JP2019149441A - インプリントモールド用基板、マスクブランク及びインプリントモールドの製造方法 - Google Patents

インプリントモールド用基板、マスクブランク及びインプリントモールドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】台座構造の大きさを従来よりも大きくした場合でも、転写対象物に転写パターンを精度良く転写することができることができるインプリントモールドの製造に好適なインプリントモールド用基板を提供する。【解決手段】対向する一方の主表面に台座構造を有し、他方の主表面に凹部を有するインプリントモールド用基板である。この凹部は一方の主表面に対向する底面と側壁面とを有し、主表面方向から見たとき凹部の底面は台座構造を包含する大きさを有する。凹部の底面の面積は凹部の開口端部の開口面積よりも大きく、凹部の底面の面積は台座構造の面積の2倍以上である。また、凹部の開口端部の開口面積を除いた他方の主表面の面積は台座構造の面積の5倍以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体デバイスの微細回路パターン作製、微細パターンにより光学的機能を付加した光学部品作製等に適用するインプリントモールドの製造方法、この製造に好適に用いられるインプリントモールド用基板、マスクブランクに関するものである。
半導体デバイスの微細回路パターン作製、微細パターンにより光学的機能を付加した光学部品作製等における微細パターン形成において、同じ微細パターンを大量に転写するためのインプリント法が用いられるようになってきている。
インプリント法は、微細なモールドパターンが形成されたインプリントモールド(スタンパ)を原版として用い、転写対象物(被転写体)上に塗布された光硬化性樹脂等の液体樹脂に対してインプリントモールドを直接押し付けて紫外線等によって硬化させることにより、硬化した液体樹脂にモールドパターンを転写する方法である。このため、インプリント法によれば、同じ微細パターンを大量に転写することが可能である。
このようにインプリントモールドは同じ微細パターンを大量に転写するための原版となるため、モールド上に形成されたモールドパターンの寸法精度は、作製される微細パターンの寸法精度に直接影響する。また、インプリントモールドは転写対象物上に塗布された液体樹脂に直接押し付けてパターンを転写するため、モールドパターンの断面形状も作製される微細パターンの形状に大きく影響する。半導体デバイス等の集積度が向上するにつれ、要求されるパターンの寸法は小さくなり、また、等倍でのパターン転写となるため、インプリントモールドの精度もより高いものが要求されるようになってきている。
インプリントモールドは、特許文献1に開示されているように、基板の主表面の中央部に設けられた台座構造に転写パターンが形成された構成を備えたものが用いられる場合が多い。この台座構造は、主表面におけるモールドパターンが設けられている転写領域以外の領域が転写対象物の基板(半導体基板等)や液体樹脂に接触しないようにするために設けられているものである。
インプリントモールドの一態様として、たとえば特許文献2に開示されているものが知られている。このインプリントモールドは、モールドパターン(転写パターン)が形成されている表側の主表面とは反対側にある裏側の主表面に凹部が設けられた構成となっている。さらに、凹部が設けられていることにより、主表面におけるモールドパターンが形成されている台座構造を含む領域の基板の厚さが、その周囲の領域よりも薄くなっている。転写対象物に塗布された光硬化性樹脂等の液体樹脂にこのインプリントモールドのモールドパターンを押し付ける際、凹部内の空気圧を高くした状態にすることで、周囲よりも基板の厚さが薄くなっている領域のモールドパターンが広がる方向に湾曲する。この状態で液体樹脂に対してモールドパターンを押し付けていくと、最初にモールドパターンの中央側が液体樹脂に接触し、そこを起点にモールドパターンと液体樹脂とが接触する領域が外周側に向かって同心円状に広がっていくため、モールドパターンと液体樹脂との間に空気が封入されることを抑制することができる。
また、液体樹脂を硬化させた後、モールドを剥離する際においても、凹部内の空気圧を高くした状態にすることで、周囲よりも基板の厚さが薄くなっている領域のモールドパターンが広がる方向に湾曲させる。これにより、硬化した液体樹脂からモールドパターン(インプリントモールド)を剥離(離型)しやすくなる。
また、このような裏側の主表面に凹部が設けられたインプリントモールドを製造する場合、たとえば特許文献3では、基板の両主表面に台座構造と凹部を予め形成したものを製造し、これを用いてインプリントモールドを製造する方法が開示されている。
特開2009−98689号公報 特表2009−536591号公報 特開2014−56893号公報
インプリントによる転写対象物へのパターン転写において、スループットのさらなる向上が望まれている。この解決策の一つとして、1つのインプリントモールドに複数個分の転写パターンを配置し、この複数個分の転写パターンを同時に転写対象物に転写することが検討されている。
上記のとおり、一般に、半導体デバイスの製造等において、転写対象物にパターンを転写するときに用いられるインプリントモールドは、基板主表面の台座構造上に転写パターン(モールドパターン)が設けられている。従来のインプリントモールドでは、例えば、基板主表面上の35mm×25mmの領域に転写パターンが設けられている。例えば、4個分の転写パターンを台座構造上に設ける場合、パターン形成領域の面積が従来の4倍になるため、台座構造の面積も従来の4倍にする必要がある。
ところで、転写対象物にパターンをインプリントで転写後、転写対象物からインプリントモールドを剥離しやすくするためには、基板主表面方向から見たときの台座構造と凹部との関係については、凹部は台座構造を少なくとも包含する領域の大きさを有する必要があり、例えば、基板主表面方向から見たときの凹部の領域の大きさが台座構造の領域の大きさの2倍以上であることが望ましいとされている。
上記のように、例えば4個分の転写パターンを配置するため、台座構造の大きさを従来よりも大きくした場合、凹部の大きさが従来と同じであると、台座構造の領域の一部(例えば隅部近傍)が裏面凹部の領域に包含されず、その部分ではインプリントモールドの剥離時にモールドパターンの変形が殆ど起こらない。その結果、インプリントモールドの剥離時にモールドパターンが広がる変形が起こる部分と広がらない(変形が殆ど起こらない)部分とに挟まれた光硬化樹脂は潰れてしまう恐れがある。また、台座構造の局所的に裏面凹部が形成されていない領域と形成されている領域との境界には応力が集中しやすく、クラックが発生する恐れもある。
従って、台座構造の大きさを従来よりも大きくした場合、この台座構造を包含するように裏面凹部の大きさを従来よりも大きくすることで、上述の問題は解決できるようにも考えられるが、以下のような新たな問題が発生する。
インプリントモールドをインプリント装置の装着部に装着する際、モールドの側面を支持具で支持しつつ、モールドの裏面を真空チャックすることで固定する。モールド裏面の凹部の大きさを従来よりも大きくすると、モールドの裏面の真空チャックされる領域が小さくなるため、チャック力が大きく低下することになる。そのような低いチャック力で裏面が固定されたインプリントモールドのモールドパターンを転写対象物上の液体樹脂に押し当て、樹脂を硬化させた後にモールドを剥離しようとすると、モールド裏面を固定しているチャック力が、モールドパターンと樹脂との間の付着力に抗しきれず、インプリントモールドがインプリント装置の装着部から脱落する恐れがある。
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、第1に、インプリントモールドの台座構造の大きさを従来よりも大きくし、台座構造領域上に複数個分の転写パターンを配置した場合でも、高い真空チャック力でインプリント装置に安定に固定でき、またインプリント後のモールドの剥離が良好に行われることにより、転写対象物に転写パターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造に好適なインプリントモールド用基板を提供することである。また、第2に、このインプリントモールド用基板を用いたマスクブランクを提供することであり、第3に、このマスクブランクを用いて製造され、転写対象物に転写パターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、モールド基板の裏面に凹部を形成するのは、台座構造の領域の基板の厚さを薄くして台座構造部分を変形しやすくするためであるため、主表面側から見た裏面凹部の領域の大きさが、基板の深さ方向の全体で台座構造の大きさよりも大きくしなければならないわけではなく、少なくとも主表面側から見たときの凹部の底面部分の大きさが台座構造の領域を包含する大きさを有していればよく、凹部の開口端部での大きさ(開口面積)は台座構造の大きさよりも大きくしなくてもよいという結論に至った。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
対向する2つの主表面を備え、一方の前記主表面に台座構造を有し、他方の前記主表面に凹部を有する基板からなるインプリントモールド用基板であって、前記凹部は、前記一方の主表面に対向する底面と側壁面とを有し、前記主表面方向から見たとき、前記凹部の底面は、前記台座構造を包含する大きさを有し、前記凹部の底面の面積は、前記凹部の開口端部の開口面積よりも大きく、前記凹部の底面の面積は、前記台座構造の面積の2倍以上であり、前記開口端部の開口面積を除いた前記他方の主表面の面積は、前記台座構造の面積の5倍以上である、ことを特徴とするインプリントモールド用基板。
(構成2)
前記凹部は、前記開口端部の開口面積が拡張された拡張部を底面側の側壁面に有することを特徴とする構成1に記載のインプリントモールド用基板。
(構成3)
前記拡張部は、前記底面近傍の側壁面の全周に渡って形成された溝部であることを特徴とする構成2に記載のインプリントモールド用基板。
(構成4)
前記主表面方向から見たときの前記台座構造の形状は多角形状であり、前記主表面方向から見たときの前記主表面の形状は矩形状であり、前記主表面の対角線の長さに対する前記多角形状の台座構造の外接円の直径の比率が0.38倍以上であることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
(構成5)
前記他方の主表面の面積に対する前記凹部の底面の面積の比率は、0.7倍以下であることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
(構成6)
前記他方の主表面の面積に対する前記開口端部の開口面積の比率は、0.086倍以上であることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
(構成7)
前記凹部の底面と前記一方の主表面との間の前記基板の厚さは、1.5mm以下であることを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
(構成8)
前記基板は、2つの主表面を貫通する孔を有する第1の基板と一方の主表面に前記台座構造を有する第2の基板を接合してなり、前記凹部は、前記第1の基板の孔によって前記側壁面が構成され、前記第2の基板の他方の主表面によって前記底面が構成されていることを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
(構成9)
構成1乃至8のいずれかに記載のインプリントモールド用基板の前記一方の主表面に、パターン形成用薄膜を備えることを特徴とするマスクブランク。
(構成10)
前記パターン形成用薄膜は、クロムを含有する材料からなることを特徴とする構成9に記載のマスクブランク。
(構成11)
構成9又は10に記載のマスクブランクを用いるインプリントモールドの製造方法であって、前記パターン形成用薄膜上に形成されたモールドパターンを有するレジスト膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記パターン形成用薄膜にモールドパターンを形成する工程と、前記モールドパターンが形成されたパターン形成用薄膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記台座構造の転写面にモールドパターンを形成する工程と、を有することを特徴とするインプリントモールドの製造方法。
本発明によれば、インプリントモールドの台座構造の大きさを従来よりも大きくし、台座構造領域上に複数個分の転写パターンを配置した場合でも、高い真空チャック力でインプリント装置に安定に固定でき、またインプリント後のモールドの剥離が良好に行われることにより、転写対象物に転写パターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造に好適なインプリントモールド用基板を提供することができる。
また、本発明によれば、このインプリントモールド用基板を用いて、上記インプリントモールドの製造に好適なマスクブランクを提供することができる。
さらに、本発明によれば、このマスクブランクを用いて製造され、インプリントモールドの台座構造の大きさを従来よりも大きくし、台座構造領域上に複数個分の転写パターンを配置した場合でも、高い真空チャック力でインプリント装置に安定に固定でき、またインプリント後のモールドの剥離が良好に行われることで、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造方法を提供することができる。
本発明に係るインプリントモールド用基板の第1の実施の形態を示す断面図である。 (a)は第1の実施の形態のインプリントモールド用基板の他方の主表面側から見た平面図であり、(b)は(a)の平面図におけるZ−Z線に沿った断面図である。 本発明に係るインプリントモールド用基板の第2の実施の形態を示す断面図である。 本発明に係るインプリントモールド用基板の第3の実施の形態を示す断面図である。 本発明に係るマスクブランクの一実施の形態を示す断面図である。 (a)〜(f)はインプリントモールドの製造工程を説明するためのマスクブランク等の断面図である。 インプリントによる転写対象物へのパターン転写を説明するための断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳述する。
[インプリントモールド用基板]
まず、インプリントモールドの製造に好適な本発明のインプリントモールド用基板(以下、単に「基板」と呼ぶこともある。)について説明する。
本発明のインプリントモールド用基板は、上記構成1にあるように、対向する2つの主表面を備え、一方の前記主表面に台座構造を有し、他方の前記主表面に凹部を有する基板からなるインプリントモールド用基板であって、前記凹部は、前記一方の主表面に対向する底面と側壁面とを有し、前記主表面方向から見たとき、前記凹部の底面は、前記台座構造を包含する大きさを有し、前記凹部の底面の面積は、前記凹部の開口端部の開口面積よりも大きく、前記凹部の底面の面積は、前記台座構造の面積の2倍以上であり、前記開口端部の開口面積を除いた前記他方の主表面の面積は、前記台座構造の面積の5倍以上であることを特徴とするものである。
図1は、このような本発明に係るインプリントモールド用基板の第1の実施の形態を示す断面図である。また、図2の(a)は、この第1の実施の形態のインプリントモールド用基板を他方の主表面側から見た平面図であり、図2の(b)は、(a)の平面図におけるZ−Z線に沿った断面図である。図2の(b)は図1と同じ状態(断面図)を示している。
本実施の形態のインプリントモールド用基板1は、図1、図2に示されるように、対向する2つの主表面11、12を備え、これら2つの主表面の外周端の間に側面13を備えている。また、この基板1の一方の主表面11に台座構造14を有し、他方の主表面12に凹部15を有している。この凹部15を有する他方の主表面12は、モールドパターンの転写を行う転写装置(インプリント装置)のモールド保持部にチャックされる面である。本実施の形態においては、上記基板1は、平面視で全体が矩形状を成している。つまり、基板1の主表面方向から見たときの主表面11、12の形状は矩形状である。また、基板1の主表面方向から見たとき(平面視)の上記台座構造14の形状は全体が矩形状である。図2(a)中の破線Bは、台座構造14の領域の境界を示している。また、基板1の主表面方向から見たとき(平面視)の上記凹部15の形状は全体が円形状を成している。
本発明に適用する上記基板1は、そのパターン形成面(一方の主表面11)にモールドパターン(転写パターン)である凹凸パターンが形成されることにより、インプリントモールドとして使用されるため、材質としては、インプリントモールドとして使用するのに要求される適度な強度や剛性を有する材料であれば特に制約はなく任意に用いることができる。例えば、石英ガラスやSiO−TiO系低膨張ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、CaFガラス等のガラス素材、シリコンなどが挙げられる。これらのうちガラス素材は特に好適である。ガラス素材は、非常に精度の高い加工が可能で、しかも平坦度及び平滑度に優れるため、本発明により得られるインプリントモールドを使用してパターン転写を行う場合、転写パターンの歪み等が生じないで高精度のパターン転写を行える。基板1から製造されるインプリントモールドが紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂に対して使用される場合においては、高い光透過性を有するガラス素材で基板1を形成することが好ましい。
上記凹部15は、その開口端部19では、平面視で円形状を成しており、図2(a)中の実線Aは、凹部15の開口端部19の領域の境界を示している。上記凹部15は、上記のとおり平面視で円形状を成しているが、深さ方向では、上記一方の主表面11に対向する底面16と側壁面17とを有している。また、上記凹部15は、他方の主表面12側の開口端部19での開口面積、換言すれば、開口端部19の内側領域の面積が拡張された拡張部を上記底面16側の側壁面17に有している。なお、凹部15の側壁面17と他方の主表面12との稜線部が面取り加工または曲面加工がされていない場合、上記開口端部19はその稜線部である。また、凹部15の側壁面17と他方の主表面12との稜線部が面取り加工または曲面加工がされている場合、開口端部19は、他方の主表面と面取り面との稜線部、または他方の主表面と曲面との境界部である。この場合、面取り面または曲面は、開口端部19の開口面積に含まれる。
本実施の形態においては、この拡張部は、図1、図2に示されるように、上記底面16近傍の側壁面17の全周に渡って形成された溝部18である。この溝部18は、凹部15の側壁面17が基板側面13側に拡張するように形成されており、溝部18では凹部15の開口面積が開口端部19での開口面積よりも拡張(拡大)されている。基板1の主表面方向から見たとき(平面視)の上記溝部18の外周形状は円形状を成している。図2(a)中の破線Cは、この溝部18によって構成されている凹部15の上記底面16の領域の境界を示している。
本発明においては、上記基板1の主表面方向から見たとき、上記凹部15の底面16は、上記台座構造14を包含する大きさを有している。本実施の形態では、上記凹部15が上記溝部18を有することで構成されている底面16が、上記台座構造14を包含する大きさを有することにより、台座構造14の領域の基板の厚さを薄くして台座構造部分を変形しやすくするためである。
また、上記凹部15の底面16の面積は、この凹部15の開口端部19の開口面積よりも大きくなっている。上記凹部15の底面16の面積を、この凹部15の開口端部19の開口面積よりも大きくすることで、主表面方向から見たときの凹部15の底面16の大きさが少なくとも台座構造14を包含する大きさを有していればよく、凹部15の開口端部19での大きさ(開口面積)は台座構造14の大きさよりも大きくしなくてもすむ。
また、本発明では、上記基板1において、上記凹部15の底面16は、上記台座構造14を包含する大きさを有しているが、上記凹部15の底面16の面積は、上記台座構造14の面積の2倍以上であることが必要である。転写対象物にモールドパターンをインプリントで転写し、台座構造部分を凸形状方向に撓ませる(パターンの間が広がる)変形が生じ、転写対象物からインプリントモールドを剥離しやすくするためには、上記凹部15の底面16の面積は、上記台座構造14の面積の2倍以上であることが必要である。
また、本発明では、上記基板1において、上記凹部15の開口端部19の開口面積を除いた他方の主表面12の面積は、上記台座構造14の面積の5倍以上であることが必要である。上記のとおり、本発明では、凹部15の開口端部19での大きさ(開口面積)は台座構造14の大きさよりも大きくしなくてもすむため、台座構造14の大きさを従来よりも大きくした場合でも、上記凹部15の開口端部19の開口面積を除いた他方の主表面12の面積が、上記台座構造14の面積の5倍以上であることにより、モールドの裏面の真空チャックされる領域の面積を十分に確保でき、インプリントモールドのモールドパターンを転写対象物上の液体樹脂に押し当て、樹脂を硬化させた後にモールドを剥離する際、モールドパターンと樹脂との間の付着力に十分に抗するだけの真空チャック力を得ることが可能となる。
上記基板1は、台座構造14の平面視での大きさが従来よりも大きくなっている。この基板1から製造されたインプリントモールドは、従来よりもパターンが形成される面積が大きくなる。このインプリントモールドのモールドパターンを転写対象物上の液体樹脂に押し当てて硬化させたときに、モールドパターンと樹脂との接触面積も大きくなる。モールドパターンと樹脂とを離型するために従来よりも凹部内の空気圧を高くしてモールドパターンをより湾曲させることが必要になる。しかし、凹部内の空気圧を高くすることで、基板自体の変形を招きやすく、インプリントモールドの裏面が変形して真空チャック力が低下しやすい。上記台座構造14の面積の5倍以上であることにより、モールドの裏面の真空チャックされる領域の面積を十分に確保でき、モールドパターンと樹脂との間の付着力に十分に抗するだけの真空チャック力を得ることが可能となる。なお、他方の主表面12と側面13との稜線部が面取り加工または曲面加工がされている場合、開口面積を除いた他方の主表面12の面積には、面取り面または曲面の部分は含まれない。
また、本実施の形態の上記基板1では、主表面方向から見たときの上記台座構造14の形状は矩形状であり、同じく主表面方向から見たときの基板主表面11、12の形状は矩形状であるが、主表面の対角線の長さに対する上記矩形状の台座構造14の外接円の直径の比率が0.38倍以上であることが望ましい。基板1の主表面11又は12の対角線の長さに対する上記矩形状の台座構造14の外接円の直径の比率を0.38倍以上とすることにより、台座構造上の転写パターン形成領域を従来よりも拡大して、1つのモールドに複数個分の転写パターンを配置することが可能になる。なお、本実施の形態では、上記台座構造14は矩形状であるため、台座構造14の外接円の直径は、矩形の対角線の長さに他ならない。
また、上記基板1において、他方の主表面12の面積に対する上記凹部15の底面16の面積の比率は、0.7倍以下であることが望ましい。ここで、他方の主表面12の面積は、開口端部19の開口面積を含むものとする。また、面取り面または曲面の部分は、他方の主表面12の面積には含まれないものとする。
他方の主表面12の面積に対する上記凹部15の底面16の面積の比率が大きすぎると(0.7倍を超える)、底面16と台座構造14を有する一方の主表面11との間の部分の強度、溝部18と側面13との間の部分の強度が低下するという問題が生じる。
また、上記基板1において、他方の主表面12の面積に対する上記開口端部19の開口面積の比率は、0.086倍以上であることが望ましい。ここで、他方の主表面12の面積は、開口端部19の開口面積を含むものとする。また、面取り面または曲面の部分は、他方の主表面12の面積には含まれないものとする。
他方の主表面12の面積に対する上記開口端部19の開口面積の比率が小さすぎると(0.086倍未満)、洗浄時に洗浄液が溝部18に入りにくくなり、溝部18から洗浄液を排出させにくくなるという問題が生じる。また、溝部18を加工するための切削治具を凹部15内に挿入しにくくなる。
また、上記基板1において、上記凹部15の底面16と基板の一方の主表面11との間の基板1の厚さは、1.5mm以下であることが好ましい。モールド用基板の裏面に凹部を形成し、台座構造の領域の基板の厚さを薄くして台座構造部分を変形しやすくするためである。基板裏面に凹部を設けても、上記凹部15の底面16と基板の一方の主表面11との間の基板1の厚さが1.5mmよりも厚いと、台座構造部分の変形が起こり難いという問題がある。一方、上記凹部15の底面16と基板の一方の主表面11との間の基板1の厚さは、0.5mm以上であることが好ましい。
なお、上記凹部15(底面16を含む)は、その中心が上記基板1の中心と一致していることが最も望ましく、少なくともそのずれが100μm以下、より好ましくは50μm以下であることが好ましい。表側主表面の台座構造上に形成されるモールドパターン(凹凸パターン)の中心を基板1の中心に一致させるようにすることが一般的であり、転写対象物のレジスト膜へのインプリントモールドの押し付け時や剥離時の変形がモールドパターンの中心から順次広がっていくようにするためである。
また、上記台座構造14の中心が上記基板1の中心と一致していることが最も望ましく、少なくともそのずれが100μm以下、より好ましくは50μm以下であることが好ましい。上記のとおり、表側主表面の台座構造上に形成されるモールドパターン(凹凸パターン)の中心を基板1の中心に一致させるようにするためである。
以上説明した本実施の形態のインプリントモールド用基板1によれば、主表面方向から見たとき、凹部15の底面16は、台座構造14を包含する大きさを有し、凹部15の底面16の面積は、凹部15の開口端部19の開口面積よりも大きく、凹部15の底面16の面積は、台座構造14の面積の2倍以上であり、上記凹部15の開口端部19の開口面積を除いた基板の他方の主表面12の面積は、台座構造14の面積の5倍以上であるという構成を備えることにより、主表面方向から見たときの凹部15の底面16の大きさが少なくとも台座構造14を包含する大きさを有していればよく、凹部15の開口端部19での大きさ(開口面積)は台座構造14の大きさよりも大きくしなくてもすむ。よって、台座構造の大きさを従来よりも拡大し、台座構造領域上に複数個分の転写パターンを配置したインプリントモールであっても、高い真空チャック力でインプリント装置に安定に固定でき、またインプリント後のモールドの剥離が良好に行われることにより、転写対象物に転写パターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造に好適なインプリントモールド用基板を得ることができる。
なお、本実施の形態においては、上記基板1は、平面視で全体が矩形状を成しているが、基板1の外形はこのような矩形状に限定されなくてもよい。インプリントモールドの用途、大きさなどに応じて適宜決定される。また、上記基板1の大きさ(サイズ)や板厚についても特に制約される必要は無く、インプリントモールドの用途、大きさなどに応じて適宜決定される。
また、上記台座構造14の形状(つまり台座構造の平面視形状)は、本実施の形態では全体が矩形状であるが、他の多角形状であってもよい(例えば、矩形の4隅が面取りされた八角形等。)。インプリントモールドの用途、大きさなどに応じて適宜決定される。
また、上記凹部15の形状は、本実施の形態では、平面視で円形状を成しているが、このような円形状に限定される必要はなく、矩形状や多角形状であってもよく、インプリントモールドの用途、大きさなどに応じて適宜決定される。なお、凹部15の平面視形状が円形状の場合は、真円形状であることが望ましい。転写装置にインプリントモールドを固定して転写するときの凹部15と転写装置の固定装置とで形成される空間内の内圧が表側主表面の変形に与える影響が同心円状の分布となり調整しやすいためである。
次に、本実施の形態の上記基板1の製造方法について説明する。
上記基板1は、たとえば平板状の基板の一方の主表面に上記台座構造14を形成し、他方の主表面に上記凹部15を形成することによって得られる。
上記台座構造14を形成する方法としては、具体的には、主表面を所定の平坦度に調整した平板状の基板の一方の主表面上にエッチングマスク膜を形成する工程と、当該エッチングマスク膜上の所定の台座構造形成領域上にレジストパターンを形成する工程と、当該レジストパターンをマスクとするエッチングをエッチングマスク膜に対して行い、台座構造形成領域以外のエッチングマスク膜を除去する工程と、この台座構造領域上のエッチングマスク膜をマスクとして、基板のエッチングを行い、台座構造を形成する工程とを有することが好ましい。
上記エッチングマスク膜は、基板の台座構造形成領域に台座構造を形成するための例えばウェットエッチング加工する際のハードマスク層(エッチングマスク)としての機能を有する。したがって、上記エッチングマスク膜としては、後の工程の台座構造を形成するための例えばウェットエッチングで用いるエッチング液に対して上記基板との間でエッチング選択性を有する材質が選択される。上記エッチングマスク膜は、例えばクロムを含有する材料で形成されることが好適である。上記基板は好ましくはガラスからなり、この場合の基板のウェットエッチングにはフッ酸を含有するエッチング液が好ましく用いられる。
上記クロム(Cr)を含有する材料としては、例えばCr単体、またはCrの窒化物、炭化物、炭化窒化物などのCr化合物があり、エッチングマスク膜を単層構造とする場合はCrNが特に好ましい。また、エッチングマスク膜を多層構造とする場合においては、基板に接する側の層は窒化クロムで形成することが好ましい。
上記基板の一方の主表面上にエッチングマスク膜を形成する方法は特に制約される必要はないが、たとえばスパッタリング成膜法が好ましく挙げられる。
また、上記エッチングマスク膜上の台座構造形成領域に上記のレジストパターンを形成する方法としては、フォトリソグラフィ法が好適である。そして、当該レジストパターンをマスクとして、台座構造形成領域以外のエッチングマスク膜を除去するためのエッチングは、エッチングマスク膜の材質や、エッチングマスク膜を除去する領域の大きさによっても異なるが、基本的にはドライエッチング、ウェットエッチングのいずれを適用しても構わない。
また、台座構造領域上にエッチングマスク膜を形成した基板をエッチング液中に浸漬させて基板のウェットエッチングを行うことによって、一方の基板主表面の台座構造形成領域に台座構造を形成することができる。
この場合のエッチング液としては、上記基板がガラスからなる場合、フッ酸(HF)を含有するエッチング液が好ましい。エッチング液の液温は適宜設定される。また、エッチング処理中は、必要に応じて適宜エッチング液を攪拌するようにしてもよい。
以上説明した台座構造を形成する工程の後、残存するエッチングマスク膜を除去する。エッチングマスク膜を除去する方法は、特に制約されないが、基板の材質にダメージを与えない方法が望ましい。例えば、基板がガラスで、エッチングマスク膜が上記のクロム系材料である場合は、硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液と過塩素酸の混合液をエッチング液に用いるウェットエッチング、あるいは塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いるドライエッチングが好適である。
また、基板の他方の主表面に上記凹部15を形成する方法としては、特に制約される必要はなく、機械加工法、エッチング法などの微細加工方法を任意に用いることができる。具体的には、例えば、レーザー加工、切削加工、ウォータージェット加工等の微細加工方法の中から、基材の材質、加工する孔の形状や大きさ等を考慮して適宜選択して用いればよい。形成する凹部15のサイズ、形状、深さや、基板1の材質などに応じて適宜選択すればよい。
なお、基板の一方の主表面に上記台座構造14を形成してから、他方の主表面に上記凹部15を形成してもよいし、基板の他方の主表面に上記凹部15を形成してから、一方の主表面に上記台座構造14を形成してもよい。
図3は、本発明に係るインプリントモールド用基板の第2の実施の形態を示す断面図である。
本実施の形態のインプリントモールド用基板2は、図3に示されるように、対向する2つの主表面21、22を備え、これら2つの主表面の外周端の間に側面23を備えている。また、この基板2の一方の主表面21に台座構造24を有し、他方の主表面22に凹部25を有している。本実施の形態においても、上記基板2は、全体が矩形状を成しており、また、基板2の主表面方向から見たときの上記台座構造24の形状についても全体が矩形状である。また、基板2の主表面方向から見たときの上記凹部25の形状は全体が円形状を成している。
本実施の形態の上記基板2では、上記凹部25は、その開口端部28では、平面視で円形状を成しているが、深さ方向では、上記一方の主表面21に対向する底面26と側壁面27とを有している。そして、この凹部25の側壁面27は、その開口端部28から底面26側に向かって次第に広がるような傾斜面を形成している。したがって、上記凹部25は、その底面26の面積が開口端部28での開口面積よりも拡張(拡大)されている。
本実施の形態のインプリントモールド用基板2においても、主表面方向から見たとき、凹部25の底面26は、台座構造24を包含する大きさを有し、凹部25の底面26の面積は、凹部25の開口端部28の開口面積よりも大きく、凹部25の底面26の面積は、台座構造24の面積の2倍以上であり、凹部25の開口端部28の開口面積を除いた基板の他方の主表面22の面積は、台座構造24の面積の5倍以上であるという構成を備えることにより、主表面方向から見たときの凹部25の底面26の大きさが少なくとも台座構造24を包含する大きさを有していればよく、凹部25の開口端部28での大きさ(開口面積)は台座構造24の大きさよりも大きくしなくてもすむ。よって、台座構造の大きさを従来よりも拡大し、台座構造領域上に複数個分の転写パターンを配置したインプリントモールであっても、高い真空チャック力でインプリント装置に安定に固定でき、またインプリント後のモールドの剥離が良好に行われることにより、転写対象物に転写パターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造に好適なインプリントモールド用基板を得ることができる。
なお、本実施の形態の基板2においても、基板主表面の対角線の長さに対する上記矩形状の台座構造24の外接円の直径の比率が0.38倍以上であることが望ましいこと、また、他方の主表面22の面積に対する上記凹部25の底面26の面積の比率は、0.7倍以下であることが望ましいこと、また、他方の主表面22の面積に対する上記開口端部28の開口面積の比率は、0.086倍以上であることが望ましいことは、前述の第1の実施の形態の場合と同様である。
また、その他の構成については第1の実施の形態の場合と同様であるので、ここでは重複説明は省略する。
また、本実施の形態の上記基板2は、前述の第1の実施の形態の基板1と同様の方法で製造することができる。
図4は、本発明に係るインプリントモールド用基板の第3の実施の形態を示す断面図である。
本実施の形態のインプリントモールド用基板3は、図4に示されるように、2つの主表面31A、31Bを貫通する孔33を有する第1の基板31と、一方の主表面32Aに前記台座構造14を有する第2の基板32とを、第1の基板31の他方の主表面31Bと第2の基板32の他方の主表面32Bとを向かい合わせて接合したものである。本実施の形態では、第1の実施の形態の基板1と同様の凹部15は、第1の基板31に穿設された上記貫通孔33によって側壁面17が構成され、第2の基板32の他方の主表面32Bによって底面16が構成されている。また、第1の基板31の2つの主表面31A、31Bを貫通する孔33は、他方の主表面31B側では、一方の主表面31A側の開口端部19よりも大きな径を有している。これにより、第1の基板31と第2の基板32を接合した時に、第1の実施の形態の基板1と同様の溝部18が凹部15の底面16側に形成される。
本実施の形態の上記基板3は、上記第1の基板31と上記第2の基板32を接合して構成されている点を除いては、前述の第1の実施の形態の基板1の構成と同様である。したがって、本実施の形態の基板3の構成についての詳細は、第1の実施の形態の基板1と同様であるので、ここでは重複説明は省略する。なお、図4において、図1と同等の箇所については同一符号を付している。
本実施の形態の基板3を構成する上記第1の基板31および第2の基板32の材質としては、前述の石英ガラスやSiO−TiO系低膨張ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、CaFガラス等のガラス素材、シリコンなどが挙げられる。これらのうちガラス素材は特に好適である。従って、上記基板3を構成する第1の基板31と第2の基板32は、ガラスからなる基材を少なくとも含むことが好ましい。
また、上記第1の基板31と第2の基板32は、同じ材質であってもよいし、あるいは異なる材質であってもよい。異なる材質を用いる場合は、熱膨張係数の異なる材料を組み合わせることが特に好適である。第1の基板31と第2の基板32とが熱膨張係数の異なる材料であることにより、基板3に凹部15を形成したことに加えて、インプリントモールドの離型時に加熱又は冷却することで第1の基板31と第2の基板32の間で相対的な引っ張り応力あるいは圧縮応力が作用してモールドの離型がよりいっそうしやすくなる。
なお、図4に示される構成では、上記第1の基板31と第2の基板32はともに1枚の基材を用いているが、第1の基板と第2の基板の一方を、あるいは両方をそれぞれ2枚以上の基材を接合させた構成としてもよい。また、第2の基板32の主表面(主表面32A、32B)の方向から見たときの大きさが、第1の基板31の主表面((主表面31A、31B)の方向から見たときの大きさよりも小さいものを用いてもよい。さらに、第2の基板32は、主表面(主表面32A、32B)の方向から見たときの形状が円形状のものを用いてもよい。
上記第1の基板31に所定の形状の孔33を穿設するための加工手段としては、特に制約される必要はなく、公知の機械加工法、エッチング法などの微細加工方法を任意に用いることができる。具体的には、例えば、レーザー加工、切削加工、ウォータージェット加工等の微細加工方法の中から、基材の材質、加工する孔の形状や大きさ等を考慮して適宜選択して用いればよい。
次に、上記所定の形状の孔33を穿設した第1の基板31と一方の主表面に台座構造14を有する第2の基板32とを接合する手段としては、第1の基板と第2の基板との十分な接着力が得られる方法であれば、特に制約される必要はない。ここで十分な接着力とは、インプリントモールドの使用時に第1の基板と第2の基板との剥離等が起こらないような接着力のことである。
具体的には、例えば、溶接(溶着)法、接着法、陽極接合法、フッ酸接合法、光学溶着法(オプティカルコンタクト)などの方法を好ましく用いることができる。第1の基板31と第2の基板32のそれぞれの材質に応じて好適な接合方法を適宜選択して用いればよい。
なお、上記孔33を穿設した第1の基板と平板状の第2の基板とを接合し、接合後の基板に対して、第2の基板の表面側主表面に上記台座構造14を形成することによって、本実施の形態のインプリントモールド用基板3を得ることもできる。
本実施の形態のインプリントモールド用基板3によれば、前述の第1の実施の形態の基板1と同様、台座構造の大きさを従来よりも拡大し、台座構造領域上に複数個分の転写パターンを配置したインプリントモールであっても、高い真空チャック力でインプリント装置に安定に固定でき、またインプリント後のモールドの剥離が良好に行われることにより、転写対象物に転写パターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造に好適なインプリントモールド用基板を得ることができる。
[マスクブランク]
次に、本発明に係るマスクブランクについて説明する。
本発明は、上述の本発明のインプリントモールド用基板の一方の主表面(台座構造を有する側の主表面)に、パターン形成用薄膜を備えるマスクブランクについても提供する。
図5は、本発明に係るマスクブランクの一実施の形態を示す断面図である。
すなわち、図5に示すマスクブランク(インプリントモールド用マスクブランク)10は、上述の第1の実施の形態のインプリントモールド用基板1の台座構造14を有する一方の主表面11、すなわちインプリントモールドのモールドパターンを形成する側の面(パターン形成面)に、パターン形成用薄膜5を備えたものである。
上記パターン形成用薄膜5は、基板1の台座構造5を形成した領域にモールドパターンを形成するための基板エッチング(掘り込み)加工する際のハードマスク膜としての機能を有する。したがって、上記パターン形成用薄膜5としては、後の工程のモールドパターンを形成するためのエッチング環境に対して上記基板1との間でエッチング選択性を有する材質が選択される。本発明においては、上記パターン形成用薄膜5は、例えばクロムを含有する材料で形成されることが好適である。上記基板1は好ましくはガラスからなるため、この場合の基板1のドライエッチングには例えばフッ素系ガスが用いられる。上記クロムを含有する材料は、フッ素系ガスに対して上記ガラスからなる基板1との間でエッチング選択性を有する。
上記クロム(Cr)を含有する材料としては、例えばクロム金属、クロム窒化物、クロム炭化物、クロム炭化窒化物およびクロム酸化炭化窒化物などが挙げられる。このパターン形成用薄膜5の場合においては、クロム酸化炭化窒化物が特に好ましい。
このようなマスクブランク10におけるパターン形成用薄膜5としては、単層でも複数層でもよい。例えば、上記薄膜5が上記クロム系材料の単層膜よりなるマスクブランクが挙げられる。また、例えば上記薄膜5が少なくとも上層と下層の積層膜よりなり、上層は上記クロム系材料で形成され、下層がタンタル(Ta)を主成分とする材料で形成されたマスクブランクなども挙げられる。この場合のタンタルを主成分とする材料としては、例えばTaHf、TaZr、TaHfZrなどのTa化合物、あるいはこれらのTa化合物をベース材料として、例えばB、Ge、Nb、Si、C、N等の副材料を加えた材料などがある。また、タンタルを主成分とする材料は、レジストパターン形成の際の電子線描画時のチャージアップ防止や、走査型電子顕微鏡(SEM)による基板パターン(モールドパターン)検査が可能となるように、必要な導電性を確保する機能を持たせることができるので好適である。
勿論、このようなパターン形成用薄膜5の構成および材料の例示はあくまでも一例であり、本発明はこれらに制約される必要はまったくない。
上記パターン形成用薄膜5の膜厚は特に制約されないが、例えば2nm以上10nm以下の範囲であることが好適である。かかる薄膜5の膜厚が2nm未満であると、モールドパターン作製時に薄膜5のパターンをマスクとして基板1をエッチング加工するときに、加工が終わる前に薄膜5のパターンがエッチングされて消失してしまう恐れがある。一方、薄膜5の膜厚が10nmよりも厚くなると、微細パターン形成の観点から好ましくない。また、基板1の材質にダメージを与えずに薄膜5を最後に除去することが困難になる場合がある。
インプリントモールド用基板1上に上記パターン形成用薄膜5を形成する方法は特に制約される必要はないが、なかでもスパッタリング成膜法が好ましく挙げられる。スパッタリング成膜法によると、均一で膜厚の一定な膜を形成することが出来るので好適である。
また、本発明のマスクブランク10は、上記パターン形成用薄膜5の上に、レジスト膜を形成した形態であっても構わない。
なお、以上は第1の実施の形態のインプリントモールド用基板1の台座構造14を有する一方の主表面11にパターン形成用薄膜5を備えたマスクブランクについて説明したが、前述の第2の実施の形態のインプリントモールド用基板2の台座構造24を有する一方の主表面21にパターン形成用薄膜を備えたマスクブランクや、前述の第3の実施の形態のインプリントモールド用基板3の台座構造14を有する主表面32Aにパターン形成用薄膜を備えたマスクブランクとしてもよい。
(インプリントモールドの製造方法)
次に、本発明に係るインプリントモールドの製造方法について説明する。
本発明は、上述のマスクブランク10を用いたインプリントモールドの製造方法についても提供するものである。
すなわち、本発明は、上述のマスクブランクを用いるインプリントモールドの製造方法であって、前記パターン形成用薄膜上に形成されたモールドパターンを有するレジスト膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記パターン形成用薄膜にモールドパターンを形成する工程と、前記モールドパターンが形成されたパターン形成用薄膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記台座構造の転写面にモールドパターンを形成する工程とを有することを特徴としている。
図6の(a)〜(f)はインプリントモールドの製造工程を説明するためのマスクブランク等の断面図である。
以下、図6を参照してインプリントモールドの製造工程を説明する。
上述の本発明のマスクブランク10の上面に、液体状の光硬化型樹脂(または熱硬化型樹脂)からなるレジスト膜6を塗布する(図6(a)参照)。次に、上記の液体状の樹脂に対し、微細パターン(モールドパターン)を備えるマスターモールドを直接押し付けた状態で光照射処理(または加熱処理)を行って樹脂を硬化させてからマスターモールドを剥離する。さらに、酸素プラズマ等を用いるアッシングによって樹脂の残膜部分を除去するデスカム処理を行うことで、パターン形成用薄膜5上にレジストパターン6aを形成する(図6(b)参照)。
次に、上記レジストパターン6aを形成したマスクブランク10を、ドライエッチング装置に導入し、エッチングガス(例えば塩素系ガス、Cl等)を用いたドライエッチングを行うことにより、上記レジストパターン6aをマスクとしてパターン形成用薄膜5をエッチング加工して、図6(c)、(d)に示すように薄膜パターン5aを形成する。
ここで、ドライエッチング装置からマスクブランクを一旦取り出して、残存する上記レジストパターン6aを除去してもよい(図6(d)参照)。
なお、上記薄膜5の膜構成、材質によっては、上記エッチング加工を1段階ではなく、2段階以上で行うこともある。
次いで、同じドライエッチング装置内で、基板1が例えばガラスの場合、フッ素系ガス(CHF、CF4等)を用いたドライエッチングを行うことにより、上記薄膜パターン5aをマスクとして基板1をエッチング加工して、図6(e)に示すように、基板1の台座構造14の転写面にモールドパターン(凹凸パターン)20aを形成する。
さらに残存する上記薄膜パターン5aを除去することにより、図6(f)に示すような構造のモールドパターン20aが形成されたインプリントモールド20が得られる。インプリントモールド20は、その表側主表面の台座構造14が形成された領域にモールドパターン20aが形成され、その裏側主表面には凹部15が形成された構造を有している。
なお、以上は、レジストパターンを形成する工程において、レジスト膜6に対し、微細パターン(モールドパターン)を備えるマスターモールドを直接押し付けた状態で樹脂を硬化させてからマスターモールドを剥離することにより、パターン形成用薄膜5上にレジストパターン6aを形成する場合を説明したが、レジスト膜6に対し、微細パターン(モールドパターン)を電子線描画し、描画後、レジスト膜を現像してレジストパターン6aを形成することもできる。この場合はマスターモールドの製造ができる。
図7は、インプリントによる転写対象物へのパターン転写を説明するための断面図である。
本発明により得られる上述のインプリントモールド20は、被転写体(転写対象物)40における被転写体構成層(例えばシリコンウェハ)41上に塗布されたレジスト膜(例えば光硬化型樹脂や熱硬化型樹脂)42に直接押し付けてモールドパターン20aを転写する。本発明により得られるインプリントモールドを用いることにより、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができる。
以上詳細に説明したように、本発明によれば、インプリントモールドの台座構造の大きさを従来よりも大きくし、台座構造領域上に複数個分の転写パターンを配置した場合でも、高い真空チャック力でインプリント装置に安定に固定でき、またインプリント後のモールドの剥離が良好に行われることにより、転写対象物に転写パターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造に好適なインプリントモールド用基板を得ることができる。
また、本発明によれば、このインプリントモールド用基板を用いて、上記インプリントモールドの製造に好適なマスクブランクを得ることができる。
また、本発明によれば、このマスクブランクを用いて製造され、インプリントモールドの台座構造の大きさを従来よりも大きくし、台座構造領域上に複数個分の転写パターンを配置した場合でも、高い真空チャック力でインプリント装置に安定に固定でき、またインプリント後のモールドの剥離が良好に行われることで、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができるインプリントモールドを得ることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例に使用するインプリントモールド用基板を以下のようにして作製した。本実施例では、前述の第1の実施の形態の基板1を作製した。なお、以下の説明中で使用する符号は図1、図2中の符号に対応している。
ガラス基板として合成石英基板(大きさ152mm×152mm×厚み(6.35mm))を準備した。なお、このガラス基板の表面側主表面及び裏側主表面の外周端部は、面取り幅0.5mmで面取り加工を行った。
次に、上記ガラス基板をクロム(Cr)ターゲットを備えるDCスパッタリング装置に、一方の主表面(後で凹部15を形成する他方の主表面とは反対側の表側主表面)がクロムターゲットと対向する位置関係となるように配置し、基板側からCrN層、CrC層、CrON層が積層する構造を有するエッチングマスク膜を105nmの厚みで成膜した。
次に、上記エッチングマスク膜の上面にフォトレジスト(東京応化社製 THMR−iP3500)を460nmの厚さに塗布し、大きさが70mm×50mmの矩形(台座構造形成領域)の外側エリアに対して紫外光による露光と現像を行い、台座構造用のレジストパターンを形成した。
次に、上記台座構造用のレジストパターンを形成したガラス基板について、塩素ガス(Cl)と酸素ガス(O)の混合ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、台座構造用のレジストパターンで保護されている部分以外のエッチングマスク膜を除去して、台座構造用のエッチングマスク膜パターンを形成した。
次に、上記エッチングマスク膜パターンを形成したガラス基板を所定のエッチング液中に浸漬させた。エッチング液としては、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムの混合液(HF濃度6wt%、NHF濃度20wt%)を用い、ガラス基板にウェットエッチングを行った。さらに硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液と過塩素酸の混合液により残存する上記レジストパターンとエッチングマスク膜パターンを除去することで、深さが30μm程度の台座構造14を作製した。
次に、このガラス基板の裏側主表面に、機械加工で所定の大きさの凹部15を作製した。凹部15の大きさは、その底面16が、後述の台座構造を包含する大きさとなるように、開口端部19では直径が82mmの真円形状で、底面側の溝部18では直径が95mmの真円形状とし、全体の深さは5.3mmとした。また、この凹部15の開口端部19は、面取り幅0.5mmで面取り加工を行った。
以上のようにして、本実施例のインプリントモールド用基板を作製した。作製した本実施例のインプリントモールド用基板における台座構造14の面積、裏側主表面の面積(凹部15含む)、凹部15の底面16の面積、凹部15の開口端部19の開口面積、開口端部19の開口面積を除いた裏側主表面の面積については、後記表1に示した。
次に、上記のインプリントモールド用基板を用いてマスクブランクを作製した。
上記インプリントモールド用基板をDCスパッタリング装置に導入し、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリングにより、上記インプリントモールド用基板の台座構造14を形成した主表面上の全面にCrOCN膜からなるパターン形成用薄膜を5nmの厚みで成膜し、マスクブランクを作製した。
次に、このマスクブランクを用いてインプリントモールドを作製した。まず、こうしてCrOCN膜からなるパターン形成用薄膜を成膜したマスクブランクの上面に、液体状の光硬化型樹脂を塗布した。次に、上記の液体状の光硬化型樹脂に対し、ハーフピッチ22nmのラインアンドスペースを含む転写パターンを縦2個×横2個=4個分有するマスターモールドを直接押し付けた状態で光照射処理を行って樹脂を硬化させてからマスターモールドを剥離した。さらに、酸素プラズマ等を用いるアッシングによって樹脂の残膜部分を除去するデスカム処理を行うことにより、パターン形成用薄膜上にレジストパターンを形成した。
次に、上記レジストパターンを形成したマスクブランクを、ドライエッチング装置に導入し、塩素ガス(Cl)と酸素ガス(O)の混合ガスを用いたドライエッチングを行うことにより、上記レジストパターンをマスクとして上記パターン形成用薄膜をエッチング加工して、薄膜パターンを形成した。この時のエッチング終点は、プラズマ発光検出方式の終点検出器を用いることで判別した。
ここで、上記マスクブランクを一旦ドライエッチング装置から取り出して、残存するレジストパターンを酸素プラズマアッシングによって除去した。
続いて、同じドライエッチング装置内で、フッ素系ガス(CHF)を用いたドライエッチングを行うことにより、上記薄膜パターンをマスクとしてガラス基板をエッチング加工することにより、所定のモールドパターン(凹凸パターン)を形成した。この時、モールドパターンの深さが100nmになるようエッチング時間を調整した。
ここで、走査型電子顕微鏡(SEM)によるパターン検査を行ったところ、モールドパターンの幅、深さの寸法、精度において良好なパターンが形成されていることを確認した。
さらに、残存する上記薄膜パターンを硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液と過塩素酸の混合液によって除去することで、前述の図6(f)に示すような構造のインプリントモールド20を得た。
(実施例2、3、比較例1〜3)
実施例1のインプリントモールド用基板の作製において、台座構造の大きさ(面積)、凹部の大きさ(開口端部の開口面積、底面の面積)を後記表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2、3および比較例1〜3のインプリントモールド用基板をそれぞれ作製した。
こうして作製した実施例2、3および比較例1〜3の各インプリントモールド用基板における台座構造14の面積、裏側主表面の面積(凹部15含む)、凹部15の底面16の面積、凹部15の開口端部19の開口面積、開口端部19の開口面積を除いた裏側主表面の面積についても、纏めて以下の表1に示した。
また、これらのインプリントモールド用基板を用いて、実施例1と同様にして、マスクブランクをそれぞれ作製し、さらに、これらのマスクブランクを用いてインプリントモールドをそれぞれ作製した。
Figure 2019149441
表1には、実施例1〜3および比較例1〜3の各インプリントモールド用基板における、台座構造14の面積(Sp)とその対角線長さ(Lp)、裏側主表面(面取り幅0.5mmを除く)の面積(凹部15含む)とその対角線長さ(Lr)、凹部15の底面16の面積(Sb)、凹部15の開口端部19の開口面積(面取り幅0.5mmを含む)(So)、開口端部19の開口面積を除いた裏側主表面の面積(Sr−So)を示した。また、これらの数値を基に、各インプリントモールド用基板における、台座構造14の面積に対する凹部15の底面16の面積の比率(Sb/Sp)、台座構造14の面積に対する凹部15の開口端部19の開口面積を除いた裏側主表面の面積の比率((Sr−So)/Sp)、裏側主表面の対角線の長さに対する台座構造14の外接円の直径(台座構造の対角線長さ)の比率(Lp/Lr)、裏側主表面の面積に対する凹部15の底面16の面積の比率(Sb/Sr)、裏側主表面の面積に対する凹部15の開口端部19の開口面積の比率(So/Sr)についても示した。
表1に示すように、実施例1〜3のインプリントモールド用基板は、いずれも、凹部の底面の面積が台座構造の面積の2倍以上であること、凹部の開口端部の開口面積を除いた裏側主表面の面積が台座構造の面積の5倍以上であること、のいずれの要件も満たしている。また、実施例1〜3のインプリントモールド用基板は、いずれも、基板主表面の対角線の長さに対する台座構造の外接円の直径の比率が0.38倍以上であること、裏側主表面の面積に対する凹部の底面の面積の比率が0.7倍以下であること、裏側主表面の面積に対する凹部の開口端部の開口面積の比率が0.086倍以上であること、のいずれの要件をも満たしている。
一方、比較例1と比較例3のインプリントモールド用基板は、凹部の底面の面積が台座構造の面積の2倍以上であることの要件は満たしているが、凹部の開口端部の開口面積を除いた裏側主表面の面積が台座構造の面積の5倍以上であることの要件は満たしていない。また、比較例2のインプリントモールド用基板は、凹部の開口端部の開口面積を除いた裏側主表面の面積が台座構造の面積の5倍以上であることの要件は満たしているが、凹部の底面の面積が台座構造の面積の2倍以上であることの要件は満たしていない。
次に、上記のようにして得られた各インプリントモールドを転写装置(インプリント装置)に固定し、前述の図7に示すように、被転写体(転写対象物)におけるシリコンウェハ上に塗布されたレジスト膜(光硬化型樹脂)に直接押し付けてパターンを転写する工程を繰り返し実施した。
実施例1〜3のインプリントモールド用基板を用いて得られたインプリントモールドを用いることにより、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができた。すなわち、インプリントモールドの台座構造の大きさを従来よりも大きくし、台座構造領域上に複数個分の転写パターンを配置した場合でも、高い真空チャック力でインプリント装置に安定に固定でき、途中でモールドの脱落といった問題は生じなかった。また、パターン転写後のモールドの剥離が良好に行われたことにより、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができた。
これに対し、比較例1または比較例3のインプリントモールド用基板を用いて得られたインプリントモールドを用いたところ、インプリントモールドの台座構造の大きさを従来よりも大きくし、台座構造領域上に複数個分の転写パターンを配置した場合には、モールドを固定する真空チャック力が十分でないことによる途中でのモールドの脱落が発生してしまった。また、比較例2のインプリントモールド用基板を用いて得られたインプリントモールドを用いたところ、パターン転写後のモールドの剥離時にモールドパターンの変形が起こり難い部分があり、モールドが剥離され難かったことによって、転写対象物の樹脂パターンが崩れる現象が発生してしまった。
1、2、3 インプリントモールド用基板(基板)
5 パターン形成用薄膜
6 レジスト膜
10 マスクブランク
11、12、21、22 主表面
13、23 側面
14、24 台座構造
15、25 凹部
16、26 底面
17、27 側壁面
18 溝部(拡張部)
19、28 開口端部
20 インプリントモールド
20a モールドパターン
31 第1の基板
32 第2の基板
31A、31B、32A、32B 主表面
33 孔
40 被転写体(転写対象物)
41 被転写体構成層
42 レジスト膜

Claims (11)

  1. 対向する2つの主表面を備え、一方の前記主表面に台座構造を有し、他方の前記主表面に凹部を有する基板からなるインプリントモールド用基板であって、
    前記凹部は、前記一方の主表面に対向する底面と側壁面とを有し、
    前記主表面方向から見たとき、前記凹部の底面は、前記台座構造を包含する大きさを有し、
    前記凹部の底面の面積は、前記凹部の開口端部の開口面積よりも大きく、
    前記凹部の底面の面積は、前記台座構造の面積の2倍以上であり、
    前記開口端部の開口面積を除いた前記他方の主表面の面積は、前記台座構造の面積の5倍以上である、
    ことを特徴とするインプリントモールド用基板。
  2. 前記凹部は、前記開口端部の開口面積が拡張された拡張部を底面側の側壁面に有することを特徴とする請求項1に記載のインプリントモールド用基板。
  3. 前記拡張部は、前記底面近傍の側壁面の全周に渡って形成された溝部であることを特徴とする請求項2に記載のインプリントモールド用基板。
  4. 前記主表面方向から見たときの前記台座構造の形状は多角形状であり、前記主表面方向から見たときの前記主表面の形状は矩形状であり、前記主表面の対角線の長さに対する前記多角形状の台座構造の外接円の直径の比率が0.38倍以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
  5. 前記他方の主表面の面積に対する前記凹部の底面の面積の比率は、0.7倍以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
  6. 前記他方の主表面の面積に対する前記開口端部の開口面積の比率は、0.086倍以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
  7. 前記凹部の底面と前記一方の主表面との間の前記基板の厚さは、1.5mm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
  8. 前記基板は、2つの主表面を貫通する孔を有する第1の基板と一方の主表面に前記台座構造を有する第2の基板を接合してなり、
    前記凹部は、前記第1の基板の孔によって前記側壁面が構成され、前記第2の基板の他方の主表面によって前記底面が構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のインプリントモールド用基板の前記一方の主表面に、パターン形成用薄膜を備えることを特徴とするマスクブランク。
  10. 前記パターン形成用薄膜は、クロムを含有する材料からなることを特徴とする請求項9に記載のマスクブランク。
  11. 請求項9又は10に記載のマスクブランクを用いるインプリントモールドの製造方法であって、
    前記パターン形成用薄膜上に形成されたモールドパターンを有するレジスト膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記パターン形成用薄膜にモールドパターンを形成する工程と、
    前記モールドパターンが形成されたパターン形成用薄膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記台座構造の転写面にモールドパターンを形成する工程と、
    を有することを特徴とするインプリントモールドの製造方法。
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