬化性胆管炎、IgG4関連眼疾患、IgG4関連動脈周囲炎、IgG4関連下垂体炎、IgG4関連肺疾患、IgG4関連後腹膜線維症が例示できる。本発明が対象とするIgG4関連疾患は、典型的には、自己免疫性膵炎(AIP)である。
<2.ラミニン−インテグリン複合体>
ラミニン−インテグリン複合体は、ラミニンとインテグリンとが結合して形成される複合体である。ラミニンは、細胞外マトリクスの基底膜を構成するタンパク質である。インテグリンは細胞表面に存在し、ラミニンと結合するタンパク質である。生体内では細胞外マトリクスの基底膜のラミニンと細胞表面のインテグリンとが結合することで、細胞外マトリクスと細胞との接着に寄与する。
ラミニンは、天然型では、α鎖、β鎖およびγ鎖の3本のサブユニット鎖からなる巨大なヘテロ3量体分子である。α鎖としてα1〜α5、β鎖としてβ1〜β3、γ鎖としてγ1〜γ3が知られており、それらの組み合わせで12種類以上のアイソフォームが存在する(表1参照)。本発明においてラミニンのアイソフォームは限定されない。すなわち検出しようとする指標抗体と免疫学的に結合する複合体を構成するラミニンは、α1〜α5から選択される1種のα鎖、β1〜β3から選択される1種のβ鎖、γ1〜γ3から選択される1種のγ鎖からなるものであることができ、具体的には、表1に記載の12種類のいずれか、或いは他のアイソフォームであることができ、好ましくはα鎖がα5、β鎖がβ1、γ鎖がγ1である「ラミニン−511」、及び、α鎖がα5、β鎖がβ2、γ鎖がγ1である「ラミニン−521」である。
Figure 2020046412
本発明において、検出しようとする指標抗体と免疫学的に結合する複合体を構成するラミニンの起源は特に限定されないが、IgG4関連疾患は通常は自己免疫疾患であることから、被検動物と同じ種のラミニンであることが好ましく、特にヒトが好ましい。ヒト等の哺乳動物の種のラミニンのα鎖、β鎖、γ鎖をコードする遺伝子の塩基配列情報および各鎖のアミノ酸配列情報は、公知のデータベース(GenBank等)から取得することができる。表2に、ヒトを含む主な哺乳類について、ラミニンを構成する各鎖のアクセッション番号を示す。表2に示すアミノ酸配列を有するラミニンの各鎖が、更に翻訳後修飾を受けたものが、ラミニンを形成してもよい。これら以外の各種哺乳動物のラミニン構成鎖の塩基配列情報およびアミノ酸配列情報も同様に公知のデータベース(GenBank等)から取得することができる。
Figure 2020046412
本発明においてラミニン、ラミニン−511、ラミニン−521という各用語は、特に限定しない場合は、α鎖、β鎖及びγ鎖がそれぞれ全長からなる天然型の形態には限定されず、それぞれ、ラミニンの断片、ラミニン−511の断片、ラミニン−521の断片や、天然型のラミニン、天然型のラミニン−511、天然型のラミニン−521と等価な形態のものを包含する。従って、検出しようとする指標抗体は、ラミニンの断片を含むラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合するものであってもよい。ラミニンの断片としては、天然型のラミニンの3量体を構成するα鎖、β鎖、γ鎖のうち少なくとも1つが全長よりも短いものが挙げられる。ラミニンの断片は、3量体を形成し、且つ、インテグリン結合活性を有していることがより好ましい。ラミニンの断片が3量体を形成していることは、ラミニンの断片をSDS−PAGEに供し、バンドの数を検出すること等により確認できる。ラミニンの断片がインテグリン結合活性を有していることは、ELISA法等により確認することができる。
3量体を形成し、且つ、インテグリン結合活性を有するラミニンの断片としては、天然型のラミニンをエラスターゼ等のタンパク質分解酵素で消化して得られる断片が挙げられ、特に好ましくはE8フラグメントである。ラミニンのE8フラグメントは、α鎖のC末端断片から、C末端の球状(G)ドメイン4および5が除かれた断片(α鎖E8)、β鎖のC末端断片(β鎖E8)およびγ鎖のC末端断片(γ鎖E8)が3量体を形成したフラグメントである(Hiroyuki Ido, Aya Nakamura, Reiko Kobayashi, Shunsuke Ito, Shaoliang Li, Sugiko Futaki, and Kiyotoshi Sekiguchi, The Journal of Biological Chemistry, 282, 11144-11154, 2007)。ラミニンのE8フラグメントは、全長ラミニンを膵エラスターゼにより酵素的に消化して得ることができる。市販のラミニンのE8フラグメントとしては、ヒトラミニン−511−E8(892012,株式会社ニッピ製)が例示できる。
インテグリンは、天然型では、α鎖及びβ鎖の2本のサブユニット鎖からなるヘテロ2量体分子である。α鎖としてα1〜α11、αV、αX、αM、αL、αD、αE、αIIb、β鎖としてβ1〜β8が知られており、それらの組み合わせが異なる複数のアイソフォームが存在する。ラミニンのリガンドとなり得るインテグリンのアイソフォームとしては、インテグリンα6β1、インテグリンα3β1、インテグリンα6β4が知られている。本発明においてインテグリンのアイソフォームは限定されないが、好ましくはα鎖がα6、β鎖がβ1である「インテグリンα6β1」である。
本発明において、検出しようとする指標抗体と免疫学的に結合する複合体を構成するインテグリンの起源は特に限定されないが、IgG4関連疾患は通常は自己免疫疾患であることから、被検動物と同じ種のインテグリンであることが好ましく、特にヒトが好ましい。ヒト等の哺乳動物の種のインテグリンのα鎖、β鎖をコードする遺伝子の塩基配列情報および各鎖のアミノ酸配列情報は、公知のデータベース(GenBank等)から取得することができる。表3に、ヒトインテグリンを構成する各鎖のアミノ酸配列及び塩基配列のアクセッション番号を示す。ヒトインテグリンのα6鎖及びβ1鎖には、それぞれ、3つのスプライシングバリアントが知られている。表3に示すアミノ酸配列を有するヒトインテグリンのα鎖、β鎖が、更に翻訳後修飾を受けたものが、ヒトインテグリンを形成してもよい。これら以外の各種哺乳動物のインテグリン構成鎖の塩基配列情報およびアミノ酸配列情報も同様に公知のデータベース(GenBank等)から取得することができる。
Figure 2020046412
本発明においてインテグリン、インテグリンα6β1、インテグリンα3β1という各用語は、特に限定しない場合は、α鎖及びβ鎖がそれぞれ全長からなる形態には限定されず、それぞれ、インテグリンの断片、インテグリンα6β1の断片、インテグリンα3β1の断片や、天然型のインテグリン、天然型のインテグリンα6β1、天然型のインテグリンα3β1と等価な形態のものを包含する。従って、検出しようとする指標抗体は、インテグリンの断片を含むラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合するものであってもよい。インテグリンの断片としては、インテグリンの2量体を構成するα鎖、β鎖のうち少なくとも1つが全長よりも短いものが挙げられる。インテグリンの断片は、2量体を形成していることが好ましく、ラミニン結合活性を有していることがより好ましい。インテグリンの断片が2量体を形成していることは、インテグリンの断片をSDS−PAGEに供し、バンドの数を検出すること等により確認できる。インテグリンの断片がラミニン結合活性を有していることは、ELISA法等により確認することができる。市販のインテグリンとしては、リコンビナントヒトインテグリンα6β1(R&DSystems、米国ミネソタ州、製品番号7809−A6)、リコンビナントヒトインテグリンα3β1(R&DSystems、米国ミネソタ州、製品番号2840−A3)が例示できる。
インテグリンの断片としては、市販されているヒトインテグリンα6β1の断片であるHuman ITGA6 & ITGB1(中国北京、Sino Biological、製品番号CT013−H2508H−20)が例示できる。
ラミニン−インテグリン複合体は、ラミニンとインテグリンとを接触させインキュベートすることで形成することができる。好ましくは、ラミニンとインテグリンのうち一方(好ましくはラミニン)を固相の表面に固定化し、次いで、該固相の表面にラミニンとインテグリンのうち他方(好ましくはインテグリン)を接触させインキュベートすることで、ラミニン−インテグリン複合体を形成することができる。ラミニンとインテグリンとの結合は、適当な緩衝液中で行うことができる。
<3.指標抗体>
本発明では、IgG4関連疾患に罹患した動物が特徴的に有する、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する抗体を、IgG4関連疾患の指標として間接的に検出する。そこで、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する抗体を「指標抗体」と称する。指標抗体は、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する抗体であればよく、インテグリンとの複合体を形成しない状態のラミニンとも免疫学的に結合する抗ラミニン抗体や、ラミニンとの複合体を形成しない状態のインテグリンとも免疫学的に結合する抗インテグリン抗体や、ラミニン−インテグリン複合体に免疫学的に結合するが、複合体を形成しないラミニン又はインテグリンとは結合しない抗複合体抗体を包含する。例えば、指標抗体は、後述のようにIgG4関連疾患に罹患した動物の血清などに含まれる。
<4.検査用抗体>
既述の通り、ラミニン−インテグリン複合体に結合する前記指標抗体を直接的に検出することは困難である。本発明では、前記指標抗体の結合に伴い状態が変化するラミニン−インテグリン複合体の部位に特異的な検出用抗体の結合の有無を検出することで、ラミニン−インテグリン複合体への前記指標抗体の結合の有無を間接的に検出することに特徴がある。ラミニン−インテグリン複合体の前記部位の状態の変化は、検出用抗体との結合性の変化を生じる前記部位の状態の変化を指し、その具体的な態様は特に限定されないが、例えば、ラミニン−インテグリン複合体への指標抗体の結合に伴う前記部位の立体構造の変化や、前記部位が指標抗体にマスクされることによる前記部位と検出用抗体との結合性の変化などを包含する。
本発明で用いる検出用抗体は、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体を指す。これらの検出用抗体は、ラミニン−インテグリン複合体において、前記指標抗体の結合の前後で状態が変化する領域をエピトープとして認識する。第1の検出用抗体は、前記指標抗体が結合していない状態でのラミニン−インテグリン複合体の前記領域に特異的に結合する抗体である。第2の検出用抗体は、前記指標抗体が結合している状態でのラミニン−インテグリン複合体の前記領域に特異的に結合する抗体である。検出用抗体としては、第1の検出用抗体が特に好ましい。
検出用抗体のクラスは特に限定されず、IgG抗体、IgA抗体、IgM抗体等であってよい。
検出用抗体が認識するエピトープは、ラミニン−インテグリン複合体において、前記指標抗体の結合の前後で状態が変化する領域に含まれるものであれば特に限定されない。例えば、ラミニン−インテグリン複合体を構成するインテグリンがインテグリンα6β1である場合には、インテグリンα6鎖のβプロペラドメインに含まれる領域をエピトープとして認識する検出用抗体が好適である。インテグリンα6鎖が配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する場合には、配列番号1で示されるアミノ酸配列の第1位〜第100位の範囲内にβプロペラドメインが存在するため、前記範囲内に含まれる領域をエピトープとして認識する検出用抗体が好適である。このような検出用抗体の具体例としては、インテグリンα6鎖のアミノ酸配列の第1位〜第100位の領域をエピトープとして認識する抗体である、abcam社製Anti−Integrin alpha 6 antibody[EPR18124](ab181551)が特に好ましい。
<5.IgG4関連疾患の検査方法>
本発明は第一に、
IgG4関連疾患の検査方法であって、
IgG4関連疾患の指標として、検体中の、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体を間接的に検出する間接検出工程
を含み、
間接検出工程が、
ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させる第1工程と、
第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体とを接触させる第2工程と、
第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に結合した前記検出用抗体を検出する第3工程と
を含む方法に関する。
本発明の検査方法は、ラミニン−インテグリン複合体に結合した指標抗体を直接的に検出するのではなく、指標抗体の結合の有無に応じてラミニン−インテグリン複合体との結合性が変化する検出用抗体を、検体との接触後のラミニン−インテグリン複合体と接触させて、結合した検出用抗体を検出することで、ラミニン−インテグリン複合体に結合した指標抗体を間接的に検出することに特徴がある。この方法によれば、IgG4関連疾患を高い精度で検査することができる。
本発明の検査方法が対象とする被検動物は特に限定されずヒトであってもよいし、他の非ヒト哺乳動物であってもよいが、好ましくはヒトである。
本発明の検査方法に用いる検体としては、被検動物から採取される体液が挙げられる。具体的には、血清、血漿、全血等の血液試料のほか、唾液、髄液、尿などの血液以外の体液試料であってもよい。また、体液に限らず、被検動物から採取される組織の破砕液又は抽出液、例えば、検査しようとするIgG4関連疾患の疾患部位(例えば膵臓、腎臓、唾液腺等)から採取される組織の破砕液又は抽出液も、検体として用いることができる。検体は、被検動物から分離された形態で本発明の検査方法に用いる。
間接検出工程では、ラミニン−インテグリン複合体として、固相に固定されたものを用いることが好ましい。固相の形態としては、プレート、ビーズ、チューブなどの任意の形態であってよい。固相に固定された前記複合体は、既述の通り、ラミニンとインテグリンのうち一方(好ましくはラミニン)を固相の表面に固定化し、次いで、該固相の表面にラミニンとインテグリンのうち他方(好ましくはインテグリン)を接触させインキュベートすることで形成することができる。図3(A)は、固相10上にヒトラミニン−511−E8(ラミニン511活性断片)1を固定し、更に、このラミニン511活性断片1にヒトインテグリンα6β1(インテグリン)2を結合させてラミニン−インテグリン複合体3を形成した例の模式図である。
間接検出工程の第1工程は、ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させる工程である。第1工程は、検体中に指標抗体が存在する場合に、指標抗体が前記複合体に免疫学的に結合できる条件で行う。第1工程は適当な緩衝液中で行うことができる。第1工程の好ましい実施形態は、検体を緩衝液で希釈した希釈液を、ラミニン−インテグリン複合体と接触させ、一定時間インキュベートすることを含む。図3(B1)及び(B2)は、固相10に固定されたラミニン−インテグリン複合体3に、希釈された血清S(検体)を接触させる例を示す。図3(B1)は、血清S中にラミニン−インテグリン複合体3に結合する自己抗体4(指標抗体)が存在する場合に、自己抗体4がラミニン−インテグリン複合体3に結合することを示す。図3(B2)は、血清S中に複合体3に結合する自己抗体4が存在しない場合を示す。
第1工程終了後に、ラミニン−インテグリン複合体を洗浄して、残存する検体を除去することが好ましい。
間接検出工程の第2工程は、第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と、検出用抗体とを接触させる工程である。第2工程は、ラミニン−インテグリン複合体と検出用抗体とが免疫学的に結合できる条件で行う。第2工程もまた適当な緩衝液中で行うことができる。第2工程の好ましい実施形態は、検出用抗体を含む緩衝液を、第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と接触させ、一定時間インキュベートすることを含む。図3(C1)及び(C2)は、それぞれ、図3(B1)及び(B2)に示した第1工程後のラミニン−インテグリン複合体3に、自己抗体4(指標抗体)が結合していないラミニン−インテグリン複合体3とは免疫学的に結合することができ、且つ、自己抗体4が結合した複合体3とは免疫学的に結合することができない第1の検出用抗体である一次抗体5を接触させた例を示す。
第2工程終了後に、ラミニン−インテグリン複合体を洗浄して、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合しなかった残存する検出用抗体を除去することが好ましい。
間接検出工程の第3工程は、第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に結合した検出用抗体を検出する工程である。第3工程において「検出」とは、ラミニン−インテグリン複合体に結合した検出用抗体が存在するか否かを確認することのほか、その量を測定すること、すなわち「定量」すること、も包含する概念である。
第3工程は、ラミニン−インテグリン複合体に結合した検出用抗体を定量的又は定性的に検出可能な方法であればよく、具体的な態様は特に限定されない。例えば、検出用抗体に免疫学的に結合することができる、標識された二次抗体を、第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に接触させインキュベートし、洗浄して、ラミニン−インテグリン複合体上の検出用抗体に結合した二次抗体を、標識を指標に検出することで、検出用抗体を検出することが可能である。標識には、酵素、発色物質等の標識物質を用いることができる。標識された二次抗体を用いる実施形態では、検出用抗体と免疫学的に結合する二次抗体の量は、標識の測定値として求めることができる。図3(D1)及び図3(D2)は、それぞれ、図3(C1)及び(C2)に示した一次抗体5(検出用抗体)と接触後のラミニン−インテグリン複合体3に、一次抗体5と免疫学的に結合する、HRP(セイヨウワサビペルオキシダーゼ)7で標識した二次抗体6を接触させた例を示す。二次抗体6を接触させ、インキュベートし、洗浄した後の固相10上のHRP7による酵素反応を指標として二次抗体6の定量を行うことで、一次抗体5が定量される。一次抗体5の量は、血清S中の、自己抗体4の量に反比例するため、自己抗体4の量を検出することができる。
ラミニン−インテグリン複合体に結合した検出用抗体を定量的又は定性的に検出する方法は、上記で説明した二次抗体を用いる方法には限定されず、他の方法を用いることもできる。例えば、第2工程で、標識物質で標識された検出用抗体を用い、第3工程で、標識を指標にして検出用抗体を直接検出することができる。標識としては酵素、発色物質等の標識物質を用いることができる。
検体中に、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体が存在するか否かの判定(陽性/陰性の判定)は、被検動物個体(例えば、IgG4関連疾患の罹患が疑われるヒト)から得た検体を試料とした場合の第3工程での測定値を、IgG4関連疾患を罹患していない動物個体(例えば健常者)から得た検体を試料とした場合の第3工程での測定値と比較することによって行うことができる。ここで、IgG4関連疾患を罹患していない個体から得た検体を試料とした場合の第3工程での測定値は、同時に測定して得た値であってもよいし、予め測定して得た値であってもよい。検出用抗体として第1の検出用抗体を用いる実施形態では、被検動物個体から得た検体を試料とした場合の第3工程での測定値が、IgG4関連疾患を罹患していない動物個体から得た検体を試料とした場合の第3工程での測定値よりも有意に小さい場合に、陽性と判断することができる。検出用抗体として第2の検出用抗体を用いる実施形態では、被検動物個体から得た検体を試料とした場合の第3工程での測定値が、IgG4関連疾患を罹患していない動物個体から得た検体を試料とした場合の第3工程での測定値よりも有意に大きい場合に、陽性と判断することができる。
本発明のIgG4関連疾患の検査方法の、検体中に、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体が検出された場合、検出結果に基づき、検体が由来する被験動物が、IgG4関連疾患、特にAIPに罹患していると判断することができる。
<6.IgG4関連疾患の検査キット>
本発明は第二に、
ラミニン及びインテグリンとの組み合わせ、或いは、ラミニン−インテグリン複合体と、
ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体と
を含む、IgG4関連疾患の検査キット
に関する。
ここで、IgG4関連疾患、ラミニン、インテグリン、ラミニン−インテグリン複合体、検出用抗体については既述の通りである。
本発明の検査キットは、上記の本発明の検査方法に使用することができる。
本発明の検査キットの1以上の実施形態は、免疫学的測定に必要な試薬類、例えば、緩衝液、ブロッキング液、洗浄液、検体希釈液、基質液等を必要に応じて含んでよい。
本発明の検査キットにおいて、ラミニン及びインテグリンとの組み合わせ、或いは、ラミニン−インテグリン複合体の形態は特に限定されず、溶液状態であってもよいし、乾燥状態であってもよいし、固相に固定された形態であってもよい。乾燥状態である場合、使用前に溶液状態にするための緩衝液や溶媒を本発明の検査キットに含めてもよい。
本発明の検査キットの1以上の実施形態では、ラミニン及びインテグリンのうち一方、或いは、ラミニン−インテグリン複合体を、固相に固定された形態で含む。固相の形態としては、プレート、ビーズ、チューブなどの任意の形態であってよい。
本発明の検査キットの1以上の実施形態では、検出用抗体と免疫学的に結合する、標識された二次抗体を更に含む。本実施形態では更に、標識された二次抗体を検出するための試薬(酵素により標識された二次抗体を検出するための基質等)を必要に応じて含むことができる。
<7.IgG4関連疾患に対する治療の効果を評価する方法>
本発明は第三に、
IgG4関連疾患に対する治療の効果を評価する方法であって、
IgG4関連疾患に対する治療が施された被検動物から得た検体中の、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体を間接的に検出する間接検出工程
を含み、
間接検出工程が、
ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させる第1工程と、
第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体とを接触させる第2工程と、
第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に結合した前記検出用抗体を検出する第3工程と
を含む方法に関する。
上記の「IgG4関連疾患に対する治療の効果を評価する方法」は、「IgG4関連疾患に対する治療の効果を評価するための指標を取得する方法」と表現してもよい。
本発明の検査方法に関して既述の通り、検体中の指標抗体の存在は、IgG4関連疾患の指標として有用である。このため、IgG4関連疾患に対する治療が施された被検動物から得た検体中の指標抗体は、治療が有効で治癒している場合は低下し、治療が十分に効果を発揮していない場合は治療開始前から変化しない又は上昇する。そこで、IgG4関連疾患に対する治療が施された被検動物から得た検体中の指標抗体を検出することで、治療の効果を評価することが可能となる。
被検動物としては、IgG4関連疾患の治療を受けたヒトや非ヒト動物が例示できる。
IgG4関連疾患の治療としては、ステロイド投与等の、IgG4関連疾患の治療が挙げられる。
本発明の治療効果の評価方法における、検体、ラミニン、インテグリン、ラミニン−インテグリン複合体、検出用抗体、間接検出工程などの具体的態様は既述の通りである。
本発明の治療効果の評価方法における間接検出工程で得た、IgG4関連疾患に対する治療が施された被検動物から得た検体中の指標抗体の定量結果を、例えば、前記治療を開始する前の同一動物個体から得た検体中の指標抗体の定量結果と比較して、前者が後者よりも小さい場合には、治療が有効であると評価することができる。一方、前者が後者と同程度或いは後者よりも大きい場合には、治療が有効でない又は十分でないと評価することができる。この評価結果に基づいて、治療を更に継続する、治療方針を変更する、治療を中止するなどの判断が可能である。
また、本発明の治療効果の評価方法における間接検出工程で得た、IgG4関連疾患に対する治療が施された被検動物から得た検体中の指標抗体の定量結果を、例えば、同一動物種の健常個体から得た検体中の指標抗体の定量結果と比較して、前者が後者と同程度である又はより小さい場合には、治療が有効であると評価することができる。一方、前者が後者よりも大きい場合には、治療が有効でない又は十分でないと評価することができる。この評価結果に基づいて、治療を更に継続する、治療方針を変更する、治療を中止するなどの判断が可能である。
<8.IgG4関連疾患の治療薬の候補物質をスクリーニングする方法>
本発明は第四に、
IgG4関連疾患の治療薬の候補物質をスクリーニングする方法であって、
試験物質を作用させた動物から得た検体中の、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体を間接的に検出する間接検出工程と、
前記試験物質を作用させたことにより前記検体中の前記指標抗体が減少した場合に、前記試験物質を、IgG4関連疾患の治療薬の候補物質として選抜する選抜工程と
を含み、
間接検出工程が、
ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させる第1工程と、
第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体とを接触させる第2工程と、
第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に結合した前記検出用抗体を検出する第3工程と
を含む方法に関する。
既述の通り、検体中の指標抗体は、IgG4関連疾患の指標として有用である。このため、試験物質を作用させたことにより前記検体中の指標抗体が減少した場合に、前記試験物質を、IgG4関連疾患の治療薬の候補物質として選抜することが可能となる。
本発明のスクリーニング方法における、検体、ラミニン、インテグリン、ラミニン−インテグリン複合体、検出用抗体、間接検出工程などの具体的態様は既述の通りである。
本発明のスクリーニング方法において、試験物質としては、新規医薬の候補となる可能性のある試験物質であり特に限定されない。試験物質を作用させる動物は、典型的には、IgG4関連疾患の非ヒトモデル動物等の、健常個体と比較して、ラミニンと免疫学的に結合する抗体の検体中での量が大きい動物である。
本発明のスクリーニング方法における選抜工程では、間接検出工程で得た、試験物質を作用させた動物から得た検体中の指標抗体の定量結果を、例えば、前記試験物質を作用させる前の同一動物個体から得た検体中の指標抗体の定量結果と比較して、前者が後者よりも小さい場合には、前記試験物質を作用させたことにより前記検体中の指標抗体が減少したと判断し、前記試験物質を、IgG4関連疾患の治療薬の候補物質として選抜することができる。
また、本発明のスクリーニング方法における選抜工程では、間接検出工程で得た、試験物質を作用させた動物から得た検体中の指標抗体の定量結果を、例えば、同一動物種の健常個体から得た検体中の指標抗体の定量結果と比較して、前者が後者と同程度である又はより小さい場合には、前記試験物質を作用させたことにより前記検体中の指標抗体が減少したと判断し、前記試験物質を、IgG4関連疾患の治療薬の候補物質として選抜することができる。
以下の実験は全て室温条件で行った。
1.血清試料
自己免疫性膵炎(AIP)と診断された24名の患者から取得した血清を、AIP患者血清とした。
一方、健常人、AIP以外の自己免疫疾患の患者及び悪性腫瘍患者の計20名から取得した血清を、対照血清とした。
2.血清IgG4値の測定
常法に従い、上記のAIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)のIgG4値(mg/dl)を測定した。
結果を図1に示す。カットオフ値は、IgG4関連疾患の診断でカットオフ値として一般的に使用されている135mg/dLである。
24例のAIP患者血清のうち、20例がIgG4高値であり、4例がIgG4低値であった。
20例の対照血清のうち、5例がIgG4高値であり、15例がIgG4低値であった。
このように、AIP患者血清と非AIP患者血清は、血清IgG4値のみを指標とする判別方法では、正確に判別することができない場合がある。
3.血清中の抗ラミニン抗体
本発明者らの特許文献3(国際公開WO2018/016607)に記載の方法により、上記のAIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)中の抗ラミニン抗体を定量した。
具体的な手順は特許文献3の実験4に記載の通りであるが、その概要は次の通りである。
測定はELISA Starter Accessory Kit(E101, Bethyl Laboratories)を用いて行った。前記キットのマイクロウェルプレートのウェルに、抗原としてヒトラミニン−511−E8(892012,株式会社ニッピ製)(ラミニン−511活性断片)を固定した。次いで、前記ウェルに、上記のAIP患者血清(24例)及び対照血清(20例)の希釈液を加えてインキュベートした。次いで、前記ウェルに、HRP(セイヨウワサビペルオキシダーゼ)とコンジュゲートされた二次抗体(abcam6759,ウサギ抗ヒトIgG H&L(HRP),ポリクローナル)の希釈液を加えてインキュベートした。最後に、前記ウェルに、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)溶液を加えてインキュベートし、HRPによるTMBの酸化反応を行い、マイクロプレートリーダーを用い、450nmの波長にて、前記酸化反応の生成物による呈色を測定した。
結果を図2に示す。図2において縦軸は、抗体の血清中濃度に比例する450nmでの吸光度の相対値を示す。カットオフ値は、本発明者らによる論文(Shiokawa et al., Sci. Transl. Med. 10, eeaq0997(2018))に記載の、対照血清122例での吸光度の測定値の平均値に標準偏差(SD)の2倍の値を加えた値である。
24例のAIP患者血清のうち、ヒトラミニン511活性断片に対する抗体の陽性が14例、陰性が10例であった。
20例の対照血清のうち、ヒトラミニン511活性断片に対する抗体の陽性が6例、陰性が14例であった。
このように、AIP患者血清と非AIP患者血清は、ヒトラミニン511活性断片に対する抗体のみを指標とする判別方法では、正確に判別することができない場合がある。
4.新規判別方法の検討
本実験の概要を図3に示す模式図を参照して説明する。
図3(A)に示すように、固相10上にヒトラミニン−511−E8(ラミニン511活性断片)1を固定し、更に、このラミニン511活性断片1にヒトインテグリンα6β1(インテグリン)2を結合させて複合体3を形成する。
固相10に固定された前記複合体3に血清Sを接触させる。図3(B1)に示すように、血清S中に前記複合体3に結合する「指標抗体」である自己抗体4(ヒトラミニン−511−E8、ヒトインテグリンα6β1、或いは、前記複合体に対する自己抗体)が存在する場合、前記自己抗体4は前記複合体3に結合する。図3(B2)は、血清S中に前記複合体3に結合する自己抗体4が存在しない場合を示す。次いで、自己抗体4が結合していない複合体3と結合することができ、且つ、自己抗体4が結合した複合体3とは結合することができない「第1の検出用抗体」である一次抗体5を固相10上に添加しインキュベートする(図3(C1)、図3(C2)参照)。一次抗体5のインキュベート後に固相10を洗浄し、更に、一次抗体5と結合する、HRP7とコンジュゲートした二次抗体6を添加しインキュベートする(図3(D1)、図3(D2)参照)。二次抗体6のインキュベート後に固相10を洗浄する。最後に、固相10上のHRP7による酵素反応を指標として二次抗体6の定量を行う。この実験では、図3(B1)に示すように、血清S中に前記複合体3に結合する自己抗体4(指標抗体)が存在する場合は、一次抗体5(第1の検出用抗体)は前記複合体3に結合することができず(図3(C1))、二次抗体6が固相10に結合できない(図3(D1))ため、二次抗体6が検出されない。一方、図3(B2)に示すように、血清S中に前記複合体3に結合する自己抗体4(指標抗体)が存在しない場合は、一次抗体5(第1の検出用抗体)は前記複合体3に結合することができ(図3(C2))、二次抗体6が固相10に結合できる(図3(D2))ため、二次抗体6が検出される。
自己抗体(指標抗体)が結合していないラミニン−インテグリン複合体と結合することができ、且つ、自己抗体(指標抗体)が結合したラミニン−インテグリン複合体とは結合することができない一次抗体(第1の検出用抗体)の候補1〜9として、エピトープの異なる以下の抗体を用いた。また、一次抗体(第1の検出用抗体)の各候補に応じて異なるHRPコンジュゲート二次抗体を用いた。
Figure 2020046412
Figure 2020046412
以下の試験では、特に明示しない場合は、ELISA Starter Accessory Kit(E101, Bethyl Laboratories)を用いた。
コーティングバッファー(Coating Buffer)、洗浄溶液(Wash Solution)、ブロッキング溶液(Blocking Solution)、コンジュゲート希釈剤(Conjugate Diluent)は全て前記キットの指示書に従い調製した。
4.1.抗原(ラミニン511−E8)によるコーティング
(1)ヒトラミニン−511−E8(892012,株式会社ニッピ製)(ラミニン−511活性断片)を前記キットのコーティングバッファーに希釈して2μg/ml濃度溶液とした。この溶液を、前記キットのマイクロウェルプレートに、1つのウェルあたり100μlとなるように加えた。
(2)上記のマイクロウェルプレートを60分間インキュベートした。
(3)インキュベート後に各ウェルから溶液を吸引除去した。
(4)各ウェルを前記キットの洗浄溶液により洗浄した。具体的には、各ウェルに前記洗浄溶液を満たし、次いで、前記洗浄溶液を吸引除去する洗浄操作を3回行った。
4.2.ブロッキング
(1)前記キットのブロッキング溶液200μlを各ウェルに添加した。
(2)30分間インキュベートした。
(3)インキュベート後、前記ブロッキング溶液を除去し、各ウェルを3回洗浄した。
4.3.インテグリンα6β1のインキュベート
(1)ヒトインテグリンα6β1(7809−A6−050、R&D system)を、1mMマンガン(Mn)を添加した前記キットのコンジュゲート希釈剤中で、2μg/mlの濃度に希釈した。この希釈溶液を、ブロッキング後のマイクロウェルプレートの各ウェルに100μl加えた。
(2)60分間インキュベートした。
(3)インキュベート後、前記希釈溶液を除去し、1mMマンガンを添加した前記キットの洗浄溶液により各ウェルを3回洗浄した。
4.4.患者血清又は対照血清のインキュベート
(1)前記AIP患者血清(n=24)又は前記対照血清(n=20)を、1mMマンガンを添加した前記キットのコンジュゲート希釈剤により1:100の割合で混合し希釈した。
(2)前記希釈により得られた血清希釈液を、インテグリンα6β1インキュベート後のマイクロウェルプレートの各ウェルに100μl加えた。
(3)60分間インキュベートした。
(4)インキュベート後、前記血清希釈液を除去し、1mMマンガンを添加した前記キットの洗浄溶液により各ウェルを3回洗浄した。
4.5.一次抗体
(1)前記の一次抗体の候補1〜9を、1mMマンガンを添加した前記キットのコンジュゲート希釈剤により1:2000の割合で混合し希釈した。
(2)前記希釈により得られた一次抗体希釈液を、血清インキュベート後のマイクロウェルプレートの各ウェルに100μl加えた。
(3)60分間インキュベートした。
(4)インキュベート後、前記一次抗体希釈液を除去し、1mMマンガンを添加した前記キットの洗浄溶液により各ウェルを3回洗浄した。
4.6.HRPコンジュゲート二次抗体
(1)HRP(セイヨウワサビペルオキシダーゼ)とコンジュゲートされた前記二次抗体を、1mMマンガンを添加した前記キットのコンジュゲート希釈剤(Conjugate Diluent)により1:5000の割合で混合し希釈した。
(2)前記希釈により得られた二次抗体希釈液を、一次抗体インキュベート後のマイクロウェルプレートの各ウェルに100μl加えた。
(3)60分間インキュベートした。
(4)インキュベート後、前記二次抗体希釈液を除去し、1mMマンガンを添加した前記キットの洗浄溶液により各ウェルを5回洗浄した。
4.7.酵素基質反応
(1)製造元の推奨条件に従ってTMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)溶液を調製した。
(2)前記TMB溶液を、二次抗体インキュベート後のマイクロウェルプレートの各ウェルに100μl加えた。
(3)5分間インキュベートし、HRPによるTMBの酸化反応を行った。
(4)前記酸化反応後に、0.18M HSO100μlを、各ウェルに加えた。
(5)マイクロプレートリーダーを用い、450nmの波長にて、前記酸化反応の生成物による呈色を測定した。
4.8.結果
結果を図4〜12に示す。
図4は、一次抗体として、候補1(抗ラミニンα5抗体MAB1924)を用いたときの結果を示す。
図5は、一次抗体として、候補2(抗ラミニンα5抗体ab210957)を用いたときの結果を示す。
図6は、一次抗体として、候補3(抗ラミニンβ1抗体ab69633)を用いたときの結果を示す。
図7は、一次抗体として、候補4(抗ラミニンβ1抗体ab98232)を用いたときの結果を示す。
図8は、一次抗体として、候補5(抗ラミニンγ1抗体LS−C312737)を用いたときの結果を示す。
図9は、一次抗体として、候補6(抗ラミニンγ1抗体LS−C356151)を用いたときの結果を示す。
図10は、一次抗体として、候補7(抗インテグリンα6抗体ab105669)を用いたときの結果を示す。
図11は、一次抗体として、候補8(抗インテグリンα6抗体ab181551)を用いたときの結果を示す。
図12は、一次抗体として、候補9(抗インテグリンβ1抗体ab30394)を用いたときの結果を示す。
図4〜12において縦軸は、固相上の二次抗体量に比例する450nmでの吸光度の相対値を示す。カットオフ値は、前記対照血清での前記相対値の平均値から、標準偏差(SD)の2倍の値を引いた値である。
一次抗体として、インテグリンα6の第1〜100位アミノ酸の領域と結合する候補8の抗体を用いた場合に、図11に示すように、AIP患者血清では二次抗体が検出されず、対照血清で二次抗体が検出されることが確認された。すなわち、ヒトラミニン511活性断片に対する抗体のみを指標とする判別方法では判別が難しかったAIP患者血清と対照血清とを、正確に判別することが可能であった。この候補8は、AIP患者の自己抗体が結合していないラミニンα5β1γ1−インテグリンα6β1複合体と結合することができ、且つ、AIP患者の自己抗体が結合した前記複合体とは結合することができない一次抗体であることが分かる。ラミニンα5β1γ1−インテグリンα6β1複合体に、AIP患者の自己抗体が結合するとき、インテグリンα6のN末端近傍部分の状態が変化することが推測される。そして、インテグリンα6のN末端近傍部分を認識する抗体は、AIP患者の自己抗体が結合していないラミニンα5β1γ1−インテグリンα6β1複合体を定量するために利用可能であることが推測される。
一方、一次抗体として、候補1〜7、9の抗体を用いた場合には、図4〜10、12に示すように、AIP患者血清と対照血清のどちらでも二次抗体が検出された。これらの抗体は、AIP患者の自己抗体の結合の有無にかかわらず、ラミニンα5β1γ1−インテグリンα6β1複合体と結合することが推測される。

Claims (17)

  1. IgG4関連疾患の検査方法であって、
    IgG4関連疾患の指標として、検体中の、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体を間接的に検出する間接検出工程
    を含み、
    間接検出工程が、
    ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させる第1工程と、
    第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体とを接触させる第2工程と、
    第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に結合した前記検出用抗体を検出する第3工程と
    を含む方法。
  2. 前記IgG4関連疾患が、自己免疫性膵炎である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記検出用抗体が、前記第1の検出用抗体である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ラミニン−インテグリン複合体を構成するインテグリンが、インテグリンα6β1である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記検出用抗体が、インテグリンα6鎖のβプロペラドメインに含まれる領域をエピトープとして認識する抗体である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記検出用抗体が、配列番号1で示されるインテグリンα6鎖のアミノ酸配列の第1位〜第100位の範囲内に含まれる領域をエピトープとして認識する抗体である、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 前記検体が血液試料である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. ラミニン及びインテグリンとの組み合わせ、或いは、ラミニン−インテグリン複合体と、
    ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体と
    を含む、IgG4関連疾患の検査キット。
  9. 前記IgG4関連疾患が、自己免疫性膵炎である、請求項8に記載のキット。
  10. 前記検出用抗体が、前記第1の検出用抗体である、請求項8又は9に記載のキット。
  11. インテグリン又はラミニン−インテグリン複合体を構成するインテグリンが、インテグリンα6β1である、請求項8〜10のいずれか1項に記載のキット。
  12. 前記検出用抗体が、インテグリンα6鎖のβプロペラドメインに含まれる領域をエピトープとして認識する抗体である、請求項11に記載のキット。
  13. 前記検出用抗体が、配列番号1で示されるインテグリンα6鎖のアミノ酸配列の第1位〜第100位の範囲内に含まれる領域をエピトープとして認識する抗体である、請求項11又は12に記載のキット。
  14. ラミニン及びインテグリンのうち一方、或いは、ラミニン−インテグリン複合体を、固相に固定された形態で含む、請求項8〜13のいずれか1項に記載のキット。
  15. 前記検出用抗体と免疫学的に結合する、標識された二次抗体を更に含む、請求項8〜14のいずれか1項に記載のキット。
  16. IgG4関連疾患に対する治療の効果を評価する方法であって、
    IgG4関連疾患に対する治療が施された被検動物から得た検体中の、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体を間接的に検出する間接検出工程
    を含み、
    間接検出工程が、
    ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させる第1工程と、
    第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体とを接触させる第2工程と、
    第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に結合した前記検出用抗体を検出する第3工程と
    を含む方法。
  17. IgG4関連疾患の治療薬の候補物質をスクリーニングする方法であって、
    試験物質を作用させた動物から得た検体中の、ラミニン−インテグリン複合体と免疫学的に結合する指標抗体を間接的に検出する間接検出工程と、
    前記試験物質を作用させたことにより前記検体中の前記指標抗体が減少した場合に、前記試験物質を、IgG4関連疾患の治療薬の候補物質として選抜する選抜工程と
    を含み、
    間接検出工程が、
    ラミニン−インテグリン複合体と、検体とを接触させる第1工程と、
    第1工程後のラミニン−インテグリン複合体と、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合するが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しない第1の検出用抗体、或いは、前記指標抗体が結合していないラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合しないが、前記指標抗体が結合しているラミニン−インテグリン複合体とは免疫学的に結合する第2の検出用抗体である検出用抗体とを接触させる第2工程と、
    第2工程後のラミニン−インテグリン複合体に結合した前記検出用抗体を検出する第3工程と
    を含む方法。
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