JP2019179689A - キャブタイヤケーブル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
建設現場において用いる場合、キャブタイヤケーブルは、目的の場所に様々に移動させて使用され、そのとき、例えば粗いコンクリート床面等を引き回されることがある。このため、高い耐摩耗性が要求されることがある。また、引き回し、配線融通性等の観点から、優れた屈曲性(屈曲に要する力が小さい性質)が求められる。
特許文献1には、導体上にゴム系絶縁層とシース層を有するゴムキャブタイヤケーブルであって、シース層の少なくとも一層にアラミッド短繊維を混入させたゴムキャブタイヤケーブルが提案されている。このゴムキャブタイヤケーブルの絶縁層及びシース層には、化学架橋した架橋ゴムが用いられている。
(1)
導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁層と、前記絶縁層の外周を被覆するシースとを有するキャブタイヤケーブルの製造方法であって、
前記絶縁層を下記工程(a)〜(d)により形成し、前記シースを下記工程(k)〜(n)によって形成する、キャブタイヤケーブルの製造方法。
工程(a):エチレンゴム及びスチレン系エラストマーの少なくとも一方を含有するベース樹脂(A)100質量部に対して、有機過酸化物(C)0.01〜0.6質量部と、無機フィラー(P)1〜400質量部と、前記ベース樹脂(A)とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤(E)1〜15.0質量部とを溶融混合して、前記グラフト化反応部位と前記ベース樹脂(A)とをグラフト化反応させることにより、前記ベース樹脂(A)由来のシラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチIを調製する工程
工程(b):前記シランマスターバッチI及びシラノール縮合触媒(X)を溶融混合して絶縁層用シラン架橋性組成物を得る工程
工程(c):前記絶縁層用シラン架橋性組成物を前記導体の外周に被覆して内側被覆層を形成する工程
工程(d):前記内側被覆層を水と接触させて前記絶縁層を形成する工程
工程(k):含ハロゲン樹脂を含有するベース樹脂(B)100質量部に対して、有機過酸化物(D)0.003〜0.3質量部と、無機フィラー(Q)1〜200質量部と、前記ベース樹脂(B)とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤(F)2質量部を越え15.0質量部以下とを溶融混合して、前記グラフト化反応部位と前記ベース樹脂(B)とをグラフト化反応させることにより、前記ベース樹脂(B)由来のシラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチIIを調製する工程
工程(l):前記シランマスターバッチIIとシラノール縮合触媒(Y)とを溶融混合してシース用シラン架橋性組成物を得る工程
工程(m):前記シース用シラン架橋性組成物を前記絶縁層の外周に被覆して外側被覆層を形成する工程
工程(n):前記外側被覆層を水分と接触させて前記シースを形成する工程
(2)
前記ベース樹脂(B)が、塩素化ポリエチレンとポリ塩化ビニルと可塑剤とを含有する(1)に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
(3)
前記ベース樹脂(B)の一部を前記工程(k)において溶融混合し、前記ベース樹脂(B)の残部を前記工程(l)において混合する、(1)又は(2)に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
(4)
前記ベース樹脂(B)の残部にクロロプレンゴムを含有する、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
(5)
前記無機フィラー(Q)がシリカを2質量部以上含有する(1)〜(4)のいずれか1項に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
(6)
前記無機フィラー(Q)の含有量が3〜60質量部である(1)〜(5)のいずれか1項に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
(7)
前記工程(k)の溶融混合が、密閉型のミキサーで行われる(1)〜(6)のいずれか1項に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
(8)
前記ベース樹脂(A)の一部を前記工程(a)において溶融混合し、前記ベース樹脂(A)の残部を前記工程(b)において混合する、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
(9)
(1)〜(8)のいずれか1項に記載の製造方法により製造されてなるキャブタイヤケーブル。
(10)
導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁層と、前記絶縁層の外周を被覆するシースとを有するキャブタイヤケーブルであって、
前記絶縁層が、下記絶縁層用シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなり、
前記シースが、下記シース用シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる
キャブタイヤケーブル。
〔絶縁層用シラン架橋性組成物〕
スチレン系エラストマーと、エチレンゴム及び非芳香族有機油の少なくとも一方とを含有するベース樹脂(A)100質量部に対し、無機フィラー(P)1〜400質量部と、前記ベース樹脂(A)とグラフト化反応したシランカップリング剤(E)1〜15.0質量部とを含有し、さらにシラノール縮合触媒(X)を含有する絶縁層用シラン架橋性組成物
〔シース用シラン架橋性組成物〕
含ハロゲン樹脂を含有するベース樹脂(B)100質量部に対し、無機フィラー(Q)1〜200質量部と、前記ベース樹脂(B)とグラフト化反応したシランカップリング剤(F)2質量部を越え15.0質量部以下とを含有し、さらにシラノール縮合触媒(Y)を含有するシース用シラン架橋性組成物
本発明のキャブタイヤケーブルは、導体と、導体の外周を被覆する絶縁層と、絶縁層の外周を被覆するシースを有しており、絶縁層が後述する絶縁層用シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなり、また、シースが後述するシース用シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる。絶縁層及びシースは、それぞれ、後述する成分を用いて、後述する特定の製造方法により形成して得られる。
絶縁層は導体の外周を被覆して配置される。本発明においては、この構成を有する構造体を絶縁電線という。
シースは絶縁層の外周を被覆して配置される。すなわち、シースは、上記絶縁電線の外周を被覆して配置される。この構成を有する構造体をキャブタイヤケーブルという。
キャブタイヤケーブルの構成は、上記以外は特に限定されず、通常のキャブタイヤケーブルの構成とすることができる。
絶縁層は導体の外周を被覆する。絶縁層が導体の外周を被覆する態様は、複数本の導体の集合体を用いる場合には、一体となった集合体の外周を被覆していればよく、集合体を形成する各導体個々の外周を覆っている必要はない。また、絶縁層は、導体との間に、一部空間を有するように配されていてもよい。
上記絶縁層は、1層でも複数層でもよく、複数層の場合には少なくとも絶縁層の最外層は、絶縁層用シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物層である。残りの絶縁層は、通常、キャブタイヤケーブルに使用するものを使用することができる。絶縁層の厚さは、用途等に応じて適宜に決定することができる。
絶縁電線は、1本でもよく、複数本でもよい。複数本使用する場合には、複数本の絶縁電線は撚り合されていてもよく、並べられていてもよい。(1本の絶縁電線、又は複数本の絶縁電線の集合体を、ケーブルコアと呼ぶことがある。)
シースは絶縁層の外周を被覆する。シースが絶縁層の外周を被覆する態様は、複数本の絶縁電線の集合体を用いる場合には、一体となった集合体の外周を被覆していればよく、集合体を形成する各絶縁電線個々の絶縁層を覆っている必要はない。また、シースは、絶縁電線との間に、一部空間を有するように配されていてもよい。
シースの厚さは、用途等に応じて適宜に決定することができる。
絶縁層とシースの間には、タルク等を含有する離型剤層を有していてもよい。
図1に端面図を示した本発明のキャブタイヤケーブルの一実施態様は、1本の導体1Aと、導体1Aの外周を直接被覆する絶縁層2Aとからなる1本の絶縁電線と、絶縁層2Aを直接被覆するシース3Aを有するキャブタイヤケーブル10である。
図2に端面図を示した本発明のキャブタイヤケーブルの別の実施態様は、1本の導体1Bと導体1の外周を直接被覆する絶縁層2Bとからなる3本の絶縁電線が使用されている以外は図1に示すキャブタイヤケーブルと同様である。
好ましい形態は上記図1及び図2に示したものに限らず、上述のとおり、2本の絶縁電線を有していてもよいし、4本以上の絶縁電線を有していてもよい。絶縁電線の配置は、縒り合されていても、並置状態でもよい。
<ベース樹脂(A)>
本発明に用いられるベース樹脂(A)は、エチレンゴム及びスチレン系エラストマーの少なくとも一方を含有する。エチレンゴム及びスチレン系エラストマーは、後述する有機過酸化物から発生したラジカルの存在下において、シランカップリング剤のグラフト化反応部位とグラフト化反応可能な部位(例えば、炭素鎖の不飽和結合部位、水素原子を有する炭素原子)を主鎖中又はその末端に有している。ベース樹脂(A)がエチレンゴム及びスチレン系エラストマーの少なくとも一方を含有することにより、屈曲性に優れた絶縁層とできる。
ベース樹脂(A)は、上記ゴム又はエラストマー以外の成分を含有していてもよく、含有していてもよい成分としては、例えば、非芳香族有機油、他の樹脂が挙げられる。
このベース樹脂(A)は、各成分の合計が100質量%となるように、各成分の含有率が下記範囲内から選択される。
エチレンゴムは、エチレン性不飽和結合を有する化合物を共重合して得られる共重合体からなるゴム(エラストマーを含む)であれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。エチレンゴムとしては、好ましくは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンとα−オレフィンとジエンとの三元共重合体からなるゴムが挙げられる。三元共重合体のジエン構成成分は、共役ジエン構成成分であっても非共役ジエン構成成分であってもよく、非共役ジエン構成成分が好ましい。
なかでも、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴムが好ましく、エチレン−プロピレンゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンゴムがより好ましい。
スチレン系エラストマーとしては、分子内に芳香族ビニル化合物を構成成分とする重合体からなるものをいう。
スチレン系エラストマーとしては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック共重合体及びランダム共重合体、又は、それらの水素添加物等からなるものが好ましい。
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素化SBS、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、水素化SIS、水素化スチレン・ブタジエンゴム(HSBR)、水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム(HNBR)等からなるものを挙げることができる。
非芳香族有機油は、樹脂組成物に通常用いられるものを特に制限されることなく用いることができ、パラフィン系オイル及びナフテン系オイルが挙げられ、パラフィン系オイルが好ましい。非芳香族有機油は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ベース樹脂(A)は上記以外の樹脂成分(他の樹脂成分)を含んでいてもよい。他の樹脂成分は、特に制限されず、グラフト化反応可能な部位を有していてもいなくてもよい。このような樹脂成分として、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
従来、電線及びケーブルに使用されている公知のポリオレフィン樹脂を使用することができる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体等の重合体からなる樹脂、これら重合体のゴム又はエラストマー等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エチレンゴムのベース樹脂(A)中の含有率は、上記合計含有率を満たす範囲内で適宜に設定される。エチレンゴムのベース樹脂(A)中の含有率は、0〜85質量%が好ましく、0〜50質量%がより好ましく、0〜35質量%がさらに好ましい。
スチレン系エラストマーのベース樹脂(A)中の含有率は、上記合計含有率を満たす範囲内で適宜に設定される。スチレン系エラストマーのベース樹脂(A)中の含有率は、0〜55質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜35質量%がさらに好ましい。
非芳香族有機油のベース樹脂(A)中の含有率は、特に制限されないが、0質量%〜エチレンゴム及びスチレン系エラストマーの合計量と同量以下、好ましくは3質量%からエチレンゴム及びスチレン系エラストマーの合計量の80%以下が好ましい
ポリオレフィン樹脂のベース樹脂(A)中の含有率は、特に限定されないが、95〜10質量%が好ましく、80〜25質量%がより好ましく、70〜35質量%がさらに好ましい。
有機過酸化物(C)は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒として、シランカップリング剤(E)のベース樹脂(A)へのラジカル反応によるグラフト化反応(シランカップリング剤(E)のグラフト化反応部位とベース樹脂(A)のグラフト化反応可能な部位との共有結合形成反応であって、(ラジカル)付加反応ともいう。)を生起させる働きをする。
有機過酸化物(C)としては、上記機能を有し、ラジカル重合又は従来のシラン架橋法に用いられるものを特に制限されずに用いることができる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド(DCP)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン又は2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
有機過酸化物(C)の分解温度は、80〜195℃が好ましく、125〜180℃が特に好ましい。本発明において、有機過酸化物(C)の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物(C)を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
有機過酸化物(C)は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
本発明において、無機フィラー(P)は、その表面に、シランカップリング剤(E)のシラノール基等の反応部位と水素結合等が形成できる部位もしくは共有結合による化学結合しうる部位を有するものであれば特に制限なく用いることができる。この無機フィラー(P)における、シランカップリング剤(E)の反応部位と化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、含水もしくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
無機フィラー(P)としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカ、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸基あるいは結晶水を有する化合物のような金属水和物や、窒化ほう素、シリカ(結晶質シリカ、非晶質シリカ等)、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボン、硼酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛を使用することができる。
無機フィラー(P)は、これらのなかでも、シリカ、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムの少なくとも1種が好ましい。
無機フィラー(P)は、1種類を単独で配合してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤(E)としては、有機過酸化物(C)の分解により生じたラジカルの存在下で、ベース樹脂(A)のグラフト化反応可能な部位にグラフト化反応しうる部位(基又は原子)と、シラノール縮合可能な加水分解性シリル基とを有するものであれば、特に限定されない。このようなシランカップリング剤(E)としては、従来のシラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤(E)としては、不飽和基を有するシランカップリング剤が挙げられ、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン、(メタ)アクリロキシシラン等が挙げられる。中でも、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤(E)は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シランカップリング剤(E)は、そのままの形態で用いてもよいし、溶剤で希釈した形態で用いてもよい。
シラノール縮合触媒(X)は、ベース樹脂(A)にグラフトされたシランカップリング剤(E)の加水分解性シリル基を水分の存在下で縮合反応(促進)させる働きがある。このシラノール縮合触媒(X)の働きに基づき、シランカップリング剤(E)を介して、ベース樹脂(A)同士が架橋される。
このようなシラノール縮合触媒(X)としては、特に制限されず、例えば、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。有機スズ化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物が挙げられる。
シラノール縮合触媒(X)は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
本発明に用いられるシラノール縮合触媒(X)は、所望により樹脂に混合される。このような樹脂(キャリア樹脂(A)ともいう)としては、特に限定されないが、ベース樹脂(A)以外の樹脂又はベース樹脂(A)の一部を用いることができる。
キャリア樹脂(A)としては、ポリオレフィン樹脂が好ましく、シラノール縮合触媒(X)と親和性がよく耐熱性を付与できる点で、ポリエチレンが特に好ましい。
絶縁層は、電線、電気ケーブル、電気コード等において、一般的に使用されている各種の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。このような添加剤として、例えば、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、又は、充填剤(難燃(助)剤を含む。)等が挙げられる。
<ベース樹脂(B)>
本発明に用いられるベース樹脂(B)は、ハロゲン原子を含有する樹脂又はゴムである含ハロゲン樹脂を含有する。含ハロゲン樹脂は、上述したグラフト化反応可能な部位を主鎖中又はその末端に有している。
含ハロゲン樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
他にも、ポリ塩化ビニルの共重合体、ポリ塩化ビニリデン又はその共重合体、塩素化ポリエチレンの共重合体、クロロスルホン化ゴム等の塩素含有樹脂若しくはゴム、フッ素樹脂等のフッ素含有樹脂若しくはゴム等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、特に限定されるものではないが、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴム(FEPM)、テトラフルオロエチレン−フッ化(例えばヘキサフルオロ)プロピレン共重合体ゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体ゴム(FFKM)、フッ化ビニリデンゴム(FKM、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体ゴム)、又は、これらと塩素系ゴム例えばクロロプレンとの共重合体ゴム等が挙げられる。
他の樹脂は、特に限定されないが、熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、上記ベース樹脂(A)で説明したものを使用することができる。
オイル成分は、特に限定されないが、有機油又は鉱物油が挙げられる。有機油又は鉱物油として、大豆油、パラフィンオイル、ナフテンオイルが挙げられる。
可塑剤は、特に限定されず、含ハロゲン樹脂又は含ハロゲンゴムに通常用いられる各種のものが挙げられる。例えば、トリメリット酸トリアルキル(C8、C10)、ピロメリット酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル可塑剤、ポリエステル系可塑剤等が挙げられる。
例えば、含ハロゲン樹脂の、ベース樹脂(B)中の含有率は、30〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましい。
オイルの含有率は、特に限定されないが、ベース樹脂(B)100質量%中、0〜75質量%であることが好ましく、0〜60質量%であることがより好ましい。
可塑剤の含有率は、特に限定されないが、ベース樹脂(B)100質量%中、0〜75質量%であることが好ましく、0〜60質量%であることがより好ましい。
有機過酸化物(D)としては、上述の〔絶縁層用成分〕で説明した有機過酸化物(C)を使用することができる。好ましい範囲等についても同様である。
無機フィラー(Q)としては、上述の〔絶縁層用成分〕で説明した無機フィラー(P)を使用することができる。好ましい範囲等についても同様である。
無機フィラー(Q)としては、ハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、シリカ、及び炭酸カルシウムの少なくとも1種が好ましい。
シランカップリング剤(F)としては、上述の〔絶縁層用成分〕で説明したシランカップリング剤(E)を使用することができる。好ましい範囲等についても同様である。
シラノール縮合触媒(Y)としては、上述の〔絶縁層用成分〕で説明したシラノール縮合触媒(X)を使用することができる。好ましい範囲等についても同様である。
キャリア樹脂(B)は、上述の〔絶縁層用成分〕で説明したキャリア樹脂(A)に対応する。
キャリア樹脂(B)としては、ベース樹脂(B)の一部を用いることができる。キャリア樹脂(B)は、クロロプレンゴムが好ましい。
シースは、上述の〔絶縁層用成分〕で説明した添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。添加剤の好ましい範囲等については、上述のものと同様である。
本発明のキャブタイヤケーブルの製造方法について説明する。
本発明の、キャブタイヤケーブルの製造方法は、下記工程(a)〜工程(d)と、下記工程(k)〜(n)を行う。
工程(b):シランマスターバッチI及びシラノール縮合触媒(X)を混合して絶縁層用シラン架橋性組成物を得る工程
工程(c):絶縁層用シラン架橋性組成物を導体の外周に成形して内側被覆層を形成する工程
工程(d):内側被覆層を水と接触させて絶縁層を形成する工程
工程(k):含ハロゲン樹脂を含有するベース樹脂(B)100質量部に対して、有機過酸化物(D)0.003〜0.3質量部と、無機フィラー(Q)1〜200質量部と、ベース樹脂(B)とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤(F)2質量部を越え15.0質量部以下とを溶融混合して、グラフト化反応部位とベース樹脂(B)とをグラフト化反応させることにより、ベース樹脂(B)由来のシラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチIIを調製する工程
工程(l):シランマスターバッチIIとシラノール縮合触媒(Y)とを混合してシース用シラン架橋性組成物を得る工程
工程(m):シース用シラン架橋性組成物を絶縁層の外周に成形して外側被覆層を形成する工程
工程(n):外側被覆層を水分と接触させてシースを形成する工程
本発明においては、各成分を一度に溶融混錬することもできるが、上記各成分を、下記工程(a−1)及び(a−2)により、(溶融)混合することが好ましい。
工程(a−1):少なくとも無機フィラー(P)及びシランカップリング剤(E)を混合して混合物を調製する工程
工程(a−2):工程(a−1)で得られた混合物と、ベース樹脂(A)の全部又は一部とを、有機過酸化物(C)の存在下で有機過酸化物(C)の分解温度以上の温度において、溶融混合する工程
工程(a−1)の混合においては、上記分解温度未満の温度が保持されている限り、ベース樹脂(A)が存在していてもよい。この場合、ベース樹脂(A)とともに無機フィラー(P)及びシランカップリング剤(E)を上記温度で混合(工程(a−1))した後に溶融混合することが好ましい。
工程(a−1)を有機過酸化物(C)の存在下で行わない場合には、有機過酸化物(C)は工程(a−2)において混合される。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混合装置は、例えば無機フィラー(P)の配合量に応じて適宜に選択される。混練装置として、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。樹脂成分の分散性、及び架橋反応の安定性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等の密閉型ミキサーが好ましい。
ベース樹脂(A)の混合方法は、特に限定されない。例えば、ベース樹脂(A)を予め調製して用いてもよく、各成分、例えばエチレンゴム等の樹脂成分、非芳香族有機油等を、それぞれ別々に混合してもよい。
工程(a)において、上記添加剤、特に酸化防止剤や金属不活性剤は、いずれの工程で又は成分に混合されてもよいが、無機フィラー(P)に混合されたシランカップリング剤(E)の樹脂へのグラフト反応を阻害しない点で、キャリア樹脂に混合されるのがよい。
工程(a)、特に工程(a−2)において、架橋助剤は実質的に混合されないことが好ましい。架橋助剤が実質的に混合されないと、溶融混合中に有機過酸化物(C)により樹脂成分同士の架橋反応が生じにくく、外観が優れたものになる。また、シランカップリング剤(E)のベース樹脂(A)へのグラフト反応が生じやすく、耐熱性が優れたものになる。ここで、実質的に混合されないとは、不可避的に存在する架橋助剤をも排除するものではなく、上述の問題が生じない程度に存在していてもよいことを意味する。
上記工程(a)、特に上程(a−1)において、シランカップリング剤は、その加水分解性シリル基で、無機フィラーの化学結合しうる部位と結合又は吸着する。さらに、このシランカップリング剤は、調製工程(a)、特に工程(a−2)において、そのグラフト化反応部位で、エチレンゴム、スチレン系エラストマー又はポリオレフィン系樹脂のグラフト化反応可能な部位とグラフト化反応する。工程(a)において、シランカップリング剤がベース樹脂にグラフト化反応する態様としては、少なくとも次のものが挙げられる。すなわち、無機フィラーと弱い結合で結合又は吸着したシランカップリング剤が無機フィラーから脱離してベース樹脂にグラフト化反応する態様である。また、無機フィラーと強い結合で結合又は吸着したシランカップリング剤が無機フィラーとの結合を保持した状態でベース樹脂にグラフト化反応する態様である。シランカップリング剤について、無機フィラーとの弱い結合としては、水素結合による相互作用、イオン、部分電荷若しくは双極子間での相互作用、吸着による作用等が挙げられる。また、無機フィラーとの強い結合としては、無機フィラー表面の化学結合しうる部位との化学結合等が挙げられる。
工程(b)においては、上記工程(a−2)で樹脂の一部を溶融混合した場合、ベース樹脂(A)の残部とシラノール縮合触媒(X)とを溶融混合し、触媒マスターバッチI(触媒MBIともいう)を調製して、この触媒MBIを用いる。なお、ベース樹脂(A)の残部に加えて他の樹脂を用いることもできる。
キャリア樹脂(A)とシラノール縮合触媒(X)との混合は、均一に混合できる方法であればよく、ベース樹脂(A)の溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記工程(a−2)の溶融混合と同様に行うことができる。例えば、混合温度は、80〜250℃、より好ましくは100〜240℃で行うことができる。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
このようにして調製される触媒MBは、シラノール縮合触媒(X)及びキャリア樹脂(A)、所望により添加されるフィラーの混合物である。
他の樹脂の配合量は、工程(a−2)においてグラフト反応を促進させることができるうえ、成形中にブツが生じにくい点で、ベース樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは2〜40質量部である。
溶融混合方法は、ベース樹脂の溶融下で行う方法であればよく、例えば、工程(a−2)の溶融混合と基本的に同様である。溶融温度は、樹脂又はキャリア樹脂の溶融温度に応じて適宜に選択され、例えば、好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜240℃である。その他の条件、例えば混合(混練)時間は適宜設定することができる。
工程(b)においては、シラノール縮合反応を避けるため、シランMBIとシラノール縮合触媒(X)が混合された状態で高温状態に長時間保持されないことが好ましい。
絶縁層用シラン架橋性組成物の一態様は、スチレン系エラストマーと、エチレンゴム及び非芳香族有機油の少なくとも一方とを含有するベース樹脂(A)100質量部に対し、無機フィラー(P)1〜400質量部と、ベース樹脂(A)とグラフト化反応したシランカップリング剤(E)1〜15.0質量部とを含有し、さらにシラノール縮合触媒(X)を含有している。
工程(c)は、本発明のキャブタイヤケーブルの好ましい形態に応じて、行うことができる。例えば、導体を1本用いる場合には、導体の外周に絶縁層用シラン架橋性組成物を被覆して、内側被覆層を形成する。導体を複数本用いる場合には、この複数本の導体の集合体(撚り合せたもの、並べたもの)の外周に絶縁層用シラン架橋性組成物を被覆して、内側被覆層を形成する。
工程(c)は、絶縁層用シラン架橋性組成物を導体の外周に被覆できればよく、適宜に成形方法及び成形条件が選択される。成形方法は、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた射出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。本発明においては、押出成形が好ましい。
絶縁層用シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物は、エチレンゴム又はスチレン系エラストマーを含むベース樹脂に対して特定量のシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフト樹脂と特定量の無機フィラーとを含むシラン架橋性組成物について、シラングラフト樹脂に結合したシランカップリング剤の加水分解性基をシラノール縮合により架橋させたものである。このシラングラフト樹脂は、シラノール結合(シロキサン結合)を介して縮合した架橋樹脂を含んでおり、無機フィラーはシラングラフト樹脂のシランカップリング剤に結合していてもよい。
よって、この硬化物層は、シラングラフト樹脂の架橋硬化物と無機フィラーとを含有している。シラングラフト樹脂の架橋硬化物は、ベース樹脂構成成分(エチレンゴム構成成分、スチレン系エラストマー構成成分、ポリオレフィン構成成分)、無機フィラー構成成分、シランカップリング剤構成成分を有している。架橋硬化物中の各成分の含有量は、反応条件、反応率等に応じて変動するが、好ましくは上記配合量の範囲内である。より詳細には、この架橋硬化物は、シラングラフト樹脂がシランカップリング剤により無機フィラーに結合又は吸着して、無機フィラー及びシランカップリング剤を介して結合(架橋)した架橋樹脂と、シラングラフト樹脂にグラフトしたシランカップリング剤の反応部位が加水分解して互いにシラノール縮合反応することにより、シラングラフト樹脂同士がシランカップリング剤を介して架橋したシラン架橋樹脂とを少なくとも含む。また、架橋樹脂及びシラン架橋樹脂は、それぞれ、無機フィラー及びシランカップリング剤を介した結合(架橋)と、シランカップリング剤を介した架橋とが混在していてもよい。
工程(a)〜(d)を行った後に、連続して工程(k)〜(n)を行うのが好ましい。ここで「連続して」とは、工程の順が連続していればよく、各工程が時間等の点で連続している必要はなく、異なる場所で行われてもよいことを意味する。例えば、工程(a)〜(d)で絶縁層を形成した絶縁電線を倉庫で保管しておき、後日、シースを被覆してキャブタイヤケーブルとしてもよい。各連続して行う工程間の関係についても同じである。
この工程(k)〜(n)により、工程(a)〜(d)において得られた絶縁層(ケーブルコア)の外周にシースが被覆され、本発明のキャブタイヤケーブルを得ることができる。
工程(k)〜(n)は、使用する材料、その配合量等が異なる以外は、工程(a)〜(d)と同様にそれぞれ行うことができる、好ましい態様についても同様である。
以下に、工程(k)〜(n)について、工程(a)〜(d)と異なる点を中心に説明する。
工程(a)と同様、工程(k)においても、無機フィラー(Q)は、シランカップリング剤(F)と混合して用いることが好ましい。すなわち、本発明においては、上記各成分を、下記工程(k−1)及び(k−2)により、(溶融)混合することが好ましい。
工程(k−1):少なくとも無機フィラー(Q)及びシランカップリング剤(F)を混合して混合物を調製する工程
工程(k−2):工程(k−1)で得られた混合物と、ベース樹脂(B)の全部又は一部とを、有機過酸化物(D)の存在下で有機過酸化物(D)の分解温度以上の温度において、溶融混合する工程
上記工程(k−1)及び(k−2)は、上記工程(a−1)及び(a−2)と同様に行うことができる。
ここで、工程(l)でベース樹脂(B)の残部が配合される場合、ベース樹脂(B)は、工程(k−2)において、好ましくは80〜99質量%、より好ましくは85〜95質量%が配合され、工程(l)において、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%が配合される。
上記工程(k−1)においては、無機フィラー(Q)及びシランカップリング剤(F)に加えて、有機過酸化物(D)を混合することが好ましい。
工程(l)においては、工程(b)と同様、シラノール触媒(Y)は、触媒MBIIとし、シランMBIIと混合するのが好ましい。
工程(l)により、シランMBIIとシラノール縮合触媒(Y)(又は縮合触媒MBII)との溶融混合物であるシース用シラン架橋性組成物が得られる。このシース用シラン架橋性組成物(シラン架橋性樹脂)は、シランカップリング剤由来の加水分解性シリル基がシラノール縮合していない未架橋体である。
シース用シラン架橋性組成物の一態様は、含ハロゲン樹脂を含有するベース樹脂(B)100質量部に対し、無機フィラー(Q)1〜200質量部と、ベース樹脂(B)とグラフト化反応したシランカップリング剤(F)2質量部を越え15.0質量部以下とを含有し、さらにシラノール縮合触媒(Y)を含有するシース用シラン架橋性組成物を含有している。
工程(m)は、具体的には、シース用シラン架橋性組成物を、絶縁電線の絶縁層の外周に、成形して、好ましくは押出成形して、外側被覆層を形成する。
工程(m)は、ケーブルコアの外周にシース用シラン架橋性組成物を被覆する工程であり、本発明のキャブタイヤケーブルの好ましい形態に応じて、ケーブルコアを選択して用いる。例えば、絶縁電線を単数用いる場合(図1参照。)には、絶縁電線の外周にシース用シラン架橋性組成物を被覆して、外側被覆層を形成する。絶縁電線を複数本用いる場合(図2参照。)には、この複数本の絶縁電線の集合体の外周にシース用シラン架橋性組成物を被覆して、外側被覆層を形成する。
シース用シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物は、含ハロゲン樹脂を含むベース樹脂に対して特定量のシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフト樹脂と特定量の無機フィラーとを含むシラン架橋性組成物について、シラングラフト樹脂に結合したシランカップリング剤の加水分解性基をシラノール縮合により架橋させたものである。このシラングラフト樹脂は、シラノール結合(シロキサン結合)を介して縮合した架橋樹脂を含んでおり、無機フィラーはシラングラフト樹脂のシランカップリング剤に結合していてもよい。
また、本発明の好ましい態様のキャブタイヤケーブルは、上記屈曲性に加えて、耐摩耗性、耐引き裂き性(凸部でこすれても引き裂かれにくい性質)、及び強靱性の少なくともいずれかに優れる。例えば、本発明の好ましい態様のキャブタイヤケーブルは、屈曲性と耐摩耗性を両立することができる。本発明の好ましい態様においては、シース材料が強靱性に優れているのみならず、上述の絶縁材料とシース材料との組み合わせにより、上記屈曲性が発揮されて、ケーブル全体の耐摩耗性と屈曲性とが両立できる、と考えられる。このように、本発明の好ましい態様のキャブタイヤケーブルは、耐久性が高い。
さらに、本発明の好ましい態様のキャブタイヤケーブルは、絶縁層とシースとの間に離形剤を含有する離形剤層を設けなくても、端末加工、例えば口剥き加工、することが可能である。
通常のキャブタイヤケーブルにおいては、絶縁層とシースとの界面にタルク、金属石けん、シリコーン等を含有する離形剤を塗布することで、絶縁層とシースとの密着を抑え、シースの剥ぎ取り性を改善している。これに対し、本発明の好ましい態様のキャブタイヤケーブルでは、絶縁層とシースとの間に離形剤を塗布しなくてもシースの高い剥ぎ取り性を確保できる。
加えて、通常のゴムキャブタイヤケーブルにおいては、この離形剤を絶縁層とシースとの間に配しても、シースの皮剥ぎ性が一定に保てなかったり、非常に剥きにくかったりすることがあった。一方、本発明の好ましい態様のキャブタイヤケーブルは、絶縁層とシースとの間に離形剤を配することで、さらに、均一性に優れた皮剥ぎ性を長期に渡って維持することが可能となる。
また本構成及び製法を採ることで、シースの形成によっても、絶縁層がつぶれにくいため、キャブタイヤケーブルとしたときにも絶縁層は導体の外周に断面円形状態を維持することができ、絶縁層の皮剥ぎ性にも非常に優れている。また、シース押出時に絶縁体に過度の圧力が加わらないため、密着力を低く制御することができるため、均一性に優れた皮剥ぎ性を長期に渡って維持することが可能となる。
またさらに工程上、絶縁層被覆後に高温にさらされない(化学架橋が不要である)ことから、導体として裸の導体を使用することができ、コスト面でも有利である。
表1において、各例の配合量に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。
<ベース樹脂(A)>
非芳香族有機油として
「ダイアナプロセスPW90」(商品名、出光興産社製、パラフィンオイル)
エチレンゴムとして、
「三井3092M」(商品名、三井化学社製、エチレン−プロピレン−ジエンゴム)
「三井1045」(商品名、三井化学社製、エチレン−プロピレン−ジエンゴム)
スチレン系エラストマーとして
「セプトン4077」(商品名、クラレ社製、スチレン系エラストマー(SEEPS))
ポリオレフィン樹脂として
「エボリューSP0540」(商品名、プライムポリマー社製、直鎖状メタロセンポリエチレン(LLDPE))
「PB222A」(商品名、サンアロマー社製、ランダムポリプロピレン)
「UE320」(日本ポリエチレン社製、ノバテックPE(商品名)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE))
<有機過酸化物(C)>
「パーヘキサ25B」(商品名、日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、分解温度149℃)
<無機フィラー(P)>
水酸化マグネシウム(商品名:キスマ5、協和化学工業株社製、平均粒径0.8μm)
シリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル社製)
<シランカップリング剤(E)>
「KBM−1003」(商品名、信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)
<シラノール縮合触媒(X)>
「アデカスタブOT−1」(商品名、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウリレート)
<酸化防止剤(ヒンダードフェノール酸化防止剤)>
「イルガノックス1076」(商品名、BASF社製、フェノール酸化防止剤、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
<ベース樹脂(B)>
含ハロゲン樹脂として
「エラスレン401A」(商品名、昭和電工社製、塩素化ポリエチレン)
「エラスレン402NA−X5」(商品名、昭和電工社製、塩素化ポリエチレン)
「スカイプレンE−33」(商品名、東ソー社製、クロロプレンゴム)
「ZEST 1400」(商品名、新第一塩ビ社製、ポリ塩化ビニル(PVC))
可塑剤として
「アデカサイザーC−9N」(商品名、ADEKA製、トリメリット酸系可塑剤)
<有機過酸化物(D)>
「パーヘキサ25B」(商品名、日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、分解温度149℃)
<無機フィラー(Q)>
「DHT4A」(商品名、協和化学工業社製、ハイドロタルサイト)
「キスマ5L」(商品名、協和化学工業社製、シランカップリング剤前処理水酸化マグネシウム)
「クリスタライト5X」(商品名、龍森社製、結晶性シリカ)
「ソフトン2200」(商品名、備北粉化工業社製、炭酸カルシウム)
「アエロジル200」(商品名、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、非結晶性シリカ)
<シランカップリング剤(F)>
「KBM−1003」(商品名、信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)
<酸化防止剤>
「イルガノックス1010」(商品名、BASF社製、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])
<シラノール縮合触媒(Y)>
「アデカスタブOT−1」(商品名、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウリレート)
表1に示す配合量で、有機過酸化物とシランカップリング剤とを混合し、得られた混合物を無機フィラーに加え、ヘンシェルミキサーで30℃で10分間攪拌を行って、無機フィラー混合物を調製した。次に、この無機フィラー混合物を、ベース樹脂と共にバンバリーミキサーに加え、190℃で混練を10分間行い、200℃で排出して、シランマスターバッチ(絶縁コンパウンドA)を得た(工程(a))。排出後、フィーダールーダーを介し、ホットカットでペレットを得た。
表1に示す配合量で、ベース樹脂、シラノール縮合触媒、及び酸化防止剤をバンバリーミキサーに加え、180℃で混練を10分間行い、190℃で排出して、触媒MB(絶縁コンパウンドB)を得た(工程(b))。排出後、フィーダールーダーを介し、ホットカットでペレットを得た。
表1に示す配合量で、ベース樹脂、有機過酸化物、及び無機フィラーをニーダーに加え、最大温度100℃で8分間混練し、100℃で排出して、絶縁コンパウンドCを得た。排出後、ロールに通し、ステアリン酸を塗りつつリボンを得た。
表1に示す配合量で、有機過酸化物とシランカップリング剤とを混合し、得られた混合物を無機フィラー成分に加えヘンシェルミキサーで30℃で10分間攪拌を行って、無機フィラー混合物を調製した。次に、この無機フィラー混合物を、ベース樹脂及び可塑剤と共に、表1に示す質量比でバンバリーミキサーに加え、180℃で混練を10分間行い、195℃で排出して、シランマスターバッチ(外層コンパウンドA)を得た(工程(k))。排出後、フィーダールーダーを介し、ホットカットでペレットを得た。
表1に示す配合量で、ベース樹脂、可塑剤、シラノール縮合触媒、及び酸化防止剤を、表1に示す質量比でバンバリーミキサーに加え、180℃で混練を10分間行い、190℃で排出して、触媒MB(外層コンパウンドB)を得た(工程(l))。排出後、フィーダールーダーを介し、ホットカットでペレットを得た。
表1に示す配合量で、有機過酸化物、ベース樹脂、無機フィラー、及びシランカップリング剤をニーダーに加え、最大温度100℃で8分間混練し、100℃で排出して、外層コンパウンドCを得た。排出後、ロールに通し、ステアリン酸を塗りつつリボンを得た。
以下のようにして、導体として撚り線を使用した以外は図2に示す構成のキャブタイヤケーブルを製造した。
絶縁コンパウンドA及びBを表1に示す配合比で混合し、シリンダー温度165℃、ヘッド温度190℃に設定した65mmφの押出機に導入し、37/0.26導体(外径1.8mm)の導体の外側に外径3.5mmで被覆した(工程(c))。得られた被覆導体を常温(25℃)で4日間放置した(工程(d))。このようにして絶縁層を形成し、絶縁電線を得た。この絶縁電線を3本撚りあわせてケーブルコアを作成した。
次に、外層コンパウンドA及びBを表に示す配合比で混合し、シリンダー温度130℃、ヘッド温度150℃に設定した90mmφの押出機に導入し、ケーブルコアの外周に被覆(標準肉厚0.8mm)し(工程(m))、常温で4日間放置した(工程(n))。このようにしてシースを形成し、外径11.2mmの、キャブタイヤケーブルを得た。なお一部のサンプルにはケーブルコア外周上にタルクを塗布した後に、シースを形成して、キャブタイヤケーブルを得た(タルクを塗布したものについては、表1のタルク塗布欄に「あり」と表記して示す。)
絶縁コンパウンドA及びBを表1に示す配合比で混合し、シリンダー温度165℃、ヘッド温度190℃に設定した65mmφの押出機に導入し、37/0.26導体(外径1.8mm)の導体の外側に外径3.5mmで材料を被覆した。得られた被覆導体は常温で4日間放置した。このようにして絶縁層を形成し、絶縁電線を得た。この絶縁電線を3本撚りあわせてケーブルコアを作成した。
次に外層コンパウンドCをシリンダー温度80℃に設定した90mmφの化学架橋用押出機に導入し、ケーブルコアの外周に外径11.2mmで被覆し、その後250℃に設定された水蒸気架橋装置に連続的に通すことで、シースを形成し、キャブタイヤケーブルを得た。なお一部のサンプルにはケーブルコア外周上にタルクを塗布した後に、キャブタイヤケーブルを作成した。
絶縁コンパウンドCをシリンダー温度120℃に設定した90mmφの化学架橋用押出機に導入し、37/0.26導体(外径1.8mm)の導体の外側に外径3.5mmで被覆した。その後、250℃に設定された水蒸気架橋装置に連続的に通すことで絶縁層を形成し、架橋ゴム絶縁電線を得た。この絶縁電線を3本撚りあわせてケーブルコアを作成した。
ケーブルコア外周上にタルクを塗布した。
次に、外層コンパウンドA及びBを表に示す配合比で混合し、シリンダー温度130℃、ヘッド温度150℃に設定した90mmφの押出機に導入し、タルクを塗布したケーブルコアの外周に外径11.2mmで被覆し、常温で4日間放置した。このようにしてシースを形成し、キャブタイヤケーブルを得た。
絶縁コンパウンドCをシリンダー温度120℃に設定した90mmφの化学架橋用押出機に導入し、37/0.26導体(外径1.8mm)の導体の外側に外径3.5mmで被覆した。その後、250℃に設定された水蒸気架橋装置に連続的に通すことで架橋ゴム絶縁電線を得た。この絶縁電線を3本撚りあわせてケーブルコアを作成した。
ケーブルコア外周上にタルクを塗布した。
次に外層コンパウンドCをシリンダー温度80℃に設定した90mmφの化学架橋用押出機に導入し、タルクを塗布したケーブルコアの外周に外径11.2mmで被覆し、その後250℃に設定された水蒸気架橋装置に連続的に通すことで、シースを形成し、キャブタイヤケーブルを得た。
屈曲性の試験として、曲げ試験を行った。
得られたキャブタイヤケーブルを、内径40mmの径に曲げた際(U字状曲部のキャブタイヤケーブル内面の直径は40mm)に、曲げるのに必要な力をテンシロン試験機で測定した。
表1には曲げるのに必要な力の測定値を記載した。本試験においては、曲げるのに必要な力が12N以下である場合を「合格」、12Nを超える場合を不合格とした
耐摩耗性の試験として、ベルト摩耗試験を行った。
得られたキャブタイヤケーブルについて、JASO D 618に示すベルト摩耗試験を行った。荷重を1.5kgかけた状態でベルト摩耗試験を行い、導体が露出するまでの回数を測定した。
導体が露出するまでの回数が20回以上を合格、20回未満を不合格とした。本試験は参考試験である。
端末加工性の一つの態様として、シースの剥ぎ取り性を本試験により確認した。
得られたキャブタイヤケーブルについて、穴径8.0mmのワイヤーストリッパーを用いて端部から50mm皮剥ぎを行った。
ワイヤーストリッパーで皮剥ぎできたもの(シース部分を完全に剥ぎ取ってケーブルコアを露出させることができたもの)を合格、シース部分が剥ぎ取れなかった又はワイヤーストリッパーでケーブル全周方向への切断時に一部が切れずに残ったものを不合格とした。本試験は参考試験である。
絶縁層の皮剥ぎ性を、本試験により確認した。
得られたキャブタイヤケーブルを80℃で168時間放置し、その後、シースを取り除いてケーブルコアを露出させた。ケーブルコアの3本の絶縁電線の撚りを解き、その内、1本の絶縁電線の絶縁層を穴径2.0mmのワイヤーストリッパーを用いて剥ぎ取り、絶縁層の切断面を観察して、ヒゲの長さを測定した。ヒゲとは、絶縁層を厚さ方向に切断できずに絶縁層の切断端面に残存する(切断端面から延在する)、絶縁層に由来する線状体(毛状体)をいう。
切断面のひげの長さが4mm以下のものを合格、ひげの長さが4mmを超えるものや剥けなかったものを不合格とした。本試験は参考試験である。
シースの耐引き裂き性を、本試験により確認した。
得られたキャブタイヤケーブルのシースを長さ150mmの管状片として抜き取り、管状片の円周方向に対して90度方向に管状片の一方の端部から、管状片を厚み方向に切断する、長さ50mmの切り込みを入れ、切り込みの左右を担持して、互いに逆方向(垂直方向)へテンシロン引張試験機で引っ張ることで、引裂試験を行った。引張速度は500mm/分で行った。この際に測定された最大の力を引裂強度とした。
引裂強度が30N以上を合格、30N未満を不合格とした。本試験は参考試験である。
シース層(外層)を、含ハロゲン樹脂を用いて化学架橋法により形成した比較例1、2、4のキャブタイヤケーブルは、絶縁層がエチレンゴム及び/又はスチレン系エラストマーを含むベース樹脂を用いてシラン架橋法により形成されたものであっても、屈曲性及びベルト摩耗性、及びシースの皮剥ぎ性に劣る結果となった。
絶縁層を、エチレンゴムを用いて化学架橋法により形成した比較例3のキャブタイヤケーブルは、シース層が含ハロゲン樹脂を用いてシラン架橋法で形成されたものであっても、屈曲性及び加熱後の絶縁層の皮むき性に劣る結果となった。
絶縁層を、エチレンゴムを用いて化学架橋法により、シース層を含ハロゲン樹脂を用いてシラン架橋法により形成した比較例5のキャブタイヤケーブルは、屈曲性、ベルト摩耗性、シースの皮剥ぎ性、加熱後の絶縁層の皮むき性、及びシースの引き裂き性に劣る結果となった。比較例5ではシース層にシランカップリング剤を用いているため、無機フィラーと樹脂との間に結合を有するが、屈曲性や皮むき性には劣る結果であった。
エチレンゴム及び/又はスチレン系エラストマーを含むベース樹脂を用いてシラン架橋法により絶縁層を、含ハロゲン樹脂を用いてシラン架橋法によりシース層をそれぞれ形成した実施例1〜7のキャブタイヤケーブルは、いずれも、比較例に対して、0.3〜0.7倍程度の力で曲げることができ屈曲性に優れていた。また、実施例1〜7のキャブタイヤケーブルは、いずれも、耐摩耗性、シースの剥ぎ取り性、絶縁層の皮剥ぎ性、及びシースの引き裂き性のいずれにも優れていた。実施例1〜7のキャブタイヤケーブルは、シース及び絶縁層の皮むきが容易でありながら、引き裂きに強かった。
また、実施例1〜7のキャブタイヤケーブルは、タルク塗布の有無にかかわらず、シースの皮剥ぎ性に優れていた。比較例1、4、5は、タルク塗布によっても、化学架橋によりシースが過度に密着して、シースの皮剥ぎ性に劣ると考えられる。
1A、1B 導体
2A、2B 絶縁層
3A、3B シース
Claims (10)
- 導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁層と、前記絶縁層の外周を被覆するシースとを有するキャブタイヤケーブルの製造方法であって、
前記絶縁層を下記工程(a)〜(d)により形成し、前記シースを下記工程(k)〜(n)により形成する、キャブタイヤケーブルの製造方法。
工程(a):エチレンゴム及びスチレン系エラストマーの少なくとも一方を含有するベース樹脂(A)100質量部に対して、有機過酸化物(C)0.01〜0.6質量部と、無機フィラー(P)1〜400質量部と、前記ベース樹脂(A)とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤(E)1〜15.0質量部とを溶融混合して、前記グラフト化反応部位と前記ベース樹脂(A)とをグラフト化反応させることにより、前記ベース樹脂(A)由来のシラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチIを調製する工程
工程(b):前記シランマスターバッチI及びシラノール縮合触媒(X)を溶融混合して絶縁層用シラン架橋性組成物を得る工程
工程(c):前記絶縁層用シラン架橋性組成物を前記導体の外周に被覆して内側被覆層を形成する工程
工程(d):前記内側被覆層を水と接触させて前記絶縁層を形成する工程
工程(k):含ハロゲン樹脂を含有するベース樹脂(B)100質量部に対して、有機過酸化物(D)0.003〜0.3質量部と、無機フィラー(Q)1〜200質量部と、前記ベース樹脂(B)とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤(F)2質量部を越え15.0質量部以下とを溶融混合して、前記グラフト化反応部位と前記ベース樹脂(B)とをグラフト化反応させることにより、前記ベース樹脂(B)由来のシラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチIIを調製する工程
工程(l):前記シランマスターバッチIIとシラノール縮合触媒(Y)とを溶融混合してシース用シラン架橋性組成物を得る工程
工程(m):前記シース用シラン架橋性組成物を前記絶縁層の外周に被覆して外側被覆層を形成する工程
工程(n):前記外側被覆層を水分と接触させて前記シースを形成する工程 - 前記ベース樹脂(B)が、塩素化ポリエチレンとポリ塩化ビニルと可塑剤とを含有する請求項1に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
- 前記ベース樹脂(B)の一部を前記工程(k)において溶融混合し、前記ベース樹脂(B)の残部を前記工程(l)において混合する、請求項1又は2に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
- 前記ベース樹脂(B)の残部にクロロプレンゴムを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
- 前記無機フィラー(Q)がシリカを2質量部以上含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
- 前記無機フィラー(Q)の含有量が3〜60質量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
- 前記工程(k)の溶融混合が、密閉型のミキサーで行われる請求項1〜6のいずれか1項に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
- 前記ベース樹脂(A)の一部を前記工程(a)において溶融混合し、前記ベース樹脂(A)の残部を前記工程(b)において混合する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のキャブタイヤケーブルの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により製造されてなるキャブタイヤケーブル。
- 導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁層と、前記絶縁層の外周を被覆するシースとを有するキャブタイヤケーブルであって、
前記絶縁層が、下記絶縁層用シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなり、
前記シースが、下記シース用シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる
キャブタイヤケーブル。
〔絶縁層用シラン架橋性組成物〕
スチレン系エラストマーと、エチレンゴム及び非芳香族有機油の少なくとも一方とを含有するベース樹脂(A)100質量部に対し、無機フィラー(P)1〜400質量部と、前記ベース樹脂(A)とグラフト化反応したシランカップリング剤(E)1〜15.0質量部とを含有し、さらにシラノール縮合触媒(X)を含有する絶縁層用シラン架橋性組成物
〔シース用シラン架橋性組成物〕
含ハロゲン樹脂を含有するベース樹脂(B)100質量部に対し、無機フィラー(Q)1〜200質量部と、前記ベース樹脂(B)とグラフト化反応したシランカップリング剤(F)2質量部を越え15.0質量部以下とを含有し、さらにシラノール縮合触媒(Y)を含有するシース用シラン架橋性組成物
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