JP2019216095A - 電子放出素子とその製造方法、水素製造装置、水素製造方法 - Google Patents

電子放出素子とその製造方法、水素製造装置、水素製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体中で、長時間安定して動作させることが可能な電子放出素子を提供する。【解決手段】本発明の電子放出素子100は、金属または半導体からなる下部電極基板101と、下部電極基板の一方の主面101aに形成された絶縁体層102と、絶縁体層102上に形成された電子透過電極層103と、電子透過電極層103上に形成された上部電極層104と、上部電極層104の表面に形成された炭素材料からなる保護層105と、を備え、絶縁体層102が上層側に突出部102aを有し、突出部102aと重なる領域に上部電極104が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、電子放出素子とその製造方法、電子放出素子を用いた水素製造装置、水素製造方法に関する。
近年、ナノスケールの電子放出素子に注目が集まっている。電子放出素子によって放出される電子の輸送媒体は真空である。そのため、電子放出素子は、チャネルでの電子散乱がなく高速動作が可能であるという特徴、低温から300℃以上の高温でも動作可能であるという特徴、耐放射線特性に優れているという特徴を有する。これらの特徴により、電子放出素子は、CMOSを補完するデバイスとして期待されている(例えば、非特許文献1参照)。
電子放出素子としては、ナノサイズの針状の金属陰極構造を有するもの、MIS(Metal/Insulator/Semiconductor)構造およびMIM(Metal/Insulator/Metal)構造を有する平面型のもの等が知られている(例えば、特許文献1〜3、非特許文献2、3参照)。平面型の電子放出素子は、放出電子の安定性が高い、放出電子の直進性が高い、10V以下の低電圧で動作可能、既存の半導体プロセスで作製可能、低真空でも安定動作可能、電子を面放出できる等の特徴を有している。
このような背景の下、本発明者らは、特許文献4において、上部電極にグラフェンを用いることにより、高効率の電子放出を可能とする電子放出素子(電子源)の構造について開示している。図7は、この電子放出素子300の構成を模式的に示す断面図である。電子放出素子300は、下部電極基板301、絶縁体層302、および電子透過電極層303より構成される。電子透過電極層303の材料には、1層のグラフェンもしくは数層程度のグラファイトが用いられている。絶縁体層302は、その一部分の厚さが5nm〜20nmとなるように形成されており、電子放出面307として機能する。電子放出面以外の部分の絶縁体層302は、通常は電子放出面よりも厚く設計されており、数十から数百nm程度の厚さとなっている。電子透過電極層303のうち、電子放出面305と重ならない部分の上には、電圧を印加するための上部電極層304が形成されている。
下部電極基板301と上部電極層304との間に5Vから20V程度の電圧を印加すると、絶縁体層302に形成されるポテンシャル障壁が薄くなり、下部電極基板301中の電子が量子力学的トンネル効果により、絶縁体層302のコンダクションバンドにトンネリングする。絶縁体層302のコンダクションバンドに出た電子は、格子振動の散乱によってエネルギーの一部を失うが、電子透過電極層303の仕事関数より高いエネルギーを有する電子は、電子透過電極層303を通り抜けて真空中に放出される。放出される電子は、印加電圧に対して指数関数的に増加することが知られている。このことは、逆に言うと、電子透過電極層303に印加する電圧が少し下がっただけでも、放出される電子の数が指数関数的に減少することになる。
下部電極基板301から絶縁体層302へトンネリングする全電流をIとし、全電流Iのうち電子透過電極層303に回収される電流をIとし、真空中に放出される電流をIとすると、Ic=I+Iが成り立ち、I/Iを電子放出効率という。絶縁体層302に欠陥が存在する場合、トンネリングには依らずに絶縁体層302を流れるリーク電流が存在する。リーク電流はIを増加させるが、リーク電流を構成する電子はエネルギーを有していないので、放出電流Iに寄与することはない。したがって、絶縁体層302に欠陥が存在する場合には、電子放出効率が下がることになる。
電解質を含む液体に対し、上述したような電子放出素子を浸漬し、この電子放出素子を動作させて電子線照射を行うことにより、周囲の液体分子を分解させる技術が知られている。この技術を応用し、例えば、水溶液に対して電子線照射を行うことにより、水溶液中の水を分解し、水素を発生させることができる。特許文献5では、液中で動作する電子源として、ナノ結晶シリコンからなる電子ドリフト層、電子トンネル層を備えた電子源を、水溶液中に投入し、この電子源から放出された電子を直接注入することにより、液中の水水分子を分解して水素を発生させる方法が開示されている。
特許文献6では、炭化水素系燃料に対し、電子と紫外線のうち少なくとも一方を照射し、炭化水素を活性の高い炭化水素に励起させ、触媒を用いて脱水素反応をさせることにより、水素ガスを発生する方法が開示されている。また、特許文献7では、液中の水分子に対して放射線を直接照射する方法の他に、液中に金属部材を分布させ、この金属部材に対して放射線を照射し、放出される二次電子を水分子に照射する方法もある。また、真空中で発生させた高エネルギーの電子線を、チタン薄膜を介して、液体中の水分子に照射し、水分子の分解を行う方法も開示されている。
特開2010−244735号公報 特開2003−162956号公報 特開2001−23511号公報 特開2017−45639号公報 特許第5200240号公報 特開2004−315305号公報 特開2002−338201号公報
H.H.Busta,J.Micromech.Microeng.2,(1992)43−74. K.Yokoo et al.,J.Vac.Sci.Technol.B 11,(1993)429−432. T.Kusunoki et al.,Jpn.J.Appl.Phys.32,(1993)L1695−L1697. 久保田裕康「65ナノ時代のシリコン材料技術」
電子放出素子を構成する金属製の上部電極は、電子放出を伴わなければ腐食しないが、電子放出を伴うと腐食する場合があることが分かっている。そのため、電子放出素子を液体中で長時間安定して動作させ、電子を効率よく放出させ続けることは、難しいと考えられている。
また、特許文献6で開示されているように、液中に浸漬しない電子放出素子を用いる場合には、触媒を加熱する必要があり、エネルギー消費が増大してしまうことが問題となる。また、特許文献7で開示されているように、放射線を用いる場合には、管理上の困難性が伴うため、任意の場所で実施することができない。また、チタン薄膜を介して、液体中の水分子に電子線を照射する場合には、電子線がチタン薄膜を透過させるために、約10V以上のエネルギーを必要とするため、この場合にも、エネルギー消費が増大してしまうことが問題となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、任意の場所で用いることができ、液体中で長時間安定し、かつ低エネルギーで動作させることが可能な電子放出素子と、その製造方法と、電子放出素子を用いた水素製造装置と、水素製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
(1)本発明の一態様に係る電子放出素子は、金属または半導体からなる下部電極基板と、前記下部電極基板の一方の主面に形成された絶縁体層と、前記絶縁体層上に形成された電子透過電極層と、前記電子透過電極層上に形成された上部電極層と、前記上部電極層の表面に形成された炭素材料からなる保護層と、を備え、前記絶縁体層が上層側に突出部を有し、前記突出部と重なる領域に前記上部電極が形成されている。
(2)前記(1)に記載の電子放出素子において、前記炭素材料がグラフェンであってもよい。
(3)前記(1)に記載の電子放出素子において、前記炭素材料がグラファイトであってもよい。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の電子放出素子において、前記上部電極層のうち少なくとも前記保護層に接する外側部分が、ニッケルからなっていてもよい。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の電子放出素子において、前記電子透過電極層のうち、前記絶縁体層の突出部と重ならない領域に、前記保護層と同じ材料からなる厚さ1μm以下の層が形成されていてもよい。
(6)前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の電子放出素子において、前記電子透過電極層のうち、前記絶縁体層の突出部と重ならない領域が露出していることが好ましい。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の電子放出素子において、各層の積層方向からの平面視において、前記上部電極層の外周部が、前記絶縁体層の突出部の先端側の外周部より内側にあることが好ましい。
(8)本発明の一態様に係る電子放出素子の製造方法は、前記(1)〜(7)に記載の電子放出素子の製造方法であって、600℃以上800℃以下、5分以上60分以下の範囲で、CVD法を用いて前記保護層を形成する工程を有する。
(9)本発明の一態様に係る水素製造装置は、前記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の電子放出素子と、前記電子放出素子および非電解質溶液を収容する容器と、前記容器内のガスを収集するガス収集手段と、を備え、前記下部電極基板の一方の主面上に位置する前記電子放出素子の電子放出面が、前記非電解質溶液に接している。
(10)前記(9)に記載の水素製造装置において、前記容器が、前記非電解質溶液を収容する第一収容部と、前記電子放出素子を収容する第二収容部とで構成され、前記第一収容部と前記第二収容部とを互いに連通する開口部を有し、前記電子放出面が、前記連通部において前記非電解質溶液に接していることが好ましい。
(11)本発明の一態様に係る水素製造方法は、前記(9)または(10)のいずれかに記載の水素製造装置を用いた水素製造方法であって、前記電子放出素子を構成する前記上部電極層と前記下部電極基板との間に、前記上部電極層側が高電位となるように電圧を印加する工程と、電圧印加に伴って前記容器内に発生する水素ガスを収集する工程と、を有する。
本発明の電子放出素子は、上部電極層の表面が、反応性の低い炭素材料からなる保護層で覆われていることにより、エタノール等の液体に対して高い耐食性を有している。したがって、本発明の電子放出素子は、液体中であっても、上部電極層の腐食が抑えられ、長時間安定し、かつ低エネルギーで動作させ、電子を効率よく放出させ続けることができる。また、本実施形態の電子放出素子は、放射線を用いる必要がなく、管理上の困難性がないため、これを用いた水素製造を任意の場所で実施することができる。
本発明の水素製造装置によれば、電子放出素子で生成された電子を、液体中の分子に対して直接衝突させ続けることができる。そのため、液体が電解質溶液、非電解質溶液のいずれであっても、当該分子を低電圧で分解させることができ、水素等の有用元素を得ることができる。
(a)本発明の第一実施形態に係る電子放出素子の断面図である。(b)(a)の電子放出素子の断面における、一方の端部を拡大した図である。 (a)〜(e)第一実施形態に係る電子放出素子の製造過程における断面図である。 (a)、(b)第一実施形態に係る電子放出素子の製造過程における断面図である。 図1の電子放出素子を備えた水素製造装置の断面図である。 (a)本発明の実施例1として、電子放出素子を動作させる際の回路構成を示す図である。(b)(a)の電子放出素子によって放出される電子電流について、測定した結果を示すグラフである。 本発明の実施例2として、水素製造装置を用いて収集したガスについて、分析した結果を示すグラフである。 従来の電子放出素子の断面図である。
以下、本発明を適用した実施形態に係る電子放出素子とその製造方法、水素製造装置、水素製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
<第一実施形態>
(電子放出素子)
図1は、本発明の第一実施形態に係る電子放出素子100の一断面図である。電子放出素子100は、下部電極基板101と、下部電極基板の一方の主面101aに形成された絶縁体層102と、絶縁体層102上に形成された電子透過電極層103と、電子透過電極層103上に形成された上部電極層104と、上部電極層104の表面に形成された保護層105と、を備えている。
下部電極基板101は、金属または半導体の材料からなる。金属の材料としては、例えば、金、銀、アルミニウム、チタン等が挙げられる。半導体の材料としては、例えば、シリコン等が挙げられる。半導体の材料を用いる場合、電子を放出しやすくする観点から、高ドープのn型シリコン等を選択することが望ましい。下部電極基板101として、ここでは平板状のものを例示しているが、円筒状等の他の形状を有するものであってもよい。下部電極基板の一方の主面101aに形成される各層は、下部電極基板101の形状に追従した形状を有する。例えば、下部電極基板101が平板状である場合、その一方の主面101aに形成される絶縁層102、電子透過電極層103は平坦な層になる。また、例えば、下部電極基板101が円筒状である場合、その外壁面あるいは内壁面に形成される絶縁層102、電子透過電極層103は、下部電極基板101の形状に追従した曲面を有する層になる。
絶縁体層102は、下部電極基板の一方の主面101aのほぼ全体を覆うように形成されている。絶縁体層102の材料としては、例えば、SiO、Al、TiO等が挙げられる。
絶縁体層102は、電子放出素子100を動作させた際の電子放出領域106に薄膜部を有し、電子放出領域を除いた領域において、上層側(電子透過電極層103側)に突出部102aを有する。絶縁体層102は、突出部102aを有する領域において、電子放出領域より厚く形成されている。
絶縁体層102の薄膜部の厚さは、5nm〜30nmであることが望ましく、5〜15nmであればより望ましい。また、突出部102aを有する厚膜部における絶縁体層102の厚さは、100nm〜1000nmであることが望ましく、100nm〜500nmであればより望ましい。
薄膜部を薄く形成することにより、下部電極基板101から放出される電子が、絶縁体層102において散乱されるのを抑えることができる。さらに、薄膜部をトンネリングしようとする放出電子にとって、エネルギー障壁が小さくなるため、トンネリングに必要な電圧を低くすることができる。
電子透過電極層103は、少なくとも絶縁体層102の薄膜部の表面、望ましくは絶縁体層102の表面全体を覆うように形成されている。電子透過電極層103は、高い電子透過性能を有するように薄く形成されていることが望ましく、厚さが7nm以下であることがより望ましく、原子一層分程度であればさらに望ましい。
電子放出を効率よく行う観点から、電子透過電極層103のうち、絶縁体層の突出部102aと重ならない領域、すなわち電子放出領域106は、被覆されず、露出していることが好ましい。しかしながら、電子放出領域106には、保護層105形成時に生じる不可避な残渣等からなる層、すなわち、保護層105と同じ材料からなる層が形成されている場合もある。ただし、電子透過電極層103の実効的な厚さが増加し過ぎて、電子放出の機能に支障が生じないように、この層の厚さは10nm以下に抑えられていることが望ましい。
また、電子透過電極層103は、電気抵抗が高いことが望ましく、シート抵抗が10kΩ/□程度であればより望ましい。このような電気抵抗を満足するように、絶縁体層102の段差のある領域をひずみやシワを生じさせることなく覆うために、電子透過電極層103は、単結晶よりも多結晶で構成される方が望ましく、1つの結晶の大きさ(グレインサイズ)が、200nmから500nm程度であることが望ましい。
電子透過電極層103の材料としては、例えば、電子の透過確率が高く、電気抵抗が高い多結晶のグラフェン、グラファイト等が挙げられる。
上部電極(コンタクト電極)層104は、放出電子の透過を阻害しないように、電子放出領域外、すなわち、絶縁体層の突出部102aを有する領域の上に形成されている。絶縁体層の突出部102aと上部電極層104との間には、電子透過電極層103が挟まれる場合もある。上部電極層104は、電子透過電極103への通電をサポートするのものであり、かつ、後述するように、欠陥の影響による電位低下を抑えるものである。
上部電極層104の材料としては、高い導電性を有するものであればよく、例えば、金、銀、アルミニウム、クロム、チタン、ニッケル、または、それらの積層体等が挙げられる。これらの中でも、ニッケルは、表面に炭素材料を成長させやすい材料であるため、炭素材料からなる保護層を形成する観点から、特に好ましい。
上部電極層104の全体がニッケルのみで構成されていてもよいが、保護層を形成しやすくする上では、上部電極層104の外側部分がニッケルからなり、内側部分が他の導電性材料からなっていてもよい。ここでの外側部分は、上部電極層104の表面から概ね30nm以上の厚み部分であるとする。
保護層105は、グラフェン、グラファイト、ダイヤモンド等の炭素材料からなる。保護層105の厚さは、10nm以上1μm以下であることが好ましい。保護層105が10nmより薄いと、上部電極層104の腐食を十分に抑えることができない。保護層105が1μmより厚いと、絶縁体層の突出部102a上からはみ出し、はみ出した分が電子放出面の外周部を覆うことになり、電子放出が妨げられてしまう。
図1(b)は、図1(a)の電子放出素子100の断面における、一方の端部Sを拡大した図である。各層の積層方向Lからの平面視において、上部電極層104の外周部104bは、絶縁体層の突出部102aの先端側(図1(b)では上側)の外周部102bと重なっていてもよいが、外周部102bより内側(図1(b)では右側)にあることが好ましい。つまり、積層方向Lからの平面視において、絶縁体層の外周部102bに対し、上部電極層の外周部104bが内側にオフセットを有していることが好ましい。オフセットがある場合、保護層105のうち上部電極層104の側方を覆う部分を、オフセット上に形成することができるため、保護層105が電子放出面106上にはみ出すことがなく、電子放出面106の有効面積を広く確保することができる。
(電子放出素子の製造方法)
電子放出素子100の製造方法について、図2(a)〜(e)、図3(a)、(b)を用いて説明する。電子放出素子100は、主に、次の工程A1〜A6を経て製造することができる。
(工程A1)
まず、図2(a)に示すように、下部電極基板101の一方の主面101aに、十分な絶縁性能を有する厚さ(300nm程度)の絶縁体層(絶縁膜)102を形成する。絶縁体層102の形成方法としては、特に制限されることはないが、例えば、熱酸化法、化学気相合成(CVD)法、陽極酸化法等が挙げられる。
例えば、下部電極基板101に高ドープのn型シリコンを用いた場合には、n型シリコン基板の表面を800℃〜1100℃程度の高温で熱酸化処理することで、絶縁体層102として緻密なSiO膜を形成することができる。他にも例えば、下部電極基板101にアルミニウム基板を用いた場合には、アルミニウム基板の表面を陽極酸化することで、絶縁体層102としてアルミナ層を形成することができる。この他にも公知のスパッタ等の方法で、絶縁体層102を形成してもよい。
(工程A2)
次に、絶縁体層102のうち、下部電極基板101の電子放出面101Aと重なる部分102Bをエッチングし、図2(b)に示すように、電子放出面101Aを露出させる。エッチングする方法としては、下地となる下部電極基板101に対してダメージを与えない方法が望ましく、例えば、緩衝フッ酸によるエッチングが挙げられる。
(工程A3)
次に、工程A2を経た被処理体に対し、可能な限り欠陥を減らすためにRCA洗浄等の洗浄処理を行った上で、熱酸化を行い、図2(c)に示すように、電子放出面101Aに絶縁体層102C(102)を形成する。ここでの熱酸化は、例えば電気炉等を用いて行うことができ、処理温度、処理時間については、電子放出面101Aに形成される絶縁体層102Cの厚さが、4nm〜20nm程度になるように調整することが望ましい。
絶縁体層102Cが4nmよりも薄い場合には、下部電極基板101とこの後に形成する電子透過電極層103との間に、十分な電圧を印加する前にトンネル電流が流れる。電子透過電極層103の電位が仕事関数よりも低い状態でトンネル電流が流れても、トンネル電流中の電子はエネルギーが低く、電子透過電極層103を透過することができないので、その分の電子放出が得られない。したがって、絶縁体層102Cは4nmよりも厚くする必要がある。
絶縁体層102Cが20nmよりも厚い場合には、トンネリングした電子の絶縁体層102C中での移動距離が長くなり、移動の間に格子振動の散乱の影響を受けてエネルギーを失ってしまう。したがって、この場合にも仕事関数以上のエネルギーを有する電子が減ってしまい、電子放出効率が悪くなる。本発明者らが研究を重ねた結果によれば、絶縁体層102Cの厚さは、20nm以下であることが望ましく、10nm以下であればより望ましい。
工程A3を経た時点で、絶縁体層102は、電子放出面101Aと重なる薄膜部分102Cと、後で形成される上部電極と重なる厚膜部分102Aとで構成され、両者の間に段差が形成された状態となる。厚膜部分102Aは、図1に示す突出部102aに相当する。
(工程A4)
次に、ガリウム蒸気とメタンガスの混合雰囲気に曝すことにより、図2(d)に示すように、工程(A3)を経て形成されている絶縁体層102上に、電子透過電極層103を形成する。処理温度、処理時間については、形成される電子透過電極層103の厚さが、0.3nm〜10nm程度になるように調整することが望ましい。
(工程A5)
次に、電子透過電極層103の表面のうち、絶縁体層102の厚膜部分102Aと重なる位置にのみ、上部電極104を形成することにより、本実施形態の電子放出素子100を得ることができる。
上部電極104の形成方法としては、二通りの方法が考えられる。一つは、全面に上部電極を構成する金属の膜を形成した後、電子放出面101Aと重なる部分のみを、フォトリソグラフィーを用いてパターンニング・エッチングする方法である。もう一つは、フォトリソグラフィーにより電子放出面101上にフォトレジストを塗布した上で、上部電極104を構成する金属の膜を形成し、最後にフォトレジストを溶液で溶かして、上部電極104の上の金属の膜をリフトオフする方法である。
どちらの方法でも構わないが、電子透過電極層103の電子放出面101Aと重なる部分は非常に薄いので、エッチングを行う際に、この部分にダメージが入らないようにする。例えば、電子透過電極層103がグラフェン、グラファイトからなる場合には、これをエッチングしないような酸・アルカリ等を用いる方法が挙げられる。プラズマ等によるドライエッチングは行わないことが望ましい。
一方、リフトオフによる方法では、電子放出面101Aと重なる部分に塗布したフォトレジストを完全に除去することが望ましい。フォトレジストの有機物成分が電子放出面上に残渣として残っていると、電子放出効率が低下する。本発明者らが行った実験では、有機溶剤によりフォトレジストを除去した後、真空中にて約300℃で加熱することにより、有機物成分の残らない正常な電子放出面が得られている。
上部電極104の材料については、特に制限はされないが、電子透過電極層103がグラフェン、グラファイトからなる場合、それに対する付着力の強い材料であることが望ましく、例えば、グラフェンの膜を形成する際の触媒金属、具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等が挙げられる。その他にも、一般的に付着力の強い材料、例えば、クロム、チタン等も挙げられる。上部電極104は、グラフェンに接する部分にのみ、これらの金属の膜を薄く形成し、その上に他の金属の膜を形成したような、二層構造を有するものであってもよい。
(工程A6)
最後に、上部電極層104の表面(露出面)に、グラフェン、グラファイト等の炭素材料からなる保護層105を形成することによって、本実施形態の電子放出素子100を得ることができる。保護層105の形成方法としては、電子放出領域106に保護層105が形成されないような方法、あるいは、電子放出領域106に保護層105が一旦形成されても、それを除去する方法を選ぶ必要がある。これは、電子放出領域106に保護層105が形成されてしまうと、電子透過電極層103が厚くなり、電子放出効率が下がるためである。
上部電極層104の表面のみへの保護層105の形成は、様々な方法で行うことができる。例えば、熱CVD法またはプラズマCVD法によって、図3(a)に示すように、被処理体の表面全体にグラフェン、グラファイト等の炭素材料からなる膜(保護層105)を形成し、図3(b)に示すように、この膜のうち電子放出領域106と重なる部分を、フォトリソグラフィー法を用いてエッチング除去する方法が挙げられる。
熱CVD法またはプラズマCVD法を用いる場合、処理温度は600℃以上800℃以下とすることが望ましく、処理時間は5分以上60分以下とすることが望ましい。
上部電極層104が、グラフェン、グラファイト等の炭素材料が成長しやすい金属材料からなる場合、上部電極層104の表面のみに選択的に成長させることができる。この場合、炭素材料の膜が電子放出領域に形成されないように遮蔽したり、電子放出領域に形成された炭素材料の膜を後で除去する等の手間を省くことができる。炭素材料が成長しやすい金属材料としては、ニッケル、チタン、鉄、コバルト、銅等が挙げられる。
例えば、上部電極層104がニッケルからなり、熱CVD法を用いた場合、グラフェンは、電子放出面上には成長せず、上部電極層104の表面のみに成長し、その表面を隙間なく被覆する。一例として、750℃程度に保たれた炉の中に、メタンガス2sccm、アルゴンガスを100sccm流し、30分間の熱CVD処理を行うことにより、グラフェンの膜が、電子放出面上には形成されず、ニッケルからなる上部電極層の表面のみを完全に覆った状態が、本発明者らの実験において確認されている。
(水素製造装置)
図4は、本実施形態に係る水素製造装置10の断面図である。水素製造装置10は、主に、本実施形態の電子放出素子100と、電子放出素子100および液体を収容する容器11と、容器11内のガスを収集するガス収集手段12と、を備えている。液体としては、電解質溶液、非電解質溶液のいずれを用いてもよいが、本実施形態では、非電解質溶液を用いる場合を例に挙げて説明する。非電解質溶液に含まれる非電解質としては、特に限定されることはないが、水素等の有用元素を含むもの、例えば、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ケロシン(灯油)、軽油等が挙げられる。
容器11は、高い気密性を有しており、非電解質溶液Mを収容する第一収容部11Aと、電子放出素子100を収容する第二収容部11Bとで構成されている。容器11は、第一収容部11Aと第二収容部11Bとを互いに連通(連結)する開口部11Cを有している。容器11の形状について限定されることはないが、本実施形態では、筒状の第一収容部11Aの側壁の一部に開口部11Cが設けられ、容器11の外側に突出する第二収容部11Bが、その開口部11Cを覆うよう付設されている場合について例示している。
電子放出素子100のうち、下部電極基板の一方の主面101a上に位置する電子放出面100aは、開口部11Cにおいて第一収容部11A内の空間に露出し、第一収容部11Aに収容されている非電解質溶液Mに接している(曝されている)。電子透過電極層103が最表層である場合(露出している場合)には、電子透過電極層103の表面が、電子放出面100aに該当する。電子透過電極層103が保護層105と同じ材料からなる層(不図示)で覆われている場合には、その層の表面が、電子放出面100aに該当する。
ガス収集手段12は、ポンプ等の装置であって、容器11の外部に配置され、配管12Aを介して容器11の内部、より詳細には、容器11の内部のうち空洞が形成される頂部11D、すなわち、鉛直方向における上側の部分と連結されている。これにより、非電解質溶液Mを分解して発生した水素等のガスを、容器11の外部で収集することができる。
上部電極層104は、第二収容部11B内において、開口部11Cの周りに設けられた正極端子13に接続され、そこから引き出された配線が、容器11の外部に配置された正極電源14に接続されている。また、下部電極基板101は、第二収容部11B内において、開口部11Cと対向する側壁に設けられた負極端子15に接続され、そこから引き出された配線が、負極電源16に接続されている。ここに示す配線構造は一例であり、他の配線構造を適用してもよい。
(水素製造方法)
本実施形態の水素製造装置10による水素製造方法は、主に次の工程B1、B2を有する。
(工程B1)
まず、正極電源14、負極電源15を用いて、電子放出素子100を構成する上部電極層104と下部電極基板101との間に、上部電極層104側が高電位となるように、所定の電圧を印加する。このとき、電子透過電極層103と下部電極基板101との間に印加される電圧が、5〜20V程度になるように、調整することが好ましい。
これにより、下部電極基板101中の電子が、トンネリングして絶縁体層102のコンダクションバンドに注入され、絶縁体層102中に発生した電場によって、電子透過電極層103側に向かって加速される。加速された電子は、8〜13eV程度、好ましくは10eV程度のエネルギーを有しており、電子透過電極層103を透過し、電子放出面100aにおいて電子放出素子100の外部に放出される。ここでは、電子放出面100aが、開口部11Cにおいて非電解質溶液Mに接している(覆われている)ため、放出された電子は、ただちに非電解質溶液Mに注入される。非電解質溶液Mに含まれる分子は、注入された電子が衝突することによって分解され、水素等のガスが発生する。
水素分子に対する電子の衝突断面積は、電子のエネルギーを10〜20eVとしたときに著しく大きくなり、このとき最も効率よく水素原子に分解されることが知られている。電子を衝突させる分子がC−H結合を有する場合であっても、概ね同様の傾向があると考えられる。したがって、電圧条件を上記のように設定することによって、10〜20eVのエネルギー帯の電子を効率よく注入することができ、ひいては水素を効率よく発生させることができる。
(工程B2)
次に、ガス収集手段12を用いて、発生したガスを容器11から引き出して収集する。公知の方法(深冷分離法、吸着分離法、膜分離法等)を用いて収集したガスを分離することにより、所望の元素のガスを製造することができる。本実施形態の製造方法によれば、実施例として後述するように、特に水素ガスを効率的に製造することができるが、炭素を固体として析出させ、同時に、酸素、窒素等の他のガス成分を同時に製造することもできる。
以上のように、本実施形態に係る電子放出素子100は、上部電極層104の表面が、反応性の低い炭素材料からなる保護層105で覆われていることにより、エタノール、水、等の液体に対して高い耐食性を有している。したがって、本実施形態の電子放出素子100は、液体中であっても、上部電極層104の腐食が抑えられ、長時間安定し、かつ低エネルギーで動作させ、電子を効率よく放出させ続けることができる。また、本実施形態の電子放出素子100は、放射線を用いる必要がなく、管理上の困難性がないため、これを用いた水素製造を任意の場所で実施することができる。
本実施形態の水素製造装置10によれば、電子放出素子100で生成された電子を、液体中の分子に対して直接衝突させ続けることができる。そのため、液体が電解質溶液、非電解質溶液のいずれであっても、当該分子を低電圧で分解させることができ、水素等の有用元素を得ることができる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
上記実施形態に係る電子放出素子100で発生する電子電流について、測定を行った。図5(a)は、実施例1における電子放出素子100の断面構成、および電子放出素子100を動作させるための回路構成について、模式的に示す図である。
下部電極基板101を接地し、下部電極基板101と上部電極層104との間に、上部電極層104側が高電位になるように、電圧0〜15Vを印加した。また、電子放出面106から約5mm離れた位置に、略平坦な対向電極基板107を配置し、上部電極104と対向電極基板107との間に、対向電極基板107側が高電位となるように、電圧1000Vを印加した。
図5(b)は、上記電圧条件において、電子放出素子100の電子放出特性について、測定した結果を示すグラフである。グラフの横軸は、下部電極基板101と上部電極層104との間に印加した電圧(V)を示している。グラフの左側の縦軸は、真空中で電子放出面106から放出される、電子電流の面密度(A/cm)を示している。グラフの右側の縦軸は、下部電極基板101から絶縁体層102にトンネリングする電流(カソード電流)Iのうち、電子透過電極層103に回収される電流(アノード電流)Iの比率(I/I)として定義される、電子放出効率(%)を示している。カソード電流を青線で示し、アノード電流を赤線で示し、電子放出効率を緑線で示している。
測定結果から、8〜13V程度の電圧範囲において、約10%の効率での電子放出を確認することができる。この結果から、上記実施形態の水素製造装置10に組み込んだ電子放出素子100を、8〜13Vの範囲で動作させた場合には、8〜13eV程度のエネルギーを有する電子が、非電解質溶液Mに注入されると考えられる。
(実施例2)
上記実施形態に係る水素製造装置10を用いて、非電解質溶液Mから発生するガスについて分析を行った。図6は、ガス収集手段12において収集されたガスについて、ガスクロマトグラフを用いて分析した結果を示すグラフである。グラフの横軸は、各々のガス成分が所定の検出器に到達するまでの時間(保持時間)(分)を示している。グラフの縦軸は、各々のガス成分による信号強度を示している。
酸素と窒素信号は、もともと容器11内に残留していた空気によるものである。水素のピークが確認でき、非電解質溶液Mが分解されて、水素が発生していることが確認できる。この水素の濃度は、検量線を用いることにより、0.011%であることが分かる。この容器11の体積は175mLであったため、発生した水素の体積は0.0192mL、つまり0.86μmolと計算できる。この水素を発生するのに必要な条件は、放出電流1nA、印加電圧15V、分解時間28分であったことから、このときに液体に供給した電力量は6.9nWhと求まる。したがって、本実施例では、水素を1mol発生させるのに必要な電力量が8.02mWh/molとなり、水を電気分解する場合のエネルギー効率(理論値)80.6Wh/molの一万倍もの効率での分解が、可能であることが分かる。
ここでの計算には、電子放出素子100での損失が考慮されていないが、図3で示した効率が10%程度であるとの結果から、この損失を90%と見積もったとしても、水を電気分解する場合の千倍の効率で分解できている。
図6のグラフからは、さらに、COが発生していないことも分かる。COの信号強度は、本来は保持時間8分30秒の所でピークを有するはずであるが、これが検出されていない。一方、電子放出素子100を、水素製造装置10に組み込まない状態で動作させた際には、上部電極層104等に炭素が析出していることが確認できた。これらの結果から、非電解質溶液M中に含まれる元素を、それぞれ所望の状態で得ることが可能であり、例えば、水素製造装置100を用いて非電解質溶液Mを分解する場合に、水素はガスとして発生させつつ、炭素はそのまま固体として析出させられることが分かる。
100・・・電子放出素子
100a・・・電子放出面
101・・・下部電極基板
102・・・絶縁体層
102a・・・突出部
102A・・・厚膜部分
102B・・・絶縁体層のエッチング部分
102C・・・薄膜部分
103・・・電子透過電極層
104・・・上部電極層
105・・・保護層
106・・・電子放出領域
107・・・対向電極基板
10・・・水素製造装置
11・・・容器
11A・・・第一収容部
11B・・・第二収容部
11C・・・開口部
11D・・・頂部
12・・・ガス収集手段
12A・・・配管
13・・・正極端子
14・・・正極電源
15・・・負極端子
16・・・負極電源
L・・・積層方向
M・・・非電解質溶液
S・・・電子放出素子の端部

Claims (11)

  1. 金属または半導体からなる下部電極基板と、
    前記下部電極基板の一方の主面に形成された絶縁体層と、
    前記絶縁体層上に形成された電子透過電極層と、
    前記電子透過電極層上に形成された上部電極層と、
    前記上部電極層の表面に形成された炭素材料からなる保護層と、を備え、
    前記絶縁体層が上層側に突出部を有し、前記突出部と重なる領域に前記上部電極が形成されていることを特徴とする電子放出素子。
  2. 前記炭素材料がグラフェンであることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 前記炭素材料がグラファイトであることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  4. 前記上部電極層のうち少なくとも前記保護層に接する外側部分が、ニッケルからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子放出素子。
  5. 前記電子透過電極層のうち、前記絶縁体層の突出部と重ならない領域に、前記保護層と同じ材料からなる厚さ1μm以下の層が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子放出素子。
  6. 前記電子透過電極層のうち、前記絶縁体層の突出部と重ならない領域が露出していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子放出素子。
  7. 各層の積層方向からの平面視において、前記上部電極層の外周部が、前記絶縁体層の突出部の先端側の外周部より内側にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子放出素子。
  8. 請求項1〜7に記載の電子放出素子の製造方法であって、
    600℃以上800℃以下、5分以上60分以下の範囲で、CVD法を用いて前記保護層を形成する工程を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子放出素子と、
    前記電子放出素子および非電解質溶液を収容する容器と、
    前記容器内のガスを収集するガス収集手段と、を備え、
    前記下部電極基板の一方の主面上に位置する前記電子放出素子の電子放出面が、前記非電解質溶液に接していることを特徴とする水素製造装置。
  10. 前記容器が、前記非電解質溶液を収容する第一収容部と、前記電子放出素子を収容する第二収容部とで構成され、前記第一収容部と前記第二収容部とを互いに連通する開口部を有し、
    前記電子放出面が、前記連通部において前記非電解質溶液に接していることを特徴とする請求項9に記載の水素製造装置。
  11. 請求項9または10のいずれかに記載の水素製造装置を用いた水素製造方法であって、
    前記電子放出素子を構成する前記上部電極層と前記下部電極基板との間に、前記上部電極層側が高電位となるように電圧を印加する工程と、
    電圧印加に伴って前記容器内に発生する水素ガスを収集する工程と、を有することを特徴とする水素製造方法。
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