以下、本発明の実施形態を図面により説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る洗濯機の斜視図を示す。図2は正面図であり、前面カバー18を仮想的に取り外して内部構成の一部を図示している。図3は上面図を示しており、図4は図3におけるA−A断面図を示し、説明のために水受け槽である円筒状の水槽17と回転ドラム20の一部を仮想的に破断して図示している。
また、以下の説明において、上下左右前後の方向は図1中に示す上下左右前後の方向を基準とする。
ベース1の上部には鋼板と樹脂成形品で組合わされて構成された外枠2が載せられて洗濯機本体4となしている。外枠2の正面には洗濯物21を出し入れするドアである蓋体3と前面カバー18、及び背面には背面カバー19が設けられている。
外枠2の上面の前面側の一部は例えば電源のオンオフや洗濯、乾燥などの運転コースを選択するスイッチや表示類が設けられた操作パネル6であり、他の一部は開閉可能に設けられた洗剤投入口25である。
洗濯機本体4の背面近傍の上面には、給水栓7が設けられており、水道管を接続して洗濯機本体4に対して給水を行う。
その構成は従来からある洗濯機ないし洗濯乾燥機と同様なので、詳細な説明は省略する。
<洗剤投入口>
洗剤投入口25は、例えば粉末洗剤投入部25aと、液体洗剤投入部25bと、柔軟剤投入部25c、とを備え、それぞれ1回分の粉末洗剤、柔軟剤、または液体洗剤、を投入することができる。洗剤投入口25に投入された粉末洗剤、柔軟剤、ないし液体洗剤は洗濯工程の所定の時点で第一の給水管9を経由して給水され、水とともに第一の洗剤供給管14を経由して、水槽17内部に投入される。
<本体側概略構成>
ベース1には、ばねと減衰とを備えた支持手段5を介して水槽17が弾性支持されている。
水槽17の内部には洗濯物21を入れて洗濯、脱水を行なう円筒状の回転する回転ドラム20が設けられ、回転ドラム20の前端側には内部に同心に設けた複数の層に流体を閉じ込めた流体バランサ22が設けられて、回転ドラム20と一体に回転することで洗濯物21のアンバランスによる回転ドラム20の振動を低減する構成である。回転ドラム20は、側壁に遠心脱水用の多数の小孔(図示せず)を有し、ドラムモータ8によって回転する。
<排水弁>
水槽17の底面には排水弁10を介して排水管11が接続されており、水槽17内の洗濯水を排水できる。また、乾燥機能を備えた洗濯乾燥機の場合には、水槽17には乾燥風路13が接続されており、水槽17内の湿り空気を排出して、図示しない例えばヒータや送風手段を備えた乾燥手段によって乾燥させる。
<給水電磁弁>
洗剤投入口25に投入された粉末洗剤、柔軟剤、ないし液体洗剤を水槽17内に供給する際には、給水電磁弁12を開くことで給水栓7から、給水電磁弁12と洗剤投入口25とを接続した第一の給水管9を経由して、水道水を洗剤投入口25のうち例えば液体洗剤投入部25bに給水して液体洗剤を溶かし、洗剤投入口25から下降しつつ水槽17と接続された第一の洗剤供給管14を通って水槽17の内部に供給される。
<逆止弁>
第一の洗剤供給管14の水槽17近傍には逆止弁16が設けられ、洗剤投入口25から水槽17に向けて流れる洗剤液は通過するが、逆に水槽17から洗剤投入口25に向けて水槽17内の圧力が上昇した際の空気や、あるいは洗濯乾燥機の場合には高湿空気が通過することを抑制できる。
<洗濯処理液自動投入手段>
洗濯機本体4の上面には、詳細は後述する洗濯処理液自動投入手段30が設けられ、その上面には開閉式のタンク蓋体31が設けられている。タンク蓋体31の下部には少なくとも1つ以上の洗濯処理液タンクが設けられており、一例として洗濯処理液タンクを2式設け、その一方は複数回の洗濯を行うことができる量の液体洗剤を保持できる容量を備えた洗剤タンク32であり、他方は複数回の洗濯を行うことができる量の例えば柔軟剤を保持できる容量を備えた柔軟剤タンク33とすることができる。
タンク蓋体31を開いた状態においては、タンク蓋体31を開いた開口から洗剤タンク32と柔軟剤タンク33とを上方に引き抜くことができ、また再度セットすることができる。
なお以下、柔軟剤タンク33と洗剤タンク32との共通の構成を説明する際には、単に「タンク」と称する場合がある。
<洗濯処理液自動投入手段上面配置>
本実施形態においては、洗濯処理液自動投入手段30を洗濯機本体4の上面に設けたので、洗濯処理液タンクの着脱を行うためにユーザが屈む必要はなく、使い易い洗濯機を提供することができる。また、洗剤投入口25と洗濯処理液自動投入手段30は両方とも洗濯機本体4の上面の左側に配置されることにより、まとまった位置に配置されるため、ユーザの使い勝手がより向上する。また、洗濯処理液自動投入手段30を水槽17よりも下側に配置した場合、洗濯処理液自動投入手段30と水槽17を繋ぐ配管から処理液自動投入手段30に水が逆流してしまうおそれがあるが、本実施形態では、洗濯処理液自動投入手段30を水槽17よりも上側に配置しているため、このような逆流のおそれはなく、信頼性の高い洗濯機を提供することが出来る。また、洗濯処理液自動投入手段30を洗濯機本体4の上面から上下方向に抜き差しすることが出来るため、使い勝手が向上する。
<蓋体は奥側開き>
本実施形態においては、タンク蓋体31は後面側の辺に沿って回転支点である蓋体支点42aのまわりに開閉自在に軸支されており、手前側の辺を持ち上げて奥側に向けて開放する構成である。タンク蓋体31を開いた開口は手前側の辺と左右の両側側面の3辺が開いた状態となるので、タンク32、33を上方に取り外すために開口から手を挿入する際に、左右いずれの手であっても開いた状態のタンク蓋体31に当接することがないので挿入しやすく、タンク32、33を取り外しやすく使い勝手のよい洗濯機を提供できる。
タンク蓋体31を開放した際の角度としては、90゜よりも大、例えば100゜程度とすれば、タンク蓋体31の重心は回転支点よりも後方に移動するので開いた状態で安定するので好適である。
<洗濯処理液自動投入手段詳細>
図5から図12を用いて、本実施例による洗濯処理液自動投入手段30について説明する。図5は本実施形態による洗濯処理液自動投入手段30の構成を示す斜視図、図6は洗濯処理液タンクの構成を示す斜視図、図7は洗濯処理液自動投入手段30の構成を示すB−B断面図、図8は洗濯処理液自動投入手段30のポンプ部の構成を示す斜視図、図9は図8のC−C断面図、図10はD−D断面図、図11は洗濯処理液自動投入手段の上面図であり、モータを正転して洗剤タンク32から洗剤を供給している状態、図12は洗濯処理液自動投入手段の上面図であり、モータを逆転して柔軟剤タンクから柔軟剤を供給している状態を示している。
<収納容器>
タンク収納容器34は上面が開放された略箱体形状をしており、洗濯機本体4に設けられており、洗剤タンク32、柔軟剤タンク33を収納することができる。洗剤タンク32と柔軟剤タンク33とは、それぞれ互いに第一の隔壁35で前後方向に分割された洗剤タンク収納領域37と、柔軟剤タンク収納領域38とを備えている。タンク収納容器34の左側側面には洗剤タンク収納領域37と柔軟剤タンク収納領域38とから第二の隔壁36によって隔てられた投入領域39が備えられている。投入領域39の後方側面には、給水電磁弁12に一端を接続された第二の給水管40の他端が接続されており、給水電磁弁12を開弁した際には、水は第二の給水管40を経由して投入領域39内に給水される。
投入領域39の下面には第二の洗剤供給管41の一端が接続されており、第二の洗剤供給管41の他端は第一の洗剤供給管14に接続されている。すなわち、投入領域39の内部に投入された洗剤ないし柔軟剤は、給水された水とともに、第二の洗剤供給管41を経由して第一の洗剤供給管14の内部に流出する構成である。
洗剤と柔軟剤とは、それぞれ水槽17内に供給されるタイミングが異なり、詳細は後述するが洗剤は洗濯工程において供給され、柔軟剤は最終すすぎ工程において供給される。洗剤を投入領域39の内部に供給した後に給水することで投入領域39の内部は清浄となるので、同一の投入領域39の内部に柔軟剤を供給しても、洗剤が残留して柔軟剤と混合されることがない。したがって、投入領域39は1つのみでよく、また投入流域39に給水するための給水吐出部57および第二の給水管40も洗剤用と柔軟剤用とを個別に設ける必要がなく、簡素な構成とできるので好適である。
タンク収納容器34の後部上面には、後述する蓋体を開閉可能に軸支するための支軸穴42を設けた蓋体支持部43が設けられている。
<タンク>
タンク収納容器34内には、前後方向に並んで2つの洗濯処理液タンクが設けられており、前方に柔軟剤タンク33、後方に洗剤タンク32が設けられている。柔軟剤タンク33と洗剤タンク32とは第一の隔壁35を挟んで略前後対称に配置されている。一例として洗剤タンク32の前後方向の寸法を柔軟剤タンク33の前後方向の寸法より大とすれば、洗剤タンク32の容量を柔軟剤タンク33より大とすることができる。
洗剤タンク32と柔軟剤タンク33とは第一の隔壁35を挟んで略前後対称形状であることと、前後方向の寸法が異なることを除けば同一な構成なので、図6から図9により洗剤タンク32の構成について詳細に説明する。
洗剤タンク32は本実施形態においては上部のタンク蓋部44と下部のタンク本体45とに互いに着脱可能に二分割されており、タンク蓋部44は洗剤を補充する場合ないし洗剤タンク32の内部を洗浄する場合には、図示しないロック手段を解除することでタンク本体45から取り外せる構成である。タンク蓋部44には、洗剤タンク32を着脱する際に手で把持するためのタンク把手44aが設けられている。
洗剤タンク32に所定の量の洗剤を補充した場合に、洗剤の液面がタンク本体45とタンク蓋部44との境界よりも低い高さで最大容量とするように構成すれば、タンク本体45とタンク蓋部44との境界から洗剤が洗剤タンク32の外に漏れることがないので好適である。
タンク本体45は例えばアクリル樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のような透明樹脂で成形すれば、洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33を洗濯機本体4から取り外した際に、洗剤ないし柔軟剤の残量を目視で確認できるので好適である。
タンク本体45のタンク底面46は略V字形状をなしており、その最も底面の低くなった部分に後述するポンプ手段47の吸入口48を設ける構成とすれば、タンク内の洗剤を最後まで吸入できるので、洗剤の無駄が生じないので好適である。
<縦長タンク>
洗剤タンク32と柔軟剤タンク33は、前後方向の奥行きと、左右方向の幅、上下方向の高さ寸法のうち、奥行き寸法が最小になるように構成されている。このように構成することで、タンク内部の洗剤ないし柔軟剤がタンク内の空気と接する面積を小さくすることができるので、洗剤ないし柔軟剤の表面から水分が蒸発して表面の粘度が高くなったり固化する影響を最小にして、後述するポンプ手段47による供給動作を確実に行うことができる、という効果がある。
<タンク前後配置とタンク深さ>
洗剤タンク32と柔軟剤タンク33の配置、寸法と容積の好適な関係について説明する
。ここでは、洗剤タンク32の容量が柔軟剤タンク33の容量よりも大であることが望ましい場合について説明する。これは例えば、一般的に市販されている洗剤と柔軟剤のそれぞれの容器寸法や、詰め替え用として販売されている販売単位が、洗剤の方が柔軟剤よりも大である場合に相当する。
本実施形態においては、図4に示すように水槽17は手前の蓋体3側が高く、後方に従って低くなるよう傾斜して配置している。この場合、水槽17と洗濯機本体4の上面との隙間は、前方ほど小さく、後方ほど大となる。したがって、洗剤タンク32と柔軟剤タンク33とを前後方向に併置する場合には、後方に容量の大なるタンクを配置すれば上下方向の深さを大とすることができるので好適である。手前側には深さの小なる容量の小さいタンクを配置するものとし、本実施形態においては後方に洗剤タンク32、前方に柔軟剤タンク33を配置するのが好適である。
また、水槽17は円筒形なので、水槽17と洗濯機本体4の上面との隙間は、左右の両端に近接するほど大であり、中央近傍ほど小となる。そこで、洗剤タンク32と柔軟剤タンク33とを左右方向に併置する場合には、中央近傍側に容量の小さいタンク(柔軟剤タンク33)を配置し、筐体の端部側に容量の大なるタンク(洗剤タンク32)を配置するのが望ましい。そのような配置とすれば、中央近傍側に配置したタンク(柔軟剤タンク33)よりも端部側に配置したタンク(洗剤タンク32)の高さを高くして洗剤タンク32の容量をさらに拡大できるので好適である。
<ポンプ>
タンク蓋部44にはタンク本体45から洗濯処理液を吸引して前述の投入領域39に投入するためのポンプ手段47が設けられている。本実施形態においては、ポンプ手段47の一例として所謂ギヤポンプを用いた構成としている。
本実施形態におけるポンプ手段47は、略円筒形をなしていて洗剤タンク32内部に設けられ、タンク蓋部44から下方に向けて延伸したポンプケース49と、ポンプケース49の底面からさらに下方に向けて延伸し、その下端をタンク本体45の底面に近接した吸入管50を備えている。吸入管50の下端は開口した吸入口48となしている。
図9に示すように、ポンプケース49の下端には、一方はポンプ駆動軸60とともに回転可能に軸支された駆動ギヤ51a、他方はポンプ従動軸91のまわりに回動自在に軸支された従動ギヤ51bである一対のギヤからなる所謂ギヤポンプ51としており、かみあいながら回転することで、ギヤかみあい部52の一方から他方に向けて洗剤を搬送できる構成である。
ギヤかみあい部52の一方には吸入管50の上端が接続され、吸入口48を介して洗剤を吸入することができる。
ギヤかみあい部52の他方にはポンプケース49に沿って上下方向に配置された供給管54が設けられ、供給管54の下端はギヤかみあい部52の他方に接続され、ギヤポンプ51から送出される洗剤が供給される。
ギヤポンプ51が矢印方向に回転することで、駆動ギヤ51aと従動ギヤ51bの隣接した歯同士の隙間と、ギヤの外周に近接して設けられたギヤポンプ壁55とによって形成された空間に満たされた洗剤が吸入口48側から供給管54側に向けて移動することで、洗剤は供給される。ギヤポンプ51の動作については一般的によく知られているものであり、詳細な説明は省略する。
ポンプケース49の上端は、ポンプ手段47の上面を覆うポンプカバー53となっている。
供給管54の上端はポンプカバー53から離反する方向に略水平に延伸され、さらにその先端は下方に延伸されて、その先端は下向きに開口して洗剤の吐出口56をなしている。
<吐出口洗浄>
第二の給水管40は、タンク収納容器34の投入領域39の側面に設けられた給水吐出部57から水を吐出するよう接続されている。給水吐出部57は吐出口56の近傍に配置して、給水吐出部57から給水される水が吐出口56に掛るよう配置すれば、吐出口56に付着した洗剤ないし柔軟剤が乾燥して固化することがないので、洗剤や柔軟剤の詰まりが生じることがなく、信頼性が高い。
給水吐出部57の好適な位置について説明する。給水吐出部57の高さが第二の隔壁36に近接していると、吐出された水が第二の隔壁36を乗り越え、洗剤タンク収納領域37ないし柔軟剤タンク収納領域38内に流入することがある。一方、給水吐出部57の高さが底面に近すぎると吐出された水が吐出口56に掛からないので吐出口56を洗浄することができず、また投入領域39の壁面に付着した洗剤や柔軟剤を洗浄することができない。したがって、給水吐出部57は吐出口56の近傍かつ第二の隔壁36よりも低い位置に設けるのが好適である。
給水吐出部57の好適な位置の別例について説明する。給水吐出部57は吐出口56よりも高い位置に設けるのが望ましい。これにより、確実に給水吐出部57から吐出された水を吐出口56に掛けることが出来、吐出口56の洗剤ないし柔軟剤の固化を抑制し、信頼性が向上する。 また、給水吐出部57から吐出された水をシャワー状にしてもよい。これにより、吐出口56の洗剤ないし柔軟剤の固化を抑制し、信頼性が向上する。
また、給水吐出部57は第二の給水管40に接続されているため、第二の給水管40に給水されるたびに、給水吐出部57から吐出された水が吐出口56に掛かるため、吐出口56の洗剤ないし柔軟剤の固化をより抑制することが可能となる。また、吐出口56を清掃するための専用の給水経路が不要となるため、節水性が向上する。
<ギヤポンプ高さ>
本実施形態においては、洗剤ないし柔軟剤の残量がわずかになった際には、洗剤ないし柔軟剤はそれぞれのタンク32、33の底面近傍の吸入口48からギヤポンプ51部まで負圧によって吸引される。この吸引する高さが大であると洗剤ないし柔軟剤を吸引しにくくなるので、ギヤポンプ51の高さは底面に近接していることが望ましい。一方、ギヤポンプ51の高さが底面に近接した構成では、洗剤ないし柔軟剤に沈んだポンプケース49の体積が大となるので洗剤ないし柔軟剤のタンク容量が減少してしまう。そこで、ギヤポンプ51をタンク底面46とタンク蓋部44との中間近傍の高さに設けることにより、吸入口48からポンプケース49の底面近傍に設けられたギヤポンプ51部までの高さを低減できるとともに、洗剤ないし柔軟剤の容量を確保できるので好適である。
またさらに、ギヤポンプ51の高さは、洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33に洗剤ないし柔軟剤を補充した際の液面高さよりも低い位置に配置すれば、洗剤ないし柔軟剤を補充した際にはギヤポンプ51は洗剤ないし柔軟剤に浸かった状態、すなわち所謂「呼び水」をした状態となる。すなわち空気の負圧によってギヤポンプ51の高さまで洗剤ないし柔軟剤を吸引する必要がないので、洗剤ないし柔軟剤を確実に供給できるので好適である。
ギヤポンプ51はタンク32、33の底面に近接して設ければ、常に洗剤ないし柔軟剤の液面高さはギヤポンプ51よりも高いので、洗剤ないし柔軟剤を確実に供給できるので好適である。
<フィルタ構造>
本実施形態においては、タンク32、33の底面に近接した吸入口48の下端を拡大したフィルタ58を設けた構成としている。フィルタ58は例えば円板状であり、その上面には例えば0.5mm程度の幅のスリット59が複数設けられている。フィルタ58はタンク32、33のタンク底面46に近接して設けられているので、洗剤投入口25内の洗剤はスリットを通った後にフィルタ58の略中央部に設けられた吸入口48に至り、ギヤポンプ51によって吸引される。このような構成としたので、洗剤ないし柔軟剤に異物が混入した場合にはフィルタ58のスリット59により捕集されるので、異物が吸入口48から吸入管50を通ってギヤポンプ51に入り込むことが無いので、ギヤポンプ部に異物が詰まることを防止でき、信頼性の高い洗濯処理液自動投入手段30を提供できる。
<ポンプ駆動部>
駆動ギヤ51aを駆動する構成について説明する。図7ないし図8に示すように、ポンプ駆動軸60はポンプケース49およびポンプカバー53に回転自在に軸支されており、ポンプ駆動軸60の下端には駆動ギヤ51aが固定されており、ポンプ駆動軸60の上端はポンプケース49の上面よりも突出しており、カップリング61がポンプ駆動軸60と一体として回転可能に固定されている。カップリング61は、後述するタンク蓋体31に設けられた駆動手段62から回転駆動力を伝達される構成である。
すなわち、駆動手段62によってカップリング61を回転すると、ポンプ駆動軸60を経由してギヤポンプ51が回転して、ギヤポンプ51の作用により、洗剤タンク32内の洗剤を吸入口48から吸入し、ギヤポンプ51、供給管54を介して吐出口56から送出される構成である。吐出口56から送出された洗剤は、タンク収納容器34の投入領域39に供給される。
<カップリング>
カップリング61は略円筒形状をなしており、その上面はテーパのついた先細の円錐形状としている。カップリング61の外周の複数箇所、本実施形態においては120°ごとの3箇所には、外周側に凸したカップリング突起63が設けられている。カップリング61の上部、先細の円錐形状部分においては、カップリング突起63も円錐面に沿って、上方ほど細くなる先細形状としている。
<蓋体・駆動手段>
タンク蓋体31は蓋体支持部43に設けられた支軸穴42のまわりに開閉自在に軸支されており、タンク蓋体31の内部には、駆動手段62である、供給モータ65、歯車列を備えた減速手段66、およびカップリング61と互いにかみあってカップリング61に対して駆動力を伝達するカップリング受け部64が設けられている。供給モータ65による駆動力は例えばウォームギヤ67や複数の平歯車を備えた減速歯車列からなる減速手段66を介して適切な回転速度まで減速されて、カップリング受け部64を回転させる。カップリング受け部64は2式設けられており、タンク蓋体31を閉じた際にはそれぞれ洗剤タンク32に設けられたカップリング61(洗剤供給用カップリング)と柔軟剤タンク33に設けられたカップリング61(柔軟剤供給用カップリング)と勘合して噛み合うよう配置されている。カップリング61とカップリング突起63とは上方ほど細くなる先細形状としているので、タンク蓋体31を閉じることでカップリング61にカップリング受け部64が勘合される際に、互いに当たったり引っかかったりすることがなく、スムーズに勘合することができる。
<カップリング受け部>
カップリング受け部64の内周は、カップリング61の外周に備えられたカップリング突起63の外周よりも大なる直径の円筒凹部68となしており、円筒凹部68の内周側には中心に向けて凸したかみあい突起69を設けている。本実施形態においてかみあい突起69は60°ごとに6箇所設けられており、かみあい突起69の内周直径はカップリング61の直径よりも大である。
すなわち、カップリング61はカップリング受け部64の内部に勘合することができる寸法関係としており、カップリング突起63はカップリング受け部64に設けられた隣接したかみあい突起69同士の間に配置されることで、カップリング突起63とかみあい突起69とは干渉しない。
<カップリングかみあい>
図10はカップリング61がカップリング受け部64の内部に勘合した状態を示すD−D断面図であり、カップリング受け部64が図示反時計方向に回転して、かみあい突起69がカップリング突起63に当接することでカップリング受け部64からカップリング61に駆動力を伝達してカップリング61を回転駆動している状態を示している。
カップリング61とカップリング受け部64とは互いに着脱可能であり、かつ互いに嵌合した際には回転駆動力を伝達することができる駆動力連結手段29を構成している。
カップリング61の外周には120°ごとの3箇所のカップリング突起63が設けられており、カップリング受け部64の内周には60°ごとに6箇所のかみあい突起69が設けられている。カップリング61の外周に設けたカップリング突起63の数に対して、その2倍の数のかみあい突起69をカップリング受け部64の内周に設けることで、カップリング突起63は隣接したかみあい突起69同士の間に配置することができるので、カップリング61とカップリング受け部64の嵌合が確実で好適である。
タンク蓋体31を閉じてカップリング61とカップリング受け部64とを嵌合してから供給モータ65に通電してカップリング受け部64を回転させると、かみあい突起69がカップリング突起63に接触して図10のような状態になるまでカップリング受け部64は空転し、その後カップリング61はカップリング受け部64とともに回転する。この空転角度の最大値は図10におけるφとなり、本実施形態では隣接するかみあい突起69の角度である60度よりもかみあい突起69とカップリング突起63の円周方向の厚さ分だけ小さい角度となる。この角度φはタンク蓋体31を閉じた際に、供給モータ65に通電してもギヤポンプ51が回転しない角度領域であって洗剤ないし柔軟剤の供給量誤差となるものの、その角度はたかだか60゜以下であり、一回の洗濯工程に使用する洗剤ないし柔軟剤の供給量に対する誤差の割合は問題にならない程度に小さい。
以上の構成により、開閉可能なタンク蓋体31を閉じた状態で供給モータ65を回転駆動することにより、カップリング受け部64とカップリング61とを介してギヤポンプ51を回転駆動して、タンク32、33内の洗剤をタンク収納容器34に設けられた投入領域39に供給することができる。
本実施形態においては、洗剤タンク32および柔軟剤タンク33の上方に駆動手段62を備えたタンク蓋体31が支点90のまわりに回動自在に支持されている。タンク蓋体31を支点のまわりに回動することで、カップリング61とカップリング受け部64とは離反して、洗剤タンク32および柔軟剤タンク33の上面を開放できる。したがって、駆動系の接続を離反するために洗剤タンク32および柔軟剤タンク33を移動する必要がなく
、タンク蓋体31を開くだけで洗剤タンク32および柔軟剤タンク33を上方に引き抜くことができるので、洗剤や柔軟剤の補充やタンク清掃が容易な構成である。
<フタヒンジ配線>
タンク蓋体31は開閉可能であり、かつ洗濯機本体4に設けられた駆動回路154から供給モータ65への配線87が設けられている。配線87を洗濯機本体4からタンク蓋体31内部まで挿通する経路として、配線87をタンク蓋体31の開閉回転中心である支軸穴42を通すのが好適である。タンク蓋体31を開閉動作しても配線87は開閉角度の範囲で捩れるだけであって引っ張られることがないので、配線87の信頼性が確保されて、信頼性の高い洗濯機を提供できる。
<蓋体寸法とタンク着脱>
タンク蓋体31を開放した際の開口寸法は、上面視で洗剤タンク32および柔軟剤タンク33を並置した寸法よりも大として、タンク蓋体31を開いた際の開口から洗剤タンク32および柔軟剤タンク33の取り外しおよび装着を行うことができる寸法としている。
以上の構成としたので、タンク蓋体31を開けば駆動力連結手段29であるカップリング61とカップリング受け部64とは互いに分離され、かつタンク蓋体31を開放した際の開口から洗剤タンク32および柔軟剤タンク33を上方に引き上げるだけで、洗剤タンク32および柔軟剤タンク33は容易に取り外すことができる。
逆に、かつタンク蓋体31を開放した際の開口を経由して上方から洗剤タンク32および柔軟剤タンク33を容易に装着することができる。
その後、タンク蓋体31を閉じればカップリング受け部64とカップリング61とは嵌合して、供給モータ65からの駆動力をポンプ手段47に伝達してギヤポンプ51を駆動し、洗剤ないし柔軟剤をそれぞれ洗剤タンク32または柔軟剤タンク33から第一の洗剤供給管14を経由して水槽17内に供給することができる。
<定量供給>
良く知られているように、ギヤポンプ51は所謂定量ポンプであって、流体の供給量はギヤの回転数に比例する。すなわち、洗剤を所定の量だけ供給する場合には、例えば供給モータ65に印加する電圧を一定として供給モータ65の回転速度を定め、供給モータ65の駆動時間を所定時間に調整することによってギヤの回転数を所定値とすることで、所望量の洗剤を供給することができる。
一例として供給モータ65を直流モータとして、供給モータ65への印加電圧を一定とすることで回転速度を所定の速度一定とすることができる。あるいはまた、供給モータ65はステッピングモータとして、供給モータ65に印加するパルスの周波数を一定とすることで回転速度を所定の速度一定としてもよい。
<切り替え動作>
次に、洗剤の供給と柔軟剤の供給を切り替える構成の一例について図11と図12を用いて説明する。図11と図12とは、洗濯処理液自動投入手段30の上面図を示しており
、タンク蓋体31から洗剤タンク32と柔軟剤タンク33までを透視して、タンク蓋体31に設けられた駆動手段62の構成の一例を示している。本実施形態においては、供給モータ65の回転方向を正転と逆転とに反転させることで、それぞれ洗剤と柔軟剤とを選択的に供給可能な構成としているので、その構成と動作について説明する。
<洗剤供給>
図11は供給モータ65を正転方向に動作させ、洗剤を供給している状態を示し、図12は供給モータ65を逆転方向に動作させて、柔軟剤を供給している状態を示している。
図11において、供給モータ65の回転軸にはウォームギヤ67が設けられており、ウォームギヤ67には回転自在に軸支されたウォームホイール70が噛み合っており、供給モータ65の回転を減速してウォームホイール70に伝達する。ウォームホイール70と同軸に設けられた第一の減速歯車71には、回転自在かつ回転中心軸77が揺動溝72に沿って移動自在に軸支された第二の歯車である揺動歯車73が第一の噛み合い74aにおいて噛み合っている。揺動歯車73は揺動溝72の第一のポンプ駆動歯車75に近接した一端に回転中心が位置し、第一のポンプ駆動歯車75に噛み合っている。図8に示すように、第一のポンプ駆動歯車75はカップリング受け部64と一体に回転する構成であり、図11においてはウォームホイール70、揺動歯車73、第一のポンプ駆動歯車75は図示矢印方向に回転して洗剤タンク32に設けられたポンプ手段47を駆動して、洗剤を投入領域39に供給する。
<柔軟剤供給>
図12においては、揺動歯車73は揺動溝72の他端に回転中心が位置し、第三の減速歯車78に噛み合っている。第三の減速歯車78はさらに第二のポンプ駆動歯車76と噛み合っている。第二のポンプ駆動歯車76は第一のポンプ駆動歯車75と同様にカップリング受け部64と一体に回転する構成であり、図12においてはウォームホイール70、揺動歯車73、第三の減速歯車78、第二のポンプ駆動歯車76はそれぞれ図示矢印方向に回転して柔軟剤タンク33に設けられたポンプ手段47を駆動して、柔軟剤を投入領域39に供給する。
<モータ正逆転切り替え>
ここで、図11に示す正転時においては、揺動歯車73は第一の減速歯車71から第一の噛み合い74aにおいて回転駆動方向に略接線方向の力を受けて回転すると同時に、揺動溝72に沿って移動して、第一のポンプ駆動歯車75と第二の噛み合い74bにおいて噛み合って回転する。この状態から供給モータ65を逆転させると、第一の減速歯車71も逆転方向に回転するので、揺動歯車73は第一の減速歯車71から逆向きの略接線方向の力を受け、逆転と同時に揺動溝72に沿って一端から他端に向けて移動し、第一のポンプ駆動歯車75とのかみあい、すなわち第二の噛み合い74bが外れる一方で、第三の減速歯車78とは第四の噛み合い75dが噛み合って回転する。揺動歯車73は揺動溝72に沿って移動するので、第一の減速歯車71との噛み合いは第三の噛み合い74cに移動する。すなわち供給モータ65を逆転させると図11の状態から図12の状態に移行して図示矢印方向に回転し、第二のポンプ駆動歯車76を回転駆動して柔軟剤タンク33から柔軟剤を供給する。
図12の状態から供給モータ65を正転させると、第一の減速歯車71も正方向に回転するので、揺動歯車73は第一の減速歯車71から正方向の略接線方向の力を受けるので、正転方向に回転すると同時に揺動溝72に沿って他端から一端に向けて移動し、第三の減速歯車78とのかみあいが外れる一方で、第一のポンプ駆動歯車75と噛み合って回転する。すなわち、供給モータ65を正転させると図12の状態から図11に移行して洗剤タンク32から洗剤を供給する。
ここで、揺動溝72の一端と他端との距離は、揺動歯車73と第一のポンプ駆動歯車75とが噛み合った際には揺動歯車73と第三の減速歯車78とは離れて噛み合わず、かつ揺動歯車73と第三の減速歯車78とが噛み合った際には揺動歯車73と第一のポンプ駆動歯車75とは離れて噛み合わない条件を満足すればよく、概ね歯車の歯の高さ以上の距離とすればこのような条件を得ることができる。
<揺動歯車噛み合い>
揺動歯車73は揺動溝72の他端に移動するので、揺動歯車73と第一の減速歯車71との噛み合い位置は、第一の噛み合い74aから第三の噛み合い74cに移動する。いうまでも無く、揺動歯車73は揺動溝72の一端と他端との距離は小さいので、第一の噛み合い74aと第三の噛み合い74cとの距離は小さく、揺動歯車73と第一の減速歯車71との噛み合い状態が悪化することはない。
さらに、揺動溝72の一端と他端との中点と、ウォームホイール70の回転中心とを結ぶ直線に対して揺動溝72の一端と他端とを結ぶ直線とを直交するように配置すれば、揺動溝72に沿った揺動歯車73の移動方向は揺動歯車73とウォームホイール70との噛み合いの接線方向となるので、揺動歯車73が移動しても揺動歯車73と第一の減速歯車71との中心間距離の変化は殆どないので、さらに好適である。
<ポンプは同方向回転>
図11の正転状態ではカップリング61を備えた第一のポンプ駆動歯車75は揺動歯車73と噛み合って回転するので、洗剤タンク32に設けられたポンプ駆動軸60は揺動歯車73とは逆方向に回転する。
一方、図12の逆転状態ではカップリング61を備えた第二のポンプ駆動歯車76は、揺動歯車73から第三の減速歯車78を介して回転するので、柔軟剤タンク33に設けられたポンプ駆動軸60は揺動歯車73とは同方向に回転する。正転状態と逆転状態では揺動歯車の回転方向は互いに反対方向なので、第一のポンプ駆動歯車75と第二のポンプ駆動歯車76とは互いに同方向に回転する。すなわち、洗剤を供給するポンプ手段47と柔軟剤を供給するポンプ手段47とは、同一方向に回転した際に洗剤ないし柔軟剤を供給する構成であればよく、互いに同一の構成とすることができ、部品を共通化できるので安価に構成できる、という利点がある。
<正逆転切り替え動作まとめ>
本実施形態によれば、供給モータ65を正転した時には洗剤タンク32に設けられたポンプ手段47のみを駆動して洗剤を供給し、供給モータ65を逆転した時には柔軟剤タンク33に設けられたポンプ手段47のみを駆動して柔軟剤を供給することができるので、唯一つの供給モータ65のみで洗剤と柔軟剤の2種類を選択して供給することができ、構造が簡単で低価格な洗濯処理液自動投入手段30を実現できる。
なお、正転と逆転とは本実施形態を説明するための便宜上のものであり、そのような表現に限定されるものではない。
<残量検知>
図13と図14は、本実施形態における洗濯処理液の残量検出手段79の構成の一例を示す略図である。
洗剤タンク32の一面に対抗して例えばLEDなどの発光素子80を設け、洗剤タンク32に対して発光素子80の対面側かつ発光素子80と同軸に受光素子81を設けた構成である。受光素子81は、例えば光電管、フォトダイオードなど、光の強弱を電気信号に変換する素子である。
タンク32、33は透明樹脂で成形されているので、洗濯処理液が入っていない場合には、発光素子80からの光はタンク32、33を透過して受光素子81に届くので、受光素子81に電気信号を生じる。一方、タンク32、33に洗濯処理液が投入されている場合には遮光されるので、受光素子81には電気信号を生じない。そこで、発光素子80と受光素子81の対をタンク32、33の底面から所定の高さに配置することで、タンク32、33内の洗濯処理液の液面の高さを検知することができる。
図14においては、発光素子80と受光素子81の対をタンク32、33の底面46から、底面46に近接した高さh1、およびh1よりも上方の高さh2の2ヶ所に設けた構成を図示している。
洗濯処理液がタンク内に十分にあって、液面高さがh2よりも高い位置H2にある場合には、第一の受光素子81と第二の受光素子81はともに遮光されるので、液面高さはh2よりも高いことがわかる。
洗濯処理液の液面高さがh1とh2の間であるH1の時には、高さh1の位置に設けた第一の受光素子81は遮光され、高さh2の位置に設けた第二の受光素子81は受光して電気信号が生じるので、液面高さH1はh1とh2の間にあることがわかる。
洗濯処理液の液面高さが高さh1よりも低下した場合には、第一の受光素子81と第二の受光素子81はともに発光素子80からの光を受光して電気信号を生じるので、液面高さは底面近傍であって洗濯処理液の残量が殆ど無いことがわかる。
洗濯処理液の液面高さがH1であれば第一の受光素子81は遮光され、第二の受光素子81は受光して電気信号が生じる。ここで洗濯処理液が半透明の場合、第一の受光素子81は完全には遮光されないが光量が低下するので、生じる電気信号は減少する。そこで、第二の受光素子81に生じる電気信号との差を測定すれば、単一の受光素子の信号の増減のみを測定するよりも確実に、液面が第一の受光素子81と第二の受光素子81との間に位置することが判定できる。
ここで、洗濯処理液の液面高さがH1となった時に、洗濯処理液の残量が例えば洗濯2−3回分となるようにh1とh2の高さを設定し、その際には洗濯処理液の残量が僅かであることを報知する報知手段を設ければ、洗濯処理液を補充するタイミングであることをユーザに知らせることができるので、ユーザが気づかないうちに洗剤切れが生じることがなく、信頼性の高い洗濯処理液自動投入手段を備えた洗濯機を実現できる。
<タンク取り外し性>
本実施形態によれば、タンク32、33には例えば供給モータ65を駆動するための配線などを本体と着脱するための配線接続部を備えていない。
すなわち、供給モータ65からギヤポンプ51を駆動するための駆動力は、駆動力着脱手段であるカップリング61を介して洗濯機本体側に設けた駆動手段62からポンプ手段47を駆動する構成である。またさらに、タンク32、33内の洗濯処理液の残量を検知するための検知手段である発光素子80と受光素子81とは洗濯機本体4側に設けている。したがって、ユーザが洗濯処理液を供給するためにタンク32、33を取り外す際には、図1に示すように、駆動手段62を内在したタンク蓋体31を開放すればカップリング61はカップリング受け部64から離反するので、タンク把手44aを把持したまま上方に引き抜けば、タンク32、33はポンプ手段47ともども容易に取り外すことができる。
<洗剤垂れ落ち防止>
ここで、タンク32、33とポンプ手段47とは一体として取り外す構成としたので、タンク32、33を洗濯機本体から取り出す際に、洗濯処理液が垂れ落ちることがないので好適である。タンク32、33とポンプ手段47とを別体としてタンク32、33のみ、あるいはポンプ手段47だけを取り出す構成とした場合には、ポンプ手段47の吸入口48部でポンプ手段47とタンク32、33とを分離する必要があり、タンク32、33ないしポンプ手段47の取り外し時に洗剤が垂れる恐れがある。
<タンク清掃性>
本実施形態におけるタンク32、33は上部のタンク蓋部44と下部のタンク本体45とに互いに着脱可能に二分割されており、それぞれ配線や電気部品を持たない構成なので、タンク32、33の外側、あるいはタンク蓋部44、タンク本体45の内部を自在に水洗いすることができるので、タンク32、33内部を清潔に保つことができる。
また異なる洗濯処理液に入れ替える場合にも、残留した元の洗濯処理液を洗い流してから新しい別の洗濯処理液を入れることができるので、異なる洗濯処理液が混ざって固化したり、洗浄力が低下したりすることがない。
<ポンプ清掃性>
本実施形態によれば、駆動手段62からポンプ手段47は連結および分離可能な駆動力連結手段29を備えたので、タンクとポンプ手段47は着脱可能で取り外すことができ、かつタンクおよびポンプ手段47には、ポンプ手段47を駆動する電力を供給するための配線は備えておらず、さらに洗剤・柔軟剤の残量を検出する検知手段に接続した配線をもたない構造と出来るため、取り外しが容易かつタンク内部およびポンプ内部も洗浄することが可能となり、清掃性や信頼性を向上した洗濯機を提供出来る。
また、ポンプ手段47の吸入口48を水に漬けた状態で、カップリング61を手で回転させることにより、ギヤポンプ51が回転して水を吸入口からギヤポンプ51、供給管54を経由して吐出口56から吐出されることで、ポンプ内部に残留した洗剤をも希釈して洗い流すことができる。
本実施形態によれば、タンク32、33の水洗いが容易であり、ポンプ手段47の内部までも水洗いが容易なので、ポンプ手段47の内部に洗剤が残留して固化することもなく、あるいはポンプ手段47の内部で以前に使用していた洗濯処理液と新しい洗濯処理液とが混ざることもないので、信頼性の高い洗濯処理液自動投入手段30を備えた洗濯機を提供できる。
またさらに、ポンプ手段47のケースを透明樹脂で成型すれば、ポンプ内に洗剤や柔軟剤が残留しているか、清掃が完了したかを目視確認できるので好適である。
<手動供給との両立>
本実施形態によれば、先に説明したように、洗剤投入口25は、例えば粉末洗剤投入部25aと、液体洗剤投入部25bと、柔軟剤投入部25c、とを備え、それぞれ1回分の粉末洗剤、柔軟剤、または液体洗剤、を投入し、第一の洗剤供給管14を経由して、水槽17内部に投入される構成である。さらには、洗剤タンク32から第二の給水管40、第一の給水管9を経由して、洗剤を水槽17内部に自動投入することも可能な構成である。
すなわち、ユーザの好みに応じて洗剤タンク32内の洗剤を用いて洗濯する場合と、あるいは液体洗剤投入部25bに投入した別の洗剤で洗濯する場合、とを自在に使い分けることができるので、使い勝手が良い洗濯処理液自動投入手段を備えた洗濯機を提供できる。
また、同じように、柔軟剤タンク33内の柔軟剤を用いる場合と、あるいは柔軟剤投入部25cに投入した別の柔軟剤を用いる場合、とを自在に使い分けることができるので、使い勝手が良い洗濯処理液自動投入手段30を備えた洗濯機を提供できる。
また、本実施形態では、洗濯処理液自動投入手段30と洗剤投入口25を独立して配置する構成としたため、タンク、ポンプの清掃性、タンクへの洗濯処理液の補充性が向上するとともに、洗剤投入口25に投入された洗濯処理液で洗濯している間に、洗濯処理液自動投入手段30のタンクなどを抜き出すことも可能となり、使い勝手が向上する。
<制御ブロック図>
図15は、洗濯機の制御装置138のブロック図である。150はマイクロコンピュータで、図示しない各スイッチに接続される操作ボタン入力回路151や水位センサ134、洗剤残量検出手段79a、柔軟剤残量検出手段79b、と接続され、使用者のボタン操作や洗濯工程での各種情報信号を受ける。マイクロコンピュータ150からの出力は、駆動回路154に接続され、給水電磁弁116、排水弁8、モータ36、供給モータ65、などに接続され、これらの開閉や回転、通電を制御する。また、使用者に洗濯機の動作状態を知らせるための例えば7セグメント発光ダイオードのような表示器114や発光ダイオード156、ブザー157に接続される。
前記マイクロコンピュータ150は、電源スイッチ139が押されて電源が投入されると起動し、図16に示すような洗濯の基本的な制御処理プログラムを実行する。
<制御処理プログラム>
ステップS101
洗濯乾燥機の状態確認及び初期設定を行う。
ステップS102
操作パネル106の表示器114を点灯し、図示しない操作ボタンスイッチからの指示入力にしたがって、洗剤および柔軟剤を自動投入するか否かを設定する。自動投入を設定した場合は以下の洗濯工程で洗剤および柔軟剤を自動投入する。一方、自動投入を設定しなかった場合には、洗剤および柔軟剤を使用者が手動で洗剤投入口25に投入し、洗剤および柔軟剤の供給モータ65は駆動しない。
ステップS103
操作パネル106の図示しないスタートスイッチからの指示入力を監視して処理を分岐する。
ステップS104
洗剤自動投入が設定されているか否かで処理を分岐する。
ステップS105
洗剤自動投入が設定された場合には、洗剤残量検出手段79aの出力に基づいて洗剤の残量を確認し、処理を分岐する。
ステップS106
洗剤自動投入が設定された場合には、柔軟剤残量検出手段79bの出力に基づいて柔軟剤の残量を確認し、処理を分岐する。
ステップS107
回転ドラム20を回転させ、その際にモータ8を駆動するに要する電流値からモータ8に生じる回転駆動トルクを測定して回転ドラム20に投入された布量を判定する。
ステップS108
布量の判定値に基づいて、洗剤、および柔軟剤の供給量を設定する。
ステップS109
洗剤自動投入が設定されているか否かで処理を分岐する。
ステップS110
供給モータ65を正転方向に所定時間駆動して洗剤タンク32内の洗剤を投入領域39内に所定量供給する。洗剤自動投入が設定されていない場合には、このステップを実行しない。
ステップS111
給水電磁弁116を開いて給水を行い、洗剤投入口25または投入領域39内に供給された洗剤を溶かして、第一の洗剤供給管14を経由して水槽17の内部に供給する。
ステップS112
洗濯工程を実行し、終了後に排水弁8を開いて洗濯水を排水した後、回転ドラム20を高速で回転して遠心脱水を行う。
ステップS113
給水電磁弁116を開いて給水を行い、すすぎ水を水槽17の内部に供給する。
ステップS114
すすぎ工程を実行し、終了後に排水弁8を開いてすすぎ水を排水した後、回転ドラム20を高速で回転して遠心脱水を行う。
ステップS115
柔軟剤自動投入が設定されているか否かで処理を分岐する。
ステップS116
供給モータ65を逆転方向に所定時間駆動して柔軟剤タンク33内の柔軟剤を投入領域39内に所定量供給する。柔軟剤自動投入が設定されていない場合には、このステップを実行しない。
ステップS117
給水電磁弁116を開いて給水を行い、柔軟剤投入部25cまたは投入領域39内に供給された柔軟剤を溶かして、第一の洗剤供給管14を経由して水槽17の内部に供給する。
ステップS118
最終すすぎ工程を実行し、終了後に排水弁8を開いてすすぎ水を排水する。
ステップS119
回転ドラム20を高速で回転して最終脱水を行う。
ステップS120
一連の洗濯工程を終了する。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態について図17を用いて説明する。
図17は第2の実施形態に係る洗濯処理液自動投入手段の洗剤タンク32とポンプ手段47の構成を示す側面図である。第2の実施形態が第1の実施形態と異なるところは、ポンプ手段47は洗剤タンク32の内部に設けられてはおらず、洗剤タンク32の側面に隣接して設けられており、洗剤タンク32の底面の最下端近傍にはポンプ手段47から下方に延伸した吸入管50の下端に設けられた吸入口48が接続されていることである。
第1の実施形態と同様に、ギヤポンプ51の上端に設けられたカップリング61がカップリング61と結合して駆動手段62によって回転させられるとギヤポンプ51が回転し
、洗剤タンク32内の洗剤は吸入口48から吸引されて吸入管50を通り、ギヤポンプ51、供給管54を経由して吐出口56から吐出される。吐出された洗剤は第1の実施形態と同様に水槽17内に供給され、洗濯工程が行われる。
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態について図18から図21を用いて説明する。
図18は第3の実施形態に係る洗濯処理液自動投入手段の構成を示す上面図であり、図19はE−E断面図である。図20はポンプ部の構成を示す斜視図であり、図21はF−F断面図である。
<基本配置>
第3の実施形態が第1の実施形態と異なるところは、タンク32、33を洗剤投入口25の後部に左右に併置して設け、洗剤タンク32と洗剤投入口25との間および柔軟剤タンク33と洗剤投入口25との間にポンプを設け、タンク32、33から洗剤投入口25に洗剤ないし柔軟剤を供給するよう構成したことである。
第3の実施形態においては、例えば洗剤投入口25がユーザからみて左側から粉末洗剤投入部25a、液体洗剤投入部25b、柔軟剤投入部25c、の順に配置されているものとすれば、左側の液体洗剤投入部25bの後部に洗剤タンク32、右側の柔軟剤投入部25cの後部に柔軟剤タンク33を配置すれば、洗剤タンク32と液体洗剤投入部25bは互いに近接して配置され、柔軟剤タンク33と柔軟剤投入部25cは互いに近接して配置されるので、洗濯処理液自動投入手段30を小型に構成できるので好適である。
第3の実施形態においてはポンプとしてスクリューポンプ82を設けており、スクリューポンプ82下端の吸入口48はタンク32、33に固定されている。タンク32、33の底面は、スクリューポンプ82の吸入口48に向けて下降した傾斜面として、洗剤が吸入口48に向けて流入するように構成されている。
タンク32、33、およびスクリューポンプ82の上面は、支点90のまわりに回動自在に支持されたタンク蓋体31となっており、タンク蓋体31の内部はモータと減速手段を含む駆動手段が設けられているが、駆動手段の構成は第1の実施形態と同様の構成であってもよく、詳細は省略する。
<スクリューポンプ構成>
図20から図21によりスクリューポンプ82の構成について説明する。雄ギヤ83はポンプ駆動軸60とともに回転自在に軸支されており、長円形の断面を回転軸に沿って捩った形状をしており、歯数が2枚のギヤである。雌ギヤ84は歯数が3枚であり、ポンプ従動軸91のまわりに回転自在に軸支されており、雄ギヤ83と噛み合って回転するよう、雄ギヤ83の長円部に対応した凹部と、雄ギヤ83の直線部に対応した凸部とが交互に形成された断面形状をなしており、雄ギヤ83とは逆方向に同じ角度で捩られている。互いに噛み合った雄ギヤ83と雌ギヤ84とを包含するように、略眼鏡型断面のケーシング85が設けられている。ケーシング85の上下両端は封止されており、下側の一端の後側は開口した吸入口48となっていて、タンク32、33と接続されている。ケーシング85の上端の前側は開口して吐出口56と接続されている。吐出口56から吐出した洗剤ないし柔軟剤は、洗剤投入口25内に供給されるよう配置されている。
雄ギヤ83はポンプ駆動軸60とともに回転自在に設けられており、ポンプ駆動軸60の上端にはカップリング61が設けられている。カップリング61を回転すると、ポンプ駆動軸60を介して雄ギヤ83と雌ギヤ84とが回転する構成である。タンク蓋体31を閉じた際にはカップリング61には駆動手段62からの回転駆動力が伝達される構成である。
雄ギヤ83と雌ギヤ84が図20ないし図21の矢印方向に回転すると、互いに逆方向に捩れた雄ギヤ83の歯と雌ギヤ84の歯との間に形成された隙間である搬送空間86が下方から上方に移動することによって、ケーシング85内部の洗剤が下方の吸入口48から吸入されて上方に向けて搬送され吐出口56から吐出する構成である。
タンク蓋体31を開いた際には、開口部を解してタンク32、33がそれぞれのスクリューポンプ82とともに上方に取り外すことができ、ユーザが洗剤ないし柔軟剤を補充口88から補充したり、あるいはタンク32、33を洗浄することができる。
<供給量の確認可能>
第3の実施形態において、駆動手段を動作することによってタンク32、33から洗剤ないし柔軟剤を洗剤投入口25に供給することができる。第3の実施形態においては、スクリューポンプ82によって供給された洗剤ないし柔軟剤は洗剤投入口25に供給されるから、供給動作の完了後に洗剤投入口25のフタを開けば供給された洗剤ないし柔軟剤の量をユーザが目視確認できるので好適である。
第3の実施形態において、スクリューポンプ82はタンク32、33の外側に近接した設ける形態としたが、スクリューポンプ82をタンク32、33の内部に設ける構成であっても良い。
洗剤投入口25に投入された粉末洗剤や液体洗剤、柔軟剤は、図示しない給水経路によって給水され、サイホン89、第一の洗剤供給管14を介して水槽17内に供給される。〔第4の実施形態〕
<前方引出し>
第4の実施形態について図22を用いて説明する。
図22(a)は第四実施形態の構成を示す断面図であり、第三実施形態における図19と同様な断面図である。
第四実施形態においては、洗剤投入口25の後部にタンク32、33が配置され、タンク32、33の後部の下面側部にギヤポンプ51と、ギヤポンプ51から上方に向けて供給管54とが設けられ、供給管54の上端は側方、すなわち紙面の奥側に向けて突出してその先端は吐出口56となしている。ギヤポンプ51のさらに後部は洗濯機本体4に設けられた供給モータ65や減速手段66を内在した駆動手段62となっており、駆動力連結手段29に設けられ互いに分離可能に構成されたカップリング61とカップリング受け部64とは前後方向に水平に設けられた回転軸のまわりに噛み合って回転し、駆動手段62からギヤポンプ51に回転駆動力を伝達する。
供給モータ65に通電してギヤポンプ51を回転駆動すると、タンク32、33から洗剤ないし柔軟剤を送出して、ギヤポンプ51の上方に設けられた吐出口56から吐出し、第二の洗剤供給管41を通って第一の洗剤供給管14を経由して水槽17内に供給することができる構成である。
洗剤投入口25に投入された粉末洗剤や液体洗剤、柔軟剤は、図示しない給水経路によって給水され、サイホン89、第一の洗剤供給管14を介して水槽17内に供給される。
第四実施形態においては、洗剤投入口25とタンク32、33とポンプ手段47は、一体として前方に抜き出すことができるように構成されており、図22(b)は洗剤投入口25とタンク32、33とを前方に引き出す途中状態を図示している。カップリング61とカップリング受け部64とは互いに離反した状態である。洗剤投入口25とタンク32、33とポンプ手段47とを引き出した状態ではタンク32、33に設けられた開閉自在な補充口88を開いて、洗剤や柔軟剤をタンク内に補充することができる。
駆動手段62とポンプ手段47とはカップリング61とカップリング受け部64とによって分離されているから、ポンプ手段47には供給モータ65を駆動するための配線が不要であり、タンク32、33とを取り外して水洗いできるので、信頼性の高い洗濯機を提供することができる。
〔第5の実施形態〕
第5の実施形態について図23を用いて説明する。
図23は第五実施形態の構成を示すB−B断面図であり、第1の実施形態における図7と同様な断面図であり、洗剤タンク収納領域37ないし柔軟剤タンク収納領域38を簡略的に図示している。
第1の実施形態との相違は、駆動手段62はタンク蓋体31に設けられているのではなく、洗剤タンク収納領域37ないし柔軟剤タンク収納領域38の下側に設けられ、洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33の底面を挟んで内側に設けられたギヤポンプ51と外側に設けられたカップリング61とは、例えばオーリングなどのシール部材92を介して漏れを防止しつつ回転可能に接続されている。カップリング61は駆動手段62に設けられたカップリング受け部64と着脱可能であって、互いにかみあった際には駆動トルクを伝達可能な構成である。
第五実施形態において、供給モータ65が回転すると減速手段66を介してカップリング受け部64が減速回転し、カップリング61に駆動トルクを伝達して洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33の内側に配置されたギヤポンプ51を回転することで、洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33内部の洗剤ないし柔軟剤を矢印のように供給管54を介して吐出口56から吐出する構成である。
〔第6の実施形態〕
第6の実施形態について図24を用いて説明する。
図24は第六実施形態の構成を示すB−B断面図であり、第1の実施形態における図7と同様な断面図であり、洗剤タンク収納領域37ないし柔軟剤タンク収納領域38を簡略的に図示している。
第1の実施形態との相違は、駆動手段62はタンク蓋体31に設けられているのではなく、洗剤タンク収納領域37ないし柔軟剤タンク収納領域38の側面に設けられ、洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33の側面を挟んで内側に設けられたギヤポンプ51と外側に設けられたカップリング61とは、例えばオーリングなどのシール部材92を介して漏れを防止しつつ回転可能に接続されている。カップリング61は駆動手段62に設けられたカップリング受け部64と着脱可能であって、互いにかみあった際には駆動トルクを伝達可能な構成である。
第六実施形態において、供給モータ65が回転すると減速手段66を介してカップリング受け部64が減速回転し、カップリング61に駆動トルクを伝達して洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33の内側に配置されたギヤポンプ51を回転することで、洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33内部の洗剤ないし柔軟剤を矢印のように供給管54を介して吐出口56から吐出する構成である。
洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33を取り外す際には、カップリング受け部64とカップリング61のかみあいが外れるまで洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33を右方にずらした後、上方に移動することで洗濯機本体から取り外すことができる。装着する際は、その逆の動作を行う。
なお、第1の実施形態から第六実施形態においてはカップリング61とカップリング受け部64とを着脱することで、洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33の取り外しを可能としつつ、ギヤポンプ51の駆動トルクを伝達可能としていたが、その構成に限定されるものではない。
第1の実施形態について説明すると、図7において、カップリング61とカップリング受け部64とを一体化し、第一のポンプ駆動歯車75ないし第二のポンプ駆動歯車76をポンプ手段47に設ける。揺動歯車73はタンク蓋体31に設け、タンク蓋体31の開閉と連動して第一のポンプ駆動歯車75ないし第二のポンプ駆動歯車76と揺動歯車73との噛み合いを着脱できる位置に配置する。
タンク蓋体31を開放すれば歯車のかみあいが外れて、洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33を取り出すことができる。洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33を装着した後、タンク蓋体31を閉止すれば歯車同士が噛合って駆動トルクを伝達できる。
<効果>
<洗濯処理液自動供給>
以上の説明のように、それぞれのタンクに充填された洗剤と柔軟剤とを、洗濯工程ないしすすぎ工程のうち所定のタイミングで、適切な供給量だけ自動的に供給することができる。さらに布量測定手段を備えて、測定された布量に応じた供給量を供給するよう制御すれば、洗剤や柔軟剤を使いすぎることも不足することもないので、洗剤や柔軟剤の無駄のない洗濯機を提供できる。
<正逆転切り替え動作>
供給モータ65を正転と逆転とに回転方向を切り替えることにより、正転の際は洗剤タンク32に設けられたギヤポンプを駆動して洗剤を供給し、逆転の際は柔軟剤タンク33に設けられたギヤポンプを駆動して柔軟剤を供給するように構成したので、1つのモータのみで2つのギヤポンプを選択駆動できるので、駆動系を安価に構成できる。
<残量検知>
残量検知手段を備えたので、洗剤ないし柔軟剤のタンク内の残量を検出して、残量が所定量より少ない場合にはユーザに報知することができるので、洗剤や柔軟剤の不足を防止して信頼性の高い洗濯機を提供できる。
<蓋体寸法とタンク着脱>
蓋体にモータと減速ギヤとを備えた駆動手段を内蔵し、蓋体を閉じた際には駆動手段とポンプ部に設けた駆動力連結手段29を接続してモータの駆動力をギヤポンプ51に伝達し、蓋体を開いた際には駆動力連結手段29のカップリング受け部64とカップリング61とは分離する構成である。タンク蓋体31を開放した際の開口寸法は洗剤タンク32および柔軟剤タンク33の平面視よりも大なる寸法とすれば、洗剤タンク32および柔軟剤タンク33の取り外しおよび装着が容易である。
<カップリング信頼性>
駆動力連結手段29は洗濯機本体4の上面に設けられたタンク蓋体31の下面と、タンク32、33の上面との間に設けられている。すなわちタンク32、33内に洗剤ないし柔軟剤を満タンに補充したとしても駆動力連結手段29の高さは液面よりも高い。したがって、洗剤ないし柔軟剤がタンク32、33から漏れた場合であっても駆動力連結手段29、ないしタンク蓋体31に設けられた駆動手段62に液面が到達することはなく、駆動手段62に洗剤ないし柔軟剤が侵入することがない。
またさらに、駆動力連結手段29のうち回転駆動するカップリング受け部64はタンク蓋体31の下面に設けられているので、タンク蓋体31を開放した際には洗濯機本体4の上面よりもさらに高い位置に、ほぼ鉛直となった面に開口する構成となる。
洗剤ないし柔軟剤をユーザがタンク32、33に補充するためにタンク32、33を出し入れする際に、洗剤ないし柔軟剤が垂れたとしても、洗剤ないし柔軟剤は洗濯機本体4の上面、ないしタンク収納容器34の内部に垂れる。タンク収納容器34の内部には例えばカップリング受け部64のごとき回転駆動部が設けられていないために、垂れた洗剤が回転駆動部内に侵入してポンプの駆動を妨げることがないので信頼性の高い洗濯機を提供できる。
<タンク配線レス>
ポンプ手段47を駆動するための供給モータ65への配線は洗濯機本体4からタンク蓋体31の内部に配されており、タンク32、33には供給モータ65への配線がない構成である。さらにタンク32、33の残量検出手段79もタンクの外側に配置されており、残量検出手段79の配線も洗濯機本体4内に配されている。
したがってタンク32、33には電気部品が配置されていないので、タンク32、33を着脱する際に、所謂コネクタのごとき電気接点を有する配線接続手段の着脱を要さないので、電気接点に洗剤が付着するなどによって接触不良を生じることがなく、信頼性の高い洗濯機を提供できる。
<タンク清掃性>
タンク32、33は取り外しが容易であり、かつ配線や電気接点を有さない構成なので、タンク32、33全体を水に漬けることもできる。したがって、タンク32、33内部に残留した洗剤や柔軟剤を水洗いして除去することが容易であり、タンクを清潔に保つことができる。また新たに洗剤ないし柔軟剤を補充した際に、タンク32、33内部に付着したままの古い洗剤や柔軟剤と混合して洗浄性能が劣化する恐れも無いので、信頼性の高い洗濯機を提供できる。
<ポンプ清掃性>
駆動手段62からポンプ手段47は連結および分離可能な駆動力連結手段29を備えたので、タンクとポンプ手段47は着脱可能で取り外すことができ、かつタンクおよびポンプ手段47には、ポンプ手段47を駆動する電力を供給するための配線は備えておらず、さらに洗剤・柔軟剤の残量を検出する検知手段に接続した配線をもたない構造と出来るため、取り外しが容易かつタンク内部およびポンプ内部も洗浄することが可能となり、清掃性や信頼性を向上した洗濯機を提供出来る。
ポンプ手段47はタンク本体45から取り外すことができるので、ポンプ手段47の吸入口を水に漬け、カップリング61を手で回転すれば、水は吸入口48から吸入されてギヤポンプ51の内部を通り吐出口56から排出されるので、ポンプ手段47の内部を水で洗浄することができる。そのため古い洗剤や柔軟剤が劣化してポンプの詰まりを防止でき、あるいは新たに洗剤ないし柔軟剤を補充した際に、ポンプ手段47内部に付着したままの古い洗剤や柔軟剤と混合して洗浄性能が劣化する恐れも無いので、信頼性の高い洗濯機を提供できる。
またさらに、ポンプ手段47のケースを透明樹脂で成型すれば、ポンプ内に洗剤や柔軟剤が残留しているか、清掃が完了したかを目視確認できるので好適である。
<ギヤポンプ高さ>
ギヤポンプ51の配置高さは、タンク32、33に洗剤ないし柔軟剤を補充した際の液面高さよりも低い位置に配置すれば、洗剤ないし柔軟剤を補充した際にはギヤポンプ51は洗剤ないし柔軟剤に浸かった状態、すなわち所謂「呼び水」をした状態となる。すなわち空気の負圧によってギヤポンプ51の高さまで洗剤ないし柔軟剤を吸引する必要がないので、洗剤ないし柔軟剤を確実に供給することができ、信頼性の高い洗濯機を提供できる。
<手動供給との両立>
ユーザの好みに応じて洗剤タンク32内の洗剤を用いて洗濯する場合と、あるいは洗剤投入口25に投入した別の洗剤で洗濯する場合、とを自在に使い分けることができるので、使い勝手が良い洗濯処理液自動投入手段30を備えた洗濯機を提供できる。
<フィルタ構造>
ポンプ手段47の吸入口48の周囲にはスリット59を設けたフィルタ58を備えたので、異物が吸入されてギヤポンプ51に詰まることを防止して、信頼性の高い洗濯処理液自動投入手段30を提供できる、という効果がある。
本実施形態においては1つのモータの正逆転に応じて2つのポンプを選択駆動する構成としたが、それぞれのタンク毎にモータと減速手段を備え、異なるモータを選択的に駆動して洗剤と柔軟剤とを選択して供給する構成であってもよい。
本実施形態においてポンプはギヤポンプであるとしたが、ギヤポンプに限定されるものではなく、ピストンポンプ、ダイアフラムポンプ、ベーンポンプ、など他の方式のポンプであってもよい。
また、特許文献1に開示された構成では、搬送ポンプは直流モータと、ギヤポンプと、を内部に設けて液体内に侵漬する構造なので、搬送ポンプの小型化には限界があった。ギヤポンプの回転速度を適正化するために直流モータからギヤポンプまでの間に減速歯車を設ける場合にも、減速歯車は搬送ポンプの内部に設けなければならない。搬送ポンプは洗剤タンク内に設けられているので寸法に制約があり、モータの大きさや減速歯車の減速比には限界があった。一方、以上の実施例では、駆動手段62からポンプ手段47に伝達される回転駆動力を連結および分離可能な駆動力連結手段29を備えるため、上記のような問題点を解消できる。
また、上記実施例はドラム式洗濯機を例に説明したが、本発明はこれに限られず、タテ型洗濯機に適用出来得る。
〔第7の実施形態〕
第7の実施形態について図25から図37を用いて説明する。
図25は、本発明の第7の実施形態に係る洗濯機の斜視図を示す。図26は正面図であり、前面カバー18を仮想的に取り外して内部構成の一部を図示している。図27は上面図を示しており、図28は図27におけるG−G断面図を示し、説明のために水受け槽である円筒状の水槽17と回転ドラム20の一部を仮想的に破断して図示している。
図29は洗濯処理液自動投入手段をJ方向からみた斜視図、図30は洗濯処理液自動投入手段の(a)上面図、および(b)後面図である。
図31は洗剤タンク32をP方向からみた斜視図であり、図32は洗濯処理液自動投入手段のK−K断面図、図33は洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33に備えられたポンプ手段47の構成を示す斜視図、図34はM−M断面図である。図35は図34のN−N部分断面図である。
図36は洗剤ないし柔軟剤の粘度に対するギヤポンプ51による供給量の特性を示す図であって、(a)は駆動手段62の減速比が大の場合、(b)は減速比が中で適切な場合、(c)は減速比が小の場合に供給量が変化する傾向を示す概略説明図である。
図37は駆動手段62の減速比と、粘度の相違による「供給量ばらつき」の傾向を示す概略説明図である。
第7の実施形態が第1の実施形態と異なるところは、洗剤タンク32と柔軟剤タンク33とを互いに前後に併置するのではなく互いに左右に併置し、さらに洗剤タンク32を柔軟剤タンク33の左方かつ洗濯機本体4の左側面に近接して配置したことであり、洗剤タンク32の容量が柔軟剤タンク33の容量よりも大となるよう構成している。さらに、洗剤タンク32と柔軟剤タンク33からポンプによって汲み上げられた洗剤ないし柔軟剤の投入領域39がタンク収納容器34の後面側に配置され、タンク収納容器34と、給水栓7や給水電磁弁12を備えた給水手段93との間に配置されたことである。
そのため、投入領域39は給水手段93に近接して配置されるので、給水手段93から投入領域39に給水する第二の給水管40が短くて済む、という利点がある。
さらに、一端をタンク収納容器34の底面の開口に接続し、他端を第一の洗剤供給管14に接続した第三の洗剤供給管118を設けた。タンク収納容器34の内部にこぼれた洗剤ないし柔軟剤は、第三の洗剤供給管118、第一の洗剤供給管14を経由して、水槽17内部に投入される。
左側外枠2と右側外枠2の上面に左右両端を固定され、左右の外枠2を互いに連結する例えば鉄板で構成された固定ステー94を備え、固定ステー94の後面側には洗濯処理液自動投入手段30のタンク収納容器34の前側辺が取付ネジ116で固定され、固定ステー94の前面側には洗剤投入口25の後側辺が、図示しないネジ等により固定されている。
タンク収納容器34の右側側面に沿って、給水電磁弁12と洗剤投入口25とを接続した第一の給水管9を配置する。タンク収納容器34の右側側面から凸した1つまたは複数のタンク側面ガイド95を形成し、複数のタンク側面ガイド95を第一の給水管9の直径よりやや少なる間隔を隔てて上下に配置して第一の給水管9を押し込めば、タンク側面ガイド95によって第一の給水管9を固定することができる。
さらに図30に示すように、第一の給水管9はタンク収納容器34の前辺に沿って右方から左方に配置され、洗剤投入口25に接続される。
このように共通の固定ステー94にタンク収納容器34と洗剤投入口25とをともに固定する構成としたので、それぞれに個別の固定部材を設ける必要が無く、さらに互いの配置寸法関係が運転時や輸送中の振動や衝撃で移動したり、位置がずれることがないので、第一の給水管9の固定が確実であり、信頼性の高い洗濯機を提供できる。
またさらに、第7の実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第1の実施形態において供給モータ65は1つのみであり、供給モータ65を正転した場合は揺動歯車73を介して洗剤タンク32内の洗剤を投入領域39内に供給し、供給モータ65を逆転した場合は揺動歯車73を介して柔軟剤タンク33内の柔軟剤を投入領域39内に供給する構成であったが、第7の実施形態においては図29に示すように、洗剤タンク32と柔軟剤タンク33のそれぞれに設けられたポンプ手段47に対応して、それぞれ独立した洗剤供給モータ65a、柔軟剤供給モータ65bが設けられていることが異なる。
洗剤供給モータ65aと柔軟剤供給モータ65bの軸にはそれぞれウォームギヤ67が設けられ、カップリング受け部64にはウォームホイール70が設けられてウォームギヤ67と噛合っており、洗剤供給モータ65aと柔軟剤供給モータ65bを回転させるとウォームホイール70が減速しつつ回転し、カップリング受け部64を回転駆動する。ウォームギヤ67とウォームホイール70は、本実施形態における減速手段66を構成している。
洗剤供給モータ65aを正転方向に駆動すると、洗剤タンク32内のポンプ手段47を駆動して、洗剤タンク32内の洗剤を投入領域39内に所定量供給し、柔軟剤供給モータ65bを正転方向に駆動すると、柔軟剤タンク33内のポンプ手段47を駆動して、柔軟剤タンク33内の洗剤を投入領域39内に所定量供給する構成である。
ここで、洗剤ないし柔軟剤を供給して停止した後、ポンプ手段47内部に残留した洗剤ないし柔軟剤の量が異なる場合があるので、その相違によって供給量に誤差が生じる、という課題がある。
またさらに、洗剤ないし柔軟剤を補充する際、ないし清掃のためタンク32、33を取り外す際には、タンク蓋体31とともに駆動手段62を後方に開放する構成としているため、開放された駆動手段62の前面にはポンプ手段47に駆動力を伝達するカップリング受け部64が露出する。カップリング受け部64に洗剤ないし柔軟剤がかかると、カップリング受け部64の外周の隙間から駆動手段62の内部に侵入したり、あるいは固着して駆動力の伝達を阻害する、という課題がある。
図31と図32、および適宜図25から図30を用いて、洗剤タンク32と柔軟剤タンク33の構造の一例について説明する。
図6ないし図7に示す第1の実施形態と異なるところは、ポンプケース49はタンク蓋部44と一体であってタンク底面46に近接する方向に延伸されており、タンク本体45の開放された上面に嵌合して、上面のカバーを構成している。タンク蓋部44の上面の一部にはツマミ状の凸部であるタンク蓋開き把手96が設けられており、タンク蓋部44をタンク本体45から取り外す際に手指をかけることができるので、容易にタンク蓋部44を取り外すことができる。
タンク把手44aはタンク本体45に設けられた把手支点97のまわりに回動自在に軸支されており、タンク収納容器34に収納される際にはタンク把手44aはタンク蓋部44の上面と略同一の高さで略水平に位置した収納位置にあり、タンク把手44aを把手支点97のまわりに回動して図31の破線で図示するような、略垂直に位置したタンク着脱位置とすることができる。タンク把手44aが収納位置にある場合にはタンク把手44aを含めた洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33の全高を抑制することができるので小型化に適した構成である。タンク把手44aをタンク着脱位置とした際には、タンク把手44aを把持して上方に引き上げることで洗剤タンク32ないし柔軟剤タンク33をタンク収納容器34から取り外すことができ、容易に着脱が可能な構成である。
把手支点97をタンク本体45に設けたので、タンク把手44aを把持して持ち上げた際にタンク本体45が落下ないし転倒することがなく、安定して取り外しが可能である。
タンク蓋部44にはさらに、供給蓋支軸98のまわりに回動自在に軸支された開閉可能な供給蓋99が設けられており、供給蓋99を開放した際に生じる開口から洗剤ないし柔軟剤をタンク32、33内に供給できる。タンク32、33内の液体洗剤ないし柔軟剤の残量が減少した際に、タンク32、33を取り外すことなく供給蓋99を開放するだけで、液体洗剤ないし柔軟剤を補充することができる。あるいはまた、タンク32、33をタンク収納容器34から取り外した状態で供給蓋99を開放して液体洗剤ないし柔軟剤を補充することもできる。
タンク蓋部44と供給蓋99の供給蓋支軸98から最も離れた面には凹部である指掛け部100が設けられ、供給蓋99を開放しやすくしている。
タンク32、33内の液体洗剤ないし柔軟剤を使い切った後、定期的にタンク32、33を取り外してタンク内部を水洗いすることで、残留した洗剤ないし柔軟剤を水で洗い流して固着などを防止することが望ましい。さらに、ギヤポンプ51と供給管54の内部に残留した液体洗剤ないし柔軟剤を排出し、ギヤポンプ51と供給管54の内部も水洗いすることが望ましい。
タンク32、33を取り外した後、タンク32、33内に水を入れるか、あるいはさらにタンク蓋部44をタンク本体45から取り外してからポンプ手段47下端の吸入口48を水に浸して、手でカップリング61を回転させるとギヤポンプ51は回転するのでギヤポンプ51は水を吸入して供給管54を経由し、吐出口56から排出される。この動作を継続することでギヤポンプ51と供給管54の内部に通水することはできるものの、手を用いてはカップリング61を低速に回転させることしかできないので、水洗いに時間がかかり、水の流速も低速なので水洗いの能力に限界がある。
本実施形態においては、カップリング61の下方に例えば歯数が10ないし12程度のピニオンギヤ101を設け、ピニオンギヤ101と噛み合う早回しギヤ102を早回しギヤ中心103のまわりに回転自在に設けた構成である。早回しギヤ102の歯数を例えば30から36とすれば、カップリング61を早回しギヤ102の3倍の回転速度で回転することができる。早回しギヤ102には指先を引っ掛けられるような、例えば凹部や突起を上面に設けることで、指先の動作で早回しギヤ102を経由して高速でカップリング61を回転できるので、ギヤポンプ51と供給管54内部に十分な水量を通水することができ、回転速度に比例して流速も大となるので水洗いが短時間で済むとともに、ギヤポンプ51や供給管54の詰りを防止して、信頼性の高い洗濯機を提供できる。
図33から図35により、ギヤポンプ51の構造について説明する。図33はポンプ手段47の構成を示しており、第1の実施形態との相違は、ポンプケース49の形状を円柱形状ではなく四角柱形状としたこと、吸入管50を持たず、ギヤポンプ51はタンク底面46に近接して配置されていること、である。
図36と図37を用いて、粘度の異なる洗剤や柔軟剤を供給する際の、供給モータ65a、65bと、減速手段66と、ギヤポンプ51の供給特性について説明する。
一般的に、柔軟剤は、粘度が約1mPa・s程度である水よりは粘度が高いものの、例えば20℃程度の室温における粘度は20から100mPa・s程度のものが多い。液体洗剤は室温においては約100から300Pa・s程度、さらに氷点に近い低温における粘度は1000から1200mPa・sとなるものもあり、低粘度の柔軟剤から高粘度の液体洗剤までの粘度の相違は、約60倍にも及ぶ。
粘度の異なる液体洗剤や柔軟剤を自動供給する際に、供給量の目標値となる目標供給量は液体洗剤や柔軟剤の製品ごと、あるいは衣類の汚れ量などによって異なったものとなる。例えば標準的な洗濯工程に有する液体洗剤の目標供給量は、濃縮型洗剤と非濃縮型洗剤とでは大きく異なり、それぞれ製造業者や製品によっても異なる。柔軟剤の目標供給量も製品毎に異なる。
ここで、目標供給量を供給するまでにかかる供給時間は柔軟剤と液体洗剤とで同じである必要はないが、一方で、目標供給量に対しては精度よく供給したいので、供給モータ65a、65bに印加する電圧を一定とした条件で、粘度の大小にかかわらずギヤポンプ51から単位時間あたりの供給量が一定であることが望ましい。単位時間あたりの供給量が一定であれば、ギヤポンプ51の駆動時間を制御することで、目標供給量に対して精度良く洗剤ないし柔軟剤を供給できるためである。
しかし、搬送する液体の粘度の大小に応じてギヤポンプ51の特性は変化するから、単位時間あたりの供給量は一定にならず、粘度の大小に応じて変動する。
ここで、粘度の最も小さい柔軟剤から粘度の最も大きい液体洗剤までの粘度範囲において、単位時間あたり最大の供給量と最小の供給量との差を「供給量ばらつき」と称するものとする。
柔軟剤ないし液体洗剤の粘度を予め特定することはできないので、ポンプの望ましい特性としては、低粘度から高粘度の範囲において、「供給量ばらつき」が小さいことである。そのような供給精度を備えたギヤポンプ51と、ギヤポンプ51を駆動する減速手段66の好適な条件について説明する。
先に説明したように、供給モータ65a、65bは例えば駆動電圧が12V程度の直流ブラシモータであるとし、減速手段66によって減速してギヤポンプ51を回転させる。供給モータ65a、65bは所謂ステッピングモータやサーボモータのように、速度制御の可能なモータであってもよいが、これらは直流ブラシモータと比べて高価である。一般的な直流ブラシモータの回転速度と出力トルクとの関係について説明すると、一定の駆動電圧を印加した状態において回転速度は出力トルクに応じて変化する特性がある。すなわち、最高回転速度は出力トルクがゼロの空転時に得られ、出力トルクの増加とともに低速になり、回転速度がゼロとなって停止した時点で最大の出力トルクを生じる。すなわち、負荷トルクの増加に応じて回転速度は直線的に減少する特性をもつ。
このような特性を備えた直流ブラシモータでギヤポンプ51を回転駆動して洗剤ないし柔軟剤を供給すると、ギヤポンプ51による負荷トルクが一定であれば、供給モータ65a、65bは負荷トルクに応じた一定の回転速度で回転する。しかし、供給される液体洗剤ないし柔軟剤の粘度が異なる場合には粘性抵抗などが異なるために、供給モータ65a、65bの回転速度は変化する。
ギヤポンプ51の供給特性について、図34から図37を用いて説明する。
図34と図35に示すように、ギヤポンプ51を矢印方向に回転すると、ギヤポンプ51の駆動ギヤ51aおよび従動ギヤ51bの歯とギヤポンプ壁55との間の隙間に閉じ込められた液体洗剤ないし柔軟剤は、駆動ギヤ51aおよび従動ギヤ51bとともに回転し、吸入口48から供給管54ないし吐出口56に向けて搬送される。吸入口48側は低圧となってタンク32、33内から液体洗剤ないし柔軟剤を吸入し、供給管54側は高圧となって吐出口56に向けて液体洗剤ないし柔軟剤を搬送する。
ここで、駆動ギヤ51aと従動ギヤ51bとのギヤかみあい部52においては、駆動ギヤ51aないし従動ギヤ51bの側面と、対向する壁面との間に生じる側面すきまδを通って、高圧の供給管54側から低圧の吸入口48側に向けて破線矢印に示す方向の流れが生じる。この流れは吸込側から吐出側に搬送される液体洗剤ないし柔軟剤の流れに対しては逆流(以下、「側面もれ」と称する場合がある)であり、この逆流の多少が「供給量ば
らつき」に影響する。側面もれは、液体が側面すきまδを通りやすいほど大となるので、粘度が低いほど大なる傾向をもつ。
言うまでもなく逆流が少ないほど「供給量ばらつき」は減少するので、側面すきまδをできるだけ小さくすることが望ましいものの、高精度な部品を用いた高価な構成となる。
一方で、ギヤポンプ51やポンプケース49などの構成部品を樹脂で製作するものとすれば、例えば側面すきまδは0.1mm程度の隙間が必要となる。この隙間を介した側面もれは、液体の粘度が低いほど大となり、粘度が高いほど小となる傾向をもつ。側面もれが大であれば結果として吐出口56から吐出される供給量が減少するので、「供給量ばらつき」の増加を招く。
また、側面もれに対しては側面すきまδの影響が大であってギヤポンプ51の回転速度による影響は小さいので、側面すきまδが同一であれば、ギヤポンプ51を高速で回転して供給速度を増加するほど供給量に対する側面もれの割合は小となって「供給量ばらつき」は減少し、逆にギヤポンプ51を低速で回転して供給速度が低下するほど、側面もれの影響は大となって「供給量ばらつき」は増加する。
一方、吸入口48から吸入されて以降、供給管54を通過して吐出口56から吐出されるまでの液体の搬送経路には粘性抵抗が生じる。言うまでもなく、粘性抵抗は液体の粘度が低いほど小さく、粘度が高いほど大、となる傾向をもつ。先に説明したように、供給モータ65a、65bとして直流ブラシモータを用いると、負荷トルクの増加に応じて回転速度は直線的に減少する特性をもつので、液体の粘度が低いほどギヤポンプ51の回転速度は高速であり、粘度が高いほど回転速度は低下する傾向をもつ。回転速度が低下すれば、結果として吐出口56から吐出される液体量が減少するので、「供給量ばらつき」の増加を招く。
このように、側面すきまによって生じる逆流である側面もれは液体の粘度が低いほど大、粘性抵抗による回転速度の低下は液体の粘度が高いほど大、という互いに逆の傾向をもつ。
粘度の「供給量ばらつき」に対する影響を図36のグラフを用いてさらに詳しく説明する。図36(a)から(c)は、粘度ηによる側面もれと回転速度変動の影響を誇張して示した説明図である。
図36(a)から(c)の横軸は液体の粘度であり、一例として左端は粘度ηの小なる柔軟剤、一方右端は粘度ηが最大の、例えば液体洗剤を氷温近くまで冷却した場合を示す。
縦軸は供給量の比率を示しており、側面もれが無く、かつ粘性抵抗による回転速度の低下が無い理想状態を100%として、そこからの供給量の減少割合を示している。
図36(a)から(c)は、それぞれ供給モータ65a、65bは同一の出力特性を備えた直流モータであり、かつ側面すきまδは同一であるものとし、供給モータ65a、65bからギヤポンプ51に至るまでの減速比を互いに異なったものとしている。図中、破線は粘度による回転速度の変化傾向を示し、一点鎖線は側面もれによる供給量の低下傾向を示している。なお、図36(a)から(c)は、それぞれ減速比が異なるためにギヤポンプ51の回転速度はそれぞれ異なるので、単位時間あたりの供給量は互いに異なる。
ギヤポンプ51の供給量は、回転速度の低下特性と側面もれ特性との掛け算なので、実線に示すように、左端側の低粘度液体に対しては側面もれによる供給量低下が支配的であり、右端側の高粘度液体に対しては回転速度の低下による供給量低下が支配的であり、中間の粘度において供給量の極大値をもつ傾向を備える。したがって、供給量精度を表す指標として低粘度から高粘度までの全粘度範囲において、極大値を最大値とし、側面もれまたは回転速度の低下によって供給量が最小となる値を最小値とすれば、最大値と最小値の差が「供給量ばらつき」となる。言うもでもなく、「供給量ばらつき」が小なるほど供給
量精度が高い。
図36(a)は減速比を大とした場合であって、出力トルクは大きいので高粘度の液体に対してギヤポンプ51の回転速度の低下は少ないものの、回転速度は低速なので、低粘度の液体に対する側面もれは大となる。回転速度が低速なので、単位時間あたりの供給量は最も少ない。「供給量ばらつき」は、低粘度液体の供給量と、中間粘度の極大値との間に生じる。この(a)の特性は、低粘度液体の供給には適さず、高粘度液体の供給に適した供給特性である。
図36(c)は逆に減速比を小とした場合であって、出力トルクは小さいので高粘度の液体に対するギヤポンプ51の回転速度の低下は大なるものの、回転速度は高速なので、低粘度の液体に対する側面もれは小さい。回転速度が高速なので、単位時間あたりの供給量は最も多い。「供給量ばらつき」は、高粘度液体の供給量と、中間粘度の極大値との間に生じる。この(c)の特性は、高粘度液体の供給には適さず、低粘度液体の供給に適した供給特性である。
図36(b)は(a)(c)の中間の減速比とした場合であって、高粘度の液体に対するギヤポンプ51回転速度の低下と低粘度の液体に対する側面もれの影響が同程度であり、高粘度液体の供給量と低粘度液体の供給量とはほぼ等しくなり、「供給量ばらつき」は、高粘度液体ないし低粘度液体の供給量と、中間粘度の極大値との間に生じる。
このような特性とすれば、低粘度から高粘度の全範囲に対して「供給量ばらつき」を最も小さくすることができるので、供給精度を向上できて好適である。
図37は、横軸に減速比をとり、縦軸に「供給量ばらつき」をとった実測値の一例を示す説明図である。同一の供給モータ65a、65b(小型直流モータ)に対して、4種類の異なる減速比の減速手段66を介してギヤポンプ51を駆動し、低粘度の柔軟剤から、氷温に冷却した液体洗剤まで、粘度が約20から約1200mPa・sまでの粘度範囲における「供給量ばらつき」を減速比ごとに採取したものである。
減速比が20以下の低減速比の範囲においては低トルクであり、高粘度の洗剤に対してトルク不足のため、図36(c)にて説明したような、回転速度の低下による「供給量ばらつき」の増加が見られる。
減速比が30以上の高減速比の範囲においては高トルクではあるが回転速度が低速であり、低粘度の柔軟剤に対して速度不足となって、図36(a)にて説明したような、ギヤポンプ51の側面もれの増加による「供給量ばらつき」の増加が見られる。
一方、減速比が20から30の範囲においては、側面もれと回転速度の変動とが互いに打ち消しあって、「供給量ばらつき」は約10%程度とほぼ一定となり、粘度によらず供給精度を確保できる供給モータ65a、65bと減速比の組み合わせとなる。したがって、このような範囲に供給モータ65a、65bと減速手段66の減速比とを組み合わせることによって、高粘度液体の供給量と低粘度液体の供給量とはほぼ等しくなり、結果として「供給量ばらつき」を最も低減できるので、例えば粘度が約20から約1200mPa・sまでの柔軟剤から洗剤までを精度よく供給できる。換言すれば、液体の粘度によらず単位時間あたりの供給量が略一定となるので、供給モータ65a、65bの駆動時間を制御すれば、粘度の異なる洗剤ないし柔軟剤が所望量だけ精度よく供給される、という効果がある。
なお、洗剤用ポンプと柔軟剤用ポンプとで互いに減速比が異なる構成としてもよく、洗剤用ポンプは減速手段66を高減速比として高粘度液体の供給に適した低速で高トルクの特性とし、柔軟剤用ポンプは減速手段66を低減速比として低粘度液体の供給に適した高速で低トルクの特性とすることもできる。
または、洗剤用ポンプと柔軟剤用ポンプとでギヤポンプ51の側面すきまδを異なる構成としてもよい。洗剤用ポンプは側面もれが生じにくいので、精度が低い側面すきまδの大なるギヤポンプ51であってもよく、一方で側面もれが生じやすい柔軟剤用ポンプは精度が高い側面すきまδの小なるギヤポンプ51、としてもよい。
以上説明したように、供給される柔軟剤と液体洗剤の粘度の範囲において、供給モータ65a、65bと減速比とを適切に選択することによって「供給量ばらつき」を低減し、供給精度を向上できる、という効果がある。
〔第8の実施形態〕
第8の実施形態について図38を用いて説明する。
図38は第8の実施形態を示す洗剤タンク32、33の縦断面図を示す概略図である。ポンプ手段47に沿って上下に移動可能に支持された浮きであるフロート104を備え、フロート104の下面には磁石105を設ける。フロート104は、磁石105を含めて比重が1以下になるよう、材質と体積とを選択する。磁石は例えばフェライト磁石であり、比重は1より大なので、液体に浮かした際には磁石は下方を向く。フロート104を上下方向にのみ移動可能となるよう、上下に延伸したフロートガイド106をさらに設ける。
タンク収納容器34のうちフロート104の下面に対向した位置には磁気センサ107、例えばホールICやリードスイッチを設け、洗剤ないし柔軟剤の残量が減少し、液面がH1まで下降してフロート104がタンク底面46に近接する位置まで下降した際には磁力を検知してONとなり、残量がある程度以上、例えば液面がH2の際にはフロート104が上昇してOFFとなるように配置することで、洗剤ないし柔軟剤の残量が減少したことを検知できる。
〔第9の実施形態〕
第9の実施形態について図39を用いて説明する。図39(a)は洗剤ないし柔軟剤の残量少を検知した状態、図39(b)は洗剤ないし柔軟剤の残量は所定量より多、と検知した状態を示している。
第8の実施形態と異なるところは、フロート104をポンプ手段47に沿って上下に延伸した形状とし、フロート上端を延伸し延長ロッド108としてタンク32、33の上面を貫通するよう配置し、延長ロッド108の上端に磁石105を設け、タンク32、33の上方に配置された駆動手段62に設けた磁石105と対向した位置に磁気センサ107を配置した点である。
図39(a)に示すように、洗剤の残量が減少して液面がH1まで下降すると、フロート104は下降して磁石105は磁気センサ107から離れてOFFとなる。図39(b)に示すようにタンク32、33内に残量が十分にあり、液面がH2以上の場合にはフロート104は上昇して磁石105は磁気センサ107に当接してONとなる。磁気センサ107がOFFとなることで残量がわずかとなったことを検知できる。
第9の実施形態においては、磁気センサ107は駆動手段62内に配置されることから、洗濯機本体4から磁気センサ107への配線を供給モータ65a、65bへの配線とともに支軸穴42を通して配置できるので、洗濯処理液自動投入手段30に係る配線87を一箇所からのみに集約することができ、構成が簡素化できる、という利点がある。
〔第10の実施形態〕
第10の実施形態について図40を用いて説明する。図40は第10の実施形態を示す洗剤タンク32、33の縦断面図を示す概略図である。
タンク収納容器34の底面には荷重に応じた出力信号を出力する重量センサ109が配置されており、重量センサ109にタンク32、33を載置して、重量センサ109の出力信号によってタンク自体とタンク内部の洗剤の合計重量を検出できる構成である。測定された洗剤ないし柔軟剤とタンクとの合計重量と、予め測定されたタンク自体の重量との差から、洗剤ないし柔軟剤の重量を測定することができる。測定された洗剤ないし柔軟剤の重量が所定の値よりも小であれば、残量少と判断することができる。
以上説明したように、第8の実施形態から第10の実施形態において、洗剤ないし柔軟剤の残量が少なくなったことを検知することができる。
〔第11の実施形態〕
次に、第11の実施形態について図41と図42を用いて説明する。図41は第7の実施形態から第10の実施形態に係る洗濯機の制御回路の構成を示すブロック図、図42は制御フローチャートであり、第7の実施形態から第10の実施形態に係る洗濯機の制御構成を示す。
図41に示すブロック図が、図15に示す第1の実施形態に係るブロック図と異なるのは、供給モータ65は1式ではなく、洗剤供給モータ65aと柔軟剤供給モータ65bの2式を備えており、それぞれの供給モータ65a、65bに対応した駆動回路154を備えていることである。
また、洗剤残量検出手段79a、柔軟剤残量検出手段79bとしては、第8の実施形態から第10の実施形態にて説明した構成であってもよい。
図42に示す制御フローチャートが図16に示した第1の実施形態に係る制御フローチャートと異なるのは、ステップS109にて洗剤自動投入が設定されているか否かで処理を分岐した後、ステップS110にて洗剤供給モータ65aを正転させて洗剤を供給する直前に、ステップS109aにて洗剤供給モータ65aを逆転させて初期化動作を行うことと、ステップS116にて柔軟剤供給モータ65bを正転させて柔軟剤を供給する直前に、ステップS116aにて柔軟剤供給モータ65bを逆転させて初期化動作を行うことである。
次に、供給モータ65a、65bを駆動してポンプ手段47を駆動してタンク32、33の内部から洗剤ないし柔軟剤の供給を開始する際の初期化動作について説明する。
まず、前回の洗濯を行って供給動作を終了した時点において、洗剤ないし柔軟剤を所定量供給した後に供給モータ65a、65bを停止するので、洗剤ないし柔軟剤はタンク32、33内の液面から吐出口56に至るまで、供給管54の内部を満たしている状態であるが、その後、徐々に吐出口56から供給管54内に外気が侵入して、供給管54内の液面は、タンク32、33内の液面と同じ高さまで下降しているかもしれず、どのような状態になっているかを判定することはできない。
洗剤ないし柔軟剤の液面はタンク32、33内の残量によって高さが異なるから、供給管54内に残留している洗剤ないし柔軟剤の体積は、最小ではゼロに近く、最大では供給管54を満たす量との間でばらつく。すなわち、ギヤポンプ51は所定量を供給したとしても、吐出口56から供給される供給量は供給管54内に残留している洗剤ないし柔軟剤の多少によって変動するので、供給量精度が低下する、という問題がある。
先に説明したように、洗剤を所定の量だけ供給する場合には、例えば供給モータ65に印加する電圧を一定として供給モータ65の回転速度を定め、供給モータ65の駆動時間を所定時間に調整することによってギヤの回転数を所定値として、所望量の洗剤を供給することができる構成である。ここで、供給管54の内部が洗剤ないし柔軟剤で満たされている場合には、投入領域39に所望量が供給されるが、供給管54の内部に空気が入って液面が下降した状態の場合には、供給管54内が満たされるまで洗剤ないし柔軟剤は供給されないから、吐出口56から投入領域39に供給される供給量は、ギヤポンプ51から供給管54に対して供給される量から供給管54内が満たされるまでの量を差し引いた量となる。
ところで、供給管54内が満たされるまでの量が一定量であると予め判明している場合には、所望量に対してその一定量を加えてギヤポンプ51から供給すれば、所望量が吐出口56から投入領域39に供給される。そこで、洗剤ないし柔軟剤を供給する前に供給モータ65a、65bを一旦逆回転させることで、ギヤポンプ51を逆転して供給管54内の洗剤ないし柔軟剤を全てタンク32、33内部まで逆流させる。すると液面はギヤポンプ51の高さ、すなわちタンク32、33の底面近傍まで下降するので、しかる後に供給モータ65a、65bを正転させれば、毎回、供給管54内に洗剤ないし柔軟剤が入っていない状態から供給動作を開始できる。
ここで、逆転動作時には供給管54の内部から洗剤ないし柔軟剤をタンク32、33内に全て逆流させると確実に供給管54内の液面高さをギヤポンプ51の高さまで下降できるので、ギヤポンプ51を逆転動作する動作量を供給管54内の体積よりも大、となるように定めることが供給量の精度を向上するのに効果的である。
上記にて説明したように、ギヤポンプ51を一旦逆転して供給管54内の洗剤ないし柔軟剤を空にする動作を、「初期化」と称する場合がある。
ステップ108にて洗剤ないし柔軟剤の供給量を設定する際に、所望量に対して供給管54内の体積を加算することによって、吐出口56から投入領域39に供給される供給量を所望量に近づけることができ、供給量の誤差を低減して、精度よく洗剤ないし柔軟剤を供給できる。
ここで説明した「初期化」動作は、洗剤ないし柔軟剤の供給が完了した時点で行ってもよいし、あるいは洗剤ないし柔軟剤を供給する直前に行ってもよい。
供給直後に逆転させて液面を下降させた場合には、次回の洗濯開始までに例えば1日程度の時間が空くので、その間に徐々にギヤポンプ51の隙間から洗剤ないし柔軟剤が微量ずつ供給管54内に入り込んで、液面高さはタンク内部の液面高さと等しくなるまで上昇する場合がある。
一方で、洗剤ないし柔軟剤を供給する直前に「初期化」動作を行えば、ギヤポンプ51を逆転して供給管54内部を空にした直後に供給動作を行うことができるので、供給動作の開始時点の状態が常に一定となるので、さらに供給量の誤差を低減することができ、精度よく洗剤ないし柔軟剤を供給できるので好適である。
ここで、粘度の最も小さい柔軟剤から粘度の最も大きい液体洗剤までの粘度範囲において、単位時間あたり最大の供給量と最小の供給量との差である「供給量ばらつき」を最小として、粘度によらず一定の供給量を供給する構成が望ましい。
またさらに、洗剤ないし柔軟剤を補充する際、ないし清掃のためタンク32、33を取り外す際には、タンク蓋体31とともに駆動手段62を後方に開放する構成としているため、開放された駆動手段62の前面にはカップリング61を介してポンプ手段47に駆動力を伝達するカップリング受け部64が露出する。カップリング受け部64に洗剤ないし柔軟剤がかかると、カップリング受け部64の外周の隙間から駆動手段62の内部に侵入したり、あるいは固着して駆動力の伝達を阻害する、という課題がある。
〔第12の実施形態〕
次に、図43から図44により、第12の実施形態について説明する。図43は第12の実施形態に係る洗濯処理液自動投入手段の構成を示す斜視図であり、タンク蓋体31を開放した状態である。図44は概略縦断面図であり、図44(a)はタンク蓋体31を閉じた状態、図44(b)はタンク蓋体31を開閉途中の状態、図44(c)はタンク蓋体31を開放した状態である。
第12の実施形態が第7の実施形態と異なるところは、駆動手段62に設けられたガイド溝117に沿って移動可能に支持され、駆動手段62のカップリング受け部64に向いた側の面に沿って開閉自在なスライドカバー110を設け、タンク蓋体31とともに駆動手段62を開放した際に、スライドカバー110がカップリング受け部64を覆うよう構成したことである。
カップリング受け部64は、駆動手段62からの駆動力をカップリング61に伝達する駆動力の伝達部材なので、回転軸やカップリング受け部64の外周の隙間から駆動手段62の内部に洗剤や柔軟剤が侵入すると、固着するなどして駆動力伝達の妨げとなる場合がある。そこで、タンク蓋体31を開放した際にはカップリング受け部64に洗剤や柔軟剤がかからないよう、カバーすることが好ましい。
スライドカバー110は駆動手段62の左右側面に設けられたガイド溝117に沿って矢印方向に摺動自在に支持されており、スライドカバー110の左右両端に設けられた連結部111の一端を介して回転自在なアームである連結リンク112が軸支されている。連結リンク112の他端はタンク収納容器34に設けられた連結リンク支点113に回動自在に軸支されており、タンク蓋体31の開閉動作と連動してスライドカバー110がガイド溝117に沿って移動する。
図44によりその動作を説明すると、図44(a)に示す、タンク蓋体31が閉じた状態において、スライドカバー110は前方に向けて移動した位置にあり、カップリング受け部64はスライドカバー110に覆われることなく、タンク32、33に設けられたカップリング61と嵌合して、カップリング受け部64からカップリング61に動力を伝達することができる。
図44(b)に示すタンク蓋体31の開き動作途中においては、連結リンク112の作用によってスライドカバー110は蓋体支点42aに近接する方向、すなわち、カップリング受け部64覆う方向に移動する。
図44(c)に示す、タンク蓋体31の開放状態では、スライドカバー110はカップリング受け部64を覆う位置となる。図43ないし図44(c)の状態では、カップリング受け部64はスライドカバー110によって覆われるために、タンク32、33の着脱時や、あるいは洗剤ないし柔軟剤を補充する際に、カップリング受け部64に洗剤ないし柔軟剤が付着することを防止できるので好適である。
〔第13の実施形態〕
図45により、第13の実施形態について説明する。図45は第13の実施形態に係る洗濯処理液自動投入手段の構成を示す概略縦断面図であり、図45(a)はタンク蓋体31を閉じた状態、図45(b)はタンク蓋体31を開閉途中の状態、図45(c)はタンク蓋体31を開放した状態である。
第12の実施形態との相違は、スライドカバー110のかわりに、タンク蓋体31に設けられた揺動カバー支点114のまわりに回動自在に軸支された揺動カバー115を備えたことである。さらに、一端をタンク収納容器34に設けられた連結リンク支点113のまわりに回転自在に軸支され、他端を連結部111において揺動カバー115と回転自在に軸支された連結リンク112を備え、タンク蓋体31の開閉動作に連動して揺動カバー115を開閉するよう構成したことである。
図45(a)に示す、タンク蓋体31が閉じた状態において、揺動カバー115は前方に向けて回動した位置にあり、カップリング受け部64は揺動カバー115に覆われることなく、タンク32、33に設けられたカップリング61と嵌合して、カップリング受け部64からカップリング61に動力を伝達することができる。
図45(b)に示すタンク蓋体31の開き動作途中においては、連結リンク112の作用によって揺動カバー115は蓋体支点42aに近接する方向、すなわちカップリング受け部64を覆う方向に回動する。図45(c)に示す、タンク蓋体31の開放状態では、揺動カバー115はカップリング受け部64を覆う位置となり、第12の実施形態と同様に、カップリング受け部64への洗剤ないし柔軟剤の付着を防止できるので好適である。
ここで、粘度の最も小さい柔軟剤から粘度の最も大きい液体洗剤までの粘度範囲において、単位時間あたり最大の供給量と最小の供給量との差である「供給量ばらつき」を最小として、粘度によらず一定の供給量を供給する構成が望ましい。
またさらに、洗剤ないし柔軟剤を供給した後、ポンプ手段47内部に残留した洗剤ないし柔軟剤の量が異なる場合があるので、その量の相違によって供給量に誤差が生じる、という課題がある。
〔第14の実施形態〕
図46により、第14の実施形態について説明する。図46は、洗濯機の動作を示す制御フローチャートである。
ステップS101
洗濯乾燥機の状態確認及び初期設定を行う。
ステップS102
操作パネル106の表示器114を点灯し、図示しない操作ボタンスイッチからの指示入力にしたがって、洗剤および柔軟剤を自動投入するか否かを設定する。自動投入を設定した場合は以下の洗濯工程で洗剤および柔軟剤を自動投入する。一方、自動投入を設定しなかった場合には、洗剤および柔軟剤を使用者が手動で洗剤投入口25に投入し、洗剤および柔軟剤の供給モータ65は駆動しない。
ステップS103
操作パネル106の図示しないスタートスイッチからの指示入力を監視して処理を分岐する。
ステップS104
洗剤自動投入が設定されているか否かで処理を分岐する。
ステップS105
洗剤自動投入が設定された場合には、洗剤残量検出手段79aの出力に基づいて洗剤の残量を確認し、処理を分岐する。
ステップS106
洗剤自動投入が設定された場合には、柔軟剤残量検出手段79bの出力に基づいて柔軟剤の残量を確認し、処理を分岐する。
ステップS107
回転ドラム20を回転させ、その際にモータ8を駆動するに要する電流値からモータ8に生じる回転駆動トルクを測定して回転ドラム20に投入された布量を判定する。
ステップS108
布量の判定値に基づいて、洗剤、および柔軟剤の供給量を設定する。
ステップS109
給水電磁弁116を開いて給水を行い、第一の洗剤供給管14を経由して水槽17の内部に供給する。洗剤投入口25に手動で洗剤投入されていた場合は、手動投入された洗剤は水に溶けながら水槽17内部に洗剤液となって供給される。
ステップS110
水槽17内部に手動で洗剤が投入されたか、すなわち洗剤投入口25から手動で洗剤が投入されたか否かを判定する。これは、電極センサ93で検出された電導度から判定する。
本処理はステップS109の給水実施中に行うことで、運転時間を短縮できる。
ステップS111
洗濯処理液自動投入手段30による洗剤自動投入が設定されているか否かで処理を分岐する。
ステップS112
洗剤投入口25からの手動での洗剤投入されていない場合であって、洗剤自動投入がオン設定されている場合、供給モータ65を正転方向に所定時間駆動して洗剤タンク32内の洗剤を投入領域39内に所定量供給する。洗剤自動投入が設定されていない場合には、このステップを実行しない。ステップS109の給水実施中に行うことで、投入領域39に供給された洗剤は水に溶けながら水槽17内部に供給される。
ステップS113
洗剤投入口25からの手動での洗剤投入されていない場合であって、洗剤自動投入がオフ設定されている場合には、洗剤自動投入をオン設定に変更し、供給モータ65を正転方向に所定時間駆動して洗剤タンク32内の洗剤を投入領域39内に所定量供給する。
ステップS114
洗剤投入口25からの手動での洗剤投入されている場合であって、洗剤自動投入がオン設定されている場合、洗剤自動投入をオフ設定に変更し、洗濯処理液自動投入手段30による洗剤自動投入を行わない。
ステップS112−1
水槽17内部に洗剤が投入されたか否かを判定する。これは、電極センサ93で検出された電導度から判定する。
ステップS112−2
S112−1の判定結果が否の場合、すなわち、洗剤が水槽17内に供給されていない場合は、洗剤タンク32内に洗濯液の残量がまだあるにも関わらず、洗濯処理液自動投入手段30が正常に動作していないと判断できる(洗濯処理液自動投入手段異常)。洗濯処理液自動投入手段異常を判断した場合は、例えば、ユーザにアラーム報知し、手動洗剤投入を促すことで、洗浄不十分で洗濯終了することを回避できる。また、アラーム報知中に洗剤手動投入待機時間を設けてもよい。
ステップS115
洗濯工程を実行し、終了後に排水弁8を開いて洗濯水を排水した後、回転ドラム20を高速で回転して遠心脱水を行う。
ステップS116
給水電磁弁116を開いて給水を行い、すすぎ水を水槽17の内部に供給する。
ステップS117
すすぎ工程を実行し、終了後に排水弁8を開いてすすぎ水を排水した後、回転ドラム20を高速で回転して遠心脱水を行う。
ステップS118
水槽17内部に手動で柔軟剤が投入されたか、すなわち洗剤投入口25から手動で洗剤が投入されたか否かを判定する。これは、電極センサ93で検出された電導度から判定する。
ステップS119
洗濯処理液自動投入手段30による柔軟剤自動投入が設定されているか否かで処理を分岐する。本処理はステップS116の給水実施中に行うことで、運転時間を短縮できる。
ステップS120
洗剤投入口25からの手動での柔軟剤投入されていない場合であって、柔軟剤自動投入がオン設定されている場合、供給モータ65を逆転方向に所定時間駆動して柔軟剤タンク33内の柔軟剤を投入領域39内に所定量供給する。柔軟剤自動投入が設定されていない場合には、このステップを実行しない。ステップS116の給水実施中に行うことで、投入領域39に供給された柔軟剤は水に溶けながら水槽17内部に供給される。
ステップS121
洗剤投入口25からの手動での柔軟剤投入されていない場合であって、柔軟剤自動投入がオフ設定されている場合には、柔軟剤自動投入をオン設定に変更し、供給モータ65を正転方向に所定時間駆動して洗剤タンク32内の洗剤を投入領域39内に所定量供給する。
ステップS122
洗剤投入口25からの手動での柔軟剤投入されている場合であって、柔軟剤自動投入がオン設定されている場合、柔軟剤自動投入をオフ設定に変更し、洗濯処理液自動投入手段30による柔軟剤自動投入を行わない。
ステップS120−1
水槽17内部に柔軟剤が投入されたか否かを判定する。これは、電極センサ93で検出された電導度から判定する。
ステップS120−2
ステップS120−1の判定結果が否の場合、すなわち、柔軟剤が水槽17内に供給されていない場合は、洗剤タンク32内に洗濯液の残量がまだあるにも関わらず、洗濯処理液自動投入手段30が正常に動作していないと判断できる(洗濯処理液自動投入手段異常)
。洗濯処理液自動投入手段異常を判断した場合は、ユーザにアラーム報知し、手動柔軟剤投入を促すことで、柔軟剤効果不十分で洗濯終了することを回避できる。また、アラーム報知中に柔軟剤手動投入待機時間を設けてもよい。
ステップS124
最終すすぎ工程を実行し、終了後に排水弁8を開いてすすぎ水を排水する。
ステップS125
回転ドラム20を高速で回転して最終脱水を行う。
ステップS126
一連の洗濯工程を終了する。
以上のように、洗濯処理液自動投入手段によって供給された洗剤や柔軟剤が正しく水槽17内に供給されたことを、電極センサ93により確認することで、洗濯処理液自動投入手段30に異常が発生しているか判断できる。このとき、供給モータ65の電流値が規定値を超えているか検知することで、ギヤポンプ51に異常があるか判断できる。たとえば、ギヤポンプ51に異物が噛みこんでいる場合は供給モータの駆動トルクが増大し、電流値が増加する。
また、上記実施例はドラム式洗濯機を例に説明したが、本発明はこれに限られず、タテ型洗濯機に適用出来得る。
<効果>
以上の説明のように、供給モータ65a、65bとして直流ブラシモータを用い、供給モータ65a、65bからギヤポンプ51までの減速比を適切に設定することにより、安価な構成でありながら、粘度の最も小さい柔軟剤から粘度の最も大きい液体洗剤までの粘度範囲において、単位時間あたり最大の供給量と最小の供給量との差である「供給量ばらつき」を最小として、粘度によらず略一定の供給量を供給できる効果がある。
さらに、洗剤ないし柔軟剤を供給する際に、ギヤポンプ51を一旦逆転して供給管54内の洗剤ないし柔軟剤を空にする「初期化」動作を行ってから供給動作を行うことにより、ポンプ手段47内部に残留した洗剤ないし柔軟剤の量が異なった場合でも、略一定の供給量を供給できる、という効果がある。
またさらに、駆動手段62のカップリング受け部64側にスライドカバー111ないし揺動カバー115を設けることにより、カップリング受け部64への洗剤ないし柔軟剤の付着、ないしカップリング受け部64の外周の隙間から駆動手段62内部への侵入や固着を防止して、駆動力の伝達が阻害されることを防止する効果がある。
上記機能を有する洗濯機及び洗濯乾燥機の実装状態として、洗濯処理液自動投入手段30は本体上部に配置する。その理由としては洗濯機の給水栓7は本体上部にあり、その給水栓7周辺に給水手段93を配置しているからである。また、洗濯運転時に使用する洗剤及び柔軟剤の洗剤投入口25も本体上部に配置して、顧客の操作性を考慮している。更に洗濯処理液自動投入手段30で用いる洗剤及び柔軟剤のタンクがあるが、顧客が洗剤及び柔軟剤の補充動作、タンクを取り外しての清掃等、顧客操作の観点からも本体上部に配置することが望ましい。また、顧客が操作する洗剤や柔軟剤を入れる洗剤投入口25と、洗剤や柔軟剤を補充したりするタンクが近い位置にあることで分かりやすい配置になっている。
本体上部には給水手段93、洗濯処理液自動投入手段30、洗剤投入口25をそれぞれ配置するが、その配置は本体正面から、洗剤投入口25、洗濯処理液自動投入手段30、給水手段93の順に配置をする。その理由は顧客の操作頻度からで、毎回使用する可能性が高い洗剤投入口25を顧客から一番近い位置に配置する。次にタンクに一度補充をしたら暫く触れない洗濯処理液自動投入手段30を配置する。最後に一度取付を行ったあとは滅多に触れない給水ホースを有する給水手段93を配置する。
上記配置にした場合に、給水手段93から洗剤投入口25に給水するために接続するホースは、洗濯処理液自動投入手段30を回避して接続する必要がある。その回避するルートとしてタンク収納容器の側面部を通す。その際にタンク収納容器からはホースが動かないように取付を可能とする固定形状を設けて、しっかりと固定を行う。
洗濯処理液自動投入手段30はタンクに洗剤及び柔軟剤を補充した際にユニットと液体の重さで大きな荷重を支える必要がある。そこで洗濯処理液自動投入手段30は固定ステー94の上に置くように配置する。その際に固定ステー94だけではなく、外枠などの他の強度部品とも合わせて固定する。そうすることで、洗濯処理液自動投入手段30全体を強度部品で支えることが可能になる。固定ステー94はや外枠は強度部品になり、主に鉄板やエンプラ等で形成されるので強度が足りないことはないと考える。また、製造の組立工程や修理する際の分解作業において、ユニットを本体上面から取付及び取外しができるようにすることで作業効率が向上する。
次に図47を用いて説明する。給水の配管接続は給水電磁弁に各弁から分岐をするために水路分岐部品119を取り付ける。この水路分岐部品119は、それぞれの弁と接続する際に、各部屋に漏れないように内部で仕切りがある。このとき洗剤を流す弁と柔軟材を流す弁は、洗濯槽の蒸気が洗剤投入口25に逆流しないように逆止弁の上流に接続している。洗剤を流す弁は洗濯槽の水を溜める際にも使用する弁で、他の弁よりも流量が多いので、流路を分岐して各場所に流すのに最適である。洗剤を流す弁から水路分岐部品119にて三方向に分岐を行う。一つ目は洗剤投入口25に接続して、粉末及び液体洗剤を流すために配管210を使用する。二つ目は給水手段93に搭載している風呂水ポンプの呼び水用の風呂水ポンプ給水経路200で使用する。三つ目はタンク収納容器に接続する第二の給水管40と接続する際に使用する。この分岐を行うことで、洗濯槽に給水動作を行う度に第二の給水管40からも給水することで、常にタンクにある供給管を洗浄することが可能になる。洗浄用として専用弁を設ける必要もなく、給水動作と同じ工程で対応可能になるため、最小限の配管構成で運転時間を長くならないように対応可能になる。また、給水吐出管をタンク収納容器の後方に配置することで、水路分岐部品119との距離を縮めて、第二の給水管40を短くすることが可能になる。
この三分岐を行う際に、配管内部の残水を無くすために、各配管で高低差を付けるようにしている。洗剤投入口25に通す配管210が一番高くて、次に風呂水ポンプ200の呼び水用配管、タンク収納容器に接続する配管を一番低くしている。タンクの吐出口の位置関係からタンク収納容器に接続する配管が一番低い位置になる。
タンク収納容器において、洗剤及び柔軟剤のタンク収納領域は、タンクを収納した際に蓋にあるカップリングと勘合しやすくするために位置決め形状を持つ。タンクを収納領域に取り付けたときに、収納領域内面に位置決めようのリブを立てる。これにより前後、左右の位置を決めることが可能になる。また、このリブは上側に面取り形状があり、タンクを収納する際に引っかかり難くして、呼び込むようにしてスムーズに収納できるようにしてある。
この位置決めは必ず収納容器側にある必要はなく、タンク側から位置決めをしても構わない。また、位置決めに関してはリブ形状に限らず、ピンと穴形状等の他方法でも構わない。
タンクを取り出す際にタンク把手を持つ構成にしているが、初期状態においてタンク把手はタンク側面に収容された状態にある。そこでまずタンク把手を持ち上げる必要がある。そこでタンク収納容器にあるタンク収納領域外周部に凹部を作り、タンク把手を掴めるようにする。顧客は洗濯機前面から操作するため、凹形状をタンク収納容器の前面側に形成した。但し、タンク把手や、タンクの置き方により凹形状を付ける向きは、その都度最適な方向にすれば良い。