JP2020002493A - 紙製造工程水系の抗菌方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水中の酸化雰囲気を長期間維持することで嫌気性微生物の生育を抑制し、以て、長期間に亘って抗菌効果を持続させることができる紙製造工程水系の抗菌方法を実現する。【解決手段】紙製造工程水系である白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14の水中に酸素ウルトラファインバブルを含有させる工程と、亜塩素酸ナトリウム等の抗菌剤を添加する工程を備える。【選択図】図1

Description

本発明は紙製造工程水系の抗菌方法に係り、特に、長期間に亘って抗菌効果を持続させることができる紙製造工程水系の抗菌方法に関する。
紙製造工程においては、一般に、抄紙工程で排出される白水を回収して再利用する「白水循環水系」、白水循環水系から排出される排水への処理を行う「排水処理水系」、排水処理水系から発生する処理水、汚泥、フロス、スラッジの何れか1種以上を再利用原料として白水循環水系に供給する「再利用原料供給水系」がある。
上記白水循環水系は水温が30〜40℃前後、pHが中性域であるため微生物が発生しやすい環境である上に、白水には紙原料となる木材・古紙に由来する繊維や糖類、紙力剤として使用されるデンプン、歩留まり向上剤の硫酸バンド等が含有されていることから、これらを栄養源として大量の微生物が繁殖する。
この結果、白水が長期間循環利用される間に、微生物が紙製造工程中の配管やピット等の壁面に付着してスライムを形成し、このスライムが原因となって紙製品に斑点を生じさせ、紙生産効率の低下や紙製品の品質低下をもたらす事態を生じていた。
また、微生物の代謝物としての低級脂肪酸(ギ酸、酢酸等)や硫黄化合物(硫化水素、メルカプタン類)が生成されると、悪臭が発生していた。
上記排水処理水系も白水循環水系と同様に、水温が30〜40℃前後、pHが中性域であるため微生物が発生しやすい環境であることから、斯かる排水処理水系及び再利用原料供給水系の処理水、汚泥、フロス、スラッジからは、例えば、嫌気性微生物である硫酸還元菌の活動による汚泥等の腐敗により、硫黄化合物(硫化水素、メルカプタン類)が生成されて悪臭が発生していた。
また、微生物が繁殖した処理水、汚泥、フロス、スラッジが、再利用原料として白水循環水系に流入すると、スライム発生の原因となっていた。
スライムの形成、臭気物質である硫黄化合物や、低級脂肪酸の原料となるアルコール類の生成は、主として、嫌気性微生物の働きによるため、白水循環水系及び白水循環水系に流入する水系(処理水、汚泥、フロス、スラッジ)の防臭、スライム発生防止のためには、水中の酸化雰囲気を長期間保持して嫌気性微生物の生育を抑制する必要が有る。
紙製造工程における白水循環水系等においては、白水中に繊維、デンプン、脂肪酸等の有機物、硫化物、亜硫酸塩等の還元物質が含まれている。
そこで、従来、抗菌剤と反応しやすい有機物や還元物質を曝気により除去した後、抗菌剤を添加する方法(特許文献1)や、抗菌剤と反応しやすい有機物や還元物質を弱酸化剤で除去した後、抗菌剤を添加する方法(特許文献2)が提案されている。
特開2015−017333号公報 特開2016−121422号公報
しかしながら、特許文献1の場合、曝気により白水中の還元物質の酸化や硫化水素の気散効果が見込めるが、処理水量に対して莫大な空気量が必要であり、ランニングコストが高額となる。
また、曝気工程で水中に導入された空気は、すぐに大気中に気散してしまうため、水中の酸化雰囲気を長期間維持することができないものである。
特許文献2の場合は、水中の酸化雰囲気を長期間維持するためには、大量の弱酸化剤或いは無機系殺菌剤が必要であり、コスト高を招来すると共に、無機系殺菌剤中の塩化物イオンによる設備腐食の問題を生じさせるものである。
本発明は、上記問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、水中の酸化雰囲気を長期間維持することで嫌気性微生物の生育を抑制し、以て、長期間に亘って抗菌効果を持続させることができる紙製造工程水系の抗菌方法を実現することにある。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の紙製造工程水系の抗菌方法は、
紙製造工程水系の水中に酸素ウルトラファインバブルを含有させる工程と、
紙製造工程水系の水中に抗菌剤を添加する工程
を備えることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の紙製造工程水系の抗菌方法は、請求項1に記載の紙製造工程水系の抗菌方法において、
上記抗菌剤が、亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の紙製造工程水系の抗菌方法にあっては、長期間水中に留まる性質を有する酸素ウルトラファインバブルを、紙製造工程水系の水中に含有させることから、少ない供給量でも溶存酸素濃度を大幅に上昇させ、水中の酸化雰囲気を長期間維持することができる。
この結果、硫黄化合物(硫化水素、メルカプタン類)やスライム発生の原因となる嫌気性微生物の生育を長期間抑制することができるので、抗菌剤の消費が抑制され、長期間に亘って抗菌効果を持続させることができる。
請求項2に記載の紙製造工程水系の抗菌方法の如く、抗菌剤を亜塩素酸ナトリウムにした場合には、酸化分解しにくいことに加え、におい物質である硫化水素の酸化除去効果・酸化還元電位の上昇効果が大きい。
図1は、本発明に係る紙製造工程水系の抗菌方法の一例を示す説明図であり、紙製造工程水系として、白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14を備えていSる。
上記白水循環水系10は、原料を離解、叩解し、漂白剤等の薬品や紙力増強剤のデンプン等を混合して、紙料を作る調成部18、抄紙を行う抄紙部20、抄紙部20から排出される白水を回収する白水回収部22を有している。
白水回収部22で回収された白水は、調成部18に供給されて循環利用される。
調成工程、抄紙工程の過程で、白水には、繊維、デンプン、脂肪酸等の有機物、硫化物、亜硫酸塩等の還元物質が含有される。
排水処理水系12は、白水循環水系10から発生した排水を浄化処理する水系であり、凝集剤を添加し、排水中の固形分を分離させる凝集槽23、排水中の紙の繊維を回収する繊維回収槽24、排水中に圧縮空気を供給し、繊維回収槽24で除去しきれなかった繊維を浮上させて分離し、フロスを排出する加圧浮上槽26、曝気雰囲気中で微生物による排水中の有機物の分解処理等の生物学的処理を行う生物処理槽28、生物学的処理後の排水を固液分離し、固体成分(汚泥、スラッジ)を底部に沈殿させる沈殿池30、発生した汚泥の一部を脱水する圧縮機31を有している。
上記排水処理水系12で処理された処理水、汚泥、フロス、スラッジの内、処理水の一部は下水或いは河川に放流され、発生した汚泥の一部は脱水機31を経て脱水ケーキとして排出され、残りの処理水、汚泥、フロス、スラッジは再利用原料供給水系14に送出され、その後、処理水、汚泥、フロス、スラッジの何れか一種以上が、再利用原料として白水循環水系10に供給される。
図1において、32はウルトラファインバブル生成装置であり、このウルトラファインバブル生成装置32は、導入した例えば空気等の酸素含有ガスを微細化すると共に、微細化した酸素含有ガスを、導入した白水、処理水、汚泥、フロス、スラッジに溶解させ、以て、酸素ウルトラファインバブルが溶解した水(酸素ウルトラファインバブル溶解水)を生成するものである。
上記ウルトラファインバブルとは粒径が1μm以下の気泡のことである。
尚、粒径100μm以下の気泡のことをファインバブルと称し、この内、1μm以下の気泡を上記ウルトラファインバブル、1μm〜100μm以下の気泡をマイクロバブルと称している。
上記ウルトラファインバブルは、ウルトラファインバブル自体のブラウン運動が動きを支配し、浮上して気散することなく長期間水中に留まる性質を有している。
一方、マイクロバブルや、マイクロバブルより粒径の大きい非ファインバブルは、水中に留まることなく、徐々に浮上して大気中に気散する。例えば、粒径30μmのマイクロバブルは約1.4m/hの速度で上昇する。
本発明に係る紙製造工程水系の抗菌方法は、抗菌剤を添加するプロセスの前もしくは後に上記ウルトラファインバブル生成装置32で生成された酸素ウルトラファインバブル溶解水を、上記白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14の水中に供給し、以て、白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14の水中に酸素ウルトラファインバブルを含有させるのである。
酸素ウルトラファインバブルが含有された水中に、もしくは酸素ウルトラファインバブルを溶解する前の紙製造工程水系の水中に抗菌剤を添加する。
抗菌剤の種類は限定されないが、酸素ウルトラファインバブルを含有する水は高酸素濃度状態になるため、酸化分解しやすい有機系抗菌剤よりも、酸化分解しにくい無機酸化剤系抗菌剤が好適である。
特に、白水や白水循環水系10に流入する再利用原料(処理水、汚泥、フロス、スラッジ)は、硫化水素が発生していることが多いため、硫化水素の酸化除去効果・酸化還元電位の上昇効果が大きく、酸化分解しにくい亜塩素酸ナトリウムが最適である。
上記の通り、本発明の紙製造工程水系の抗菌方法は、紙製造工程水系である白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14の水中に酸素ウルトラファインバブルを含有させる工程、亜塩素酸ナトリウム等の抗菌剤を添加する工程を備えているものである。
本発明の紙製造工程水系の抗菌方法にあっては、長期間水中に留まる性質を有する酸素ウルトラファインバブルを、紙製造工程水系(白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14)の水中に含有させることから、少ない供給量でも溶存酸素濃度を大幅に上昇させ、水中の酸化雰囲気を長期間維持することができる。
この結果、硫黄化合物(硫化水素、メルカプタン類)やスライム発生の原因となる嫌気性微生物の生育を長期間抑制することができるので、抗菌剤の消費が抑制され、長期間に亘って抗菌効果を持続させることができる。
尚、水中が酸化雰囲気になると、例えば汚泥に含まれる好気性微生物の活動が活発化し酸素を消費しようとする。そのため、酸素ウルトラファインバブルのみを溶解した場合では、酸化雰囲気が長期間維持されないため、臭いやスライムの発生を長期間抑制できない。酸素ウルトラファインバブルを含有した水中に添加する抗菌剤によって、嫌気性微生物と共に好気性微生物を抗菌することができ、酸素の消費を抑えることができる。亜塩素酸ナトリウムのような無機酸化剤系抗菌剤を使用すると、抗菌剤の酸化還元電位上昇効果と相俟って、より長期間酸化雰囲気を維持することができる。
上記の通り、本発明の紙製造工程水系の抗菌方法にあっては、長期間水中に留まる性質を有する酸素ウルトラファインバブルを、紙製造工程水系(白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14)の水中に含有させることにより、水中の酸化雰囲気を長期間維持することができる。
このため、白水循環水系10の白水、排水処理水系12の排水、再利用原料供給水系14の処理水の全ての水に、酸素ウルトラファインバブルを供給する必要は必ずしもなく、何れか1つ以上の水系の水に、十分な量の酸素ウルトラファインバブルを含有させれば、斯かる酸素ウルトラファインバブル含有水が白水循環水系10−排水処理水系12−再利用原料供給水系14を循環する間、水中の酸化雰囲気を維持することができる。
また、酸素ウルトラファインバブルを水中に含有させることにより、水中の酸化雰囲気を長期間維持することができるので、酸素ウルトラファインバブルを水中に含有させた直後に抗菌剤を添加する必要はなく、例えば、白水循環水系10の白水に酸素ウルトラファインバブルを含有させ、排水処理水系12の排水や再利用原料供給水系14の処理水に抗菌剤を添加しても良い。また、亜塩素酸ナトリウムのような、一定期間、抗菌効果が持続する抗菌剤を用いる場合は、抗菌剤を添加した後の水系で、酸素ウルトラファインバブルを含有させても良い。
以下に本発明を、実施例を挙げて更に詳細に説明する。
本発明に係る実施例1と、比較例1〜3、対象区1について、「白水の生菌数の測定試験」、「白水の揮発性脂肪酸濃度の測定試験」、「白水の溶存硫化物濃度の測定試験」、「白水の溶存酸素濃度の測定試験」、「白水の酸化還元電位の測定試験」を行った。
白水は、製紙工場の排水処理水系から採取した白水を使用した。
実施例1、比較例1〜3、対象区1は以下の通りである。
(実施例1)
白水20Lを水槽に注水し、ウルトラファインバブル生成装置(山陽施設工業株式会社製)を用いて、白水に酸素ウルトラファインバブルを溶解させた。尚、ウルトラファインバブル生成装置への酸素ガスの送気速度は0.1Nm/hr、送液速度は100L/minで、1分間溶解処理を行った。
上記処理を行った酸素ウルトラファインバブルを含有した白水を1Lデュワー瓶に採取後、抗菌剤としての亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液(25wt%)を、亜塩素酸ナトリウム濃度が25mg/Lとなるように添加し、恒温槽に37℃で静置した。
(比較例1)
白水20Lを水槽に注水し、ウルトラファインバブル生成装置(山陽施設工業株式会社製)を用いて、白水に酸素ウルトラファインバブルを溶解させた。尚、ウルトラファインバブル生成装置への酸素ガスの送気速度は0.1Nm/hr、送液速度は100L/minで、1分間溶解処理を行った。
上記処理を行った酸素ウルトラファインバブルを含有した白水を1Lデュワー瓶に採取後、恒温槽に37℃で静置した。
この比較例1は、抗菌剤(亜塩素酸ナトリウム)を添加していない点が実施例1と異なるものである。
(比較例2)
製紙工場の排水処理水系から採取した白水を1Lデュワー瓶に採取後、抗菌剤としての亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液(25wt%)を、亜塩素酸ナトリウム濃度が25mg/Lとなるように添加し、恒温槽に37℃で静置した。
(比較例3)
白水6Lを水槽に注水し、マイクロバブル生成装置(森鉄工株式会社製)を用いて、白水に酸素マイクロバブルを溶解させた。尚、マイクロバブル生成装置への酸素ガスの送気速度は0.1Nm/hr、送液速度は45L/minで、40秒間溶解処理を行った。
上記処理を行った酸素マイクロバブルを含有した白水を1Lデュワー瓶に採取後、抗菌剤としての亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液(25wt%)を、亜塩素酸ナトリウム濃度が25mg/Lとなるように添加し、恒温槽に37℃で静置した。
(対象区1)
製紙工場の排水処理水系から採取した白水を1Lデュワー瓶に採取後、恒温槽に37℃で静置した。
[試験1:実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の生菌数の測定試験]
恒温槽に静置後、30分後、24時間後、48時間後の白水の生菌数を、総細菌数測定器具「サンアイバイオチェッカーTTC」(三愛石油株式会社製)を用いて一般生菌数を測定した。
測定結果を図2に示す。
図2の測定結果より、抗菌剤を添加しない比較例1、対象区1は、生菌数が10のまま推移し、抗菌効果が全く得られていない。
また、酸素ウルトラファインバブルを含有させず、抗菌剤のみを添加した比較例2、酸素マイクロバブルを含有させると共に抗菌剤を添加した比較例3は、30分後の生菌数が10となって抗菌効果が得られているが、時間の経過と共に生菌数が増加し、抗菌効果が持続しないことが判る。
これに対して、本発明に係る実施例1は、30分後の生菌数が10となって抗菌効果が得られていると共に、48時間後においても生菌数10が維持されており、抗菌効果が長時間持続していることが判る。
[試験2:実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の揮発性脂肪酸濃度の測定試験]
恒温槽に静置後、30分後、24時間後、48時間後の白水の揮発性脂肪酸濃度を、吸光光度計DR2800(HACH製)及び揮発性酸測定試薬(HACH製)を用いて測定した。
測定結果を図3に示す。
図3の測定結果より、におい物質である揮発性脂肪酸濃度が、比較例1では971→1292、比較例2では963→1215、比較例3では975→1076、対象区1では967→1485と、時間の経過と共に大きく上昇していることが判る。
これに対して、本発明に係る実施例1では、965→973と48時間後においても殆ど上昇せず、揮発性脂肪酸発生の抑制効果が長時間持続していることが判る。
[試験3:実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の溶存硫化物濃度の測定試験]
恒温槽に静置後、30分後、24時間後、48時間後の白水の溶存硫化物濃度を、吸光光度計DR2800(HACH製)及び硫化物測定試薬(HACH製)を用いて測定した。
測定結果を図4に示す。
図4の測定結果より、におい物質である溶存硫化物濃度が、比較例1では52→836、比較例2では0→380、比較例3では0→33、対象区1では158→1640と、時間の経過と共に大きく上昇していることが判る。
これに対して、本発明に係る実施例1では、0→0と48時間後においても溶存硫化物の発生が見られず、溶存硫化物発生の抑制効果が長時間持続していることが判る。
[試験4:実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の溶存酸素濃度の測定試験]
恒温槽に静置後、30分後、24時間後、48時間後の白水の溶存酸素濃度を、光学式携帯用溶存酸素計(セントラル科学株式会社製)を用いて測定した。
測定結果を図5に示す。
図5の測定結果より、溶存酸素濃度が、比較例1では20以上→0、比較例2では2.6→0、比較例3では11.6→0と、時間の経過と共に0となり、対象区1では0→0であった。
尚、通常、水に酸素は、溶存酸素濃度で8位までしか溶け込まないものである。
これに対して、本発明に係る実施例1では、20以上→16.8と48時間後においても高い溶存酸素濃度が維持されており、白水の酸化雰囲気が長時間持続していることが判る。
[試験5:実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の酸化還元電位の測定試験]
恒温槽に静置後、30分後、24時間後、48時間後の白水の酸化還元電位を、ポータブルORP計(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定した。
測定結果を図6に示す。
酸化還元電位は数値が大きい程、酸化状態であることを示すものである。
図6の測定結果より、酸化還元電位が、比較例1では−38→−204、比較例2では176→−170、比較例3では299→−103、対象区1では−196→−410と、時間の経過と共に大きく減少し、何れもマイナスになっていることが判る。
これに対して、本発明に係る実施例1では、312→48と48時間後においても、プラスを維持しており、白水の酸化雰囲気が長時間持続していることが判る。
[試験6:実施例1〜実施例5における白水の溶存酸素濃度の測定試験]
上記実施例1の亜塩素酸ナトリウム濃度は25mg/Lであるが、当該実施例1に加え、亜塩素酸ナトリウム濃度のみを変えた実施例2(亜塩素酸ナトリウム濃度は12mg/L)、実施例3(亜塩素酸ナトリウム濃度は6mg/L)、実施例4(亜塩素酸ナトリウム濃度は2mg/L)、実施例5(亜塩素酸ナトリウム濃度は1mg/L)を用意し、恒温槽に静置後、30分後、3時間後、6時間後の白水の溶存酸素濃度を、光学式携帯用溶存酸素計(セントラル科学株式会社製)を用いて測定した。
測定結果を図7に示す。
図7の測定結果より、亜塩素酸ナトリウム濃度2mg/L以上である実施例1〜実施例4の場合には、恒温槽に静置してから6時間後においても20以上の高い溶存酸素濃度が維持されているのに対して、亜塩素酸ナトリウム濃度1mg/Lの実施例5の場合には、3時間経過後で19.2、6時間経過後で12.8に低下していた。
従って、白水への亜塩素酸ナトリウムの添加濃度は2mg/L以上と成すのが好ましいことが判った。
本発明に係る紙製造工程水系の抗菌方法を示す説明図 本発明に係る実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の生菌数の測定結果を示す図表 本発明に係る実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の揮発性脂肪酸濃度の測定結果を示す図表 本発明に係る実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の溶存硫化物濃度の測定結果を示す図表 本発明に係る実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の溶存酸素濃度の測定結果を示す図表 本発明に係る実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の酸化還元電位の測定結果を示す図表 本発明に係る実施例1〜実施例5における白水の溶存酸素濃度の測定結果を示す図表
10 白水循環水系
12 排水処理水系
14 再利用原料供給水系
18 調成部
20 抄紙部
22 白水回収部
23 凝集槽
24 繊維回収槽
26 加圧浮上槽
28 生物処理槽
30 沈殿池
31 脱水機
32 ウルトラファインバブル生成装置
本発明は紙製造工程水系の抗菌方法に係り、特に、長期間に亘って抗菌効果を持続させることができる紙製造工程水系の抗菌方法に関する。
紙製造工程においては、一般に、抄紙工程で排出される白水を回収して再利用する「白水循環水系」、白水循環水系から排出される排水への処理を行う「排水処理水系」、排水処理水系から発生する処理水、汚泥、フロス、スラッジの何れか1種以上を再利用原料として白水循環水系に供給する「再利用原料供給水系」がある。
上記白水循環水系は水温が30〜40℃前後、pHが中性域であるため微生物が発生しやすい環境である上に、白水には紙原料となる木材・古紙に由来する繊維や糖類、紙力剤として使用されるデンプン、歩留まり向上剤の硫酸バンド等が含有されていることから、これらを栄養源として大量の微生物が繁殖する。
この結果、白水が長期間循環利用される間に、微生物が紙製造工程中の配管やピット等の壁面に付着してスライムを形成し、このスライムが原因となって紙製品に斑点を生じさせ、紙生産効率の低下や紙製品の品質低下をもたらす事態を生じていた。
また、微生物の代謝物としての低級脂肪酸(ギ酸、酢酸等)や硫黄化合物(硫化水素、メルカプタン類)が生成されると、悪臭が発生していた。
上記排水処理水系も白水循環水系と同様に、水温が30〜40℃前後、pHが中性域であるため微生物が発生しやすい環境であることから、斯かる排水処理水系及び再利用原料供給水系の処理水、汚泥、フロス、スラッジからは、例えば、嫌気性微生物である硫酸還元菌の活動による汚泥等の腐敗により、硫黄化合物(硫化水素、メルカプタン類)が生成されて悪臭が発生していた。
また、微生物が繁殖した処理水、汚泥、フロス、スラッジが、再利用原料として白水循環水系に流入すると、スライム発生の原因となっていた。
スライムの形成、臭気物質である硫黄化合物や、低級脂肪酸の原料となるアルコール類の生成は、主として、嫌気性微生物の働きによるため、白水循環水系及び白水循環水系に流入する水系(処理水、汚泥、フロス、スラッジ)の防臭、スライム発生防止のためには、水中の酸化雰囲気を長期間保持して嫌気性微生物の生育を抑制する必要が有る。
紙製造工程における白水循環水系等においては、白水中に繊維、デンプン、脂肪酸等の有機物、硫化物、亜硫酸塩等の還元物質が含まれている。
そこで、従来、抗菌剤と反応しやすい有機物や還元物質を曝気により除去した後、抗菌剤を添加する方法(特許文献1)や、抗菌剤と反応しやすい有機物や還元物質を弱酸化剤で除去した後、抗菌剤を添加する方法(特許文献2)が提案されている。
特開2015−017333号公報 特開2016−121422号公報
しかしながら、特許文献1の場合、曝気により白水中の還元物質の酸化や硫化水素の気散効果が見込めるが、処理水量に対して莫大な空気量が必要であり、ランニングコストが高額となる。
また、曝気工程で水中に導入された空気は、すぐに大気中に気散してしまうため、水中の酸化雰囲気を長期間維持することができないものである。
特許文献2の場合は、水中の酸化雰囲気を長期間維持するためには、大量の弱酸化剤或いは無機系殺菌剤が必要であり、コスト高を招来すると共に、無機系殺菌剤中の塩化物イオンによる設備腐食の問題を生じさせるものである。
本発明は、上記問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、水中の酸化雰囲気を長期間維持することで嫌気性微生物の生育を抑制し、以て、長期間に亘って抗菌効果を持続させることができる紙製造工程水系の抗菌方法を実現することにある。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の紙製造工程水系の抗菌方法は、
紙製造工程水系の水中に酸素ウルトラファインバブルを含有させる工程と、
紙製造工程水系の水中に抗菌剤を添加する工程
を備える紙製造工程水系の抗菌方法であって、
上記抗菌剤が、亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の紙製造工程水系の抗菌方法にあっては、長期間水中に留まる性質を有する酸素ウルトラファインバブルを、紙製造工程水系の水中に含有させることから、少ない供給量でも溶存酸素濃度を大幅に上昇させ、水中の酸化雰囲気を長期間維持することができる。
この結果、硫黄化合物(硫化水素、メルカプタン類)やスライム発生の原因となる嫌気性微生物の生育を長期間抑制することができるので、抗菌剤の消費が抑制され、長期間に亘って抗菌効果を持続させることができる。
また、抗菌剤が亜塩素酸ナトリウムであることから、酸化分解しにくいことに加え、におい物質である硫化水素の酸化除去効果・酸化還元電位の上昇効果が大きい。
図1は、本発明に係る紙製造工程水系の抗菌方法の一例を示す説明図であり、紙製造工程水系として、白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14を備えていSる。
上記白水循環水系10は、原料を離解、叩解し、漂白剤等の薬品や紙力増強剤のデンプン等を混合して、紙料を作る調成部18、抄紙を行う抄紙部20、抄紙部20から排出される白水を回収する白水回収部22を有している。
白水回収部22で回収された白水は、調成部18に供給されて循環利用される。
調成工程、抄紙工程の過程で、白水には、繊維、デンプン、脂肪酸等の有機物、硫化物、亜硫酸塩等の還元物質が含有される。
排水処理水系12は、白水循環水系10から発生した排水を浄化処理する水系であり、凝集剤を添加し、排水中の固形分を分離させる凝集槽23、排水中の紙の繊維を回収する繊維回収槽24、排水中に圧縮空気を供給し、繊維回収槽24で除去しきれなかった繊維を浮上させて分離し、フロスを排出する加圧浮上槽26、曝気雰囲気中で微生物による排水中の有機物の分解処理等の生物学的処理を行う生物処理槽28、生物学的処理後の排水を固液分離し、固体成分(汚泥、スラッジ)を底部に沈殿させる沈殿池30、発生した汚泥の一部を脱水する圧縮機31を有している。
上記排水処理水系12で処理された処理水、汚泥、フロス、スラッジの内、処理水の一部は下水或いは河川に放流され、発生した汚泥の一部は脱水機31を経て脱水ケーキとして排出され、残りの処理水、汚泥、フロス、スラッジは再利用原料供給水系14に送出され、その後、処理水、汚泥、フロス、スラッジの何れか一種以上が、再利用原料として白水循環水系10に供給される。
図1において、32はウルトラファインバブル生成装置であり、このウルトラファインバブル生成装置32は、導入した例えば空気等の酸素含有ガスを微細化すると共に、微細化した酸素含有ガスを、導入した白水、処理水、汚泥、フロス、スラッジに溶解させ、以て、酸素ウルトラファインバブルが溶解した水(酸素ウルトラファインバブル溶解水)を生成するものである。
上記ウルトラファインバブルとは粒径が1μm以下の気泡のことである。
尚、粒径100μm以下の気泡のことをファインバブルと称し、この内、1μm以下の気泡を上記ウルトラファインバブル、1μm〜100μm以下の気泡をマイクロバブルと称している。
上記ウルトラファインバブルは、ウルトラファインバブル自体のブラウン運動が動きを支配し、浮上して気散することなく長期間水中に留まる性質を有している。
一方、マイクロバブルや、マイクロバブルより粒径の大きい非ファインバブルは、水中に留まることなく、徐々に浮上して大気中に気散する。例えば、粒径30μmのマイクロバブルは約1.4m/hの速度で上昇する。
本発明に係る紙製造工程水系の抗菌方法は、抗菌剤を添加するプロセスの前もしくは後に上記ウルトラファインバブル生成装置32で生成された酸素ウルトラファインバブル溶解水を、上記白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14の水中に供給し、以て、白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14の水中に酸素ウルトラファインバブルを含有させるのである。
酸素ウルトラファインバブルが含有された水中に、もしくは酸素ウルトラファインバブルを溶解する前の紙製造工程水系の水中に抗菌剤を添加する。
抗菌剤の種類は限定されないが、酸素ウルトラファインバブルを含有する水は高酸素濃度状態になるため、酸化分解しやすい有機系抗菌剤よりも、酸化分解しにくい無機酸化剤系抗菌剤が好適である。
特に、白水や白水循環水系10に流入する再利用原料(処理水、汚泥、フロス、スラッジ)は、硫化水素が発生していることが多いため、硫化水素の酸化除去効果・酸化還元電位の上昇効果が大きく、酸化分解しにくい亜塩素酸ナトリウムが最適である。
上記の通り、本発明の紙製造工程水系の抗菌方法は、紙製造工程水系である白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14の水中に酸素ウルトラファインバブルを含有させる工程、亜塩素酸ナトリウム等の抗菌剤を添加する工程を備えているものである。
本発明の紙製造工程水系の抗菌方法にあっては、長期間水中に留まる性質を有する酸素ウルトラファインバブルを、紙製造工程水系(白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14)の水中に含有させることから、少ない供給量でも溶存酸素濃度を大幅に上昇させ、水中の酸化雰囲気を長期間維持することができる。
この結果、硫黄化合物(硫化水素、メルカプタン類)やスライム発生の原因となる嫌気性微生物の生育を長期間抑制することができるので、抗菌剤の消費が抑制され、長期間に亘って抗菌効果を持続させることができる。
尚、水中が酸化雰囲気になると、例えば汚泥に含まれる好気性微生物の活動が活発化し酸素を消費しようとする。そのため、酸素ウルトラファインバブルのみを溶解した場合では、酸化雰囲気が長期間維持されないため、臭いやスライムの発生を長期間抑制できない。酸素ウルトラファインバブルを含有した水中に添加する抗菌剤によって、嫌気性微生物と共に好気性微生物を抗菌することができ、酸素の消費を抑えることができる。亜塩素酸ナトリウムのような無機酸化剤系抗菌剤を使用すると、抗菌剤の酸化還元電位上昇効果と相俟って、より長期間酸化雰囲気を維持することができる。
上記の通り、本発明の紙製造工程水系の抗菌方法にあっては、長期間水中に留まる性質を有する酸素ウルトラファインバブルを、紙製造工程水系(白水循環水系10、排水処理水系12、再利用原料供給水系14)の水中に含有させることにより、水中の酸化雰囲気を長期間維持することができる。
このため、白水循環水系10の白水、排水処理水系12の排水、再利用原料供給水系14の処理水の全ての水に、酸素ウルトラファインバブルを供給する必要は必ずしもなく、何れか1つ以上の水系の水に、十分な量の酸素ウルトラファインバブルを含有させれば、斯かる酸素ウルトラファインバブル含有水が白水循環水系10−排水処理水系12−再利用原料供給水系14を循環する間、水中の酸化雰囲気を維持することができる。
また、酸素ウルトラファインバブルを水中に含有させることにより、水中の酸化雰囲気を長期間維持することができるので、酸素ウルトラファインバブルを水中に含有させた直後に抗菌剤を添加する必要はなく、例えば、白水循環水系10の白水に酸素ウルトラファインバブルを含有させ、排水処理水系12の排水や再利用原料供給水系14の処理水に抗菌剤を添加しても良い。また、亜塩素酸ナトリウムのような、一定期間、抗菌効果が持続する抗菌剤を用いる場合は、抗菌剤を添加した後の水系で、酸素ウルトラファインバブルを含有させても良い。
以下に本発明を、実施例を挙げて更に詳細に説明する。
本発明に係る実施例1と、比較例1〜3、対象区1について、「白水の生菌数の測定試験」、「白水の揮発性脂肪酸濃度の測定試験」、「白水の溶存硫化物濃度の測定試験」、「白水の溶存酸素濃度の測定試験」、「白水の酸化還元電位の測定試験」を行った。
白水は、製紙工場の排水処理水系から採取した白水を使用した。
実施例1、比較例1〜3、対象区1は以下の通りである。
(実施例1)
白水20Lを水槽に注水し、ウルトラファインバブル生成装置(山陽施設工業株式会社製)を用いて、白水に酸素ウルトラファインバブルを溶解させた。尚、ウルトラファインバブル生成装置への酸素ガスの送気速度は0.1Nm/hr、送液速度は100L/minで、1分間溶解処理を行った。
上記処理を行った酸素ウルトラファインバブルを含有した白水を1Lデュワー瓶に採取後、抗菌剤としての亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液(25wt%)を、亜塩素酸ナトリウム濃度が25mg/Lとなるように添加し、恒温槽に37℃で静置した。
(比較例1)
白水20Lを水槽に注水し、ウルトラファインバブル生成装置(山陽施設工業株式会社製)を用いて、白水に酸素ウルトラファインバブルを溶解させた。尚、ウルトラファインバブル生成装置への酸素ガスの送気速度は0.1Nm/hr、送液速度は100L/minで、1分間溶解処理を行った。
上記処理を行った酸素ウルトラファインバブルを含有した白水を1Lデュワー瓶に採取後、恒温槽に37℃で静置した。
この比較例1は、抗菌剤(亜塩素酸ナトリウム)を添加していない点が実施例1と異なるものである。
(比較例2)
製紙工場の排水処理水系から採取した白水を1Lデュワー瓶に採取後、抗菌剤としての亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液(25wt%)を、亜塩素酸ナトリウム濃度が25mg/Lとなるように添加し、恒温槽に37℃で静置した。
(比較例3)
白水6Lを水槽に注水し、マイクロバブル生成装置(森鉄工株式会社製)を用いて、白水に酸素マイクロバブルを溶解させた。尚、マイクロバブル生成装置への酸素ガスの送気速度は0.1Nm/hr、送液速度は45L/minで、40秒間溶解処理を行った。
上記処理を行った酸素マイクロバブルを含有した白水を1Lデュワー瓶に採取後、抗菌剤としての亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液(25wt%)を、亜塩素酸ナトリウム濃度が25mg/Lとなるように添加し、恒温槽に37℃で静置した。
(対象区1)
製紙工場の排水処理水系から採取した白水を1Lデュワー瓶に採取後、恒温槽に37℃で静置した。
[試験1:実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の生菌数の測定試験]
恒温槽に静置後、30分後、24時間後、48時間後の白水の生菌数を、総細菌数測定器具「サンアイバイオチェッカーTTC」(三愛石油株式会社製)を用いて一般生菌数を測定した。
測定結果を図2に示す。
図2の測定結果より、抗菌剤を添加しない比較例1、対象区1は、生菌数が10のまま推移し、抗菌効果が全く得られていない。
また、酸素ウルトラファインバブルを含有させず、抗菌剤のみを添加した比較例2、酸素マイクロバブルを含有させると共に抗菌剤を添加した比較例3は、30分後の生菌数が10となって抗菌効果が得られているが、時間の経過と共に生菌数が増加し、抗菌効果が持続しないことが判る。
これに対して、本発明に係る実施例1は、30分後の生菌数が10となって抗菌効果が得られていると共に、48時間後においても生菌数10が維持されており、抗菌効果が長時間持続していることが判る。
[試験2:実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の揮発性脂肪酸濃度の測定試験]
恒温槽に静置後、30分後、24時間後、48時間後の白水の揮発性脂肪酸濃度を、吸光光度計DR2800(HACH製)及び揮発性酸測定試薬(HACH製)を用いて測定した。
測定結果を図3に示す。
図3の測定結果より、におい物質である揮発性脂肪酸濃度が、比較例1では971→1292、比較例2では963→1215、比較例3では975→1076、対象区1では967→1485と、時間の経過と共に大きく上昇していることが判る。
これに対して、本発明に係る実施例1では、965→973と48時間後においても殆ど上昇せず、揮発性脂肪酸発生の抑制効果が長時間持続していることが判る。
[試験3:実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の溶存硫化物濃度の測定試験]
恒温槽に静置後、30分後、24時間後、48時間後の白水の溶存硫化物濃度を、吸光光度計DR2800(HACH製)及び硫化物測定試薬(HACH製)を用いて測定した。
測定結果を図4に示す。
図4の測定結果より、におい物質である溶存硫化物濃度が、比較例1では52→836、比較例2では0→380、比較例3では0→33、対象区1では158→1640と、時間の経過と共に大きく上昇していることが判る。
これに対して、本発明に係る実施例1では、0→0と48時間後においても溶存硫化物の発生が見られず、溶存硫化物発生の抑制効果が長時間持続していることが判る。
[試験4:実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の溶存酸素濃度の測定試験]
恒温槽に静置後、30分後、24時間後、48時間後の白水の溶存酸素濃度を、光学式携帯用溶存酸素計(セントラル科学株式会社製)を用いて測定した。
測定結果を図5に示す。
図5の測定結果より、溶存酸素濃度が、比較例1では20以上→0、比較例2では2.6→0、比較例3では11.6→0と、時間の経過と共に0となり、対象区1では0→0であった。
尚、通常、水に酸素は、溶存酸素濃度で8位までしか溶け込まないものである。
これに対して、本発明に係る実施例1では、20以上→16.8と48時間後においても高い溶存酸素濃度が維持されており、白水の酸化雰囲気が長時間持続していることが判る。
[試験5:実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の酸化還元電位の測定試験]
恒温槽に静置後、30分後、24時間後、48時間後の白水の酸化還元電位を、ポータブルORP計(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定した。
測定結果を図6に示す。
酸化還元電位は数値が大きい程、酸化状態であることを示すものである。
図6の測定結果より、酸化還元電位が、比較例1では−38→−204、比較例2では176→−170、比較例3では299→−103、対象区1では−196→−410と、時間の経過と共に大きく減少し、何れもマイナスになっていることが判る。
これに対して、本発明に係る実施例1では、312→48と48時間後においても、プラスを維持しており、白水の酸化雰囲気が長時間持続していることが判る。
[試験6:実施例1〜実施例5における白水の溶存酸素濃度の測定試験]
上記実施例1の亜塩素酸ナトリウム濃度は25mg/Lであるが、当該実施例1に加え、亜塩素酸ナトリウム濃度のみを変えた実施例2(亜塩素酸ナトリウム濃度は12mg/L)、実施例3(亜塩素酸ナトリウム濃度は6mg/L)、実施例4(亜塩素酸ナトリウム濃度は2mg/L)、実施例5(亜塩素酸ナトリウム濃度は1mg/L)を用意し、恒温槽に静置後、30分後、3時間後、6時間後の白水の溶存酸素濃度を、光学式携帯用溶存酸素計(セントラル科学株式会社製)を用いて測定した。
測定結果を図7に示す。
図7の測定結果より、亜塩素酸ナトリウム濃度2mg/L以上である実施例1〜実施例4の場合には、恒温槽に静置してから6時間後においても20以上の高い溶存酸素濃度が維持されているのに対して、亜塩素酸ナトリウム濃度1mg/Lの実施例5の場合には、3時間経過後で19.2、6時間経過後で12.8に低下していた。
従って、白水への亜塩素酸ナトリウムの添加濃度は2mg/L以上と成すのが好ましいことが判った。
本発明に係る紙製造工程水系の抗菌方法を示す説明図 本発明に係る実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の生菌数の測定結果を示す図表 本発明に係る実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の揮発性脂肪酸濃度の測定結果を示す図表 本発明に係る実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の溶存硫化物濃度の測定結果を示す図表 本発明に係る実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の溶存酸素濃度の測定結果を示す図表 本発明に係る実施例1と比較例1〜3、対象区1における白水の酸化還元電位の測定結果を示す図表 本発明に係る実施例1〜実施例5における白水の溶存酸素濃度の測定結果を示す図表
10 白水循環水系
12 排水処理水系
14 再利用原料供給水系
18 調成部
20 抄紙部
22 白水回収部
23 凝集槽
24 繊維回収槽
26 加圧浮上槽
28 生物処理槽
30 沈殿池
31 脱水機
32 ウルトラファインバブル生成装置





Claims (2)

  1. 紙製造工程水系の水中に酸素ウルトラファインバブルを含有させる工程と、
    紙製造工程水系の水中に抗菌剤を添加する工程
    を備えることを特徴とする紙製造工程水系の抗菌方法。
  2. 上記抗菌剤が、亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の紙製造工程水系の抗菌方法。
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