一実施形態では、本発明は、化合物Aを含有する経口医薬剤形に関し、好ましくは剤形は分散性錠剤形態であり、好ましくは剤形は商業規模で製造される。
本明細書で使用するとき、用語「分散性錠剤」とは、水性懸濁剤として経口投与するために、水相、好ましくは水に分散性である錠剤の形態である医薬製剤を意味する。
一実施形態では、本発明は、錠剤の総重量に対して5重量%〜40重量%の量で存在する化合物Aを含む分散性錠剤に関する。
一実施形態では、本発明は、錠剤の総重量に対して5重量%〜40重量%の量で存在する治療有効量の化合物Aを含む分散性錠剤に関する。
本明細書で使用するとき、用語「改善された特性」およびその派生語は、本発明の態様を利用しない製剤と比較した場合、本発明の態様を利用する分散性錠剤からの化合物Aのインビボ放出の薬物動態プロファイルにいくつかの利点を企図し、適切には製剤は商業規模で製造される。改善された特性の例としては、分散性錠剤を水性ビヒクルと混合した場合の経口バイオアベイラビリティーの増加、物理的および化学的安定性の改善、光安定性の改善、一貫した薬物動態プロファイル、改善した薬物動態プロファイル、一貫した溶解速度および安定な経口医薬製剤が挙げられる。
化合物Aは、高い透過性および低い水溶性を有することが公知である。水中では、化合物Aは過飽和溶液を形成し、ダブラフェニブ遊離塩基への迅速な溶液媒介変換または沈殿を受ける傾向がある。化合物Aの沈殿を遅延させ、長期間にわたって過飽和溶液を維持することは、インビボでのより大きな吸収を可能にするために特に重要であり、化合物Aのより高い生バイオアベイラビリティーをもたらす。
化合物Aの相対的バイオアベイラビリティーは、製剤の溶解特性に依存することが見出された。特に、化合物Aのカプセル製剤の解離速度は、ヒプロメロース(HPMC)ポリマーカプセルシェル材料の存在によって影響を受けることが見出された(Ouellet et. al., J. Pharm. Sci., 102(9): 3100-3109)。化合物Aのゼラチンおよびヒプロメロースカプセル製剤を比較したインビトロ溶解試験は、ゼラチンカプセルと比較してヒプロメロース(カプセルの総重量で20%超を占める)カプセルを用いた場合、高い溶解パーセンテージを示し、ダブラフェニブの沈殿を遅延させ、長期間にわたって過飽和溶液を維持し、より高い経口バイオアベイラビリティーをもたらした(Ouellet et. al., J. Pharm. Sci., 102(9): 3105-3107)。
一実施形態では、本発明はまた、
(a)化合物A、
(b)ヒプロメロース、および
(c)分散性錠剤の調製に適した少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤
を含む分散性錠剤に関し、ここで、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の量は、分散性錠剤の総重量に対して、活性部分の含有量の重量パーセンテージとして計算すると、分散性錠剤の総重量に対して約5重量%〜40重量%、好ましくは約15重量%であり、ヒプロメロースの量は、分散性錠剤の総重量に対して約1重量%〜25重量%、好ましくは約5重量%〜10重量%で変化し得る。
化合物Aの分散性錠剤の製剤化における1つの特定の困難は、高レベルのヒプロメロースの使用である。高レベルのヒプロメロースは、錠剤の崩壊および分散時間を延長することによって化合物Aの分散性錠剤製剤における溶解プロファイルに悪影響を及ぼし得、剤形を不利なものにし、患者への投与前に十分に分散させた水性媒体調製物を調製するのに時間がかかる。ヒプロメロースレベルを最適化することに加えて、崩壊剤の選択は、水性媒体の存在下での錠剤の微細粒子への粉砕を促進するために重要である。
1種または複数の薬学的に許容される添加剤が分散性錠剤に存在し得、例えば、従来使用されているもの、例えば、少なくとも1つの充填剤(filler)、例えばラクトース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、少なくとも1種の崩壊剤(disintegrant)、例えば架橋ポリビニルピロリジノン、例えばクロスポビドン、少なくとも1種の流動化剤(glidant)、例えばコロイド状二酸化ケイ素、少なくとも1種の滑沢剤(lubricant)、例えばステアリン酸マグネシウム。
本明細書において言及されるこれらおよび他の薬学的に許容される添加剤および手順については、主題に関する広範な文献を参照されたい。特に、参照により本明細書に組み込まれるHandbook of Pharmaceutical Excipients, Eighth Edition, edited by Paul J. Sheskey, American Pharmaceutical Association, Washington, USA and Pharmaceutical Press, London; and Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik and angrenzende Gebiete edited by H.P. Fiedler, 4th Edition, Edito Cantor, Aulendorf、および先行する版を参照されたい。
化合物Aの分散性錠剤の製剤化における別の特定の困難は、製品の表面積を増加させ、錠剤の固体粒子を一緒に保持する結合材料を軟化させるのに使用される崩壊剤の選択である。崩壊の開始時に、ヒプロメロースはその水和のために遊離水を使用してゲルを形成し、吸い上げ(毛細管作用)または膨潤に関して崩壊剤の水吸収を阻害し、それによって錠剤崩壊を延長させ得る。この現象は、製剤中のより高レベルのヒプロメロースでさらにより顕著であり、さらにより長い錠剤崩壊時間をもたらす。
本発明による適切な崩壊剤としては、限定されないが、スターチ、セルロース、架橋ポリマー、発泡剤、例えば、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルファ化スターチ、加工コーンスターチ、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、スターチグリコール酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、例えばカルシム塩およびナトリウム塩が挙げられる。本発明の一実施形態では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドン、好ましくはクロスポビドンである。クロスカルメロースナトリウムは、高濃度ではゲル化し、したがって崩壊時間を長くし得ることが見出された。
本発明は、欧州薬局方2.9.1の崩壊試験(disintegration test)に従って崩壊時間装置を用いて測定した場合の崩壊時間(すなわち、15℃〜25℃の水中での錠剤の崩壊時間)が、例えば、水性媒体中、水中で、3分以下、好ましくは3分またはそれ未満である分散性錠剤を提供する。したがって、分散性錠剤は、迅速な再構成時間を提供し、したがって、例えば、小児に投与するのに便利である。これは、患者の良好なコンプライアンスをもたらす。
「崩壊時間」とは、崩壊時間装置において、15℃〜25℃の水中で分散性錠剤が崩壊するのに必要とする時間を意味する。
本発明の分散性錠剤は、水相、好ましくは水に分散可能である。
分散は視覚的に観察し得る。崩壊は、スクリーン上に残留物が残っていない場合に達成され、または残留物がある場合は、明らかに硬くなく、湿っていないコアを有する軟質の塊からなり、またはコーティングの断片(錠剤)のみがスクリーン上に残ることが考えられる。
分散性錠剤の錠剤硬度が増加するにつれて、崩壊時間が増加し、摩損度が減少することは公知である。したがって、崩壊時間が短いことは、機械的耐久性(すなわち、高い摩損度値)が潜在的に欠如している比較的軟質の錠剤によって一般的に実証されている。しかしながら、不十分な硬度を有する錠剤は、所望される前に(すなわち、包装、輸送、貯蔵中、または摂取のために錠剤を摂取可能な水性媒体に添加する前の任意の時間で)粉砕し、細かく砕かれまたは崩壊しやすい。
本発明は、高レベルのヒプロメロース、便利な懸濁剤再構成のための短い崩壊時間、および従来のバルク製品の取り扱いおよび一次包装に耐える低い摩損度を有する化合物Aの分散性錠剤を提供することを目的とする。驚くべきことに、分散性錠剤の総重量に対して約1重量%〜13重量%の総重量で化合物Aおよびヒプロメロースを含む製剤は、欧州薬局方2.9.1の崩壊試験に従って崩壊時間装置を用いて測定した場合の崩壊時間(すなわち、15℃〜25℃の水中での錠剤の崩壊時間)は3分以下であり、100回転後、1%未満の低い摩損度を有する、急速分散組成物を生成し得ることが見出された。
本明細書で使用するとき、用語「薬物」または「活性成分」およびそれらの派生語は、他に定義されない限り、化合物AまたはN−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミド,メタンスルホン酸塩を意味する。
本明細書で使用するとき、用語「化合物B」は、遊離または無塩および非溶媒和化合物としてのN−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドを意味する。化合物Bはまた、化合物Aの量中の遊離または無塩および非溶媒和化合物の量を指す。
本明細書で使用される用語「商業規模」およびその派生語は、約20kgを超える直接圧縮混合物、適切には50kgを超える、適切には75kgを超えるバッチ規模、または少なくとも約50,000錠、適切には少なくとも75,000錠、適切には少なくとも100,000錠を調製するのに適したバッチサイズの調製を意味する。
「約」という用語は、およそ、〜の範囲内、大体、または周辺のことを意味する。「約」という用語が数値範囲と連動して使用される場合、それは、記載された数値の上下に境界を広げることによってその範囲を変動させる。一般的に、「約」という用語は、本明細書において、記述された値の上下に10%の分散で数値を変動するために使用される。
用語「有効量」およびその派生語は、例えば、研究者または臨床医によって求められている、組織、系、動物もしくはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する薬物または活性成分の量を意味する。さらに、「治療有効量」という用語は、このような量を受けていない対応する対象と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の改善された治療、治癒、予防、または向上、あるいは疾患または障害の進行速度の低下をもたらす任意の量を意味する。この用語はまた、その範囲内で、正常な生理学的機能を増強するのに有効な量を含む。
したがって、化合物Aを含有する分散性錠剤は、哺乳動物における新生物、特に感受性新生物(がんまたは腫瘍)の治療に使用され得る。本発明はまた、必要とする哺乳動物における新生物、特に感受性新生物を治療する方法を提供し、この方法は、本発明の分散性錠剤中の治療有効量の化合物Aを哺乳動物に投与することを含む。
本明細書で使用される「感受性新生物」は、キナーゼ阻害剤による治療に影響を受けやすい新生物、特にRaf阻害剤による治療に影響を受けやすい新生物を指す。1つまたは複数のRafファミリーキナーゼの不適切な活性に関連している新生物、特に、Rafファミリーキナーゼの突然変異、Rafファミリーキナーゼの過剰発現、またはRafファミリーキナーゼの上流活性化因子の突然変異もしくはRafファミリーキナーゼの上流活性化因子の過剰発現を示し、したがって、Raf阻害剤による治療に影響を受けやすい新生物は、当該技術分野において公知であり、原発性と転移性の両方の腫瘍およびがんを含む。Catalogue of Somatic Mutations in Cancer(COSMIC)、Wellcome Trust Sanger Institute、http://www.sanger.ac.uk/genetics/CGP/cosmic/および背景技術において引用されたこれらの参考文献を参照されたい。
本発明の範囲内の感受性新生物の具体例としては、限定されないが、
バレット腺癌;
胆道癌;
乳がん;
子宮頸がん;
胆管癌;
膠芽腫、星状細胞腫(多形性膠芽腫を含む)および上衣腫などの原発性CNS腫瘍ならびに続発性CNS腫瘍(すなわち、中枢神経系の外側に由来する中枢神経系の腫瘍への転移)を含む中枢神経系腫瘍;
大腸結腸癌を含む結腸直腸がん;
胃がん;
頭頸部の扁平上皮癌を含む頭頸部の癌;
急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫および赤白血病などの白血病およびリンパ腫を含む血液がん;
肝細胞癌;
小細胞肺がんおよび非小細胞肺がんを含む肺がん;
卵巣がん;
子宮内膜がん;
膵臓がん;
下垂体腺腫;
前立腺がん;
腎臓がん;
肉腫;
黒色腫を含む皮膚がん;ならびに
甲状腺がん
が挙げられる。
前述のリストは、列挙された新生物のそれぞれを個々に開示することを意図している。1つの特定の実施形態では、感受性新生物は、B−Rafにおいて突然変異を示す新生物である。
別の実施形態において、必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)において、感受性新生物(例えば、バレット腺癌;胆道癌;乳がん;子宮頸がん;胆管癌;膠芽腫、星状細胞腫(例えば、多形性膠芽腫)および上衣腫などの原発性CNS腫瘍ならびに続発性CNS腫瘍(すなわち、中枢神経系の外側に由来する中枢神経系の腫瘍への転移)を含む中枢神経系腫瘍;大腸結腸癌を含む結腸直腸がん;胃がん;頭頸部の扁平上皮癌を含む頭頸部の癌;急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫および赤白血病などの白血病およびリンパ腫を含む血液がん;肝細胞癌;小細胞肺がんおよび非小細胞肺がんを含む肺がん;卵巣がん;子宮内膜がん;膵臓がん;下垂体腺腫;前立腺がん;腎臓がん;肉腫;黒色腫を含む皮膚がん;ならびに甲状腺がん)の治療に使用するための化合物Aの分散性錠剤が提供される。
本明細書で使用される「同時投与」という用語は、化合物A、および化学療法および放射線治療などのがんの治療に有用であることが公知であるさらなる活性剤(複数可)を含有する分散性錠剤の同時投与または任意の個別の連続投与のいずれかを意味する。本明細書で使用される場合、さらなる活性剤(複数可)という用語は、がんの治療を必要とする患者に投与された場合に有利な特性が公知であるまたは実証される任意の化合物または治療剤を含む。本明細書で使用するとき、「さらなる活性剤(複数可)」は、さらなる抗新生物剤(複数可)と交換可能に使用される。好ましくは、投与が同時でない場合、化合物は、互いに非常に近い時間に投与される。さらに、化合物が同じ剤形で投与されるかどうかは問題ではない。例えば、1つの化合物は注射により投与され得、別の化合物は経口的に投与され得る。適切には、「同時投与」は、化合物A、およびさらなる活性剤を含む第2の医薬剤形を含有する分散性錠剤から本質的になる。適切には、「同時投与」は、化合物A、さらなる活性剤を含む第2の医薬剤形、および別のさらなる活性剤を含む第3の医薬剤形を含有する分散性錠剤から本質的になる。
典型的には、治療される感受性腫瘍に対して活性を有する任意の抗新生物剤は、本発明でのがんの治療において同時に投与され得る。このような薬剤の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology by V.T. Devita and S. Hellman (editors), 6th edition (February 15, 2001), Lippincott Williams & Wilkins Publishersに見出すことができる。当業者は、関与する薬物およびがんの特定の特徴に基づいて、どの薬剤の組合せが有用であるかを認識することができる。本発明において有用な典型的な抗新生物剤としては、限定されないが、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドなどの抗微小管剤;白金配位錯体;ナイトロジェンマスタード、オキサザホスホリン、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、およびトリアゼンなどのアルキル化剤;アントラサイクリン、アクチノマイシンおよびブレオマイシンなどの抗生物質剤;エピポドフィロトキシンなどのトポイソメラーゼII阻害剤;プリンおよびピリミジン類似体ならびに葉酸拮抗化合物などの代謝拮抗物質;カンプトテシンなどのトポイソメラーゼI阻害剤;ホルモンおよびホルモン類似体;シグナル伝達経路阻害剤;非受容体型チロシンキナーゼ血管新生阻害剤;免疫治療剤;アポトーシス促進剤;細胞周期シグナル伝達阻害剤;プロテアソーム阻害剤;ならびにがん代謝の阻害剤が含まれる。
現在発明されている医薬剤形と組み合わせてまたは同時に投与するためのさらなる活性剤(複数可)(抗新生物剤)の例は、化学療法剤である。
抗微小管剤または有糸***阻害剤は、細胞周期のM期または有糸***期の間、腫瘍細胞の微小管に対して活性な期特異的な薬剤である。抗微小管剤の例としては、限定されないが、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドが挙げられる。
ジテルペノイドは、天然の供給源に由来し、細胞周期のG2/M期で作動する期特異的抗がん剤である。ジテルペノイドは、微小管のβ−チューブリンサブユニットを、このタンパク質と結合することにより安定化すると考えられる。次に、このタンパク質の分解は、阻害され、有糸***が停止されて細胞死が続くようである。ジテルペノイドの例としては、限定されないがパクリタキセルおよびその類似体ドセタキセルが挙げられる。
パクリタキセル、5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサ−ヒドロキシタクス−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾエート 13−位で(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンとのエステルは、タイヘイヨウイチイの木タクスス・ブレビフォリア(Taxus brevifolia)から単離された天然のジテルペン産物であり、注射用溶液TAXOL(登録商標)として市販されている。それは、テルペンのタキサンファミリーのメンバーである。パクリタキセルは、米国において難治性の卵巣がんおよび乳がんの治療における臨床使用について承認されている。
ドセタキセル、(2R,3S)−N−カルボキシ−3−フェニルイソセリン、N−tert−ブチルエステル、13−位で5β−20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタクス−11−エン−9−オン4−アセテート2−ベンゾエートとのエステル、三水和物は、TAXOTERE(登録商標)で注射用溶液として市販されている。ドセタキセルは、乳がんの治療に適応される。ドセタキセルは、セイヨウイチイの木の針状葉から抽出される天然の前駆体、10−デアセチル−バッカチンIIIを使用して調製されるパクリタキセル(上記を参照)の半合成の誘導体である。ドセタキセルの用量制限毒性は好中球減少症である。
ビンカアルカロイドは、ツルニチニチソウ植物由来の期特異的抗新生物剤である。ビンカアルカロイドは、チューブリンに特異的に結合することによって細胞周期のM期(有糸***)で作用する。その結果、結合されたチューブリン分子は、微小管に重合することができない。有糸***は、中期に停止し、その後、細胞死が起こると考えられている。ビンカアルカロイドの例としては、限定されないが、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビンが挙げられる。
ビンブラスチン、硫酸ビンカロイコブラスチンは、VELBAN(登録商標)
で注射用溶液として市販されている。それは様々な固形腫瘍の第二選択治療として潜在的な適応を有するが、それは主に精巣がん、およびホジキン病を含む様々なリンパ腫;ならびにリンパ球性および組織球性リンパ腫の治療に適応される。骨髄抑制は、ビンブラスチンの用量制限副作用である。
ビンクリスチン、ビンカロイコブラスチン、22−オキソ−、硫酸塩は、ONCOVIN(登録商標)で注射用溶液として市販されている。ビンクリスチンは、急性白血病の治療に適応され、ホジキンおよび非ホジキン悪性リンパ腫の治療レジメンへの使用も見出されている。脱毛症および神経学的効果は、ビンクリスチンの最も一般的な副作用であり、より少ない程度で骨髄抑制および胃腸粘膜炎効果が起こる。
ビノレルビン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−C’−ノルビンカロイコブラスチン[R−(R*、R*)−2,3−ジヒドロキシブタンジオエート(1:2)(塩)]は、酒石酸ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))の注射用溶液として市販され、半合成ビンカアルカロイドである。ビノレルビンは、様々な固形腫瘍、特に非小細胞肺がん、進行性乳がん、およびホルモン抵抗性前立腺がんの治療において、単剤としてまたはシスプラチンなどの他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制は、ビノレルビンの最も一般的な用量制限副作用である。
白金配位錯体は、DNAと相互作用する、非期特異的抗がん剤である。白金錯体は、腫瘍細胞に入り込み、アクア化を受け、DNAと鎖内および鎖間架橋を形成し、腫瘍に有害な生物学的作用を引き起こす。白金配位錯体の例としては、限定されないが、シスプラチンおよびカルボプラチンが挙げられる。
シスプラチン、cis−ジアンミンジクロロ白金は、PLATINOL(登録商標)で注射用溶液として市販されている。シスプラチンは、主に転移性精巣がんおよび卵巣がんならびに進行性膀胱がんの治療に適応される。シスプラチンの主な用量制限副作用は、水和および利尿によって制御され得る腎毒性であり、および耳毒性である。
カルボプラチン、白金、ジアンミン[1,1−シクロブタン−ジカルボキシレート(2−)−O,O’]は、PARAPLATIN(登録商標)で注射用溶液として市販されている。カルボプラチンは、主に進行性卵巣癌の第一選択治療および第二選択治療に適応される。骨髄抑制は、カルボプラチンの用量制限毒性である。
アルキル化剤は、非相抗がん特異的薬剤および強力な求電子剤である。典型的には、アルキル化剤は、アルキル化により、ホスフェート、アミノ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、カルボキシル、およびイミダゾール基などのDNA分子の求核部分を介してDNAと共有結合を形成する。このようなアルキル化は、核酸機能を破壊して細胞死をもたらす。アルキル化剤の例としては、限定されないが、シクロホスファミド、メルファラン、およびクロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード;ブスルファンなどのアルキルスルホネート;カルムスチンなどのニトロソウレア;およびダカルバジンなどのトリアゼンが挙げられる。
シクロホスファミド、2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン2−オキシド一水和物は、CYTOXAN(登録商標)で注射用溶液または錠剤として市販されている。シクロホスファミドは、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、および白血病の治療において、単剤としてまたは他の化学療法剤と組み合わせて適応される。脱毛症、吐き気、嘔吐および白血球減少症は、シクロホスファミドの最も一般的な用量制限副作用である。
メルファラン、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−L−フェニルアラニンは、ALKERAN(登録商標)で注射用溶液または錠剤として市販されている。メルファランは、多発性骨髄腫および卵巣の切除不能な上皮癌の緩和治療に適応される。骨髄抑制は、メルファランの最も一般的な用量制限副作用である。
クロラムブシル、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゼンブタン酸は、LEUKERAN(登録商標)錠剤として市販されている。クロラムブシルは、慢性リンパ性白血病、およびリンパ肉腫、巨大濾胞性リンパ腫、およびホジキン病などの悪性リンパ腫の緩和治療に適応される。骨髄抑制は、クロラムブシルの最も一般的な用量制限副作用である。
ブスルファン、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートは、MYLERAN(登録商標)錠剤として市販されている。ブスルファンは、慢性骨髄性白血病の緩和治療に適応される。骨髄抑制は、ブスルファンの最も一般的な用量制限副作用である。
カルムスチン、1,3−[ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレアは、BiCNU(登録商標)で凍結乾燥材料の単一バイアルとして市販されている。カルムスチンは、脳腫瘍、多発性骨髄腫、ホジキン病、および非ホジキンリンパ腫に対して、単剤としてまたは他の薬剤と組み合わせて緩和治療に適応される。遅発性骨髄抑制は、カルムスチンの最も一般的な用量制限副作用である。
ダカルバジン、5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドは、DTIC−Dome(登録商標)で材料の単一バイアルとして市販されている。ダカルバジンは、転移性悪性黒色腫の治療、またホジキン病の第二選択治療として他の薬剤と組み合わせて適応される。吐き気、嘔吐、および食欲不振は、ダカルバジンの最も一般的な用量制限副作用である。
抗生物質抗新生物剤は、DNAと結合またはインターカレートする非期特異的薬剤である。典型的には、このような作用は、安定なDNA複合体または鎖切断をもたらし、これは核酸の通常の機能を破壊して細胞死をもたらす。抗生物質抗新生物剤の例としては、限定されないが、ダクチノマイシンなどのアクチノマイシン、ダウノルビシンおよびドキソルビシンなどのアントロサイクリン、ならびにブレオマイシンが挙げられる。
ダクチノマイシンは、アクチノマイシンDとしても公知であり、COSMEGEN(登録商標)として注射可能な形態で市販されている。ダクチノマイシンは、ウィルムス腫瘍および横紋筋肉腫の治療に適応される。吐き気、嘔吐、および食欲不振は、ダクチノマイシンの最も一般的な用量制限副作用である。
ダウノルビシン、(8S−cis−)−8−アセチル−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、DAUNOXOME(登録商標)でリポソーム注射剤形として、またはCERUBIDINE(登録商標)で注射剤として市販されている。ダウノルビシンは、急性非リンパ球性白血病および進行性HIV関連カポジ肉腫の治療における寛解導入に適応される。骨髄抑制は、ダウノルビシンの最も一般的な用量制限副作用である。
ドキソルビシン、(8S,10S)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ]−8−グリコロイル、7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、RUBEX(登録商標)またはADRIAMYCIN RDF(登録商標)で注射用形態として市販されている。ドキソルビシンは、急性リンパ芽球性白血病および急性骨髄芽球性白血病の治療に主に適応されるが、一部の固形腫瘍およびリンパ腫の治療にも有用な成分である。骨髄抑制は、ドキソルビシンの最も一般的な用量制限副作用である。
ブレオマイシンは、ストレプトミセス・ベルチシルス(Streptomyces verticillus)株から単離された細胞傷害性糖ペプチド抗生物質の混合物であり、BLENOXANE(登録商標)として市販されている。ブレオマイシンは、扁平上皮癌、リンパ腫、および精巣癌の緩和治療として、単剤としてまたは他の薬剤と組み合わせて適応される。肺毒性および皮膚毒性は、ブレオマイシンの最も一般的な用量制限副作用である。
トポイソメラーゼII阻害剤には、限定されないが、エピポドフィロトキシンが含まれる。
エピポドフィロトキシンは、マンドレーク植物由来の期特異的抗新生物剤である。エピポドフィロトキシンは、典型的には、トポイソメラーゼIIおよびDNAと三元複合体を形成することによって細胞周期のS期およびG2期の細胞に影響を及ぼし、DNA鎖の切断を引き起こす。鎖切断は蓄積し、細胞死へと続く。エピポドフィロトキシンの例としては、限定されないが、エトポシドおよびテニポシドが挙げられる。
エトポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]は、VePESID(登録商標)で注射用溶液またはカプセル剤としてとして市販され、一般的にはVP−16として公知である。エトポシドは、精巣がんおよび非小細胞肺がんの治療において、単剤としてまたは他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制は、エトポシドの最も一般的な副作用である。白血球減少症の発生率は、血小板減少症よりも重症になる傾向がある。
テニポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−テニリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射用溶液としてVUMON(登録商標)で市販されており、一般的にはVM−26として公知である。テニポシドは、小児の急性白血病の治療において、単剤としてまたは他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制は、テニポシドの最も一般的な用量制限副作用である。テニポシドは、白血球減少症と血小板減少症の両方を誘発することがある。
代謝拮抗性新生物剤は、DNA合成を阻害することによって、またはプリンもしくはピリミジン塩基合成を阻害することによって、細胞周期のS期(DNA合成)で作用し、それによりDNA合成を制限する期特異的抗新生物剤である。その結果、S期は進行せず、細胞死へと続く。代謝拮抗性抗新生物剤の例としては、限定されないが、フルオロウラシル、メトトレキセート、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、およびゲムシタビンが挙げられる。
5−フルオロウラシル、5−フルオロ−2,4−(1H、3H)ピリミジンジオンは、フルオロウラシルとして市販されている。5−フルオロウラシルの投与は、チミジル酸合成の阻害をもたらし、またRNAとDNAの両方に組み込まれる。結果は、典型的には細胞死である。5−フルオロウラシルは、***、結腸、直腸、胃および膵臓の癌の治療において、単剤としてまたは他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制および粘膜炎は、5−フルオロウラシルの用量制限副作用である。他のフルオロピリミジン類似体には、5−フルオロデオキシウリジン(フロキシウリジン)および5−フルオロデオキシウリジン一リン酸塩が含まれる。
シタラビン、4−アミノ−1−β−D−アラビノフラノシル−2(1H)−ピリミジノンは、CYTOSAR−U(登録商標)として市販され、一般的にはAra−Cとして公知である。シタラビンは、成長するDNA鎖へのシタラビンの末端組み込みによってDNA鎖の伸長を阻害することにより、S期で細胞期特異性を示すと考えられている。シタラビンは、急性白血病の治療において単剤としてまたは他の化学療法剤と組み合わせて適応される。他のシチジン類似体には、5−アザシチジンおよび2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)が含まれる。シタラビンは、白血球減少症、血小板減少症、および粘膜炎を誘導する。
メルカプトプリン、1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオン一水和物は、PURINETHOL(登録商標)として市販されている。メルカプトプリンは、まだ特定されていないメカニズムによってDNA合成を阻害することにより、S期で細胞期特異性を示す。メルカプトプリンは、急性白血病の治療において、単剤としてまたは他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制および胃腸粘膜炎は、高用量ではメルカプトプリンの副作用が予想される。有用なメルカプトプリン類似体は、アザチオプリンである。
チオグアニン、2−アミノ−1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオンは、TABLOID(登録商標)として市販されている。チオグアニンは、まだ特定されていないメカニズムによってDNA合成を阻害することにより、S期で細胞期特異性を示す。チオグアニンは、急性白血病の治療において、単剤としてまたは他の化学療法剤と組み合わせて適応される。白血球減少症、血小板減少症、および貧血を含む骨髄抑制は、チオグアニン投与の最も一般的な用量制限副作用である。しかしながら、胃腸の副作用が起こり、用量制限性であり得る。他のプリン類似体には、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、フルダラビンホスフェート、およびクラドリビンが含まれる。
ゲムシタビン、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジン一塩酸塩(β異性体)は、GEMZAR(登録商標)として市販されている。ゲムシタビンは、S期で、およびG1/S境界を通る細胞の進行を阻止することによって細胞期特異性を示す。ゲムシタビンは、局所進行性非小細胞肺がんの治療においてシスプラチンと組み合わせて適応され、局所進行性膵臓がんの治療において単独で適応される。白血球減少症、血小板減少症、および貧血を含む骨髄抑制は、ゲムシタビン投与の最も一般的な用量制限副作用である。
メトトレキセート、N−[4[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸は、メトトレキセートナトリウムとして市販されている。メトトレキセートは、プリンヌクレオチドおよびチミジル酸の合成に必要とされるジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害を介して、DNA合成、修復および/または複製を阻害することにより、特にS期に細胞相効果を示す。メトトレキセートは、絨毛癌、髄膜白血病、非ホジキンリンパ腫、ならびに***、頭部、頸部、卵巣および膀胱の癌の治療において、単剤または他の化学療法剤と、組み合わせて適応される。骨髄抑制(白血球減少症、血小板減少症、および貧血)および粘膜炎は、メトトレキセート投与の副作用が予想される。
カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体を含むカンプトテシンは、トポイソメラーゼI阻害剤として入手可能であるかまたは開発中である。カンプトテシンの細胞傷害活性は、そのトポイソメラーゼI阻害活性に関連していると考えられている。カンプトテシンの例としては、限定されないが、イリノテカン、トポテカン、および下記の7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20−カンプトテシンの様々な光学形態が挙げられる。
イリノテカンHCl、(4S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−9−[(4−ピペリジノピペリジノ)カルボニルオキシ]−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン塩酸塩は,注射用溶液CAMPTOSAR(登録商標)として市販されている。
イリノテカンは、その活性代謝物SN−38とともに、トポイソメラーゼI−DNA複合体に結合するカンプトテシンの誘導体である。細胞傷害性は、トポイソメラーゼI:DNA:イリンテカンまたはSN−38三元複合体と複製酵素の相互作用によって引き起こされる修復不可能な二本鎖切断の結果として生じると考えられている。イリノテカンは、結腸または直腸の転移性がんの治療に適応される。塩酸イリノテカンの用量制限副作用は、好中球減少症を含む骨髄抑制、および下痢を含む消化管作用である。
トポテカンHCl、(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオン一塩酸塩は、注射用溶液HYCAMTIN(登録商標)として市販されている。トポテカンは、トポイソメラーゼI−DNA複合体に結合し、DNA分子のねじれ歪みに応答してトポイソメラーゼIによって引き起こされる一本鎖切断の再結合を防ぐカンプトテシンの誘導体である。トポテカンは、卵巣がんおよび小細胞肺がんの転移癌の第二選択治療に適応される。トポテカンHClの用量制限副作用は、骨髄抑制、主に好中球減少症である。
また興味深いのは、ラセミ混合物(R、S)形態ならびにRおよびSエナンチオマーを含む、下記式A:
のカンプトテシン誘導体であり、化学名「7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(R、S)−カンプトテシン」(ラセミ混合物)または「7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(R)−カンプトテシン」(Rエナンチオマー)または「7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(S)−カンプトテシン」(Sエナンチオマー)により公知である。このような化合物ならびに関連化合物は、作製方法を含めて、米国特許第6,063,923号;同第5,342,947号;同第5,559,235号;および同第5,491,237号に記載されている。
ホルモンおよびホルモン類似体は、ホルモンとがんの成長および/またはがんの成長の欠如との間に関係があるがんの治療に有用な化合物である。がん治療に有用なホルモンおよびホルモン類似体の例としては、限定されないが、小児における悪性リンパ腫および急性白血病の治療に有用であるプレドニゾンおよびプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド;エストロゲン受容体を含む副腎皮質癌およびホルモン依存性乳癌の治療に有用である、アミノグルテチミド、ならびにアナストロゾール、レトラゾール、ボラゾール、およびエキセメスタンなどの他のアロマターゼ阻害剤;ホルモン依存性乳がんおよび子宮内膜癌の治療に有用である、酢酸メゲストロールなどのプロゲストリン;前立腺癌および良性前立腺肥大症の治療に有用である、エストロゲン、アンドロゲン、ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロンなどの抗アンドロゲン、ならびにフィナステリドおよびデュタステリドなどの5α−レダクターゼ;ホルモン依存性乳癌および他の感受性がんの治療に有用である、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェンなどの抗エストロゲン、ならびに米国特許第5,681,835号、同第5,877,219号、および同第6,207,716号に記載されているものなどの選択的エストロゲン受容体調節剤(SERMS);ならびに前立腺癌の治療のための黄体形成ホルモン(LH)および/または卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を刺激するゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)およびその類似体、例えば、LHRHアゴニストおよび酢酸ゴセレリンおよびルプロリドなどのアンタゴニストが挙げられる。
シグナル伝達経路阻害剤は、細胞内変化を引き起こす化学プロセスを遮断または阻害するそれらの阻害剤である。本明細書で使用するとき、この変化は細胞増殖または分化である。本発明において有用なシグナル伝達阻害剤には、受容体型チロシンキナーゼ、非受容体型チロシンキナーゼ、SH2/SH3ドメイン遮断剤、セリン/スレオニンキナーゼ、ホスホチジルイノシトール−3キナーゼ、ミオ−イノシトールシグナル伝達、およびRas癌遺伝子の阻害剤が含まれる。
いくつかのタンパク質チロシンキナーゼは、細胞成長の調節に関与する様々なタンパク質中の特定のチロシル残基のリン酸化を触媒する。このようなタンパク質チロシンキナーゼは、受容体または非受容体型キナーゼとして広く分類することができる。
受容体型チロシンキナーゼは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびチロシンキナーゼドメインを有する膜貫通タンパク質である。受容体型チロシンキナーゼは、細胞成長の調節に関与し、一般的に、成長因子受容体と呼ばれている。これらのキナーゼの多くの不適切または制御されない活性化、すなわち、例えば過剰発現または突然変異による異常なキナーゼ成長因子受容体活性は、制御されない細胞成長をもたらすことが示されている。したがって、このようなキナーゼの異常な活性は、悪性組織の成長に関連している。結果として、このようなキナーゼの阻害剤は、がん治療方法を提供することができた。成長因子受容体には、例えば、上皮細胞増殖因子受容体(EGFr)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFr)、erbB2、erbB4、血管内皮増殖因子受容体(VEGFr)、免疫グロブリン様であり、上皮細胞増殖因子相同ドメインを含むチロシンキナーゼ(TIE−2)、インスリン増殖因子−I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkB、およびTrkC)、エフリン(eph)受容体、およびRETプロトオンコジーンが含まれる。成長受容体のいくつかの阻害剤は開発中であり、リガンドアンタゴニスト、抗体、チロシンキナーゼ阻害剤およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。成長因子受容体および成長因子受容体機能を阻害する薬剤は、例えば、Kath, John C., Exp. Opin. Ther. Patents (2000) 10(6):803-818; Shawver et al DDT Vol 2, No. 2 February 1997;およびLofts, F. J. et al, “Growth factor receptors as targets”, New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy, ed. Workman, Paul and Kerr, David, CRC press 1994, Londonに記載されている。
成長因子受容体型キナーゼではないチロシンキナーゼは、非受容体型チロシンキナーゼと呼ばれる。抗がん薬の標的または潜在的な標的である、本発明において使用するための非受容体型チロシンキナーゼには、cSrc、Lck、Fyn、Yes、Jak、cAbl、FAK(焦点接着キナーゼ)、Brutonsチロシンキナーゼ、およびBcr−Ablが含まれる。このような非受容体型キナーゼおよび非受容体型チロシンキナーゼ機能を阻害する薬剤は、Sinh, S. and Corey, S.J., (1999) Journal of Hematotherapy and Stem Cell Research 8 (5): 465-80;およびBolen, J.B., Brugge, J.S., (1997) Annual review of Immunology. 15: 371-404に記載されている。
SH2/SH3ドメイン遮断剤は、PI3−K p85サブユニット、Srcファミリーキナーゼ、アダプター分子(Shc、Crk、Nck、Grb2)およびRas−GAPを含む様々な酵素またはアダプタータンパク質においてSH2またはSH3ドメイン結合を破壊する薬剤である。抗がん薬の標的としてのSH2/SH3ドメインは、Smithgall, T.E. (1995), Journal of Pharmacological and Toxicological Methods. 34(3) 125-32において検討されている。
セリン/スレオニンキナーゼの阻害剤は、MAPキナーゼカスケード遮断剤を含み、これは、マイトジェンまたは細胞外調節キナーゼ(MEK)、および細胞外調節キナーゼ(ERK)の遮断剤;およびPKC(アルファ、ベータ、ガンマ、イプシロン、ミュー、ラムダ、イオタ、ゼータ)、IkBキナーゼファミリー(IKKa、IKKb)、PKBファミリーキナーゼ、aktキナーゼファミリーメンバー、PDK1およびTGFベータ受容体型キナーゼの遮断剤を含むプロテインキナーゼCファミリーメンバーの遮断剤を含む。このようなセリン/スレオニンキナーゼおよびそれらの阻害剤は、Yamamoto, T., Taya, S., Kaibuchi, K., (1999), Journal of Biochemistry. 126 (5) 799-803;Brodt, P, Samani, A., and Navab, R. (2000), Biochemical Pharmacology, 60. 1101-1107;Massague, J., Weis-Garcia, F. (1996) Cancer Surveys. 27:41-64;Philip, P.A., and Harris, A.L. (1995), Cancer Treatment and Research. 78: 3-27;Lackey, K. et al Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, (10), 2000, 223-226;米国特許第6,268,391号;Pearce, L.R et al. Nature Reviews Molecular Cell Biology (2010) 11, 9-22;およびMartinez-Iacaci, L., et al, Int. J. Cancer (2000), 88(1), 44-52に記載されている。
適切には、本発明の薬学的に活性な化合物は、MEK阻害剤と組み合わせて使用される。適切には、全体の開示が参照により本明細書に組み込まれる、国際出願日が2005年6月10日である国際出願第PCT/JP2005/011082号に開示され、請求されるN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドは、国際出願第PCT/JP2005/011082号に記載されるように調製することができる。
適切には、本発明の薬学的に活性な化合物は、Akt阻害剤と組み合わせて使用される。適切には、N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩は、国際出願日が2008年2月7日である国際出願第PCT/US2008/053269号;国際公開日が2008年8月14日である国際公開番号WO2008/098104に開示および請求され、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドは実施例96の化合物であり、国際出願第PCT/US2008/053269号に記載されるように調製することができる。適切には、N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミドは、塩酸塩の形態である。塩形態は、国際出願日が2010年1月28日である国際出願第PCT/US2010/022323号の記載から当業者によって調製され得る。
PI3−キナーゼ、ATM、DNA−PK、およびKuの遮断剤を含むホスホチジルイノシトール−3キナーゼファミリーメンバーの阻害剤はまた本発明において有用であり得る。このようなキナーゼは、Abraham, R.T. (1996), Current Opinion in Immunology. 8 (3) 412-8;Canman, C.E., Lim, D.S. (1998), Oncogene 17 (25) 3301-3308;Jackson, S.P. (1997), International Journal of Biochemistry and Cell Biology. 29 (7):935-8;およびZhong, H. et al, Cancer res, (2000) 60(6), 1541-1545において検討されている。
また本発明において興味深いのは、ホスホリパーゼC遮断剤およびミオイノシトール類似体などのミオイノシトールシグナル伝達阻害剤である。このようなシグナル阻害剤は、Powis, G., and Kozikowski A., (1994) New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy ed., Paul Workman and David Kerr, CRC press 1994, Londonに記載されている。
別の群のシグナル伝達経路阻害剤は、Ras癌遺伝子の阻害剤である。このような阻害剤には、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニル−ゲラニルトランスフェラーゼ、およびCAAXプロテアーゼの阻害剤、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムおよび免疫療法が含まれる。このような阻害剤は、野生型変異体rasを含有する細胞においてras活性化を遮断し、それによって抗増殖剤として作用することが示されている。Ras癌遺伝子阻害は、Scharovsky, O.G., Rozados, V.R., Gervasoni, S.I. Matar, P. (2000), Journal of Biomedical Science. 7(4) 292-8;Ashby, M.N. (1998), Current Opinion in Lipidology. 9 (2) 99-102;およびBioChim. Biophys. Acta, (19899) 1423(3):19-30において検討されている。
上記のように、受容体型キナーゼリガンド結合に対する抗体アンタゴニストはまたシグナル伝達阻害剤として役割を果たす。この群のシグナル伝達経路阻害剤は、受容体型チロシンキナーゼの細胞外リガンド結合ドメインに対するヒト化抗体の使用を含む。例えば、Imclone C225 EGFR特異的抗体(Green, M.C. et al, Monoclonal Antibody Therapy for Solid Tumors, Cancer Treat. Rev., (2000), 26(4), 269-286参照);Herceptin(登録商標)erbB2抗体;および2CB VEGFR2特異的抗体(Brekken, R.A. et al, Selective Inhibition of VEGFR2 Activity by a monoclonal Anti-VEGF antibody blocks tumor growth in mice, Cancer Res. (2000) 60, 5117-5124参照)。
非受容体型キナーゼ血管新生阻害剤はまた本発明において有用であり得る。血管新生関連のVEGFRおよびTIE2の阻害剤は、シグナル伝達阻害剤に関して上記で検討されている(両方の受容体は受容体型チロシンキナーゼである)。erbB2およびEGFRの阻害剤は血管新生、主にVEGF発現を阻害することが示されているため、血管新生は、一般的に、erbB2/EGFRシグナル伝達に関連している。したがって、非受容体型チロシンキナーゼ阻害剤は、本発明の化合物と組み合わせて使用され得る。例えば、VEGFR(受容体型チロシンキナーゼ)を認識しないが、リガンドに結合する抗VEGF抗体;血管新生を阻害するインテグリンの小分子阻害剤(アルファv ベータ3);エンドスタチンおよびアンジオスタチン(非RTK)はまた、開示された化合物と組み合わせて有用であることが証明され得る。
免疫療法レジメンにおいて使用される薬剤はまた、式(I)の化合物と組み合わせて有用であり得る。免疫応答を生じさせるための免疫学的戦略は数多くある。これらの戦略は、一般的に腫瘍ワクチン接種の分野にある。免疫学的アプローチの有効性は、小分子阻害剤を用いてシグナル伝達経路を組み合わせて阻害することによって大いに増強され得る。erbB2/EGFRに対する免疫学的/腫瘍ワクチンアプローチの検討は、Reilly RT et al. (2000), Cancer Res. 60: 3569-3576;およびChen Y, Hu D, Eling DJ, Robbins J, and Kipps TJ. (1998), Cancer Res. 58: 1965-1971に見出される。
アポトーシス促進レジメンにおいて使用される薬剤(例えば、bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチド)はまた、本発明の組み合わせにおいて使用され得る。タンパク質のBcl−2ファミリーのメンバーは、アポトーシスを遮断する。したがって、bcl−2のアップレギュレーションは、化学療法抵抗性と関連している。研究は、上皮細胞増殖因子(EGF)がbcl−2ファミリーの抗アポトーシスメンバー(すなわち、mcl−1)を刺激することを示している。したがって、腫瘍におけるbcl−2の発現をダウンレギュレーションするように設計された戦略、すなわちGentaのG3139 bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチドは、臨床上の利点を示している。bcl−2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド戦略を用いるこのようなアポトーシス促進戦略は、Water JS et al. (2000), J. Clin. Oncol. 18: 1812-1823;およびKitada S et al. (1994), Antisense Res. Dev. 4: 71-79において検討されている。
細胞周期シグナル伝達阻害剤は、細胞周期の制御に関与する分子を阻害する。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と呼ばれるタンパク質キナーゼのファミリー、およびサイクリンと呼ばれるタンパク質のファミリーとのそれらの相互作用は、真核細胞周期を介した進行を制御する。細胞周期を介した正常な進行には、異なるサイクリン/CDK複合体の協調的活性化および不活性化が必要である。細胞周期シグナル伝達のいくつかの阻害剤が開発中である。例えば、CDK2、CDK4、およびCDK6を含むサイクリン依存性キナーゼおよびそれに対する阻害剤の例は、例えば、Rosania et al, Exp. Opin. Ther. Patents (2000) 10(2):215-230に記載されている。さらに、p21WAF1/CIP1は、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)の強力であり、普遍的な阻害剤として記載されている(Ball et al., Progress in Cell Cycle Res., 3: 125 (1997))。p21WAF1/CIP1の発現を誘導することが公知である化合物は、細胞増殖の抑制および腫瘍抑制活性を有することに関与しており(Richon et al., Proc. Nat Acad. Sci. U.S.A. 97(18): 10014-10019 (2000))、および細胞周期シグナル伝達阻害剤として含まれる。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤は、p21WAF1/CIP1の転写活性化に関与しており(Vigushin et al., Anticancer Drugs, 13(1): 1-13 (Jan 2002))、本明細書における使用に適した細胞周期シグナル伝達阻害剤である。
このようなHDAC阻害剤の例には、以下のものが含まれる。
1.ボリノスタット、その薬学的に許容される塩を含む。Marks et al., Nature Biotechnology 25, 84 to 90 (2007); Stenger, Community Oncology 4, 384-386 (2007)。ボリノスタットは、以下の化学構造および名称を有する。
N−ヒドロキシ−N’−フェニル−オクタンジアミド
2.ロミデプシン、その薬学的に許容される塩を含む。Vinodhkumar et al., Biomedicine & Pharmacotherapy 62 (2008) 85-93。ロミデプシンは、以下の化学構造および名称を有する。
(1S,4S,7Z,10S,16E,21R)−7−エチリデン−4,21−ジ(プロパン−2−イル)−2−オキサ−12,13−ジチア−5,8,20,23−テトラザビシクロ[8.7.6]トリコス−16−エン−3,6,9,19,22−ペントン
3.パノビノスタット、その薬学的に許容される塩を含む。Drugs of the Future 32(4): 315-322 (2007)。パノビノスタットは、以下の化学構造式および名称を有する。
(2E)−N−ヒドロキシ−3−[4−({[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ}メチル)フェニル]アクリルアミド
4.バルプロ酸、その薬学的に許容される塩を含む。Gottlicher, et al., EMBO J. 20(24): 6969-6978 (2001)。バルプロ酸は、以下の化学構造および名称を有する。
2−プロピルペンタン酸
5.モセチノスタット(MGCD0103)、その薬学的に許容される塩を含む。Balasubramanian et al., Cancer Letters 280: 211-221 (2009)。モセチノスタットは、以下の化学構造および名称を有する。
N−(2−アミノフェニル)−4−[[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]メチル]ベンズアミド
このようなHDAC阻害剤のさらなる例は、Bertrand European Journal of Medicinal Chemistry 45, (2010) 2095-2116に含まれ、特に下記に示される、この文献中の以下の表にある化合物である。
プロテアソーム阻害剤は、p53タンパク質のように、タンパク質を分解する細胞複合体であるプロテアソームの作用を遮断する薬物である。いくつかのプロテアソーム阻害剤は、がんの治療において市販され、または研究されている。本明細書において使用するのに適切なプロテアソーム阻害剤には、以下のものが含まれる。
1.ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、その薬学的に許容される塩を含む。Adams J, Kauffman M (2004), Cancer Invest 22 (2): 304-11。ボルテゾミブは、以下の化学構造および名称を有する。
[(1R)−3−メチル−1−({(2S)−3−フェニル−2−[(ピラジン−2−イルカルボニル)アミノ]プロパノイル}アミノ)ブチル]ボロン酸
2.ジスルフィラム、その薬学的に許容される塩を含む。Bouma et al. (1998). J. Antimicrob. Chemother. 42 (6): 817-20。ジスルフィラムは、以下の化学構造および名称を有する。
1,1’,1’’,1’’’−[ジスルファンジイルビス(カルボノチオイルニトリロ)]テトラエタン
3.エピガロカテキンガレート(EGCG)、その薬学的に許容される塩を含む。Williamson et al., (December 2006), The Journal of Allergy and Clinical Immunology 118 (6): 1369-74。エピガロカテキンガレートは、以下の化学構造および名称を有する。
[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート
4.サリノスポラミドA、その薬学的に許容される塩を含む。Feling et at., (2003), Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 42 (3): 355-7。サリノスポラミドAは、以下の化学構造および名称を有する。
(4R,5S)−4−(2−クロロエチル)−1−((1S)−シクロヘキサ−2−エニル(ヒドロキシ)メチル)−5−メチル−6−オキサ−2−アザビシクロ3.2.0ヘプタン−3,7−ジオン
がん代謝阻害剤−多数の腫瘍細胞は、正常組織とは著しく異なる代謝を示す。例えば、解糖の速度、すなわちグルコースをピルビン酸に変換する代謝プロセスが増加し、生成されたピルビン酸は、トリカルボン酸(TCA)サイクルを介してミトコンドリア内でさらに酸化されるというよりはむしろ、乳酸に還元される。この効果は、多くの場合、好気的条件下でさえ見られ、ワールブルク効果として公知である。
乳酸デヒドロゲナーゼA(LDH−A)は、筋肉細胞で発現される乳酸デヒドロゲナーゼのアイソフォームであり、ピルビン酸から乳酸への還元を行うことによって、腫瘍細胞の代謝に中心的な役割を果たし、次に、細胞の外へ送り出され得る。この酵素は、多数の種類の腫瘍においてアップレギュレートされることが示されている。ワールブルク効果に記載されているグルコース代謝の変化は、がん細胞の成長および増殖に重要であり、RNA−iを用いたLDH−Aのノックダウンは、異種移植モデルにおける細胞増殖および腫瘍成長の減少をもたらすことが示されている。
D. A. Tennant et. al., Nature Reviews, 2010, 267.
P. Leder, et. al., Cancer Cell, 2006, 9, 425.
LDH−Aの阻害剤を含むがん代謝の阻害剤は、本発明の製剤と組み合わせて使用するのに適している。
本発明による適切な充填剤としては、限定されないが、リン酸カルシウム(例えば、二塩基性および三塩基性、水和または無水)、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、噴霧乾燥または無水ラクトース、セルロース(例えば、微結晶性セルロース、粉末セルロース)、アルファ化スターチ、スターチ、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、マルトデキストリン、粉末糖、圧縮糖、スクロース、デキストロース、およびイノシトールが挙げられる。水をほとんど含まないまたは全く含まない充填剤は、本発明の錠剤に適している。本発明の一実施形態では、充填剤は、マンニトールおよび微結晶性セルロースの一方または両方を含む。
本発明による適切な流動化剤としては、限定されないが、シリカ;コロイド状シリカ、例えば、無水コロイド状シリカ、例えば、Aerosil(登録商標)、Cab−O−Sil(登録商標)、およびタルク、例えば、Luzenac Phama(登録商標)が挙げられる。本発明の一実施形態では、流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
本発明による適切な滑沢剤としては、限定されないが、ステアリン酸Mg、Al、またはCa、PEG4000−8000、安息香酸ナトリウム、例えば、200〜800ダルトンの分子量を有するグリセリルモノ脂肪酸、例えば、モノステアリン酸グリセリル(例えば、Danisco、UK)、ジベヘン酸グリセリル(例えば、CompritolATO888TM、Gattefosse フランス)、グリセリルパルミト−ステアリン酸エステル(例えば、Precirol(商標)、Gattefosse フランス)、ポリオキシエチレングリコール(PEG、BASF)、水素化綿実油(Lubitrab、Edward、Mendell Co Inc.)、ヒマシ油(Cutina HR、Henkel)が挙げられる。本発明の一実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
本発明によれば、充填剤の量は、分散性錠剤の総重量に対して約35重量%〜70重量%の範囲内、特に約65重量%で変化し得る。崩壊剤の量は、分散性錠剤の総重量に対して約2.5重量%〜13重量%、特に約5重量%〜10重量%の範囲内で変化し得る。ヒプロメロースの量は、分散性錠剤の総重量に対して約1重量%〜13重量%、特に約5重量%〜10重量%の範囲で変化し得る。流動化剤の量は、分散性錠剤の総重量に対して約0.1重量%〜2.5重量%、特に約0.1重量%〜0.5重量%の範囲内で変化し得る。滑沢剤の量は、分散性錠剤の総重量に対して約0.1重量%〜2重量%、好ましくは約0.1重量%〜1.5重量%であり得る。
本発明の一実施形態では、分散性錠剤は、以下の薬学的に許容される添加剤を含む:分散性錠剤の総重量に対して総量が約65重量%である1種または複数の充填剤、分散性錠剤の総重量に対して総量が約5重量%〜10重量%であるヒプロメロース;分散性錠剤の総重量に対して総量が約5重量%〜10重量%である1種もしくは複数の崩壊剤、分散性錠剤の総重量に対して総量が約0.1重量%〜0.5重量%である1種または複数の流動化剤、および/または分散性錠剤の総重量に対して総量が約0.1重量%〜1.5重量%である1種若しくは複数の滑沢剤。
本発明によれば、分散性錠剤を調製する方法は、内相を顆粒化し、それを1種または複数の薬学的に許容される添加剤と混合し、得られた混合物を圧縮することを含む。
内相は、化合物Aを含む。好ましくは、内相は、化合物Aおよび1種または複数の薬学的に許容される添加剤を含む。好ましくは、内相の薬学的に許容される添加剤は、1種または複数の充填剤、1種または複数の崩壊剤、ヒプロメロース、および1種または複数の流動化剤である。好ましくは、内相中の1種または複数の充填剤の量は、分散性錠剤の総重量に対して約5重量%〜30重量%、より好ましくは約10重量%〜25重量%の範囲であり、最も好ましくは約20重量%である。本発明による充填剤は、好ましくはマンニトールおよび微結晶性セルロースである。崩壊剤は、好ましくはクロスポビドンである。内相中に存在する崩壊剤の量は、分散性錠剤の総重量に対して、好ましくは10重量%未満、より好ましくは7重量%未満である。内相中に存在するヒプロメロースの量は、分散性錠剤の総重量に対して、好ましくは10重量%未満、より好ましくは3重量%未満である。好ましい流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。内相中に存在する流動化剤の量は、分散性錠剤の総重量に対して、好ましくは約0.1重量%〜1重量%の範囲、好ましくは0.5重量%未満である。
化合物Aおよびヒプロメロース、1種または複数の充填剤、1種または複数の崩壊剤、および1種または複数の流動化剤は、ブレンダー中で一緒に混合される。ステアリン酸マグネシウムで潤滑した後、混合物は、例えば、ローラー圧縮および粒状化ミルを用いて、乾式粒状化のために処理される。
外相は、1種または複数の薬学的に許容される添加剤を含み、例えば、拡散ミキサーを用いて内相と混合される。好ましくは、ヒプロメロース、1種または複数の充填剤、および1種または複数の崩壊剤が添加される。最も好ましくは、マンニトールおよび微結晶性セルロースは、充填剤として外相に添加される。さらにより好ましくは、マンニトールは、分散性錠剤の総重量に対して約12重量%〜45重量%の範囲で外相中に添加され、微結晶性セルロースは、分散性錠剤の総重量に対して約8重量%〜20重量%の範囲内で外相に添加される。最も好ましくは、クロスポビドンは、崩壊剤として外相に添加される。さらにより好ましくは、クロスポビドンは、分散性錠剤の総重量に対して約1重量%〜5重量%の範囲で、より好ましくは5重量%未満で外相に添加される。
ヒプロメロース、1種または複数の充填剤、および1種または複数の崩壊剤を含む外相は、例えば、拡散ミキサーを用いて、内相からの顆粒と一緒に混合される。ステアリン酸マグネシウムで潤滑した後、最終ブレンド物は、適切なロータリープレスを用いて圧縮し、分散性錠剤を製造する。
本発明の一実施態様では、分散性錠剤を調製する方法は、
(a)内相を形成するステップであって、
(i)化合物Aを薬学的に許容される添加剤と一緒に混合すること、
(ii)乾式造粒すること
を含むステップ;
(b)外相を形成するステップであって、
(i)さらに薬学的に許容される添加剤を内相に添加し、混合すること
を含むステップ;
(c)(i)ステップ(b)(i)で得られた混合物を圧縮すること
によって分散性錠剤を形成するステップ
を含む。
より具体的には、一態様において、本発明は、以下を含む方法を提供する:
(i)拡散ミキサー中で、化合物A、ヒプロメロース、および薬学的に許容される添加剤、例えば、1種または複数の充填剤、例えば、マンニトールおよび微結晶性セルロースを、1種または複数の崩壊剤、例えば、クロスポピドン、および1種または複数の流動化剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素と混合するステップ;
(ii)1種または複数の滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムの混合物に添加するステップ、混合物は、乾式粒状化のために、例えば、ローラー圧縮および粒状化ミルを使用して処理される;
(iii)ヒプロメロースおよび薬学的に許容される添加剤、例えば、篩分けられた添加剤、例えば、1種または複数の充填剤、例えば、マンニトールおよび微結晶性セルロース、1種または複数の崩壊剤、例えば、クロスポビドンを添加し、および例えば拡散ミキサー中で混合するステップ;
(iv)混合物をステアリン酸マグネシウムで潤滑するステップ;
(v)ステップ(iv)で得られた混合物を、例えば、従来の打錠機、好ましくは回転機械で圧縮により打錠するステップ。
「内相」とは、活性成分である化合物Aおよび1種または複数の薬学的に許容される添加剤を含む顆粒相(ステップ(i)および(ii))を意味する。
「外相」とは、内相(顆粒)(ステップ(iii)および(iv))に添加される1種または複数の薬学的に許容される添加剤を意味する。
「分散性錠剤の総重量」とは、内相および外相である錠剤の重量を意味する。
物理的および化学的安定性は、任意の従来の方法において試験され得、例えば、分散性錠剤は、例えば、室温、すなわち25℃/60%RHでの貯蔵、および/または40℃/75%RHでの貯蔵後、溶解、摩損度、崩壊時間、分散の細かさ、化合物Aについてのアッセイ、分解生成物および外観の測定などにより試験され得る。
分散性錠剤は、形状が異なっていてもよく、例えば、円形、楕円形、長円形、円筒形または任意の他の適切な形状であり得る。本発明の一実施形態では、上記の圧縮方法によって得られた分散性錠剤は、円形または楕円形である。分散性錠剤の縁は面取りまたは丸みを付けてもよく、刻み目を付けてもよい。最も好ましくは、分散性錠剤は両凸の面取りした縁を有する円形である。
本発明の一実施形態では、分散性錠剤は、活性成分として10mg〜25mg用量の化合物A、好ましくは活性成分として10mg用量の化合物Aを含む。
本発明による分散性錠剤は、好ましくは、面取りした縁を有する円形の両凸である。分散性錠剤は、5mm〜10mm、好ましくは5mm〜7mmの範囲、さらに好ましくは6mmの直径を有する。
本開示による錠剤の硬度、または粉砕抵抗性(resistance to crushing)は、標準的な試験によって決定され得る。錠剤硬度は、好ましくは、欧州薬局方2.9.8に規定されている標準試験に従って決定される。Kraemer(登録商標)3S錠剤試験装置などの装置を使用し得る。この試験は、錠剤を粉砕することによって破壊するのに必要な力によって測定される、錠剤の粉砕に対する抵抗性を決定する。
活性部分として約10mg用量の化合物Aを含む本発明の分散性錠剤はさらに、平均値が約25〜75N、好ましくは55N以下である硬度を有し得る。
化合物A、約5%〜10%w/wのクロスポビドン、約5%〜10%w/wのヒプロメロース、ここで、ヒプロメロースは、水中、2重量%について20℃で測定した場合、4mPa・s〜6mPa・s、好ましくは5mPa・sの公称粘度(nominal viscosity)を有し、および水中、2重量%について20℃で測定した場合、28%〜30%のメトキシル置換または80mPa・s〜120mPa・s、好ましくは100mPa・sの粘度を有し、および19%〜24%のメトキシル置換を有し、ならびに約2.5:1〜2:1の重量比で存在する充填剤マンニトールおよび微結晶性セルロースを含む製剤は、欧州薬局方の仕様に準拠している、低い摩損度値および短い崩壊時間を有する分散性錠剤を製造するために使用され得ることが見出されている。
本発明の分散性錠剤はさらに、個々の外観を付与し、それらを即座に認識できるようにするために着色および/またはマークを付され得る。色素またはレーキ顔料の使用は、外観を増強し、ならびに分散性錠剤を同定するのに役立ち得る。本発明の分散性錠剤は、押印コードを用いてマークを付され得る。
本発明の分散性錠剤は、BRAF変異陽性の固形腫瘍の治療に有用である。
本発明の分散性錠剤の活性および特徴は、標準的な臨床試験および/または動物試験において示され得る。
さらに、得られた本発明の分散性錠剤は、製造プロセス中および貯蔵中の両方で、例えば、従来のパッケージ、例えば密封されたアルミニウムブリスターパック中で2年間またはさらに3年間安定である。活性成分としての約5%未満、例えば、2または3%以下の化合物Aは、従来の試験で決定されるように、この期間に分解する可能性がある。例えば、活性成分としての1%未満の化合物Aは、HDPE充填したボトルまたはブリスター中で1年以内に分解される。
本発明はまた、哺乳動物、好ましくはこのような治療を必要とするヒト対象に、分散性錠剤の形態で化合物Aを投与する方法に関する。本発明はまた、哺乳動物、好ましくはヒト対象の治療において、上記の疾患または障害のうちの1つに対する、分散性錠剤の形態の化合物Aの使用に関する。本発明は特に、活性成分として化合物Aを4.5mg/kg〜5.25mg/kg体重/日の一日量が患者に投与されるこのような方法に関する。任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルは、年齢、体重、一般的な健康状態、1種または複数の活性剤との薬物の組み合わせ、疾患の種類および重症度を含む様々な要因に依存することが理解される。
医薬パッケージは、本発明による分散性錠剤、および化合物Aの1つまたは複数の分散性錠剤を経口投与するように指示する印刷された説明書を含む。
本発明の別の実施形態では、治療に使用するためのその化合物Aの分散性錠剤が提供される。
別の態様では、本発明は、(i)組成物を水性媒体と組み合わせ、(ii)組成物を水性媒体中に分散させて分散液を形成し、および(iii)分散液を摂取することを含む、このような治療を必要とする患者に本発明の医薬組成物を投与する方法を提供する。
本明細書で使用するとき、これらの方法、スキームおよび実施例において使用される記号および慣習は、現代の科学文献、例えば、the Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryにおいて使用されるものと一致する。特に指示がない限り、すべての温度は℃(摂氏)で表される。
[実施例1]
化合物Aの分散性錠剤は、表1に示されるように、3分以下の崩壊時間および100回転後の0.5%未満の低い摩損度を有する急速分散性組成物を提供する。ヒプロメロースに対するクロスポビドンの様々な比率が試験されている。より低い粘度のヒプロメロースグレードを有する製剤は、より長い崩壊時間をもたらした。公称粘度およびメトキシル置換に関して同じヒプロメロースグレードではないが、同じヒプロメロースレベル(7.5%w/w)およびクロスポビドンレベル(7.5%w/w)を有する製剤(形態2aおよび形態5a)は、より高い粘度のヒプロメロースグレード製剤(5a型)に対して、より短い崩壊時間をもたらした。より低いヒプロメロースレベル(5%w/w)およびより高いクロスポビドンレベル(10%w/w)を有する製剤は、使用したヒプロメロースグレードの粘度およびメトキシル置換パーセンテージにかかわらず、同様の崩壊時間(NMT 1分)を示した(形態1aおよび形態4a)。崩壊時間におけるヒプロメロースの公称粘度の影響は、より高いヒプロメロースレベルが化合物Aの分散性錠剤製剤において使用される場合、より顕著に現れる。
[実施例2]
ローラー圧縮、化合物Aおよび表1の成分を含む錠剤を調製した。
錠剤を作成する方法
ブレンド−篩分け−ブレンド
錠剤の内相成分はローラー圧縮のために調製される。化合物A、微結晶性セルロース、アセスルファムカリウム、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、香料、ヒプロメロース、およびマンニトールは、適切なサイズのブレンダー中で混合され、ブレンドされる。ブレンドされた材料は、適切なサイズの篩いでスクリーニングされ、適切なサイズのブレンダーに移され、ブレンドされる。
ステアリン酸マグネシウムは、適切なサイズの篩いでスクリーニングされ、ブレンドされた材料を含有する適切なサイズのブレンダーに移され、次に、さらなる時間ブレンドされる。
ローラー圧縮およびミル粉砕
潤滑ブレンド物は、ローラー圧縮機を用いてリボンに乾式造粒される。圧縮されたリボンは、スクリーンを通過して、適切なサイズの顆粒を製造する。
ブレンド−篩分け−ブレンド
錠剤の外相の成分は打錠のために調製される。追加量の微結晶性セルロース、マンニトール、ヒプロメロースおよびクロスポビドンは、適切なサイズのブレンダー中で混合され、ブレンドされる。ブレンドされた材料は、適切なサイズの篩いでスクリーニングされ、内相顆粒とともに適切なサイズのブレンダーに移され、ブレンドされる。ブレンド物を混合して、内相材料および外相材料を合わせる。
ステアリン酸マグネシウムは、適切なサイズの篩いでスクリーニングされ、ブレンドされた材料を含有する適切な大きさのブレンダーに移された後、さらなる時間、ブレンドされる。
圧縮
潤滑ブレンド物は、6mmの円形の、面取りした縁付きツーリングを装着した回転式打錠機で、標的とする80mg重量に圧縮され、10mgの分散性錠剤を製造する。圧縮錠剤は、個々の重量変化、外観、硬さ、厚さ、摩損度および崩壊時間のプロセス内モニタリングのためにサンプリングされる。
錠剤は、必要に応じて10個の錠剤を含有する、乾燥剤を含むHDPE容器、またはブリスター(ヒートシール可能なラッカーを塗ったアルミホイルで裏打ちされたPVC/PVDC)にパッケージ化される。
[実施例3]
本発明の好ましい実施形態を上記で説明したが、本発明は、本明細書に開示した正確な指示に限定されず、以下の特許請求の範囲内に含まれるすべての修飾に対する権利が留保されることを理解されたい。
本発明の好ましい実施形態を上記で説明したが、本発明は、本明細書に開示した正確な指示に限定されず、以下の特許請求の範囲内に含まれるすべての修飾に対する権利が留保されることを理解されたい。
本発明は次の実施態様を含む。
[1] (a)化合物A、(b)ヒプロメロース、および(c)錠剤の調製に適した少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤を含む分散性錠剤であって、前記化合物Aは、前記錠剤の総重量に対して5重量%〜40重量%の量で存在する、分散性錠剤。
[2] ヒプロメロースが、前記錠剤の総重量に対して約1重量%〜約13重量%で存在する、[1]に記載の分散性錠剤。
[3] ヒプロメロースが、前記錠剤の総重量に対して約5重量%〜約10重量%で存在する、[2]に記載の分散性錠剤。
[4] ヒプロメロースが、20℃で2重量%の水中で測定した場合、4mPa・s〜6mPa・s、好ましくは5mPa・sの公称粘度、および28%〜30%のメトキシル置換を有する、[3]に記載の分散性錠剤。
[5] ヒプロメロースが、20℃で2重量%の水中で測定した場合、80mPa・s〜120mPa・s、好ましくは100mPa・sの粘度、および19%〜24%のメトキシル置換を有する、[3]に記載の分散性錠剤。
[6] 欧州薬局方2.9.1の崩壊試験に従って測定される崩壊時間、つまり15℃〜25℃の水中での錠剤の崩壊時間が3分以下である、[1]に記載の分散性錠剤。
[7] 欧州薬局方2.9.8の錠剤の粉砕抵抗性試験に従って測定される硬度の平均値が55N以下である、[1]に記載の分散性錠剤。
[8] 前記薬学的に許容される添加剤が、
(i)前記錠剤の総重量に対して約35重量%〜70重量%の総量の少なくとも1種の充填剤、
(ii)前記錠剤の総重量に対して約2.5重量%〜13重量%の総量の少なくとも1種の崩壊剤、
(iii)前記錠剤の総重量に対して約0.1重量%〜2重量%の総量の少なくとも1種の滑沢剤、および
(iv)前記錠剤の総重量に対して約0.1重量%〜2.5重量%の総量の少なくとも1種の流動化剤
を含む、[1]に記載の分散性錠剤。
[9] 前記充填剤がマンニトールおよび微結晶性セルロースである、[8]に記載の分散性錠剤。
[10] マンニトールおよび微結晶性セルロースが、約2.5:1〜2:1の重量比で存在する、[9]に記載の分散性錠剤。
[11] 前記崩壊剤がクロスポビドンである、[8]から[10]のいずれかに記載の分散性錠剤。
[12] クロスポビドンが、前記錠剤の総重量に対して約5重量%〜10重量%で存在する、[11]に記載の分散性錠剤。
[13] 前記流動化剤が、コロイド状二酸化ケイ素である、[8]から[12]のいずれかに記載の分散性錠剤。
[14] 前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、[8]から[13]のいずれかに記載の分散性錠剤。
[15] 組成物を必要とする患者に[1]に記載の分散性錠剤を投与する方法であって、(i)前記組成物を水性媒体と組み合わせるステップ、(ii)前記組成物を前記水性媒体中に分散させて分散液を形成するステップ、および(iii)前記分散液を摂取するステップ、を含む、方法。
[16] がんの治療に使用するための、[1]に記載の分散性錠剤。
[17] BRAF変異陽性の固形腫瘍であるがんの治療に使用するための、[16]に記載の分散性錠剤。
[18] (i)前記化合物Aと少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤を混合するステップ;
(ii)(i)で得られた混合物を造粒するステップ;
(iii)(ii)で得られた顆粒を少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤と混合して、混合物を形成するステップ;および
(iv)ステップ(iii)で得られた前記混合物を圧縮して、錠剤を形成するステップ
を含む、[1]から[14]のいずれかに記載の分散性錠剤を調製する方法。
[19] 前記造粒ステップ(ii)が乾式造粒である、[18]に記載の方法。
[20] 乾式造粒が、造粒ミルを用いたローラー圧縮によるものである、[19]に記載の方法。