JP2019172742A - 樹脂組成物及び樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】コーヒー豆を製造する際に発生する産業廃棄物を生分解性樹脂に配合した樹脂組成物であって、生分解性樹脂組成物として十分な生分解速度と、成形品にした際の機械的強度や耐熱性などの特性を有する樹脂組成物とその樹脂成形品を提供する。【解決手段】脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とコーヒーチャフとを含有する樹脂組成物。コーヒーチャフはコーヒー抽出後のコーヒーかすに比べて、含水率が低く、軽くて割れやすいため、事前乾燥や予め粉砕するなどの手間を必要とせず、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と共にそのまま混練機に入れて混練することができる。コーヒーチャフは、タルクなどの無機フィラーに比べて、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に配合した際に、土中生分解速度の向上に有効であり、生分解性も改善できる。【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステル系樹脂を含む樹脂組成物及びその製造方法と、該樹脂組成物からなる樹脂成形品に関する。
コーヒー豆からコーヒーを抽出する際に様々な廃棄物が排出されることは従来から知られている。一般的に、コーヒーの木から採取されたコーヒー豆は生豆と言われ、この生豆に対して、焙煎という加熱処理が施される。焙煎は焙煎機という専用の機械で行われ、その際の生豆の温度が約200〜300℃の温度になるように数十分の時間をかけて加熱処理がなされる。焙煎中は生豆に含まれる成分が化学変化を起こし、生豆の薄皮(銀側、シルバースキン)が剥がれ落ち、それらのくずはコーヒーチャフと呼ばれ、廃棄物として扱われている。焙煎されたコーヒー豆は粉砕加工を行い、粉砕されたものからコーヒーを抽出する。コーヒーを抽出した後のコーヒーかすは含水率が高く、コーヒーチャフと同様に廃棄されている。
近年、地球環境保護の観点から、コーヒー豆から発生する産業廃棄物を有効利用することが検討されており、抽出後のコーヒーかすについては、焼却して廃熱を利用したり、堆肥の原料としたりして、様々な用途が模索されている。
特許文献1には、抽出後のコーヒーかすを乾燥させて含水率3%未満に下げた後に、篩にかけたコーヒーかすを生分解性樹脂や合成樹脂に配合して樹脂成形品を製造することが記載されている。
特開2010−173169号公報
特許文献1には、焙煎後のコーヒー豆を粉砕して、コーヒーを抽出した後のコーヒーかすを樹脂に配合することは記載されているが、生豆を焙煎する際に発生するコーヒーチャフについては開示されていない。また、特許文献1に記載のコーヒーかすは、乾燥前では約5〜20%の水分を含んでおり、樹脂に配合、混練する際に水蒸気でスクリュウが空転し混練不能となる場合がある。加えて、水蒸気で成形品が脆くなり、外観も悪くなってしまうことから、必ず乾燥工程を設け、含水率を低下させて用いる必要があった。
また、特許文献1には、具体的に生分解性樹脂とコーヒーかすを配合した組成物や成形品は記載されていないため、生分解性樹脂が持つ生分解性や樹脂成形品としての機械強度等が実用に耐え得るものかどうかも不明である。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、コーヒー豆を製造する際に発生する産業廃棄物を生分解性樹脂に配合した樹脂組成物であって、生分解性樹脂組成物として十分な生分解速度と、成形品にした際の機械的強度や耐熱性などにおいて実用的な特性を有する樹脂組成物及びその製造方法と、該樹脂組成物の樹脂成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、コーヒー焙煎時に発生するコーヒーチャフに着目し、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に、コーヒーチャフを配合することで、前記課題を解決することができることを見出した。
コーヒーチャフはコーヒー抽出後のコーヒーかすに比べて含水率が低く、事前乾燥を必要としない。また、コーヒーかすに比べて軽くて割れやすいため、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と共にそのまま混練機に入れて混練する際にコーヒーチャフが粉砕され小粒径となるので、工業的に有利な樹脂組成物の製造できることが期待される。更に、コーヒーチャフは、タルクなどの無機フィラーに比べて、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に配合した際の土中生分解速度の向上に有効であり、生分解性も改善できる。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、下記の[1]〜[8]を要旨とする。
[1] 脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とコーヒーチャフとを含有する樹脂組成物。
[2] 前記コーヒーチャフが予め粉砕されたコーヒーチャフであって、目開き300μmの篩を通過するコーヒーチャフである、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]に記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
[4] 射出成形品である、[3]に記載の樹脂成形品。
[5] [3]又は[4]に記載の樹脂成形品からなるシート。
[6] [3]又は[4]に記載の樹脂成形品からなる容器。
[7] 食品包装容器である、[6]に記載の容器。
[8] 脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とコーヒーチャフとを混練機内で混練し、該コーヒーチャフが該脂肪族ポリエステル系樹脂(A)中に分散された樹脂組成物を得る、樹脂組成物の製造方法。
本発明の樹脂組成物は、コーヒー豆を製造する際に発生する産業廃棄物を有効利用できるとともに、得られる成形品の機械的強度や耐熱性などに優れ、且つ土中生分解を促進できる樹脂組成物である。また、本発明の樹脂組成物の添加剤として配合するコーヒーチャフは、前処理も不要であるため、工業的に有利に樹脂組成物及び樹脂成形品を得ることが期待できる。本発明の樹脂組成物は成形性にも優れるため、コーヒー包材やコーヒーカプセルなどの食品用途向けの容器に好適に使用できることが期待される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。尚、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
なお、本明細書において、“質量%”、及び“質量部”と、“重量%”及び“重量部”とは、それぞれ同義である。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とコーヒーチャフを含有するものである。
<メカニズム>
本発明でフィラーとして用いるコーヒーチャフはコーヒー抽出後のコーヒーかすに比べて含水率が低く、事前乾燥を必要としない。また、コーヒーかすに比べて軽くて割れやすいため、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と共にそのまま混練機に入れて混練する際にコーヒーチャフが粉砕され小粒径となるので、工業的規模で製造する際にも製造プロセスが簡略化でき経済的にも有利な製造方法となることも期待できる。更に、コーヒーチャフは、得られる樹脂成形品の耐熱性や弾性率等の向上効果を奏する一方で、タルクなどの無機フィラーに比べて、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に配合した際に、土中生分解速度の向上に有効であり、生分解性も改善できる。
<脂肪族ポリエステル系樹脂(A)>
本発明で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)(以下「ポリエステル系樹脂(A)」と称す場合がある。)は、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂である。
本発明において、脂肪族ジオールとは脂肪族炭化水素基に水酸基が2つ結合したものをいい、該脂肪族炭化水素基としては、通常直鎖脂肪族炭化水素基が用いられるが、分岐構造を有していても構わないし、環状構造を有していても構わず、それらを複数有していても構わない。また、脂肪族ジカルボン酸とは、脂肪族炭化水素基にカルボキシル基が2つ結合したものをいい、該脂肪族炭化水素基としては、通常直鎖脂肪族炭化水素基が用いられるが、分岐構造を有していても構わないし、環状構造を有していても構わず、それらを複数有していても構わない。
また、本発明の樹脂組成物に含まれる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、繰返し単位を有する重合体であるが、それぞれの繰返し単位は、それぞれの繰返し単位の由来となる化合物に対する化合物単位とも呼ぶ。例えば、脂肪族ジオールに由来する繰返し単位を「脂肪族ジオール単位」、脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位を「脂肪族ジカルボン酸単位」とも呼ぶ。
なお、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)中の「主構成単位」とは、通常、その構成単位が脂肪族ポリエステル系樹脂中に80質量%以上含まれる構成単位のことであり、主構成単位以外の構成単位が全く含まれない場合もある。
本発明で用いるポリエステル系樹脂(A)は、全ジカルボン酸単位中のコハク酸単位の割合が5モル%以上100モル%以下であることが好ましい。ポリエステル系樹脂(A)は、コハク酸単位の量が異なる脂肪族ポリエステル系樹脂の混合物であってもよく、例えば、コハク酸以外の脂肪族ジカルボン酸単位を含まない(脂肪族ジカルボン酸単位としてコハク酸単位のみを含む)脂肪族ポリエステル系樹脂と、コハク酸以外の脂肪族ジカルボン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂とをブレンドして、ポリエステル系樹脂(A)におけるコハク酸単位量を上記好適範囲内に調整して使用することも可能である。
より具体的には、ポリエステル系樹脂(A)は、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位、および下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を含むポリエステル系樹脂である。
−O−R−O− (1)
−OC−R−CO− (2)
式(1)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。また、上記式(2)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。上記式(1)、(2)で表される脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位は、石油から誘導された化合物由来であっても、植物原料から誘導された化合物由来であってもかまわないが、植物原料から誘導された化合物由来であることが望ましい。
ポリエステル系樹脂(A)が共重合体である場合には、ポリエステル系樹脂(A)中に2種以上の式(1)で表される脂肪族ジオール単位が含まれていてもよく、ポリエステル系樹脂(A)中に2種以上の式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位が含まれていてもよい。
前述の通り、式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位には、コハク酸単位が、全ジカルボン酸単位に対して5モル%以上100モル%以下含まれることが好ましい。ポリエステル系樹脂(A)におけるコハク酸構成単位量を上記所定範囲内とすることで、引裂強度が向上するとともに耐衝撃強度にも優れた成形品を得ることが可能となる。同様の理由から、ポリエステル系樹脂(A)中のコハク酸単位量は、全ジカルボン酸単位に対して好ましくは10モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは64モル%以上、特に好ましくは68モル%以上である。
以下、ポリエステル系樹脂(A)中の全ジカルボン酸単位に対するコハク酸単位の割合を「コハク酸単位量」と称す場合がある。
式(1)で表されるジオール単位を与える脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、成形性や機械強度の観点から、炭素数が2以上10以下の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数4以上6以下の脂肪族ジオールが特に好ましい。例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。尚、上記脂肪族ジオールは、2種類以上を用いることもできる。
式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、炭素数が2以上40以下の脂肪族ジカルボン酸やそのアルキルエステル等の誘導体が好ましく、炭素数が4以上10以下の脂肪族ジカルボン酸やそのアルキルエステル等の誘導体が特に好ましい。コハク酸以外の炭素数が4以上10以下の脂肪族ジカルボン酸やそのアルキルエステル等の誘導体としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等やそのアルキルエステル等の誘導体が挙げられ、中でもアジピン酸、セバシン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。尚、上記脂肪族ジカルボン酸成分は、2種類以上を用いることもでき、この場合、コハク酸とアジピン酸との組み合わせが好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)は、脂肪族オキシカルボン酸に由来する繰返し単位(脂肪族オキシカルボン酸単位)を有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、又はこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステル等の誘導体が挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液のいずれであってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸又はグリコール酸或いはその誘導体である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
ポリエステル系樹脂(A)がこれらの脂肪族オキシカルボン酸単位を含む場合、その含有量は、成形性の観点から、ポリエステル系樹脂(A)を構成する全構成単位を100モル%として20モル%以下であることが好ましく、より好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下であり、最も好ましくは0モル%(含まない)である。
また、ポリエステル系樹脂(A)は3官能以上の脂肪族多価アルコール、3官能以上の脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物、或いは3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸成分を共重合することによって、溶融粘度が高められたものであってもよい。
3官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられ、4官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸又はその酸無水物が挙げられ、4官能の多価カルボン酸又はその酸無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸又はその酸無水物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
また、3官能の脂肪族オキシカルボン酸は、(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能であるが、成形性、機械強度や成形品外観の観点からリンゴ酸等の(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプが好ましく、より具体的には、リンゴ酸が好ましく用いられる。また、4官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプに分かれ、何れのタイプも使用可能であるが、カルボキシル基を複数有するものが好ましく、より具体的には、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
ポリエステル系樹脂(A)がこのような3官能以上の成分由来の構成単位を含む場合、その含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を構成する全構成単位を100モル%として、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
本発明に係る脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の製造方法は、ポリエステルの製造に関する公知の方法が採用できる。また、この際の重縮合反応は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。通常、エステル化反応を進行させた後、減圧操作を行うことによって更に重合度を高める方法が採用される。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の製造時に、ジオール単位を形成するジオール成分とジカルボン酸単位を形成するジカルボン酸成分とを反応させる場合には、製造される脂肪族ポリエステル系樹脂(A)が目的とする組成を有するようにジオール成分およびジカルボン酸成分の使用量を設定する。通常、ジオール成分とジカルボン酸成分とは実質的に等モル量で反応するが、ジオール成分は、エステル化反応中に留出することから、通常はジカルボン酸成分よりも1〜20モル%過剰に用いられる。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に脂肪族オキシカルボン酸単位や多官能成分単位等の必須成分以外の成分(任意成分)を含有させる場合、その脂肪族オキシカルボン酸単位や多官能成分単位もそれぞれ目的とする組成となるように、それぞれに対応する化合物(モノマーやオリゴマー)を反応に供するようにする。このとき、上記の任意成分を反応系に導入する時期および方法に制限はなく、本発明に好適な脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を製造できる限り任意である。
例えば脂肪族オキシカルボン酸を反応系に導入する時期および方法は、ジオール成分とジカルボン酸成分との重縮合反応以前であれば特に限定されず、(1)予め触媒を脂肪族オキシカルボン酸溶液に溶解させた状態で混合する方法、(2)原料仕込み時に触媒を反応系に導入すると同時に混合する方法、などが挙げられる。
多官能成分単位を形成する化合物の導入時期は、重合初期の他のモノマーやオリゴマーと同時に仕込むようにしてもよく、或いは、エステル交換反応後、減圧を開始する前に仕込むようにしてもよいが、他のモノマーやオリゴマーと同時に仕込む方が工程の簡略化の点で好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、通常、触媒の存在下で製造される。触媒としては、公知のポリエステル系樹脂の製造に用いることのできる触媒を、本発明の効果を著しく損なわない限り任意に選択することができる。その例を挙げると、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の金属化合物が好適である。中でもゲルマニウム化合物、チタン化合物が好適である。
触媒として使用できるゲルマニウム化合物としては、例えば、テトラアルコキシゲルマニウム等の有機ゲルマニウム化合物、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物などが挙げられる。中でも、価格や入手の容易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウムおよびテトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、特には、酸化ゲルマニウムが好適である。
触媒として使用できるチタン化合物としては、例えば、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラフェニルチタネート等のテトラアルコキシチタンなどの有機チタン化合物が挙げられる。中でも、価格や入手の容易さなどから、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどが好ましい。
また、本発明の目的を損なわない限り、他の触媒の併用を妨げない。なお、触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
触媒の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、使用するモノマー量に対して、通常0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、また、通常3質量%以下、好ましくは1.5質量%以下である。この範囲の下限を下回ると触媒の効果が現れないおそれがあり、上限を上回ると製造費が高くなったり得られるポリマーに著しい着色を生じたり、耐加水分解性が低下したりするおそれがある。
触媒の導入時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に導入しておいてもよく、減圧開始時に導入してもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を導入する場合は、原料仕込み時に乳酸やグリコール酸等の脂肪族オキシカルボン酸単位を形成するモノマーやオリゴマーと同時に導入するか、又は脂肪族オキシカルボン酸水溶液に触媒を溶解して導入する方法が好ましく、特に、重合速度が大きくなるという点で脂肪族オキシカルボン酸水溶液に触媒を溶解して導入する方法が好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を製造する際の温度、重合時間、圧力などの反応条件は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応および/又はエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。また、反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下である。更に、反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであるが、中でも常圧が好ましい。また、反応時間は、下限が通常1時間以上であり、上限が通常10時間以下、好ましくは6時間以下、より好ましくは4時間以下である。反応温度が高すぎると、不飽和結合の過剰生成が起こり、不飽和結合が要因となるゲル化が起こり、重合の制御が困難になることがある。
また、ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応および/又はエステル交換反応後の重縮合反応は、圧力が、下限が通常0.01×10Pa以上、好ましくは0.03×10Pa以上、上限が通常1.4×10Pa以下、好ましくは0.4×10Pa以下の真空度下で行うことが望ましい。また、この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。更に、反応時間は、下限が通常2時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。反応温度が高すぎると、不飽和結合の過剰生成で不飽和結合が要因となるゲル化が起こり、重合の制御が困難になることがある。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の製造時には、カーボネート化合物やジイソシアネート化合物等の鎖延長剤を使用することもできる。この場合、鎖延長剤の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する全構成単位を100モル%とした場合のポリエステル系樹脂(A)中のカーボネート結合やウレタン結合の割合として、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。しかしながら、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)中にウレタン結合やカーボネート結合が存在すると、生分解性を阻害する可能性があるため、本発明では、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を構成する全構成単位に対し、カーボネート結合は1モル%未満、好ましくは0.5モル%以下、より好ましくは0.1モル%以下であり、ウレタン結合は0.55モル%以下、好ましくは0.3モル%以下、より好ましくは0.12モル%以下、更に好ましくは0.05モル%以下とするのがよい。この量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)100質量部あたりに換算すると、0.9質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以下である。特に、ウレタン結合量が上記上限値を上回ると、成膜工程等において、ウレタン結合の分解のため、ダイス出口からの溶融膜からの発煙や臭気が問題となる場合があり、また、溶融膜中に発泡による膜切れが起こって安定的に成形できないことがある。
なお、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)中のカーボネート結合量やウレタン結合量は、H−NMRや13C−NMR等のNMR測定結果から算出して求めることができる。
上記鎖延長剤としてのカーボネート化合物としては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが例示される。その他、フェノール類、アルコール類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、又は異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物も使用可能である。
ジイソシアネート化合物としては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合体、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の公知のジイソシアネートなどが例示される。
また、その他の鎖延長剤として、ジオキサゾリン、珪酸エステルなどを使用してもよい。
珪酸エステルとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジヒドロキシシラン等が例示される。
これらの鎖延長剤(カップリング剤)を用いた高分子量ポリエステル系樹脂についても従来の技術を用いて製造することが可能である。鎖延長剤は、重縮合終了後、均一な溶融状態で無溶媒にて反応系に添加し、重縮合により得られたポリエステルと反応させる。
より具体的には、ジオール成分とジカルボン酸成分とを触媒反応させて得られる、末端基が実質的にヒドロキシル基を有し、重量平均分子量(Mw)が20,000以上、好ましくは40,000以上のポリエステルに上記鎖延長剤を反応させることにより、より高分子量化したポリエステル系樹脂を得ることができる。重量平均分子量が20,000以上のプレポリマーは、少量の鎖延長剤の使用で、溶融状態といった苛酷な条件下でも、残存する触媒の影響を受けないので反応中にゲルを生ずることなく、高分子量のポリエステル系樹脂を製造することができる。ここで、ポリエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、溶媒をクロロホルムとし、測定温度40℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値から単分散ポリスチレンによる換算値として求められる。
したがって、例えば鎖延長剤として上記のジイソシアネート化合物を用いて、ポリエステル系樹脂を更に高分子量化する場合には、重量平均分子量が20,000以上、好ましくは40,000以上のプレポリマーを用いることが好ましい。重量平均分子量が20,000未満であると、高分子量化するためのジイソシアネート化合物の使用量が多くなり耐熱性が低下する場合がある。このようなプレポリマーを用いてジイソシアネート化合物に由来するウレタン結合を介して連鎖した線状構造を有するウレタン結合を有するポリエステル系樹脂が製造される。
鎖延長時の圧力は、通常0.01MPa以上1MPa以下、好ましくは0.05MPa以上0.5MPa以下、より好ましくは0.07MPa以上0.3MPa以下であるが、常圧が最も好ましい。
鎖延長時の反応温度は、下限が通常100℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは190℃以上、最も好ましくは200℃以上であり、上限が通常250℃以下、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下である。反応温度が低すぎると粘度が高く均一な反応が難しく、高い攪拌動力も要する傾向があり、また高すぎると、ポリエステル系樹脂のゲル化や分解が併発する傾向がある。
鎖延長を行う時間は、下限が通常0.1分以上、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上であり、上限が通常5時間以下、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分以下、最も好ましくは15分以下である。鎖延長を行う時間が短すぎる場合には、鎖延長剤の添加効果が発現しない傾向があり、また、長すぎる場合には、ポリエステル系樹脂のゲル化や分解が併発する傾向がある。
本発明で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することが可能であって、単分散ポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量(Mw)が、通常10,000以上1,000,000以下であるが、成形性と機械強度の点において有利なため、好ましくは20,000以上500,000以下、より好ましくは50,000以上400,000以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999年)に従って190℃、荷重2.16kgで測定した値で、通常0.1g/10分以上100g/10分以下であるが、成形性と機械強度の観点から、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。ポリエステル系樹脂(A)のMFRは、分子量により調節することが可能である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の融点は70℃以上が好ましく、より好ましくは75℃以上であり、170℃以下であることが好ましく、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは130℃未満である。融点が複数存在する場合には、少なくとも1つの融点が上記範囲内にあることが好ましい。
また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の弾性率は180〜1000MPaであることが好ましい。
融点が上記範囲外では成形性に劣り、弾性率が180MPa未満では成形加工性に問題が起こり易く、一方、弾性率が1000MPaを超えると柔軟性の付与や耐衝撃強度の改良効果が得られにくい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の融点や弾性率の調整法は特に限定されないが、例えば、コハク酸以外の脂肪族ジカルボン酸成分の共重合成分の種類を選択したり、ぞれぞれの共重合比率を調節したり、それらを組み合わせたりすることにより調節することが可能である。
本発明では、脂肪族ポリエステル樹脂(A)は1種に限らず、構成単位の種類や構成単位比、製造方法、物性等の異なる2種以上の脂肪族ポリエステル樹脂(A)をブレンドして用いることができる。
<コーヒーチャフ>
前述の通り、コーヒーが生産される過程には、コーヒーの生豆を炒ることで、色や苦味、香りをつける焙煎の工程がある。この焙煎の工程でコーヒー豆の皮が剥がれ落ちる。この剥がれ落ちた豆皮がコーヒーチャフと呼ばれるものである。本発明は、このコーヒーチャフを樹脂組成物のフィラーとして用いる。
前述の通り、コーヒーチャフはコーヒー抽出後のコーヒーかすに比べて含水率が低く、事前乾燥を必要としない。また、コーヒーかすに比べて軽くて割れやすいため、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と共にそのまま混練機に入れて混練する際にコーヒーチャフが粉砕され小粒径となるので、粉砕工程や篩にかける工程を得ることなく、樹脂組成物と混合、混練することができる。
ただし、コーヒーチャフを樹脂組成物と混合する前に予め粉砕してもよく、その粉砕によって得られるコーヒーチャフが目開き300μmの篩を通過するコーヒーチャフであることが好ましい。このようなコーヒーチャフを用いることで、樹脂組成物との混合、混練工程の時間を短縮することができる。
<脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とコーヒーチャフとの配合割合>
本発明の樹脂組成物におけるコーヒーチャフの配合量は脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とコーヒーチャフとの合計100質量部に対して、通常5質量部以上であり、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、また、通常60質量部以下であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。コーヒーチャフの配合量が5質量部未満の場合、コーヒーチャフを添加する効果を十分に得ることができない。コーヒーチャフの配合量が60質量部を超えると成形品が脆くなり、崩れやすくなるため好ましくない。また、成形品の質量に占めるコーヒーチャフの質量が50%を超えると、当該成形品は産業廃棄物に該当する。
上記の配合割合の範囲において、コーヒーチャフの配合量が多い程、得られる樹脂成形品の弾性率、耐熱性、生分解性等をより一層向上させることができ、コーヒーチャフの配合量が少ない程耐衝撃性の低下を抑制することができる。
<その他の樹脂>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂、例えば芳香族ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル樹脂、アモルファスポリオレフィン、ABS、AS(アクリロニトリルスチレン)、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、セルロースエステルなどの合成樹脂、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)などの生分解性樹脂などの1種又は2種以上を含有していてもよい。
本発明の樹脂組成物が、これらのその他の樹脂を含む場合、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)及びコーヒーチャフを含む本発明の樹脂組成物による前述の効果をより一層有効に得るために、本発明の樹脂組成物中のその他の樹脂の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対して100質量部以下、特に60質量部以下であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、滑剤、コーヒーチャフ以外のフィラー(充填剤)、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、加水分解防止剤、結晶核剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、熱安定剤、難燃剤、離型剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、分散助剤、各種界面活性剤、スリップ剤等の各種添加剤や、澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末、或いはこれらの混合物が「その他の成分」として含まれていてもよい。
また、本発明の樹脂組成物には、機能性添加剤として、鮮度保持剤、抗菌剤等を配合することもできる。
これらは、本発明の効果を損なわない範囲で任意に配合することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
これらのその他の成分の含有量は、通常、本発明の樹脂組成物の物性を損なわないために、混合する成分の総量が、本発明の樹脂組成物の総量に対して0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とコーヒーチャフとを混練機内で混練し、該コーヒーチャフを該脂肪族ポリエステル系樹脂(A)中に分散させることにより製造される。また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)及びコーヒーチャフと、必要に応じて用いられるその他の樹脂やその他の成分を混練機内で混合してもよい。
この混合工程は、ポリエステル系樹脂(A)及びコーヒーチャフと、必要に応じて用いられるその他の樹脂やその他の成分を、所定の割合で同時に、又は任意の順序で、タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合し、好ましくはさらに溶融混錬することにより行われる。
混合工程で使用される混練機は溶融混練機であってもよい。また、二軸押出機もしくは単軸押出機の種別の如何を限定するものではないが、用いるポリエステル系樹脂(A)及びコーヒーチャフの特性に応じて溶融混練を達成する目的の下では二軸押出機がより好ましい。
溶融混練時の温度は160〜220℃が好ましい。この温度範囲であれば、溶融反応に要する時間の短縮が可能になり、樹脂の劣化やコーヒーチャフの炭化に伴う色調の悪化等を防止することができ、また、耐衝撃性や耐湿熱性などの実用面での物理特性をより向上させることができる。同様の観点から、溶融混練温度は180〜210℃であることがより好ましい。
また溶融混練時間については、前記同様の樹脂劣化をより確実に回避するという観点から無用な長大化は回避されるべきであり、20秒以上20分以下が好ましく、より好ましくは30秒以上15分以下であり、これを満たすような溶融混練温度や時間の条件設定を行うことが好ましい。
[成形品]
本発明の樹脂組成物は、汎用プラスチックに適用される各種成形法により成形することができる。その成形法としては例えば、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押出成形や共押出成形(インフレ法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、熱プレス成形、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、固体成形(一軸延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工、粉末成形(回転成形)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等が挙げられる。中でも、射出成形、押出成形、圧縮成形、又は熱プレス成形が好適に適用される。具体的な形状としては、シート、フィルム、容器への適用が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物を成形してなる本発明の樹脂成形品には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、各種の二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング等)等が挙げられる。
[用途]
本発明の樹脂組成物からなる本発明の樹脂成形品は、各種食品、薬品、雑貨等の液状物や粉粒物、固形物を包装するための包装用資材、農業用資材、建築資材等幅広い用途において好適に用いられる。その具体的用途としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレー、ファーストフードの容器、コーヒーカプセルの容器、カトラリー、野外レジャー製品等)、押出成形品(例えば、フィルム、シート、釣り糸、漁網、植生ネット、2次加工用シート、保水シート等)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられる。更に、その他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、育苗ポット、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材フィルム、マルチフィラメント、合成紙、医療用として手術糸、縫合糸、人工骨、人工皮膚、マイクロカプセル等のDDS、創傷被覆材等が挙げられる。
特に本発明の樹脂成形品は、コーヒー包材やコーヒーカプセル等の食品用向けの容器として好適である。
以下、実施例を用いて本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。尚、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
なお、以下の実施例及び比較例では脂肪族ポリエステル系樹脂(A)として、ポリブチレンサクシネート(以下、PBSと略記する)(PTTMCCバイオケム社製「BioPBS(登録商標)FZ71PM」、MFR:22.0g/10分、融点:115℃)を用いた。
[実施例1〜8、比較例1〜2]
PBSと、コーヒーチャフ、粉砕後に目開き300μmの篩で粗粒を除去して粒径300μm以下としたコーヒーチャフ(以下、粉砕チャフという)、そして、103℃にて6時間以上乾燥させたコーヒー抽出かすを表1に示す割合でブレンドし、レオ・ラボ(株)製「Micro15ccTwinScrewCompounder」を使用して、窒素雰囲気下、190℃にて5分間(300秒)溶融混練を行った。
得られた樹脂組成物を金型温度40℃、シリンダー温度190℃にて射出成形し、機械特性試験用ISO試験片を得た。
得られた樹脂組成物及び試験片について、以下の評価を実施し、結果を表1に示した。
<弾性率>
JIS K 7171(2008)に準拠して曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率は800MPa以上で大きい程好ましい。
<耐熱性>
JIS K 7191−2(2007)に準拠して、B法フラットワイズにて荷重たわみ温度(HDT)を測定した。HDTは90℃以上で高い程好ましい。
<耐衝撃性>
JIS K 7111−1(2012)に準拠して、シャルピー衝撃強さを測定した。シャルピー衝撃強さは3kJ/m以上で大きい程好ましい。
<生分解性試験>
実施例1〜4及び比較例1で得られた樹脂組成物をプレス成形した厚さ100μmのフィルムを50mm×10mmに切り出し、水分量20%に調整した土を入れたポリエチレン製タッパー容器の土中に埋設し、蓋を閉めて40℃のイナートオーブン中に静置した。1週間後、4週間後にそれぞれ質量変化を測定し、生分解性試験前の質量に対する試験後の質量の割合(百分率)を算出した。
この質量割合は小さい程生分解が進行していることを示し、好ましい。具体的には1週間後であれば85質量%以下、4週間後であれば25質量%以下であるのが生分解性樹脂成形品として実用上好ましい。
Figure 2019172742
表1より脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とコーヒーチャフを含有する本発明の樹脂組成物は、得られる樹脂成形品の弾性率等の機械物性、耐熱性に優れ、生分解性にも優れることが分かる。
これに対して、コーヒーチャフを含まない比較例1では弾性率、耐熱性、生分解性に劣る。コーヒー抽出かすを用いた比較例2では、コーヒーチャフを用いた場合と同等の弾性率及び耐熱性が得られるが、コーヒー抽出かすでは、乾燥の手間を要する。
また、実施例1〜4と実施例5〜8との対比から、コーヒーチャフは予め粉砕を行わなくても得られる樹脂成形品の機械的物性や耐熱性には殆ど差異はなく、コーヒーチャフは粉砕等の手間を要することなく、そのまま脂肪族ポリエステル系樹脂(A)に配合できることが分かる。

Claims (8)

  1. 脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とコーヒーチャフとを含有する樹脂組成物。
  2. 前記コーヒーチャフが予め粉砕されたコーヒーチャフであって、目開き300μmの篩を通過するコーヒーチャフである、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
  4. 射出成形品である、請求項3に記載の樹脂成形品。
  5. 請求項3又は4に記載の樹脂成形品からなるシート。
  6. 請求項3又は4に記載の樹脂成形品からなる容器。
  7. 食品包装容器である、請求項6に記載の容器。
  8. 脂肪族ジオールに由来する繰返し単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位とを主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とコーヒーチャフとを混練機内で混練し、該コーヒーチャフが該脂肪族ポリエステル系樹脂(A)中に分散された樹脂組成物を得る、樹脂組成物の製造方法。
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JP2001081201A (ja) * 1999-09-17 2001-03-27 Vip:Kk 混合ペレット及び成形品の製造方法
WO2018021980A1 (en) * 2016-07-28 2018-02-01 Ptt Public Company Limited A bioplastic composition comprising biomass as a component and a production process

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