以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1から図14を参照して、本発明の実施形態に係るカートリッジ式化粧料容器100について説明する。
図1に示すように、カートリッジ式化粧料容器100は、カートリッジホルダー1とカートリッジ2とを備えており、化粧料4が収容されたカートリッジ2がカートリッジホルダー1に取り付けられた状態で使用される。説明の便宜上、化粧料4が出没するカートリッジ2の先端側をカートリッジ式化粧料容器100の前側とし、カートリッジホルダー1の駆動体30の底部37側をカートリッジ式化粧料容器100の後側として、カートリッジ式化粧料容器100の前後方向を規定する。なお、カートリッジ2については、化粧料4が出没するカートリッジ2の先端側をカートリッジ2の前側とし、カートリッジホルダー1に取り付けられる側をカートリッジ2の後側とする。カートリッジホルダー1については、カートリッジ2が取り付けられる本体筒20の開口側をカートリッジホルダー1の前側とし、駆動体30の底部37側をカートリッジホルダー1の後側とする。
カートリッジ2は、カートリッジ外筒10と、カートリッジ外筒10に収容され化粧料4を支持する支持部材70と、カートリッジ外筒10に取り付けられる第1キャップとしての上キャップ3と、を備える。化粧料4は、カートリッジ外筒10に収容される。カートリッジ式化粧料容器100は、上キャップ3をカートリッジ外筒10から取り外した状態で使用される。また、カートリッジ2は、図2に示すように、カートリッジホルダー1から取り外された状態においてカートリッジ外筒10に取り付けられる第2キャップとしての下キャップ9を備える。
カートリッジホルダー1は、前端部にカートリッジ外筒10が着脱自在に取り付けられる本体筒20と、本体筒20の後端部において、本体筒20に対して同軸にかつ相対回転可能に設けられる駆動体30と、を備える。また、図3に示すように、カートリッジホルダー1は、本体筒20に設けられる雌ねじ部材50と、駆動体30に設けられ雌ねじ部材50に螺合される押棒60と、本体筒20に対して同軸に設けられるクッション部材80と、付勢部材としてのコイルばね7と、を備える。
押棒60は、本体筒20の中心軸方向(以下、単に軸方向と称する)に延在する軸状部材であり、基端部が駆動体30と一体に回転するように駆動体30に係合し、先端部が本体筒20内において軸方向に移動可能に配設されている。
カートリッジ2内の化粧料4は、カートリッジホルダー1に設けられる繰出機構8により、カートリッジ2の先端から繰り出されたり、繰り戻されたりする。繰出機構8は、雌ねじ部材50と押棒60とによって構成される。押棒60は、雌ねじ部材50に対して相対回転することで進退し、カートリッジ外筒10に収容された化粧料4を、支持部材70を介してカートリッジ外筒10の先端側の前端開口11aから出没させる。押棒60は、本体筒20と駆動体30との相対回転によって雌ねじ部材50に対して相対回転する。つまり、駆動体30は、本体筒20に対して回転することにより繰出機構8を駆動する。
使用者が、本体筒20に対して駆動体30を一方に回転(正回転)させると、押棒60が軸方向前方に移動し(すなわち、前進し)、押棒60に連結される支持部材70を介して、化粧料4がカートリッジ2の前端開口11aから押し出される。使用者が、本体筒20に対して駆動体30を他方に回転(逆回転)させると、押棒60が軸方向後方に移動し(すなわち、後退し)、押棒60に連結される支持部材70を介して、カートリッジ2の前端開口11aから突出されていた化粧料4がカートリッジ2の前端開口11aに引き戻される。
使用者は、カートリッジ2内の化粧料4が無くなると、その使い切ったカートリッジ2を新たなカートリッジ2に交換することで、再び、カートリッジ式化粧料容器100を使用することができる。また、使用者は、使用途中のカートリッジ2を、別の使用途中のカートリッジ2に交換することもできる。
図3から図6を参照して、カートリッジ2について詳しく説明する。カートリッジ2は、押棒60を内蔵するカートリッジホルダー1に取り付けた状態で使用されることで繰出機構8が働き、押棒60の進退に連動して、収容した化粧料4が進退する構成とされている。
図3に示すように、カートリッジ2は、後端部がカートリッジホルダー1の本体筒20の前端部に取り付けられる。図4に示すように、カートリッジ2は、略円筒状に形成されたカートリッジ外筒10と、カートリッジ外筒10に収容され、カートリッジ外筒10の内側を軸方向に摺動可能な支持部材70と、カートリッジ外筒10に取り付けられる上キャップ3と、を備える。また、カートリッジ2は、カートリッジ外筒10がカートリッジホルダー1から取り外された状態においてカートリッジ外筒10に取り付けられる下キャップ9を備える。
図4(a)に示すように、カートリッジ外筒10は、先端側の前端開口11a及び基端側の後端開口11bを連通するように、カートリッジ外筒10の先端と基端との間を前後方向に貫通する貫通孔17を有する。貫通孔17には、化粧料4と、化粧料4を支持する支持部材70が収容される。貫通孔17の構成の詳細については、後述する。
図5に示すように、カートリッジ外筒10は、カートリッジ式化粧料容器100の前側の外郭を構成する外郭部12と、カートリッジホルダー1の本体筒20に嵌入される嵌入部16と、を有する。外郭部12の後端には、フランジ14が設けられる。外郭部12の前端には、貫通孔17の前端開口11aが形成され、嵌入部16の後端には、貫通孔17の後端開口11bが形成される。
嵌入部16は、略円筒状に形成される。嵌入部16の内周は、外郭部12の内周に連続して形成される。嵌入部16の外周には、カートリッジホルダー1の本体筒20の雌ねじ43(図7(a)参照)に螺合される雄ねじ15が形成される。
外郭部12の外周には、リブ13aと嵌合凸部13bとが設けられる。リブ13aは、上キャップ3がカートリッジ外筒10に取り付けられたときに、上キャップ3の内周に設けられたローレット3a(図4(b)参照)と係合し、上キャップ3を周方向に係止する。嵌合凸部13bは、上キャップ3がカートリッジ外筒10に取り付けられたときに、上キャップ3の内周に設けられた嵌合凹部3b(図4(b)参照)と嵌合し、上キャップ3を軸方向に係止する。
フランジ14は、径方向外方に突出するように設けられた円環状の鍔部である。図2から図4に示すように、フランジ14は、上キャップ3がカートリッジ外筒10に取り付けられたときに、上キャップ3の後端の開口縁部に接して軸方向における上キャップ3の位置を規定する。
図4に示すように、上キャップ3は、一端が開口された有底円筒状に形成される。上キャップ3は、カートリッジ外筒10に取り付けられて前端開口11aを覆う。上キャップ3には、その開口端の内周に、カートリッジ外筒10のリブ13aと係合するローレット3aと、カートリッジ外筒10の嵌合凸部13bに嵌合する環状の嵌合凹部3bと、が設けられる。
カートリッジ外筒10の外周には、カートリッジ外筒10の外周と上キャップ3の内周との隙間を閉塞する第2閉塞部材としてのOリング5aが設けられる。Oリング5aは、カートリッジ外筒10の外郭部12の外周に形成されるOリング溝14a(図5(a)参照)に取り付けられている。上キャップ3がカートリッジ外筒10に取り付けられた状態において、Oリング5aは、外郭部12と上キャップ3とによって径方向に圧縮された状態で保持される。そのため、上キャップ3の内部に空気が出入するのを防止でき、カートリッジ2の気密性を高めることができる。したがって、化粧料4が乾燥するのを防止でき、化粧料4の劣化や芯折れを防止できる。
下キャップ9は、上キャップ3と同様に、一端が開口された有底筒状に形成される。下キャップ9は、カートリッジ外筒10に取り付けられて後端開口11bを覆う。
カートリッジ外筒10の外周には、フランジ14と下キャップ9の端面9bとの隙間を閉塞する第1閉塞部材としてのパッキン5bが設けられる。そのため、下キャップ9の内部に空気が出入するのを防止でき、カートリッジ2の気密性をより高めることができる。したがって、化粧料4が乾燥するのを防止でき、化粧料4の劣化や芯折れを防止できる。
パッキン5bは、環状に形成されており、カートリッジ外筒10の嵌入部16とフランジ14との間に形成されるパッキン溝14b(図5(a)参照)に取り付けられている。下キャップ9がカートリッジ外筒10に取り付けられた状態において、パッキン5bは、フランジ14と下キャップ9とによって軸方向に圧縮された状態で保持される。そのため、パッキン5bの内径及び外径に製造のばらつきがあってもフランジ14と下キャップ9との隙間を閉塞できる。また、パッキン5bは、パッキン5bと当接する部位の軸方向の寸法のばらつきを吸収し、部材どうしの隙間を閉塞できる。したがって、製造にばらつきのある部材を廃棄する必要がないため、より安価にカートリッジ2の気密性を高めることができる。
下キャップ9の内周には、嵌入部16の雄ねじ15(図5(a)参照)と螺合する雌ねじ9aが形成される。嵌入部16の雄ねじ15は、本体筒20の雌ねじ43と螺合してカートリッジホルダー1にカートリッジ外筒10を保持するためにも用いられるため(図3参照)、雄ねじ15とは別に雄ねじを嵌入部16に設けることなく、カートリッジ外筒10に下キャップ9又はカートリッジホルダー1を選択的に取り付けることができる。
下キャップ9の雌ねじ9aは、ピッチが本体筒20の雌ねじ43と同じ形状でなくてもよい。具体的には、下キャップ9の雌ねじ9aは、ピッチが本体筒20の雌ねじ43と同じであればよく、軸方向の長さは本体筒20の雌ねじ43と異なっていてもよい。
下キャップ9の外径は、カートリッジ外筒10の嵌入部16の外径よりも大きい。そのため、細径の嵌入部16に代えて、大径の下キャップ9の外面にロット番号や色番号を印刷又はシール貼りでき、カートリッジ2へロット番号や色番号を付す作業が容易になる。下キャップ9の外面に印刷又はシール貼りされる内容は、ロット番号や色番号に限られず、製品名や製造元等の責任表示内容であってもよい。
仮に、ロット番号や色番号、責任表示内容をカートリッジ外筒10の嵌入部16にシール貼りした場合には、カートリッジ外筒10の着脱時にシールの一部又は全部が剥がれるおそれがある。このような場合、カートリッジ外筒10の外観が損なわれると共に、シールの粘着性によりカートリッジ外筒10の着脱が阻害される。
本実施形態では、カートリッジ外筒10をカートリッジホルダー1に取り付ける際には、下キャップ9がカートリッジ外筒10から取り外される。そのため、嵌入部16に代えて、下キャップ9の外面にシール貼りすることにより、カートリッジ外筒10の着脱時にシールが剥がれるのを防ぐことができる。したがって、カートリッジ外筒10の外観を保つことができると共に、カートリッジ外筒10を容易に着脱できる。
支持部材70は、化粧料4を支持する部材であって、カートリッジ外筒10を軸方向に貫通する貫通孔17に挿入され、押棒60(図3参照)の進退に伴って貫通孔17内を軸方向に移動する。
図6に示すように、支持部材70は、円筒状の棒軸部75と、棒軸部75の先端(前端)に設けられる支持筒72と、棒軸部75の基端(後端)に設けられる複数のベンド片77と、を有する。棒軸部75は、支持筒72より軸方向に延設されており、前端が開口され、後端が当接部76によって閉塞されている。支持筒72は、棒軸部75と同心の有底円筒状に形成され、底部74が棒軸部75に結合されている。支持筒72の外径寸法DTは、棒軸部75の外径寸法DRよりも大きい(DT>DR)。支持筒72の底部74には、棒軸部75の内部に連通する開口部が形成される。
化粧料4は、支持筒72の内周面に固着され、化粧料4の外周面が支持筒72によって支持された状態が保たれる。つまり、化粧料4は、支持筒72によって保持される。当接部76は、押棒60の先端に当接される部分である。後述するように、当接部76が押棒60によって押され、支持部材70が押棒60とともに前進することで、支持筒72に支持される化粧料4が前端開口11aから繰り出される。
複数のベンド片77は、棒軸部75の後端に結合され、棒軸部75の後端から略軸方向に延在している。より詳細には、複数のベンド片77は、それぞれ基端側から先端側に向けて徐々に外側に開くように、すなわち先端側ほど支持部材70の中心軸から離れるように延在している。
ベンド片77は棒軸部75の後端から延在するベンド片本体部77cと、ベンド片本体部77cの先端部の外周面から外方に突出するリブ77aと、ベンド片本体部77cの先端部の内周面から内方に突出する突部77bと、を備える。
本実施形態では、4つのベンド片77が、支持部材70の中心軸を中心として周方向に90度間隔で設けられており、互いに対向する一対のベンド片77は、先端に向かうにしたがって一対のベンド片本体部77c間の寸法が大きくなるように、支持部材70の中心軸に対して傾斜している。
複数のベンド片77は、その外周面が棒軸部75の外周面よりも径方向外方に位置する。ここで、互いに対向する一対のベンド片本体部77cの先端間の寸法、すなわち一対のベンド片本体部77c間の最大外形寸法を開閉部外形寸法DBと定義する(図6(a)参照)。開閉部外径寸法DBは、棒軸部75の外径寸法DRよりも大きく、支持筒72の外径寸法DTよりも小さい(DR<DB<DT)。
複数のベンド片77は、径方向外方に開いた開状態(図3及び図4参照)と、径方向内方に閉じた閉状態(図示省略)との間で弾性変形する弾性部材である。複数のベンド片77は、弾性変形により開閉可能な開閉部として機能し、押棒60の先端と連結される。つまり、ベンド片77と、後述する押棒60の先端の嵌着部67(図12参照)と、によって連結部99が構成される。ベンド片77は、基端が棒軸部75に結合された固定端であり、先端が自由端とされ、外力が作用していない状態では開状態とされている。
ベンド片77は、貫通孔17の内周面によって開閉状態が制御される。ベンド片77は、貫通孔17の内周面によって弾性変形して(撓んで)閉状態となる。ベンド片77は、閉状態のとき、開状態のときに比べてその先端が支持部材70の中心軸側に位置する。支持部材70の基端には、後述する押棒60の先端の嵌着部67(図12参照)が嵌着される凹部77pが形成される。当接部76の後端面が凹部77pの底面に相当し、複数のベンド片77の内周面が凹部77pの側面に相当する。
図4及び図5を参照して、化粧料4及び支持部材70が収容される貫通孔17について詳しく説明する。図5(d)に示すように、貫通孔17は、カートリッジ外筒10の先端側(前端側)から基端側(後端側)に向かって順番に、先端収容孔17a、基端摺動孔17b、基端孔17cを有する。
基端摺動孔17bは、連結部99により押棒60の先端と支持部材70の基端とを連結させるための貫通孔である。基端摺動孔17bにおいて、連結部99はその連結が解除不能な状態で摺動する。先端収容孔17aは、化粧料4が収容される貫通孔であり、その基端側に連結部99による押棒60の先端と支持部材70の基端との連結が解除可能となる大きさに形成された基端腔部17hを有する。基端孔17cは、連結部99による押棒60の先端と支持部材70の基端との連結が解除可能となる大きさに形成された貫通孔である。先端収容孔17aと基端摺動孔17bとは連通され、基端摺動孔17bと基端孔17cとは連通される。
先端収容孔17aは、カートリッジ外筒10の先端側に設けられる。先端収容孔17aは、支持筒72及び化粧料4が摺動する摺動開口部17gと、摺動開口部17gの後方に設けられる基端腔部17hと、基端腔部17hと基端摺動孔17bとの間に設けられるテーパ孔17eと、を有する。基端腔部17hは、ベンド片77を開状態とするための開口部であって、先端収容孔17aにおける基端側に設けられる。なお、開閉部であるベンド片77が開状態になると、押棒60の先端と支持部材70の基端との連結が解除可能な状態となる。
本実施形態に係る貫通孔17は、基端摺動孔17bから後端開口11bへ連通する基端孔17cを有する。基端孔17cは、後端開口11bと基端摺動孔17bとの間に設けられる。基端孔17cは、基端孔17cにおける基端側に設けられる基端腔部17iと、基端腔部17iと基端摺動孔17bとの間に設けられるテーパ孔17fと、を有する。摺動開口部17g、基端腔部17h、テーパ孔17e、基端摺動孔17b、テーパ孔17f、及び基端腔部17iは、それぞれ同心の円形断面乃至略円形断面を有している。
基端摺動孔17bは、カートリッジ外筒10の基端側に設けられ、複数のベンド片77で構成される略筒状の開閉部が縮径した状態で摺動する貫通孔である。基端摺動孔17bは、支持部材70の基端と押棒60の先端との連結部99を連結解除不能状態で進退させるための貫通孔であり、先端収容孔17a及び基端孔17cのそれぞれに連通して設けられる。先端収容孔17aは、基端摺動孔17bの前方において、複数のベンド片77で構成される略筒状の開閉部の拡径が可能な領域である。基端孔17cは、基端摺動孔17bの後方において、複数のベンド片77で構成される略筒状の開閉部の拡径が可能な領域である。
図4から図6に示すように、摺動開口部17gは、支持筒72と、支持筒72に支持される化粧料4を収容する。摺動開口部17gの内径寸法は、支持筒72の外径寸法DTよりも僅かに大きい。このため、摺動開口部17gの内周面と支持筒72の外周面との間には僅かな隙間が形成される。支持筒72の外周面には、径方向外方に突出する突部73が周方向に等間隔で複数設けられる。支持筒72は、突部73が摺動開口部17gの内周面に当接した状態で、摺動開口部17g内を軸方向に摺動する。
基端腔部17hの内径寸法DL1は、支持筒72の外径寸法DTよりも小さい(DL1<DT)。つまり、基端腔部17hの内径寸法DL1は、摺動開口部17gの内径寸法よりも小さい。基端腔部17hの内径寸法DL1が摺動開口部17gの内径寸法よりも小さいので、摺動開口部17gと基端腔部17hとの間に段部17dが形成される。基端腔部17hの開口縁部である段部17dは、支持筒72がカートリッジ外筒10の基端側に移動することを規制する規制部として機能する。
先端収容孔17aの基端腔部17hの内径寸法DL1は、基端摺動孔17bの内径寸法DSよりも大きい(DL1>DS)。基端摺動孔17bの内径寸法DSは、支持部材70の棒軸部75の外径寸法DRよりも僅かに大きい(DS>DR)。基端摺動孔17bと基端腔部17hとの間には、基端摺動孔17bから基端腔部17hに向かって徐々に径が大きくなるテーパ孔17eが設けられる。テーパ孔17eのテーパ面は、前端で基端腔部17hの内周面に連続し、後端で基端摺動孔17bの内周面に連続している。
基端孔17cの基端腔部17iの内径寸法DL2は、基端摺動孔17bの内径寸法DSよりも大きい(DL2>DS)。基端腔部17iと基端摺動孔17bとの間には、基端腔部17iから基端摺動孔17bに向かって徐々に径が小さくなるテーパ孔17fが設けられる。テーパ孔17fのテーパ面は、前端で基端摺動孔17bの内周面に連続し、後端で基端腔部17iの内周面に連続している。
基端摺動孔17b及び基端孔17cの内周面には、ローレット加工により軸方向に延在する凹凸部(平目ローレット)18が形成される。図5(b)及び図5(d)に示すように、凹凸部18は、山部と谷部とが周方向に交互に配置される波形状の断面を有し、基端腔部17iから基端摺動孔17bに亘って連続して形成される。
本実施形態において、基端摺動孔17bの内径寸法DSとは、基端摺動孔17bにおいて、凹凸部18の複数の山部の頂部を結ぶ仮想の円形状断面の径のことを指す。また、基端孔17cの基端腔部17iの内径寸法DL2とは、基端腔部17iにおいて、凹凸部18の複数の山部の頂部を結ぶ仮想の円形状断面の径のことを指す。凹凸部18の谷部には上述したベンド片77のリブ77aが嵌入される。
上述したように、貫通孔17は、その内周面によってベンド片77の開閉状態を制御する。図5(d)に示すように、本実施形態では、基端摺動孔17bの内径寸法DSが、開閉部外形寸法DB(図6(a)参照)よりも小さい(DS<DB)。このため、基端摺動孔17bにベンド片77が位置しているときには、複数のベンド片77のベンド片本体部77cは、基端摺動孔17bにおける凹凸部18の山部の頂部によって内側に押圧され、閉状態となる。
先端収容孔17aの基端腔部17hの内径寸法DL1は、開閉部外形寸法DB(図6(a)参照)よりも大きい(DL1>DB)。同様に、基端孔17cの基端腔部17iの内径寸法DL2は、開閉部外形寸法DB(図6(a)参照)よりも大きい(DL2>DB)。
なお、ベンド片77に設けられた係合突部であるリブ77aが貫通孔17の凹凸部18の谷部、すなわち溝部と係合することで、カートリッジ外筒10に対する支持部材70の周方向の移動、すなわち相対回転が不能となる。これにより、押棒60の天面62が、支持部材70の当接部76に対して回転しながら進退し、摩擦による回転力が棒軸部75に伝わり、支持部材70がカートリッジ外筒10内で相対回転することを、リブ77aと溝部の係合により防止できる。
カートリッジ2は、支持部材70が挿入されて化粧料4が収容されたカートリッジ外筒10に上キャップ3と下キャップ9とが取り付けられた状態(図2(a)及び図4(a)参照)で、化粧料4を内蔵したカートリッジ2として単体で販売される。上キャップ3、下キャップ9、Oリング5a及びパッキン5bによってカートリッジ2の気密性を高めることができるため、化粧料4が乾燥するのを防止でき、化粧料4の劣化や芯折れを防止できる。
カートリッジ2は、カートリッジホルダー1に取り付けられた状態で、カートリッジ式化粧料容器100(図1参照)として販売してもよい。さらに、カートリッジホルダー1を単体で販売してもよい。
図7から図14を参照して、カートリッジ2が取り付けられた状態で使用されるカートリッジホルダー1について詳しく説明する。ここで、図7に示すように、カートリッジ2がカートリッジホルダー1の本体筒20に取り付けられる前の状態における押棒60の位置を「初期位置」と称する。
図7に示すように、本体筒20は、駆動体30が相対回転可能に取り付けられる本体外筒21と、本体外筒21の内側に挿入される本体内筒40と、を備えている。
図8に示すように、本体外筒21は、前端開口22と後端開口29とを有する略円筒状に形成される。本体内筒40(図9参照)は、前端開口22から本体外筒21の内側に挿入される。駆動体30(図11参照)は、後端開口29から本体外筒21の内側に挿入される。
本体外筒21は、前端開口22の近傍の内周に、本体内筒40と嵌合する環状の嵌合凹部23を有する。本体外筒21は、後端開口29の近傍の内周に、駆動体30と相対回転自在に嵌合する環状の嵌合凹部28を有する。
本体外筒21には、その内周に、近接ガイド部(第1ガイド部)25とガイド壁部26とが設けられる。近接ガイド部25は、本体外筒21の軸方向略中央において、径方向内側に突出して形成される。ガイド壁部26は、前端開口22と近接ガイド部25との略中央から近接ガイド部25までの領域において、径方向内側に突出して形成される。
ガイド壁部26は、本体内筒40の外周に設けられる後述のガイド部45(図9参照)と係合する。ガイド壁部26とガイド部45とにより、本体外筒21に対する本体内筒40の周方向の位置が規定され、本体外筒21と本体内筒40との相対回転が不能となる。このように、ガイド壁部26は、本体内筒40が本体外筒21の内側に挿入される際に、本体内筒40を回転不能にガイドする。
近接ガイド部25は、互いに径方向に対向して一対設けられる。各近接ガイド部25は、軸方向に対して傾斜する傾斜面25aを有する。近接ガイド部25の傾斜面25aは、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられるときには、雌ねじ部材50の後述する羽根部55の後端面55b(図10参照)に接する。傾斜面25aが軸方向に対して傾斜しているので、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10とともに軸方向に移動するとともに、径方向中心へ向かって移動する。
図11に示すように、駆動体30は、前後方向に延在する円形状の開口部30aを有し、前端が開口され、後端が底部37により閉塞された、有底の略円筒状に形成される。駆動体30は、本体外筒21に嵌入される嵌入部31と、嵌入部31に連続して形成され使用者によって摘んで用いられる摘み部32と、を有する。
嵌入部31は、略円筒状に形成される。嵌入部31の基端近傍(摘み部32の付近)の外周には、本体外筒21の嵌合凹部28(図8参照)に嵌合する嵌合凸部34が環状に形成される。また、嵌合凸部34の前方における嵌入部31の外周には、環状のOリング溝33が形成される。
Oリング溝33には、第3閉塞部材としてのOリング6(図7参照)が取り付けられている。Oリング6は、嵌入部31と本体外筒21とにより径方向に圧縮された状態で設けられ、嵌入部31の外周と本体外筒21の内周との隙間を閉塞する。そのため、この隙間を通じた空気の出入を防止でき、カートリッジホルダー1の気密性を高めることができる。したがって、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられた状態において、化粧料4が乾燥するのを防止でき、化粧料4の劣化や芯折れを防止できる。
また、Oリング6によって、本体外筒21と駆動体30との相対回転に適度な抵抗を付与することができる。したがって、使用者による操作感を向上できる。
摘み部32は、嵌入部31と比較して大径に形成される。摘み部32は、本体外筒21の外径と略同径に形成される。これにより、駆動体30が本体外筒21に組み付けられると、本体外筒21の外周面と摘み部32の外周面とが略面一となる(図7参照)。
駆動体30には、押棒60と相対回転不能に係合する複数の溝35が設けられている。
溝35は、開口部30aの内周面に設けられ、駆動体30の底部37から前端開口39まで軸方向に延在する。溝35が、後述する押棒60の鍔部63のリブ63b(図12参照)に係合すると、駆動体30と押棒60との相対回転が不能となる。本実施形態では、溝35は、4つ設けられる。
図12に示すように、押棒60は、略円柱状に形成される。押棒60は、本体筒20及び駆動体30の内側に収容される(図7参照)。押棒60は、本体筒20及び駆動体30と同軸に設けられる棒軸61と、棒軸61の一端に設けられる天面62と、棒軸61の他端に設けられる鍔部63と、鍔部63から軸方向に凹設される腔部64と、を有する。
棒軸61の外周には、雌ねじ部材50の後述する雌ねじ53(図10参照)が螺合する雄ねじ61aが形成されている。カートリッジ2に収容された化粧料4(図1〜図3参照)は、微量ずつ押し出されて使用される。よって、雄ねじ61aのピッチは、押棒60が微動可能なピッチに設定される。
鍔部63は、棒軸61と比較して大径の円板状に形成される。鍔部63は、コイルばね7が載置されるばね載置面63aと、ばね載置面63aの反対側に形成される後端面63cと、を有する。鍔部63は、駆動体30内を軸方向に移動する。
鍔部63の外周には、駆動体30の溝35(図7(c)及び図11参照)と摺動可能に係合する複数のリブ63bが形成される。上述したように、リブ63bが駆動体30の溝35と係合することで、押棒60と駆動体30との相対回転が不能となる。よって、使用者が駆動体30の摘み部32を摘んで回転させると、押棒60は、駆動体30と同期して回転する。
押棒60の先端には、カートリッジ2の支持部材70のベンド片77(図6参照)に連結される嵌着部67が設けられる。本実施形態では、支持部材70の基端に設けられたベンド片77と、押棒60の先端に設けられた嵌着部67とにより、連結部99が構成される(図3参照)。
嵌着部67は、円柱形状の円柱部67bと、円錐台形状の頭部67aと、を有する。円柱部67bの径は、棒軸61の径よりも小さく、かつ、頭部67aの底面の径よりも小さい。頭部67aの底面の径は、円柱部67bの径よりも大きいので、頭部67aの底面が段部67cとされている。押棒60の先端と支持部材70の基端との連結及び連結解除の方法については、後述する。
図7に示すように、コイルばね7は押棒60の鍔部63とクッション部材80との間に配置され、押棒60がコイルばね7の内側に挿通されている。図13に示すように、コイルばね7は、螺旋状に成形された弾性部材であり、その自然長は、図3に示す初期状態における押棒60のばね載置面63aとクッション部材80のばね受け凹部83との間の距離よりも長い。
カートリッジホルダー1にカートリッジ2が取り付けられた状態では、押棒60のばね載置面63aとクッション部材80のばね受け凹部83との間の距離は、図3の初期状態で最も長く、押棒60が前方に繰り出されるほど短くなる。つまり、図3に示すように、カートリッジホルダー1にカートリッジ2が取り付けられた状態では、コイルばね7は圧縮された状態であり、鍔部63とクッション部材80とを互いに離す方向に、押棒60とクッション部材80とを付勢する。なお、弾性体の自然長(自由長)とは、弾性体に負荷がかけられていない状態での弾性体の長さをいう。
図14に示すように、クッション部材80は、円筒状の第1円筒部81と、第1円筒部81よりも径が小さい円筒状の第2円筒部82と、を有する。第1円筒部81は、コイルばね7の径と略同じ径の円形状の貫通孔81hを有し、貫通孔81hにおける前端部に第2円筒部82の後端部が位置している。第2円筒部82は、押棒60の棒軸61の外径と略同じ径の円形状の貫通孔82hを有している。第2円筒部82の貫通孔82hと第1円筒部81の貫通孔81hとは連通しており、貫通孔81h及び貫通孔82hに押棒60が挿通される。
第2円筒部82は、第1円筒部81の前端に結合されている。第1円筒部81は、後部に駆動体30に嵌入される嵌入部86を備える。第1円筒部81の前部は駆動体30の前端開口39(図11参照)から突出した状態で本体外筒21(図8参照)の内側に収容される。
第2円筒部82の後端の外周縁部と第1円筒部81の前端の内周面との間に、コイルばね7の一端が配置されるばね受け凹部83が形成される。コイルばね7の付勢力がばね受け凹部83に作用することにより、クッション部材80は、押棒60の鍔部63から離間する方向(本体内筒40の前端開口41の方向)に付勢される。
嵌入部86の外周には、嵌入部86の軸方向全長に亘って軸方向に延在する複数のリブ84と、リブ84から径方向外方に突出して形成される突部85と、が設けられる。
リブ84は、駆動体30の溝35(図11参照)と摺動可能に係合し、駆動体30とクッション部材80との相対回転を不能にする。よって、使用者が駆動体30を摘んで回転させると、クッション部材80は、駆動体30と同期して回転する。リブ84は、軸方向に延在する溝35に係合するので、駆動体30に対するクッション部材80の軸方向への移動を拘束しない。
図11に示すように、駆動体30の前端開口39の近傍の溝35の内面には、突部38が形成される。嵌入部86を駆動体30に挿入すると、クッション部材80の突部85が溝35の突部38を乗り越える。
突部85は、嵌入部86が駆動体30に挿入された状態では、駆動体30の突部38に対して駆動体30の前端開口39とは反対側に位置する。したがって、クッション部材80が駆動体30から抜ける方向に移動すると、駆動体30の突部38がクッション部材80の突部85を係止して、駆動体30からクッション部材80が抜けることを防止する。
図9に示すように、本体内筒40は、前端開口41と後端開口48とを有する略円筒状に形成される。カートリッジ外筒10の嵌入部16(図4及び図5参照)は、前端開口41から本体内筒40の内側に挿入される。雌ねじ部材50(図10参照)は、後端開口48から本体内筒40の内側に挿入される。
本体内筒40は、内周に前端開口41から軸方向に形成される雌ねじ43と、外周に凹状に形成されるガイド部45と、後端開口48の近傍の内周に形成される離間ガイド部(第2ガイド部)44と、を有する。本体内筒40は、前端開口41の近傍の外周に、本体外筒21の嵌合凹部23(図8参照)と嵌合する環状の嵌合凸部42を有する。
雌ねじ43は、カートリッジ外筒10の雄ねじ15(図4及び図5参照)に対応して形成される。雌ねじ43と雄ねじ15との螺合により、カートリッジ外筒10が本体内筒40に固定される(図3参照)。
ガイド部45は、本体内筒40の後端面47から軸方向に延設される。ガイド部45は、本体外筒21のガイド壁部26(図8参照)に対応する位置に形成され、ガイド壁部26と係合する。これにより、本体外筒21と本体内筒40との相対回転が不能となる。
離間ガイド部44は、本体外筒21の近接ガイド部25(図8参照)に対応して一対形成される。離間ガイド部44は、近接ガイド部25と平行に形成される。離間ガイド部44は、近接ガイド部25との間に所定の隙間をあけて、近接ガイド部25よりも本体外筒21の前端開口22側に位置する。この隙間は、雌ねじ部材50の後述する羽根部55(図10参照)が挿入可能な大きさに形成される。
各離間ガイド部44は、軸方向に対して傾斜する傾斜面44aと、軸方向に沿って延在する側面44bと、を有し、径方向内側に突出する凸形状に形成される。
離間ガイド部44の傾斜面44aは、カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外され雌ねじ部材50がコイルばね7の付勢力により軸方向に移動するときに、雌ねじ部材50の羽根部55の前端面55aに接する。傾斜面44aが軸方向に対して傾斜しているので、雌ねじ部材50は、コイルばね7の付勢力により軸方向前方に移動するとともに、中心から離れるように径方向に移動する。
本体内筒40は、本体内筒40の内周面から突出する突壁部46と、本体内筒40の内周に設けられる段部49と、を有する。突壁部46は、径方向内側に突出するように形成される。突壁部46の周方向の両側には、凹部46aが形成される。段部49は、離間ガイド部44により形成され、傾斜面44aの反対側に位置する。
図7及び図10に示すように、雌ねじ部材50は、押棒60の外周面の周方向の一部を覆うように配置される本体部51と、押棒60が挿通される孔52aを有する挿通部52と、を有する。挿通部52の一部は、本体部51から軸方向に連続して形成される。
図7に示すように、上述のクッション部材80は、本体外筒21の内側において、雌ねじ部材50とコイルばね7との間に配置される。クッション部材80の前端面(第2円筒部82の前端面)89a(図14参照)が雌ねじ部材50の後端面(挿通部52の後端面)50b(図10参照)と接し、クッション部材80のばね受け凹部83がコイルばね7の前端に接する。このため、コイルばね7は、クッション部材80を介して、雌ねじ部材50を軸方向前方に付勢する。コイルばね7の付勢力が、クッション部材80を介して、雌ねじ部材50の後端面50bに作用することにより、雌ねじ部材50は、クッション部材80とともに押棒60の鍔部63から離間する方向(本体内筒40の前端開口41の方向)に付勢される。
図3に示すように、雌ねじ部材50の前端面(本体部51の前端面)50a(図10参照)は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられた状態では、カートリッジ外筒10の後端面(嵌入部16の後端面)19b(図4及び図5参照)に接する。つまり、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられるときに、カートリッジ外筒10によって押圧され、クッション部材80を介してコイルばね7を圧縮させながらクッション部材80及びカートリッジ外筒10とともに軸方向後方へ移動する。
コイルばね7は、軸方向前方、すなわち本体内筒40の前端開口41の方向(カートリッジ外筒10による押圧方向とは反対の方向)に、クッション部材80を介して雌ねじ部材50を付勢する。そのため、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外され、カートリッジ外筒10による雌ねじ部材50への押圧が解除されたときに、コイルばね7の前方への付勢力によって、クッション部材80とともに前方へ移動する。
図10に示すように、本体部51は、断面が円弧状に形成される基部51aと、基部51aの周方向の両端から互いに平行に延在する一対の延在部51bと、を有する。延在部51bには、開口端面56aと外側面56bが設けられる。
延在部51bの外側面56bは、本体内筒40の離間ガイド部44の側面44bと対向する(図7(b)参照)。これにより、本体内筒40と雌ねじ部材50との相対回転が不能となる。
延在部51bの先端部は、開口端面56aが本体内筒40の凹部46aの底面に対向するように、本体内筒40の凹部46aに挿入される(図7(b)参照)。延在部51bは、基部51aが本体内筒40の内周面に接した状態で開口端面56aと凹部46aの底面との間に所定の隙間が形成される長さを有する(図7(b)参照)。つまり、雌ねじ部材50は、挿通部52に押棒60が挿通されていない状態では、この所定の隙間の範囲で、本体内筒40に対して径方向に移動可能である(図7(b)参照)。
挿通部52の孔52aは、断面が略楕円形状を有し、かつ略楕円形状の長軸が延在部51bの外側面56bに沿うように形成される。したがって、挿通部52に押棒60が挿通された状態でも、雌ねじ部材50は、径方向へ移動可能である。
雌ねじ部材50は、各延在部51bの外周に突出して形成される突部51dと、基部51aの内周に形成される雌ねじ53と、各延在部51bの外周に突出して形成される羽根部55と、を有する。
突部51dは、前端面50aの近傍に形成される。雌ねじ部材50にコイルばね7の付勢力が作用していない状態では、突部51dは、本体内筒40の段部49(図9参照)に載置される。これにより、組み立て作業の際、雌ねじ部材50が本体内筒40の後端開口48側から脱落するのを防止することができ、カートリッジホルダー1の組み立てが容易になる。
雌ねじ53は、押棒60の雄ねじ61aのリードと同一のリードに形成される。基部51aの内周面が押棒60の棒軸61に接することにより、雌ねじ53が雄ねじ61aと螺合する。雌ねじ53が雄ねじ61aと螺合した状態で押棒60と雌ねじ部材50とが相対回転することにより、押棒60が雌ねじ部材50に対して軸方向に進退する。
カートリッジホルダー1では、雌ねじ部材50の本体部51が周方向に途切れた形状(周方向に連続していない形状)に形成されるため、雌ねじ部材が円筒状に形成される場合と異なり、本体部51の周方向の両端部間に開口が形成される。円筒状の雌ねじ部材に雌ねじを形成する場合、金型を回転させながらねじ抜きを行う必要がある。
これに対して、本実施形態では、本体部51の周方向の両端部間に開口が形成されているので、雌ねじ部材50の成形時に、雌ねじ53を形成する金型を本体部51の開口から離型することができる。つまり、本実施形態では、雌ねじ部材50に雌ねじ53を形成する際に、金型を回転させながらねじ抜きを行う必要がない。したがって、雌ねじ部材50をより容易に成形することができる。
本実施形態のカートリッジホルダー1では、雌ねじ部材50の本体部51が周方向に途切れた形状を有し、かつ、挿通部52の孔52aの断面が略楕円形状を有するので、雄ねじ61aを雌ねじ53から離した状態で押棒60を挿通部52に挿通させることができる。つまり、雄ねじ61aと雌ねじ53とを螺合させることなく押棒60を挿通部52に挿通させることができる。そのため、雌ねじ部材50を棒軸61に組み付ける際に、押棒60と雌ねじ部材50とを相対回転させる必要がない。したがって、雄ねじ61aのリードの大きさに関わらず、実施例のように雄ねじ61aのリードが小さい場合も雌ねじ部材50を押棒60の棒軸61に容易に組み付けることができる。
羽根部55は、本体外筒21の近接ガイド部25(図8参照)と本体内筒40の離間ガイド部44(図9参照)との間に挿入される。つまり、羽根部55には、カートリッジホルダー1が組み立てられた状態で、離間ガイド部44の傾斜面44aと対向する前端面55aと、近接ガイド部25の傾斜面25aと対向する後端面55bと、が設けられる。
カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられる際には、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10により押され、クッション部材80を介してコイルばね7を圧縮して収縮させながらクッション部材80とともに後方へ移動する。このとき、羽根部55の後端面55bは、本体外筒21の近接ガイド部25の傾斜面25aに摺動自在に接する。
図8に示すように、近接ガイド部25の傾斜面25aは、カートリッジホルダー1が組み立てられた状態において、押棒60に対して雌ねじ部材50の雌ねじ53側の端部25bが、雌ねじ53とは反対側の端部25cよりも前端開口22側に位置するように傾斜する。そのため、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられる際には、カートリッジ外筒10により押圧されて軸方向後方に移動するとともに、雌ねじ53を雄ねじ61aに近接させる方向に案内される。このように、近接ガイド部25は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられ雌ねじ部材50がカートリッジ外筒10によって押圧された際に雌ねじ53と雄ねじ61aとが螺合する方向に雌ねじ部材50を案内する。
雌ねじ部材50が雌ねじ53と雄ねじ61aとを螺合させる方向に移動することにより、雌ねじ部材50の基部51aの内周面が押棒60の棒軸61に接し、雌ねじ53が雄ねじ61aと螺合する(図3参照)。つまり、雌ねじ53は、カートリッジ外筒10が本体内筒40に取り付けられる際に雌ねじ部材50がカートリッジ外筒10によって押圧されることにより、棒軸61の雄ねじ61aと螺合する。
図9に示すように、本体内筒40の突壁部46は、雌ねじ53に対向する領域に設けられる。突壁部46は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられ雌ねじ部材50が近接ガイド部25により案内された状態では、雌ねじ53とは反対側において棒軸61に接する(図3参照)。そのため、突壁部46は、雌ねじ部材50の雌ねじ53と押棒60の雄ねじ61aとの螺合が解除される方向(以下、「螺合解除方向」とも称する)への押棒60の移動を制限する。すなわち、突壁部46は、押棒60が雌ねじ53から離れる方向へ移動することを規制する。
螺合解除方向への押棒60の移動が突壁部46により制限されるので、棒軸61が雌ねじ部材50の本体部51から離れにくく、雄ねじ61aと雌ねじ53との螺合が弱まりにくい。したがって、押棒60は本体筒20と駆動体30との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧料4をカートリッジ外筒10からより確実に繰り出したり、繰り戻したりすることができる。
なお、突壁部46は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられた状態で棒軸61に常に接するように形成される必要はなく、雌ねじ53と雄ねじ61aとが完全に螺合している状態では、突壁部46と棒軸61との間にギャップが形成されていてもよい。このギャップは、棒軸61が螺合解除方向に移動しても雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除されない程度の大きさに形成される。
突壁部46は、雌ねじ53に対向する領域に設けられるので、押棒60が回転中心軸に対して傾いても、棒軸61は雌ねじ部材50の本体部51からほとんど離れない。したがって、本体内筒40の突壁部46だけで雄ねじ61aと雌ねじ53との螺合の解除を防ぐことができる。
カートリッジホルダー1は、本体筒20の本体内筒40が螺合解除方向への押棒60の移動を制限する突壁部46を有するので、雌ねじ部材50の雌ねじ53と押棒60の雄ねじ61aとを螺合させる際に複数の雌ねじ部材50が必要とされない。コイルばね7は1つの雌ねじ部材50を付勢するので、複数の雌ねじ部材を用いる場合(たとえば、特開2014−161637号公報に記載の技術)のように雌ねじ部材に通常よりも大きい付勢力が作用することはない。そのため、雌ねじ部材50の雌ねじ53のねじ山の頂部が押棒60の雄ねじ61aのねじ山の頂部に当接しても、本体筒20へのカートリッジ外筒10の挿入が困難になることはない。
したがって、カートリッジ外筒10を本体筒20の所定の位置まで挿入することができ、螺合解除方向への押棒60の移動を突壁部46により制限することができる。その結果、押棒60は、本体筒20と駆動体30との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧料4をカートリッジ外筒10からより確実に繰り出したり、繰り戻したりすることができる。
仮に、カートリッジ式化粧料容器が複数の雌ねじ部材を備えていると、1つの雌ねじ部材が他の雌ねじ部材に対してずれ、雌ねじ部材同士が部分的に当接する場合がある。このような場合、当接部分に通常よりも大きな力が作用するので、コイルばねの付勢力で複数の雌ねじ部材を同時に正しい位置に戻すのは困難である。
本実施形態に係るカートリッジホルダー1は、1つの雌ねじ部材50を備えるので、雌ねじ部材50に通常よりも大きな力が作用することはない。したがって、雌ねじ部材50が軸方向に対して傾いても、コイルばね7の付勢力で雌ねじ部材50を正しい位置に戻すことができる。そのため、カートリッジ外筒10を本体筒20の所定の位置まで挿入することができ、螺合解除方向への押棒60の移動を突壁部46により制限することができる。
カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外される際には、雌ねじ部材50は、コイルばね7の付勢力により、クッション部材80とともに軸方向前方へ移動する。このとき、羽根部55の前端面55a(図10参照)は、本体内筒40の離間ガイド部44の傾斜面44a(図9参照)に摺動自在に接する。
図9に示すように、離間ガイド部44の傾斜面44aは、カートリッジホルダー1が組み立てられた状態において、押棒60に対して雌ねじ部材50の雌ねじ53側の端部44cが、雌ねじ53とは反対側の端部44dよりも前端開口41側に位置するように傾斜する。そのため、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外される際には、クッション部材80を介してコイルばね7により付勢されて軸方向前方に移動するとともに、雌ねじ53を雄ねじ61aから離間させる方向に案内される。このように、離間ガイド部44は、カートリッジ外筒10による雌ねじ部材50への押圧が解除された際に雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除される方向に雌ねじ部材50を案内する。
雌ねじ53が雄ねじ61aから離間して雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除されることにより、押棒60は、押棒60と雌ねじ部材50との相対回転に関わらず、力を受けることにより雌ねじ部材50に対して軸方向に移動可能となる。したがって、カートリッジ外筒10を本体筒20から取り外すことにより、押棒60を初期位置(図7参照)へ容易に移動させることができる。
コイルばね7は、鍔部63を雌ねじ部材50から離間させる方向に、すなわち軸方向後方に押棒60を付勢する。そのため、たとえば、化粧料4を使い切り、カートリッジ外筒10を本体筒20から取り外すと、雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除され、押棒60は、コイルばね7の付勢力により軸方向後方に移動する。したがって、押棒60を初期位置(図7参照)へより確実に移動させることができる。
図3に示すように、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられたとき、パッキン5bは、本体内筒40の端面40aを跨いだ状態でフランジ14と本体外筒21の端面21aとの間を閉塞する。そのため、本体外筒21と本体内筒40との間に空気が出入するのを防止できるとともに、パッキン5bとは別の部材を用いることなく本体内筒40の内部に空気が出入するのを防止できる。したがって、安価にカートリッジ式化粧料容器100の気密性を高めることができる。これにより、カートリッジ2がカートリッジホルダー1に取り付けられた状態においても、化粧料4が乾燥するのを防止でき、化粧料4の劣化や芯折れを防止できる。
パッキン5bは、フランジ14と本体外筒21の端面21aとにより軸方向に圧縮された状態で保持される。そのため、パッキン5bの内径及び外径に製造のばらつきがあってもフランジ14と本体外筒21との隙間を閉塞できる。また、パッキン5bは、パッキン5bと当接する部位の軸方向の寸法のばらつきを吸収し、部材どうしの隙間を閉塞できる。したがって、製造にばらつきのある部材を廃棄する必要がないため、より安価にカートリッジ式化粧料容器100の気密性を高めることができる。
カートリッジ式化粧料容器100では、本体内筒40の端面40aは、本体外筒21の端面21aと位置が略一致しており、パッキン5bは、フランジ14と本体内筒40の端面40aとによっても圧縮された状態で保持されている。なお、パッキン5bは、本体内筒40の端面40aに接しておらず、フランジ14と本体内筒40の端面40aとにより圧縮されていなくてもよい。
図3、図4及び図7を参照して、カートリッジホルダー1へのカートリッジ2の取り付け手順について説明する。
まず、カートリッジ外筒10の後端面19bをカートリッジホルダー1の本体内筒40の前端開口41に通し、カートリッジ外筒10の嵌入部16を本体内筒40の内側に挿入する。カートリッジ外筒10の雄ねじ15を本体内筒40の雌ねじ43に螺合させながら嵌入部16を本体内筒40の内側に挿入すると、カートリッジ外筒10の後端面19bが雌ねじ部材50の前端面50aを押し、雌ねじ部材50の後端面50bがクッション部材80の前端面89aを押す。
クッション部材80は、コイルばね7を圧縮して収縮させながら軸方向に移動する。その結果、雌ねじ部材50は軸方向に移動する。
雌ねじ部材50の移動により、雌ねじ部材50の羽根部55の前端面55aが本体内筒40の離間ガイド部44の傾斜面44aから離間するとともに、羽根部55の後端面55bが本体外筒21の近接ガイド部25の傾斜面25aに接する。近接ガイド部25は、雌ねじ部材50の雌ねじ53が雄ねじ61aに近接する方向に雌ねじ部材50を案内するので、雌ねじ部材50が後退することで、雌ねじ53と雄ねじ61aとが螺合する。
突壁部46が螺合解除方向への押棒60の移動を制限するので、雌ねじ部材50が本体外筒21の近接ガイド部25により押棒60に近接して押棒60が雌ねじ部材50により押されても、押棒60は移動しない。したがって、雄ねじ61aと雌ねじ53との螺合は、弱まりにくい。
パッキン5bがフランジ14と本体外筒21の端面21aとにより圧縮されるまで嵌入部16を本体内筒40の内側に挿入する。これにより、本体内筒40の端面40aを跨いだ状態でフランジ14と本体外筒21の端面21aとの間が閉塞され、本体外筒21と本体内筒40との間に空気が出入するのを防止できるとともに、パッキン5bとは別の部材を用いることなく本体内筒40の内部に空気が出入りするのを防止できる。したがって、化粧料4が乾燥するのを防止でき、化粧料4の劣化や芯折れを防止できる。
以上により、カートリッジホルダー1へのカートリッジ2の取り付けが完了し、カートリッジ式化粧料容器100が完成する(図1参照)。
主に、図3を参照して、カートリッジ式化粧料容器100の使用方法について説明する。図3は、カートリッジホルダー1の使用が開始される前の状態であり、押棒60が後退限に位置しているカートリッジ式化粧料容器100の状態を示している。
図3に示すように、押棒60が後退限に位置している状態では、押棒60の先端と支持部材70の基端との連結部99が、連結初期部位に配置される。連結初期部位とは、押棒60の先端(本実施形態では嵌着部67)と支持部材70の基端(本実施形態ではベンド片77)との連結が解除可能な部位のことである。
連結部99が連結初期部位に位置しているとき、ベンド片77の先端が貫通孔17における基端孔17c内に配置され、ベンド片77が開状態となっているので、押棒60の嵌着部67と支持部材70のベンド片77とは連結されていない。図3に示すように、押棒60の鍔部63が駆動体30の底部37に当接し、押棒60の後退が規制されているときの押棒60の位置を、押棒60の後退限と定義する。
使用者が、本体筒20に対して駆動体30を一方に回転(正回転)させると、駆動体30とともに押棒60が雌ねじ部材50に対して一方に回転する。雌ねじ53と雄ねじ61aとが螺合しているため、押棒60が雌ねじ部材50に対して一方に回転すると、押棒60が本体筒20に対して前進する。
押棒60が前進することで、カートリッジ2の支持部材70の当接部76が押棒60の天面62により押され、支持部材70が押棒60とともにカートリッジ外筒10の貫通孔17内で前進し、カートリッジ外筒10に収容された化粧料4が前端開口11aから押し出される。なお、支持部材70のリブ77aが貫通孔17の凹凸部18の溝部に嵌入されているので、支持部材70は、カートリッジ外筒10に対して回転することなく前進する。つまり、押棒60は、支持部材70に対して回転しながら支持部材70を前方に押す。
繰出機構8により押棒60が前進し、支持部材70が押棒60に押されて、貫通孔17の基端摺動孔17b内にベンド片77が挿入されると、ベンド片77が基端摺動孔17bの内周面に接触することによって撓み、閉状態となる。つまり、基端摺動孔17bの内周面から内側に向かう押圧力がベンド片77の先端側に作用することで、ベンド片77が基端側を支点として弾性変形し、閉状態になる。
これにより、支持部材70の基端に設けられるベンド片77と、押棒60の先端に設けられる嵌着部67とが基端摺動孔17b内で連結される。複数のベンド片77は、閉状態ではベンド片77の内周面に設けられる突部77bが嵌着部67の外周面に接するまで弾性変形し、嵌着部67を挟持する。嵌着部67は、複数のベンド片77及び当接部76によって形成される凹部77pに嵌着される。
開閉部であるベンド片77が、貫通孔17の内周面に接触することにより弾性変形し、閉状態となって、支持部材70の基端と押棒60の先端とが基端摺動孔17b内で連結されている状態のことを連結解除不能状態と称す。連結部99は、基端摺動孔17b内に配置され、ベンド片77が閉状態となって嵌着部67に嵌着することで、連結解除不能状態となる。連結部99が基端摺動孔17b内に配置されているときには、基端摺動孔17bの内周面によってベンド片77が拘束されることで、ベンド片77の閉状態が維持される。
連結解除不能状態では、支持部材70は、押棒60の進退に伴ってカートリッジ外筒10の貫通孔17内を前後移動する。したがって、支持部材70の基端と押棒60の先端との連結部99は、基端摺動孔17bを連結解除不能状態で、押棒60のストロークに伴って進退する。
連結解除不能状態では、使用者が、本体筒20に対して駆動体30を他方に回転(逆回転)させると、駆動体30とともに押棒60が雌ねじ部材50に対して他方に回転する。押棒60が雌ねじ部材50に対して他方に回転すると、押棒60が本体筒20に対して後退する。押棒60が後退することで、ベンド片77の突部77bが押棒60の嵌着部67の段部67cにより引っ張られ、支持部材70がカートリッジ外筒10の貫通孔17内で後退し、カートリッジ外筒10から外側に突出していた化粧料4が貫通孔17内に戻される。
使用を継続し、駆動体30を正回転させて押棒60を前進させると、クッション部材80の後端面89bに押棒60の鍔部63が当接し、押棒60の前方への移動が規制される。押棒60の前進が規制されているときの押棒60の位置を、押棒60の前進限と定義する。
駆動体30を正回転させて押棒60を前進させると、前進に伴って支持部材70が押棒60に押されて、ベンド片77が先端収容孔17aに挿入される。ベンド片77は、テーパ孔17eに挿入されると、その弾性力により前進するにしたがって徐々に外側に開かれる。
繰出機構8により押棒60が前進限まで前進すると、押棒60の先端と支持部材70の基端との連結部99が、連結解除可能部位に位置する。連結解除可能部位とは、連結部99が基端摺動孔17bから脱出し、先端収容孔17a内に移動して、押棒60の先端(本実施形態では嵌着部67)と支持部材70の基端(本実施形態ではベンド片77)との連結が解除可能な部位である。ベンド片77が、連結解除可能部位を構成する先端収容孔17aの基端側の基端腔部17h内に配置されると、ベンド片77と基端摺動孔17bの内周面とが非接触となる。
なお、押棒60が前進限に位置している状態では、支持部材70も前進限に位置している状態となる。つまり、支持部材70の前進限は、連結部99が基端摺動孔17bを脱出して連結解除可能部位に位置しているときの支持部材70の位置に相当する。
このように、連結部99は、繰出機構8により基端摺動孔17bから脱出し、先端収容孔17aの連結解除可能部位を構成する基端腔部17h内に移動する。連結部99が基端腔部17h内に位置すると、ベンド片77は、基端摺動孔17bの内周面による拘束から解放され、その弾性力により開状態となって、支持部材70の基端(本実施形態ではベンド片77)と押棒60の先端(本実施形態では嵌着部67)との連結が解除可能となる。
なお、本実施形態では、ベンド片77が基端腔部17hに位置した段階で、押棒60の嵌着部67の段部67cよりも外側に支持部材70のベンド片77の突部77bが配置されるように、ベンド片77が外側に開いている。このため、押棒60が前進限に位置している状態では、嵌着部67とベンド片77とは、互いに接触することなく、軸方向に相対移動可能な状態となっている。この状態から押棒60を後退させても支持部材70は後退しない。
次に、カートリッジホルダー1からカートリッジ2を取り外す手順について説明する。
押棒60が前進限に位置してカートリッジ2が使用限界の状態に達している場合、支持部材70と押棒60との連結は解除されている。上述したように、本実施形態に係る連結解除状態では、ベンド片77が開状態となっている。このため、使用者は、カートリッジ外筒10の雄ねじ15と本体内筒40の雌ねじ43との螺合を解除するように、カートリッジ外筒10と本体筒20とを相対回転させることにより、カートリッジ2を本体筒20から直ちに分離することができる。なお、カートリッジ外筒10と本体筒20とを相対的に回転させることに伴い、コイルばね7の付勢力により、雌ねじ部材50は、カートリッジ2とともに軸方向前方に移動する。
雌ねじ部材50がコイルばね7の付勢力により軸方向前方に移動すると、雌ねじ部材50の羽根部55の後端面55bが本体外筒21の近接ガイド部25の傾斜面25aから離間し、雌ねじ部材50の羽根部55の前端面55aが本体内筒40の離間ガイド部44の傾斜面44aに接する。離間ガイド部44は、雌ねじ部材50の雌ねじ53が雄ねじ61aから離間する方向に雌ねじ部材50を案内するので、雌ねじ部材50が前進することで、雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除される。
雌ねじ53と雄ねじ61aとの螺合が解除されると、押棒60は、コイルばね7の付勢力により、軸方向後方に移動し、図7に示す初期位置に自動で復帰する。
以上により、カートリッジホルダー1からカートリッジ2の取り外しが完了する。
なお、使用途中のカートリッジ2をカートリッジホルダー1から取り外したい場合は、本体筒20に対して駆動体30を逆回転させ、押棒60を後退限まで後退させる。押棒60が後退限に位置すると、連結部99が貫通孔17の基端孔17cに位置する。連結部99が基端孔17c内に配置されると、ベンド片77に対する貫通孔17の内周面からの拘束が解放され、ベンド片77がその弾性力により開状態となり、ベンド片77と押棒60の嵌着部67との連結が解除可能となる。使用者は、この状態で、カートリッジ2の雄ねじ15とカートリッジホルダー1の雌ねじ43との螺合を解除することで、使用途中のカートリッジ2をカートリッジホルダー1から取り外すことができる。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
(1)本実施形態のカートリッジ式化粧料容器100では、パッキン5bは、本体内筒40の端面40aを跨いだ状態でフランジ14と本体外筒21の端面21aとの間を閉塞する。そのため、パッキン5bとは別の部材を用いることなくカートリッジ外筒10と本体外筒21との間を閉塞し、本体内筒40の内部に空気が出入りするのを防止できる。したがって、安価にカートリッジ式化粧料容器100の気密性を高めることができる。
(2)また、カートリッジ式化粧料容器100では、パッキン5bは、フランジ14と本体外筒21の端面21aとにより軸方向に圧縮された状態で保持される。そのため、パッキン5bの内径及び外径に製造のばらつきがあってもフランジ14と本体外筒21との隙間を閉塞できる。また、パッキン5bは、パッキン5bと当接する部位の軸方向の寸法のばらつきを吸収し、部材どうしの隙間を閉塞できる。したがって、製造にばらつきのある部材を廃棄する必要がないため、より安価にカートリッジ式化粧料容器100の気密性を高めることができる。
(3)カートリッジ式化粧料容器100は、カートリッジ外筒10の外周と上キャップ3の内周との隙間を閉塞するOリング5aを備えている。そのため、上キャップ3の内部に空気が出入するのを防止でき、カートリッジ式化粧料容器100の気密性を高めることができる。
(4)カートリッジ式化粧料容器100では、本体内筒40は、螺合によりカートリッジ外筒10を保持する。そのため、本体内筒40にカートリッジ外筒10を締め付けて固定でき、パッキン5bを軸方向に容易に圧縮できる。したがって、カートリッジ式化粧料容器100の気密性を高めることができる。
(5)カートリッジ式化粧料容器100は、本体外筒21と駆動体30との間に設けられるOリング6(図7参照)を備える。そのため、本体外筒21と駆動体30との隙間を通じた空気の出入を防止でき、カートリッジ式化粧料容器100の気密性を高めることができる。
(6)また、本実施形態に係るカートリッジ2では、カートリッジ外筒10が本体内筒40に保持されたとき、パッキン5bは本体内筒40の端面40aを跨いだ状態でフランジ14と本体外筒21の端面21aとの間を閉塞する。そのため、パッキン5bとは別の部材を用いることなくカートリッジ外筒10と本体外筒21の間を閉塞し、本体内筒40の内部に空気が出入りするのを防止できる。したがって、安価にカートリッジ式化粧料容器100の気密性を高めることができる。
(7)カートリッジ2では、パッキン5bは、フランジ14と下キャップ9の端面9bとの間を閉塞する。そのため、下キャップ9の内部に空気が出入するのを防止でき、カートリッジ2の気密性を高めることができる。
(8)カートリッジ2では、パッキン5bは、フランジ14と下キャップ9の端面9bとによって軸方向に圧縮された状態で保持される。そのため、パッキン5bの内径及び外径に製造のばらつきがあってもフランジ14と下キャップ9との隙間を閉塞できる。また、パッキン5bは、パッキン5bと当接する部位の軸方向の寸法のばらつきを吸収し、部材どうしの隙間を閉塞できる。したがって、製造にばらつきのある部材を廃棄する必要がないため、より安価にカートリッジ2の気密性を高めることができる。
(9)カートリッジ2では、下キャップ9は、カートリッジ外筒10の雄ねじ15と螺合する雌ねじ9aを有する。雄ねじ15は、本体筒20の雌ねじ43と螺合してカートリッジホルダー1にカートリッジ外筒10を保持するためにも用いられるため、雄ねじ15とは別に雄ねじをカートリッジ外筒10に設けることなく、カートリッジ外筒10に下キャップ9又はカートリッジホルダー1を選択的に取り付けることができる。
(第1変形例)
上記実施形態では、本体外筒21が単一部材で構成される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図15に示すように、第1変形例に係るカートリッジ式化粧料容器200では、本体外筒221は、本体外筒221の外郭を形成する第1本体外筒221aと、第1本体外筒221aの内周に設けられる第2本体外筒221bと、の2つの部材から形成される。
第1本体外筒221aは、金属からなり、第2本体外筒221bは、樹脂からなる。第1及び第2本体外筒221a,221bは、圧入や接着剤により互いに組み付けられている。第1本体外筒221aが金属で形成されているため、カートリッジ式化粧料容器200に重量感を与え、高級感を高めることができる。
カートリッジ式化粧料容器200では、パッキン5bは、本体内筒40の端面40aを跨ぐと共にフランジ14と第1本体外筒221aの端面221cとにより軸方向に圧縮された状態で保持されており、フランジ14と第1本体外筒221aの端面221cとの間を閉塞する。そのため、本体外筒221と本体内筒40との間に空気が出入するのを防止できるとともに、本体内筒40の内部に空気が出入りするのを防止できる。したがって、カートリッジ式化粧料容器100の気密性を高めることができる。
カートリッジ式化粧料容器200では、本体内筒40の端面40aは、第1本体外筒221aの端面221cと位置が略一致しており、パッキン5bは、フランジ14と本体内筒40の端面40aとによっても圧縮された状態で保持されている。なお、パッキン5bは、本体内筒40の端面40aに接しておらず、フランジ14と本体内筒40の端面40aとにより圧縮されていなくてもよい。
また、カートリッジ式化粧料容器200では、第2本体外筒221bの端面221dは、第1本体外筒221aの端面221cと位置が略一致しており、パッキン5bは、フランジ14と第2本体外筒221bの端面221dとによっても圧縮された状態で保持されている。なお、パッキン5bは、第2本体外筒221bの端面221dに接しておらず、フランジ14と第2本体外筒221bの端面221dとにより圧縮されていなくてもよい。
(第2変形例)
上記実施形態では、上キャップ3とカートリッジ外筒10との間がカートリッジ外筒10の外周に設けられるOリング5a(第2閉塞部材)によって閉塞される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図16に示すように、第2変形例に係るカートリッジ302では、有底筒状に形成される上キャップ103の底部に円板状のパッキン305a(第2閉塞部材)が設けられ、パッキン305aによって、上キャップ103の底部と、カートリッジ外筒110の端面と、の間が閉塞される。したがって、パッキン305aは、外郭部112と上キャップ103とによって軸方向に圧縮された状態で保持される。そのため、カートリッジ外筒110の前端開口111aに空気が出入するのを防止でき、カートリッジ302の気密性を高めることができる。
なお、カートリッジ外筒10の端面がカートリッジ外筒10の中心軸に対して傾斜しているのに対し、カートリッジ外筒110の端面はカートリッジ外筒110の中心軸に略直交している。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記実施形態では、押棒60は、支持部材70を介して化粧料4を押して前端開口11aから繰出すが、支持部材70を介することなく、化粧料4をカートリッジ外筒10の後端開口11bから直接押して前端開口11aから繰出してもよい。