回転電機の冷却構造及び車両用駆動装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態では、第2ステータ21が「ステータ」に相当し、第2ロータ24が「ロータ」に相当し、第2ロータ軸26が「ロータ軸」に相当し、第1吐出口52aが「吐出口」に相当し、第1被供給部91aが「被供給部」に相当し、第1吐出孔91bが「吐出孔」に相当し、第4油路94が「冷却油路」に相当し、第2回転電機MG2が「回転電機」に相当し、第1オイルポンプOP1が「オイルポンプ」に相当し、第3油流通管43が「管状部材」に相当する。
以下の説明では、鉛直方向V(図4参照)は、冷却対象の回転電機の使用状態での鉛直方向、すなわち、冷却対象の回転電機をその使用状態での向きに配置した場合の鉛直方向を意味する。本実施形態では、回転電機の冷却構造は車両用駆動装置に設けられるため、鉛直方向Vは、当該車両用駆動装置が車両に搭載された状態での鉛直方向と一致する。そして、「上側」及び「下側」は、この鉛直方向Vにおける上側及び下側を意味する。また、以下の説明における各部材についての方向は、それらが回転電機の冷却構造が設けられる装置(本実施形態では、車両用駆動装置)に組み付けられた状態での方向を表す。なお、各部材についての寸法、配置方向、配置位置等に関する用語は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態を含む概念である。
本明細書では、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力(トルクと同義)を伝達可能に連結された状態を意味する。この概念には、2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態や、2つの回転要素が1つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態が含まれる。このような伝動部材には、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材(軸、歯車機構、ベルト、チェーン等)が含まれ、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置(摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等)が含まれてもよい。但し、遊星歯車機構の各回転要素について「駆動連結」という場合には、当該遊星歯車機構が備える3つの回転要素に関して互いに他の回転要素を介することなく駆動連結されている状態を指すものとする。
また、本明細書では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。また、本明細書では、2つの部材の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線に直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの部材の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを意味する。
本実施形態では、回転電機の冷却構造が、車両用駆動装置1に設けられている。車両用駆動装置1は、駆動力源(車輪Wの駆動力源)の駆動力を、車輪Wに駆動連結される出力部材4に伝達させて車両を走行させる装置である。図3に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置1は、車輪Wの駆動力源として内燃機関EG及び回転電機(ここでは、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2)の双方を備える車両(ハイブリッド車両)を駆動するための駆動装置(ハイブリッド車両用駆動装置)である。具体的には、この車両用駆動装置1は、いわゆる2モータスプリットタイプのハイブリッド車両用駆動装置である。なお、内燃機関EGは、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等)である。
本開示に係る回転電機の冷却構造は、ケースに収容された回転電機の冷却構造である。すなわち、本開示に係る回転電機の冷却構造は、ケースに収容された回転電機を冷却対象とする。本実施形態では、図1に示すように、ケース30に収容された第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2を冷却対象としている。すなわち、本実施形態では、車両用駆動装置1は、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2の冷却構造を備えている。ケース30には、車両用駆動装置1が備える他の装置或いは機構も収容されている。本実施形態では、車両用駆動装置1は、図3に示すように、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2に加えて、入力部材3、出力部材4、遊星歯車機構PG、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車装置DF、第1オイルポンプOP1、及び第2オイルポンプOP2を備えており、これらの入力部材3、出力部材4、遊星歯車機構PG、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車装置DF、第1オイルポンプOP1、及び第2オイルポンプOP2も、ケース30に収容されている。
図3及び図4に示すように、第1回転電機MG1、入力部材3、遊星歯車機構PG、及び第2オイルポンプOP2が第1軸A1上に配置され、第2回転電機MG2が第2軸A2上に配置され、出力部材4及び出力用差動歯車装置DFが第3軸A3上に配置され、カウンタギヤ機構CGが第4軸A4上に配置され、第1オイルポンプOP1が第5軸A5上に配置されている。これらの第1軸A1、第2軸A2、第3軸A3、第4軸A4、及び第5軸A5は、互いに異なる軸であって、互いに平行に配置される軸(仮想軸)である。以下では、これらの各軸(A1〜A5)に平行な方向(すなわち、各軸の間で共通した軸方向)を「軸方向L」とする。そして、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側(すなわち、軸方向Lにおける軸方向第1側L1とは反対側)を「軸方向第2側L2」とする。本実施形態では、車両用駆動装置1は、軸方向Lが水平面に沿う向きで車両に搭載される。また、本実施形態では、車両用駆動装置1は、軸方向Lが車両の左右方向に沿う向きで車両に搭載される。
図1に示すように、第1回転電機MG1は、第1ステータ11と、第1ステータ11に対して回転自在に支持される第1ロータ14と、を備えている。第1ステータ11は、ケース30に固定される第1ステータコア12と、第1コイルエンド部13と、を備えている。第1ステータコア12にはコイルが巻装されており、第1コイルエンド部13は、第1ステータコア12から軸方向Lに突出するコイルの部分である。第1ステータ11は、第1ステータコア12に対して軸方向Lの両側に、第1コイルエンド部13を備えている。第1ロータ14は、第1ロータ軸16に固定されており、第1ロータ軸16と一体的に回転する。本実施形態では、第1回転電機MG1は永久磁石型回転電機(ここでは、埋込型永久磁石同期モータ)であり、第1ロータ14は、ロータコアと、ロータコアの内部に埋め込まれた永久磁石とを有している。また、本実施形態では、第1回転電機MG1はインナロータ型の回転電機であり、第1ロータ14は、第1ステータコア12に対して径方向(第1軸A1を基準とする径方向)の内側に配置されている。
図1に示すように、第2回転電機MG2は、第2ステータ21と、第2ステータ21に対して回転自在に支持される第2ロータ24と、を備えている。第2ステータ21は、ケース30に固定される第2ステータコア22と、第2コイルエンド部23と、を備えている。第2ステータコア22にはコイルが巻装されており、第2コイルエンド部23は、第2ステータコア22から軸方向Lに突出するコイルの部分である。第2ステータ21は、第2ステータコア22に対して軸方向Lの両側に、第2コイルエンド部23を備えている。第2ロータ24は、第2ロータ軸26に固定されており、第2ロータ軸26と一体的に回転する。本実施形態では、第2回転電機MG2は永久磁石型回転電機(ここでは、埋込型永久磁石同期モータ)であり、第2ロータ24は、ロータコアと、ロータコアの内部に埋め込まれた永久磁石とを有している。また、本実施形態では、第2回転電機MG2はインナロータ型の回転電機であり、第2ロータ24は、第2ステータコア22に対して径方向(第2軸A2を基準とする径方向)の内側に配置されている。
遊星歯車機構PGは、第1回転電機MG1に駆動連結される第1回転要素67と、出力部材4に駆動連結される第2回転要素68と、入力部材3に駆動連結される第3回転要素69と、を有している。本実施形態では、第1回転要素67は、第1回転電機MG1(第1ロータ軸16)と一体的に回転するように連結され、第2回転要素68は、カウンタギヤ機構CGの後述する第1ギヤ61に噛み合う分配出力ギヤ64と、一体的に回転するように連結され、第3回転要素69は、入力部材3と一体的に回転するように連結されている。ここで、入力部材3は、内燃機関EG(クランクシャフト等の出力軸)に駆動連結される部材(本実施形態では、軸部材)である。入力部材3は、内燃機関EGと一体的に回転するように連結され、或いは、ダンパやクラッチなどの他の部材を介して内燃機関EGに連結される。また、出力部材4は、車輪Wに駆動連結される部材である。本実施形態では、出力部材4を、車輪Wと一体的に回転する部材としている。すなわち、出力用差動歯車装置DFにおける車輪Wと一体的に回転する部材(例えば、サイドギヤ)、或いは、出力用差動歯車装置DFと車輪Wとを連結するドライブシャフトを構成する部材を、出力部材4としている。
本実施形態では、遊星歯車機構PGは、シングルピニオン型の遊星歯車機構である。そして、本実施形態では、第1回転要素67はサンギヤであり、第2回転要素68はリングギヤであり、第3回転要素69はキャリヤである。よって、遊星歯車機構PGは、第3回転要素69に伝達される内燃機関EGのトルクを、第1回転要素67と第2回転要素68とに分配(すなわち、第1回転電機MG1と出力部材4とに分配)するように構成される。
カウンタギヤ機構CGは、上述した分配出力ギヤ64に噛み合う第1ギヤ61と、出力用差動歯車装置DFの差動入力ギヤ65に噛み合う第2ギヤ62と、第1ギヤ61と第2ギヤ62とを連結する連結軸63と、を備えている。本実施形態では、第1ギヤ61には、第2回転電機MG2の出力ギヤ60も噛み合っている。出力ギヤ60は、第2回転電機MG2のトルクを出力するためのギヤであり、第2ロータ軸26と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第2ロータ軸26は、互いに連結された(ここでは、スプライン連結された)第1軸部材26aと第2軸部材26bとを備えている。第1軸部材26aは、第1軸部材26aと第2軸部材26bとの連結部から軸方向第1側L1に延びるように配置され、第2軸部材26bは、第1軸部材26aと第2軸部材26bとの連結部から軸方向第2側L2に延びるように配置されている。そして、第2ロータ24は、第1軸部材26aの外周面に固定され、出力ギヤ60は、第2軸部材26bの外周面に形成されている。本実施形態では、第2ロータ軸26の軸方向第2側L2の端部(ここでは、第2軸部材26bの軸方向第2側L2の端部)は、後述する第2壁部32よりも軸方向第2側L2に配置されている。そして、出力ギヤ60も、第2壁部32よりも軸方向第2側L2に配置されている。
出力用差動歯車装置DFは、差動入力ギヤ65に入力されるトルクを、左右一対の出力部材4に分配して(すなわち、左右一対の車輪Wに分配して)伝達する。出力用差動歯車装置DFは、例えば、傘歯車式又は遊星歯車式の差動歯車機構を用いて構成される。
本実施形態に係る車両用駆動装置1は上記のように構成されるため、内燃機関EGのトルクを車輪Wに伝達させて車両を走行させる無段変速走行モードの実行中は、第1回転電機MG1は、第1回転要素67に分配されるトルクに対する反力トルクを出力する。この際、第1回転電機MG1は、基本的にジェネレータとして機能して、第1回転要素67に分配されるトルクによって発電する。また、無段変速走行モードの実行中は、第2回転要素68には、内燃機関EGのトルクに対して減衰されたトルクが車輪Wの駆動用のトルクとして分配され、第2回転電機MG2は、必要に応じて、車輪要求トルク(車輪Wに伝達されることが要求されるトルク)に対する不足分を補うようにトルクを出力する。また、第2回転電機MG2のトルクのみを車輪Wに伝達させて車両を走行させる電動走行モードの実行中は、内燃機関EGは、基本的に、燃料供給が停止された停止状態とされ、第1回転電機MG1は、基本的に、空転する状態(ゼロトルク制御により出力トルクがゼロとなるように制御された状態)とされる。
車両用駆動装置1は、第2回転電機MG2の駆動力を出力部材4に伝達する駆動伝達機構2を備えている。本実施形態では、駆動伝達機構2は、カウンタギヤ機構CG及び出力用差動歯車装置DFを備えている。そして、本実施形態では、第2回転電機MG2は、軸方向Lに沿った軸方向L視で、駆動伝達機構2と重複するように配置されている。具体的には、図4に示すように、第2回転電機MG2は、軸方向L視でカウンタギヤ機構CGと重複するように配置されている。ここでは、第2回転電機MG2は、軸方向L視でカウンタギヤ機構CGが配置される第4軸A4と重複するように配置されている。なお、図4では、各ギヤについては基準ピッチ円を示し、第1回転電機MG1については第1ステータ11の外形(第1ステータコア12の外形)を示し、第2回転電機MG2については第2ステータ21の外形(第2ステータコア22の外形)を示している。
本実施形態では、図1に示すように、駆動伝達機構2は、第2回転電機MG2に対して軸方向Lにおける軸方向第1側L1とは反対側(軸方向第2側L2)に配置されている。上述したように、本実施形態では、駆動伝達機構2はカウンタギヤ機構CGを備えており、カウンタギヤ機構CGは、第2回転電機MG2に対して軸方向第2側L2に配置されている。具体的には、ケース30は、第2回転電機MG2に対して軸方向第1側L1に配置される第1壁部31と、第2回転電機MG2に対して軸方向第2側L2に配置される第2壁部32と、を備えている。第1壁部31及び第2壁部32は、いずれも第2ロータ軸26を支持する支持壁である。ここでは、ケース30は、更に、第2壁部32に対して軸方向第2側L2に配置される第3壁部34を備えている。第3壁部34も、第2ロータ軸26を支持する支持壁である。具体的には、第1軸部材26aは、第1壁部31と第2壁部32とにより軸方向Lの2ヶ所で回転自在に支持され、第2軸部材26bは、第2壁部32と第3壁部34とにより軸方向Lの2ヶ所で回転自在に支持されている。そして、カウンタギヤ機構CGは、第2壁部32に対して軸方向第2側L2に配置されている。また、カウンタギヤ機構CGは、第3壁部34に対して軸方向第1側L1に配置されている。ここでは、第1壁部31は、第2回転電機MG2に対して軸方向第1側L1に隣接して配置され、第2壁部32は、第2回転電機MG2に対して軸方向第2側L2に隣接して配置されている。なお、本実施形態では、第1壁部31は、ケース30における周壁部(軸方向L視で第2回転電機MG2等を囲む筒状の壁部)とは別部材であり、当該周壁部の軸方向第1側L1の開口部を覆うように軸方向第1側L1から接合されている。すなわち、本実施形態では、第1壁部31はカバー部材(具体的には、周壁部における内燃機関EGが配置される側とは反対側の開口部を覆うリヤカバー)である。
図3に示すように、車両用駆動装置1は、第1オイルポンプOP1を備えている。本実施形態では、第1オイルポンプOP1は、第2回転電機MG2とは別軸に配置されている。なお、第1オイルポンプOP1が、第2回転電機MG2と同軸に配置される構成とすることもできる。図示は省略するが、ケース30の内部には、油を貯留する油貯留部が形成されており、図5に示すように、第1オイルポンプOP1は、第1ストレーナST1を介して油貯留部の油を吸引する。図3に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置1は、更に、第2オイルポンプOP2を備えている。本実施形態では、第2オイルポンプOP2は、第1回転電機MG1と同軸に配置されている。図5に示すように、第2オイルポンプOP2は、第2ストレーナST2を介して油貯留部の油を吸引する。第1ストレーナST1や第2ストレーナST2は、油に含まれる異物を除去するための濾過器である。ここでは、第1オイルポンプOP1が油貯留部から吸引する油を濾過する第1ストレーナST1と、第2オイルポンプOP2が油貯留部から吸引する油を濾過する第2ストレーナST2とが、各別に設けられる場合を例示しているが、第1オイルポンプOP1と第2オイルポンプOP2とが、共通のストレーナを介して油貯留部の油を吸引する構成とすることもできる。
本実施形態では、第1オイルポンプOP1は、駆動伝達機構2の回転により駆動される。具体的には、第1オイルポンプOP1は、駆動伝達機構2が備える回転部材であって、車輪Wと分離不可能に駆動連結される回転部材(すなわち、常に車輪Wに連動して回転する回転部材)の回転により駆動されるように構成されている。よって、車両が走行している状態では、無段変速走行モードの実行中であるか電動走行モードの実行中であるかにかかわらず(すなわち、内燃機関EGの停止中であっても)、第1オイルポンプOP1を駆動することができる。本実施形態では、図3に示すように、第1オイルポンプOP1は、出力用差動歯車装置DFの差動入力ギヤ65の回転により駆動されるように構成されている。具体的には、第1オイルポンプOP1の駆動軸である第1ポンプ駆動軸53aには、ポンプ駆動ギヤ66が設けられている。そして、ポンプ駆動ギヤ66が差動入力ギヤ65に噛み合うことで、第1オイルポンプOP1が差動入力ギヤ65の回転により駆動される。
なお、ポンプ駆動ギヤ66が、駆動伝達機構2が備える差動入力ギヤ65以外のギヤ(本実施形態では、出力ギヤ60、第1ギヤ61、又は第2ギヤ62)に噛み合う構成や、ポンプ駆動ギヤ66が、駆動伝達機構2が備えるギヤに噛み合うギヤ(本実施形態では、分配出力ギヤ64)に噛み合う構成とすることで、第1オイルポンプOP1が、駆動伝達機構2の回転により駆動される構成とすることもできる。また、第1ポンプ駆動軸53aと、駆動伝達機構2が備える回転部材(或いは駆動伝達機構2が備える回転部材と連動して回転する回転部材)とが、巻掛伝動機構(チェーンとスプロケットとを用いた機構、ベルトとプーリとを用いた機構等)を介して連結されることで、第1オイルポンプOP1が、駆動伝達機構2の回転により駆動される構成とすることもできる。
本実施形態では、第2オイルポンプOP2は、入力部材3の回転により駆動される。具体的には、第2オイルポンプOP2の駆動軸である第2ポンプ駆動軸53bが、入力部材3と一体的に回転するように連結されている。なお、図2に示すように、第2ポンプ駆動軸53bは、第2オイルポンプOP2のポンプロータ54と一体的に回転するように連結されている。よって、車両が走行しているか否かにかかわらず、内燃機関EGのトルクにより第2オイルポンプOP2を駆動することができる。なお、第1オイルポンプOP1及び第2オイルポンプOP2の少なくとも一方を、ポンプの駆動のための専用の電動モータにより駆動される電動オイルポンプとすることも可能である。
次に、本実施形態に係る回転電機の冷却構造について具体的に説明する。以下に述べるように、回転電機の冷却構造は、第1オイルポンプOP1と、供給油路90と、第1油路91と、第2油路92と、第3油路93とを備えることで、第1オイルポンプOP1が吐出した油によって第2回転電機MG2を冷却することを可能としている。すなわち、第2回転電機MG2の冷却構造は、第1オイルポンプOP1と、供給油路90と、第1油路91と、第2油路92と、第3油路93とを備えている。また、本実施形態では、回転電機の冷却構造は、更に第4油路94を備えることで、第1オイルポンプOP1が吐出した油によって第1回転電機MG1を冷却することを可能としている。本実施形態では、回転電機の冷却構造は、更にオイルクーラOCを備えている。
図5に示すように、供給油路90は、第1オイルポンプOP1の吐出口である第1吐出口52aに接続されている。なお、図5では、供給油路90を示す線分を、他の油路を示す線分よりも太くしている。また、図5では、各油路において油の流れる方向を矢印で示している。本実施形態では、供給油路90は、上流側から順に、第1吐出油路81と、合流油路83と、下流側油路84とを備えている。具体的には、第1吐出油路81の上流側端部は、第1吐出口52aに接続され、第1吐出油路81の下流側端部は、合流油路83の上流側端部に接続されている。また、合流油路83の下流側端部は、下流側油路84の上流側端部に接続され、下流側油路84の下流側端部は、第1油路91の上流側端部(後述する第1被供給部91a)に接続されている。よって、第1オイルポンプOP1が吐出した油は、第1吐出油路81、合流油路83、及び下流側油路84を順に流通して、第1油路91に供給される。なお、第1吐出油路81には、上流側へ向かう油の流通を規制する第1逆止弁51aが設けられている。
上述したように、本実施形態では、車両用駆動装置1は、第1オイルポンプOP1に加えて第2オイルポンプOP2を備えている。そして、本実施形態では、第2オイルポンプOP2の吐出口である第2吐出口52bには、第2吐出油路82の上流側端部が接続され、第2吐出油路82の下流側端部は、合流油路83の上流側端部に接続されている。すなわち、合流油路83は、第1吐出油路81と第2吐出油路82とが合流して形成される油路である。第2吐出油路82には、上流側へ向かう油の流通を規制する第2逆止弁51bが設けられている。
図5に示すように、本実施形態では、供給油路90にオイルクーラOCが設けられている。オイルクーラOCは、油を冷却する熱交換器である。オイルクーラOCは、例えば、水冷式又は空冷式のオイルクーラとされる。本実施形態では、オイルクーラOCは、合流油路83に設けられている。また、合流油路83におけるオイルクーラOCよりも上流側の部分には、油圧が過剰となった場合に油の一部を排出して合流油路83の油圧を調整するリリーフバルブRV(本実施形態では、2つのリリーフバルブRV)が設けられている。
図2に示すように、第1油路91は、第2ステータ21に対して鉛直方向V(図4参照)の上側に配置されている。そして、第1油路91は、供給油路90(本実施形態では、下流側油路84)に接続される第1被供給部91aと、第1被供給部91aよりも軸方向第1側L1に形成されて、第2ステータ21へ向けて油を吐出する第1吐出孔91bと、第1吐出孔91bよりも軸方向第1側L1に形成された排出部91cと、を有している。これにより、供給油路90から第1油路91に供給された油を第1吐出孔91bから第2ステータ21へ向けて吐出して、第2ステータ21を冷却することが可能となっている。
第1油路91は、鉛直方向V視で第2ステータ21と重複するように配置されている。そして、図2に示すように、本実施形態では、第1油路91は、鉛直方向V視で軸方向第1側L1の第2コイルエンド部23と重複する位置に設けられる第1吐出孔91bと、鉛直方向V視で軸方向第2側L2の第2コイルエンド部23と重複する位置に設けられる第1吐出孔91bと、鉛直方向V視で第2ステータコア22と重複する位置に設けられる第1吐出孔91bと、を有している。これにより、重力を利用した比較的簡素な構成で、第1吐出孔91bから吐出した油を第2ステータ21に供給することが可能となっている。
第1油路91は、第1被供給部91aと排出部91cとを両端部とする油路であり、排出部91cは、第1被供給部91aよりも軸方向第1側L1に配置される。よって、第1油路91は、少なくとも軸方向Lにおける第1被供給部91aと排出部91cとの間に延在している。本実施形態では、第1油路91は、第1被供給部91aから排出部91cに向かう油の流れを軸方向Lに反転させる屈曲部は備えておらず、第1油路91は、第1被供給部91aから排出部91cまで軸方向第1側L1に向かって一様に延びるように形成されている。すなわち、図1に各油路において油の流れる方向を矢印で示すように、第1油路91には、軸方向第1側L1に向かう油の流れが形成される。なお、第1油路91の延在方向は、軸方向Lに平行な方向としても、軸方向Lに対して傾斜した方向としてもよい。
図1に示すように、第2油路92は、第2回転電機MG2の第2ロータ24が固定されている第2ロータ軸26の内部に形成される油路である。第2ロータ軸26は、軸方向Lに延びる筒状部材により構成されており、第2ロータ軸26の内周面に囲まれる空間によって、軸方向Lに延びる第2油路92が形成されている。これにより、第2油路92に供給された油によって、第2ロータ24を冷却することが可能となっている。なお、第2油路92には、軸方向第2側L2に向かう油の流れが形成される。上述したように、本実施形態では、第2ロータ軸26は、互いに連結された第1軸部材26aと第2軸部材26bとを備えている。そして、第2油路92における軸方向第1側L1の部分は、第1軸部材26aの内部に形成され、第2油路92における軸方向第2側L2の部分は、第2軸部材26bの内部に形成されている。
本実施形態では、図1に示すように、第2ロータ軸26(ここでは、第1軸部材26a)は、第2ロータ軸26の内周面と外周面とを連通する第2油孔72を備えている。第2油孔72は、第2ロータ軸26の筒状部を径方向(第2軸A2を基準とする径方向。以下、本段落において同様。)に貫通するように形成されている。また、第2ロータ24(第2ロータ24のロータコア)の内部には、第2ロータ内油路25が形成されている。詳細は省略するが、第2ロータ内油路25は、軸方向Lに延びる軸方向油路と、径方向に延びて第2ロータ24(ロータコア)の内周面と軸方向油路とを連通する径方向油路と、を備えている。これにより、第2油路92内の油を第2油孔72から第2ロータ内油路25に供給して、第2ロータ24を冷却することが可能となっている。また、本実施形態では、第2ロータ内油路25の上記軸方向油路は、第2ロータ24(ロータコア)における軸方向Lの両端部に開口するように形成されており、第2ロータ24を冷却した後の油を第2コイルエンド部23に対して径方向の内側から供給して、第2コイルエンド部23を冷却することも可能となっている。
ところで、上述したように、第1オイルポンプOP1は、第2回転電機MG2とは別軸に(すなわち、第2ロータ軸26とは別軸に)配置されている。この場合、車両用駆動装置1の構成によっては、第1オイルポンプOP1の第1吐出口52aと、第2ロータ軸26の内部に形成される第2油路92とを直接的に接続する油路を設けることが、車両用駆動装置1の車両への搭載スペースの制約等から困難となる場合がある。この点に鑑みて、この回転電機の冷却構造は、第1油路91の排出部91cと第2油路92とを接続する第3油路93を備えている。そして、第3油路93は、ケース30における第2回転電機MG2に対して軸方向第1側L1に配置される第1壁部31に沿って設けられている。すなわち、第3油路93の少なくとも一部は第1壁部31に沿って設けられ、本実施形態では、第3油路93における上流側端部と下流側端部とを除く部分が、第1壁部31に沿って設けられている。このように第3油路93を第1壁部31に沿って設けることで、第3油路93が設けられる部分(すなわち、第2回転電機MG2が配置される部分)における車両用駆動装置1の軸方向Lの大型化を抑制しつつ、第1オイルポンプOP1から吐出された油を第2油路92に供給するための第3油路93を設けることが可能となっている。
本実施形態では、更に、図1及び図2に示すように、供給油路90における第1被供給部91aに接続される部分である接続部90aが、ケース30における第2回転電機MG2に対して軸方向第2側L2に配置される第2壁部32に沿って設けられている。接続部90aは、供給油路90(本実施形態では、下流側油路84)における下流側端部を含む部分であり、接続部90aにおける少なくとも一部が、第2壁部32に沿って設けられている。
図1に示すように、本実施形態では、第3油路93は、第1壁部31の内部に形成されている。なお、第3油路93の少なくとも一部が、第1壁部31の外側に形成される構成(例えば、第1壁部31に対して軸方向第2側L2から取り付けられる管状部材の内部に形成される構成)とすることもできる。また、本実施形態では、第1壁部31は、軸方向第2側L2に突出する筒状に形成されると共に軸方向第2側L2の開口部が第2ロータ軸26の内部に配置される第2接続部33bを有しており、この第2接続部33bの内周面に囲まれる空間によって、第3油路93の下流側端部が形成されている。これにより、第3油路93の下流側端部と第2油路92の上流側端部とが第2接続部33bにおいて接続されている。
本実施形態では、回転電機の冷却構造は、第1回転電機MG1を冷却するための油が流れる第4油路94を更に備えている。図5に示すように、第4油路94は、供給油路90におけるオイルクーラOCよりも下流側の部分から分岐するように形成されている。これにより、第1油路91及び第2油路92だけでなく第4油路94に対しても、オイルクーラOCによる冷却後の油を供給することが可能となっている。
図2に示すように、第4油路94は、第1ステータ11に対して鉛直方向V(図4参照)の上側に配置されている。そして、第4油路94は、供給油路90の中間部分(本実施形態では、合流油路83の下流側端部、言い換えれば、下流側油路84の上流側端部)に接続される第2被供給部94aと、第2被供給部94aよりも軸方向第1側L1に形成されて、第1ステータ11へ向けて油を吐出する第2吐出孔94bと、を有している。これにより、供給油路90から第4油路94に供給された油を第2吐出孔94bから第1ステータ11へ向けて吐出して、第1ステータ11を冷却することが可能となっている。
第4油路94は、鉛直方向V視で第1ステータ11と重複するように配置されている。そして、図2に示すように、本実施形態では、第4油路94は、鉛直方向V視で軸方向第1側L1の第1コイルエンド部13と重複する位置に設けられる第2吐出孔94bと、鉛直方向V視で軸方向第2側L2の第1コイルエンド部13と重複する位置に設けられる第2吐出孔94bと、鉛直方向V視で第1ステータコア12と重複する位置に設けられる第2吐出孔94bと、を有している。これにより、重力を利用した比較的簡素な構成で、第2吐出孔94bから吐出した油を第1ステータ11に供給することが可能となっている。
図2及び図5に示すように、本実施形態では、回転電機の冷却構造は、第5油路95を更に備えている。図2に示すように、第5油路95は、第2ポンプ駆動軸53bの内部に形成される油路である。第2ポンプ駆動軸53bは、軸方向Lに延びる筒状部材により構成されており、第2ポンプ駆動軸53bの内周面に囲まれる空間によって、軸方向Lに延びる第5油路95が形成されている。図5に示すように、第5油路95は、第2吐出油路82における第2逆止弁51bよりも上流側の部分から分岐するように形成されている。なお、第2吐出油路82から第5油路95に流入する油量は、第2オリフィス50bによって制御される。
第5油路95には、軸方向第2側L2へ向かう油の流れが形成される。そして、図5に示すように、第5油路95内の油は、第1回転電機MG1(第1ロータ14)に対して冷却のために供給されると共に、遊星歯車機構PGに対して潤滑のために供給される。具体的には、図2に示すように、第1ロータ軸16は、軸方向Lに延びる筒状部材により構成されており、第2ポンプ駆動軸53bは、第1ロータ軸16の内周面に囲まれる空間に配置されている。そして、第2ポンプ駆動軸53bは、第2ポンプ駆動軸53bの内周面と外周面とを連通する第3油孔73を備えている。第3油孔73は、第2ポンプ駆動軸53bの筒状部を径方向(第1軸A1を基準とする径方向。以下、本段落において同様。)に貫通するように形成されている。また、第1ロータ軸16は、第1ロータ軸16の内周面と外周面とを連通する第1油孔71を備えている。第1油孔71は、第1ロータ軸16の筒状部を径方向に貫通するように形成されている。そして、第1ロータ14(第1ロータ14のロータコア)の内部には、第1ロータ内油路15が形成されている。詳細は省略するが、第1ロータ内油路15は、軸方向Lに延びる軸方向油路と、径方向に延びて第1ロータ14(ロータコア)の内周面と軸方向油路とを連通する径方向油路と、を備えている。
これにより、第5油路95内の油を第3油孔73から第1ロータ軸16の内周面に供給すると共に、第1ロータ軸16の内周面に供給された油を第1油孔71から第1ロータ内油路15に供給して、第1ロータ14を冷却することが可能となっている。また、本実施形態では、第1ロータ内油路15の上記軸方向油路は、第1ロータ14(ロータコア)における軸方向Lの両端部に開口するように形成されており、第1ロータ14を冷却した後の油を第1コイルエンド部13に対して径方向(第1軸A1を基準とする径方向)の内側から供給して、第1コイルエンド部13を冷却することも可能となっている。また、第5油路95内の油は、入力部材3の内部に形成された油路に流入した後、入力部材3に形成された第4油孔74(図1及び図2参照)から、遊星歯車機構PG等に対して潤滑のために供給される。
図5に示すように、本実施形態では、回転電機の冷却構造は、第6油路96を更に備えている。第6油路96は、第1吐出油路81における第1逆止弁51aよりも上流側の部分から分岐するように形成されている。そして、第6油路96内の油は、カウンタギヤ機構CG及び出力用差動歯車装置DFに対して潤滑のために供給される。なお、第1吐出油路81から第6油路96に流入する油量は、第1オリフィス50aによって制御される。
図1及び図2に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置1は、管状の第1油流通管41、管状の第2油流通管42、及び管状の第3油流通管43を備えている。そして、第1油流通管41の内部に第4油路94が形成され、第2油流通管42の内部に第1油路91が形成され、第3油流通管43の内部に下流側油路84が形成されている。すなわち、本実施形態では、供給油路90が、管状部材である第3油流通管43を用いて形成されている。具体的には、供給油路90が備える下流側油路84が、管状部材である第3油流通管43を用いて形成されている。図1に示すように、本実施形態では、第1壁部31は、軸方向第2側L2に突出する筒状に形成された第1接続部33aを有しており、この第1接続部33aの内周面に囲まれる空間によって、第3油路93の上流側端部が形成されている。そして、第2油流通管42は、排出部91cが第1接続部33aに接続されるように配置されており、これにより、第1油路91の下流側端部(排出部91c)と第3油路93の上流側端部とが第1接続部33aにおいて接続されている。なお、第2油流通管42は、両端部が軸方向Lの異なる位置に配置されるように(例えば、軸方向Lに沿って)配置されており、第2油流通管42の軸方向第1側L1の開口部によって、第1油路91の排出部91cが形成されている。また、上述した第1吐出孔91bは、第2油流通管42の筒状部を貫通するように形成されている。
図2に示すように、本実施形態では、第2壁部32は、軸方向Lに延びる筒状に形成された第3接続部33cを備えている。そして、第2油流通管42の軸方向第2側L2の端部が、第3接続部33cの内周面に対して軸方向第1側L1から嵌合し、第3油流通管43の端部が、第3接続部33cの内周面に対して軸方向第2側L2から嵌合している。これにより、下流側油路84の下流側端部と第1油路91の上流側端部(第1被供給部91a)とが第3接続部33cにおいて接続されている。なお、第1油路91の第1被供給部91aは、第2油流通管42の軸方向第2側L2の開口部によって形成されている。
図2に示すように、本実施形態では、第2壁部32は、軸方向Lに延びる筒状に形成された第4接続部33dを備えている。そして、第1油流通管41の軸方向第2側L2の端部が、第4接続部33dの内周面に対して軸方向第1側L1から嵌合し、第3油流通管43の端部(第3接続部33cに接続される側とは反対側の端部)が、第4接続部33dの内周面に対して軸方向第2側L2から嵌合している。また、合流油路83の下流側端部は、第4接続部33dの内周面に開口するように形成されている。これにより、合流油路83の下流側端部と、下流側油路84の上流側端部と、第4油路94の上流側端部(第2被供給部94a)とが、第4接続部33dにおいて接続されている。なお、第1油流通管41は、両端部が軸方向Lの異なる位置に配置されるように(例えば、軸方向Lに沿って)配置されており、第1油流通管41の軸方向第2側L2の開口部によって、第4油路94の第2被供給部94aが形成されている。また、上述した第2吐出孔94bは、第1油流通管41の筒状部を貫通するように形成されている。
〔その他の実施形態〕
次に、回転電機の冷却構造及び車両用駆動装置のその他の実施形態について説明する。
(1)上記の実施形態で示した油圧回路(図5参照)の構成は一例であり、油圧回路の構成は適宜変更することが可能である。例えば、上記の実施形態では、第4油路94が、供給油路90から分岐するように形成される構成を例として説明したが、第4油路94が、供給油路90を介することなく第2吐出油路82に接続される構成とすること、すなわち、第1オイルポンプOP1が吐出した油が、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2のうちの第2回転電機MG2のみに供給される構成とすることもできる。この場合、第2吐出油路82が供給油路90に合流しない構成とすることも可能である。また、上記の実施形態では、車両用駆動装置1が、第1オイルポンプOP1に加えて第2オイルポンプOP2を備える構成を例として説明したが、車両用駆動装置1が、第1オイルポンプOP1及び第2オイルポンプOP2のうちの第1オイルポンプOP1のみを備える構成とすることもできる。
(2)上記の実施形態では、供給油路90における第1被供給部91aに接続される部分である接続部90aが、第2壁部32に沿って設けられる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、接続部90aが、第2壁部32に沿って設けられない構成とすることも可能である。
(3)上記の実施形態では、第2回転電機MG2が、軸方向L視で駆動伝達機構2(具体的には、カウンタギヤ機構CG)と重複するように配置される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第2回転電機MG2が、軸方向L視でカウンタギヤ機構CGと重複しないように、軸方向L視でカウンタギヤ機構CGとは異なる位置に配置される構成とすることもできる。また、上記の実施形態では、駆動伝達機構2が、第2回転電機MG2に対して軸方向第2側L2に配置される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、駆動伝達機構2の少なくとも一部(例えば、カウンタギヤ機構CG)が、第2回転電機MG2に対して軸方向第1側L1に配置される構成とすることもできる。
(4)上記の実施形態で示した車両用駆動装置1の構成は一例であり、車両用駆動装置1の構成は適宜変更することが可能である。例えば、車両用駆動装置1がカウンタギヤ機構CGを備えない構成とし、分配出力ギヤ64及び第2回転電機MG2の出力ギヤ60が、差動入力ギヤ65に噛み合う構成とすることができる。この場合、上記の実施形態とは異なり、駆動伝達機構2がカウンタギヤ機構CGを備えない構成となる。また、車両用駆動装置1が出力用差動歯車装置DFを備えない構成とし、車両用駆動装置1が、車輪Wの駆動力源の駆動力を、左右一対の出力部材4ではなく1つの出力部材4に伝達する構成(すなわち、左右一対の車輪Wではなく1つの車輪Wのみに伝達する構成)とすることができる。この場合、上記の実施形態とは異なり、駆動伝達機構2が出力用差動歯車装置DFを備えない構成となる。
(5)上記の実施形態では、車両用駆動装置1が、車輪Wの駆動力源として内燃機関EG及び回転電機の双方を備える車両を駆動するための駆動装置である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、車両用駆動装置1を、車輪Wの駆動力源として内燃機関EGを備えない車両を駆動するための駆動装置とすることもできる。例えば、車両用駆動装置1を、車輪Wの駆動力源として単数又は複数の回転電機のみを備える電動車両(電気自動車)を駆動するための駆動装置とすることができる。
(6)上記の実施形態では、車両用駆動装置1が、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2を備え、車両用駆動装置1が備える回転電機の冷却構造が、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2の冷却構造である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、車両用駆動装置1が第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2のうちの第2回転電機MG2のみを備え、車両用駆動装置1が備える回転電機の冷却構造が、第2回転電機MG2の冷却構造である構成とすることもできる。
(7)上記の実施形態では、回転電機の冷却構造が、車両用駆動装置1に設けられる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本開示に係る回転電機の冷却構造を、車両用駆動装置以外の装置や機器に設けることも可能である。
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した回転電機の冷却構造及び車両用駆動装置の概要について説明する。
ケース(30)に収容された回転電機(MG2)の冷却構造であって、オイルポンプ(OP1)と、前記オイルポンプ(OP1)の吐出口(52a)に接続された供給油路(90)と、前記回転電機(MG2)のステータ(21)に対して鉛直方向(V)の上側に配置された油路であって、前記供給油路(90)に接続された被供給部(91a)と、前記被供給部(91a)よりも前記回転電機(MG2)の軸方向(L)の一方側である軸方向第1側(L1)に形成されて、前記ステータ(21)へ向けて油を吐出する吐出孔(91b)と、前記吐出孔(91b)よりも前記軸方向第1側(L1)に形成された排出部(91c)と、を有する第1油路(91)と、前記回転電機(MG2)のロータ(24)が固定されているロータ軸(26)の内部に形成された第2油路(92)と、前記第1油路(91)の前記排出部(91c)と前記第2油路(92)とを接続する第3油路(93)と、を備え、前記第3油路(93)が、前記ケース(30)における前記回転電機(MG2)に対して前記軸方向第1側(L1)に配置された第1壁部(31)に沿って設けられている。
この構成によれば、第1油路(91)内の油を吐出孔(91b)からステータ(21)へ向けて吐出して、ステータ(21)を冷却することができる。また、ロータ軸(26)の内部に形成された第2油路(92)に油を流通させることで、ロータ(24)を冷却することができる。
そして、上記の構成によれば、第1油路(91)の排出部(91c)と第2油路(92)とを接続する第3油路(93)が設けられるため、供給油路(90)から第1油路(91)に供給された油の一部を、第3油路(93)を介して第2油路(92)に供給して、ロータ(24)を適切に冷却することができる。また、このように、第2油路(92)に油を供給するための油路を、第1油路(91)に油を供給するための油路と一部共通化したことにより、油路構成が複雑化することを抑制できる。
以上のように、上記の構成によれば、ステータ(21)だけでなくロータ(24)も適切に冷却することが可能な回転電機(MG2)の冷却構造を実現することができる。
ここで、前記軸方向(L)における前記軸方向第1側(L1)とは反対側を軸方向第2側(L2)として、前記ロータ軸(26)の前記軸方向第2側(L2)の端部が、前記ケース(30)における前記回転電機(MG2)に対して前記軸方向第2側(L2)に配置された第2壁部(32)よりも、前記軸方向第2側(L2)に配置されていると好適である。
本構成のようにロータ軸(26)の軸方向第2側(L2)の端部が第2壁部(32)よりも軸方向第2側(L2)に配置される場合、例えば第2壁部(32)の内部に油路を設けたとしても、当該油路とロータ軸(26)の軸方向第2側(L2)の端部とを直接連結することはできず、ロータ軸(26)の軸方向第2側(L2)の端部から第2油路(92)に油を供給するためには、第2壁部(32)の内部に設けられた油路とロータ軸(26)の軸方向第2側(L2)の端部とを接続する接続油路を形成する必要がある。そのため、油路構成が複雑化しやすく、また、第2壁部(32)に対して軸方向第2側(L2)に配置される部材(例えば、駆動伝達機構(2)等)を避けて接続油路を配置する必要があるため、全体の構成が大型化しやすくなる。これに対して、本開示に係る回転電機(MG2)の冷却構造では、上述したように、供給油路(90)から第1油路(91)及び第3油路(93)を介して第2油路(92)に油を供給することができるため、本構成のようにロータ軸(26)の軸方向第2側(L2)の端部が第2壁部(32)よりも軸方向第2側(L2)に配置される場合であっても、油路構成の複雑化や全体の構成の大型化を抑制することができる。
また、前記軸方向(L)における前記軸方向第1側(L1)とは反対側を軸方向第2側(L2)として、前記供給油路(90)における前記被供給部(91a)に接続される部分である接続部(90a)が、前記ケース(30)における前記回転電機(MG2)に対して前記軸方向第2側(L2)に配置された第2壁部(32)に沿って設けられていると好適である。
この構成によれば、上記のとおり第3油路(93)を第1壁部(31)に沿って設けたことに加えて、供給油路(90)の接続部(90a)を第2壁部(32)に沿って設けているため、これらの油路を、ケース(30)の壁部の配置スペースを利用して適切に設けることが容易となっている。従って、全体の構成が大型化することを抑制できる。
また、前記供給油路(90)が、管状部材(43)を用いて形成されていると好適である。
仮に供給油路(90)と第2油路(92)とを直接的に接続しようとした場合、供給油路(90)から第2油路(92)への分岐部を形成する必要があり、供給油路(90)と他の油路との接続部が増加する。一般に、供給油路(90)と他の油路との接続部が増加するに従って、供給油路(90)に求められる加工精度や組付精度が高くなり、組み付けを容易にするために寸法公差や組付公差を大きくすると、接続部において油が漏れやすくなる。この問題は、本構成のように供給油路(90)が管状部材(43)を用いて形成される場合に顕著となりやすいが、本開示に係る回転電機(MG2)の冷却構造では、供給油路(90)から第2油路(92)への分岐部を形成する必要がないため、このような問題を回避しやすい。
また、前記ケース(30)には、第1回転電機(MG1)と、前記回転電機(MG2)である第2回転電機(MG2)とが収容され、前記供給油路(90)に設けられたオイルクーラ(OC)と、前記供給油路(90)における前記オイルクーラ(OC)よりも下流側の部分から分岐する油路であって、前記第1回転電機(MG1)を冷却するための油が流れる冷却油路(94)と、を更に備えると好適である。
この構成によれば、第1油路(91)に対してだけでなく冷却油路(94)に対しても、供給油路(90)から油を供給することができるため、第1回転電機(MG1)及び第2回転電機(MG2)を冷却するための油路を一部共通化して、油路構成が複雑化することを抑制できる。また、上記の構成によれば、冷却油路(94)が、供給油路(90)におけるオイルクーラ(OC)よりも下流側の部分から分岐するように形成されるため、第1回転電機(MG1)及び第2回転電機(MG2)の双方に対してオイルクーラ(OC)による冷却後の油を供給して、第1回転電機(MG1)及び第2回転電機(MG2)を適切に冷却することができる。
また、前記オイルポンプ(OP1)は、前記回転電機(MG2)とは別軸に配置されていると好適である。
本開示に係る回転電機(MG2)の冷却構造では、本構成のようにオイルポンプ(OP1)が回転電機(MG2)とは別軸に(すなわち、第2油路(92)とは別軸に)配置される場合であっても、油路構成の複雑化を抑制しつつ、供給油路(90)から第1油路(91)及び第3油路(93)を介して第2油路(92)に油を供給することができる。
車両用駆動装置(1)は、回転電機(MG2)の冷却構造を備えると共に、車輪(W)に駆動連結される出力部材(4)と、前記回転電機(MG2)の駆動力を前記出力部材(4)に伝達する駆動伝達機構(2)と、を備え、前記オイルポンプ(OP1)は、前記駆動伝達機構(2)の回転により駆動される。
この構成によれば、車両用駆動装置(1)が搭載された車両で実行される走行モードにかかわらず、車両が走行している状態ではオイルポンプ(OP1)が常に駆動される構成とすることが可能となる。よって、走行モードにかかわらず、第1油路(91)及び第2油路(92)に油を供給して、回転電機(MG2)のステータ(21)及びロータ(24)を冷却することが可能となる。
ここで、前記回転電機(MG2)は、前記軸方向(L)に沿った軸方向(L)視で前記駆動伝達機構(2)と重複するように配置されていると好適である。
このように回転電機(MG2)が軸方向(L)視で駆動伝達機構(2)と重複するように配置される場合、回転電機(MG2)が配置される部分において車両用駆動装置(1)が軸方向(L)に大型化しやすくなる。この点に関し、本開示に係る技術では、第3油路(93)を第1壁部(31)に沿って設けることで、回転電機(MG2)が配置される部分における車両用駆動装置(1)の軸方向(L)の大型化を抑制することができるため、回転電機(MG2)が軸方向(L)視で駆動伝達機構(2)と重複するように配置される場合に、本開示に係る技術を適用しやすい。
上記のように前記回転電機(MG2)が前記軸方向(L)視で前記駆動伝達機構(2)と重複するように配置される構成において、前記駆動伝達機構(2)は、前記回転電機(MG2)に対して前記軸方向(L)における前記軸方向第1側(L1)とは反対側に配置されていると好適である。
この構成によれば、第3油路(93)の構成に与える影響が少ない位置に、駆動伝達機構(2)を配置することができるため、第3油路(93)を第1壁部(31)に沿って設けやすくなっている。
本開示に係る回転電機の冷却構造及び車両用駆動装置は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。