JP2020007416A - メタクリル樹脂製レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性が高く、光透過率が高く、且つ色目変化が少ないメタクリル樹脂製レンズを提供する。【解決手段】メタクリル樹脂100質量部と、リチウム元素、アルミニウム元素などの元素原子番号20以下の金属元素5×10−6〜4×10−3質量部と、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノールなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤0.025〜0.50質量部とを含有し、末端二重結合の量がメタクリル樹脂に対して0.012モル%未満で、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が50%〜65%で、且つ窒素ガス雰囲気にて290℃に15分間さらしたときの熱重量保持率が98質量%以上である、レンズ。【選択図】図1

Description

本発明はメタクリル樹脂製レンズに関する。より詳細に、本発明は、耐熱性が高く、光透過率が高く、且つ色目変化が少ないメタクリル樹脂製レンズに関する。
照明用LEDとして、LEDチップとそれを封止する透明樹脂とからなるLEDパッケージが通常用いられる。LEDパッケージとして、砲弾型(リードフレーム型)、表面実装型、COBなどが知られている。LEDパッケージが発する光を、配光、集光、または拡散させるために、レンズが使用される。LEDチップの発光スペクトルは特定の波長近傍の狭い範囲に集中しており、赤外線をほとんど放射しないので、輻射熱によってレンズを熱することはない。しかし、LEDチップ1個当たりの光束は電球や蛍光灯に比べると小さいため、複数個のLEDチップを使用する必要がある。複数個のLEDチップを有する照明用LEDはかなりの発熱をするので、伝導熱によってレンズが熱せられることがある。照明用LEDにおいては、軽量化などの観点から、メタクリル樹脂製レンズ、ポリカーボネート樹脂製レンズなどが用いられる。メタクリル樹脂は、ポリカーボネート樹脂に比べて、光透過率が高く、耐候性に優れている。ところが、メタクリル樹脂は、ポリカーボネート樹脂に比べて、熱による変形、熱による着色、紫外線による着色などが生じやすいと言われている。
メタクリル樹脂の耐熱性を向上させるために種々提案がなされている。
例えば、特許文献1は、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が65%以上であるメタクリル樹脂〔1〕と、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が45〜58%であるメタクリル樹脂〔2〕とを、メタクリル樹脂〔1〕/メタクリル樹脂〔2〕の質量比40/60〜70/30で含有するメタクリル樹脂組成物を開示している。該樹脂組成物を成形してフレネルレンズ、レンチキュラーレンズに用いることができる旨を開示している。
特許文献2は、メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルとを含み、前記メタクリル酸メチルの含有割合が95.5重量%以上であり、前記アクリル酸エステルの含有割合が4.5重量%以下である単量体成分が重合してなる共重合体を含有し、濃度0.5g/50mlのクロロホルム溶液として測定した25℃における還元粘度が40〜50ml/gであり、メタクリル酸メチル単位連鎖におけるトライアドシンジオタクティシティが47〜51%であるメタクリル樹脂組成物を開示している。この樹脂組成物は射出成形によって外観良好なレンズを提供できる旨を開示している。
特許文献3は、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が65%以上であるメタクリル樹脂〔I〕と、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が45〜58%であるメタクリル樹脂〔II〕とを、メタクリル樹脂〔I〕/メタクリル樹脂〔II〕の質量比40/60〜70/30で溶融混練することを含む、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の総含有量が90質量%以上で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られるクロマトグラムにおいて最大強度値を示すリテンションタイムに対応するポリスチレン換算の分子量MAが3万以上10万以下で、前記クロマトグラムのうち最大強度値に対して70%以上の強度を示す範囲のデータのみを用いて非線形最小二乗法によってガウス関数にフィッティングしてなる近似曲線と前記クロマトグラムのベースラインとに囲まれる領域の面積SgAが、前記クロマトグラムとそれのベースラインとに囲まれる領域の面積SAに対して45〜80%で、且つ 前記フィッティングで得られる近似曲線に基いて算出されるポリスチレン換算の、数平均分子量MngAに対する重量平均分子量MwgAの比MwgA/MngAが1.01以上1.20以下である、メタクリル樹脂の製造方法を開示している。
特許文献4は、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が58%以上であり、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が90質量%以上であるメタクリル樹脂(A)、およびメタクリル酸エステル重合体ブロック(b1)10〜80質量%とアクリル酸エステル重合体ブロック(b2)90〜20質量%とを有するブロック共重合体(B)を含み、且つ メタクリル樹脂(A)に対するブロック共重合体(B)の質量比が1/99〜90/10であるメタクリル樹脂組成物を開示している。
WO 2014/185509 A WO 2015/037691 A WO 2016/002750 A WO 2015/182750 A
Composites Science and Technology 2010, 70, 2045-2055
本発明の課題は、耐熱性が高く、光透過率が高く、且つ色目変化が少ないメタクリル樹脂製レンズを提供することである。
上記課題を解決するために検討した結果、以下の形態を包含する本発明を完成するに至った。
〔1〕メタクリル樹脂100質量部と、原子番号20以下の金属元素5×10-6〜4×10-3質量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.025〜0.50質量部とを含有し、
末端二重結合の量がメタクリル樹脂に対して0.012モル%未満であり、
トライアドシンジオタクティシティ(rr)が50%〜65%であり、且つ
窒素ガス雰囲気にて290℃に15分間さらしたときの熱重量保持率が98質量%以上である、
レンズ。
〔2〕 ガラス転移温度が123℃〜130℃で、
残存するメタクリル酸メチルの量が1.0質量%以下で、且つ
光路長を3mmに換算した場合の450nmにおける光透過率が、紫外線をブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2で、1000時間照射する前および照射した後のいずれにおいても91%以上である、
〔1〕に記載のレンズ。
〔3〕結合硫黄原子の量がメタクリル樹脂に対して0.25モル%未満である、〔1〕または〔2〕に記載のレンズ。
〔4〕重量平均分子量Mwが5万〜15万である、〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載のレンズ。
〔5〕メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量がメタクリル樹脂に対して99質量%以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載のレンズ。
〔6〕紫外線吸収剤をさらに含有する、〔1〕〜〔5〕のいずれかひとつに記載のレンズ。
本発明のレンズは、耐熱性が高く、光透過率が高く、且つ色目変化が少ない。本発明のレンズは、熱による強度劣化、熱による着色、熱による寸法変動、紫外線による着色、紫外線による寸法変動、添加剤のブリードアウトなどを生じにくい。本発明のレンズは、耐候性に優れるので、屋内でも、屋外でも使用できる。本発明のレンズは、例えば、道路照明器具、車両用照明器具等にも使用できる。
本発明のレンズの一例を示す図である。
本発明のレンズは、メタクリル樹脂と、原子番号20以下の金属元素と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とを含有して成るものである。
本発明のレンズに含有されるメタクリル樹脂は、末端二重結合の量が、好ましくは0.012モル%未満、より好ましくは0.011モル%未満である。
メタクリル樹脂の末端二重結合の量は次のようにして決定される値Dpである。
メタクリル樹脂を濃度15〜20質量%となるように重水素化クロロホルムに溶解させて溶液を得る。前記メタクリル樹脂の質量に対して10質量%のトリス(6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジナート)ユウロピウムを前記溶液に添加する。その溶液を1H−NMRにて12時間以上に亘って積算測定する。得られた1H−NMRスペクトルから、末端二重結合部に由来するシグナル(共鳴周波数5.5ppm及び6.2ppm)の積分強度の合計Xpとメタクリル酸メチル主鎖のメトキシ基に由来するシグナル(共鳴周波数3.6ppm)の積分強度Ypとを計測し、次式にて末端二重結合の量Dpを算出する。
p=〔(Xp/2)/(Yp/3)〕×100
本発明のレンズに含有されるメタクリル樹脂は、結合硫黄原子の量が、好ましくは0.25モル%未満、より好ましくは0.15モル%未満である。
メタクリル樹脂の結合硫黄原子の量は次のようにして決定される値Spである。
メタクリル樹脂をクロロホルムに溶解させて溶液を得る。この溶液をn−ヘキサンに添加して沈殿物を得る。該沈殿物を80℃で12時間以上真空下で乾燥させる。得られた乾燥品を適量精秤して、硫黄燃焼装置にセットし、温度400℃の反応炉で分解させ、生成したガスを温度900℃の炉に通し、次いで0.3%過酸化水素水で吸収する。得られた液(分解ガス水溶液)を純水で適宜希釈し、イオンクロマトグラフィ(DIONEX製ICS−1500,カラム:AS12A)により硫酸イオンを定量する。乾燥品の質量あたりの硫黄原子の質量Wp(質量%)を算出する。次いで、次式にて、結合硫黄原子の量Sp(モル%)を算出する。
p=Wp×(100/32)
本発明のレンズに含有されるメタクリル樹脂は、トライアドシンジオタクティシティ(rr)の下限が好ましくは50%、より好ましくは52%、さらに好ましくは53%、よりさらに好ましくは54%であり、トライアドシンジオタクティシティ(rr)の上限が、好ましくは65%、より好ましくは64%、さらに好ましくは63%、よりさらに好ましくは62%、もっとも好ましくは61%である。
一般に、メタクリル樹脂は、分子鎖上の不斉炭素の立体配座による構造異性を有する。具体的には、二連子(ダイアド)中で立体配座が同じ構造(イソタクチックダイアド構造またはメソ構造[m])、二連子(ダイアド)中で立体配座が異なる構造(シンジオタクチックダイアド構造またはラセモ構造[r])、三連子(トライアド)中でイソタクチックダイアド構造が並ぶ構造(イソタクチックトライアド構造、[m,m])、三連子(トライアド)中でシンジオタクチックダイアド構造が並ぶ構造(シンジオタクチックトライアド構造、[r,r])、三連子(トライアド)中でイソタクチックダイアド構造とシンジオタクチックダイアド構造とが並ぶ構造(ヘテロタクチックトライアド構造、[m,r]または[r,m])などを挙げることができる。
トライアドシンジオタクティシティ(rr)は、全トライアド構造に対するシンジオタクチックトライアド構造の割合である。メタクリル樹脂のトライアドシンジオタクティシティ(rr)(%)は、メタクリル樹脂を重水素化クロロホルムに溶解させ、その溶液について30℃で1H−NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルからTMSを0ppmとした際の0.6〜0.95ppmの領域の面積(X)と0.6〜1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、式:(X/Y)×100にて算出することができる。
本発明のレンズに含有されるメタクリル樹脂は、ガラス転移温度の下限が、好ましくは100℃、より好ましくは110℃、さらに好ましくは120℃、特に好ましくは122℃であり、ガラス転移温度の上限が、好ましくは131℃である。メタクリル樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)による測定データに基づいて定まる中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
本発明のレンズに含有されるメタクリル樹脂は、重量平均分子量Mwが、好ましくは5万〜15万、より好ましくは5万〜12万、さらに好ましくは5万〜10万である。メタクリル樹脂の重量平均分子量Mwが上記範囲にあると、耐衝撃性、靱性および成形加工性のバランスが良好な傾向がある。なお、メタクリル樹脂(A)のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したクロマトグラムを標準ポリスチレンの分子量に換算した値である。
本発明のレンズに含有されるメタクリル樹脂は、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、よりさらに好ましくは99質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
メタクリル樹脂は、メタクリル酸メチル以外の単量体に由来する構造単位を分子鎖中にランダムに含有してもよい。メタクリル酸メチル以外の単量体としては、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸フェニルなどのメタクリル酸アリールエステル;メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ノルボルネニルなどのメタクリル酸シクロアルキルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸フェニルなどのアクリル酸アリールエステル;アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ノルボルネニルなどのアクリル酸シクロアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリルアミド;メタクリルアミド;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;などの一分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を一つだけ有するビニル系単量体を挙げることができる。
メタクリル樹脂の製造方法は、特に限定されないが、結合硫黄原子の量を減らす観点、ならびに耐熱性および耐熱分解性が良好であるという観点から、アニオン溶液重合法が好ましい。
メタクリル樹脂の製造において使用する(メタ)アクリル酸メチルおよびそれ以外の単量体は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で予め十分に乾燥処理しておくことが、重合反応を円滑に進行させる点から好ましい。乾燥処理に際しては、水素化カルシウム、モレキュラーシーブス、活性アルミナなどの脱水剤や乾燥剤が好ましく用いられる。
アニオン溶液重合法において使用される溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない限り特に限定されず、例えば、ペンタン、n−ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、ジフェニルエーテルなどのエ−テルなどが挙げられる。これらの溶媒は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましく、トルエン、キシレンが特に好ましい。溶媒は、使用前に脱気、脱水などの精製をしておくことが好ましい。
アニオン溶液重合法は、例えば、有機アルカリ金属化合物または有機アルカリ土類金属化合物とアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩とを用いて(特公平7−25859号参照)、有機アルカリ金属化合物と有機アルミニウム化合物とを用いて(特開平11−335432号参照)、有機希土類金属錯体を用いて(特開平6−93060号参照)行うことができる。
アニオン重合開始剤である有機アルカリ金属化合物または有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、有機マグネシウム化合物などが挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、有機リチウム化合物が好ましい。
有機リチウム化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、テトラメチレンジリチウム、ペンタメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウムなどのアルキルリチウムおよびアルキルジリチウム;フェニルリチウム、m−トリルリチウム、p−トリルリチム、キシリルリチウム、リチウムナフタレンなどのアリールリチウムおよびアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、トリチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、α−メチルスチリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応により生成するジリチウムなどのアラルキルリチウムおよびアラルキルジリチウム;リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミドなどのリチウムアミド;リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムn−プロポキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムn−ブトキシド、リチウムs−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、リチウムペンチルオキシド、リチウムヘキシルオキシド、リチウムヘプチルオキシド、リチウムオクチルオキシドなどのリチウムアルコキシド;リチウムフェノキシド、リチウム4−メチルフェノキシド、リチウムベンジルオキシド、リチウム4−メチルベンジルオキシドなどが挙げられる。これらのうち、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、α−メチルスチリルリチウムが特に好ましい。
有機アルカリ金属化合物または有機アルカリ土類金属化合物の使用量は、特に限定されないが、重合反応液中の濃度として、好ましくは0.1〜100mmol/l、より好ましくは1〜10mmol/lである。
アニオン化可能な部位を有する化合物を有機アルカリ金属化合物または有機アルカリ土類金属化合物によりアニオン化し、それをアニオン重合開始剤として使用してもよい。アニオン化可能な部位を有する化合物としては、直鎖状または環状の共役ジエン化合物、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリル酸アミドなどを挙げることができる。
アニオン化可能な部位を有する任意の重合体を有機アルカリ金属化合物または有機アルカリ土類金属化合物によりアニオン化し、それをアニオン重合開始剤(リビング重合体と呼ぶことがある。)として使用してもよい。例えば、不活性ガス雰囲気下でシクロヘキサンに溶解させたポリ(p−メチルスチレン)をN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの存在下にs−ブチルリチウムと反応させることで、パラ位のメチル基を適宜の量だけアニオン化したポリ(p−メチルスチレン)を得ることができる。アニオン化可能な部位としては、例えば、直鎖状または環状の共役ジエン化合物に由来する単位、ビニル芳香族化合物に由来する単位、(メタ)アクリル酸アミドに由来する単位などを挙げることができる。リビング重合体をアニオン重合開始剤として使用するとグラフト重合体を得ることができる。
アニオン溶液重合法においては、有機アルカリ金属化合物と有機アルミニウム化合物とを併用することが好ましい。
有機アルミニウム化合物としては、式(I)で表される化合物(以下、Al化合物(I)という。)が好ましく用いられる。
AlR345 (I)
式(I)中、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基もしくはN,N−二置換アミノ基を表す。R4およびR5は一緒になって置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基であってもよい。
Al化合物(I)は、R3、R4およびR5のうち少なくとも1つが置換基を有してもよいアリールオキシ基であることが好ましく、R3、R4およびR5のうち2つが置換基を有してもよいアリールオキシ基であることがより好ましい。
置換基を有してもよいアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、7−メトキシ−2−ナフトキシ基などが挙げられる。また、R2およびR3が一緒になってアリーレンジオキシ基であってもよい。
Al化合物(I)の具体例としては、ジエチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジn−オクチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジn−オクチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミ ニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル フェノキシ)アルミニウム、エトキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、t−ブトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、t−ブトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、t−ブトキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、トリス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
Al化合物(I)の使用量(モル)は、特に制限されない。Al化合物(I)の使用量(モル)は、有機アルカリ金属化合物の使用量(モル)より多く、且つAl化合物(I)の使用量(モル)と有機アルカリ金属化合物の使用量(モル)の差に対するメタクリル酸メチルおよびそれ以外の単量体の合計使用量(モル)のモル比が、好ましくは15〜80、より好ましくは15〜70、さらに好ましくは20〜50となるように設定することが好ましい。
アニオン溶液重合法は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスの雰囲気下で行なうことが好ましい。
アニオン溶液重合法において、重合調節剤を必要に応じて添加することができる。
重合調節剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4などのエーテル;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2’−ジピリジルなどの有機含窒素化合物;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンなどの有機リン化合物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機塩;リチウム(2−メトキシエトキシ)エトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミドなどの四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩などが挙げられる。これらの重合調節剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でもエーテル、有機含窒素化合物が好ましい。重合調節剤の使用量は特に限定されないが、重合反応液中の濃度として、好ましくは0.1〜100mmol/l、より好ましくは1〜10mmol/lである。
アニオン重合反応は、重合停止剤の添加によって停止させることが好ましい。重合停止剤としては、例えば、水、メタノール、酢酸、塩酸などの活性水素を有する化合物を挙げることができる。重合停止剤は1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。重合停止剤は水溶液または有機溶媒溶液の状態で使用してもよい。重合停止剤の使用量は、アニオン重合開始剤と有機アルミニウム化合物との総使用量1モルに対して、好ましくは1〜100モルの範囲内で、且つ末端二重結合の量が所定の範囲内になるように、設定することが好ましい。
本発明のレンズに含有される原子番号20以下の金属元素は、Li、Be、Na、Mg、Al、K、およびCaである。中でも、LiおよびAlが好ましい。原子番号20以下の金属元素は、メタクリル樹脂の製造において使用した有機金属化合物に由来するものと、レンズに成形する際に添加することがある有機金属化合物に由来するものであってもよい。有機金属化合物は、有機リチウム化合物、有機アルミニウム化合物が特に好ましい。
本発明のレンズに含有される原子番号20以下の金属元素の量は、下限が、メタクリル樹脂100質量部に対して、5×10-6質量部(濃度0.05ppm)、好ましくは1×10-5質量部(濃度0.1ppm)、より好ましくは1×10-4質量部(濃度1ppm)、さらに好ましくは2×10-4質量部(濃度2ppm)、よりさらに好ましくは4×10-4質量部(濃度4ppm)であり、上限が、メタクリル樹脂100質量部に対して、4×10-3質量部(濃度40ppm)、好ましくは35×10-3質量部(濃度35ppm)、より好ましくは3×10-3質量部(濃度30ppm)、さらに好ましくは2×10-3質量部(濃度20ppm)である。
本発明のレンズに含有されるAl元素の量は、メタクリル樹脂100質量部に対して、好ましくは1×10-5〜3.9×10-3質量部、より好ましくは1.9×10-4〜3×10-3質量部、さらに好ましくは3.5×10-4〜2.5×10-3質量部である。本発明のレンズに含有されるLi元素の量は、メタクリル樹脂100質量部に対して、好ましくは1×10-6〜1×10-3質量部、より好ましくは5×10-6〜5×10-4質量部、さらに好ましくは2×10-5〜1×10-4質量部である。
本発明のレンズに含有される原子番号20以下の金属元素の量は、メタクリル樹脂に元々含まれていた原子番号20以下の金属元素の量とレンズに成形する際に添加した原子番号20以下の金属元素の量との合計量である。原子番号20以下の金属元素は、少ない量のヒンダードフェノール系酸化防止剤との相乗効果によって、レンズの透明性、耐熱分解性を向上させる。
原子番号20以下の金属元素の含有量は次のようにして決定される値である。
レンズ0.15gを硫酸10mlに加えて、220℃で25分間マイクロウェーブを照射する。放冷後、レンズを取り除き、残った液にイオン交換水を加えて20mlの溶液を得る。この溶液をICP発光分光分析法で定量分析することによって算出する。
原子番号20以下の金属元素の含有量は、メタクリル樹脂の製造の際に使用される単量体、有機金属化合物、重合停止剤などの種類や使用量、メタクリル樹脂の製造後に行われる精製の度合いによって調節することができる。精製の度合いの調節は、上記定量分析によって決定される原子番号20以下の金属元素の含有量が、上記の範囲内になるように行う限り、特に制限されない。
本発明のレンズに含有されるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、酸素との反応で生成するラジカルを受け取って安定なフェノキシラジカルに変化するフェノール性水酸基を有する物質であり、熱可塑性樹脂の酸化防止のために従来から使用されてきたものである。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール(和光純薬社製;BHT)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(BASF社製;商品名IRGANOX1010)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製;商品名IRGANOX1076)などが好ましい。分子量300以下のヒンダードフェノール系酸化防止剤は、昇華性が高く、ブリードアウトによるロール汚れ等が低減されるため特に好ましい。
本発明のレンズに含有されるヒンダードフェノール系酸化防止剤の量は、メタクリル樹脂100質量部に対して、0.025〜0.50質量部、好ましくは0.028〜0.18質量部、より好ましくは0.03〜0.15質量部である。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の量が上記範囲にある場合は、ブリードアウト等によるレンズ外観の悪化抑制効果と、耐熱分解性を向上させる効果とのバランスが良好である。
本発明のレンズは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤を含有してもよい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などを挙げることができる。
着色による光学特性の劣化防止効果の観点から、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用がより好ましい。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、リン系酸化防止剤の使用量:ヒンダードフェノール系酸化防止剤の使用量は、質量比で、1:5〜2:1が好ましく、1:2〜1:1がより好ましい。
リン系酸化防止剤としては、2,2−メチレンビス(4,6−ジt−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(ADEKA社製;商品名:アデカスタブHP−10)、トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスファイト(BASF社製;商品名:IRGAFOS168)などが好ましい。
本発明のレンズは、本発明の効果を損なわない範囲で、熱劣化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などの他の添加剤、またはメタクリル樹脂以外の他の重合体を含有してもよい。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物である。紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われる化合物である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール類は紫外線被照による着色などの光学特性低下を抑制する効果が高いので好ましく用いられる。ベンゾトリアゾール類としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN329)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN234)などが好ましい。
また、波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤は、レンズの黄色味を抑制できる。このような紫外線吸収剤としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製;商品名サンデユボアVSU)などが挙げられる。
これら紫外線吸収剤の中、紫外線被照による樹脂劣化が抑えられるという観点からベンゾトリアゾール類が好ましく用いられる。
また、波長380nm付近の波長を効率的に吸収したい場合は、トリアジン類の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。このような紫外線吸収剤としては、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(ADEKA社製;LA−F70)などが挙げられる。
なお、紫外線吸収剤のモル吸光係数の最大値εmaxは、次のようにして測定する。シクロヘキサン1Lに紫外線吸収剤10.00mgを添加し、目視による観察で未溶解物がないように溶解させる。この溶液を1cm×1cm×3cmの石英ガラスセルに注入し、日立製作所社製U−3410型分光光度計を用いて、波長380〜450nmでの吸光度を測定する。紫外線吸収剤の分子量(MUV)と、測定された吸光度の最大値(Amax)とから次式により計算し、モル吸光係数の最大値εmaxを算出する。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×MUV
レンズに含まれ得る紫外線吸収剤の量は、メタクリル樹脂100質量部に対して、好ましくは0.2〜2.0質量部、より好ましくは0.5〜1.5質量部、さらに好ましくは0.5〜1.0質量部である。
フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
熱劣化防止剤は、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。
該熱劣化防止剤としては、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4−ジt−アミル−6−(3’,5’−ジt−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)などが好ましい。
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物などのヒンダードアミン類が挙げられる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、パラフィンワックス、ケトンワックス、オクチルアルコール、硬化油などが挙げられる。
離型剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明においては、離型剤として、高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することが好ましい。高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用する場合、その割合は特に制限されないが、高級アルコール類の使用量:グリセリン脂肪酸モノエステルの使用量は、質量比で、2.5:1〜3.5:1が好ましく、2.8:1〜3.2:1がより好ましい。
高分子加工助剤としては、通常、乳化重合法によって製造できる、0.05〜0.5μmの粒子径を有する重合体粒子を用いる。該重合体粒子は、単一組成比および単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、また組成比または極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。この中でも、内層に低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dl/g以上の高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましいものとして挙げられる。高分子加工助剤は、極限粘度が3〜6dl/gであることが好ましい。極限粘度が小さすぎると成形性の改善効果が低い傾向がある。極限粘度が大きすぎると成形加工性の低下を招く傾向がある。
耐衝撃性改質剤としては、アクリル系ゴムもしくはジエン系ゴムをコア層成分として含むコアシェル型改質剤;ゴム粒子を複数包含した改質剤などが挙げられる。
有機色素としては、紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
蛍光体としては、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
本発明のレンズに含有し得る、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、および蛍光体の合計量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、最も好ましくは1質量%以下である。
他の重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリノルボルネンなどのポリオレフィン樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂などのスチレン系樹脂;メチルメタクリレート系重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマーなどのポリアミド;ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン変性樹脂;アクリルゴム、シリコーンゴム;SEPS、SEBS、SISなどのスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、EPDMなどのオレフィン系ゴムなどが挙げられる。本発明のレンズに含有し得る他の重合体の量は好ましくは5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
本発明のレンズは、末端二重結合の量が、メタクリル樹脂に対して、0.012モル%未満、好ましくは0.011モル%未満である。末端二重結合の量は次のようにして決定される値DLである。レンズを濃度15〜20質量%となるように重水素化クロロホルムに溶解させて溶液を得る。前記レンズの質量に対して10質量%のトリス(6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジナート)ユウロピウムを前記溶液に添加する。その溶液を1H−NMRにて12時間以上に亘って積算測定する。得られた1H−NMRスペクトルから、末端二重結合部に由来するシグナル(共鳴周波数5.5ppm及び6.2ppm)の積分強度の合計XLとメタクリル酸メチル主鎖のメトキシ基に由来するシグナル(共鳴周波数3.6ppm)の積分強度YLとを計測し、次式にて末端二重結合の量DLを算出する。
L=〔(XL/2)/(YL/3)〕×100
本発明のレンズは、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が、50〜65%、好ましくは53〜63%、より好ましくは55〜61%、さらに好ましくは56〜60%である。なお、レンズのトライアドシンジオタクティシティ(rr)は、レンズを重水素化クロロホルムに溶解させ、その溶液について30℃で1H−NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルからTMSを0ppmとした際の0.6〜0.95ppmの領域の面積(X)と0.6〜1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、式:(X/Y)×100にて算出することができる。
本発明のレンズは、窒素ガス雰囲気にて290℃に15分間さらしたときの熱重量保持率が、98質量%以上、好ましくは98.5質量%以上、より好ましくは98.7質量%以上である。レンズの熱重量保持率は次のようにして決定される値である。
熱重量測定装置(島津製作所製、TGA)を窒素ガス雰囲気下に置き、測定対象のレンズまたはレンズ破片をセットし、乾燥窒素を流速50ml/分にて流し、50℃から290℃までを20℃/分で昇温させ、次いで窒素雰囲気下にて290℃にて20分間保持する条件にて測定対象の質量変化を記録する。50℃における質量(Y1L)に対する290℃にて保持し15分間経過した時の質量(Y2L)の割合を熱重量保持率とした。
熱重量保持率(質量%)=(Y2L/Y1L)×100(質量%)
熱重量保持率が高いほど耐熱分解性が高いことを示す。
本発明のレンズは、厚さ3.2mmに換算したときのヘイズが、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。
本発明のレンズは、重量平均分子量Mwが、好ましくは50000〜150000、より好ましくは52000〜120000、さらに好ましくは55000〜100000である。
本発明のレンズは、重量平均分子量Mwの数平均分子量に対する比Mw/Mnが、好ましくは1.2〜2.0、より好ましくは1.4〜2.0である。レンズの重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したクロマトグラムを標準ポリスチレンの分子量に換算した値である。
本発明のレンズは、230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートが、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.2〜30g/10分、さらに好ましくは0.5〜20g/10分、最も好ましくは0.5〜10g/10分である。レンズのメルトフローレートは、JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重、10分間の条件で測定した。
本発明のレンズは、ガラス転移温度の下限が、好ましくは123℃であり、ガラス転移温度の上限が、好ましくは130℃、さらに好ましくは129℃である。レンズのガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)による測定データに基づいて定まる中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
本発明のレンズは、光路長を3mmに換算した場合の450nmにおける光透過率が、紫外線をブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2で、1000時間照射する前および照射した後のいずれにおいても91%以上、好ましくは92%以上である。
本発明のレンズは、結合硫黄原子の量が、メタクリル樹脂に対して、好ましくは0.25モル%未満、より好ましくは0.15モル%未満である。レンズの結合硫黄原子の量は次のようにして決定される値SLである。レンズをクロロホルムに溶解させて溶液を得る。この溶液をn−ヘキサンに添加して沈殿物を得る。該沈殿物を80℃で12時間以上真空下で乾燥させる。得られた乾燥品を適量精秤して、硫黄燃焼装置にセットし、温度400℃の反応炉で分解させ、生成したガスを温度900℃の炉に通し、次いで0.3%過酸化水素水で吸収する。得られた液(分解ガス水溶液)を純水で適宜希釈し、イオンクロマトグラフィ(DIONEX製ICS−1500,カラム:AS12A)により硫酸イオンを定量する。乾燥品の質量あたりの硫黄原子の質量WL(質量%)を算出する。次いで、次式にて、結合硫黄原子の量SL(モル%)を算出する。
L=WL×(100/32)
本発明のレンズは、残存するメタクリル酸メチルの量が、レンズの質量に対して、1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。
本発明のレンズは、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の量が、メタクリル樹脂の質量に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、よりさらに好ましくは99質量%以上、最も好ましくは100質量%である。メタクリル酸メチルに由来する構造単位の量は、1H−NMRによって決定する。
本発明のレンズは、好ましくは照明用、より好ましくはLED照明用に適する。照明用レンズは、通常、配光、集光、または拡散の目的のために用いられる。配光レンズはLEDエレメントなどの発した光を曲げるためのものである。配光レンズとしては、中心をずらして加工されたフレネルレンズ、フレネルレンズと片側プリズムレンズとの組み合わせレンズなどを挙げることができる。集光レンズはLEDエレメントなどの発した光を集めるためのものである。集光レンズとしては、凸レンズ、フレネルレンズ、リニアフレネルレンズなどを挙げることができる。高効率集光レンズとして、照射方向軸とのなす角が大きい部分の光をレンズの内面で全反射させるレンズ形状を採用し、レンズ出射面をマイクロレンズアレイとしたものを挙げることができる。拡散レンズはLEDエレメントなどの発した光を拡散させるためのものである。拡散レンズとしては、凹レンズなどを挙げることができる。本発明のレンズは、両凸レンズ、両凹レンズ、メニスカスレンズのいずれであってもよいし、球面レンズ、非球面レンズのいずれであってもよい。本発明のレンズは、図1に示すような、レンズエレメントを多数配列してなるレンズアレイであってもよい。
本発明のレンズの製造方法は、所定のメタクリル樹脂と、ヒンダーフェノ−ル系酸化防止剤と、必要に応じて原子番号20以下の金属元素を含む化合物とを所定の割合で溶融混練して樹脂組成物を得、得られた樹脂組成物を射出成形することを有する。
溶融混練をするための装置としては、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどを挙げることができるが、本発明の製造方法においては、単軸押出機または二軸押出機を用いることが好ましい。単軸押出機においては、シリンダ加熱温度を、通常、261〜285℃、好ましくは261℃〜275℃に設定する。二軸押出機においては、シリンダ加熱温度を、通常、261〜280℃、好ましくは261℃〜275℃に設定する。
溶融混練は、特性機械エネルギーSMEが、好ましくは50〜100kJ/kg、より好ましくは55〜90kJ/kg、さらに好ましくは57〜87kJ/kg、最も好ましくは60〜83kJ/kgとなる範囲で行う。特性機械エネルギーSMEは以下の式によって算出される(非特許文献1参照)。
SME [kJ/kg] =τ×Ns/Q
τ=押出機のトルク[N・m]
Ns=スクリュウ回転数[min-1
Q=押出量[kg/min]
溶融混練によって得られる樹脂組成物は、保存、運搬、または成形時の利便性を高めるために、ペレットなどの形態にすることができる。
射出成形は、通常、溶融可塑化工程、充填・保圧工程、冷却工程、および離型工程を経る。冷却工程において、充填された樹脂組成物の体積収縮量に応じて型に外側から力を加えキャビティを小さくすることができる(射出圧縮成形法)。射出圧縮成形においては、ローリンクス法、マイクロモルダ法、サンドイッチプレス法、直圧法、2段直圧法などを採用することができる。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、物性値等の測定は以下の方法によって実施した。
(金属元素含有量)
レンズ0.15gに硝酸10mlを加えて、マイクロ波照射装置ETHOS−1600を用いて、220℃で25分間マイクロウェーブを照射した。放冷後、得られた液にイオン交換水を加えて20mlの溶液を得た。得られた溶液をICP発光分光分析装置(SII製 Vista Pro)を用いて、金属元素の定量分析を行った。メタクリル樹脂100質量部に対する金属元素含有量(質量部)を算出した。
(末端二重結合量)
レンズを濃度15〜20質量%となるように重水素化クロロホルムに溶解させて溶液を得た。前記レンズの質量に対して10質量%のトリス(6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジナート)ユウロピウムを前記溶液に添加した。その溶液をNMR(日本電子製JNM−GX270)を用いて12時間に亘って積算測定した。得られた1H−NMRスペクトルから、末端二重結合部に由来するシグナル(共鳴周波数5.5ppm及び6.2ppm)の積分強度の合計XLとメチルメタクリレート主鎖のメトキシ基に由来するシグナル(共鳴周波数3.6ppm)の積分強度YLとを計測し、次式にてメタクリル樹脂の末端二重結合量DL[モル%]を算出した。
L=〔(3×XL)/(2×YL)〕×100
(結合硫黄原子量)
レンズをクロロホルムに溶解させて溶液を得、この溶液をn−ヘキサンに添加して沈殿物を得た。得られた沈殿物を80℃で12時間以上真空下で乾燥させた。得られた乾燥品を適量精秤して、硫黄燃焼装置にセットし温度400℃の反応炉で分解させ、生成したガスを900℃の炉に通し、次いで0.3%過酸化水素水で吸収した。得られた液を純水で適宜希釈し、イオンクロマトグラフィ(DIONEX製ICS−1500,カラム:AS12A)により硫酸イオンを定量した。乾燥品の質量あたりの硫黄原子の質量WL(質量%)を算出した。次いで、次式にて、結合硫黄原子の量SL(モル%)を算出した。
L=(WL/32)×100
(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn)
MwおよびMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて下記の条件でクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンの分子量に換算した値を算出した。
GPC装置:東ソー株式会社製、HLC−8320
検出器:示差屈折率検出器
カラム:東ソー株式会社製のTSKgel SuperMultipore HZM−Mの2本とSuperHZ4000を直列に繋いだものを用いた。
溶離液 :テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35ml/分
カラム温度:40℃
検量線 :標準ポリスチレン10点のデータを用いて作成
(トライアドシンジオタクティシティ(rr))
核磁気共鳴装置(Bruker社製 ULTRA SHIELD 400 PLUS)を用いて、下記の条件にて、1H−NMRを測定し、TMSを0ppmとした際の0.6〜0.95ppmの領域の面積(X)、0.6〜1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、式:(X/Y)×100にて算出した値をトライアドシンジオタクティシティ(rr)(%)とした。
溶媒 :重クロロホルム
測定核種:1
測定温度:室温
積算回数:64回
(残存メタクリル酸メチル単量体の量)
ガスクロマトグラフに、カラム(GL Sciences Inc.製 INERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m))を繋ぎ、下記条件にて分析を行い、それに基づいて算出した。
injection温度:250℃
detector温度:250℃
カラム温度条件:
初期温度 :60℃
初期温度保持時間:5分間
昇温速度 :10℃/分
最高温度 :250℃
最高温度保持時間:10分間
(メルトフローレート(MFR))
JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重、10分間の条件で測定した。
(熱重量保持率)
レンズについて、熱重量測定装置(島津製作所製、TGA−50(品番))を用いて、窒素雰囲気下、窒素の流速50ml/分にて、50℃から290℃まで20℃/分で昇温させた後、窒素雰囲気下で290℃にて20分間保持する条件にて質量変化を記録した。50℃における質量(X1c)を基準(熱重量保持率100質量%)にして、290℃にて15分間保持した時の質量(X2c)をもとに、下記式で耐熱分解性を評価した。
熱重量保持率(質量%)=(X2c/X1c)×100(質量%)
(ガラス転移温度(Tmg))
JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定装置(島津製作所製、DSC−50(品番))を用いて、230℃まで一度昇温し、次いで室温まで冷却し、その後、室温から230℃までを10℃/分で昇温させる条件にてDSC曲線を測定した。2回目の昇温時に測定されるDSC曲線から中間点ガラス転移温度を決定した。
(全光線透過率)
レンズの全光線透過率(光路長3.2mm換算)をJIS K7361−1に準じて、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM−150)を用いて測定した。
(450nmの光透過率)
紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製 品番:V−670)を用いて、光路長3mm換算、波長450nmの光透過率を測定した。
(ヘイズ)
JIS K7136に準拠して、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM−150)を用いてヘイズを測定した。
(色差ΔE)
スーパーUV試験機(岩崎電気社製;SUV−W161)を用いて、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射する前と照射した後の、レンズアレイの、Lab色空間におけるL、aおよびbの各値の差(ΔL、Δa、Δb)から、下式で色差ΔEを算出した。
ΔE=[(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2]1/2
なお、Lab色空間におけるL、aおよびbの各値は、SMカラーコンピュータ(スガ試験器社製;M−4)を用いて決定した。色差が小さいほど耐候性に優れていることを表す。
(UV耐変形性)
スーパーUV試験機(岩崎電気社製;SUV−W161)を用いて、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射する前と照射した後に、レンズアレイの鏡面側を下にして平らな面の上に置き、すきまゲージを用いて、鏡面と平らな面との隙間の大きさを、それぞれ測定し、差を算出した。
○:差が0.3mm以上となったレンズアレイの数が全体の40%未満
×:差が0.3mm以上となったレンズアレイの数が全体の40%以上
以下に示す物性のメタクリル樹脂を用意した。
メタクリル樹脂〔A-a〕:Mw=68000で、Mw/Mn=1.06、トライアドシンジオタクティシティ(rr)=73%、ガラス転移温度=130℃、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合=100質量%、末端二重結合量=0モル%、結合硫黄原子の量=0モル%、Al元素の含有量=5.0ppm、Li元素の含有量=0.5ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=5.5ppm;アニオン溶液重合法;
メタクリル樹脂〔A-b〕:Mw=82000、Mw/Mn=1.92、トライアドシンジオタクティシティ(rr)=51%、ガラス転移温度=120℃、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合=100質量%、末端二重結合量=0.014モル%、結合硫黄原子の量=0.160モル%、Al元素の含有量=0ppm、Li元素の含有量=0ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=0ppm;ラジカル連続塊状重合法;
メタクリル樹脂〔A-c〕:Mw=78000、Mw/Mn=1.52、トライアドシンジオタクティシティ(rr)=56%、ガラス転移温度=122℃、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合=100質量%、末端二重結合量=0.011モル%、結合硫黄原子の量=0.130モル%、Al元素の含有量=1.0ppm、Li元素の含有量=0.1ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=1.1ppm;メタクリル樹脂〔A-a〕20質量部とメタクリル樹脂〔A-b〕80質量部とのブレンド;
メタクリル樹脂〔A-d〕:Mw=87000、Mw/Mn=1.78、トライアドシンジオタクティシティ(rr)=48%、ガラス転移温度=117℃、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合=98.5質量%、アクリル酸メチルに由来する構造単位の割合=1.5質量%、末端二重結合量=0.020モル%、結合硫黄原子の量=0.015モル%、Al元素の含有量=0ppm、Li元素の含有量=0ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=0ppm;ラジカル連続塊状重合法;
メタクリル樹脂〔A-e〕:Mw=68000、Mw/Mn=1.06、トライアドシンジオタクティシティ(rr)=73%、ガラス転移温度=130℃、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合=100質量%、末端二重結合量=0モル%、結合硫黄原子の量=0モル%、Al元素の含有量=1000ppm、Li元素の含有量=320ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=1320ppm;アニオン溶液重合法;
メタクリル樹脂〔A-f〕:Mw=76000、Mw/Mn=1.50、トライアドシンジオタクティシティ(rr)=58%、ガラス転移温度=123℃、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合=100質量%、末端二重結合量=0.010モル%、結合硫黄原子の量=0.115モル%、Al元素の含有量=1.5ppm、Li元素の含有量=0.2ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=1.7ppm;メタクリル樹脂〔A-a〕30質量部とメタクリル樹脂〔A-b〕70質量部とのブレンド;
メタクリル樹脂〔A-g〕:Mw=73000、Mw/Mn=1.50、トライアドシンジオタクティシティ(rr)=60%、ガラス転移温度=124℃、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合=100質量%、末端二重結合量=0.008モル%、結合硫黄原子の量=0.100モル%、Al元素の含有量=2.0ppm、Li元素の含有量=0.2ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=2.2ppm;メタクリル樹脂〔A-a〕40質量部とメタクリル樹脂〔A-b〕60質量部とのブレンド;
下記の酸化防止剤を用意した。
酸化防止剤〔C-a〕:2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール(和光純薬社製;BHT)
酸化防止剤〔C-b〕:ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(BASF社製;商品名IRGANOX1010)
実施例1
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部とを混ぜ合わせ、二軸押出機((株)テクノベル製、商品名:KZW20TW-45MG-NH-600)で、シリンダ加熱温度260℃、特性機械エネルギーSME73kJ/kgにて、溶融混練して樹脂組成物を得た。
正方形フレネルレンズパターンを縦6列横4列で配列して有する固定金型と、固定金型に対向する鏡面を有する可動金型と、の間のキャビティに、固定金型の一対の長辺の中央部近傍にそれぞれ設けられたゲートを通して、溶融可塑化された樹脂組成物を充填した。その後、樹脂組成物を冷却し硬化させ、次いで離型して、一辺240mmの正方形でピッチ0.38mmのフレネルレンズパターンを縦6列横4列で有する凹凸溝の高さが0.23mm、最薄部の厚さが0.6mmであるレンズアレイ(1)を得た(図1)。レンズアレイ(1)は、肉眼で見た限り、歪みが無く、透明であった。レンズアレイ(1)は、Al元素の含有量=1.0ppm、Li元素の含有量=0.1ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=1.1ppm、末端二重結合の量が0.011モル%、結合硫黄原子の量が0.130モル%未満、重量平均分子量が78000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が56%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.20質量%、メルトフローレートが2.3g/10分、熱重量保持率98.0%、ガラス転移温度が122℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が92%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。レンズアレイ(1)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。レンズアレイ(1)は色差が0.2、UV耐変形性は〇であった。
実施例2
酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部を酸化防止剤〔C-b〕0.15質量部に変えた以外は実施例1と同じ方法で、レンズアレイ(2)を得た。レンズアレイ(2)は、肉眼で見た限り、歪みが無く、透明であった。レンズアレイ(2)は、Al元素の含有量=1.0ppm、Li元素の含有量=0.1ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=1.1ppm、末端二重結合の量が0.011モル%、結合硫黄原子の量が0.130モル%未満、重量平均分子量が78000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が56%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.20質量%、メルトフローレートが2.3g/10分、熱重量保持率98.0%、ガラス転移温度が122℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が92%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。このレンズアレイ(2)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。レンズアレイ(2)は色差が0.2、耐変形性は〇であった。
実施例3
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部をメタクリル樹脂〔A-f〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.05質量部に変えた以外は実施例1と同じ方法で、レンズアレイ(3)を得た。レンズアレイ(3)は、肉眼で見た限り、歪みが無く、透明であった。レンズアレイ(3)は、Al元素の含有量=1.5ppm、Li元素の含有量=0.2ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=1.7ppm、末端二重結合の量が0.010モル%、結合硫黄原子の量が0.115モル%未満、重量平均分子量が76000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が58%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.25質量%、メルトフローレートが2.1g/10分、熱重量保持率98.5%、ガラス転移温度が123℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が92%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。このレンズアレイ(3)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。レンズアレイ(3)は色差が0.2、耐変形性は〇であった。
実施例4
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部をメタクリル樹脂〔A-g〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.06質量部に変えた以外は実施例2と同じ方法で、レンズアレイ(4)を得た。レンズアレイ(4)は、肉眼で見た限り、歪みが無く、透明であった。レンズアレイ(4)は、Al元素の含有量=2.0ppm、Li元素の含有量=0.2ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=2.2ppm、末端二重結合の量が0.008モル%、結合硫黄原子の量が0.100モル%未満、重量平均分子量が73000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が60%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.25質量%、メルトフローレートが1.9g/10分、熱重量保持率98.7%、ガラス転移温度が124℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が92%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。このレンズアレイ(4)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。レンズアレイ(4)は色差が0.2、耐変形性は〇であった。
実施例5
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部をメタクリル樹脂〔A-a〕27.5質量部とメタクリル樹脂〔A-b〕70.0質量部とメタクリル樹脂〔A-e〕2.5質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.05質量部に変えた以外は実施例1と同じ方法で、レンズアレイ(5)を得た。レンズアレイ(5)は、肉眼で見た限り、歪みが無く、透明であった。レンズアレイ(5)は、Al元素の含有量=26.4ppm、Li元素の含有量=8.1ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=34.5ppm、末端二重結合の量が0.010モル%、結合硫黄原子の量が0.115モル%未満、重量平均分子量が76000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が58%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.25質量%、メルトフローレートが2.1g/10分、熱重量保持率98.2%、ガラス転移温度が123℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が91%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が91%、ヘイズが0.1%であった。このレンズアレイ(5)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が91%、ヘイズが0.1%であった。レンズアレイ(5)は色差が0.2、耐変形性は〇であった。
比較例1
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部をメタクリル樹脂〔A-a〕100質量部に変えた以外は実施例1と同じ方法で、レンズアレイ(6)を得た。レンズアレイ(6)は、肉眼で見たところ、透明であったが、歪みがあった。レンズアレイ(6)は、Al元素の含有量=5.0ppm、Li元素の含有量=0.5ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=5.5ppm、末端二重結合の量が0.000モル%、結合硫黄原子の量が0.000モル%未満、重量平均分子量が68000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が73%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.15質量%、メルトフローレートが1.4g/10分、熱重量保持率64.9%、ガラス転移温度が130℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が92%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。このレンズアレイ(6)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が90%、ヘイズが0.5%であった。レンズアレイ(6)は色差が0.6、耐変形性は〇であった。
比較例2
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部をメタクリル樹脂〔A-a〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.15質量部に変えた以外は実施例1と同じ方法で、レンズアレイ(7)を得た。レンズアレイ(7)は、肉眼で見たところ、透明であったが、歪みがあった。レンズアレイ(7)は、Al元素の含有量=5.0ppm、Li元素の含有量=0.5ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=5.5ppm、末端二重結合の量が0.000モル%、結合硫黄原子の量が0.000モル%未満、重量平均分子量が68000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が73%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.15質量%、メルトフローレートが1.4g/10分、熱重量保持率98.9%、ガラス転移温度が130℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が92%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。このレンズアレイ(7)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が90%、ヘイズが0.2%であった。レンズアレイ(7)は色差が0.6、耐変形性は〇であった。
比較例3
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部をメタクリル樹脂〔A-b〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.15質量部に変えた以外は実施例1と同じ方法で、レンズアレイ(8)を得た。レンズアレイ(8)は、肉眼で見た限り、歪みが無く、透明であった。レンズアレイ(8)は、Al元素の含有量=0.0ppm、Li元素の含有量=0.0ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=0.0ppm、末端二重結合の量が0.014モル%、結合硫黄原子の量が0.160モル%未満、重量平均分子量が82000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が51%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.25質量%、メルトフローレートが2.6g/10分、熱重量保持率96.6%、ガラス転移温度が120℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が92%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。このレンズアレイ(8)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。レンズアレイ(8)は色差が0.1、耐変形性は×であった。
比較例4
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部をメタクリル樹脂〔A-b〕100質量部と酸化防止剤〔C-b〕0.15質量部に変えた以外は実施例1と同じ方法で、レンズアレイ(9)を得た。レンズアレイ(9)は、肉眼で見た限り、歪みが無く、透明であった。レンズアレイ(9)は、Al元素の含有量=0.0ppm、Li元素の含有量=0.0ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=0.0ppm、末端二重結合の量が0.014モル%、結合硫黄原子の量が0.160モル%未満、重量平均分子量が82000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が51%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.25質量%、メルトフローレートが2.6g/10分、熱重量保持率96.5%、ガラス転移温度が120℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が92%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。このレンズアレイ(9)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。レンズアレイ(9)は色差が0.1、耐変形性は×であった。
比較例5
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部をメタクリル樹脂〔A-a〕24質量部とメタクリル樹脂〔A-b〕70質量部とメタクリル樹脂〔A-e〕6質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.15質量部に変えた以外は実施例1と同じ方法で、レンズアレイ(10)を得た。レンズアレイ(10)は、肉眼で見た限り、歪みが無く、透明であった。レンズアレイ(10)は、Al元素の含有量=61.2ppm、Li元素の含有量=19.3ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=80.5ppm、末端二重結合の量が0.010モル%、結合硫黄原子の量が0.115モル%未満、重量平均分子量が76000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が58%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.25質量%、メルトフローレートが2.1g/10分、熱重量保持率98.2%、ガラス転移温度が123℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が85%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が85%、ヘイズが0.3%であった。このレンズアレイ(10)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が80%、ヘイズが0.5%であった。レンズアレイ(10)は色差が0.2、耐変形性は〇であった。
比較例6
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部をメタクリル樹脂〔A-d〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.15質量部に変えた以外は実施例1と同じ方法で、レンズアレイ(11)を得た。レンズアレイ(11)は、肉眼で見た限り、歪みが無く、透明ではあった。レンズアレイ(11)は、Al元素の含有量=0.0ppm、Li元素の含有量=0.0ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=0.0ppm、末端二重結合の量が0.020モル%、結合硫黄原子の量が0.015モル%未満、重量平均分子量が87000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が48%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して98.5質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.30質量%、メルトフローレートが2.8g/10分、熱重量保持率95.6%、ガラス転移温度が117℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が92%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。このレンズアレイ(11)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。レンズアレイ(11)は色差が0.1、耐変形性は×であった。
比較例7
メタクリル樹脂〔A-c〕100質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.03質量部をメタクリル樹脂〔A-a〕70質量部とメタクリル樹脂〔A-b〕30質量部と酸化防止剤〔C-a〕0.11質量部に変えた以外は実施例1と同じ方法で、レンズアレイ(12)を得た。レンズアレイ(12)は、肉眼で見たところ、透明であったが、歪みがあった。レンズアレイ(12)は、Al元素の含有量=3.5ppm、Li元素の含有量=0.4ppm、原子番号20以下の金属元素の含有量=3.9ppm、末端二重結合の量が0.004モル%、結合硫黄原子の量が0.048モル%未満、重量平均分子量が72000、トライアドシンジオタクティシティ(rr)が66%、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が全構造単位に対して100質量%、残存メタクリル酸メチルの量が0.50質量%、メルトフローレートが1.6g/10分、熱重量保持率98.0%、ガラス転移温度が127℃、光路長を3.2mmに換算した場合の全光線透過率が92%、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が92%、ヘイズが0.1%であった。このレンズアレイ(12)に、ブラックパネル温度95℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cm2の条件で紫外線を1000時間照射した後、光路長を3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が90%、ヘイズが0.2%であった。レンズアレイ(12)は色差が0.6、耐変形性は〇であった。
実施例に示すように、本発明のレンズは、耐熱性が高く、光透過率が高く、色目変化が少ない。

Claims (6)

  1. メタクリル樹脂100質量部と、原子番号20以下の金属元素5×10-6〜4×10-3質量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.025〜0.50質量部とを含有し、
    末端二重結合の量がメタクリル樹脂に対して0.012モル%未満であり、
    トライアドシンジオタクティシティ(rr)が50%〜65%であり、且つ
    窒素ガス雰囲気にて290℃に15分間さらしたときの熱重量保持率が98質量%以上である、
    レンズ。
  2. ガラス転移温度が123℃〜130℃で、
    残存するメタクリル酸メチルの量が1.0質量%以下で、且つ
    光路長3mmに換算した場合の波長450nmにおける光透過率が、紫外線をブラックパネル温度95℃、相対湿度50%および照射エネルギー100mW/cm2で1000時間照射する前および照射した後のいずれにおいても91%以上である、
    請求項1に記載のレンズ。
  3. 結合硫黄原子の量がメタクリル樹脂に対して0.25モル%未満である、請求項1または2に記載のレンズ。
  4. 重量平均分子量Mwが5万〜15万である、請求項1〜3のいずれかひとつに記載のレンズ。
  5. メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量がメタクリル樹脂に対して99質量%以上である、請求項1〜4のいずれかひとつに記載のレンズ。
  6. 紫外線吸収剤をさらに含有する、請求項1〜5のいずれかひとつに記載のレンズ。
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