JP2019187601A - 面ファスナーおよび血圧測定用カフ - Google Patents
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Abstract
【課題】曲率半径が50cm以下の人体部位に用いる面ファスナーであって、優れた係合性を有するだけでなく、柔軟であり、雌材と雄材とを分離する際にあまり剥離音が発生せず、耐久性にも優れた面ファスナー、および該面ファスナーを含む血圧測定用カフを提供する。【解決手段】曲率半径が50cm以下の人体部位に用いる面ファスナーを、布帛Aと、立毛部と地組織部を含む立毛布帛Bとで構成する。【選択図】図1
Description
本発明は、曲率半径が50cm以下の人体部位に用いる面ファスナーであって、優れた係合性を有するだけでなく、柔軟であり、雌材と雄材とを分離する際にあまり剥離音が発生せず、耐久性にも優れた面ファスナー、および該面ファスナーを含む血圧測定用カフに関する。
面ファスナーは通常、ループ状またはアーチ状の係合素子を持つ雌材と、カギ状またはキノコ状のフック部を持つ雄材とから構成される。面ファスナーは、面ファスナーを取付けた製品を係合させるものであり、取り付けや着脱が容易なことから、衣類、靴、鞄、手袋、血圧測定用カフなどの止具として一般に広く使用されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、面ファスナーはこのように係合機能を備える反面、面ファスナーの雌材と雄材と分離する際に、大きな剥離音が生じるという問題があった。さらには、面ファスナーの基布部やフック部が硬いため、衣料や肌を傷つけたりするという問題もあった。
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、曲率半径が50cm以下の人体部位に用いる面ファスナーであって、優れた係合性を有するだけでなく、柔軟であり、雌材と雄材とを分離する際にあまり剥離音が発生せず、耐久性にも優れた面ファスナー、および該面ファスナーを含む血圧測定用カフを提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、布帛と、立毛部と地組織部を含む立毛布帛とで構成される面ファスナーを、曲率半径が小さい人体部位に用いると、面ファスナーの係合性および耐久性が向上することを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「曲率半径が50cm以下の人体部位に用いる面ファスナーであって、布帛Aと、立毛部と地組織部を含む立毛布帛Bとで構成されることを特徴とする面ファスナー。」が提供される。
その際、前記布帛Aおよび前記立毛布帛Bがともに、樹脂層を有することが好ましい。また、前記樹脂層が、樹脂コーティング層、ラミネート層、またはボンディング層であることが好ましい。また、前記布帛Aが編物組織を有することが好ましい。また、前記布帛Aに、単繊維径が1000nm以下のフィラメント糸が含まれることが好ましい。かかるフィラメント糸がポリエステルからなり、フィラメント数が1000本以上のマルチフィラメントであることが好ましい。また、前記布帛Aにおいて、前記フィラメント糸がループ形状を有して布帛表面に露出していることが好ましい。また、前記布帛Aにおいて、厚さが0.3〜3.0mmの範囲内であることが好ましい。また、前記布帛Aにおいて、タテ方向またはヨコ方向のどちらか一方の伸び率が1〜20%の範囲内であることが好ましい。また、前記布帛Aにおいて、タテ方向またはヨコ方向のどちらか一方の剛軟度が25mm以上であることが好ましい。また、前記立毛布帛Bにおいて、立毛部がポリエステルからなりかつ単繊維繊度が2.5dtex以上の立毛糸からなることが好ましい。また、前記立毛布帛Bにおいて、立毛部の立毛長が0.1〜3.0mmの範囲内であることが好ましい。また、前記立毛布帛Bにおいて、タテ方向またはヨコ方向のどちらか一方の伸び率が1〜20%の範囲内であることが好ましい。また、前記布帛Bにおいて、タテ方向またはヨコ方向のどちらか一方の剛軟度が25mm以上であることが好ましい。また、下記に定義する引張りせん断強力が50cN/cm2以上であることが好ましい。
布帛Aおよび立毛布帛Bのそれぞれについて、水平方向に長さ12cm、幅3cmにカットした2つの試料を、長さ方向に5cm、長さ方向と平行に幅全体を重ね合せた後、接圧用ローラーで9.8N/cm2(1kg/cm2)の荷重をかけながら2往復させて2つの試料を接着させたのち、引張試験機に装着し、引張速度300mm/分、初荷重19.6cN(0.2kg)にて試料の長さ方向と平行に引張り、2つの試料が分離するまでの間の最大引張せん断強力を測定後、以下の式によって単位面積あたりの引張せん断強力を求め、n数5での平均値を算出する。
F1=S/(L×W)
ただし、F1は引張せん断強力(cN/cm2)、Sは最大引張せん断荷重(cN)、Lは重ね合せ長さ(cm)、Wは試料の幅(cm)である。
F1=S/(L×W)
ただし、F1は引張せん断強力(cN/cm2)、Sは最大引張せん断荷重(cN)、Lは重ね合せ長さ(cm)、Wは試料の幅(cm)である。
また、本発明によれば、前記の面ファスナーを含む、介護用衣料、医療用衣料、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、パジャマ、紳士衣料、婦人衣料、浴衣、作業衣、防護服、戦闘服、狩猟用衣料、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、靴、寝具、支持体、接合部材、包帯、安全帯、床材、カバー、クッション、基布、サポーター、腹巻き、エプロン、ボディーカバー、ケープ、スキンケア用具、化粧用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
本発明によれば、曲率半径が50cm以下の人体部位に用いる面ファスナーであって、優れた係合性を有するだけでなく、柔軟であり、雌材と雄材とを分離する際にあまり剥離音が発生せず、耐久性にも優れた面ファスナー、および該面ファスナーを含む血圧測定用カフが得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の面ファスナーは、布帛A(雌材)と、立毛部と地組織部を含む立毛布帛B(雄材)とで構成される面ファスナーである。その際、前記布帛Aおよび前記立毛布帛bがともに、背面(すなわち両者の接合面とは反対側の面)に樹脂層を有することが好ましい。かかる樹脂層はバックコーティングとも称される。
ここで、樹脂層としては、樹脂コーティング層、フィルムをラミネートしたラミネート層、芯地を貼り合せたボンディング層などが好ましい。
前記樹脂コーティング層を形成する樹脂としては特に限定されないが、アクリル酸エステル共重合樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴムなどが例示される。なかでも前記樹脂がアクリル酸エステル共重合樹脂を含む樹脂であると接着性を有するため他のバインダーを必要とせず好ましい。
また、フィルムや芯地を形成する樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂などが好ましい。また、前記布帛Aおよび前記立毛布帛Bにおいて、樹脂層を形成する樹脂の種類を同じにしてもよいし異ならせてもよい。
樹脂層の形成方法は公知の方法でよく、ナイフコーターなどの常法により樹脂コーティングするか、フィルムをラミネートした後、適宜、加熱処理や乾燥処理を行うか、芯地を常法の熱と圧力で接着するとよい。その際、かかる樹脂の粘度としては500〜1500cpsの範囲が好ましい。付着量としては固形分で10〜100g/m2の範囲内であることが好ましい。樹脂層は布帛全面に形成することが好ましいが、ドット状、格子状、木目模様、砂目模様、幾何学図形、文字、ロゴ、抽象模様などのパターンで形成してもよい。
前記布帛Aにおいて、布帛の組織は特に限定されず、通常の方法で得られた、織物または編物または不織布でよい。なかでも織物または編物が好ましく、伸縮性を向上させる上で編物が特に好ましい。また、編物の場合、編物のループにより雄材の立毛糸を強固に係合でき好ましい。特に編物のニードル面を、雄材と係合する面(接合面)として用いると優れた係合性が得られ好ましい。
前記布帛Aに、単繊維径が1000nm以下のフィラメント糸が含まれると、優れた係合性が得られ好ましい。
かかるフィラメント糸(以下、「ナノファイバー」と称することもある。)において、その単繊維径(単繊維の直径)が100〜900nm(さらに好ましくは550〜900nm)の範囲内であることがより好ましい。かかる単繊維径1000nmを単繊維繊度に換算すると0.01dtexに相当する。該単繊維径が1000nmよりも大きい場合は、十分な係合性が得られないおそれがある。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。また、単繊維繊度のばらつきが−20%〜+20%の範囲内であることが好ましい。
前記フィラメント糸において、フィラメント数は特に限定されないが、優れた係合性を得る上で1000本以上(より好ましくは2000〜10000本)であることが好ましい。また、フィラメント糸の総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、5〜150dtexの範囲内であることが好ましい。
前記フィラメント糸の繊維形態は特に限定されないが、長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
前記フィラメント糸を形成するポリマーの種類としては特に限定されないが、ポリエステル系ポリマーが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。
該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
本発明の面ファスナーにおいて、雌材となる布帛Aは前記のフィラメント糸のみで構成されることが好ましいが、布帛重量に対して70重量%以下であれば、他の糸条が1種類または複数種類含まれていてもよい。その際、かかる他の糸条としては、単繊維径が1000nmより大の、前記のようなポリエステルからなるポリエスエテル糸条や弾性繊維糸が好ましい。
ここで、かかる弾性繊維糸としては、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる吸水性ポリエーテルエステル弾性繊維糸、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリテトラメチレンオキシドグリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる非吸水性ポリエーテルエステル弾性繊維糸、ポリウレタン弾性繊維糸、ポリトリメチレンテレフタレート糸、合成ゴム系弾性繊維糸、天然ゴム系弾性繊維糸などが好適に例示される。
前記弾性繊維糸の総繊度としては、5〜100dtex(より好ましくは10〜40dtex)の範囲内であることが好ましい。
本発明の面ファスナーにおいて、雌材となる布帛Aは例えば以下の製造方法により製造することができる。まず、海成分と、その径が1000nm以下である島成分とで形成される海島型複合繊維(ナノファイバー用繊維)を用意する。かかる海島型複合繊維としては、特開2007−2364号公報に開示された海島型複合繊維マルチフィラメント(島数100〜1500)が好ましく用いられる。
ここで、海成分ポリマーとしては、繊維形成性の良好なポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングルコール系化合物共重合ポリエステル、ポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホン酸イソフタル酸の共重合ポリエステルが好適である。なかでも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングルコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。
一方、島成分ポリマーは、繊維形成性のポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステルが好ましい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーからなる海島型複合繊維は、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。また、島成分の径は、10〜1000nmの範囲とすることが好ましい。その際、該径が真円でない場合は外接円の直径を求める。前記の海島型複合繊維において、その海島複合重量比率(海:島)は、40:60〜5:95の範囲が好ましく、特に30:70〜10:90の範囲が好ましい。
かかる海島型複合繊維マルチフィラメントは、例えば以下の方法により容易に製造することができる。すなわち、前記の海成分ポリマーと島成分ポリマーとを用い溶融紡糸する。溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。吐出された海島型断面複合繊維マルチフィラメントは、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分で溶融紡糸された後に巻き取られる。得られた未延伸糸は、別途延伸工程をとおして所望の強度・伸度・熱収縮特性を有する複合繊維とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程をとおした後に巻き取る方法のいずれでも構わない。さらに、仮撚捲縮加工を施してもよい。かかる海島型複合繊維マルチフィラメントにおいて、単糸繊維繊度、フィラメント数、総繊度としてはそれぞれ単糸繊維繊度0.5〜10.0dtex、フィラメント数5〜75本、総繊度30〜170dtex(好ましくは30〜100dtex)の範囲内であることが好ましい。
次いで、かかる海島型複合繊維マルチフィラメントを単独で用いるか、必要に応じて単繊維径が1000nmより大の弾性繊維糸など他の糸とともに用いて、布帛Aを製編または製織する。その際、布帛Aの組織は特に限定されず、通常の方法で得られた、織物または編物または不織布でよい。なかでも織物または編物が好ましく、編物が特に好ましい。編物の場合、編物のループにより雄材の立毛糸を強固に係合でき好ましい。特に編物のニードル面を、雄材と係合する面として用いると優れた係合性が得られ好ましい。
ここで、織物の織組織は、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロード、タオル、ベロア等のたてパイル織、別珍、よこビロード、ベルベット、コール天等のよこパイル織などが例示される。なお、これらの織組織を有する織物は、レピア織機やエアージェット織機など通常の織機を用いて通常の方法により製織することができる。層数も特に限定されず単層でもよいし2層以上の多層構造を有する織物でもよい。
編物の種類は、よこ編物であってもよいしたて編物であってもよい。よこ編組織としては、天竺、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示される。天竺の編組織で2種の糸条で複合ループを形成したプレーテイング天竺、その際、一方の糸条を弾性繊維糸条としたベア天竺などが好適に例示される。たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフ編、裏毛編、ジャガード編等が好ましく例示される。なお、製編は、丸編機、横編機、トリコット編機、ラッシェル編機等など通常の編機を用いて通常の方法により製編することができる。層数も特に限定されず単層でもよいし2層以上の多層構造を有する編物でもよい。
次いで、該布帛にアルカリ水溶液処理を施し、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、海島型複合繊維マルチフィラメントを単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸とする。その際、アルカリ水溶液処理の条件としては、濃度1〜4%のNaOH水溶液を使用し55〜70℃の温度で処理するとよい。
また、常法の染色加工、起毛加工、撥水加工、吸水加工、バッフィング加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
次いで、前記のように樹脂層を形成することにより布帛Aを得ることができる。
かくして得られた布帛Aには、接合面とは反対側面に樹脂層を有するので、剛性が高く、接合力の耐久性が向上する。また、超極細繊維である前記フィラメント糸Aが含まれている場合は、面ファスナーの雌材として好適に使用することができる。
かくして得られた布帛Aには、接合面とは反対側面に樹脂層を有するので、剛性が高く、接合力の耐久性が向上する。また、超極細繊維である前記フィラメント糸Aが含まれている場合は、面ファスナーの雌材として好適に使用することができる。
ここで、前記布帛Aにおいて、表面および裏面のうち少なくともどちらか一方の面に前記フィラメント糸(ナノファイバー)が露出していることが好ましい。表面および裏面のどちらにも前記フィラメント糸が露出していない場合には、雄材の立毛糸を係合できないおそれがある。
前記布帛Aにおいて、厚さが0.3〜3.0mmの範囲内であることが好ましい。布帛の目付けとしては30〜500g/m2の範囲内であることが好ましい。
また、前記布帛Aにおいて、タテ方向またはヨコ方向の少なくともどちらか一方の伸び率が1〜20%の範囲内であることが好ましい。
また、前記布帛Aにおいて、タテ方向またはヨコ方向の少なくともどちらか一方の剛軟度が25mm以上(好ましくは25〜80mm)であることが好ましい。
本発明において、雌材は前記布帛Aを適宜裁断し前記布帛Aのみで構成してもよいし、布帛Aの周囲がほつれないよう飾り縫いしてもよいし、適宜装飾品等を付加してもさしつかえない。前記布帛Aを裁断する際、前記布帛Aは樹脂層を有し剛性が高いため、裁断された箇所にシワが発生し難いという優れた効果を奏する。
次に、本発明の面ファスナーは、雄材となる立毛布帛Bを含む。かかる立毛布帛Bは、有機繊維糸条からなる編織組織を有する地組織部と、前記地組織部に編みこまれ、または織りこまれ、前記地組織部から、その少なくとも1面側に伸び出ている複数の立毛糸からなる立毛部とを有するものである。かかる立毛糸としては、ループパイルでもよいが、強固な係合性を得る上で、カットパイルであることが好ましい。
前記立毛糸は、その単繊維繊度が0.5dtex以上(好ましくは0.5〜5.0dtex)であることが好ましい。該単繊維繊度が0.5dtexよりも小さいと、立毛状態を保持することが困難となり、立毛布帛Bを雄材として用いて雌材と係合させる際に強固な係合性が得られないおそれがある。
また、前記立毛糸の立毛長としては、0.1〜10mmの範囲内であることが好ましい。該立毛長が0.1mmよりも小さいと、立毛長が小さすぎて立毛布帛Bを雄材として用いて雌材と係合させる際に強固な係合性が得られないおそれがある。逆に、該立毛長が10mmよりも大きいと、立毛状態を保持することが困難となり、立毛布帛Bを雄材として用いて雌材と係合させる際に強固な係合性が得られないおそれがある。なお、本発明において、立毛長は図1に示すLの高さである。
かかる立毛糸で形成される立毛部の立毛糸密度としては、3000dtex/cm2以上(好ましくは5000〜100000dtex/cm2)であることが好ましい。該立毛糸密度が3000dtex/cm2より小さいと立毛糸が毛倒れしやすくなるため、立毛状態を保持することが困難となり、立毛布帛Bを雄材として用いて雌材と係合させる際に強固な係合性が得られないおそれがある。
なお、かかる立毛糸密度は以下の方法により測定することができる。すなわち、キーエンス(株)製マイクロスコープ(型式:VHX−900)を用いて、立毛布帛の表面を撮影(倍率200倍)し、面積1cm2(1cm×1cm)あたりの立毛糸本数を測定し次式により算出する。
立毛糸密度(dtex/cm2)=単繊維繊度(dtex)×立毛糸本数(本/cm2)
立毛糸密度(dtex/cm2)=単繊維繊度(dtex)×立毛糸本数(本/cm2)
前記立毛糸を形成する繊維の種類としては特に限定されず、綿、羊毛、麻、ビスコースレーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリエーテルエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン繊維、セルロースアセテート繊維、アラミド繊維などの通常の繊維でよい。なかでも、リサイクル性や剛直性の点で前述のようなポリエステルからなるポリエステル系繊維が特に好ましい。
繊維を形成する樹脂中には、必要に応じて、艶消し剤(二酸化チタン)、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上が含まれていてもよい。
立毛糸の形状としては、非捲縮立毛糸でもよいし、仮撚捲縮加工法や機械捲縮加工法、さらにはサイバイサイド型潜在捲縮性複合繊維を熱処理して得られた捲縮立毛糸でもよく特には限定されないが、強固な係合性を得る上で非捲縮立毛糸であることが好ましい。
立毛糸の単繊維横断面形状としては特に制限はなく、通常の円形断面のほか、三角、扁平、くびれ付扁平、十字形、六様形、あるいは中空形の断面形状でもよい。
前記立毛布帛Bにおいて、地組織部は有機繊維糸条からなり編織組織を有する。かかる有機繊維糸条を構成する繊維としては、前記の立毛糸用として例示した繊維と同様のものでよい。特に、リサイクル性の点でポリエステル系繊維が好ましい。
地組織部を構成する有機繊維糸条の形態は特に限定されないが、長繊維(マルチフィラメント糸条)であることが好ましい。該有機繊維糸条の単繊維繊度および総繊度は、布帛の風合いを損なわない上で、単繊維繊度0.5〜5.0dtex、総繊度30〜300dtexであることが好ましい。また、単繊維の断面形状には制限はなく、通常の円形断面のほかに三角、扁平、くびれ付扁平、十字形、六様形、あるいは中空形の断面形状であってもよい。さらに、かかる有機繊維糸条は、仮撚捲縮加工糸や2種以上の構成糸条を空気混繊加工や複合仮撚加工させた複合糸、さらには芯部に弾性糸、鞘部に非弾性糸が位置するカバリング糸であってもよい。
前記立毛布帛Bは、例えば、下記の製造方法により容易に得ることができる。
まず、立毛糸用糸条として単繊維繊度が0.5dtex以上(好ましくは0.5〜5.0dtex)の前述の繊維からなる糸条と、地組織部用有機繊維糸条として前述の繊維からなる糸条とを用いて通常の立毛布帛(ループパイル布帛)を製編織した後、必要に応じてループパイルの先端部をカットしてカットパイルにするとよい。
まず、立毛糸用糸条として単繊維繊度が0.5dtex以上(好ましくは0.5〜5.0dtex)の前述の繊維からなる糸条と、地組織部用有機繊維糸条として前述の繊維からなる糸条とを用いて通常の立毛布帛(ループパイル布帛)を製編織した後、必要に応じてループパイルの先端部をカットしてカットパイルにするとよい。
ここで、地組織部が編組織を有する立毛布帛を得る場合には、地組織を製編し、その上に伸び出るシンカーパイル、ポールトリコットパイル、ダブルラッセルパイルなどのループパイル組織を形成し、このループパイルをシャーリングする方法などが用いられる。ポールトリコットパイルは、トリコット編組織のパイル編み部分を、起毛機を用いてループパイルに形成することによって得られる。
一方、地組織部が織物組織を有する立毛布帛Bを得る場合には、経パイル織物または緯パイル織物を製織し、そのループパイルをカットするか、あるいはモケット織物を製織し、そのパイル糸をセンターカットする方法が用いられる。
かくして得られた立毛布帛Bには、常法の染色加工、撥水加工、吸水加工、バッフィング加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
次いで、前記のように樹脂層を形成することにより立毛布帛Bを得ることができる。
本発明において、雄材は前記立毛布帛Bを適宜、裁断し、前記立毛布帛Bのみで構成してもよいし、立毛布帛Bの周囲がほつれないよう飾り縫いしてもよいし、適宜装飾品等を付加してもさしつかえない。前記布帛Bを裁断する際、前記布帛Bは樹脂層を有し剛性が高いため、裁断された箇所にシワが発生し難いという優れた効果を奏する。
本発明において、雄材は前記立毛布帛Bを適宜、裁断し、前記立毛布帛Bのみで構成してもよいし、立毛布帛Bの周囲がほつれないよう飾り縫いしてもよいし、適宜装飾品等を付加してもさしつかえない。前記布帛Bを裁断する際、前記布帛Bは樹脂層を有し剛性が高いため、裁断された箇所にシワが発生し難いという優れた効果を奏する。
前記立毛布帛Bにおいて、立毛部の立毛長が0.1〜3.0mmの範囲内であることが好ましい。
また、前記立毛布帛Bにおいて、タテあるいはヨコ方向のどちらか一方の伸び率が1〜20%の範囲内であることが好ましい。
また、前記布帛Bにおいて、タテあるいはヨコ方向のどちらか一方の剛軟度が25mm以上(好ましくは25〜80mm)であることが好ましい。
本発明の面ファスナーは、前記布帛Aを含む雌材と、前記立毛布帛Bを含む雄材とで構
成され、布帛Aと立毛布帛Bの立毛部とが係合するように使用されると優れた係合性を有
する。その際、下記に定義する引張りせん断強力が50cN/cm2以上(好ましくは50〜300cN/cm2)であることが好ましい。
成され、布帛Aと立毛布帛Bの立毛部とが係合するように使用されると優れた係合性を有
する。その際、下記に定義する引張りせん断強力が50cN/cm2以上(好ましくは50〜300cN/cm2)であることが好ましい。
布帛Aおよび立毛布帛Bのそれぞれについて、水平方向に長さ12cm、幅3cmにカットした2つの試料を、長さ方向に5cm、長さ方向と平行に幅全体を重ね合せた後、接圧用ローラーで9.8N/cm2(1kg/cm2)の荷重をかけながら2往復させて2つの試料を接着させたのち、引張試験機に装着し、引張速度300mm/分、初荷重19.6cN(0.2kg)にて試料の長さ方向と平行に引張り、2つの試料が分離するまでの間の最大引張せん断強力を測定後、以下の式によって単位面積あたりの引張せん断強力を求め、n数5での平均値を算出する。
F1=S/(L×W)
ただし、F1は引張せん断強力(cN/cm2)、Sは最大引張せん断荷重(cN)、Lは重ね合せ長さ(cm)、Wは試料の幅(cm)である。
F1=S/(L×W)
ただし、F1は引張せん断強力(cN/cm2)、Sは最大引張せん断荷重(cN)、Lは重ね合せ長さ(cm)、Wは試料の幅(cm)である。
本発明の面ファスナーは前記布帛Aと立毛布帛Bを含むので、柔軟であり、雌材と雄材とを分離する際にあまり剥離音が発生しない。また、他の布帛等への縫合性にも優れる。また、接合力の耐久性にも優れる。
次に、本発明の繊維製品は、前記の面ファスナーを含む、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、紳士衣料、婦人衣料、医療用衣料、介護用衣料、浴衣、作業衣、防護服、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、支持帯、基布、カーシート、サポーター、拭取り用具、スキンケア用具、化粧用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。かかる繊維製品は前記の面ファスナーを用いているので、優れた係合性を有するだけでなく、柔軟であり、雌材と雄材とを分離する際にあまり剥離音が発生せず、また、布帛等への縫合性にも優れる。また、接合力の耐久性にも優れる。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<溶融粘度>
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見る。
<溶解速度>
海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、総繊度84dtex/24filのマルチフィラメントを作製する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した。
<単繊維径>
生地を走査型電子顕微鏡SEMで写真撮影した後、n数5で単繊維径を測定しその平均値を求めた。
<伸度>
JIS L 1096 8.12に従って測定した。
<厚さ>
JIS L 1096 8.5に従って測定した。
<剛軟度>
JIS L 1096 8.21.1 A法に従って測定した。
<引張せん断強力>
布帛Aおよび立毛布帛Bのそれぞれについて、水平方向に長さ12cm、幅3cmにカットした2つの試料を、長さ方向に5cm、長さ方向と平行に幅全体を重ね合せた後、接圧用ローラーで9.8N/cm2(1kg/cm2)の荷重をかけながら2往復させて2つの試料を接着させたのち、引張試験機に装着し、引張速度300mm/分、初荷重19.6cN(0.2kg)にて試料の長さ方向と平行に引張り、2つの試料が分離するまでの間の最大引張せん断強力を測定後、以下の式によって単位面積あたりの引張せん断強力を求め、n数5での平均値を算出する。
F1=S/(L×W)
ただし、F1は引張せん断強力(cN/cm2)、Sは最大引張せん断荷重(cN)、Lは重ね合せ長さ(cm)、Wは試料の幅(cm)である。
<立毛糸の立毛長(パイル高さ)>
キーエンス(株)製マイクロスコープ(型式:VH−6300)を用いて、立毛布帛の断面を撮影(倍率50倍)し、全体厚みおよび地組織部の厚みを測定して、下記式により立毛糸の立毛長を算出した。なお、全体厚みは地組織部の最底部から立毛糸の最高部までの距離を測定した。n数は5でその平均値を求めた。パイル高さについても同様に測定した。
L=全体厚さ(mm)−地組織部厚さ(mm)
<溶融粘度>
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見る。
<溶解速度>
海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、総繊度84dtex/24filのマルチフィラメントを作製する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した。
<単繊維径>
生地を走査型電子顕微鏡SEMで写真撮影した後、n数5で単繊維径を測定しその平均値を求めた。
<伸度>
JIS L 1096 8.12に従って測定した。
<厚さ>
JIS L 1096 8.5に従って測定した。
<剛軟度>
JIS L 1096 8.21.1 A法に従って測定した。
<引張せん断強力>
布帛Aおよび立毛布帛Bのそれぞれについて、水平方向に長さ12cm、幅3cmにカットした2つの試料を、長さ方向に5cm、長さ方向と平行に幅全体を重ね合せた後、接圧用ローラーで9.8N/cm2(1kg/cm2)の荷重をかけながら2往復させて2つの試料を接着させたのち、引張試験機に装着し、引張速度300mm/分、初荷重19.6cN(0.2kg)にて試料の長さ方向と平行に引張り、2つの試料が分離するまでの間の最大引張せん断強力を測定後、以下の式によって単位面積あたりの引張せん断強力を求め、n数5での平均値を算出する。
F1=S/(L×W)
ただし、F1は引張せん断強力(cN/cm2)、Sは最大引張せん断荷重(cN)、Lは重ね合せ長さ(cm)、Wは試料の幅(cm)である。
<立毛糸の立毛長(パイル高さ)>
キーエンス(株)製マイクロスコープ(型式:VH−6300)を用いて、立毛布帛の断面を撮影(倍率50倍)し、全体厚みおよび地組織部の厚みを測定して、下記式により立毛糸の立毛長を算出した。なお、全体厚みは地組織部の最底部から立毛糸の最高部までの距離を測定した。n数は5でその平均値を求めた。パイル高さについても同様に測定した。
L=全体厚さ(mm)−地組織部厚さ(mm)
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ、艶消し剤の含有量:0重量%)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合繊維マルチフィラメント(ナノファイバー用繊維、延伸糸)は総繊度56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ、艶消し剤の含有量:0重量%)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合繊維マルチフィラメント(ナノファイバー用繊維、延伸糸)は総繊度56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。
次いで、該海島型複合繊維マルチフィラメント(ナノファイバー用繊維)と通常のポリエステル仮撚捲縮加工糸(帝人フロンティア(株)製、56dtex/72fil)をパイル糸用糸条とし、通常のポリエステル仮撚捲縮加工糸(帝人フロンティア(株)製、167dtex/48fil)を地組織用糸条として、24G、釜径26インチの丸編機(福原精機製作所(株)製)を使用してシンカーパイル組織の丸編生機(布帛A用生機)を製編した。その後、得られた丸編生機の海島型複合繊維マルチフィラメントの海成分を除去するために編地を3.5%NaOH水溶液で、70℃にて8.3%アルカリ減量した。その後、130℃にて高圧染色を行い、170℃の乾熱セットを行った後、裏面に、ポリアクリル酸エステル共重合樹脂(粘度:1000cps)を、固形分で25g/m2の付着量となるようにナイフコーターでバックコーティングした後、乾燥し、編地(布帛A)を得た。
得られた編地(布帛A)を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、該編地は、表面のパイル部に平均単繊維径が700nmのフィラメント糸がループ形状で含まれ、均一に開繊されていることを確認した。また、該編地(布帛A)の厚さは0.85mm、タテ方向の伸び率は4.5%、タテ方向の剛軟度は50mmであった。
一方、地組織用糸条として通常のポリエステルフィラメント糸(帝人フロンティア(株)製、33dtex/12fil)と、立毛糸用糸条として通常のポリエステルフィラメント糸(帝人フロンティア(株)製、84dtex/24fil)とを用いて、36Gの経編機(カールマイヤー(株)製)を使用してパイル組織(フロント:10/56、ミドル:10/12、バック:23/10)の経編生機(立毛布帛B用生機)を製編した。得られた経編生機をプレセットとして160℃にて乾熱セットを行い、130℃にて高圧染色を行った。その後、シャーリング加工を施し、170℃の乾熱セットを行った後、裏面に、ポリアクリル酸エステル共重合樹脂(粘度:1000cps)を、固形分で75g/m2の付着量となるようにナイフコーターでバックコーティングした後、乾燥し、立毛編地(立毛布帛B)を得た。
得られた立毛編地(立毛布帛B)を走査型電子顕微鏡SEMおよびマイクロスコープで生地表面および断面を観察したところ、カットパイルからなる立毛部と地組織部とで構成され、立毛糸の単繊維繊度は3.5dtex、立毛長は1.2mm、タテ方向の伸び率は2.5%、タテ方向の剛軟度は48mmであった。
前記編地(布帛A)と立毛編地(立毛布帛B)とを、立毛布帛Bの立毛部表面が布帛Aと接触するように両者を係合し、引張せん断強力F1を測定したところ、引張せん断強力F1=128cN/cm2と優れた係合性を有するものであった。また、雌材(布帛A)と雄材(立毛布帛B)とを分離する際に剥離音が全くせず、風合いも柔らかであった。また、前記編地(布帛A)と立毛編地(立毛布帛B)とを面ファスナーとして、曲率半径が50cm以下の人体部位に用いる血圧測定用パフに取り付けたところ、洗濯をしても係合性が好優れていた。
[比較例1]
実施例1で得られた面ファスナーを洗濯した後、布帛Aと立毛布帛Bとを曲げることなく水平状態で係合性を測定したところ、係合性に劣るものであった。
実施例1で得られた面ファスナーを洗濯した後、布帛Aと立毛布帛Bとを曲げることなく水平状態で係合性を測定したところ、係合性に劣るものであった。
本発明によれば、曲率半径が50cm以下の人体部位に用いる面ファスナーであって、優れた係合性を有するだけでなく、柔軟であり、雌材と雄材とを分離する際にあまり剥離音が発生せず、耐久性にも優れた面ファスナー、および該面ファスナーを含む血圧測定用カフが提供され、その工業的価値は極めて大である。
1 地組織部
2 立毛糸
3 立毛部
2 立毛糸
3 立毛部
Claims (16)
- 曲率半径が50cm以下の人体部位に用いる面ファスナーであって、布帛Aと、立毛部と地組織部を含む立毛布帛Bとで構成されることを特徴とする面ファスナー。
- 前記布帛Aおよび前記立毛布帛Bがともに、樹脂層を有する、請求項1に記載の面ファスナー。
- 前記樹脂層が、樹脂コーティング層、ラミネート層、またはボンディング層である、請求項1または請求項2に記載の面ファスナー。
- 前記布帛Aが編物組織を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の面ファスナー。
- 前記布帛Aに、単繊維径が1000nm以下のフィラメント糸が含まれる、請求項1〜4のいずれかに記載の面ファスナー。
- 前記フィラメント糸がポリエステルからなり、フィラメント数が1000本以上のマルチフィラメントである、請求項5に記載の面ファスナー。
- 前記布帛Aにおいて、前記フィラメント糸がループ形状を有して布帛表面に露出している、請求項5または請求項6に記載の面ファスナー。
- 前記布帛Aにおいて、厚さが0.3〜3.0mmの範囲内である、請求項1〜7のいずれかに記載の面ファスナー。
- 前記布帛Aにおいて、タテ方向またはヨコ方向のどちらか一方の伸び率が1〜20%の範囲内である、請求項1〜8のいずれかに記載の面ファスナー。
- 前記布帛Aにおいて、タテ方向またはヨコ方向のどちらか一方の剛軟度が25mm以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の面ファスナー。
- 前記立毛布帛Bにおいて、立毛部がポリエステルからなりかつ単繊維繊度が2.5dtex以上の立毛糸からなる、請求項1〜10のいずれかに記載の面ファスナー。
- 前記立毛布帛Bにおいて、立毛部の立毛長が0.1〜3.0mmの範囲内である、請求項1〜11のいずれかに記載の面ファスナー。
- 前記立毛布帛Bにおいて、タテ方向またはヨコ方向のどちらか一方の伸び率が1〜20%の範囲内である、請求項1〜12のいずれかに記載の面ファスナー。
- 前記布帛Bにおいて、タテ方向またはヨコ方向のどちらか一方の剛軟度が25mm以上である、請求項1〜13のいずれかに記載の面ファスナー。
- 下記に定義する引張りせん断強力が50cN/cm2以上である、請求項1〜14のいずれかに記載の面ファスナー。
布帛Aおよび立毛布帛Bのそれぞれについて、水平方向に長さ12cm、幅3cmにカットした2つの試料を、長さ方向に5cm、長さ方向と平行に幅全体を重ね合せた後、接圧用ローラーで9.8N/cm2(1kg/cm2)の荷重をかけながら2往復させて2つの試料を接着させたのち、引張試験機に装着し、引張速度300mm/分、初荷重19.6cN(0.2kg)にて試料の長さ方向と平行に引張り、2つの試料が分離するまでの間の最大引張せん断強力を測定後、以下の式によって単位面積あたりの引張せん断強力を求め、n数5での平均値を算出する。
F1=S/(L×W)
ただし、F1は引張せん断強力(cN/cm2)、Sは最大引張せん断荷重(cN)、Lは重ね合せ長さ(cm)、Wは試料の幅(cm)である。 - 請求項1〜15のいずれかに記載の面ファスナーを含む、血圧測定用カフ。
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JP2018081259A JP2019187601A (ja) | 2018-04-20 | 2018-04-20 | 面ファスナーおよび血圧測定用カフ |
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JP2018081259A Pending JP2019187601A (ja) | 2018-04-20 | 2018-04-20 | 面ファスナーおよび血圧測定用カフ |
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Citations (2)
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JP2015123356A (ja) * | 2013-12-27 | 2015-07-06 | オムロンヘルスケア株式会社 | 血圧測定用カフおよびそれを備えた血圧計 |
WO2017104338A1 (ja) * | 2015-12-14 | 2017-06-22 | 帝人株式会社 | 面ファスナーおよび繊維製品 |
-
2018
- 2018-04-20 JP JP2018081259A patent/JP2019187601A/ja active Pending
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