本発明は、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位を特徴とする血友病Aの治療に有用な遺伝子操作されたヌクレアーゼを提供する。本発明の操作されたヌクレアーゼは、第VIII因子遺伝子のint22h−1配列内の認識配列を認識し切断することにより、int22h−1配列と、X染色体上の第VIII因子遺伝子に対してテロメアに位置する同一の又は高度に相同な逆位反復配列との組換えを促進する。このような組換えは、エクソン1−22の復帰をもたらし、野生型第VIII因子遺伝子を生成する。本発明はまた、第VIII因子遺伝子のint22h−1配列内に位置する認識配列に対する特異性を有する操作されたヌクレアーゼを利用する、血友病Aの治療のための医薬組成物及び方法を提供する。本発明は更に、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位を修正するように改変された遺伝子改変細胞、並びにこのような遺伝子改変細胞を含む薬学的組成物及び血友病Aの治療のためのその使用方法を提供する。
従って、一態様では、本発明は、第VIII因子遺伝子のint22h−1配列内の認識配列を認識し切断する操作されたメガヌクレアーゼを提供する。操作されたメガヌクレアーゼは、第1のサブユニットと第2のサブユニットとを含み、第1のサブユニットは、認識配列の第1の認識ハーフサイトに結合し、第1の超可変領域(HVR1)を含み、第2のサブユニットは、認識配列の第2の認識ハーフサイトに結合し、第2の超可変領域(HVR2)を含む。
一実施形態では、int22h−1配列は、配列番号3又は配列番号4に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有することができる。このような一実施形態では、int22h−1配列は、配列番号3又は配列番号4を含み得る。
別の実施形態では、認識配列は、第VIII因子遺伝子のF8A1コード配列内に存在し得る。このような実施形態では、F8A1コード配列は、配列番号5又は配列番号6に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有することができる。別のこのような実施形態では、F8A1コード配列は、配列番号5又は配列番号6を含み得る。
別の実施形態では、認識配列は、配列番号7を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR1領域は、配列番号19の残基215〜270又は配列番号20−21のいずれか1つの残基24〜79に対応するアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR1領域は、配列番号19の残基215,217,219,221,223,224,229,231,233,235,237,259,261,266及び268に対応する残基を含むことができるか、又は配列番号20〜21のいずれか1つの残基24,26,28,30,32,33,38,40,42,44,46,68,70,75,及び77を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR1領域は、配列番号19の残基215〜270、又は配列番号20〜21のいずれか1つの残基24〜79を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR2領域は、配列番号19の残基24〜79、又は配列番号20〜21のいずれか1つの残基215〜270に対応するアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR2領域は、配列番号19の残基24,26,28,30,32,33,38,40,42,44,68,70,75,及び77に対応する残基を含むことができるか、又は配列番号20〜21のいずれか1つの残基215、217,219,221,223,224,229,231,233,235,259,261,266,及び268に対応する残基を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR2領域は、配列番号19の残基24〜79、又は配列番号20〜21のいずれか1つの残基215〜270を含むことができる。
このような一実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号19の残基198〜344又は配列番号20若しくは21の残基7〜153に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、第2のサブユニットは、配列番号19の残基7〜153又は配列番号20若しくは21の残基198〜344に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95、若しくはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
別のそのような実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号19の残基198〜344又は配列番号20若しくは21の残基7〜153を含むことができる。別のそのような実施形態では、第2のサブユニットは、配列番号19の残基7〜153又は配列番号20若しくは21の残基198〜344を含むことができる。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、リンカーを含む一本鎖メガヌクレアーゼであってもよく、リンカーは、第1のサブユニット及び第2のサブユニットに共有結合する。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号19〜21のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、認識配列は、配列番号9を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR1領域は、配列番号28〜31のいずれか1つの残基215〜270に対応するアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
ある実施形態では、HVR1領域は、配列番号28〜31のいずれか1つの残基215,217,219,221,223,224,231,233,235,237,261,266,及び268に対応する残基を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR1領域は、配列番号28〜31のいずれか1つの残基215〜270を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR2領域は、配列番号28〜31のいずれか1つの残基24〜79に対応するアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
ある実施形態では、HVR2領域は、配列番号28−31のいずれか1つの残基24,26,28,30,32,33,38,40,42,44,46,68,70,75,及び77に対応する残基を含むことができる。
更なる実施形態では、HVR2領域は、配列番号30の残基73に対応する残基を更に含むことができる。
特定の実施形態では、HVR2領域は、配列番号28〜31のいずれか1つの残基24〜79を含むことができる。
このような一実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号28〜31のいずれか1つの残基198〜344に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、第2のサブユニットは、配列番号28〜31のいずれか1つの残基7〜153に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
別のそのような実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号28〜31のいずれか1つの残基198〜344を含むことができる。別のそのような実施形態では、第2のサブユニットは、配列番号28〜31のいずれか1つの残基7〜153を含むことができる。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、リンカーを含む一本鎖メガヌクレアーゼであり、リンカーは、第1のサブユニット及び第2のサブユニットに共有結合する。
このような別の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号28〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、認識配列は配列番号11を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR1領域は、配列番号40の残基24〜79又は配列番号41−43のいずれか1つの残基215〜270に対応するアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
ある実施形態では、HVR1領域は、配列番号40の残基24,26,28,30,32,33,38,40,42,44,46,68,70,75,及び77に対応する残基を含むことができるか、又は配列番号41〜43のいずれか1つの残基215,217,219,221,223,224,229,231,233,235,237,259,261,266,及び268に対応する残基を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR1領域は、配列番号40の残基24〜79又は配列番号41〜43のいずれか1つの残基215〜270を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR2領域は、配列番号40の残基215〜270又は配列番号41−43のいずれか1つの残基24〜79に対応するアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
ある実施形態では、HVR2領域は、配列番号40の残基215,217,219,221,223,224,229,231,233,235,237,259,261,266,及び268に対応する残基を含むことができるか、又は配列番号41〜43のいずれか1つの残基24,26,28,30,32,33,38,40,42,44,46,68,70,75,及び77に対応する残基を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR2領域は、配列番号40の残基215〜270又は配列番号41〜43のいずれか1つの残基24〜79を含むことができる。
このような一実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号40の残基7〜153又は配列番号41〜43のいずれか1つの残基198〜344に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、第2のサブユニットは、配列番号40の残基198〜344又は配列番号41〜43のいずれか1つの残基7〜153に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
別のそのような実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号40の残基7〜153又は配列番号41〜43のいずれか1つの残基198〜344を含むことができる。別のそのような実施形態では、第2のサブユニットは、配列番号40の残基198〜344又は配列番号41〜43のいずれか1つの残基7〜153を含むことができる。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、リンカーを含む一本鎖メガヌクレアーゼであり、リンカーは、第1のサブユニット及び第2のサブユニットに共有結合する。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号40〜43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、認識配列は配列番号13を含むことができる。
このようないくつかの実施形態では、HVR1領域は、配列番号52〜55のいずれか1つの残基24〜79に対応するアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
ある実施形態では、HVR1領域は、配列番号52−55のいずれか1つの残基24,26,28,30,32,33,38,40,42,44,68,70,75,及び77に対応する残基を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR1領域は、配列番号52〜55のいずれか1つの残基24〜79を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR2領域は、配列番号52〜55のいずれか1つの残基215〜270に対応するアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
ある実施形態では、HVR2領域は、配列番号52−55のいずれか1つの残基215,217,219,221,223,224,229,231,233,235,237,259,261,266,及び268に対応する残基を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR2領域は、配列番号52〜55のいずれか1つの残基215〜270を含むことができる。
そのような一実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号52〜55のいずれか1つの残基7〜153に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、第2のサブユニットは、配列番号52〜55のいずれか1つの残基198〜344に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
別のそのような実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号52〜55のいずれか1つの残基7〜153を含むことができる。別のそのような実施形態では、第2のサブユニットは、配列番号52〜55のいずれか1つの残基198〜344を含むことができる。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、リンカーを含む一本鎖メガヌクレアーゼであり、リンカーは、第1のサブユニット及び第2のサブユニットに共有結合する。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号52〜55のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、認識配列は配列番号15を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR1領域は、配列番号64の残基24〜79又は配列番号65−67のいずれか1つの残基215〜270に対応するアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR1領域は、配列番号64の残基24,26,28,30,32,33,40,42,44,46,68,70,75,及び77に対応する残基を含むことができるか、又は配列番号65〜67のいずれか1つの残基215、217,219,221,223,224,231,233,235,237,259,261,266,及び268に対応する残基を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR1領域は、配列番号64の残基24〜79又は配列番号65〜67のいずれか1つの残基215〜270を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR2領域は、配列番号64の残基215〜270又は配列番号65−67のいずれか1つの残基24〜79に対応するアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
ある実施形態では、HVR2領域は、配列番号64の残基215,217,219,221,223,224,229,231,233,235,237,259,261,266,及び268に対応する残基を含むことができるか、又は配列番号65〜67のいずれか1つの残基24,26,28,30,32,33,38,40,42,44,46,68,70,75,及び77に対応する残基を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR2領域は、配列番号64の残基215〜270又は配列番号65〜67のいずれか1つの残基24〜79を含むことができる。
このような一実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号64の残基7〜153又は配列番号65〜67のいずれか1つの残基198〜344に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、第2のサブユニットは、配列番号64の残基198〜344又は配列番号65〜67のいずれか1つの残基7〜153に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
別のそのような実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号64の残基7〜153又は配列番号65〜67のいずれか1つの残基198〜344を含むことができる。別のそのような実施形態では、第2のサブユニットは、配列番号64の残基198〜344又は配列番号65〜67のいずれか1つの残基7〜153を含むことができる。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、リンカーを含む一本鎖メガヌクレアーゼであり、リンカーは、第1のサブユニット及び第2のサブユニットに共有結合する。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号64〜67のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、認識配列は配列番号17を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR1領域は、配列番号76〜79のいずれか1つの残基215〜270に対応するアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
ある実施形態では、HVR1領域は、配列番号76−79のいずれか1つの残基215,217,219,221,223,224,229,231,233,235,259,261,266,及び268に対応する残基を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR1領域は、配列番号76〜79のいずれか1つの残基215〜270を含むことができる。
そのようないくつかの実施形態では、HVR2領域は、配列番号76〜79のいずれか1つの残基24〜79に対応するアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
ある実施形態では、HVR2領域は、配列番号76−79のいずれか1つの残基24,26,28,30,32,33,38,40,42,44,46,68,70,75,及び77に対応する残基を含むことができる。
特定の実施形態では、HVR2領域は、配列番号76〜79のいずれか1つの残基24〜79を含むことができる。
そのような一実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号76〜79のいずれか1つの残基198〜344に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、第2のサブユニットは、配列番号76〜79のいずれか1つの残基7〜153に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
別のそのような実施形態では、第1のサブユニットは、配列番号76〜79のいずれか1つの残基198〜344を含むことができる。別のそのような実施形態では、第2のサブユニットは、配列番号76〜79のいずれか1つの残基7〜153を含むことができる。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、リンカーを含む一本鎖メガヌクレアーゼであり、リンカーは、第1のサブユニット及び第2のサブユニットに共有結合する。
別のそのような実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号76〜79のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の態様では、本発明は、本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。特定の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドはmRNAであり得る。
別の態様では、本発明は、本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む組換えDNA構築物を提供する。
一実施形態では、組換えDNA構築物は自己切断することができる。
別の実施形態では、組換えDNA構築物は、ウイルスベクターをコードする。このような実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであり得る。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、組換えAAVベクターであり得る。
別の態様では、本発明は、本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼをコードする核酸配列を含むウイルスベクターを提供する。
一実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであり得る。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、組換えAAVベクターであり得る。
別の態様において、本発明は、血友病Aを有する被験体の治療のための医薬組成物を提供する。このような態様において、血友病Aは、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位によって特徴付けられる。医薬組成物は、薬学的に許容される担体と、(a)操作されたヌクレアーゼをコードする核酸であって、インビボで標的細胞中に発現する操作されたヌクレアーゼ又は(b)操作されたヌクレアーゼタンパク質と、を含み、操作されたヌクレアーゼは、標的細胞中の第VIII因子遺伝子のint22h−1配列内に位置する第1の認識配列に対する特異性を有する。
一実施形態では、int22h−1配列は、配列番号3又は配列番号4に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有することができる。このような一実施形態では、int22h−1配列は、配列番号3又は配列番号4を含み得る。
別の実施形態では、第1の認識配列は、F8A1コード配列内に存在し得る。そのような実施形態では、F8A1コード配列は、配列番号5又は配列番号6に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有することができる。別のこのような実施形態では、F8A1コード配列は、配列番号5又は配列番号6を含み得る。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、第1の認識配列と同一であるか又は高度の相同性を有する第2の認識配列に対して特異性を有することができ、第2の認識配列は、X染色体内の第VIII因子遺伝子に対してテロメアの反復配列内に位置する。そのような実施形態では、反復配列は、反復配列がint22h−1配列に対して反対向きであることを除いて、int22h−1配列と同一であるか、又は高度の相同性を有する。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼをコードする核酸はmRNAであり得る。
別の実施形態では、医薬組成物は、核酸を含む組換えDNA構築物を含む。このような一実施形態では、組換えDNA構築物は自己切断することができる。
別の実施形態では、医薬組成物は、核酸を含むウイルスベクターを含む。このような一実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、又はAAVであり得る。特定の実施形態において、ウイルスベクターは、組換えAAVベクターであり得る。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、操作されたメガヌクレアーゼ、TALEN、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、コンパクトTALEN、CRISPR、又はmegaTALであり得る。特定の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、操作されたメガヌクレアーゼであり得る。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号7を含むことができる。このような一実施形態では、医薬組成物は、配列番号7を認識し切断する本発明の操作されたメガヌクレアーゼ(又はそれをコードする核酸)を含むことができる。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号19〜21のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号9を含むことができる。このような一実施形態では、医薬組成物は、配列番号9を認識し切断する本発明の操作されたメガヌクレアーゼ(又はそれをコードする核酸)を含むことができる。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号28〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号11を含むことができる。このような一実施形態では、医薬組成物は、配列番号11を認識し切断する本発明の操作されたメガヌクレアーゼ(又はそれをコードする核酸)を含むことができる。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号40〜43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号13を含むことができる。このような一実施形態では、医薬組成物は、配列番号13を認識し切断する本発明の操作されたメガヌクレアーゼ(又はそれをコードする核酸)を含むことができる。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号52〜55のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号15を含むことができる。このような一実施形態では、医薬組成物は、配列番号15を認識し切断する本発明の操作されたメガヌクレアーゼ(又はそれをコードする核酸)を含むことができる。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号64〜67のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号17を含むことができる。そのような一実施形態では、医薬組成物は、配列番号17を認識し切断する本発明の操作されたメガヌクレアーゼ(又はそれをコードする核酸)を含むことができる。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号76〜79のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の態様において、本発明は、血友病Aを有する被験体を治療するための方法を提供する。このような態様において、血友病Aは、第VIII因子遺伝子のエクソン1〜22の逆位によって特徴付けられる。この方法は、(a)操作されたヌクレアーゼをコードする核酸であって、操作されたヌクレアーゼがインビボで標的細胞中に発現する核酸又は(b)操作されたヌクレアーゼタンパク質を、被験体の標的細胞に送達することを含み、操作されたヌクレアーゼは、標的細胞の第VIII因子遺伝子のint22h−1配列内に位置する第1の認識配列に対する特異性を有する、本発明の任意の操作されたヌクレアーゼである。
この方法の一実施形態では、この方法は、上記の本発明の医薬組成物を被験体に投与することを含み、本発明の医薬組成物は、(a)本発明の操作されたヌクレアーゼをコードする核酸であって、操作されたヌクレアーゼがインビボで標的細胞中に発現する核酸又は(b)本発明の操作されたヌクレアーゼタンパク質を含む。
この方法の別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼ又は操作されたヌクレアーゼをコードする核酸を、野生型第VIII因子を発現することができる標的細胞、又は野生型第VIII因子を発現することができる細胞に分化する前駆細胞に送達することができる。このような一実施形態では、標的細胞は肝細胞であり得る。特定の実施形態において、肝細胞は、肝類洞内皮細胞であり得る。別のそのような実施形態では、肝細胞は、肝類洞内皮細胞に分化する肝幹細胞等の前駆細胞であり得る。別のそのような実施形態では、標的細胞は、造血内皮細胞であり得る。別のそのような実施形態において、標的細胞は、造血内皮細胞に分化する前駆細胞であり得る。標的細胞は、エクソン1−22の逆位を有する第VIII因子遺伝子を含むことが理解される。
この方法の別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、第1の認識配列を認識し切断し、int22h−1配列と反復配列との間の組換えを促進し、エクソン1−22を復帰させて野生型第VIII因子遺伝子を生成する。
この方法の別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、反復配列中の第2の認識配列を更に認識し切断する。
この方法の別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、操作されたメガヌクレアーゼ、TALEN、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、コンパクトTALEN、CRISPR、又はmegaTALであり得る。特定の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、操作されたメガヌクレアーゼであり得る。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである方法の別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号7を含むことができる。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号7を認識し切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号19〜21のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである方法の別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号9を含むことができる。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号9を認識し切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号28〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである方法の別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号11を含むことができる。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号11を認識し切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号40〜43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである方法の別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号13を含むことができる。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号13を認識し切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号52〜55のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである方法の別の実施形態において、第1の認識配列は配列番号15を含み得る。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号15を認識し切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号64〜67のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
操作されたヌクレアーゼが操作されたメガヌクレアーゼである方法の別の実施形態では、第1の認識配列は配列番号17を含むことができる。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号17を認識し切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。特定の実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号76〜79のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
本方法の別の実施形態では、被験体は哺乳動物であり得る。このような一実施形態では、被験体はヒトであり得る。別のこのような実施形態では、被験体はイヌであり得る。
別の態様では、本発明は、野生型第VIII因子遺伝子を含む遺伝子改変細胞の産生方法を提供する。この方法は、(a)エクソン1−22の逆位を有する第VIII因子遺伝子を含む細胞を得ることと、(b)細胞に、(i)操作されたヌクレアーゼをコードする核酸配列であって、操作されたヌクレアーゼが細胞内に発現する核酸配列又は(ii)操作されたヌクレアーゼタンパク質を導入することとを含み、ここで、操作されたヌクレアーゼは、第VIII因子遺伝子のint22h−1配列内の第1の認識配列に対する特異性を有し、操作されたヌクレアーゼは、int22h−1配列内の第1の認識配列を認識し切断して、int22h−1配列と第VIII因子遺伝子のテロメアに位置する反復配列との間の組換えを促進し、反復配列がint22h−1配列に対して逆向きであることを除いて、反復配列はint22h−1配列と同一であるか、又は高度相同性を有し、組換えはエクソン1−22の復帰及び野生型第VIII因子遺伝子を含む遺伝子改変細胞の生成を引き起こす。
一実施形態では、細胞は真核細胞であり得る。そのような一実施形態では、真核細胞は多能性細胞であり得る。そのような実施形態では、多能性細胞は、誘導多能性幹(iPS)細胞であり得る。特定の実施形態では、iPS細胞は、ヒトiPS細胞又はイヌiPS細胞であり得る。
別の実施形態では、int22h−1配列は、配列番号3又は配列番号4に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有することができる。このような一実施形態では、int22h−1配列は、配列番号3又は配列番号4を含み得る。
別の実施形態では、第1の認識配列は、第VIII因子遺伝子のF8A1コード配列内に存在し得る。そのような実施形態では、F8A1コード配列は、配列番号3又は配列番号4に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上の配列同一性を有することができる。特定の実施形態では、F8A1コード配列は、配列番号3又は配列番号4を含むことができる。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、第1の認識配列と同一であるか、又は高度の相同性を有する第2の認識配列に対して特異性を有することができ、第2の認識配列は、X染色体内の第VIII因子遺伝子に対してテロメアの反復配列内に位置する。そのような実施形態では、反復配列は、反復配列がint22h−1配列に対して反対向きであることを除いて、int22h−1配列と同一であるか、又は高度の相同性を有する。
別の実施形態では、核酸はmRNAであり得る。
別の実施形態では、組換えDNA構築物を用いて核酸を細胞に導入することができる。このような一実施形態では、組換えDNA構築物は自己切断することができる。
別の実施形態では、ウイルスベクターを用いて核酸を細胞に導入することができる。このような一実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、又はAAVであり得る。特定の実施形態において、ウイルスベクターは、組換えAAVベクターであり得る。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、操作されたメガヌクレアーゼ、TALEN、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、コンパクトTALEN、CRISPR、又はmegaTALであり得る。特定の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、操作されたメガヌクレアーゼであり得る。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、配列番号7を含む認識配列を認識し切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号19〜21のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、配列番号9を含む認識配列を認識して切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号28〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、配列番号11を含む認識配列を認識し切断する、本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号40〜43のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、配列番号13を含む認識配列を認識し切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号52〜55のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、配列番号15を含む認識配列を認識し切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号64〜67のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、配列番号17を含む認識配列を認識し切断する本発明の任意の操作されたメガヌクレアーゼであり得る。このような一実施形態では、操作されたメガヌクレアーゼは、配列番号76〜79のいずれか1つのアミノ酸配列を含むことができる。
別の態様では、本発明は、遺伝子改変細胞を提供し、ここで、遺伝子改変細胞は、野生型第VIII因子遺伝子を含み、本明細書に記載の本発明の方法に従って産生され、エクソン1−22の逆位を有する第VIII因子遺伝子を含む細胞から遺伝子改変細胞が産生される。
別の態様において、本発明は、血友病Aを有する被験体の治療のための医薬組成物を提供する。このような態様において、血友病Aは、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位によって特徴付けられる。異なる実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体及び本発明の任意の遺伝子改変細胞並びに/又は本発明の方法に従って産生された任意の遺伝子改変細胞を含み、遺伝子改変細胞は、野生型第VIII因子遺伝子を含む。
別の態様では、本発明は、血友病Aを有する被験体を治療するための方法を提供する。このような態様において、血友病Aは、第VIII因子遺伝子のエクソン1〜22の逆位によって特徴付けられる。この方法は、薬学的に許容される担体と本発明の任意の遺伝子改変細胞とを含む本発明の医薬組成物を、被験体に投与することを含む。そのような遺伝子改変細胞は、改変後の野生型第VIII因子遺伝子を含む。
この方法の一実施形態では、遺伝子改変細胞を標的組織に送達することができる。このような一実施形態では、標的組織は肝臓であり得る。別のこのような実施形態では、標的組織は、循環系であり得る。
この方法の別の実施形態では、遺伝子改変細胞は、遺伝子改変iPS細胞であり得る。このような一実施形態では、遺伝子改変iPS細胞は、標的組織に送達されると第VIII因子を発現する細胞に分化することができる。特定の実施形態では、遺伝子改変iPS細胞は、第VIII因子を発現する肝類洞内皮細胞に分化することができる。別の特定の実施形態では、遺伝子改変iPS細胞は、第VIII因子を発現する造血内皮細胞などの造血細胞に分化することができる。
本方法の別の実施形態では、被験体は哺乳動物であり得る。このような一実施形態では、被験体はヒトであり得る。別のこのような実施形態では、被験体はイヌであり得る。
別の態様では、本発明は、医薬品として使用するための、本明細書に記載の操作されたヌクレアーゼ、特に操作されたメガヌクレアーゼを提供する。本発明は更に、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位を特徴とする、血友病Aの治療用医薬品の製造における、本明細書に記載の操作されたヌクレアーゼ、特に操作されたメガヌクレアーゼの使用を提供する。
別の態様では、本発明は、医薬品として使用するための単離されたポリヌクレオチドを提供し、単離されたポリヌクレオチドは、本発明の操作されたヌクレアーゼ、特に操作されたメガヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む。本発明は、血友病Aの治療用医薬品の製造における、単離されたポリヌクレオチドの使用を更に提供し、これは第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位によって特徴付けられ、単離されたポリヌクレオチドは、操作されたヌクレアーゼ、特に操作されたメガヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む。
別の態様では、本発明は、医薬品として使用するための組換えAAVベクターを提供し、組換えAAVベクターは単離されたポリヌクレオチドを含み、単離されたポリヌクレオチドは、操作されたヌクレアーゼ、特に操作されたメガヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む。本発明は更に、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位を特徴とする血友病Aの治療用医薬品の製造における組換えAAVベクターの使用を提供し、組換えAAVベクターは単離されたポリヌクレオチドを含み、単離されたポリヌクレオチドは、本発明の操作されたヌクレアーゼ、特に操作されたメガヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む。
別の態様では、本発明は、医薬品として使用するための本発明の遺伝子改変細胞を提供し、遺伝子改変細胞は、野生型第VIII因子遺伝子を含むように改変されている。本発明は更に、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位を特徴とする血友病Aの治療用医薬品の製造における本発明の遺伝子改変細胞の使用を提供し、遺伝子改変細胞は、野生型第VIII因子遺伝子を含むように改変されている。
第VIII因子遺伝子のイントロン1−22の逆位を示す。int22h−2及びint22h−3反復配列は、X染色体上のint22h−1配列のテロメアに位置する。更に、int22h−2及びint22h−3は、不完全なパリンドロームの一部として互いに逆向きに見出される。このパリンドローム内の配列の組換えにより、int22h−2とin22h−3はゲノム内の場所を交換し、結果としてint22h−1に対してそれらの向きを変えることができる。結果として、int22h−1配列は、異なる状況において、int22h−1に対して反対向きにあるものに応じて、int22h−2反復又はint22h−3反復と再結合することができる。図1Aは、int22h−3がint22h−1に対して逆向きであり、これらの反復配列間で染色体内組換えが起こり、エクソン1−22の図示された逆位を生じることを可能にする配置を示す。図1Bは、int22h−2がint22h−1に対して逆向きであり、これらの反復配列間で染色体内組換えが起こり、エクソン1−22の図示された逆位を生じることを可能にする配置を示す。
第VIII因子遺伝子のF8R認識配列を示す。A)本発明の組換えメガヌクレアーゼによって標的とされる各認識配列は、2つの認識ハーフサイトを含む。各認識ハーフサイトは、4塩基対の中央配列によって分離された9塩基対を含む。F8R1−2認識配列(配列番号7)は、F8R1及びF8R2と呼ばれる2つの認識ハーフサイトを含む。F8R3−4認識配列(配列番号9)は、F8R3及びF8R4と呼ばれる2つの認識ハーフサイトを含む。F8R9−10認識配列(配列番号11)は、F8R9及びF8R10と呼ばれる2つの認識ハーフサイトを含む。F8R11−12認識配列(配列番号13)は、F8R11及びF8R12と呼ばれる2つの認識ハーフサイトを含む。F8R13−14認識配列(配列番号15)は、F8R13及びF8R14と呼ばれる2つの認識ハーフサイトを含む。F8R15−16認識配列(配列番号17)は、F8R15及びF8R16と呼ばれる2つの認識ハーフサイトを含む。
本発明の組換えメガヌクレアーゼは、2つのサブユニットを含み、HVR1領域を含む第1のサブユニットは、第1の認識ハーフサイト(例えば、F8R1、F8R3、F8R9、F8R11、F8R13、又はF8R15)に結合し、HVR2領域を含む第2のサブユニットは、第2の認識ハーフサイト(例えば、F8R2、F8R4、F8R10、F8R12、F8R14、又はF8R16)に結合する。組換えメガヌクレアーゼが一本鎖メガヌクレアーゼである実施形態では、HVR1領域を含む第1のサブユニットは、N末端又はC末端サブユニットのいずれかとして位置することができる。同様に、HVR2領域を含む第2のサブユニットは、N末端又はC末端サブユニットのいずれかとして位置することができる。
第VIII因子遺伝子のイントロン22に見られる認識配列を標的とする組換えメガヌクレアーゼを評価するためのCHO細胞におけるレポーターアッセイの模式図を示す。本明細書中に記載される組換えメガヌクレアーゼについては、レポーターカセットが細胞のゲノムに安定に組み込まれたCHO細胞株が産生された。レポーターカセットは、5’から3’の順序、即ち、SV40初期プロモーター、GFP遺伝子の5’2/3、本発明の操作されたメガヌクレアーゼの認識配列(例えば、F8R1−2認識配列)、CHO−23/24メガヌクレアーゼの認識配列(国際公開第2012/167192号)、及びGFP遺伝子の3’2/3で構成されていた。このカセットで安定にトランスフェクトされた細胞は、DNA切断誘発剤の非存在下ではGFPを発現しなかった。メガヌクレアーゼは、各メガヌクレアーゼをコードするプラスミドDNA又はmRNAの形質導入によって導入された。メガヌクレアーゼ認識配列のいずれかでDNA切断が誘導されると、GFP遺伝子の重複領域は互いに組換えられて機能的GFP遺伝子を産生する。次いで、メガヌクレアーゼによるゲノム切断の頻度の間接的測定として、フローサイトメトリーによってGFP発現細胞の割合を決定することができる。
CHO細胞レポーターアッセイで第VIII因子遺伝子のint22h−1配列中の認識配列を認識し切断するための組換えメガヌクレアーゼの効率を示す。配列番号19〜21,28〜31,40〜43,52〜55,64〜67,及び76〜79に示される組換えメガヌクレアーゼを、F8R1〜2認識配列(配列番号7)、F8R3−4認識配列(配列番号9)、F8R9−10認識配列(配列番号11)、F8R11−12認識配列(配列番号13)、F8R13−14認識配列(配列番号15)、又はF8R15−16認識配列(配列番号17)を標的とするように操作して、CHO細胞レポーターアッセイで有効性についてスクリーニングした。示された結果は、各アッセイにおいて観察されたGFP発現細胞の割合を提供し、標的認識配列又はCHO−23/24認識配列を切断するための各メガヌクレアーゼの有効性を示す。更に、各アッセイの陰性対照(bs)が含まれていた。図5Aは、F8R1−2認識配列を標的とするメガヌクレアーゼを示す。図5B及び図5Cは、F8R3−4認識配列を標的とするメガヌクレアーゼを示す。図5Dは、F8R9−10認識配列を標的とするメガヌクレアーゼを示す。図5Eは、F8R11−12認識配列を標的とするメガヌクレアーゼを示す。図5Fは、F8R13−14認識配列を標的とするメガヌクレアーゼを示す。図5Gは、F8R15−16認識配列を標的とするメガヌクレアーゼを示す。
CHO細胞レポーターアッセイで第VIII因子遺伝子のint22h−1配列中の認識配列を認識し切断するための操作されたメガヌクレアーゼの効率を示す。本発明が包含する操作されたメガヌクレアーゼを、F8R1−2(配列番号7)、F8R3−4(配列番号9)、F8R9−10(配列番号11)、F8R11−12(配列番号13)、F8R13−14(配列番号15)、又はF8R15−16(配列番号17)の認識配列を標的とするように操作し、ヌクレオフェクション後12日間にわたる複数の時点で、CHO細胞レポーターアッセイにおいて有効性についてスクリーニングした。示された結果は、分析の12日間にわたる各アッセイにおいて観察されたGFP発現細胞の割合を提供し、標的認識配列又はCHO−23/24認識配列を切断するための各メガヌクレアーゼの有効性を時間の関数として示す。図6Aは、F8R1−2認識配列を標的とするF8R1−2メガヌクレアーゼを示す。図6Bは、F8R3−4認識配列を標的とするF8R3−4メガヌクレアーゼを示す。図6Cは、F8R9−10認識配列を標的とするF8R9−10メガヌクレアーゼを示す。図6Dは、F8R11−12認識配列を標的とするF8R11−12メガヌクレアーゼを示す。図6Eは、F8R13−14認識配列を標的とするF8R13−14メガヌクレアーゼを示す。図6Fは、F8R15−16認識配列を標的とするF8R15−16メガヌクレアーゼを示す。
哺乳動物細胞におけるF8R認識配列の切断を示す。メガヌクレアーゼF8R1−2及びF8R3−4を、HEK293細胞におけるT7エンドヌクレアーゼアッセイによって切断し、それらの認識部位に挿入及び/又は欠失(indel)を引き起こす能力について試験した。
哺乳動物細胞の第VIII因子遺伝子におけるエクソン1−22の逆位を示す。この実験によって、F8R1−2及びF8R3−4メガヌクレアーゼによるゲノムDNAの切断が、HEK293細胞の第VIII因子遺伝子におけるエクソン1−22の逆位を刺激し得るかどうかを決定した。図8Aでは、エクソン1−22の正常な位置を検出することができるプライマーセット(H1R/H1F)を用いて、PCRによってゲノムDNAを分析した。図8Bでは、エクソン1−22の逆位を検出することができるプライマーセット(H1R/H2/3R)を用いて、PCRによってゲノムDNAを分析した。
哺乳動物細胞の第VIII因子遺伝子におけるエクソン1−22の逆位を示す。この実験によって、F8R9−10、F8R11−12、F8R13−14、及びF8R15−16メガヌクレアーゼによるゲノムDNAの切断が、HEK293細胞の第VIII因子遺伝子におけるエクソン1−22の逆位を刺激するかどうかを決定した。エクソン1−22の正常な位置(H1R/H1F)又はエクソン1−22の逆位(H1R/H2/3R)を検出することができるプライマーセットを用いて、PCRによってゲノムDNAを分析した。2日目及び8日目からのPCR分析を各プライマーセットについて提供する。
293細胞におけるF8Rヌクレアーゼによる第VIII因子遺伝子の逆位及び逆デジタルPCRによる効率の測定を示す。HEK293細胞を、F8R11−12x.69又はF8R13−14x.13ヌクレアーゼをそれぞれコードするmRNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に、ゲノムDNAを細胞から単離し、逆デジタルPCRを実施して第VIII因子ゲノム編集を決定した。
初代ヒトT細胞におけるF8Rヌクレアーゼによる第VIII因子遺伝子の逆位及び長距離PCRによる編集の決定を示す。正常ヒトT細胞を、F8R3−4x.43ヌクレアーゼをコードするmRNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後に、ゲノムDNAを細胞から単離し、長距離PCRを実施して第VIII因子ゲノム編集を決定した。
図12A〜図12Bは、初代ヒト患者T細胞におけるF8Rヌクレアーゼによる第VIII因子遺伝子の復帰及び長距離PCRによる編集の決定を示す。血友病A患者T細胞を、F8R3−4x.43、F8R11−12x.69又はF8R15−16x.14ヌクレアーゼをそれぞれコードするmRNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後に、ゲノムDNAを細胞から単離し、長距離PCRを実施して第VIII因子ゲノム編集を決定した。図12Aは、HIU及びHIDプライマーを用いて検出された、野生型第VIII因子遺伝子配置に対応するPCRバンドを示す。図12Bは、H3D及びHIDプライマーを用いて検出された、血友病A関連第VIII因子遺伝子逆位に対応するPCRバンドを示す。
配列の簡単な説明
配列番号1は、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)由来の野生型I−CreIメガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号2は、LAGLIDADGモチーフのアミノ酸配列を示す。
配列番号3は、ヒトint22h−1配列の核酸配列を示す。
配列番号4は、イヌint22h−1配列の核酸配列を示す。
配列番号5は、ヒトF8A1配列の核酸配列を示す。
配列番号6は、イヌF8A1配列の核酸配列を示す。
配列番号7は、F8R1−2認識配列(センス)の核酸配列を示す。
配列番号8は、F8R1−2認識配列(アンチセンス)の核酸配列を示す。
配列番号9は、F8R3−4認識配列(センス)の核酸配列を示す。
配列番号10は、F8R3−4認識配列(アンチセンス)の核酸配列を示す。
配列番号11は、F8R9−10認識配列(センス)の核酸配列を示す。
配列番号12は、F8R9−10認識配列(アンチセンス)の核酸配列を示す。
配列番号13は、F8R11−12認識配列(センス)の核酸配列を示す。
配列番号14は、F8R11−12認識配列(アンチセンス)の核酸配列を示す。
配列番号15は、F8R13−14認識配列(センス)の核酸配列を示す。
配列番号16は、F8R13−14認識配列(アンチセンス)の核酸配列を示す。
配列番号17はF8R15−16認識配列(センス)の核酸配列を示す。
配列番号18は、F8R15−16認識配列(アンチセンス)の核酸配列を示す。
配列番号19は、F8R1−2x.27メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号20は、F8R1−2x.15メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号21は、F8R1−2x.9メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号22は、F8R1−2x.27メガヌクレアーゼF8R1結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号23は、F8R1−2x.15メガヌクレアーゼF8R1結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号24は、F8R1−2x.9メガヌクレアーゼF8R1結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号25は、F8R1−2x.27メガヌクレアーゼF8R2結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号26は、F8R1−2x.15メガヌクレアーゼF8R2結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号27は、F8R1−2x.9メガヌクレアーゼF8R2結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号28は、F8R3−4x.43メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号29は、F8R3−4x.70メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号30は、F8R3−4x.4メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号31は、F8R3−4L.5メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号32は、F8R3−4x.43メガヌクレアーゼF8R3結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号33は、F8R3−4x.70メガヌクレアーゼF8R3結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号34は、F8R3−4x.4メガヌクレアーゼF8R3−結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号35は、F8R3−4L.5メガヌクレアーゼF8R3結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号36は、F8R3−4x.43メガヌクレアーゼF8R4結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号37は、F8R3−4x.70メガヌクレアーゼF8R4結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号38は、F8R3−4x.4メガヌクレアーゼF8R4結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号39は、F8R3−4L.5メガヌクレアーゼF8R4結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号40は、F8R9−10x.70メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号41は、F8R9−10x.38メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号42は、F8R9−10x.2メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号43は、F8R9−10x.8メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号44は、F8R9−10x.70メガヌクレアーゼF8R9結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号45は、F8R9−10x.38メガヌクレアーゼF8R9結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号46は、F8R9−10x.2メガヌクレアーゼF8R9結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号47は、F8R9−10x.8メガヌクレアーゼF8R9結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号48は、F8R9−10x.70メガヌクレアーゼF8R10結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号49は、F8R9−10x.38メガヌクレアーゼF8R10結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号50は、F8R9−10x.2メガヌクレアーゼF8R10結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号51は、F8R9−10x.8メガヌクレアーゼF8R10結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号52は、F8R11−12x.56メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号53は、F8R11−12x.69メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号54は、F8R11−12x.66メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号55は、F8R11−12x.41メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号56は、F8R11−12x.56メガヌクレアーゼF8R11結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号57は、F8R11−12x.69メガヌクレアーゼF8R11結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号58は、F8R11−12x.66メガヌクレアーゼF8R11結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号59は、F8R11−12x.41メガヌクレアーゼF8R11結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号60は、F8R11−12x.56メガヌクレアーゼF8R12結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号61は、F8R11−12x.69メガヌクレアーゼF8R12結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号62は、F8R11−12x.66メガヌクレアーゼF8R12結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号63は、F8R11−12x.41メガヌクレアーゼF8R12結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号64は、F8R13−14x.13メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号65は、F8R13−14x.3メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号66は、F8R13−14x.1メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号67は、F8R13−14x.11メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号68は、F8R13−14x.13メガヌクレアーゼF8R13結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号69は、F8R13−14x.3メガヌクレアーゼF8R13結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号70は、F8R13−14x.1メガヌクレアーゼF8R13結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号71は、F8R13−14x.11メガヌクレアーゼF8R13結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号72は、F8R13−14x.13メガヌクレアーゼF8R14結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号73は、F8R13−14x.3メガヌクレアーゼF8R14結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号74は、F8R13−14x.1メガヌクレアーゼF8R14結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号75は、F8R13−14x.11メガヌクレアーゼF8R14結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号76は、F8R15−16x.14メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号77は、F8R15−16x.85メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号78は、F8R15−16x.4メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号79は、F8R15−16x.79メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号80は、F8R15−16x14メガヌクレアーゼF8R15結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号81は、F8R15−16x.85メガヌクレアーゼF8R15結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号82は、F8R15−16x.4メガヌクレアーゼF8R15結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号83は、F8R15−16x.79メガヌクレアーゼF8R15結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号84は、F8R15−16x.14メガヌクレアーゼF8R16結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号85は、F8R15−16x.85メガヌクレアーゼF8R16結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号86は、F8R15−16x.4メガヌクレアーゼF8R16結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号87は、F8R15−16x.79メガヌクレアーゼF8R16結合モノマーのアミノ酸配列を示す。
配列番号88は、U1プライマーの核酸配列を示す。
配列番号89は、D1プライマーの核酸配列を示す。
配列番号90は、U3プライマーの核酸配列を示す。
配列番号91は、FWD1プライマーの核酸配列を示す。
配列番号92は、REV1プライマーの核酸配列を示す。
配列番号93は、FWD3プライマーの核酸配列を示す。
配列番号94は、HIUプライマーの核酸配列を示す。
配列番号95は、HIDプライマーの核酸配列を示す。
配列番号96は、H3Dプライマーの核酸配列を示す。
1.1 参考文献と定義
本明細書で言及される特許及び科学文献は、当業者が利用可能な知識を確立する。本明細書に引用されるGenBankデータベース配列を含む、発行された米国特許、許可された出願、公開された外国出願及び参考文献は、あたかも参照によって各々が具体的かつ個々に組み込まれるように、参照によって同程度に本明細書に組み込まれる。
本発明は、異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全且つ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。例えば、一実施形態に関して図示された特徴は、他の実施形態に組み込むことができ、特定の実施形態に関して図示された特徴は、その実施形態から削除することができる。更に、本明細書に示唆された実施形態に対する多くの変形及び追加は、本開示に照らして当業者には明らかであり、それらは本発明から逸脱しない。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書における本発明の説明に使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
本明細書で言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、又は「the」は、1又は複数を意味することができる。例えば、「a」細胞は単一の細胞又は多数の細胞を意味することができる。
本明細書で使用される場合、特に断りのない限り、「又は」という語は、「及び/又は」の包括的な意味で使用され、「どちらか/又は」の排他的な意味で使用されるものではない。
本明細書で使用される場合、「ヌクレアーゼ」及び「エンドヌクレアーゼ」という用語は、ポリヌクレオチド鎖内のホスホジエステル結合を切断する天然に存在する又は操作された酵素を指すために交換可能に使用される。
本明細書で使用される場合、「メガヌクレアーゼ」という用語は、12塩基対を超える認識配列で二本鎖DNAに結合するエンドヌクレアーゼを指す。好ましくは、本発明のメガヌクレアーゼの認識配列は22塩基対である。メガヌクレアーゼは、I−CreIに由来するエンドヌクレアーゼであってもよく、例えばDNA結合特異性、DNA切断活性、DNA結合親和性、又は二量化特性に関して、天然のI−CreIに対して改変されたI−CreIの操作された変異体を指す。そのようなI−CreIの改変された変異体を産生する方法は、当該分野で公知である(例えば、国際公開第2007/047859号)。本明細書で使用されるメガヌクレアーゼは、ヘテロ二量体として二本鎖DNAに結合する。メガヌクレアーゼはまた、一対のDNA結合ドメインがペプチドリンカーを用いて単一のポリペプチドに接合されている「一本鎖メガヌクレアーゼ」であってもよい。「ホーミングエンドヌクレアーゼ」という用語は、「メガヌクレアーゼ」という用語と同義である。本発明のメガヌクレアーゼは、細胞内で発現したときに実質的に非毒性であり、本明細書に記載の方法を用いて測定すると、細胞生存率に対する有害な影響やメガヌクレアーゼ切断活性の有意な低下は観察されない。
本明細書で使用される場合、「一本鎖メガヌクレアーゼ」という用語は、リンカーによって接合された一対のヌクレアーゼサブユニットを含むポリペプチドを指す。一本鎖メガヌクレアーゼは、N末端サブユニット−リンカー−C末端サブユニットの構成を有する。2つのメガヌクレアーゼサブユニットは、一般に、アミノ酸配列において同一ではなく、同一ではないDNA配列を認識するであろう。従って、一本鎖メガヌクレアーゼは、典型的には、偽パリンドローム又は非パリンドローム認識配列を切断する。一本鎖メガヌクレアーゼは、実際には二量体ではないが、「一本鎖ヘテロ二量体」又は「一本鎖ヘテロ二量体メガヌクレアーゼ」と呼ばれ得る。明確にするために、他に特定しない限り、「メガヌクレアーゼ」という用語は、二量体又は一本鎖メガヌクレアーゼを指すことができる。
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、2つのメガヌクレアーゼサブユニットを単一のポリペプチドに接合するために使用される外因性ペプチド配列を指す。リンカーは、天然タンパク質に見出される配列を有してもよく、又は天然タンパク質には見出されない人工配列であってもよい。リンカーは、可撓性であり、二次構造が欠如していてもよく、又は生理学的条件下で特定の三次元構造を形成する傾向を有していてもよい。リンカーは、米国特許第8,445,251号に包含されるものを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号19〜21,28〜31,40〜43,52〜55,64〜67、又は76〜79のいずれか1つの残基154〜195を含むアミノ酸配列を有し得る。
本明細書で使用される場合、「TALEN」という用語は、FokIヌクレアーゼドメインの任意の部分に融合した16−22個のTALドメイン反復を含むDNA結合ドメインを含むエンドヌクレアーゼを指す。
本明細書で使用される場合、「コンパクトTALEN」という用語は、I−TevIホーミングエンドヌクレアーゼの任意の部分に任意の向きで融合した16−22個のTALドメイン反復を有するDNA結合ドメインを含むエンドヌクレアーゼを指す。
本明細書で使用される場合、「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」又は「ZFN」という用語は、FokI制限酵素のヌクレアーゼドメインに融合したジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むキメラエンドヌクレアーゼを指す。ジンクフィンガードメインは、合理的又は実験的手段により再設計されて、長さが約18塩基対であり、2〜10塩基対で分離した一対の9塩基対のハーフサイトを含む所定のDNA配列に結合するタンパク質を産生する。ジンクフィンガーヌクレアーゼによる切断は、可変長の平滑末端又は5’オーバーハンド(しばしば4つの塩基対)を作成することができる。
本明細書で使用される場合、「CRISPR」という用語は、Cas9等のカスパーゼと、ゲノムDNA中の認識部位にハイブリダイズすることによってカスパーゼのDNA切断を指向するガイドRNAとを含む、カスパーゼに基づくエンドヌクレアーゼを指す。
本明細書で使用される場合、「megaTAL」という用語は、操作された配列特異的ホーミングエンドヌクレアーゼを有する転写活性化因子様エフェクター(TALE)DNA結合ドメインを含む一本鎖エンドヌクレアーゼを指す。
本明細書で使用される場合、タンパク質に関して、「組換え」又は「操作された」という用語は、タンパク質及びタンパク質を発現する細胞又は生物をコードする核酸に遺伝子工学技術を適用した結果として、変化したアミノ酸配列を有することを意味する。核酸に関して、「組換え」又は「操作された」という用語は、遺伝子工学技術を適用した結果として変化した核酸配列を有することを意味する。遺伝子工学技術には、限定されるものではないが、PCR及びDNAクローニング技術、トランスフェクション、形質転換及び他の遺伝子導入技術、相同組換え、部位特異的突然変異誘発、並びに遺伝子融合が含まれる。この定義に従って、天然に存在するタンパク質と同一のアミノ酸配列を有するが、異種宿主におけるクローニング及び発現によって産生されたタンパク質は、組換え体とはみなさない。
本明細書で使用される場合、「野生型」という用語は、同種の遺伝子の対立遺伝子集団における最も一般的な天然の対立遺伝子(即ち、ポリヌクレオチド配列)を指し、ここで、野生型対立遺伝子によってコードされるポリペプチドは、その元の機能を有する。「野生型」という用語は、野生型対立遺伝子によってコードされるポリペプチドも指す。野生型対立遺伝子(即ち、ポリヌクレオチド)及びポリペプチドは、野生型配列に対して1又は複数の変異及び/又は置換を含む変異体又は変異体の対立遺伝子及びポリペプチドと区別される。野生型対立遺伝子又はポリペプチドは、生物に正常な表現型を付与することができるが、突然変異体又は変異体の対立遺伝子又はポリペプチドは、場合によっては、変化した表現型を付与することができる。野生型ヌクレアーゼは、組換え体又は天然に存在しないヌクレアーゼとは区別される。「野生型」という用語は、特定の遺伝子の野生型対立遺伝子、あるいは比較目的のために使用される細胞、生物、及び/又は被験体を有する細胞、生物、及び/又は被験体を指すこともできる。
本明細書で使用される場合、「遺伝子改変」という用語は、細胞又は生物、あるいはそれらの祖先において、ゲノムDNA配列が組換え技術によって故意に改変されたものを指す。本明細書で使用される場合、「遺伝子改変」という用語は、「トランスジェニック」という用語を包含する。
組換えタンパク質に関して本明細書で使用される場合、「改変」という用語は、参照配列(例えば、野生型配列又は天然配列)に対する組換え配列中のアミノ酸残基の挿入、欠失、又は置換を意味する。
本明細書で使用される場合、「認識配列」という用語は、エンドヌクレアーゼによって結合及び切断されるDNA配列をいう。メガヌクレアーゼの場合、認識配列は、4つの塩基対によって分離された一対の逆位9塩基対「ハーフサイト」を含む。一本鎖メガヌクレアーゼの場合、タンパク質のN末端ドメインは第1のハーフサイトに接触し、タンパク質のC末端ドメインは第2のハーフサイトに接触する。メガヌクレアーゼによる切断は、4塩基対の3’「オーバーハング」を生じる。「オーバーハング」又は「粘着末端」は、二本鎖DNA配列のエンドヌクレアーゼ切断によって産生することができる短い一本鎖DNAセグメントである。I−CreIに由来するメガヌクレアーゼ及び一本鎖メガヌクレアーゼの場合、オーバーハングは、22塩基対認識配列の塩基10〜13を含む。コンパクトTALENの場合、認識配列は、I−TevIドメインによって認識される第1のCNNNGN配列を含み、その後に長さが4−16塩基対の非特異的スペーサーを含み、その後にTALエフェクタードメインによって認識される16−22bpの長さの第2の配列(この配列は典型的には5’T塩基を有する)を含む。コンパクトTALENによる切断は、2つの塩基対の3’オーバーハングを生じる。CRISPRの場合、認識配列は、典型的には16〜24塩基対の配列であり、これにガイドRNAが結合してCas9切断を誘導する。CRISPRによる切断は平滑末端を産生した。ジンクフィンガーの場合、DNA結合ドメインは、典型的には、2〜10塩基対により分離された一対の9塩基対「ハーフサイト」を含む18bp認識配列を認識し、ヌクレアーゼによる切断は、平滑末端又は可変長の5’オーバーハング(4塩基対であることが多い)を作り出す。
本明細書で使用する「標的部位」又は「標的配列」という用語は、ヌクレアーゼの認識配列を含む細胞の染色体DNAの領域を指す。
本明細書で使用される場合、「DNA結合親和性」又は「結合親和性」という用語は、メガヌクレアーゼが参照DNA分子(例えば、認識配列又は任意の配列)と非共有に関連する傾向を意味する。結合親和性は、解離定数Kdによって測定される。本明細書で使用される場合、参照認識配列に対するヌクレアーゼのKdが参照ヌクレアーゼに対して統計的に有意な(p<0.05)量だけ増加又は減少する場合、ヌクレアーゼは「変化した」結合親和性を有する。
本明細書で使用される場合、「特異性」という用語は、認識配列と呼ばれる特定の塩基対の配列でのみ、又は認識配列の特定のセットにおいてのみ、二本鎖DNA分子を認識及び切断するメガヌクレアーゼの能力を意味する。一組の認識配列は、特定の保存された位置又は配列モチーフを共有するが、1つ以上の位置で縮重してもよい。高度に特異的なメガヌクレアーゼは、1つ又は非常に少数の認識配列のみを切断することができる。特異性は、当該分野で公知の任意の方法によって決定することができる。本明細書で使用される場合、メガヌクレアーゼは、生理学的条件下で参照メガヌクレアーゼ(例えば野生型)に結合されず切断されない認識配列に結合しそれを切断する場合、又は認識配列の切断率が参照メガヌクレアーゼに対して生物学的に有意な量(例えば、少なくとも2倍、又は2倍〜10倍)で増加又は減少する場合には、「変化した」特異性を有する。
本明細書で使用される場合、「相同組換え」又は「HR」という用語は、二本鎖DNA切断が相同DNA配列を修復鋳型として用いて修復される、天然の細胞プロセスを指す(例えば、Cahill et al.(2006)、Front.Biosci.11:1958−1976)。相同DNA配列は、内因性染色体配列又は細胞に送達された外因性核酸であり得る。
本明細書で使用される場合、「非相同末端結合」又は「NHEJ」という用語は、二本鎖DNA切断が2つの非相同DNAセグメントの直接接合によって修復される、天然の細胞プロセスをいう(例えば、Cahill et al.(2006)、Front.Biosci.11:1958−1976を参照)。非相同末端結合によるDNA修復は誤りを起こしやすく、修復部位でのDNA配列の付加又は欠失が頻繁に起こる。いくつかの例では、標的認識配列における切断は、標的認識部位にNHEJを生じる。遺伝子のコード配列中の標的部位のヌクレアーゼ誘導切断に続くNHEJによるDNA修復によって、フレームシフト突然変異等、コード配列への突然変異を導入することができ、遺伝子機能を破壊する。このように、操作されたヌクレアーゼは、細胞集団中の遺伝子を効果的にノックアウトするために使用することができる。
アミノ酸配列及び核酸配列の両方に関して本明細書で使用される場合、「同一性割合」、「配列同一性」、「類似性割合」、「配列類似性」等の用語は、整列したアミノ酸残基又はヌクレオチド間の類似性を最大にする配列のアライメントに基づく、2つの配列の類似性の程度の尺度を指し、これは配列のアライメントにおける同一又は類似の残基又はヌクレオチドの数、全ての残基又はヌクレオチドの数、及びギャップの存在及び長さの関数である。標準的なパラメータを使用して配列類似性を決定するための様々なアルゴリズム及びコンピュータプログラムが利用可能である。本明細書で使用される場合、配列類似性は、アミノ酸配列のBLASTpプログラム及び核酸配列のBLASTnプログラムを用いて測定され、両方ともNational Center for Biotechnology Informationを通じて利用可能であり(www.ncbi.nlm.nih.gov/)、例えば、Altschul et al.(1990)、J.Mol.Biol.215:403−410;Gish and States(1993)、Nature Genet.3:266−272;Madden et al.(1996)、Meth.Enzymol.266:131−141;Altschul et al.(1997)、Nucleic Acids Res.25:33 89−3402;Zhang et al.(2000)、J.Comput.Biol.7(1−2):203−14に記載されている。本明細書で使用される場合、2つのアミノ酸配列の類似性割合は、BLASTpアルゴリズムのパラメータ、即ち、ワードサイズ=3、ギャップオープニングペナルティ=−11、ギャップ伸長ペナルティ=−1、及びスコアリングマトリックス=BLOSUM62に基づくスコアである。本明細書で使用される場合、2つの核酸配列の類似性割合は、BLASTnアルゴリズムのパラメータ、即ち、ワードサイズ=11、ギャップオープニングペナルティ=−5、ギャップ伸長ペナルティ=−2、マッチ報酬=1、及びミスマッチペナルティ=−3に基づくスコアである。
2つのタンパク質又はアミノ酸配列の改変に関して本明細書で使用される場合、「対応する」という用語は、第1のタンパク質における特定の改変が第2のタンパク質における改変と同じアミノ酸残基の置換であり、第1のタンパク質における改変のアミノ酸位置は、2つのタンパク質が標準的な配列アライメント(例えば、BLASTpプログラムを用いて)に供される場合に、第2のタンパク質における改変のアミノ酸位置に対応するか、又は整列することを示すために使用される。従って、配列アライメントにおいて残基X及び残基Yが互いに対応する場合には、第1のタンパク質におけるアミノ酸「A」に対する残基「X」の修飾は、第2のタンパク質におけるアミノ酸「A」に対する残基「Y」の修飾に対応し、残基X及び残基Yは異なる数であってもよい。
本明細書で使用される場合、「認識ハーフサイト」、「認識配列ハーフサイト」、又は単に「ハーフサイト」という用語は、ホモ二量体又はヘテロ二量体メガヌクレアーゼのモノマーによって、又は一本鎖メガヌクレアーゼの1つのサブユニットによって認識される、二本鎖DNA分子中の核酸配列を意味する。
本明細書で使用される場合、「超可変領域」という用語は、比較的高い変動性を有するアミノ酸を含むメガヌクレアーゼモノマー又はサブユニット内の局在配列を指す。超可変領域は、約50〜60個の連続残基、約53〜57個の連続残基、又は好ましくは約56残基を含むことができる。いくつかの実施形態では、超可変領域の残基は、配列番号19〜21,28〜31,40〜43,52〜55,64〜67,又は76−79のいずれか1つの位置24−79又は位置215−270に対応し得る。超可変領域は、認識配列中のDNA塩基に接触する1以上の残基を含むことができ、単量体又はサブユニットの塩基選択を変化させるように改変することができる。超可変領域はまた、メガヌクレアーゼが二本鎖DNA認識配列と関連するときにDNA骨格に結合する1つ以上の残基を含むことができる。そのような残基は、DNA骨格及び標的認識配列に対するメガヌクレアーゼの結合親和性を変化させるように改変することができる。本発明の異なる実施形態では、超可変領域は、変動性を示す1〜20残基を含み、塩基選択及び/又はDNA結合親和性に影響を及ぼすように改変することができる。特定の実施形態では、超可変領域は、可変性を示す約15〜18残基を含み、塩基選択及び/又はDNA結合親和性に影響を及ぼすように改変することができる。いくつかの実施形態では、超可変領域内の可変残基は、配列番号19〜21,28〜31,40〜43,52〜55,64〜67、又は76〜79のいずれか1つの位置24,26,28,30,32,33,38,40,42,44,46,68,70,72,73,75,及び77の1つ以上に対応する。他の実施形態では、超可変領域内の可変残基は、配列番号19〜21,28〜31,40〜43,52〜55,64〜67、又は76〜79のいずれか1つの位置215,217,219,221,223,224,229,231,233,235,237,259,261,263,264,266,及び268の1つ以上に対応する。
本明細書で使用される場合、「第VIII因子遺伝子」、「F8遺伝子」等の用語は、凝固第VIII因子タンパク質をコードする、X染色体上に位置付けられた遺伝子を指す。ヒトでは、遺伝子ID番号2157としてNCBIによって同定された第VIII因子遺伝子は、X染色体上の塩基対154,835,788から塩基対155,026,934に位置付けられる。イヌでは、第VIII因子遺伝子は、NCBI参照配列:NM_001003212.1によって同定される遺伝子であり得る。「第VIII因子遺伝子」という用語は、野生型第VIII因子遺伝子と、機能的な第VIII因子タンパク質の産生を可能にする天然に存在する多型及び/又は突然変異を含む第VIII因子遺伝子の両方を含み得ることが理解される。
本明細書で使用する場合、「int22h−1」及び「int22h−1配列」という用語は、約9.5kbのサイズを有する第VIII因子遺伝子のイントロン22内に位置する配列を指し(Bagnall et al.(2006)Journal of Thrombosis and Haemostasis 4:591−598)、GenBankにより受託番号AY619999.1として同定されたヒト配列を更に指すことができる。int22h−1配列は、CpGアイランド、H2AFB1ヒストンタンパク質のコード配列、及び第VIII因子関連タンパク質1(F8A1、イントロン22タンパク質とも呼ばれる)のコード配列を含むことを特徴とする。int22h−1配列は、X染色体上の第VIII因子遺伝子のテロメアに位置する少なくとも1つの反復配列と同一であるか、又はそれと高い相同性を有するとして更に特徴付けられる。ヒトでは、int22h−2及びint22h−3と呼ばれる2つの反復配列が、X染色体上の第VIII因子遺伝子のテロメアに位置している。本発明の特定の実施形態では、ヒトint22h−1配列は配列番号3を含むことができる。本発明の他の特定の実施形態では、イヌint22h−1配列は、配列番号4を含むことができる。
本明細書で使用される場合、「F8A1コード配列」及び「イントロン22タンパク質コード配列」という用語は互換的に使用され、F8A1タンパク質をコードする、int22h−1配列内に位置する配列を指す。F8A1コード配列にはイントロンが無く、第VIII因子遺伝子とは反対方向に転写される。一実施形態では、野生型ヒトF8A1コード配列は、配列番号5を含むことができる。別の実施形態では、野生型イヌF8A1コード配列は、配列番号6を含むことができ、ヒトF8A1コード配列と約75%の相同性を有する。F8A1コード配列への言及は、野生型F8A1配列と、機能的F8A1タンパク質の産生を可能にする天然に存在する多型及び/又は突然変異を含むF8A1配列と、を含むことが理解される。
本明細書で使用される場合、「逆位」及び「エクソン1−22の逆位」という用語は、第VIII因子遺伝子のint22h−1配列と、X染色体上の第VIII因子遺伝子のテロメアに位置する同一又は密接に関連した逆向きの反復配列との間で染色体内相同組換え事象が起こる、第VIII因子遺伝子の突然変異を指し、エクソン23−26に関してエクソン1−22の逆位をもたらす。
本明細書で使用される場合、「復帰」という用語は、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位を含む、細胞における染色体内相同組換え事象を指し、int22h−1配列内で二本鎖切断が発生し、X染色体上の第VIII因子遺伝子のテロメアにある反復配列との組換えを促進する。このような組換えは、エクソン1−22の修正された配向及び機能的な野生型第VIII因子遺伝子の産生を生じる。
「組換えDNA構築物」、「組換え構築物」、「発現カセット」、「発現構築物」、「キメラ構築物」、「構築物」、及び「組換えDNA断片」という用語は、本明細書では互換的に使用され、核酸断片である。組換え構築物は、限定されるものではないが、天然には一緒に見出されない調節及びコード配列を含む核酸断片の人工的な組み合わせを含む。例えば、組換えDNA構築物は、異なる供給源に由来する調節配列及びコード配列、又は同じ供給源に由来し、天然に見出されるものとは異なる様式で配置された調節配列及びコード配列を含み得る。このような構築物は、単独で使用してもよく、又はベクターと組み合わせて使用してもよい。
本明細書で使用される場合、「ベクター」又は「組換えDNAベクター」は、所定の宿主細胞においてポリペプチドをコードする配列の転写及び翻訳が可能な複製系及び配列を含む構築物であり得る。ベクターが使用される場合、ベクターの選択は、当業者に周知の宿主細胞を形質転換するために使用される方法に依存する。ベクターは、制限なく、プラスミドベクター及び組換えAAVベクター、又は本発明のメガヌクレアーゼをコードする遺伝子を標的細胞に送達するのに適した当該分野で公知の任意の他のベクターを含むことができる。当業者は、本発明の単離されたヌクレオチド又は核酸配列のいずれかを含む宿主細胞を首尾よく形質転換、選択、及び増殖させるために、ベクター上に存在しなければならない遺伝的要素を十分に認識している。
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、ウイルスベクターを指すこともできる。ウイルスベクターには、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する「対照」又は「対照細胞」は、遺伝子改変細胞の遺伝子型又は表現型における変化を測定するための参照点を提供する細胞を指す。対照細胞は、例えば(a)野生型細胞、即ち、遺伝子改変細胞を生じる遺伝子変更のための出発物質と同じ遺伝子型の細胞、(b)遺伝子改変細胞と同じ遺伝子型の細胞であるが、ヌル構築物で形質転換された(即ち、目的の形質に対して既知の効果を有さない構築物を有する)細胞、又は(c)遺伝子改変細胞と遺伝的に同一であるが、変化した遺伝子型又は表現型の発現を誘導する条件又は刺激又は更なる遺伝子改変に曝されていない細胞を含み得る。
本明細書で使用される場合、「自己切断」組換えDNA構築物は、エンドヌクレアーゼのための少なくとも1つのコード配列と、同じエンドヌクレアーゼのための少なくとも1つの認識配列とを含む、DNA構築物を指す。細胞内で発現すると(即ち、インビボ)、エンドヌクレアーゼは認識配列を認識して切断し、DNA構築物の線状化をもたらす。
2つのタンパク質又はアミノ酸配列の改変に関して本明細書で使用される場合、「対応する」という用語は、第1のタンパク質における特定の改変が第2のタンパク質における改変と同じアミノ酸残基の置換であり、第1のタンパク質における改変のアミノ酸位置は、2つのタンパク質が標準的な配列アライメント(例えば、BLASTpプログラムを用いて)に供される場合に、第2のタンパク質における改変のアミノ酸位置に対応するか、又は整列することを示すために使用される。従って、配列アライメントにおいて残基X及び残基Yが互いに対応する場合には、第1のタンパク質におけるアミノ酸「A」に対する残基「X」の修飾は、第2のタンパク質におけるアミノ酸「A」に対する残基「Y」の修飾に対応し、残基X及び残基Yは異なる数であってもよい。
本明細書で使用される場合、「治療」又は「被験体を治療する」という用語は、野生型被験体において第VIII因子を通常発現する細胞中の第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位を修正する目的で、本発明の操作されたヌクレアーゼ又は本発明の操作されたヌクレアーゼをコードする核酸を、血友病Aを有する被験体に投与することを指す。このような治療は、被験体における第VIII因子の循環レベルを上昇させるのに十分な多数の細胞における第VIII因子遺伝子の修正、及び被験体における血友病Aの1以上の症状の部分的又は完全な緩和をもたらす。「治療」又は「被験体を治療する」という用語は、野生型第VIII因子遺伝子を含む遺伝子改変細胞を本発明の方法に従って被験体に投与することを更に指し、ここで、遺伝子改変細胞は、標的組織に送達され、被験体における第VIII因子の循環レベルを上昇させるのに十分な量で、第VIII因子を産生するか、又は第VIII因子を産生する細胞に分化して、血友病Aの1以上の症状の部分的又は完全な緩和をもたらす。いくつかの態様では、本発明の操作されたヌクレアーゼ、それをコードする核酸、又は本発明の遺伝子改変細胞は、本発明の医薬組成物の形態で治療中に投与される。
本明細書で使用される場合、変数の数値範囲の列挙は、本発明が、その範囲内の値のいずれかに等しい変数で実施され得ることを伝えることを意図する。従って、本質的に離散的な変数の場合、変数は、範囲の終点を含む数値範囲内の任意の整数値に等しくなり得る。同様に、本質的に連続する変数の場合、変数は、範囲の終点を含む数値範囲内の任意の実数値と等しくなり得る。限定ではなく例として、0と2の間の値を有すると記載される変数は、変数が本質的に離散的である場合には、0、1、又は2の値を取ることができ、変数が本質的に連続している場合には、0.0、0.1、0.01、0.001、又は≧0且つ≦2である任意の他の実数値を取ることができる。
2.1 本発明の原理
本発明は、部分的に、操作されたヌクレアーゼが、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位を修正することによって血友病Aを治療するために使用され得るという仮説に基づく。より具体的には、ヌクレアーゼは、第VIII因子遺伝子のint22h−1配列内に存在する認識配列を認識し切断して、二本鎖切断を生じるように操作することができる。次いで、int22h−1配列と、X染色体上の第VIII因子遺伝子のテロメアにある反復配列との間で、染色体内相同組換えが起こり、被験体の標的細胞中に、エクソン1−22の復帰と、機能的な野生型第VIII因子遺伝子の産生とが生じる。
本発明はまた、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位を含む多能性細胞(例えば、誘導された多能性幹(iPS)細胞)は、上記の同じメカニズムによって第VIII因子遺伝子を修正するために得ることができ、本発明の操作されたヌクレアーゼ(又はそれをコードする核酸)に接触させることができるという仮説にも部分的に基づく。次いで、このような多能性細胞を、血友病Aを有する被験体に投与することができ、ここで、細胞は標的組織(例えば、肝臓又は循環系)に送達され、被験体において野生型第VIII因子を発現する細胞に分化する。
従って、本発明は、第VIII因子遺伝子のint22h−1配列内の認識配列を認識し切断する、操作されたヌクレアーゼ、特に操作された組換えメガヌクレアーゼを包含する。本発明はまた、遺伝子改変細胞を作製するためにこのような操作されたヌクレアーゼを使用する方法、並びに医薬組成物及び血友病Aの治療方法におけるこのような細胞の使用を包含する。更に、本発明は、操作されたヌクレアーゼタンパク質、操作されたヌクレアーゼをコードする核酸、又は本発明の遺伝子改変細胞を含む医薬組成物、及び血友病Aを処置するためのこのような組成物の使用を包含する。
2.2 第VIII因子遺伝子のint22h−1配列内の認識配列を認識し切断するためのヌクレアーゼ
当分野では、部位特異的ヌクレアーゼを使用して生存細胞のゲノム中でDNA切断を行うことが可能であり、このようなDNA切断は、ゲノム内に同一又は高度に相同なDNA配列を有する切断された標的部位の相同組換えによって、ゲノムの永続的改変を生じさせることができることは公知である。
従って、異なる実施形態では、様々な異なるタイプのエンドヌクレアーゼが本発明の実施に有用である。一実施形態では、本発明は、操作された組換えメガヌクレアーゼを用いて実施することができる。別の実施形態では、本発明は、CRISPRヌクレアーゼ又はCRISPRニッカラーゼを用いて実施することができる。所定のDNA部位を認識するCRISPR及びCRISPRニッカラーゼの作製方法は、当該分野で公知であり、例えば、Ran et al.(2013)Nat Protoc.8:2281−308が挙げられる。別の実施形態では、本発明は、TALEN又はコンパクトTALENを使用して実施することができる。所定のDNA部位に結合するTALEドメインの作製方法は、当該分野で公知であり、例えば、Reyon et al.(2012)Nat Biotechnol.30:460−5が挙げられる。別の実施形態では、本発明はジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を用いて実施することができる。更なる実施形態では、本発明はmegaTALを使用して実施することができる。
好ましい実施形態では、本発明を実施するために使用されるヌクレアーゼは、一本鎖メガヌクレアーゼである。一本鎖メガヌクレアーゼは、N末端サブユニットと、リンカーペプチドによって接合されたC末端サブユニットと、を含む。2つのドメインの各々は、認識配列の半分(即ち、認識ハーフサイト)を認識し、DNA切断の部位は、2つのサブユニットの界面付近の認識配列の中央にある。DNA鎖切断は、メガヌクレアーゼによるDNA切断が4塩基対の3’一本鎖オーバーハングの対を生成するように、4塩基対によって相殺される。
いくつかの例では、本発明の組換えメガヌクレアーゼは、F8R1−2認識配列(配列番号7)を認識して切断するように操作されている。F8R1−2認識配列は、int22h−1配列及びF8A1配列の両方の中に位置する。このような組換えメガヌクレアーゼは、本明細書では集合的に「F8R1−2メガヌクレアーゼ」と呼ばれる。例示的なF8R1−2メガヌクレアーゼは、配列番号19〜22に提供される。
更なる例では、本発明の組換えメガヌクレアーゼは、F8R3−4認識配列(配列番号9)を認識して切断するように操作されている。F8R3−4認識配列は、int22h−1配列及びF8A1配列の両方の中に位置する。このような組換えメガヌクレアーゼは、本明細書では集合的に「F8R3−4メガヌクレアーゼ」と呼ばれる。例示的なF8R3−4メガヌクレアーゼは、配列番号28〜31に提供される。
更なる例では、本発明の組換えメガヌクレアーゼは、F8R9−10認識配列(配列番号11)を認識して切断するように操作されている。このような組換えメガヌクレアーゼは、本明細書では集合的に「F8R9−10メガヌクレアーゼ」と呼ばれる。例示的なF8R9−10メガヌクレアーゼは、配列番号40〜43に提供される。
更なる例では、本発明の組換えメガヌクレアーゼは、F8R11−12認識配列(配列番号13)を認識して切断するように操作されている。このような組換えメガヌクレアーゼは、本明細書では集合的に「F8R11−12メガヌクレアーゼ」と呼ばれる。例示的なF8R11−12メガヌクレアーゼは、配列番号52〜55に提供される。
更なる例では、本発明の組換えメガヌクレアーゼは、F8R13−14認識配列(配列番号15)を認識して切断するように操作されている。このような組換えメガヌクレアーゼは、本明細書では集合的に「F8R13−14メガヌクレアーゼ」と呼ばれる。例示的なF8R13−14メガヌクレアーゼは、配列番号64〜67に提供される。
更なる例では、本発明の組換えメガヌクレアーゼは、F8R15−16認識配列(配列番号17)を認識し、切断するように操作されている。このような組換えメガヌクレアーゼは、本明細書では集合的に「F8R15−16メガヌクレアーゼ」と呼ばれる。例示的なF8R15−16メガヌクレアーゼは、配列番号76〜79に提供される。
本発明の組換えメガヌクレアーゼは、第1の超可変領域(HVR1)領域を含む第1のサブユニットと、第2の超可変領域(HVR2)を含む第2のサブユニットと、を含む。更に、第1のサブユニットは、認識配列の第1の認識ハーフサイト(例えば、F8R1、F8R3、F8R9、F8R11、F8R13、又はF8R15ハーフサイト)に結合し、第2のサブユニットは、認識配列の第2の認識ハーフサイト(例えば、F8R2、F8R4、F8R10、F8R12、F8R14、又はF8R16ハーフサイト)に結合する。組換えメガヌクレアーゼが一本鎖メガヌクレアーゼである実施形態では、HVR1領域を含み第1のハーフサイトに結合する第1のサブユニットがN末端サブユニットとして位置し、HVR2領域を含み第2のハーフサイトに結合する第2のサブユニットがC末端サブユニットとして位置するように、第1のサブユニット及び第2のサブユニットを配向させることができる。代替となる実施形態では、HVR1領域を含み第1のハーフサイトに結合する第1のサブユニットがC末端サブユニットとして位置し、HVR2領域を含み第2のハーフサイトに結合する第2のサブユニットがN末端サブユニットとして位置するように、第1のサブユニット及び第2のサブユニットを配向させることができる。本発明の例示的なF8R1−2メガヌクレアーゼを表1に示す。本発明の例示的なF8R3−4メガヌクレアーゼを表2に示す。本発明の例示的なF8R9−10メガヌクレアーゼを表3に示す。本発明の例示的なF8R11−12メガヌクレアーゼを表4に示す。本発明の例示的なF8R13−14メガヌクレアーゼを表5に示す。本発明の例示的なF8R15−16メガヌクレアーゼを表6に示す。
表1.F8R1−2認識配列(配列番号7)を認識し切断するように操作された例示的な組換えメガヌクレアーゼ
*「F8R1サブユニット%」及び「F8R2サブユニット%」は、各メガヌクレアーゼのF8R1結合及びF8R2結合サブユニット領域と、F8R1−2x.27メガヌクレアーゼのそれぞれF8R1結合及びF8R2結合サブユニット領域との間のアミノ酸配列同一性を表す。
表2.F8R3−4認識配列(配列番号9)を認識し切断するように操作された例示的な組換えメガヌクレアーゼ
*「F8R3サブユニット%」及び「F8R4サブユニット%」は、各メガヌクレアーゼのF8R3結合及びF8R4結合サブユニット領域と、F8R3−4x.43メガヌクレアーゼのそれぞれF8R3結合及びF8R4結合サブユニット領域との間のアミノ酸配列同一性を表す。
表3.F8R9−10認識配列(配列番号11)を認識し切断するように操作された例示的な組換えメガヌクレアーゼ
*「F8R9サブユニット%」及び「F8R10サブユニット%」は、各メガヌクレアーゼのF8R9結合及びF8R10結合サブユニット領域と、F8R9−10x.70メガヌクレアーゼのそれぞれF8R9結合及びF8R10結合サブユニット領域との間のアミノ酸配列同一性を表す。
表4.F8R11−12認識配列(配列番号13)を認識し切断するように操作された例示的な組換えメガヌクレアーゼ
*「F8R11サブユニット%」及び「F8R12サブユニット%」は、各メガヌクレアーゼのF8R11結合及びF8R12結合サブユニット領域と、F8R11−12x.56メガヌクレアーゼのそれぞれF8R11結合及びF8R12結合サブユニット領域との間のアミノ酸配列同一性を表す。
表5.F8R13−14認識配列(配列番号15)を認識し切断するように操作された例示的な組換えメガヌクレアーゼ
*「F8R13サブユニット%」及び「F8R14サブユニット%」は、各メガヌクレアーゼのF8R13結合及びF8R14結合サブユニット領域と、F8R13−14x.13メガヌクレアーゼのそれぞれF8R13結合及びF8R14結合サブユニット領域との間のアミノ酸配列同一性を表す。
表6.F8R15−16認識配列(配列番号17)を認識し切断するように操作された例示的な組換えメガヌクレアーゼ
*「F8R15サブユニット%」及び「F8R16サブユニット%」は、各メガヌクレアーゼのF8R15結合及びF8R16結合サブユニット領域と、F8R15−16x.14メガヌクレアーゼのそれぞれF8R15結合及びF8R16結合サブユニット領域との間のアミノ酸配列同一性を表す。
2.3 エンドヌクレアーゼの送達方法及び発現方法
本発明は、第VIII因子遺伝子のイントロン22配列内に見出される認識配列を認識し切断する操作されたヌクレアーゼを用いて遺伝子改変細胞を産生する方法を提供する。本発明は更に、薬学的に許容される担体と、本発明の操作されたヌクレアーゼ(又は操作されたヌクレアーゼをコードする核酸)と、を含む医薬組成物を投与することによって、被験体における血友病Aを治療する方法を提供する。いずれの場合においても、本発明は、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位を含み、且つ典型的には第VIII因子を健康な被験体において発現する適切な細胞(例えば、肝類洞内皮細胞若しくは造血内皮細胞、又はそれらに分化する前駆細胞)のDNA/RNAに、本発明の操作されたヌクレアーゼが送達可能及び/又は発現可能であることが必要である。
本発明の操作されたヌクレアーゼは、タンパク質の形態で、又は好ましくは、操作されたヌクレアーゼをコードする核酸として、細胞に送達することができる。このような核酸は、DNA(例えば、環状若しくは線状プラスミドDNA又はPCR産物)又はRNA(例えば、mRNA)であり得る。操作されたヌクレアーゼコード配列がDNA形態で送達される実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、ヌクレアーゼ遺伝子の転写を促進するためにプロモーターに作動可能に連結されるべきである。本発明に適した哺乳動物プロモーターは、サイトメガロウイルス初期(CMV)プロモーター(Thomsen et al.(1984)、Proc Natl Acad Sci USA.81(3):659−63)又はSV40初期プロモーター(Benoist及びChambon(1981)、Nature.290(5804):304−10)等の構成型プロモーター、並びにテトラサイクリン誘導性プロモーター(Dingermann et al.(1992)、Mol Cell Biol.12(9):4038−45)等の誘導性プロモーターを含む。本発明の操作されたヌクレアーゼはまた、合成プロモーターに作動可能に連結され得る。合成プロモーターには、JeTプロモーター(国際公開第2002/012514号)が含まれるが、これに限定されない。
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼをコードするmRNAは、操作されたヌクレアーゼをコードする遺伝子が細胞のゲノムに組み込まれる可能性を低減するため、細胞に送達される。操作されたヌクレアーゼをコードするこのようなmRNAは、インビトロ転写等の当該分野で公知の方法を用いて産生させることができる。いくつかの実施形態において、mRNAは、7−メチル−グアノシンを用いてキャップされる。いくつかの実施形態では、mRNAはポリアデニル化されていてもよい。
別の特定の実施形態において、本発明のエンドヌクレアーゼをコードする核酸は、一本鎖DNA鋳型を用いて細胞に導入することができる。一本鎖DNAは、操作されたヌクレアーゼをコードする配列の上流及び/又は下流に5’及び/又は3’AAV逆位末端反復(ITR)を更に含むことができる。他の実施形態では、一本鎖DNAは、操作されたヌクレアーゼをコードする配列の上流及び/又は下流に5’及び/又は3’相同性アームを更に含むことができる。
別の特定の実施形態では、本発明のエンドヌクレアーゼをコードする遺伝子は、線状化したDNA鋳型を用いて細胞に導入することができる。いくつかの例では、エンドヌクレアーゼをコードするプラスミドDNAは、環状プラスミドDNAが細胞に導入される前に線状化するように、1以上の制限酵素によって消化され得る。
別の特定の実施形態では、本発明のエンドヌクレアーゼをコードする遺伝子は、自己切断性組換えDNA構築物上の細胞に導入することができる。このような構築物は、エンドヌクレアーゼのための少なくとも1つのコード配列と、同じエンドヌクレアーゼのための少なくとも1つの認識配列とを含むことができる。細胞内で発現すると(即ち、インビボ)、エンドヌクレアーゼは認識配列を認識して切断し、DNA構築物の線状化をもたらす。
精製されたヌクレアーゼタンパク質は、本明細書で以下に更に詳述されるものを含む、当技術分野で公知の種々の異なるメカニズムによってゲノムDNAを切断するために、細胞に送達することができる。
本発明の組換えメガヌクレアーゼを送達するための標的組織には、肝臓の細胞、好ましくは肝類洞内皮細胞、あるいは肝類洞内皮細胞に分化する前駆細胞が含まれるが、これらに限定されない。標的組織は、循環系の細胞、好ましくは造血内皮細胞、あるいは造血内皮細胞に分化する前駆細胞も含むことができるが、これらに限定されない。考察したように、本発明のエンドヌクレアーゼは、精製タンパク質として、又はエンドヌクレアーゼをコードするRNAもしくはDNAとして送達することができる。一実施形態では、エンドヌクレアーゼタンパク質、又はmRNA、又はエンドヌクレアーゼをコードするDNAベクターは、標的組織に直接的に注射を介して標的細胞(例えば、肝臓の細胞又は循環系の細胞)に供給される。あるいは、エンドヌクレアーゼタンパク質、mRNA、又はDNAは、循環系を介して全身的に送達することができる。
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼタンパク質、又はエンドヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、公知の技術に従って、薬学的に許容される担体中に、全身投与又は標的組織への投与のために製剤化される。例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy(21st ed.2005)を参照されたい。本発明による医薬製剤の製造において、タンパク質/RNA/mRNAは、典型的には、薬学的に許容される担体と混合される。担体はもちろん、製剤中の他の成分と適合性があるという意味で許容されなければならず、患者に有害であってはならない。担体は、固体若しくは液体、又はその両方であってもよく、単位用量製剤として化合物と共に製剤化することができる。
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼタンパク質、又はエンドヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、細胞浸透性ペプチド又は標的リガンドに結合され、細胞取り込みを促進する。当該分野で公知の細胞浸透性ペプチドの例には、ポリアルギニン(Jearawiriyapaisarn et al.(2008)Mol Ther.16:1624−9)、HIVウイルス由来のTATペプチド(Hudecz et al.(2005)、Med.Res.Rev.25:679−736)、MPG(Simeoni、et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:2717−2724)、Pep−1(Deshayes et al.(2004)Biochemistry 43:7698−7706、及びHSV−1 VP−22(Deshayes et al.(2005)Cell Mol Life Sci.62:1839−49)が含まれる。別の実施形態では、エンドヌクレアーゼタンパク質、又はエンドヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、エンドヌクレアーゼタンパク質/DNA/mRNAが標的細胞に結合し、且つ標的細胞によって内在化されるように、標的細胞上に発現される特異的細胞表面受容体を認識する抗体に共有結合的又は非共有結合的に結合される。あるいは、エンドヌクレアーゼタンパク質/DNA/mRNAは、このような細胞表面受容体の天然リガンド(又は天然リガンドの一部)に共有結合的又は非共有結合的に結合することができる。(McCall et al.(2014)Tissue Barriers.2(4):e944449;Dinda et al.(2013)Curr Pharm Biotechnol.14:1264−74;Kang et al.(2014)Curr Pharm Biotechnol.15 (3):220−30; Qian et al.(2014)Expert Opin Drug Metab Toxicol.10(11):1491−508)。
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼタンパク質、又はエンドヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、肝臓の所望の領域内に(例えば、肝類洞内皮細胞若しくは造血内皮細胞、又はそれらに分化する前駆細胞に近接して)注射又は移植するための生分解性ヒドロゲル内にカプセル化される。ヒドロゲルは、頻繁な注射を必要とせずに、標的組織の所望の領域に治療ペイロードの持続的且つ調整可能な放出を提供することができ、刺激応答性材料(例えば温度応答性ヒドロゲル及びpH応答性ヒドロゲル)は、環境的又は外因的に当てはまる合図に応答してペイロードを放出するように設計することができる(Kang Derwent et al.(2008)Trans Am Ophthalmol Soc.106:206−214)。
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼタンパク質、又はエンドヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、当技術分野で公知の方法を用いて、ナノ粒子に共有結合的に、好ましくは非共有結合的に結合するか、あるいはそのようなナノ粒子内にカプセル化される(Sharma et al.(2014)Biomed Res Int.2014)。ナノ粒子は、その長さスケールが<1μm、好ましくは<100nmであるナノスケール送達システムである。このようなナノ粒子は、金属、脂質、ポリマー、又は生物学的高分子から構成されるコアを用いて設計されてもよく、エンドヌクレアーゼタンパク質、mRNA又はDNAの複数のコピーをナノ粒子コアに結合させるか又はカプセル化することができる。これは、各細胞に送達されるタンパク質/mRNA/DNAのコピー数を増加させ、従って、各エンドヌクレアーゼの細胞内発現を増加させて、標的認識配列が切断される可能性を最大にする。このようなナノ粒子の表面をポリマー又は脂質(例えば、キトサン、カチオン性ポリマー、又はカチオン性脂質)で更に修飾して、表面が追加の官能性を付与するコア−シェルナノ粒子を形成して、細胞送達及びペイロードの取り込みを増強してもよい(Jian et al.(2012)Biomaterials.33(30):7621−30)。有利には、ナノ粒子を標的化分子に更に結合させて、ナノ粒子を適切な細胞型に導き、及び/又は細胞取り込みの可能性を高めてもよい。そのような標的化分子の例には、細胞表面受容体に特異的な抗体、及び細胞表面受容体の天然リガンド(又は天然リガンドの一部)が含まれる。
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼタンパク質、又はエンドヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、カチオン性脂質を用いてリポソーム内にカプセル化又は複合化される(例えば、Lipofectamine(商標)、Life Technologies Corp.、Carlsbad、CA; Zuris et al.(2015)Nat Biotechnol。33:73−80; Mishra et al.(2011)J Drug Deliv.2011:863734を参照)。リポソーム及びリポプレックス製剤は、ペイロードを分解から保護し、標的部位での蓄積及び保持を促進し、標的細胞の細胞膜との融合及び/又は破壊により細胞の取り込み及び送達効率を促進することができる。
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼタンパク質、又はエンドヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、ポリマー足場(例えば、PLGA)内にカプセル化されるか、又はカチオン性ポリマー(例えばPEI、PLL)を用いて複合化される(Tamboli et al.(2011)Ther Deliv.2(4):523−536)。ポリマー担体は、ポリマー侵食及び薬物拡散の制御によって調整可能な薬物放出速度を提供するように設計することができ、高効率の薬物カプセル化によって、所望の標的細胞集団への細胞内送達まで治療有効量の保護を提供することができる。
いくつかの実施形態において、エンドヌクレアーゼタンパク質、又は組換えメガヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、ミセルに自己集合する両親媒性分子と組み合わされる(Tong et al.(2007)J Gene Med.9(11):956−66)。ポリマーミセルは、親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)で形成されたミセルシェルを含んでもよく、親水性ポリマーは、凝集を防止し、電荷相互作用をマスクし、非特異的相互作用を減少させることができる。
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼタンパク質、又はエンドヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、標的細胞への投与及び/又は送達のために、エマルジョン又はナノエマルジョン(即ち、平均粒子直径<1nm)に製剤化される。「エマルジョン」という用語は、限定するものではないが、水中油型、油中水型、水中油中水型、又は油中水中油型の分散液又は液滴を指し、水不混和相が水相と混合されると、無極性残基(例えば、長い炭化水素鎖)を水から離れるように移動させ、極性頭部基を水に向かって移動させる疎水力の結果として形成することができる脂質構造体を含む。これらの他の脂質構造体には、単層、少重膜(paucilamellar)層、及び多重層脂質小胞体、ミセル及びラメラ相が含まれるが、これらに限定されない。エマルジョンは、水相及び親油相(典型的には油及び有機溶媒を含有する)から構成される。エマルジョンはまた、1種以上の界面活性剤を含有することが多い。ナノエマルジョン製剤は、例えば、米国特許出願第2002/0045667号及び第2004/0043041号、並びに米国特許第6,015,832号、第6,506,803号、第6,635,676号、及び第6,559,189号に記載されているように周知であり、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼタンパク質、又はエンドヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、多官能性ポリマー結合体、DNAデンドリマー、及びポリマーデンドリマーに共有結合しているか、又は非共有結合している(Mastorakos et al.(2015)Nanoscale.7(9):3845−56、Cheng et al.(2008)J Pharm Sci.97(1):123−43)。デンドリマー生成は、ペイロードの容量及びサイズを制御することができ、高い薬物ペイロード容量を提供することができる。更に、複数の表面基の提示を利用して、安定性を改善し、非特異的相互作用を低減し、細胞特異的標的化及び薬物放出を増強することができる。
いくつかの実施形態において、エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子は、ウイルスベクターを用いて送達される。そのようなベクターは、当技術分野で公知であり、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが含まれる(Vannucci et al.(2013 New Microbiol.36:1−22)に概説されている)。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、標的組織に直接注射される。別の実施形態では、ウイルスベクターは、循環系を介して全身に送達される。当分野では、異なるAAVベクターが異なる組織に局在する傾向があることが知られている。肝標的組織では、肝細胞の効果的な形質導入が、例えばAAV血清型2,8,及び9で示されている(Sands(2011)Methods Mol.Biol.807:141−157)。AAVベクターはまた、宿主細胞において第2鎖DNA合成を必要としないように自己相補的であり得る(McCarty et al.(2001)Gene Ther.8:1248−54)。
一実施形態では、エンドヌクレアーゼ遺伝子送達のために使用されるウイルスベクターは、自己制限ウイルスベクターである。自己制限ウイルスベクターは、ベクター内の組換えメガヌクレアーゼの認識配列の存在に起因して、細胞又は生物において持続時間が制限され得る。従って、自己制限ウイルスベクターを操作して、プロモーター、本明細書に記載のエンドヌクレアーゼ、及びITR内のエンドヌクレアーゼ認識部位のコードを提供することができる。自己制限ウイルスベクターは、エンドヌクレアーゼ遺伝子を細胞、組織、又は生物に送達して、エンドヌクレアーゼが発現され、ゲノム内の内因性認識配列で細胞のゲノムを切断することができるようにする。送達されたエンドヌクレアーゼはまた、自己制限ウイルスベクター自体の中にその標的部位を見出し、この標的部位でベクターを切断する。切断されると、ウイルスゲノムの5’及び3’末端は、エキソヌクレアーゼによって曝露されて分解され、ウイルスを殺し、エンドヌクレアーゼの産生を停止する。
エンドヌクレアーゼ遺伝子がDNA形態(例えばプラスミド)及び/又はウイルスベクター(例えばAAV)を介して送達される場合、それらはプロモーターに作動可能に連結されなければならない。いくつかの実施形態では、これは、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクターのLTR)又は周知のサイトメガロウイルス初期プロモーター又はSV40ウイルス初期プロモーター由来の内因性プロモーター等のウイルスプロモーターであり得る。好ましい実施形態では、メガヌクレアーゼ遺伝子は、標的細胞において遺伝子発現を優先的に駆動するプロモーターに作動可能に連結される。肝臓特異的プロモーターの例としては、限定されないが、ヒトα−1抗トリプシンプロモーター及びアポリポタンパク質A−IIプロモーターが挙げられる。
1回の治療で第VIII因子遺伝子のエクソン1−22が恒久的に復帰し、患者の標的細胞の割合の中に機能性野生型遺伝子が生じることが想定される。しかし、復帰の頻度が低い場合、又は標的細胞の大きな割合を修正する必要がある場合、各患者に複数回の治療を行う必要があり得る。
2.4 医薬組成物
いくつかの実施形態では、本発明は、薬学的に許容される担体と本発明の操作されたヌクレアーゼ、又は薬学的に許容される担体と本発明の操作されたヌクレアーゼをコードする核酸を含む単離されたポリヌクレオチドとを含む、医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、標的組織に送達することができ、そこで次に細胞が野生型第VIII因子を発現する細胞に分化することができる、薬学的に許容される担体と、本発明の遺伝子改変細胞と、を含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、第VIII因子遺伝子のエクソン1−22の逆位によって特徴付けられる血友病Aを有する被験体の治療に有用であり得る。
このような医薬組成物は、公知の技術に従って調製することができる。例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy(21st.ed.2005)を参照されたい。本発明による医薬製剤の製造において、エンドヌクレアーゼポリペプチド(又はそれをコードするDNA/RNA)は、一般的には、薬学的に許容される担体と混合され、得られた組成物が被験体に投与される。担体はもちろん、製剤中の他の成分と適合性があるという意味で許容されなければならず、被験体に有害であってはならない。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、被験体における疾患の治療に有用な1以上の追加の薬剤又は生物学的分子を更に含むことができる。同様に、追加の薬剤及び/又は生物学的分子は、別個の組成物として同時投与することができる。
2.5 組換えAAVベクターの産生方法
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の方法における使用のための組換えAAVベクターを提供する。組換えAAVベクターは、典型的には、HEK−293等の哺乳動物細胞株で産生される。ウイルスのcap遺伝子及びrep遺伝子は、その自己複製によって治療遺伝子(例えば、エンドヌクレアーゼ遺伝子)が送達される余地を作ることを防ぐためにベクターから除去されるため、パッケージング細胞株においてトランスで供給する必要がある。更に、複製を支持するために必要な「ヘルパー」(例えば、アデノウイルス)成分を提供することが必要である(Cots D、Bosch A、Chillon M(2013)Curr.Gene Ther.13(5):370−81)。しばしば、組換えAAVベクターは、「ヘルパー」成分をコードする第1のプラスミドと、cap及びrep遺伝子を含む第2のプラスミドと、ウイルスにパッケージングされる介在DNA配列を含有するウイルス性ITRを含む第3のプラスミドとで細胞株がトランスフェクトされる、三重トランスフェクションを用いて産生される。キャプシドに包まれたゲノム(目的のITR及び関与する介在遺伝子)を含むウイルス粒子は、その後、凍結融解サイクル、超音波処理、界面活性剤、又は当技術分野で公知の他の手段によって細胞から単離される。次いで、塩化セシウム密度勾配遠心分離又はアフィニティークロマトグラフィーを用いて粒子を精製し、続いて細胞、組織、又はヒト患者などの生物の目的の遺伝子に送達する。
組換えAAV粒子は、典型的には細胞中に産生(製造)させるため、部位特異的エンドヌクレアーゼがパッケージング細胞中で発現しないことを確実にするように、本発明を実施する際に注意を払わなければならない。本発明のウイルスゲノムは、エンドヌクレアーゼの認識配列を含むため、パッケージング細胞株で発現する任意のエンドヌクレアーゼは、ウイルスゲノムがウイルス粒子にパッケージングされる前にウイルスゲノムを切断することができる。このことは、パッケージング効率の低下及び/又は断片化したゲノムのパッケージングを生じる。以下を含むいくつかのアプローチを使用して、パッケージング細胞におけるエンドヌクレアーゼ発現を防止することができる。
1.エンドヌクレアーゼを、パッケージング細胞において活性ではない組織特異的プロモーターの制御下に置くことができる。例えば、筋肉組織にエンドヌクレアーゼ遺伝子を送達するためにウイルスベクターを開発する場合、筋特異的プロモーターを使用することができる。筋特異的プロモーターの例には、C5−12(Liu et al.(2004)Hum Gene Ther.15:783−92)、筋特異的クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター(Yuasa、et al.(2002)Gene Ther.9:1576−88)、又は平滑筋22(SM22)プロモーター(Haase et al.(2013)BMC Biotechnol.13:49−54)が含まれる。CNS(ニューロン)特異的プロモーターの例には、NSE、シナプシン、及びMeCP2プロモーターが含まれる(Lentz et al.(2012)Neurobiol Dis.48:179−88)。肝特異的プロモーターの例には、アルブミンプロモーター(Palb等)、ヒトα1−抗トリプシン(Pa1AT等)、及びヘモペキシン(Phpx等)が含まれる(Kramer、MG et al.、(2003)Mol.Therapy 7:375−85)。眼特異的プロモーターの例には、オプシン、及び角膜上皮特異的K12プロモーターが含まれる(Martin KRG、Klein RL、及びQuigley HA(2002)Methods(28):267−75)(Tong Y et al.(2007)J Gene Med、9:956−66)。これらのプロモーター又は当該分野で公知の他の組織特異的プロモーターは、HEK−293細胞において高度に活性ではなく、従って、本発明のウイルスベクターに組み込まれた場合に、パッケージング細胞において有意なレベルのエンドヌクレアーゼ遺伝子発現を生じることは期待されない。同様に、本発明のウイルスベクターは、不適合組織特異的プロモーター(即ち、周知のHeLa細胞株(ヒト上皮細胞)及び肝特異的ヘモペキシンプロモーターを用いる)の使用と共に他の細胞株を使用することを企図している。組織特異的プロモーターの他の例には、滑膜肉腫PDZD4(小脳)、C6(肝臓)、ASB5(筋肉)、PPP1R12B(心臓)、SLC5A12(腎臓)、コレステロール調節APOM(肝臓)、ADPRHL1(心臓)、及び一因性奇形シンドロームTP73L(筋肉)が含まれる。(Jacox E et al.、(2010)PLoS One v.5(8):e12274)。
2.代替として、ベクターは、エンドヌクレアーゼが発現されにくい異なる種に由来する細胞にパッケージングすることができる。例えば、ウイルス粒子は、非哺乳類パッケージング細胞において活性ではない、周知のサイトメガロウイルス初期プロモーター又はSV40ウイルス初期プロモーター等の哺乳動物プロモーターを用いて、微生物、昆虫、又は植物細胞中に産生させることができる。好ましい実施形態では、Gaoらによって記載されているようなバキュロウイルス系を用いてウイルス粒子を昆虫細胞中に産生させる(Gao、H.、et al.(2007)J.Biotechnol.131(2):138−43)。哺乳動物プロモーターの制御下にあるエンドヌクレアーゼは、これらの細胞中で発現する可能性は低い(Airenne、KJ et al.(2013)Mol.Ther.21(4):739−49)。更に、昆虫細胞は、哺乳動物細胞とは異なるmRNAスプライシングモチーフを利用する。従って、ヒト成長ホルモン(HGH)イントロン又はSV40ラージT抗原イントロン等の哺乳動物イントロンをエンドヌクレアーゼのコード配列に組み込むことが可能である。これらのイントロンは昆虫細胞のプレmRNA転写物から効率的にスプライシングされないため、昆虫細胞は機能的エンドヌクレアーゼを発現せず、全長ゲノムをパッケージングする。対照的に、得られた組換えAAV粒子が送達される哺乳動物細胞は、プレmRNAを適切にスプライスし、機能的エンドヌクレアーゼタンパク質を発現する。Haifeng Chenは、HGH及びSV40ラージT抗原イントロンを使用して、昆虫パッケージング細胞中の毒性タンパク質バルナーゼ及びジフテリア毒素断片Aの発現を減弱させ、これらの毒素遺伝子を担持する組換えAAVベクターの産生を可能にすることを報告した(Chen、H(2012)Mol Ther Nucleic Acids.1(11):e57)。
3.エンドヌクレアーゼ遺伝子は、エンドヌクレアーゼ発現のために小分子誘導因子が必要とされるように、誘導性プロモーターに作動可能に連結され得る。誘導性プロモーターの例には、Tet−Onシステム(Clontech;Chen H、et al.(2015)BMC Biotechnol.(j)15(1):4))及びRheoSwitchシステム(Intrexon;Sowa G、et al.(2011)Spine、36(10):E623−8)が含まれる。両方のシステム及び当該分野で公知の類似のシステムは、小分子活性化因子(それぞれドキシサイクリン又はエクジソン)に応答して転写を活性化するリガンド誘導性転写因子(それぞれTetリプレッサー及びエクジソン受容体の変異体)に依存する。このようなリガンド誘導性転写活性化因子を用いて本発明を実施することは、1)対応する転写因子に応答するプロモーターの制御下にエンドヌクレアーゼ遺伝子を配置することであって、エンドヌクレアーゼ遺伝子が転写因子の結合部位を有することと、2)パッケージングされたウイルスゲノム中の転写因子をコードする遺伝子を含むことと、を含む。転写活性化因子が同じ細胞にも供給されない場合、組換えAAV送達後に標的細胞又は組織中にエンドヌクレアーゼが発現しないため、後者のステップが必要である。次いで、転写活性化因子は、コグネイト小分子活性化因子で処理された細胞又は組織中にのみエンドヌクレアーゼ遺伝子発現を誘導する。このアプローチは、小分子誘導因子がいつ、そしてどの組織に送達されるかを選択することによって、エンドヌクレアーゼ遺伝子発現を空間−時間的に調節することができるため有利である。しかしながら、担持能力が著しく制限されたウイルスゲノムに誘導因子を含める必要性は、このアプローチの欠点を作り出す。
4.別の好ましい実施形態では、組換えAAV粒子は、エンドヌクレアーゼの発現を妨げるリプレッサーを発現する哺乳動物細胞株に産生される。転写リプレッサーは当該分野で公知であり、Tetリプレッサー、Lacリプレッサー、Croリプレッサー、及びLambdaリプレッサーを含む。エクジソン受容体などの多くの核内ホルモン受容体は、それらの同族ホルモンリガンドの非存在下で転写リプレッサーとしても作用する。本発明を実施するために、パッケージング細胞は、転写リプレッサーをコードするベクターでトランスフェクト/形質導入され、ウイルスゲノム中のエンドヌクレアーゼ遺伝子(パッケージングベクター)は、プロモーターに作動可能に結合され、このプロモーターは、リプレッサーがプロモーターをサイレンシングするように、リプレッサーのための結合部位を含むように改変されている。転写リプレッサーをコードする遺伝子は、種々の位置に配置することができる。この遺伝子は、別のベクターにコードすることができ、ITR配列の外側のパッケージングベクターに組み込むことができ、cap/repベクター又はアデノウイルスヘルパーベクターに組み込むことができ、又は最も好ましくは、構成的に発現されるようにパッケージング細胞のゲノムに安定に組み込むことができる。転写リプレッサー部位を組み込むために一般的な哺乳動物プロモーターを改変する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Chang及びRoninsonは、強力な構成的CMV及びRSVプロモーターをLacリプレッサーのオペレーターを含むように改変し、改変プロモーターからの遺伝子発現がリプレッサーを発現する細胞で大きく減弱したことを示した(Chang BD及びRoninson IB(1996)Gene 183:137−42)。非ヒト転写リプレッサーの使用は、エンドヌクレアーゼ遺伝子の転写が、リプレッサーを発現するパッケージング細胞においてのみ抑制され、得られる組換えAAVベクターで形質導入される標的細胞又は組織においては抑制されないことを確実にする。
2.6 操作されたヌクレアーゼ変異体
本発明の実施形態は、本明細書に記載の操作されたヌクレアーゼ及びその変異体を包含する。本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載のエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド及びそのようなポリヌクレオチドの変異体を包含する。
本明細書で使用される場合、「変異体」は、実質的に類似の配列を意味することを意図する。「変異体」ポリペプチドは、天然のタンパク質の1以上の内部部位における1以上のアミノ酸の欠失若しくは付加、及び/又は天然のポリペプチドの1以上の部位における1以上のアミノ酸の置換によって、「天然の」ポリペプチドから派生したポリペプチドを意味することを意図する。本明細書で使用される場合、「天然の」ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、変異体が由来する親配列を含む。実施形態によって包含される変異体ポリペプチドは生物学的に活性である。即ち、それらは天然のタンパク質の所望の生物学的活性を保持し続けており、即ち、例えば、F8R1−2認識配列(配列番号7)、F8R3−4認識配列(配列番号9)、F8R9−10認識配列(配列番号11)、F8R11−12認識配列(配列番号13)、F8R13−14認識配列(配列番号15)、又はF8R15−16認識配列(配列番号17)を含む、第VIII因子遺伝子のint22h−1配列に見出される認識配列を認識し切断する能力を保持し続けている。そのような変異体は、例えばヒトの操作から生じ得る。実施形態の天然のポリペプチドの生物学的に活性な改変体(例えば、配列番号19〜21,28〜31,40〜43,52〜55,64〜67、又は76〜79)、又は本明細書に記載されているサブユニットを結合する認識ハーフサイトの生物学的に活性な変異体は、本明細書の他の箇所に記載されている配列アライメントプログラム及びパラメータによって決定されるように、天然のポリペプチド又は天然のサブユニットのアミノ酸配列に対して少なくとも約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の配列同一性を有する。実施形態のポリペプチド又はサブユニットの生物学的に活性な変異体は、そのポリペプチド又はサブユニットと、わずか約1−40個のアミノ酸残基、わずか約1−20個、わずか約1−10個、約5、わずか4,3,2個、又は更には1個のアミノ酸残基だけ異なり得る。
実施形態のポリペプチドは、アミノ酸の置換、欠失、切断、及び挿入を含む様々な方法で変化させることができる。そのような操作のための方法は、当技術分野において一般的に知られている。例えば、アミノ酸配列変異体は、DNA中の突然変異によって調製することができる。突然変異誘発及びポリヌクレオチド変更の方法は、当技術分野において周知である。例えば、Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492、Kunkel et al.(1987)Methods in Enzymol.154:367−382、米国特許第4,873,192号、Walker and Gaastra編(1983)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company、New York)及びそこに引用されている参考文献を参照されたい。目的のタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関するガイダンスは、Dayhoff et al.(1978)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.、Washington、D.C.)に記載されている。あるアミノ酸を同様の特性を有する別のアミノ酸と交換するなどの保存的置換が最適であり得る。
野生型I−CreIメガヌクレアーゼのDNA認識ドメインに対する実質的な数のアミノ酸修飾が以前に同定されており(例えば、米国特許第8,021,867号)、これは単独で又は組み合わせて、DNA認識配列ハーフサイト内の個々の塩基において特異性が変更された組換えメガヌクレアーゼを生じ、得られる合理的に設計されたメガヌクレアーゼは、野生型酵素とは異なるハーフサイト特異性を有するようになる。表7は、認識ハーフサイトの各ハーフサイト位置(−1〜−9)に存在する塩基に基づいて、特異性を増強するために組換えメガヌクレアーゼモノマー又はサブユニットにおいてなされ得る、可能性のある置換を提供する。
太字の項目は野生型の接触残基であり、本明細書で使用される「改変」を構成しない。星印は、残基がアンチセンス鎖上の塩基と接触することを示す。
ポリヌクレオチドの場合、「変異体」は、天然のポリヌクレオチド内の1以上の部位で1以上のヌクレオチドの欠失及び/又は付加を含む。当業者は、実施形態の核酸の変異体が、オープンリーディングフレームが維持されるように構築されることを認識するであろう。ポリヌクレオチドの場合、保存的変異体には、遺伝コードの縮重のために、実施形態のポリペプチドの1つのアミノ酸配列をコードする配列が含まれる。変異体ポリヌクレオチドには、例えば、部位特異的突然変異誘発を用いて生成されるが、実施形態の組換えメガヌクレアーゼを依然としてコードするような、合成由来のポリヌクレオチドが含まれる。一般に、実施形態の特定のポリヌクレオチドの変異体は、本明細書の他の箇所に記載されている配列アライメントプログラム及びパラメータによって決定されるように、その特定のポリペプチドに対して少なくとも約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又はそれ以上の配列同一性を有する。実施形態の特定のポリヌクレオチドの変異体(即ち、参照ポリヌクレオチド)は、変異ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドとの間の配列同一性割合を比較することによって評価することもできる。
本明細書に包含されるタンパク質配列の欠失、挿入、及び置換は、ポリペプチドの特徴において根本的な変化を生じることは期待されない。しかし、置換、欠失、又は挿入の正確な効果をそれに先立って予測することが困難な場合、当業者は、第VIII因子遺伝子のint22h−1配列内に見出される認識配列を優先的に認識及び切断する能力についてポリペプチドをスクリーニングすることによって、その効果が評価されることを理解するであろう。
本発明を以下の実施例によって更に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、日常的な実験を用いて、本明細書に記載の特定の物質及び手順に対する多数の等価物を認識し、又は確認することができるであろう。そのような等価物は、以下の実施例に従う請求項の範囲に包含されることが意図される。
実施例1
F8R認識配列を認識し切断するメガヌクレアーゼの特徴付け
1.F8R1−2認識配列を認識し切断するメガヌクレアーゼ
本明細書で「F8R1−2メガヌクレアーゼ」と集合的に呼ばれる組換えメガヌクレアーゼ(配列番号19〜21)は、F8R1−2認識配列(配列番号7)を認識し切断するように操作され、F8R1−2認識配列(配列番号7)は、ヒト及びイヌ第VIII因子遺伝子、具体的にはint22h−1配列内、より具体的にはF8A1配列内に存在する。各F8R1−2組換えメガヌクレアーゼは、SV40に由来するN末端ヌクレアーゼ局在化シグナルと、第1のメガヌクレアーゼサブユニットと、リンカー配列と、第2のメガヌクレアーゼサブユニットと、を含む。各F8R1−2メガヌクレアーゼの第1のサブユニットは配列番号7のF8R1認識ハーフサイトに結合し、第2のサブユニットはF8R2認識ハーフサイトに結合する(図2参照)。
F8R1結合サブユニット及びF8R2結合サブユニットは、それぞれHVR1及びHVR2と呼ばれる56塩基対超可変領域を各々含む。F8R1結合サブユニットは、HVR1領域の外側で高度に保存されている。同様に、F8R2結合サブユニットも、HVR2領域の外側で高度に保存されている。配列番号19〜21のF8R1結合領域は、それぞれ配列番号22〜24として提供される。配列番号22〜24の各々は、メガヌクレアーゼF8R1−2x.27(配列番号19)のF8R1結合領域である配列番号22と少なくとも90%の配列同一性を共有する。配列番号19〜21のF8R2結合領域は、それぞれ配列番号25〜27として提供される。配列番号25〜27の各々は、メガヌクレアーゼF8R1−2x.27(配列番号19)のF8R2結合領域である配列番号25と少なくとも90%の配列同一性を共有する。
2.F8R3−4認識配列を認識し切断するメガヌクレアーゼ
本明細書で「F8R3−4メガヌクレアーゼ」と集合的に呼ばれる組換えメガヌクレアーゼ(配列番号28〜31)は、F8R3−4認識配列(配列番号9)を認識し切断するように操作され、F8R3−4認識配列(配列番号9)は、ヒト及びイヌ第VIII因子遺伝子、具体的にはint22h−1配列内、より具体的にはF8A1配列内に存在する。各F8R3−4組換えメガヌクレアーゼは、SV40に由来するN末端ヌクレアーゼ局在化シグナルと、第1のメガヌクレアーゼサブユニットと、リンカー配列と、第2のメガヌクレアーゼサブユニットと、を含む。各F8R3−4メガヌクレアーゼの第1のサブユニットは配列番号9のF8R3認識ハーフサイトに結合し、第2のサブユニットはF8R4認識ハーフサイトに結合する(図2を参照)。
F8R3結合サブユニット及びF8R4結合サブユニットは、それぞれHVR1及びHVR2と呼ばれる56塩基対超可変領域を各々含む。F8R3結合サブユニットは、HVR1領域の外側で高度に保存されている。同様に、F8R4結合サブユニットも、HVR2領域の外側で高度に保存されている。配列番号28〜31のF8R3結合領域は、それぞれ配列番号32〜35として提供される。配列番号32〜35の各々は、メガヌクレアーゼF8R3−4x.43(配列番号28)のF8R3結合領域である配列番号32と少なくとも90%の配列同一性を共有する。配列番号28〜31のF8R4結合領域は、それぞれ配列番号36〜39として提供される。配列番号36〜39の各々は、メガヌクレアーゼF8R3−4x.43(配列番号28)のF8R4結合領域である配列番号36と少なくとも90%の配列同一性を共有する。
3.F8R9−10認識配列を認識し切断するメガヌクレアーゼ
本明細書で「F8R9−10メガヌクレアーゼ」と集合的に呼ばれる組換えメガヌクレアーゼ(配列番号40〜43)は、ヒト及びイヌ第VIII因子遺伝子、具体的にはint22h−1配列内に存在するF8R9−10認識配列(配列番号11)を認識し切断するように操作された。各F8R9−10組換えメガヌクレアーゼは、SV40に由来するN末端ヌクレアーゼ局在化シグナルと、第1のメガヌクレアーゼサブユニットと、リンカー配列と、第2のメガヌクレアーゼサブユニットと、を含む。各F8R9−10メガヌクレアーゼの第1のサブユニットは配列番号11のF8R9認識ハーフサイトに結合し、第2のサブユニットはF8R10認識ハーフサイトに結合する(図2を参照)。
F8R9結合サブユニット及びF8R10結合サブユニットは、それぞれHVR1及びHVR2と呼ばれる56塩基対超可変領域を各々含む。F8R9結合サブユニットは、HVR1領域の外側で高度に保存されている。同様に、F8R10結合サブユニットも、HVR2領域の外側で高度に保存されている。配列番号40〜43のF8R9結合領域は、それぞれ配列番号44〜47として提供される。配列番号44〜47の各々は、メガヌクレアーゼF8R9−10x.70(配列番号40)のF8R9結合領域である配列番号44と少なくとも90%の配列同一性を共有する。配列番号40〜43のF8R10結合領域は、それぞれ配列番号48〜51として提供される。配列番号48〜51の各々は、メガヌクレアーゼF8R9−10x.70(配列番号40)のF8R10結合領域である配列番号48と少なくとも90%の配列同一性を共有する。
4.F8R11−12認識配列を認識し切断するメガヌクレアーゼ
本明細書で「F8R11−12メガヌクレアーゼ」と集合的に呼ばれる組換えメガヌクレアーゼ(配列番号52〜55)は、ヒト及びイヌ第VIII因子遺伝子、具体的にはint22h−1配列内に存在するF8R11−12認識配列(配列番号13)を認識し切断するように操作された。各F8R11−12組換えメガヌクレアーゼは、SV40に由来するN末端ヌクレアーゼ局在化シグナルと、第1のメガヌクレアーゼサブユニットと、リンカー配列と、第2のメガヌクレアーゼサブユニットと、を含む。各F8R11−12メガヌクレアーゼの第1のサブユニットは配列番号13のF8R11認識ハーフサイトに結合し、第2のサブユニットはF8R12認識ハーフサイトに結合する(図2を参照)。
F8R11結合サブユニット及びF8R12結合サブユニットは、それぞれHVR1及びHVR2と呼ばれる56塩基対超可変領域を各々含む。F8R11結合サブユニットは、HVR1領域の外部で高度に保存されている。同様に、F8R12結合サブユニットも、HVR2領域の外側で高度に保存されている。配列番号52〜55のF8R11結合領域は、それぞれ配列番号56〜59として提供される。配列番号56〜59の各々は、メガヌクレアーゼF8R11−12x.56(配列番号52)のF8R11結合領域である配列番号56と少なくとも90%の配列同一性を共有する。配列番号52〜55のF8R12結合領域は、それぞれ配列番号60〜63として提供される。配列番号60〜63の各々は、メガヌクレアーゼF8R11−12x.56(配列番号52)のF8R12結合領域である配列番号60と少なくとも90%の配列同一性を共有する。
5.F8R13−14認識配列を認識し切断するメガヌクレアーゼ
本明細書で「F8R13−14メガヌクレアーゼ」と集合的に呼ばれる組換えメガヌクレアーゼ(配列番号64〜67)は、ヒト及びイヌ第VIII因子遺伝子、具体的にはint22h−1配列内に存在するF8R13−14認識配列(配列番号15)を認識し切断するように操作された。各F8R13−14組換えメガヌクレアーゼは、SV40に由来するN末端ヌクレアーゼ局在化シグナルと、第1のメガヌクレアーゼサブユニットと、リンカー配列と、第2のメガヌクレアーゼサブユニットと、を含む。各F8R13−14メガヌクレアーゼの第1のサブユニットは配列番号15のF8R13認識ハーフサイトに結合し、第2のサブユニットはF8R14認識ハーフサイトに結合する(図2参照)。
F8R13結合サブユニット及びF8R14結合サブユニットは、それぞれHVR1及びHVR2と呼ばれる56塩基対超可変領域を各々含む。F8R13結合サブユニットは、HVR1領域の外側で高度に保存されている。同様に、F8R14結合サブユニットも、HVR2領域の外側で高度に保存されている。配列番号64〜67のF8R13結合領域は、それぞれ配列番号68〜71として提供される。配列番号68〜71の各々は、メガヌクレアーゼF8R13〜14x.13(配列番号64)のF8R13結合領域である配列番号68と少なくとも90%の配列同一性を共有する。配列番号64〜67のF8R14結合領域は、それぞれ配列番号72〜75として提供される。配列番号72〜75の各々は、メガヌクレアーゼF8R13〜14x.13(配列番号64)のF8R14結合領域である配列番号72と少なくとも90%の配列同一性を共有する。
6.F8R15−16認識配列を認識し切断するメガヌクレアーゼ
本明細書で「F8R15−16メガヌクレアーゼ」と集合的に呼ばれる組換えメガヌクレアーゼ(配列番号76〜79)は、ヒト及びイヌ第VIII因子遺伝子、具体的にはint22h−1配列内に存在するF8R15−16認識配列(配列番号17)を認識し切断するように操作された。各F8R15−16組換えメガヌクレアーゼは、SV40に由来するN末端ヌクレアーゼ局在化シグナルと、第1のメガヌクレアーゼサブユニットと、リンカー配列と、第2のメガヌクレアーゼサブユニットと、を含む。各F8R15−16メガヌクレアーゼの第1のサブユニットは配列番号17のF8R15認識ハーフサイトに結合し、第2のサブユニットはF8R16認識ハーフサイトに結合する(図2を参照)。
F8R15結合サブユニット及びF8R16結合サブユニットは、それぞれHVR1及びHVR2と呼ばれる56塩基対超可変領域を各々含む。F8R15結合サブユニットは、HVR1領域の外側で高度に保存されている。同様に、F8R16結合サブユニットも、HVR2領域外で高度に保存されている。配列番号76〜79のF8R15結合領域は、それぞれ配列番号80〜83として提供される。配列番号80〜83の各々は、メガヌクレアーゼF8R15−16x.14(配列番号76)のF8R15結合領域である配列番号80と少なくとも90%の配列同一性を共有する。配列番号76〜79のF8R16結合領域は、それぞれ配列番号84〜87として提供される。配列番号84〜87の各々は、メガヌクレアーゼF8R15−16x.14(配列番号76)のF8R16結合領域である配列番号84と少なくとも90%の配列同一性を共有する。
7.CHO細胞レポーターアッセイにおけるF8R認識配列の切断
F8R1−2、F8R3−4、F8R9−10、F8R11−12、F8R13−14、及びF8R15−16メガヌクレアーゼがそれらのそれぞれの認識配列(それぞれ配列番号7,9、11,13,15,及び17)を認識し切断できるかどうかを決定するために、以前に記載されたCHO細胞レポーターアッセイを用いて各組換えメガヌクレアーゼを評価した(国際公開第2012/167192号及び図4を参照)。アッセイを実施するために、細胞のゲノムに組み込まれた非機能性緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子発現カセットを担持するCHO細胞レポーター株を産生させた。各細胞株のGFP遺伝子は、メガヌクレアーゼによるいずれかの認識配列の細胞内切断が機能的GFP遺伝子をもたらす相同的組換え事象を刺激するように、一対の認識配列によって中断された。
この研究のために開発したCHOレポーター細胞株において、GFP遺伝子に挿入された1つの認識配列は、F8R1−2認識配列(配列番号7)、F8R3−4認識配列(配列番号9)、F8R9−10認識配列(配列番号11)、F8R11−12認識配列(配列番号13)、F8R13−14認識配列(配列番号15)、又はF8R15−16認識配列(配列番号17)であった。GFP遺伝子に挿入された第2の認識配列は、「CHO−23/24」と呼ばれる対照メガヌクレアーゼによって認識され切断されるCHO−23/24認識配列であった。F8R1−2認識配列とCHO−23/24認識配列とを含むCHOレポーター細胞を「F8R1−2細胞」と呼ぶ。F8R3−4認識配列とCHO−23/24認識配列とを含むCHOレポーター細胞を「F8R3−4細胞」と呼ぶ。F8R9−10認識配列とCHO−23/24認識配列とを含むCHOレポーター細胞を「F8R9−10細胞」と呼ぶ。F8R11−12認識配列とCHO−23/24認識配列とを含むCHOレポーター細胞を「F8R11−12細胞」と呼ぶ。F8R13−14認識配列とCHO−23/24認識配列とを含むCHOレポーター細胞を「F8R13−14細胞」と呼ぶ。F8R15−16認識配列とCHO−23/24認識配列とを含むCHOレポーター細胞を「F8R15−16細胞」と呼ぶ。
CHOレポーター細胞を、それらの対応する組換えメガヌクレアーゼをコードするプラスミドDNAでトランスフェクトするか(例えば、F8R1−2細胞を、F8R1−2メガヌクレアーゼをコードするプラスミドDNAでトランスフェクトした)、又はCHO−23/34メガヌクレアーゼをコードするプラスミドでトランスフェクトした。各アッセイにおいて、4e5 CHOレポーター細胞を、製造者の指示に従ってLipofectamine(登録商標)2000(ThermoFisher)を用いて96ウェルプレート中の50ngのプラスミドDNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞をフローサイトメトリーによって評価して、トランスフェクトされていない陰性対照(F8Rbs)と比較したGFP陽性細胞の割合を決定した。図5A〜図5Gに示すように、全てのF8Rメガヌクレアーゼは、対応する認識配列を含む細胞株において陰性対照を有意に超える頻度でGFP陽性細胞を産生することが見出された。
CHOレポーター細胞にメガヌクレアーゼを導入した後、2,5,7,9,及び12日目にPCS7−8メガヌクレアーゼの有効性を時間依存的に測定した。この研究では、製造者の指示に従ってBioRad Gene Pulser Xcell(商標)を使用して、F8R1−2、F8R3−4、F8R9−10、F8R11−12、F8R13−14、又はF8R15−16細胞(1.0×106個)に、細胞ごとに対応するメガヌクレアーゼmRNAの1×106コピーをエレクトロポレーションした。トランスフェクション後の指定された時点で、細胞をフローサイトメトリーによって評価し、GFP陽性細胞の割合を決定した。CHO−23/24メガヌクレアーゼも、陽性対照として各時点で含めた。
図6A〜図6Fに示すように、多数の異なるF8Rメガヌクレアーゼによって産生された%GFPは、各研究の時間経過にわたって比較的一貫しており、細胞における持続的な切断活性及び実質的な毒性の欠如を示している。他のF8Rメガヌクレアーゼは、研究の時間経過にわたって%GFP発現のいくらかの変動性を示した。
8.結論
これらの研究は、本発明に包含されるF8Rメガヌクレアーゼが、細胞中のそれぞれの認識配列を効率的に標的とし切断することができることを実証した。
実施例2
ヒト第VIII因子遺伝子におけるエクソン1−22の逆位
1.哺乳動物細胞の認識配列におけるindelの生産
T7エンドヌクレアーゼアッセイによって、認識部位で切断し挿入及び/又は欠失(indel)を引き起こす能力について、メガヌクレアーゼF8R1−2及びF8R3−4を試験した。HEK293細胞に、各ヌクレアーゼをコードする200ngのmRNAをトランスフェクトした。トランスフェクションの7日後に細胞を採取し、gDNAを抽出した。このgDNAを、F8R3−4f.357プライマー及びF8R1−2r.467プライマーを用いたPCR反応における鋳型として使用した。次いで、得られたPCR産物をT7エンドヌクレアーゼを用いて分析し、indelの存在を明らかにした(図7)。図7は、モック処理(レーン1)、又はF8R1−2x.15(レーン2)、F8R1−2x.27(レーン3)、F8R3−4x.43(レーン4)、F8R3−4x.70(レーン5)で処理したHEK293細胞からのPCR/T7エンドヌクレアーゼ反応を搭載したアガロースゲルを示す。レーン4及びレーン5のより低い分子量のバンドは、T7エンドヌクレアーゼ陽性の結果及び標的認識配列におけるindelの存在を示す。
2.哺乳動物細胞におけるエクソン1−22の逆位
F8R1−2及びF8R3−4メガヌクレアーゼによるゲノムDNAの切断がエクソン1−22の逆位を刺激するかどうかを決定するために、まず、F8R1−2又はF8R3−4メガヌクレアーゼをコードする200ngのmRNAでHEK293細胞をトランスフェクトし、7日後にgDNAを採取した。プライマーセットH1R/H1Fを用いたPCRによってgDNAを分析して、正常エクソン1−22の位置を検出し、プライマーセットH1R/H2/3Rを用いて逆位エクソン1−22の位置を検出した(図8)。図8Aは、モック処理(レーン1)、又はF8R1−2x.15(レーン2)、F8R1−2x.27(レーン3)、F8R3−4x.43(レーン4)、F8R3−4x.70(レーン5)で処理したHEK293細胞からのH1R/H1FプライムPCR反応を搭載したアガロースゲルを示す。レーン6は、未処理のヒト細胞gDNA鋳型を用いた対照PCRを含む。レーン7は鋳型なしのPCR陰性対照を含む。図8Bは、モック処理(レーン1)、又はF8R1−2x.15(レーン2)、F8R1−2x.27(レーン3)、F8R3−4x.43(レーン4)、F8R3−4x.70(レーン5)で処理したHEK293細胞からのH1R/H2/3RプライムPCR反応を搭載したアガロースゲルを示す。レーン6は、未処理のヒト細胞gDNA鋳型を用いた対照PCRを含む。レーン7は鋳型なしのPCR陰性対照を含む。図8BのPCR断片の存在は、本発明に包含されるF8Rメガヌクレアーゼを用いたエクソン1−22の逆位の成功を示す。
F8R9−10、F8R11−12、F8R13−14、及びF8R15−16メガヌクレアーゼによるゲノムDNAの切断がエクソン1−22の逆位を刺激するかどうかを決定するために、まず、各個々のヌクレアーゼをコードする200ngのmRNAでHEK293細胞をトランスフェクトし、トランスフェクション後2日目及び8日目にgDNAを採取した。プライマーセットH1R/H1Fを用いたPCRによって、gDNAを分析して、正常エクソン1−22の位置を検出し、プライマーセットH1R/H2/3Rで逆位エクソン1−22の位置を検出した(図9)。図9は、モック処理(レーン1)、又はF8R9−10x.38(レーン2)、F8R9−10x.70(レーン3)、F8R11−12x.56(レーン4)、F8R11−12x.69(レーン5)、F8R13−14x.3(レーン6)、F8R13−14x.13(レーン7)、F8R15−16x.14(レーン8)、F8R15−16x.85(レーン9)で処理したHEK293細胞からのH1R/H1FプライムPCR反応(上)及びH1R/H2/3RプライムPCR反応(下)を搭載したアガロースゲルを示す。レーン10は、未処理のヒト細胞gDNA鋳型を用いた対照PCRを含む。レーン11は鋳型なしのPCR陰性対照を含む。H1R/H2/3RプライムPCR反応(図9の下半分)におけるPCR断片の存在は、本発明に包含されるF8Rメガヌクレアーゼを用いたエクソン1−22の逆位の成功を示している。
実施例3
293細胞中のF8Rヌクレアーゼによる第VIII因子遺伝子の逆位及び逆デジタルPCRによる効率の決定
1.材料と方法
この研究は、本発明に包含されるF8Rヌクレアーゼが、HEK293細胞における血友病A特異的第VIII因子遺伝子の逆位をもたらし得ることを実証した。更に、記載された方法を用いて、F8Rヌクレアーゼ媒介性第VIII因子遺伝子逆位の効率を決定することができる。
製造者の指示に従ってBio−Rad GenePulser XCellを用いて、それぞれF8R11−12x.69又はF8R13−14x.13ヌクレアーゼをコードするmRNA(5μg)を、HEK293細胞(2×106)にトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に、ゲノムDNAを細胞から単離し、逆デジタルPCRを実施して第VIII因子ゲノム編集を決定した。トランスフェクトされていない細胞から単離したゲノムDNAは対照として役立った。
ゲノムDNAを制限エンドヌクレアーゼBcllで完全消化した。消化されたDNAを、T4 DNAリガーゼを用いて環状化し、製造者の指示に従ってBio−Rad QX200 Digital PCR Systemを使用して逆デジタルPCRによって分析した。正常なヒトゲノムDNAにおいて、Bcll消化物は、第VIII因子遺伝子のイントロン22中のint22h−1反復を包含する約21kbの断片、及びint22h−1の約0.5Mb上流に位置付けられたint22h−1反復のほぼ同一の逆向きのコピーを包含する約16kbの断片を生成する。
逆デジタルPCRでは、上記の2つの環状Bcll断片を、それぞれのBcll部位に隣接するプライマーで増幅する。U1プライマー及びD1プライマーは、第VIII因子遺伝子のイントロン22におけるint22h−1反復の上流及び下流にそれぞれ結合し、U3プライマーは、int22h−1の約0.5Mb上流に位置付けられたint22h−1反復のほぼ同一の逆向きのコピーの上流に結合する。全てのプライマーは、従来のPCRに対して反対向きでゲノムDNAに結合し、Bcll断片が環状化された場合にのみアンプリコンを生成する。
U1:[5’−CCTTTCAACTCCATCTCCAT−3’](配列番号88)
D1:[5’−ACATACGGTTTAGTCACAAGT−3’](配列番号89)
U3:[5’−TCCAGTCACTTAGGCTCAG−3’](配列番号90)
U1/D1プライマーを用いたHEK293ゲノムDNAの逆デジタルPCRは、TaqManプローブを用いて検出することができる約0.5kbのアンプリコンを生じるが、U3/U1プライマーを用いたPCRは、増幅産物を生成しない。
int22h−1とその遠位コピーとの間のゲノム断片の首尾良い逆位の際に、逆位断片上に位置付けられているU1プライマー結合部位は、D1及びU3プライマー結合部位に対して再配向される。U1/D1 PCRはPCR産物の生成に失敗するが、U3/U1 PCRは約0.5kbのアンプリコンを生じ、これは同じTaqManプローブで検出することができる。
2.結果
F8R11−12x.69又はF8R13−14x.13ヌクレアーゼでそれぞれ処理したHEK293細胞及びHEK293細胞由来のゲノムDNAを、逆デジタルPCRによって分析した。未処理のHEK293細胞から単離したゲノムDNAからは、U1/D1断片のみが増幅され、U3/U1 PCRはシグナルを生成しなかった(図10、モック)。F8Rヌクレアーゼ処理HEK293細胞からのゲノムDNAを用いると、U1/D1及びU3/U1の両方のアンプリコンが検出された(図10、F8R11−12x.69及びF8R13−14x.13)。ヌクレアーゼ処理により、編集されたゲノム及び編集されていないゲノムの両方の細胞の混合集団が生成されたため、U1/D1断片は、F8Rヌクレアーゼ処理HEK293細胞のゲノムDNAから依然として増幅された。デジタルPCRは数百から数千の染色体等価物の平行分析を可能にするため、第VIII因子遺伝子の逆位効率を計算することができる。このアッセイによって検出された第VIII因子遺伝子の総数のうち4%及び30%は、それぞれヌクレアーゼF8R13−14x.13及びF8R11−12x.69の活性の結果として逆位を示した。
3.結論
逆デジタルPCRによって、ヌクレアーゼF8R11−12x.69及びF8R13−14x.13で処理したHEK293細胞における第VIII因子遺伝子の逆位が検出された。更に、逆デジタルPCRを用いて、編集効率を計算することができた。ヌクレアーゼ(F8R11−12x.69)に依存して、HEK293細胞中の検出された第VIII因子遺伝子の30%までが編集された。重要なことに、この研究は、第VIII因子遺伝子逆位がint22h反復内のDNA二本鎖切断によって誘導され得ることを実証する。両方のヌクレアーゼは、int22h反復内の認識配列を標的とし、潜在的に染色体あたり3つの二本鎖切断を導入する。
実施例4
初代ヒトT細胞におけるF8Rヌクレアーゼによる第VIII因子遺伝子の逆位及び長距離PCRによる編集の決定
1.材料と方法
この研究は、本発明に包含されるF8Rヌクレアーゼが、正常野生型ヒトT細胞における血友病A特異的第VIII因子遺伝子の逆位をもたらし得ることを実証した。正常ヒトT細胞(1×106)を、製造者の指示に従ってLonza 4Dヌクレオフェクターを用いて、F8R3−4x.43ヌクレアーゼをコードするmRNA(1μg)でトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後に、ゲノムDNAを細胞から単離し、長距離PCRを実施して第VIII因子ゲノム編集を決定した。トランスフェクトされていない正常なヒトT細胞から単離されたゲノムDNAは対照として役立った。
この長距離PCRでは、ゲノムDNAをFWD1/REV1プライマーとFWD3/FWD1プライマーとの間でそれぞれ増幅した。
FWD1:[5’−CCCTTACAGTTATTAACTACTCTCATGAGGTTCATTCC−3’](配列番号91)
REV1:[5’−CCCCGGCACTTGAAAGTAGCAGATGCAAGAAGGGCACA−3’](配列番号92)
FWD3:[5’−ACTATAACCAGCACCTTGAACTTCCCCTCTCATA−3’](配列番号93)
FWD1プライマー及びREV1プライマーは、第VIII因子遺伝子のイントロン22におけるint22h−1反復の上流及び下流にそれぞれ結合し、FWD3プライマーは、int22h−1の約0.5Mb上流に位置付けられたint22h−1反復のほぼ同一の逆向きのコピーの上流に結合する。
FWD1/REV1プライマーを用いた正常なヒトゲノムDNAの長距離PCRは約10kbのアンプリコンを生じ、FWD3/FWD1プライマーを用いたPCRは増幅産物を生成しない。
int22h−1とその遠位コピーとの間のゲノム断片の首尾良い逆位の際に、逆位断片上に位置付けられているFWD1プライマー結合部位は、REV1及びFWD3プライマー結合部位に対して再配向される。FWD1/REV1 PCRはPCR産物の生成に失敗し、FWD3/FWD1 PCRは約9.7kbのアンプリコンを生じる。PCR断片をアガロースゲル電気泳動で分析し、臭化エチジウムで可視化する。
2.結果
正常ヒトT細胞及びF8R3−4x.43ヌクレアーゼで処理した正常ヒトT細胞由来のゲノムDNAを、長距離PCRによって分析した(図11)。未処理の正常ヒトT細胞から単離したゲノムDNAから増幅されたのはFWD1/REV1断片のみであった(レーン2及びレーン5)。F8R3−4x.43ヌクレアーゼ処理した正常ヒトT細胞のゲノムDNAをPCR鋳型として使用すると、FWD1/REV1プライマー及びFWD3/FWD1プライマーの両方の組み合わせが、それぞれサイン約10kb及び約9.7kbのアンプリコンを生じる(レーン3及びレーン6)。ヌクレアーゼ処理により、編集されたゲノムと編集されていないゲノムとの混合細胞集団が生成されたため、FWD1/REV1断片は、F8R3−4x.43処理した正常ヒトT細胞のゲノムDNAから依然として増幅することができる。
3.結論
F8R3−4x.43メガヌクレアーゼは、int22h領域内で二本鎖切断を生じさせることにより、ヒトT細胞における第VIII因子遺伝子の逆位を生成することができ、この逆位は長距離PCRによって検出することができた。
実施例5
初代ヒト患者T細胞におけるF8Rヌクレアーゼによる第VIII因子遺伝子の復帰と長距離PCRによる編集の決定
1.材料と方法
この研究は、本発明に包含されるF8Rヌクレアーゼが、血友病A患者T細胞における血友病A特異的第VIII因子遺伝子逆位の復帰を誘導し得ることを実証した。
製造者の指示に従ってLonza 4Dヌクレオフェクターを用いて、F8R3−4x.43、F8R11−12x.69、又はF8R15−16x.14ヌクレアーゼをそれぞれコードするmRNA(1μg)を血友病A患者T細胞(1×106)にトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後に、ゲノムDNAを細胞から単離し、長距離PCRを実施して第VIII因子ゲノム編集を決定した。緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするmRNAでトランスフェクトした患者T細胞から単離されたゲノムDNAは対照として役立った。
この長距離PCRでは、HIU/HIDプライマーとH3D/HIDプライマーとの間でそれぞれゲノムDNAを増幅した。
HIU:[5’−GCCCTGCCTGTCCATTACACTGATGACATTATGCTGAC−3’](配列番号94)
HID:[5’−GGCCCTACAACCATTCTGCCTTTCACTTTCAGTGCAATA−3’](配列番号95)
H3D:[5’−CACAAGGGGGAAGAGTGTGAGGGTGTGGGATAAGAA−3’](配列番号96)
HIUプライマー及びHIDプライマーは、第VIII因子遺伝子のイントロン22におけるint22h−1リピートの上流及び下流にそれぞれ結合し、H3Dプライマーは、int22h−1の約0.5Mb上流に位置付けられたint22h−1反復のほぼ同一の逆向きのコピーの下流に結合する。
HIU/HIDプライマーを用いた正常ヒトゲノムDNAの長距離PCRは約12kbのアンプリコンを生じ、H3D/HIDプライマーを用いたPCRは増幅産物を生成しない。逆に、HIU/HIDプライマーを用いた血友病A遺伝子逆位を有する患者細胞からのゲノムDNAの長距離PCRは、PCR産物を生成することができず、H3D/HID PCRは約11kbのアンプリコンを生じる。
2つの逆向きint22h反復間の患者T細胞におけるゲノム断片の首尾良い復帰の際に、逆位断片上に位置付けられているHIUプライマー結合部位は、H3U及びHIDプライマー結合部位に対して再配向される。HIU/HID PCRは、12kbアンプリコンを生じ、第VIII因子遺伝子の野生型配置への復帰を示す。PCR断片をアガロースゲル電気泳動で分析し、臭化エチジウムで可視化した。
2.結果
F8R3−4x.43、F8R11−12x.69、又はF8R15−16x.14ヌクレアーゼ(又は対照としてのGFP)をコードするmRNAで処理した血友病A患者T細胞由来のゲノムDNAを、長距離PCRで分析した(図12)。GFP mRNAで処理した患者T細胞から単離されたゲノムDNAからは、H3U/HID断片のみが増幅され得る(レーン1a及びレーン1b)。F8R3−4x.43、F8R11−12x.69、又はF8R15−16x.14ヌクレアーゼ処理した患者T細胞のゲノムDNAをPCR鋳型として使用すると、HIU/HIDプライマー及びH3D/HIDプライマーの両方の組み合わせが、それぞれサイン野生型(約12kb)及び逆位(約11kb)のアンプリコンを生じた(レーン3a及びレーン3b:F8R3−4x.43、レーン4a及びレーン4b:F8R11−12x.69、レーン5a及びレーン5b:F8R15−16x.14)。ヌクレアーゼ処理により、編集されたゲノムと編集されていないゲノムとの細胞の混合集団が生成されたため、H3U/HID断片は、F8Rヌクレアーゼ処理した患者T細胞のゲノムDNAから依然として増幅されていた。
3.結論
本発明に包含されるF8Rメガヌクレアーゼは、インビトロで血友病A患者T細胞の野生型配置に戻る逆位第VIII因子遺伝子の復帰を誘導することができ、この復帰は長距離PCRによって検出することができた。