JP2019151839A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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加藤 博和
Hirokazu Kato
博和 加藤
忠之 伊左治
Tadayuki Isaji
忠之 伊左治
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Abstract

【課題】 CTEの差に起因した回路破壊を防止することができるのに加え、アンダーフィル材として使用した場合に、加熱硬化時の収縮を少なくすることができるエポキシ樹脂組成物を提供する。【解決手段】 (A)液状エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、(C)分散粒子径(d50)0.1〜6.0μmの範囲にある負の熱膨張係数を有するフィラーと、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、負の熱膨張係数を有するフィラーを配合した、エポキシ樹脂組成物に関する。
電子機器の小型化、軽量化及び高性能化等に伴い、そのような電子機器に搭載される半導体の実装形態は、ワイヤーボンド型からフリップチップ型へと変化してきている。フリップチップ型の半導体装置は、基板上の電極部と、半導体素子と、がバンプ電極を介して接続された構造を有している。一方、このような構造の半導体装置では、温度変化等により、基板と半導体素子との熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Exapansion)の差に起因した応力がバンプ電極にかかり、バンプ電極にクラック等の不良が引き起こされる場合がある。
この不良の発生を抑制するため、基板と半導体素子との隙間に、アンダーフィル材と呼ばれる半導体封止材を供給し、該隙間を封止して、基板と半導体素子とを互いに固定することが行われている。アンダーフィル材を供給する方法としては、基板上の電極部と、半導体素子と、を接続させた後、半導体素子の外周に沿ってアンダーフィル材を塗布し、毛細管現象を利用して、両者の隙間にアンダーフィル材を注入させるキャピラリーフロー法がある。アンダーフィル材の注入後、該アンダーフィル材を加熱硬化させることで、両者の接続部位を補強する。
アンダーフィル材には、注入性、接着性、硬化性及び保存安定性等に優れることが求められる。また、アンダーフィル材で封止した接続部位には、耐湿性及び耐サーマルサイクル性(繰り返しの温度変化に対する耐性)等に優れることが求められる。これらの要求を満足するため、アンダーフィル材としては、エポキシ樹脂を主剤とするものが用いられる場合が多い。ただ、アンダーフィル材のCTEが、基板や半導体素子のCTEに対して大きくなり過ぎると、回路破壊の原因になる。
その点、アンダーフィル材の形成材料(エポキシ樹脂を主成分とした樹脂組成物)に、フィラーとして、無機物質からなる充填剤(以下、「無機充填剤」)を添加することが知られている。無機充填剤を添加したアンダーフィル材とすることで、アンダーフィル材によって封止する接続部位の、耐湿性及び耐サーマルサイクル性、特に耐サーマルサイクル性を向上させることができる。
例えば、アンダーフィル材の形成材料に、無機充填剤としてのシリカフィラーを添加することが提案されている(特許文献1〜6参照)。シリカは、エポキシ樹脂に比べてCTEが小さいため、シリカを添加する分、アンダーフィル材のCTEを低い値に維持できる。また、珪酸塩化合物の一つであるβ−ユークリプタイト(β−LiAlSiO)は、負のCTEを有する物質として知られている。そこで、アンダーフィル材の形成材料に、フィラーとして、β−ユークリプタイト微粒子を添加することも提案されている(非特許文献1参照)。
特開2010−239031号公報 特開2015−021122号公報 特開2016−178104号公報 特開2017−119767号公報 特開2017−028050号公報 特開平10−101906号公報
発明協会公開技法公技番号2016−500242号
しかしながら、特許文献1〜6や非特許文献1のような従来技術では、アンダーフィル材への使用を想定したエポキシ樹脂組成物について、改良の余地があった。すなわち、エポキシ樹脂組成物をアンダーフィル材に使用する場合を想定すると、CTEの差に起因した回路破壊に加え、アンダーフィル材によって封止する接続部位の更なる構造安定性を確保できるよう、加熱硬化時のアンダーフィル材の収縮を、可能な限り少なくする必要があった。一方、特許文献1〜6や非特許文献1のような従来技術では、そのような加熱硬化時のアンダーフィル材の収縮について、十分に考慮されていなかった。
また、特許文献1〜6において、アンダーフィル材の形成材料にシリカフィラーを多く添加すると、粘度が高くなり、アンダーフィル材の流動性を確保するのが困難になる可能性があった。アンダーフィル材の形成材料に、β−ユークリプタイト微粒子を添加するにしても、非特許文献1で提案されている粒子径よりも、小さい粒子径であることが好ましい。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、CTEの差に起因した回路破壊を防止することができるのに加え、アンダーフィル材として使用した場合に、加熱硬化時の収縮を少なくすることができるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、液状エポキシ樹脂に、分散粒子径(d50)0.1〜6.0μmの範囲にある負の熱膨張係数を有するフィラーを添加することにより、CTEの差に起因した回路破壊を防止することができるのに加え、アンダーフィル材として使用した場合に、加熱硬化時の収縮を少なくすることができることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の第1観点〜第12観点の何れか一つに記載の、エポキシ樹脂組成物及びそれを含むアンダーフィル材等に関する。
第1観点は、(A)液状エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、(C)分散粒子径(d50)0.1〜6.0μmの範囲にある負の熱膨張係数を有するフィラーと、を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
第2観点は、エポキシ樹脂組成物の全成分の合計100質量部に対して、前記(C)成分が40〜70質量部であることを特徴とする第1観点に記載のエポキシ樹脂組成物である。
第3観点は、前記(C)成分がβ−ユークリプタイトであることを特徴とする第1観点又は第2観点に記載のエポキシ樹脂組成物である。
第4観点は、前記(C)成分の負の熱膨張係数を有するフィラーが、窒素吸着法による比表面積から球形粒子に換算した一次粒子径(d)と、分散粒子径(d50)と、の比(d50/d)が1.0以上10未満であることを特徴とする第1観点〜第3観点の何れか一つに記載のエポキシ樹脂組成物である。
第5観点は、前記(C)成分のβ−ユークリプタイトが、β−ユークリプタイト相の(102)面に帰属するX線回折ピークから算出される結晶子径が45nm以上100nm以下であるものであることを特徴とする第3観点又は第4観点に記載のエポキシ樹脂組成物である。
第6観点は、前記(B)成分がアミン化合物を含むことを特徴とする第1観点〜第5観点の何れか一つに記載のエポキシ樹脂組成物である。
第7観点は、前記(B)成分が酸無水物を含むことを特徴とする第1観点〜第6観点の何れか一つに記載のエポキシ樹脂組成物である。
第8観点は、前記(B)成分がフェノール系硬化剤を含むことを特徴とする第1観点〜第7観点の何れか一つに記載のエポキシ樹脂組成物である。
第9観点は、第1観点〜第8観点の何れか一つに記載のエポキシ樹脂組成物を含むことを特徴とするアンダーフィル材である。
第10観点は、第1観点〜第8観点の何れか一つに記載のエポキシ樹脂組成物を含むことを特徴とする半導体封止材である。
第11観点は、第1観点〜第8観点の何れか一つに記載のエポキシ樹脂組成物を含むことを特徴とする接着剤である。
第12観点は、第1観点〜第8観点の何れか一つに記載のエポキシ樹脂組成物を加熱することで得られる樹脂硬化物である。
本発明によれば、CTEの差に起因した回路破壊を防止することができるのに加え、アンダーフィル材として使用した場合に、加熱硬化時の収縮を少なくすることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、アンダーフィル材、半導体封止材、接着剤及び樹脂硬化物等として好適に使用できる。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物等について説明する。以下の説明は、本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨の範囲内であれば、任意に変更できる。
(1)エポキシ樹脂組成物
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、(C)分散粒子径(d50)0.1〜6.0μmの範囲にある負の熱膨張係数を有するフィラーと、を含む。
(A)成分は、液状エポキシ樹脂である。(A)成分としては、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、液状ナフタレン型エポキシ樹脂、液状アミノフェノール型エポキシ樹脂、液状水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、液状脂環式エポキシ樹脂、液状アルコールエーテル型エポキシ樹脂、液状環状脂肪族型エポキシ樹脂、液状フルオレン型エポキシ樹脂、液状シロキサン系エポキシ樹脂等が挙げられ、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、液状アミノフェノール型エポキシ樹脂、液状シロキサン系エポキシ樹脂が、硬化性、耐熱性、接着性、耐久性の観点から好ましい。また、エポキシ当量は、粘度調整の観点から、80〜250g/eqが好ましい。市販品としては、DIC製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(品名:EXA−830LVP、EXA−830CRP)、三菱化学製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(グレード:jER−806)、新日鐵化学製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(品名:YDF−8170C、YDF−870GS)、三菱化学製アミノフェノール型エポキシ樹脂(グレード:jER−630、jER−630LSD)、DIC製ナフタレン型エポキシ樹脂(品名:HP−4032D)、モメンティブ・パフォーマンス製シロキサン系エポキシ樹脂(品名:TSL−9906)、新日鐵化学株式会社製1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(品名:ZX−1658GS)等が挙げられる。(A)成分は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(A)成分において、液状エポキシ樹脂とは、常温で液状のエポキシ樹脂を意味する。(A)成分が、このような液状エポキシ樹脂であることで、固形状のエポキシ樹脂と比較して、これを溶解させるための溶剤の使用を少なくできる。液状エポキシ樹脂は、その化合物自体が液状であるので、エポキシ樹脂を溶解させるための溶剤を実質的に使用せず、エポキシ樹脂組成物やアンダーフィル材等を作製することもできる。
溶剤の使用を少なくできることで、アンダーフィル材の加熱硬化時、その溶剤の揮発に伴う収縮の程度を少なくできる。(A)成分の液状エポキシ樹脂に併用して、固形状のエポキシ樹脂を用いることもできるが、固形状のエポキシ樹脂を溶解させるための溶剤は、可能な限り少ないことが好ましい。
(B)成分の硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤及びフェノール系硬化剤の何れも使用することができる。
(B1)酸無水物系硬化剤の具体例としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、ドデセニル無水コハク酸、脂肪族二塩基酸ポリ無水物、クロレンド酸無水物、メチルブテニルテトラヒドロフタル酸無水物、アルキル化テトラヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、アルケニル基で置換されたコハク酸無水物、グルタル酸無水物等が挙げられる。
(B2)アミン系硬化剤の具体例としては、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサンなどの脂環式ポリアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなどのピペラジン型のポリアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ビス(メチルチオ)トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエートなどの芳香族ポリアミン類が挙げられる。
市販品としては、エタキュア100プラス(アルベマール日本株式会社製)、ロンザキュアDETDA80(ロンザジャパン株式会社製)、カヤハードA−A(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
(B3)フェノール系硬化剤の具体例としては、フェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、フェノールノボラック樹脂およびそのアルキル化物またはアリル化物、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル(フェニレン、ビフェニレン骨格を含む)樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂等が挙げられる。樹脂組成物をアンダーフィル材として使用する場合には、液状のフェノール系硬化剤が好ましい。液状の市販品としては、明和化成製フェノール硬化剤(品名:MEH−8000H、MEH−8005)等が挙げられる。
これらの中でも、アミン系硬化剤が、耐湿性及び耐サーマルサイクル性に優れることから好ましく、中でも、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンが、耐熱性、機械的特性、密着性、電気的特性及び耐湿性等の観点から好ましい。また、常温で液状を呈する点も、液状エポキシ樹脂組成物の硬化剤として好ましい。 (B)成分の硬化剤は、単独で用いても2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、(B)成分の硬化剤の配合割合は特に限定されないが、(A)成分の液状エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、0.5〜1.6当量であることが好ましく、0.6〜1.3当量であることがより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、(C)成分の、負の熱膨張係数を有するフィラーは、分散粒子径0.1〜6.0μmであることが好ましく、分散粒子径が0.25〜6.0μmであることがより好ましい。フィラーの分散粒子径が上記の値未満だと、エポキシ樹脂組成物におけるフィラーの分散性が悪化するおそれがある。また、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり、半導体素子と基板との間のギャップへの注入性が低下するおそれもある。一方、(C)成分のフィラーの分散粒子径が上記の値超だと、半導体素子と基板とのギャップに対してフィラーのサイズが大き過ぎ、注入時にボイドの巻き込みが問題となる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂組成物の全成分の合計100質量部に対し、(C)成分のフィラー含有量は40〜70質量部である。フィラーの含有量が上記の値未満の場合、エポキシ樹脂組成物の線熱膨張係数が大きくなり、エポキシ樹脂組成物で封止した部位の耐サーマルサイクル性が低下する。一方、フィラーの含有量が上記の値超の場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が増加し、半導体素子と基板とのギャップへの注入性が低下する。また、フィラーの含有量は、45〜70質量部であることがより好ましい。
また、(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)フィラーは、エポキシ樹脂組成物の特性に支障がない範囲で、シリカフィラーと併用することができる。該シリカフィラーの分散粒子径は、前述と同様の理由により、0.1〜2μmが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、(C)成分の負の熱膨張係数を有するフィラーとしては、負の熱膨張係数を有する物質であれば特に限定されない。例えば、β−ユークリプタイト、チタン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、リンタングステン酸ジルコニウム、リンモリブデン酸ジルコニウム、リン酸硫酸ジルコニウム、マンガン窒化物等が挙げられる。リン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、リンタングステン酸ジルコニウム、マンガン窒化物は比重が大きく、エポキシ樹脂組成物のフィラーとして用いた場合に沈降しやすかったり、配合量を多くしないとエポキシ樹脂組成物の熱膨張係数が下がらなかったりする。このような理由から、比重がシリカに近い物質であるβ−ユークリプタイトを好ましく使用することができる。
本発明に用いられるβ−ユークリプタイト微粒子は、窒素吸着法による比表面積から球形粒子に換算した一次粒子径dと、分散粒子径d50と、の比(d50/d)が1.0以上10未満であり、β−ユークリプタイト相の(102)面に帰属するX線回折ピークから算出される結晶子径が45nm以上100nm以下である。
このようなβ−ユークリプタイト微粒子は、特定の工程を含むプロセスを経て製造できる。すなわち、第1工程としての粉砕工程で、原料となる珪酸塩化合物を、小さな粒子径(例えば、分散粒子径d50が0.1μm以上6.0μm以下)に至るまで粉砕する。その後、第2工程としての焼成工程で、上記の粉砕工程で粉砕した微粒子を、特定の温度範囲で焼成させる。
焼成工程での温度範囲は、微粒子の集合体を焼き固めて焼結体を得る「焼結」のような温度範囲に比べ、低い範囲である。従来一般に、原料を粉砕する工程の後には、粉砕した微粒子の焼結体を得る焼結工程を実施することが多い。しかし、焼成工程では、そのような焼結のための温度よりも低い温度範囲が設定されている。そして、その焼成工程での温度範囲と関連付け、上記の粉砕工程において、如何なる粒子径に至るまで原料を粉砕するかが定まっている。
このように、焼成工程では、従来のような焼結よりも低い、特定の温度範囲で焼成するため、粒子同士が強固に融着することを回避できる。勿論、焼成工程の温度範囲は、焼成を実施できる温度から外れていないため、焼成工程においては、焼成として通常期待される効果、例えば粒子成長等の効果が当然得られることとなる。
上記ゆえ、粉砕工程での原料の粉砕により、そのβ−ユークリプタイトの結晶性が失われるとしても、その後の焼成工程の焼成で、失われた結晶性を回復させ、ひいては向上させることができる。その上で、焼成工程での特定の温度範囲によれば、粒子同士が強固に融着することを回避できる。従って、焼成後に微粒子を再分散させる際、強いエネルギーを与えることなく、容易に微粒子を解砕できる。
裏を返せば、比較的弱いエネルギーで微粒子を解砕できるので、解砕に伴い結晶性が失われることもない。故に、小さな粒子径に至るまで粉砕した微粒子が、焼成により、結晶性を回復するとともに僅かな成長を経て、依然として小さな粒子径のままで、高い結晶性を保持しつつ、再分散時においては優れた分散性を発揮する。
このようなβ−ユークリプタイト微粒子は、窒素吸着法による比表面積から球形粒子に換算した一次粒子径dと、分散粒子径d50と、の比(d50/d)が1.0以上10未満である。
球形粒子に換算した一次粒子径dは、下記式(1)に示す通り、窒素吸着法により測定した比表面積(単位質量あたりの表面積)と、珪酸塩化合物の密度と、の積の逆数により算出できる。窒素吸着法による比表面積は公知の方法に従って測定でき、β−ユークリプタイトなどの負の熱膨張係数を有するフィラーの密度は、ピクノメーター法やアルキメデス法等に基づいて導出できる。
=n・1/(比表面積(m/g)・密度(g/m)) ・・・ (1)
(式中、dは球形粒子に換算した一次粒子径であり、nは定数である)
球形粒子に換算した一次粒子径dは、分散媒中の微粒子の凝集状態によらない、一次粒子の径を表している。つまり、球形粒子に換算した一次粒子径dによれば、分散媒中で微粒子が少なからず凝集して二次粒子となる場合でも、凝集していない一次粒子の径に相当する値と同様の値が得られることになる。従って、理想的には、比(d50/d)の分母の値は、分散媒中の微粒子の凝集や融着の度合いに依存しない。
分散粒子径d50は、乾燥させた微粒子を分散媒に分散させたときの平均粒子径である。この粒子径は、レーザー回折法、動的光散乱法及び遠心沈降法等、種々の方法により測定できるが、本発明では、製造例で採用した通り、レーザー回折法により測定した値を分散粒子径d50としている。分散媒としては、代表的には水が挙げられるが、特に限定されない。
分散媒中で微粒子が少なからず凝集して二次粒子となる場合、分散粒子径d50は、大まかには、その二次粒子径に相当する。分散媒中で粒子同士が強固に凝集又は融着している度合いが高いほど、比(d50/d)の分子である分散粒子径d50が大きくなり、その結果、比(d50/d)は大きくなる。逆に、分散媒中で微粒子が好適に分散する度合いが高いほど、分散粒子径d50は、球形粒子に換算した一次粒子径dに近い値となる。つまり、分散媒中で微粒子が好適に分散する度合いが高いほど、比(d50/d)が1.0に近づいていく。
このように、比(d50/d)は、粒子の分散性の指標であり、その原理から1.0以上である。本発明に用いられるβ−ユークリプタイト微粒子のように、比(d50/d)が1.0に近い範囲では、分散媒中で微粒子が良好に分散していることを意味する。一方、比(d50/d)が10以上のような、分散媒中で微粒子が良好に分散している度合いが低い場合、樹脂への十分な分散性が得られないこととなる。樹脂への十分な分散性が得られないと、これらの微粒子を樹脂に高密度に充填できないため、フィラーとして利用しても所望の効果が得られない。
次に、本発明に用いられるβ−ユークリプタイト微粒子は、β−ユークリプタイト相の(102)面に帰属するX線回折ピークから算出される結晶子径が45nm以上100nm以下である。この種のX線回折ピークは、公知の手法により測定できる。β−ユークリプタイト相の最強線は、2θ=25°近傍の(102)面に帰属するX線回折ピークである。そこで、本発明の一例では、このX線回折ピークからシェラーの式で算出される結晶子径が上記の範囲内としている。
結晶子径が上記の範囲より小さいと、結晶性材料が有する本来の特性が得られない。すなわち、β−ユークリプタイトでは、CTEを低減させる効果が得られない。一方、結晶子径が上記の範囲を超えると、焼成時の粒子成長の進行が著しくなるため、径が小さくなるように破壊した微粒子の該径を小さいままで維持するのが困難となる。回折面に垂直方向の結晶子径は、強度半分のピーク幅に相当する2θ(半値幅β、単位はRad)で表すと、式(2)の関係にある。式中、Lは結晶子径、λはX線の波長(0.154nm)、Kは形状因子定数である。Kは、通常は0.9が用いられる。
L=Kλ/(β・cosθ) ・・・ (2)
エポキシ樹脂組成物における分散性を向上させるため、アルコキシシラン化合物やシランカップリング剤で予め表面処理されたフィラーを使用してもよい。アルコキシシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン(商品名:KBM−13、信越化学株式会社製)、メチルトリエトキシシラン(商品名:KBE−13、信越化学株式会社製)、ジメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−22、信越化学株式会社製)、ジメチルジエトキシシラン(商品名:KBE−22、信越化学株式会社製)、フェニルトリメトキシシラン(商品名:KBM−103、信越化学株式会社製)、フェニルトリエトキシシラン(商品名:KBE−103、信越化学株式会社製)、ジメトキシジフェニルシラン(商品名:KBM−202SS,信越化学株式会社製)、n−プロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−3033、信越化学株式会社製)、n−プロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−3033、信越化学株式会社製)、ヘキシルトリメトキシシラン(商品名:KBM−3063、信越化学株式会社製)、ヘキシルトリエトキシシラン(商品名:KBE−3063、信越化学株式会社製)、デシルトリメトキシシラン(商品名:KBM−3103C、信越化学株式会社製)、オクチルトリエトキシシラン(商品名:KBM−3083、信越化学株式会社製)等が挙げられる。シランカップリング剤の具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(商品名:KBM−303、信越化学株式会社製)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−402、信越化学株式会社製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学株式会社製)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、(商品名:KBE−402、信越化学株式会社製)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−403、信越化学株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−502、信越化学株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−503、信越化学株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(商品名:KBE−502、信越化学株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−503、信越化学株式会社製)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−802、信越化学株式会社製)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−803、信越化学株式会社製)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−602、信越化学株式会社製)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−603、信越化学株式会社製)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−903、信越化学株式会社製)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−903、信越化学株式会社製)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−573、信越化学株式会社製)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−5103、信越化学株式会社製)、ビニルトリメトキシシラン(商品名:KBM−1003、信越化学株式会社製)、ビニルトリエトキシシラン(商品名:KBE−1003、信越化学株式会社製)、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−9007、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物やシランカップリング剤を用いてフィラーを表面処理する方法は、特に限定されず、例えば、乾式法、湿式法等により実施することができる。乾式法は、攪拌装置によって高速攪拌しているフィラーに、アルコキシシラン化合物やシランカップリング剤の原液、あるいは溶液を均一に分散させて処理する方法である。上記撹拌装置としては、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等の高速回転で撹拌・混合が可能なミキサーを用いることができるが、特に限定されるものではない。
湿式法は、表面処理しようとするフィラーを溶媒中に分散させ、アルコキシシラン化合物やシランカップリング剤を水または有機溶剤に溶解して得られた表面処理溶液を添加し、スラリー状となるように撹拌する方法である。撹拌によって、アルコキシシラン化合物やシランカップリング剤とフィラーとを十分に反応させる。反応を促進させるために必要に応じて加熱してもよい。その後、濾過や遠心分離等の方法によりフィラーを表面処理溶液から分離し、加熱乾燥する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分以外に、以下に述べる成分を必要に応じて含有してもよい。
(D)シラン化合物
本発明のエポキシ樹脂組成物は、組成物としての粘度低下、フィラーの分散性向上、アンダーフィル材として使用した際の密着性向上等を目的として、(D)成分としてシラン化合物を含有してもよい。(D)成分のシラン化合物としては、各種アルコキシシラン化合物、およびエポキシ系、アミノ系、ビニル系、メタクリル系、アクリル系、メルカプト系等の各種シランカップリング剤を用いることができる。
アルコキシシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン(商品名:KBM−13、信越化学株式会社製)、メチルトリエトキシシラン(商品名:KBE−13、信越化学株式会社製)、ジメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−22、信越化学株式会社製)、ジメチルジエトキシシラン(商品名:KBE−22、信越化学株式会社製)、フェニルトリメトキシシラン(商品名:KBM−103、信越化学株式会社製)、フェニルトリエトキシシラン(商品名:KBE−103、信越化学株式会社製)、ジメトキシジフェニルシラン(商品名:KBM−202SS,信越化学株式会社製)、n−プロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−3033、信越化学株式会社製)、n−プロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−3033、信越化学株式会社製)、ヘキシルトリメトキシシラン(商品名:KBM−3063、信越化学株式会社製)、ヘキシルトリエトキシシラン(商品名:KBE−3063、信越化学株式会社製)、デシルトリメトキシシラン(商品名:KBM−3103C、信越化学株式会社製)、オクチルトリエトキシシラン(商品名:KBM−3083、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
シランカップリング剤の具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(商品名:KBM−303、信越化学株式会社製)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−402、信越化学株式会社製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学株式会社製)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(商品名:KBE−402、信越化学株式会社製)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−403、信越化学株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−502、信越化学株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−503、信越化学株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−503、信越化学株式会社製)等、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−802、信越化学株式会社製)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−803、信越化学株式会社製)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−602、信越化学株式会社製)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−603、信越化学株式会社製)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−903、信越化学株式会社製)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−903、信越化学株式会社製)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−573、信越化学株式会社製)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−5103、信越化学株式会社製)、ビニルトリメトキシシラン(商品名:KBM−1003、信越化学株式会社製)、ビニルトリエトキシシラン(商品名:KBE−1003、信越化学株式会社製)、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBM−9007、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
(D)成分としてシラン化合物を含有する場合、シラン化合物の含有量は、特に制限はないが、樹脂とフィラーとの界面接着および樹脂と電子部品との界面接着を強固にする観点、並びに充填性を向上させる観点から、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.2〜2質量%であることがより好ましく、0.5〜1質量%であることがさらに好ましい。
(E)硬化促進剤
本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、(E)成分として硬化促進剤を含有してもよい。(B)成分の硬化剤として、酸無水物系硬化剤やフェノール系硬化剤を使用する場合は、(E)成分として硬化促進剤を含有することが好ましい。(E)成分としての硬化促進剤は、エポキシ樹脂の硬化促進剤であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、イミダゾール化合物等の窒素含有化合物、ホスフィン誘導体からなる有機リン化合物、第三級アミン系硬化促進剤等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられる。
有機リン化合物系硬化促進剤の具体例としては、テトラブチルホスホニウムo,o−ジエチルホスホロジチオエート、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等のホスフィン化合物、もしくはそれらの塩、等が挙げられる。
第三級アミン系硬化促進剤の具体例として、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリエチレンジアミン(1,4−ジアザジシクロ(2.2.2)オクタン(DABCO))、ヘキサメチレンテトラミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン,N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N'−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン,1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)等の脂肪族第三級アミン化合物、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ベンジルジメチルアミン、トリフェニルアミン、ピリジン、4−ジメチルピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2,2'−ジピリジル、2,5−ジメチルピラジン、キノリン等の芳香族第三級アミン化合物が挙げられる。中でも、流動性と密着性のバランスの点から、活性水素をもたない環状アミジン構造を有する第三級アミン化合物が好ましく、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)が挙げられる。
(その他の配合剤)本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記(A)〜(E)成分以外の成分を必要に応じてさらに含有してもよい。このような成分の具体例としては、エラストマー、金属錯体、レベリング剤、着色剤、イオントラップ剤、消泡剤、難燃剤等を配合することができる。各配合剤の種類や配合量は常法通りである。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、これらの例に限定されない。各種の評価は、それぞれ以下の通り行った。
(X線回折分析)
リガク社製X線回折装置MiniFlex600を用いて、X線源;Cu、電圧;40kV、電流;15mAとし、ステップ幅;0.01°、スキャン速度;5°/分、発散角スリット(DS);0.625°、散乱スリット(SS);8.0mm、受光スリット(RS);OPEN、入射ソーラースリット;2.5°、受光ソーラースリット;2.5°の条件で測定して、X線回折データを得た。
(X線回折強度)
各試料のX線回折データを、解析ソフトPDXL−2を用いて、自動設定によるバックグラウンド処理を実施し、X線回折強度を測定した。β−ユークリプタイト相に関しては、2θ=25°近傍に出現するβ−ユークリプタイト相の最強線(102)面の回折ピークの強度(単位はcounts)を採用した。β−リン酸硫酸ジルコニウムに関しては、2θ=28.4°近傍に出現するβ‐ZrSP12相の第二最強線(022)面の回折ピークの強度(単位はcounts)を採用した。
(結晶子径の算出)
各試料のX線回折データを、解析ソフトPDXL−2を用いて、自動設定によるバックグラウンド処理を実施し、シェラーの式に基づいて結晶子径を算出した。β−ユークリプタイト相に関しては、(102)面に垂直方向の結晶子径を採用した。また、β−リン酸硫酸ジルコニウムに関しては、(022)面に垂直方向の結晶子径を採用した。
マルバーン社製のレーザー回折式粒度分布測定装置マスターサイザー2000を用いて、分散粒子径d50(レーザー回折法による分散粒子径d50)を測定した。測定にあたり、β−ユークリプタイト乾燥粉末、又はβ−リン酸硫酸ジルコニウム粒子を水散媒に添加し、装置内で循環させながら超音波を1分間照射した。β−ユークリプタイト粒子に関しては、屈折率を1.55、吸収係数(虚数部)を0.1として算出される平均粒子径を採用した。β−リン酸硫酸ジルコニウム粒子に関しては、屈折率を1.70、吸収係数(虚数部)を0として算出される平均粒子径を採用した。
カンタクローム社製のMONOSORBを用いて、窒素吸着法により比表面積を測定した。そして、β−ユークリプタイトに関しては、β−ユークリプタイトの密度を2.35として、球形粒子に換算したときの一次粒子径dを算出した。また、β−リン酸硫酸ジルコニウム粒子に関しては、β−リン酸硫酸ジルコニウムの密度を2.81として、球形粒子に換算したときの一次粒子径dを算出した。
(熱膨張係数)
TAインスツルメント社の熱機械分析装置「TMA Q400」を使用した。エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させ、5mm角×厚み3mmの直方体に成形した硬化物について、室温から毎分5℃で昇温し、厚み方向の試料長変化(硬化物の長さ変化)から線熱膨張係数を算出した。なお、30〜70℃における線熱膨張係数の平均値をCTE1とし、170〜200℃における線熱膨張係数の平均値をCTE2とした。
(初期弾性率)
TAインスツルメント社の動的粘弾性測定装置「DMA Q800」を使用した。エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させ、幅10mm×長さ60mm×厚み3mmの直方体に成形した硬化物について、室温から毎分5℃で昇温し、30℃における弾性率を初期弾性率とした。
(ガラス転移温度(Tg))
熱機械分析(TMA法)では、試料長変化の変曲点に相当する温度、また、動的粘弾性測定(DMA測定)では、TanΔのピーク温度をガラス転移温度とした。
(体積抵抗率)
三菱ケミカルアナリテック社の抵抗率計「ハイレスターMCP−HT450」を用いて、幅30mm×長さ30mm×厚み3mm厚の直方体に成形した硬化物の体積抵抗率を測定した。印加電圧は1000Vとした。
実施例及び比較例等に用いた(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)フィラーは、以下の通りである。
(A)液状エポキシ樹脂
(A1)ビスフェノールF型エポキシ樹脂、品名:EXA−830CRP、DIC社製、エポキシ当量159
(A2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂、品名:EXA−830LVP、DIC社製、エポキシ当量(162)
(A3)ナフタレン型エポキシ樹脂、品名:HP−4032D、DIC社製、エポキシ当量(143)
(B)硬化剤
(B1)アミン系
ジエチルトルエンジアミン、品名:エタキュア100プラス、アルベマール日本株式会社製
(B2)酸無水物系
4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸(モル比=70/30)、品名:リカシッドMH−700、新日本理化株式会社製
(B3)フェノール樹脂系
品名:MEH−8000H、明和化成株式会社製
(B4)芳香族アミン系
品名:カヤハードA−A、日本化薬株式会社製
(B5)アミン系
ジエチルトルエンジアミン、品名:エタキュア100、アルベマール日本株式会社製
(C)フィラー
(C1:製造例1)
実施例に用いたβ‐ユークリプタイト微粒子は(1)〜(6)の手順で製造した。
(1):コロイダルシリカ(スノーテックス(登録商標)OXS、日産化学工業社製、シリカ濃度10.5質量%、透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径5nm)572.2g(SiO1モル)に、シュウ酸アルミニウム水溶液1019.6g(Al0.5モル)及びシュウ酸リチウム水溶液924.1g(LiO 0.5モル)を添加し、室温下で10分間撹拌して、混合液を得た。得られた混合液の比重は1.068、pHは2.0、電気伝導度は22.3mS/cmであった。
得られた混合液を、スプレードライヤー(パルビスミニスプレーGB210−A型、ヤマト科学社製)を用いて、入口温度185℃、アトマイジングエアー圧力0.14MPa、アスピレーター流量0.50m/分、混合液の送液速度4g/分の条件で乾燥し、乾燥粉を得た。このときの出口温度は80±3℃であった。
(2):得られた乾燥粉300gをアルミナ坩堝に入れ、卓上電気炉を使用して大気中で850℃の温度で5時間焼成することにより、白色粉末103gを得た。得られた白色粉末をX線回折分析により同定したところ、β−ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は28054、結晶子径は52nmであった。窒素吸着法による一次粒子径dは2.72μm、レーザー回折法による分散粒子径d50は11.2μmであった。
(3):β−ユークリプタイト粉末40g、イソプロパノール160g、φ0.5mmジルコニアビーズ900gを粉砕容器に入れ、アイメックス社製のビーズミル装置イージーナノRMB型を用いて1000rpmの条件で湿式粉砕した。5時間粉砕した後にジルコニアビーズを除去し、スラリーを回収した。
(4):次いで、(3)で回収したスラリーをナスフラスコに入れて、ロータリーエバポレーターを用いて10Torrで揮発分がなくなるまで乾燥して乾燥粉を得た。この乾燥粉をX線回折分析により同定したところ、β−ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は15361、結晶子径は40nmであった。窒素吸着法による一次粒子径dは0.20μmであり、レーザー回折法による分散粒子径d50は0.39μmであった。
(5):得られた乾燥粉をアルミナ匣鉢に入れて、卓上電気炉により毎分3℃で850℃まで昇温し、5時間焼成して焼成粉を得た。得られた焼成粉をX線回折分析により同定したところ、β−ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は35714、結晶子径は61nmであった。
(6):次に、上記の(5)で得られた焼成粉を、株式会社セイシン企業製のA−Oジェットミルを用いて、原料ノズルが0.8MPa、粉砕ノズルが0.8MPa、フィード量が毎分約1gの運転条件で乾式粉砕し、β−ユークリプタイト微粒子を得た。
得られたβ−ユークリプタイト微粒子をX線回折分析により同定したところ、β−ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は35411、結晶子径は62nmだった。窒素吸着法による一次粒子径dは0.46μm(5.53)であり、レーザー回折法による分散粒子径d50は0.60μmであった。また、電子顕微鏡で粒子形態を観察したところ、丸みを帯びた微粒子が確認された。
(C2:製造例2)
実施例に用いたβ‐ユークリプタイト微粒子は(1)〜(6)の手順で製造した。
(1)〜(2):製造例1と同様に行った。
(3):β−ユークリプタイト粉末100gをイソプロパノール400gに添加したスラリーを、広島メタル&マシナリー社製のビーズミル装置ウルトラアペックスミルUAM015を用いてφ0.5mmジルコニアビーズ(充填率80%)、周速5m/secの条件で5時間30分粉砕し、スラリーを回収した。
(4):次いで、(3)で回収したスラリーをナスフラスコに入れて、ロータリーエバポレーターを用いて10Torrで揮発分がなくなるまで乾燥して乾燥粉を得た。この乾燥粉をX線回折分析により同定したところ、β−ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は8931、結晶子径は31nmであった。窒素吸着法による一次粒子径dは0.16μmであり、レーザー回折法による分散粒子径d50は0.30μmであった。
(5):得られた乾燥粉をアルミナ匣鉢に入れて、卓上電気炉により毎分3℃で850℃まで昇温し、3時間焼成して焼成粉を得た。得られた焼成粉をX線回折分析により同定したところ、β−ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は33394、結晶子径は58nmであった。
(6):次に、上記の(5)で得られた焼成粉40g、イソプロパノール160g、φ1mmジルコニアビーズ500gを500ccプラスチック製容器に入れ、ヤマト科学社製ユニバーサルボールミルUB32に載せて200rpmで22h粉砕することにより、β−ユークリプタイト微粒子を含むスラリーを得た。前述と同様の方法によりスラリーを乾燥してβ−ユークリプタイト微粒子の粉末を得た。
得られたβ−ユークリプタイト微粒子をX線回折分析により同定したところ、β−ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は30753、結晶子径は63nmであった。窒素吸着法による一次粒子径dは0.28μmであり、レーザー回折法による分散粒子径d50は0.28μmであった。また、電子顕微鏡で粒子形態を観察したところ、丸みを帯びた微粒子が確認された。
(C3:製造例3)
実施例に用いたβ−ユークリプタイト微粒子は(1)〜(6)の手順で製造した。
(1)〜(2):製造例1と同様に行った。
(3):β−ユークリプタイト粉末40g、イソプロパノール160g、φ1mmジルコニアビーズ900gを粉砕容器に入れ、アイメックス株式会社製のビーズミル装置イージーナノRMB型にて1000rpmの条件で湿式粉砕した。90分粉砕した後にジルコニアビーズを除去し、スラリーを回収した。
(4):次いで、(3)で回収したスラリーをナスフラスコに入れて、ロータリーエバポレーターを用いて10Torrで揮発分がなくなるまで乾燥して乾燥粉を得た。この乾燥粉をX線回折分析により同定したところ、β−ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は22164、結晶子径は44nmであった。窒素吸着法による一次粒子径dは0.43μmであり、レーザー回折法による分散粒子径d50は1.13μmであった。
(5):得られた乾燥粉をアルミナ匣鉢に入れて、卓上電気炉により毎分3℃で900℃まで昇温し、5時間焼成して焼成粉を得た。得られた焼成粉をX線回折分析により同定したところ、β−ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は39684、結晶子径は65nmであった。
(6):次に、上記の(5)で得られた焼成粉40g、イソプロパノール160g、φ1mmジルコニアビーズ500gを500ccプラスチック製容器に入れ、ヤマト科学社製ユニバーサルボールミルUB32に載せて200rpmで20h粉砕することにより、β−ユークリプタイト微粒子を含むスラリーを得た。前述と同様の方法によりスラリーを乾燥してβ−ユークリプタイト微粒子の粉末を得た。
得られたβ−ユークリプタイト微粒子をX線回折分析により同定したところ、β−ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は34670、結晶子径は64nmであった。窒素吸着法による一次粒子径dは0.60μmであり、レーザー回折法による分散粒子径d50は0.90μmであった。また、電子顕微鏡で粒子形態を観察したところ、丸みを帯びた微粒子が確認された。
(C4:製造例4)
製造例1の(5)〜(6)を実施しなかったこと以外は同様の方法により製造した。
(C5:製造例5)
実施例に用いたβ‐リン酸硫酸ジルコニウム微粒子は以下の手順で製造した。
炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(日本軽金属社製、製品名;ベイコート20、酸化ジルコニウム濃度19.6質量%相当)377.1g(Zrとして0.60mol)を純水815.1gで希釈した水溶液に、リン酸水素二アンモニウム79.23g(Pとして0.60mol)、硫酸アンモニウム39.6g(Sとして0.30mol)、純水1500gとを添加し、混合水溶液を調製した。調製した混合水溶液のpHは9.2、電気伝導度は44.2mS/cmであった。
この混合水溶液をスプレードライヤー(パルビスミニスプレーGB210−A型、ヤマト科学社製)を使用して、入口温度180℃、噴霧圧0.15MPa、風量0.55m3/分、混合水溶液の送液速度400g/時の条件で乾燥させ、乾燥粉を得た。このときの出口温度は70±5℃であった。得られた乾燥粉高純度アルミナ製匣鉢に入れ、電気炉を使用して大気中において400℃で4時間の仮焼成した後、800℃で4時間の本焼成することにより焼成粉末を得た。
得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、生成相はβ‐ZrSP12(PDF No.01−084−1427)に帰属される単相からなり、2θ=28.4°付近に出現する(022)面の回折ピークの強度は1432、算出される結晶子径は54nmであった。窒素吸着法による一次粒子径dは0.530μm、レーザー回折法による分散粒子径d50は5.0μmであった。
(C6)
シリカフィラー 品名:SFP−30M、デンカ株式会社、平均粒子径D50=0.58μm
(C7)
シリカフィラー 品名:SFP−130MHE、デンカ株式会社、平均粒子径D50=0.6μm
[実施例1]
EXA−830CRP 24.0g、エタキュア100プラス 6.72g、製造例1のβ−ユークリプタイト 39.3gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、100℃で1時間、175℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
EXA−830CRP 24.0g、エタキュア100プラス 6.72g、製造例2のβ−ユークリプタイト 39.3gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、100℃で1時間、175℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
EXA−830CRP 24.0g、エタキュア100プラス 6.72g、製造例3のβ−ユークリプタイト 39.3gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、100℃で1時間、175℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
EXA−830CRP 14.72g、リカシッドMH−700 15.28g、製造例1のβ−ユークリプタイト 38.5g、ヒシコーリンPX−4ET 0.15gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、100℃で2時間、150℃で5時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
EXA−830CRP 15.9g、MEH−8000H 14.1g、製造例1のβ−ユークリプタイト 38.5g、2−エチル−4−メチルイミダゾール 0.3gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、125℃で1時間、170℃で3時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
EXA−830CRP 24.0g、エタキュア100プラス 6.72g、製造例1のβ−ユークリプタイト 35.4g、シリカフィラーSFP−30M 3.76gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、100℃で1時間、175℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
EXA−830CRP 24.0g、エタキュア100プラス 6.72g、製造例1のβ−ユークリプタイト 29.5g、シリカフィラーSFP−30M 9.4gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、100℃で1時間、175℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
EXA−830LVP 61.09g、HP−4032D 23.11g、カヤハードA−A 19.64g、エタキュア100 5.96gをフラスコに入れて、真空下で10分間混合した。次いで、製造例1のβ−ユークリプタイト 90g、カーボンブラックLB101(エボニック製)0.2gを添加し、真空下で2時間混合した。
この混合物を、三本ロールミル(EXAKT 80E PLUS)を用いて混練し、フラスコに入れて真空下で30分混合して、自公転式撹拌脱泡ミキサーARE−310のDeformモードで5分間脱泡し、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。β−ユークリプタイトの配合量はエポキシ樹脂組成物中の45重量%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、フッ素樹脂でコートされたモールドに注型し、120℃で2時間、165℃で5時間、180℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例9]
EXA−830CRP 18.0g、エタキュア100プラス 5.04gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で6分間混合し、製造例5のβ‐リン酸硫酸ジルコニウム粒子 23.04gを加えて三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の約30体積%に相当する。得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、120℃で2時間、165℃で5時間、180℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
以下は、実施例及び比較例に関連する参考例である。
[参考例1]
EXA−830CRP 14.72g、リカシッドMH−700 15.28g、製造例4のβ−ユークリプタイト 37.7g、ヒシコーリンPX−4ET 0.15gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、100℃で2時間、150℃で5時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[参考例2]
EXA−830CRP 15.9g、MEH−8000H 14.1g、製造例4のβ−ユークリプタイト 37.7g、2−エチル−4−メチルイミダゾール 0.3gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、125℃で1時間、170℃で3時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
以下は、実施例に対する比較例である。
[比較例1]
EXA−830CRP 24.0g、エタキュア100プラス 6.72g、シリカフィラーSFP−30M(C6) 37.6gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、100℃で1時間、175℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
EXA−830CRP 14.72g、リカシッドMH−700 15.28g、シリカフィラーSFP−30M(C6) 36.9g、ヒシコーリンPX−4ET 0.15gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、100℃で2時間、150℃で5時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
EXA−830CRP 15.9g、MEH−8000H 14.1g、シリカフィラーSFP−30M(C6) 36.9g、2−エチル−4−メチルイミダゾール 0.3gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V−mini300、EME社製)で1分間混合し、三本ロールミル(EXAKT M−50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の40体積%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、125℃で1時間、170℃で3時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
EXA−830LVP 61.09g、HP−4032D 23.11g、カヤハードA−A 19.64g、エタキュア100 5.96gをフラスコに入れて、真空下で10分間混合した。次いで、(C7)のシリカフィラーSFP−130MHE(デンカ製)109.8g、カーボンブラックLB101(デグッサ製)0.2gを添加し、真空下で2時間混合した。
この混合物を、三本ロールミル(EXAKT 80E PLUS)を用いて混練し、フラスコに入れて真空下で30分混合して、自公転式撹拌脱泡ミキサーARE−310のDeformモードで5分間脱泡し、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。シリカフィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の50重量%に相当する。
得られた液状エポキシ樹脂組成物を、フッ素樹脂でコートされたモールドに注型し、120℃で2時間、165℃で5時間、180℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2019151839
本発明は、エポキシ樹脂組成物等の産業分野で利用することができる。

Claims (12)

  1. (A)液状エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、(C)分散粒子径(d50)0.1〜6.0μmの範囲にある負の熱膨張係数を有するフィラーと、を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. エポキシ樹脂組成物の全成分の合計100質量部に対して、前記(C)成分が40〜70質量部であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分がβ−ユークリプタイトであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記(C)成分の負の熱膨張係数を有するフィラーが、窒素吸着法による比表面積から球形粒子に換算した一次粒子径(d)と、分散粒子径(d50)と、の比(d50/d)が1.0以上10未満であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記(C)成分のβ−ユークリプタイトが、β−ユークリプタイト相の(102)面に帰属するX線回折ピークから算出される結晶子径が45nm以上100nm以下であるものであることを特徴とする請求項3又は4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記(B)成分がアミン化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 前記(B)成分が酸無水物を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 前記(B)成分がフェノール系硬化剤を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むことを特徴とするアンダーフィル材。
  10. 請求項1〜8の何れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むことを特徴とする半導体封止材。
  11. 請求項1〜8の何れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むことを特徴とする接着剤。
  12. 請求項1〜8の何れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を加熱することで得られる樹脂硬化物。
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