JP2020036584A - 蛋白質含有ゾル状食品用改質剤 - Google Patents

蛋白質含有ゾル状食品用改質剤 Download PDF

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圭五 新美
泰志 一見
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泰志 一見
直哉 森
Naoya Mori
直哉 森
宮本 圭一
Keiichi Miyamoto
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Abstract

【課題】蛋白質含有ゾル状食品に関し、変性した蛋白質特有の粘質様食感の増加、口どけや風味の低下等の、蛋白質を変性することによって生じる喫食時の不快な現象について、蛋白質の配合割合はそのままで、変性した蛋白質による保形性を維持し、粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上する等の品質を改質する改質剤を提供することを目的とする。【解決手段】ゲル化剤によって調製されたメジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を添加することにより、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、蛋白質含有ゾル状食品に関し、保形性の向上に用いる蛋白質特有の粘質様食感の増加、口どけの悪化、風味の低下等の、蛋白質が変性することによって生じる喫食時の不快な現象を改質する、ゲル化剤によって調製された微細なゲルを含有した改質剤に関するものである。
蛋白質含有ゾル状食品として、卵を加熱して固めた焼プリンや、牛乳を乳酸発酵して固めたヨーグルト、豆乳ににがり等の凝固剤を添加し加熱して固めた豆腐、ゼラチンを加熱して溶かし冷し固めたゼリーや煮こごり類、畜肉のミンチや魚肉のすり身等を捏ねて加熱して固めたハンバーグやつくね類等が挙げられる。
これらの蛋白質含有ゾル状食品は、スプーンや箸などで食べ易くするために、加熱や発酵などの加工調理により蛋白質を変性させて保形性を高めた食品であるが、この変性した蛋白質特有の粘質様食感が増加して、口どけが悪く、風味が弱い等の問題があった。また、近年では、消費者の嗜好性の多様化や、製造会社の新製品開発競争の激化による従来品との差別化、高齢者社会化による硬い食物を噛めない・飲み込めない患者(嚥下・咀嚼困難者)向けの需要が高まり、滑らかで口どけの良い食感が求められてきている。
例えば、卵を加熱して固める加工品として、焼プリンや茶碗蒸し等では半熟卵様のソフトで滑らかな食感が、オムレツや卵焼き等ではふんわり柔らかく口どけの良い食感が好まれているが、加熱変性した卵蛋白質特有の粘質様食感が増加して、口どけが悪く、風味が弱い等の問題があった。
牛乳を発酵して固めるヨーグルトやクリームチーズのおいしさの指標として、滑らかさや濃厚感及び口どけの良さが挙げられ、豆乳に凝固剤を加え加熱して固める豆腐類では、つるりとして口どけの良い絹ごし豆腐の様な食感が近年好まれているが、変性した蛋白質特有の粘質様食感が増加して、口どけが悪く、風味が弱い等の問題があった。
ゼラチンはゼリーやムースのゲル化剤として使用されるほか、コンビニエンスストアで販売している電子レンジ加熱する麺類のスープやつゆ類に保形性の向上や麺類への染み込み抑制として使用され、電子レンジ加熱した後のゼラチン特有の粘質様食感が増加し、口どけや風味の低下等の問題があった。
また、畜肉のミンチや魚肉のすり身を使ったハンバーグやつくね類等においても、同様な問題があった。
そこで、蛋白質を変性又は添加して生じる、特有の粘質様食感が弱く、口どけや風味が良好な、蛋白質含有ゾル状食品がかねてより望まれていた。
これらの改善策として、卵の加工品に関しては、酸性可溶の大豆蛋白質を添加することにより、プリンや茶碗蒸しにあっては、ソフトで口溶けの良い食感、カスタードクリームやカルボナーラソースにおいては、離水及びザラツキが無く滑らかな食感、オムレツシートやクレープにおいては、ふっくら軟らかく口溶けの良い食感を得ることが報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、乳製品に関しては、乳製品に、ネイティブ型ジェランガムおよび化工澱粉、好ましくはワキシーコーン由来のヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、タピオカ由来のヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ワキシーコーン由来の水流動度10〜40のヒドロキシプロピル化澱粉、及びタピオカ由来の水流動度10〜40のヒドロキシプロピル化澱粉よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の二成分を配合することにより、濃厚感や口どけ感に代表される食感及び/又は保形性や保水性等の安定性に優れた乳製品、当該乳製品の製造方法、および当該乳製品の調製に有用な食品添加組成物を提供することが報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
豆腐に関しては、豆乳に豆腐用凝固剤を添加する直前もしくは添加した後、通気し気泡を含有させ、更に静止型混合器(インラインミキサー)を通過させた後、豆腐用容器に充填する工程を含み、かつ凝固剤添加豆乳の粘度が200〜700cpで、凝固剤添加後充填直前までの時間が90秒以内とすることによって、増粘剤を使用しないで絹ごし豆腐様のつるんとした口どけの食感を保ちつつ、気泡を含有し新たな食感を付与した気泡入り豆腐を得ることが報告されている(例えば、特許文献3参照。)。
ゼラチンを使用したゾル状食品に関しては、酵素分解澱粉を、増粘多糖類及び/又はゼラチンの代替又は増粘多糖類及び/又はゼラチンと併用することにより、加工食品に優れた保形性や口どけ性を備えることができ、更には加工食品がゲル状食品であれば、優れた離水防止効果をも備えさせ得ることが報告されている(例えば、特許文献4参照。)
畜肉又は魚肉食品に関しては、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを有効成分として含有することにより、畜肉又は魚肉食品の食感を柔らかくて口溶けの良い食感とすることができることが報告されている(例えば、特許文献5参照。)。
しかしながら、これらの先行発明は、蛋白質含有ゾル状食品を柔らかい食感にして口どけを良くする技術、空気を含ませて軽い食感にして口どけを良くする技術、又は酵素分解澱粉をゼラチンと代替又は併用して口どけを良くする技術であり、蛋白質の配合割合はそのままで、保形性を維持しながら、変性した蛋白質特有の粘質様食感の増加に対する口どけや風味の低下の改善としては、まだ十分とは言えないものである。
WO2006/038413号公報 特開2004−267160号公報 特開2004−201634号公報 特開2016−103992号公報 特開2011−55776号公報
本発明は、蛋白質含有ゾル状食品において、その蛋白質の配合割合のままで、変性した蛋白質による保形性を維持して、変性した蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味の向上等の品質を改質する改質剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意努力した結果、メジアン径が500μm以下である、ゲル化剤によって調製された微細なゲルを含有する改質剤を、蛋白質含有ゾル状食品に添加することで、変性した蛋白質による保形性を維持したまま、口どけや風味の向上等の品質を改質することを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、蛋白質含有ゾル状食品用改質剤、及びその改質剤を含有するゾル状食品に関する。
上記構成からなる本発明の改質剤を、蛋白質含有ゾル状食品に添加することで、その蛋白質の配合割合のままで、変性した蛋白質による保形性を維持し、変性した蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味の向上等の品質を改質することができる。
図1は本発明品1〜3の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤及び比較品1の調製操作の図である。 図2は本発明品4の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤の調製操作の図である。 図3は本発明品5の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤の調製操作の図である。 図4は本発明品6の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤の調製操作の図である。 図5は本発明品7の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤の調製操作の図である。 図6は本発明品8の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤の調製操作の図である。 図7は本発明品9の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤の調製操作の図である。 図8は本発明品10及び11の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤の調製操作の図である。 図9は試験品1〜12及び対照品1の焼プリンの調製操作の図である。 図10は対照品2の焼プリンの調製操作の図である。 図11は試験品19〜30及び対照品3のプレーンヨーグルトの調製操作の図である。 図12は対照品4のプレーンヨーグルトの調製操作の図である。 図13は試験品37〜48及び対照品5の充填豆腐の調製操作の図である。 図14は対照品6の充填豆腐の調製操作の図である。 図15は試験品55〜66及び対照品7のゼラチンで固めた麺つゆの調製操作の図である。 図16は対照品8のゼラチンで固めた麺つゆの調製操作の図である。 図17は試験品73〜84及び対照品9の鶏つくねの調製操作の図である。 図18は対照品10の鶏つくねの調製操作の図である。 図19は試験品91〜102及び対照品11のアジのつみれの調製操作の図である。 図20は対照品12のアジのつみれの調製操作の図である。 図21は本発明品12の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤の調製操作の図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における微細なゲルの調製に用いられるゲル化剤は、通常のゲル状食品に使用されるものであって特に限定するものではないが、例えば、寒天、カラギナン、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、グルコマンナン、こんにゃく粉(芋)、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩類、カードラン等が挙げられ、蛋白質含有ゾル状食品への本発明品添加後の食品製造工程における微細なゲルの安定性の面より、好ましくは、寒天、ジェランガム、グルコマンナン、こんにゃく粉(芋)、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩類、カードラン等からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。
上記ゲル化剤の種類により、ゲルの形成や強度の調整、溶解性の向上、又は耐熱性の向上などのために、カリウムや、カルシウム、ナトリウム等の金属塩類を併用してもよい。
本発明における微細なゲルの調製方法は、特に限定するものではないが、例えば、通常のゲル状食品の様に、ゲル化剤を水にそのまま溶解、又は加熱して溶解、pHを調整して溶解して液状とし、冷却、又は加熱、塩類を添加、pHを調整して一旦ゲル状とした塊を、機械的に破砕・粉砕処理をして微細化させることにより得ることができる。また、液状としたものを高速で攪拌しながら、連続的に冷却、又は加熱、塩類を添加、pHを調整して、微細なゲルを得ることもできる。他に、塩類溶液に塩類と反応してゲル化するゲル化剤溶液を微細な粒状で滴下させることにより得る方法や、又は大きな粒状で滴下して得られたゲルを機械的に破砕・粉砕処理して微細化させることにより得る方法、冷却又は加熱してゲル化するゲル化剤溶液を霧状に噴霧して冷却又は加熱させることにより得る方法等が挙げられる。
また、必要により、ゲルの融解温度以下で微細なゲルを加熱殺菌することもできる。
本発明における微細なゲルに用いるゲル化剤の配合割合は、ゲル化剤の種類や、微細なゲルの調製方法、各々の工程における機械適性等によって、適宜調整することができる。
本発明における微細なゲルの大きさは、メジアン径で500μm以下であればよく、特に限定するものではないが、使用するゲル化剤において、より好ましくはメジアン径で300μm以下であり、更に好ましくはメジアン径で200μm以下である。
本発明における微細なゲルのメジアン径は、湿式粒度分布測定装置(レーザ回折散乱法、Beckman coulter社製、機種名:LS 13 320)で測定した、体積基準の累積分布の50%に対応する粒子径(微細ゲルをある粒子径から同じ体積になるよう2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径)のことである。湿式粒度分布測定装置の測定条件は、分散媒:水、ポンプ速度:31%循環、微細なゲルの相対濃度:8〜12%、超音波分散レベル:8で30秒間処理、測定時間:90秒、であり、粒度の算出条件は、分散媒屈折率の実数部:1.333、サンプル屈折率の実数部:1.6、 虚数部:0、とし、自動的にメジアン径を算出した。
本発明における蛋白質含有ゾル状食品用改質剤に対する微細なゲルの配合割合は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは20重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは65重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。
本発明の効果に悪影響を与えない限度において、本発明における微細なゲル、又は本発明における微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤に各種原料や添加剤を使用してもよく、特に限定するものではないが、例えば、砂糖などの糖類や、醤油、塩、香辛料、抹茶やココアなどの粉末類、チョコレートやゴマ油などの油脂類、牛乳や脱脂粉乳などの乳製品、食酢、果汁、酸味料、pH調整剤、グァーガムなどの増粘剤、乳化剤、アミノ酸などの調味料、高甘味度甘味料、香料、着色料、アルコール類、保存料、日持ち向上剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本発明における蛋白質含有ゾル状食品に使用される蛋白質は、通常のゾル状食品に使用されるものであって特に限定するものではないが、例えば、ゼラチン、卵由来、乳由来、豆由来、畜肉由来及び魚肉由来の蛋白質等からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の蛋白質が挙げられる。
本発明における蛋白質含有ゾル状食品に使用される卵由来の蛋白質含有原料は、鶏卵が代表的であるが、特に限定するものではないが、例えば、鶉(ウズラ)、アヒル、鴨等の家禽、野禽その他食用になるいかなる卵であってよい。また、卵原料は、卵殻内にある或いは卵殻から分離された状態のいわゆる全卵は勿論、これを分割した卵黄や卵白であってもよい。また、これらの卵原料は、液状に限らず、それから得られる粉末状及び凍結状であってもよく、これら卵原料を殺菌或いは酵素反応などの処理等を施した加工卵、これらの混合物であってもよい。
本発明における蛋白質含有ゾル状食品に使用される乳由来の蛋白質含有原料は、牛乳が代表的であるが、特に限定するものではないが、例えば、山羊乳、羊乳等の獣乳であってよい。また、これらの乳原料は、液状に限らず、それから得られる全脂粉乳や脱脂粉乳等の粉末状であってもよく、これら乳原料より分離したカゼイン蛋白やホエー蛋白、更には、それらの乳原料に糖類を加え濃縮した全脂加糖練乳や脱脂加糖練乳等、各種乳製品であってもよい。
本発明における蛋白質含有ゾル状食品に使用される豆由来の蛋白質含有原料は、大豆が代表的であるが、特に限定するものではないが、例えば、インゲン豆、緑豆、そら豆、えんどう豆、落花生等のマメ科植物の種子であってよい。また、これらの豆原料は、大豆から絞った液状の豆乳であってもよく、それから得られる全脂大豆粉や脱脂大豆粉等の粉末状であってもよく、これら大豆原料より分離した大豆蛋白等、各種豆製品であってもよい。
本発明における蛋白質含有ゾル状食品に使用されるゼラチン原料は、牛や豚の骨や皮より抽出したものが代表的であるが、特に限定するものではないが、例えば、魚の鱗、ロバの皮等動物の皮膚や骨等より抽出したものであってよい。また、これらのゼラチン原料は、前駆体であるコラーゲンであってもよい。
本発明における蛋白質含有ゾル状食品に使用される畜肉由来の蛋白質含有原料は、牛肉、豚肉、鶏肉が代表的であるが、特に限定するものではないが、例えば、羊、馬、鹿、兎、猪、羊、熊等の動物の肉類であってよい。
本発明における蛋白質含有ゾル状食品に使用される蛋白質の魚肉由来の蛋白質含有原料は、タラが代表的であるが、特に限定するものではないが、例えば、ホキ、タイ、イワシ、サケ、アジ、サバ、サンマ、秋刀魚等の魚類の肉類であってよい。また、タコ、イカ、貝類等の軟体動物類や、エビ、カニ等の甲殻類の肉類であってもよい。
これらの蛋白質含有原料及びゼラチン原料には、その特性(凝固性、起泡性、乳化性など)を失わない範囲で、糖類、食塩、調味料、pH調整剤等の混合物であってもよい。
本発明における蛋白質含有ゾル状食品は、特に限定するものではないが、例えば、焼プリンや、卵豆腐、茶碗蒸し、卵焼き、オムレツシート、カスタードソースなどの卵加工品類、ヨーグルトや、クリームチーズ、プロセスチーズ、ナチュラルチーズ、乳酸菌飲料などの乳製品類、豆腐や、高野豆腐、油揚げ、がんもどき、味噌などの大豆加工品類、ゼリー、プリン、ムース、ババロア、グミキャンディ、煮こごりなどのゼラチンで固めるデザートや惣菜類、ハンバーグ、ミートボール、肉団子、ミートパテ、チキンナゲット、ミートコロッケ、メンチカツ、焼売の具、餃子の具、肉まんの具、つくね、つみれ、ソーセージなどの畜肉加工品、はんぺん、つみれ、さつま揚げ、ちくわ、かまぼこなどの魚肉加工品が挙げられる。また、コンビニエンスストアで販売している、ラーメンやうどんなどのスープやつゆ類、キムチ鍋や豆乳鍋などの汁類、カレーや牛丼などの丼物の具材類、パスタソース類等、電子レンジで加熱して喫食する、ゼラチンで固めたメニュー類、更に、プリンシェイクドリンクや、ヨーグルトとバナナやアボガドなどの果物や野菜類を混ぜて砕いたシェイクドリンクなどの、上記の蛋白質含有ゾル状食品を原料として調理加工した、飲食品類も本発明の蛋白質含有ゾル状食品の例として挙げられる。
本発明品における蛋白質含有ゾル状食品用改質剤の蛋白質含有ゾル状食品への配合割合は、含有する微細なゲルの大きさ、微細なゲルに用いるゲル化剤の種類や含量、ゾル状食品に用いる蛋白質の種類や含量、対象とする蛋白質含有ゾル状食品の種類や水分量などに応じて適時調整することができるが、その上限値は、好ましくは蛋白質含有ゾル状食品100重量%に対して25.0重量%以下であり、より好ましくは15.0重量%以下、更に好ましくは10.0重量%以下、最も好ましくは5.0重量%以下である。また、その下限値は、好ましくは0.1重量%以上であり、更に好ましくは0.2重量%以上である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜3、比較例1
表1に記載の配合割合で、ゲル化剤としてジェランガムを使用して、図1に記載の操作に従って、メジアン径の異なる微細なゲルを含有する本発明品1〜3及び比較品1を調製した。尚、クエン酸液は、クエン酸500gを水で溶解して全量が1Lとなるように調製した。
Figure 2020036584
実施例4
表2に記載の配合割合で、ゲル化剤としてペクチンを使用して、図2に記載の操作に従って、本発明品4の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を調製した。尚、乳酸液は、ムサシノ乳酸50(50%乳酸溶液)(株式会社武蔵野化学研究所製)を用いた。
Figure 2020036584
実施例5
表3に記載の配合割合で、ゲル化剤としてペクチンを使用して、図3に記載の操作に従って、本発明品5の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を調製した。尚、乳酸液は、ムサシノ乳酸50(50%乳酸溶液)(株式会社武蔵野化学研究所製)を用いた。
Figure 2020036584
実施例6
表4に記載の配合割合で、ゲル化剤として寒天を使用して、図4に記載の操作に従って、本発明品6の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を調製した。
Figure 2020036584
実施例7
表5に記載の配合割合で、ゲル化剤としてアルギン酸ナトリウムを使用して、図5に記載の操作に従って、本発明品7の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を調製した。
Figure 2020036584
実施例8
表6に記載の配合割合で、ゲル化剤としてアルギン酸を使用して、図6に記載の操作に従って、本発明品8の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を調製した。尚、クエン酸液は、クエン酸500gを水で溶解して全量が1Lとなるように調製した。
Figure 2020036584
実施例9
表7に記載の配合割合で、ゲル化剤としてこんにゃく粉を使用して、図7に記載の操作に従って、本発明品9の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を調製した。
Figure 2020036584
実施例10、11
表8に記載の配合割合で、ゲル化剤としてカラギナンと他のゲル化剤類を混合したゲル化剤製剤を使用して、図8に記載の操作に従って、本発明品10及び11の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を調製した。尚、クエン酸液は、クエン酸500gを水で溶解して全量が1Lとなるように調製した。
Figure 2020036584
実施例1〜11及び比較例1で調製した本発明品1〜11及び比較品1について、粒度分布測定装置(Beckman coulter社製、機種名:LS 13 320)にて測定したメジアン径の測定結果と、図1〜8に記載の破砕工程前のゲルに対して(それぞれ図中の(*)の工程で得られるゲル)、ゲルの50重量%の水を加え、ゲルの融解温度を測定した結果を、表9に記載する。
尚、実施例8で調製した本発明品8のゲルの融解温度は、実施例7で調製した本発明品7のゲルの融解温度と同様に、アルギン酸溶液にグルコノデルタラクトン溶液を投入し混合後、30分以上静置しゲル化したもので測定した。
Figure 2020036584
試験例1
実施例1〜11及び比較例1で調製した本発明品1〜11及び比較品1について、表10に記載の配合割合で、図9に記載の操作に従って、試験品1〜12の卵蛋白質を加熱変性させた焼プリンを調製した。また対照として、表10に記載の配合割合で、本発明品及び比較品が無添加の対照品1の焼プリンを、図9に記載の操作に従って調製した。
Figure 2020036584
試験例1で調製した焼プリンについて、以下の評価を行った。
<ゲル強度>
冷蔵庫で1日保存した焼プリンのゲル強度について、レオメーター(レオテック社製)を使用して、下記の測定条件で、プランジャーがプリン表面から1.6mm押下げた時の荷重を測定した。
プランジャー:直径20mmの円板状
上昇速度:6.0cm/分
<保形性>
冷蔵庫で1日保存した焼プリンの保形性について、焼プリンのカップを逆さまにして、プリンを皿に取り出して、冷蔵庫で2時間保存し、プリン形状の沈み程度をノギスで測定し、以下の基準で評価を行った。
◎:プリン形状の沈みが2mm未満で、保形性が非常に良好。
○:プリン形状の沈みが2〜5mm未満で、保形性が良好。
△:プリン形状の沈みが5〜10mm未満で、保形性がやや悪い。
▲:プリン形状の沈みが10mm以上で、保形性が悪い。
×:プリン形状が無く、保形性が無い。
<粘質様食感と口どけ>
冷蔵庫で1日保存した焼プリンの粘質様食感と口どけについて、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品1の粘質様食感と口どけを基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…粘質様食感が全く無く、口どけが非常に良好。
+2点…粘質様食感が殆ど無く、口どけが良好。
+1点…粘質様食感が弱く、口どけがやや良好。
0点…粘質様食感と口どけとも、対照品1と変わらない。
−1点…粘質様食感がやや強く、口どけがやや悪い。
−2点…粘質様食感が強く、口どけが悪い。
−3点…粘質様食感が非常に強く、口どけが非常に悪い。
<風味>
冷蔵庫で1日保存した焼プリンの風味について、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品1のカスタード風味を基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…カスタード風味が非常に強い。
+2点…カスタード風味が強い。
+1点…カスタード風味がやや強い。
0点…カスタード風味が対照品1と変わらない。
−1点…カスタード風味がやや弱い。
−2点…カスタード風味が弱い。
−3点…カスタード風味が非常に弱く、全く味が無い。
試験例1の評価結果を、表11に示した。
Figure 2020036584
表11の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品1〜11を添加した試験品1〜11は、ゲル強度が対照品1とほぼ同様で、保形性も良好であり、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強い焼プリンであるのに対し、メジアン径が500μm以上の微細なゲルを含有する比較品1を添加した試験品12は、対照品1と同様のゲル強度で保形性も良好であるが、粘質様食感と口どけ及び風味とも、対照品1と殆ど変わらない焼プリンであった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、卵蛋白質を変性させた焼プリンにおいて、卵蛋白質の配合割合はそのままで、変性した卵蛋白質による保形性を維持したまま、変性した卵蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例2
表12に記載の配合割合で、実施例1で調製した本発明品1の添加量を変えて、図9に記載の操作に従って試験品1と同様の方法で、試験品13〜18の焼プリンを調製した。また対照として、表12に記載の配合割合で、図10に記載の操作に従って、本発明品1のゲル化剤として使用したジェランガム及び塩化カルシウムをプリン液に溶解し冷却後に粉砕処理して加熱した対照品2の焼プリンを調製した。
また、試験例2で調製した焼プリンについて、試験例1と同様の評価を行った。
試験例2の評価結果を、表13に示した。
Figure 2020036584
Figure 2020036584
表13の結果より、本発明品1を0.1%添加した試験品13は、粘質様食感が弱く口どけも良好になり、風味も強くなった。本発明品1の添加量が増加するに従い、粘質様食感は更に弱くなり口どけも更に良好となり、添加量が3.0%と5.0%の試験品17と試験品18が最も粘質様食感が弱くなった。風味については、添加量が2.0%の試験品16が最も強く、添加量が3.0%以上になると逆に微細なゲルの風味の影響により、次第に弱くなった。ゲル強度及び保形性は、本発明品を5.0%まで添加しても、試験例1の対照品1と同様な結果であった。
一方、ゲル化剤であるジェランガムをプリン液に添加後、微細なゲル状(ゾル状)として加熱変性させた対照品2は、粘質様食感の低減や口どけ及び風味の改善効果は殆ど無かった。尚、対照品2と試験品18のジェランガム含量は同じであることから、予め調製されたメジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤をプリン液に添加し加熱することで、卵蛋白質の配合割合はそのままで、変性した卵蛋白質による保形性を維持したまま、変性した卵蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例3
実施例1〜11及び比較例1で調製した本発明品1〜11及び比較品1について、表14に記載の配合割合で、図11に記載の操作に従って、試験品19〜30の乳蛋白質を発酵変性させたプレーンヨーグルトを調製した。また対照として、表14に記載の配合割合で、本発明品及び比較品が無添加の対照品3のプレーンヨーグルトを、図11に記載の操作に従って、調製した。
Figure 2020036584
試験例3で調製したプレーンヨーグルトについて、以下の評価を行った。
<ゲル強度>
冷蔵庫で1日保存したプレーンヨーグルトのゲル強度について、レオメーター(レオテック社製)を使用して、下記の測定条件で、プランジャーがヨーグルト表面から1.6mm押下げた時の荷重を測定した。
プランジャー:直径20mmの円板状
上昇速度:6.0cm/分
<保形性>
冷蔵庫で1日保存したプレーンヨーグルトの保形性について、ヨーグルトのカップを逆さまにして、ヨーグルトを皿に取り出して、冷蔵庫で2時間保存し、ヨーグルト形状の沈み程度をノギスで測定し、以下の基準で評価を行った。
◎:ヨーグルト形状の沈みが2mm未満で、保形性が非常に良好。
○:ヨーグルト形状の沈みが2〜5mm未満で、保形性が良好。
△:ヨーグルト形状の沈みが5〜10mm未満で、保形性がやや悪い。
▲:ヨーグルト形状の沈みが10mm以上で、保形性が悪い。
×:ヨーグルト形状が無く、保形性が無い。
<pH>
冷蔵庫で1日保存したプレーンヨーグルトのpHについて、pHメーター(堀場製作所社製)を使用して測定し、発酵の進行程度の評価を行った。
<粘質様食感と口どけ>
冷蔵庫で1日保存したプレーンヨーグルトの粘質様食感と口どけについて、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品3の粘質様食感と口どけを基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…粘質様食感が全く無く、口どけが非常に良好。
+2点…粘質様食感が殆ど無く、口どけが良好。
+1点…粘質様食感が弱く、口どけがやや良好。
0点…粘質様食感と口どけとも、対照品3と変わらない。
−1点…粘質様食感がやや強く、口どけがやや悪い。
−2点…粘質様食感が強く、口どけが悪い。
−3点…粘質様食感が非常に強く、口どけが非常に悪い。
<風味>
冷蔵庫で1日保存したプレーンヨーグルトの風味について、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品3のヨーグルト風味を基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…ヨーグルト風味が非常に強い。
+2点…ヨーグルト風味が強い。
+1点…ヨーグルト風味がやや強い。
0点…ヨーグルト風味が対照品3と変わらない。
−1点…ヨーグルト風味がやや弱い。
−2点…ヨーグルト風味が弱い。
−3点…ヨーグルト風味が非常に弱く、全く味が無い。
試験例3の評価結果を、表15に示した。
Figure 2020036584
表15の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品1〜11を添加した試験品19〜29は、ゲル強度が対照品3とほぼ同様で、保形性も良好であり、pHも対照品3と同様で発酵阻害は無く、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強いプレーンヨーグルトであるのに対し、メジアン径が500μm以上の微細なゲルを含有する比較品1を添加した試験品30は、対照品3と同様のゲル強度で保形性も良好で発酵阻害も無いが、粘質様食感と口どけ及び風味とも、対照品3と殆ど変わらないプレーンヨーグルトであった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、乳蛋白質を変性させたプレーンヨーグルトにおいて、乳蛋白質の配合割合はそのままで、変性した乳蛋白質による保形性を維持したまま、変性した乳蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例4
表16に記載の配合割合で、実施例1で調製した本発明品1の添加量を変えて、図11に記載の操作に従って試験品19と同様の方法で、試験品31〜36のプレーンヨーグルトを調製した。また対照として、表16に記載の配合割合で、図12に記載の操作に従って、本発明品1のゲル化剤として使用したジェランガム及び塩化カルシウムをヨーグルト液に溶解し冷却後に粉砕処理して発酵した対照品4のプレーンヨーグルトを調製した。
また、試験例4で調製したプレーンヨーグルトについて、試験例3と同様の評価を行った。
試験例4の評価結果を、表17に示した。
Figure 2020036584
Figure 2020036584
表17の結果より、本発明品1を0.1%添加した試験品31は、粘質様食感が弱く口どけも良好になり、風味も強くなった。本発明品1の添加量が増加するに従い、粘質様食感は更に弱くなり口どけも更に良好となり、添加量が3.0%と5.0%の試験品35と試験品36が最も粘質様食感が弱くなった。風味についても、添加量が3.0%と5.0%の試験品35と試験品36が最も強く、粘質様食感と同様の結果であった。ゲル強度及び保形性とpHは、本発明品を5.0%まで添加しても、試験例3の対照品3と同様な結果であった。
一方、ゲル化剤であるジェランガムをヨーグルト液に添加後、微細なゲル状(ゾル状)として発酵した対照品4は、粘質様食感の低減や口どけ及び風味の改善効果は殆ど無かった。尚、対照品4と試験品36のジェランガム含量は同じであることから、予め調製されたメジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤をヨーグルト液に添加し発酵することで、乳蛋白質の添加量はそのままで、変性した乳蛋白質による保形性を維持したまま、変性した乳蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例5
実施例1〜11及び比較例1で調製した本発明品1〜11及び比較品1について、表18に記載の配合割合で、図13に記載の操作に従って、試験品37〜48の充填豆腐を調製した。また対照として、表18に記載の配合割合で、本発明品及び比較品が無添加の対照品5の充填豆腐を、図13に記載の操作に従って、調製した。
Figure 2020036584
試験例5で調製した充填豆腐について、以下の評価を行った。
<ゲル強度>
冷蔵庫で1日保存した充填豆腐のゲル強度について、レオメーター(レオテック社製)を使用して、下記の測定条件で、プランジャーが豆腐表面から2.4mm押下げた時の荷重を測定した。
プランジャー:直径20mmの円板状
上昇速度:6.0cm/分
<保形性>
冷蔵庫で1日保存した充填豆腐の保形性について、豆腐のカップを逆さまにして、豆腐を皿に取り出して、冷蔵庫で2時間保存し、豆腐形状の沈み程度をノギスで測定し、以下の基準で評価を行った。
◎:豆腐形状の沈みが2mm未満で、保形性が非常に良好。
○:豆腐形状の沈みが2〜5mm未満で、保形性が良好。
△:豆腐形状の沈みが5〜10mm未満で、保形性がやや悪い。
▲:豆腐形状の沈みが10mm以上で、保形性が悪い。
×:豆腐形状が無く、保形性が無い。
<粘質様食感と口どけ>
冷蔵庫で1日保存した充填豆腐の粘質様食感と口どけについて、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品5の粘質様食感と口どけを基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…粘質様食感が全く無く、口どけが非常に良好。
+2点…粘質様食感が殆ど無く、口どけが良好。
+1点…粘質様食感が弱く、口どけがやや良好。
0点…粘質様食感と口どけとも、対照品5と変わらない。
−1点…粘質様食感がやや強く、口どけがやや悪い。
−2点…粘質様食感が強く、口どけが悪い。
−3点…粘質様食感が非常に強く、口どけが非常に悪い。
<風味>
冷蔵庫で1日保存した充填豆腐の風味について、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品5の豆腐風味を基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…豆腐風味が非常に強い。
+2点…豆腐風味が強い。
+1点…豆腐風味がやや強い。
0点…豆腐風味が対照品5と変わらない。
−1点…豆腐風味がやや弱い。
−2点…豆腐風味が弱い。
−3点…豆腐風味が非常に弱く、全く味が無い。
試験例5の評価結果を、表19に示した。
Figure 2020036584
表19の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品1〜11を添加した試験品37〜47は、ゲル強度が対照品5とほぼ同様で、保形性も良好であり、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強い充填豆腐であるのに対し、メジアン径が500μm以上の微細なゲルを含有する比較品1を添加した試験品48は、対照品5よりゲル強度はやや弱く、保形性もやや悪くなり、粘質様食感と口どけ及び風味とも、対照品5と殆ど変わらない充填豆腐であった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、大豆蛋白質を変性させた充填豆腐において、大豆蛋白質の配合割合はそのままで、変性した大豆蛋白質による保形性を維持したまま、変性した大豆蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例6
表20に記載の配合割合で、実施例1で調製した本発明品1の添加量を変えて、図13に記載の操作に従って試験品37と同様の方法で、試験品49〜54の充填豆腐を調製した。また対照として、表20に記載の配合割合で、図14に記載の操作に従って、本発明品1のゲル化剤として使用したジェランガム及び塩化カルシウムを豆乳に溶解し冷却後に粉砕処理してにがりを加え加熱した対照品6の充填豆腐を調製した。
また、試験例6で調製した充填豆腐について、試験例5と同様の評価を行った。
試験例6の評価結果を、表21に示した。
Figure 2020036584
Figure 2020036584
表21の結果より、本発明品1を0.1%添加した試験品49は、粘質様食感が弱く口どけも良好になり、風味も強くなった。本発明品1の添加量が増加するに従い、粘質様食感は更に弱くなり口どけも更に良好となり、添加量が2.0%の試験品52が最も粘質様食感が弱く、添加量が3.0%以上になると、逆に粘質様食感はやや強く、口どけはやや悪くなった。風味についても、添加量が2.0%の試験品52が最も強く、添加量が3.0%以上になると逆に微細なゲルの風味の影響により、次第に弱くなり、粘質様食感と同様の結果であった。ゲル強度及び保形性は、本発明品を5.0%まで添加しても、試験例5の対照品5と同様な結果であった。
一方、ゲル化剤であるジェランガムを豆乳に添加後、微細なゲル状(ゾル状)としにがりを加え加熱した対照品6は、粘質様食感の低減や口どけ及び風味の改善効果は殆ど無かった。尚、対照品6と試験品54のジェランガム含量は同じであることから、予め調製されたメジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を豆乳に添加しにがりを加え加熱することで、大豆蛋白質の添加量はそのままで、変性した大豆蛋白質による保形性を維持したまま、変性した大豆蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例7
実施例1〜11及び比較例1で調製した本発明品1〜11及び比較品1について、表22に記載の配合割合で、図15に記載の操作に従って、試験品55〜66のゼラチンで固めた麺つゆを調製した。また対照として、表22に記載の配合割合で、本発明品及び比較品が無添加の対照品7のゼラチンで固めた麺つゆを、図15に記載の操作に従って、調製した。
Figure 2020036584
試験例7で調製したゼラチンで固めた麺つゆについて、以下の評価を行った。
<ゲル強度>
冷蔵庫で1晩保存後、10℃の恒温槽に約2時間静置したゼラチンで固めた麺つゆについて、樹脂製円筒型カップ(上面直径:70mm、底面直径:42mm、高さ:57mm)に満量充填したゼラチンで固めた麺つゆを、レオメーター(レオテック社製)を使用して、下記の測定条件で、プランジャーがゼラチンで固めた麺つゆ表面から4mm押下げた時の荷重を測定した。
プランジャー:直径20mmの円板状
上昇速度:6.0cm/分
<保形性と沈み込み>
冷蔵庫で1晩保存したゼラチンで固めた麺つゆを約1cm角前後にスプーンでクラッシュし、専用容器に400g充填した上に、茹で蕎麦160gを均等に載せて冷蔵庫で保存し、24時間後のゼラチンで固めた麺つゆへの蕎麦の沈み込み程度をノギスで測定し、以下の基準で評価を行った。
◎:蕎麦の麺つゆへの沈み込みが5mm未満で、保形性が非常に良好。
○:蕎麦の麺つゆへの沈み込みが5〜10mm未満で、保形性が良好。
△:蕎麦の麺つゆへの沈み込みが10〜15mm未満で、保形性がやや悪い。
▲:蕎麦の麺つゆへの沈み込みが15〜20mm未満で、保形性が悪い。
×:蕎麦が麺つゆに全て沈み(20mm以上)、保形性が無い。
<粘質様食感と口どけ>
冷蔵庫で1晩保存後、37℃の恒温槽に約2時間静置したゼラチンで固めて融解した麺つゆの粘質様食感と口どけについて、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品7の粘質様食感と口どけを基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…粘質様食感が全く無く、口どけが非常に良好。
+2点…粘質様食感が殆ど無く、口どけが良好。
+1点…粘質様食感が弱く、口どけがやや良好。
0点…粘質様食感と口どけとも、対照品7と変わらない。
−1点…粘質様食感がやや強く、口どけがやや悪い。
−2点…粘質様食感が強く、口どけが悪い。
−3点…粘質様食感が非常に強く、口どけが非常に悪い。
<風味>
冷蔵庫で1晩保存後、37℃の恒温槽に約2時間静置したゼラチンで固めて融解した麺つゆの風味について、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品7のつゆ風味を基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…つゆ風味が非常に強い。
+2点…つゆ風味が強い。
+1点…つゆ風味がやや強い。
0点…つゆ風味が対照品7と変わらない。
−1点…つゆ風味がやや弱い。
−2点…つゆ風味が弱い。
−3点…つゆ風味が非常に弱く、全く味が無い。
試験例7の評価結果を、表23に示した。
Figure 2020036584
表23の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品1〜11を添加した試験品55〜65は、ゲル強度が対照品7とほぼ同様で、保形性も良好であり、蕎麦のゼラチンで固めた麺つゆへの沈み込みも少なく、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強いゼラチンで固めた麺つゆであるのに対し、メジアン径が500μm以上の微細なゲルを含有する比較品1を添加した試験品66は、対照品7と同様のゲル強度で保形性も良好で蕎麦のゼラチンで固めた麺つゆへの沈み込みが少ないが、粘質様食感と口どけ及び風味とも、対照品7と殆ど変わらないゼラチンで固めた麺つゆであった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、ゼラチンで固めた麺つゆにおいて、ゼラチンの配合割合はそのままで、ゲル化したゼラチンによる保形性を維持したまま、融解したゼラチン特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例8
表24に記載の配合割合で、実施例1で調製した本発明品1の添加量を変えて、図15に記載の操作に従って試験品55と同様の方法で、試験品67〜72のゼラチンで固めた麺つゆを調製した。また対照として、表24に記載の配合割合で、図16に記載の操作に従って、本発明品1のゲル化剤として使用したジェランガム及び塩化カルシウムを麺つゆ液に溶解し冷却後に粉砕処理した対照品8のゼラチンで固めた麺つゆを調製した。
また、試験例8で調製したゼラチンで固めた麺つゆについて、試験例7と同様の評価を行った。
試験例8の評価結果を、表25に示した。
Figure 2020036584
Figure 2020036584
表25の結果より、本発明品1を0.1%添加した試験品67は、粘質様食感が弱く口どけも良好になり、風味も強くなった。本発明品1の添加量が増加するに従い、粘質様食感は更に弱くなり口どけも更に良好となり、添加量が3.0%と5.0%の試験品71と試験品72が最も粘質様食感が弱くなった。風味については、添加量が2.0%の試験品70が最も強く、添加量が3.0%以上になると逆に微細なゲルの風味の影響により、次第に弱くなった。ゲル強度及び保形性と沈み込みは、本発明品を5.0%まで添加しても、試験例7の対照品7と同様な結果であった。
一方、ゲル化剤であるジェランガムを麺つゆ液に添加後、微細なゲル状(ゾル状)とした対照品8は、粘質様食感の低減や口どけ及び風味の改善効果は殆ど無かった。尚、対照品8と試験品72のジェランガム含量は同じであることから、予め調製されたメジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤をゼラチンで固めた麺つゆに添加することで、ゼラチンの配合割合はそのままで、ゲル化したゼラチンの保形性を維持したまま、融解したゼラチン特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例9
実施例1〜11及び比較例1で調製した本発明品1〜11及び比較品1について、表26に記載の配合割合で、図17に記載の操作に従って、試験品73〜84の鶏つくねを調製した。また対照として、表26に記載の配合割合で、本発明品及び比較品が無添加の対照品9の鶏つくねを、図17に記載の操作に従って、調製した。
Figure 2020036584
試験例9で調製した鶏つくねについて、以下の評価を行った。
<ゲル強度>
冷蔵庫で1日保存した鶏つくねのゲル強度について、鶏つくねの高さを20mmに切断し、直径:37mmの円筒状金属製型でくり抜いたものを、レオメーター(レオテック社製)を使用して、下記の測定条件で、プランジャーが鶏つくね表面から2.4mm押下げた時の荷重を測定した。
プランジャー:直径10mmの円板状
上昇速度:2.0cm/分
<保形性>
焼成して冷却後の鶏つくねの保形性について、焼成前(成型後)との変形程度をノギスで測定し、以下の基準で評価を行った。
◎:鶏つくねの高さの低下が2mm未満で、保形性が非常に良好。
○:鶏つくねの高さの低下が2〜5mm未満で、保形性が良好。
△:鶏つくねの高さの低下が5〜10mm未満で、保形性がやや悪い。
▲:鶏つくねの高さの低下が10〜15mm未満で、保形性が悪い。
×:鶏つくねの高さの低下が15mm以上で、保形性が無い。
<粘質様食感と口どけ>
冷蔵庫で1日保存した鶏つくねの粘質様食感と口どけについて、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品9の粘質様食感と口どけを基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…粘質様食感が全く無く、口どけが非常に良好。
+2点…粘質様食感が殆ど無く、口どけが良好。
+1点…粘質様食感が弱く、口どけがやや良好。
0点…粘質様食感と口どけとも、対照品9と変わらない。
−1点…粘質様食感がやや強く、口どけがやや悪い。
−2点…粘質様食感が強く、口どけが悪い。
−3点…粘質様食感が非常に強く、口どけが非常に悪い。
<風味>
冷蔵庫で1日保存した鶏つくねの風味について、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品9のつくね風味(鶏旨味としょうが味等)を基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…つくね風味が非常に強い。
+2点…つくね風味が強い。
+1点…つくね風味がやや強い。
0点…つくね風味が対照品9と変わらない。
−1点…つくね風味がやや弱い。
−2点…つくね風味が弱い。
−3点…つくね風味が非常に弱く、全く味が無い。
試験例9の評価結果を、表27に示した。
Figure 2020036584
表27の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品1〜11を添加した試験品73〜83は、ゲル強度が対照品9とほぼ同様で、保形性も良好であり、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強い鶏つくねであるのに対し、メジアン径が500μm以上の微細なゲルを含有する比較品1を添加した試験品84は、対照品9と同様のゲル強度で保形性も良好であるが、粘質様食感と口どけ及び風味とも、対照品9と殆ど変わらない鶏つくねであった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、畜肉蛋白質を変性させた鶏つくねにおいて、畜肉蛋白質の配合割合はそのままで、変性した畜肉蛋白質による保形性を維持したまま、変性した畜肉蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例10
表28に記載の配合割合で、実施例1で調製した本発明品1の添加量を変えて、図17に記載の操作に従って試験品73と同様の方法で、試験品85〜90の鶏つくねを調製した。また対照として、表28に記載の配合割合で、図18に記載の操作に従って、本発明品1のゲル化剤として使用したジェランガム及び塩化カルシウムの溶液を冷却後に鶏つくね生地に加え加熱した対照品10の鶏つくねを調製した。
また、試験例10で調製した鶏つくねについて、試験例9と同様の評価を行った。
試験例10の評価結果を、表29に示した。
Figure 2020036584
Figure 2020036584
表29の結果より、本発明品1を0.1%添加した試験品85は、粘質様食感が弱く口どけも良好になり、風味も強くなった。本発明品1の添加量が増加するに従い、粘質様食感は更に弱くなり口どけも更に良好となり、添加量が2.0%と3.0%及び5.0%の試験品88と試験品89及び試験品90が最も粘質様食感が弱くなった。風味については、添加量が2.0%の試験品88が最も強く、添加量が3.0%以上になると逆に微細なゲルの風味の影響により、次第に弱くなった。ゲル強度及び保形性は、本発明品を5.0%まで添加しても、試験例9の対照品9と同様な結果であった。
一方、ゲル化剤であるジェランガムの溶液を冷却後につくね生地に加えて加熱した対照品10は、粘質様食感の低減や口どけ及び風味の改善効果は殆ど無かった。尚、対照品10と試験品90のジェランガム含量は同じであることから、予め調製されたメジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を鶏つくね生地に添加し加熱することで、畜肉蛋白質の配合割合はそのままで、変性した畜肉蛋白質の保形性を維持したまま、変性した畜肉蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例11
実施例1〜11及び比較例1で調製した本発明品1〜11及び比較品1について、表30に記載の配合割合で、図19に記載の操作に従って、試験品91〜102のアジのつみれを調製した。また対照として、表30に記載の配合割合で、本発明品及び比較品が無添加の対照品11のアジのつみれを、図19に記載の操作に従って、調製した。
Figure 2020036584
試験例11で調製したアジのつみれについて、以下の評価を行った。
<ゲル強度>
冷蔵庫で1日保存したアジのつみれのゲル強度について、つみれの高さを20mmに切断し、直径:37mmの円筒状金属製型でくり抜いたものを、レオメーター(レオテック社製)を使用して、下記の測定条件で、プランジャーがアジのつみれ表面から2.4mm押下げた時の荷重を測定した。
プランジャー:直径10mmの円板状
上昇速度:2.0cm/分
<保形性>
加熱して冷却後のアジのつみれの保形性について、加熱前(成型後)との変形程度をノギスで測定し、以下の基準で評価を行った。
◎:つみれの高さの低下が2mm未満で、保形性が非常に良好。
○:つみれの高さの低下が2〜5mm未満で、保形性が良好。
△:つみれの高さの低下が5〜10mm未満で、保形性がやや悪い。
▲:つみれの高さの低下が10〜15mm未満で、保形性が悪い。
×:つみれの高さの低下が15mm以上で、保形性が無い。
<粘質様食感と口どけ>
冷蔵庫で1日保存したアジのつみれの粘質様食感と口どけについて、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品11の粘質様食感と口どけを基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…粘質様食感が全く無く、口どけが非常に良好。
+2点…粘質様食感が殆ど無く、口どけが良好。
+1点…粘質様食感が弱く、口どけがやや良好。
0点…粘質様食感と口どけとも、対照品11と変わらない。
−1点…粘質様食感がやや強く、口どけがやや悪い。
−2点…粘質様食感が強く、口どけが悪い。
−3点…粘質様食感が非常に強く、口どけが非常に悪い。
<風味>
冷蔵庫で1日保存したアジのつみれの風味について、熟練したパネラー5名による官能評価を行った。対照品11のつみれ風味(魚旨味としょうが味等)を基準(評点:0)として、以下に示す7段階の点数評価を行い、その平均値を算出した。
+3点…つみれ風味が非常に強い。
+2点…つみれ風味が強い。
+1点…つみれ風味がやや強い。
0点…つみれ風味が対照品11と変わらない。
−1点…つみれ風味がやや弱い。
−2点…つみれ風味が弱い。
−3点…つみれ風味が非常に弱く、全く味が無い。
試験例11の評価結果を、表31に示した。
Figure 2020036584
表31の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品1〜11を添加した試験品91〜101は、ゲル強度が対照品11とほぼ同様で、保形性も良好であり、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強いアジのつみれであるのに対し、メジアン径が500μm以上の微細なゲルを含有する比較品1を添加した試験品102は、対照品11と同様のゲル強度で保形性も良好であるが、粘質様食感と口どけ及び風味とも、対照品11と殆ど変わらないアジのつみれであった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、魚肉蛋白質を変性させたアジのつみれにおいて、魚肉蛋白質の配合割合はそのままで、変性した魚肉蛋白質による保形性を維持したまま、変性した魚肉蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例12
表32に記載の配合割合で、実施例1で調製した本発明品1の添加量を変えて、図19に記載の操作に従って試験品91と同様の方法で、試験品103〜108のアジのつみれを調製した。また対照として、表32に記載の配合割合で、図20に記載の操作に従って、本発明品1のゲル化剤として使用したジェランガム及び塩化カルシウムの溶液を冷却後にアジのつみれ生地に加え加熱した対照品12のアジのつみれを調製した。
また、試験例12で調製したアジのつみれについて、試験例11と同様の評価を行った。
試験例12の評価結果を、表33に示した。
Figure 2020036584
Figure 2020036584
表33の結果より、本発明品1を0.1%添加した試験品103は、粘質様食感が弱く口どけも良好になり、風味も強くなった。本発明品1の添加量が増加するに従い、粘質様食感は更に弱くなり口どけも更に良好となり、添加量が3.0%と5.0%の試験品107と試験品108が最も粘質様食感が弱くなった。風味については、添加量が2.0%の試験品106が最も強く、添加量が3.0%以上になると逆に微細なゲルの風味の影響により、次第に弱くなった。ゲル強度及び保形性は、本発明品を5.0%まで添加しても、試験例11の対照品11と同様な結果であった。
一方、ゲル化剤であるジェランガムの溶液を冷却後にアジのつみれ生地に加えて加熱した対照品12は、粘質様食感の低減や口どけ及び風味の改善効果は殆ど無かった。尚、対照品12と試験品108のジェランガム含量は同じであることから、予め調製されたメジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤をアジのつみれ生地に添加し加熱することで、魚肉蛋白質の配合割合はそのままで、変性した魚肉蛋白質の保形性を維持したまま、変性した魚肉蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
実施例12
表34に記載の配合割合で、ゲル化剤としてカードランを使用して、図21に記載の操作に従って、本発明品12の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤を調製した。尚、クエン酸液は、クエン酸500gを水で溶解して全量が1Lとなるように調製した。
Figure 2020036584
実施例12で調製した本発明品12について、粒度分布測定装置(Beckman coulter社製、機種名:LS 13 320)にて測定したメジアン径の測定結果と、図21に記載のカードラン分散液(図中の(*)の工程で得られる液)を静置状態で90℃まで加熱して得られたゲルに対し、ゲルの50重量%の水を加え、ゲルの融解温度を測定した結果を表35に記載した。
Figure 2020036584
試験例13
実施例12で調製した本発明品12について、表10に記載の試験品1〜12と同様の配合割合で、図9に記載の試験品1〜12と同様の操作に従って、試験品109の焼プリンを調製した。
また、試験例13で調製した焼プリンについて、試験例1と同様の評価を行った。
試験例13の評価結果を、表36に示した。
Figure 2020036584
表36の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品12を添加した試験品109は、ゲル強度が対照品1とほぼ同様で、保形性も良好であり、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強い焼プリンであった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、卵蛋白質を変性させた焼プリンにおいて、卵蛋白質の配合割合はそのままで、変性した卵蛋白質による保形性を維持したまま、変性した卵蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例14
実施例12で調製した本発明品12について、表14に記載の試験品19〜30と同様の配合割合で、図11に記載の試験品19〜30と同様の操作に従って、試験品110のプレーンヨーグルトを調製した。
また、試験例14で調製したプレーンヨーグルトについて、試験例3と同様の評価を行った。
試験例14の評価結果を、表37に示した。
Figure 2020036584
表37の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品12を添加した試験品110は、ゲル強度が対照品3とほぼ同様で、保形性も良好であり、pHも対照品3と同様で発酵阻害は無く、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強いプレーンヨーグルトであった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、乳蛋白質を変性させたプレーンヨーグルトにおいて、乳蛋白質の配合割合はそのままで、変性した乳蛋白質による保形性を維持したまま、変性した乳蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例15
実施例12で調製した本発明品12について、表18に記載の試験品37〜48と同様の配合割合で、図13に記載の試験品37〜48と同様の操作に従って、試験品111の充填豆腐を調製した。
また、試験例15で調製した充填豆腐について、試験例5と同様の評価を行った。
試験例15の評価結果を、表38に示した。
Figure 2020036584
表38の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品12を添加した試験品111は、ゲル強度が対照品5とほぼ同様で、保形性も良好であり、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強い充填豆腐であった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、大豆蛋白質を変性させた充填豆腐において、大豆蛋白質の配合割合はそのままで、変性した大豆蛋白質による保形性を維持したまま、変性した大豆蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例16
実施例12で調製した本発明品12について、表22に記載の試験品55〜66と同様の配合割合で、図15に記載の試験品55〜66と同様の操作に従って、試験品112のゼラチンで固めた麺つゆを調製した。
また、試験例16で調製したゼラチンで固めた麺つゆについて、試験例7と同様の評価を行った。
試験例16の評価結果を、表39に示した。
Figure 2020036584
表39の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品12を添加した試験品112は、ゲル強度が対照品7とほぼ同様で、保形性も良好であり、蕎麦のゼラチンで固めた麺つゆへの沈み込みも少なく、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強いゼラチンで固めた麺つゆであった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、ゼラチンで固めた麺つゆにおいて、ゼラチンの配合割合はそのままで、ゲル化したゼラチンによる保形性を維持したまま、融解したゼラチン特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例17
実施例12で調製した本発明品12について、表26に記載の試験品73〜84と同様の配合割合で、図17に記載の試験品73〜84と同様の操作に従って、試験品113の鶏つくねを調製した。
また、試験例17で調製した鶏つくねについて、試験例9と同様の評価を行った。
試験例17の評価結果を、表40に示した。
Figure 2020036584
表40の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品12を添加した試験品113は、ゲル強度が対照品9とほぼ同様で、保形性も良好であり、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強い鶏つくねであった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、畜肉蛋白質を変性させた鶏つくねにおいて、畜肉蛋白質の配合割合はそのままで、変性した畜肉蛋白質による保形性を維持したまま、変性した畜肉蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
試験例18
実施例12で調製した本発明品12について、表30に記載の試験品91〜102と同様の配合割合で、図19に記載の試験品91〜102と同様の操作に従って、試験品114のアジのつみれを調製した。
また、試験例18で調製したアジのつみれについて、試験例11と同様の評価を行った。
試験例18の評価結果を、表41に示した。
Figure 2020036584
表41の結果より、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する本発明品12を添加した試験品114は、ゲル強度が対照品11とほぼ同様で、保形性も良好であり、粘質様食感が弱く口どけは良好であり、風味も強いアジのつみれであった。
以上のことから、メジアン径が500μm以下の微細なゲルを含有する蛋白質含有ゾル状食品用改質剤は、魚肉蛋白質を変性させたアジのつみれにおいて、魚肉蛋白質の配合割合はそのままで、変性した魚肉蛋白質による保形性を維持したまま、変性した魚肉蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味を向上した。
本発明により、蛋白質含有ゾル状食品に、蛋白質の配合割合はそのままで、変性した蛋白質による保形性を維持し、変性した蛋白質特有の粘質様食感を低減させ、口どけや風味の向上等の品質を改質する改質剤を提供することが可能となり、産業上の貢献度は高いものである。

Claims (5)

  1. メジアン径が500μm以下である、ゲル化剤の微細なゲルを含有することを特徴とする、蛋白質含有ゾル状食品用改質剤。
  2. ゲル化剤が、寒天、カラギナン、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、グルコマンナン、こんにゃく粉(芋)、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩類、及びカードランからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の多糖類である請求項1記載の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤。
  3. 蛋白質含有ゾル状食品の蛋白質が、ゼラチン、卵由来、乳由来、豆由来、畜肉由来及び魚肉由来の蛋白質からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の蛋白質を含有する請求項1又は2記載の蛋白質含有ゾル状食品用改質剤。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の改質剤を含有する蛋白質含有ゾル状食品。
  5. 蛋白質含有ゾル状食品の蛋白質が、ゼラチン、卵由来、乳由来、豆由来、畜肉由来及び魚肉由来の蛋白質からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の蛋白質を含有する請求項4記載の蛋白質含有ゾル状食品。
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