JP2020023063A - 接合部材および接合部材作成方法 - Google Patents

接合部材および接合部材作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】、接着剤の保持作用、濡れ広がり性を向上させて、はめあい部に接着強度向上とばらつき低減を図ることが可能な接合部材および接合部材の製作方法を提供する。【解決手段】円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい部が接着剤を介して接合される接合部材を作成する。円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面との少なくとも一方の接着面に、間欠的に凹溝及びこの凹溝内に溝幅よりも周期間隔が狭いグレーティング状凹凸の周期構造を設ける。円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい部に接着剤を介在させて、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とを接着する。【選択図】図1

Description

本発明は、接合部材および接合部材作成方法に関する。
接着剤を利用した接合は、ねじやリベットでの接合と比較して部品の小型化や高密度化が可能である。また、常温で異種材料を接合できるなど多くのメリットがある。そのため、電子産業や自動車産業など多岐にわたって注目されている。しかし、接着剤を用いた場合、他の接合法(接合手段)と比較して、強度のばらつきが大きいという課題がある。特に低強度側へのばらつきは致命的な問題が生じることから、接着の工業的な応用が広く進んでいるとは言い難い。そこで、接着面に研削やサンドブラストにより凹凸を形成することで接着強度向上を図る研究が行われており、その有効性が示されている。
すなわち、従来には、接着剤との濡れを向上させて接合部材の接着強度を向上させることを目的とする接合部材の作成方法および接合構造が提案されている(特許文献1)。この場合、図13と図14に示すように、接合される2つの部材21、22の接着面21a、22aのうち少なくとも一方の接着面21aに、互いに連通しない複数の長溝23を近接させて設けて凹凸25を形成した後、2つ部材21、22を接合するものである。
すなわち、一方の接着面21aに、表面粗さが算術平均粗さで25μm以上100μm以下となる凹凸形状を形成して、接合される2つの部材21、22の接着面間に接着剤(接着材料)Sを介在させて接着するものである。
このように構成することによって、接着材料Sが複数の長溝23を通って接着面21aの全体に行き渡るようになると共に、接着面21aに形成した凹凸25により接着部材Sとの接触面積を増大させることができる。このため、接着材料Sを接着面21aの全体を行き渡らせたうえで、接着材料Sと接着面21aとの濡れ性を向上させて、接合により得られる接合部材の接着強度を向上させるものである。
特開2010−126682号公報
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、数から数十μmオーダの凹凸を接着面全体に形成するため、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい構造の場合、はめあい精度に悪影響を与えるおそれがある。また、比較的粘度の高い接着部材(接着剤)を用いた場合、凹部まで濡らすことが困難となって、破壊の起点となるボイドが生じることで、接着面の接着強度にバラツキが生じる。
このように、接着剤を用いる接合構造では、他の接合法と比較して、強度のばらつきが大きいという課題がある。低強度側へのばらつきは致命的な問題が生じることから、接着剤を用いる構造は、工業的な応用が広く進んでいるとは言い難いものであった。
本発明は、上記課題に鑑みて、接着剤の保持作用、濡れ広がり性を向上させて、はめあい部に接着強度向上とばらつき低減を図ることが可能な接合部材および接合部材の製作方法を提供する。
本発明の接合部材の製作方法は、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい部が接着剤を介して接合されてなる接合部材を作成する接合部材作成方法であって、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面との少なくとも一方の接着面に、間欠的に凹溝及びこの凹溝内に溝幅よりも周期間隔が狭いグレーティング状凹凸の周期構造を設けた後、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい部に接着剤を介在させて、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とを接着するものである。
本発明の接合部材の製作方法によれば、溝内部に接着剤が保持され、はめあい部を形成する際(例えば、円筒面形状の外周面を有するシャフトを円筒面形状の内周面を有するブッシュに挿入する際)に接着剤を均等に接着面にとどめることができる。さらに、溝幅より周期間隔の狭いグレーティング状凹凸の周期構造による表面積増加によって接着強度を向上することができ、さらに接着剤の濡れ性が向上する。
前記グレーティング状凹凸の周期構造の凹凸が50nm以上10μm以下かつ周期ピッチが10μm以下であるのが好ましい。このように構成することによって、表面積倍率を大きくできるとともに、毛管現象の効果が顕著となることにより接着剤の濡れ性および濡れ広がり性を向上することができる。周期構造の凹凸が50nm未満では十分な表面積倍率が得られず、凹凸が10μmを超えると接着剤が凹部まで濡れない場合がある。また、周期ピッチが10μmを超えると毛管現象の効果が薄れる。
前記凹溝の溝幅が前記グレーティング状凹凸の周期構造の周期ピッチの5倍以上となるように設けるのが好ましい。このように構成することによって、接着に必要な接着剤を溝内部に保持することができる。また、溝内部に凹溝の進展方向に沿った複数の周期構造を形成することが可能となり、毛管現象によって凹溝の進展方向に接着剤をすばやく濡れ広げることができる。
前記凹溝の深さが溝の進展方向に沿って段階的または連続的に減少するように設けることができる。このように構成することによって、はめあい部を形成する際に接着剤に圧力が発生し、接着面全体に行き渡らせることができる。
前記凹溝の進展方向を前記はめあい部の軸方向とすることができる。このように構成することによって、はめあい部を形成する際に接着剤が挿入方向に濡れ広がりやすくなり、接着強度の向上とばらつきを低減することができる。
前記グレーティング状凹凸の周期構造の進展方向をはめあい部の軸方向とすることができる。このように構成することによって、はめあい部を形成する際に接着剤が挿入方向に濡れ広がりやすくなり、接着強度の向上とばらつきを低減することができる。
前記グレーティング状凹凸の周期構造は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバーラップさせながら走査して、自己組織的に形成することができる。このように形成することによって、機械加工では困難なサブミクロンの周期ピッチと凹凸深さをもつ周期構造を容易に得ることができる。また、レーザ照射にともなう有機汚染物の除去により、接着剤に対して高い濡れ性が得られる。
前記凹溝と前記グレーティング状凹凸の周期構造とを同時加工にて形成することができる。このように同時加工することによって、生産性を向上することができる。
本発明の接合部材は、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい部が接着剤接合部とされてなる接合部材であって、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面との少なくとも一方の接着面に、間欠的に凹溝及びこの凹溝内に溝幅よりも周期間隔が狭いグレーティング状凹凸の周期構造を設けて、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい部に接着剤を介在させて、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とを接着してなる接着剤接合部を設けたものである。
本発明の接合部材によれば、溝内部に接着剤が保持され、はめあい部を形成する際に接着剤を均等に接着面にとどめることができる。さらに、溝幅より周期間隔の狭いグレーティング状凹凸の周期構造による表面積増加によって接着強度を向上することができる。さらに接着剤の濡れ性が向上することでボイド等の欠陥が減少し、接着強度のばらつきを低減することができる。
本発明では、接着面の表面積増加によって接着強度を向上させることができ、さらに、接着剤の濡れ性が向上することでボイド等の欠陥が減少し、接着強度のばらつきを低減できる。
本発明の接合部材の簡略断面図である。 周期構造を示し、(a)は周方向に沿って所定ピッチに配設された凹溝に配向方向が軸方向の周期構造が形成されたシャフトの簡略図であり、(b)は周方向に沿って所定ピッチに配設された凹溝に配向方向が周方向の周期構造が形成されたシャフトの簡略図である。 周期構造を示し、(a)は軸方向に沿って所定ピッチに配設された凹溝に配向方向が軸方向の周期構造が形成されたシャフトの簡略図であり、(b)は軸方向に沿って所定ピッチに配設された凹溝に配向方向が周方向の周期構造が形成されたシャフトの簡略図である。 周期構造を示し、(a)は配向方向が軸方向である拡大図であり、(b)は配向方向が周方向である拡大図である。 周期構造を成形するためのレーザ表面加工装置の簡略図である。 せん断試験機を用いてシャフトとブッシュとの接着面に圧縮せん断荷重を掛けている状態の簡略図である。 周期構造を示し、(a)は配向方向が軸方向であるシャフトの簡略図であり、(b)は配向方向が周方向であるシャフトの簡略図である。 接着強度を示すグラフ図である。 変位−荷重曲線を示すグラフ図である。 接着強度測定後の接着面画像図である。 変位−荷重曲線を示すグラフ図である。 接着強度と標準偏差の比較を示すグラフ図である。 従来の接合部材の接合前の簡略斜視図である。 従来の接合部材の一方の部材の拡大断面図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1は本発明に係る接合部材を示し、この接合部材は、円筒面形状の外周面1aと円筒面形状の内周面2aとのはめあい部4が接着剤Sを介して接合されてなるものである。すなわち、接合部材は、第1部材としてのシャフト1とこのシャフト1が嵌入される第2部材としての短円筒体(ブッシュ)2とを備える。そして、シャフト1の円筒面形状の外周面1aと、短円筒体2の円筒面形状の内周面2aとの間に、接着剤Sが介在されるはめあい部4が形成される。
この場合、第1部材1及び第2部材2は、炭素鋼、銅、アルミニウム、白金、超硬合金等であっても、炭化ケイ素や窒化ケイ素等のシリコン系セラミックスであっても、エンジニアプラスチック等であってもよい。
外周面1aで構成されるシャフト側の接着面S1aと、内周面2aで構成される接着面S2aとの少なくとも一方(この場合、シャフト側の接着面S1a)に、図2及び図3に示すように、間欠的に複数個の凹溝5を形成し、この凹溝5内にグレーティング状凹凸の周期構造6を設けている。なお、この凹溝を単に溝と呼ぶ場合がある。
凹溝5として、図2に示すように、周方向に沿って所定ピッチで軸方向に延びるもの、図3に示すように、螺旋形状に形成されるもの等とがある。凹溝5の断面形状として、矩形形状や台形形状であってもよい。また、所定ピッチで軸方向に延びる凹溝5は、その溝幅を例えば、100μm程度とし、溝ピッチとして、例えば、200μm程度とし、溝深さとして、例えば、1μm程度としている。螺旋形状に形成される凹溝5としては、下端から時計廻りに上方に向うものであっても、下端から反時計廻りに上方に向うものであってもよい。この場合も、溝幅を例えば、100μm程度とし、溝ピッチとして、例えば、200μm程度とし、溝深さとして、例えば、1μm程度としている。
凹溝5の周期構造6は、図4(a)(b)に示すように、微小の凹部8と微小の凸部9とが交互に所定ピッチで配設されてなるものである。周期構造6の凹凸の高低差(凹部8の底部から凸部9の頂点までの高さ)が50nm以上10μm以下とするのが好ましい。また、周期構造6の周期ピッチを10μm以下とするのが好ましい。このように、周期構造6は、凸部頂点が非平坦面となって連続的に高さが変化するように形成されている。
周期構造6は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバーラップさせながら走査して、自己組織的に形成している。具体的には、図5に示すフェムト秒レーザ表面加工装置Mを使用する。レーザ発生器11(チタンサファイアフェムト秒レーザ発生器)で発生したレーザ(例えば、パルス幅:120fs、中心波長800nm、繰り返し周波数:1kHz、パルスエネルギー:0.25〜400μJ/pulse)は、ミラー12により加工材料Wに向けて折り返され、メカニカルシャッタ13に導かれる。レーザ照射時はメカニカルシャッタ13を開放し、レーザ照射強度は1/2波長板14と偏光ビームスプリッタ16によって調整可能とし、1/2波長板15によって偏光方向を調整し、集光レンズ(焦点距離:150mm)17によって、XYθステージ19上の加工材料W表面に集光照射する。なお、フェムト秒レーザはフェムト秒(1000兆分の1秒)オーダーという極端に短い時間単位の中にエネルギーを圧縮した光源である。
ところで、はめあい部4としては、すきまばめ、しまりばめ、中間ばねのいずれであってもよい。接着剤Sとして、例えば、嫌気性接着剤を用いることができる。ここで、嫌気性接着剤は、金属同士の接合の際に、金属イオンを利用して、酸素を遮断することにより硬化する。
本発明の接合部材の製作方法によれば、溝内部に接着剤Sが保持され、はめあい部4を形成する際(例えば、円筒面形状の外周面1aを有するシャフト1を円筒面形状の内周面2aを有するブッシュ2に挿入する際)に接着剤Sを均等に接着面S1aにとどめることができる。さらに、溝幅より周期間隔の狭いグレーティング状凹凸の周期構造6による表面積増加によって接着強度を向上することができ、さらに接着剤Sの濡れ性が向上する。
すなわち、本発明では、接着面S1aの表面積増加によって接着強度を向上させることができ、さらに、接着剤Sの濡れ性が向上することでボイド等の欠陥が減少し、接着強度のばらつきを低減できる。
前記グレーティング状凹凸の周期構造6の凹凸が50nm以上10μm以下かつ周期ピッチが10μm以下であるように設定できる。このように構成することによって、表面積倍率を大きくできるとともに、毛管現象の効果が顕著となることにより接着剤の濡れ性および濡れ広がり性を向上することができる。周期構造の凹凸が50nm未満では十分な表面積倍率が得られず、凹凸が10μmを超えると接着剤が凹部まで濡れない場合がある。また、周期ピッチが10μmを超えると毛管現象の効果が薄れる。
また、凹溝5の溝幅が前記グレーティング状凹凸の周期構造6の周期ピッチの5倍以上となるように設けることができる。このように構成することによって、接着に必要な接着剤を溝内部に保持することができる。また、溝内部に凹溝5の進展方向に沿った複数の周期構造6を形成することが可能となり、毛管現象によって凹溝の進展方向に接着剤Sをすばやく濡れ広げることができる。
さらには、凹溝5の深さが溝5の進展方向に沿って段階的または連続的に減少するように設けることができる。このように構成することによって、はめあい部4を形成する際(例えば、円筒面形状の外周面1aを有するシャフト1を円筒面形状の内周面2aを有するブッシュ2に挿入する際)に接着剤Sに圧力が発生し、接着面全体に行き渡らせることができる。
凹溝5の進展方向を前記はめあい部4の軸方向とすることができる。このように構成することによって、はめあい部4を形成する際に接着剤Sが挿入方向に濡れ広がりやすくなり、接着強度の向上とばらつきを低減することができる。
グレーティング状凹凸の周期構造6の進展方向をはめあい部4の軸方向とすることができる。このように構成することによって、はめあい部4を形成する際に接着剤Sが挿入方向に濡れ広がりやすくなり、接着強度の向上とばらつきを低減することができる。
グレーティング状凹凸の周期構造6は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバーラップさせながら走査して、自己組織的に形成することができる。このように形成することによって、機械加工では困難なサブミクロンの周期ピッチと凹凸深さをもつ周期構造6を容易に得ることができる。また、レーザ照射にともなう有機汚染物の除去により、接着剤に対して高い濡れ性が得られる。
凹溝5とグレーティング状凹凸の周期構造6とは、レーザ表面加工装置にて形成でき、しかも、レーザ照射条件等を調整することで、凹溝5とグレーティング状凹凸の周期構造6とを同時加工にて形成することができる。このように同時加工することによって、生産性を向上することができる。もちろん、凹溝5を形成した後、周期構造6を形成するようにしてもよい。
本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、周期構造6を第1部材であるシャフト1側に設けていたが、周期構造6を第2部材であるブッシュ2側に形成してもよく、第1部材(シャフト)及び第2部材(ブッシュ)の両側に設けてもよい。また、第1部材と第2部材の形状としても、図例のものに限らず、第1部材として、一部に円筒面形状の外周面を有し、第2部材として、一部に円筒面形状の内周面を有するものであればよい。第1部材の接着面S1aを構成する外周面の径寸法及び軸方向長さ、および第2部材の接着面S2aを構成する内周面の径寸法及び軸方向長さとしても、はめあい部4を構成できる範囲で任意に設定できる。
凹溝5の配設ピッチ、溝幅、溝深さ、及び溝長さ等は、接着強度の向上、及び接着剤Sの濡れ性の向上等を図れる範囲に任意に変更可能である。また、実施形態では、凹溝5の深さが溝5の進展方向に沿って段階的または連続的に減少するように構成したが、凹溝5内に設けられる周期構造6としての配向方向に沿って段階的または連続的に減少するように構成してもよい。なお、周期構造6を形成する際に、前記実施形態では、パルスレーザであるフェムト秒レーザを用いたが、フェムト秒レーザ以外のピコ秒レーザやナノ秒レーザといったパルスレーザを使用することもできる。また、使用する接着剤として、前記形態では、嫌気性接着剤を用いたが、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系等の他の接着剤を用いることができる。
接着剤を利用した接合は、ねじやリベットでの接合と比較して部品の小型化や高密度化が可能である。また、常温で異種材料を接合できるなど多くのメリットがある。そのため、電子産業や自動車産業など多岐にわたって注目されている。しかし、接着には他の接合法と比較して、強度のばらつきが大きいという課題がある。低強度側へのばらつきは致命的な問題が生じることから、接着の工業的な応用が広く進んでいるとは言い難い。そこで、接着面に研削やサンドブラストにより凹凸を形成することで接着強度向上を図る研究が行われており、その有効性が示されている。しかし、加工上の制約から数〜数十μmオーダーの凹凸を接着面全面に形成することが多く、嵌合部品のはめあい精度に影響をもたらすことがある。また、粘度の高い接着剤では凹部まで濡らすことができず、破壊の起点となるボイドが生じることで接着強度のばらつきが大きくなることがある。
一方、超短パルスレーザを加工しきい値近傍のエネルギー密度で照射することにより、サブミクロンの周期ピッチを有するグレーティング状の周期構造6を形成することができる。この周期構造6には、さらに小さな数十nm以下の粗さを内包させることができる。その結果、周期構造6は小さな表面粗さでありながら高い表面積倍率が得られる。また、レーザ照射にともなう有機汚染物の除去により、接着剤Sに対して高い濡れ性を示すことから、嵌合部品の接着強度向上とばらつき低減が期待できる。そこで、第2部材としてのブッシュ2と嵌合接着する第1部材としてのシャフト1に対し、表面テクスチャとして周期構造6をパターニングし、接着強度に及ぼす影響について検証した。
図6に示すせん断試験機Mを用いて、シャフト1とブッシュ2の接触面S1a、S2a間に圧縮せん断荷重を矢印のように作用させ、接着強度を測定した。この場合、ワーク保持体10にブッシュ2を保持させる。すなわち、ブッシュ2の下面2bと、シャフト1の下端面1bとを一致させた状態とし、ワーク保持体10の保持孔10aにブッシュ2の下半部を嵌合させて、ブッシュ2の下面2bを保持孔10aの段付面10a1にて受けた状態とする。このため、ブッシュ2の上面2cからシャフト1の上半部が上方へ突出している。この際、シャフト1の外周面1aとブッシュ2の内周面2aとの間に接着剤Sが介在されて、シャフト1とブッシュ2と接着一体化させている。
圧縮速度は1mm/minとし、シャフト上部の変位と荷重データを10ms毎に取得した。第1部材としてのシャフト1(材質:SUJ2、直径:φ8h5、長さ:50,100mm、Ra0.4)と第2部材としてのブッシュ2(材質:SKS93、内径:φ8H7、長さ:15mm、Ra1.6)の接着には嫌気性接着剤を用い、シャフト側のみに塗布した。
試料として、図2(a)(b)および図3(a)(b)に示すパターンのものと、図7(a)(b)のパターンのものを製作した。図7(a)(b)は、凹溝5を形成することなく、シャフト1の外周面1aに周期構造6を形成し、図7(a)では周期構造6の配向方向が軸方向であり、図7(b)では周期構造6の配向方向が周方向である。この場合、図7(a)(b)のパターンを全面パターンと呼び、図2(a)(b)のパターンを間欠パターンと呼び、図3(a)(b)のパターンを螺旋パターンと呼ぶ。各周期構造6としては、ピッチ約900nm、深さ約250nmとした。なお、未加工(凹溝および周期構造を形成しないもの)のシャフトも試料とした。
間欠パターンは円周方向に等間隔(200μm)に配置された溝内部(幅100μm、深さ1μm)に周期構造6を形成した。螺旋パターンは軸方向に等間隔(200μm)に配置された螺旋状の溝内部(幅100μm、深さ1μm)に周期構造6を形成した。間欠パターンおよび螺旋パターンの凹溝5と溝内部の周期構造6は、レーザ照射条件を調整することで同時に形成した。
各加工パターンにおける接着強度の比較を図8に示す。また、シャフト長50mmの間欠パターン、螺旋パターン、未加工シャフトにおける変位−荷重曲線を図9に示す。ここではサンプル数が各1のため、傾向を捕らえることに主眼を置くことにする。マクロパターン(全面パターン、間欠パターン、螺旋パターン)に着目すると、螺旋パターンは接着強度が不安定な傾向が見られた(図8)。螺旋パターンは嵌合する際に接着剤が挿入方向に濡れ広がりにくく、破壊の起点となるボイドが生じやすいことが接着強度の不安定化の一因と考えられる。一方、周期構造6の方向に着目すると、軸方向の周期構造6は円周方向の周期構造6より安定した接着強度を示した。軸方向の周期構造6は、嵌合する際に接着剤Sが挿入方向に濡れ広がりやすいことが接着強度の安定化の一因と考えられる。また、図9において、周期構造形成品は未加工シャフトより変位−荷重曲線の勾配が大きく、高い接着剛性が得られている。接着剤Sの濡れ広がりの観点から、間欠パターンと軸方向の周期構造6を組み合わせた間欠軸方向周期は、接着強度向上とばらつき低減に有効であると思われる。
図10に接着強度測定後のシャフト1の接着面S1a画像を示す。図10(a)は、図2(a)に示す凹溝5および周期構造6が形成されたものであり、これを間欠軸方向周期と呼び、図10(b)は図2(b)に示す凹溝5および周期構造6が形成されたものであり、これを間欠円周方向周期と呼び、図10(c)が凹溝5及び周期構造6が加工されていないシャフト1であり、これを未加工と呼ぶ。
間欠円周方向周期および未加工シャフトにはほとんど接着剤Sが残留しておらず、シャフト表面での界面剥離が主体であった。一方、間欠軸方向周期にはシャフト側に接着剤が残留した凝集破壊領域が認められた。
次にサンプル数を増やし、間欠軸方向周期の特性評価を実施した。各12サンプルの未加工シャフトと間欠軸方向周期から取得した変位−荷重曲線を図11に示す。未加工シャフトでは3サンプル(図11(a)の矢印)で接着剛性が不安定に低下する挙動が認められた。一方、間欠軸方向周期は全サンプルの挙動傾向、接着剛性がほぼ合致した。
未加工シャフトと間欠軸方向周期の接着強度(最大、最小、平均)と標準偏差の比較を図12に示す。間欠軸方向周期では接着強度の向上と標準偏差の低下が認められた。最大接着強度の増加は8%程度であり、主に接着面積の増大に起因すると考えられる。接着品質に大きな影響を与える最小接着強度は39%増加した。最小接着強度の増加は、間欠パターンおよび軸方向の周期構造6が有する接着剤の保持作用、濡れ広がり性向上によりボイド等の欠陥が減少し、応力集中が抑制されたためだと考えられる。未加工シャフトは平均接着強度8848N、標準偏差1488Nであった。また、間欠軸方向周期は平均接着強度10127N、標準偏差1196Nであった。
ばらつきの指標となる変動係数Cv(標準偏差σ/平均μ)は、未加工シャフトの0.17に対し、間欠軸方向周期では30%低減の0.12となった。許容不良率を100万分の1(4.753σ)とした場合、接着部に作用可能な荷重PをP=μ−4.753σから計算すると、未加工シャフトは1776N、間欠軸方向周期は4442Nとなり、間欠軸方向周期には未加工シャフトの2.5倍以上の荷重を作用させることができると推察される。
ブッシュ2と嵌合接着するシャフト1に対し周期構造6をパターニングし、はめあい接着強度に及ぼす周期構造6の影響を検証した結果、以下の結論を得た。
1.間欠軸方向周期は、接着強度向上に有効である。
2.軸方向の周期構造6には凝集破壊領域が認められる。一方、円周方向の周期構造は界面剥離が主体である。
3.間欠軸方向周期は、濡れ向上に起因した欠陥の減少、応力集中抑制により接着強度の安定化に有効である。
1a 外周面
2a 内周面
S1a、S2a 接触面
4 はめあい部
5 凹溝
6 周期構造
M レーザ表面加工装置
S 接着剤
SA 接着剤接合部

Claims (9)

  1. 円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい部が接着剤を介して接合されてなる接合部材を作成する接合部材作成方法であって、
    円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面との少なくとも一方の接着面に、間欠的に凹溝及びこの凹溝内に溝幅よりも周期間隔が狭いグレーティング状凹凸の周期構造を設けた後、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい部に接着剤を介在させて、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とを接着する接合部材作成方法。
  2. 前記グレーティング状凹凸の周期構造の凹凸が50nm以上10μm以下かつ周期ピッチが10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の接合部材作成方法。
  3. 前記凹溝の溝幅が前記グレーティング状凹凸の周期構造の周期ピッチの5倍以上となるように設けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接合部材作成方法。
  4. 前記凹溝の深さが溝の進展方向に沿って段階的または連続的に減少するように設けることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の接合部材作成方法。
  5. 前記凹溝の進展方向を前記はめあい部の軸方向とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の接合部材作成方法。
  6. 前記グレーティング状凹凸の周期構造の進展方向をはめあい部の軸方向とすることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の接合部材作成方法。
  7. 前記グレーティング状凹凸の周期構造は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバーラップさせながら走査して、自己組織的に形成することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の接合部材作成方法。
  8. 前記凹溝と前記グレーティング状凹凸の周期構造とを同時加工にて形成することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の接合部材作成方法。
  9. 円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい部が接着剤接合部とされてなる接合部材であって、
    円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面との少なくとも一方の接着面に、間欠的に凹溝及びこの凹溝内に溝幅よりも周期間隔が狭いグレーティング状凹凸の周期構造を設けて、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とのはめあい部に接着剤を介在させて、円筒面形状の外周面と円筒面形状の内周面とを接着してなる接着剤接合部を設けたことを特徴とする接合部材。
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