JP6543278B2 - Cfrtpと金属の複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、CFRTPと金属を一体に接合したCFRTPと金属の複合体に関する。更に詳しくは、接合性の悪いCFRTPと金属の接合を射出成形により一体化したCFRTPと金属の複合体に関する。
炭素繊維で強化した熱硬化性樹脂であるCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)は、航空機等の機体に使われている。一方、炭素繊維で強化した熱可塑性樹脂であるCFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermoplastics)は、CFRPに比べて、成形性、リサイクル性、靭性、及び補修性等の点で優れていることから注目されている。CFRTPは、その特性から航空分野及び自動車分野等への利用が期待されている。CFRTPは、単体としてではなく、航空機のように金属と機械的な接合により複合体として使用されることが多い。このCFRTPと金属を接合するために、各種の接合方法が提案されている。例えば、CFRTPの通電性を利用して、CFRTPと金属の間を加圧しながら電圧を印加して、金属と接しているCFRTPの樹脂部分を溶融して接合するものが提案されている(特許文献1)。
また、基材である金属表面にレーザー加工等により凹凸を形成し、これにナイロン等の熱可塑性シートを重ね、これに、これと同種の熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とするCFRTPを重ねて、電磁誘導加熱等により加熱して溶融させて互いに接合するものも提案されている(特許文献2)。また、本出願人は、基材である金属表面にレーザー加工等により凹凸を形成し、この基材とCFRTPを射出成形金型にインサートし、この両者の間にCFRTPのマトリックス樹脂を射出して、CFRTPと金属を一体にする複合構造体を提案した(特許文献3)。
特開2012−187903号 WO2013/146900号 特開2016−55539号公報
しかしながら、特許文献1に記載された金属と樹脂との接合方法は、CFRTPと金属との間に電圧を印加するものであるから、どの接合位置で溶融が起こっているか不確定である。このためにCFRTPと金属との間で均一に溶融が起こるわけでもないので、この電圧印加による接合は接合力を増大させることには限界がある。特許文献2に記載された接合方法は、接合のためにフィルムを使用し、電磁誘導加熱で行うことから、フィルムの使用のための工程が多く、かつ加熱が必要な接合面のみを有効に加熱できない。特許文献3に記載された接合方法は、CFRTPに用いられているマトリックス樹脂を接合樹脂材として用いたものであるが、CFRTP、接合樹脂材、金属の相互の熱膨張率が違うことからその接合強度は必ずしも高くはない。
CFRTPは、カーボン繊維の量が増加する(10〜50wt(重量)%)にしたがって高強度になり熱伝導性が良くなることが知られている。しかし、この樹脂を射出成形金型で射出するとき、又は熱成形の金型で成形するとき、カーボン繊維の含有量が多いと熱伝導性が高いので金型が冷えやすくなり、金型温度を高くする必要がある。即ち、接合のために金型を加熱しても、カーボン繊維を伝導して熱が逃げるために、金属と樹脂の界面の温度の上昇率が低いので、加熱時間が長くなる。この加熱時間が長くなることを避けるためには、金型の温度を高くする必要があり、生産性が低くなる、更には高い金型温度により熱可塑性樹脂等の品質が劣化することもある。更に、CFRTPは、炭素繊維を含んでいるので、導電性がある素材として知られており、これと接合する金属も当然ながら導電性がある。従って、金属とCFRTPの複合体は、電蝕による腐蝕も指摘されている。
更に、金属及びCFRTPの複合体を構成する各素材の線膨張係数は、厳密には素材の材質によって異なるが、概ね、炭素繊維<ガラス繊維<金属(例えば、アルミニウム合金)<熱可塑性合成樹脂(例えば、ナイロン)の関係にある。同様に、熱伝導率では、熱可塑性合成樹脂<ガラス繊維<金属<炭素繊維である。即ち、炭素繊維は、軽くて強い等の機械的な優れた特性を備えているが、線膨張係数が小さい、熱伝導率が大きいことから、これを複合体として用いるときは、使用される環境、製造工程等を考慮した製造、及び構造設計を行う必要がある。一般に製品として市販されているCFRTP等は、マトリックス樹脂と炭素繊維の間の線膨張係数の違いを考慮した対策が、例えば炭素繊維の表面処理等がなされている。しかしながら、熱伝導率を考慮した対策は施されてはいない。
以上のような技術背景で、本発明は開発されたものであり、以下の目的を達成するものである。
本発明の目的は、CFRTPと金属を接合する複合体において、各素材の熱伝導率、及び線膨張率を考慮して固着させたことにより、接合強度を低下させないCFRTPと金属の複合体を提供することにある。
本発明の他の目的は、CFRTPと金属を接合する複合体において、電蝕が生じ難い積層構造のCFRTPと金属の複合体を提供することにある。
本発明1のCFRTPと金属の複合体は、
炭素繊維で強化した熱可塑性合成樹脂をマトリックス樹脂とするCFRTPの第1部材と、
金属製の金属部品である第2部材と、
充填材としてガラス繊維を混合した熱可塑性合成樹脂であって、前記第1部材と前記第2部材との間に配置され、前記第1部材と前記第2部材を相互に固着するための固着材とからなり、
前記マトリックス樹脂、及び前記固着材の主材である前記熱可塑性合成樹脂は、前記マトリックス樹脂と同一種で、かつポリアミド(PA)系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)から選択される1種以上を主成分とするものであり、
前記炭素繊維は、前記CFRTPの10〜50wt%であり、
前記ガラス繊維は、前記固着材の10〜50wt%であり、
前記固着材は、前記第1部材及び前記第2部材を射出成形金型にインサートして、前記固着材を溶融して射出して形成されたものであることを特徴とする。
本発明2のCFRTPと金属の複合体は、
炭素繊維で強化した熱可塑性合成樹脂をマトリックス樹脂とするCFRTPの第1部材と、
後記固着材が表面に固着された金属製の金属部品である第2部材と、
充填材としてガラス繊維を混合した前記熱可塑性合成樹脂であって、前記第1部材の前記固着材と、前記第2部材との間に配置され、前記第1部材と前記第2部材の熱可塑性合成樹脂を相互に固着するための固着材とからなり、
前記マトリックス樹脂、及び前記固着材の主材である前記熱可塑性合成樹脂は、前記マトリックス樹脂と同一種で、かつポリアミド(PA)系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)から選択される1種以上を主成分とするものであり、
前記炭素繊維は、前記CFRTPの10〜50wt%であり、
前記ガラス繊維は、前記固着材の10〜50wt%であり、
前記固着材は、前記第1部材及び前記第2部材を射出成形金型にインサートして、前記固着材を溶融して射出して形成されたものであることを特徴とする。
本発明3のCFRTPと金属の複合体は、本発明1又は2において、
前記第2部材は、アルミニウム合金、鋼材、ステンレス鋼、純銅若しくは銅合金、チタン合金、及びこれらの表面に金属メッキ若しくは蒸着処理されたものの1種であり、
前記第2部材の表面は、機械加工、レーザー加工、及び化学エッチングで処理された微細凹凸が形成された1種を有したもの、又はトリアジンジチオール誘導体層、及び陽極酸化被膜から選択される1種を有したものであることを特徴とする。
本発明4のCFRTPと金属の複合体は、本発明1又は2において、
前記固着材は、前記第1部材と前記第2部材との間で区画された閉鎖空間に位置していることを特徴とする。
本発明を構成するCFRTP、金属、固着材、熱可塑性合成樹脂、炭素繊維、ガラスは、以下のものを意味する。
[CFRTP(第1部材)]
本発明でいうCFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermoplastics)は、マトリックス樹脂が熱可塑性合成樹脂で、炭素繊維で強化したものをいい、特殊なものではなく一般に市販されているものである。炭素繊維の含有量は、CFRTPの10〜50wt%であるが、熱成形、射出成形等の生産性の高い成形加工が可能なものであれば、この範囲に限定されるものではない。
[熱可塑性合成樹脂]
本発明でいう熱可塑性合成樹脂は、CFRTPのマトリックス樹脂、及び固着材の主材を構成する合成樹脂である。マトリックス樹脂、及び固着材を構成する熱可塑性合成樹脂は、同一種のものが好ましい。ただし、例えば、射出成形のインサート成形時に、固着材の溶融熱でマトリックス樹脂の表面を溶け易くし、両高分子が熱融着して固着性を向上させるために、添加剤を添加する、又は分子量の分布が異なる樹脂等を用いる。この場合、マトリックス樹脂の融点が固着材を構成する熱可塑性合成樹脂の融点より低い特性のものが好ましい。熱可塑性合成樹脂の種類は、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)から選択される1種以上である。
[固着材]
本発明でいう固着材は、充填材としてガラス繊維を混合した上述した熱可塑性合成樹脂である。この固着材は、CFRTPと金属との間に介在し、両者を固着するためのものである。この固着材の充填材としてのガラス繊維は、固着材の10〜50wt%が好ましい。
[金属部品(第2部材)]
本発明でいう金属部品(第2部材)は、アルミニウム合金、鋼材、ステンレス鋼、純銅若しくは銅合金、チタン合金、及びこれらの表面に金属メッキ若しくは蒸着処理されたものの1種である。金属部品の表面は、機械加工、レーザー加工、及び化学エッチングで処理された微細凹凸が形成された1種を有したものが接合強度が高くなる。又は、トリアジンジチオール誘導体層を形成したものでも良い。この形成方法は、特開平10−237047号公報、特開2001−1445号公報等で公知技術であり、そのトリアジンジチオール誘導体及びその形成方法については説明を省略する。更に、金属を陽極として電解質溶液中で通電して得られる酸化皮膜である陽極酸化被膜を形成したものであっても良い。陽極酸化被膜の形成方法は公知技術であり、その説明は省略する。
[製造方法]
本発明のCFRTPと金属の複合体の製造方法(工程)の概略は、次の通りである。
a.炭素繊維がCFRTPの10〜50wt%であり、熱可塑性合成樹脂をマトリックス樹脂とするCFRTPを用意する。
この熱可塑性合成樹脂は、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)から選択される1種以上を主成分とするものである。
b.機械加工等で所望形状加工されたものであり、アルミニウム合金、鋼材、ステンレス鋼、純銅若しくは銅合金、チタン合金、及びこれらの表面に金属メッキ若しくは蒸着処理等で処理されたものの1種の金属部品を用意する。
c.この金属部品の表面は、機械加工、レーザー加工、及び化学エッチングで処理された微細凹凸が形成された1種を有したもの、又はトリアジンジチオール誘導体層、及び陽極酸化被膜から選択される1種を有したものである。
d.上記CFRTP及び上記表面処理された金属部品を射出成形金型にインサートする。
e.射出成形金型に、インサートされた上記CFRTP及び上記金属部品の間に、10〜50wt%のガラス繊維を含む固着材を溶融して射出し、上記CFRTP及び上記金属部品を接合する。
この熱可塑性合成樹脂は、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)から選択される1種以上を主成分とするものである。
上記本発明の第1のCFRTPと金属の複合体の製造方法の概要は、炭素繊維で強化した熱可塑性合成樹脂をマトリックス樹脂とするCFRTPの第1部材、及び金属製の金属部品である第2部材を射出成形金型にインサートし、前記第1部材と前記第2部材との間に、充填材としてガラス繊維を混合した熱可塑性合成樹脂である固着材を溶融して射出し、前記第1部材及び前記第2部材を相互に固着するものである。
又は、本発明の第2のCFRTPと金属の複合体の製造方法の概要は、金属製の金属部品である第2部材の表面に充填材としてガラス繊維が混合され、主材として前記熱可塑性合成樹脂である固着材を固着し、炭素繊維で強化した熱可塑性合成樹脂をマトリックス樹脂とするCFRTPの第1部材、及び前記第2部材を射出成形金型にインサートし、前記第1部材と前記第2部材の固着材の間に、前記固着材を溶融して射出して、前記第1部材と前記第2部材を接合するものである。
本発明の第3のCFRTPと金属の複合体の製造方法の概要は、炭素繊維で強化した熱可塑性合成樹脂をマトリックス樹脂とするCFRTPの第1部材を用意し、前記第1部材と前記第2部材との間で区画された閉鎖空間が形成される金属製の金属部品である第2部材を前記第1部材に固定し、前記閉鎖空間に充填材としてガラス繊維を混合した熱可塑性合成樹脂である固着材を射出し、前記固着材により前記第1部材及び前記第2部材を相互に固着するものである。
本発明のCFRTPと金属の複合体は、各素材の熱伝導率、及び線膨張率を考慮して固着させたことにより、固着強度が低下することがない。また、金属とCFRTPの間に導電性がないガラス繊維を含んだ熱可塑性合成樹脂により固着したので、結果として電蝕が生じ難い積層構造ができた。
図1は、本発明のCFRTPと金属の複合体の構造例を示す立体外観図である。 図2は、図1の平面図である。 図3は、図2のA−A線で切断したときの断面図であり、図3(a)〜(d)はその一部断面図である。 図4は、キャップ状の金属部品を板材の表面に固着した構造例の立体断面図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のCFRTPと金属の複合体の構造例を示す立体外観図である。図2は、図1の平面図である。図1に示した構造例は、実際の製品ではなく、長方形状の板状体のCFRTP製の本体1に、金属製のナット、板材等を固定した複合体の4つの構造例を示す外観図である。板状のCFRTP製の本体1は、例えば、電子機器の筐体、自動車の車体、内装パネル等である。この本体1の成形は、射出成形、熱プレス等の公知の成形方法で作られたものである。図3(a)は、図1の左端部に示す複合体10aの断面拡大図である。複合体10aは、本体1に管状の筒部2が本体1の上表面から垂直方向に配置され、一体で成形されたものである。
筒部2内は、上部が開口された有底の穴3が形成されている。筒部2の穴3には、金属製で有底の管部品である雌ねじ4が挿入されている。雌ねじ4の底の中心には貫通孔5が形成されている。穴3と雌ねじ4の間は、ガラス繊維が入った熱可塑性合成樹脂である固着材6で充填されている。固着材6は、射出成形用樹脂として最適なフィラーとしてガラス繊維が入った熱可塑性合成樹脂である。例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)の場合は30wt%、LCP(液晶ポリマー)の場合は40wt%程度を混入させる。CFRTP製の本体1は、熱プレス等の公知の成形方法で成形されたものである。金属部品である雌ねじ4の外周の表面は、錨効果で樹脂との固着性を高めるために凹凸が形成されている。この微細凹凸面は、機械加工、レーザー加工、及び化学エッチングしたもの、又はトリアジンジチオール誘導体層、陽極酸化被膜層等を有するものが良い。更に、陽極酸化被膜層をレーザー加工、化学エッチング等で処理したものであっても良い。好ましくは本出願人が提案したNMT(Nano Molding Technology)処理等の公知の方法が良い(例えば、WO 2004/041532 A1参照)。
[製造方法]
上記の複合体10aは、以下の方法で組立て製造される。CFRTP製の本体1は、熱プレス成形等の公知の成形方法で管状の筒部2を一体で成形する。一方、雌ねじ4の外周面と外側底面に化学エッチング、レーザー加工等により、ガラス繊維が入った熱可塑性合成樹脂が充填される程度の大きさの凹凸(例えば、20〜70nm程度)を形成しておく。射出成形金型内(図示せず)に本体1及び雌ねじ4をインサートする。本体1と雌ねじ4の間には、隙間が形成されている。そして、射出成形金型を閉じて、雌ねじ4の底の中心には貫通孔5のゲート7から、ガラス繊維が入った熱可塑性合成樹脂を射出し、固着材6で筒部2と雌ねじ4のその隙間を充填する。
固着材6である熱可塑性合成樹脂は、CFRTPのマトリックス樹脂と同一種類の樹脂であるので、固着材6の溶融熱でCFRTPの表面層のマトリックス樹脂が溶けて、両者は一体となり固着される。また、固着材6の熱可塑性合成樹脂は、雌ねじ4の凹凸に侵入し強固に固着される。即ち、固着材6は、本体1の穴3に雌ねじ4を固着する接着剤の役割を果たすことになる。熱伝導率は、種類によって若干異なるが、一般に、「熱可塑性合成樹脂<ガラス繊維<金属<炭素繊維」の関係にあり、炭素繊維から伝導熱が逃げ易く、ガラス繊維は逃げにくい。このために、固着材6の溶融熱が炭素繊維から伝導されるがガラス繊維を含むことからその熱伝導は遅延する。
この結果、この遅延により、固着材6が有している溶融熱により、固着材6は液体、又は半固体状のまま、雌ネジ4の凹凸に侵入できる。また、固着材6が有している溶融熱により、CFRTPの本体1の表面層のマトリックス樹脂を溶かし両者を一体に固着する。また、厳密には素材の材質によって異なるが、線膨張係数は、一般に「炭素繊維<ガラス繊維<金属<熱可塑性合成樹脂」の関係にある。即ち、CFRTPの本体1の炭素繊維、固着材6のガラス繊維、及び金属である雌ねじ4と積層されるので、異なる線膨張係数であっても近接する素材の線膨張係数が近くなるので、環境の温度変化があっても膨張の違いにより内部応力を緩和することができる。なお、炭素繊維又はガラス繊維と熱可塑性合成樹脂の固着は、炭素繊維、ガラス繊維に化学的処理等により、公知の表面処理がなされており、問題になることはない。
[第2の実施の形態]
図3(b)に示す複合体10bは、図3(a)に示す複合体10aと同様に、金属製の雄・雌ねじ11をCFRTPの本体1に、固着材6で固着した例である。両者の構造上の違いは、図3(b)に示す複合体10bは、管状の筒部2を有していない点と、内周面に雌ネジ、外周面に雄ネジが形成されている雄・雌ねじ11である点で異なる。ボルトとナットを同時にねじ込む必要がある構造の場合、有効な複合体10bの構造例である。ゲート(図示せず)の位置は、第1の実施の形態と同じ位置に配置してある。
[第3の実施の形態]
図3(c)に示す複合体10cは、金属製の部材の断面形状がL字状の板材12である点で、上記の実施の形態1及び2と異なる。CFRTPの本体1には、矩形の穴13が形成されている。穴13には、L字状の板材12の一方の辺14が挿入され、固着材6で固着されている。板材12は、例えば、部品の係止、位置決め部材等に使われるものである。ゲート15の位置は、L字状の板材12の背面に配置されている(図2参照)。
[第4の実施の形態]
図3(d)に示す複合体10dは、金属製の部材の断面形状がJ字状の板材20が板材1を貫通して固定されている点で実施の形態3と異なる。CFRTPの本体1には、矩形の貫通孔21が形成されている。貫通孔21には、J字状の板材20が挿入され、固着材6で固着されている。本例の固着材6は、板材20の外周、及び本体の表裏面を覆うように固着されている。板材20は、例えば、部品の係止、位置決め部材等に使われるものである。ゲート22の位置は、J字状の板材20の背面に配置されている(図2参照)。
[第5の実施の形態]
前述した実施の形態1〜4のものは、板材1に凹部又は貫通孔を形成して金属部材を固着するものであった。また、固着材6を射出し所望の形に形成するために射出成形金型が必要である。図4は、キャップ状の金属部品25を板材1の表面に固着した例の立体断面図である。板材1の所望位置の表面に、金属部品の一つであるキャップ25を固着材6で固着するものである。キャップ25は、板材1の表面に面した面以外は、区画された閉鎖空間24を形成する。キャップ25の中心には、円孔の樹脂注入口26が形成されている。
板材1の所望位置の表面にキャップ25を配置固定し、この状態で移動式の小型の射出成形ユニット(図示せず)のノズル27を注入口26に接触させる。溶融した固着材6をキャップ25の閉鎖空間24に射出し、キャップ25を板材1の表面に固着する。この固着構造は、射出成形金型が必要でない、板材1の表面の形状加工が必要でない、ロボットハンドに搭載した小型射出成形ユニット等で所望の位置に自由に固着できる等の利点がある。結果として、キャップ25を板材1に固着するときの生産性が高くなる。なお、キャップ25は、ナット、フランジ、突起、間仕切り等、閉鎖空間24を備えたものであれば、如何なる金属部品であっても良い。
以下、実施例として、炭素繊維を含有したCFRTPと金属を固着した複合体において、炭素繊維の増加により、CFRTPと金属の間のせん断強度のデータを比較参考例として試験データ示す。
1.使用樹脂
試験に用いた成形材料として用いたCFRTPは、下記の4種類のものであり、何れも東レ株式会社(本社:日本国東京都)製を用いた。せん断試験方法は、ISO19095の試験方法で行った。
(1)PA66 CM3001−G30
(2)PA66 3101T−10V
(3)PA66 3101T−30V
(4)上記(2)と(3)の1対1のブレンド
2.使用金属
アルミニウム合金(A5052)であり、その表面は、本出願人が提案したNMT(Nano Molding Technology)処理等の公知の方法である(例えば、WO 2004/041532 A1参照)化成処理により、20〜70nmの凹部を形成した。
3.成形条件
成形温度:280℃、射出成形金型の温度:80℃
4.引張り試験条件
引張り速度:10mm/min
5.試験結果は以下の通りである。
Figure 0006543278
上記の試験結果から理解されるように、熱可塑性合成樹脂に一定以上の炭素繊維が混入されると、せん断強度が低下することが確認された。また、炭素繊維が20%以上になるとせん断強度が低下していることも確認された。即ち、射出成形時に、炭素繊維の熱伝導率が高く、熱伝導により射出された熱可塑性合成樹脂の溶融熱が、金属の凹凸部へ充分に侵入していない状態で固化されていることが確認される。
[他の実施の形態]
前述した金属部品の微細凹凸面は、機械加工、レーザー加工、及び化学エッチングしたもの、又はトリアジンジチオール誘導体層、陽極酸化被膜層等を有するものであった。即ち、この金属部品とCFRTPを射出成形金型にインサートし、固着材を射出して両者を接合するものである。しかしながら、金属部品の形状、製造方法(工程)によっては、CFRTPと接合を要しない部分、又は構造的に必要ない複合体については、別な製造方法を採用する必要がある。このようなときは、金属部品を射出成形金型にインサートして、前述した固着材を射出して所望の形に成形し、例えばこれを機械加工で所望の形状にする。そして、機械加工され固着材が積層された金属部品、及びCFRTPを射出成形金型にインサートし、両者の間に固着材を射出して両者を接合する方法である。固着材が積層された金属部品の熱可塑性合成樹脂と、CFRTPのマトリックス樹脂の熱可塑性合成樹脂は、主材が同種の熱可塑性合成樹脂であるから両者の接合は強い。
以上詳記したように、本発明のCFRTPと金属の複合体は、機械的な連結構造のように重くならず、軽量でかつCFRTPと金属の強固な固着が要求される分野、例えば、自動車部品、モバイル電子機器、家庭電化製品等の筐体の産業分野で使用できる。
1…本体
2…筒部
4…雌ネジ
6…固着材
7,15,22…ゲート
11…雄・雌ねじ
12,20…板材

Claims (4)

  1. 炭素繊維で強化した熱可塑性合成樹脂をマトリックス樹脂とするCFRTPの第1部材と、
    金属製の金属部品である第2部材と、
    充填材としてガラス繊維を混合した熱可塑性合成樹脂であって、前記第1部材と前記第2部材との間に配置され、前記第1部材と前記第2部材を相互に固着するための固着材とからなり、
    前記マトリックス樹脂、及び前記固着材の主材である前記熱可塑性合成樹脂は、前記マトリックス樹脂と同一種で、かつポリアミド(PA)系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)から選択される1種以上を主成分とするものであり、
    前記炭素繊維は、前記CFRTPの10〜50wt%であり、
    前記ガラス繊維は、前記固着材の10〜50wt%であり、
    前記固着材は、前記第1部材及び前記第2部材を射出成形金型にインサートして、前記固着材を溶融して射出して形成されたものである
    ことを特徴とするCFRTPと金属の複合体。
  2. 炭素繊維で強化した熱可塑性合成樹脂をマトリックス樹脂とするCFRTPの第1部材と、
    後記固着材が表面に固着された金属製の金属部品である第2部材と、
    充填材としてガラス繊維を混合した前記熱可塑性合成樹脂であって、前記第1部材の前記固着材と、前記第2部材との間に配置され、前記第1部材と前記第2部材の熱可塑性合成樹脂を相互に固着するための固着材とからなり、
    前記マトリックス樹脂、及び前記固着材の主材である前記熱可塑性合成樹脂は、前記マトリックス樹脂と同一種で、かつポリアミド(PA)系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)から選択される1種以上を主成分とするものであり、
    前記炭素繊維は、前記CFRTPの10〜50wt%であり、
    前記ガラス繊維は、前記固着材の10〜50wt%であり、
    前記固着材は、前記第1部材及び前記第2部材を射出成形金型にインサートして、前記固着材を溶融して射出して形成されたものである
    ことを特徴とするCFRTPと金属の複合体。
  3. 請求項1又は2に記載のCFRTPと金属の複合体において、
    前記第2部材は、アルミニウム合金、鋼材、ステンレス鋼、純銅若しくは銅合金、チタン合金、及びこれらの表面に金属メッキ若しくは蒸着処理されたものの1種であり、
    前記第2部材の表面は、機械加工、レーザー加工、及び化学エッチングで処理された微細凹凸が形成された1種を有したもの、又はトリアジンジチオール誘導体層、及び陽極酸化被膜から選択される1種を有したものである
    ことを特徴とするCFRTPと金属の複合体。
  4. 請求項1又は2に記載のCFRTPと金属の複合体において、
    前記固着材は、前記第1部材と前記第2部材との間で区画された閉鎖空間に位置している
    ことを特徴とするCFRTPと金属の複合体。
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