JP2019153772A - リアクトル - Google Patents
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Abstract
Description
上述のようにコイルが樹脂モールド部から露出されていれば、例えばコイルの巻回部が液体冷媒やファンからの風に直接接触できて、放熱性に優れる。また、リアクトルの設置対象自体が冷却機構を備えていたり、設置対象とは独立して冷却機構を備えていたりする場合には、コイルの巻回部を設置対象や冷却機構に近接できて放熱性に優れる。しかし、大電流化に伴うコイルや磁性コアの高温化、リアクトルの小型化に伴う放熱面積の縮小等の理由により、放熱性により優れるリアクトルが望まれる。
巻回部を有するコイルと、
前記巻回部内に配置される内側コア部と、前記巻回部外に配置される外側コア部とを含む磁性コアと、
前記巻回部と前記内側コア部との間の少なくとも一部に充填される内側樹脂部と、前記外側コア部の少なくとも一部を覆う外側樹脂部とを含む樹脂モールド部とを備え、
前記巻回部と前記内側コア部との間隔が前記巻回部の周方向に異なっており、
前記間隔が最も狭い箇所に介在される電気絶縁材と、前記間隔が最も広い箇所に介在され、前記内側樹脂部の一部をなす厚肉部とを備え、
前記電気絶縁材の熱伝導率をλ1、前記最も狭い箇所の間隔をt1、前記熱伝導率λ1に対する前記間隔t1の比率を(間隔t1/熱伝導率λ1)とし、
前記厚肉部の熱伝導率をλ2、前記最も広い箇所の間隔をt2、前記熱伝導率λ2に対する前記間隔t2の比率を(間隔t2/熱伝導率λ2)とし、
(間隔t1/熱伝導率λ1)<(間隔t2/熱伝導率λ2)を満たす。
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係るリアクトルは、
巻回部を有するコイルと、
前記巻回部内に配置される内側コア部と、前記巻回部外に配置される外側コア部とを含む磁性コアと、
前記巻回部と前記内側コア部との間の少なくとも一部に充填される内側樹脂部と、前記外側コア部の少なくとも一部を覆う外側樹脂部とを含む樹脂モールド部とを備え、
前記巻回部と前記内側コア部との間隔が前記巻回部の周方向に異なっており、
前記間隔が最も狭い箇所に介在される電気絶縁材と、前記間隔が最も広い箇所に介在され、前記内側樹脂部の一部をなす厚肉部とを備え、
前記電気絶縁材の熱伝導率をλ1、前記最も狭い箇所の間隔をt1、前記熱伝導率λ1に対する前記間隔t1の比率を(間隔t1/熱伝導率λ1)とし、
前記厚肉部の熱伝導率をλ2、前記最も広い箇所の間隔をt2、前記熱伝導率λ2に対する前記間隔t2の比率を(間隔t2/熱伝導率λ2)とし、
(間隔t1/熱伝導率λ1)<(間隔t2/熱伝導率λ2)を満たす。
(a)コイルの巻回部の外周面が樹脂モールド部に実質的に覆われずに露出されている。そのため、例えば巻回部が液体冷媒やファンからの風に直接接触できたり、巻回部を冷却機構自体、又は冷却機構を備える設置対象に近接できたりする。従って、放熱効率に優れる。
上記相対的に狭い箇所の少なくとも一部を、巻回部の外周面において以下の放熱箇所に対応する位置に設ければ、内側コア部から巻回部の放熱箇所までの距離が短いといえる。そのため、内側コア部から巻回部に効率よく放熱できる。上記巻回部の放熱箇所とは、巻回部において、上述の液体冷媒等の流体冷媒が直接接触し得る箇所や、上述の設置対象又は冷却機構に近接して配置される箇所等が挙げられる。
例えば、電気絶縁材の熱伝導率λ1が厚肉部の熱伝導率λ2よりも大きければ、電気絶縁材は厚肉部よりも熱伝導性に優れる。熱伝導率の大小関係と、間隔t1,t2の大小関係との双方から、放熱性により優れる。なお、この場合には、(間隔t1/熱伝導率λ1)は(間隔t2/熱伝導率λ2)よりも確実に小さい。
前記巻回部と前記内側コア部との間隔が相対的に狭い箇所の少なくとも一部に充填され、前記内側樹脂部の他部をなす薄肉部を含む形態が挙げられる。
前記間隔が相対的に狭い箇所に前記電気絶縁材と前記薄肉部とを備える形態が挙げられる。
前記最も狭い箇所の間隔t1は、前記最も広い箇所の間隔t2の50%以下である形態が挙げられる。
前記巻回部は四角筒状であり、前記内側コア部は四角柱状であり、
前記巻回部と前記内側コア部との間隔が相対的に狭い箇所は、前記巻回部の内周面の一面と前記内側コア部の外周面の一面とに挟まれる平板状の箇所を含む形態が挙げられる。
前記電気絶縁材の熱伝導率λ1は、前記厚肉部の熱伝導率λ2よりも高い形態が挙げられる。
前記電気絶縁材は、絶縁紙及び絶縁フィルムの少なくとも一方を含む形態が挙げられる。
前記電気絶縁材は、前記内側樹脂部の構成樹脂と同じ樹脂を含む成形体を備える形態が挙げられる。
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
主に図1〜図3を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
図2Aは、リアクトル1をコイル2の軸方向に直交する平面で切断した横断面図である。図2Aでは、コイル2の巻回部2a,2b、内側コア部31a,31b、電気絶縁材7及び内側樹脂部61のみを示す。この点は、後述する図4A,図5も同様である。
図2Bは、図2Aと同じ図であり、巻回部2aと内側コア部31aとの間隔、巻回部2bと内側コア部31bとの間隔を説明する説明図である。
以下の説明では、図1,図2,図4,図5の紙面下側をリアクトル1の設置側として説明する。この設置方向は例示であり、適宜変更できる。
また、以下の説明では、設置対象100側を下側と呼び、設置対象100とは反対側を上側と呼ぶことがある。巻回部2a,2bが近付く側を内側と呼び、巻回部2a,2bが離れる側を外側と呼ぶことがある。
〈概要〉
実施形態1のリアクトル1は、図1に示すように、巻回部を有するコイル2と、巻回部内外に配置される磁性コア3と、磁性コア3の少なくとも一部を覆う樹脂モールド部6とを備える。本例のコイル2は一対の巻回部2a,2bを有する。各巻回部2a,2bは各軸が平行するように横並びに配置される。磁性コア3は、巻回部2a,2b内にそれぞれ配置される内側コア部31a,31bと、巻回部2a,2b外に配置される二つの外側コア部32,32とを含む。この磁性コア3は、横並びされる内側コア部31a,31bを挟むように二つの外側コア部32,32が配置されて、環状の閉磁路を形成する。樹脂モールド部6は、内側樹脂部61,61と(図2Aも参照)、外側樹脂部62,62とを含む。一方の内側樹脂部61は、一方の巻回部2aと一方の内側コア部31aとの間の少なくとも一部に充填される。他方の内側樹脂部61は、他方の巻回部2bと他方の内側コア部31bとの間の少なくとも一部に充填される。各外側樹脂部62,62は、各外側コア部32,32の少なくとも一部を覆う。この樹脂モールド部6は、各巻回部2a,2bの外周面を覆わずに露出させる。このようなリアクトル1は、代表的には、コンバータケース等の設置対象100(図2A)に取り付けられて使用される。
以下、構成要素ごとに詳細に説明する。
本例のコイル2は、巻線が螺旋状に巻回されてなる筒状の巻回部2a,2bを備える。横並びされる一対の巻回部2a,2bを備えるコイル2として、以下の形態が挙げられる。
(i)独立した2本の巻線2w,2wによってそれぞれ形成される巻回部2a,2bと、以下の接続部とを備える形態(本例、図1)。接続部は、巻回部2a,2bから引き出される巻線2w,2wの両端部のうち、一方の端部同士を接続する。
(ii)1本の連続する巻線から形成される巻回部2a,2bと、巻回部2a,2bを連結する連結部とを備える形態。連結部は、巻回部2a,2b間に渡される巻線の一部からなる。
いずれの形態も、各巻回部2a,2bから引き出される巻線の端部((i)では接続部に用いられていない他方の端部)は、電源等の外部装置が接続される箇所として利用される。形態(i)の接続部は、巻線2w,2wの端部同士が直接的に接続される形態と、間接的に接続される形態とが挙げられる。直接的な接続には、溶接や圧着等が利用できる。間接的な接続には、巻線2wの端部に取り付けられる適宜な金具等を利用できる。
本例の磁性コア3は、二つの柱状の内側コア部31a,31bと、二つの柱状の外側コア部32,32とを備える。更に、本例の磁性コア3は、内側コア部31a,31bの端面31e,31e(図3)と外側コア部32の連結面32e(図3)との間にギャップ材(図示せず)を備える。このギャップ材は、樹脂モールド部6の構成樹脂からなる。
本例の内側コア部31a,31bはいずれも、図3に示すように一つの柱状のコア片からなる。各コア片は、同一形状、同一の大きさである。また、各コア片は、端面31eが正方形状である直方体状である。各コア片の外周形状は、巻回部2a,2bの内周形状に概ね相似である。各コア片の角部は、C面取りされている。そのため、各コア片は角部が欠け難く、強度に優れる。各コア片の角部がR面取りされた形態としてもよい(後述の図4A参照)。
上述のコア片は、軟磁性材料を主体とする成形体等が挙げられる。軟磁性材料は、鉄や鉄合金(例、Fe−Si合金、Fe−Ni合金等)といった金属、フェライト等の非金属等が挙げられる。上記成形体は、圧粉成形体、複合材料の成形体、軟磁性材料からなる板の積層体、焼結体等が挙げられる。圧粉成形体は、軟磁性材料からなる粉末や更に絶縁被覆を備える被覆粉末等が圧縮成形されたものである。複合材料の成形体は、軟磁性粉末と樹脂とを含む流動性の混合体を固化させたものである。積層体は、電磁鋼板等の板材が積層されたものである。焼結体は、フェライトコア等が挙げられる。内側コア部31a,31bの構成材料と外側コア部32の構成材料とが等しい形態、又は異なる形態のいずれも利用できる。
以下、主に図2Bを参照して、巻回部2a,2bと内側コア部31a,31bとの間隔について説明する。
本例では、コイル2の一方の巻回部2aと磁性コア3の一方の内側コア部31aとの間隔に関する事項は、他方の巻回部2bと他方の内側コア部31bとの間隔に関しても実質的に同じである。そのため、以下、巻回部2a及び内側コア部31aを例にして説明する。なお、巻回部2aと内側コア部31aとの間隔及び後述の介在物と、巻回部2bと内側コア部31bとの間隔及び後述の介在物とを異ならせることもできる。
間隔gueが最大である。
間隔gdが最小である。
また、昇順で、間隔gi,go、間隔gde、間隔guである。つまり、リアクトル1は、間隔gd<間隔gi,go<間隔gde<間隔gu<間隔gueを満たす。
間隔guが間隔gueの80%以上100%未満である。
間隔gdeが間隔gueの70%以下である。
間隔gi,goが間隔gueの60%以下である。間隔giと間隔goとは等しい。
上述の間隔の最小値である間隔gdが間隔gueの40%以下である。
本例のリアクトル1は、コイル2の巻回部2a,2bと磁性コア3との間に介在される介在部材5を備える。本例の介在部材5は、代表的には電気絶縁材料からなり、コイル2と磁性コア3との間の電気絶縁性を高めることに寄与する。また、介在部材5は、巻回部2a,2bに対して磁性コア3を位置決めすることにも寄与する。更に、本例の介在部材5は、リアクトル1の製造過程で、巻回部2a,2bと内側コア部31a,31bとの間、内側コア部31a,31bと外側コア部32との間等に所定の隙間を形成することにも寄与する。この隙間は、流動性樹脂の流路に利用する。上記隙間に充填された流動性樹脂は、固化されて樹脂モールド部6をなす。
介在部材5の構成材料は、電気絶縁材料が挙げられる。電気絶縁材料の一例として、各種の樹脂等が挙げられる。樹脂の一例として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の具体例として、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6、ナイロン66といったポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂の具体例として、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。介在部材5は、射出成形等の公知の成形方法によって製造できる。
樹脂モールド部6は、内側コア部31a,31bの少なくとも一部を覆う内側樹脂部61,61と、外側コア部32,32の少なくとも一部とを覆う外側樹脂部62,62とを備えることで、例えば以下の効果を奏する。
(A)コア片の機械的保護。
(B)外部環境からの保護(耐食性の向上)。
(C)コア片とコイル2や周囲部品との間の絶縁性の向上。
本例の内側樹脂部61,61は、内側コア部31a,31bの外周面のうち、端面31eの一部及び介在部材5で支持される箇所を除く領域を主として覆う。本例の外側樹脂部62,62は、各外側コア部32,32の外周面のうち連結面32eを除く領域を主として覆う。本例のリアクトル1は、樹脂モールド部6によって磁性コア3の外周面の広い範囲が覆われるため、上記効果をより得易い。
本例の内側樹脂部61は、巻回部2a(又は2b)の内周面と内側コア部31a(又は31b)の外周面との間に設けられる筒状の空間の少なくとも一部に存在する。即ち、内側樹脂部61,61は、各巻回部2a,2b内に存在する。内側樹脂部61は、上記筒状の空間に樹脂モールド部6の原料となる流動性樹脂が充填されて形成される。本例では、上記筒状の空間の一部に電気絶縁材7が存在する。そのため、内側樹脂部61は、横断面形状がC字状である(図2A)。内側樹脂部61の厚さは、筒状の空間の大きさに対応している。即ち巻回部2a(又は2b)と内側コア部31a(又は31b)との間隔に対応して、巻回部2a(又は2b)の周方向に沿って一様な厚さではない。内側樹脂部61の厚さは、図2Aに示すように設置対象100側(下側)が薄く、設置対象100とは反対側(上側)が厚い。厚さの詳細は後述する。
本例の外側樹脂部62は、外側コア部32の外周面のうち、連結面32e及びその近傍を除いて実質的に全体を外側コア部32(コア片)に沿って覆う。即ち、外側樹脂部62,62は、巻回部2a,2bに覆われず露出されている。また、本例の外側樹脂部62は、概ね一様な厚さを有する。外側樹脂部62における外側コア部32の被覆領域、厚さ等は適宜選択できる。
樹脂モールド部6の構成材料は、各種の樹脂が挙げられる。樹脂の一例として、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の具体例として、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10T、ナイロン9T、ナイロン6T等のPA樹脂、PBT樹脂等が挙げられる。上記構成材料を、上記樹脂に熱伝導性に優れるフィラー(例、アルミナやシリカからなるもの等)を含有する複合樹脂としてもよい。フィラーを含むことで、放熱性に優れる樹脂モールド部6とすることができる。樹脂モールド部6の構成材料と介在部材5の構成材料とが同じ樹脂を含んでもよい。同じ樹脂を含むことで、樹脂モールド部6と介在部材5との両者の接合性に優れる。また、同じ樹脂を含むことで、上記両者の熱膨張係数が近い又は実質的に等しい。そのため、熱応力による剥離や樹脂モールド部6の割れ等を抑制できる。樹脂モールド部6の成形には、射出成形等が利用できる。
本例では、コイル2の一方の巻回部2aと磁性コア3の一方の内側コア部31aとの間の介在物に関する事項は、他方の巻回部2bと他方の内側コア部31bとの介在物に関しても実質的に同じである。そのため、以下、巻回部2a及び内側コア部31aを例にして説明する。
本例の内側樹脂部61は、一様な樹脂から構成される。そのため、内側樹脂部61の熱特性は一様であり、薄肉部610及び厚肉部612は、熱伝導率λ2を有する。本例の薄肉部610は、上述の間隔gi,go,gdeを有する領域に存在する。そのため、薄肉部610は、間隔gi,go,gdeに応じた厚さを有する。本例の厚肉部612は、巻回部2aと内側コア部31aとの間の領域のうち、上述の間隔が相対的に狭い箇所を除く領域(図2Bではクロスハッチングが付されておらずハッチングのみの領域)、即ち上述の間隔gue,guを有する領域に存在する。そのため、厚肉部612は、間隔gue,guに応じた厚さを有する。厚肉部612における最も厚い箇所は間隔gue(=間隔t2)に応じた厚さを有する。
電気絶縁材7は、各種の電気絶縁材料からなるものである。電気絶縁材7が巻回部2aと内側コア部31aとの間に介在されることで、両者の電気絶縁性を高められる。
≪λ1=λ2≫
電気絶縁材7の一例として、内側樹脂部61の構成樹脂と同じ樹脂を含む成形体を備えることが挙げられる。この電気絶縁材7の熱伝導率λ1は、厚肉部612の熱伝導率λ2と実質的に同じである(λ1=λ2)。一方、電気絶縁材7が配置される箇所の間隔t1(ここでは間隔gd)は、厚肉部612が配置される箇所の間隔t2(ここでは間隔gue)よりも小さい(t1<t2)。従って、この形態は、(間隔t1/熱伝導率λ1)<(間隔t2/熱伝導率λ2)を満たし、放熱性に優れる。特に、間隔t1が小さいほど、放熱性により優れる。
電気絶縁材7の別例として、内側樹脂部61の構成材料よりも熱伝導率が高い構成材料からなるものが挙げられる。この電気絶縁材7の熱伝導率λ1は内側樹脂部61(厚肉部612)の熱伝導率λ2よりも高い(λ1>λ2)。かつ、上述のように間隔t1が間隔t2よりも小さい。従って、この形態は、(間隔t1/熱伝導率λ1)<(間隔t2/熱伝導率λ2)を満たす。特に、上述の間隔が相対的に狭い箇所のうち、最も狭い箇所に電気絶縁材7が配置される。そのため、内側コア部31aから電気絶縁材7を経て巻回部2aに熱伝達を効率よく行える。従って、この形態は、放熱性により優れる。特に、熱伝導率λ1が大きいほど、放熱性に優れる。また、間隔t1が小さいほど、放熱性により優れる。
電気絶縁材7の更に別例として、内側樹脂部61(厚肉部612)の熱伝導率λ2未満のものを利用できる(λ1<λ2)。電気絶縁材7は、上述の間隔が最も狭い箇所に配置される。そのため、電気絶縁材7が内側樹脂部61の熱伝導率λ2と同等以上の熱伝導率を有していなくても、(間隔t1/熱伝導率λ1)<(間隔t2/熱伝導率λ2)を満たせば、内側コア部31aから巻回部2aまでの距離が短いことで、巻回部2aに放熱できるからである。この形態では、特に、間隔t1が小さいほど、放熱性に優れる。また、熱伝導率λ1はλ1<λ2を満たす範囲で大きいほど好ましい。間隔t1の大きさにもよるが、熱伝導率λ2は熱伝導率λ1の2.5倍以下、更に2倍未満であれば、(間隔t1/熱伝導率λ1)が(間隔t2/熱伝導率λ2)よりも小さくなり易い。
本例の電気絶縁材7は、平板材である。この平板材は、間隔gdと同等程度の厚さを有する。また、この平板材は、内側コア部31aにおける設置対象100側の面(下面)のうち介在部材5に覆われない箇所と同等程度の平面積を有する。この平板状の電気絶縁材7は、巻回部2aの内周面のうち設置対象100側の面(下面)と内側コア部31aの下面との間を概ね埋めるように存在する。その他、上記平板材に代えて、例えば棒材等としてもよい。
本例では、一つの巻回部2aに対して一つの電気絶縁材7を備える。電気絶縁材7の個数が少ないことで、リアクトル1の製造性に優れる。リアクトル1の製造過程で組立時間を短くし易いからである。本例の電気絶縁材7は平板材であり、平板状の箇所に配置し易いことからも、製造性に優れる。一つの巻回部2aに対して、複数の電気絶縁材7を備えてもよい。例えば、上述の電気絶縁材7を棒材とする場合、巻回部2aの周方向に離間して、複数の棒材を備えてもよい。
一つの巻回部2aにおける上述の間隔が相対的に狭い箇所に対する電気絶縁材7が占める割合、いわば最も狭い箇所に電気絶縁材7が占める割合は、適宜選択できる。例えば、上記占有割合は、横断面における面積割合で、5%以上95%以下であることが挙げられる。上記占有割合は、上記間隔が相対的に狭い箇所の横断面積を100%とする。図2Bの例示では、クロスハッチングを付したU字状の箇所を100%とする。また、上記占有割合は、複数の電気絶縁材7を備える場合には合計面積の割合とする。本例の上記占有割合は、横断面における面積割合で5%以上30%以下である。このようなリアクトル1は、上記間隔が相対的に狭い箇所に薄肉部610がある程度多く存在するといえる。薄肉部610、ひいては内側樹脂部61がある程度多いことで、樹脂モールド部6によって磁性コア3の強度を高め易い。本例のように複数のコア片を樹脂モールド部6によって一体化する場合に一体物としての強度を高め易いからである。一方、上述の電気絶縁材7の占有割合を上述の範囲(5%〜95%)でより多くして、薄肉部610の割合を少なくしてもよい。この場合、樹脂モールド部6の製造性に優れる。流動性樹脂の充填箇所に比較的狭い箇所が少なく、流動性樹脂を充填し易いからである。
本例のリアクトル1は、上記間隔が相対的に狭い箇所のうち、最も狭い箇所に実質的に電気絶縁材7のみが存在する。このようなリアクトル1は、樹脂モールド部6を製造し易く、製造性に優れる。リアクトル1の製造過程では、上記最も狭い箇所に電気絶縁材7を配置した状態で樹脂モールド部6を形成すれば、上記最も狭い箇所以外の箇所を流動性樹脂の流路にできる。そのため、上記流路を比較的広くし易い。従って、流動性樹脂を充填し易い。
実施形態1のリアクトル1は、例えば、以下のようにして製造することが挙げられる。コイル2と磁性コア3と電気絶縁材7とを備える組合体10を作製する(図3)。樹脂モールド部6の成形金型(図示せず)に組合体10を収納する。コイル2の巻回部2a,2bの外周面を露出させつつ、磁性コア3を流動性樹脂で覆う。
実施形態1のリアクトル1は、電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品、例えば種々のコンバータや電力変換装置の構成部品等に利用できる。コンバータの一例として、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC−DCコンバータ)や、空調機のコンバータ等が挙げられる。
実施形態1のリアクトル1は、以下の理由により、放熱性に優れる。
(a)コイル2の巻回部2a,2bの外周面が樹脂モールド部6に実質的に覆われずに露出されている。そのため、巻回部2a,2bは、液体冷媒やファンからの風等といった流体冷媒に直接接触できたり、設置対象100や冷却機構に近接できたりして、放熱効率に優れる。
(d)上述の相対的に狭い箇所に薄肉部610を備える。そのため、上記相対的に狭い箇所内に空気を含む場合に比較して熱伝導性に優れる。
(e)巻回部2a,2bにおける設置対象100側の面や、両者が離れる側の面が平板状の平面である。そのため、巻回部2a,2bは放熱面積が広く、放熱効率により優れる。
(f)電気絶縁材7の熱伝導率λ1が厚肉部612の熱伝導率λ2よりも大きい場合には、放熱性により優れる。
(1)製造性に優れる。
(1−1)巻回部2a,2bと内側樹脂部61,61との間の空間に、厚肉部612の形成箇所として相対的に広い箇所を含む。そのため、上記空間に樹脂モールド部6の原料である流動性樹脂を充填し易く、樹脂モールド部6を形成し易いからである。
(1−2)電気絶縁材7が樹脂モールド部6とは独立した成形体である。そのため、上記空間のうち、最も狭い箇所に流動性樹脂を充填しなくてよく、流動性樹脂を充填し易い上に、精度よく充填できるからである。
(1−3)厚さが異なる複数の支持片51が設けられた介在部材5を備える。そのため、介在部材5の支持片51の厚さを所定の間隔に応じて調整することで、この間隔の大きさに応じた所定の厚さを有する内側樹脂部61を精度よく、かつ容易に成形できるからである。
(1−4)上述の所定の形状を有する介在部材5を備える。そのため、介在部材5を介して、コイル2と磁性コア3とを容易に位置決めできて、組み付け易いからである。
図4A,図4Bを参照して、実施形態2のリアクトルを説明する。
図4Bは、図4Aと同じ図であり、巻回部2a,2bと内側コア部31a,31bとの間隔を説明する説明図である。
以下、上記相違点を中心に説明し、実施形態1と重複する構成及び効果は詳細な説明を省略する。また、実施形態1と同様に、巻回部2a及び内側コア部31aを例にして説明する。
図5を参照して、実施形態3のリアクトルを説明する。
実施形態3のリアクトルは、図5に示すように、基本的な構成は実施形態1のリアクトル1(図2A参照)と同様である。即ち、巻回部2aと内側コア部31aとの間隔、及び巻回部2bと内側コア部31bとの間隔が各巻回部2a,2bの周方向に異なっている。巻回部2a,2bと内側コア部31a,31bとの間には、薄肉部610及び厚肉部612を含む内側樹脂部61が存在する。但し、実施形態3のリアクトルは、実施形態1のリアクトル1に対して、樹脂モールド部6とは独立した電気絶縁材7を備えていない点が異なる。以下、上記相違点を中心に説明し、実施形態1と重複する構成及び効果は詳細な説明を省略する。
例えば、上述の実施形態1〜3に対して、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
この場合、巻回部と内側コア部との電気絶縁性の確保の観点から、上述のようにコイル側の電気的絶縁が十分に確保されていることが好ましい。
この場合、電気絶縁材の形状、大きさ、構成材料等の仕様を全て等しくすることもできるし、異ならせることもできる。例えば、絶縁紙と、樹脂成形体とを備えてもよい。複数の電気絶縁材を巻回部の周方向に離間して備える場合、隣り合う電気絶縁材の間に内側樹脂部が介在してもよい。上記隣り合う電気絶縁材の間に内側樹脂部が介在せず、空気が存在してもよい。この場合、上述のように最も狭い箇所に流動性樹脂を充填しなくて済み、樹脂モールド部を形成し易い。
図2Aを用いて説明する。上記間隔が最も狭い箇所を、巻回部2a,2bの内周面のうち設置対象100とは反対側の面(上面)と内側コア部31a,31bの上面との間に設けてもよい。又は、上記間隔が最も狭い箇所を、巻回部2a,2bの内周面のうち両者が離れる側の側面(巻回部2aでは右面、巻回部2bでは左面)と内側コア部31a,31bの側面との間に設けてもよい。この場合、巻回部2a,2bの外周面の上面や上述の側面に冷却機構を近接配置することが挙げられる。
この場合、巻回部の内周形状及び内側コア部の外周形状に応じて、巻回部と内側コア部との間隔を変更できる。上記間隔が所望の大きさとなるように、巻回部及び内側コア部の形状、大きさを調整するとよい。例えば、巻回部の内周形状が実施形態1〜3で説明した正方形状である場合に、内側コア部の外周形状が円形状、台形状等であることが挙げられる。又は、巻回部の内周形状及び内側コア部の外周形状が長方形状であり、長辺長さ及び短辺長さの少なくとも一方が異なることが挙げられる。
複数のコア片と中実のギャップ材との組物は、接着剤で一体化したり、樹脂モールド部6の内側樹脂部61によって一体化したりすることが挙げられる。
(6−1)温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサ等のリアクトルの物理量を測定するセンサ。
放熱板は、例えば金属板、熱伝導性に優れる非金属無機材料からなる板材等が挙げられれる。巻回部2a,2bの外周面のうち、上述の間隔が相対的に狭い箇所に対応した位置に放熱板を設けると、効率よく放熱できる。図2A,図4Aを用いて説明すると、巻回部2a,2bの外周面のうち設置対象100側の面(下面)に放熱板を設けることが挙げられる。図2A,図4Aでは、巻回部2a,2bにおける設置対象100側の面は、上述の間隔が最も狭い箇所に対応した位置であり、電気絶縁材7が存在する。その他、巻回部2aの外周面のうち右面、巻回部2bの外周面のうち左面に放熱板を設けてもよい。又は、厚肉部612が存在する箇所に放熱板を設けてもよい。放熱板によって、内側コア部31a,31bから厚肉部612,612を介して巻回部2a,2bへの熱引きを多少なりとも高められると期待される。
接合層は、例えば接着剤層が挙げられる。電気絶縁性に優れる接着剤とすると、放熱板が金属板であっても、巻回部2a,2bと放熱板との間の絶縁性を高められて好ましい。
10 組合体
2 コイル
2a,2b 巻回部、2w 巻線
3 磁性コア
31a,31b 内側コア部、32 外側コア部
31e 端面、32e 連結面
5 介在部材
5h 貫通孔、51,52 支持片、53 端面支持部、54 凹部
6 樹脂モールド部
61 内側樹脂部、62 外側樹脂部、610 薄肉部、612 厚肉部
7 電気絶縁材
100 設置対象
Claims (8)
- 巻回部を有するコイルと、
前記巻回部内に配置される内側コア部と、前記巻回部外に配置される外側コア部とを含む磁性コアと、
前記巻回部と前記内側コア部との間の少なくとも一部に充填される内側樹脂部と、前記外側コア部の少なくとも一部を覆う外側樹脂部とを含む樹脂モールド部とを備え、
前記巻回部と前記内側コア部との間隔が前記巻回部の周方向に異なっており、
前記間隔が最も狭い箇所に介在される電気絶縁材と、前記間隔が最も広い箇所に介在され、前記内側樹脂部の一部をなす厚肉部とを備え、
前記電気絶縁材の熱伝導率をλ1、前記最も狭い箇所の間隔をt1、前記熱伝導率λ1に対する前記間隔t1の比率を(間隔t1/熱伝導率λ1)とし、
前記厚肉部の熱伝導率をλ2、前記最も広い箇所の間隔をt2、前記熱伝導率λ2に対する前記間隔t2の比率を(間隔t2/熱伝導率λ2)とし、
(間隔t1/熱伝導率λ1)<(間隔t2/熱伝導率λ2)を満たすリアクトル。 - 前記巻回部と前記内側コア部との間隔が相対的に狭い箇所の少なくとも一部に充填され、前記内側樹脂部の他部をなす薄肉部を含む請求項1に記載のリアクトル。
- 前記間隔が相対的に狭い箇所に前記電気絶縁材と前記薄肉部とを備える請求項2に記載のリアクトル。
- 前記最も狭い箇所の間隔t1は、前記最も広い箇所の間隔t2の50%以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記巻回部は四角筒状であり、前記内側コア部は四角柱状であり、
前記巻回部と前記内側コア部との間隔が相対的に狭い箇所は、前記巻回部の内周面の一面と前記内側コア部の外周面の一面とに挟まれる平板状の箇所を含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記電気絶縁材の熱伝導率λ1は、前記厚肉部の熱伝導率λ2よりも高い請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記電気絶縁材は、絶縁紙及び絶縁フィルムの少なくとも一方を含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記電気絶縁材は、前記内側樹脂部の構成樹脂と同じ樹脂を含む成形体を備える請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のリアクトル。
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