JP2019181711A - 金属樹脂接合体 - Google Patents

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聡美 田嶋
Satomi Tajima
聡美 田嶋
敏孝 石崎
Toshitaka Ishizaki
敏孝 石崎
野田 浩司
Koji Noda
浩司 野田
明渡 邦夫
Kunio Aketo
邦夫 明渡
俊男 堀江
Toshio Horie
俊男 堀江
正昭 土森
Masaaki Tsuchimori
正昭 土森
龍介 泉
Ryusuke Izumi
龍介 泉
青吾 大澤
Seigo Osawa
青吾 大澤
穂高 森
Hodaka Mori
穂高 森
和輝 神田
Kazuki Kanda
和輝 神田
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Abstract

【課題】接合強度の高い金属樹脂接合体を提供する。【解決手段】本発明は、金属体と樹脂体を接合した金属樹脂接合体である。金属体の被接合面は、表面粗さ(Ra)が0.3〜10μmである凹凸面からなる。凹凸面を構成する少なくとも一部の凸部の先端側には、粒径が100〜1000nmである金属粒子が結合している。凹凸面は、略尖塔状の突起が剣山状に分布しており、この突起の頂部に金属粒子が結合していると好ましい。このような凹凸面は、例えば、粗化めっき等により得られる。金属粒子の少なくとも一部は、凸部の先端側から被接合面に沿って房状に膨出していると好ましい。これにより、接合界面の表面積が増加すると共に、凹部に侵入した樹脂は膨出した金属粒子に掛止されるようになり、非常に高い接合強度の金属樹脂接合体が得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、金属と樹脂を接合した金属樹脂接合体に関する。
近年、自動車分野や航空機分野における軽量化ニーズ等に伴い、信頼性に優れた金属と樹脂の接合部材が求められている。例えば、樹脂でパッケージ化された電子機器やパワーデバイス等は、樹脂と金属の接合界面に高い気密性等が求められることが多い。
金属と樹脂の接合界面における気密性は、一般的に、Oリング、かしめ、接着剤等により確保される。Oリングの使用は、部材の大型化や部数点数の増加を招く。かしめは加工工数の増加を招く。接着剤は、経年劣化による剥離等を生じ得る。また接着剤の使用は、環境負荷物質である接着溶剤の使用等を伴うことが多い。
そこで金属と樹脂を直接的に接合しつつ、両者間の気密性等を確保することが望まれる。このような金属と樹脂を接合する提案は種々なされており、例えば、下記の特許文献に関連する記載がある。
WO2009/093668号公報 WO2009/151099号公報 特開2015−100959号公報 特開2016−65267号公報 特開2012−214027号公報 特開2014−4773号公報
特許文献1と特許文献2では、エッチング処理により粗面化した金属表面に、樹脂を接合している。特許文献3では、レーザー照射により凹部を形成した金属表面に、樹脂を接合している。特許文献4では、粗化銅めっき層や小突起銅めっき層等を有する銅箔に、樹脂フィルムを接合している。
特許文献5、6では、電解研磨した金属(Cu、Al等)の表面に、Agナノ粒子を結合させて形成した凹凸面に、樹脂(PPS)を接合している。但し、その接合強度は高々10MPa程度に過ぎない。
本発明はこのような事情下で為されたものであり、高い接合強度を発揮し得る新たな金属樹脂接合体等を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、金属体の被接合面上にある微細な凸部の先端に金属粒子を選択的に結合させることに成功し、その被接合面を介して接合した金属樹脂接合体が高い接合強度を発揮することを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《金属樹脂接合体》
(1)本発明は、金属体と樹脂体を接合した金属樹脂接合体であって、前記金属体の被接合面は、表面粗さ(Ra)が0.3〜10μmである凹凸面からなり、該凹凸面を構成する少なくとも一部の凸部の先端側には、粒径が100〜1000nmである金属粒子が結合している金属樹脂接合体である。
(2)本発明の金属樹脂接合体(単に「接合体」という。)は、高い接合強度または高い密着性やシール性等を発揮し得る。このため本発明の接合体は、各種分野の様々な製品に利用され得る。本発明の接合体がそのような優れた効果を発揮し得る理由は、次のように考えられる。
先ず、本発明に係る金属体の被接合面は、電解研磨等した平滑面ではなく、所定の粗さを有する凹凸面からなる。このため、金属体と樹脂体の間には大きな接触面積が確保され、いわゆるアンカー効果により、両者間に高い接合強度が生じる。
さらに、その凹凸面の凸部には、金属粒子が結合している。この金属粒子は、凸部の先端側にほぼ選択的に結合している。つまり、凸部の根元付近や凹部の底面付近には、殆ど結合していない。このため、金属粒子は、上述した凹凸面を平滑化させることはなく、金属体と樹脂体の接触面積をさらに増加させたり界面形態をより複雑化させて、アンカー効果による接合強度を増大させる。
このように、所定の表面粗さを有する凹凸面とその凸部に結合した金属粒子とが相乗的に作用することにより、本発明の接合体は高い接合強度を発揮するようになったと考えられる。
《金属樹脂接合体の製造方法》
本発明は接合体の製造方法としても把握できる。すなわち本発明は、金属体の被接合面に樹脂を接合する接合工程を備え、前記被接合面は、表面粗さ(Ra)が0.3〜10μmである凹凸面からなり、該凹凸面を構成する少なくとも一部の凸部の先端側には、粒径が100〜1000nmである金属粒子が結合している金属樹脂接合体の製造方法でもよい。
《その他》
特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
金属体の被接合面の断面を示す模式図である。 銀ナノ粒子の結合前のニッケルめっき面を観察したSEM像である。 銀ナノ粒子の結合後のニッケルめっき面を観察したSEM像である。
本明細書で説明する内容は、本発明の接合体のみならず、その製造方法にも適宜該当し得る。上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一以上の構成要素を付加し得る。製造方法に関する構成要素は、物に関する構成要素ともなり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《金属体の被接合面》
(1)表面粗さ
樹脂体に接合される金属体の被接合面は凹凸面からなる。凹凸面は、算術平均粗さ(Ra/JIS B 0601)が0.3〜10μmさらには0.4〜4μmであると好ましい。凹凸面の表面粗さが過小または過大であると、金属粒子の結合による表面積や接合強度の増大を不十分となる。
ここでいう表面粗さは、金属粒子の結合後の凹凸面について、無作為に抽出した領域(110μm×145μm)における表面粗さ(Ra)として求められる。接合体から金属体の表面粗さを特定するときは、樹脂を溶失または焼失等させてから表面粗さ(Ra)を測定するとよい。
(2)形態
凹凸面は、凸部が略尖塔状(または略錐体状)の突起からなり、その突起が剣山状に分布したものであると好ましい(図1、図2A参照)。このような突起の頂部(樹脂体側の先端部)に結合している金属粒子は、凹凸面の凹部と協働してアンダーカットを形成する(図1、図2B参照)。つまり金属粒子は、いわゆる「逆テーパー」または「かえし」のように作用する。このような金属粒子により、凹部へ侵入した樹脂は機械的に掛止されるようになる。この結果、金属体と樹脂体の接合界面には、より強いアンカー効果が生じて両者は一層強固に接合されるようになる。この傾向は、金属粒子の少なくとも一部が、凹部を閉塞しない範囲で、凸部の先端側から横方向(被接合面方向)に膨出している程度が大きくなるほど顕著となる。
(3)金属粒子
金属粒子は、ナノサイズ〜マイクロサイズの凸部の先端部(頂部)に結合できるものであれば、一次粒子のみでもよいし、微細な一次粒子が凝集して所望サイズになった二次粒子でもよい。
凸部に結合する金属粒子の粒径は100〜1000nmさらには300〜600nmであると好ましい。過小な金属粒子では、接合界面の表面積を十分に増加させることができない。過大な金属粒子では、凸部から脱落等し易くなる。この金属粒子が一次粒子が凝集した二次粒子からなる場合、その一次粒子の粒径は1〜500nmさらには50〜300nmであると好ましい。金属粒子がそのようなナノ粒子(一次粒子または二次粒子)からなる場合、凸部の先端側に選択的に結合した所望形状の金属粒子が形成され易い。
本明細書でいう粒径は、特に断らない限り、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した領域について、任意に抽出した100個の粒子の最大長を相加平均して特定される。
金属粒子は、凸部の先端部(頂部)に結合可能な材質からなればよく、例えば、Ag、Au、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os、Rh等の純金属または合金から選択される。金属粒子の材質は、凹凸面の材質に応じて選択されると、金属粒子と凸部の結合強度、ひいては金属体と樹脂体の接合強度の向上を図れて好ましい。例えば、凹凸面がニッケル(Ni)またはその合金からなる場合、金属粒子は銀(Ag)またはその合金からなるとよい。なお、所望の接合強度が確保される限り、金属粒子と凹凸面は同材質でもよい。また、金属粒子と凸部の結合層は、それらの材質や処理により種々あり得る。例えば、結合層として、焼結層、合金層、金属間化合物層等が考えられる。
(4)凹凸面の形成
凹凸面は、金属体を構成する基材表面にそのまま形成されたものでも、基材表面に設けられた被覆層(めっき等)に形成されたものでもよい。凹凸面は、例えば、粗化めっき、(ウエット)エッチング、レーザー加工、プレス、ダイカスト成形、切削、ブラスト加工、スパッタリング、各種の蒸着(CVD、PVD)等により形成可能である。もっとも、粗化めっきを用いると凹凸面を効率的に形成できるため、凹凸面は粗化めっき層であると好ましい。
《金属体》
金属体は、金属粒子が結合される凹凸面(被接合面)が得られる限り、その材質や形態を問わない。金属体は、例えば、銅や銅合金(銅系金属)、鉄や鉄合金(鉄系金属/鋼材(炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼等)を含む。)、アルミニウムやアルミニウム合金(アルミニウム系金属)、マグネシウムやマグネシウム合金(マグネシウム系金属)、チタンやチタン合金(チタン系金属)等からなる。また、ニッケルやニッケル合金(ニッケル系金属)、スズやスズ合金(スズ系金属)、銀や銀合金(銀系金属)、金等からなってもよい。さらに、それら金属をマトリックスとして、分散材を含む複合材でもよい。
《樹脂体》
樹脂体は、金属体の被接合面に接合可能であれば、その材質や形態を問わない。本発明の場合、基本的にアンカー効果により接合強度が確保されるため、多種多様な樹脂が金属体の被接合面に接合され得る。
樹脂は、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。具体的にいうと、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリアセタール(POM)系樹脂、ジアリルフタレート(PDAP)系樹脂(フタル酸ジアリル、アリル樹脂等)、芳香族ポリアミド(APA)系樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、EPA)、ポリイミド(PI)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリアセタール(POM)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、フェノール(PF)系樹脂、不飽和ポリエステル(UP)系樹脂、ポリウレタン(PUR)、メラミン(MF)、芳香族ポリエステル(APES)系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアミドイミド(PAI)系樹脂、ポリスルホン(PSU)系樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、変性ノリル系樹脂(PPE+PS等)等のいずれをも用いることができる。
金属体の被接合面(凹凸面)に接触する領域に樹脂が存在する限り、樹脂体は、その全体が樹脂のみからなる場合でも、樹脂中に各種のフィラーが分散した複合材からなる場合でもよい。フィラーには、例えば、軟質粒子(例えばシリコーンゴム、架橋NBR、アクリル系ゴム、架橋オレフィンゴム等)、硬質粒子(カーボン、セラミクス等)、繊維(カーボン、セラミクス、ガラス等)がある。なお、樹脂は、単種に限らず、複数種の混合物でもよい。
《製造方法》
金属体の被接合面に樹脂を接合する接合工程は、例えば、軟化または溶融した樹脂を被接合面上で固化させてなされる。この接合工程は、例えば、その被接合面へ軟化または溶融した樹脂を供給する供給工程と、樹脂を固化させて樹脂体とする固化工程とによりなされる。供給工程は、例えば、金属体を成形型内へ収容またはセットし、金属体の被接合面と接触するように軟化または溶融した樹脂をその成形型内へ注入してなされる。いわゆるインサート成形により、金属体と樹脂体の接合が併せてなされると効率的である。なお、樹脂体の成形は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、トランスファー成形、圧縮成形等のいずれによりなされてもよい。
接合工程は、既に所望形状に成形されている樹脂体を、別途、金属体に熱溶着してなされてもよい。この接合工程は、例えば、樹脂体の被接合面近傍にある樹脂を直接的または間接的に加熱して軟化または溶融させる加熱工程と、その溶融または軟化した樹脂を金属体の被接合面に接触(または圧接)させた状態で冷却して固化させる冷却工程とによりなされる。
《接合体》
本発明の接合体は、高い接合強度を発揮するため、種々の分野における様々な製品に利用可能である。せん断試験により求まる接合体の接合強度は、例えば、20MPa以上、25MPa以上さらには30MPa以上となり得る。
また、本発明の接合体では、表面積の大きい被接合面(さらには金属粒子により逆テーパー状となった凹凸面)に樹脂が密着した状態となっている。このため本発明の接合体は、接合強度が高いのみならず、接合界面における気密性(シール性)も高い。このため本発明の接合体は、金属体と樹脂体の接合界面が流体のシール面となるような部材等に好適である。
そのような部材として、例えば、気体や流体の圧力センサーがある。圧力センサーは、センシング部やその電気信号を外部コネクタに伝えるターミナル部等(金属体)と、それらの保持や絶縁性等を確保するケース部やパッケージ部等(樹脂体)とを備える。この場合、接合界面近傍に流体圧が作用しても、接合界面に沿った剥離や流体のリーク等が抑止され、金属部分の防錆効果と相俟って、圧力センサーの信頼性の向上が図られる。
基材(金属体)上に(粗化)ニッケルめっきを施し、さらにそのニッケルめっき上に銀ナノ粒子(金属粒子)を結合させた。この処理面(被接合面)を介して、基材上に樹脂を一体成形した。得られた接合体の接合強度を測定すると共にその処理面を観察した。このような具体例を通じて本発明をより詳細に説明する。
《試料の製造》
(1)基材(金属体)
基材として、無酸素銅板(20mm角×3mm厚/JIS C1020)を用意した。めっきの密着性を高めるため、基材の表面を電解脱脂して洗浄した後、過硫酸系溶媒中でエッチングを行い、さらに塩酸(10体積%)中で酸活性化した。
(2)ニッケルめっき
その前処理した基材の表面に、電解ニッケルめっきを施した(凹凸形成工程)。めっき浴にはワット浴(硫酸ニッケル、塩化ニッケルおよびホウ酸の水溶液)を用いた。めっき浴の調製に、他の添加剤は用いなかった。硫酸ニッケルおよび塩化ニッケルはNiイオンの供給源とし、ホウ酸はpH緩衝剤として用いた。こうして得られためっき浴のpHは6であった。
60℃に保持しためっき浴に浸漬した基材へ、電流密度:0.5〜1A/dmを通電した。処理時間は90分間とした。この際、撹拌を行わない静止浴中でめっきした。こうして、表面粗さ(Ra)が0.35μmであるニッケルめっき面を基材表面に形成した。なお、表面粗さの算出については後述する。
(3)銀ナノ粒子の結合
ニッケルめっき面(凹凸面)に銀ナノ粒子(金属粒子)を結合させた(粒子結合工程)。この処理は、特開2014−4773号公報または特開2012−214027号公報の記載に沿って行った。その概要は次の通りである。
硝酸銀の水溶液とクエン酸三ナトリウム水溶液を用いて、Ag粒子含有分散液を調製した。上記公報にあるように、その分散液中に含まれるAg粒子の粒径は3nm程度であった。また、ポリエチレンイミン(PEI)の水溶液からなるカチオン性ポリマー液も調製した。ニッケルめっき面をAg粒子含有分散液とカチオン性ポリマー液に交互に浸漬して、ニッケルめっき面に銀ナノ粒子を担持させた。
ニッケルめっき面に上述した処理を施した基材を、水素ガス雰囲気中で250℃×1時間加熱した(焼成工程)。なお、この工程後に、特開2014−4773号公報に記載されているような有機修飾処理は行っていない。
ちなみに、特開2014−4773号公報または特開2012−214027号公報の記載は本明細書の一部をなし、本明細書で記載していない詳細な内容は、それら公報の記載に依る。
(4)樹脂接合
上述した処理後の基材(焼成工程後の基材)を配置した成形金型内へ、330℃に加熱して溶融した非強化ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS/東レ製A900)を射出した(供給工程)。その後、成形金型を冷却して樹脂を固化させた(固化工程)。このインサート成形により、処理面を介して基材に樹脂体(5mm角×4mm厚)を接合した接合体(金属樹脂接合体)を得た。なお、基材と樹脂体の接触領域(接合部)は25mm〜40mmとした。この接合体を試料1という。
(5)比較試料
銀ナノ粒子の結合処理を行わず、それ以外は試料1と同様にして、ニッケルめっきしたままの表面に樹脂を直接接合した。こうして得られた接合体を試料C1という。
表面粗さ(Ra)が0.15μmであるニッケルめっき面を有する基材も用意した。このニッケルめっき面に試料1の場合と同様にして、銀ナノ粒子の結合処理および樹脂接合を行った。こうして得られた接合体を試料C2という。
《せん断試験》
せん断試験により各試料に係る接合強度を求めた。接合強度は、各接合体毎にせん断抵抗力と破断面積を測定し、せん断抵抗力を破断面積で除して算出した。
せん断抵抗力は、万能型ボンドテスタ(ノードソンアドバンスドテスタ製4000PLUS)を用いてダイシェアテスト測定法により測定した。この際、シェアツールの高さ:50μm、ツール速度:50μm/min、準拠規格:Department of Defense, Test method standard microcircuits, MIL STD-883E, Dec. 31, 1996. METHOD 2019.5, May 29, 1987.とした。
破断面積は、せん断試験後の基材側破断面に係る光学顕微鏡写真を、画像処理して測定した(ソフトウエア:ImageJ、National Institutes of Health)。こうして得られた各試料の接合強度を表1に併せて示した。
《被接合面の測定・観察》
(1)観察
試料1に係る基材について、銀ナノ粒子の結合前のニッケルめっき面と銀ナノ粒子の結合後のニッケルめっき面とをSEMで観察した。それぞれのSEM像を図2Aと図2Bに示した。
(2)表面粗さ
各試料に係る基材について、銀ナノ粒子の結合前のニッケルめっき面と銀ナノ粒子の結合後のニッケルめっき面との表面粗さ(Ra)を測定(算出)した。その結果を表1に併せて示した。
なお、表面粗さ(算術平均粗さ:Ra/JIS B 0601)は、レーザー顕微鏡(キーエンス製 VK-X)を用いて、倍率:100倍として、縦110μm×横145μmの測定エリアにおける粗さ曲線(Z(x,y))に基づいて行った。
(3)金属粒子の粒径
図2BのSEM像に基づいて、銀ナノ粒子(主に二次粒子)の(平均)粒径を既述した方法で算出した。その結果も併せて表1に示した。なお、試料1に係る一次粒子の粒径は100nmであった。
《評価》
(1)接合強度
表1に示した試料1から明らかなように、銀ナノ粒子が結合しており、所定の表面粗さを有する被接合面に樹脂を接合した接合体は、非常に高い接合強度を発揮することがわかった。一方、試料C1と試料C2からわかるように、被接合面に銀ナノ粒子の結合処理がされていない場合または被接合面の表面粗さが所望範囲内でない場合、試料1のような大きい接合強度は得られなかった。
(2)考察
図2Aからわかるように、ニッケルめっき後の表面は、尖塔状の突起が剣山状に分布した凹凸面となっていることがわかる。また、図2Bからわかるように、銀ナノ粒子の結合処理後の表面は、その突起の先端部(頂部)にだけ、選択的に銀ナノ粒子が結合していることがわかる。また、銀ナノ粒子は、各突起の頂部から横方向(被接合面に沿った方向)に房状に膨出していることもわかる。
このような銀ナノ粒子により接合界面の面積が増加すると共に、ニッケルめっきの凹部に侵入した樹脂は、房状に膨出した銀ナノ粒子に掛止された状態(ひっかかった状態)となる。これらが相乗的に作用することにより、試料1の接合体は非常に高い接合強度を発揮するようになったと考えられる。このことは、試料1と試料C1との接合強度の比較からも明らかである。
また、試料C2は、銀ナノ粒子の結合処理を施したにも拘わらず、その接合強度は比較的小さかった。このことから、高い接合強度を得るためには、処理後の表面粗さが所定範囲内にあることも必要であるといえる。このためには、処理前のニッケルめっき面の表面粗さも重要であると考えられる。表1からわかるように、その処理後の表面粗さは、処理前の表面粗さに対して、0.1μm増加する程度である。従って、処理前の表面粗さも、本発明で規定する金属粒子の結合処理後の表面粗さと同程度にしておくことが好ましい。
こうして、本発明で規定した被接合面を介することにより、金属体と樹脂体を強固に接合できることが明らかとなった。

Claims (9)

  1. 金属体と樹脂体を接合した金属樹脂接合体であって、
    前記金属体の被接合面は、表面粗さ(Ra)が0.3〜10μmである凹凸面からなり、
    該凹凸面を構成する少なくとも一部の凸部の先端側には、粒径が100〜1000nmである金属粒子が結合している金属樹脂接合体。
  2. 前記凸部は、略尖塔状の突起からなり、
    前記凹凸面は、該突起が剣山状に分布してなり、
    前記金属粒子は、該突起の頂部に結合している請求項1に記載の金属樹脂接合体。
  3. 前記金属粒子の少なくとも一部は、前記凸部の先端側から膨出している請求項1または2に記載の金属樹脂接合体。
  4. 前記金属粒子は、一次粒子が凝集した二次粒子からなる請求項1〜3のいずれかに記載の金属樹脂接合体。
  5. 前記凹凸面は、ニッケルからなり、
    前記金属粒子は、銀からなる請求項1〜4のいずれかに記載の金属樹脂接合体。
  6. 前記凹凸面は、粗化めっき層からなる請求項1〜5のいずれかに記載の金属樹脂接合体。
  7. 前記樹脂体は、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン、メラミン、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ノリル系樹脂のいずれかからなる請求項1〜6のいずれかに記載の金属樹脂接合体。
  8. せん断試験により求まる接合強度が20MPa以上である請求項1〜7のいずれかに記載の金属樹脂接合体。
  9. 前記金属体と前記樹脂体の接合界面が流体のシール面となる請求項1〜8のいずれかに記載の金属樹脂接合体。
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