JP2019212909A - 蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば85℃以上といった高温で使用されたときに、出力電圧が低下することを抑止し得る蓄電デバイスを提供する。【解決手段】電極と、有機溶媒と、イミド系アルカリ金属塩を含む電解質と、を備える蓄電デバイス1であって、前記電極は、正極集電体12及び複数の正極活物質の微小構造体が互いに溶着されている正極10と、負極集電体22及び複数の負極活物質の微小構造体が互いに溶着されている負極20との少なくとも一方を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、蓄電デバイスに関する。
リチウムイオンキャパシタや、リチウムイオン二次電池や、電気二重層キャパシタ等の、多くの蓄電デバイスにおいて、正極は、正極集電体と、バインダと、多数の正極活物質の微粒子とを有している。ここで、バインダは、正極集電体および多数の正極活物質の微粒子を結着させるとともに導通させる。この様にバインダにより結着されることで、正極集電体および多数の正極活物質の微粒子が導通し、正極内には導電パスが形成される。換言すれば、バインダは、正極内の導電パスを形成するために用いられている。また、以上で説明した正極の構成と同様の構成を負極も備えており、負極でも負極内の導電パスを形成するためにバインダが用いられている。
このようなバインダとしては、通常樹脂からなるバインダが用いられている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、リチウムイオン二次電池のバインダに、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル樹脂を用いることが記載されている。また、一般的に、リチウムイオンキャパシタの電極のバインダもこれらと同じ樹脂が用いられている。
特開2017−152189号公報
しかし、上述した樹脂のバインダを用いた場合、高温で蓄電デバイスの出力電圧が低下することが問題になる場合があった。正極および負極の両方の電極において、例えば、85℃以上の高温では、樹脂のバインダの耐熱性に限界があり、集電体および多数の活物質の微粒子の結着が弱まることで、電極内の導電パスが寸断されるため、正極の内部抵抗が増大する。その結果、蓄電デバイスの出力電圧が低下する場合があった。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、例えば85℃以上といった高温で使用されたときに、バインダの耐熱性の限界により出力電圧が低下することを抑止し得る蓄電デバイスを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る蓄電デバイスは、次の手段をとる。(1)蓄電デバイスは、電極と、有機溶媒と、イミド系アルカリ金属塩を含む電解質とを備える。前記電極は、正極集電体及び複数の正極活物質の微小構造体が互いに溶着されている正極と、負極集電体及び複数の負極活物質の微小構造体が互いに溶着されている負極との少なくとも一方を含む。
前記蓄電デバイスは、リチウムイオンキャパシタであってもよい。
前記微小構造体の粒子径d50は0.1μm〜100μmが好ましい。
前記負極活物質はアルカリ金属イオンを吸蔵可能及び放出可能であり、前記負極活物質は、前記アルカリ金属イオンがプレドープされていてもよい。
前記負極活物質のドープ率は50%から100%が好ましい。
上記手段によれば、蓄電デバイスにおいて、正極および負極の少なくとも1つの電極では、溶着によって、集電体および複数の活物質の微小構造体の間は導通し、電極内の導電パスが形成される。ここで、この電極内の導電パスは、溶着によって形成された導電パスであり、バインダにより形成された導電パスではないため、バインダの耐熱性の限界により寸断されることはない。従って、蓄電デバイスは、例えば85℃以上といった高温で使用されたときに、バインダの耐熱性の限界により蓄電デバイスの出力電圧が低下することが抑制され得る。
第1の実施の形態の蓄電デバイスの分解斜視図である。 第1の実施の形態の蓄電デバイスの斜視図である。 図2の蓄電デバイスにおけるIII−III断面の模式的な図である。 第1の実施の形態において、正極板の外観の例を説明する図である。 図4の正極板におけるV−V断面図である。 図4の正極板の断面の模式的な拡大図である。 第1の実施の形態において、負極板の外観の例を説明する図である。 図7の負極板におけるVIII−VIII断面図である。 第1の実施の形態において、正極の正極板と、負極の負極板と、セパレータと、電解液との位置関係を説明する図である。 第1の実施の形態において、蓄電デバイスの製造過程を示すフローチャートの例である。 第1の実施の形態の蓄電デバイスの製造過程において、負極板作成のためのロールプレス加工を説明する図である。 第1の実施の形態の蓄電デバイスの製造過程において、溶着方法を説明する図である。 第1の実施の形態の蓄電デバイスの製造過程において、正極活物質の溶着前の状態を説明する図である。 第1の実施の形態の蓄電デバイスの製造過程において、正極活物質の溶着後の状態を説明する図である。 第1の実施の形態の蓄電デバイスの製造過程において、プレドープ用電極板の外観の例を説明する図である。 図15のプレドープ用電極板におけるXVI−XVI断面図である。 第1の実施の形態の蓄電デバイスの製造過程において、プレドープ用電極作成のためのロールプレス加工を説明する図である。 第1の実施の形態の蓄電デバイスの製造過程において、プレドープを行う状態を説明する図である。 第2の実施の形態の蓄電デバイスの負極板の断面の模式的な拡大図である。 負極のプレドープ量の上限を説明する図である。
[1.第1の実施の形態(図1〜図18)]
以下に、本発明を実施するための形態について、リチウムイオンキャパシタを蓄電デバイスの例とし、図面を用いて説明する。図1の分解斜視図に示す様に、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ1は、複数の板状の正極板11と、複数の板状の負極板21とを備えており、これらは交互に積層されている。各正極板11は一方向に突出する電極端子接続部12bを備える。また、各負極板21も、正極板11の電極端子接続部12bが突出する方向と同一の方向に突出する電極端子接続部22bを備えている。そして、図1に示す様に、正極板11の電極端子接続部12bが突出する方向をX軸方向とし、積層される方向をZ軸方向とし、X軸およびZ軸に直交する方向をY軸方向とする。これらのX軸、Y軸、Z軸は互いに直交している。X軸、Y軸、Z軸が記載されているすべての図において、これらの軸方向は同一の方向を示し、以下の説明において方向に関する記述はこれらの軸方向を基準とすることがある。なお、本実施の形態および以下に説明する実施の形態において、付随的な構成については、その図示および詳細な説明を省略する。
<1−1.リチウムイオンキャパシタ1の全体構造(図1〜図3)>
リチウムイオンキャパシタ1は、図1に示すように、複数の正極板11と、複数の負極板21と、複数のセパレータ30と、電解液40と、ラミネート部材50とを備えている。ここで、図1に示す様に、正極板11と負極板21とは交互に積層されており、正極板11と負極板21との間それぞれにセパレータ30が挟まれている。電解液40は、この様に積層された、複数の正極板11の一部と、複数の負極板21の一部と、複数のセパレータ30と共に、2つのラミネート部材50に包まれて密封されている。
複数の正極板11の電極端子接続部12bは、同一方向に突出し、正極端子14に導通している。この正極端子14やこれと接続されている複数の正極板11など、正極端子側を構成する導体部材はまとめて正極10と呼べる。同様に、複数の負極板21の電極端子接続部22bと、負極端子24とは導通しており、この負極端子24やこれと接続されている複数の負極板21など、負極端子側を構成する導体部材はまとめて負極20と呼べる。
リチウムイオンキャパシタ1は、その内部に以上の構成を備え、その斜視図を図2に示した。図2に示すリチウムイオンキャパシタ1のIII−III断面を模式的に図3に示す。図3では、わかりやすくするためにリチウムイオンキャパシタ1内における各部材の間に間隔を開けて図示している。しかし、実際には、正極板11と負極板21とセパレータ30とがほとんど隙間無く積層されている。
<1−2.リチウムイオンキャパシタ1の各部について(図1、図3〜図8)>
<1−2−1.正極板11について(図1、図3〜図6)>
正極板11は、以下に説明する様に、薄板状の正極集電体12と、正極集電体12の両面に溶着している正極活物質層13とを備えている(図3〜図5参照)。なお、本実施形態において正極活物質層13が設けられるのは、正極集電体12の両面であるが、正極集電体12のどちらかの片面であってもよい。
正極集電体12は、Z方向に貫通する複数の孔12cが形成された金属箔で(図5参照)、矩形状の集電部12a(図4参照)と、集電部12aの一端(図4の例では、上辺の左端)から外側に突出する電極端子接続部12bとが一体に形成されている。図1および図4に示す、電極端子接続部12bのY軸方向の幅は適宜変更でき、例えば集電部12aと同じ幅としても良い。なお、集電部12aには複数の孔12cが形成されている(図5参照)が、電極端子接続部12bには集電部12aの孔12cと同様の複数の孔が形成されていなくともよく、形成されていてもよい。そして、集電部12aは、複数の孔12cが形成されているため、電解液40の陽イオンおよび陰イオンが集電部12aを透過できる。正極集電体12は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケルからなる金属箔を用いることができる。
正極活物質層13は、複数の正極活物質の微小構造体13aが互いに溶着されることで形成されている(図6参照)。ここで、複数の微小構造体13aのうちの一部は、図6に示す様に、正極集電体12の集電部12aと溶着している。この様に、正極集電体12の集電部12aおよび複数の正極活物質の微小構造体13aは、互いに溶着していることで導通しており、正極活物質層13内から正極集電体12の集電部12aにかけて導電パスを形成している。すなわち、正極板11の内部には、上記の溶着によって導電パスが形成されている。そして、正極板11は、バインダを有さない構成となっている。後述する様に、負極板21では、内部の導電パスを形成するためにバインダを有しているが、正極板11は、バインダを有することなく導電パスが形成されている。また、正極活物質層13は、複数の微小構造体13aに加えて、さらに、正極活物質層13の電気伝導性を高めるための導電助剤や、正極板11の作成を容易にするための増粘剤等、他の成分を含んでも良い。
微小構造体13aの形状は、サイズが微小であればよく、その形状は、粒状や繊維状などの任意の形状とすることができる。ここで、粒状として、例えば、球状や、円柱状が挙げられる。微小構造体13aの材料は、導電性の高い材料からなり、例えば、活性炭、カーボンナノチューブ、ポリアセン等を用いることができる。また、導電助剤は、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイトの微粒子、グラファイトの微細線維を用いることができる。そして、増粘剤は、例えば、カルボキシルメチルセルロース[CMC]を用いることができる。また、微小構造体13aの形状が球状や円柱状等の粒状の場合、粒子径d50が0.1μm〜100μmである微小構造体13aを用いることができる。ここで、粒子径d50とは、粒子径累積分布における累積値が50%の粒子径(メジアン径)である。更に、微小構造体13aの形状が粒状であり、且つ、溶着する方法を後述する工程S2b(粒状の微小構造体13aを溶媒に混合してスラリーとする工程を含む)で行う場合、微小構造体13aの粒子径d50は1μm〜20μmが好ましい。粒子径d50が100μmよりも大きい場合、溶着された正極活物質層13の内部抵抗の増大や、正極活物質層13の平坦度の低下や、比表面積の低下が生じるため好ましくない。ここで、正極活物質層13の平坦度が低下すれば、図2を用いて前述した様に、複数の正極板11と、複数の負極板21と、複数のセパレータを密に積層することが困難になる。また、比表面積が低下すれば、充放電容量の低下を招くため好ましくない。また、微小構造体13aの粒子径d50は1μm〜20μmが好ましいと上述した。これは、粒子径d50が1μm以上であることで、複数の微小構造体13aを溶媒に混合することが容易であり、かつ、微小構造体13aが溶着されることで形成された正極活物質層13の内部抵抗が十分小さく、正極活物質層13の平坦度が十分高く、比表面積が十分大きいためである。
<1−2−2.負極板21について(図1、図3、図7、図8)>
負極板21は、従来のリチウムイオンキャパシタに使用されているような負極板を用いることができる。すなわち、負極板21は、薄板状の負極集電体22と、負極集電体22に塗工されている負極活物質層23とを備えている。本実施形態では負極活物質層23は負極集電体22の両面に塗工されているが、どちらかの片面に塗工されていてもよい。
負極集電体22は、Z方向に貫通する複数の孔22cが形成された金属箔で(図8参照)、矩形状の集電部22a(図7参照)と、集電部22aの一端(図7の例では、上辺の右端)から外側に突出する電極端子接続部22bとが一体に形成されている。なお、集電部22aには複数の孔22cが形成されているが(図8参照)、電極端子接続部22bには集電部22aの孔22cと同様の複数の孔が形成されていなくともよく、形成されていてもよい。また、正極の電極端子接続部12bと、負極板21の電極端子接続部22bとは、図1に示す様に、重ならないように負極板の面方向、すなわちZ軸方向に互いに間隔を開けた位置に設けられている。ここで、図1および図7に示す、電極端子接続部22bのY軸方向の幅は適宜変更でき、例えば集電部22aと同じ幅としても良い。負極集電体22は、正極板11の集電体12と同様に、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅からなる金属箔を用いることができる。
負極活物質層23は、バインダと、複数の負極活物質の微小構造体と、を有する。さらに、負極活物質層23は、負極活物質層23の電気伝導性を高めるための導電助剤や、増粘剤等、他の成分を含んでも良い。ここで、負極活物質はリチウムイオンLiを吸蔵可能および放出可能な物質であり、負極活物質の微小構造体はリチウムイオンLiを体吸蔵可能および放出可能となっている。そして、バインダは、複数の負極活物質の微小構造体、および負極集電体22の集電部22aを結着させる。そして、この様に、バインダにより結着されることで、複数の負極活物質の微小構造体、および負極集電体22の集電部22aは導通している。すなわち、バインダにより、負極板21の内部に導電パスが形成される。換言すれば、負極板21では、内部の導電パスを形成するためにバインダを有している。
負極活物質は、例えば、グラファイトを用いることができる。導電助剤、増粘剤は、上述した正極板11と同様の物質を用いることができる。すなわち、導電助剤に、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイトの微粒子、グラファイトの微細線維を用いることができる。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、スチレン−ブタジエンゴム[SBR]、ポリアクリル酸を用いることができる。増粘剤は、例えば、カルボキシルメチルセルロース[CMC]を用いることができる。
<1−2−3.セパレータ30の構造について(図1、図3、図8〜図10)>
セパレータ30は、図1に示す様に、正極板11と負極板21とを隔離し、かつ、電解液40の陽イオンおよび陰イオンが透過できるように多孔質の材料からなり、矩形のシート状に形成されている。セパレータ30の縦横の長さは、正極板11の正極集電体12の集電部12a(図4参照)の長さ、および、負極板21の負極集電体22の集電部22a(図7参照)の長さよりも長く設定されている。セパレータ30は、従来のリチウムイオンキャパシタに使用されているようなセパレータを用いることができ、例えば、ビスコースレイヨンや天然セルロース等の抄紙、ポリエチレンやポリプロピレン等の不織布を用いることができる。
<1−2−4.電解液40の組成について>
電解液40は、従来のリチウムイオンキャパシタに使用されているような電解液を用いることができる。すなわち、電解液40は、有機溶媒(非水溶媒)と、電解質とを含む。電解液40には、適宜添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート[VC]や、フルオロエチレンカーボネート[FEC]や、エチレンサルファイト[ES]等、負極に保護膜(Solid Electrolyte Interface:SEI 膜)の生成を促進させる添加剤を用いることができる。
有機溶媒として、カーボネート系有機溶媒、ニトリル系有機溶媒、ラクトン系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、エステル系有機溶媒、アミド系有機溶媒、スルホン系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、芳香族系有機溶媒を例示できる。溶媒は、一種または二種以上を適宜の組成比で混合して用いることができる。ここでカーボネート系有機溶媒として、エチレンカーボネート[EC]やプロピレンカーボネート[PC]やフルオロエチレンカーボネート[FEC]などの環状カーボネート、エチルメチルカーボネート[EMC]やジエチルカーボネート[DEC]やジメチルカーボネート[DMC]などの鎖状カーボネートを例示できる。
またニトリル系有機溶媒として、アセトニトリル、アクリロニトリル、アジポニトリル、バレロニトリル、イソブチロ二トリルを例示できる。またラクトン系有機溶媒として、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンを例示できる。またエーテル系有機溶媒として、テトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテル、1,2−ジメトキシエタンやジメチルエーテルやトリグライムなどの鎖状エーテルを例示できる。またアルコール系有機溶媒として、エチルアルコール、エチレングリコールを例示できる。またエステル系有機溶媒として、酢酸メチル、酢酸プロピル、リン酸トリメチルなどのリン酸エステル、ジメチルサルフェートなどの硫酸エステル、ジメチルサルファイトなどの亜硫酸エステルを例示できる。アミド系有機溶媒として、N‐メチル‐2‐ピロリドン、エチレンジアミンを例示できる。スルホン系有機溶媒として、ジメチルスルホンなどの鎖状スルホン、3‐スルホレンなどの環状スルホンを例示できる。ケトン系有機溶媒としてメチルエチルケトン、芳香族系有機溶媒としてトルエンを例示できる。そしてカーボネート系有機溶媒を除く上記各種の有機溶媒は、環状カーボネートを混合して用いることが好ましく、特に、負極に保護膜(Solid Electrolyte Interface:SEI 膜)を生成可能なエチレンカーボネート[EC]と混合して用いることが好ましい。
電解質は、陽イオン(カチオン)であるLiイオンと、陰イオン(アニオン)とのリチウム塩を用いる。電解質として、無機リチウム塩、および、イミド系リチウム塩(−SO−N−SO−を部分構造に有するリチウム塩)を用いることができる。ここで、無機リチウム塩として、過塩素酸リチウム[LiClO]、ヘキサフルオロリン酸リチウム[LiPF]、テトラフルオロホウ酸リチウム[LiBF]を例示できる。また、イミド系リチウム塩として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド[LiN(FSO、LiFSI]、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[LiN(SOCF、LiTFSI]、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド[LiN(SOCFCF、LiBETI]を例示できる。電解質として、これらのリチウム塩を1種のみを用いても2種以上を混合して用いてもよい。耐熱性を確保するために、これらのリチウム塩のうち、イミド系リチウム塩を用いることが好ましい。また、これらのイミド系リチウム塩は、85℃の耐熱性を備えている。上記のイミド系リチウム塩でも、トリフルオロメタン基(−CF)、ペンタフルオロエタン基(−CFCF)、ペンタフルオロフェニル基(−C)を有さないイミド系リチウム塩(例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド[LiN(FSO、LiFSI])を用いると、次の点で望ましい。すなわち、電極(正極又は負極)と安定的な性質が更に向上し、高温及び低温でのイオン電導度を低下させずに、高温及び低温での電池安定性を向上することができる。
電解液40中の電解質の濃度は、0.5〜10.0mol/Lが好ましい。電解液40の適切な粘度および、イオン伝導度の観点から、電解液40中の電解質の濃度は、0.5〜2.0mol/Lがより好ましい。電解質の濃度が0.5mol/Lより少ない場合、電解質が解離したイオンの濃度の低下により、電解液40のイオン伝導度が低くすぎるため好ましくない。また、電解質の濃度が10.0mol/Lより大きいと電解液40の粘度の増加により電解液40のイオン伝導度が低すぎるため好ましくない。
<1−2−5.ラミネート部材50の構造について(図1、図3)>
ラミネート部材50は、図3に示すように、心材シート51、外側シート52、内側シート53を備えている。そして、心材シート51の外側となる面に外側シート52が接着され、心材シート51の内側となる面に内側シート53が接着されている。例えば、心材シート51をアルミニウム箔とし、外側シート52をナイロンペットフィルム等の樹脂シートとし、内側シート53をポリプロピレン等の樹脂シートとすることができる。
<1−3.リチウムイオンキャパシタ1の充放電の過程について(図3、図9)>
上述した様に、正極板11の正極集電体12の集電部12aはZ方向に貫通する複数の孔12cを備え、負極板21の負極集電体22の集電部22aもZ方向に貫通する複数の孔22cを備えることで、電解液40の陰イオン及び陽イオンは、正極板11の集電部12aと負極板21の集電部22aとを透過できる。また、セパレータ30も電解液40の陽イオンおよび陰イオンが透過できるように構成されている。リチウムイオンキャパシタ1の、正極10の正極板11と、負極20の負極板21と、セパレータ30と、電解液40との位置関係を図9に模式的に示した。図9に示す様に、リチウムイオンキャパシタ1は、正極板11と負極板21とが、セパレータ30を間に挟んで向き合う構成となっている。リチウムイオンキャパシタ1の充放電は、正極板11の正極活物質層13の表面に電解液40と共に形成される電気二重層と、負極板21の負極活物質層23にリチウムイオンLiを吸脱着することで行われる。また、リチウムイオンキャパシタ1の製造時には、負極活物質層23の負極活物質にリチウムイオンLiを吸着させる(プレドープ)。負極活物質層23の負極活物質にリチウムイオンLiが吸着していることで、正極板11と負極板21との間の電位差が大きくなり、正極板11に形成される電気二重層のエネルギー密度を高めることができる。その結果、リチウムイオンキャパシタ1は、高出力化されたものとなる。リチウムイオンキャパシタ1は、正極板11に形成される電気二重層により、充放電の過程で大きな電流を入出力できる。また、一般的に、電気二重層により充放電を行う蓄電デバイスは、電気二重層で充放電を行うことにより、充放電の過程で大きな電流を入出力できる。
上述した負極活物質23のプレドープについて説明する。負極活物質層23にリチウムイオンLiがプレドープされているが、このプレドープするリチウムイオンLiの量は、以下で説明する様に上限値を設けることもできる。なお、以下の説明において、電解質はリチウムイオンLiと陰イオンXに電離するものとする。
満放電時では、正極活物質層13の表面に電気二重層は形成されておらず、負極活物質層23は、プレドープで吸蔵したリチウムイオンLiを吸蔵している。そして、満放電の状態から満充電の状態にかけて、正極活物質層13に電解質の陰イオンが吸着していき、電気二重層が形成される。一方、負極活物質層23では、正極活物質層13に吸着した陰イオンと同量(mol)のリチウムイオンLiを吸蔵していく。そのため、負極活物質層23が吸蔵しているリチウムイオンLiの量は、プレドープで吸蔵したリチウムイオンLiの量Np(mol)と、正極活物質層13に吸着した陰イオンの量(mol)との和に相当する。
図20には、満充電時における、正極活物質層13に吸着している陰イオンの量(mol)と、負極活物質層23が吸蔵しているリチウムイオンLiの量(mol)とを示した。満充電時には、正極活物質層13に吸着している陰イオンの量(mol)が最大量Ptとなり、負極活物質層23が吸蔵しているリチウムイオンLiの量(mol)がNとなる(図20参照)。満充電時には、負極活物質層23が吸蔵しているリチウムイオンLiの量N(mol)は、プレドープで負極活物質層23が吸蔵しているリチウムイオンLiの量Npと、正極活物質層13に吸着している陰イオンの量Ptとの和に相当する(すなわち、N=Np+Pt、図20参照)。なお、図20において、Ntは、プレドープ前の負極活物質層23が吸蔵可能なリチウムイオンLiの量(mol)を表す。
もし仮に、この満充電時に負極活物質層23が吸蔵しているリチウムイオンLiの量N(=Np+Pt、図20参照)が、プレドープ前の負極活物質層23が吸蔵可能なリチウムイオンLiの量Nt(図20参照)を超える場合(すなわち、Np+Pt>Nt)、超えた分(すなわち、Np+Pt−Nt)は、負極活物質層23に吸蔵しきれないため、電解液40中でリチウム金属として析出する虞がある。そこで、プレドープで負極活物質層23に吸蔵させるリチウムイオンLiの量Npに上限Npmaxを設け、Npmax=Nt−Ptとする。これにより、Np+Pt≦Ntとなり、常に正極活物質層13から放出されたリチウムイオンLiを負極活物質層23が吸蔵することができ、リチウムイオンLiが析出することを抑止できる。
ここで、プレドープ前の負極活物質層23が吸蔵可能なリチウムイオンLiの量Ntや満充電時に正極活物質層13が吸着する陰イオンの量Ptは、例えば、正極活物質や負極活物質の理論値から算出することができ、他には、実験で、プレドープ前の負極活物質がリチウムイオンLiを吸蔵できる量、および正極活物質が吸蔵しているリチウムイオンLiの量を計測し、その計測値から算出することもできる。これらの算出した値を用い、プレドープで負極活物質層23に吸蔵させるリチウムイオンLiの量Npの上限値Npmax(=Nt−Pt)を算出することができる。
上述した様に、プレドープで負極活物質層23に吸蔵させるリチウムイオンLiの量Npの上限値Npmaxは、Npmax=Nt−Ptである。このため、Npmaxは、Ntの値およびPtの値によって変化する(図20参照)。大まかに言えば、Ntの値が大きい程、Npmaxが大きくなり、Ptの値が大きい程、Npmaxは小さくなる(図20参照)。例えば、Ntが、Ptの2倍である場合(すなわち、Nt=2・Pt)、Npmaxは、Ptに等しい(図20参照)。また、例えば、Ntが、Ptの3倍である場合(すなわち、Nt=3・Pt)、Npmaxは、Ptの2倍(すなわち、2・Pt)に等しい(図20参照)。この様に、Npmaxは、Ntの値およびPtの値よって変動する(図20参照)。すなわち、プレドープで負極活物質層23に吸蔵させるリチウムイオンLiの量Npの上限値Npmaxは、プレドープ前の負極活物質層23が吸蔵可能なリチウムイオンLiの量Nt、および満充電時に正極活物質層13が吸着する陰イオンの量Ptによって変動する。
また、以上で説明した様に、プレドープで負極活物質層23に吸蔵させるリチウムイオンLiの量Npに上限Npmaxを設け、Npmax=Nt−Ptとすることは、次の様に言い換えることもできる。負極活物質層23に吸蔵されるリチウムイオンLiの量が最大になるのは、充放電の過程のなかで満充電時である。そして、上述した様に、満充電時に負極活物質層23に吸蔵されるリチウムイオンLiの量Nは、プレドープで負極活物質層23に吸蔵しているリチウムイオンLiの量Npと、満充電時に正極活物質層13に吸着する陰イオンの量Ptとの和Np+Pt(すなわち、N=Np+Pt)に相当する(図20参照)。プレドープで負極活物質層23に吸蔵させるリチウムイオンLiの量Npが上限Npmax(Np=Npmax=Nt−Pt)の場合、満充電時に負極活物質層23に吸蔵されるリチウムイオンLiの量N(=Np+Pt)は、N=Np+Pt=Nt−Pt+Pt=Ntとなる。
ここで、満充電時において負極活物質層23に吸蔵されるリチウムイオンLiの量N(図20参照)を、プレドープ前の負極活物質層23が吸蔵可能なリチウムイオンLiの量Ntを100%として、Nを%で表す場合、N=NtのときはNが100%となる。上述した様に、プレドープで負極活物質層23に吸蔵させるリチウムイオンLiの量Npが上限Npmax(Np=Npmax=Nt−Pt)の場合、満充電時において負極活物質層23に吸蔵されるリチウムイオンLiの量N(=Np+Pt)は、N=Ntとなるので、N=100%となっている。また上述した様に、負極活物質層23に吸蔵されるリチウムイオンLiの量は、最大値は、満充電時において量N(=Np+Pt)となる。そこで、プレドープで負極活物質層23に吸蔵させるリチウムイオンLiの量Npが上限Npmax(Np=Npmax=Nt−Pt)の場合、負極活物質層23に吸蔵されるリチウムイオンLiの量は、最大でN=100%となり、100%を超えないようになっている。すなわち、プレドープで負極活物質層23に吸蔵させるリチウムイオンLiの量Npに上限Npmax(=Nt−Pt)を設けることで、負極活物質層23に吸蔵させるリチウムイオンLiの量は、充放電の過程で常に、プレドープ前の負極活物質層23が吸蔵可能なリチウムイオンLiの量Ntの100%以下に調整される。なお、負極活物質層中の負極活物質のドープ率は以下の様に表される。
ドープ率(%)=N/Nt×100
N:満充電時において負極活物質(負極活物質層)が吸蔵しているリチウムイオンの量(mol)
Nt:プレドープ前の負極活物質(負極活物質層)が吸蔵可能なリチウムイオンの量(mol)
従来のリチウムイオンキャパシタが85℃程度に保たれると、リチウムイオンLiが不活性な化合物に徐々に変化することで、充放電に関与できるリチウムイオンLiの量が減少し、充放電容量が減少する場合がある。この様なリチウムイオンキャパシタは、高温で充放電容量が減少する、つまり耐熱性が乏しい。本明細書では、耐熱性とは、リチウムイオンキャパシタが高温のまま時間が経過しても、リチウムイオンキャパシタの充放電容量が充分な量に保たれると共に、内部抵抗の増加が小さいことである。
これに対して、リチウムイオンキャパシタ1は、負極活物質にリチウムイオンLiがプレドープされており、リチウムイオンLiが負極活物質内に吸蔵されている。このため、充放電に必要なリチウムイオンLiが不活性な化合物に変化しても、プレドープにより負極活物質に吸蔵されたリチウムイオンLiが変化分を補うことで、リチウムイオンキャパシタ1の充放電容量の低下を抑止できる。このため、リチウムイオンキャパシタ1は、85℃の耐熱性を備える。
なお、リチウムイオンキャパシタ1を高温環境下で長時間使用した場合、放電容量が低下すると共に、内部抵抗が増加する。しかし、ドープ率が高くなるにつれて、放電容量の低下率や内部抵抗の増加率が小さくなる傾向にある。そのため、ドープ率は50%から100%が好ましく、80%から100%がより好ましく、90%から100%が更に好ましい。
<1−4.リチウムイオンキャパシタ1の性能について(図4〜図9)>
バインダを正負極の両方に有する従来のリチウムイオンキャパシタでは、正極板および負極板のそれぞれの電極板において、複数の活物質の微小構造体と、集電体とが、バインダによって相互に結着されている。そして、この従来のリチウムイオンキャパシタの正負極板それぞれでは、複数の活物質の微小構造体と、集電体とが、バインダによって結着されることで導通し、これらの電極板の内部の導電パスが形成されている。ここで、この従来のリチウムイオンキャパシタが高温で使用されたとき、正極板および負極板のそれぞれの電極板において、バインダの耐熱性の限界により、集電体および多数の活物質の微小構造体の結着が弱まると、電極板内の導電パスが寸断される。その結果、電極の内部抵抗が増大し、リチウムイオンキャパシタの出力電圧が低下すると考えることができる。
この従来のリチウムイオンキャパシタについて、例えば85℃以上といった高温で使用されたときの耐熱性を本発明者等が試験した。その結果、負極活物質層のバインダよりも、正極活物質層のバインダの耐熱性が低いことが判明した。そのため、本実施形態のリチウムイオンキャパシタ1では、前述の通り、負極板21はバインダを有しているが、正極10の正極板11はバインダを有さない構成とした。
リチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)において、正極10(少なくとも1つの電極)では、溶着によって、正極集電体12および複数の正極活物質の微小構造体13aの間は導通し、正極10内の導電パスが形成される。ここで、この正極10(電極)内の導電パスは、溶着によって形成された導電パスであり、バインダにより形成された導電パスではない。従って、リチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)は、例えば85℃以上といった高温で使用されたときに、バインダの耐熱性の限界によりリチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)の出力電圧が低下することが抑制され得る。
リチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)は、負極(少なくとも1つの電極)が、リチウムイオン(アルカリ金属イオン)を吸蔵可能および放出可能な負極活物質を有する。一般的に、リチウムイオンキャパシタ1は、比較的高い蓄電容量が期待できる。また、リチウムイオンキャパシタ1を含めて、アルカリ金属イオンを吸蔵可能および放出可能な活物質を電極に有する蓄電デバイスは、一般的に、比較的高い蓄電容量が期待できる。このため、リチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)は、高温においても、蓄電容量が比較的高く、出力電圧の低下が抑えられたリチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)となり得る。
一般的に、リチウムイオンキャパシタは、充放電の過程で大きな電流を入出力できる。そして、リチウムイオンキャパシタは、入出力する電流が大きい程、内部抵抗による発熱が大きくなると考えることができる。このため、リチウムイオンキャパシタに安定して大きな電流を入出力させるために、リチウムイオンキャパシタの耐熱性が高いことが望ましいと考えることができる。ここで、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ1は、例えば85℃以上といった高温で使用されたときに、バインダの耐熱性の限界により蓄電デバイスの出力電圧が低下することが抑制され得るため、リチウムイオンキャパシタ1は、耐熱性が高いと考えることができる。従って、リチウムイオンキャパシタ1は、大きな電流を入出力させて充放電することがより安定してできるリチウムイオンキャパシタ1となり得る。
更に、従来のリチウムイオンキャパシタにおいては、正極活物質がバインダによって結着されているため、正極活物質の微小構造体の表面がバインダで覆われてしまう。また、通常は製造時にバインダと正極活物質の混合物を集電体にプレスして結着しているため、正極活物質がプレスの加圧により高密度に圧縮されていた。そのため、電解液に接触する電極の表面積を調整することが困難であった。しかし、本実施形態のリチウムイオンキャパシタ1の正極10はバインダを含んでいないため、電解液に接する電極の表面積、すなわち正極活物質の表面積を容易に調整することが可能です。これにより、高温から低温に至る様々な温度環境に応じて、リチウムイオンキャパシタ内でのイオンの移動を最適化することが容易になります。
<1−5.リチウムイオンキャパシタ1の製造方法について(図10〜図18)>
以下では、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ1の製造方法を説明する。リチウムイオンキャパシタ1の製造時には、負極活物質層23の負極活物質の微小構造体にリチウムイオンLiを吸着させるプレドープを行う工程を含む。このプレドープの方法として、一般的に、リチウム金属と負極板21とに電圧をかけてリチウム金属をリチウムイオンLiにする電気化学的方法と、リチウム金属を電解液に溶解させてリチウムイオンLiにする化学的方法がとられている。以下では、まず、化学的方法でプレドープを行うものとして説明し、その後、電気化学的方法でプレドープを行う場合について説明する。リチウムイオンキャパシタ1は、図10に示す様に製造することができる。
リチウムイオンキャパシタ1の製造では、まず、バインダを有する電極板を作成する(S1)。ここで、上述した様に、リチウムイオンキャパシタ1では、バインダを有するのは負極板21である。そこで、工程S1では負極板21を作成する。上述した様に、負極板21は、複数の孔22cが形成された金属薄板状の負極集電体22と、負極集電体22の両面又は片面に塗工されている負極活物質層23とを備える(図7、図8参照)。工程S1では、まず、負極活物質層23の材料を準備する。すなわち、上述した、負極活物質の微小構造体を複数と、バインダと、水や有機溶媒等の溶媒と、および必要に応じて導電助剤や増粘剤等の成分とを、ミキサーを用いて混合したスラリーを調整する。そして、このスラリーを負極集電体22となる複数の孔が形成された金属薄板の片面もしくは両面に塗工する。次に、スラリーの溶媒を除去するために乾燥し、厚みを均一にするために負極板21をプレスする(図11参照)。金属薄板にスラリーを塗工する時に、片面ずつ塗工を行ってもよいし、両面同時に塗工を行ってもよい。
塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ゲートロールコート法、及びダイコート法などを用いることができる。これらの中でも、ブレードコート法及びダイコート法が好ましい。また、乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥炉などで熱乾燥する方法を用いることができる。プレスには、例えば、ロールプレス機を用いることができる。
また、負極板21の作成は、次の様に行っても良い。スラリーを塗工する負極集電体22となる金属薄板を、ロール状に巻かれた複数の孔を備える金属薄板とし、この金属薄板にスラリーを塗工する。そして、乾燥とプレスを行い、プレス後に負極板21の大きさに切り分け、さらに、電極端子接続部22bとなる部分(図7参照)に塗工されている正極活物質層をはぎ落しても良い。また、スラリーを塗工する金属薄板を、ロール状に巻かれた複数の孔を備える金属薄板とし、金属薄板上で集電部22aとなる部分にスラリーを塗工し、ここで電極端子接続部22bとなる部分にはスラリーを塗工しないものとし、プレスの前または後に負極板21の大きさに切り分けてもよい。また、スラリーを塗工する金属薄板を、スラリーを塗工する前に負極板21の大きさに切り分けてもよい。
次に、バインダを有しない電極板を作成する(S2)。リチウムイオンキャパシタ1で、バインダを有しないのは、正極板11(図1および図3〜図6参照)である。そこで、工程S2では正極板11を作成する。工程S2として、以下に説明する工程S2a〜工程S2cの3種類の工程(不図示)のいずれかで行うことができる。図4〜図6を用いて上述した様に、正極板11において、正極集電体12の集電部12aおよび複数の正極活物質の微小構造体13aは、互いに溶着している。そして工程S2では、溶着する前の微小構造体13aを、表面から発熱させことで溶着させる。この様な溶着の方法として、例えば、放電プラズマ焼結法、マイクロ波焼結法、超音波溶着法、レーザー溶着法を用いることができる。以下では、上記の溶着を、例として、放電プラズマ焼結装置100を用いる放電プラズマ焼結法で行うものとして説明する。なお、放電プラズマ焼結法は、パルス通電焼結法とも呼ばれる。
工程S2aは、複数の正極活物質の微小構造体13amと、正極集電体12となる金属薄板12mとを放電プラズマ焼結により相互に溶着させ、正極板11を作成する方法である。すなわち、図12に示す様に、放電プラズマ焼結装置100のパンチ102の上に、多数の正極活物質の微小構造体13am(図12には不図示)を板状に配置し、これを溶着前の正極活物質層13m1とする。その上に、正極集電体12となる金属薄板12mを配置し、さらにこの金属薄板12mの上に、多数の正極活物質の微小構造体13am(図12には不図示)を板状に配置し、これを溶着前の正極活物質層13m2とする。この様に微小構造体13amと、金属薄板12mとを配置することで、板状に配置された多数の正極活物質の微小構造体13amである溶着前の正極活物質層13m1と、正極集電体12となる金属薄板12mと、板状に配置された多数の正極活物質の微小構造体13amである溶着前の正極活物質層13m2とが、放電プラズマ焼結装置100内で積層される。
ここで、溶着前の正極活物質層13m1および13m2は板状に配置されているが、これらの溶着前の正極活物質層13m1および13m2の縦横の長さを、例えば、正極集電体12の集電部12aと同じ長さとなるように設定する。また、正極集電体12となる金属薄板12mは、その両面に、溶着前の正極活物質層13m1および13m2が積層されているが、積層される溶着前の正極活物質層は、この金属薄板12mのいずれかの片面であってもよい。また、正極活物質層13の内部抵抗を低下させるために、溶着前の正極活物質層13m1および13m2に、導電助剤等を混入させてもよい。
次に、放電プラズマ焼結を行い、複数の正極活物質の微小構造体13amと、正極集電体12となる金属薄板12mとを溶着する。一般的に、放電プラズマ焼結法では、2つのパンチ101,102(図12参照)で溶着する対象を挟み、800〜1000Kの温度、50〜100MPaの圧力下において、これらの2つのパンチ101,102の間に4〜20V程度の低電圧で、500〜40,000アンペアのパルス状ON−OFF直流大電流を連続的に印可することで、溶着する対象である微小構造体13amの表面を加熱させ、溶着させる。
溶着前の正極活物質層13m1および13m2が備える複数の正極活物質の微小構造体13amおよび、正極集電体12となる金属薄板12mについて、溶着前の状態を模式的に図13に示し、溶着後の状態を模式的に図14に示した。溶着前の状態は、図13に示す様に、隣り合う微小構造体13amと微小構造体13amとの接触部分や、微小構造体13amと金属薄板12mとの接触部分では、溶着していないので、電気抵抗は比較的高いと考えられる。このため、パルス状ON−OFF直流大電流を連続的に印可する過程で、これらの接触部分は、接触部分以外の部分よりも、発熱しやすく溶着しやすいと考えることができる。また、接触部分以外の部分では、接触部分よりも溶融しにくいため、溶着の過程で、微小構造体13amが接触部分以外の部分に備える細孔はつぶれにくいと考えることができる。なお、正極活物質の微小構造体13aは、炭素で形成されているため、微小構造体13amと接触する2つのパンチ101,102等は、微小構造体13amとの溶着を防止し得る導電性セラミックス等で形成されているか、微小構造体13amとの接触面がこの導電性セラミックスなどで覆われていることが好ましい。
そして、工程S2bは、複数の正極活物質の微小構造体13amをスラリー状にして正極集電体12となる金属薄板12mに塗工し、乾燥させたものを、放電プラズマ焼結装置100に配置し、金属薄板12mおよび溶着前の複数の微小構造体13amを互いに溶着させて正極板11を作成する方法である。複数の微小構造体13amをスラリー状にして金属薄板12mに塗工する工程は、上述した工程S1と同様に行うことができる。すなわち、複数の微小構造体13amと、水や有機溶媒などの溶媒と、必要に応じて導電助剤や増粘剤等とを、ミキサーを用いて混合したスラリーを調製する。そして、このスラリーを金属薄板12mの両面に工程S1と同様に塗工する。ここで塗工は、この金属薄板12mの集電部12aに対応する部分に行う。次に、スラリーの溶媒を除去するために乾燥する。この後、厚みを均一にするために工程S1と同様にプレスしてもよい。次に、放電プラズマ焼結装置100に配置し、上述した工程S2aと同様に放電プラズマ焼結により溶着させると正極板11が作成される。ここで、溶着前の状態は、上述した工程S2aと同様であり、溶着の過程は工程S2aと同様であると考えることができる。
そして、工程S2cは、複数の正極活物質の微小構造体が互いに溶着されて板状に形成された正極活物質の板状体2枚と、正極集電体12となる金属薄板12mとを放電プラズマ焼結装置100に配置し、溶着させて正極板11を作成する方法である。正極活物質の板状体は、市販されているものを用いることができ、その縦横の長さを、正極集電体12の集電部12aと同じ長さとなるように設定する。工程S2cでは、2枚の正極活物質の板状体に金属薄板12mを挟んだ状態で放電プラズマ焼結装置100に配置し、溶着させる。ここで、2枚の正極活物質の板状体は、金属薄板12mの集電部12aに対応する部分に重ねて配置する。この様に溶着させることで、2枚の正極活物質の板状体と金属薄板12mの集電部12aに対応する部分とが溶着され、正極板11が作成される。ここで、仮に、2枚の正極活物質の板状体と金属薄板12mとを導電性接着剤で接着して正極板11を作成したとすると、導電性接着剤が正極板11の内部抵抗を高めるおそれがあると考えることができる。これは、導電性接着剤には、通常、金属の粒子と樹脂とが含まれており、この樹脂が正極活物質の板状体と金属薄板12mとの間の電気抵抗を高めるおそれがあると考えることができるからである。以上で説明した工程S2cの工程で正極板11を作成した場合は、2枚の正極活物質の板状体と金属薄板12mとが溶着されるため、導電性接着剤によって、正極板11の内部抵抗が高まることはないため、導電性接着剤を用いた場合よりも正極板11の内部抵抗を低くし得ると考えることができる。上述したように、工程S2は3種類の工程S2a〜S2cのいずれであってもよい。なお、3種類の工程S2a〜工程S2cのいずれにおいても、微小構造体13aとして活性炭を用いる場合は、活性炭の賦活を溶着後に行ってもよいし、溶着前に行ってもよい。
次に、プレドープに用いるリチウム金属を所定の形状に加工する(S3)。ここでは、その例として、プレドープ用負極板21pを作成する。プレドープ用負極板21pの作成は、図15及び図16に示すように負極活物質層23上に所定の形状のリチウム金属箔LiS1を配置し、図17に示すように、プレスにより負極板21の負極活物質層23(図17においては不図示)とリチウム金属箔LiS1を圧着することにより、プレドープ用負極板21pを作成する。ここで、プレスには、例えば、ロールプレス機を用いてもよい。また、リチウム金属箔LiS1の代わりに粉末状のリチウム金属を用いても良い。また、この工程S3では、1枚の負極板21を用いるが、工程S1で1枚の負極板21を作成した後に、この工程S3を行うことができるので、工程S1とこの工程S3を並行して行うこともできる。また、工程S1で1枚の負極板21を作成した後であれば、工程S1と工程S2と工程S3とを並行して行うことができ、工程S1と工程S2と工程S3とを行う順番は適宜変更できる。
次に、リチウム金属、複数の正極板11、複数の負極板21、複数のセパレータ30が積層され、また、正極端子14および負極端子24が組付けられた積層体を作成する(S4)。まず、図18に示す様に、複数の正極板11と複数の負極板21とは交互に積層されており、かつ、正極板11と負極板21との間それぞれにセパレータ30が挟まれる様に、プレドープ用負極板21pと、正極板11と、負極板21と、セパレータ30とを積層する。ここで、プレドープ用負極板21pは、Z軸方向最上層に積層する。次に、正極端子14(図18に不図示)を複数の正極板11へ組付け、さらに、負極端子24(図18に不図示)をプレドープ用負極板21pおよび複数の負極板21へ組付けることで積層体を作成する。以上では、プレドープ用負極板21pと、正極板11と、負極板21と、セパレータ30との積層を行った後、正極端子14および負極端子24の組付けを行うものとして説明したが、この積層と組付けとの順番は適宜変更しても良い。例えば、積層と並行して、正極端子14と正極板11との接続と、負極端子24と負極板21との接続を行っても良い。また、プレドープに用いるリチウム金属を所定の形状に加工する工程S3を、単にリチウム金属箔LiS1を用意する工程とし、工程S4で作成する積層体にプレドープ用負極板21pを配置する代わりにリチウム金属箔LiS1と1枚の負極板21とを配置してもよい。
次に、上記の積層体をラミネート部材50に内包する(S5)。まず、正極端子14の一部及び負極端子24の一部がラミネート部材50の外部に露出する様に、積層体をラミネート部材50に内包し、ラミネート部材50の一部を除いた周辺部分を溶着する。
次に、負極活物質層23にリチウムイオンLiを吸着させるプレドープを行う(S6)。まず、あらかじめ調整した電解液40をラミネート部材50の内部空間に注入する。そして、ラミネート部材50を封止し、電解液40を密封する。これにより、プレドープ用負極板21p上のリチウム金属箔LiS1と、複数の負極板21の負極活物質層23と、電解液40とは、ラミネート部材50の内部空間に密封されている。電解液40中のリチウムイオンLiは、負極活物質層23に吸着されていくと共に、リチウム金属箔LiS1がリチウムイオンLiとなって電解液40に溶解する。上述した様に、正極板11の正極集電体12の集電部12aは複数の孔12cを備え、負極板21の負極集電体22の集電部22aは複数の孔22cを備えるために、電解液40内のリチウムイオンLiは、正極板11および負極板21を透過できる。さらに、セパレータ30も電解液40内のリチウムイオンLiが透過できる様に構成されている。このため、すべての負極板21の負極活物質層23にリチウムイオンLiを吸着させることができる。ここで、リチウム金属箔LiS1を電解液40に溶解しやすくするために、リチウム金属箔LiS1を電解液40と共に加温してもよい。
次に、充放電およびエージングを行う(S7)。充放電およびエージングは、ラミネート部材50から外部に露出している正極端子14および負極端子24を外部の電気回路と接続して行う。一般的に、この充放電の過程では、ガスが発生する。
次に、ガスをラミネート部材50の外側へ排出する(S8)。まず、密封されたラミネート部材50を開封し、充放電によって発生するガスをラミネート部材50の外側へ排出する。言うまでもなく、ここで排出するガスは、充放電を行う前にラミネート部材50の内部空間に存在するガスを含めてもよい。
そして、最後に、ラミネート部材50の内部空間を密封する(S9)。これにより、リチウムイオンキャパシタ1の製造が完了する。ここで、必要に応じて他の工程を含めても良い。例えば、リチウムイオンキャパシタ1を検査し、検査が完了した時点を、リチウムイオンキャパシタ1の製造が完了した時点とすることができる。
<1−6.リチウムイオンキャパシタ1の製造方法の他の例について>
以上の製造方法では、上述した様に、プレドープは、リチウム金属を電解液に溶解させてリチウムイオンLiにする化学的方法で行った。これに対して、プレドープを、リチウム金属と負極板21とに電圧をかけてリチウム金属をリチウムイオンLiにする電気化学方法で行う場合のリチウムイオンキャパシタ1の製造方法について、以下に説明する。この製造方法は、上述した工程S1〜S9を含む方法と以下に説明する点を除いて実質的に同一である。すなわち、上述したプレドープに用いるリチウム金属を所定の形状に加工する工程S3では、負極板21の負極活物質層23上にリチウム金属箔LiS1を圧着させたプレドープ用負極板21pを作成したが、その代わりに、金属箔(例えば銅箔、図示省略)に、電極端子(図示省略)とリチウム金属箔(図示省略)を組付けたプレドープ用電極(図示省略)を作成する。そして、積層体を作成する工程S4で、このプレドープ用電極と、複数の正極板11、複数の負極板21、複数のセパレータ30の積層と、正極端子14および負極端子24の組付けとを行う。この積層では、例えば、プレドープ用電極は、Z軸方向の最上層におかれ、このプレドープ用電極と負極板21との間にセパレータ30を挟むことを含める。そして、積層体を電解液と共にラミネート部材50に内包する工程S5では、正極端子14の一部と、負極端子24の一部と、およびプレドープ用電極の電極端子の一部とがラミネート部材50の外部に露出する様に、積層体をラミネート部材50に内包する。そして、上述した、プレドープを行う工程S6では、プレドープ用電極と、複数の負極板21(すなわち1つの負極20)との間に電圧をかけてリチウム金属をリチウムイオンLiにし、プレドープを行うものとする。また、工程S1,工程S2,工程S7,工程S8,工程S9は、上述した様に行う。従って、上述した工程S1〜工程S9を含む製造方法は、プレドープを化学的方法で行う製造方法だけでなく、プレドープを電気化学的方法で行う製造方法も、含んでいると考えることができる。
[2.第2の実施の形態(図19)]
続いて、第2の実施の形態の蓄電デバイスについて説明する。本実施の形態では、リチウムイオン二次電池2を蓄電デバイスの例として説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態で説明したリチウムイオンキャパシタ1と実質的な構成及び作用が同じとなる箇所については、これらと同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態のリチウムイオン二次電池2の構造で、上述した第1の実施の形態のリチウムイオンキャパシタ1の構造と大きく異なる部分は、負極活物質層23が互いに溶着している複数の活物質の微小構造体123aを有している点にある。そこで、本実施の形態のリチウムイオン二次電池2について、複数の活物質の微小構造体123aを有する負極活物質層23を図19に示すが、その他の箇所の図示を省略する。
<2−1.リチウムイオン二次電池2の構造について>
<2−1−1.リチウムイオン二次電池2の全体構造について>
本実施の形態のリチウムイオン二次電池2は、上述した第1の実施の形態のリチウムイオンキャパシタ1と同様に、複数の正極板11と、正極端子14と、複数の負極板21と、負極端子24と、セパレータ30と、電解液40と、ラミネート部材50とを備えている。詳細を以下に説明するが、リチウムイオン二次電池2が有する構成で、リチウムイオンキャパシタ1と異なる主な部分は、正極板11の正極活物質層13の材料、および負極板21の負極活物質層23の構成にあり、これらの活物質層はリチウムイオンキャパシタ1の正極活物質層13と同様に、互いに溶着している複数の活物質の微小構造体を有している。そして、リチウムイオン二次電池2の備える正極端子14と、負極端子24と、セパレータ30と、電解液40と、ラミネート部材50とは、リチウムイオンキャパシタ1の備える正極端子14と、負極端子24と、セパレータ30と、電解液40と、ラミネート部材50と実質的に構成および作用が同じである。
上述したリチウムイオンキャパシタ1(図1参照)と同様に、リチウムイオン二次電池2において、正極板11と負極板21とは交互に積層されており、正極板11と負極板21との間それぞれにセパレータ30が挟まれている。そして、電解液40は、この様に積層された、複数の正極板11の一部と、複数の負極板21の一部と、複数のセパレータ30と共に、2つのラミネート部材50に包まれて密封されている。ここで、リチウムイオン二次電池2においても、正極端子14やこれと接続されている複数の正極板11など、正極端子側を構成する導体部材はまとめて正極10と呼べる。同様に、リチウムイオン二次電池2においても、負極端子24やこれと接続されている複数の負極板21など、負極端子側を構成する導体部材はまとめて負極20と呼べる。なお、リチウムイオン二次電池2の付随的な構成については、適宜変更しても良い。
<2−1−2.正極板11について>
上述したリチウムイオンキャパシタ1の正極10の正極板11(図3〜図6参照)と同様に、リチウムイオン二次電池2の正極板11は、薄板状の正極集電体12と、正極集電体12の両面に溶着している正極活物質層13とを備えている。ここで、正極活物質層13が設けられるのは、正極集電体12の両面であるが、正極集電体12のどちらかの片面であってもよい。
正極活物質層13は、上述したリチウムイオンキャパシタ1の正極活物質層13(図6参照)と同様に、複数の正極活物質の微小構造体13aが互いに溶着されることで形成されている。ここで、複数の微小構造体13aのうちの一部は、正極集電体12の集電部12aと溶着している。この様に、正極集電体12の集電部12aおよび複数の正極活物質の微小構造体13aは、互いに溶着しており、溶着していることで導通している。そして、この様に溶着により導通していることで、正極活物質層13内から正極集電体12の集電部12aにかけて、導電パスが形成されている。すなわち、正極板11の内部には、上記の溶着によって導電パスが形成されている。そして、正極板11は、バインダを有さない構成となっている。微小構造体13aの形状は、サイズが微小であればよく、その形状は、粒状や繊維状などの任意の形状とすることができる。ここで、粒状として、例えば、球状や、円柱状が挙げられる。リチウムイオンキャパシタ1の正極10とリチウムイオン二次電池2の正極10との主な違いは、正極活物質の材料が異なる点にある。
正極集電体12は、上述したリチウムイオンキャパシタ1の正極集電体12と同様に、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケルからなる金属箔を用いることができる。一方、正極活物質の微小構造体13aの材料は、上述したリチウムイオンキャパシタ1の正極活物質の微小構造体13aの材料と異なる。正極活物質の微小構造体13aの材料には、従来のリチウムイオン二次電池の正極活物質に使われているような材料を用いることができ、リチウムイオンを吸蔵・放出できる機能を有している限り特に制限はない。正極活物質の微小構造体13aの材料として、例えば、二酸化マンガン(MnO)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn又はLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−yCo)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNiCoMn1−y−z)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiMn2−yNi)、リチウムポリアニオン化合物(LiFePO、LiCoPO、LiVOPO、LiVPOF、LiMnPO、LiMn1−xFePO、LiNiVO、LiCoPO、Li(PO、LiFeP、LiFe(PO、LiCoSiO、LiMnSiO、LiFeSiO、LiTePO等)、硫酸鉄(Fe(SO)、バナジウム酸化物(例えばV)などが挙げられる。また、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、イオウ(S)、フッ化カーボンなどの有機材料及び無機材料も挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。なお、リチウムイオンキャパシタ1の正極活物質層13と同様に、リチウムイオン二次電池2の正極活物質層13は、複数の微小構造体13aに加えて、さらに、正極活物質層13の電気伝導性を高めるための導電助剤や、正極板11の作成を容易にするための増粘剤等、他の成分を含んでも良い。
<2−1−3.負極板21について>
負極板21は、薄板状の負極集電体22と、負極集電体22の両面に溶着している負極活物質層23とを備えている。ここで、負極活物質層23が設けられるのは、負極集電体22の両面であるが、負極集電体22のどちらかの片面であってもよい。
リチウムイオン二次電池2の負極集電体22は、上述したリチウムイオンキャパシタ1の負極集電体22と同様に、集電部22aと、電極端子接続部22bと、複数の孔22cとを備えている。また、負極集電体22の形状および材料は、リチウムイオンキャパシタ1の負極集電体22と同様であり、負極集電体22に、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅からなる金属箔を用いることができる。
一方、リチウムイオン二次電池2の負極活物質層23の構成は、上述したリチウムイオンキャパシタ1の負極活物質層23の構成と異なる。また、リチウムイオン二次電池2の負極活物質層23の構成は、活物質層の材料は異なるものの、リチウムイオンキャパシタ1の正極活物質層13の構成と同様にバインダを有さない構成となっている。すなわち、負極活物質層23は、複数の負極活物質の微小構造体123aが互いに溶着されることで形成されている(図19参照)。ここで、図19に示す様に、複数の微小構造体123aのうちの一部は、負極集電体22の集電部22aと溶着している。この様に、負極集電体22の集電部22aおよび複数の負極活物質の微小構造体123aは、互いに溶着しており、溶着していることで導通している。そして、この様に溶着により導通していることで、負極活物質層23内から負極集電体22の集電部22aにかけて、導電パスが形成されている。また、微小構造体123aの形状は、サイズが微小であればよく、その形状は、粒状や繊維状などの任意の形状とすることができる。ここで、粒状として、例えば、球状や、円柱状が挙げられる。
負極活物質の微小構造体123aの材料として、従来のリチウムイオン二次電池の負極活物質に使われているような材料を用いることができる。すなわち、微小構造体123aの材料として、例えば、黒鉛等の炭素質材料、スズ酸化物,珪素酸化物等の金属酸化物、さらにこれらの物質に負極特性を向上させる目的でリンやホウ素を添加し改質を行った材料等を用いることができる。また、微小構造体123aの材料として、他には、化学式Li4+xTi12(0≦x≦3)で表され、スピネル型構造を有するチタン酸リチウムを用いてもよい。ここで、Tiの一部がAlやMg等の元素で置換されたものを用いてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。なお、リチウムイオンキャパシタ1の正極活物質層13と同様に、リチウムイオン二次電池2の負極活物質層23は、複数の微小構造体123aに加えて、さらに、負極活物質層23の電気伝導性を高めるための導電助剤や、負極板21の作成を容易にするための増粘剤等、他の成分を含んでも良い。
<2−2.リチウムイオン二次電池2の充放電の過程について>
上述した様に、リチウムイオン二次電池2の構成で、リチウムイオンキャパシタ1と異なる部分は、正極板11の正極活物質層13の材料、および負極板21の負極活物質層23の構成にある。従って、リチウムイオン二次電池2の、正極10の正極板11と、負極20の負極板21と、セパレータ30と、電解液40との位置関係は、図9に模式的に示す、リチウムイオンキャパシタ1の、正極10の正極板11と、負極20の負極板21と、セパレータ30と、電解液40との位置関係と同様である。
正極活物質層13および負極活物質層23は、共にリチウムイオンを吸蔵可能および放出可能な材料で構成されている。リチウムイオン二次電池2の充電時は、正極活物質層13に吸蔵されているリチウムイオンLiが電解液40中に放出され、かつ、電解液40中のリチウムイオンLiが負極活物質層23に吸蔵される。この逆に、リチウムイオン二次電池2の放電時には、負極活物質層23に吸蔵されているリチウムイオンLiが電解液40中に放出され、かつ、電解液40中のリチウムイオンLiが正極活物質層13に吸蔵される。なお、負極活物質層中のドープ率は以下の様に表される。
ドープ率(%)=N/Nt×100
N:満充電時において負極活物質(負極活物質層)が吸蔵しているリチウムイオンの量(mol)
Nt:プレドープ前の負極活物質(負極活物質層)が吸蔵可能なリチウムイオンの量(mol)
また、リチウムイオン二次電池2を高温環境下で長時間使用した場合、放電容量が低下すると共に、内部抵抗が増加する恐れがある。しかし、ドープ率が高くなるにつれて、放電容量の低下率や内部抵抗の増加率が小さくなる傾向にある。そのため、ドープ率は50%から100%が好ましく、80%から100%がより好ましく、90%から100%が更に好ましい。
<2−3.リチウムイオン二次電池2の耐熱性について>
リチウムイオン二次電池2(蓄電デバイス)において、正極10(少なくとも1つの電極)では、溶着によって、正極集電体12および複数の正極活物質の微小構造体13aの間は導通し、正極10内の導電パスが形成されている。また、負極20でも溶着によって、負極集電体22および複数の負極活物質の微小構造体23aの間は導通し、負極20内の導電パスが形成されている。ここで、この正極10内および負極20(電極)内の導電パスは、溶着によって形成された導電パスであり、バインダにより形成された導電パスではないため、バインダの耐熱性の限界により寸断されることはない。従って、リチウムイオン二次電池2(蓄電デバイス)は、例えば85℃以上といった高温で使用されたときに、バインダの耐熱性の限界によりリチウムイオン二次電池2(蓄電デバイス)の出力電圧が低下することが抑制され得る。
リチウムイオン二次電池2(蓄電デバイス)は、正極10(少なくとも1つの電極)が、リチウムイオン(アルカリ金属イオン)を吸蔵可能および放出可能な正極活物質を有し、負極20もリチウムイオンを吸蔵可能および放出可能な負極活物質を有する。一般的に、リチウムイオン二次電池2は、比較的高い蓄電容量が期待できる。また、リチウムイオン二次電池2を含めて、アルカリ金属イオンを吸蔵可能および放出可能な活物質を電極に有する蓄電デバイスは、比較的高い蓄電容量が期待できる。このため、リチウムイオン二次電池2(蓄電デバイス)は、高温においても、蓄電容量が比較的高く、出力電圧の低下が抑えられたリチウムイオン二次電池2(蓄電デバイス)となり得る。
<2−4.リチウムイオン二次電池2の製造方法について>
上述した様に、リチウムイオン二次電池2の構成で、リチウムイオンキャパシタ1と異なる部分は、正極板11の正極活物質層13の材料、および負極板21の負極活物質層23の構成にある。そして、これらの正極活物質層13および負極活物質層23の構成は、リチウムイオンキャパシタ1の正極板11の正極活物質層13と同様にバインダを有しない構成である。従って、リチウムイオン二次電池2の正極板11および負極板21は、リチウムイオンキャパシタ1の正極板11と同様に、上記の、バインダを有しない電極板を作成する工程S2で作成することができる。また、リチウムイオン二次電池2にはバインダを有する電極板はないため、リチウムイオン二次電池2の製造方法では、バインダを有する電極板を作成する工程S1を含めない。
さらに、リチウムイオン二次電池2の製造には、必ずしも上述したプレドープを行わなくてもよい。このため、プレドープに用いるリチウム金属を所定の形状に加工する工程S3を行わなくともよい。そして、リチウム金属、複数の正極板11、複数の負極板21、複数のセパレータ30が積層され、また、正極端子14および負極端子24が組付けられた積層体を作成する上述の工程S4は、リチウムイオン二次電池2の製造方法の工程S4では、プレドープ用負極板21pの代わりに負極板21を用いる。リチウムイオン二次電池2の製造方法のこの工程S4は、正極板11と、負極板21と、セパレータ30とが積層され、さらに、正極端子14および負極端子24が組付けられた積層体を、上述した工程S4と同様に作成する工程とする。また、上述のプレドープを行う工程S6では、電解液40をラミネート部材50の内部空間に注入し、さらに、ラミネート部材50を封止し、電解液40を密封するが、この工程を工程S5に含める。すなわち、上述した、積層体をラミネート部材50に内包する工程S5に、さらに、電解液40をラミネート部材50の内部空間に注入し、そして、ラミネート部材50を封止し、電解液40を密封する工程を加えた工程を、リチウムイオン二次電池2の製造方法の工程S5とし、上述した工程S6の工程を行わないものとする。
以上の変更をまとめると、本実施の形態のリチウムイオン二次電池2の製造方法は、上述したリチウムイオンキャパシタ1の工程S1〜工程S9を次の様に変更した製造方法である。すなわち、上述した工程S1、工程S3、工程S6を行わない。さらに、工程S2を正極板11および負極板21を作成する工程とし、工程S4をプレドープ用負極板21pの代わりに負極板21を用いて積層体を作成する工程とし、さらに、工程S5を上述の工程S5に、さらに、電解液40をラミネート部材50の内部空間に注入し、その後、ラミネート部材50を封止し、電解液40を密封する工程を加えた工程とする。
[その他の実施の形態]
第1の実施の形態では、正極板11はバインダを有さない構成とし、負極板21はバインダを有する構成としているが、負極板21もバインダを有さない構成としてもよい。すなわち、第1の実施の形態において、負極板21の構成を、正極板11と同様に、負極集電体22と複数の負極活物質の微小構造体23aを備え、負極集電体22の集電部22aおよび複数の負極活物質の微小構造体23aを互いに溶着させた構成としてもよい。
第1の実施の形態では、リチウムイオンキャパシタ1は正極板11と負極板21とセパレータ30と積層した積層型セルであるが、長尺の正極と、長尺の負極と、長尺のセパレータとを捲回した捲回型セルとすることができる。同様に、第2の実施の形態では、リチウムイオン二次電池2は積層型セルであるが、長尺の正極と、長尺の負極と、長尺のセパレータとを捲回した捲回型セルとすることができる。
上記の第1および第2の実施の形態の説明では、蓄電デバイスの例としてリチウムイオンキャパシタ1およびリチウムイオン二次電池2を説明したが、リチウムイオンキャパシタとリチウムイオン二次電池に限定されず、アルカリ金属イオンを吸蔵可能および放出可能な活物質を電極に有する蓄電デバイスに適用可能である。例えば、リチウムポリマー2次電池や、ナトリウムイオン2次電池や、カリウムイオン2次電池や、全固体電池等、種々の蓄電デバイスに適用可能である。また、本発明の蓄電デバイスに使用されるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。これらのアルカリ金属の標準電極電位は、リチウムが−3.045V、ナトリウムが−2.714V、カリウムが−2.925Vである。アルカリ金属を利用した蓄電デバイスは、正極と負極の標準電極電位差が比較的大きくなるよう構成され、これらアルカリ金属のイオンが充電と放電に関与する。なお、リチウム以外のアルカリ金属蓄電デバイスの場合、負極活物質のドープ率は、下記の式で表される。
ドープ率(%)=Z/Zt×100
Z:満充電時において負極活物質(負極活物質層)が吸蔵しているアルカリ金属イオンの量(mol)
Zt:プレドープ前の負極活物質(負極活物質層)が吸蔵可能なアルカリ金属イオンの量(mol)
本発明の蓄電デバイスは、上記の実施の形態にて説明した構造、構成、外観、形状等に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本開示の技術を更に具体的に説明する。但し、本開示の技術はこれらの範囲に限定されるものではない。
[実施例1用正極Aの作成]
正極活物質として粉体の活性炭88質量部、導電助剤としてアセチレンブラック15質量部、増粘材としてカルボキシメチルセルロース〔CMC〕1質量部、溶媒として水220質量部を混合して、正極用スラリーAを調製した。
次に、集電箔として厚み15μmのアルミニウム箔(多孔箔)を用い、正極用スラリーAを集電箔に塗工し、乾燥させた。正極用スラリーAの塗布量は、乾燥後の活性炭の質量が3mg/cmとなるように調整した。集電箔への正極用スラリーの塗工には、ブレードコーターを用いた。
その後、集電箔を加圧容器に入れ、放電プラズマ焼結装置内で900K、80MPaの条件で10分間焼結し、実施例1の正極Aを得た。
[比較例1用正極Bの作成]
正極活物質として粉体の活性炭88質量部、バインダとしてSBR1質量部、導電助剤としてアセチレンブラック15質量部、増粘材としてCMC1質量部、溶媒として水220質量部を混合して、正極用スラリーBを調製した。
次に、集電箔として厚み15μmのアルミニウム箔(多孔箔)を用い、正極用スラリーBを集電箔に塗工し、乾燥させ、正極Bを得た。正極用スラリーBの塗布量は、乾燥後の活性炭の質量が3mg/cmとなるように調整した。集電箔への正極用スラリーBの塗工には、ブレードコーターを用いた。
[負極の作成]
負極活物質としてのグラファイト95質量部、バインダとしてのSBR1質量部、増粘材としてのCMC1質量部、溶媒としての水100質量部を混合し、以下の手順にて負極用スラリーを調製した。
(1)バインダを除く材料と水とを、ミキサーaにて混合してプレスラリーを調製した。
(2)(1)で得たプレスラリーを、ミキサーbにて更に混合して中間スラリーを調製した。
(3)(2)で得た中間スラリーにバインダを添加し、ミキサーaにて混合して負極用スラリーを調製した。
次に、集電箔として厚み10μmの銅箔(多孔箔)を用い、負極用スラリーを集電箔に塗工し、乾燥させて負極を作成した。負極用スラリーの塗布量は、乾燥後のグラファイトの質量が3mg/cmとなるように調整した。集電箔への負極用スラリーの塗工には、ブレードコーターを用いた。
[電解液の調整]
溶媒として、エチレンカーボネート(EC)30vol%、ジメチルカーボネート(DMC)30vol%及びエチルメチルカーボネート(EMC)40vol%の混合溶媒を用い、混合溶媒にリチウムビス(フルオロスルホニルイミド)(LiFSI)を1mol/L添加して電解液を調製した。
[リチウムイオンキャパシタの作製]
実施例1及び比較例1のリチウムイオンキャパシタを、次の手順にて作製した。
(1)正極、負極をそれぞれ打ち抜き、60mm×40mmのサイズの長方形とし、40mm×40mmの塗膜を残して長辺の一端側の20mm×40mmの領域の塗膜を剥ぎ落として集電用タブを取り付けた。
(2)厚さ20μmのセルロース製セパレータを間に介した状態で正極と負極の塗膜部分を対向させて積層体を作製した。
(3)(2)で作製した積層体と、リチウムプレドープ用の金属リチウム箔をアルミラミネート箔に内包し、電解液を注入し、封止してリチウムイオンキャパシタを作製した。
なお、実施例1のリチウムイオンキャパシタには正極Aを、比較例1のリチウムイオンキャパシタには正極Bを用いた。
[初期性能の測定]
各リチウムイオンキャパシタにおいて、リチウムプレドープ、充放電、エージングを行った後、常温(25℃)にて、カットオフ電圧:2.2〜3.8V、測定電流10Cで内部抵抗及び放電容量を測定し、その結果を初期性能とした。ドープ率は80%に調整した。
[耐久試験(85℃フロート試験)]
外部電源を繋いで電圧を3.8Vに保持した状態の評価用リチウムイオンキャパシタセルを85℃の恒温槽内に放置した。その放置時間が、85℃,3.8Vフロート時間に相当する。所定時間経過後、評価用リチウムイオンキャパシタセルを恒温槽から取り出し、常温に戻した後上記初期性能の測定と同一条件で内部抵抗及び放電容量を測定し、容量維持率(初期の放電容量を100%としたときの放電容量の百分比)と、内部抵抗増加率(初期性能からの内部抵抗の増加率)を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 2019212909
表1に示されるように、実施例1では1000時間経過後でも容量維持率がほぼ変化しなかったと共に、内部抵抗もほとんど上昇しなかった。一方、比較例1は、1000時間後においても容量維持率は高く保たれたものの、内部抵抗増加率は時間経過と共に悪化した。これは、実施例1は正極活物質が集電箔に溶着(焼結)により直接結合されているため、高温環境においても時間経過による変化が小さく、安定していたためと考えられる。一方、比較例1は、正極活物質が集電箔にバインダを介して結合されている。そのため、バインダが高温環境に長時間曝されることにより劣化し、電極内の導電パスが寸断されてしまい、その結果、内部抵抗が著しく増加したものと考えられる。
1 リチウムイオンキャパシタ
10 正極
11 正極板
12 正極集電体
12a 集電部
12b 電極端子接続部
12c 孔
12m 金属薄板
13 正極活物質層
13a 微小構造体
13m1 溶着前の正極活物質層
13m2 溶着前の正極活物質層
14 正極端子
20 負極
21 負極板
21p プレドープ用負極板
22 負極集電体
22a 集電部
22b 電極端子接続部
22c 孔
23 負極活物質層
24 負極端子
30 セパレータ
40 電解液
50 ラミネート部材
51 心材シート
52 外側シート
53 内側シート
LiS1 リチウム金属箔
2 リチウムイオン二次電池
123a 微小構造体
100 放電プラズマ焼結装置
101 パンチ
102 パンチ

Claims (5)

  1. 電極と、
    有機溶媒と、
    イミド系アルカリ金属塩を含む電解質と、
    を備える蓄電デバイスであって、
    前記電極は、正極集電体及び複数の正極活物質の微小構造体が互いに溶着されている正極と、負極集電体及び複数の負極活物質の微小構造体が互いに溶着されている負極との少なくとも一方を含む、蓄電デバイス。
  2. 請求項1に記載の蓄電デバイスであって、
    リチウムイオンキャパシタである、
    蓄電デバイス。
  3. 請求項1に記載の蓄電デバイスであって、
    前記微小構造体の粒子径d50が0.1μm〜100μmである、蓄電デバイス。
  4. 請求項1に記載の蓄電デバイスであって、
    前記負極活物質はアルカリ金属イオンを吸蔵可能及び放出可能であり、
    前記負極活物質は、前記アルカリ金属イオンがプレドープされている、蓄電デバイス。
  5. 請求項4に記載の蓄電デバイスであって、
    前記負極活物質のドープ率が50%から100%である、蓄電デバイス。
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