JP6552788B2 - 電極及びそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
i1/3Mn1/3Co1/3O2等のLi系層状化合物やLiMn2O4等のスピネル化合物が用いられてきた。近年では、LiFePO4に代表されるポリアニオン系化合物が注目されている。ポリアニオン系化合物は高温での熱安定性が高く、安全性が高いことが知られている。
さらに第一の樹脂は、酸性バインダーを含有し、前記第二の樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリアミドイミド、カルボキシメチルセルロース塩、の群より選ばれる少なくとも一種以上の樹脂を含有することを特徴とする。ただし、MはFe、Mn、Co、Ni及びVOの群から選ばれる1種以上を含むものとする。
また、係る電極は、図2に示すような断面構造を有している。つまり、結着体と結着体間に第二の樹脂及び導電助剤を備え、かつ結着体内にも第一の樹脂及び導電助剤を備える構造を有している。第二の樹脂及び導電助剤からなる経路が電解液の拡散を促進させ結着体の周囲を電解液で満たす役割をし、第一の樹脂及び導電助剤からなる経路が、第二の電解液の拡散経路となり、活物質へのリチウムイオンの出入りを良好に行えることができ、それにより良好なレート特性を示すと推察している。
Li−M−P複合酸化物は、リチウムとリンとMと示した金属から構成された酸化物である。具体的にはリン酸塩が化学的に安定した骨格構造を形成するため好ましい。
さらに具体的にはLiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiVOPO4およびLi3V2(PO4)3の群に示される酸化物がより好ましい。
平均一次粒子径は、より好ましくは30〜200nmの範囲にあるとよい。このような構成によれば、粒子内のリチウムイオンの拡散距離が更に短くなるため、導電性が向上する。
導電助剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料が挙げられる。これらの導電助剤を単独で用いてもよく、これらの混合物を用いてもよい。
電極の集電体としては、鉄、銅、ステンレス、ニッケルおよびアルミを用いることができる。また、その形状として、シート、発泡体、メッシュ、多孔体およびエキスパンド格子などを用いることができる。さらに、集電体には任意の形状で穴を開けて用いることができる。
前記第一の樹脂は、酸性バインダーを含有する。酸性バインダーは、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸とポリアクリル酸塩の混合物、ポリアクリル酸とカルボキシメチルセルロース塩の混合物、カルボキシメチルセルロースとカルボキシメチルセルロース塩の混合物の群より選ばれる1種以上の樹脂を含有することが好ましい。
酸性バインダーのpHは2.5から6.5である。pHは0.5重量%の酸性バインダーを純水に分散させpHメーターを用いて評価した。
本実施形態にかかる結着体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図4に示す。SEM像に示されるように、活物質であるLi−M−P複合酸化物と導電助剤が高密度に複合化し結着した造粒粒子となっている。
第二の樹脂としてはポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリアミドイミド、カルボキシメチルセルロース塩、の群よりから選ばれる1種以上の樹脂を含有するものが好ましい。
上述した結着体を上記第二の樹脂中に分散した層(活物質層)を上記集電体に形成し正極としての電極が完成する。
次にリチウムイオン二次電池の構成を、図1を用いて説明する。
負極活物質材料は、リチウムイオンを析出又は吸蔵することのできる形態のものであればどれを選択してもよい。例えば、Li[Li1/3Ti5/3]O4に代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb,Sn系などの合金系材料リチウム金属、リチウム合金(リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化珪素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。
電解質は、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
セパレータとしては、優れた透気度性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
リード60、62は、アルミ等の導電材料から構成されている。
ケース50は、その内部に積層体30及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔の両面を高分子膜でコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔としては例えばアルミ箔を、高分子膜としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
次に本実施形態の電極及びリチウムイオン二次電池の製造方法の一例を示す。結着体はLi−M−P複合酸化物と導電助剤を予め混合した粉体を、純水または有機溶剤で溶解、または分散した有機溶剤内に投入し、このLi−M−P複合酸化物、導電助剤、第一の樹脂、純水または有機溶剤からなるスラリー溶液を、乾燥することによって得られる。
乾燥方式としてはスプレードライヤー法が好ましい。
その後、得られた結着体と第二の樹脂とを、第一の樹脂を溶かさない溶媒としてN−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶剤や純水の中から適宜選択し、これらを混合させた後、得られた混合液を集電体の上に塗布し、圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより電極が作製される。
この様に作製した正極である電極と、同様の方法にて作成した負極を、図1に示したようなリチウムイオン二次電池の構成となるよう、セパレータと電解液とともにケース50に封入し完成する。
<結着体作製工程>
LiVOPO4粉末とケッチェンブラックを混合し、流動層を用いて酸性バインダーをスプレーすることで、結着体を作製した。結着剤(第一の樹脂)とする酸性バインダーはポリアクリル酸を純水に溶かしたものを用いた。流動層の気流には圧縮空気を用いて、気流の温度は80℃とした。結着剤はLiVOPO4粉末と導電助剤を足し合わせた量に対して0.05重量%加えた。PAAを純水に溶かした水溶液のpHを測定したところ3であった。また作製された結着体は図4に示したSEM像であった。
なお、LiVOPO4粉末の平均1次粒子径は透過型電子顕微鏡(TEM)像により180nmであることを確認した。20個以上の粒子径の平均値をLiVOPO4粉末の平均1次粒子径とした。
前記結着体と、バインダー(第二の樹脂)であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とアセチレンブラックを混合したものを、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。なお、スラリーにおいて結着体とケッチェンブラックを足し合わせたもの、第一の樹脂とPVDFを足し合わせたものとの重量比が92:8となるように、スラリーを調製した。このスラリーを集電体であるアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させた後、1トン/cmで圧延を行い、実施例1の活物質層が形成された電極(正極)を得た。
結着体作製工程において、結着剤をポリアクリル酸(80重量%)とカルボキシメチルセルロース(20重量%)の混合物とした以外は、実施例1と同様にして実施例2の結着体を作製した。
結着体作製工程において、結着剤をポリアクリル酸(80重量%)とポリアクリル酸ナトリウム(20重量%)の混合物とした以外は、実施例1と同様にして実施例3の結着体を作製した。
結着体作製工程において、結着剤をポリアクリル酸(80重量%)とカルボキシメチルセルロースナトリウム(20重量%)の混合物とした以外は、実施例1と同様にして実施例4の結着体を作製した。
結着体作製工程において、結着剤を0.01重量%加えた以外は、実施例1と同様にして実施例5の結着体を作製した。
結着体作製工程において、結着剤を0.5重量%加えた以外は、実施例1と同様にして実施例6の結着体を作製した。
結着体作製工程において、結着剤を1重量%加えた以外は、実施例1と同様にして実施例7の結着体を作製した。結着剤の量を増やしたことで、実施例1に比べて結着体の強度が向上しており圧延により結着体が崩れにくくなっている。
結着体作製工程において、結着剤を0.005重量%加えた以外は、実施例1と同様にして実施例8の結着体を作製した。
結着体作製工程において、結着剤を0.001重量%加えた以外は、実施例1と同様にして実施例9の結着体を作製した。
結着体作製工程において、結着剤を3重量%加えた以外は、実施例1と同様にして実施例9の結着体を作製した。結着剤の量を増やしたことで、実施例1に比べて結着体の強度が向上しており圧延により結着体が崩れにくくなっている。
結着体作製工程において、結着剤をカルボキシメチルセルロースナトリウム(80重量%)とスチレンブタジエンゴム(20重量%)の混合物とした以外は、実施例1と同様にして比較例1の結着体を作製した。実施例1に比べてレート特性が低下した。
レート特性は80%以上を良好、電極密度は2.35g/cc以上を良好とした。
[表1]
Claims (5)
- Li−M−P複合酸化物と、導電助剤と、第一の樹脂と、を含む結着体が、第一の樹脂とは異なる第二の樹脂中に分散されてなる活物質層を備えており、
前記第一の樹脂は、酸性バインダーを含有し、
前記第二の樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリアミドイミド、カルボキシメチルセルロース塩の群より選ばれる少なくとも一種以上の樹脂を含有することを特徴とする電極
(ただし、MはFe、Mn、Co、Ni及びVOの群から選ばれる1種以上を含む。)。 - 前記酸性バインダーは、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸とポリアクリル酸塩の混合物、ポリアクリル酸とカルボキシメチルセルロース塩の混合物、カルボキシメチルセルロースとカルボキシメチルセルロース塩の混合物の群から選ばれる樹脂のうち1種以上の樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の電極。
- 前記酸性バインダーは、Li−M−P複合酸化物と導電助剤の合計の重量に対して、0.001以上、3重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電極。
- 前記Li−M−P複合酸化物は、平均一次粒子径が30〜300nmのLiVOPO4からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電極。
- 正極と、セパレータと、負極とがこの順で積層され、前記セパレータは電解質が含浸されており、前記正極は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電極であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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