JP2019196510A - 銅ナノ粉、銅ナノインク、および導電膜形成方法 - Google Patents

銅ナノ粉、銅ナノインク、および導電膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光焼成焼結エネルギーを低減することができる銅ナノ粉、銅ナノインク、および導電膜形成方法を提供する。【解決手段】 銅ナノ粉は、平均粒子径が10nm以上100nm未満の銅ナノ粉であって、リンを0.15mass%以上含有し、前記銅ナノ粉の酸素濃度は、0.54mass%以上1.1mass%以下であることを特徴とする。銅ナノインクは、上記銅ナノ粉と、溶剤と、前記銅ナノ粉を前記溶剤中で分散させる分散剤と、を備えることを特徴とする。導電膜形成方法は、上記銅ナノインクの皮膜を物体表面に形成し、前記皮膜を乾燥させ、乾燥した前記皮膜に光を照射する光焼成によって導電膜を形成する、ことを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本件は、銅ナノ粉、銅ナノインク、および導電膜形成方法に関する。
銅ナノ粉を含むインクを用いて、インクジェット印刷、スクリーン印刷等の印刷法により金属配線などの導電膜を形成する手法が望まれている。例えば、銅微粒子を含むインクを用いた印刷によりパターンを形成し、光焼成によって導電膜を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2013−105605号公報 特開2013−104089号公報
上記技術を用いることによって、低コストで導電膜を形成することができる。しかしながら、上記技術では、大きい光焼成焼結エネルギーを要することになる。この場合、基板にダメージを与えるおそれがある。そこで、光焼成焼結エネルギーを低下させることが望まれる。
本件は上記課題に鑑みなされたものであり、光焼成焼結エネルギーを低下させることができる銅ナノ粉、銅ナノインク、および導電膜形成方法を提供することを目的とする。
本発明に係る銅ナノ粉は、平均粒子径が10nm以上100nm未満の銅ナノ粉であって、リンを0.15mass%以上含有し、前記銅ナノ粉の酸素濃度は、0.54mass%以上1.1mass%以下であることを特徴とする。
上記銅ナノ粉において、前記銅ナノ粉の平均粒子径は、29nm以上44nm以下としてもよい。
本発明に係る銅ナノインクは、上記いずれかの銅ナノ粉と、溶剤と、前記銅ナノ粉を前記溶剤中で分散させる分散剤と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る導電膜形成方法は、上記銅ナノインクの皮膜を物体表面に形成し、前記皮膜を乾燥させ、乾燥した前記皮膜に光を照射する光焼成によって導電膜を形成する、ことを特徴とする。
本発明に係る銅ナノ粉、銅ナノインク、および導電膜形成方法によれば、光焼成焼結エネルギーを低下させることができる。
(a)〜(d)は実施形態に係る導電膜形成方法について例示する図である。
(含リン銅ナノ粉)
本実施形態に係る含リン銅ナノ粉は、10nm以上100nm未満の平均粒子径を有する。含リン銅ナノ粉が当該範囲の平均粒子径を有する場合、光焼成によって焼結させることができるようになる。含リン銅ナノ粉は、リン(P)を含有している。少なくとも一部のリンは、含リン銅ナノ粉に固溶している。本実施形態においては、含リン銅ナノ粉は、0.15mass%以上のリン(P)を含有している。0.15mass%以上のリンを含む含リン銅ナノ粉は、リンを含有していない銅ナノ粉と比較して、光焼成焼結エネルギーを低下させることができる。それにより、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の低耐熱性基材上に低ダメージで導電膜を形成することが可能となる。これは、含リン銅ナノ粉がリンを含有することによって焼結開始温度が低くなるからであると考えられる。また、リンは界面活性の性質を有して含リン銅ナノ粉表面に集まるため、焼結を阻害する酸素が含リン銅ナノ粉表面に付着しにくくなるからであると考えられる。
酸素が含リン銅ナノ粉表面に付着しにくくなると、含リン銅ナノ粉の耐酸化性が向上する。それにより、リンを含有していない銅ナノ粉と比較して、酸化に伴う物性の変化を抑制することができる。例えば、含リン銅ナノ粉を含む銅ナノインクを印刷して所定時間(例えば24時間)経過してから光焼成しても、印刷直後に光焼成した場合と同等の低抵抗を得ることができる。
リンが含リン銅ナノ粉表面に集まると、リンを含まない銅ナノ粉表面と比較して含リン銅ナノ粉表面の分散剤や分散媒に対する濡れ性が向上する。それにより、含リン銅ナノ粉を含む銅ナノインクをインクジェット印刷した場合に、コーヒーリング現象が抑制されることがある。また、含リン銅ナノ粉を含む銅ナノインクをグラビアオフセット印刷した場合に、エッジがシャープになることがある。
本実施形態に係る含リン銅ナノ粉における酸素濃度が低すぎると、凝集力が強く、分散させることが難しいといった不具合が生じ得る。そこで、本実施形態においては、含リン銅ナノ粉の酸素濃度に下限を設ける。具体的には、含リン銅ナノ粉は、0.54mass%以上の酸素濃度を有している。一方、本実施形態に係る含リン銅粉紛における酸素濃度が高すぎると、銅ナノ粉表面の酸素が焼結を阻害するため、リンを含むことによる光焼成焼結エネルギーの低下の効果が得られなくなるといった不具合が生じ得る。そこで、本実施形態においては、含リン銅ナノ粉の酸素濃度に上限を設ける。具体的には、含リン銅ナノ粉は1.1mass%以下の酸素濃度を有している。
光焼成焼結エネルギーの低下の観点から、含リン銅ナノ粉におけるリン濃度は、より高いことが好ましい。例えば、含リン銅ナノ粉におけるリン濃度は、0.26mass%以上であることが好ましい。
一方、含リン銅ナノ粉におけるリン濃度が高すぎると、体積抵抗率が高くなるといった不具合が生じるおそれがある。そこで、含リン銅ナノ粉のリン濃度に上限を設けることが好ましい。例えば、含リン銅ナノ粉のリン濃度は、1mass%以下であることが好ましく、0.35mass%以下であることがより好ましい。
リンを含むことによる光焼成焼結エネルギーの低下の効果を十分に得る観点から、含リン銅ナノ粉の酸素濃度は、0.80mass%以下であることが好ましい。
含リン銅ナノ粉の平均粒子径が小さすぎると、粒子間に働く引力が強く凝集しやすいため、分散させることが難しくなるといった不具合が生じ得る。そこで、含リン銅ナノ粉の平均粒子径に下限を設けることが好ましい。例えば、BET比表面積を平均粒子径に換算した場合に、平均粒子径は、29nm以上であることが好ましい。一方、含リン銅ナノ粉の平均粒子径が大きすぎると、焼結温度が高くなるため、リンを含むことによる光焼成焼結エネルギーの低下の効果が得られなくなるといった不具合が生じ得る。そこで、含リン銅ナノ粉の平均粒子径に上限を設けることが好ましい。例えば、BET比表面積を平均粒子径に換算した場合に、平均粒子径は、44nm以下であることが好ましい。
(銅ナノインク)
本実施形態に係る銅ナノインクは、上述した含リン銅ナノ粉と、溶剤と、分散剤とを有している。
溶剤(分散媒)は、特に限定されるものではない。溶剤として、例えば、極性分散媒を用いることができる。極性分散媒として、プロトン性分散媒または非プロトン性分散媒を用いることができる。プロトン性分散媒は、1個のヒドロキシル基を有する炭素数が5以上30以下の直鎖または分岐鎖状のアルキル化合物もしくはアルケニル化合物である。このプロトン性分散媒は、1個以上10個以下のエーテル結合を有してもよく、1個以上5個以下のカルボニル基を有してもよい。炭素数を5以上とすることで、銅微粒子の分散媒中への溶出(腐食)が抑制され、良好な分散安定性が得られる。炭素数を30以下とすることで、分散媒の極性低下が抑制され、分散剤が溶解しやすくなる。
このようなプロトン性分散媒としては、例えば、3−メトキシ−3−メチルブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、2−オクタノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
プロトン性分散媒は、2個以上6個以下のヒドロキシル基を有する炭素数が2以上30以下の直鎖または分岐鎖状のアルキル化合物もしくはアルケニル化合物であってもよい。このプロトン性分散媒は、1個以上10個以下のエーテル結合を有してもよく、1個以上5個以下のカルボニル基を有してもよい。
このようなプロトン性分散媒としては、例えば、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
比誘電率が30以上の非プロトン性極性分散媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルフォスフォラミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ニトロベンゼン、N、N−ジエチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、フルフラール、γ−ブチロラクトン、エチレンスルファイト、スルホラン、ジメチルスルホキシド、スクシノニトリル、エチレンカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの極性分散媒は、1種類を単独で用いても、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
分散剤は、特に限定されるものではない。分散剤として、例えば、少なくとも1個以上の酸性官能基を有する分子量200以上100000以下の化合物またはその塩を用いることができる。分散剤の酸性官能基は、酸性、すなわち、プロトン供与性を有する官能基であり、例えば、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、硫酸基、カルボキシル基などである。
これらの分散剤を使用する場合、1種類を単独で用いても、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。分散剤の濃度は、例えば、銅微粒子分散液に対して0.5mass%以上50mass%以下である。分散剤の濃度を0.5mass%以上とすることで、十分な分散効果が得られる。分散剤の濃度を50mass%以下とすることで、銅微粒子分散液を印刷法に用いた場合に、良好な印刷特性が得られる。
これらの銅微粒子分散液には、用途に応じてレベリング剤、表面調整剤、消泡剤、防食剤、光焼成調整剤などを、分散安定性を損なわない範囲で適宜加えることができる。
上記のように配合された銅微粒子分散液において、分散剤が酸性官能基を有し、分散媒が極性分散媒であれば、分散剤は分散媒との相溶性を有する。さらに、分散媒がプロトン性分散媒である場合、プロトン供与性を有するので、分散媒分子間で水素結合を形成し、分散剤の酸性官能基と相互作用を及ぼす。分散媒が非プロトン性極性分散媒である場合、プロトン供与性を有しないが、比誘電率が30以上と高いため、分散剤の酸性官能基はプロトン(H)を解離できる。
銅微粒子は、分散剤分子で表面が覆われるので、分散剤と分散媒の静電的相互作用によって分散媒中に分散される。銅微粒子は、粒子径が小さいので、分散剤と分散媒の静電的相互作用が大きければ凝集が防がれ、凝集しなければ、沈降せず、銅微粒子分散液の分散安定性が高くなる。
プロトン性分散媒は、エーテル結合やカルボニル基を有する場合、極性が大きくなるので、分散剤との相溶性が高くなり、銅微粒子分散液の分散安定性が高くなる。
銅ナノインクは、さらに樹脂を有していてもよい。例えば、銅微粒子分散液に樹脂を添加することによって、グラビアオフセット印刷法において各線幅の印字を一度に行う(一括印刷する)ことができる。すなわち、良好な印刷特性が得られるようになる。良好な印刷特性を得るためには、樹脂濃度は高い方が好ましい。樹脂により銅微粒子分散液のレオロジー特性をコントロールすることでブランケットに吸われる銅微粒子分散液の量を抑えることができるからである。さらに、ブランケットにぬれにくい樹脂を使用することで、銅微粒子分散液がブランケット上に残留しにくくなるからである。
樹脂は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱分解性樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニル系のポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系のポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリフェノール、ポリプロピレン系、ポリアセタール系、ポリエステル系、テルペン樹脂系、環化ゴム系、アルキッド樹脂系、アクリル系のポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、変性アクリル、メタクリル・スチレン共重合体、酢酸セルロース系、ポリカーボネート系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリアミド系のポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ナイロン、ポリウレタン系、フッ素系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは熱でなく紫外線による光反応により硬化しても構わない。分解性樹脂としては、例えば、ポリペルオキシドなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの樹脂は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂として、ポリビニルピロリドン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、テルペンフェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレア変性中極性ポリアマイド、変性ウレアなどを用いることが好ましい。これらの樹脂は比較的極性が高いため、銅微粒子及び極性分散媒になじみやすく、非極性であるブランケットになじみにくい。樹脂が銅微粒子及び極性分散媒になじみやすいことで、銅微粒子分散液のレオロジー特性を変えることができ、レオロジー特性をコントロールすることで、ブランケットに吸われる銅微粒子分散液の量を抑えることができる。また、樹脂がブランケットになじみにくいことで、銅微粒子分散液がブランケット上に残留しにくくなる。以上の理由により、これらの樹脂が良好な印刷特性を発現するものと考えられる。
(導電膜形成方法)
図1(a)〜図1(d)は、実施形態に係る導電膜形成方法について例示する図である。図1(a)で例示するように、基材10上に、銅ナノインクの液膜20aを印刷法などによって形成する。
基材10は、特に限定されるものではない。基材10として、無機基材、有機基材、有機無機基材などを用いることができる。無機基材として、例えば、ガラス、セラミックス、シリコンウェハ、アルミニウムなどを用いることができる。有機無機基材として、例えば、ガラスエポキシ等の有機無機複合材料を用いることができる。有機基材として、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、スチレンブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、スチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、メタクリル・スチレン共重合体、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド等を用いることができる。
次に、液膜20aに対して乾燥処理を行う。皮膜の乾燥によって、銅微粒子分散液中の樹脂、溶剤および分散剤が蒸発し、銅微粒子が残る。皮膜の乾燥時間は、例えば、100℃空気雰囲気下において30分程度で完了する。皮膜の乾燥時間を短縮するために、皮膜に空気流あるいは窒素流を当ててもよい。乾燥処理によって、図1(b)で例示するように、銅微粒子30が基材10上に残り、銅微粒子30の皮膜20bが導電膜として基材10上に形成される。
次に、図1(c)で例示するように、皮膜20bに光を照射する。それにより、皮膜20bが光焼成される。光焼成において、皮膜20b内の銅微粒子30の表面酸化皮膜の還元と、銅微粒子30の焼結とが起きる。図1(d)で例示するように、銅微粒子30は、焼結において互いに溶融し、基材10に溶着する。光焼成は、大気下、室温で行ってもよい。光焼成に用いられる光源は、例えば、キセノンランプである。光源にレーザ装置を用いてもよい。光源から照射される光の照射エネルギーは、例えば、0.1J/cm以上、100J/cm以下である。照射時間は、例えば、0.1ms以上、100ms以下である。照射回数は、1回でも複数回の多段照射でもよい。多段照射の場合、照射時間は、インターバルを含めない合計時間である。光の照射によって光焼成された導電膜20cは、バルク化して導電性となるとともに、基材10に密着する。
本実施形態においては、上述した含リン銅ナノ粉を用いることから、低い光焼成焼結エネルギーで低抵抗の導電膜20cを形成することができる。例えば、1.7J/cm以下の照射エネルギーで、低抵抗の導電膜20cを形成することができる。また、1.4J/cm以下の照射エネルギーで、低抵抗の導電膜20cを形成することができる。
(含リン銅ナノ粉の製造方法)
含リン銅ナノ粉は、例えば、銅リン合金原料から製造することができる。銅リン合金原料の生成に当たり、銅原料として例えばJIS規格C1020無酸素銅やC1011電子管用無酸素銅、C1100タフピッチ銅などの高純度の銅であって、それぞれ条、線、板、管、塊、球、粒などの各形状のものと、リン原料としてリン化銅(I)や含リン銅などのリン濃度既知のものであって、それぞれ条、線、板、管、塊、球、粒などの各形状のものを混合して用いることができる。例えば、各原料は、目的のリン濃度になるように、条、線、板、管、塊、球、粒などの各形状の原料それぞれをさらに切断や減肉、粉砕などによって都合のよい重量に加工し、それらを適宜添加したり、減じたりして適当な重量になるように量り取って混合する。
上記の混合原料を、例えば、酸化物や炭化物または窒化物などのセラミックス製のるつぼや匣鉢、ボート、石英製のるつぼやボート、炭素製のるつぼやボート、タングステンやモリブデン、タンタル、ニオブなどの高融点金属のるつぼやボート、フィラメントなど、銅の融点よりも充分高温でも銅による浸食がない耐火物の器に装入し、加熱溶解する。混合原料の加熱溶解に際し、原料の酸化を防ぎ、純度高く、均一な溶解と混合を行うため、真空中またはアルゴンやヘリウムなどの不活性ガス雰囲気で実施することが好ましい。加熱には既述の耐火性の器に原料を装入して行う高周波誘導加熱や各種のヒーター式抵抗加熱、金属や化合物などの抵抗体自体に通電して加熱し、その抵抗体上に設置した原料を溶解する直接抵抗加熱などの方法を用いるか、または、水冷銅ハースに原料を装入し、電子ビームやアーク、プラズマなどを原料に照射する加熱法などを用いることができる。
これらの方法で溶解した所定リン濃度の銅リン合金原料を、溶解したまま粉末生成に用いてもよく、冷却または鋳造してから適当な形状や寸法に加工して原料として用いてもよい。
この銅リン合金原料を用いた含リン銅ナノ粉末の生成は、例えば乾式気相生成法を利用するのであれば、真空中または減圧したアルゴンやヘリウムのような不活性ガス雰囲気で既述のいずれかの加熱法によって原料を溶解して生成する方法や、原料を線または棒状に加工し、真空中または減圧したアルゴンやヘリウムのような不活性ガス雰囲気でこの原料を適当な電極に挟むなどして接続し、それに大電流を流して加熱蒸発する方法などによって実施することができる。
乾式の気相生成法により含リン銅ナノ粉を生成する場合の必要な設備要件は、既往の多くの文献によって開示されているが、減圧に耐える容器で、加熱法や原料の溶解量により差はあるものの、輻射熱や熱伝導による減圧容器の強度低下を抑制するために水冷や空冷、金属や耐火物製の熱遮蔽板などを備えたものを利用することが好ましい。そのような減圧容器に真空ポンプが接続され、適当な圧力計によって減圧容器の内圧を監視することができ、アルゴンやヘリウムなどの適当な不活性ガスの供給設備と接続されたものを使用することができる。これらの設備を利用して、既述の加熱法のいずれかに該当する熱源を備えた減圧容器を真空ポンプによって減圧し、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを導入して所定の圧力にした状態で、所定のリン濃度に調製した原料を溶解する。減圧した容器内では溶解した原料の蒸気が発生し、減圧容器内の残留ガスと衝突合体して粉末が生成する。
(実施例)
以下、上記実施形態に係る含リン銅ナノ粉を作製した。実施例1では、リン濃度を0.155mass%とし、酸素濃度を0.67mass%とし、BET比表面積から換算した平均粒子径を38nmとした。実施例2では、リン濃度を0.175mass%とし、酸素濃度を1.10mass%とし、BET比表面積から換算した平均粒子径を40nmとした。実施例3では、リン濃度を0.283mass%とし、酸素濃度を0.54mass%とし、BET比表面積から換算した平均粒子径を29nmとした。実施例4では、リン濃度を0.297mass%とし、酸素濃度を0.80mass%とし、BET比表面積から換算した平均粒子径を43nmとした。実施例5では、リン濃度を0.262mass%とし、酸素濃度を0.71mass%とし、BET比表面積から換算した平均粒子径を44nmとした。なお、比較例1では、リン濃度を0mass%とし、酸素濃度を0.56mass%とし、BET比表面積から換算した平均粒子径を39nmとした。比較例2では、リン濃度を0.158mass%とし、酸素濃度を1.20mass%とし、BET比表面積から換算した平均粒子径を38nmとした。比較例3では、リン濃度を0.231mass%とし、酸素濃度を3.00mass%とし、BET比表面積から換算した平均粒子径を43nmとした。
Figure 2019196510
実施例1〜5の含リン銅ナノ粉を用いて銅ナノインクを作製した。また、比較例1〜3の銅ナノ紛を用いて銅ナノインクを作製した。各銅ナノインクを用いて、PET基板上に光焼成によって厚み0.5μmの導電膜を形成した。照射エネルギーは、表2に示すように、1.2J/cm、1.4J/cm、1.7J/cmとした。導電膜のシート抵抗を測定した。
Figure 2019196510
まず、実施例1〜5のいずれにおいても、光焼成によって含リン銅ナノ粉を焼結させることができた。これは、含リン銅ナノ粉が10nm以上100nm未満の平均粒子径を有し、含リン銅ナノ粉の酸素濃度が0.54mass%以上であったからであると考えられる。また、実施例1〜5のいずれにおいても、1.7J/cm以下の低い光焼成焼結エネルギーで低抵抗の導電膜を形成することができた。これは、リン濃度を0.15mass%以上としたことで銅ナノ粉の融点が低くなり、また、焼結を阻害する酸素が含リン銅ナノ粉表面に付着しにくくなったからであると考えられる。また、含リン銅ナノ粉の酸素濃度が1.1mass%以下であったことで、リンを含むことによる光焼成焼結エネルギーの低下の効果が十分に得られたからであると考えられる。
なお、実施例1では、実施例2よりも低抵抗な導電膜を形成することができた。これは、酸素濃度を0.80mass%以下としたことで、光焼成焼結エネルギーの低下の効果を十分に得ることができたからであると考えられる。次に、実施例3〜5では、実施例1,2よりも低抵抗な導電膜を形成することができた。これは、リン濃度を0.26mass%以上としたことで、必要な光焼成焼結エネルギーを十分に低くすることができたからであると考えられる。
一方、比較例1では、銅ナノ粉が焼結しなかった。これは、銅ナノ粉にリンが含まれなかったことで、必要な光焼成焼結エネルギーを十分に低下させることができず、照射エネルギーが不足したからであると考えられる。比較例2でも、1.2J/cmおよび1.4J/cmの照射エネルギーで銅ナノ粉が焼結しなかった。1.7J/cmの照射エネルギーでは焼結したものの、導電膜にクラックが入った。これは、銅ナノ粉におけるリン濃度が0.15mass%以上であったものの、酸素濃度が1.1mass%を超えたことで、必要な光焼成焼結エネルギーを十分に低下させることができず、照射エネルギーが不足したからであると考えられる。比較例3でも、銅ナノ粉が焼結しなかった。比較例2と同様に、銅ナノ粉におけるリン濃度が0.15mass%以上であったものの、酸素濃度が1.1mass%を超えたことで、必要な光焼成焼結エネルギーを十分に低下させることができず、照射エネルギーが不足したからであると考えられる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

Claims (4)

  1. 平均粒子径が10nm以上100nm未満の銅ナノ粉であって、
    リンを0.15mass%以上含有し、
    前記銅ナノ粉の酸素濃度は、0.54mass%以上1.1mass%以下であることを特徴とする銅ナノ粉。
  2. 前記銅ナノ粉の平均粒子径は、29nm以上44nm以下であることを特徴とする請求項1記載の銅ナノ粉。
  3. 請求項1または2に記載の銅ナノ粉と、
    溶剤と、
    前記銅ナノ粉を前記溶剤中で分散させる分散剤と、を備えることを特徴とする銅ナノインク。
  4. 請求項3に記載の銅ナノインクの皮膜を物体表面に形成し、
    前記皮膜を乾燥させ、
    乾燥した前記皮膜に光を照射する光焼成によって導電膜を形成する、ことを特徴とする導電膜形成方法。
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