JP2019508368A - コルチスタチン類縁体及びその使用 - Google Patents

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Abstract

特定のコルチスタチン誘導体を必要とするヒトを含む宿主へのin vivo投与に有利な特性を有する特定のコルチスタチン誘導体を提供する。これらの新規の種は、有利な薬物動態、低い毒性、低〜中程度のhERG活性、及び/又はそれらをコルチスタチン群の中でヒト投与に優れた候補として際立たせる他の薬理学的特性を有する。
【選択図】図31

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年12月23日付で出願された米国仮特許出願第62/387,246号、及び2016年2月19日付で出願された米国仮特許出願第62/297,494号の利益を主張する。これらの出願の全体が全ての目的で引用することにより本明細書の一部をなす。
本発明は、CDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害の治療のためのヒトにおけるin vivo投与に適した薬理学的特性を有するコルチスタチン類縁体を提供する。
コルチスタチンファミリーは、2006年に海綿コルチシウム・シンプレックス(Corticium simplex)から初めて単離された抗血管新生ステロイドアルカロイド群である。例えば、非特許文献1を参照されたい。このファミリーは、初めにD環の置換が異なる4つの化合物:コルチスタチンA、コルチスタチンB、コルチスタチンC及びコルチスタチンDへと分けられた。初期研究により、4つ全ての化合物がヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)増殖の強力な阻害剤であることが示されており、コルチスタチンAが最も強い抗増殖活性(IC50=1.8nM)を示す。非特許文献1(Aoki's first work)から現在に至るまで、これらの天然産物は、特に全合成及び新たな生物活性のある合成類縁体の開発における研究の対象であった。
非特許文献2「メディエーターキナーゼ阻害がAMLにおいてスーパーエンハンサー関連遺伝子を更に活性化する(Mediator Kinase Inhibition Further Activates Super-Enhancer-Associated Genes in AML)」は、コルチスタチンAによるCDK8及びCDK19の阻害が、急性骨髄性白血病(AML)においてスーパーエンハンサー関連遺伝子を活性化することを記載している。スーパーエンハンサー関連遺伝子の活性化はCEBPA、IRF8、IRF1及びETV6を含む幾つかの腫瘍抑制転写因子及び系統制御(lineage-controlling)転写因子の上方調節を引き起こす。さらに、白血病細胞がスーパーエンハンサー関連遺伝子の量に対して感受性があることが示されている。まとめると、これらの観察結果から、CDK8及びCDK19がAML、ひいては同様の機構を介して作用する他の異常細胞増殖の治療にとって薬理学的に適切な標的であることが実証される。
コルチスタチンA(CA)が現在、多くのRNAポリメラーゼII依存性遺伝子の調節に関与するメディエーター複合体を共活性化する2つのキナーゼであるサイクリン依存性キナーゼ8(CDK8)及びサイクリン依存性キナーゼ19(CDK19)に対して最も選択的な自然発生コルチスタチンファミリーの成員である。コルチスタチンAを用いてCDK8及びCDK19を阻害することにより、急性骨髄性白血病(AML)成長を軽減し得ることが示されている。
「(+)−コルチスタチンAの合成(Synthesis of (+)-Cortistatin A)」と題する非特許文献3は、既にコルチスタチンAの所望の炭素原子の70%及び対応する高光学純度の(enantiopure)キラリティーを有するプレドニゾンから出発したコルチスタチンAの半合成経路を記載している。この合成プロセスは、9−(10,19)−abeo−アンドロスタン骨格の構築に高的(isohypsic)(酸化状態保存)カスケードを用い、コルチスタチンAをおよそ3%の全収率で得るために、これまでに報告されていないアルコール指向二臭素化反応を用いるものであった。この合成は、A環の3−置換アミノ誘導体とともに、「(+)コルチスタチンA及び関連化合物の合成(Synthesis of (+) Cortistatin A and Related Compounds)」と題する特許文献1に記載されている。レトロウイルス複製の阻害へのコルチスタチンの適用が、「レトロウイルス複製の阻害剤(Inhibitors of Retroviral Replication)」と題する特許文献2に記載されている。
「(+)−コルチスタチンAの全合成(Total Synthesis of (+)-Cortistatin A)」と題するNicolaou, et al.による文献である非特許文献4は、薗頭カップリング及び鈴木−宮浦カップリングを用いる、鏡像異性体に富んだ(enantiomerically enriched)二環式エノン(下記に示す)から出発したコルチスタチンAの全合成経路を記載している。
「内皮細胞増殖の強力かつ選択的な阻害剤である(+)−コルチスタチンAのエナンチオ選択合成(Enantioselective Synthesis of (+)-Cortistatin A, a Potent and Selective Inhibitor of Endothelial Cell Proliferation)」と題するShair, et al.による文献である非特許文献5は、Hajos−Parrishケトンから2工程で得られた異なる二環式エノン(下記に示す)から出発したコルチスタチンAのエナンチオ選択合成を記載している。この合成は、渡環エーテル化に加えた高度にジアステレオ選択的なアザ−プリンス環化を用いるものであった。この合成はまた、A、B、C及びD環を、それらのコルチスタチンAの血管新生抑制活性への寄与について精査することができるように設計された。
「コルチスタチンA、J、K及びLの合成(Synthesis of Cortistatins A, J, K, and L)」と題するMyers et al.による文献である非特許文献6は、コルチスタチンファミリーのA、J、K及びL成員の合成を記載している。この合成は、数工程でコルチスタチンA、J、K又はLのいずれかに誘導体化され得る中間体(下記に示す)を特徴とする。この中間体は9工程で合成され、7−イソキノリル有機金属中間体の添加に続く脱保護を含む3又は4工程の手順で最終コルチスタチンへと変換された。
Flyer, et. al.により出願され、President and Fellows of Harvard Collegeに譲渡された「コルチスタチン類縁体及びその合成(Cortistatin Analogs and Synthesis Thereof)」と題する特許文献3は、一般式I(式中、R、R、R、R、n及びmは特許文献3に記載される通りである)を有するコルチスタチンA、J、K及びLの類縁体並びにその塩、並びにその合成を記載している。
Shair, et al.により出願され、同様にPresident and Fellows of Harvard Collegeに譲渡された「コルチスタチン類縁体、並びにその合成及び使用(Cortistatin Analogs and Syntheses and Uses Thereof)」と題する特許文献4は、コルチスタチンの更なる類縁体、並びに下記に示す式A及び式E(ここで、使用される可変部は特許文献4に規定される)を含む式Iの様々な下位式の改善されたモジュール合成を記載している。
Shair, et al.により出願され、President and Fellows of Harvard Collegeに譲渡された「コルチスタチン誘導体による治療のための患者の標的化選択(Targeted Selection of Patients for Treatment with Cortistatin Derivatives)」と題する特許文献5は、コルチスタチン誘導体による治療のための患者の選択を記載している。Shair, et al.により出願され、President and Fellows of Harvard Collegeに譲渡された「コルチスタチン類縁体、その合成及び使用(Cortistatin Analogues, Syntheses, and Uses Thereof)」と題する特許文献6は、付加的なコルチスタチン類縁体を記載している。
コルチスタチンA及びコルチスタチンAの類縁体の他の合成的及び生物学的説明は、「(+)−コルチスタチンA及びJの形式全合成(Formal Total Synthesis of (+)-Cortistatins A and J)」と題する非特許文献7、「ジデヒドロ−コルチスタチンAはHIV−1 Tat媒介神経炎症を阻害し、Tatトランスジェニックマウスにおけるコカイン報酬の増強を予防する(Didehydro-Cortistatin A Inhibits HIV-1 Tat Mediated Neuroinflammation and Prevents Potentiation of Cocaine Reward in Tat Transgenic Mice)」と題する非特許文献8、「ビタミンD2のCD環フラグメントからのコルチスタチンA類縁体の合成研究(Synthetic Studies of Cortistatin A Analog from the CD-ring Fragment of Vitamin D2)」と題する非特許文献9、「天然ステロイドアルカロイドコルチスタチンAの類縁体は、Tat依存性HIV転写を強く抑制する(An Analog of the Natural Steroidal Alkaloid Cortistatin A Potently Suppress Tat-dependent HIV Transcription)」と題する非特許文献10、「容易にアクセス可能な経口で有効なコルチスタチンAの類縁体の作製(Creation of Readily Accessible and Orally Active Analog of Cortistatin A)」と題する非特許文献11、「(+)−コルチスタチンAの合成研究(Synthetic Studies Toward (+)-Cortistatin A)」と題する非特許文献12、「海綿からの血管新生抑制ステロイドアルカロイドであるコルチスタチンAの炭素環コアの合成研究(Synthetic Study of Carbocyclic Core of Cortistatin A, an Anti-angiogenic Steroidal Alkaloid from Marine Sponge)」と題する非特許文献13、「コルチスタチンAのコア構造の立体選択的合成(Stereoselective Synthesis of Core Structure of Cortistatin A)」と題する非特許文献14、「コルチスタチンA及び関連構造のスケーラブル合成(Scalable Synthesis of Cortistatin A and Related Structures)」と題する非特許文献15、「コルチスタチンA及びJの全合成(Total Synthesis of Cortistatins A and J)」と題する非特許文献16、「コルチスタチンAのオキサ五環コアの簡便合成(Concise Synthesis of the Oxapentacyclic Core of Cortistatin A)」と題する非特許文献17、「エニン−エンメタセシスによるコルチスタチンA炭素環コアの急速構築に向けた努力(Efforts Toward Rapid Construction of the Cortistatin A Carbocyclic Core via Enyne-ene Metathesis)」と題する非特許文献18、「(±)−コルチスタチンAの形式全合成(Formal Total Synthesis of (+-)-Cortistatin A)」と題する非特許文献19、「コルチスタチンAはタンパク質キナーゼROCK、CDK8及びCDK11の高親和性リガンドである(Cortistatin A is a High-Affinity Ligand of Protein Kinases ROCK, CDK8, and CDK11)」と題する非特許文献20に記載されている。
「サイクリンC発現がアルツハイマー病の発症に関与する(Cyclin C Expression is Involved in the Pathogenesis of Alzheimer’s Disease)」と題するHessel et al.による文献である非特許文献21は、サイクリンCがアルツハイマー病(AD)患者の神経細胞及び星状細胞においてより高度に発現され、したがってCDK8の特異的な小分子阻害がAD等の変性障害の治療に有益であるとも証明され得ることを示している。
Firestein, et al.により出願された「CDK8アンタゴニストを使用する方法(Methods of Using CDK8 Antagonists)」と題する特許文献7及び特許文献8は、概して様々な癌に対するCDK8アンタゴニストの使用を記載している。それらの文献に記載される通り、CDK8はメディエーター複合体の一部として、非特許文献22及び非特許文献23に記載のように転写において保存的機能を有する。CDK8は、結腸癌(非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26)及び黒色腫(非特許文献27)の両方でオンコジーンとして報告されている。CDK8は、ヒト結腸腫瘍のサブセットにおいて上方調節及び増幅され、不死化細胞を形質転換することが知られ、in vitroでの結腸癌増殖に必要とされる。同様に、CDK8は黒色腫において過剰発現され、増殖に不可欠であることも見出されている(非特許文献27)。CDK8は、ES多能性及び癌の両方の主要調節因子である幾つかのシグナル伝達経路を調節することが示されている。CDK8は、β−カテニン標的遺伝子の発現を促進するか(非特許文献24)、又はβ−カテニン転写活性の強力な阻害因子であるE2F1を阻害することによってWnt経路を活性化する(非特許文献25)。CDK8は、Notch細胞内ドメインをリン酸化し、標的遺伝子としてNotchエンハンサー複合体を活性化することによってNotch標的遺伝子発現を促進する(非特許文献28)。
コルチスタチンAの独自の生物学的プロファイル及びコア構造に関する多数の研究にも関わらず、コルチスタチンAは、その高い毒性及び/又は薬物動態の問題のために薬物候補として好適でない。実際に、コルチスタチンA及び或る特定の類縁体の強力なナノモルレベルのCDK8及びCDK19阻害活性にも関わらず、癌又は任意の他の適応症の治療のための臨床試験にまで進んだものはない。例えば、コルチスタチンAをマウスにCDK8キナーゼ活性をin vivoで完全に阻害する用量で1日1回投与した場合、動物の許容し難い体重減少のために実験を終了する必要がある。さらに、或る特定のコルチスタチン誘導体は、動物において許容し難いhERG活性を生じる。カリウムイオンチャネルの一部であるhERGタンパク質は、心臓の鼓動活動を調整する心臓の電気活動に寄与する。電気活動が損なわれると、QT延長(long QT prolongation)と称される危険な状態が引き起こされる可能性がある。
特許文献4(91頁の224段落)において種として記載される化合物の1つは、化合物A((3S,3aR,9R,10aR,12aS,12bR)−3−(イソキノリン−7−イル)−3a−メチル−1,2,3,3a,4,7,8,9,10,11,12,12b−ドデカヒドロ−10a,12a−エポキシベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−e]インデン−9−オール)である。
化合物Aが、低いhERG活性(ここで、低いhERG活性は1μMを超えるIC50と規定される)、オフターゲット酵素及び受容体に対する高い選択性、並びに低い毒性(顕著な体重減少なし、例えば7日間の投与にわたって15%未満の体重減少)の組合せを示すため、コルチスタチンA類縁体の中でも極めて珍しいことが発見されている。低い毒性により薬物のより高い忍容性がもたらされ、より高レベルでの投与、ひいてはより良好な有効性が可能となる。
米国特許第8,642,766号 国際公開第2012/096934号 米国特許第9,127,019号 国際公開第2015/100420号 国際公開第2016/182904号 国際公開第2016/182932号 米国特許出願公開第2013/0217014号 国際公開第2013/122609号
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CDK8及び/又はCDK19の阻害の腫瘍、癌及びこれらの酵素によって媒介される他の障害の治療における治療的重要性を考えると、本発明の目標は、CDK8及び/又はCDK19を選択的に阻害し、有利な医薬特性を有する化合物を同定することである。
このため、本発明の目的は、同様の経路を介して作用し、ヒト投与及び療法に有利である、腫瘍、癌、異常増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害、自己免疫障害及び他の障害を含むCDK8及びCDK19によって媒介される障害の治療のための新たな化合物、方法及び組成物を提供することである。
本発明は、特定のコルチスタチン誘導体を必要とするヒトを含む宿主へのin vivo投与に有利な特性を有する特定のコルチスタチン誘導体を提供する。具体的には、これらの新規の種は、有利な薬物動態、低い毒性、及び/又はそれらをコルチスタチン群の中でヒト投与に優れた候補として際立たせる他の薬理学的特性を有する。この化合物は、低〜中程度のhERG活性しか示さないことが見出され、顕著な体重減少又は許容し難い毒性を示すことなく治療有効量で投与することができる。これらの化合物の低い毒性のために、高い有効性をもたらす範囲での投与を可能にするように、より高いCmax及び/又はAUCを達成することができる。
特に、本発明は下記に示す化合物B、化合物C及び化合物D、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド及び/又は薬学的に許容可能な組成物を提供する。各化合物はA環の3位に独自の置換基を有する。化合物Bは(R)−ピロリジン−3−アミンを有し、化合物Cはアゼチジン−3−アミンを有し、化合物Dは(3S,4S)−ピロリジン−3,4−ジオールを有する。
一実施の形態では、腫瘍、癌、異常増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害又は自己免疫障害を含むCDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害を治療する方法であって、それを必要とする宿主に有効量の化合物B、C若しくはD、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド、及び/又はその薬学的に許容可能な組成物を任意に薬学的に許容可能な担体中で投与することを含む、方法が提供される。
実施例3、4、6、7、12、13、14は化合物B、C及びDとコルチスタチンA、化合物E(A環の3位に非置換ピロリジンを有する)及び化合物F(A環の3位に非置換アゼチジンを有する)との比較データを提供する。これらの実施例において示されるように、化合物は優れた特性を示す。例えば、化合物Eは化合物Bと僅か1つのアミン基、化合物Dと僅か2つのヒドロキシル基しか異ならないにも関わらず、許容し難いサブマイクロモルの(sub-micromolar)hERG活性を有する。実際に、hERG活性は塩基性基の存在によって増大する場合があり、したがって、アミノ置換化合物Bがその非置換ピロリジン類縁体よりも低いhERG活性を有することが発見されたことは実に驚くべきことである。
化合物Fも許容し難いサブマイクロモルのhERG活性を有する。
特許文献4は、ヒドロキシルがコルチスタチンのA環の3位においてR配置又はS配置のいずれかにあり得ることを示しているが、実際には、驚くべきことに、ヒト投与に優れた特性を達成するためには3−ヒドロキシル基をRキラリティーとすべきであることが発見された。
A環及びD環での化合物A、B、C及びDの特定の類縁体も本発明の一部として提供される。一実施の形態では、腫瘍、癌、異常増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害又は自己免疫障害を含むCDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害を治療する方法であって、それを必要とする宿主に下記に規定される化合物A、B、C若しくはDの類縁体、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド及び/又は薬学的に許容可能な組成物を任意に薬学的に許容可能な担体中で有効量投与することを含む、方法が提供される。
別の実施の形態では、化合物A、B、C若しくはDの重水素化誘導体、又はその類縁体が提供される。重水素で化合物中の1つ以上の水素を置き換えることができる。一実施の形態では、重水素により、A環の3位の置換基中の1つ以上の位置の水素を置換する。例えば、化合物Aでは、ヒドロキシル中の水素を重水素に置き換えることができる。例えば、化合物Bでは、(R)−ピロリジン−3−アミン中の水素を重水素に置き換えることができる。例えば、化合物Cでは、アゼチジン−3−アミンヒドロキシル中の水素を重水素に置き換えることができる。例えば、化合物Dでは、(3S,4S)−ピロリジン−3,4−ジオール中の水素を重水素に置き換えることができる。別の実施の形態では、重水素によりA環中の1つ以上の位置の水素を置換する。別の実施の形態では、重水素によりB環中の1つ以上の位置の水素を置換する。別の実施の形態では、重水素によりC環中の1つ以上の位置の水素を置換する。別の実施の形態では、重水素によりC環とD環との間の架橋炭素でのメチル基中の水素を置換する。別の実施の形態では、重水素によりD環中の1つ以上の位置の水素を置換する。また別の実施の形態では、重水素によりイソキノリン環中の1つ以上の位置の水素を置換する。
本明細書で開示される活性化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド、及び/又はその薬学的に許容可能な組成物は、本明細書により詳細に記載されるように、併用療法に使用される1つ以上の付加的な医薬品と組み合わせた又は交互の投与にも有用である。
このため、本発明は少なくとも以下の特徴を含む:
(i)本明細書に記載される化合物B、C、D、並びに化合物A、B、C及びDの類縁体;
(ii)腫瘍、癌、異常細胞増殖、炎症性障害、免疫障害又は自己免疫障害等のCDK8及び/又はCDK19と関連する医学的障害の治療に使用される化合物B、C及びD、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド及び/又は薬学的に許容可能な組成物;
(iii)腫瘍、癌、異常細胞増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害又は自己免疫障害等のCDK8及び/又はCDK19と関連する医学的障害の治療に使用される、A環が部分的に不飽和の、1つの付加的なヒドロキシル基で置換された、2つの付加的なヒドロキシル基で置換された、3つの付加的なヒドロキシル基で置換された、又は上記の立体化学的配置の任意の組合せである化合物A、B、C及びDの類縁体、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド及び/又は薬学的に許容可能な組成物;
(iv)腫瘍、癌、異常細胞増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害又は自己免疫障害等のCDK8及び/又はCDK19と関連する医学的障害の治療に使用される、D環が1つの付加的なヒドロキシル基、2つの付加的なヒドロキシル基又はシクロプロパン縮合環で置換された化合物A、B、C及びDの類縁体、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド及び/又は薬学的に許容可能な組成物;
(v)化合物A、B、C若しくはDの重水素化誘導体、又はそれらの類縁体、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド及び/又は薬学的に許容可能な組成物;
(vi)HIV等のウイルス感染の治療に使用される化合物B、C及びD、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド及び/又は薬学的に許容可能な組成物;
(vii)HIV等のウイルス感染の治療に使用される、A環が部分的に不飽和の、1つの付加的なヒドロキシル基で置換された、2つの付加的なヒドロキシル基で置換された、3つの付加的なヒドロキシル基で置換された、又は上記の立体化学的配置の任意の組合せである化合物A、B、C及びDの類縁体、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド及び/又は薬学的に許容可能な組成物;
(viii)HIV等のウイルス感染の治療に使用される、D環が1つの付加的なヒドロキシル基、2つの付加的なヒドロキシル基又はシクロプロパン縮合環で置換された化合物A、B、C及びDの類縁体、又はその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、N−オキシド及び/又は薬学的に許容可能な組成物;
(ix)上記の化合物又は活性化合物の実施の形態を製造に使用することを特徴とする、治療方法において挙げられる障害を治療若しくは予防する、又は概してCDK8若しくはCDK19によって媒介される障害を治療若しくは予防するための治療的使用を対象とする薬剤を製造するプロセス;
(x)実質的に純粋な形態(例えば、少なくとも90%又は95%)の上記の化合物又は本明細書に記載されるその塩;
(xi)種々の作用機構を介して本明細書に記載される障害を治療するための上記の化合物;並びに、
(xii)本明細書に記載される化合物を製造する方法。
Panlabアッセイ(実施例3)によって測定される化合物A(丸)又はシロスタミド(四角)の濃度(μM)に対するホスホジエステラーゼPDE3活性の阻害率のグラフである。x軸はμM単位で測定される薬物濃度であり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。化合物AのIC50値は3.26μMであり、シロスタミドのIC50値は0.059μMであった。 Panlabアッセイ(実施例3)によって測定される化合物A(丸)又はニトロベンジルチオイノシン(四角)の濃度(μM)に対するアデノシン輸送体活性の阻害率のグラフである。x軸はμM単位で測定される薬物濃度であり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。化合物AのIC50値は3.61μMであり、ニトロベンジルチオイノシンのIC50値は0.35nMであった。化合物AのK値は1.23μMであり、ニトロベンジルチオイノシンのK値は0.12nMであった。化合物Aのn値は1.30であり、ニトロベンジルチオイノシンのn値は1.10であった。 Panlabアッセイ(実施例3)によって測定される化合物A(丸)又はGBR−12909(四角)の濃度(μM)に対するドーパミン輸送体活性の阻害率のグラフである。x軸はμM単位で測定される薬物濃度であり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。化合物AのIC50値は4.90μMであり、GBR−12909のIC50値は0.61nMであった。化合物AのK値は3.89μMであり、GBR−12909のK値は0.49nMであった。化合物Aのn値は0.97であり、GBR−12909のn値は0.77であった。 Panlabアッセイ(実施例3)によって測定される化合物A(丸)又はL−703−606(四角)の濃度(μM)に対するタキキニンNK活性の阻害率のグラフである。x軸はμM単位で測定される濃度であり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。x軸はμM単位で測定される薬物濃度であり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。化合物AのIC50値は5.94μMであり、L−703−606のIC50値は3.60nMであった。化合物AのK値は4.30μMであり、L−703−606のK値は2.60nMであった。化合物Aのn値は1.01であり、L−703−606のn値は0.88であった。 Panlabアッセイ(実施例3)によって測定される化合物A(丸)又はDAMIGO(四角)の濃度(μM)に対するオピエートμ(OP3、MOP)活性の阻害率のグラフである。x軸はμM単位で測定される薬物濃度であり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。化合物AのIC50値は5.73μMであり、DAMGOのIC50値は13.8nMであった。化合物AのK値は2.33μMであり、DAMGOのK値は5.61nMであった。化合物Aのn値は0.90であり、DAMGOのn値は0.75であった。 化合物Bの濃度(μM)に対するhERGイオンチャネルの阻害率のグラフである。近似曲線はおよそ11μMのIC50を示す(実施例4)。x軸はμM単位で測定される薬物濃度であり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。 化合物Cの濃度(μM)に対するhERGイオンチャネルの阻害率のグラフである。近似曲線はおよそ11μMのIC50を示す(実施例4)。x軸はμM単位で測定される薬物濃度であり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。 化合物Dの濃度(μM)に対するhERGイオンチャネルの阻害率のグラフである。近似曲線はおよそ6μMのIC50を示す(実施例4)。x軸はμM単位で測定される薬物濃度であり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。 化合物Eの濃度(μM)に対するhERGイオンチャネルの阻害率のグラフである。近似曲線はおよそ0.6μMのIC50を示す(実施例4)。x軸はμM単位で測定される薬物濃度であり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。 TurboSolアッセイにおける化合物A及びEの濃度(μM)に対する光散乱単位の棒グラフである。図10では、測定される光散乱単位(LSU)によって決定されるhERGアッセイにおける試験濃度での化合物A及びEの溶解性が近似される。x軸はμM単位で測定される化合物E及び化合物Aの濃度であり(60%TS及び80%TSは、それぞれ60%及び80%の透過率の標準である)、y軸は1000倍で測定される光散乱単位(LSU)である。化合物Aの30μM溶液は、30μMで目に見えて濁っていたが、80%TS標準よりもはるかに少ない光を散乱させた。化合物Aは、3μMで顕著なLSU測定値を有さず、このレベルではhERGを9%しか阻害しなかった(実施例5)。 TurboSolアッセイにおける化合物B及びCの濃度(μM)に対する光散乱単位の棒グラフである。図11では、測定される光散乱単位(LSU)によって決定されるhERGアッセイにおける試験濃度での化合物B及びCの溶解性が近似される。x軸はμM単位で測定される化合物B及び化合物Cの濃度であり(60%TS及び80%TSは、それぞれ60%及び80%の透過率の標準である)、y軸は1000倍で測定される光散乱単位(LSU)である。化合物B及びCの30μM溶液は、LSU閾値を僅かに超えていた。10μM溶液(近似IC50濃度)は、顕著な光散乱を有しなかった(実施例5)。 TurboSolアッセイにおける化合物Dの濃度(μM)に対する光散乱単位の棒グラフである。図12では、測定される光散乱単位(LSU)によって決定されるhERGアッセイにおける試験濃度での化合物Dの溶解性が近似される。x軸はμM単位で測定される化合物Dの濃度であり(60%TS及び80%TSは、それぞれ60%及び80%の透過率の標準である)、y軸は1000倍で測定される光散乱単位(LSU)である。化合物Dの30μM溶液は、LSU閾値を僅かに超えていた。10μM溶液(近似IC50濃度)は、顕著な光散乱を有しなかった(実施例5)。 様々な濃度の化合物Aの投与中及び投与後の時間(日数)に対するマウスの体重(g)のグラフである。x軸は日数単位で測定される時間であり、y軸はグラム単位で測定される体重である。示されるように、10mg/kg QD×7の用量でのみ顕著な体重減少が観察された。マウスを7日間処理した。体重減少は忍容性の尺度の1つである(実施例6)。 様々な濃度の化合物Aの投与中及び投与後の時間(日数)に対するマウスの正規化体重(%)のグラフである。x軸は日数単位で測定される時間であり、y軸はパーセントとして測定される正規化体重である。示されるように、10mg/kg QD×7の用量でのみ顕著な体重減少が観察された。マウスを7日間処理した。体重減少は忍容性の尺度の1つである(実施例6)。 様々な濃度の化合物Dの投与中及び投与後の時間(日数)に対するマウスの体重(g)のグラフである。x軸は日数単位で測定される時間であり、y軸はグラム単位で測定される体重である。示されるように、10mg/kg QD×7の用量でのみ顕著な体重減少が観察された。マウスを7日間処理した。体重減少は忍容性の尺度の1つである(実施例6)。 様々な濃度の化合物Dの投与中及び投与後の時間(日数)に対するマウスの正規化体重(%)のグラフである。x軸は日数単位で測定される時間であり、y軸はパーセントとして測定される正規化体重である。示されるように、10mg/kg QD×7の用量でのみ顕著な体重減少が観察された。マウスを7日間処理した。体重減少は忍容性の尺度の1つである(実施例6)。 様々な濃度の化合物Fの投与中及び投与後の時間(日数)に対するマウスの正規化体重(%)のグラフである。x軸は日数単位で測定される時間であり、y軸はパーセントとして測定される正規化体重である。急速な体重減少後に投与中断日(dosing holiday)を設けた3mg/kg及び10mg/kg投与群以外は、マウスを7日間処理した。体重減少は忍容性の尺度の1つである(実施例7)。 忍容性を測定するための様々な濃度のコルチスタチンAの投与中及び投与後の時間(日数)に対する担MV4;11白血病NSGマウスの正規化体重(%)のグラフである。x軸は日数単位で測定される時間であり、y軸はパーセントとして測定される正規化体重である。特に指定される場合(急速な体重減少のために1.25mg/kg、0.0625mg/kg及び0.31mg/kg)を除き、マウスを実験全体にわたって処理した。体重減少は忍容性の尺度の1つである(実施例7)。0.16mg/kg IP qDの用量を有効性研究に選択した。 320個の異なるキナーゼに対する1μMの濃度での化合物Aの阻害活性(%)の棒グラフである。x軸はキナーゼであり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。示されるように、5個のキナーゼのみが初めに50%を超える阻害を有していた(実施例8)。 320個の異なるキナーゼに対する1μMの濃度での化合物Bの阻害活性(%)の棒グラフである。x軸はキナーゼであり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。示されるように、CDK8/サイクリンCのみが50%を超える阻害を有していた(実施例8)。 320個の異なるキナーゼに対する1μMの濃度での化合物Cの阻害活性(%)の棒グラフである。x軸はキナーゼであり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。示されるように、CDK8/サイクリンCのみが50%を超える阻害を有していた(実施例8)。 320個の異なるキナーゼに対する1μMの濃度での化合物Dの阻害活性(%)の棒グラフである。x軸はキナーゼであり、y軸はパーセントとして測定される阻害である。示されるように、CDK8/サイクリンCのみが50%を超える阻害を有していた(実施例8)。 CDK8の阻害に対して用量依存的な応答を示す化合物A及びDのウエスタンブロット研究を示す図である。染色の減少は、標的の阻害に起因する(実施例9)。 CDK8の阻害に対して用量依存的な応答を示す化合物B及びCのウエスタンブロット研究を示す図である。染色の減少は、標的の阻害に起因する(実施例9)。 様々な濃度の化合物Aでの増殖日数に対するCDK8 W105M突然変異細胞(赤色)と野生型細胞(緑色)との比率のグラフである。x軸は日数単位で測定される時間であり、y軸はCDK8 W105M細胞と野生型細胞との比率である。図25では、野生型AML細胞(緑色蛍光)及びW105M CDK8突然変異細胞(赤色蛍光)に対する化合物Aの抗増殖効果を試験することによって化合物Aの作用機構を示す。緑色蛍光に対する赤色蛍光の増大は、突然変異AML細胞が野生型よりも急速に増殖したことを示す。この観察結果は用量依存的であり、化合物Aの細胞標的及び化合物Aの抗白血病活性に関与する標的としてCDK8を支持するものであった(実施例11)。 様々な濃度の化合物Bでの増殖日数に対するCDK8 W105M突然変異細胞(赤色)と野生型細胞(緑色)との比率のグラフである。x軸は日数単位で測定される時間であり、y軸はCDK8 W105M細胞と野生型細胞との比率である。図26では、野生型AML細胞(緑色蛍光)及びW105M CDK8突然変異細胞(赤色蛍光)に対する化合物Bの抗増殖効果を試験することによって化合物Bの作用機構を示す。緑色蛍光に対する赤色蛍光の増大は、突然変異AML細胞が野生型よりも急速に増殖したことを示す。この観察結果は用量依存的であり、化合物Bの細胞標的及び化合物Bの抗白血病活性に関与する標的としてCDK8を支持するものであった(実施例11)。 様々な濃度の化合物Cでの増殖日数に対するCDK8 W105M突然変異細胞(赤色)と野生型細胞(緑色)との比率のグラフである。x軸は日数単位で測定される時間であり、y軸はCDK8 W105M細胞と野生型細胞との比率である。図27では、野生型AML細胞(緑色蛍光)及びW105M CDK8突然変異細胞(赤色蛍光)に対する化合物Cの抗増殖効果を試験することによって化合物Cの作用機構を示す。緑色蛍光に対する赤色蛍光の増大は、突然変異AML細胞が野生型よりも急速に増殖したことを示す。この観察結果は用量依存的であり、化合物Cの細胞標的及び化合物Cの抗白血病活性に関与する標的としてCDK8を支持するものであった(実施例11)。 様々な濃度の化合物Dでの増殖日数に対するCDK8 W105M突然変異細胞(赤色)と野生型細胞(緑色)との比率のグラフである。x軸は日数単位で測定される時間であり、y軸はCDK8 W105M細胞と野生型細胞との比率である。図28では、野生型AML細胞(緑色蛍光)及びW105M CDK8突然変異細胞(赤色蛍光)に対する化合物Dの抗増殖効果を試験することによって化合物Dの作用機構を示す。緑色蛍光に対する赤色蛍光の増大は、突然変異AML細胞が野生型よりも急速に増殖したことを示す。この観察結果は用量依存的であり、化合物Aの細胞標的及び化合物Aの抗白血病活性に関与する標的としてCDK8を支持するものであった(実施例11)。 様々な用量及び投与方法の化合物Aでの処理日数に対する生物発光(元に対する%)のグラフである。x軸は日数で測定される時間であり、y軸は元に対するパーセントとして測定される生物発光である。このアッセイでは、生物発光シグナルの増大と共にAML細胞増殖が増大するため、グラフは化合物Aのin vivo有効性を示しており、生物発光が低いほど有効性が高いことを表す(実施例13)。 化合物A、F及びコルチスタチンAについての処理日数に対するlog(2)尺度での生物発光(元に対する%)のグラフである。x軸は日数で測定される時間であり、y軸は元に対するパーセントとして測定される生物発光である。このアッセイでは、生物発光シグナルの増大と共にAML細胞増殖が増大するため、グラフは化合物A、F及びコルチスタチンAのin vivo有効性を示しており、生物発光が低いほど有効性が高いことを表す。3つ全ての化合物をそれらの最高忍容量で投与した(実施例13)。 化合物B、C、D、F及びコルチスタチンAについての処理日数に対するlog(2)尺度での生物発光(元に対する%)のグラフである。x軸は日数で測定される時間であり、y軸は元に対するパーセントとして測定される生物発光である。このアッセイでは、生物発光シグナルの増大と共にAML細胞増殖が増大するため、グラフは化合物B、C、D、F及びコルチスタチンAのin vivo有効性を示し、生物発光が低いほど有効性が高いことを表す。5つ全ての化合物をそれらの最高忍容量で投与した(実施例13)。
I. 専門用語
化合物は正式名称を用いて記載される。他に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。
数量を特定しない用語(The terms "a" and "an")は量の限定を表すのではなく、言及される項目の少なくとも1つの存在を表す。「又は」という用語は「及び/又は」を意味する。値の範囲の列挙は本明細書に他に指定されない限り、単にその範囲に含まれる各々の別個の値に個別に言及する簡単な方法としての役割を果たすことを意図するものであり、各々の別個の値は、それらが本明細書に個別に列挙されたかのように引用することにより本明細書の一部をなす。全ての範囲の端点はその範囲内に含まれ、独立して組み合わせることができる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に他に指定されない又は文脈により明らかに否定されない限り、好適な順序で行うことができる。例又は例示的な言葉(例えば、「等(such as)」)の使用は単に本発明をよりよく説明することを意図するものであり、他に主張のない限り本発明の範囲の限定を示すものではない。他に規定のない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。
本発明は、同位体の天然存在度を超える量の、すなわち濃縮された少なくとも1つの所望の原子の同位体置換を有する化合物を含む。同位体は同じ原子番号を有するが質量数が異なる、すなわち同じ陽子数を有するが、中性子数が異なる原子である。
本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、及び125Iのそれぞれが挙げられる。一実施形態では、同位体標識された化合物を代謝研究(14Cを用いる)、反応動態研究(例えばH又はHを用いる)、薬物若しくは基質組織分布アッセイを含む検出又は画像化技法、例えば陽電子断層撮影(PET)若しくは単一光子放射断層撮影(SPECT)又は患者の放射線治療に使用することができる。特に、18F標識化合物がPET又はSPECT研究に特に望ましい場合がある。同位体標識した本発明の化合物及びそのプロドラッグは概して、非同位体標識試薬を容易に利用可能な同位体標識試薬に置き換えることで、スキーム又は下記の実施例及び調製に開示される手順を行うことによって調製することができる。
一般的な例として、限定されるものではないが、水素の同位体、例えば重水素(H)及び三重水素(H)を所望の結果が達成される記載の構造のいずれの部位にも使用することができる。代替的又は付加的に、炭素の同位体、例えば13C及び14Cを使用することができる。一実施形態では、同位体置換は薬物の効能、例えば薬力学、薬物動態、生体内分布、半減期、安定性、AUC、Tmax、Cmax等を改善するための分子上の1つ以上の位置での水素の重水素への置換である。例えば、重水素は代謝中の結合切断位置の(α−重水素動態同位体効果)又は結合切断部位の隣若しくは近くの(β−重水素動態同位体効果)炭素に結合することができる。
同位体置換、例えば重水素置換は部分的又は完全であり得る。部分的重水素置換は、少なくとも1つの水素が重水素で置換されることを意味する。或る特定の実施形態では、同位体は対象の任意の位置の同位体が90%、95%若しくは99%又はそれ以上濃縮される。一実施形態では重水素は所望の位置で90%、95%又は99%濃縮される。特に指定のない限り、任意の点での濃縮は天然存在度を超え、ヒトにおける検出可能な薬物の特性を変更するのに十分である。
本発明の化合物は溶媒(水を含む)とともに溶媒和物を形成し得る。したがって、一実施形態では、本発明は溶媒和形態の活性化合物を含む。「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物(その塩を含む)と1つ以上の溶媒分子との分子複合体を指す。溶媒の非限定的な例は水、エタノール、ジメチルスルホキシド、アセトン及び他の通常の有機溶媒である。「水和物」という用語は、本発明の化合物及び水を含む分子複合体を指す。本発明による薬学的に許容可能な溶媒和物には、溶媒が同位体置換され得るもの、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOが含まれる。溶媒和物は液体形態又は固体形態であり得る。
安定した活性化合物は、単離することができ、少なくとも1ヶ月の保存期間を有する投薬形態へと配合することができる化合物を指す。活性化合物の安定した製造中間体又は前駆体は、反応又は他の使用に必要とされる期間内に分解しない場合に安定している。安定した部分又は置換基は、使用に必要な期間内に分解、反応又は崩壊しないものである。不安定な部分の非限定的な例は、当業者に一般的に知られ、識別可能なように、不安定な配置のヘテロ原子が組み合わされたものである。
「投薬形態」は活性剤の投与単位を意味する。投薬形態の例としては、錠剤、カプセル、注射剤、懸濁液、液体、エマルション、インプラント、粒子、スフェア、クリーム、軟膏、坐剤、吸入可能形態、経皮形態、口腔投薬形態、舌下投薬形態、局所投薬形態、ゲル、粘膜投薬形態等が挙げられる。「投薬形態」はインプラント、例えば視覚インプラント(optical implant)も含み得る。
「医薬組成物」は少なくとも1つの活性剤と、担体等の少なくとも1つの他の物質とを含む組成物である。「医薬合剤(Pharmaceutical combinations)」は、単一の投薬形態に組み合わせるか、又は別個の投薬形態でともに与えることができる少なくとも2つの活性剤の組合せであり、本明細書に記載の任意の障害を治療するために活性剤が併用されることが指示される。
「薬学的に許容可能な塩」は、親化合物がその無機塩及び有機塩、非毒性塩、酸付加塩又は塩基付加塩を作製することによって修飾された開示の化合物の誘導体である。概して、かかる塩は、遊離塩基形態のこれらの化合物と化学量論量の適切な酸とを反応させることによって調製することができる。かかる反応は典型的には水若しくは有機溶媒又はそれら2つの混合物中で行われる。概して、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水媒体が実用可能な場合に典型的である。本化合物の塩は、化合物及び化合物の塩の溶媒和物を更に含む。
薬学的に許容可能な塩としては、例えば非毒性無機酸又は有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩及び第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、従来の非毒性酸の塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸に由来するもの、及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH−COOH(式中、nは0〜4である)等の有機酸から、又は同じ対イオンを生成する異なる酸を用いて調製される塩が挙げられる。更なる好適な塩の一覧は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., p. 1418 (1985)に見ることができる。
本発明の医薬組成物/合剤に適用される「担体」という用語は、活性化合物をもたらす希釈剤、賦形剤又はビヒクルを指す。
「薬学的に許容可能な賦形剤」は、概して安全、非毒性であり、生物学的にも他の形でも宿主(通常はヒト)への投与に不適切ではない、医薬組成物/合剤の調製に有用な賦形剤を意味する。一実施形態では、獣医学的使用に許容可能な賦形剤が使用される。
「患者」又は「宿主」又は「被験体」は、CDK8及び/又はCDK19の変調(を含むが、これに限定されない)による、本明細書に具体的に記載される障害のいずれかの治療又は予防を必要とするヒト又は非ヒト動物である。典型的には、宿主はヒトである。「患者」又は「宿主」又は「被験体」は例えば、哺乳動物、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類、ニワトリ等も指す。
「プロドラッグ」は本明細書で使用される場合、宿主にin vivoで投与した場合に親薬物へと変換される化合物を意味する。本明細書で使用される場合、「親薬物」という用語は、本明細書に記載の本件で記載されている化学化合物のいずれかを意味する。プロドラッグは、親薬物の特性の増強又は親薬物の薬学的若しくは薬物動態特性の改善を含む任意の所望の効果を達成するために使用することができる。親薬物のin vivo生成の条件を変調する選択肢を提供するプロドラッグ戦略が存在し、その全てが本明細書に含まれると考えられる。プロドラッグ戦略の非限定的な例としては、除去可能な基又は除去可能な基の部分の共有結合、例えば限定されるものではないが、特にアシル化、リン酸化、ホスホニル化、ホスホルアミデート誘導体、アミド化、還元、酸化、エステル化、アルキル化、他のカルボキシ誘導体、スルホキシ若しくはスルホン誘導体、カルボニル化、又は無水物が挙げられる。
本発明の医薬組成物/合剤の「治療有効量」は、宿主に投与した場合に症状の改善又は疾患自体の軽減若しくは縮減等の治療効果をもたらすのに効果的な量を意味する。非限定的な一実施形態では、治療有効量は顕著な増大を予防するのに十分であるか、又は患者の血液、血清若しくは組織中の癌の検出可能レベルを顕著に低減する量である。
II. 活性化合物
本発明は化合物B、化合物C及び化合物D、又はその薬学的に許容可能な塩、N−オキシド、重水素化誘導体、プロドラッグ及び/又は薬学的に許容可能な組成物も含む。
本発明は、以下の化合物Aの類縁体、又はその薬学的に許容可能な塩、N−オキシド、重水素化誘導体、プロドラッグ及び/又は薬学的に許容可能な組成物、並びに化合物Aの重水素化誘導体も含む。
本発明は、以下の化合物Bの類縁体、又はその薬学的に許容可能な塩、N−オキシド、重水素化誘導体、プロドラッグ及び/又は薬学的に許容可能な組成物も含む。
本発明は、以下の化合物Cの類縁体、又はその薬学的に許容可能な塩、N−オキシド、重水素化誘導体、プロドラッグ及び/又は薬学的に許容可能な組成物も含む。
本発明は、以下の化合物Dの類縁体、又はその薬学的に許容可能な塩、N−オキシド、重水素化誘導体、プロドラッグ及び/又は薬学的に許容可能な組成物も含む。
III. 医薬組成物
或る特定の実施形態では、本発明は本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、重水素化誘導体等の同位体類縁体、若しくはプロドラッグと薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。或る特定の実施形態では、化合物は有効量、例えば治療有効量又は予防有効量で存在する。
薬学的に許容可能な賦形剤としては、所望の特定の投薬形態に適した溶媒、希釈剤又は他の液体ビヒクル、分散液又は懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤又は乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤等が挙げられる。医薬組成物の作用物質の配合及び/又は製造の概論は例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition (Lippincott Williams & Wilkins, 2005)に見ることができる。
本明細書に記載の医薬組成物は、薬理学の技術分野で既知の任意の方法によって調製することができる。概して、かかる調製方法は、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグ(「有効成分」)と賦形剤及び/又は1つ以上の他の副成分とを合わせる工程と、次いで必要及び/又は所望に応じて、生成物を所望の単回又は複数回投与単位へと成形及び/又は包装する工程とを含む。
医薬組成物は、単回単位用量及び/又は複数の単回単位用量として調製、包装及び/又はバルク販売することができる。本明細書で使用される場合、「単位用量」は所定量の有効成分を含む医薬組成物の個々の量である。有効成分の量は概して、被験体へ投与される有効成分の投与量及び/又はかかる投与量の好都合な割合、例えばかかる投与量の半分又は3分の1に等しい。
本発明の医薬組成物中の有効成分、薬学的に許容可能な担体及び/又は任意の付加的な成分の相対量は治療される被験体の独自性、大きさ及び/又は状態に応じて異なり、組成物を投与する経路に更に左右される。例としては、組成物は0.1%〜100%(w/w)の有効成分を含み得る。
与えられた医薬組成物の製造に用いられる薬学的に許容可能な賦形剤としては、不活性希釈剤、分散及び/又は造粒剤、表面活性剤及び/又は乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、滑沢剤、及び/又は油が挙げられる。カカオ脂及び坐剤ワックス等の賦形剤、着色剤、被覆剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤が組成物に存在していてもよい。
希釈剤の例としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉砂糖等、及びそれらの組合せが挙げられる。
造粒及び/又は分散剤の例としては、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クレイ、アルギン酸、グアーガム、柑橘パルプ、寒天、ベントナイト、セルロース及び木質製品、海綿、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、シリケート、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル−ピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、αデンプン(pregelatinized starch)(スターチ1500)、微結晶性デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物等、及びそれらの組合せが挙げられる。
表面活性剤及び/又は乳化剤の例としては、天然乳化剤(例えばアカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドルクス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス及びレシチン)、コロイド状粘土(例えばベントナイト[ケイ酸アルミニウム]及びVeegum[ケイ酸マグネシウムアルミニウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えばステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリン酸トリアセチン、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリル及びモノステアリン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン[Tween 20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween 60]、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン[Tween 80]、モノパルミチン酸ソルビタン[Span 40]、モノステアリン酸ソルビタン[Span 60]、トリステアリン酸ソルビタン[Span 65]、モノオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン[Span 80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレン[Myrj 45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシメチレン、及びSolutol)、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えばCremophor)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij 30])、ポリ(ビニル−ピロリドン)、モノラウリン酸ジエチレングリコール、オレイン酸トリエタノールアミン、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、Pluronic F 68、Poloxamer 188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウム等、及び/又はそれらの組合せが挙げられる。
結合剤の例としては、デンプン(例えばコーンスターチ及びデンプンペースト)、ゼラチン、糖(例えばスクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール等)、天然及び合成ガム(例えばアカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、パンワー(panwar)ガム、ガディガム、イサポール皮(isapol husks)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、セルロースアセテート、ポリ(ビニル−ピロリドン)、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(Veegum)及びカラマツのアラビノガラクタン)、アルギン酸塩、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、ワックス、水、アルコール等、及び/又はそれらの組合せが挙げられる。
防腐剤の例としては、抗酸化剤、キレート剤、抗菌防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤及び他の防腐剤が挙げられる。
抗酸化剤の例としては、αトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
キレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)並びにそれらの塩及び水和物(例えばエデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二カリウム等)、クエン酸並びにそれらの塩及び水和物(例えばクエン酸一水和物)、フマル酸並びにそれらの塩及び水和物、リンゴ酸並びにそれらの塩及び水和物、リン酸並びにそれらの塩及び水和物、並びに酒石酸並びにそれらの塩及び水和物が挙げられる。抗菌防腐剤の例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、フェニル水銀ニトレート、プロピレングリコール及びチメロサールが挙げられる。
抗真菌防腐剤の例としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム及びソルビン酸が挙げられる。
アルコール防腐剤の例としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート及びフェニルエチルアルコールが挙げられる。
酸性防腐剤の例としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β−カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸及びフィチン酸が挙げられる。
他の防腐剤としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキシム(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall 115、Germaben II、Neolone、Kathon及びEuxylが挙げられる。或る特定の実施形態では、防腐剤は抗酸化剤である。他の実施形態では、防腐剤はキレート剤である。
緩衝剤の例としては、クエン酸緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロピオン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、リン酸カルシウムヒドロキシド、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱物質除去水、等張食塩水、リンガー液、エチルアルコール等、及びそれらの組合せが挙げられる。
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、マルト、ベヘン酸グリセリル、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム等、及びそれらの組合せが挙げられる。
天然油の例としては、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、クロフサスグリの種、ルリジサ、カデ、カモミール、セイヨウアブラナ、ヒメウイキョウ、ブラジルロウヤシ、トウゴマ、シナモン、カカオ脂、ココナツ、クローバーの葉、コーヒー、トウモロコシ、綿の種、エミュー、ユーカリ、マツヨイグサ、魚、亜麻の種、ゲラニオール、ヒョウタン、ブドウの種、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイの実、ラバンジン、ラベンダー、レモン、アオモジ、マカダミアナッツ、ゼニアオイ、マンゴーの種、メドウフォームの種、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃仁、ピーナッツ、ケシの種、カボチャの種、菜種、米糠、ローズマリー、ベニバナ、サンダルウッド、サザンカ、セイバリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチバー、クルミ及び小麦胚芽の油が挙げられる。合成油の例としては、ステアリン酸ブチル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
経口及び非経口投与用の液体投薬形態としては、薬学的に許容可能なエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが挙げられる。有効成分(複数の場合もある)に加えて、液体投薬形態は、例えば水又は他の溶媒等の当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、可溶化剤、並びにエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(例えば綿の種、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、トウゴマ及びゴマの油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル等の乳化剤、並びにそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物には、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤等のアジュバントが含まれ得る。非経口投与についての或る特定の実施形態では、本発明のコンジュゲートを、Cremophor、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、ポリマーコンジュゲート(例えばIT−101/CLRX101)、及びそれらの組合せ等の可溶化剤と混合する。
注射用調製物、例えば滅菌注射用水性又は油性懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いる既知の技術に従って配合することができる。滅菌注射用調製物は非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液又はエマルション、例えば1,3−ブタンジオール溶液であり得る。用いることができる許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンガー液(米国薬局方)及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油が溶媒又は懸濁媒体として慣習的に用いられている。この目的で、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無菌固定油を用いることができる。加えて、オレイン酸等の脂肪酸が注射剤の調製に使用される。
注射用配合物は、例えば細菌保持(bacterial-retaining)フィルターを通して濾過するか、又は滅菌水若しくは他の滅菌注射用媒体へと使用前に溶解若しくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
有効成分の効果を持続させるために、多くの場合、皮下又は筋肉注射からの有効成分の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性に乏しい結晶性又は非晶質材料の液体懸濁液を用いて達成することができる。次いで、有効成分の吸収速度はその溶解速度に応じて異なり、その溶解速度は結晶サイズ及び結晶形態に左右され得る。代替的には、非経口的に投与される形態の遅延吸収は、有効成分を油ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。
直腸又は膣内投与用の組成物は通例、本発明のコンジュゲートと、常温で固体であるが、体温では液体であり、したがって直腸又は膣腔内で融解し、有効成分を放出するココアバター、ポリエチレングリコール又は坐剤ワックス等の好適な非刺激性賦形剤又は担体とを混合することによって調製することができる坐剤である。
経口投与用の固体投薬形態には、カプセル、錠剤、丸剤、粉末及び顆粒が含まれる。かかる固体投薬形態では、有効成分をクエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム等の少なくとも1つの不活性の薬学的に許容可能な賦形剤又は担体、及び/又はa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸等の充填剤又は増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース及びアラビアゴム等の結合剤、c)グリセロール等の湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、幾つかのケイ酸塩及び炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、g)例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート等の湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレイ等の吸収剤、並びにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物等の滑沢剤と混合する。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、投薬形態は緩衝剤を含み得る。
同様のタイプの固体組成物を、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を使用する軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤及び顆粒の固体投薬形態は、腸溶コーティング及び医薬品配合技術分野で既知の他のコーティング等のコーティング及びシェルを用いて調製することができる。これらの固体投薬形態は乳白剤を任意に含んでいても、腸管の或る特定の部分でのみ又は優先的に有効成分(複数の場合もある)を任意に遅延方式で放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例としては、高分子物質及びワックスが挙げられる。同様のタイプの固体組成物を、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を使用する軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることができる。
有効成分(複数の場合もある)は、上述の1つ以上の賦形剤とともにマイクロカプセル化形態とすることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤及び顆粒の固体投薬形態は、腸溶コーティング、放出制御コーティング及び医薬品配合技術分野で既知の他のコーティング等のコーティング及びシェルを用いて調製することができる。かかる固体投薬形態では、有効成分をスクロース、ラクトース又はデンプン等の少なくとも1つの不活性希釈剤と混ぜることができる。かかる投薬形態は通常の慣行のように、不活性希釈剤以外の付加的な物質、例えばステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースのような錠剤化滑沢剤及び他の錠剤化助剤を含み得る。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、投薬形態は緩衝剤を含み得る。これらの投薬形態は乳白剤を任意に含んでいても、腸管の或る特定の部分でのみ又は優先的に有効成分(複数の場合もある)を任意に遅延方式で放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例としては、高分子物質及びワックスが挙げられる。
本発明の化合物の局所及び/又は経皮投与用の投薬形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤及び/又はパッチを挙げることができる。概して、有効成分を滅菌条件下で薬学的に許容可能な担体及び/又は任意の必要な防腐剤及び/又は必要とされ得る緩衝剤と混ぜる。本発明は付加的に、身体への有効成分の制御送達をもたらす追加の利点を有することが多い経皮パッチの使用を企図する。かかる投薬形態は、例えば有効成分を適当な媒体に溶解及び/又は分注することによって調製することができる。代替的又は付加的に、律速膜を設ける及び/又は有効成分をポリマーマトリックス及び/又はゲルに分散させることによって速度を制御することができる。
本明細書に記載の皮内医薬組成物の送達に使用される好適なデバイスには、米国特許第4,886,499号、同第5,190,521号、同第5,328,483号、同第5,527,288号、同第4,270,537号、同第5,015,235号、同第5,141,496号及び同第5,417,662号に記載されるような短針デバイスが含まれる。皮内組成物は、国際公開第99/34850号に記載されるような皮膚への針の有効侵入長を制限するデバイス、及びその機能的同等物によって投与することができる。液体ジェット式注射器、及び/又は角質層を貫通し、真皮に達する噴流を生じる針によって液体ワクチンを真皮へと送達するジェット式注射デバイスが好適である。ジェット式注射デバイスは、例えば米国特許第5,480,381号、同第5,599,302号、同第5,334,144号、同第5,993,412号、同第5,649,912号、同第5,569,189号、同第5,704,911号、同第5,383,851号、同第5,893,397号、同第5,466,220号、同第5,339,163号、同第5,312,335号、同第5,503,627号、同第5,064,413号、同第5,520,639号、同第4,596,556号、同第4,790,824号、同第4,941,880号、同第4,940,460号、並びに国際公開第97/37705号及び国際公開第97/13537号に記載されている。粉末形態のワクチンを加速して皮膚の外層を通して真皮へと送るために圧縮ガスを用いるバリスティック粉末/粒子送達デバイスが好適である。代替的又は付加的には、従来のシリンジを皮内投与の古典的マントー法に使用することができる。
局所投与に好適な配合物としては、塗布剤、ローション等の液体及び/又は半液体調製物、クリーム、軟膏及び/又はペースト等の水中油型及び/又は油中水型エマルション、及び/又は溶液及び/又は懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。局所投与可能な配合物は、例えば約1%〜約10%(w/w)の有効成分を含み得るが、有効成分の濃度は溶媒中の有効成分の溶解限度に達していてもよい。局所投与用の配合物は、1つ以上の本明細書に記載の付加的な成分を更に含み得る。
医薬組成物は口腔を介した経肺投与に好適な配合物に調製、包装及び/又は販売することができる。かかる配合物は、有効成分を含み、直径が約0.5ナノメートル〜約7ナノメートル又は約1ナノメートル〜約6ナノメートルの範囲の乾燥粒子を含み得る。かかる組成物は、粉末を分散させる噴射剤流を指向することができる乾燥粉末リザーバを備えるデバイスを用いた、及び/又は密閉容器内の低沸点噴射剤に溶解及び/又は懸濁した有効成分を含むデバイス等の自己噴射溶媒/粉末分注容器を用いた投与のための乾燥粉末の形態であるのが好都合である。かかる粉末は少なくとも98重量%の粒子が0.5ナノメートルを超える直径を有し、少なくとも95数量(by number)%の粒子が7ナノメートル未満の直径を有する粒子を含む。代替的には、少なくとも95重量%の粒子が1ナノメートルを超える直径を有し、少なくとも90数量%の粒子が6ナノメートル未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は糖等の固体微粉末希釈剤を含むことができ、単位投薬形態で都合よく提供される。
低沸点噴射剤は概して、沸点が大気圧で65°F未満の液体噴射剤を含む。概して、噴射剤は組成物の50%〜99.9%(w/w)を占めてもよく、有効成分は組成物の0.1%〜20%(w/w)を占めてもよい。噴射剤は、液体非イオン性及び/又は固体アニオン性界面活性剤及び/又は固体希釈剤(有効成分を含む粒子と同程度の粒子サイズを有し得る)等の付加的な成分を更に含み得る。
経肺送達用に配合された医薬組成物は、溶液及び/又は懸濁液の液滴の形態で有効成分を供給することができる。かかる配合物は、有効成分を含む任意に滅菌された水性及び/又は希釈アルコール溶液及び/又は懸濁液として調製、包装及び/又は販売することができ、任意の噴霧化及び/又は微粒化デバイスを用いて都合よく投与され得る。かかる配合物は、サッカリンナトリウム等の着香料、揮発油、緩衝剤、表面活性剤、及び/又はヒドロキシ安息香酸メチル等の防腐剤を含むが、これらに限定されない1つ以上の付加的な成分を更に含み得る。この投与経路によって供給される液滴は約0.1ナノメートル〜約200ナノメートルの範囲の平均直径を有し得る。
経肺送達に有用であるとして本明細書に記載される配合物は、本発明の医薬組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与に好適な別の配合物は、有効成分を含み、平均粒子サイズが約0.2マイクロメートル〜500マイクロメートルの粗粉末である。かかる配合物は、鼻孔の側に保持される粉末の容器からの鼻腔を通した急速吸入によって投与される。
経鼻投与用の配合物は、例えば最低で(as little as)約0.1%(w/w)及び最大で(as much as)100%(w/w)の有効成分を含み、1つ以上の本明細書に記載の付加的な成分を含み得る。本発明の医薬組成物は、口腔内投与用の配合物に調製、包装及び/又は販売することができる。かかる配合物は、例えば従来の方法を用いて作製される錠剤及び/又は舐剤の形態であってもよく、例えば0.1%〜20%(w/w)の有効成分を含有し、その残りは経口で溶解及び/又は崩壊し得る組成物、並びに任意に1つ以上の本明細書に記載の付加的な成分を含んでいてもよい。代わりに、口腔内投与用の配合物は、有効成分を含む粉末及び/又はエアロゾル化及び/又は微粒化溶液及び/又は懸濁液を含み得る。かかる粉末化、エアロゾル化及び/又はエアロゾル化配合物は、分散させた場合に約0.1ナノメートル〜約200ナノメートルの範囲の平均粒子及び/又は液滴サイズを有し、1つ以上の本明細書に記載の付加的な成分を更に含み得る。
医薬組成物は、眼内投与用の配合物に調製、包装及び/又は販売することができる。かかる配合物は例えば、例えば水性又は油性液体担体中の有効成分の0.1/1.0%(w/w)溶液及び/又は懸濁液を含む点眼剤の形態であり得る。かかる滴剤は緩衝剤、塩、及び/又は1つ以上の本明細書に記載の他の付加的な成分を更に含み得る。他の有用な眼内投与可能な配合物としては、微結晶形態及び/又はリポソーム調製物で有効成分を含む配合物が挙げられる。点耳剤及び/又は点眼剤が本発明の範囲内であることが企図される。
本明細書で提供される医薬組成物についての記載は主にヒトへの投与に好適な医薬組成物に向けたものであるが、かかる組成物が概して非ヒト動物への投与に好適であることが当業者には理解される。組成物を動物への投与に好適なものとするためのヒトへの投与に好適な医薬組成物の変更は良く理解され、通常の知識を有する獣医薬理学者はかかる変更を通常の実験によって設計及び/又は実行することができる。医薬組成物の配合及び/又は製造の概論は例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005に見ることができる。
また、医薬パック及び/又はキットが本発明に更に包含される。提供される医薬パック及び/又はキットは、提供される組成物及び容器(例えばバイアル、アンプル、ボトル、シリンジ及び/又はディスペンサーパッケージ、又は他の好適な容器)を含み得る。幾つかの実施形態では、提供されるキットは、任意に被験体への投与の調製のための提供される組成物の希釈又は懸濁用の好適な水性担体を含む第2の容器を更に含み得る。幾つかの実施形態では、提供される配合容器及び溶媒容器の内容物を合わせて、少なくとも1つの単位投薬形態を形成する。
任意に、単一容器は提供される組成物を含有する1つ以上のコンパートメント、及び/又は懸濁若しくは希釈用の適切な水性担体を含み得る。幾つかの実施形態では、単一容器は変更に適切であり得るために、コンパートメント及び/又は個々のコンパートメントの構成要素の組合せを可能とするような物理的変更を受けることができる。例えば、フォイル又はプラスチックバッグは、シールを破く合図が生じた後に2つの個々のコンパートメントの内容物が合わせられるように破られ得る有孔シールによって分離された2つ以上のコンパートメントを含み得る。このため、医薬パック又はキットは、提供される組成物及び懸濁用の適切な溶媒及び/又は適切な水性担体を含むかかるマルチコンパートメント容器を含み得る。
任意に、かかる本発明のキットは使用説明書を付加的に備える。かかる説明書は概して、例えば投与量及び投与の指示を与え得る。他の実施形態では、説明書は特定の投与用の容器及び/又はシステムの特殊な指示に関する付加的な詳細を更に提供し得る。さらに、説明書は付加的な療法とともに及び/又は組み合わせた使用に関する特殊な指示を提供し得る。
IV. 治療方法
一態様では、ヒトを含む宿主におけるCDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性によって媒介される障害を治療する方法であって、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、N−オキシド、重水素化誘導体、プロドラッグ、及び/又はその薬学的に許容可能な組成物を任意に薬学的に許容可能な担体中で有効量投与することを含む、方法を提供する。CDK8及びCDK19によって媒介される障害の非限定的な例としては、腫瘍、癌、異常細胞増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害及び自己免疫障害が挙げられる。
別の態様では、ヒトを含む宿主におけるCDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性によって媒介されないが、本明細書に記載される化合物の1つ以上又はそれらの薬学的に許容可能な塩によって媒介される障害を治療する方法であって、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、N−オキシド、重水素化誘導体、プロドラッグ、及び/又はその薬学的に許容可能な組成物を任意に薬学的に許容可能な担体中で有効量投与することを含む、方法を提供する。
或る特定の実施形態では、上記方法はin vitro方法である。或る特定の実施形態では、上記方法はin vivo方法である。別の態様では、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、重水素化誘導体等の同位体類縁体、若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法を提供する。
或る特定の実施形態では、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態は、異常細胞増殖に関係する障害である。
異常細胞増殖、特に過剰増殖は遺伝子突然変異、感染、毒素への曝露、自己免疫障害、及び良性又は悪性腫瘍誘導を含む広範な要因の結果として生じ得る。
細胞過剰増殖と関連する多数の皮膚障害が存在する。例えば、乾癬は、概して肥厚した鱗屑で覆われたプラークを特徴とするヒト皮膚の良性疾患である。この疾患は、原因不明の表皮細胞の増殖の増大に起因する。慢性湿疹も表皮の顕著な過剰増殖と関連する。皮膚細胞の過剰増殖に起因する他の疾患としては、アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、疣贅、尋常性天疱瘡、日光角化症、基底細胞癌及び扁平上皮癌が挙げられる。
他の過剰増殖性細胞障害としては、血管増殖障害、線維性障害、自己免疫障害、移植片対宿主拒絶反応、腫瘍及び癌が挙げられる。
血管増殖性障害としては、血管新生障害及び血管原性障害が挙げられる。血管組織におけるプラークの発生の過程での平滑筋細胞の増殖は、例えば再狭窄、網膜症及びアテローム性動脈硬化症を引き起こす。細胞移動及び細胞増殖の両方が、アテローム性動脈硬化病変の形成において役割を果たす。
線維性障害は、細胞外基質の異常形成によることが多い。線維性障害の例としては、肝硬変及びメサンギウム増殖性細胞障害が挙げられる。肝硬変は、肝臓瘢痕の形成を生じる細胞外基質構成要素の増大を特徴とする。肝硬変は、肝臓の硬変等の疾患を引き起こし得る。肝臓瘢痕を生じる細胞外基質の増大は、肝炎等のウイルス感染に起因する場合もある。脂質細胞が肝硬変において大きな役割を果たすようである。
メサンギウム障害は、メサンギウム細胞の異常増殖によって引き起こされる。メサンギウム過剰増殖性細胞障害としては、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、悪性腎硬化症、血栓性微小血管症候群、移植片拒絶反応及び糸球体症等の様々なヒト腎疾患が挙げられる。
増殖性成分を有する別の疾患は関節リウマチである。関節リウマチは概して、自己反応性T細胞の活性と関連し、コラーゲン及びIgEに対して産生される自己抗体に起因すると考えられる自己免疫疾患とみなされる。
異常細胞増殖性成分を含み得る他の障害としては、概してベーチェット症候群、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、虚血性心疾患、透析後症候群、白血病、後天性免疫不全症候群、血管炎、脂質性組織球増殖症、敗血性ショック及び炎症が挙げられる。
或る特定の実施形態では、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態は糖尿病状態である。
或る特定の実施形態では、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態はウイルス性疾患である。
転写サイクリン依存性キナーゼ(CDK)を含むヒト宿主タンパク質が単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びヒトサイトメガロウイルス(HCMV)を含む幾つかのウイルスの複製に寄与することが知られている。CDK8活性がインターフェロン応答において役割を果たし、これは癌細胞生存においても重要である。コルチスタチンAによる処理は、MOLM−14 AML細胞においてインターフェロンγシグナル伝達遺伝子及びインターフェロン応答遺伝子として同定された遺伝子の発現を増大する。HIV等のウイルスは、より効果的な複製を可能とするためにインターフェロン誘導を阻止する。さらに、コルチスタチンAは、HIVウイルス及びHIVウイルスタンパク質TAT−1を阻害することが示されている。
或る特定の実施形態では、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態は感染である。或る特定の実施形態では、感染は細菌感染である。或る特定の実施形態では、感染は真菌感染である。或る特定の実施形態では、感染は原生動物感染である。或る特定の実施形態では、感染はウイルス感染である。或る特定の実施形態では、ウイルス感染はレトロウイルス感染であり、ウイルスはレトロウイルス、すなわちレトロウイルス科のものである。或る特定の実施形態では、ウイルス感染はレトロウイルス感染であり、ウイルスはレトロウイルス科、及びオルソレトロウイルス亜科、アルファレトロウイルス、ベータレトロウイルス、デルタレトロウイルス、イプシロンレトロウイルス、ガンマレトロウイルス又はレンチウイルス亜科のものである。或る特定の実施形態では、ウイルス感染はレトロウイルス感染であり、ウイルスはレトロウイルス科及びレンチウイルス亜科のものである。レンチウイルス亜科の例示的なウイルスとしては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)及びビスナウイルスが挙げられ、これら全てがレンチウイルスの例である。或る特定の実施形態では、ウイルス感染はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染である。企図される他のウイルス感染は単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)又はヒトサイトメガロウイルス(HCMV)による感染である。或る特定の実施形態では、ウイルスはオンコウイルス、すなわち発癌と関連し、及び/又は癌を引き起こすウイルスである。或る特定の実施形態では、ウイルス感染の治療は、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性の阻害と関連する。
或る特定の実施形態では、本発明の化合物、及びその薬学的に許容可能な誘導体若しくは塩、又はこれらの化合物を含有する薬学的に許容可能な配合物はHIV感染、並びにAIDS関連症候群(ARC)、持続性全身性リンパ節腫脹(PGL)、AIDS関連神経学的状態、抗HIV抗体陽性及びHIV陽性状態、カポジ肉腫、血小板減少性紫斑病及び日和見感染等の他の関連病態の予防及び治療に有用である。加えて、これらの化合物又は配合物は、抗HIV抗体若しくはHIV抗原に陽性であるか、又はHIVに曝された個体において臨床疾患を予防するか、又はその進行を遅らせるために予防的に使用することができる。
或る特定の実施形態では、本発明の化合物及びその薬学的に許容可能な誘導体、又はこれらの化合物を含有する薬学的に許容可能な配合物は、HBV感染、並びに抗HBV抗体陽性及びHBV陽性状態、HBVに起因する慢性肝臓炎症、肝硬変、急性肝炎、劇症肝炎、慢性持続性肝炎及び倦怠感等の他の関連病態の予防及び治療にも有用である。これらの化合物又は配合物は、抗HBV抗体若しくはHBV抗原に陽性であるか、又はHBVに曝された個体において臨床疾患を予防するか、又はその進行を遅らせるために予防的に使用することができる。
或る特定の実施形態では、病態は免疫応答と関連する。
皮膚接触過敏症及び喘息は、顕著な病的状態を伴い得る免疫応答のほんの2例にすぎない。他には、アトピー性皮膚炎、湿疹、シェーグレン症候群に続発する乾性角結膜炎を含むシェーグレン症候群、円形脱毛症、節足動物刺咬反応によるアレルギー応答、クローン病、アフタ性潰瘍、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、潰瘍性大腸炎、皮膚エリテマトーデス、強皮症、膣炎、直腸炎及び薬疹が挙げられる。これらの病態は、以下の症状又は兆候のいずれか1つ以上を生じ得る:皮膚、眼又は粘膜に関わる掻痒、腫脹、発赤、水疱、痂皮形成、潰瘍形成、疼痛、落屑、裂皮、脱毛、瘢痕化又は体液の滲出。
アトピー性皮膚炎及び湿疹では、概して皮膚への免疫を介した白血球浸潤(特に単核細胞、リンパ球、好中球及び好酸球の浸潤)がこれらの疾患の発症に大きく寄与する。慢性湿疹は、表皮の顕著な過剰増殖とも関連する。免疫を介した白血球浸潤は、喘息では気道、乾性角結膜炎では眼の涙腺(tear producing gland)等の皮膚以外の部位でも生じる。
非限定的な一実施形態では、本発明の化合物は接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、湿疹様皮膚炎、乾癬、シェーグレン症候群に続発する乾性角結膜炎を含むシェーグレン症候群、円形脱毛症、節足動物刺咬反応によるアレルギー応答、クローン病、アフタ性潰瘍、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、潰瘍性大腸炎、喘息、アレルギー性喘息、皮膚エリテマトーデス、強皮症、膣炎、直腸炎及び薬疹の治療に局所剤として使用される。この新規の方法は、菌状息肉症等の疾患における悪性白血球による皮膚の浸潤の軽減にも有用であり得る。これらの化合物は、化合物を眼に局所的に投与することによる、涙液減少型ドライアイ状態(免疫介在性角結膜炎等)を、それを患う患者にて治療するのにも使用することができる。
或る特定の実施形態では、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する病態は変性障害、例えばアルツハイマー病(AD)又はパーキンソン病である。
別の態様では、β−カテニン経路関連病態を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体(重水素化誘導体等)若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。別の態様では、細胞においてβ−カテニン経路を(例えば、β−カテニン標的遺伝子の発現を阻害することによって)調節する方法であって、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体(重水素化誘導体等)若しくはプロドラッグを接触させることを含む、方法が提供される。或る特定の実施形態では、上記方法はin vitro方法である。或る特定の実施形態では、上記方法はin vivo方法である。
別の態様では、JAK−STAT経路関連病態を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体(重水素化誘導体等)若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。別の態様では、細胞におけるSTAT1活性を(例えば、JAK−STAT経路におけるSTAT1 S727のリン酸化を阻害し、特定のSTAT1関連遺伝子の上方又は下方調節をもたらすことによって)調節する方法であって、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグと細胞とを接触させることを含む、方法が提供される。或る特定の実施形態では、上記方法はin vitro方法である。或る特定の実施形態では、上記方法はin vivo方法である。
CDK8等の核CDKは、BMP及びTGF−βにおけるSMAD転写活性化及び代謝回転を誘導することが報告されている。例えば、Alarcon et al., Cell (2009) 139:757-769を参照されたい。このため、また別の態様では、TGF−β/BMP経路関連病態を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体(重水素化誘導体等)若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。別の態様では、細胞においてTGF−β/BMP経路を(例えば、TGF−β/BMP経路においてCDK8/CDK19リン酸化SMADタンパク質を阻害し、特定のSMADタンパク質関連遺伝子の上方又は下方調節をもたらすことによって)調節する方法であって、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグと細胞とを接触させることを含む、方法が提供される。或る特定の実施形態では、上記方法はin vitro方法である。或る特定の実施形態では、上記方法はin vivo方法である。
CDK8は低酸素応答の調節と関連付けられており、HIF−1−A(HIF−1−α)標的遺伝子の誘導の役割を果たす。これらの遺伝子は腫瘍の維持及び成長に不可欠なプロセスである、血管新生、解糖、代謝的適応、及び細胞生存に関与する。例えば、Galbraith, et al., Cell 153:1327-1339を参照されたい。このため、一態様では、低酸素症と関連する病態を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体(重水素化誘導体等)若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。別の態様では、低酸素損傷を軽減する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体(重水素化誘導体等)若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。また別の態様では、細胞におけるHIF−1−A(HIF−1−α)活性を(例えば、HIF−1−α関連遺伝子の発現を阻害することによって)調節する方法であって、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグと細胞とを接触させることを含む、方法が提供される。或る特定の実施形態では、上記方法はin vitro方法である。或る特定の実施形態では、上記方法はin vivo方法である。
別の態様では、細胞においてアポトーシスを誘導するためにBIM発現(例えば、BCLC2L11発現)を増大する方法であって、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグと細胞とを接触させることを含む、方法が提供される。或る特定の実施形態では、上記方法はin vitro方法である。或る特定の実施形態では、上記方法はin vivo方法である。細胞におけるBCL2L11発現を厳重に調節する。BCL2L11はアポトーシス促進タンパク質であるBIMをコードする。BCL2L11は多くの癌において下方調節され、BIMは慢性骨髄性白血病(CML)及び非小細胞肺癌(NSCLC)を含む多くの癌で阻害され、そのBCL2L11発現の抑制はチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を与え得る。例えば、Ng et al., Nat. Med.(2012) 18:521-528を参照されたい。
また別の態様では、例えば糖尿病状態(例えば、糖尿病性網膜症)、炎症状態(例えば、関節リウマチ)、黄斑変性、肥満、アテローム性動脈硬化症又は増殖性障害等の血管新生と関連する病態を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。
本明細書で使用される場合、「糖尿病状態」は糖尿病及び糖尿病前症を指す。糖尿病は、身体が十分なインスリンを産生しないか、又は細胞が産生されるインスリンに応答しないために個体が高血糖を有する代謝的疾患群を指す。この高血糖により多尿症(頻尿)、多飲症(口渇感の増大)及び多食症(空腹感の増大)の古典的症状が生じる。幾つかのタイプの糖尿病が存在する。1型糖尿病は身体のインスリン産生不良に起因し、現時点では個体はインスリンを注射するか又はインスリンポンプを身に付ける必要がある。2型糖尿病は細胞がインスリンを適切に使用することができない状態であるインスリン耐性に起因し、絶対的インスリン欠乏を伴う場合もある。妊娠性糖尿病は、これまでに糖尿病と診断されていない妊婦に高血中グルコースレベルが見られる場合に生じる。糖尿病の他の形態としては、インスリン分泌の遺伝的欠陥に起因する先天性糖尿病、嚢胞性線維症関連糖尿病、高用量のグルココルチコイドによって誘導されるステロイド糖尿病、及び幾つかの形態の単一遺伝子糖尿病、例えば若年発症成人型糖尿病(mature onset diabetes of the young)(例えばMODY1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10)が挙げられる。糖尿病前症は、個体の血中グルコースレベルが正常よりも高いが、糖尿病と診断されるほどには高くない病態を指す。
全ての形態の糖尿病が長期合併症(本明細書で糖尿病状態の「関連合併症」と称される)のリスクを増大する。これらは通例、何年もたってから発症するが、そうでなければその時点まで診断を受けていない個体における最初の症状となる場合もある。主な長期合併症は血管の損傷に関連する。糖尿病は、虚血性心臓病(狭心症、心筋梗塞)、脳卒中及び末梢血管疾患等の心血管疾患及び大血管疾患のリスクを倍にする。糖尿病は大血管合併症、例えば微小血管の損傷も引き起こす。目の網膜における血管形成に影響を及ぼす糖尿病性網膜症は視覚症状、視力の低下、潜在的には失明をもたらし得る。糖尿病の腎臓に対する影響である糖尿病性腎症は腎組織における瘢痕変化、尿中への少量又は徐々に大量のタンパク質の流出、最終的には透析を必要とする慢性腎疾患をもたらし得る。糖尿病性神経障害は神経系に対する糖尿病の影響であり、最も一般には足にしびれ、刺痛及び疼痛を引き起こすとともに、感覚変化による皮膚損傷のリスクを増大する。脚における血管疾患とともに、神経障害も糖尿病に関連する足の問題、例えば治療が困難であり、切断術が必要となる場合もある糖尿病性足潰瘍のリスクに寄与する。
或る特定の実施形態では、関連合併症は糖尿病性網膜症である。例えば、或る特定の実施形態では、糖尿病性網膜症を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。
或る特定の実施形態では、血管新生と関連する病態は黄斑変性症である。或る特定の実施形態では、黄斑変性症を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。
或る特定の実施形態では、血管新生と関連する病態は肥満である。本明細書で使用される場合、「肥満」及び「肥満の(obese)」は、世界保健機関によって規定される肥満クラスI、肥満クラスII、肥満クラスIII及び前肥満(例えば「過体重」である)を指す。或る特定の実施形態では、肥満を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。
或る特定の実施形態では、血管新生と関連する病態はアテローム性動脈硬化症である。或る特定の実施形態では、アテローム性動脈硬化症を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。
或る特定の実施形態では、血管新生と関連する病態は増殖性障害である。或る特定の実施形態では、増殖性障害を治療する方法であって、それを必要とする被験体に本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法が提供される。
例示的な増殖性障害としては、腫瘍(例えば固形腫瘍)、良性新生物、前癌新生物(pre-malignant neoplasms)(上皮内癌)及び悪性新生物(癌)が挙げられるが、これらに限定されない。
癌の例としては、聴神経腫、腺癌、副腎癌、肛門癌、脈管肉腫(angiosarcoma)(例えばリンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、血管肉腫)、虫垂癌、良性単クローン性ガンマグロブリン血症、胆道癌(例えば胆管癌)、膀胱癌、乳癌(例えば***の腺癌、***の乳頭癌、乳腺癌(mammary cancer)、***の髄様癌)、脳腫瘍(brain cancer)(例えば髄膜腫;神経膠腫、例えば星状細胞腫、乏突起膠腫;髄芽腫)、気管支癌、カルチノイド腫瘍、子宮頸癌(例えば子宮頸部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸癌(例えば結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、上皮癌、上衣腫、内皮筋腫(例えばカポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、子宮内膜癌(例えば子宮癌、子宮肉腫)、食道癌(例えば食道の腺癌、バレット腺癌)、ユーイング肉腫、眼腫瘍(eye cancer)(例えば眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫)、家族性過好酸球増加症、胆嚢癌、胃癌(例えば胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部癌(例えば頭頸部扁平上皮癌、口腔癌(例えば口腔扁平上皮癌(OSCC)、咽喉癌(例えば喉頭癌、咽頭癌、上咽頭癌、中咽頭癌))、造血器癌(例えば急性リンパ芽球性白血病又は急性リンパ性白血病(例えばB細胞 ALL、T細胞 ALL)としても知られる急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えばB細胞 AML、T細胞 AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えばB細胞 CML、T細胞 CML)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)(例えばB細胞 CLL、T細胞 CLL);リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫(HL)(例えばB細胞 HL、T細胞 HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えばびまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えばびまん性大B細胞型リンパ腫(DLBCL)等のB細胞 NHL)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、外套細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾性辺縁帯B細胞リンパ腫)、縦隔原発B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち「ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症」)、有毛細胞白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆体B−リンパ芽球性リンパ腫及び原発中枢神経系(CNS)リンパ腫;並びにT細胞 NHL、例えば前駆体T−リンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば菌状息肉腫、セザリー症候群)、血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫);上記のような1つ以上の白血病/リンパ腫の混合物;並びに多発性骨髄腫(MM))、重鎖病(例えばα鎖病、γ鎖病、μ鎖病)、血管芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、免疫球性アミロイドーシス、腎臓癌(例えばウィルムス腫瘍としても知られる腎芽腫、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば肝細胞癌(HCC)、悪性肝細胞腫)、肺癌(例えば気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば全身性肥満細胞症)、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性障害(MPD)(例えば真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、骨髄線維症(MF)としても知られる特発性骨髄化生(AMM)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES))、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば1型又は2型神経線維腫症(NF)、神経鞘腫症)、神経内分泌癌(例えば胃腸膵神経内分泌腫瘍(GEP−NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣癌(例えば嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、乳頭腺癌、膵臓癌(例えば膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm)(IPMN)、膵島細胞腫瘍)、陰茎癌(例えば陰茎及び陰嚢のパジェット病)、松果体腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、前立腺癌(例えば前立腺の腺癌)、直腸癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌(例えば扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸癌(例えば虫垂癌)、軟組織肉腫(例えば悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、脂腺癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌(例えば精上皮腫、精巣胎芽性癌)、甲状腺癌(例えば甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌)、尿道癌、膣癌、並びに外陰癌(例えば外陰部のパジェット病)が挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、障害は骨髄異形成症候群(MDS)である。
或る特定の実施形態では、癌又は腫瘍は、CDK8及び/又はCDK19キナーゼ活性と関連する。或る特定の実施形態では、癌又は腫瘍は、CDK8キナーゼ活性と関連する。或る特定の実施形態では、癌又は腫瘍は、CDK19キナーゼ活性と関連する。或る特定の実施形態では、癌又は腫瘍は、異常なCDK8キナーゼ活性と関連する。或る特定の実施形態では、癌又は腫瘍は、異常なCDK19キナーゼ活性と関連する。或る特定の実施形態では、癌又は腫瘍は、CDK8キナーゼ活性の増大と関連する。或る特定の実施形態では、癌はCDK19キナーゼ活性の増大と関連する。
或る特定の実施形態では、癌は造血器癌(hematopoietic cancer)である。或る特定の実施形態では、造血器癌はリンパ腫である。或る特定の実施形態では、造血器癌は白血病である。或る特定の実施形態では、白血病は急性骨髄性白血病(AML)である。
或る特定の実施形態では、増殖性障害は骨髄増殖性腫瘍である。或る特定の実施形態では、骨髄増殖性腫瘍(MPN)は原発性骨髄線維症(PMF)である。
或る特定の実施形態では、癌は固形腫瘍である。固形腫瘍は本明細書で使用される場合、通常は嚢胞又は液体領域を含有しない異常な組織塊を指す。種々のタイプの固形腫瘍が、それを形成する細胞のタイプから名付けられている。固形腫瘍群の例としては、本明細書で上記される肉腫、癌及びリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。固形腫瘍の付加的な例としては、扁平上皮癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、肝臓癌、膵臓癌及び黒色腫が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の化合物、及びその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグは、投与の容易さ及び投与量の均一性のために投与単位形態に配合することができる。しかしながら、本明細書に記載の化合物を含む組成物の総一日使用量は、主治医によって正しい医学的判断の範囲内で決定されることを理解されたい。任意の特定の被験体又は生物に対する特定の治療上効果的な用量レベルは、治療される疾患、障害又は病態、及び障害の重症度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組成物;被験体の年齢、体重、全身健康状態、性別及び食習慣;投与時間、投与経路及び用いられる特定の化合物の排出速度;治療期間;用いられる特定の化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬物;並びに医療技術において既知の同様の因子を含む様々な因子に応じて異なる。
本明細書で提供される化合物及び組成物は、経腸(例えば経口)、非経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、皮下、脳室内、経皮、皮内、直腸、腟内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、クリーム及び/又は滴剤として)、粘膜、経鼻、口腔内、舌下を含む任意の経路によって;気管内注入、気管支注入及び/又は吸入によって;及び/又は口腔スプレー、鼻腔用スプレー及び/又はエアロゾルとして投与することができる。具体的に企図される経路は経口投与、静脈内投与(例えば全身静脈注射)、血液及び/又はリンパ液供給を介した局部投与、及び/又は患部への直接投与である。概して、最も適切な投与経路は、作用物質の性質(例えば、胃腸管環境におけるその安定性)、被験体の状態(例えば、被験体が経口投与を耐容し得るか否か)を含む様々な因子に応じて異なる。
有効量を達成するのに必要とされる化合物の正確な量は被験体によって異なり、例えば被験体の種、年齢及び全身状態、副作用又は障害の重症度、特定の化合物(複数の場合もある)の同一性、投与方法等に左右される。所望の投与量は1日3回、1日2回、1日1回、隔日、3日に1回、毎週、2週に1回、3週に1回又は4週に1回を含む、医療供給者によって有用であると定められる任意の頻度を用いて送達することができる。或る特定の実施形態では、所望の投与量を複数回投与(例えば2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回又はそれ以上の投与)を用いて送達することができる。
或る特定の実施形態では、1日1回以上投与される化合物の有効量は、単位投薬形態当たり約0.0001mg〜約3000mg、約0.0001mg〜約2000mg、約0.0001mg〜約1000mg、約0.001mg〜約1000mg、約0.01mg〜約1000mg、約0.1mg〜約1000mg、約1mg〜約1000mg、約1mg〜約100mg、約0.1mg〜約10mg又は約0.1mg〜約15mgの化合物を含み得る。或る特定の実施形態では、投与に有効な活性剤の量は少なくとも約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg又は約1000mgを含む。
或る特定の実施形態では、所望の治療効果を得るために化合物を1日当たり約0.001mg/kg〜約100mg/kg、約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg〜約40mg/kg、約0.5mg/kg〜約30mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、及び約0.01mg/kg〜約1mg/kg(被験体の体重)を送達するのに十分な投与量レベルで成人に経口で又は非経口的に1日1回以上投与することができる。
本明細書に記載の用量範囲が、提供される医薬組成物の成人への投与の指針を与えることが理解される。例えば幼児又は青年に投与される量は医師又は当業者により決定され、成人に投与される量以下であり得る。
本明細書に記載の化合物又は組成物は、1つ以上の付加的な治療活性剤と組み合わせて投与することができることも理解される。化合物又は組成物は、それらのバイオアベイラビリティを改善し、それらの代謝を低減及び/又は変更し、それらの排出を阻害し、及び/又は身体内でのそれらの分布を変更する付加的な治療活性剤と組み合わせて投与することができる。用いられる療法が同じ障害に対して所望の効果を達成し(例えば、化合物を抗炎症剤、抗癌剤等と組み合わせて投与することができる)、及び/又は異なる効果を達成し得る(例えば有害な副作用の制御、例えば制吐剤による嘔吐の制御)ことも理解される。
化合物又は組成物は、1つ以上の付加的な治療活性剤と同時に、その前に又はその後に投与することができる。概して、各々の作用物質はその作用物質について決定される量及び/又はタイムスケジュールで投与される。この組合せで利用される付加的な治療活性剤を単一の組成物中でとともに投与しても、又は異なる組成物中で別個に投与してもよいことが更に理解される。レジメン中で用いる特定の組合せには、付加的な治療活性剤及び/又は達成すべき所望の治療効果との本化合物の適合性を考慮に入れる。概して、組合せで利用される付加的な治療活性剤は、それらを個別に利用するレベルを超えないレベルで利用されることが期待される。幾つかの実施形態では、組合せで利用されるレベルは個別に利用されるレベルよりも低くなる。
付加的な治療活性剤の例としては、小有機分子、例えば薬物化合物(例えば、連邦規制基準(CFR)に提示されるように食品医薬品局によって認可された化合物)、ペプチド、タンパク質、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチド又はタンパク質、タンパク質と結び付いた小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、ビタミン及び細胞が挙げられるが、これらに限定されない。或る特定の実施形態では、付加的な治療活性剤は抗癌剤、例えば放射線療法剤及び/又は1つ以上の化学療法剤である。
V. 併用療法
一態様では、少なくとも1つの付加的な治療剤と組み合わせた又は交互の本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体(重水素化誘導体等)若しくはプロドラッグの投与を含む治療レジメンが提供される。本明細書で開示される組合せ及び/又は交互は、異常細胞増殖性障害の治療において有益な相加又は相乗効果のために投与することができる。
本実施形態の一態様では、第2の活性化合物は、限定されないが、チェックポイント阻害剤を含む、免疫調節物質である。本明細書に記載される方法における使用に対するチェックポイント阻害剤はとして、限定されないが、PD−1阻害剤、PD−L1阻害剤、PD−L2阻害剤、CTLA−4阻害剤、LAG−3阻害剤、TIM−3阻害剤、及びT細胞活性化のV−ドメインIgサプレッサー(VISTA)阻害剤、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−1受容体に結合することによって、PD−1とPD−L1との相互作用を遮断することで、免疫抑制を阻害する、PD−1阻害剤である。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP−224(AstraZeneca及びMedImmune)、PF−06801591(Pfizer)、MEDI0680(AstraZeneca)、PDR001(Novartis)、REGN2810(Regeneron)、SHR−12−1(Jiangsu Hengrui Medicine Company及びIncyte Corporation)、TSR−042(Tesaro)及びPD−L1/VISTA阻害剤CA−170(Curis Inc.)から選択されるPD−1チェックポイント阻害剤である。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−L1受容体に結合することによって、PD−1とPD−L1との相互作用を遮断することで、免疫抑制を阻害する、PD−L1阻害剤である。PD−L1阻害剤として、限定されないが、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、KN035、及びBMS−936559(Bristol-Myers Squibb)が挙げられる。
この実施形態の一態様では、チェックポイント阻害剤は、CTLA−4に結合して免疫抑制を阻害する、CTLA−4チェックポイント阻害剤である。CTLA−4阻害剤として、限定されないが、イピリムマブ、トレメリムマブ(AstraZeneca及びMedImmune)、AGEN1884、及びAGEN2041(Agenus)が挙げられる。
別の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、LAG−3チェックポイント阻害剤である。LAG−3チェックポイント阻害剤の例として、限定されないが、BMS−986016(Bristol-Myers Squibb)、GSK2831781(GlaxoSmithKline)、IMP321(Prima BioMed)、LAG525(Novartis)、並びにデュアルPD−1及びLAG−3阻害剤MGD013(MacroGenics)が挙げられる。この実施形態の更に別の態様では、チェックポイント阻害剤は、TIM−3チェックポイント阻害剤である。具体的なTIM−3阻害剤として、限定されないが、TSR−022(Tesaro)が挙げられる。
別の実施形態では、併用療法に使用される化合物はLAG−3標的リガンドである。別の実施形態では、併用療法に使用される化合物はTIM−3標的リガンドである。別の実施形態では、併用療法に使用される化合物はアロマターゼ阻害剤である。別の実施形態では、併用療法に使用される化合物はプロゲスチン受容体標的リガンドである。別の実施形態では、併用療法に使用される化合物はCYP3A4標的リガンドである。別の実施形態では、併用療法に使用される化合物はTORC1又はTORC2標的リガンドである。
具体的な実施形態では、治療レジメンは本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグを、少なくとも1つの付加的なキナーゼ阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む。一実施形態では、少なくとも1つの付加的なキナーゼ阻害剤はホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)阻害剤、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、別のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤若しくは脾臓チロシンキナーゼ(Syk)阻害剤、又はそれらの組合せから選択される。
一実施形態では、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグをPIk3阻害剤と投薬形態で組み合わせる。
本発明で使用され得るPI3k阻害剤は既知である。PI3キナーゼ阻害剤の例としては、ウォルトマンニン、デメトキシビリジン、ペリホシン、イデラリシブ、ピクチリシブ、Palomid 529、ZSTK474、PWT33597、CUDC−907及びAEZS−136、デュベリシブ(duvelisib)、GS−9820、GDC−0032(2−[4−[2−(2−イソプロピル−5−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−5,6−ジヒドロイミダゾ[1,2−d][1,4]ベンゾオキサゼピン−9−イル]ピラゾール−1−イル]−2−メチルプロパンアミド)、MLN−1117((2R)−1−フェノキシ−2−ブタニル水素(S)−メチルホスホネート;又はメチル(オキソ){[(2R)−1−フェノキシ−2−ブタニル]オキシ}ホスホニウム)、BYL−719((2S)−N1−[4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)−4−ピリジニル]−2−チアゾリル]−1,2−ピロリジンジカルボキサミド)、GSK2126458(2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド)、TGX−221((±)−7−メチル−2−(モルホリン−4−イル)−9−(1−フェニルアミノエチル)−ピリド[1,2−a]−ピリミジン−4−オン)、GSK2636771(2−メチル−1−(2−メチル−3−(トリフルオロメチル)ベンジル)−6−モルホリノ−lH−ベンゾ[d]イミダゾール−4−カルボン酸ジヒドロクロリド)、KIN−193((R)−2−((1−(7−メチル−2−モルホリノ−4−オキソ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−9−イル)エチル)アミノ)安息香酸)、TGR−1202/RP5264、GS−9820((S)−1−(4−((2−(2−アミノピリミジン−5−イル)−7−メチル−4−モヒドロキシプロパン(mohydroxypropan)−1−オン)、GS−1101(5−フルオロ−3−フェニル−2−([S]−1−[9H−プリン−6−イルアミノ]−プロピル)−3H−キナゾリン−4−オン)、AMG−319、GSK−2269557、SAR245409(N−(4−(N−(3−((3,5−ジメトキシフェニル)アミノ)キノキサリン−2−イル)スルファモイル)フェニル)−3−メトキシ−4メチルベンズアミド)、BAY80−6946(2−アミノ−N−(7−メトキシ−8−(3−モルホリノプロポキシ)−2,3−ジヒドロイミダゾ[1,2−c]キナズ(quinaz))、AS 252424(5−[1−[5−(4−フルオロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−フラン−2−イル]−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾリジン−2,4−ジオン)、CZ 24832(5−(2−アミノ−8−フルオロ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−N−tert−ブチルピリジン−3−スルホンアミド)、ブパルリシブ(5−[2,6−ジ(4−モルホリニル)−4−ピリミジニル]−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンアミン)、GDC−0941(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−[[4−(メチルスルホニル)−1−ピペラジニル]メチル]−4−(4−モルホリニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン)、GDC−0980((S)−1−(4−((2−(2−アミノピリミジン−5−イル)−7−メチル−4−モルホリノチエノ[3,2−d]ピリミジン−6イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシプロパン−1−オン(RG7422としても知られる))、SF1126((8S,14S,17S)−14−(カルボキシメチル)−8−(3−グアニジノプロピル)−17−(ヒドロキシメチル)−3,6,9,12,15−ペンタオキソ−1−(4−(4−オキソ−8−フェニル−4H−クロメン−2−イル)モルホリノ−4−イウム)−2−オキサ−7,10,13,16−テトラアザオクタデカン−18−オエート)、PF−05212384(N−[4−[[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジニル]カルボニル]フェニル]−N’−[4−(4,6−ジ−4−モルホリニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素)、LY3023414、BEZ235(2−メチル−2−{4−[3−メチル−2−オキソ−8−(キノリン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]フェニル}プロパンニトリル)、XL−765(N−(3−(N−(3−(3,5−ジメトキシフェニルアミノ)キノキサリン−2−イル)スルファモイル)フェニル)−3−メトキシ−4−メチルベンズアミド)及びGSK1059615(5−[[4−(4−ピリジニル)−6−キノリニル]メチレン]−2,4−チアゾリデンジオン(thiazolidenedione))、PX886([(3aR,6E,9S,9aR,10R,11aS)−6−[[ビス(プロパ−2−エニル)アミノ]メチリデン]−5−ヒドロキシ−9−(メトキシメチル)−9a,11a−ジメチル−1,4,7−トリオキソ−2,3,3a,9,10,11−ヘキサヒドロインデノ[4,5h]イソクロメン−10−イル]アセテート(ソノリシブ(sonolisib)としても知られる))が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明で使用されるBTK阻害剤は既知である。BTK阻害剤の例としては、イブルチニブ(PCI−32765としても知られる)(Imbruvica(商標))(1−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(4−フェノキシ−フェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]プロパ−2−エン−1−オン)、ジアニリノピリミジン系阻害剤、例えばAVL−101及びAVL−291/292(N−(3−((5−フルオロ−2−((4−(2−メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)アミノ)フェニル)アクリルアミド)(Avila Therapeutics)(米国特許出願公開第2011/0117073号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい)、ダサチニブ(N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−(6−(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル)−2−メチルピリミジン−4−イルアミノ)チアゾール−5−カルボキサミド)、LFM−A13(α−シアノ−β−ヒドロキシ−β−メチル−N−(2,5−ジブロモフェニル)プロペンアミド)、GDC−0834(R−N−(3−(6−(4−(1,4−ジメチル−3−オキソピペラジン−2−イル)フェニルアミノ)−4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロピラジン−2−イル)−2−メチルフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド)、CGI−560 4−(tert−ブチル)−N−(3−(8−(フェニルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)フェニル)ベンズアミド、CGI−1746(4−(tert−ブチル)−N−(2−メチル−3−(4−メチル−6−((4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニル)アミノ)−5−オキソ−4,5−ジヒドロピラジン−2−イル)フェニル)ベンズアミド)、CNX−774(4−(4−((4−((3−アクリルアミドフェニル)アミノ)−5−フルオロピリミジン−2−イル)アミノ)フェノキシ)−N−メチルピコリンアミド)、CTA056(7−ベンジル−1−(3−(ピペリジン−1−イル)プロピル)−2−(4−(ピリジン−4−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−g]キノキサリン−6(5H)−オン)、GDC−0834((R)−N−(3−(6−((4−(1,4−ジメチル−3−オキソピペラジン−2−イル)フェニル)アミノ)−4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロピラジン−2−イル)−2−メチルフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド)、GDC−0837((R)−N−(3−(6−((4−(1,4−ジメチル−3−オキソピペラジン−2−イル)フェニル)アミノ)−4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロピラジン−2−イル)−2−メチルフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド)、HM−71224、ACP−196、ONO−4059(Ono Pharmaceuticals)、PRT062607(4−((3−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)アミノ)−2−(((1R,2S)−2−アミノシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド塩酸塩)、QL−47(1−(1−アクリロイルインドリン−6−イル)−9−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ベンゾ[h][1,6]ナフチリジン−2(1H)−オン)及びRN486(6−シクロプロピル−8−フルオロ−2−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−2H−イソキノリン−1−オン)、並びにBTK活性を阻害することが可能な他の分子、例えばAkinleye et ah, Journal of Hematology & Oncology, 2013, 6:59(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に開示されるBTK阻害剤が挙げられる。一実施形態では、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグは、BTK阻害剤と投薬形態で組み合わせられる。
一実施形態では、付加的なサイクリン依存性キナーゼ阻害剤は、THZ1(N−[3−[[5−クロロ−4−(1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ]フェニル]−4−[[(E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エノイル]アミノ]ベンズアミド)等のCDK7阻害剤である。代替的な実施形態では、付加的なサイクリン依存性キナーゼ阻害剤は、フラボピリドール(アルボシジブ)等のCDK9阻害剤である。
したがって、一実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物B又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のSyk阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物Cを有効量のSyk阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物D又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のSyk阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のSyk阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Bの類縁体を有効量のSyk阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のSyk阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のSyk阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物B又はその薬学的に許容可能な塩をイマチニブ(Gleevec)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物C又はその薬学的に許容可能な塩をイマチニブ(Gleevec)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物D又はその薬学的に許容可能な塩をイマチニブ(Gleevec)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をイマチニブ(Gleevec)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Bの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をイマチニブ(Gleevec)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をイマチニブ(Gleevec)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をイマチニブ(Gleevec)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
本発明で使用されるSyk阻害剤は既知であり、例えばセルデュラチニブ(Cerdulatinib)(4−(シクロプロピルアミノ)−2−((4−(4−(エチルスルホニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)アミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド)、エントスプレチニブ(entospletinib)(6−(1H−インダゾール−6−イル)−N−(4−モルホリノフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−8−アミン)、フォスタマチニブ([6−({5−フルオロ−2−[(3,4,5−トリメトキシフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル}アミノ)−2,2−ジメチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−4−イル]メチル二水素ホスフェート)、フォスタマチニブ二ナトリウム塩(ナトリウム(6−((5−フルオロ−2−((3,4,5−トリメトキシフェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)アミノ)−2,2−ジメチル−3−オキソ−2H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−4(3H)−イル)メチルホスフェート)、BAY 61−3606(2−(7−(3,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾ[1,2−c]ピリミジン−5−イルアミノ)−ニコチンアミドHCl)、RO9021(6−[(1R,2S)−2−アミノ−シクロヘキシルアミノ]−4−(5,6−ジメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−ピリダジン−3−カルボン酸アミド)、イマチニブ(Gleevec;4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−N−(4−メチル−3−{[4−(ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ベンズアミド)、スタウロスポリン、GSK143(2−(((3R,4R)−3−アミノテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)−4−(p−トリルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド)、PP2(1−(tert−ブチル)−3−(4−クロロフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン)、PRT−060318(2−(((1R,2S)−2−アミノシクロヘキシル)アミノ)−4−(m−トリルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド)、PRT−062607(4−((3−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)アミノ)−2−(((1R,2S)−2−アミノシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド塩酸塩)、R112(3,3’−((5−フルオロピリミジン−2,4−ジイル)ビス(アザンジイル))ジフェノール)、R348(3−エチル−4−メチルピリジン)、R406(6−((5−フルオロ−2−((3,4,5−トリメトキシフェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)アミノ)−2,2−ジメチル−2H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジン−3(4H)−オン)、YM193306(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照されたい)、7−アザインドール、ピセタノール、ER−27319(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい)、PRT060318(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい)、ルテオリン(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい)、アピゲニン(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい)、ケルセチン(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい)、フィセチン(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい)、ミリセチン(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい)、モリン(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい)が挙げられる。一実施形態では、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグはSyk阻害剤と投薬形態で組み合わせられる。
具体的な実施形態では、提供される治療方法は、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグを少なくとも1つの付加的な化学療法剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む。
一実施形態では、本発明の化合物と組み合わせた又は交互の少なくとも1つの付加的な化学療法剤は、タンパク質細胞死−1(PD−1)阻害剤である。PD−1阻害剤は当該技術分野で既知であり、例えばニボルマブ(BMS)、ペムブロリズマブ(Merck)、ピディリズマブ(CureTech/Teva)、AMP−244(Amplimmune/GSK)、BMS−936559(BMS)及びMEDI4736(Roche/Genentech)が挙げられる。一実施形態では、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグはPD−1阻害剤と投薬形態で組み合わせられる。一実施形態では、PD−1阻害剤はペムブロリズマブである。
一実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物B又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のPD−1阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物C又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のPD−1阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物D又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のPD−1阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のPD−1阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Bの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のPD−1阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のPD−1阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のPD−1阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の化合物B又はその薬学的に許容可能な塩をペムブロリズマブ(Keytruda)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の化合物C又はその薬学的に許容可能な塩をペムブロリズマブ(Keytruda)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の化合物D又はその薬学的に許容可能な塩をペムブロリズマブ(Keytruda)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をペムブロリズマブ(Keytruda)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Bの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をペムブロリズマブ(Keytruda)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をペムブロリズマブ(Keytruda)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をペムブロリズマブ(Keytruda)と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、本発明の化合物と組み合わせた又は交互の少なくとも1つの付加的な化学療法剤は、CTLA−4阻害剤である。CTLA−4阻害剤は当該技術分野で既知であり、例えばBristol-Myers Squibbにより販売されているイピリムマブ(Yervoy)及びPfizerにより販売されているトレメリムマブが挙げられる。
一実施形態では、本発明の化合物と組み合わせた又は交互の少なくとも1つの付加的な化学療法剤は、BET阻害剤である。BET阻害剤は当該技術分野で既知であり、例えばJQ1、I−BET 151(GSK1210151Aとしても知られる)、I−BET 762(GSK525762としても知られる)、OTX−015(MK−8268、IUPAC 6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−アセトアミド,4−(4−クロロフェニル)−N−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3,9−トリチメル−としても知られる)、TEN−010、CPI−203、CPI−0610、RVX−208及びLY294002が挙げられる。一実施形態では、腫瘍又は癌の治療のために本発明の化合物と組み合わせて又は交互に使用されるBET阻害剤は、JQ1((S)−tert−ブチル2−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル)アセテート)である。代替的な実施形態では、腫瘍又は癌の治療のために本発明の化合物と組み合わせて又は交互に使用されるBET阻害剤は、I−BET 151(2H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン、7−(3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリル)−1,3−ジヒドロ−8−メトキシ−1−[(1R)−1−(2−ピリジニル)エチル]−)である。
一実施形態では、付加的な活性剤は、小分子BET阻害剤であるMK−8628(CAS 202590−98−5)(6H−チエノ(3,2−f)−(1,2,4)トリアゾロ(4,3−a)−(1,4)ジアゼピン−6−アセトアミド,4−(4−クロロフェニル)−N−(4−ヒドロキシフェニル)2,3,9−トリチメル,(6S)である。
一実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物B又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBET阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物C又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBET阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物D又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBET阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBET阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Bの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBET阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBET阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBET阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の化合物B又はその薬学的に許容可能な塩をJQ1と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の化合物C又はその薬学的に許容可能な塩をJQ1と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の化合物D又はその薬学的に許容可能な塩をJQ1と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をJQ1と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Bの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をJQ1と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をJQ1と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をJQ1と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の化合物B又はその薬学的に許容可能な塩をI−BET 151と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の化合物C又はその薬学的に許容可能な塩をI−BET 151と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の化合物D又はその薬学的に許容可能な塩をI−BET 151と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をI−BET 151と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Bの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をI−BET 151と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をI−BET 151と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、有効量の本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をI−BET 151と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、本発明の化合物と組み合わせた又は交互の少なくとも1つの付加的な化学療法剤はMEK阻害剤である。本発明で使用されるMEK阻害剤は既知であり、例えばトラメチニブ/GSKl 120212(N−(3−{3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル}フェニル)アセトアミド)、セルメチニブ(6−(4−ブロモ−2−クロロアニリノ)−7−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルベンズイミダゾール−5−カルボキサミド)、ピマセルチブ/AS703026/MSC 1935369((S)−N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−3−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)イソニコチンアミド)、XL−518/GDC−0973(1−({3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル}カルボニル)−3−[(2S)−ピペリジン−2−イル]アゼチジン−3−オール)、レファメチニブ/BAY869766/RDEA1 19(N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド)、PD−0325901(N−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−ベンズアミド)、TAK733((R)−3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−5−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−8−メチルピリド[2,3−d]ピリミジン−4,7(3H,8H)−ジオン)、MEK162/ARRY438162(5−[(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)アミノ]−4−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボキサミド)、R05126766(3−[[3−フルオロ−2−(メチルスルファモイルアミノ)−4−ピリジル]メチル]−4−メチル−7−ピリミジン−2−イルオキシクロメン−2−オン)、WX−554、R04987655/CH4987655(3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−((3−オキソ−1,2−オキサジナン−2イル)メチル)ベンズアミド)又はAZD8330(2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)−N−(2ヒドロキシエトキシ)−1及び5−ジメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)が挙げられる。一実施形態では、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグは、MEK阻害剤と投薬形態で組み合わせられる。
一実施形態では、本発明の化合物と組み合わせた又は交互の少なくとも1つの付加的な化学療法剤は、Raf阻害剤である。本発明で使用されるRaf阻害剤は既知であり、例えばベムラフェニブ(N−[3−[[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]カルボニル]−2,4−ジフルオロフェニル]−1−プロパンスルホンアミド)、トシル酸ソラフェニブ(4−[4−[[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイルアミノ]フェノキシ]−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド;4−メチルベンゼンスルホネート)、AZ628(3−(2−シアノプロパン−2−イル)−N−(4−メチル−3−(3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−イルアミノ)フェニル)ベンズアミド)、NVP−BHG712(4−メチル−3−(1−メチル−6−(ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド)、RAF−265(1−メチル−5−[2−[5−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−2−イル]ピリジン−4−イル]オキシ−N−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゾイミダゾール−2−アミン)、2−ブロモアルジシン(2−ブロモ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピロロ[2,3−c]アゼピン−4,8−ジオン)、Rafキナーゼ阻害剤IV(2−クロロ−5−(2−フェニル−5−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)フェノール)及びソラフェニブN−オキシド(4−[4−[[[[4−クロロ−3(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]−N−メチル−2ピリジンカルボキサミド1−オキシド)が挙げられる。一実施形態では、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグはRaf阻害剤と投薬形態で組み合わせられる。
一実施形態では、本発明の化合物と組み合わせた又は交互の少なくとも1つの付加的な化学療法剤は、B細胞リンパ腫2(Bcl−2)タンパク質阻害剤である。BCL−2阻害剤は当該技術分野で既知であり、例えばABT−199(4−[4−[[2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル]メチル]ピペラジン−1−イル]−N−[[3−ニトロ−4−[[(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]アミノ]フェニル]スルホニル]−2−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)オキシ]ベンズアミド)、ABT−737(4−[4−[[2−(4−クロロフェニル)フェニル]メチル]ピペラジン−1−イル]−N−[4−[[(2R)−4−(ジメチルアミノ)−1−フェニルスルファニルブタン−2−イル]アミノ]−3−ニトロフェニル]スルホニルベンズアミド)、ABT−263((R)−4−(4−((4’−クロロ−4,4−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−((4−((4−モルホリノ−1−(フェニルチオ)ブタン−2−イル)アミノ)−3((トリフルオロメチル)スルホニル)フェニル)スルホニル)ベンズアミド)、GX15−070(メシル酸オバトクラックス、(2Z)−2−[(5Z)−5−[(3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−イル)メチリデン]−4−メトキシピロール−2−イリデン]インドール;メタンスルホン酸)))、2−メトキシ−アンチマイシンA3、YC137(4−(4,9−ジオキソ−4,9−ジヒドロナフト[2,3−d]チアゾール−2−イルアミノ)−フェニルエステル)、ポゴシン(pogosin)、エチル2−アミノ−6−ブロモ−4−(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチル)−4H−クロメン−3−カルボキシレート、ニロチニブ−d3、TW−37(N−[4−[[2−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]フェニル]−2,3,4−トリヒドロキシ−5−[[2−(1−メチルエチル)フェニル]メチル]ベンズアミド)、アポゴッシポロン(ApoG2)又はG3139(オブリメルセン)が挙げられる。一実施形態では、本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグは、少なくとも1つのBCL−2阻害剤と投薬形態で組み合わせられる。一実施形態では、少なくとも1つのBCL−2阻害剤はABT−199(ベネトクラックス)である。
一実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物B又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBCL−2阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物C又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBCL−2阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物D又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBCL−2阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBCL−2阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Bの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBCL−2阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBCL−2阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のBCL−2阻害剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物B又はその薬学的に許容可能な塩をABT−199と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物C又はその薬学的に許容可能な塩をABT−199と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の化合物D又はその薬学的に許容可能な塩をABT−199と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をABT−199と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Bの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をABT−199と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をABT−199と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、有効量の本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をABT−199と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、治療レジメンは本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグを、メシル酸イマチニブ(Gleevac)、ダサチニブ(Sprycel)、ニロチニブ(Tasigna)、ボスチニブ(Bosulif)、トラスツズマブ(Herceptin)、ペルツズマブ(Perjeta(商標))、ラパチニブ(Tykerb)、ゲフィチニブ(Iressa)、エルロチニブ(Tarceva)、セツキシマブ(Erbitux)、パニツムマブ(Vectibix)、バンデタニブ(Caprelsa)、ベムラフェニブ(Zelboraf)、ボリノスタット(Zolinza)、ロミデプシン(Istodax)、ベキサロテン(Tagretin)、アリトレチノイン(Panretin)、トレチノイン(Vesanoid)、カルフィルゾミブ(Kyprolis(商標))、プララトレキサート(Folotyn)、ベバシズマブ(Avastin)、Ziv−アフリベルセプト(Zaltrap)、ソラフェニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、パゾパニブ(Votrient)、レゴラフェニブ(Stivarga)及びカボザンチニブ(Cometriq(商標))から選択されるが、これらに限定されない、少なくとも1つの付加的な化学療法剤と組み合わせて又は交互に投与することを含む。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の医薬合剤又は組成物は、腫瘍又は癌治療のために組合せで又は他の化学療法剤と更に組み合わせて被験体に投与することができる。都合がよければ、本明細書に記載の医薬合剤又は組成物は、治療レジメンを単純化するために別の化学療法剤と同時に投与することができる。幾つかの実施形態では、医薬合剤又は組成物及び他の化学療法剤は、単一の配合物中で提供することができる。一実施形態では、本明細書に記載の医薬合剤又は組成物の使用を他の作用物質との治療レジームにおいて組み合わせる。かかる作用物質としては、タモキシフェン、ミダゾラム、レトロゾール、ボルテゾミブ、アナストロゾール、ゴセレリン、mTOR阻害剤、上記のようなPI3キナーゼ阻害剤、二重mTOR−PI3K阻害剤、上記のようなMEK阻害剤、RAS阻害剤、ALK阻害剤、HSP阻害剤(例えば、HSP70及びHSP90阻害剤、又はそれらの組合せ)、上記のようなBCL−2阻害剤、アポトーシス誘導化合物、MK−2206(1,2,4−トリアゾロ[3,4−f][1,6]ナフチリジン−3(2H)−オン,8−[4−(1−アミノシクロブチル)フェニル]−9−フェニル−)、GSK690693、ペリホシン(KRX−0401)、GDC−0068、トリシリビン、AZD5363、ホノキオール、PF−04691502及びミルテホシンを含むが、これらに限定されないAKT阻害剤、ニボルマブ、CT−011、MK−3475、BMS936558及びAMP−514を含むが、これらに限定されない、上記のようなPD−1阻害剤、若しくはP406、ドビチニブ、キザルチニブ(AC220)、アムバチニブ(MP−470)、タンズチニブ(MLN518)、ENMD−2076及びKW−2449を含むが、これらに限定されないFLT−3阻害剤、又はそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。mTOR阻害剤の例としては、ラパマイシン及びその類縁体、エベロリムス(Afinitor)、テムシロリムス、リダフォロリムス、シロリムス及びデフォロリムスが挙げられるが、これらに限定されない。RAS阻害剤の例としては、レオライシン及びsiG12D LODERが挙げられるが、これらに限定されない。ALK阻害剤の例としては、クリゾチニブ、AP26113及びLDK378が挙げられるが、これらに限定されない。HSP阻害剤としては、ゲルダナマイシン又は17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、及びラディシコールが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物をレトロゾール及び/又はタモキシフェンと組み合わせて投与する。本明細書に記載の化合物と組み合わせて使用することができる他の化学療法剤としては、それらの抗腫瘍効果に細胞周期活性を必要としない化学療法剤が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、治療レジメンは、少なくとも1つの付加的な療法と組み合わせた又は交互の本発明の化合物、又はその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類縁体若しくはプロドラッグの投与を含む。第2の療法は免疫療法であり得る。下記でより詳細に述べられるように、組合せ剤は抗体、放射性剤、又は本明細書に記載の活性化合物を罹患若しくは異常増殖性細胞へと指向する他の標的化剤とコンジュゲートすることができる。別の実施形態では、併用又は相乗アプローチを用いた治療の有効性を増大するために、医薬合剤又は組成物を別の医薬又は生物学的作用物質(例えば、抗体)と組み合わせて使用する。一実施形態では、本明細書に記載の癌細胞集団を排除するために、医薬合剤又は組成物を、一般に不活性化自己反応性T細胞を用いた免疫化を含むT細胞ワクチン接種と共に使用することができる。別の実施形態では、医薬合剤又は組成物を、本明細書に記載の内因性T細胞及び癌細胞上の特異的抗原に同時に結合し、2つのタイプの細胞を連結するように設計された抗体である二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)と組み合わせて使用する。
一実施形態では、付加的な療法はモノクローナル抗体(MAb)である。幾つかのMAbは癌細胞を破壊する免疫応答を刺激する。B細胞により自然に産生される抗体と同様に、これらのMAbは癌細胞表面を「被覆」し、免疫系によるその破壊を誘発する。例えば、ベバシズマブは、腫瘍血管の発生を促進する腫瘍細胞及び腫瘍の微小環境中の他の細胞によって分泌されるタンパク質である血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的化する。ベバシズマブに結合すると、VEGFはその細胞受容体と相互作用することができず、新たな血管の成長をもたらすシグナル伝達が妨げられる。同様に、セツキシマブ及びパニツムマブは上皮増殖因子受容体(EGFR)を標的化し、トラスツズマブはヒト上皮増殖因子受容体2(HER−2)を標的化する。細胞表面成長因子受容体に結合するMAbは、標的化受容体がそれらの正常成長促進シグナルを送るのを妨げる。これらはまた、アポトーシスを誘発し、免疫系を活性化して、腫瘍細胞を破壊し得る。
別の群の癌治療用MAbはイムノコンジュゲートである。免疫毒素又は抗体−薬物コンジュゲートと呼ばれる場合もあるこれらのMAbは、植物若しくは細菌の毒素、化学療法薬又は放射性分子等の殺細胞物質に付着した抗体からなる。抗体は癌細胞の表面上のその特異的抗原を捕まえ、殺細胞物質が細胞により取り込まれる。このように作用するFDA認可済みのコンジュゲートMAbとして、細胞増殖を阻害する薬物DM1を、HER−2を発現する転移性乳癌細胞へと送達するためにHER−2分子を標的化するado−トラスツズマブエムタンシンが挙げられる。
二重特異性抗体(bsAb)又はキメラ抗原受容体(CAR)により癌細胞を認識するように改変されたT細胞を用いた免疫療法は、癌細胞の***及び非/遅***亜集団の両方を除去する可能性があるアプローチである。
標的抗原を同時に認識し、免疫エフェクター細胞の表面上の受容体を活性化することによる二重特異性抗体は、癌細胞を殺すよう免疫エフェクター細胞を転換する機会をもたらす。別のアプローチは、細胞外抗体を細胞内シグナル伝達ドメインに融合することによるキメラ抗原受容体の生成である。キメラ抗原受容体改変T細胞は、MHCとは独立して腫瘍細胞を特異的に殺すことが可能である。
或る特定の態様では、付加的な療法は別の治療剤、例えば抗炎症剤、化学療法剤、放射線療法剤又は免疫抑制剤である。
好適な化学療法剤としては、放射性分子、細胞毒素又は細胞毒性薬とも称される毒素が挙げられるが、これらに限定されず、細胞の生存能力にとって有害な任意の作用物質、及び化学療法化合物を含有するリポソーム又は他のベシクルが含まれる。一般的な抗癌医薬品としては、ビンクリスチン(Oncovin)又はリポソームビンクリスチン(Marqibo)、ダウノルビシン(ダウノマイシン又はCerubidine)又はドキソルビシン(アドリアマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド、ara−C又はCytosar)、L−アスパラギナーゼ(Elspar)又はPEG−L−アスパラギナーゼ(ペグアスパラガーゼ又はOncaspar)、エトポシド(VP−16)、テニポシド(Vumon)、6−メルカプトプリン(6−MP又はPurinethol)、メトトレキサート、シクロフォスファミド(Cytoxan)、プレドニゾン、デキサメサゾン(Decadron)、イマチニブ(Novartisにより販売されているGleevec)、ダサチニブ(Sprycel)、ニロチニブ(Tasigna)、ボスチニブ(Bosulif)及びポナチニブ(Iclusig(商標))が挙げられる。付加的な好適な化学療法剤の例としては、1−デヒドロテストステロン、5−フルオロウラシル、ダカルバジン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アルデスロイキン、アルキル化剤、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミフォスチン、アナストロゾール、アントラマイシン(AMC)、抗有糸***剤、シス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)(シスプラチン)、ジアミノジクロロ白金、アントラサイクリン、抗生物質、代謝拮抗物質、アスパラギナーゼ、BCG生菌(BCG live)(膀胱内)、ベタメタゾンリン酸ナトリウム及び酢酸ベタメタゾン、ビカルタミド、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、カルシウムロイコボリン、カリケアマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、ロムスチン(CCNU)、カルムスチン(BSNU)、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、コルヒチン、結合型エストロゲン、シクロフォスファミド、シクロトスファミド(Cyclothosphamide)、シタラビン、シタラビン、サイトカラシンB、シトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシンHCL、クエン酸ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デキスラゾキサン、ジブロモマンニトール、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、ドセタキセル、メシル酸ドラセトロン、ドキソルビシンHCL、ドロナビノール、大腸菌(E. coli)L−アスパラギナーゼ、エメチン、エポエチン−α、エルウィニアL−アスパラギナーゼ、エステル化エストロゲン、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチジウムブロミド、エチニルエストラジオール、エチドロネート、エトポシド、シトロボラム因子、リン酸エトポシド、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、ゲムシタビンHCL、グルココルチコイド、酢酸ゴセレリン、グラミシジンD、グラニセトロンHCL、ヒドロキシウレア、イダルビシンHCL、イホスファミド、インターフェロンα−2b、イリノテカンHCL、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レバミゾールHCL、リドカイン、ロムスチン、メイタンシノイド、メクロレタミンHCL、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファランHCL、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メチルテストステロン、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、酢酸オクトレオチド、オンダンセトロンHCL、パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、ペントスタチン、ピロカルピンHCL、プリマイシン(plimycin)、ポリフェプロザン20カルムスチンインプラント、ポルフィマーナトリウム、プロカイン、プロカルバジンHCL、プロプラノロール、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾトシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、テノポシド(tenoposide)、テストラクトン、テトラカイン、チオエパクロラムブシル(thioepa chlorambucil)、チオグアニン、チオテパ、トポテカンHCL、クエン酸トレミフェン、トラスツズマブ、トレチノイン、バルルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン及び酒石酸ビノレルビンが挙げられるが、これらに限定されない。
好適な免疫抑制剤としては、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリン又はアスコマイシン、例えばシクロスポリンA(NEORAL)、FK506(タクロリムス)、ピメクロリムス、mTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はその誘導体、例えばシロリムス(RAPAMUNE)、エベロリムス(Certican)、テムシロリムス、ゾタロリムス、バイオリムス−7、バイオリムス−9、ラパログ、例えばリダフォロリムス、アザチオプリン、campath 1H、S1P受容体モジュレーター、例えばフィンゴリモド又はその類縁体、抗IL−8抗体、ミコフェノール酸又はその塩、例えばナトリウム塩又はそのプロドラッグ、例えばミコフェノール酸モフェチル(CELLCEPT)、OKT3(ORTHOCLONE OKT3)、プレドニゾン、ATGAM、THYMOGLOBULIN、ブレキナルナトリウム、OKT4、T10B9.A−3A、33B3.1、15−デオキシスペルグアリン、トレスペリムス(tresperimus)、レフルノミド(ARAVA)、CTLAI−Ig、抗CD25、抗IL2R、バシリキシマブ(SIMULECT)、ダクリズマブ(ZENAPAX)、ミゾリビン、メトトレキサート、デキサメサゾン、ISAtx−247、SDZ ASM 981(ピメクロリムス、Elidel)、CTLA4lg(アバタセプト)、ベラタセプト、LFA3lg、エタネルセプト(ImmunexによりEnbrelとして販売される)、アダリムマブ(Humira)、インフリキシマブ(Remicade)、抗LFA−1抗体、ナタリズマブ(Antegren)、エンリモマブ、ガビリモマブ(gavilimomab)、抗胸腺細胞免疫グロブリン、シプリズマブ、アレファセプト、エファリズマブ、ペンタサ、メサラジン、アサコール、リン酸コデイン、ベノリレート、フェンブフェン、ナプロシン、ジクロフェナク、エトドラク及びインドメタシン、アスピリン及びイブプロフェンが挙げられるが、これらに限定されない。
或る特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬合剤又は組成物は、別の化学療法剤による治療前、別の化学療法剤による治療中、別の化学療法剤の投与後、又はそれらの組合せで被験体に投与される。
幾つかの実施形態では、他の化学療法剤をより高用量(化学療法剤用量強度の増大)又はより高頻度(化学療法剤用量密度の増大)で投与することができるように、選択的な医薬合剤又は組成物を被験体に投与することができる。ドースデンス化学療法は、標準的な化学療法治療計画よりも短い治療間隔で薬物を与える化学療法治療計画である。化学療法用量強度は、単位時間当たりに投与される化学療法剤の単位用量を表す。用量強度は投与する用量、投与の時間間隔又はその両方を変化させることで増大又は減少することができる。
本発明の一実施形態では、本明細書に記載の医薬合剤又は組成物は、非DNA損傷性の標的化抗腫瘍薬又は造血成長因子剤等の別の作用物質との協調レジメンで投与することができる。造血成長因子の早過ぎる投与が重大な副作用を有し得ることが近年報告されている。例えば、EPOファミリーの成長因子の使用は動脈性高血圧、脳痙攣(cerebral convulsions)、高血圧性脳症、血栓塞栓症、鉄欠乏、インフルエンザ様症候群及び静脈血栓症と関連付けられている。G−CSFファミリーの成長因子は脾臓の腫大及び破裂、呼吸窮迫症候群、アレルギー反応及び鎌状細胞合併症と関連付けられている。本明細書に記載の医薬合剤又は組成物の投与を、例えば病的細胞がそれ以上成長停止状態にない時点での造血成長因子の適時投与と組み合わせることで、医療関係者が成長因子の量を減少させ、所望の治療利益を達成した上で望ましくない有害作用を最小限に抑えることが可能となる。そのように、一実施形態では、本明細書に記載の医薬合剤、組成物又は方法の使用を、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF、例えばNeupogen(フィルグラスチン(filgrastin))、Neulasta(ペグフィルグラスチム)又はレノグラスチムとして販売される)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF、例えばモルグラモスチム及びサルグラモスチム(Leukine)として販売される)、M−CSF(マクロファージコロニー刺激因子)、トロンボポエチン(巨核球増殖分化因子(MGDF)、例えばロミプロスチム及びエルトロンボパグとして販売される)、インターロイキン(IL)−12、インターロイキン−3、インターロイキン−11(脂質生成阻害因子又はオプレルベキン)、SCF(幹細胞因子、steel因子、キット−リガンド又はKL)、並びにエリトロポエチン(EPO)及びそれらの誘導体(例えばダルベポエチン、Epocept、Nanokine、Epofit、Epogin、Eprex及びProcritとして販売されるエポエチン−α;例えばNeoRecormon、Recormon及びMiceraとして販売されるエポエチン−β)、エポエチン−δ(例えばDynepoとして販売される)、エポエチン−ω(例えばEpomaxとして販売される)、エポエチンζ(例えばSilapo及びReacritとして販売される)、並びに例えばEpocept、EPOTrust、Erypro Safe、Repoeitin、Vintor、Epofit、Erykine、Wepox、Espogen、Relipoeitin、Shanpoietin、Zyrop及びEPIAO)を含むが、これらに限定されない造血成長因子の使用と組み合わせる。一実施形態では、医薬合剤又は組成物は造血成長因子の投与前に投与される。一実施形態では、造血成長因子の投与は、HSPCに対する医薬合剤又は組成物の効果が消失するようタイミングが計られる。一実施形態では、成長因子を本明細書に記載の医薬合剤又は組成物の投与の少なくとも20時間後に投与する。
所望に応じて、本明細書に記載の医薬合剤又は組成物の複数回用量を、被験体に投与することができる。代替的には、本明細書に記載の医薬合剤又は組成物の単回用量を被験体に与えることができる。
一実施形態では、本明細書に記載の目的での活性化合物の活性は、罹患若しくは異常増殖性細胞を標的化するか、又はそうでなければ活性、送達、薬物動態若しくは他の有益な特性を増強する作用物質との共役によって増大させることができる。
選択される本明細書に記載の化合物は、Fvフラグメントとともに又は組み合わせて投与することができる。Fvフラグメントは、IgG及びIgMクラス抗体の酵素的切断によって作られる最小フラグメントである。FvフラグメントはVH及びVC領域でできた抗原−結合部位を有するが、CH1及びCL領域を欠いている。VH及びVL鎖は、Fvフラグメント中で非共有相互作用によって結び付けられる。
一実施形態では、選択される本明細書に記載の化合物はScFv、ドメイン抗体、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、Bis−scFv、ミニボディ(minibody)、Fab2又はFab3抗体フラグメントからなる群から選択される抗体フラグメントと組み合わせて投与することができる。一実施形態では、抗体フラグメントはScFvである。遺伝子操作法により、フレキシブルペプチドによって連結したVH及びVLドメインを含むFv型フラグメントである一本鎖可変フラグメント(ScFv)の生成が可能となる。リンカーが少なくとも12残基長である場合、ScFvフラグメントは本質的にモノマーである。V−ドメインの配向及びリンカー長の操作により、3残基〜11残基長の異なる形態のFv分子リンカーが生じ、機能的FvドメインへとフォールディングすることができないscFv分子が得られる。これらの分子は第2のscFv分子と会合し、二価ダイアボディを生じることができる。一実施形態では、選択される本明細書に記載の化合物と組み合わせて投与される抗体フラグメントは二価ダイアボディである。リンカー長が3残基未満である場合、scFv分子はトリアボディ又はテトラボディへと会合する。一実施形態では、抗体フラグメントはトリアボディである。一実施形態では、抗体フラグメントはテトラボディである。多価scFvは更に2つの標的抗原への結合を有することで、それらの標的抗原に対してそれらの一価対応物よりも大きな機能的結合親和性を有し、抗体フラグメントの解離速度(off-rate)が低減する。一実施形態では、抗体フラグメントはミニボディである。ミニボディは、二価二量体へと集合するscFv−CH融合タンパク質である。一実施形態では、抗体フラグメントはBis−scFvフラグメントである。Bis−scFvフラグメントは二重特異性である。2つの異なる可変ドメインを有する小型ScFvフラグメントを生成することができ、これらのBis−scFv分子が2つの異なるエピトープに同時に結合することが可能となる。
一実施形態では、選択される本明細書に記載の化合物は、二重特異性二量体(Fab2)又は三重特異性二量体(Fab3)とともに又は組み合わせて投与される。遺伝学的方法も、二重特異性Fab二量体(Fab2)及び三重特異性Fab三量体(Fab3)を作製するために使用される。これらの抗体フラグメントは、2つ(Fab2)又は3つ(Fab3)の異なる抗原と一度に結合することが可能である。
一実施形態では、選択される本明細書に記載の化合物を、rIgG抗体フラグメントとともに又は組み合わせて投与する。rIgG抗体フラグメントは、還元型IgG(75000ダルトン)又は半IgGを指す。rIgG抗体フラグメントは、単にヒンジ領域ジスルフィド結合のみを選択的に還元した生成物である。幾つかのジスルフィド結合がIgGに生じるが、ヒンジ領域中のものが最もアクセス可能であり、特に2−メルカプトエチルアミン(2−MEA)のような穏やかな還元剤による還元が最も容易である。半IgGは、抗体固定化又は酵素標識化による共役のために標的化され得る露出したヒンジ領域のスルフヒドリル基を標的化する目的で調製されることが多い。
他の実施形態では、選択される本明細書に記載の活性化合物は、有効性を増大するために、当該技術分野で既知の方法を用いて放射性同位体に連結することができる。癌細胞に対して有用な任意の放射性同位体、例えば、限定されるものではないが、131I、123I、192Ir、32P、90Sr、198Au、226Ra、90Y、241Am、252Cf、60Co又は137Csをコンジュゲートに組み込むことができる。
注目すべきことに、リンカー化学は薬物コンジュゲートの有効性及び忍容性に重要であり得る。チオ−エーテル連結T−DM1は、ジスルフィドリンカーバージョンに対する血清安定性を増大し、エンドソーム分解を受けるようであり、細胞毒性薬の細胞内放出をもたらし、それにより有効性及び忍容性を改善する。Barginear, M.F. and Budman, D.R., Trastuzumab-DM1: A review of the novel immune-conjugate for HER2-overexpressing breast cancer, The Open Breast Cancer Journal, 1: 25-30, (2009)を参照されたい。
本発明に使用することができる、薬物、リンカー化学及び製品開発の標的の種類を論考する初期及び近年の抗体−薬物コンジュゲートの例は、Casi, G. and Neri, D., Antibody-drug conjugates: basic concepts, examples and future perspectives, J. Control Release 161(2):422-428, 2012、Chari, R.V., Targeted cancer therapy: conferring specificity to cytotoxic drugs, Acc. Chem. Rev., 41(1):98-107, 2008、Sapra, P. and Shor, B., Monoclonal antibody-based therapies in cancer: advances and challenges, Pharmacol. Ther., 138(3):452-69, 2013、Schliemann, C. and Neri, D., Antibody-based targeting of the tumor vasculature, Biochim. Biophys. Acta., 1776(2):175-92, 2007、Sun, Y., Yu, F., and Sun, B.W., Antibody-drug conjugates as targeted cancer therapeutics, Yao Xue Xue Bao, 44(9):943-52, 2009、Teicher, B.A., and Chari, R.V., Antibody conjugate therapeutics: challenges and potential, Clin. Cancer Res., 17(20):6389-97, 2011、Firer, M.A., and Gellerman, G.J., Targeted drug delivery for cancer therapy: the other side of antibodies,J. Hematol. Oncol., 5:70, 2012、Vlachakis, D. and Kossida, S., Antibody Drug Conjugate bioinformatics: drug delivery through the letterbox, Comput. Math. Methods Med., 2013; 2013:282398, Epub 2013 Jun 19、Lambert, J.M., Drug-conjugated antibodies for the treatment of cancer, Br. J. Clin. Pharmacol., 76(2):248-62, 2013、Concalves, A., Tredan, O., Villanueva, C. and Dumontet, C., Antibody-drug conjugates in oncology: from the concept to trastuzumab emtansine (T-DM1), Bull. Cancer, 99(12):1183-1191, 2012、Newland, A.M., Brentuximab vedotin: a CD-30-directed antibody-cytotoxic drug conjugate, Pharmacotherapy, 33(1):93-104, 2013、Lopus, M., Antibody-DM1 conjugates as cancer therapeutics, Cancer Lett., 307(2):113-118, 2011、Chu, Y.W. and Poison, A., Antibody-drug conjugates for the treatment of B-cell non-Hodgkin’s lymphoma and leukemia, Future Oncol., 9(3):355-368, 2013、Bertholjotti, I., Antibody-drug conjugate a new age for personalized cancer treatment, Chimia, 65(9): 746-748, 2011、Vincent, K.J., and Zurini, M., Current strategies in antibody engineering: Fc engineering and pH - dependent antigen binding, bispecific antibodies and antibody drug conjugates, Biotechnol. J., 7(12):1444-1450, 2012、Haeuw, J.F., Caussanel, V., and Beck, A., Immunoconjugates, drug-armed antibodies to fight against cancer, Med. Sci., 25(12):1046-1052, 2009、及びGovindan, S.V., and Goldenberg, D.M., Designing immunoconjugates for cancer therapy, Expert Opin. Biol. Ther., 12(7):873-890, 2012による概説に見ることができる。
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物又は組合せを、本明細書に記載の任意の障害の治療に使用することができる。
一態様では、本発明の化合物を有効量のヌクレオシド又はヌクレオシド類縁体との組合せ又は組成物で投薬する。ヌクレオシドの非限定的な例としては、アザシチジン、デシタビン、ジダノシン、ビダラビン、BCX4430、シタラビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、アプリシタビン、エルブシタビン、アムドキソビル及びラシビルが挙げられる。一実施形態では、本発明の化合物を、ウイルス感染を治療するために有効量のヌクレオシド又はヌクレオシド類縁体との組合せ又は組成物で使用する。代替的な実施形態では、本発明の化合物を、腫瘍又は癌を治療するために有効量のヌクレオシド又はヌクレオシド類縁体との組合せ又は組成物で使用する。一実施形態では、ヌクレオシド類縁体はアザシチジンであり、障害は腫瘍又は癌である。
一実施形態では、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、化合物B又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のヌクレオシド類縁体と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、化合物Cはその薬学的に許容可能な塩を有効量のヌクレオシド類縁体と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、化合物D又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のヌクレオシド類縁体と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のヌクレオシド類縁体と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、本明細書で提供される化合物Bの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のヌクレオシド類縁体と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のヌクレオシド類縁体と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩を有効量のヌクレオシド類縁体と組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、化合物B又はその薬学的に許容可能な塩をアザシチジンと組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、化合物C又はその薬学的に許容可能な塩をアザシチジンと組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、化合物D又はその薬学的に許容可能な塩をアザシチジンと組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、本明細書で提供される化合物Aの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をアザシチジンと組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、本明細書で提供される化合物Bの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をアザシチジンと組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、本明細書で提供される化合物Cの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をアザシチジンと組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。代替的に、被験体における腫瘍又は癌を治療する方法であって、それを必要とする宿主に、本明細書で提供される化合物Dの類縁体又はその薬学的に許容可能な塩をアザシチジンと組み合わせて又は交互に投与することを含む、方法が提供される。
VI. 実例
実施例1. 一般的な合成経路
本発明の化合物は、既知の中間体1からモジュール方式で作製することができる(特許文献4)。
既知の化合物1に、DMSO中のNBSで処理することによってin situ臭素化/脱離を行い、共役トリエノン1aを得る。1aのジヒドロキシル化条件(例えば、OsO)によりジオール1bが得られる。塩基性条件(例えば、DBU)によりC2−OHの熱力学的エピマー化に作用し、トランスジオール1cを得る。一方、トリエノン1aをエポキシ化して(例えば、tBuOOH/DBU)、化合物1dを形成し、エポキシド環を水性媒体中でアリルC1位から開環して、トランスジオール1eを得ることができる。さらに、熱力学的エピマー化により1eからシスジオール1fが形成される。
選択的α−ヒドロキシル化は、キラル配向試薬の存在下で進行する。例えば、化合物1を有機触媒D−プロリンの存在下でヨードソベンゼンにより処理することで、C2−β−OH 1gが選択的に生成する。同様に、L−プロリンによりC2−α−OH 1hが得られる。一方、NaHMDSでの脱プロトン化に続くDavisのオキサジリジンの添加によってC4−α−OH 1iが選択的に形成される。1iの塩基触媒(例えば、DBU)熱力学的エピマー化によりC4−β−OH 1jが得られる。
スキーム2に示されるように、C3ケトン1aは4つの化合物に分岐する。例えば、LiAlHを用いたケトン1aの還元により化合物1aaが得られる。Ti(OiPr)による還元的アミノ化((R)−3−(Boc−アミノ)ピロリジン又は3−(Boc−アミノ)アゼチジンのいずれかを用いる)に続く、Boc保護基を脱保護するTFA処理により、化合物1ab又は1acの合成が達成される。同じ還元的アミノ化条件を、(S,S)−3,4−ジヒドロキシピロリジンをアミン構成単位として用いて行い、化合物1adを得ることができる。
既知の化合物5から、C16−C17二重結合を3つの異なる経路で修飾する(スキーム3)。ヒドロホウ素化(例えば、BH/H)又はジヒドロキシル化(例えば、OsO)及びその後のケタール脱保護(例えば、HCl)により、それぞれ化合物2及び3が得られる。一方、シモンズ−スミス条件(例えば、EtZn/CH)によりシクロプロパン化に続くケタール脱保護が促進され、化合物4が得られる。この場合も、スキーム1−1及び1−2において提案される同じ条件を化合物2、3及び4に適用することができる。
スキーム1−1、1−2及び1−3のモジュール合成によって合成することができる本発明の化合物の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
実施例2.代表的な合成経路
略語
AIBN アゾビスイソブチロニトリル
AUC 曲線下面積
DBU 1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン
DCM、CHCl ジクロロメタン
DDQ 2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTBMP 2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン
ESI エレクトロスプレーイオン化
EtOAc 酢酸エチル
Et エチル
h、hr 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
iPr イソプロピル
CO 炭酸カリウム
mCPBA メタクロロ過安息香酸
MMPP モノペルオキシフタル酸マグネシウム
NBS N−ブロモスクシンイミド
NMR 核磁気共鳴
PTSA p−トルエンスルホン酸
RT 室温
TEA トリメチルアミン
tBu tert−ブチル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
一般的方法
出発物質、中間体及び最終生成物の構造は、NMR分光法及び質量分析を含む標準分析法を用いて確認した。特に指定のない限り、試薬及び溶媒は、民間供給業者から購入してそのまま使用した。
8,9−不飽和メトキシエチレンケトン(化合物6)
20.0g(113mmol、1.00当量)の6−メトキシ−1−テトラロンを用いてグリニャール反応を行い、生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製することなく繰り越した。Saraber et al., Tetrahedron 2006, 62, 1726-1742を参照されたい。グリニャール反応生成物及び2−メチル−1,3−ペンタジエノン(12.8g、114mmol、1.01当量)のキシレン(140mL)溶液にAcOH(64.6mL、1.13mol、10.0当量)を添加し、反応混合物を温めて還流させた。2時間後、反応物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。トルエン及びエチルエーテルの混合物(1:1)を添加して固体残渣を溶解し、混合物を濾過した。濾液を飽和NaHCO溶液(200mL)及びブラインで順次洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:20:1:1 ヘキサン:EtOAc:DCM)によって精製して、Torgovのジエンを得た。スペクトルデータは、以前に報告されたものと一致していた。Soorukram, D.; Knochel, P. Org. Lett. 2007, 9, 1021-1023を参照されたい。Torgovのジエンを文献により既知の手順に基づき8,9−不飽和メトキシエチレンケトン6(15.0g、3工程で47%)へと変換した。Sugahara et al., Tetrahedron Lett. 1996, 37, 7403-7406を参照されたい。
8,9−不飽和メトキシエチレンケタール(化合物7)
化合物6(15.0g、53.1mmol、1.0当量)のベンゼン(215mL)及びエチレングリコール(72mL)溶液にシュウ酸(2.30g、12.1mmol、0.22当量)を添加した。反応混合物を温めて還流させ、ディーン−スターク装置によって水を捕集した。16時間後、反応物を室温まで冷却し、飽和NaHCO溶液(150mL)を添加した。有機層及び水層を分離し、水相を酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:15:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、8,9−不飽和メトキシエチレンケタール化合物7(15.5g、89%)を得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ=7.13(d,J=8.3Hz,1H)、6.73〜6.67(m,2H)、4.05〜3.85(m,4H)、3.79(s,3H)、2.82〜2.65(m,2H)、2.52〜2.45(m,2H)、2.23〜2.17(m,2H)、2.14(ddd,J=2.2,11.6,14.0Hz,1H)、1.99〜1.82(m,4H)、1.64(td,J=4.2,12.2Hz,1H)、1.49(dq,J=6.8,11.6Hz,1H)、0.86(s,3H)。C2127[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:327.1955、実測値327.1947。
エポキシアルコール8及び8a
8,9−不飽和エチレンケタール7(1.63g、5.00mmol、1.0当量)のCHCl(50mL)溶液を0℃まで冷却し、mCPBA(最大77%、2.46g、11.0mmol、2.2当量)を添加した。反応混合物を0℃で10分間撹拌し、室温まで温めた。更に50分後、10%Na溶液(40mL)及び飽和NaHCO溶液(40mL)を順次添加した。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:1→1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、エポキシアルコール8及び8a(1.40g、75%)を得た。8及び8aは任意の溶媒中で平衡下にあり、混合物の大部分が8として存在していた。エポキシアルコール8についてH NMRを分析した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ=7.77(d,J=8.3Hz,1H)、6.76(dd,J=2.0,8.3Hz,1H)、6.63(d,J=2.0Hz,1H)、4.78(dd,J=7.8,9.8Hz,1H)、3.95〜3.87(m,4H)、3.78(s,3H)、2.84(dt,J=5.9,14.4Hz,1H)、2.49(dd,J=4.4,15.1Hz,1H)、2.36〜2.29(m,1H)、2.26(dd,J=5.9,14.2Hz,2H)、2.06(t,J=11.7Hz,1H)、1.97(dd,J=7.3,12.2Hz,1H)、1.94〜1.88(m,2H)、1.75(dt,J=5.4,14.2Hz,1H)、1.63〜1.53(m,1H)、1.46(t,J=11.0Hz,1H)、0.75(s,3H)。C2127[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:359.1853、実測値359.1852。
8,9及び9,11−不飽和メトキシエチレンケタール化合物7及び9
DDQ酸化を22.0g(81.4mmol、1.0当量)のエストロンを用いて行い、生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製することなく繰り越した。Stephan et al., Steroid. 1995, 60, 809-811を参照されたい。9,11−不飽和エストロンのベンゼン(375mL)溶液に、エチレングリコール(110mL、1.99mol、24.4当量)及びPTSA(3.00g、16.3mmol、0.20当量)を添加した。反応混合物を温めて還流させ、ディーン−スターク装置によって水を捕集した。18時間後、反応物を室温まで冷却し、飽和NaHCO溶液(300mL)を適用した。水相を酢酸エチル(2×300mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物を更に精製することなく次の工程に繰り越した。
エチレンケタール(8,9及び9,11−不飽和位置異性体の混合物)をアセトン(420mL)に溶解し、KCO(22.5g、163mmol、2.00当量)を添加した。これに続いてMeSO(9.30mL、97.6mmol、1.20当量)を添加し、反応混合物を温めて還流させた。18時間後、反応物を室温まで冷却し、アセトンを蒸発させた。2M NaOH溶液を添加し(300mL)、水相を酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:15:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、8,9及び9,11−不飽和メトキシエチレンケタール化合物7及び9の混合物(16.3g、3工程で61%、8,9−不飽和位置異性体:9,11−不飽和位置異性体の約4:5の混合物)を得た。
9,11−不飽和異性体については、識別可能なピークのみを割り当てた:H NMR(500MHz,CDCl)δ=7.53(d,J=8.8Hz,1H)、6.60(d,J=2.0Hz,1H)、6.13(td,J=2.6,5.0Hz,1H)、3.79(s,3H)、2.59(td,J=3.2,17.6Hz,1H)、2.09〜2.00(m,3H)、1.45〜1.33(m,2H)、0.90(s,3H)。C2127[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:327.1955、実測値327.1951。
エポキシアルコール化合物8及び8a
8,9及び9,11−不飽和エチレンケタール化合物7及び9の混合物(15.7g、48.1mmol、1.00当量)のジクロロメタン(700mL)溶液に、モノペルオキシフタル酸マグネシウム六水和物(68.4g、111mmol、2.30当量)及び水(4.8mL)を添加した。反応混合物を室温で20時間撹拌した後、10%Na水溶液(300mL)及び飽和NaHCO溶液(300mL)の混合物でクエンチした。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(2×500mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(300mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:1→2:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、エポキシアルコール8及び8a(8.60g、50%)を得た。スペクトルデータは、8,9−不飽和メトキシエチレンケタール6で構成されるエポキシアルコール8及び8aと一致していた。
ジオール化合物10
アンモニアガスを凝縮し(240mL)、この液体アンモニアにLi(3.90g、565mmol、25.0当量)を−78℃で添加した。30分間撹拌した後、THF(110mL)中のエポキシアルコール8及び8a(8.10g、22.6mmol、1.0当量)をカニューレにより投入し(cannulated)、この温度で更に1.5時間撹拌した。反応混合物にt−BuOH(32mL)及びTHF(16mL)の混合物を−78℃で添加し、反応物をこの温度で更に20分間撹拌した。t−BuOH(92mL)及びTHF(38mL)の混合物、続いてベンゼン(50mL)及び水(50mL)を−78℃で添加し、フラスコを開け、冷却浴を取り外すことによって液体アンモニアを穏やかに蒸発させた。水(200mL)を添加し、水相を酢酸エチル(2×250mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。生成物を更に精製することなく次の工程に使用した。
バーチ還元生成物のTHF(300mL)及びエチレングリコール(75mL)溶液にPTSA(430mg、2.26mmol、0.10当量)を添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、飽和NaHCO溶液(200mL)を添加した。有機層及び水層を分離し、水相を酢酸エチル(4×250mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:4:1 ヘキサン:EtOAc→100%EtOAc→10:1 EtOAc:MeOH)によって精製して、ジオール10(4.60g、52%)を得た。
H NMR(500MHz,C)δ=3.67〜3.42(m,9H)、3.25〜3.14(m,1H)、2.40(dd,J=5.9,13.2Hz,1H)、2.31(br.s,2H)、2.23〜2.09(m,2H)、2.03(t,J=10.7Hz,1H)、1.97〜1.90(m,2H)、1.89(dd,J=8.3,14.2Hz,1H)、1.85〜1.75(m,4H)、1.66〜1.50(m,4H)、1.00(s,3H)。C2232NaO[M+Na]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:415.2091、実測値415.2076。
スキーム2−1:エノン化合物11
ジオール10(4.05g、10.3mmol、1.00当量)のジクロロメタン(230mL)溶液に、NBS(2.00g、11.4mmol、1.10当量)を−10℃で一度に添加し、反応混合物を室温まで温めた。反応をTLC(完了に約30分)によってモニタリングした。反応が行われた後、反応混合物を−40℃まで冷却し、トリエチルアミン(17.3mL、124mmol、12.0当量)を添加した。DMSO(115mL)中のSO・Py(16.4g、103mmol、10.0当量)を室温で20分間予め撹拌し、−40℃で反応混合物に添加し、これを続いて−10℃までゆっくりと温めた。4時間後、飽和NHCl溶液(130mL)を添加し、反応物を室温まで温めた。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。生成物を更に精製することなく繰り越した。
酸化生成物をジクロロメタン(300mL)に溶解し、反応混合物を−40℃まで冷却し、続いてDBU(3.90mL、25.6mmol、2.50当量)をゆっくりと添加した。15分後、飽和NHCl溶液(130mL)を添加し、反応物を室温まで温めた。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:1→1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、エノン11(3.16g、3工程で80%)を得た。
H NMR(500MHz,C)δ=3.58〜3.51(m,1H)、3.49〜3.34(m,6H)、3.28〜3.23(m,2H)、3.19(dt,J=4.2,7.7Hz,1H)、2.80(d,J=16.1Hz,1H)、2.60(ddd,J=6.8,12.7,19.0Hz,1H)、2.55(d,J=13.2Hz,1H)、2.43(d,J=16.1Hz,1H)、2.31(dd,J=1.5,13.2Hz,1H)、1.98〜1.88(m,2H)、1.88〜1.80(m,3H)、1.71(ddd,J=4.2,9.6,11.6Hz,1H)、1.68〜1.59(m,3H)、1.20(ddd,J=3.7,8.4,11.4Hz,1H)、0.90(s,3H)。C2228NaO[M+Na]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:411.1778、実測値411.1786。
アリルアルコール化合物12
エノン11(3.20g、8.32mmol、1.00当量)のMeOH(150mL)及びTHF(20mL)溶液に、CeCl・7HO(9.20g、24.7mmol、3.00当量)を室温で添加した。5分間撹拌した後、反応物を−20℃まで冷却し、続いてNaBH(623mg、16.5mmol、2.00当量)を添加した。30分後、飽和NHCl溶液(50mL)及び水(50mL)を添加し、反応物を室温まで温めた。水相を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:20:1 DCM:MeOH)によって精製して、アリルアルコール12(2.72g、85%)を得た。
H NMR(500MHz,C)δ=4.39〜4.30(m,1H)、3.58〜3.36(m,8H)、3.22(dd,J=3.7,16.4Hz,1H)、2.94(dd,J=7.1,12.5Hz,1H)、2.66(d,J=13.2Hz,1H)、2.49〜2.41(m,1H)、2.39(dd,J=2.2,12.9Hz,1H)、2.07〜1.99(m,1H)、1.96〜1.79(m,6H)、1.73(br.s,3H)、1.66〜1.57(m,1H)、1.15〜1.07(m,1H)、0.86(s,3H)。C2230NaO[M+Na]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:413.1935、実測値413.1942。
シクロプロパン化合物13
ClCHI(1.98mL、27.1mmol、4.00当量)の1,2−ジクロロエタン(140mL)溶液に、EtZnのジエチルエーテル(1M、13.6mL、13.6mmol、2.00当量)溶液を0℃で添加した。5分間撹拌した後、1,2−ジクロロエタン(70mL)中のアリルアルコール12(2.65g、6.79mmol、1.00当量)を反応フラスコに0℃で添加した。30分後、反応物を飽和NHCl溶液(100mL)によってクエンチし、室温まで温めた。有機層及び水層を分離し、水相をジクロロメタン(2×120mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:2:1→1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、シクロプロパン13(2.59g、93%)を得た。
H NMR(500MHz,C)δ=3.92(dd,J=3.7,11.0Hz,1H)、3.51〜3.40(m,8H)、2.72(dd,J=7.1,12.9Hz,1H)、2.39(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、2.38(d,J=12.2Hz,1H)、2.15(d,J=12.2Hz,1H)、2.12(dt,J=4.9,12.2Hz,1H)、2.02(ddd,J=2.9,11.2,14.6Hz,1H)、1.92〜1.82(m,3H)、1.82〜1.73(m,2H)、1.69〜1.54(m,5H)、1.52(dd,J=6.1,12.0Hz,1H)、1.49〜1.44(m,1H)、0.98(s,3H)、0.86(d,J=2.4Hz,1H)、0.15(d,J=2.9Hz,1H)。C2332NaO[M+Na]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:427.2091、実測値427.2088。
オキサビシクロ[3.2.1]オクタン化合物14
シクロプロパン13(2.45g、6.06mmol、1.00当量)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(4.40g、21.2mmol、3.50当量)をベンゼンにより共沸乾燥させ、ジクロロメタン(120mL)に溶解した。4Å分子篩(3.1g)を添加し、反応フラスコを0℃まで冷却した。トリフル酸無水物(triflic anhydride)のジクロロメタン(1M、12.1mL、12.1mmol、2.00当量)溶液を滴加し、氷浴を取り外して、反応フラスコを室温まで温めた。2時間後、反応物をトリエチルアミン(20mL)でクエンチし、セライトパッドを通して濾過した。飽和NaHCO溶液(100mL)を添加し、水相をジクロロメタン(2×120mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:1 ペンタン:ジエチルエーテル)によって精製して、オキサビシクロ[3.2.1]オクタン化合物14(1.42g、60%)を得た。Magnus et al., Org. Lett. 2009, 11, 3938-3941を参照されたい。
H NMR(500MHz,CDCl)δ=5.73(s,1H)、5.29〜5.26(m,1H)、4.04〜3.76(m,8H)、2.58〜2.50(m,1H)、2.46(t,J=15.1Hz,1H)、2.31〜2.24(m,2H)、2.19(t,J=11.2Hz,1H)、2.09(d,J=13.2Hz,1H)、1.99(dt,J=4.4,13.2Hz,1H)、1.94(dd,J=2.4,13.2Hz,1H)、1.91〜1.84(m,1H)、1.83〜1.71(m,3H)、1.71〜1.53(m,5H)、0.88(s,3H)。C2330[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:387.2166、実測値387.2180。
モノケトン化合物15
ビスエチレンケタール14(110mg、285μmol、1.0当量)のアセトン(14.6mL)及び水(3.6mL)溶液にPTSA(21.6mg、85.2μmol、0.30当量)を添加し、反応混合物を3日間撹拌した。飽和NaHCO溶液(5mL)及び酢酸エチル(25mL)を反応物に順次添加した。層を分離し、水層を酢酸エチル(2×15mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:4:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、モノケトン15(79.0mg、81%)を得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ=5.73(s,1H)、5.29〜5.25(m,1H)、3.98〜3.90(m,4H)、2.48(dd,J=8.8,19.5Hz,1H)、2.46〜2.40(m,1H)、2.36(dd,J=5.9,12.7Hz,1H)、2.34〜2.25(m,2H)、2.24〜2.08(m,5H)、2.09(d,J=13.2Hz,1H)、1.95(dd,J=2.4,13.2Hz,1H)、1.90〜1.81(m,1H)、1.79〜1.70(m,2H)、1.70〜1.61(m,2H)、0.89(s,3H)。C2127[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:343.1909、実測値343.1919。
1−クロロイソキノリン付加化合物16
反応フラスコ内のCeCl(565mg、2.30mmol、10.0当量)を真空下、140℃で2時間加熱した。フラスコにArを充填し、0℃まで冷却した。30分後、THF(2.8mL)を添加し、0℃で2時間撹拌した。次いで、フラスコを室温まで温め、更に16時間撹拌した。
1−クロロ−7−ヨードイソキノリンを、Subasinghe et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2013, 23, 1063-1069に提示される手順に従って合成した。
CeCl/THF複合体の溶液に、THF(1.4mL)中の1−クロロ−7−ヨードイソキノリン(396mg、1.40mmol、6.00当量)を添加した。反応物を室温で10分間撹拌した後、−78℃まで冷却した。次いで、n−ブチルリチウムのヘキサン(1.6M、716μL、1.10mmol、5.00当量)溶液を滴加した。反応混合物を同じ温度で更に30分間撹拌し、モノケトン15(78.5mg、229μmol、1.00当量)をTHF(1.4mL)にカニューレにより投入した。更に30分後、飽和NHCl溶液(5mL)を撹拌反応混合物に添加した後、これを室温まで温めた。混合物をEtOAc(5mL)で希釈し、層を分離した。水層をEtOAc(3×5mL)で抽出し、有機層を合わせ、ブライン(5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:2:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、1−クロロイソキノリン付加物16(115mg、97%)を得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ=8.34(br.s,1H)、8.24(d,J=5.9Hz,1H)、7.89〜7.83(m,1H)、7.76(d,J=8.3Hz,1H)、7.56(d,J=5.9Hz,1H)、5.63(s,1H)、5.16〜4.99(m,1H)、4.02〜3.87(m,4H)、2.62(ddd,J=4.4,9.8,14.2Hz,1H)、2.48〜2.38(m,2H)、2.36〜2.26(m,3H)、2.26〜2.19(m,1H)、2.18〜2.08(m,2H)、1.96(dd,J=2.4,13.7Hz,1H)、1.88(dd,J=5.1,17.8Hz,1H)、1.82〜1.70(m,2H)、1.67〜1.57(m,3H)、1.49(d,J=17.6Hz,1H)、1.20〜1.08(m,3H)。C3032NaONCl[M+Na]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:528.1918、実測値528.1929。
イソキノリン化合物17
1−クロロイソキノリン付加物16(115mg、227μmol、1.00当量)のジクロロメタン(20mL)溶液を0℃まで冷却した。次いで、ピリジン(183μL、2.30mmol、10.0当量)及びDMAP(13.9mg、114μmol、0.50当量)を溶液に順次添加した。5分後、トリフルオロ酢酸無水物(158μL、1.14mmol、5.00当量)を滴加し、更に30分間撹拌し、その時点でpH7のリン酸緩衝液(15mL)を添加し、続いて反応フラスコを室温まで温めた。有機層及び水層を分離し、水層をジクロロメタン(2×15mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をショートフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:2:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、トリフルオロアセチル化生成物を得て、これを迅速に次の工程に使用した。
トリフルオロアセチル化生成物(130mg、216mmol、1.00当量)をベンゼンにより共沸乾燥させ、ベンゼン(4.3mL)に溶解した。AIBN(106mg、647μmol、3.00当量)を添加し、反応フラスコを凍結ポンプ融解(freeze-pump thaw)プロセス(3サイクル)によって脱気した。BuSnH(1.16mL、4.31mmol、20.0当量)を添加し、反応混合物を温めて還流させた。3時間後、反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:4:1→3:1→1:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製して、イソキノリン17(67.0mg、2工程で65%)を得た。Yamashita et al., J. Org. Chem. 2011, 76, 2408-2425も参照されたい。
H NMR(500MHz,CDCl)δ=9.21(s,1H)、8.46(d,J=5.9Hz,1H)、7.77(s,1H)、7.73(d,J=8.3Hz,1H)、7.61(d,J=5.9Hz,1H)、7.57(d,J=8.3Hz,1H)、5.74(s,1H)、5.29〜5.23(m,1H)、4.00〜3.90(m,4H)、3.11(t,J=10.0Hz,1H)、2.49(dd,J=8.3,11.2Hz,1H)、2.47〜2.41(m,1H)、2.38〜2.24(m,4H)、2.24〜2.14(m,2H)、2.12(d,J=13.2Hz,1H)、2.06〜1.95(m,2H)、1.91(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、1.83(dq,J=4.9,11.7Hz,1H)、1.77(td,J=2.3,12.9Hz,1H)、1.72〜1.59(m,3H)、0.52(s,3H)。C3033NaNO[M+Na]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:478.2353、実測値478.2347。
ケトン1
イソキノリン17(19.0mg、41.7μmol、1.00当量)のアセトン(1.4mL)及び水(350μL)溶液にPTSA(20.9mg、83.4μmol、2.00当量)を添加し、反応混合物を55℃まで温めた。14.5時間後、反応物を室温まで冷却し、飽和NaHCO溶液(2mL)及び酢酸エチル(2.5mL)を反応物に順次添加した。層を分離し、水層を酢酸エチル(2×2.5mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(2mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:3:2→1:2ヘキサン:EtOAc)によって精製して、ケトン1(15.0mg、87%)を得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ=9.23(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.78(d,J=8.3Hz,1H)、7.65(d,J=5.9Hz,1H)、7.61(d,J=8.3Hz,1H)、5.91(s,1H)、5.40〜5.35(m,1H)、3.15(t,J=10.0Hz,1H)、2.94(d,J=15.1Hz,1H)、2.68(d,J=15.1Hz,1H)、2.67〜2.59(m,1H)、2.58〜2.41(m,4H)、2.41〜2.24(m,3H)、2.24〜2.10(m,2H)、2.04(tt,J=4.6,13.2Hz,1H)、1.96(dd,J=5.4,17.6Hz,1H)、1.86(dq,J=5.1,12.1Hz,1H)、1.80〜1.67(m,2H)、0.55(s,3H)。C2830NO[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:412.2271、実測値412.2288。
還元的アミノ化の一般的方法
ケトン(1.00当量)のTHF及びi−PrOH(3:1、0.02M)溶液に、アミン(4.00当量)及びTi(Oi−Pr)(2.50当量)を順次添加した。次いで、反応物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を−20℃まで冷却し、NaBH(1.50当量)を添加した。反応が行われた後、飽和NaHCO溶液を添加し、混合物を、セライトパッドを通して濾過した。水層をCHClで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
C3 α−(3S,4S)−ピロリジン−3,4−ジオールD
粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:10:1 EtOAc:2M NHのMeOH溶液→90:9:1 CHCl:MeOH:5N NHOH(水溶液))によって順次精製して、C3 α−(3S,4S)−ピロリジン−3,4−ジオールD(25mg、60%)を得た。
H NMR(600MHz,メタノール−d)δ=9.19(s,1H)、8.37(d,J=5.9Hz,1H)、7.96(s,1H)、7.87(d,J=8.8Hz,1H)、7.79(d,J=5.9Hz,1H)、7.73(dd,J=1.5,8.5Hz,1H)、5.71(d,J=1.2Hz,1H)、5.26(d,J=2.9Hz,1H)、4.04(t,J=3.8Hz,2H)、3.30(td,J=1.5,3.4Hz,1H)、3.21(t,J=10.6Hz,1H)、3.06(dd,J=5.9,10.0Hz,2H)、2.63(dd,J=3.5,10.6Hz,2H)、2.49(dd,J=8.5,11.4Hz,1H)、2.46〜2.35(m,4H)、2.34〜2.20(m,3H)、2.16(td,J=4.6,9.0Hz,1H)、2.09(d,J=12.3Hz,1H)、2.05〜1.90(m,4H)、1.88(dd,J=5.3,17.6Hz,1H)、1.76〜1.66(m,2H)、1.61(dt,J=7.6,10.6Hz,1H)、1.29(dq,J=5.3,12.3Hz,1H)、0.54(s,3H)。C3239[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:499.2955、実測値499.2960。
C3 α−ピロリジンE
粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:20:10:3 EtOAc:ヘキサン:2M NHのMeOH溶液)によって精製して、α−ピロリジン19A(2.5mg、55%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.9Hz,1H)、7.79(s,1H)、7.75(d,J=8.2Hz,1H)、7.62(d,J=5.3Hz,1H)、7.59(d,J=8.8Hz,1H)、5.72(s,1H)、5.27(d,J=2.9Hz,1H)、3.14(t,J=10.0Hz,1H)、2.63(br.s.,4H)、2.52(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.42〜2.29(m,3H)、2.28〜2.15(m,5H)、2.12(d,J=12.3Hz,1H)、2.10〜2.00(m,2H)、1.93(dd,J=5.3,17.0Hz,1H)、1.90〜1.83(m,2H)、1.80(br.s.,4H)、1.72(td,J=8.8,12.9Hz,1H)、1.63(br.s.,1H)、1.37(dq,J=3.5,11.7Hz,1H)、0.53(s,3H)。C3239O[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:467.3057、実測値467.3064。
C3 α−アゼチジンF
粗混合物を分取TLC(シリカゲル、溶離液:1:1 EtOAc:MeOH)によって精製して、α−アゼチジン18A(およそ1.5mg、38%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ=9.24(s,1H)、8.50(d,J=5.4Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.77(d,J=8.8Hz,1H)、7.64(d,J=5.9Hz,1H)、7.60(d,J=8.8Hz,1H)、5.74(s,1H)、5.28(br.s.,1H)、3.24(br.s.,4H)、3.16(t,J=9.8Hz,1H)、2.54(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.42〜2.30(m,3H)、2.30〜2.13(m,5H)、2.12〜2.00(m,2H)、1.95(dd,J=5.4,18.1Hz,1H)、1.93〜1.78(m,3H)、1.74(td,J=8.3,12.2Hz,1H)、1.67〜1.54(m,3H)、1.11(q,J=12.2Hz,1H)、0.55(s,3H)。C3137O[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:453.2906、実測値453.2900。
C3 α−(R)−3−(Boc−アミノ)ピロリジン18
粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:1:2 EtOAc:ヘキサン+5%2M NHのMeOH溶液→1:1 EtOAc:ヘキサン+5%2M NHのMeOH溶液)によって順次精製して、C3 α−(R)−3−(Boc−アミノ)ピロリジン18(105mg、65%)を得た。C3748[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:582.3690、実測値582.3680。
C3 α−3−(Boc−アミノ)アゼチジン19
粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:40:1 DCM:MeOH→20:1 DCM:MeOH)によって順次精製して、C3 α−3−(Boc−アミノ)ピロリジン19(70mg、40%)を得た。C3646[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:568.3534、実測値568.3545。
Boc脱保護の一般的方法
Boc−アミンをDCM及びTFA(6:1、0.025M)中で2時間撹拌し、混合物を減圧下で濃縮した。
C3 α−(R)−3−アミノピロリジンB
粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:90:9:1 CHCl:MeOH:5N NHOH(水溶液))によって順次精製して、C3 α−(R)−3−アミノピロリジンB(85mg、99%)を得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ=9.23(s,1H)、8.50(d,J=5.9Hz,1H)、7.80(s,1H)、7.77(d,J=8.3Hz,1H)、7.63(d,J=5.4Hz,1H)、7.60(dd,J=1.2,8.5Hz,1H)、5.74(d,J=1.5Hz,1H)、5.28(d,J=2.9Hz,1H)、3.57〜3.50(m,1H)、3.16(t,J=10.0Hz,1H)、2.94(dd,J=6.8,9.3Hz,1H)、2.82(dt,J=5.6,8.7Hz,1H)、2.67(dd,J=8.3,15.1Hz,1H)、2.53(dd,J=8.3,11.2Hz,1H)、2.44〜2.30(m,5H)、2.29〜2.14(m,5H)、2.14〜1.99(m,3H)、1.95(dd,J=5.4,17.1Hz,1H)、1.87(dq,J=5.4,12.2Hz,1H)、1.84(t,J=12.2Hz,1H)、1.73(td,J=8.5,12.3Hz,1H)、1.63(dt,J=7.8,10.7Hz,1H)、1.52(tdd,J=5.6,7.6,13.0Hz,1H)、1.36(dq,J=4.9,12.7Hz,1H)、0.55(s,3H);C3240O[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:482.3166、実測値482.3152。
C3 α−3−アミノアゼチジンC
粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:90:9:1 CHCl:MeOH:5N NHOH(水溶液))によって順次精製して、C3 α−3−アミノピロリジンC(50mg、87%)を得た。
H NMR(600MHz,CDCl−d)δ=9.22(s,1H)、8.48(d,J=5.3Hz,1H)、7.78(s,1H)、7.75(d,J=8.8Hz,1H)、7.62(d,J=5.9Hz,1H)、7.58(d,J=8.8Hz,1H)、5.75(s,1H)、5.30(s,2H)、4.10〜3.72(m,4H)、3.23〜3.06(m,2H)、2.51(dd,J=8.8,11.2Hz,1H)、2.45〜2.30(m,3H)、2.26(t,J=11.2Hz,1H)、2.23〜2.13(m,3H)、2.08〜2.00(m,1H)、2.00〜1.77(m,5H)、1.77〜1.69(m,1H)、1.62(d,J=7.6Hz,1H)、1.27(br.s.,1H)、0.53(s,3H);C3138O[M+H]についてのHRMS(ESI)(m/z)算出値:468.3009、実測値468.3000。
実施例3:Panlabアッセイスクリーニング
化合物A、B、C及びDを、標準アッセイキットを用いてPanlabアッセイにおいて試験して、潜在オフターゲット活性を評価した。これらの研究に用いた方法は、信頼性及び再現性を最大にするために科学文献から適合させた。参照標準は、得られる結果の有効性を確実にするために各アッセイに不可欠なものとして行った。
IC50値を、MathIQ(商標)(ID Business Solutions Ltd.,UK)を用いた非線形最小二乗回帰分析によって決定した。阻害定数(Ki)が提示される場合、K値は、試験化合物の観測IC50、アッセイに用いられる放射性リガンドの濃度及びリガンドのKDの過去の値(Eurofins Panlabs, Inc.で実験的に得られた)を用いたチェン及びプルソフの式(Cheng, Y., Prusoff, W.H., Biochem. Pharmacol. 22:3099-3108, 1973)を用いて算出した。提示される場合、競合的結合曲線の傾きを規定するヒル係数(nH)は、MathIQ(商標)を用いて算出した。1.0と有意に異なるヒル係数は、結合置換が単一結合部位との質量作用の法則に従わないことを示唆し得る。
化合物A
化合物Aは、100回超のPanlabアッセイにおいて10μMで試験したが、8個の標的に対してのみ50%を超える阻害を有した。追跡IC50試験から、最も強力なオフターゲット活性が僅か3.26μMであるが(図1)、このオフターゲット活性であっても、化合物Aがほぼ1000の治療指数を有し、したがって極めて選択的であることが示された。ホスホジエステラーゼPDE3、輸送体アデノシン、輸送体ドーパミン、タキキニンNK及びオピエートμ(OP3、MOP)に対応する、オフターゲットに対する化合物A及び対照化合物の用量応答曲線をそれぞれ図1、図2、図3、図4及び図5に示す。
化合物B
化合物Bを、Panlab hERG及びナトリウムチャネルアッセイに加えて、化合物Fのスクリーニングからのヒットを含む30回のPanlabアッセイのサブセットにおいて試験した。これにより、オフターゲットプロファイルに関する化合物Bと化合物Fとの直接比較が可能となる。hERG及びナトリウムチャネルアッセイからの結果(それぞれ10μMで34%及び65%の阻害)は、化合物BがhERGのマイクロモル阻害剤であることを示す実施例4において見られる結果と一致していた。化合物Bは、10μM濃度で8個の標的に対してのみ50%を超える阻害を示した。
化合物C
化合物Cを、Panlab hERG及びナトリウムチャネルアッセイに加えて、化合物Fのスクリーニングからのヒットを含む30回のPanlabアッセイのサブセットにおいて試験した。hERG及びナトリウムチャネルアッセイからの結果(それぞれ10μMで49%及び66%の阻害)は、化合物CがhERGのマイクロモル阻害剤であることを示す実施例4において見られる結果と一致していた。化合物Cは、10μM濃度で4個の標的に対してのみ75%を超える阻害を示した。
化合物D
化合物Dを、Panlab hERG及びナトリウムチャネルアッセイに加えて、化合物Fのスクリーニングからのヒットを含む30回のPanlabアッセイのサブセットにおいて試験した。hERG及びナトリウムチャネルアッセイからの結果(それぞれ10μMで20%及び65%の阻害)は、化合物DがhERGのマイクロモル阻害剤であることを示す実施例4において見られる結果と一致していた。化合物Dは、10μM濃度で3個の標的に対してのみ75%を超える阻害を示した。
化合物F
化合物Fは、100回超のPanlabアッセイにおいて試験したが、10μMで20個超の標的の50%を超える阻害を有することが見出された。化合物Fが阻害する標的のうち、12個のみが75%以上の阻害を有していた。
実施例4:hERG活性の決定
哺乳動物細胞において発現されるhERG(ヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子(human ether-a-go-go-related gene))のカリウムチャネル電流(急速活性型遅延整流心臓カリウム電流IKrの代用)に対する化合物A、B、C、D、E及びFのin vitro効果を、自動並列パッチクランプシステムであるQPatch HT(Sophion Bioscience A/S,Denmark)を用いて室温で評価した。被験物質を1μM、3μM、10μM及び30μMで評価した。各々の被験物質濃度を少なくとも3つの細胞において試験した。各々の被験物質濃度への曝露期間は最低3分間とした。陽性対照(シサプリド、表1)は、阻害%の予想範囲内で試験した。
化合物A
化合物Aは、hERGアッセイにおいて30μMを超えるIC50を有することが見出された(表2)。これは以前のコルチスタチンA類縁体(化合物E及びFを参照されたい)からの大きな改善となり、化合物Aがコルチスタチンファミリーからの前例のないCDK8及びCDK19の選択的阻害剤であることが更に示唆される。10μM及び30μMで観察された僅かな濁りについての論考は実施例5に提示する。
化合物B
化合物Bは、hERGアッセイにおいておよそ10μMのIC50を有することが見出された(表3)。これは以前のコルチスタチンA類縁体(化合物E及びFを参照されたい)からの大きな改善となり、化合物Bがコルチスタチンファミリーからの前例のないCDK8及びCDK19の選択的阻害剤であることが更に示唆される。直接類似した非置換ピロリジン(化合物E)は、サブマイクロモルのhERG活性を有していた。対応する用量応答曲線を図6に提示する。30μMで観察された僅かな濁りについての論考は実施例5に提示する。
化合物C
化合物Cは、hERGアッセイにおいておよそ10μMのIC50を有することが見出された(表4)。これは以前のコルチスタチンA類縁体(化合物E及びFを参照されたい)からの大きな改善となり、化合物Cがコルチスタチンファミリーからの前例のないCDK8及びCDK19の選択的阻害剤であることが更に示唆される。直接類似した非置換アゼチジン(化合物F)は、サブマイクロモルのhERG活性を有していた。対応する用量応答曲線を図7に提示する。30μMで観察された僅かな濁りについての論考は実施例5に提示する。
化合物D
化合物Dは、hERGアッセイにおいて1桁のマイクロモル活性を有することが見出された(表5)。これは以前のコルチスタチンA類縁体(化合物E及びFを参照されたい)からの大きな改善となり、化合物Dがコルチスタチンファミリーからの前例のないCDK8及びCDK19の選択的阻害剤であることが更に示唆される。直接類似した非置換ピロリジン(化合物E)は、サブマイクロモルのhERG活性を有していた。対応する用量応答曲線を図8に提示する。30μMで観察された僅かな濁りについての論考は実施例5に提示する。
化合物E
化合物Eは、hERGアッセイにおいてサブマイクロモルの活性を有することが見出された(表6)。直接類似した置換ピロリジン(化合物B及びD)は、10分の1〜100分の1のhERG活性を有する。対応する用量応答曲線を図9に提示する。30μMで観察された僅かな濁りについての論考は実施例5に提示する。
化合物F
本研究の目的は、CHO又はHEK293細胞における3つの心臓イオンチャネル電流:ヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子によってコードされるhERGチャネルを介した急速活性型遅延整流カリウム電流であるIKr;hKCNQ1/hKCNE1によってコードされる緩徐活性型遅延整流心臓カリウムチャネル電流であるIKs;及びhNav1.5によってコードされるヒト心臓Na+チャネル電流であるINaに対する化合物Fのin vitro効果を評価することであった(表7)。本機能アッセイは、より高スループットの平坦電圧クランプ技術であるPatchXpress 7000Aを用いて行った。
シグナル振幅を、制御時の定常状態で(ビヒクル)及び漸増濃度の試験化合物の存在下で定量化した。化合物に応じたシグナルの濃度依存性変化を対照に対する阻害率として表し(薬物前/トリガー前)、指定数(N)の試験細胞/ウェルの平均±SEM(標準誤差)として報告する。IC50値は、適用可能な場合には平均濃度−応答データ(平均±SEM)にヒルの式を適合することによって決定した。
hERG IC50は、PatchXpressを用いて行った本機能電圧クランプアッセイにおいて0.37μMであることが決定された。最も高い試験濃度である30μMでは、化合物はIKsを68±15%阻害した。本機能アッセイにおける化合物によるIKs阻害の算出IC50値は17μMであった。最も高い試験濃度である30μMでは、化合物は、INaを3Hzのパルス速度で98±1%、より遅い0.2Hzのパルス速度で86±2%阻害したため、顕著な速度依存性阻害効果が示された。本機能INaアッセイにおける0.2Hz及び3Hzのパルス速度での算出IC50値は、それぞれ14μM及び6.5μMであった。
実施例5:TurboSol
TurboSol評価を被験物質に対して行い、生理食塩溶液(HB−PS+0.3%DMSO)への溶解性を決定した。ビヒクル対照によって決定される本実験の溶解性の限界は、8.0×10LSU(光散乱単位、黒色の横線)であった。得られるデータに基づくと、生理食塩溶液(HB−PS+0.3%DMSO)中で溶解性の問題がある可能性がある。沈殿が認められた。
化合物A及びE
化合物A及びEをTurboSolアッセイにおいて試験し、それらの溶解性を決定した(表8及び図10)。化合物Aは、10μM及び30μMの濃度で僅かに不溶性であることが見出されたが、80%透過標準についてのLSU読取り値をはるかに下回っていた。化合物Eは、30μMで僅かに不溶性であることが見出された。
化合物B及びC
化合物B及びCをTurboSolアッセイにおいて試験し、それらの溶解性を決定した(表9及び図11)。化合物B及びCはどちらも30μM濃度で僅かに不溶性であることが見出されたが、80%透過標準についてのLSU読取り値をはるかに下回っていた。
化合物D
化合物DをTurboSolアッセイにおいて試験し、その溶解性を決定した(表10及び図12)。化合物Dは30μM濃度で僅かに不溶性であることが見出されたが、80%透過標準についてのLSU読取り値をはるかに下回っていた。
実施例6:化合物A及び化合物Dの忍容性研究
25匹の雌性NSGマウスを、表11に記載のように様々な治療群に無作為に割り当てた。全てのマウスを、下記に指定されない限り7日間治療した。
研究0日目〜6日目に(7回の投与)、化合物Aは10mL/kg容量で強制経口投与によって投与し、化合物Dは10mL/kg容量で外側尾静脈への静脈注射によって投与した。体重を15日間(0日目〜14日目)にわたって毎日記録し、動物の健康状態を毎日評定した。
10mg/kgの用量で、化合物A又は化合物Dのいずれかを投与した2匹のマウスのうち1匹が投与5日目までに15%を超える体重減少を示し、治療中断日の結果となった。マウスは更に7日間の観察期間中に回復した。どちらの作用物質についても、3mg/kg以下の用量で忍容性が認められた(6%未満の体重減少)。
マウスを病的状態の兆候及び体重について毎日臨床的にモニタリングした。病的状態の兆候を示すマウスを、研究ガイドラインに従って安楽死させた。忍容性は被毛の乱れ(ruffled fur)、脊柱後弯、呼吸困難、横臥又は歩行困難、及び15%を超える体重減少等の病的状態の臨床兆候を示さなかった用量と規定される。
化合物Aは3mg/kg以下で忍容性良好であり、マウスは投与期間の終了時にそれらの初期体重近くまで戻るか、又は初期体重を僅かに上回った(図13)。10mg/kg投与群のマウスは、僅かな(およそ15%)初期体重減少を示したが、投与中断日後に健康体重まで回復した(図14)。
化合物Dは3mg/kg以下の用量で忍容性良好であり、マウスはそれらの初期体重近くまで戻るか、又は初期体重を僅かに上回った(図15)。10mg/kg投与群のマウスはおよそ20%の初期体重減少を示したが、投与中断日後に健康体重まで回復した(図16)。
実施例7:コルチスタチンA及び化合物Fの忍容性研究
化合物F
27匹のマウスを化合物Fの忍容性研究に使用した。マウスをn=3匹のマウス/群で様々な治療群に無作為に割り当てた。0.3mg/kgの化合物FをIP投与した低用量群では、マウスを8日間の休薬日後により高用量の20mg/kgの化合物FによってIPで再チャレンジした。全てのマウスを、下記に指定されない限り7日間治療した。
経口投与群では、3mg/kgの化合物Fが3匹のマウスのうち3匹で15%を超える体重減少を生じ、休薬日を必要としたが、10mg/kg用量では体重減少が20%を超え、忍容性が認められなかった。1mg/kg用量では、平均体重減少は約10%であった(図17)。
IP投与群では、20mg/kg用量が3匹のマウスのうち2匹で15%を超える体重減少を生じた。
マウスを病的状態の兆候及び体重について毎日臨床的にモニタリングした。病的状態の兆候を示すマウスを、研究ガイドラインに従って安楽死させた。忍容性は被毛の乱れ、脊柱後弯、呼吸困難、横臥又は歩行困難、及び15%を超える体重減少等の病的状態の臨床兆候を示さなかった用量と規定される。
コルチスタチンA
マウスにMV4;11−mCLP細胞を静脈内注射し、注射の3日後及び7日後に撮像した。この時点で、マウスを約8×10ph/s/cm/srの平均生物発光で7つの治療群に分けた(1群当たりn=3):cA@5mg/kg、2.5mg/kg、1.25mg/kg、0.625mg/kg、0.3125mg/kg及び0.15625mg/kgのコルチスタチンA又はビヒクル。全ての治療剤を10mL/kg容量で1日1回IP投与した。薬物は用量に基づいて様々なレベルの毒性を示し、体重減少が約15%に達するまで各群に投与を行った(図18)。生物発光及び体重のデータを7週間にわたって3、4日毎に収集した。マウスを20%の体重減少に達した時点で又は瀕死の場合に屠殺した。屠殺後にマウスをブアン固定液で固定した。付加的に、64日目に屠殺した6匹のマウスから採血し、CBC分析をHemavet 950FSで行った。
実施例8:化合物A、B、C及びDのキノーム(Kinome:カイノーム)プロファイリング
放射測定タンパク質キナーゼアッセイ(33 PanQinase活性アッセイ)を用いて、320個のタンパク質キナーゼのキナーゼ活性を測定した。全てのキナーゼアッセイを、Perkin Elmer(Boston,MA,USA)製の96ウェルFlashPlates(商標)において50μlの反応容量で行った。反応カクテルは、4工程において以下の順序でピペッティングした:
1. 10μlの非放射性ATP溶液(HO中)
2. 25μlのアッセイバッファー/[γ−33P]−ATP混合物
3. 10%DMSO中5μlの試験サンプル
4. 10μlの酵素/基質混合物
全タンパク質キナーゼのアッセイは、70mM HEPES−NaOH(pH7.5)、3mM MgCl、3mM MnCl、3μMオルトバナジン酸Na、1.2mM DTT、ATP(可変量、それぞれのキナーゼの見かけのATP−Kmに相当する)、[γ−33P]−ATP(1ウェル当たりおよそ8×1005cpm)、タンパク質キナーゼ(可変量)及び基質(可変量)を含有していた。全てのPKCアッセイ(PKC−mu及びPKC−nuアッセイを除く)は、1mM CaCl、4mM EDTA、5μg/mlホスファチジルセリン及び1μg/ml 1,2−ジオレイル−グリセロールを付加的に含有していた。
CAMK1D、CAMK2A、CAMK2B、CAMK2D、CAMK4、CAMKK1、CAMKK2、DAPK2、EEF2K、MYLK、MYLK2及びMYLK3アッセイは、1μg/mlカルモジュリン及び0.5mM CaClを付加的に含有していた。PRKG1及びPRKG2アッセイは、1μM cGMPを付加的に含有していた。DNA−PKアッセイは、2.5μg/ml DNAを付加的に含有していた。タンパク質キナーゼ反応カクテルを30℃で60分間インキュベートした。反応を50μlの2%(v/v)HPOで停止させ、プレートを吸引し、200μlの0.9%(w/v)NaClで2回洗浄した。33Piの取込み(「cpm」の計数)を、マイクロプレートシンチレーションカウンター(Microbeta、Wallac)で決定した。全てのタンパク質キナーゼアッセイを、BeckmanCoulterのBiomek 2000/SLロボットシステムで行った。
ProQinaseによって提供される全てのタンパク質キナーゼを、Sf9昆虫細胞又は大腸菌(E. coli)において、完全長又は酵素活性フラグメントのいずれかの組み換えGST融合タンパク質又はHisタグ付きタンパク質として発現させた。全てのキナーゼをヒトcDNAから作製し、GSHアフィニティークロマトグラフィー又は固定化金属のいずれかによって精製した。アフィニティータグを精製時に多数のキナーゼから除去した。タンパク質キナーゼの純度をSDSPAGE/クマシー染色によって検査し、同一性を質量分光法によって確認した。
外部供給業者であるCAR=Carna Biosciences Inc.;INV=Life Technologies(Invitrogen Corporation);MIL=Merck-Millipore(Millipore Corporation)によるキナーゼを、供給業者の読取り値に基づいて発現させ、精製し、品質管理した。
各キナーゼについて、3つのウェルのcpmの中央値を「低対照」として規定した(n=3)。この値は、タンパク質キナーゼの非存在下であるが、基質の存在下でのプレートへの放射能の非特異的結合を反映する。付加的に、各キナーゼについて、他の3つのウェルのcpmの中央値を「高対照」、すなわち任意の阻害剤の非存在下での完全活性とみなした(n=3)。各酵素の高対照と低対照との間の差を100%の活性とみなした。データ評価の一環として、高対照値及びそれらの対応する「化合物値」から各キナーゼの低対照を減算した。各々の化合物ウェルの残留活性(%単位)を、以下の式を用いて算出した:
残留活性(%)=100×[(化合物のシグナル−低対照)/(高対照−低対照)]
1μM化合物A(CDK8/サイクリンC阻害について100倍のIC50)は、320個のキナーゼのうちCDK8/サイクリンCに選択的である(図19)。試験は、in vitroキナーゼリン酸化アッセイパネルを用いてProQinase社により行われた。各キナーゼについて測定された2回の反復試験による平均阻害率を示す。5個のキナーゼ:CDK8/サイクリンC、CAMK2B、LTK及びMUSKで化合物Aによる平均阻害が50%を超えた。しかしながら、以下の理由からCDK8/サイクリンCのみが化合物Aにより細胞内で又はin vivoで阻害される可能性がある:(1)GSG2がコルチスタチンAの細胞内標的として除外されたこと(非特許文献2を参照されたい)、(2)反復試験がCAMK2B(36%、79%)及びMUSK(36%、111%)について矛盾していたこと、並びに(3)LTK阻害がALK阻害と矛盾すること。化合物AはALKをin vitroで阻害しないが(10%未満の阻害)、LTK及びALKのキナーゼドメインは79%同一であり、FDAにより認可されたALK阻害剤であるクリゾチニブ(XALKORI)もLTKを阻害する。
再試験時に、CAMK2B、LTK及びMUSKは、最大10μMの化合物Aによって阻害されなかった。GSG2をin vitroでも阻害したコルチスタチンAが、細胞溶解物中でGSG2を阻害しないことが以前に決定されている(非特許文献2)。したがって、CDK8/サイクリンCのみが、キノームパネルにおいて1μMの化合物Aにより強く阻害される有効なキナーゼであった。
それぞれ図20、図21及び図22に見られるように、1μMの化合物B、C及びDもキノームプロファイリングにおいてCDK8/サイクリンCに選択的であった。
実施例9:化合物A、B、C及びDのCDK8結合IC50
細胞におけるCDK8阻害を、インターフェロン−γ(IFNγ)により刺激されるSTAT1−S727リン酸化の阻害によって測定した。化合物は、バイアル内の200μlの1×10−03M/100%ストック溶液として供給された。バイアルは良好な条件で届き、各々2×100μlのストック溶液を、表12に従って96ウェル「マスタープレート」(「11273−UNH−01」とバーコード化)のウェルA2〜H2に移した。
試験の前に、マスタープレートのカラム2内の1×10−03Mストック溶液を、100%DMSOを溶媒として用いる段階片対数希釈に供した。これにより10個の異なる濃度を得て、希釈エンドポイントをカラム12の3×10−08M/100%DMSOとした。カラム1及び7は、対照として100%DMSOで満たした。続いて、段階希釈コピープレートの各ウェルから1×10μlを、96チャネル分注器で「11273−UNH−01」とバーコード化した「化合物希釈プレート」に分注した。
このプロセスでは、90μlのHOを化合物希釈プレートの各ウェルに添加した。潜在的沈殿を最小限に抑えるために、化合物溶液をアッセイプレートに移すほんの数分前に水をプレートに添加した。プレートを十分に振盪し、「化合物希釈プレート/10%DMSO」を得た。化合物希釈プレートは、作業日の終わりに捨てた。
アッセイのために、化合物希釈プレート/10%DMSOの各ウェルから5μlの溶液をアッセイプレートに移した。最終アッセイ容量は50μlとした。化合物を、1×10−05M〜3×10−10Mの範囲の10種の最終アッセイ濃度において二連で試験した。反応カクテル中の最終DMSO濃度は、いずれの場合にも1%とした。化合物Aは、CDK8に対して10.6nM及び9.3nMのIC50を有することが見出された。化合物Bは、CDK8に対して5.5nM及び12.7nMのIC50を有することが見出された。化合物Cは、CDK8に対して8.9nM及び10.2nMのIC50を有することが見出された。化合物Dは、CDK8に対して6.4nM及び6.5nMのIC50を有することが見出された。化合物A、B、C及びDは、それぞれ9.9nM、9.1nM、9.5nM及び6.4nMの平均IC50を有することが見出された(表13)。このため、化合物A、B、C及びDの全てが非常に強力かつ選択的なCDK8の阻害剤である。化合物AがコルチスタチンAよりも長い滞留時間を有することが付加的に見出された。
上記に提示した用量応答曲線を、ウエスタンブロット研究により実証した。図23では化合物A及びD、図24では化合物B及びCが用量に依存した応答を有することが示される。
実施例10:様々なヒト癌細胞株に対する化合物A、B、C、D及びFの最大半量成長阻害(GI50
化合物A、B、C、D及びFを、癌に対するそれらの広範な有用性を証明するために様々な細胞株に対して試験した。コルチスタチンA(CA)も、細胞株に対して付き合わせて試験した。データ(下記)から、試験した5つ全てのCA類縁体がコルチスタチンAと本質的に同じ感度プロファイルを有していたことが示される。
実施例11:化合物A、B、C及びDのCDK8作用機構の検証
化合物A、B、C及びDは、CDK8を阻害することによってSET−2 AML細胞株の増殖を阻害する。ZsGreen(Clontech)及びFLAG−CDK8 WT(野生型)又はmCherry(Clontech)及びFLAG−CDK8−W105MをSET 2細胞において発現させた。細胞を混合し、赤色蛍光と緑色蛍光との比率をフローサイトメトリーによって決定し、細胞を指定の化合物で処理した。処理の3日後及び7日後に、赤色蛍光細胞と緑色蛍光細胞との比率を決定した。類縁体は赤色細胞と緑色細胞との比率を用量依存的にシフトさせ、図25、図26、図27及び図28にそれぞれ見られるようにCDK8が化合物A、B、C及びDの抗増殖活性を媒介することが示される。
実施例12:化合物A、B、C及びDの薬物動態プロファイル
本研究の目的は、化合物A、B、C及びDの薬物動態(PK)プロファイルを評価することであった。用量投与日に、各群の投与溶液をビヒクル(20%2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPCD))の添加によって調製した。塩含量の配合補正は本研究については必要でなかった。材料をボルテックスし、ビヒクルの添加後に室温で超音波処理した。溶液を、用量投与の少なくとも30分前に暗所で撹拌しながら常温で維持した。次いで、溶解性が確実となるように配合物をボルテックスし、短時間超音波処理した。これらの手順により無色透明の溶液が得られた。
マウスを、試験施設の齧歯動物コロニーから選択した。動物は、被験物質投与日に試験施設の職員により決定される許容可能な健康状態に基づいて研究に登録された。動物を投与前少なくとも48時間(±6時間)にわたって環境馴化させた。動物を16℃〜26℃(62°F〜78°F)の温度、30%〜70%の範囲の湿度で維持した。全ての群の動物を一晩絶食させ、飼料を投与の4時間後に戻した。水は研究全体を通して自由に与えた。
血漿の全血サンプルを、顎下静脈の直接静脈穿刺(生存採血)又はCOによる安楽死後の心臓穿刺(終末採血)のいずれかによって各動物から採取した。投与全体を通して、また全てのサンプル採取時点で、全動物を任意の臨床的に関連する異常について観察したが、何も観察されなかった。採取後に、全血をKEDTAの入った管に入れ、即座に湿氷上に、血漿処理を行うまで置いた。全血サンプルを冷蔵遠心機(5±3℃)において2200×gで10分間遠心分離し、血漿を単離した。サンプルを個々のポリプロピレン容器に移し、即座にドライアイス上に置き、分析を行うまで−70±10℃で保管した。非投与のスペア動物から採取した血漿も同様にプールし、分析した。
採取後に、マウス血漿研究をLCMS/MS分光法を用いて定量化し、化合物の濃度を決定した。下記(表15)のLC−MS/MS法を用いてサンプルを分析し、内部標準法により親化合物の濃度を決定した。分析物及び内部標準イミプラミンを含有する8つの較正標準を調製し、手順の開始時及び終了時に分析した。検量線を作成し、定量化ソフトウェアMassHunterを用いてサンプル濃度を算出した。
分析されたPK特性を表16に提示する。化合物A、B、C及びDをそれらの薬物動態特性についてプロファイルしたが、全て良好なバイオアベイラビリティ、半減期、Cmax、並びにそれらの非置換類縁体化合物E及びFよりも明らかに低いhERG活性を示した。特に、Tmaxは0.5時間(化合物A)から8.0時間(化合物C)まで様々であり、A環の僅かな修飾がPK特性の大きな変化を引き起こし得ることが示唆された。
実施例13:化合物A、B、C、D及びFのin vivo有効性
化合物A、B、C、D及びFのin vivo抗白血病活性を、指定の用量及び治療スケジュールで試験した。用量は、化合物忍容性プロファイルに基づいて選んだ(すなわち、より高用量で体重減少又は実施例6に概説する他の忍容性の問題が引き起こされたため、CAは0.16mg/kgで投与した)。mCherry及びルシフェラーゼを発現するヒトAML細胞株MV4;11を、NSGマウスに注射した。白血病細胞の生着が測定された後に治療を開始した。体重及び生物発光を測定した。生物発光が白血病負荷に対応することが以前に示されている(非特許文献2)。化合物Aが少なくとも1mg/kgの用量で非常に効率的であり、更には0.5 3.04mg/kgで幾らかの有効性を示したことが図29に示される。さらに、IV投与又はPO投与に目に見える利点は認められなかった。図3,970 30(log2尺度)に、化合物Aがその優れた選択性及び忍容性プロファイルに加えて化合物Fと同様に有効であることが示される。より高用量で忍容性の問題が引き起こされることが見出されたことから、化合物Fは1mg/kgで投与した。図31(log2尺度)に、化合物B、C及びDが化合物Fと比較して優れたin vivo有効性を示すことが示される。全ての化合物が白血病の進行を阻害した。
実施例14:化合物A、B、C、D、E、F及びCAの比較
化合物A、B、C及びDは、化合物E及びFと比較してhERGイオンチャネルの阻害を低減した。加えて、化合物A、B、C及びDは、118個のオフターゲットに対して10μMで投与した場合に70%超阻害される標的数によって測定されるオフターゲット相互作用の数を低減した(Panlab)。これらの結果から、化合物A、B、C及びDが化合物E及びFと比較して改善された安全性プロファイルを有することが示される。
化合物A、B、C及びDは、マウスにおいてCA及び化合物Fを含む以前の化合物よりも顕著に高い曝露(AUC)を達成することも可能である。新たな類縁体の安全性プロファイルの改善により、より大きな曝露を忍容性が良好な用量で達成可能となり得る。化合物B、C及びDは、マウスAMLモデルにおいてCA及び化合物Fよりも良好な有効性を示し、化合物Aが同等の有効性を有する。これらの化合物のより大きな有効性は、忍容性が良好な用量で達成可能な曝露の増大と大いに相関する。これらの新たな類縁体により達成可能なより高い曝露は、より大きな有効性につながる可能性があり、及び/又はより良好な安全性プロファイルのためにより高い曝露、ひいては改善されたin vivo有効性が可能となる。言い換えると、CA及び化合物Fのオフターゲット相互作用により曝露及び有効性が制限される。これらのオフターゲット相互作用は、本発明において提示される新たな化合物により軽減され、より大きな曝露及びin vivo有効性がもたらされた。
本明細書は本発明の実施形態を参照して記載されている。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることが当業者には理解される。したがって、本明細書は限定的意味ではなく例示的意味で考えられ、全てのかかる修正が本発明の範囲に含まれることが意図される。

Claims (42)

  1. から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
  2. 化合物B又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の化合物。
  3. 化合物C又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の化合物。
  4. 化合物D又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の化合物。
  5. 化合物Bである、請求項1に記載の化合物。
  6. 化合物Cである、請求項1に記載の化合物。
  7. 化合物Dである、請求項1に記載の化合物。
  8. から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
  9. から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
  10. から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
  11. から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
  12. 少なくとも1つの水素が重水素に置き換えられた化合物A、又はその薬学的に許容可能な塩。
  13. 少なくとも1つの水素が重水素に置き換えられた化合物B、又はその薬学的に許容可能な塩。
  14. 少なくとも1つの水素が重水素に置き換えられた化合物C、又はその薬学的に許容可能な塩。
  15. 少なくとも1つの水素が重水素に置き換えられた化合物D、又はその薬学的に許容可能な塩。
  16. CDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害を有する宿主を治療する方法であって、該宿主に、
    から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を有効量投与することを含む、方法。
  17. 前記化合物が化合物B又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記化合物が化合物C又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項16に記載の方法。
  19. 前記化合物が化合物D又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項16に記載の方法。
  20. CDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害を有する宿主を治療する方法であって、該宿主に請求項8に記載の構造から選択される化合物を有効量投与することを含む、方法。
  21. CDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害を有する宿主を治療する方法であって、該宿主に請求項9に記載の構造から選択される化合物を有効量投与することを含む、方法。
  22. CDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害を有する宿主を治療する方法であって、該宿主に請求項10に記載の構造から選択される化合物を有効量投与することを含む、方法。
  23. CDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害を有する宿主を治療する方法であって、該宿主に請求項11に記載の構造から選択される化合物を有効量投与することを含む、方法。
  24. 前記障害が腫瘍、癌、異常増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害、自己免疫障害又は急性骨髄性白血病(AML)である、請求項16に記載の方法。
  25. 前記障害が腫瘍、癌、異常増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害、自己免疫障害又は急性骨髄性白血病(AML)である、請求項20に記載の方法。
  26. 前記障害が腫瘍、癌、異常増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害、自己免疫障害又は急性骨髄性白血病(AML)である、請求項21に記載の方法。
  27. 前記障害が腫瘍、癌、異常増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害、自己免疫障害又は急性骨髄性白血病(AML)である、請求項22に記載の方法。
  28. 前記障害が腫瘍、癌、異常増殖に関係する障害、炎症性障害、免疫障害、自己免疫障害又は急性骨髄性白血病(AML)である、請求項23に記載の方法。
  29. ウイルスを有する宿主を治療する方法であって、該宿主に、
    から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を有効量投与することを含む、方法。
  30. 前記化合物が化合物B又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記化合物が化合物C又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項29に記載の方法。
  32. 前記化合物が化合物D又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項29に記載の方法。
  33. ウイルスを有する宿主を治療する方法であって、該宿主に請求項8に記載の構造から選択される化合物を有効量投与することを含む、方法。
  34. ウイルスを有する宿主を治療する方法であって、該宿主に請求項9に記載の構造から選択される化合物を有効量投与することを含む、方法。
  35. ウイルスを有する宿主を治療する方法であって、該宿主に請求項10に記載の構造から選択される化合物を有効量投与することを含む、方法。
  36. ウイルスを有する宿主を治療する方法であって、該宿主に請求項11に記載の構造から選択される化合物を有効量投与することを含む、方法。
  37. CDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害の治療への、有効量の化合物を宿主に投与することを含む、
    から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
  38. ウイルスの治療への、有効量の化合物を宿主に投与することを含む、
    から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
  39. CDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害の治療のための薬剤の製造における、
    から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
  40. ウイルスの治療のための薬剤の製造における、
    から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
  41. CDK8及び/又はCDK19によって媒介される障害の治療に使用される、
    から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
  42. ウイルスの治療に使用される、
    から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
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