JP2019503179A5 - - Google Patents

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ハイブリッドプロモーターおよびその使用
本願は、2016年1月27日に米国特許商標庁に出願された米国仮特許出願第62/388,391号からの優先権を主張する。
シークエンスリスト
本願は、ASCIIの形式で電子的に提出されているシークエンスリストを含むものである。このリスト全体は本明細書中参照として援用される。2017年1月25日に作成された上記ASCIIのコピーは、JUST0051_SL.txtと命名されており、25,408バイトの大きさである。
1.本発明の分野
本発明は、哺乳類細胞におけるタンパク質の組み換え産生に関する。
2.関連分野の論述
哺乳類細胞の培養における組み換え発現による治療用タンパク質の工業規模での産生は、規制ガイドラインと一致するまたはこれを超える組み換え発現の最大限の効率および製品品質の特徴を目指す、比較的近年での試みである。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の様々な細胞株を含む、異なる哺乳類細胞株が、組み換えタンパク質の産生に使用されている(たとえば、HuらのOverexpressing Cyclin D1 in a Eukaryotic Cell line(米国特許第6,210,924号);GoepfertらのProtein Expression from Multiple Nucleic Acids(米国特許第8,771,988号;およびWurm, F.M., CHO quasispecies− Implications for Manufacturing Processes, Processes 1:296−311; doi:10.3390/pr1030296 (2013)を参照)。
異なる遺伝子供給源由来のエンハンサーおよびプロモーターのエレメントを組み合わせたハイブリッドプロモーターは、様々な宿主細胞において組み換え発現を高めるために使用されている(たとえばHarvey, Hybrid promoters(国際特許公開公報第2008/020960号;米国特許公報第2008/12492号)。
従来の研究は、ヒトCMVプロモーターおよびマウスCMVプロモーターが哺乳類細胞で高発現レベルの異種発現を駆動できることを示している(Mizushima & Nagata, pEF−BOS, a powerful mammalian expression vector. Nucl. Acids Res., 18(17):5322 (1990);Masayuki & Tanaka, The CMV Enhancer Stimulates Expression of Foreign Genes from the Human EF−1a Promoter, Analytical Biochemistry 247:179−181 (1997); Chattellard, PらのThe Lupac bifunctional marker and its use in protein production(国際特許公開公報第2006/058900号);Chattellard, P.らのExpression vectors comprising the mCMV IE2 promoter(米国特許第7,824,907号;HjelmstromらのSingle IFN−beta fused to a mutated IgG Fc fragment(国際特許公開公報第2009/053368号);GaucherらのCell line having a high transcription activity for the production of proteins, in particular therapeutic proteins(国際特許公開公報第2008/096070号;FlanneryらのRecombinant lubricin molecules and uses thereof(米国特許第7,642,236号);MosyakらのMethod for identifying or designing a candidate agent that interacts with LINGO−1 polypeptide using a LINGO−1 three−dimensional structure(米国特許第7,693,698号);Mosyakらの国際特許公開公報第2007/092370号)。
イントロンの付加もまた、異種性のタンパク質の発現を増大させることができる(Lacy−Hulbert, A. et al., Interruption of coding sequences by heterologous introns can enhance the functional expression of recombinant genes, Gene Ther. 8(8):649−653 (2001); Brinster, R.L., et al., Introns increase transcriptional efficiency in transgenic mice, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 836−40 (1988))。ヒトおよびハムスターのEF−1αプロモーターおよびイントロンは、遺伝子発現を効率的に促進することが示されている(Mizushima & Nagata, pEF−BOS, a powerful mammalian expression vector, Nucl. Acids Res. 18(17):5322 (1990); Running Deer, J., & Allison, D. S., High−level expression of proteins in mammalian cells using Transcription Regulatory sequences from Chinese Hamster Ovary EF−1alpha Gene, Biotechnology Progress 20:880−889 (2004); Allison, D.S., Recombinant method for making multimeric proteins(国際特許公開公報第2006/063292号); Orlova et al., Improved elongation factor−1alpha−based vectors for stable high−level expression of heterologous proteins in Chinese hamster ovary cells, BMC Biotechnology 14:56 (2014))。
ヒトEF−1αのイントロンと組み合わされたヒトまたはマウスのCMVプロモーターの組み合わせは、イントロンを含まない発現コンストラクトを超える顕著な改善を示した(Kim, S.−Y. et al., The human elongation factor 1 alpha (EF−1 alpha) first intron highly enhances expression of foreign genes from the murine cytomegalovirus promoter, J. Biotechnol. 93(2):183−87 (2002))。
Tetリプレッサー(TetR)は、細菌のトランスポゾンTn10によりコードされ、哺乳類細胞での遺伝子発現を調節するために使用されている。TetRは、テトラサイクリンの非存在下でDNA配列(TetO)に結合する。テトラサイクリンに結合すると、TetRは、TetOに対するTetRの結合を抑止する立体構造的な変化を起こす。Yaoらは、ヒトCMVエンハンサープロモーターが、TATAボックスと転写開始部位(TTS)との間にTetOを組み込むことによって、テトラサイクリンにより調節され得ることを示した(Yao et al., Tetracycline repressor, tetR, rather than the tetR−mammalian cell transcription factor fusion derivatives, regulates inducible gene expression in mammalian cells, Hum. Gene Ther. 9(13):1939−50 (1998);Yaoらの米国特許第5,972,650号;Yaoらの国際特許公開公報第99/00510号参照)。
様々な哺乳類細胞株における生物製剤の安定した生産を支援するために、大規模なバッチ培養または連続培養での哺乳類細胞によるタンパク質の高められた組み換え発現が必要とされており、本発明はこの高められた組み換え発現を提供する。
本発明は、対象とする1つまたは複数のタンパク質の組み換え発現を調節するためのハイブリッドプロモーターに関する。このハイブリッドプロモーターは、(i)mCMVエンハンサーエレメント(mCMV−E)およびその3’末端にCMVプロモーター(CMV−P)配列を含み、ラットEF−1αイントロン配列に対し5’で操作可能に連結される、mCMVエンハンサー配列と、
(ii)mCMVエンハンサー配列のCMVプロモーター配列の3’に、およびラットEF−1αイントロン配列の5’に、操作可能に連結される介在性の第1のリーダー配列と、
(iii)EF−1αイントロン配列の3’に操作可能に連結される第2のリーダー配列
を含む。本発明のハイブリッドプロモーターにおけるラットEF−1αイントロン配列とmCMVエンハンサー配列の組み合わせは、限定するものではないが、抗原結合タンパク質、イムノグロブリン、抗体または抗体フラグメンなどの、(たとえば疾患を治療するためのヒトの治療法としての)、生物学的な分子の工業生産に適した高い力価および高い特異的生産性を伴う、特にCHO細胞による、対象とするタンパク質の組み換え発現を促進し、いくつかの細胞株で試験された他のプロモーターよりも一般に優れていた。
したがって、本発明は、対象とする外因性タンパク質をコードするオープンリーディングフレームの5’に操作可能に連結される本発明のハイブリッドプロモーター、およびオープンリーディングフレームの3’に操作可能に連結されるポリアデニル化部位を含む、発現カセットに関する。
本発明の別の態様は、上記ハイブリッドプロモーターを含む本発明の発現カセットを含む組み換え発現ベクターである。
また、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に由来する細胞、たとえばCHO−K1細胞、DXB11細胞、またはDG44細胞などの、上記ハイブリッドプロモーターを伴う発現カセットを含む本発明の組み換え発現ベクターを含む哺乳類の宿主細胞も、本発明の中に含まれる。
また本発明は、対象とするタンパク質の発現を可能にする生理学的条件下での水系培地において、本発明の発現ベクターを含む哺乳類の宿主細胞を培養することと、上記培地から対象とするタンパク質を回収することとを含む、in vitroで対象とするタンパク質を産生する方法に関する。また本発明は、対象とするタンパク質のテトラサイクリン誘導性発現を含む、対象とするタンパク質を産生する方法を含む。
上述の概要は、本発明のすべての態様を定義すると意図されておらず、追加的な態様が、実施形態の詳細な説明などの他のセクションに記載される。本文書の全体は、統一された開示として関連していると意図され、たとえ本文書の同一の文、段落、またはセクションに特徴の組み合わせがまとめて見いだされなくても、本明細書中記載の特徴のすべての組み合わせが考慮されていることを、理解すべきである。
上記に加えて、本発明は、追加的な態様として、上記の特定の段落により定義されたバリエーションよりも狭い範囲の本発明の実施形態のすべてを、何等かの形で含む。たとえば、ある属として記載される本発明の特定の態様に関して、属のすべてのメンバーが個々に本発明の態様であることを理解すべきである。同様に、ある属として記載される態様またはある属のメンバーを選択した態様は、当該属の2つ以上のメンバーの組み合わせを包有することが、理解されるべきである。本出願人(ら)は、本明細書中記載の発明の完全な範囲を発明したが、本出願人らは、他の従来技術の研究に記載される対象を請求する意図を持つものではない。よって、特許請求の範囲内にある法定の従来技術が、特許庁または他の実体または個人による出願の参酌をもたらす場合では、本出願人(ら)は、当該法定の従来技術または法定の従来技術の明確なバリエーションを当該特許請求の範囲内から明確に排除するように当該特許請求の範囲の対象を再度定義するための、適用可能な特許法の下で補正する権利を行使する権利を保有している。このような補正された特許請求の範囲により定義される本発明のバリエーションもまた、本発明の態様として意図される。
いくつかの例示的な発現コンストラクトの概略的なマップを示す。 例示的なベクターDの概略的なマップを示す。 図3A〜Bは、DXB11細胞が8日目に150nMのメトトレキサート(MTX)を含むProCHO(商標)4培養培地で産生したFc―Aタンパク質の力価(図3A)および特異的生産性(図3B)を示す。各エラーバーは、1つの標本平均の標準誤差を使用して構築される。 図4A〜Bは、DXB11細胞が8日目に500nMのMTXでのPowerCHO(商標)2培地で産生したFc―Aタンパク質の力価(図4A)および特異的生産性(図4B)を示す。各エラーバーは、1つの標本平均の標準誤差を使用して構築される。 図5A〜Bは、10日目に、1μMのMTXでのPowerCHO(商標)2培地におけるDG44および500nMのMTXでのExcell302培地におけるDXB11に関する、Fc−Aタンパク質の力価(図5A)および特異的生産性(図5B)を示す。各エラーバーは、1つの標本平均の標準誤差を使用して構築される。 LacZの発現を駆動する本発明のmCMVエンハンサー/rEF−1αイントロンハイブリッドプロモーターを伴うpJV56の概略的なマップを示す。 mCMVプロモーター(mCMV−P)の一部がヒトCMVプロモーター(hCMV−P)およびTetO配列と置き換わっていることを除きpJV56と同じである、pJV57の概略的なマップを示す。 pJV56と同じであるが、mCMVプロモーター(mCMV−P)配列の一部と置き換えられた、最適化されたヒトCMVプロモーター((hCMV−P);(Patwardhan et al., High−resolution analysis of DNA regulatory elements by synthetic saturation mutagenesis, Nature Biotechnology 27(12):1173−75 (2009)に従う)を有する、pJV59の概略的なマップを示す。 最適化されたヒトCMVプロモーター(hCMV−P)配列に一致させるためのTetO配列への変化(TetR結合を維持)を除き、pJV57と同じである、pJV60の概略的なマップを示す。 mCMVエンハンサーエレメント(「mCMVE」)の3’で、mCMVプロモーター(「mCMVP」)中に挿入されたヒトCMVプロモーター―Tetオペレーター(TetO;「Tet」)の概略図を以下に表す。この挿入は、hCMVプロモーター(hCMVP)配列でmCMVプロモーターの一部を置き換えた。第1のリーダー配列の相対的な位置もまた、「TPL」により表される。 pJV56(配列番号16)のセグメントおよびpJV57(配列番号15)のセグメントのDNA配列の概略的な比較を示す。配列番号15に示されるpJV57のセグメントは、部分的なhCMVプロモーター配列(配列番号24)、および配列番号24の3’で、TetO配列(より小さなTetO配列の配列番号29を含む、配列番号23)を組み込むセグメント(配列番号9)を含む。TetO配列(配列番号29)で示される矢印は、パリンドロームのTetR結合部位を示す。mCMVプロモーター(mCMV―P)配列およびhCMVプロモーター(hCMV―P)配列は、TATAボックス〜転写開始部位の配列である。配列番号25は、pJV57およびpJV56の両方で見いだされるmCMV―P配列の3’末端であり、pJV57では、配列番号9に対して3’で見いだされる。転写開始は、配列番号25の3’の部分配列taccg中のグアニン残基である。挿入されるTetO配列(配列番号23)は、転写開始部位が、概してTATAボックスの5’のTに対して約30塩基の3’であるため、転写開始部位に確実に影響を与えることに、留意されたい。第1のリーダー配列の相対的な位置もまた、「TPL」により表され、TPLの5’末端のいくつかのヌクレオチド残基が示される。 pJV57およびpJV60のDNA配列のセグメントの概略的な比較を示す。pJV60(配列番号18)の示されるセグメントでは、対応するpJV57(配列番号17)のセグメント中のTetO配列が、Patwardhan et al., High−resolution analysis of DNA regulatory elements by synthetic saturation mutagenesis, Nature Biotechnology 27(12):1173−75 (2009)による研究において転写開始部位の周りの発現を増大させた配列に一致するように変更された。 pJV56およびpJV59のDNA配列のセグメントの概略的な比較を示す。このpJV59(配列番号20)のセグメントでは、pJV56(配列番号19)中の対応する配列で最適化されたhCMVプロモーター配列が、本発明のmCMVエンハンサー/ラットEF−1αイントロンハイブリッドプロモーターのバリエーションでのmCMVプロモーター(mCMV−P)配列の一部と置き換わった。 表記の各ベクターについて特異的なβガラクトシダーゼ発現の調節を示す。TetRを発現するT−REx(商標)−CHO細胞を、pJV56、pJV57、pJV59、pJV60、または対照プラスミドpcDNA5/TO/LacZで一時的にトランスフェクトした。細胞を24時間インキュベートし、次に24時間テトラサイクリン(Tet)で処理または処理しないで放置した。細胞を溶解し、LacZを酵素学的に解析した。(−Tet)と比較した(+Tet)との間の倍数差が、陽性対照(pcDNA5/TO/LacZ)を除き、バーの上に示される。 TetRに関するオープンリーディングフレームを含む、pJV40の概略的なマップを示す。 pJV56、pJV57、pJV59、pJV60、または対照プラスミドpcDNA5/TO/LacZで一時的にトランスフェクトされた、TetRを発現するCHO−K1/TetR細胞(クローン3E7)によるLacZの発現(βガラクトシダーゼのタンパク質)を表す。細胞を24時間インキュベートし、次に24時間テトラサイクリン(Tet)で処理または処理しないで放置した。細胞を溶解し、LacZを酵素学的に解析した。(−Tet)と比較した(+Tet)との間の倍数差が、バーの上に示される。 pJV56、pJV57、pJV59、pJV60、または対照プラスミドpcDNA5/TO/LacZで一時的にトランスフェクトされた、TetRを発現するCHO−K1/TetR細胞(クローン3F9)によるLacZの発現(βガラクトシダーゼのタンパク質)を表す。細胞を24時間インキュベートし、次に24時間テトラサイクリン(Tet)で処理または処理しないで放置した。細胞を溶解し、LacZを酵素学的に解析した。(−Tet)と比較した(+Tet)との間の倍数差が、バーの上に示される。 pJV56、pJV57、pJV59、pJV60、または対照プラスミドpcDNA5/TO/LacZで一時的にトランスフェクトされた、TetRを発現するCHO−K1/TetR細胞(クローン4G2)によるLacZの発現(βガラクトシダーゼのタンパク質)を表す。細胞を24時間インキュベートし、次に24時間テトラサイクリン(Tet)で処理または処理しないで放置した。細胞を溶解し、LacZを酵素学的に解析した。(−Tet)と比較した(+Tet)との間の倍数差が、バーの上に示される。
本明細書中使用されるセクションの表題は、単に構成を目的とするものであり、記載される対象を限定するように構築されるものではない。
定義
本明細書中他の定義がなされない限り、本願に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者が一般に理解する意味を有するものである。さらに、文脈によって他の意味が必要とされない限り、単数形は複数を含むものであり、複数形は単数形を含むものである。よって、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈で他の意味が明記されない限り、複数の指示対象を含む。たとえば、「1つのタンパク質(a protein)」との表現は複数のタンパク質を含み、「1つの細胞(a cell)」との表現は、複数の細胞の集合を含む。
本発明は、対象とする1つまたは複数のタンパク質の組み換え発現を調節するためのハイブリッドプロモーターに関する。本発明のプロモーターは、ラットEF−1αイントロン配列に操作可能に連結されるmCMVエンハンサー配列を含む。「muCMV」と互換可能に使用される用語「mCMV」は、ベータヘルペスウイルス亜科(subfamily betaherpesviridae)のヘルペスウイルスである、マウスのサイトメガロウイルスを指す。mCMVは、マウスに対し宿主特異性を有するエンベロープ型の二本鎖DNAウイルスである。同様に、用語「hCMV」または互換可能に「huCMV」は、ヒトのサイトメガロウイルスを指す。
本発明に関して、「mCMVエンハンサー配列」は、
(i)mCMVエンハンサーエレメント(「mCMV−E」);およびこのmCMVエンハンサー配列の3’末端で、
(ii)CMVプロモーター配列(「CMV−P」;すなわちTATAボックスで始まり、かつTATAボックス〜転写の開始部位を含むヌクレオチド配列のセグメント):を含み;このCMVプロモーター配列は、mCMV、hCMV、サルCMV、ラットCMV、もしくは他のいずれかの様々なCMVに由来してよく、またはCHO細胞などの哺乳類細胞において転写を可能するよう機能的である、最適化されたバージョンのCMV−Pであってよい。
用語「組み換え」は、物質(たとえば、核酸またはポリペプチド)が、ヒトの介入により人工的にまたは合成的に(すなわち天然ではなく)変更されていることを示す。この変更は、その天然の環境または状態内で、または天然の環境または状態から離れて物質に対し行われてよい。たとえば「組み換え核酸」は、たとえばクローニング、DNAシャフリングまたは他のよく知られた分子生物学的な手法の間に、核酸を組み換えることにより作製される核酸である。このような分子生物学的な手法の例は、Maniatis et al., Molecular Cloning. A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1982)で見いだされる。「組み換えDNA分子」は、このような分子生物学的な技術の手段により共に結合されたDNAのセグメントから構成される。本明細書中で使用される用語「組み換えタンパク質」または「組み換えポリペプチド」は、組み換えDNA分子を使用して発現されるタンパク質分子を指す。「組み換え宿主細胞」は、組み換え核酸を含むおよび/または発現する細胞である。
ポリペプチド、核酸、宿主細胞などの生物学的な物質に関連して本明細書にわたり使用される用語「天然に存在する」は、天然で見いだされる物質を指す。
用語「制御配列」または「制御シグナル」は、特定の宿主細胞において、それが結合されるコード配列の発現およびプロセシングに影響を与えることができるポリヌクレオチド配列を指す。このような制御配列の性質は、宿主生物に依存し得る。特定の実施形態では、原核生物に関する制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終結部位を含み得る。真核生物に関する制御配列は、1つまたは複数の、転写因子に関する認識部位、転写エンハンサー配列またはエレメント、ポリアデニル化部位、および転写終結部位を含むプロモーターを含み得る。制御配列は、リーダー配列および/または融合パートナー配列を含んでよい。プロモーターおよびエンハンサーは、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用するDNAの短いアレイからなる(Maniatis, et al., Science 236:1237 (1987))。プロモーターおよびエンハンサーのエレメントは、酵母、昆虫および哺乳類の細胞、およびウイルスの遺伝子を含む、様々な真核生物の供給源から単離されている(類似の調節エレメント、すなわちプロモーターは、原核生物でも見出される)。特定のプロモーターおよびエンハンサーの選択は、対象とするタンパク質を発現するためにどの細胞種を使用するかに依存する。真核生物のプロモーターおよびエンハンサーには、幅広い範囲の宿主を有するものもあり、限定した細胞種のサブセットで機能的であるものもある(論評に関しては、Voss, et al., Trends Biochem. Sci., 11:287 (1986) and Maniatis, et al., Science 236:1237 (1987)を参照されたい)。
「プロモーター」は、RNAポリメラーゼが、1つまたは複数の下流の構造遺伝子によるメッセンジャーRNAの転写を開始するために結合する部位を含むDNAの領域である。プロモーターは、DNA上の同じ鎖および上流(センス鎖の5’領域に向かって)で、遺伝子の転写開始部位の近くに位置する。プロモーターは、概して約100〜1000bpの長さである。
一般的に、「エンハンサー」は、ある遺伝子の転写を活性化させるために1つまたは複数のアクチベータタンパク質(転写因子)と結合できるDNAの短い(50〜1500bp)領域である。
本発明のハイブリッドプロモーターに有用なmCMVエンハンサー配列は、配列番号2のヌクレオチド配列に少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含み、それはヌクレオチド位588で始まるCMVプロモーター(CMV−P)配列をその3’末端で含む(配列番号2において太字で下線が引かれている配列)(TATAボックスおよび転写開始点を含む、すなわち、TATAAGAGG CGCGA C CAGCG TCGG TACCG//配列番号28;下の配列番号2中で太字で下線が引かれている;配列番号28は配列番号26も含む)。
Figure 2019503179
本発明のハイブリッドプロモーターに有用な別の例示的なmCMVエンハンサー配列は、配列番号33のヌクレオチド配列に少なくとも95%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含み、それは588位で始まるCMVプロモーター配列をその3’末端で含み(配列番号33において太字で下線が引かれている配列)(TATAボックスおよび転写開始点、すなわち、TATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGTTCGTCTCTAGACGCCAACCG//配列番号35;下の配列番号33中で太字で下線が引かれている配列;配列番号35は配列番号24も含む)。
Figure 2019503179
Figure 2019503179
テトラサイクリン誘導性発現が望ましいいくつかの有用な実施形態では、本発明のハイブリッドプロモーターは、mCMVエンハンサー配列の3’末端でCMVプロモーター(CMV−P)内に挿入される、mCMVエンハンサー配列に対し3’で操作可能に連結される1つまたは複数のTetO配列を含む。「TetO配列」は、テトラサイクリンリプレッサータンパク質(TetR)に結合する能力を維持する、ヌクレオチド配列を意味する。TetO配列は、対象とする遺伝子の転写を駆動するプロモーター中にTetOを有していない対照、またはTetRを有していない対照と比較して、TetRの存在下で、TetOへのTetRの結合があり、それにより検出可能な度合に転写を妨害するように配置される。TetO配列の例として、配列番号29(TCCCTATCAGTGATAGAGATCTCCCTATCAGTGATAGAGA//配列番号29)と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の配列同一性を有する配列、または配列番号34(CTCCCTATCAGTGATCAGTTCCTCCCTATCAGTGATAGAGA//配列番号34)と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の配列同一性を有する配列が、挙げられる。いくつかの有用な実施形態では、TetO配列に対して5’または3’に追加的なヌクレオチド配列が存在してよく、またはTetRタンパク質に結合できる能力が排除されない限り、介在性のヌクレオチドリンカー配列が存在し得る。
本発明の文脈の中での「抑制」または「抑制された」は、対象とする遺伝子の発現を駆動するプロモーター中のTetO結合部位にTetRタンパク質が結合する場合に起こり、細胞(TetRを発現する細胞である)による対象とするタンパク質の発現の減少をもたらす、対象とする遺伝子(対象とするタンパク質をコードする遺伝子)の転写の妨害を指す。対象とする遺伝子または対象とするタンパク質の発現は、培地中のテトラサイクリンの存在下で、対象とするタンパク質の発現が、培地中のテトラサイクリンの不在下での細胞による発現の基底値よりも、少なくとも1.5倍超である場合に、「抑制解除された」と言われる。
「テトラサイクリン」は、テトラサイクリン、またはドキシサイクリン、アンヒドロテトラサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、クロルテトラサイクリン、もしくはCOL−3(化学的に修飾されたテトラサイクリン―3)などのテトラサイクリンの類似体を意味する。
本発明のハイブリッドプロモーターに有用なラットのEF−1αイントロン配列は、配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
Figure 2019503179
また、本発明のハイブリッドプロモーターは、操作可能な方向で、mCMVエンハンサーの3’でおよびEF−1αイントロン配列の5’で操作可能に連結される、介在性の第1のリーダー配列も含む。介在性の第1のリーダー配列は、約10〜200個の長さのヌクレオチド残基、より好ましくは約10〜60個の長さのヌクレオチド残基、またはさらにより好ましくは約20〜50個の長さのヌクレオチド残基であり、20kcal超の安定性を伴ういずれの二次構造も欠如しており、いずれのATG翻訳開始部位も欠如している。有用な第1のリーダー配列の例は、アデノウイルス3要素リーダー(TPL)に由来する非翻訳(5’UTR)リーダー配列、すなわち配列番号3のヌクレオチド配列である。
Figure 2019503179
また、本発明のハイブリッドプロモーターは、操作可能な方向で、EF−1αイントロン配列の3’で操作可能に連結される第2のリーダー配列を含む。第2のリーダー配列は、約5〜200個の長さのヌクレオチド残基、より好ましくは約10〜200個の長さのヌクレオチド残基、またはさらにより好ましくは約10〜150個の長さのヌクレオチド残基であり、20kcal超の安定性を伴ういずれの二次構造も欠如しており、いずれのATG翻訳開始部位も欠如している。有用な第2のリーダー配列の例は、アデノウイルス3要素リーダー(TPL)に由来する、別の非翻訳(5’UTR)リーダー配列、すなわち配列番号5のヌクレオチド配列である。
Figure 2019503179
有用なリーダー配列および設計の原則の他の例に関しては、たとえばMignone, F. et al., Untranslated regions of mRNAs. Genome Biology, 3(3):reviews0004.1−0004.10 (2002))を参照されたい。この文献全体は本明細書中参照として援用される。上述の特徴を伴う任意の適切なリーダー配列を、本発明の実務に使用できる。
本発明のハイブリッドプロモーターの1つの有用な実施形態は、以下の、配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含むプロモーターであり、それはmCMV GenBank: L06816.1、ヌクレオチド4067−4682、ラットEF−1αイントロン Genbank:AC158987.3、ヌクレオチド22137−21728;および小文字で下線が引かれる介在性の第1のリーダー配列(配列番号3);ならびにイタリック体の小文字で下線が引かれる第2のリーダー配列(配列番号5)を含む。
Figure 2019503179
Figure 2019503179
本発明のハイブリッドプロモーターの追加的な有用な実施形態の例として、(i)配列番号30(pJV57中でのように、TetOを含むハイブリッドプロモーター配列)、(ii)配列番号31(pJV59などにおける、最適化したhCMVプロモーター配列を伴うmCMVエンハンサーエレメントを含むハイブリッドプロモーター)、および(iii)配列番号32(pJV60中でのように、最適化されたhCMVプロモーター配列および最適化されたTetO配列を伴うmCMVエンハンサーエレメントを含むハイブリッドプロモーター)が挙げられる:
Figure 2019503179
Figure 2019503179
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Figure 2019503179
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本明細書中で使用される、「操作可能な組み合わせで」、「操作可能な順序で」および「操作可能に連結される」との文言は、所定の遺伝子の転写を指示できる核酸分子、および/または所望のタンパク質分子の合成がもたらされるような形での核酸配列の連結を指す。この用語はまた、機能的なタンパク質が産生されるような形でのアミノ酸配列の連結を指す。たとえば、タンパク質をコードする配列に「操作可能に連結される」ベクター中の制御配列は、制御配列の転写活性と適合可能な条件下でこのタンパク質をコードする配列の発現が達成されるように、それに結合される。
「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中互換可能に使用され、ペプチド結合を介して共有結合的に連結される2つ以上のアミノ酸の分子鎖を含む。この用語は、特定の長さの産物を指すものではない。よって、「ペプチド」および「オリゴペプチド」は、ポリペプチドの定義の中に含まれる。この用語は、たとえば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など、ポリペプチドの翻訳後修飾を含む。さらに、タンパク質のフラグメント、類似体、変異したタンパク質またはバリアントタンパク質、融合タンパク質などは、ポリペプチドの意味の中に含まれる。この用語はまた、1つまたは複数のアミノ酸の類似体または非標準のアミノ酸または天然ではないアミノ酸が、既知のタンパク質工学の技術を使用して組み換えで発現できる場合に含まれる分子も含む。さらに、融合タンパク質は、よく知られている有機化学技術により本明細書中に記載されるように誘導体化され得る。
ポリペプチド(たとえばイムノグロブリン、または抗体)の「バリアント」は、別のポリペプチド配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸残基がアミノ酸配列中に挿入され、アミノ酸配列から欠失されかつ/またはアミノ酸配列中で置き換えられる、アミノ酸配列を含む。バリアントは融合タンパク質を含む。
用語「融合タンパク質」は、タンパク質が、1超の親のタンパク質またはポリペプチドに由来するポリペプチドの成分を含むことを意味する。概して、融合タンパク質は、1つのタンパク質由来のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列が、異なるタンパク質由来のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列とインフレームで付加され、任意に、異なるタンパク質由来のポリペプチド配列をコードするヌクレオチドとリンカーにより分離される、「融合遺伝子」から発現される。よって、融合遺伝子は、単一のタンパク質として、組み換え宿主細胞により発現され得る。
「分泌される」タンパク質は、分泌シグナルペプチド配列の結果としてER、分泌小胞、または細胞外空間に向かうことができるタンパク質、および、必ずしもシグナル配列を伴わずに細胞外空間へと放出されるタンパク質を指す。分泌されるタンパク質が、細胞外空間へ放出される場合、分泌されるタンパク質は、「成熟した」タンパク質を産生するための細胞外プロセシングを受け得る。細胞外空間への放出は、エキソサイトーシスおよびタンパク質切断を含む多くの機構によって起こり得る。本発明の方法の他のいくつかの実施形態では、対象とするタンパク質は、分泌されるタンパク質として宿主細胞により合成され、これは次いで細胞外空間および/または培地からさらに精製され得る。
本明細書中で使用されるように、宿主細胞で組み換えDNA技術により産生されるタンパク質に関連する場合「可溶性の」は、水溶液中に存在するタンパク質である;タンパク質がツインアルギニンのシグナルアミノ酸配列を含む場合、可溶性のタンパク質は、グラム陰性細菌宿主でペリプラズムへと輸送され、または分泌ができる真核生物の宿主細胞により、もしくは適切な遺伝子(たとえばkil遺伝子)を有する細菌の宿主により培養培地へと分泌される。よって、可溶性のタンパク質は、宿主細胞の内側の封入体中に見いだされないタンパク質である。あるいは、文脈に応じて、可溶性タンパク質は、細胞膜に統合されて見いだされないタンパク質、または、in vitroにおいて、対象とする水性バッファー中に他のタンパク質を含まずに生理学的条件下で懸濁される場合、有意な量の不溶性凝集物を形成することのない(すなわち総タンパク質の10%未満、概して約5%未満の凝集物を形成する)生理学的条件下で水性バッファー中に溶解されるもしくは溶解され得るタンパク質であり、そのようなバッファーは尿素、グアニジウム塩酸塩、もしくは過塩素酸リチウムなどの界面活性剤またはカオトロピック剤を含まない。対照的に、不溶性タンパク質は、宿主細胞で細胞質顆粒(封入体と呼ばれる)の内側で変性した形態で存在するタンパク質であり、または、繰り返しになるが文脈に応じて、不溶性タンパク質は、限定するものではないが、細胞膜、ミトコンドリア膜、葉緑体膜、小胞体膜などを含む細胞膜に存在するタンパク質、もしくは、in vitroにおいて、対象とする水性バッファー中に他のタンパク質を含まずに生理学的条件下で懸濁される(生理学的に適合可能な温度で)場合、有意な量の不溶性凝集物を形成する(すなわち総タンパク質の10%以上の凝集物を形成する)生理学的条件下で、水性バッファー中にあるタンパク質であり、そのようなバッファーは尿素、グアニジウム塩酸塩、もしくは過塩素酸リチウムなどの界面活性剤またはカオトロピック剤を含まない。
用語「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、2つ以上のヌクレオチド残基を含む、一本鎖および二本鎖のヌクレオチドポリマーの両方を含む。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチド残基は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド、またはいずれかの種類のヌクレオチドの修飾された形態であってよい。上記の修飾物は、ブロモウリジンおよびイノシンの誘導体などの塩基修飾物、2’,3’―ジデオキシリボースなどのリボース修飾物、ならびにホスホロチオエート、ホスホロジチオアート、ホスホセレノエート(phosphoroselenoate)、ホスホジセレノエート(phosphorodiselenoate)、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホアニラダート(phosphoraniladate)、およびホスホロアミダード(phosphoroamidate)などのヌクレオチド間結合修飾物を含む。
用語「オリゴヌクレオチド」は、200以下のヌクレオチド残基を含むポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10〜60個の長さの塩基である。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、または20〜40個の長さのヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドは、たとえば変異遺伝子の構築で使用するために、一本鎖または二本鎖であってよい。オリゴヌクレオチドは、センス鎖またはアンチセンス鎖のオリゴヌクレオチドであってよい。オリゴヌクレオチドは、検出アッセイ用に、放射標識、蛍光標識、ハプテンまたは抗原性標識を含む、標識を含んでよい。オリゴヌクレオチドは、たとえば、PCRプライマー、クローニングのプライマーまたはハイブリダイゼーションのプローブとして使用されてよい。
本明細書中で互換可能に使用される「ポリヌクレオチド配列」または「ヌクレオチド配列」または「核酸配列」は、文脈に応じて、オリゴヌクレオチド、DNA、およびRNA、核酸、またはヌクレオチド残基の一次配列を表す文字列の一次配列を含む、ポリヌクレオチドにおけるヌクレオチド残基の一次配列である。いずれかの特定されたポリヌクレオチド配列から、所定の核酸配列または相補的なポリヌクレオチド配列のいずれかを決定できる。一本鎖または二本鎖であり得、センス鎖またはアンチセンス鎖を表し得る、ゲノム供給源または合成の供給源のDNAまたはRNAが含まれる。特段に他の記載がない限り、本明細書中に論述されるいずれかの一本鎖のポリヌクレオチド配列の左手側の端部は、5’末端であり;二本鎖のポリヌクレオチド配列の左手方向は、5’方向と呼ばれる。新生のRNA転写物の5’から3’への付加の方向は、転写方向と呼ばれる;RNA転写物の5’末端に対して5’であるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と呼ばれる;RNA転写物の3’末端に対して3’であるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と呼ばれる。
本明細書中で使用されるように、「単離された核酸分子」または「単離された核酸配列」は、(1)核酸の天然の供給源に、通常関連している少なくとも1つの混入物の核酸分子から同定されかつ分離された核酸分子、または(2)クローン化され、増幅され、タグ化され、または対象とする核酸配列を決定できるようにバックグラウンド核酸と区別された核酸分子である。単離された核酸分子は、天然で見いだされる形態または状況外にある。しかしながら、単離された核酸分子は、たとえばその核酸分子が天然の細胞の染色体の位置と異なる位置にあるイムノグロブリン(たとえば抗体)を通常発現する細胞に含まれる核酸分子を含む。
本明細書中で使用されるように、「〜をコードする核酸分子」および「〜をコードするDNA配列」との文言は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または配列を指す。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序は、mRNAに沿ったリボヌクレオチドの順序を決定し、またポリペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順序も決定する。DNA配列はよって、RNA配列およびアミノ酸配列をコードする。
用語「遺伝子」は、生物学的な機能に関連した任意の核酸を指すように広く使用される。遺伝子は概して、コード配列および/または当該コード配列の発現に必要な制御配列を含む。用語「遺伝子」は、特異的なゲノム配列または組み換え配列、および当該配列によりコードされるcDNAまたはmRNAに当てはまる。遺伝子はまた、たとえば、他のタンパク質に関する認識配列を形成する、非発現型の核酸セグメントをも含む。転写因子などの制御タンパク質が結合する転写制御エレメントを含む非発現型の制御配列は、配列に隣接してまたはその近くで転写をもたらす。
「遺伝子の発現」または「核酸の発現」は、文脈により示されるように、DNAのRNAへの転写(任意にRNAの修飾、たとえばスプライシングを含む)、RNAのポリペプチドへの翻訳(場合により、その後のポリペプチドの翻訳後修飾を含む)、または転写および翻訳の両方を意味する。
本発明は、本発明のハイブリッドプロモーターを含む発現カセットに関する。真核生物の「発現カセット」は、哺乳類細胞などの真核細胞でのタンパク質の産生を可能にする発現ベクターの一部を指す。これは、mRNAの転写に関して真核細胞で作動可能なプロモーター、対象とするタンパク質(複数可)をコードする1つまたは複数の遺伝子ならびにmRNAの終結およびプロセシングシグナルを含む。発現カセットは、選択マーカーとして有用な遺伝子を、コード配列の中に有用であるように含んでよい。本発明の発現カセットにおいて、ハイブリッドプロモーターが、対象とする外因性タンパク質をコードするオープンリーディングフレームの5’で操作可能に連結され;ポリアデニル化部位が、オープンリーディングフレームの3’で操作可能に連結される。有用なポリアデニル化部位の配列の一実施形態は、SV40 lateポリアデニル化部位である配列番号14である。
Figure 2019503179
発現カセットが操作可能なままである限り、他の適切な制御配列も含まれてよい。オープンリーディングフレームは任意に、1超の対象とするタンパク質に関するコード配列を含んでよい。
本明細書中で使用されるように、構造遺伝子に関連して使用される場合の用語「コード領域」または「コード配列」は、mRNA分子の翻訳の結果としての新生のポリペプチドで見いだされるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を指す。コード領域は、真核生物において、イニシエーターのメチオニンをコードするヌクレオチドの3つ組「ATG」により5’側で、およびストップコドンを特定する3つの3つ組(すなわちTAA、TAG、TGA)の1つにより3’側で結合される。
本発明はまた、本発明の発現カセットを含む組み換え発現ベクターも包有する。
用語「ベクター」は、タンパク質コードの情報を宿主細胞中に送るために使用される任意の分子または実体(たとえば核酸、プラスミド、バクテリオファージまたはウイルス)を意味する。
本明細書中で使用される用語「発現ベクター」または「発現コンストラクト」は、望ましいコード配列および、特定の宿主細胞での操作可能に連結されたコード配列の発現に必要な適切な核酸の制御配列を含む組み換えDNA分子を指す。発現ベクターは、限定するものではないが、転写、翻訳に影響を与えるまたはそれを制御する、および、イントロンが存在する場合は、それに操作可能に連結されたコード領域のRNAスプライシングに影響を与える配列を含んでよい。原核生物での発現に必要な核酸配列は、プロモーター、任意にオペレーター配列、リボソーム結合部位および場合によっては他の配列を含む。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー、ならびに終結およびポリアデニル化シグナルを利用することが知られている。分泌シグナルペプチド配列もまた、任意に、発現ベクターによりコードされ、対象とするコード配列に操作可能に連結されてよく、それにより、発現されるポリペプチドを、必要な場合に、細胞からの対象とするポリペプチドのより容易な単離のために、組み換え宿主細胞により分泌させることができる。このような技術は当該分野でよく知られている(たとえば、Goodey, Andrew RらのPeptide and DNA sequences、米国特許第5,302,697号;WeinerらのCompositions and methods for protein secretion、米国特許第6,022,952号および米国特許第6,335,178号;Uemura らのProtein expression vector and utilization thereof、米国特許第7,029,909号;Rubenらの27 human secreted proteins,米国特許公開公報第2003/0104400号)。対象とする複数のサブユニットタンパク質の発現のため、それぞれが異なる各モノマーに関するコード配列を含む、適切な数および割合での別々の発現ベクターを、宿主細胞を形質転換するために使用できる。他の実施形態では、単一の発現ベクターを使用して対象とするタンパク質の異なるサブユニットを発現できる。
本発明はまた、本発明の組み換え発現ベクターを含む哺乳類の宿主細胞に関する。
用語「宿主細胞」は、核酸で形質転換されている、または形質転換でき、それにより対象とする遺伝子を発現する細胞を意味する。この用語は、対象とする遺伝子が存在している限り、後代が形態または遺伝的な構成において元の親細胞と同一であるかどうかに関わらず、親細胞の後代を含む。多数の利用可能でありよく知られている宿主細胞のいずれかを、本発明の実務に使用してよい。特定の宿主の選択は、当該分野により認識される多くの要因に依存する。これらの要因として、たとえば、選択した発現ベクターとの適合可能性、DNA分子によりコードされるペプチドの毒性、形質転換の比率、ペプチドの回収の容易さ、発現の特徴、バイオセーフティおよび費用が挙げられる。これらの要因のバランスは、すべての宿主が特定のDNA配列の発現に関して等しく有効ではないという理解と関係がなければならない。これらの一般的なガイドラインの中で、培養において有用な微生物の宿主細胞として、細菌(エシェリキア属など)、酵母(サッカロマイセス属)など)、および他の真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類(ヒトを含む)の細胞、たとえばCHO細胞およびHEK−293細胞が挙げられる。修飾をDNAレベルで行ってもよい。ペプチドをコードするDNA配列を、選択された宿主細胞とより適合可能なコドンに変化させてよい。大腸菌に関しては、最適化されたコドンは当該分野で知られている。コドンは制限部位を排除するように置換でき、またはサイレント制限部位(silent restriction site)を含むように置換でき、これは選択された宿主細胞におけるDNAのプロセシングを支援し得る。次に、形質転換された宿主が、培養および精製される。宿主細胞は、所望の化合物が発現されるように従来の発酵条件下で培養されてよい。このような発酵条件は、当該分野でよく知られている。
有用な哺乳類の宿主細胞株の例は、CHO−K1細胞(たとえば、ATCC CCL61)、DXB−11、DG−44、およびチャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO, Urlaub et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216 (1980))を含む、チャイニーズハムスター卵巣細胞;SV40により形質転換されたサルの腎臓のCV1細胞株(COS−7, ATCC CRL 1651);ヒトの胎児腎臓細胞株(293細胞もしくは懸濁培養で増殖させるためにサブクローニングされた293細胞)[Graham et al, J. Gen Virol. 36: 59 (1977)];ベビーハムスター腎臓細胞(BHK, ATCC CCL 10);マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod. 23: 243−251 (1980));サルの腎臓細胞(CVl ATCC CCL 70);アフリカミドリザルの腎臓細胞(VERO−76, ATCC CRL−1587);ヒトの子宮頸癌細胞(HELA, ATCC CCL 2);イヌの腎臓細胞(MDCK, ATCC CCL 34);バッファローもしくはラットの肝細胞(BRL 3A, ATCC CRL 1442);ヒトの肺細胞(W138, ATCC CCL 75);ヒトの肝細胞癌細胞(Hep G2, HB 8065);マウスの***腫瘍(MMT 060562, ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al, Annals N.Y Acad. Sci. 383: 44−68 (1982));MRC 5細胞もしくはFS4細胞;または哺乳類の骨髄腫の細胞である。
「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養物」は、多くの場合互換可能に使用され、本明細書中の当該表記のすべては、細胞の後代を含む。たとえば、CHO細胞に「由来する」細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞の細胞後代であり、それはいずれかの数の世代で、元の初代細胞の親から除去されていてよく、それはまた形質転換体の後代細胞を含んでもよい。形質転換体および形質転換された細胞は、導入の回数に関わらず、初代の対象とする細胞およびそれらに由来する培養物を含む。また、後代のすべてが、計画的なまたは偶発的な変異のため、DNA含有量において正確に同一ではない場合があることも理解される。もともと形質転換された細胞においてスクリーニングされたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異後代が、含まれる。
宿主細胞は、ポリペプチド(抗原結合タンパク質、たとえば抗体を含む)の産生のために、上述の核酸またはベクターで形質転換またはトランスフェクトされ、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適宜改変される従来の栄養培地中で培養される。さらに、選択マーカーにより分離される転写ユニットの複数のコピーを有する新規のベクターおよびトランスフェクトされた細胞株は、抗体などのポリペプチドの発現に特に有用である。
用語「トランスフェクション」は、細胞による外来性または外因性のDNAの取り込みを意味し、細胞は、外因性DNAが細胞膜の内側に導入された場合、「トランスフェクトされ」ている。多くのトランスフェクションの技術が、当該分野でよく知られており、本明細書中に開示される。たとえばGraham et al., 1973, Virology 52:456; Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, supra; Davis et al., 1986, Basic Methods in Molecular Biology, Elsevier; Chu et al., 1981, Gene 13:197を参照されたい。このような技術を使用して、1つまたは複数の外因性DNA部分を適切な宿主細胞中に導入できる。
用語「形質転換」は、細胞の遺伝的な特徴の変化を指し、細胞は、新規のDNAまたはRNAを含むように改変された場合、形質転換されている。たとえば、細胞が形質転換されると、それはトランスフェクション、形質導入、または他の技術を介して新規の遺伝子材料を導入することにより、その天然の状態から遺伝的に改変される。トランスフェクションまたは形質導入に続き、形質転換するDNAは、細胞の染色体中に物理的に統合することにより細胞のDNAと再度組み換えてもよく、または複製されることなくエピソーム部分として一時的に維持されてもよく、またはプラスミドとして独立して複製してもよい。細胞は、形質転換するDNAが細胞の***とともに複製される場合に、「安定に形質転換され」ているとみなされる。
本発明はまた、対象とするタンパク質を産生する方法であって、対象とするタンパク質の発現を可能にする生理学的条件下にて水系培地中で、哺乳類の宿主細胞を培養することと、上記培地から対象とするタンパク質を回収することとを含む、方法に関する。
本発明に有用なポリペプチドを産生するために使用される宿主細胞は、様々な培地中で培養されてよい。ハムF10培地(Sigma)、最小必須培地((MEM)(Sigma)、RPMI−1640培地(Sigma)、およびダルベッコ変法イーグル培地((DMEM), Sigma)などの市販の培地が、宿主細胞の培養に適している。さらに、Ham et al., Meth. Enz. 58: 44 (1979)、Barnes et al., Anal. Biochem. 102: 255 (1980)、米国特許第4,767,704号;同4,657,866号;同4,927,762号;同4,560,655号;もしくは同5,122,469号;WO90103430号;国際特許公開公報第87/00195号;または米国再特許(U.S.Patent Re)第30,985号に記載される培地のいずれかを、宿主細胞用の培養培地として使用してよい。これら培地のいずれかに、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩など)、バッファー(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生剤(Gentamycin(商標)薬物など)、微量元素(マイクロモル濃度の範囲の最終濃度で通常は存在する無機化合物として定義される)、およびグルコースまたは同等のエネルギー供給源を補充してよく、これにより、当該培地中のまたは培地における細胞の生理学的条件が、宿主細胞による対象とするタンパク質の発現を促進し;他のいずれかの必要な補助物質がまた、当業者に知られているであろう適切な濃度で含まれていてもよい。温度(必ずというわけではないが、通常は約37℃)、pH(必ずというわけではないが、通常はpH6.5〜7.5)、酸素供給などの培養条件は、対象とするタンパク質の発現のため選択された宿主細胞で従来通り使用される条件であり、これは当業者にとって明らかである。培養培地は、ウシ胎児血清(FBS)などの適量の血清を含んでよく、または好ましくは、宿主細胞は、無血清培地での培養に適合させることができる。いくつかの実施形態では、水系培地は液体であり、これにより宿主細胞は液体培地内の細胞懸濁液で培養される。宿主細胞は、バッチ培養または連続培養システムで有効に増殖させることができる。
他の実施形態では、哺乳類の宿主細胞は、それに細胞が接着し接着層を形成する培地または基板の表面を形成するための、たとえば、寒天またはアガロースを含む、固体または半固体の水系培地で培養されてよい。
宿主細胞を培養する際、組み換えポリペプチドを、ペリプラズム空間で、細胞内で産生でき、または培地中に直接分泌できる。抗原結合タンパク質(たとえば抗体)などのポリペプチドが細胞内で産生される場合、第1のステップとして、特定のデブリである、宿主細胞または溶解したフラグメントを、たとえば遠心分離または限外濾過により除去する。
対象とするタンパク質、たとえば抗体または抗体フラグメントは、たとえば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、陽イオンもしくは陰イオン交換クロマトグラフィー、または好ましくは、アフィニティリガンドとして対象とする抗原もしくはプロテインAもしくはプロテインGを使用する、アフィニティクロマトグラフィーを使用して、精製できる。プロテインAを使用して、ヒトのγ1、γ2、またはγ4重鎖に基づくポリペプチドを含むタンパク質を精製できる(Lindmark et al., J. Immunol. Meth. 62: 1−13 (1983))。プロテインGは、すべてのマウスのアイソタイプおよびヒトのγ3に対して推奨される(Guss et al, EMBO J. 5: 15671575 (1986))。アフィニティリガンドが結合されるマトリックスは、ほとんどの場合ではアガロースであるが、他のマトリックスが利用可能である。制御された細孔ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの物理的に安定なマトリックスは、アガロースで達成されるよりも速い流速および短い処理時間を可能にする。タンパク質がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker,ニュージャージー州フィリップスバーグ)が、精製に有用である。エタノール沈殿、逆相HPLC、等電点電気泳動、SDS−PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿などのタンパク質の精製に関する他の技術もまた、回収される抗体に応じて可能である。
バッファーおよびイムノグロブリン、または他の結合アッセイの試薬をインキュベートすることに関する「生理学的な条件下」は、非共有結合反応などの生化学的な反応を起こさせる温度、pH、およびイオン強度の条件下でのインキュベーションを意味する。概して、温度は、最大で約37℃の室温または大気温度であり、pHは、6.5〜7.5である。
組成物の「生理学的に許容可能な塩」、たとえば、抗体または対象とする他のタンパク質などのイムノグロブリンの塩は、薬学的に許容可能であることが知られているまたは後に発見される、任意の塩または複数の塩を意味する。薬学的に許容可能な塩のいくつかの非限定的な例は、酢酸塩;トリフルオロ酢酸塩;ハロゲン化水素塩、たとえば塩酸塩および臭化水素酸塩;硫酸塩;クエン酸塩;マレイン酸塩;酒石酸塩;グリコール酸塩;グルコン酸塩;コハク酸塩;メシル酸塩;ベシル酸塩;没食子酸エステルの塩(没食子酸は、3,4,5トリヒドロキシ安息香酸としても知られる)、たとえばペンタガロイルグルコース(PGG)およびエピガロカテキンガラート(EGCG)、コレステロール硫酸の塩、パモ酸塩、タンニン酸塩、およびシュウ酸塩である。
「反応混合物」は、インキュベーションの生理学的条件下で、in vitroでの対象とする生化学的な反応、たとえば共有結合または非共有結合の反応を起こさせる、必要なすべての試薬および因子を含む水性の混合物である。
ポリヌクレオチドの「ドメイン」または「領域」(本明細書中で互換可能に使用される)は、最大で完全なポリヌクレオチドを含むが、概して完全なポリペプチドより少ないポリペプチドを含む、ポリヌクレオチド全体の任意の部分である。ドメインは、必ずしも必要ではないが、ポリヌクレオチド鎖の残りとは独立して折りたたむことができ(たとえばDNAヘパリンフォールディング)、かつ/または特定の生物学的、生化学的、もしくは構造上の機能または位置、たとえばコード領域もしくは制御領域と相関される。
タンパク質の「ドメイン」または「領域」(本明細書中で互換可能に使用される)は、最大で完全なタンパク質を含むが、概して完全なタンパク質よりも少ないタンパク質を含む、タンパク質全体の任意の部分である。ドメインは、必ずしも必要ではないが、タンパク質鎖の残りとは独立して折りたたむことができ、かつ/または特定の生物学的、生化学的、もしくは構造上の機能または位置(たとえばリガンド結合ドメイン、もしくは細胞質ドメイン、膜貫通型ドメインもしくは細胞外ドメイン)と相関される。
用語「抗体」、または互換可能に「Ab」は、最も広い意味で使用され、完全に会合した抗体、モノクローナル抗体(ヒトの抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(たとえば二重特異性抗体)、ならびに、それらが所望の生物学的な活性を呈する限り上記の相補性決定領域(CDR)を含む、抗原を結合できる抗体フラグメント(たとえばFab、Fab’、F(ab’)、Fv、一本鎖抗体、ジアボディ)を含む。化学的に誘導体化された抗体を含む、インタクトな分子および/またはフラグメントの多量体または凝集物が、考慮される。IgG、IgM、IgD、IgA、およびIgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2、または任意のアロタイプを含む、任意のアイソタイプのクラスまたはサブクラスの抗体が、考慮される。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有し、たとえば、IgG1およびIgG3のアイソタイプは、抗体依存性の細胞傷害(ADCC)活性を有する。
「単離された」タンパク質、たとえば抗体または抗体フラグメントなどのイムノグロブリンは、その天然の環境の、または産生細胞により分泌されている培養培地の、1つまたは複数の成分から同定および分離されているタンパク質である。いくつかの実施形態では、単離されたタンパク質は、治療、診断、予防、研究または他の用途を妨害する、その天然のまたは培養培地の環境で見いだされるタンパク質またはポリペプチドまたは他の混入物を実質的に含まない。その天然の環境または培地の「混入物」の成分は、タンパク質、たとえば抗体に関する診断または治療上の使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質(たとえばポリヌクレオチド、脂質、炭水化物)を含んでよい。概して、「単離したタンパク質」は、所定の試料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約50%を構成する。いくつかの実施形態では、対象とするタンパク質、たとえば抗体は、(1)タンパク質の95重量%、最も好ましくは99重量%超まで、または(2)任意に染色、たとえばクーマシーブルーもしくは銀染色を使用して、還元条件または非還元条件下でのSDS−PAGEにより均一となるまで、精製される。単離された天然に存在する抗体は、タンパク質の天然の環境の少なくとも1つの構成要素が存在しないため、組み換え細胞内のin sutuでの抗体を含む。しかしながら、通常、対象とする単離されたタンパク質(たとえば抗体)は、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
本明細書中で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体、すなわち集合を構成する個々の抗体が、微量で存在する可能性のある天然の状態で起こり得る変異を除き同一である、実質的に均質な抗体の集合から得られる抗体を指す。抗原結合タンパク質であるモノクローナル抗体は、特異性の高い結合剤であり、異なるエピトープを対象とする異なる抗体を概して含むポリクローナル抗体の調製物とは対照的に、個別の抗原性部位またはエピトープを対象とする。モノクローナル抗体の非限定的な例として、マウスの抗体、ウサギの抗体、ラットの抗体、ニワトリの抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒトの抗体、完全に会合した抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、抗原を結合できる抗体フラグメント(Fab、Fab’、F(ab)、Fv、一本鎖抗体、ジアボディを含む)、マキシボディ(maxibodies)、ナノボディ、およびそれらが所望の生物学的な活性を呈する限り上記のCDRを含む組み換えペプチド、またはそれらの変異体もしくは誘導体が挙げられる。
修飾語句「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集合から得られる抗体の特徴を表し、いずれかの特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるものではない。たとえば、本発明にしたがい使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 [1975]により最初に記載されたハイブリドーマの方法により作製されてよく、または組み換えDNA方法(たとえば米国特許第4,816,567号を参照)により作製されてよい。「モノクローナル抗体」はまた、たとえば、Clackson et al., Nature, 352:624−628[1991] and Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581−597 (1991)に記載される技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
「多重特異性の」結合剤または抗原結合タンパク質または抗体は、1超の抗原またはエピトープを標的とするものである。
「二重特異性の(bispecific、dual−specific)」または「二重機能的な(bifunctional)」結合剤または抗原結合タンパク質または抗体は、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッドである。二重抗原(Biantigen)結合タンパク質、抗原結合タンパク質および抗体は、多重抗原結合タンパク質、抗原結合タンパク質または多重特異性抗体の一種であり、限定するものではないが、ハイブリドーマの融合またはFab’フラグメントの連結を含む様々な方法により産生され得る(たとえば、Songsivilai and Lachmann, 1990, Clin. Exp. Immunol. 79:315−321; Kostelny et al., 1992, J. Immunol. 148:1547−1553; Spiess et al., Alternative molecular formats and therapeutic applications for bispecific antibodies, Mol. Immunol. 67:95−106 (2015)参照)。二重特異性の抗原結合タンパク質または抗体の2つの結合部位は2つの異なるエピトープに結合し、それらは同じまたは異なるタンパク質の標的上に存在し得る。
用語「イムノグロブリン」は、それぞれが軽鎖(LC)に共有結合的に連結される、2つの二量体化した重鎖(HC)を含む完全な抗体;一本の二量体化していないイムノグロブリンの重鎖および共有結合的に連結された軽鎖(HC+LC)、またはキメラのイムノグロブリン(軽鎖+重鎖)‐Fcヘテロトリマー(いわゆるヘミボディ)を包有する。「イムノグロブリン」はタンパク質であるが、必ずしも抗原結合タンパク質ではない。
「抗体」において、各四量体は2つの同一のポチペプチド鎖対から構成され、それぞれの対は約220アミノ酸(約25kDa)の1つの「軽」鎖と約440アミノ酸(約50〜70kDa)の1つの「重」鎖とを有する。各鎖のアミノ末端部は、主に抗原認識に関与する110〜110個のまたはそれを超えるアミノ酸の「可変」(「V」)領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部は、主にエフェクター機能に関与する定常領域を定義する。可変領域は、異なる抗体間で異なる。定常領域は、異なる抗体間で同じである。各重鎖または軽鎖の可変領域内に、抗原結合タンパク質である抗体の場合に抗原に対する抗体の特異性を決定することを支援する、3つの超可変性の部分領域が存在する。しかしながら、本発明の範囲内では、イムノグロブリン、たとえば抗体、の一実施形態は、抗原結合タンパク質である必要はなく、または抗原に特異的に結合することが知られている必要はない。超可変領域間の可変ドメイン残基は、フレームワーク残基と呼ばれ、一般的に、異なる抗体間である程度相同である。イムノグロブリンは、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスに割り当てることができる。ヒトの軽鎖は、カッパ(κ)およびラムダ(λ)軽鎖に分類される。軽鎖および重鎖内で、可変領域および定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域により結合されており、ここで重鎖は約10個以上のアミノ酸の「D」領域も含む。一般に、Fundamental Immunology, Ch. 7 (Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989))を参照されたい。本発明の範囲内では、「抗体」は、組み換え的に作製された抗体、およびグリコシル化された抗体またはグリコシル化を欠く抗体も含む。
用語「軽鎖」または「イムノグロブリン軽鎖」は、完全長の軽鎖および結合特異性を提供するのに十分な可変領域配列を有するそのフラグメントを含む。完全長の軽鎖は、可変領域ドメインV、および定常領域ドメインCを含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にある。軽鎖は、κ鎖およびλ鎖を含む。
用語「重鎖」または「イムノグロブリン重鎖」は、完全長の重鎖および結合特異性を提供するのに十分な可変領域配列を有するそのフラグメントを含む。完全長の重鎖は、可変領域ドメインVと、3つの定常領域ドメインCH1、CH2、およびCH3とを含む。Vドメインはポリペプチドのアミノ末端にあり、Cドメインはカルボキシ末端にあり、ここでCH3はポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、ミュー(μ)、デルタ(δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)、およびイプシロン(ε)に分類され、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして抗体のアイソタイプを定義する。本発明の別々の実施形態では、重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1およびIgA2サブタイプを含む)、IgMならびにIgEを含む、いずれかのアイソタイプであり得る。これらのいくつかはさらに、サブクラスまたはアイソタイプ、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2、に分割され得る。異なるIgGのアイソタイプは、異なるエフェクター機能(Fc領域により媒介される)、たとえば抗体依存性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)、を有し得る。ADCCでは、抗体のFc領域は、ナチュラルキラー細胞およびマクロファージなどの免疫エフェクター細胞の表面上のFc受容体(Fc.gamma.Rs)に結合し、これにより標的細胞の食作用または溶解をもたらす。CDCでは、抗体は、細胞表面で補体カスケードを引き起こすことにより標的細胞を殺傷する。
「Fc領域」、または本明細書中で互換可能に使用される「Fcドメイン」もしくは「イムノグロブリンのFcドメイン」は、2つの重鎖のフラグメントを含み、これは完全な抗体において抗体のCH1ドメインおよびCH2ドメインを含む。この2つの重鎖フラグメントは、2つ以上のジスルフィド結合およびCH3ドメインの疎水性相互作用により、共に保持される。
用語「サルベージ受容体結合エピトープ」は、IgG分子のin vivoでの血清中の半減期の延長に関与する、IgG分子(たとえばIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
本発明の多くの実施形態では、対象とするタンパク質は、限定するものではないが、抗体、抗体のサブユニット、または抗体フラグメントなどの、抗原結合タンパク質である。抗体の構造および産生の詳細な説明に関しては、全体が本明細書中参照として援用されるRoth, D. B., and Craig, N. L., Cell, 94:411−414 (1998)を参照されたい。簡潔に述べると、重鎖および軽鎖のイムノグロブリン配列をコードするDNAを産生するための工程は、発達するB細胞中で主に起こる。様々なイムノグロブリンの遺伝子セグメントの再構成および結合の前に、V、D、Jおよび定常(C)の遺伝子セグメントは一般的に、単一の染色体上で比較的近接して見いだされる。B細胞の分化の間、V、D、J(または軽鎖遺伝子の場合VおよびJのみ)の遺伝子セグメントの適切なファミリーの構成員のそれぞれ1つは、重鎖および軽鎖イムノグロブリンの遺伝子の機能的に再構成された可変領域を形成するように組み換えられる。この遺伝子セグメント再構成の工程は、順次的であると思われる。まず、重鎖D―J結合部が作製され、次いで重鎖V−DJ結合部および軽鎖V−J結合部が作製される。V、DおよびJセグメントの再構成に加えて、軽鎖中でVおよびJセグメントが結合され、かつ重鎖のDおよびJセグメントが結合される位置での可変性組み換えにより、イムノグロブリン重鎖および軽鎖の基本的なレパートリーにおいてさらなる多様性が作製される。軽鎖中のこのような変化は概して、V遺伝子セグメントの最後のコドンおよびJセグメントの最初のコドン内で起こる。結合における同様の不正確さは、DセグメントとJセグメントの間の重鎖染色体上で起こり、10個に及ぶヌクレオチドを伸長させる場合がある。さらに、ゲノムDNAによりコードされないいくつかのヌクレオチドが、遺伝子セグメントDとJの間およびVとDの間に挿入され得る。これらのヌクレオチドの付加は、N領域の多様性として知られている。可変領域の遺伝子セグメントにおけるこのような再構成およびこのような結合の間に起こり得る可変性組み換えの正味の効果は、一次抗体のレパートリーの産生である。
用語「超可変性」領域は、抗原結合に関与する、抗体のアミノ酸残基を指す。超過変性領域は、相補性決定領域またはCDR由来のアミノ酸残基(すなわち、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)により記載される、軽鎖の可変ドメイン中の残基24−34(L1)、50−56(L2)および89−97(L3)、ならびに重鎖の可変ドメイン中の残基31−35(H1)、50−65(H2)および95−102(H3))を含む。単一のCDRであっても、CDRのすべてを含む抗原結合部位全体よりも親和性は低いが、抗原を認識し結合し得る。
超可変性の「ループ」由来の残基の代替的な定義は、軽鎖可変ドメイン中の残基26−32(L1)、50−52(L2)および91−96(L3)、ならびに重鎖可変ドメイン中の残基26−32(H1)、53−55(H2)および96−101(H3)として、Chothia et al., J. Mol. Biol. 196: 901−917 (1987)により記載される。
「フレームワーク」または「FR残基」は、超可変性領域の残基以外の可変領域の残基である。
「抗体フラグメント」は、インタクトな完全長の抗体の一部、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例として、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント;ジアボディ;直鎖状抗体(Zapata et al., Protein Eng.,8(10):1057−1062 (1995));一本鎖抗体分子;ならびに複数の抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。
抗体のパパイン消化は、「Fabフラグメント」と呼ばれ、それぞれが単一の抗原結合部位を有する、2つの同一の抗原結合フラグメントと、定常領域を含む残りの「Fc」フラグメントとを産生する。Fabフラグメントは、可変ドメインのすべて、ならびに軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。Fcフラグメントは糖を提示し、抗体の1クラスをその他と区別する多くの抗体のエフェクター機能(補体および細胞の受容体を結合することなど)に寄与する。
ペプシン処理は、抗体のVおよびVドメインを含む2つの「一本鎖のFv」または「scFv」の抗体フラグメントを有するF(ab’)フラグメントをもたらし、これらのドメインは単一のポリペプチド中に存在する。Fabフラグメントは、抗体のヒンジ領域由来の1つまたは複数のシステインを含む重鎖のCH1ドメインのカルボキシ末端でのいくつかの追加的な残基を含む点で、Fab’フラグメントと異なる。好ましくは、Fvポリペプチドは、Fvに抗原結合に望ましい構造を形成させることができるポリペプチドリンカーを、VHドメインとVLドメインの間にさらに含む。scFvの論述に関しては、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 1 13, Rosenburg and Moore eds., Springer−Verlag, New York, pp. 269−315 (1994)を参照されたい。
「Fabフラグメント」は、1つの軽鎖と、1つの重鎖のCH1および可変領域とから構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成できない。
「Fab’」フラグメントは、1つの軽鎖と、VドメインおよびCH1ドメインならびにCH1ドメインとCH2ドメインの間の領域も含む1つの重鎖の一部とを含み、2つのFab’フラグメントの2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合が形成されてF(ab’)分子を形成できるようにする。
「F(ab’)」フラグメントは、2つの軽鎖と、CH1ドメインとCH2ドメインの間の定常領域の一部を含む2つの重鎖とを含み、2つの重鎖の間で鎖間ジスルフィド結合が形成されるようにする。F(ab’)フラグメントはしたがって、2つの重鎖の間のジスルフィド結合により共に保持される2つのFab’フラグメントから構成される。
「Fv」は、完全な抗原認識および結合部位を含む最少の抗体フラグメントである。この領域は、堅固な、非共有結合的に会合した、1つの重鎖および1つの軽鎖の可変ドメインの二量体からなる。この構成において、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してVH VLの二量体の表面上の抗原結合部位を定義する。単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)は、結合部位全体よりも親和性は低いが、抗原を認識および結合する能力を有する。
「一本鎖抗体」は、重鎖および軽鎖の可変領域が柔軟なリンカーにより接続されて単一のポリペプチド鎖を形成し、抗原結合領域を形成する、Fv分子である。一本鎖抗体は、国際特許公開公報第88/01649号および米国特許第4,946,778号および同5,260,203号に詳細に論述されており、これら開示全体は本明細書中参照として援用される。
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVドメインおよびVドメインを含み、これらのドメインは単一ポリペプチド鎖中に存在し、Fvに、抗原結合に望ましい構造を形成させることができるポリペプチドリンカーを、VドメインとVドメインの間に任意に含む(Bird et al., Science 242:423−426, 1988, and Huston et al., Proc. Nati. Acad. Sci. USA 85:5879−5883, 1988)。「Fd」フラグメントは、VドメインおよびCH1ドメインからなる。
用語「ジアボディ」は、2つの抗原結合部位を伴う小さな抗体フラグメントを指し、これらのフラグメントは、同一のポリペプチド鎖(V)において軽鎖の可変ドメイン(V)に接続される重鎖の可変ドメイン(V)を含む。同一の鎖上の2つのドメインの間で対形成させるには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対形成しなければならず、2つの抗原結合部位を作製する。ジアボディは、たとえば欧州特許第404,097号;国際特許公開公報第93/11161号;およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444−6448 (1993)によって、さらに十分に記載される。
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含む、免疫学的に機能的なイムノグロブリンフラグメントである。いくつかの例では、2つ以上のV領域が、ペプチドリンカーで共有結合的につながれて二価ドメイン抗体を作製する。二価のドメイン抗体の2つのV領域は、同じまたは異なる抗原を標的としてもよい。
用語「抗原結合タンパク質」(ABP)は、上で定義した抗体または抗体フラグメント、および対象とする標的抗原をそれらが特異的に結合するような望ましい抗原結合特性を有するCDRに由来する配列を含む組み換えペプチドまたは他の化合物を含む。
一般的に、抗原結合タンパク質、たとえば抗体または抗体フラグメントは、同様の結合アッセイ条件下で、他の関連しないタンパク質に対するその親和性と比較して、対象とする抗原に対して有意に高い結合親和性を有し、結果的に当該抗原を区別できる場合、対象とする抗原に「特異的に結合する」。通常、抗原結合タンパク質は、解離定数(K)が10−8M以下である場合に、その標的抗原を「特異的に結合する」と言われる。抗原結合タンパク質は、Kが10−9M以下である場合「高い親和性」で抗原を特異的に結合し、Kが10−10M以下である場合「非常に高い親和性」で抗原を特異的に結合する。
「抗原結合領域」または「抗原結合部位」は、特定の抗原を特異的に結合するタンパク質の一部を意味する。たとえば、抗原と相互作用し、抗原結合タンパク質にこの抗原に対するその特異性および親和性を提供するアミノ酸残基を含む抗原結合タンパク質の一部は、「抗原結合領域」と呼ばれる。抗原結合領域は概して、1つまたは複数の相補性決定領域(complementary binding region)(CDR)を含む。特定の抗原結合領域はまた、1つまたは複数の「フレームワーク」領域(「FR」)を含む。「CDR」は、抗原の結合特異性および親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域は、抗原結合領域と抗原の間の結合を促進するためにCDRの適切な立体構造を維持することを支援できる。従来の抗体では、CDRは、重鎖および軽鎖の可変領域中のフレームワーク内に埋め込まれており、それらは抗原の結合および認識に貢献する領域を構成する。イムノグロブリン抗原結合タンパク質の可変領域は、フレームワーク領域(下記のKabat et al., 1991,による指定されたフレームワーク領域1―4であるFR1、FR2、FR3、およびFR4;また、下記のChothia and Lesk, 1987,を参照)内に、少なくとも3つの重鎖および軽鎖のCDRを含む(Kabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, Public Health Service N.I.H., Bethesda, Mdを参照;また、Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol. 196:901−917; Chothia et al., 1989, Nature 342: 877−883を参照)。
用語「抗原」は、抗原結合タンパク質(たとえば、抗体またはその免疫学的に機能的なフラグメントを含む)などの選択的な結合剤により結合されることができ、さらには動物で使用されてその抗原に結合できる抗体を産生できる分子または分子の一部を指す。抗原は、異なる抗原結合タンパク質、たとえば抗体と相互作用できる1つまたは複数のエピトープを有し得る。
用語「エピトープ」は、抗原結合タンパク質(たとえば抗体)に結合される分子の一部である。この用語は、抗体またはT細胞受容体などの抗原結合タンパク質に特異的に結合できる任意の決定因子を含む。エピトープは、連続的または非連続的であってよい(たとえば、一本鎖ポリペプチドにおいて、ポリペプチド配列中では互いに連続ではないが、分子の状況の中で、抗原結合タンパク質により結合されるアミノ酸残基)。特定の実施形態では、エピトープは、抗原結合タンパク質を作製するために使用されるエピトープと類似の3次元構造を含むが、抗原結合タンパク質を作製するために使用されるエピトープで見いだされるアミノ酸残基を含まない、またはいくつかのみを含む点で、模倣体であり得る。多くの場合、エピトープはタンパク質上に存在するが、いくつかの例では、核酸などの他の種類の分子に存在し得る。エピトープの決定因子は、アミノ酸、糖の側鎖、ホスホリル基またはスルホニル基などの化学的に活性な分子の表面の基を含んでよく、特異的な3次元構造特徴、および/または特異的な電荷特徴を有してよい。一般的に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質および/または高分子の複合的な混合物中で標的抗原上のエピトープを優先的に認識する。
用語「同一性」は、配列を整列させ比較することにより決定される、2つ以上のポリペプチド分子または2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。「パーセント同一性」は、比較される分子におけるアミノ酸の間または核酸の間の同一の残基のパーセントを意味し、比較される分子の最少の大きさに基づき計算される。これらの計算では、アライメント中のギャップ(もし存在する場合)は、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)により提示されなければならない。整列された核酸またはポリペプチドの同一性を計算するために使用できる方法として、Computational Molecular Biology, (Lesk, A. M., ed.), 1988, New York: Oxford University Press; Biocomputing Informatics and Genome Projects, (Smith, D. W., ed.), 1993, New York: Academic Press; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, (Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds.), 1994, New Jersey: Humana Press; von Heinje, G., 1987, Sequence Analysis in Molecular Biology, New York: Academic Press; Sequence Analysis Primer, (Gribskov, M. and Devereux, J., eds.), 1991, New York: M. Stockton Press; およびCarillo et al., 1988, SIAM J. Applied Math. 48:1073に記載される方法が挙げられる。たとえば、配列同一性は、2つのポリペプチドのアミノ酸の位置の類似性を比較するために一般に使用される、標準的な方法によって決定できる。BLASTまたはFASTAなどのコンピュータプログラムを使用して、2つのポリペプチドまたは2つのポリヌクレオチドの配列が、それらのそれぞれの残基の最適な一致のために整列される(1つもしくは両方の配列の完全長に沿って、または1つもしくは両方の配列のあらかじめ決定された部分に沿ってのいずれかで)。これらのプログラムは、デフォルトオープニングペナルティ(default opening penalty)およびデフォルトギャップペナルティ(default gap penalty)を提供し、スコアリングマトリックス、たとえばPAM250(標準的なスコアリングマトリックス;Dayhoff et al., in Atlas of Protein Sequence and Structure, vol. 5, supp. 3 (1978)を参照)を、コンピュータプログラムと併せて使用できる。たとえば、パーセント同一性は、以下のように計算できる:同一の一致の総数に100を乗じ、次に一致した範囲内の長い方の配列の長さの合計で除算し、長い方の配列中にギャップの数を導入して、2つの配列を整列する。パーセント同一性の計算では、比較される配列は、配列間で最大の一致を提供するように整列される。
GCCプログラムパッケージは、パーセント同一性を決定するために使用できるコンピュータプログラムであり、このパッケージは、GAP(Devereux et al., 1984, Nucl. Acid Res. 12:387; Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis)を含む。コンピュータアルゴルズムのGAPは、パーセント配列同一性が決定される2つのポリペプチドまたは2つのポリヌクレオチドを整列するために使用される。配列は、それらのそれぞれのアミノ酸またはヌクレオチドの最適な一致(アルゴリズムにより決定される、「一致した範囲(matched span)」)のために整列される。ギャップオープニングペナルティ(3×平均項(average diagonal)として計算され、ここで「平均項」は、使用される比較マトリックスの項の平均であり;「項」は、特定の比較マトリックスによりそれぞれの完全なアミノ酸の一致に割り当てられるスコアまたは数である)およびギャップ伸長ペナルティ(これは通常、1/10×ギャップオープニングペナルティである)、ならびにPAM250またはBLOSUM62などの比較マトリックスが、アルゴリズムと併せて使用される。特定の実施形態では、標準的な比較マトリックス(PAM250比較マトリックスに関してはDayhoff et al., 1978, Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352を参照;BLOSUM62比較マトリックスに関してはHenikoff et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:10915−10919を参照)もまた、アルゴリズムにより使用される。
GAPプログラムを使用してポリペプチド配列またはヌクレオチド配列のパーセント同一性を決定するための推奨されるパラメータは、以下のものを含む。
アルゴリズム:Needleman et al., 1970, J. Mol. Biol. 48:443−453;
比較マトリックス:上記のHenikoff et al., 1992からのBLOSUM62;
ギャップペナルティ:12(エンドギャップではペナルティを含まない)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の閾値:0
2つのアミノ酸配列を整列するための特定のアライメントスキームは、2つの配列の短い領域のみの一致をもたらすことがあり、この小さな整列された領域は、2つの完全長の配列間に有意な関係がなくても、非常に高い配列同一性を有し得る。よって、選択されたアライメント方法(GAPプログラム)は、標的ポリペプチドの少なくとも50個の連続したアミノ酸に及ぶアライメントをもたらすことが望ましい場合に、調節されてよい。
対象とするタンパク質(たとえば、抗体および抗体フラグメントを含む、イムノグロブリン)と関連して使用される場合の用語「修飾」は、限定するものではないが、1つまたは複数のアミノ酸の変化(置換、挿入または欠失を含む);化学的な修飾;治療剤または診断剤に対するコンジュゲートによる共有結合性の修飾;標識化(たとえば、放射性核種または様々な酵素で);ペグ化(ポリエチレングリコールでの誘導体化)などの共有結合性のポリマー付着、および非天然アミノ酸の化学的合成による挿入または置換を含む。本発明の修飾されたイムノグロブリンは、本発明の修飾されていない分子の結合(または非結合)特性を保持する。当業者に知られている方法により、抗体などのイムノグロブリン、または他のタンパク質は、「操作された」タンパク質のコード配列が本発明の発現カセットに含まれる前に、標的親和性、選択性、安定性、および/または製造可能性の改善のために、「操作され」または修飾されてよい。
イムノグロブリン(抗体および抗体フラグメントを含む)などの対象とするタンパク質と関連して使用される場合の用語「誘導体」は、治療剤または診断剤に対するコンジュゲート、標識化(たとえば、放射性核種または様々な酵素で)、ペグ化(ポリエチレングリコールでの誘導体化)などの共有結合性のポリマー付着、および非天然アミノ酸の化学的合成による挿入または置換により、共有結合的に修飾されるタンパク質を指す。本発明の誘導体は、非誘導体化分子の結合特性を保持する。
本発明の範囲内で、対象とするタンパク質は、ヒトの疾患または障害を含むが限定されない、疾患の治療のための治療的タンパク質、または「生物製剤」であってよい。「治療」または「治療する」は、障害の病態の発達を予防するまたは改変する意図で行われる介入である。よって、「治療」は、治療的処置と、予防のまたは防止の手段との両方を指す。治療を必要とするものは、すでに障害を有するもの、および障害が予防されるべきものを含む。「治療」は、軽減;寛解;症状の減少または損傷、病態もしくは症状を患者にとってより容認できるものにすること;変性または減退の速度の遅延;変性の最終点を弱めること;患者の身体または精神の状態を改善することなどの、任意の客観的または主観的なパラメータを含む、損傷、病態または症状の回復における成功のいずれかの指標を含む。症状の治療または回復は、医師または他のヘルスケア供給者による身体検査、患者による自己報告、神経精神症状試験、および/または精神医学的評価の結果を含む、客観的または主観的なパラメータに基づいてよい。
治療薬の「有効量」は一般に、症状の重症度および/もしくは頻度を低減する、症状および/もしくは根底にある原因を排除する、症状および/もしくはそれらの根底にある原因の発症を予防する、ならびに/または片頭痛からもたらされるもしくは片頭痛に関連する損傷を改善するもしくは修正するために十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、治療上の有効量または予防上の有効量である。「治療上の有効量」は、何らかの形で(すなわち「治療的有効性」を提供する形で)疾患状態(たとえば移植拒絶反応またはGVHD、炎症、多発性硬化症、癌、循環器疾患、糖尿病、神経障害、疼痛)もしくは症状、特に疾患状態に関連する状態もしくは症状を改善するために十分な量、または疾患状態もしくは疾患と関連する他のいずれかの望ましくない症状の進行を予防する、妨害する、遅延するもしくは反転するために十分な量である。「予防上の有効量」は、対象に投与される場合に、意図した予防効果、たとえば、片頭痛または多発性硬化症の症状の発症(もしくは再発)を予防するもしくは遅延する、または片頭痛、片頭痛の症状、もしくは多発性硬化症の症状の発症(もしくは再発)の可能性を低下する、効果を有する、医薬組成物の量である。完全な治療的効果または予防的効果は、1つの用量の投与により必ず起こるわけではなく、一連の用量の投与の後にのみ起こる場合がある。よって、治療上の有効量または予防上の有効量は、1つまたは複数の投与で投与されてよい。
対象とするタンパク質は、任意のタンパク質であってよいが、多くの実施形態では、タンパク質は、薬理学的に活性なタンパク質またはペプチドである。
本発明のいくつかの実施形態では、対象とするタンパク質は、模倣性ペプチドまたはアゴニストペプチドであってよい。用語「−模倣性ペプチド」、「ペプチド模倣体」、および「アゴニストペプチド」は、対象とする天然に存在するタンパク質と同等な生物学的活性を有するペプチドまたはタンパク質を指す。これらの用語は、天然に存在する分子の作用を増強することによるなど、天然に存在するペプチド分子の活性を間接的に模倣するペプチドをさらに含む。
本発明のいくつかの実施形態では、対象とするタンパク質は、アンタゴニストペプチドまたは阻害剤ペプチドであってよい。用語「−アンタゴニストペプチド」、「ペプチドアンタゴニスト」、および「阻害剤ペプチド」は、対象とする受容体の生物学的活性を遮断するもしくは何等かの方法で妨害するペプチド、または対象とする受容体(限定するものではないが、イオンチャネル型の受容体もしくはGタンパク質共役型受容体(GPCR)など)の既知のアンタゴニストもしくは阻害剤と同等な生物学的活性を有するペプチドを指す。
本発明の中で使用できる薬理学的に活性なタンパク質の例として、限定するものではないが、毒性ペプチド、IL−6結合ペプチド、CD3結合タンパク質、CD19結合タンパク質、CD20結合タンパク質、CD22結合タンパク質、HER2結合タンパク質、HER3結合タンパク質、VEGF−A結合タンパク質、TNF−α結合タンパク質、EGFR結合タンパク質、RANKリガンド結合タンパク質、IL−1α結合タンパク質、IL−1β結合タンパク質、IL−17A結合タンパク質、EPCAM(CD326)結合タンパク質、CGRPペプチドアンタゴニスト、ブラジキニンB1受容体ペプチドアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン(PTH)アゴニストペプチド、副甲状腺ホルモン(PTH)アンタゴニストペプチド、ang−1結合ペプチド、ang−2結合ペプチド、ミオスタチン結合ペプチド、エリスロポエチン−模倣性(EPO−模倣性)ペプチド、FGF21ペプチド、トロンボポエチン−模倣性(TPO−模倣性)ペプチド(たとえばAMP2またはAMPS)、神経成長因子(NGF)結合ペプチド、B細胞活性化因子(BAFF)結合ペプチド、およびグルカゴン様ペプチド(GLP)−1もしくはそのペプチド模倣体またはGLP−2もしくはそのペプチド模倣体が、挙げられる。
ペプチドまたはタンパク質の「類似体」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換、内部付加、もしくは少なくとも1つのアミノ酸残基の内部欠失、および/またはアミノ末端もしくはカルボキシ末端のトランケーション、もしくは付加により、天然に存在するペプチド配列と異なる配列を有するポリペプチドを指す。「内部欠失」は、N末端またはC末端以外の位置で天然に存在する配列由来のアミノ酸が存在しないことを指す。同様に、「内部付加」は、N末端またはC末端以外の位置で天然に存在する配列中のアミノ酸の存在を指す。
DNAのクローニング
DNAのクローニングは、標準的な技術(たとえば、参照として本明細書中に援用されるSambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Guide, Vols 1−3, Cold Spring Harbor Pressを参照)を使用して行われる。たとえば、cDNAライブラリーは、ポリA+mRNA、好ましくは膜結合型RNAの逆転写により構築でき、このライブラリーは、ヒトのイムノグロブリンポリペプチドの遺伝子配列に特異的なプローブを使用してスクリーニングされる。一実施形態では、しかしながら、ポリメラーゼ連鎖反応(PCD)を使用して、対象とするイムノグロブリンの遺伝子セグメント(たとえば軽鎖または重鎖の可変部のセグメント)をコードするcDNA(または完全長のcDNAの一部)を増幅する。増幅された配列は、いずれかの適切なベクター、たとえば発現ベクター、ミニ遺伝子ベクター、またはファージディスプレイベクター中へ容易にクローン化できる。使用されるクローンニングの特定の方法は、対象とするイムノグロブリンポリペプチドのいくつかの部分の配列を決定することが可能である限り、重要ではないことが認識されている。
抗体の核酸の1つの供給源は、対象とする抗原で免疫された動物由来のB細胞を入手し、それを不死化細胞に融合することにより産生されるハイブリドーマである。あるいは、核酸は、免疫された動物のB細胞(または脾臓全体)から単離できる。抗体をコードする核酸のさらなる別の供給源は、たとえばファージディスプレイ技術を介して作製される、当該核酸のライブラリーである。対象とするペプチド、たとえば望ましい結合特徴を有する可変領域のペプチドをコードするポリヌクレオチドは、パニングなどの標準的な技術により同定できる。
イムノグロブリンポリペプチドの全可変領域をコードする配列が決定され得る;しかしながら、場合によっては、可変領域の一部のみ、たとえばCDRをコードする部分、をシークエンシングすることが適切である。シークエンシングは、標準的な技術を使用して行われる(たとえば本明細書中で参照として援用されるSambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Guide, Vols 1−3, Cold Spring Harbor Press, and Sanger, F. et al. (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463−5467を参照)。クローン化された核酸の配列を公開されたヒトのイムノグロブリン遺伝子およびcDNAの配列と比較することにより、当業者は、シークエンシングされた領域に応じて、(i)ハイブリドーマのイムノグロブリンポリペプチド(重鎖のアイソタイプを含む)の生殖系列のセグメントの使用、および(ii)N末端の付加および体細胞変異の過程からもたらされる配列を含む、重鎖および軽鎖の可変領域の配列、を容易に決定できる。イムノグロブリン遺伝子配列情報の1つの供給源は、メリーランド州ベセスダの国立生物工学情報センター、国立医学図書館、アメリカ国立衛生研究所である。
単離されたDNAは、制御配列に操作可能に連結されるか発現ベクター中に配置でき、これは次いで、組み換え宿主細胞でのモノクローナル抗体の合成のために、イムノグロブリンタンパク質を特段産生しない宿主細胞にトランスフェクトされる。抗体の組み換え産生は、当該分野でよく知られている。
核酸は、それが別の核酸配列と機能的な関係に置かれる場合に、操作可能に連結される。たとえば、プレ配列または分泌リーダーに関するDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドに関するDNAに操作可能に連結されており;プロモーターまたはエンハンサーは、それが配列の転写に影響する場合、コード配列に操作可能に連結されており;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように配置される場合、コード配列に操作可能に連結されている。一般的に、操作可能に連結されるとは、連結されるDNA配列が連続的であり、分泌リーダーの場合、連続的でかつ読み取り状態にあることを意味する。しかしなら、エンハンサーは連続的である必要はない。連結は、簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。このような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドのアダプターまたはリンカーが、従来の実務にしたがい使用される。
多くのベクターが、当該分野で知られている。ベクターの構成成分は、以下の1つまたは複数を含み得る:シグナル配列(たとえば、抗体の分泌を目的とし得る;たとえば、ATGGACATGAGGGTGCCCGCTCAGCTCCTGGGGCTCCTGCTGCTGTGGCTGAGAGGT GCGCGCTGT//配列番号7であり、これはVK−1シグナルペプチド配列MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARC//配列番号8をコードする)、複製起点、1つまたは複数の選択マーカー遺伝子(たとえば、抗菌耐性もしくは他の薬剤耐性、補完の栄養要求欠失(complement auxotrophic deficiencies)、または培地で利用できない重大な栄養素の供給を提供し得る)、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列。これらすべては当該分野でよく知られている。
さらなる例示として、以下に番号付けされた実施形態が、本発明に含まれる。
実施形態1:ハイブリッドプロモーターであって、
(i)mCMVエンハンサーエレメント(mCMV−E)およびその3’末端にCMVプロモーター(CMV−P)配列を含み、ラットのEF−1αイントロン配列に対し5’で操作可能に連結される、mCMVエンハンサー配列と、
(ii)mCMVエンハンサー配列のCMVプロモーター配列の3’に、およびラットのEF−1αイントロン配列の5’に、操作可能に連結される介在性の第1のリーダー配列と、
(iii)ラットのEF−1αイントロン配列の3’に操作可能に連結される第2のリーダー配列と
を含む、ハイブリッドプロモーター。
実施形態2:mCMVエンハンサー配列の3’末端でのCMVプロモーター配列が、配列番号24または配列番号26のヌクレオチド配列を有するセグメントを含む、実施形態1に記載のハイブリッドプロモーター。
実施形態3:ラットのEF−1αイントロン配列が、配列番号4のヌクレオチド配列を含む、実施形態1または2に記載のハイブリッドプロモーター。
実施形態4:mCMVエンハンサー配列が、配列番号2または配列番号33のヌクレオチド配列を含み、ラットのEF−1αイントロン配列が、配列番号4のヌクレオチド配列を含む、実施形態1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッドプロモーター。
実施形態5:第1のリーダー配列が、配列番号3のヌクレオチド配列を含む、実施形態1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッドプロモーター。
実施形態6:第2のリーダー配列が、配列番号5のヌクレオチド配列を含む、実施形態1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッドプロモーター。
実施形態7:CMVプロモーター配列内に挿入された1つまたは複数のTetO配列をさらに含む、実施形態1〜6のいずれか1項に記載のハイブリッドプロモーター。
実施形態8:配列番号1、配列番号30、配列番号31、または配列番号32のいずれかのヌクレオチド配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、実施形態1〜7のいずれか1項に記載のハイブリッドプロモーター。
実施形態9:対象とする外因性タンパク質をコードするオープンリーディングフレームの5’で操作可能に連結される、実施形態1〜8のいずれか1項に記載のハイブリッドプロモーターと、オープンリーディングフレームの3’で操作可能に連結されるポリアデニル化部位とを含む、発現カセット。
実施形態10:実施形態9に記載の発現カセットを含む組み換え発現ベクター。
実施形態11:実施形態10に記載の組み換え発現ベクターを含む哺乳類の宿主細胞。
実施形態12:さらにTetRを発現できる、実施形態11に記載の哺乳類の宿主細胞。
実施形態13:チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に由来する、実施形態11または12に記載の哺乳類の宿主細胞。
実施形態14:CHO−K1細胞、DXB11細胞、およびDG44細胞からなる群から選択される、実施形態11〜13のいずれかに記載の哺乳類の宿主細胞。
実施形態15:対象とするタンパク質を産生する方法であって、
(a)対象とするタンパク質の発現を可能にする生理学的な条件下で水系培地において、実施形態11〜14のいずれかに記載の哺乳類の宿主細胞を培養することと、
(b)上記培地から対象とするタンパク質を回収することと
を含む、方法。
実施形態16:対象とするタンパク質を産生する方法であって、
(a)生理学的な条件下で水系培地において、実施形態7または8に記載のハイブリッドプロモーターを含む発現ベクターを含む哺乳類の宿主細胞を培養することであって、上記哺乳類の宿主細胞がTetRを発現でき、これにより、培地中のテトラサイクリンの不在下で、対象とするタンパク質の発現が抑制される、ことと、
(b)宿主細胞中でTetRを結合するのに十分な量で水系培地にテトラサイクリンを添加することであって、それにより宿主細胞による対象とするタンパク質の発現が抑制解除される、ことと、
(c)上記培地から対象とするタンパク質を回収すること
を含む、方法。
実施形態17:水系培地が無血清である、実施形態15または16に記載の方法。
実施形態18:上記哺乳類の宿主細胞を培養することが水系培地中の懸濁液において行われる、実施形態15または16に記載の方法。
実施形態19:上記哺乳類の宿主細胞を培養することが固体または半固体の基板上の接着層において行われる、実施形態15または16に記載の方法。
以下の実施例は例示的なものであり、本発明の範囲を限定するようには全く構成されていない。
実施例
実施例1
材料および方法
ベクターの構築:すべてのベクターC、D、E、F、およびGは、対象とする外因性タンパク質「Fc−A」(または「FC−A」;治療上の抗炎症性抗体との例示的なFc融合物)をコードするDNA配列、EMCVウイルス由来のIRES、マウスのジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、および上述のSV40ウイルス由来の221bp後期ポリアデニル化を含んだ(Kaufman, R.J. et al., Improved vectors for stable expression of foreign genes in mammalian cells by use of the untranslated leader sequence from EMC virus, Nucl. Acids Res. 19(16): 4485−4490 (1991); Schek, et al., Definition of the upstream efficiency element of the simian virus 40 late polyadenylation signal by using in vitro analyses, Mol. Cell. Biol. 12(12):5386−93 (1992))。IRESとDHFRの間のジャンクションは
Figure 2019503179
であり、ここで小文字は内在性IRES配列を表し、DFFRのATG転写開始部位はイタリック体の小文字である。単一の転写物が、これらの様々なコンストラクトから開始され、これはよって、Fc―A遺伝子、EMCV IRES、マウスDFHR遺伝子を含み、SV4ポリアデニル化部位で終結する。
様々な転写促進配列が、上述の配列に対し5’、または5’および3’の両方のいずれかに含まれた。これは、すべてのプラスミドが、相対的な発現に関するマーカーとしてDHFRの遺伝子およびFc−Aを使用して選択されることを可能にする。すべてのプラスミドに関するプラスミド骨格は、pUC57−simple(Genscript;ニュージャージー州ピスカタウェイ)であった。
いくつかの例示的なプラスミドが、図1に概略的に表示される。ベクターCは、前述のヒトCMVおよびヒトEF−1αイントロン配列(Kim, Lee, Shin, Kang, & Kim, 2002)を含んだ。ベクターF(図1)は、ATGに隣接する4083bpの5’配列およびポリアデニル化部位に続く4174bpの3’隣接配列を伴い前述の内在性のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)のEF−1α遺伝子に隣接する配列(Running Deer, J., & Allison, D. S., High−level expression of proteins in mammalian cells using Transcription Regulatory sequences from Chinese Hamster Ovary EF−1alpha Gene, Biotechnology Progress 20:880−889 (2004))を含んだ。ベクターG(図1)は、CHOのEF−1α遺伝子の転写開始部位〜FSEI部位の240bpの配列を欠失させ、それを位置615〜転写開始点のマウスCMVフラグメントを含むDNAフラグメントと置き換えることにより、構築された。ベクターD(図1)は、配列番号1(マウスCMV GenBank:L06816.1、ヌクレオチド4067−4682、ラットEF−1αイントロン Genbank:AC158987.3、ヌクレオチド22137−21728を含む)に示されるフラグメントを合成し、これらの配列をFc−Aコード配列の5’に配置することにより、構築された。ベクターCおよびベクターDはまた、内在性の3’非翻訳リーダー配列を置き換えるアデノウイルス3要素リーダーも含んだ(Kaufman et al., 1991)。pUC57−simpleベクターは、図1には示されない。ベクターDの完全なマップは、図2に示される。
細胞のエレクトロポレーションおよび培養
前述のように、長期間のエレクトロポレーションを行った(Bodwell, et al., Long Duration electroporation for achieving high level expression of glucocorticoi receptors n mammalian cell lines. J. Steriod Biochem. and Mol. Biol., 68(e 8), 77−82 (1999))。簡潔に述べると、2×10個の細胞を、0.3mlのHBSバッファー(0.01MのHEPES(pH7.4)、0.15MのNaCl、3mMのEDTA、0.005%(v/v)のポリソルベート20)中に再懸濁し、25mgのDNAを添加し、3175μFの静電容量、720オーム、および200ボルトでBTX EM 600を使用して4mmのギャップのキュベット中でエレクトロポレーションを行った。
DXB11細胞およびDG44細胞を、PowerCHO2(Lonza)、ProCHO4(Lonza)またはEx−cell 302(Sigma)のいずれかで、製造社の説明にしたがい培養した。細胞を、3〜4日ごとに培養し、3日間培養では4×10個の細胞/ml、または4日間培養では3×10個の細胞/mlで播種した。
タンパク質の力価を、POROS A/20 Protein Aカラムを使用するアフィニティ高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、決定した。
実施例2:CHO細胞のトランスフェクション
CHO細胞を、Fc−A融合タンパク質を発現する様々なコンストラクトを用いてトランスフェクトした。これらのコンストラクトは、図1および図2に示される。トランスフェクトされた細胞の集合を、Fc−A融合タンパク質の発現に関して比較した。
DXB11細胞のトランスフェクション
様々なFc−A発現プラスミドを使用して、エレクトロポレーションを用いて、DHFR変異CHO細胞株であるDXB11をトランスフェクトした。これらの細胞を、ProCHO4中で増殖し、ヒポキサンチンおよびチミジンを欠く培地での増殖に関してまず選択し、次いで150nMのメトトレキサート(MTX)で選択した。150nMのMTXで選択した細胞の集合を、1×10個の細胞/mlで播種し、2日目、4日目および7日目に、Ex−cell Advanced CHO Feed 1(SAFC)およびグルコースを与えた。上清の液体を8日目に回収し、前述のようにporos protein Aにより解析した。
Fc−Aタンパク質の力価および特異的生産性(ピコグラム/細胞/日)が、図3Aおよび3Bにそれぞれ示される。これらの結果は、ラットEF−1αイントロンおよび適切なリーダー配列(たとえばここでは、アデノウイルス3要素リーダー;ベクターD)と組み合わせたマウスCMVエンハンサーを含むハイブリッドプロモーターが、トランスフェクトされた細胞の集合によるFc−A組み換えタンパク質の発現を高めたことを示した。達成されたタンパク質の力価は、他のコンストラクトよりも優れており、特異的生産性は、他のコンストラクトを使用して得た特異的生産性と同様に良好またはそれよりも良好であった。
ベクターD、F、およびGでのDXB−11のトランスフェクション
ベクターD、F、およびG(図1)を、PowerCHO2中で増殖させたDXB11細胞をトランスフェクトするために使用した。細胞を、ヒポキサンチンおよびチミジンを欠く培地における増殖に関してまず選択し、150nMのMTXに対して増幅し、次に500nMのMTXに対して再度増幅して発現をさらに高めた。これらの集合を、1×10個の細胞/mlで播種し、2日目、3日目および6日目にEx−cell Advanced CHO Feed 1およびグルコースを与えた。上清の液体を、8日目に回収した。図4Aおよび図4Bでそれぞれ示されるように、ベクターDでトランスフェクトされたこれら集合の力価は、ベクターFおよびGと比較して顕著に高かった。ベクターDの特異的な生産性は一般に、ベクターFおよびGよりも高かった。
ベクターDおよびベクターFでのDG44およびDXB−11のトランスフェクション
CHO細胞を、Fc−A融合タンパク質を発現するベクターDおよびベクターFでトランスフェクトした。Ex−cell 302中で増殖させたDXB11細胞を、前述のようにトランスフェクトした。別のDHFR変異細胞株であるDG44を、PowerCHO2中で増殖させ、DXB11細胞と同様にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞の集合を、それらのFc−Aの発現に関して比較した。細胞を、エレクトロポレーションを使用してトランスフェクトし、ヒポキサンチンおよびチミジンを欠く培地での増殖に関して選択し、次に150nMのMTXに対して増幅した。DXB11を、500nMのMTXに対してさらに増幅し、DG44細胞を、1μMのMTXに対しさらに増幅した。細胞の集合を次に、Ex−cell Advanced CHO Feed 1を補充した増殖培地中へ1:5の希釈で播種し、3日目、6日目および8日目にEx−cell Advanced CHO Feed 1およびグルコースを与えた。上清の液体を10日目に回収し、上述のようにporos protein Aにより解析した。力価および特異的生産性が、それぞれ、図5Aおよび図5Bに示される。
ベクターDでトランスフェクトされたDXB11の集合は、ベクターFでトランスフェクトされた集合よりもFc−A融合タンパク質をほぼ2倍多く発現した。ベクターDおよびFでトランスフェクトされたDG44細胞の集合は、同様のレベルで発現した。しかしながら、ベクターDでトランスフェクトされた集合は、わずかに高い特異的生産性を有した。DXB11細胞と比較して低いDG44細胞の特異的生産性は、DG44細胞が、DXB11細胞よりもMTXに対して感受性が低いことを暗示する。
ベクターDはまた、アデノウイルス3要素リーダー(TPL)に由来する5’非翻訳領域(5’UTR)リーダー配列も含んだ。TPLは、ストレス条件下でタンパク質の発現を高めることが示されている(Logan & Shenk, Adenovirus tripartite leader sequence enhances translation of mRNAs late after infection. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81(12): 3655−59 (1984))。これらの研究ではTPLが発現を高めているかどうかは明らかでないが、他の研究は、それらが真の開始コドンの前に大きな二次構造または開始コドンを含まない限り、この位置で使用し得る5’UTRの正確なヌクレオチド配列は変動することを示している(Mignone, F. et al., Untranslated regions of mRNAs. Genome Biology, 3(3):reviews0004.1−0004.10 (2002))。
実施例3:本発明のハイブリッドプロモーターからのテトラサイクリン誘導性発現
Tetリプレッサー(TetR)を発現する細胞において、テトラサイクリンを使用してTetオペレーター配列を含むプロモーターからの発現を調節できる(Yao et al)。TATAボックスのすぐ3’でのTetオペレーター(TetO)配列の導入は、TetRの存在下でこのプロモーターからの転写を防止する。おそらくは、TetRがTetOに結合し、転写開始因子が転写開始部位と相互作用するのを阻むか、または転写開始複合体の形成を妨害する(Yao et al)。特に、TetO配列の位置決めは、TetRが転写を効率的に調節できるかどうかを決定する際に重要である(Yao et al., Tetracycline repressor, tetR, rather than the tetR−mammalian cell transcription factor fusion derivatives, regulates inducible gene expression in mammalian cells, Hum. Gene Ther. 9(13):1939−50 (1998)参照)。
Yaoらは、TATATAA配列の10bp下流にTetO配列を配置することが、TATA結合タンパク質と同じ表面へのTetRの結合を可能にするという仮説を立てた。この仮説と一致して、Kimらは、hCMV US11 TATAAG配列の下流の位置0または15でのTetO配列の挿入は、TetRの存在下での抑制を保持できないことを見出した(Kim et al., Tetracycline repressor−regulated gene repression in recombinant human cytomegalovirus, J. Virol. 69: 2565−257 (1995)参照)。
テトラサイクリン(Tet)は、培養物に添加されると、TetRに結合し、TetO配列への結合を阻害し、よって転写を可能にする。本発明のmCMVエンハンサー配列/ラットEF−1αイントロンハイブリッドプロモーター配列に基づく、強力なTet調節型プロモーターを作製するために、本出願人らはまず、LacZ(βガラクトシダーゼタンパク質)の発現を駆動するプラスミド、JV56_pJV39_pJV10_pUC57Sを作製した(本明細書中では「pJV56」と略される;図6)。LacZのオープンリーディングフレームは、配列番号12である。
Figure 2019503179
Figure 2019503179
基本的な考えは、テトラサイクリン(Tet)による調節に寄与するTetO結合部位を含むヒトCMVプロモーター(hCMV−P)エレメントと、mCMVプロモーター(mCMV−P)エレメントの配列の一部を交換することであった。このコンストラクト、JV57_JV56_pJV39_pJV10(本明細書中では「pJV57」と略される;図7)は、LacZの発現に関するテトラサイクリン感受性TetO調節エレメントを含む。図10は、mCMVプロモーター配列に挿入されたhCMV−P/TetOを概略的に示す。この挿入は、hCMV−Pプロモーター配列の一部と、mCMV−Pプロモーター配列の一部を置き換える。別のコンストラクトを、調節されないプロモーター(ハイブリッドmCMVエンハンサー/(部分的な)hCMVプロモーター/ラットEF−1αイントロン)との関連でPatwardhanらにより記載されるhCMVプロモーターでの発現を増大させる変化を組み込むように作製した(Patwardhan et al., High−resolution analysis of DNA regulatory elements by synthetic saturation mutagenesis, Nature Biotechnology 27(12):1173−75 (2009))。このコンストラクトは、JV59_JV56_pJV39_pJV10(本明細書中では「pJV59」と略される;図8)であった。別のコンストラクト、JV60_JV56_pJV39_pJV10(本明細書中では「pJV60」と略される;図9)では、PJV57のTetO配列を、Patwardhanらによる研究において転写開始部位の周りの発現を増大させた配列に一致するように変化させた(図9および図12参照)。
図11は、mCMVプロモーター(mCMV−P)配列を置き換えるために本出願人らが使用したhCMV−P/TetOのDNA配列を示す。矢印は、パリンドロームTetR結合部位を示す。示されるmCMV−PおよびhCMV−Pプロモーター配列は、TATAボックス〜転写開始部位の配列である。転写の開始は、3’配列taccg中のg残基である。TetO配列は、転写開始部位が、概してTATAボックスの5’のTに対して約30塩基の3’であるため、転写開始部位に確実に影響を与えることに、留意されたい。
本出願人らは、タンパク質の発現のレベルをモニタリングするために、様々なコンストラクトからβガラクトシダーゼを発現させた。この挿入された代わりの配列は、muCMVエンハンサーエレメント(mCMV−E)/(部分的な)huCMVプロモーター/TetO/ラットEF−1αイントロンを含み、培地中のテトラサイクリンにより実際に調節された(たとえば、図14、pJV57+/−Tetを参照)。さらに、コンストラクトpJV57は、図14に示されるように、Tetが培地に存在した場合に、ヒトCMV/TetOの対照(pcDNA5/TO/LacZ; Thermo Fisher Scientific)よりも約10倍多い組み換えタンパク質をもたらしたが、テトラサイクリンの非存在下では約3.5倍少ないβガラクトシダーゼをもたらした。pJV56でmuCMVエンハンサー/ラットEF−1αイントロンハイブリッドプロモーターを有するT−Rex CHO細胞は、CMVエンハンサー配列のCMV−Pセグメント内にTetO配列を有さず、テトラサイクリンが培地中にあるかどうかに関わらず、同様にヒトCMV/TetO対照(pcDNA5/TO/LacZ)よりも約10倍多いタンパク質を発現した。
材料および方法
T−Rex(商標)−CHO細胞
T−Rex−CHO細胞株(Thermo Fisher Scientific, Product No. R71807)を、製造社のプロトコルにしたがい、Ham’sF12培地+グルタミン+10μg/mlのBlast中で培養した。T−Rex−CHO細胞を、Bodwellらにより記載される長期間のエレクトロポレーション(LDE)法(Bodwell et al., Long Duration Electroporation for Achieving High Level Expression of Glucocorticoid Receptors in Mammalian Cell Lines, J. Steroid Biochem. Molec. Biol. 68:77−82 (1999))を使用して、図6、図7、図8、および図9にそれぞれ示される、βガラクトシダーゼタンパク質を発現する様々なコンストラクトのpJV56、pJV57、pJV59、およびpJV60でエレクトロポレーションした。トランスフェクトした細胞を24時間回収し、次に24時間の間1μg/mlのテトラサイクリンを伴いまたは伴わずに処理した。細胞を溶解し、βガラクトシダーゼ活性を製造社のプロトコルにしたがいβ−Gal Assay Kit(Thermo Fisher Scientific, Product No. K1455−01)を使用してアッセイした。簡潔に述べると、ライセートを10倍希釈し、10μlのアリコートを、BCA protein assay kit(Thermo Fisher Scientific, Product No. 23227)を使用してアッセイして、ライセートのタンパク質濃度を決定した。ライセートを100倍希釈し、10μlのアリコートをβガラクトシダーゼ活性に関してアッセイした。すべての試料を、少なくとも二重でトランスフェクトした。特異的なβガラクトシダーゼ活性を、アッセイしたタンパク質の量に対して正規化し、モックトランスフェクトした細胞のバックグラウンド活性を、トランスフェクト試料から減算した。結果を、標準偏差を伴いグラフに示した(図14)。
CHO−K1/TetR細胞
別々の実験で、テトラサイクリンリプレッサー(TetR)を、Genscript(登録商標)(ニュージャージー州ピスカタウェイ)によりpcDNA3.1+発現ベクター中にサブクローニングして、ベクターpJV40_pcDNA3.1+tetR(本明細書中では「pJV40」と略される;図15)を得た。CHO−K1細胞を規定通り、PowerCHO(商標)既知組成,無血清CHO培地(Lonza, Product No. BE12−771Q)中で培養し、細胞を、pJV40に関して上述のように、LDE法を使用してエレクトロポレーションした。トランスフェクトした集合を、PowerCHO(商標)2+600μg/ml G418(Gibco, Product No. 10131027)中で10日間選択した。細胞を次に段階希釈し、96ウェルのマイクロプレート(Corning(登録商標)CellBIND(登録商標)96 Well, Product #3340)に、クローニング培地(CHO細胞用のEX−CELL(登録商標)302 無血清培地;Sigma−Aldrich, Product No. 14326C SIGMA)+15%の条件培地、G418の存在下)中ウェル当たり0.75個の細胞で、プレーティングした。クローンの集合を11〜12日後に同定し、さらに3〜4日間の間、50/50のクローニング培地/PowerCHO(商標)2培地中で12ウェルプレートに移した。最後に、クローンを、24ディープウェルプレート(VWR, Product No. P−DW−10ML−24−C−S)に移動させ、PowerCHO(商標)2培地+600μg/mlのG418中で一定して振盪(220rpm)しながら増殖させた。
高レベルのTetRを発現するクローンに関してスクリーニングするために、CHO−K1/TetRクローンを、製造社のプロトコルに従いExpiFectamine(商標)CHOトランスフェクションキット(Thermo Fisher Scientific, Product No. A29130)を使用して、pJV57でトランスフェクトした。高度に発現したTetR+クローンから、いくつかのクローンをその後、ExpiFectamine(商標)CHOトランスフェクションキット(Thermo Fisher Scientific, Product No. A29130)を使用してベクターpJV56、pJV57、pJV59、またはpJV60でトランスフェクトするために選択し、製造社のプロトコルにしたがい再度トランスフェクトした。トランスフェクトしたクローンを24時間にわたり回収し、次に1μg/mlのテトラサイクリンで24時間処理した。LacZタンパク質産物の発現を測定するために、細胞を溶解し、βガラクトシダーゼ活性を、製造社のプロトコルに従いβ−Gal Assay Kit(Thermo Fisher Scientific, Product No. K1455−01)を使用してアッセイした。
簡潔に述べると、ライセートを10倍希釈し、10μlのアリコートを、ライセートのタンパク質濃度を決定するためにBCA protein assay kit(Thermo Fisher Scientific, Product No. 23227)を使用してアッセイした。10μlの希釈していないライセートを、βガラクトシダーゼ活性に関してアッセイした。すべての試料を、少なくとも2重でトランスフェクトした。特異的なβガラクトシダーゼ活性を、アッセイしたタンパク質の量に対して正規化し、モックトランスフェクトした細胞のバックグラウンド活性を、トランスフェクト試料から減算した。結果を、標準偏差を伴いグラフに示した(たとえば図16、図17、図18)。
図16(クローン3E7)、図17(クローン3F9)、および図18(クローン4G2)は、βガラクトシダーゼタンパク質を発現する様々なコンストラクト(pJV56、pJV57、pJV59、およびpJV60)でトランスフェクトした(または陽性対照:pcDNA5/TO/LacZ;Thermo Fisher Scientific, Product No. V1033−20でトランスフェクトした)CHO−K1/TetRクローンからの代表的な結果を示す。上記の通り、細胞を、製造社のプロトコルに従いExpiFectamine(商標)CHO トランスフェクションキット(Thermo Fisher Scientific, Product No. A29130)を使用して、pJV57でトランスフェクトした。トランスフェクトしたクローンを24時間にわたり回収し、次に1μlのテトラサイクリンで24時間処理した。細胞を溶解し、βガラクトシダーゼ活性を、製造社のプロトコルに従いβ−Gal Assay Kit(Thermo Fisher Scientific, Product No. K1455−01)を使用してアッセイした。簡潔に述べると、ライセートを10倍希釈し、10μlのアリコートを、BCA protein assay kit(Thermo Fisher Scientific, Product No. 23227)を使用してアッセイして、ライセートのタンパク質濃度を決定した。10μlの希釈していないライセートを、βガラクトシダーゼ活性に関してアッセイした。すべての試料を、少なくとも2重でトランスフェクトした。特異的なβガラクトシダーゼ活性を、アッセイしたタンパク質の量に対して正規化し、モックトランスフェクトした細胞のバックグラウンド活性を、トランスフェクト試料から減算した。特異的なβガラクトシダーゼ活性を、アッセイしたタンパク質の量に対して正規化し、モックトランスフェクトした細胞のバックグラウンド活性を、トランスフェクト試料から減算した。結果を、標準偏差を伴いグラフに示した。
結果
T−REx(商標)CHO細胞
TetRを安定して発現する市販の細胞株であるT−RExCHO細胞(Thermo Fisher Scientific)を使用する実験で、本出願人らは、テトラサイクリン(Tet)により調節されるpJV57の能力を試験するために、読み出し情報としてβガラクトシダーゼ(β―gal)活性を測定した。図14に示されるように、pJV57は、テトラサイクリンの存在(+Tet)により誘導される場合、pJV56と同等の発現を有した。さらに、pJV57は、テトラサイクリンで調節される強力な発現を呈することが示されたベクターであるpcDNA5/TO/LacZと比較して、テトラサイクリンの存在下で(+Tet)約10倍高いLacZの発現を有した。pJV57はまた、テトラサイクリンによる、3.5倍の調節された発現を示し、これは強力に調節されるプロモーターを示す重要な知見である。陽性対照pcDNA5/TO/LacZに関するTetの調節の倍数差は、誘導されないpcDNA5/TO/LacZとバックグラウンドの間の信号対雑音比が低く、対照で陰性のβ―gal活性をもたらすため、図14には含まれなかった。
pJV57をさらに改善するための試みにおいて、本出願人らは、転写開始部位周辺の変化がhCMVプロモーターからの発現を低減させたことを従来の研究が示すように(Patwardhan et al., High−resolution analysis of DNA regulatory elements by synthetic saturation mutagenesis, Nat Biotechnol. 27(12): 1173−1175 (2009))、TetO配列がpJV57からの発現を低減し得るとの仮説を立てた。pJV57中のTetO配列を、Patwardhanらによる研究での転写開始部位の周りの発現を増大させる配列と一致するように、変化させた(pJV60、図9および図12)。さらに、これらの変化を、高親和性のTetR結合を維持するように設計した(異なるTetO変異の親和性は、Sizemoreらにより記載され、Hillen and Berensで論述される)(Sizemore et al., Quantitative analysis of Tn10 Tet repressor binding to a complete set of tet operator mutants, Nucleic Acids Research 18 (10) 2875−2880 (1990); Hillen and Berens, Mechanisms underlying expression of Tn10 encoded tetracycline resistance, Ann. Rev. Micro. 48:345−369 (1994))を参照)。しかしながら、この最適化されたコンストラクトであるpJV60は、T−REx−CHO細胞において、pJV57と比較して発現を増大させるようには見えなかった(図14)。テトラサイクリン調節型の発現は維持されていたが、3.50倍と比較しておそらくはわずかに少ない調節(2.68倍)であった(図14)。
最適化hCMVプロモーター(hCMV−P)配列は、本発明のmCMVエンハンサー配列/ラットEF−1αイントロンハイブリッドプロモーター中のmCMVプロモーター(mCMV−P)配列を置き換えた(図13での配列比較を参照)。pJV59中に組み込まれた変化は、pJV56と比較して発現を増大させるようには見えなかった(図14)。よって、本出願人らは、T−REx−CHO細胞において、転写開始部位周辺で変化する、強力なmCMVエンハンサー/プロモーター―ラットED−1αイントロンのコンテクストは、発現にほとんど影響しないまたは全く影響しないと、結論付けた。
CHO−K1/TetR細胞
別の実験で、TetRを安定して発現するCHO−K1細胞株を、pcDNA3.1+ベクター中にサブクローニングされたTetR遺伝子を有するpJV40(図15参照)のトランスフェクションにより、作製した。ジェネテシン耐性のCHO−K1の集合を段階希釈して、単一の細胞のコロニーを入手し、高発現のTetR、すなわちTetの非存在下で2倍超のLacZの抑制を有するようにスクリーニングした(データ不図示)。3つのクローンを、図16、図17、および図18にそれぞれ示されるように、さらなる解析のため選択し、これらは本明細書中でCHO−K1/TetRと呼ばれる。これらのクローンを、対照としてpcDNA5/TO/LacZ、および本発明の発現ベクター、すなわち上述のベクターpJV56、pJV57、pJV59およびpJV60、で一時的にトランスフェクトし、自家作製したTetR発現細胞を使用して、mCMVエンハンサー配列/ラットEF−1αイントロンハイブリッドプロモーターに基づきTet調節型プロモーターエレメントの有効性を決定した。
図16、図17、および図18に示されるように、3つのCHO−K1/TetRクローンのうちの2つにおいてpJV56は、テトラサイクリンの存在下(+Tet)で、pcDNA5/TO/LacZと比較して2〜3倍高いLacZの発現を呈した。発現レベルは試験したクローンにより様々であったが、pJV57中のhCMV−P/TetO配列の付加は、(−Tet)と比較して、テトラサイクリンの存在下(+Tet)でLacZ発現の3.24倍、9.30倍および3.15倍増強の度合まで、テトラサイクリンによりタンパク質発現を調節できた(図16、図17、および図18それぞれのpJV57を参照)。これは、hCMV−P/TetO配列を含まないpJV56に対する比較である(図16、図17、および図18にそれぞれ示されるように、+Tetでの処理と−Tetでの処理の間で、1.27倍、0.95倍、1.19倍の差)。
興味深いことに、タンパク質発現が転写開始部位の周りの配列を最適化することにより増大し得る(Patwardhan et al参照)との本出願人らの仮説と一致して、図16、図17、および図18に示されるように、テトラサイクリン感受性の発現の調節は本質的に存在しないことが予測された(±Tetの比較:0.99倍、1.06倍、1.00倍の差)が、LacZの総発現は3つすべてのpJV59トランスフェクトCHO−K1/TetRクローンで増大した。しかしながら、最適化プロモーターとの関連で、TetR結合を維持するよう変異されたTetO部位の付加(pJV60)は、pJV59と比較して減少したLacZ発現(図16、図17)、または変化しないLacZ発現(図18)を示した。それにもかかわらず、LacZ発現は、テトラサイクリンの存在下で、pJV57と比較して3つすべてのpJV60を有するクローンで増加した(Tetで処理していないその対照と比較して、2.31倍、2.82倍および1.56倍高い発現:それぞれ図16、図17、図18)。このことは、TetO配列の変異が、Tetの非存在下でのすべてのクローンでのより高い基底のLacZ発現および+Tet付加による低い倍数誘導により観察されるように、TetR結合に不利な影響を与えたことを示唆する。
まとめると、図16、図17、および図18に示されるように、CHO/TetR細胞でpJV56、pJV57、pJV59、およびpJV60のコンストラクトのすべてが、テトラサイクリンの存在下でpcDNA5/TO/LacZから発現するCHO細胞(すなわち陽性対照)と比較して増大したLacZ発現を示し、hCMV−P/TetO配列を伴う本発明のハイブリッドプロモーターを有するCHO細胞は、(−Tet)と比較してテトラサイクリンによりアップレギュレートされたβガラクトシダーゼ発現を有した(1.56〜9.30倍の差)。トランスフェクションの方法はT−REx−CHO細胞(接着)〜CHO−K1/TetR細胞(液体水系培地中の細胞懸濁液)の間で異なっており、トランスフェクションの効率は特異的βガラクトシダーゼ活性の総合レベルで観察される差異の原因である場合があることに、留意されたい。
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